星輝子「ふたりのプロデューサーとふたりの私」 (119)


・モバマスSS


・プロダクションやプロデューサーに独自設定あり


・ある作品に強く影響をうけていますが気にしないでください



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輝子「お、温泉…だな」


小梅「温泉…だね」


輝子「フ、フヒ…あっついな…」


小梅「うん、熱くて…とけちゃいそう…」


輝子「ボ、ボイルドショーコだ…フヒ」


幸子「おふたりとも…そんな無理してるとのぼせちゃいますよ?」


輝子「トモダチが…がんばって…温泉、貸し切りにしてくれたんだ…私も…限界までがんばるぞ…」


小梅「わたしたちも…がんばろう?」


幸子「そんなことをがんばらなくっていいんです! もう!」


輝子「温泉…ふつうは閉める時間に、トモダチがたのみこんでOKをもらったんだよな」


幸子「ええ ボクたちのサインと引きかえに清掃時間を遅らせてくれるよう、交渉していたみたいです」


幸子「ボクは自分のサインを安売りしているみたいでイヤだったんですが…」


幸子「お仕事もなしで温泉が貸し切り状態になったのですから、良しとしましょう 合格です」


小梅「お仕事だと…こんなにゆっくり温泉に入れないもんね」


輝子「夜の温泉も、いいもんだな…星が……星がよくみえる…ボッチの星も…そうじゃない星も…」


輝子「そ、それでだな …その…おふたりに相談があるんだが…」


小梅「なあに? 輝子ちゃん…」


輝子「せ、せっかくのお泊りだから…このチャンスにトモダチともっと仲良くなりたいんだ…」


輝子「フヒ…な、なにかいい…なにかアイデア…ないかな? キノコたちもヨロコぶようなヤツ」


幸子「そうですねぇ… いますぐできるものですよね… むぅ…」


小梅「い…一緒…ふ、ふたりきりで…映画鑑賞 ……もちろん…ホラー」


小梅「ラブシーンあるから…いい雰囲気に…なるよ?」


輝子「旅館のテレビでやってるかな…」


小梅「だいじょうぶ…DVDとプレーヤーなら持ってきてるから…すぐ観れるよ…」


幸子「いっつも持ってきてるんですか…」


小梅「うん…お泊まりのお仕事のときは…だいたい」


輝子「フ…フヒ…え、えっちなシーン…」


小梅「…だいたいそのあと 襲われて…死んじゃうけど…」チラ


幸子「?」


小梅「後ろから…大きな影が音もなく現れて…気づいたときには…」


?「………」


輝子「…ぉ」


?「ぷはー」ザパァ


幸子「ひィッぁわあああああああっ!!」ビクッ!


?「なにをされているのですかー」


輝子「あ…あぁ…お…おまえは…!」


ライラ「どうもーライラさんでございますー」


ライラ「温泉がきれいなので少しもぐってしまったですよ」


幸子「らラッいらっさん! ON…温泉は泳いだり潜ったりしてはいけません!!」


ライラ「そうだったのですかー」


小梅「ふふ…タイミング…ばっちり…」


ライラ「よくわかりませんがー ライラさんうまくいったみたいのようでございますねー」


小梅「とっても…よかった…」


ライラ「よかったですかー お手つだいができてライラさんよかったですねー」


輝子「さ、幸子ちゃんの驚きかたも、その…よかったぞ さすがプロ、だな」


幸子「そんな…リアクション芸人に対するほめ言葉は…うぅ…」


幸子「プロはプロでも、ボクは元祖カワイイ系アイドルのプロなんですよ…」


小梅「やっぱり…幸子ちゃんは笑顔もカワイイけど…涙目になってるのも…カワイイ」


幸子「と、当然ですね…! ボクは365日24時間いついかなるときでもカワイイのだから!」


ライラ「『すするじゃねえかー』というやつでございますですね?」


輝子(すする…? キノコを?)


