Fate/Grand night(46)
Fate/Stay nightとFate/Grand orderのクロスSSです。
作者は表現力が乏しいです。ご注意ください。
GrandOrderのキャラを正確には描ききれないので、独自解釈も多々あります。
粗筋は一応ちゃんと考えているので、ゆっくり書き進めていきます。
※基本ギャグです※
一日目『英霊召喚』 二日目『邂逅』
三日目『受難』 四日目『探訪』
五日目『フン族の王アッティラ』六日目『三つ巴』
七日目『建国の神祖』 八日目『黄金の国』
九日目『アン女王の復讐号』 十日目『不撓不屈』
十一日目『反駁の狼煙』 十二日目『決戦』
十三日目『良い文明、悪い文明』十四日目『軍神の剣』
十五日目『聖杯の行方』
内容は上記のタイトルでお察しください。
一日目『英霊召喚』
士郎「あれは・・・遠坂か」
士郎「こんな時間に何やってるんだ」
衛宮士郎は学校に残した用事を思い出し、帰途から引き返した。
校庭にいるのは、二人の少女と一人の男。
遠坂凛とはそれほど仲の良い関係ではないが、単純に興味があった。
男「我を唯の使い魔として扱うとは、絶対に許さんぞあの男・・・!」
男「このような雑事に駆り出しおって!」
遠坂「あら、その割には随分と苦戦してるじゃない」
アーチャー「是非もなし!奴め、儂との相性は最悪のようじゃ!」
男「雑種ごときに・・・!」
ノッブ「もう一度言おう。儂は第六天魔王、織田信長じゃ!よく覚えておけい!」
ノッブ「わざわざ真名を教えてやったのに、知らぬ存ぜぬとは許さんぞ!」
遠坂「だから、真名は隠せって言ってるじゃない!」
ノッブ「うるさいのう。もっと蘭丸を見習え。可愛らしい顔が台無しじゃぞ?」
遠坂は苛立ちを隠せず、足で地面を叩いている。
男が虚空から大量の武器を展開した。もはや、人の行う業ではないことは明らかだ。
数々の武器を見ても、織田信長と名乗る少女は平然としている。
ノッブ「お主が数多の宝具を持っているならば、こちらも数多の宝具で返すのみ!」
ノッブ「これこそ、かの有名な長篠の戦いを再現した『三千世界』<さんだんうち>じゃ!」
少女の周囲に大量の火縄銃が浮かび上がる。
ただの鉄砲だが、神性の高い者や騎乗スキルを持つものにとっては致命傷となる。
男が大量の宝具を打ち出すと同時に、火縄銃が紫煙を吐きながら一斉に打ち込まれた。
男の射出した数多の宝具は神秘殺しの前に砕け散り、爆発する。続けて銃弾が男を襲う。
しかし、金属の擦れ合う嫌な音を立ててすり減っていく盾に隠れ、何とか凌いでいるようだ。
男「我が財をここまで貶める雑種がいるとはな」
男「その不敬、万死に値するが―――」
男「此度は引いてやる。先に我自ら罰すべき男がいるからな」
男の姿が校庭から忽然と消える。
衛宮士郎は、ようやく目の前の光景が異常事態で在ることに気づいた。
ノッブ「鼠が一匹紛れ込んでいるようじゃのう」
戦慄する。
互いに武器を遠慮無くぶつけあい、敵意を剥き出して相手を粉砕する。
彼らが行っていたのは、所謂「殺し合い」というものではなかったのか。
衛宮士郎は反射的に駈け出した。
織田信長と自称する少女と遠坂凛、非日常を学校に置いて走りだす。
些末な用事は捨てていい。
今は――― いのちをだいじに。
凛「追うわよ、アーチャー。どっかのマスターでしょうし、大事な手がかりだわ」
凛「今の戦いで漁夫の利を得ようとしたんでしょうけど、気の毒だったわね」
ノッブ「先ほどの男はもう良いのか?」