幸子「は…はなしを戻しますよ!」


ライラ「なんのお話しをされていたのですかー?」


小梅「プロデューサーさんと…仲良くなる方法…考えてたの」


ライラ「ほー 仲よく…」


幸子「そうですね…今、簡単にできそうな事で考えると…」


幸子「夜道をふたりきりで散歩…でしょうか」


輝子「そ、そんなので…いいのか?」


幸子「フフーン、当然ですよ!だってアイドルが…しかもカワイイボクが」


幸子「自分のためにプライベートの時間を割いてくれるんですよ?」


幸子「嬉しいに決まってます!アイドルに逢瀬に誘われて嫌な男の人なんていないんですから!」


輝子「…た、たしかに幸子ちゃんなら…そうかもな」


輝子「けど…自分、キモいし…かわいくないから…」


幸子「もう! 自分を卑下するのはやめてください!」


幸子「ボクとユニットが組めるのですから、輝子さんはカワイイんです!」


輝子「そ、そうなのかな… …そうかも」


幸子「そして…夜道をふたりで歩いてとりとめもない話をし…」


幸子「ふと、夜空を見上げると…そこには満天の…」


小梅「…血みどろの…謎の影が」


幸子「ぅヒィっ…」


輝子「おぉ…」


幸子「小梅さん! ひとのアイデアをホラー色に染めないでください!!」


小梅「えへへ…ごめん でもいいアイデアだと思うよ…」


輝子「けど…誘って…来てくれるかな…?」


幸子「ボクたちの所属しているプロダクションに在籍する12人の精鋭プロデューサーのなかで…」


幸子「特に高位の実力を誇り、担当以外のアイドルからも神のように慕われている輝子さんのプロデューサー!」


小梅「その勤勉さ…優しさ…プロデュース力…どれをとっても完璧…といっても過言じゃない」


小梅「輝子ちゃんのプロデューサーさんは…まさしく…神様みたいな人」


幸子「もっとも! ボクのプロデューサーさんには敵いませんがね!」


輝子「そ、そうだな… 幸子ちゃんのプロデューサーも…すごい人だもんな」


幸子「えぇ!初代シンデレラガールを誕生させた、このプロジェクトの立役者ともいうべき人です!」


幸子「っと…今はその話をするときではありませんでしたね… ボクとしたことが…」


ライラ「サチコさん プロデューサー殿のはなしになりますとはやくちになりますねー」


小梅「幸子ちゃん…担当プロデューサーさんのこと…大好きなんだよ…」ボソッ


ライラ「ほー お熱いかんけいというものでございますですかー」


幸子「問題は…その型物でばか真面目な輝子さんのプロデューサーをどうやって動かすか…ですね」


幸子「多分いまでも自室にこもってお仕事を片づけているでしょうから、会うのは簡単だと思いますけど」


輝子「い、いやトモダチは温泉入ってる……と思う」


幸子「どうしてわかるんです?」


輝子「と、トモダチ…温泉、大好きなんだ しかも…一度はいったら、ぜんぜん出てこない…」


小梅「そ…それだったらいま…お…男湯に…! ど…どうするの…」


輝子「ど、どうしようか…?」


幸子「…プロデューサーさんの居場所はとりあえず置いておくとして」


ライラ「はーい ライラさんも考えましたのですねー」


幸子「?… ライラさん? あぁ、アイデアですね」


ライラ「ライラさんはですねー アイスを食べれば幸せですねー」


ライラ「ひとりで食べるのもいいですがーいっしょに食べるならもっと幸せでございますねー」


輝子「……なるほど」


ライラ「今はショウコさんたちがいますから みなさんでたくさんのアイスを食べたいですねー」


小梅「お風呂あがりに…買いに行く?…」


幸子「フフーン、スタンダードですが、悪くないとは思いますよ」


輝子「親友の、好きなアイスって知ってるか? ライラさん」


ライラ「そうでございますねー P殿ときょう…」


?「アイス…ですか、確かに一緒に食べるのならまあいいっすねぇ…ふふ」


小梅「な…?」


輝子「なにい!?」


幸子「あ、ああ…あなたは!」


輝子「か、楓さん!!」


楓「ふふっ…アイスもいいけど日本酒もね でおなじみ、高垣楓です」


小梅「…楓さんのアイデアも…聞いて…みたいな…」


輝子「そ、そうだな 大人の意見が、聞けるかもな」


楓「はなしは聞いていたわ …プロデューサーが喜ぶようなことを企画していたのよね」


輝子「うん…だいたい…そんな感じだ」


楓「ここはひとつ…年長者から大人の意見を…」


輝子「お、大人…」


楓「高垣楓といえば…お酒と温泉とアイドルで構成されています…」


楓「つまりお酒と温泉があれば……高垣楓は現れるのです」


ライラ「よくわかりませんが すごいですねー」


小梅「べ…勉強に…なります」


幸子「楓さん…お酒、飲んでますよね? いつもより…意味不明かつハイテンションですよ?」


楓「そうかしら! そんなこと…私は全然ないのだけど!」


幸子(絶対そうだ…)


楓「そしてそこから導き出される答えはひとつ…ふふ」


楓「そう!お酌してふたりで楽しむ! 大人の楽しみです」


輝子「さすがに…それは、真似できないな…」


小梅「未成年だもんね…」


楓「いつもふたりで飲みに行くことはあっても…温泉旅館で一泊なんてそうそうないもの」


楓「こんなまたとない機会… 逃すわけにはいかないわ」


楓「おっと もうこんな時間…それでは、高垣楓行って参ります!」


ライラ「はーい おたっしゃでー」


幸子「………」


輝子「…どこに?」


小梅「……わかんない」

-補足-

輝子・楓・ライラ

が同じプロデューサーで


幸子・小梅はそれぞれ別のプロデューサーです


― 男湯 ―


モバP(以下 P)「ようやく一息つける…」


P「142s組の秋LIVEに楓さんのグラビア撮影…そしてライラのバラエティ用ミニコーナー撮影…」


P「この温泉宿を中心に3件…移動は苦にならなかったが…」


P「しかし…こうもトラブルや想定外の出来事が多いと……さすがのわたしも堪える…」


P「そしてトラブルを全てを処理し、あとは帰るだけ、となったときに…」


P「『撮影の時に温泉を堪能できなかったから』と頑なに車に乗ろうとしない楓さん…」


P「…周囲も『だったらここに泊まろう』という空気になっていき…結局一泊することに…」


P「はぁ…帰ってデスクワークを片づけるつもりだったのだが…」


P「それにしても…楓さん はじめて彼女と出会ったときと比べれば少しは…いや、随分心を開いてくれている」


P「そのことはうれしく思うが…彼女のアイドル活動に支障をきたさなければいいのだが…」


P「今日だって… はぁ… なんとか空室があったからよかったものを……」


P「…………ム?」


P「……そういえば皆、泊まりの準備をしていたな… もしかして最初から予定されていた…?」


P「………」


P「…考えすぎか 明日の朝にはだれも予定は入っていないのだし…」


P「こうしてわたしも貸し切り状態でこの温泉を堪能できるのだから…」


P「都会の喧騒もプロデュース業の激務も忘れ…ただ、ひとりの人間として…」


?「ふふ……いまこの時を互いに分かち合いましょう」


P「……な、なにい!? あなたは!!」


P「楓さん! なぜこんなところに!?」


楓「はあ~い 湯けむり女神の楓でーす ふふふっ」


P「……飲んでいますよね いつも以上に」


楓「そうなんでしょうか? いつもプロデューサーと一緒に飲むくらいしか開けていませんよ?」


P「ふたり分、開けて飲んでいませんか?」


楓「………? そうでしょうか? そうかもしれませんね…」


P「………」


楓「………」


楓「…そんなに見つめないでください…照れちゃいます」


P「…ッ すみません」


P「いや、ここは男湯なのですが… もし誰かが入ってきたら!」


楓「そのときは… ふたりで責任をとるしかありませんね?」


P「そんな! 冗談じゃすみませんよ!?」


楓「…心配してくれてるんですね 私のこと」


P「当然でしょう…貴女は…花も恥じらうアイドルなのだから」


楓「ふふっ…」


P「…なんですか」


楓「いえ…プロデューサーはいつも真面目だなぁ…って」


P「…まったく 今日はどうしてこんな事を? いくらお酒の力を借りようと限度があるでしょう」


楓「やっと…わかったんです…私だけの…王子様が…誰なのか」


P「楓さん?」


楓「そのひとは皆に慕われていて…その気が無いくせに優しい言葉をかけるから…」


楓「あの娘たちは嬉しくなって…その…」


P「…楓さん? 話しが見えてこないんですが?」


楓「私…王子様がほかの娘のことを見なくするためなら…なんだって…」


楓「だから…プロデューサー! 私を…私だけを……!」


P「………」


楓「プロ…デューサー…?」


P「楓さん…そんなことは冗談でも言ってはいけません」


楓「え…?」


P「貴女はシンデレラの道を歩み続け、ようやく高垣楓というアイドルの本質をみつけたばかり…」


P「こんなことで魔法が解けるなんて…あってはならないことです」


楓「プロデューサー…私…そういうつもりじゃ…」


P「それと…わたしは王子様ではありません 貴女を舞踏会に送り出す…魔法使いにすぎない…」


楓「わ…私は!」


P「……ごめんなさい」スッ


楓「な?」


………

ライラ「カエデさんーもしもしー」


楓「む……んん…あら…ライラ…ちゃん」


ライラ「おー おはようございますー こんなところでなにしていたのでございますかー」


楓「ここ……旅館の…?」


ライラ「ここのソファでぐっすりおやすみしてたのですねー」


楓「私…そう、ここで…お風呂あがりに…自販機でお酒を買って…?」


楓「プロデューサーが…? あれ…涙……私…は?」


ライラ「カエデさん?」


楓「あは…あはは ごめん、なさい ライラちゃん…」


ライラ「んー いいのですよー カエデさんになにがあったのかわかりませんが」


ライラ「ギューってしてあげるのです ライラさんのおムネで泣いていいのですよー」


楓「…ぅ…ぅぅう…っ……」


ライラ「よしよしー」


………

P「ぐっ…はぁ…はぁ…」


?(意外だったぞ…まさかおまえが楓にあんな仕打ちをするとはな…)


P「それは…貴様から…彼女を…」


?(しかし…楓があんなに大胆に迫ってくるとは…可愛いやつだよ…ククク)


P「……くっ」


?(それにしても…楓の身体はいつみても美しいなぁ?)


?(神がつくりあげた最高の芸術かもしれん…)


P「…なに…を…」


?(フッ…最高の芸術といえばおまえの身体も負けていない…)


?(いや…『おまえ』ではなく、『オレたち』と言えばいいのかな?)


?(なにしろオレたちはひとつなのだから… ククク…)


P「だっ、黙れっ!」


P「そうなったのはおまえの責任ではないか!」


P(悪)(オレの責任だと?)


P(悪)(バカを言うなオレの責任はすなわちおまえの責任ではないか…)


P(悪)(オレたちはひとつのはずだぞ ククク…)


P「言うな!おまえにはわたしの苦悩がわかるまい!」


P「わたしはアイドルに…彼女たちに尽くしたいのだ!」


P「わたしに甘言をささやき悪の道へ突き落とそうとする貴様が何を言う!!」


P(悪)(アイドルのプロデュースには適度なスキンシップが必要不可欠だ)


P(悪)(貴様のように公明正大、清廉潔白をきどり ふれあいを拒絶するような輩に彼女たちを導くことができるのか?)


P「スキャンダルの種となり、後々彼女たちを苦しめることになるのならば それは悪というのだ!」


P「貴様がなにを言おうと…わたしは…自分の決めた道をあゆむ!」


P(悪)(クク…オレともあろうものがそのようなおべんちゃらを …これは笑止)


P「なにを!」


P(悪)(自分に嘘をつくことなどできはしない… オレはおまえだ、よく知っているさ)


P(悪)(おまえが彼女たちを心の奥底でどう見ているかを、な)


P「黙れ! わたしは誓ったのだ!」


P「…彼女と出会い…プロデューサーとなったその時に!!」


………


― 数年前 シンデレラプロジェクト立ち上げ時 ―


社長「ウム よくきたふたりとも」


社長「じつはキミたちふたりを呼んだのは折り入って話があるからだ」


社長「現在わが社は要人警護のスペシャリストとして業界トップクラスの信頼と実績を誇っている」


P「ええ、存じております」


社長「しかし、それに胡坐をかき現状を維持し続けるだけでは我われに未来はない」


P「…と、いいますと」


社長「そのため今期から要人警護だけに留まらず、新たな分野へ事業を展開することにした」


同僚(後の幸子P)「新…事業ですか」


社長「芸能方面への参入だ 具体的にいえばアイドル部門を設立する」


P「は?」


社長「年齢、人種、経歴をも問わぬ、いまだかつてない究極のアイドルを創造する」


社長「その名もシンデレラプロジェクト!」


社長「キミたちはプロデューサーとして、プロジェクト所属のアイドルたちを管理してもらう」


P「その件をはなすために…わたしたちを?」


社長「そのとおりだ 理解がはやくて助かるぞ」


P「ありがとう…ございます」


同僚「………」ポカーン


社長「ちなみにだな、なぜ計画名をシンデレラにしたのか?と気になるところだろう」


同僚「………?」


P「………はい」


社長「童話のシンデレラのごとく…灰かぶりの少女が一晩で夢をつかんだように…」


社長「そんな素敵な夢で世の少女を満たしてやりたいのだ」


同僚「…はあ」


P「…とても素晴らしい……考えだと…思います」


社長「フッ…そうだろうとも」


社長「我われのあらたなる戦いが始まろうとしているのだ…」


同僚「闘い…?なの、でしょうか? わたしには…よく…」


社長「そしてプロジェクトの第一歩として…」


社長「わたしが独自にスカウト、面談をおこない合格した 十時愛梨をふたりのどちらかに任せようと考えた」


P「アイドル候補生…すでにそこまでなさっているんですね」


同僚「……わたしにはわからぬ」ボソッ


社長「仁・知・勇を兼ね備えた射手座の君」


社長「これよりおまえは十時愛梨の専属プロデューサーとし、彼女をトップアイドルへ導いてもらう」


同僚「は?」


同僚「わ…わたしがですか…」


P「…………」


社長「現在わが社は即戦力となれそうなプロデューサー候補生はおまえたちを含め12人しかおらぬ」


同僚「しかし!わたしにそのような大役が務まるかと…」


社長「いや…おまえの力ならば十時愛梨をトップアイドルとして導くことも不可能ではないと信じている」


社長「そして、成功の規模に応じて事業を拡大させていく 君の働きにプロジェクトの存続がかかっているのだ」


同僚「……わかりました そこまでわたしを信じてくださるのでしたら…覚悟をきめます」


社長「うむ プロジェクトを…十時愛梨を任せたぞ」


社長「…そしてPよ 聞いたとおりだ 彼を補佐しこれからもわが社のためにつくしてくれ よいな…」


P「はい、彼こそプロデューサーにふさわしい立派な男だと私も思っていました」


P「私も事業の成功のため、アイドルのために、陰ながら一命をかけてつくしましょう」


― 社長専用テラス『真昼の星』 ―


社長「むっ」


社長「おまえは…」


P「完全に気配は消していたつもりでしたが…さすが社長」


社長「プロデューサー候補生といえども立ち入ることが禁じられているこのテラスまでなぜ…」


P「フッ、私は候補生などではなく、プロデューサー補佐の身…ここに訪れる資格はあるはずでしょう?」


P「そしてわたしは神の化身とも言われている… なにをしにきたかはあなたが一番おわかりのはず…」


社長「……ここは許可された者以外立ち入ることは許されぬ禁区だ」


社長「そこにわざわざ何をいいに来たのだ」


P「だからいってるでしょう わたしはすべての人びとに 神のように慕われている…」 「はあ…」
               「はあ」
      「はあ」 
P「そんなわたしがなぜプロデューサーに選ばれなかったのか…」


社長「いったはずだ仁・知・勇に優れたあやつこそ真のプロデューサーにふさわしい男だと」
         「はあ…」

P「仁・知・勇ならば決して彼に勝りこそすれ、劣るとは思っておりません!」
    「はあ」

P「いや、プロデュースにおいてもわたしのほうが勝っていると思います! それなのに…なぜですか!」


P「社長!!」



社長「…そこまでいうのなら教えてやろう」


社長「私はおまえの心の奥底になにか得体の知れない不気味なものを感じるのだ」


P「……」ピクッ


社長「たしかにおまえは神のように慕われている そして事実そのように清く生きておる」


社長「だが、おまえの魂にはとてつもない悪魔が住んでいるような気がしてならんのだ」


P「…クッ ククク …この老いぼれめ 見抜いていたのかわたしの秘密を…」ボソッ


社長「だが、そのような懸念でお前のような優秀な人材を浮かすのは惜しい」


社長「そのため、わたしは今一度おまえを見極めるため試練をさずけることにした」


P「…なにい!?」


社長「入りなさい」


?「……はい」スッ


P「うっ! なっ なにい!? お…おまえは…!?」



P「おまえは一体だれだ!?」


楓「あの…私は…高垣……高垣楓ともうします」


社長「元々は別の芸能事務所でモデルをしていたところを私が引き抜いたのだ」


社長「高いビジュアルと類まれなる女子力を備えた わが社の期待の新人だ」


P「つまり…彼女も…アイドル候補生…? オレの?…わたしだけの…アイドル…?」


楓「そんなことは… 私、モデルとしてさっぱりで…」


楓「社長さんがこんな私をスカウトしたのも…今でもなにかの間違いかと…」


社長「そう、彼女はモデルとしては大成できなかった なぜかと思う」


P「……何故、と? まだわたしにはそれを判断できるほど彼女を知りません」


P「そのような質問をされても 答えることは…」


社長「そのような難しく考えるものではない 彼女は自分の本質を見つけることができていないだけだ」


社長「殻を破り、彼女の本質的な魅力を引き出すパートナーさえいればトップを狙うことも難しいことではない」


P「その役割を…このオレに?」


社長「そのとおり、彼女をシンデレラまで導くことができるか?」


楓(……この人が…プロデューサー…私を導いてくれる…パートナー)