凛「ええ。あんな雑魚、いつでも貴方は倒せるでしょ?」
ノッブ「フハハハハハ!もちろんじゃ、問題ないぞ」
凛「では、ゆっくり鼠を追い詰めるわよ。変な罠とか仕掛けてあっても困るし」
ノッブ「らじゃあ!なのじゃ!」
二人の殺人鬼から必死で逃げる。
彼に使えるのは強化の魔術。成功率は――― あてにならない。
しかも、失敗すれば死ぬ。精神の動揺している今使えば、魔術で自殺することになるだろう。
士郎「ハアッ、ハアッ、ハアッ」
足が痛い。肺は焼けつくようだ。しかし、ここで止まる訳にはいかない。
土蔵には、鉄パイプが放置されていたはずだ。
その程度でどうにかなる相手とは思えないが、それが考えうる限りの最善の手段だった。
衛宮邸から学校までは、歩いて20分はかかる。
とにかく、全力で走り続けなければならない。
後ろから、追ってくる気配はない。しかし、本能が危険をはっきりと告げていた。
見慣れた風景が通り過ぎていく。
いつもは何とも思わないが、今はホラー映画の光景にしか見えない。
見慣れた衛宮邸の土壁が見えた時、衛宮士郎はようやく息をついた。
士郎「たしか、土蔵に・・・あった」
土蔵に入り、鉄パイプを手に取った。
普通の土蔵は外から鍵がかかるのだが、この土蔵は魔術師の工房として改造されている。
即ち、中から鍵をかけることができるのだ。
しばらく開きっぱなしだった扉を閉めると、暗闇がひろがった。
自分の呼吸だけが、聞こえる。
暗闇で一人、神経を尖らせ続ける。無限とも思える時間が過ぎた。
士郎(来た・・・!)
足音。
鉄パイプを強く握りしめる。
その時―――― 地面が突然光りだした。
士郎(魔法陣!?こんなところで突然発動するのか!?)
急いで物陰に隠れ、様子を伺う。
銃声が鳴る。ガタン、と扉が開き、月明かりが漏れてくる。
魔法陣の上には、一人の女が立っていた。
ノッブ「!?」
刹那。女がアーチャーに斬りかかる。
弓兵にとって、近接戦闘は出来る限り避けたいところだ。
刀で応戦し、何合か打ち合うと、叫ぶ。
ノッブ「撤退じゃ、マスター!どうやら、大穴を引いてしまったようじゃぞ!?」
凛「わかったわ。アーチャー。衛宮君、次あった時にケリをつけましょう」
凛「まさか、あなたがセイバーのマスターとは思わなかったわ」
突然自分の名前を云われ、身を縮める。
全身に鳥肌が立つ。遠坂凛は、完全に殺しに来ていた。
セイバーと呼ばれた女が、撤退する二人を見遣る。
セイバー「力が十全ではないのか。仕方ない」
彼女が振り返ると、視線がぶつかる。
はっきりとした、力強い意志が宿っているのだが、一方でどこか虚ろな表情をしている。
この世に全く関心がないが、宇宙の果てには関心があるかのような―――
それが第一印象だった。
セイバー「おい、おまえ。私のマスター、なのだろう?」
セイバー「我が名はアルテラ。フンヌの末たる軍神の戦士だ」
セイバー「私は破壊の大王。我が力、おまえに預けよう」
腰を抜かした士郎の前に、一人の少女が剣を向ける。
月光に浮かび上がる褐色の肌は、幻想的な光景であった―――
セイバー「あ」
突然、彼女の足元にあった修理中のラジオが火花を散らした。煙が上がる。
士郎「うわ!?藤村組から修理中で預かってたラジオが!?」
セイバー「・・・私のせいじゃないぞ」
士郎「ああ、見れば分かるよ。って、今度は棚から煙が!」
急いで上へと昇った士郎が悲鳴を上げる。
セイバー「マスター、無事か!?」