P「フ…これは笑止 わたしをだれとお思いか」


社長「フ、愚問であったな」


………


P「そうだ…社長が…楓さんが…わたしを……信頼して…いる」


P「…地上の愛と…平和のため…貴様…に…屈することは……けっし…て」


P(悪)(そうはいってもおまえはもう限界だ…クク)


P(悪)(あとはわたしに任せて…休んでおけ…次に目が覚めたときには…すべて終わっているだろうよ)


P「………ぁ……」ガクッ


― 旅館 ロビー ―


幸子「楓さんに続いてライラさんもどこかへ行ってしまいましたか…」


小梅「ライラちゃんは…アイス…買いに売店へ…行ったよ…」


幸子「そうでしたか… 輝子さんどうしましょうか?」


小梅「みんなそろうの…まってる?」


輝子「やっ!…やっぱり…やめよう…」


幸子「ここまで来てナニ言ってるんです、輝子さん」

       「フヒ」
輝子「だ、だってな トモダチ、昨日から働きづめだったし…こんな夜遅くに押しかけて迷惑だろうし」


輝子「そうだ、明日も帰り運転しなきゃいけないから寝なきゃいけないだろうし……」 「フヒ…」

  「フヒ…」
?(ヒヒ…そんなこといって怖いだけじゃないのか?)


輝子「ちっ、ちがうぞ! 自分は…トモダチのことを心配してっ!」
   「…フヒ」

?(逃げる理由にトモダチを使うな この紅茶キノコ!)

             「フヒ」
輝子「ど、どういう意味…?」


?(おまえはキノコじゃねえって言ってんだよ! このセルロースゲル!!)
   「フヒ」

輝子「ひ、ひどい……」


小梅「ま…まって輝子…ちゃん」


幸子「そうですよ…先ほどから誰と話しているんですか!」


輝子「フヒ…フヒ…フヒフヒフヒフヒ…」


………


輝子(悪)(相変わらずヌルいヤツだな…こっちの私は…)


輝子「…お、おまえさえいなかったら…私はトモダチの望む女の子になれたのに…」


輝子「キラキラしてて…ふわふわな…理想のアイドルに…」


輝子(悪)(クク…本当にそうなのか…?)


輝子(悪)(こんな私だからこそトモダチは目をつけてくれたんじゃあないのか?)


輝子「ちっ、ちがう!」


輝子(悪)(じゃあ…おまえ自身はそれでいいのか…?)


輝子(悪)(フリフリの衣装をきて…流行りの歌を歌う…そんなどこにでもいるようなスタイルで…)


輝子(悪)(私みたいなキモいやつが他のアイドルに張り合うことができるというのか!?)


輝子「そ……それは…」


輝子(悪)(それになぁ! 自分を押し殺してアイドルしたってトモダチが喜ぶわけがないだろうが!)


輝子「……プロデューサー…私たち、アイドルのこと…よくみてるもんな…」


輝子(悪)(Pのヤツっ!その気が無いくせに、誰にでも優しい言葉をかけてくるから…)


輝子(悪)(関係ないヤツも嬉しくなって、…勘違いをしちゃうんだバカめっ!)


輝子「け…けど私は今のまま、トモダチでいれれば満足だけどな…」


輝子(悪)(この関係だっていつ壊れるかわかったもんじゃない!)


輝子(悪)(楓みたいに魅力的でPとの絆も深いアイドルなんていくらでもいる…)


輝子(悪)(トモダチだって男だ…流されて…いつのまにか…なんてあるかもしれない…)


輝子「もし、トモダチに恋人…婚約者なんてできたら…」


輝子(悪)(今までの関係でいられるわけがない…自然と距離ができて…またぼっちに逆戻りだ!)


輝子「そんな…そんな…こと」


輝子(悪)(…ないと言いきれるのか!?)


輝子「やだ…いやだっ!」


輝子(悪)(だからその前に私がPをオトしちまえばいい…)


輝子「……な…なにい!?」


輝子「ど…どうやって…?な…なにをするというのだ!」


輝子(悪)(………)


輝子(悪)(…ち、ちょっと……えっちなこととか)


輝子「エ?」


輝子「ム…無理だ! そんなの私には…ボッチには…ハードルが高すぎる!」


輝子(悪)(そうやってやる前から諦めていいのか!?)


輝子(悪)(アイドルになる前もそんな泣きごと言っていたじゃねえか!)


輝子「だ、だって それと…これは……あの…」


輝子(悪)(だいたい今さらボッチなんて言ってんじゃねえぞぉ!)


輝子(悪)(Pがいる!幸子も小梅も、美鈴もボノノだっている!)


輝子(悪)(今日だって撮影終わったあと幸子たちと紅葉を満喫しただろうが!)


輝子(悪)(なぁにがボッチだぁ!)


輝子「う…うぅ… そ、それを言われると…その…はい」


輝子「ちょっとえっちなことって… なにするんだ…?」


輝子(悪)(後ろから…抱きついて……ム、ムネ…あてたり…)


輝子「お…おぉお…」


輝子(悪)(…ほっぺにチューとか)


輝子「ち、チュー…」


輝子(悪)(フ…フヒヒヒァッハァアアーーッ!! アー……ち、ちょっとキモいかもな)


輝子「トモダチ…わたしのチュー…喜んでくれるか?」


輝子(悪)(……ど、どうだろう? あいつマジメだからな…)


輝子(悪)(…けど知ってるか? マジメなヤツほどエロいんだ!)


輝子「そうなのか!? し、知らなかった… トモダチは…そう、だったのか」


輝子「そういわれてみれば…確かに…そうかもしれないな……フヒ」


輝子(悪)(だろ?そんな感じするだろ? だったら大丈夫だ!)


輝子「じゃあ… しばらくお任せするぞ 自分、気分を落ちつけておくから」


輝子(悪)(あぁ…今のうちに頭冷やしとけ あとは私がヤッてやる!)


輝子「トモダチの瞳には…透き間無く …私だけ …フヒ…フヒーッヒッヒ!」


………


幸子「まだ独り言続いてますよ… 大丈夫でしょうか」


小梅「LIVE前とか…たまにある…よね」


幸子「……まさか輝子さんも …小梅さんのように?」


小梅「…? 輝子ちゃんの近く…誰もいないけど? どうしたの…?」


幸子「いえ!! いなければいーんですっ!ボクはそれならいーんですっ!!」


幸子「って!いない方も危ないじゃないですか!!」


小梅「ひ…ひとりノリツッコミ… すごい…」


輝子「ふに……」


小梅「…あ…戻ってきた…」


幸子「ふう…いきなりトリップするから焦りましたよ?」


輝子「フヒ…フヒヒヒヒィヒヒィイイイヒャッハァアアアアーーー!!」


輝子「やーっと出てこれたぜぇ… これから真のキノコの生きざまを見せてやるよ!」


輝子「ゴー トゥー フレンドォオオ!! イヒヒャァハーーー!!」ダッ!