士郎「無事じゃない、全然無事じゃないぞ」
士郎「土蔵にしまってた拾い物の電化製品が軒並み全滅だ・・・」
士郎「ウワアアア!」
ひとしきり騒ぐと、冷静になる。電化製品はもうダメだろう。
しかし、その前にもっと重大な問題があったはずだ。
暫く考えると、その答えに行き着く。
士郎「ちょっと待て。アルテラさん、だっけ?」
セイバー「どうした、マスター」
士郎「あの。どちら様でしょうか?」
セイバー「フンヌの末たる軍神の戦士だ」
士郎「わかった。とりあえず、君の家を探そうか」
セイバー「何を言っている。私のお家はここだ」
士郎「なんだ、そうならそうと早く言ってくれ・・・って、おい」
士郎「ここは俺の家だぞ」
セイバー「そうだな。マスターの家なら、サーヴァントの家でもあるだろう」
セイバー「文明の少ない、良い家だ」
士郎(あー。あんまり話が通じてないなあ)
士郎「とりあえず、しばらくここに泊まるってことで良いんだな?」
セイバー「そのとおりだ」
士郎「とにかく、ここはただの土蔵で家はちゃんと別にあるから。着いて来い」
士郎が土蔵を出て、正面にある家に案内する。
アルテラは目を丸くしたが、すぐ不快そうに眉を顰めた。
突然不機嫌になった彼女を玄関に案内して、家に入れる。
士郎「ここが家だけど・・・おいこら!なに土足で上がろうとしてるんだ!」
セイバー「何がおかしい」
士郎「ここは日本なの。靴をちゃんと脱いで」
セイバー「しかし、そんな」
アルテラが顔をあげると、ビクッとして小さくなる。
士郎の顔は、軍神も裸足で逃げ出す憤怒で満ちていた。
士郎「八つ当たりしてごめんな。でも、ちょっと色々あって今は機嫌が悪いんだ」
士郎「靴は脱いでくれ。良いね?」
士郎「ッ!」
突然手の甲が熱くなると、一画、手に浮かんだ線が黒く焦げたような色に変わった。
士郎「なんか、今日は色々変なことが続くなあ」
セイバー(これが、令呪のちからか・・・恐ろしい。靴を脱がざるを得ない!!)
アルテラが大人しく靴を脱ぎ、衛宮邸へ上がる。
士郎「まあ、とりあえずご飯を作るから、テレビでも見て大人しく座っててくれ」
士郎がテレビをつける。
アルテラ「・・・!」
箱の中で人が動く。英霊の座で、噂を聞き、知識だけは授けられていた、それ。
もっとも、彼女は現代文明の知識の大部分、お断りしたのだが。
これが、この世全ての悪、テレビ・・・!
アルテラ「これはわるい文明だ。ふぉとん☆」
士郎「こらこらこら、何してる!物は壊すな、アルテラ!!」
アルテラが軍神の剣を下ろし、恨みがましい目でこちらを見てくる。
ちなみに、もう二画目の令呪が消費されたことを、士郎はまだ知らない。
士郎「何があったのか知らないけど、ダメなものはダメだ」
士郎「ほら、座布団置いておくから、大人しく座っててくれ」
アルテラ「いや、座布団はいらない」
士郎「そうか・・・ あまり気にするなよ。文化が違うと、混乱しちゃうよな」
士郎「さて、と。ちゃちゃっと作るか」
よっこらしょ。
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ありがとうございました
もう書き込まないでください
クソスレは二度と立てないでください
あと、>>1は死んでください
どうやら、日本語が異常に流暢な謎の外国人と思っているらしい。
まあ、あながち間違いではないのだが。
士郎が料理を作っていく姿を、じっと見ていると声をかけられる。
士郎「なんだ、そんなに珍しいか?」