幸子「ま、まってください!輝子さん!」タタッ


小梅「とりあえず…追いかけよう」タッ


輝子「いっくぜぇえええーーー!!」


幸子「輝子さん! 深夜に叫ぶのはほかのお客さんに迷惑ですよっ!」


輝子「な…なんだ……夜遅いとはいえ、旅館全体から人の気配がなくなるものなのか?」


幸子「しかし、何でしょう?廊下を走っていたときに交互におそってきた波動は?」


小梅「幸子ちゃんも感じた?」


輝子「ち…ちょっとまて…」


幸子「うっ」


小梅「こ…これは…」



輝子「ここは元の場所だ!」


幸子「こ…こんなバカな!」


小梅「ぬけでたつもりが1階のロビーにもどっているなんて…」


幸子「ボクたちは夢でもみているのか……」


小梅「な…謎の迷宮…すごい…ドキドキする…怪物……いないかな?」


幸子「もう帰りましょうよぉ……絶対に普通じゃないですもん…」


輝子「…こんなところでモタモタしてらんねぇぜ もう一度つっこむぞ!」


………


P「考えたじゃないか…この旅館全体を迷宮に作りかえるとは…」


P「これであいつらと会うことが簡単にできなくなったわけだ」


P「最後の力をふりしぼってよくやったものよ…」


P「だがあいつらは健気にもオレの部屋まで来てくれるようだぞ…クク」


P「オレはのんびりと部屋でまっていればいいだけだ… クク…ハハハ……ウワーッハッハッハ!」


P(善)(策はひとつでは…ない …おまえの好きに…させる…ものか)


………


輝子「うっ!? ま…まただ!」


幸子「また…さっきの感覚が…」


小梅「まるで闇と光が交互に襲ってくるような…」




輝子「なんだこれは!? でた所はやはり元の場所!!」


幸子「しかも今度は廊下の数がふえています!!」


輝子「ク、クッソ~…これじゃいつまでたっても堂どうめぐりだぜ!」


幸子「こ…これはカワイイボクたちの行く手をはばもうとする何らかの陰謀をかんじますね!」


小梅「どっちにしても…この迷宮をぬけなきゃプロデューサーさんの部屋には…」


楓「なんで…ライラちゃんも…プロデューサーも…」


輝子「…あれは…楓さん?」


幸子「待ってください! なにか…様子がおかしい」


楓「震えてるの、心も体も…すべて壊れてしまう前に……ほしいの」


輝子「あ、あの…楓、さん?」


楓「あぁ…輝子ちゃん! 幸子ちゃんに小梅ちゃんまで!どうしたの!?」


幸子「いや、楓さんこそ あのあとどこ行ってたんですか?」


楓「………」ツー


小梅「あっ!…ああ…楓さんに…涙!」


輝子「いったいなにがあったというのだ!?」


幸子「お酒がはいっているからって、いくらなんでも不安定すぎるでしょう!」 


楓「プロデューサー…プロデュー…サー うっ…うう」


小梅「あれは…もしかして…」


幸子「なにか知っているのですか? 小梅さん!」



小梅「うん…私の…プロデューサーさんから聞いたことが…あるの」


小梅「楓さんは…人のココロを惑わす魔拳…幻朧拳にかかっている…」


輝子「つ、つまり 楓さんは…あやつられている…のか?」


小梅「たぶん…」


輝子「だとしたら…だれがそんなことを…」


幸子「まさか暗黒(ブラック)プロダクションの罠!?」


輝子「…ライラさんと親友が危ない!」


楓「さんにんとも… 何してるの? よかったら…おねえさんも仲間にいれてねぇ…なーんて…」


幸子「こころなしかギャグにも元気がありませんね…」


輝子「ど、どうしよう…? プロデューサーのところまでつれていって…」


小梅「ううん…今の楓さんは…やめておいた方がいいと…思う」


幸子「ええ…ボクも同感です」


幸子(この状態の楓さんをプロデューサーさんの元まで連れていくと…多分…絶対に収拾がつかなくなる!!)


幸子「…ここはボクが引き受けます この《天使》と称される幸子が!」


幸子「さあ、おふたりとも先を急いでください」


小梅「そ、そんな…幸子ちゃん 楓さんの相手を…ひとりで!?」


輝子「そんなことしたら…」


小梅「………先に…行ってる」タッ


幸子「フッ、ボクも後から追いつきますから」


小梅「ごめん!」


輝子(幸子ちゃん…サヨナラは…いわないぞ…!)


楓「……あら?」


幸子「おふたりには急いで行かなくてはならない場所があるので、先に進んでもらいました」


楓「そう…やっぱりみんな…私から離れていっちゃうのね…幸子ちゃんも本当はそうなんでしょう?」


幸子「何のはなしですか?」


楓「さっきどこへ行ったのか?と聞いたわよね…教えてあげる」


幸子「…はあ」


楓「私、プロデューサーに…フラれちゃったの…」


幸子「な…なにい!!」


幸子「あの周りから神のように慕われているプロデューサーさんが…?」


幸子「それも一番つき合いの長いはずの楓さんを…無碍にあつかったというのか!?」


楓「男湯でプロデューサーと王子さまの話をしたところまでは覚えているの…」


楓「けど…そのあとのことは全く覚えてなくて…気がついたらここに…」


幸子(……酔いつぶれて夢でもみていたという方がまだ説得力がありますね)


楓「ライラちゃんもアイスを買ってくると言ったきり帰ってこないし…」


楓「私…プロデューサーにライラちゃんを…うっ…うう……」


幸子(ライラさん…おそらく売店へ行く途中で迷宮に…)


楓「……そういえば…幸子ちゃんもあなたの担当プロデューサーさんを慕っているのよね」


幸子「なにい!! なぜそれを…じゃない…ふ、フフーン それが今、なんの関係があるんですか?」


楓「あのひとも仁・智・勇を兼ね備えたプロデューサーの鑑のような男…」


楓「周子ちゃんや愛梨ちゃん…いろいろなひとから好意をむけられるのも無理はないわ…」


幸子「なにが…いいたいのですか?」


楓「……幸子ちゃんも悠長にしていたら…私みたいに…いえ…もうすでに…」


幸子「なんで…そういう話になるんですか? …あのひとがボク以外になびくはずがありません!」


幸子「そう! Pさんはすでにボクの魅力で骨抜きなのだから!!」


楓「…どうしたの? 気を悪くしないで…たとえばなしよ」


幸子「…それでしたら…楓さんにはLIVEバトルでボクの魅力を再確認してもらうしかないみたいですね!」


幸子「みるがいい! このボクの…」



幸子『溢れる輝きを!!』カッ!!



楓「フッ、それは幸子ちゃんの自称・溢れる輝き……まるでそよかぜね」


幸子「な、なにい!? 微動だにすらしないなんて!」


楓「それではわたしが本当のそよかぜを見せてあげる…」



楓『金風の舞!!』



幸子「うわぁああああああ!」ドシャアッ



幸子(バ…バカな…楓さん…強い! このカワイイボクが手も足も…でないほど…強く…なっている!?)