アルテラ「不気味な箱より、そっちの方が面白い」
士郎「じっと見つめられると、何だか照れくさいな」
士郎「はい、出来上がり」
冷蔵庫の中身をかき集めて作った野菜炒めだ。
それに、かぼちゃの煮つけや里芋の煮っころがし、味噌汁を付けあわせる。
アルテラ「なんだ、私の分まで用意してしまったのか」
士郎「食べないのか?ちゃんと食べないと、大きくなれないぞ」
どこか子供扱いされていることに気づくと、頬を膨らまして抗議した。
アルテラ「私はサーヴァントだ。食事を取る必要はない」
士郎「ああ、はいはい。ちゃんと食べろ。な?」
アルテラ「むう・・・」
よっこらしょ。
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ありがとうございました
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あと、>>1は死んでください
よっこらしょ。
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このマスターは、なにか大きな勘違いをしているようだ。
先ほどの言動を考慮すれば、聖杯戦争のことなど全く無知と考えるべきだろう。
アルテラ(面倒なマスターだ。ここで斬ってしまおうか)
汁物からどこか懐かしい海の香りがする。遊牧民は、めったに海産物を口にしない。
あの偉大な教皇は、確か海の幸で饗した・・・気がする。
失われたはずの抗いがたい欲求が、彼女の関心を殺戮から移した。
アルテラ(まあ良い。まずは、腹ごしらえをしよう。)
料理に文字通り手を付ける。
士郎「こら、いただきますを言え」
アルテラ「・・・いただきます」
士郎「うん。いただきます」
士郎「なんだ、箸を使えないのか。しょうがない、スプーンを使え」
アルテラ「いや、私は手で十分だ」
士郎「手にはバイキンがたくさんついてるんだぞ。腹を壊したくないだろ?」
アルテラ「むう・・・」
バイキンとやらについては、後で調べるとしよう。
よっこらしょ。
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俺は良いと思うぞ
二日目『邂逅』
士郎「さあ、買い物に行くぞ」
士郎「アルテラ、お前もついてこい」
アルテラ「言われなくても、マスターを守るのは当然の役目だ」
士郎「その設定、いつまで続くんだ・・・」
昨日確認したとおり、冷蔵庫の中身はすっかり貧弱であった。
桜はしばらくは衛宮邸には来れないということで手を抜いていたのだが、どうやら裏目に出てしまったらしい。
商店街へ向かう。
士郎「あんなに美味そうに食べるんだもんな。こっちも作り甲斐があったよ」
アルテラ「それは蒸し返すな」
士郎「いや、誰だって余り物をかき集めただけの料理に『私の秘宝にしよう』とか言わないだろ」
アルテラ「むう・・・」
顔を赤らめ、そっぽを向いてすねてしまった。からかいすぎたようだ。
士郎「もっとうまいもの作ってやるから、楽しみにしとけよ」
アルテラ「本当か。文明も悪いことばかりではないのだな」
一瞬で立ち直る。
アルテラ「ふとん、と言ったか。あれも良いものだ」
士郎「ああ。寝る必要がないとか言ってたけど、ぐうぐう眠ってたな」
アルテラ「体の調子が悪いみたいだ」
士郎「・・・それはおかしくないか?」
アルテラは殺生を嫌うというのが、今のところなんとなくは理解できた。
必要がない限り、命はあまり奪いたくはないらしい。
「文明」とやらは命を破壊する最たるものだ、というのが彼女の言い分らしかった。
士郎「ついた。さて、買い物を始めるか」
イリヤ「こんにちは、お兄ちゃん」
士郎「・・・誰?」
イリヤ「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。はじめまして、になるのかな?」
イリヤ「こっちはバーサーカー。よろしくね」
バーサーカー「よぉよぉ、しけた面してんなあ」
士郎「ああ、うん」
身長2mはあろうかという大男と対峙する。
金髪なのにおかっぱ頭、不良というにはあまりにも斬新な格好だ。
腰につけたくまのぬいぐるみも可愛らしいが、何とも不釣り合いな印象しか与えていない。
イリヤ「・・・シロウ、もしかして何も理解してない?」
士郎「へ?」
イリヤ「聖杯戦争のこと。あなた、マスターに選ばれたのよ?」
士郎「すまない、もしかして人違いじゃないかな?」
士郎「お嬢ちゃん、良い子だから、お家にお帰りなさい」
士郎「あ、もしかして迷子か?だったら親を探さないと・・・不審者!?」
バーサーカー「俺は不審者じゃねえ!!」
イリヤ「もう面倒くさいわ。教会へ連れて行きましょう」
アルテラ「すまない、頼む」
イリヤ「えい」
士郎の意識を一瞬で飛ばし、唯の操り人形と化した。
イリヤ「貴方も難儀なマスターを持ったわね」
アルテラ「いいや、なかなか見どころはある」
イリヤ「・・・そう。それじゃ、行きましょう」
バーサーカー「あーあ、徒歩なんてゴールデンじゃねえなあ。ベアー号に乗りたいぜ」
3ヶ月くらい前
アハト翁「むう。一応、ヘラクレスの聖遺物を手に入れたものの、金ピカな何かに倒される気がする」
アハト翁「聖杯をちょこっと改造して、万全の状態で挑むとしよう」
アハト翁「・・・こんどこそ完璧だ。東洋のサーヴァントも呼び出せるよう、魔改造を加えたのだ」
アハト翁「他の魔術師共は我等の崇高な試みを知る由はあるまい。これで知名度補正は一人占めだ!!」
アハト翁「さて、あのような辺境な地に碌な英霊などおるまい。どうするか・・・」
アハト翁「ほう。桃から生まれ、深海への冒険を果たした伝説の大英霊がいるのか。早速、聖遺物を用意せよ」
アハト翁「これが、その男がSUMOで勝利したというKUMAの毛皮の残骸か」
アハト翁「もちろん、バーサーカーの属性を付与だ!サーヴァントに思考などいらん!しゃべるな!」
アハト翁「完璧、完璧だぞ!!」
イリヤ「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
バーサーカー「ゴールデン!!おう、子供のマスターか。子供は大好きだぜ!よろしくな!!」
アハト翁「」
イリヤ「洗脳、解除っと」
士郎「うわっ!?今のは魔術か!?」
イリヤ「あんまりにもうるさいからね。シロウ、貴方は魔術師同士の殺し合いに巻き込まれたの」
イリヤ「このままだと簡単に死んじゃうから、ここの教会の神父に説明をうけなさい」
イリヤ「私は外で待ってるから」
士郎「・・・よくわからないけど、ありがとうな、イリヤスフィール」
イリヤ「イリヤで良いわ。これが終わったら、貴方とはまた敵同士になっちゃうね。お兄ちゃん」
イリヤ(あの教会は何かあったのかしら。必死に隠そうとしてるみたいだけど)
士郎が教会へ踏み出す。
よく見ると、周囲にはいくつかクレーターのようなものができていた。
これは――― 聖杯戦争の影響だろうか?