幸子(いつもより数段キレがあり、かつ遠慮のない凶悪なまでの女子力…)


幸子(こ…この力のみなもとは…… たぶん…お酒だ…)


楓「幸子ちゃん? もう終わり?」


楓「それなら…これでトドメにしましょうか?」


幸子「フフーン …同じかまえ!その油断が命とりですよ! 楓さん!!」


幸子「なぜなら…ボクには一度みた技は二度と通用しないのだから!」


楓「フッ…それはどうかしら? 幸子ちゃん」フワッ



楓『薫風の舞!!』



幸子「うわああーーッ!」ドシャアッ



幸子「バ…バカな 途中までは金風の舞のかまえだった…」


幸子「それを…途中でムリヤリ変えた? そんなことが…できるのか!」


幸子「でも…でも ボクも負けてはいませんからねっ!!」


楓「フッ 幸子ちゃん…どちらの舞かわからずまいってるんじゃないの?」


幸子「そ…そんなこと…ッ」


楓「ふふっ……」フワッ…


幸子(きた!…あの足運び…今度こそ金風の…いや薫風?)




楓『大和撫子の心!!』



幸子「うわあーーっ!!」ドシャアッ


幸子(じ…常識が……通用しない… こ…このままでは……)


楓「今度こそ…おしまい? それじゃ、いっしょにプロデューサーのところへ行きましょ?」


幸子「う…ぅう……」


幸子(だ…だめです… もう…立ちあがれ…ない P…さん ボク…は)



 幸子…  幸子よ…


幸子(うっ な…なんだ!!この頭に直接響く声は…!?)


 諦めるつもりか? 幸子…


幸子「プロデューサー…さん!!」


幸子(こ…これは…? 窓の外にボクの担当プロデューサーさんの幻影がみえている…?)


 幸子よ…人には負けてはならない 勝負の時というものが存在する…
 

幸子(でも…ボクは…ボクはもう闘う力を失ってしまって…)


 それでもプロフェッショナルか! わたしの担当アイドルか…!!


 しかも…何を泣きごとをいっている、このバカたれが! おまえはそんなにも弱い存在ではないだろう!


幸子(プロデューサー…さん…)




 いま彼女を止めることができるのはお前しかいない…


 戦うのだ、幸子! 友のために!その身をかけて…!!


幸子「な…なにい!? ボクの女子力がなにか別の力によってさらに大きくなっていくのを感じる!!」


楓「バ…バカな! 幸子ちゃんが立ちあがり、大和撫子の心の威力をおしもどしている!」



幸子「てっ、てやあああーーーーっ」



楓「きゃあーっ!」ドシャアア



楓「さすが…幸子…ちゃん? あら…ライラ…ちゃん? フフ…思いのほか…重い一撃だったわ…」


幸子(さ…さっきので…まだ立ちあがってくるなんて…)


幸子(ボ…ボクはすべての力を使い果たしてしまった…)


幸子(何もかも…すべて…)


 何を言っている 幸子… 力のすべてを使い果たしてなどいない…


 おまえにはまだ生命が残っているではないか


幸子「でも…あんなアイドル耐久力…どうやって…」


 打ち倒すだけが闘いではない… ときには相手の自由をうばうことも必要だ


幸子「自由を…うばう……」


 酔っぱらいはどちらかといえば下半身が弱いもの…


幸子「!!」


幸子「それです!さすがボクのプロデューサーですね! 褒めてあげましょう!」


 フッ…なにかひらめいたようだな…それでこそ…それでこそ幸子だ…


幸子「こうなったら…カワイイボクの足封じ技を見せてあげましょう!」


幸子(まさか…こんなところで使うことになるとは思いませんでしたよ)



幸子「小梅さん! 輝子さんのことは任せました…」




幸子「てりゃあああああああ!!」



マストレ『輿水! よくこの特技を習得したな!』


マストレ『ただし、体内の女子力を一気に燃焼しつくす技なので消耗が激しい!』


マストレ『アイドル生命の危険も伴う… 相手を完全に捕らえきれなければ命の保証はない技だ!』


マストレ『だがたとえ失敗したとて、相手の心理に与える影響は大きいに違いない!』




マストレ『命の保証のない技だ!』





マストレ『命の保証はない!』



幸子「フフーン これで足の自由は封じました! これで…」


楓「好き、なんですか? 足」


楓「いってくれれば…いつでも触らせてあげたのに」


幸子「エ?」


楓「プロデューサー…いつもより小さくて…カワイイですね… 足に一生懸命にしがみついてる姿…赤ちゃんみたい」


幸子(小梅さんはああ言っていたものの…やっぱりこのひと酔っぱらっているだけだ!)


楓「ずっと私と…一緒にいてください…」


幸子「ちょっ…楓さん? ボクですよ!?カワイイ幸子ですよ? 誰かと勘ちがいしてません?」


楓「ふふ…告白みたいになっちゃいましたね?」


幸子「わ…わわっ 顔…近っ… お酒くさ……」


幸子(ふたりとも…ごめんなさい……ボクは…ここまでのようです…)


幸子(小梅さん…輝子さんを………)


………


小梅・輝子「………!」


輝子「幸子ちゃんの女子力が…今…さよならを…」


小梅「………」



_____おふたりとも…人間がもし生まれかわれるなんてことが


   本当にできるのなら この次に生まれかわってきたときも


   ボクたちはまた友達ですからね…



_____ぜったい……友達ですからね!!




輝子「さ、幸子…ちゃん」


小梅「ふりかえっちゃダメ…輝子ちゃん、幸子ちゃんの犠牲を…ムダにしないためにも」


 はぁ… はぁ…


輝子「フヒ…声がきこえる…トモダチの…声だ」


小梅「…ホント…? なにも聞こえないけど」


輝子「こっちだ…いこう」


小梅「う…うん!」


輝子「プロデューサー!」


小梅(……!?)

                 「はあ」
P?「……ッ …? 輝子…と小…梅…か?」


P?「どうして……こんな…ところ…きた」
      「はあ…」

輝子「そ、それは…トモダチを… いや、楓さんが大変なんだ だから…」


P?「まてっ!!」


輝子「っ!?」ビクッ


輝子「ぷ、プロデューサー……?」

  「はあ」
P?「輝子、これ以上…近よるんじゃない」

        「はあ」
輝子「ど、どうして?」

              「はあ」
P?「理由…ぁあ はぁ……今はいえ…ない とにかく……」


P?「ぐっ…今すぐ小梅と一緒に…自分の部屋へ引き返すのだ…」
       「はあ」


P?「はぁ…はぁ」

  「はあ…」
輝子「…プロデューサー? だ、大丈夫なのか?」


P?「問題…ない 休んでいれば…じきに」


小梅(輝子ちゃんは…いったい何と会話している…の?)


小梅(顔がアルファベットのPになってる…スーツ姿の怪人みたいな人を…)


小梅(輝子ちゃんは…まるで自分の担当プロデューサーさんみたいに話している…)


小梅(しかし…ただものではないオーラを感じる…言うなれば彼は…謎の精鋭プロデューサー!)