教会の扉を開く。そこには、大きな男が両手を振り上げて立っていた。
万歳のポーズにしては、姿勢が良すぎる。
男が咳払いをして教壇から降りる。
言峰「ようこそ、言峰教会へ」
言峰「汝にローマの祝福あれ。ローマ。」
士郎「・・・教会って神様が祝福してくれるところだと思ってたんだけどな」
言峰「コホン。」
言峰「どうした、衛宮士郎。ローマに寄付か。よろしい、ならば貴様もローマだ」
「寄付などしなくても既にお前はローマだ」
言峰「・・・偉大なるローマが貴様をローマと認めてくれたようだ。ならば、貴様はローマだ」
言峰「喜べ、衛宮士郎。貴様の願いはもはやかなった」
言峰「ローマ!!」
185cmの男が勢い良く腕を振り上げ、天に向かって吠える。
シュールと言うには、あまりにも恐ろしい光景だった。一刻もはやく、立ち去りたい。
士郎「ああ、うん。ありがとう、ございました・・・?」
言峰「用は済んだな。ならば、早く帰り給え。新たな世界<ローマ>が、貴様を待っているのだから」
士郎「お世話になりました!!」
これ幸いと、教会から脱出する。
イリヤ「やっぱり、罠だったのね」
士郎「・・・イリヤは分かってたのか」
イリヤ「ええ、薄々ね。何がいたの?」
士郎「神父がいたが、正気じゃなかった。奥にまだ洗脳された人がいた―――」
士郎「助けないと」
イリヤ「残念ながら、それは難しいわ。ここは一旦引きましょう、シロウ」
イリヤ「聖杯戦争の説明は、私がするわ」
士郎がしぶしぶ引き下がる。
この少女と言い争っても、何故か勝てる気は全くしなかった。
アルテラ「お前は大丈夫か」
士郎「ああ、問題ない」
アルテラ「あの協会からは、悪い文明の臭いがする。私の宝具が万全だったら消失させていたところだ」
イリヤと聖杯戦争の目的や、殺し合いに至った経緯など、一通り話しながら帰途へ着く。
魔術師とは、随分と価値観が違うらしい。
たった一つの願いのために、沢山の人間を犠牲になりかねない戦争を繰り広げるとは、俄には信じられなかった。
思案にくれながら歩いていると、アルテラが突然剣を構えた。
アルテラ「・・・出てこい」
バーサーカー「こそこそ隠れる何てゴールデンじゃねえ。面見せろや、オラ!」
ギル「ふん。雑種共がうるさく騒ぎおって」
イリヤ「サーヴァントがこんなところで、何の用なの」
ギル「貴様が器か。我は機嫌が悪い。さっさと失せよ」
目の前の男が、鎧を武装して、宝具を展開する。
バーサーカー「おいおいおい、ゴールデンじゃねえかあ!!」
イリヤ「ちょっと、バーサーカー!不用意に近づいちゃ駄目!」
バーサーカー「よく見ろよ、大将!あのゴールデンな鎧とゴールデンな武器をよ!」
バーサーカー「すっっっっげえええええ!!!」
ギル「ほう・・・この造形の美しさを理解するとは、雑種にしては中々やるではないか」
バーサーカー「アンタ、今、最高に輝いてるぜ!!」
ギル「ほうほう・・・これはどうだ、雑種」
さらに莫大な宝具を展開するギルガメッシュ。
バーサーカー「ゴールデン!!!!!ゴールデンの、もっと良いとこ、見てみてぇ!」
ギル「フハハハハ!我は今、最高に機嫌が良い!」
ギル「わけのわからん奴に召使を奪われ、魔王とか言うちんちくりんに再び慢心して遅れをとったが」
ギル「ようやく、我が真価を発揮する相手が来たというわけだ!フハハハハ!!」
イリヤ(あれは、全部一級の宝具・・・どうするつもりよ、バーサーカー!?)
バーサーカー(■■■■■■■■■■■■■■■■!!!)
イリヤ(だめだ、返事がねえ。ただのバーサーカーのようだ・・・)
バーサーカー「ああ、騒ぎすぎてハラ減ったじゃん。アンタ、気に入ったぜ。飯食いに行こうぜ」
ギル「我は一級の品しか口にせぬ。この世界は不味いものばかりだからな。貴様にも極上を味わわせてやろう!」
バーサーカー「ゴールデン!俺、気持ちの良い山知ってるぜ。そこで一緒に酒盛りしようぜ!」
ギル「フフ・・・本来、貴様のような雑種が口を開くだけで不敬と知れ!しかし、今宵は特別、酒宴を設けるとしよう」
ギル「自動車の原典だ。特別に許す。乗れ」
バーサーカー「ゴールデンな乗り物じゃねえか!ああ、うちの大将も可哀想だから連れて行って良いだろ?」
ギル「むむむ」
バーサーカー「頼むよ!ゴールデンに免じてよ。な?」
ギル「・・・許す!」
バーサーカー「ゴールデン!!」
イリヤ「え、ちょ、シロウーーーッ!たすけてええええ!」
イリヤが小脇に抱えられ、金ピカーに乗せられて消滅してしまった。
大江山にでも行ったのだろうか。行方は知れないし、それは士郎達にはどうでも良いことだ。
士郎「帰ろう、アルテラ。今日は藤ねえも来るだろうし、すき焼きにしよう」
アルテラ「すき焼き、か。お前の思った通りにしてくれ」
今日の糞スレはここまでです。>>1はまた死にます。
見とるぞ
乙
ほう経験が活きたな>アハト爺
なお狂化スキルランクは
三日目『受難』
慎二「おい、そこの糞サーヴァント!!ボクはマスター何だぞ。言うことを守ってくれ」
ライダー「黙れ。何がしたいのかは俺が決めることだ。殺すぞ」
慎二「ひぃっ!?」
ライダー「そっちから手を出さねえなら、俺も余計な干渉はしねえ」
ライダー「失せな」
慎二は愕然として部屋の前から去る。
桜がライダーを召喚し、偽臣の書でマスターとしての役割を果たせるようになって早3日。
このサーヴァントは、慎二の手に余りつつあった。
慎二「おい、爺さん。なんてサーヴァントを呼んでくれたんだ!」
臓硯「なんじゃ、また文句か。いい加減聞き飽きたわい」
臓硯「お前も一応、仮初とはいえ、一人前のマスターじゃ。少しは行動しても良いじゃろうに」
慎二「だ・か・ら、全然言うことを聞かないんだって!」
臓硯「ならば令呪をもって命じればよかろう。その書は飾りか」
慎二「そんな下らないことに大事な令呪を使うわけにはいかないだろ、何か良い魔術はないのかよ」
臓硯「そんな都合の良い物はない。自分で頑張るんじゃぞ、慎二」
慎二はため息をつくと、ライダーの説得へ向かった。
孫の哀れな姿を見て、歪んだ笑みを浮かべる。
今回のサーヴァントは、想像以上に愉悦を与えてくれる存在であった。
しかし――― 部屋にこもり続けられることに、そろそろ飽きてきた頃だ。
臓硯(かわいい孫のために、人肌脱ぐのも吝かではないかの)
500年近く生き続け、魂は摩耗しているものの思考は健在。
愉快なプランが5,6個思い浮かぶ。その甲乙を競わせていた所。
ドアの前に立っていた慎二が突然開いだ扉に潰された。
慎二「プギャッ」
ライダー「おうおう、ジジイ。ちょっとこいつ借りて行くぜ」
臓硯「好きにすると良い」
足音を響かせながら部屋から出て行く。家中が悲鳴を上げているようだった。
慎二の部屋を覗くと、見るに堪えない状況になっていた。
散乱したエロ本、画面は砕かれ潰されたパソコン、そして異臭。
臓硯「流石に、桜に掃除させるには酷かのう・・・」
慎二「ふぁから、ふぉくから手をふぁなせよ!!」
ライダー「ガハハハハ。何言ってんのか分かんねえ。」
ライダー「仕方ねえな、叩けば直るだろ」
ライダーが二発、三発と叩くと、暴れていた慎二が完全に沈黙する。
ライダー「これで良し、と。うるさいだけで役に立たねえ雑魚だな」
ライダー「さあて、あっちが新都とやらか。待っててくれよ、俺のお宝!!」
2m近く身長のある上裸の男が、閑静な住宅街をうろつく。
ど真ん中直球でアウトだ。
早速通報され、パトカーが駆けつける。
警察「あー。そこの君、ちょっとこっちに来てくれるかな?」
ライダー「ん?お前らは官憲って奴か?」
警察「そうだ、警察だ。大人しく・・・
男が言葉を続けようとした時―――― 彼の世界が360°回転した。
ぶちっと音を立てて、先程まで乗っかっていたそれが転げ落ちる。
もう一人の男が拳銃を抜こうとしたが、その前に顔面が吹き飛んだ。
ライダー「おうおうおう。俺は官憲ってのが大嫌いなんだ」
部屋の影から覗いていた住人が悲鳴を上げてるとも知らず、男はのしのしと新都へ向かう。
ライダー「黒ひげ様のお通りだ~!」
鼻歌交じり、上機嫌に街を闊歩し、新都へと続く大橋を目指す。
橋の手前にある公園で、しかし、立ち止まざるを得なかった。
自分よりも遥かに背の低い、少女2人が立ちふさがっていたのだから。
ライダー「俺は今、機嫌が良い。見逃してやるから、さっさと消えな」
ノッブ「大層な言い様じゃのう。お主では儂には勝てんと分かってそうなものじゃが」
凛「罪のない人間を巻き込んで、挙句の果てに殺すとわね」
凛「やりなさい、アーチャー。遠慮はいらないわ」
アーチャーが両手から火縄銃を出す。
旧式も旧式、そのような武器でこの偉大な海賊を倒せると本気で思っているのだろうか?