          「はぁ」
輝子「苦しいのか?どこか痛いのか!?」

 「はあ」
謎のP頭「…近よるな……と…いっている!」


輝子「どうして?…どうしてなんだ…もしかして 私が…キモいから愛想つきちゃった…のか」

  
謎P「ク…クク… 愛想をつかす…だと…そんなわけあるものか…」


謎P「そう…だ…誰が… 誰がおまえを逃がすものか オレの愛しい…アイドルを!」



輝子「…い、愛しいだなんて…フ…フヒヒ…あ、照れる…ぞ」


謎P「ククク… アイドルはすべてオレのものだ! 例外など存在しない!!」


謎P?(やめろ!アイドルに手を出すなどあってはならない!)


謎P「くらえ 輝子!」クワッ!


輝子「う!?」


輝子「し…んゆ…」バタッ


小梅「輝子ちゃん!」


小梅「だめだ…謎のプロデューサーの技をモロにあびて昏倒している… こ、このままでは……」


謎P「ククク… おまえらヒヨコなど指一本あればどうとでもなるということが分かったか?」


小梅「な…何だ いったいどうしたんだ…? あれほど苦しんでいたのに…一転して…」


小梅「ま…まるで神が悪魔に変身したような… …あのひとはいったい何なのだ…」


小梅「………!」


小梅「あの子もとまどっている 彼の存在に…」


小梅「もしかしたら…わたしたちの目の前にいる 謎のプロデューサーはこの場に存在しないのか…?」


小梅「こうなったら…私が…やるしかない…この《ゴシックホラーナイトメア》の小梅がな!」



小梅『HORROR-SCREAMO !!』



小梅「これであの謎のプロデューサーが実在しているとしても私たちに近よることはできない!」


小梅「悪夢がみたいのなら…はいってきても…いいよ 謎の精鋭プロデューサー」


小梅「このH・S(ホラースクリーモ)は…至近距離で聞いたものに悪夢に値する精神的ショックを相手にあたえるの…」


小梅「どうしたの…謎の精鋭プロデューサー… こっちに…こないの?」


謎P「フッ」スッ


小梅「な…なにい!?」


小梅「バ…バカな これは一体!?


小梅「堂どうとH・S(ホラースクリーモ)の効果圏内に!?」


小梅「し…しかもあの子がまるで反応しない!」


小梅「や…やっぱりここに謎のプロデューサーは実在しない! ここには存在しないのだ!」



 この旅館の迷路も この謎のPヘッドも幻覚なのだ!


 だからこっちのアピールがすべてひとり相撲でおわってしまうのだ!


 で…でも それなら…それらの幻覚をつくっているプロデューサーはどこに…どこにいるのだ!?



 クッククク…


 クチバシの黄色いヒヨコには気づくまい 永久に…


 観客が設営スタッフの存在などしるよしもないようにな…


 クククク…


 さあ オレのもとにひざまずかせてやるぞ!


 プロデューサーの真の力の恐ろしさをとくとみろ!!




小梅「な…なにい これはーっ!」


小梅「なにもない空間が…割れて…す…すいこまれる」


小梅「うわああーーっ!」


小梅「シ…輝子ちゃん わたしの手をつかんで」


小梅「輝子ち……」




小梅「輝子ちゃあぁぁぁぁん…」


謎P「守護霊に助けられるとは 運のいいヤツ…」


謎P「白坂小梅の守護霊はあまたの守護霊の中でも特に高位をほこると李衣菜Pがいっていたが 大したモノだ…」


謎P「あの子とやらにたすけられなければ おまえも輝子とおなじ運命をたどっていたものを…」


小梅「な…なに?」


小梅「輝子…ちゃんは一体…どこへ?」


謎P「異次元の狭間へとばされたのだ!」


小梅「なにい…異次元…?」


謎P「そうだ 脱出することのできない異次元のステージで奴はオレだけのアイドルとなるのだ」


謎P「未来永劫…永遠にな ククク…」


謎P「輝子もひとりでは寂しいだろう… お前も送ってやろう 異次元へ!!」


小梅「う…そ、そんな…」


謎P「ククク… もう一度…くらえ! …グッ!?」


謎P「な…なにい!? こ…これは!」


………


輝子「はッ!! こ…ここは?」


輝子(悪)(起きたみたいだな…私)


輝子「う、うん えーと…ここは?」


輝子(悪)(荷物からみて…多分トモダチの部屋だ)


輝子「どうして…ここに?」


輝子(悪)(さぁな トモダチと廊下で会ったところまでは覚えてるが…)


輝子「フヒ…そこからはさっぱりか……」


輝子(悪)(まさか…このままトモダチ以上の関係にステップアップ…フ、フヒイイヒヒヒイアーッハァッ!!)


輝子「そ、そんなことが…あるのか…?」


 ……ぅ…


輝子「プ、プロデューサー…?」


輝子(悪)(…そのふすまの奥から聞こえるな)


P「ぐ…うう…シ…輝子は!? …くそっ、また邪魔しおって!」


P「今度という今度はオレの邪魔は絶対させん!!」


 WHO ARE YOU?


P「なにい!?」


 WHO ARE YOU?  おまえは誰だ…(フー アー ユー…)


 正義か悪か 神か邪悪か


 答えろ… おまえは誰だ…(フー アー ユー…)


P「う…うぅ…う…」



WHO ARE YOU? WHO ARE YOU? WHO ARE YOU? WHO ARE YOU?


P「ええーい失せろ! これ以上オレの邪魔をするなーッ!!」


WHO ARE YOU? WHO ARE YOU? WHO ARE YOU? WHO ARE YOU?


P「おまえがいなければ 楓も! 輝子も! アイドルはみなオレのものだったのだ!!」


WHO ARE YOU? WHO ARE YOU? WHO ARE YOU? WHO ARE YOU?


P「いつもおまえが肝心の時に邪魔をした それさえなければ うぅ~~~~ッ!!」


WHO ARE YOU? WHO ARE YOU? WHO ARE YOU? WHO ARE YOU?


P(善)(よせ、彼女たちの信頼を裏切るな)


P(善)(そんなことだれも望みはしない 輝子を解放しろ そして罪をつぐなえ)


P「黙れーッ!! なんども言ったはずだ!オレがシンデレラプロジェクトの救世主…」


P「いや彼女たち、シンデレラの王子様なのだ!!」


輝子「プロデューサー…さ、さっきからひとりで…どうした…?」


P「うっ …シ…輝子…」


輝子「あっ…別にいいぞ自分もひとりごと、言うときあるからな」


輝子「き、昨日も…今日も…たくさん迷惑かけたもんな…疲れ…溜まってるよな…」


輝子(悪)(さぁ 女子力を研ぎ澄ませろ!ここが正念場だぜぇ!!)


P「そ…そんなことは…」


輝子「だから…な …その …なんだ…イヤじゃなかったら…なんだが」


輝子(悪)(いけ! ハグだ!チューだ!ヤッてやれ! ヒャハハハハハ!!)


P「…なんだ?」


輝子「…フヒ…その……おフロはいろう…一緒に………お背中…流すぞ」


P「なにい!?」


P(善)( )


輝子(悪)(……ヒ…ヒャァアアアーッ!! なにほざいてんだ!! おまえは!!)


輝子(フ…フヒヒ……口が…滑っちゃったな)


輝子(悪)(どうすんだこの状況! トモダチも固まっちまった!)


輝子「けど…みてあの顔を…」


輝子(悪)(トモダチの表情がいつものやさしく清らかな顔にもどっている…)


輝子(先ほどまで…痛みに耐えているような苦しそうな顔してたからな)


輝子(悪)(よ、よかった…のか…?これで)


輝子(先に…はいってればいいかな?)


輝子(悪)(そういう問題じゃねぇ…だいいち、真面目一筋のトモダチが…)


P「わかった お願いしよう」


P(善)(なにい!?)


輝子(悪)(マジかよ!)


P(善)(わかっているのか! アイドルの!未成年の!女の子だぞ! 貴様!それを汚そうなどと…)


P「全てそっちへもっていくな 『意外と俗人』め」


P(善)(なにい!!)


………


輝子「この部屋 温泉ついてるんだな」


P「あぁ 小さいが…ふたりで入るには十分だ」チャポ…


輝子「十分…だな …ふぅ」チャプ…


輝子「自分…男のひととおフロはいったの…はじめてだ」


P「…そうでなくては困る」


輝子「そうか…フヒ 困るか…なんか…嬉しいな」


輝子「親友…ちょっと顔、こっちに…」


P「…こうか?」


輝子「うん…ちょうどいい… 目、つむってて」


P「なにをする気だ?」


輝子「…ひ…ひみつ」


輝子「………」ス…


P「………!」


輝子「ヒャッハァー!! この私が!ついに!ヤッてやったぜぇええ!」


輝子「親友のほっぺにチューして…っとごめんなさい深夜ですから静かにします」


輝子「フヒ……ヤバい…ニヤケが治まらない…今の私ぜったいキモい…フヒ」


P「突然どうした…いや、悪いわけではないぞ…ただ…なあ」


輝子「…べ、別に…す、スキンシップの一環だ…海外では…フツー、だろ…?」


P「その理屈はわからんが……フッ…ありがとう 輝子のおかげで疲れがとれた」


輝子「こ、こんなことで喜んでもらえるなんて…トモダチ明利につきるな フ…フヒヒ…」


P(輝子が…こんな邪なわたしをここまで慕ってくれているとは…)


P(まさか…まさか夢にも思わなかったぞ…)ツー


P「ここ…腕に…アザができているぞ どうしたんだ?」


輝子「あぁ… ここは…たしか…この前ダンスレッスンで、できたアザだ もう痛くないぞ」


P「すまない輝子…わたしがアイドルとしてスカウトしたばかりに」


P「おまえはいつも生キズだらけで…自分の時間も作れない…」


P「…今の世の中、同じ年頃の子はみんな青春を楽しんでいるというのにな」


輝子「あ、謝らなくていいぞ アイドル…楽しいし… それに…」


輝子「し、親友のいう青春を楽しむってことが世のヌルいヤツらの姿と思ってるなら」


輝子「…自分、ちょっとちがうんじゃないかと思うんだ」



 流行のヘアースタイル 流行の服をきて町を歩く 


 友達とカラオケ 海へ山へ仲間同士つれだってスポーツカーでぶっとばす

 
 なに事も仲間とつるみ すべてなあなあでながして …ぼっち?なにそれマジダサい…

 
 はたしてそれが青春を楽しんでるってことなのか!?


 逆に自分本来のものをなにひとつもたず


 流行というものにながされて青春を浪費しているだけなんじゃないか!?




 だけど自分はちがう


 この広い大宇宙の中のひとつの生命として、いつも、こ…こころは燃えてるんだ


 だれかがつくりあげた流行にのせられて生きているより…


 ヌルい奴らとつるんでいるより…よほど充実しているんだ





 親友…前にいってただろ?


 人間はそれぞれの星のしたに生まれた運命によって生きると…


 リア充の星の下に生まれるヤツ  ぼっちの星の下に生まれるヤツ


 いろんな人間がいる…




 だけど私はどんな星の下で生まれようとも自分らしく生きてみせる!


 キズついたままじゃあない…そのキズを糧に大きくなってみせる…キノコみたいに…!


 だって私はシンデレラにならなきゃいけないからな…その日までくじけていられない


輝子「そ…そうだろ? 親友…」


P(輝子が…ここまで…ここまでアイドルとしての誇りをもっているとは…)


P(……輝子………あぁ、輝子よ)ツゥー


輝子「し、親友?」


P「…なんでもない」



 …カタッ



P(…! 誰か…来たようだ この暗く、透き通った女子力は…)



小梅「輝子ちゃん! …ここに…いる!?」


輝子「あ、どうも…」


小梅「……? …なんで…ふたりで…おふろはいってるの?」


P「…パーフェクトコミュニケーションだ」


輝子「ハダカの付き合い、だな……小梅ちゃんも一緒にはいるか?」


小梅「…えっ…? わ…私は…いいよ…」


………


ライラ「もしもーし ろうかでなにをやっているのでございますかー」


幸子「ら…イラさん…ですか?」


ライラ「ええーアイス買いに行っていたら カエデさんと…おー、カエデさんもいましたですかー」


ライラ「……? みっちゃくして おふたりでなにをやっていたのですかー」


幸子「後でお話しします…はやくボクを…ボクを輝子さんのところへ…」


ライラ「ショウコさんのところへですかー?」


幸子「目がかすんで…よく見えませんが…気にしている余裕はありません…このまま…」


?「ここにいたか3人とも」


ライラ「プロデューサー殿! おー、ショウコさんとコウメさんもー」


ライラ「サチコさん! ショウコさん、来たのでございますよー」ユサユサ


幸子「うっ…うぅう…」


小梅「あっ…ああ 幸子ちゃん…もしかして…目が…」


幸子「だいじょうぶ…かすむだけですよ…」


輝子「ゴメン…ゴメンな…幸子ちゃん……」ギュッ


P「楓 …こんなところで寝転んでいたら風邪をひくぞ?」


楓「んー… あ…今は積極的な…プロデューサー…なんですね」


P「なんですか、それ …とりあえず部屋へ運びますよ」


楓「はーい プロデューサーのおんぶー ひさしぶりー」


P「はしゃがないで、落ちますよ?」


楓「プロデューサーはぁ 私を見捨てたりしないですよねー」


P「なにを言っているんです? そんなことあるはずないでしょう」


楓「ふふっ そうですよねー あるはずないですよねぇー」


P「ライラ、輝子、小梅 幸子を3人で支えてやれ 私は楓で手いっぱいだ」


ライラ「はーい」


小梅「わかり…ました」


輝子「幸子…ちゃん」


幸子「…お…終わったん…ですか?」


輝子「うん…幸子ちゃんたちの…おかげだ ぜんぶ…やりとげた」


輝子(けど…これは…終わりじゃあない…きっと…はじまりなんだ)


 プロデューサー…


 幸子ちゃん 小梅ちゃん


 ライラさん そして楓さん…



 …やっぱり自分は ふつうの女の子としては生きられないみたいだ


 みんなが闘っているように… 多くの人たちが倒れていったように…


 自分も…これから倒れるまで、この芸能界で闘い続けるぞ…



 ……アイドルとして




                           ~おわり~


☆最後まで見ていただき どうもありがとうございました

 ちょっと前にみくにゃんが薔薇をゲットしようと頑張る話も書いてたので

 よかったら見てください

おつ
全裸で神よボクはカワイイする幸子はよ

ふたなりに見えた

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