ライダーは徒手空拳、雄叫びを上げて突撃する。
海賊は、タフでないと生きていけない。弾丸の2発や3発程度―――
ライダー「うおおおおおお!?」
ノッブ「はっはっは、上手く躱すではないか。ほれほれほれほれほれ!!」
アーチャーが撃ち込んだ二発を拳で弾く。
そのまま突っ込もうとした時、既に新たな火縄銃が取り出されていた。
満足に躱すこともできず、そのまま直撃する。
海賊はタフさが命。この程度で倒れはしないが、ダメージは入る。
ライダー「イデデデデ!!てめえ、それが宝具じゃねえのかよ」
ノッブ「儂の火力を舐めてもらっては困るんじゃが!」
どんどん取り出し、撃ち込まれていく。
遠距離を得意とする相手に、相性が悪すぎる。
凛「あいつに逃げ場はないわ。ここで仕留めましょう、アーチャー」
ノッブ「承知した。ここに首を置いてけい!」
ライダー「首だけは勘弁してくれ、って冗談こいてる場合じゃねえな」
ライダー「陸は俺の居場所じゃねえ」
物陰へと隠れ、数多の弾丸をやり過ごす。
一発一発はただの火縄銃に過ぎない。ある程度厚さのある金属で防げるようだ。
ライダー「仕方ねえ。ここは一旦おさらばするとしよう」
ライダー「女王アンの復讐号!!」
川に帆船が出現する。
凛「あれがあいつの宝具ね。良いわ、船ごと沈めてやりなさい」
ノッブ「天魔降臨!これが魔王の三段撃ちじゃ!!」
ライダー「あの数を喰らったら俺はともかくこの雑魚がもたねえな」
慎二をぞんざいに中へ放り込んだ次の瞬間、無数に展開された火縄銃から一斉に弾が放たれる
火縄銃の弾丸程度で、この船はびくともしない。
ノッブ「あやつめ、ライダーではないのか・・・?」
アーチャーの驚きを他所に逃走の下準備をする。
海賊の本領は海の上、それも逃げ足の速さと相場が決まっている。
もっとも、彼は逃げきれずに首だけ船首に括りつけられる無残な最期を遂げたのだが。
ライダー「俺は嵐の航海者。艱難を打破し、先へ進む者」
ライダー「帆を上げろ!!尻まくって逃げるぞ野郎ども!!」
無人の帆船に帆が張られる。
風が吹いていないにもかかわらず、船は勢い良く上流へと逆らって動き始めた。
アーチャーの弾丸が風穴を開けていくが、射程距離から少しずつ外れていく。
凛「もう追う必要はないわ、アーチャー」
凛「あれは勝手に自滅する。魔力は温存していくわよ」
アーチャー「撃ち足りないのじゃが、是非もないかのう・・・」
帆船のマストが冬木大橋にぶつかると、ボキッと音を立てて折れた。
遠くから「ギャアアア!?」という声が聞こえる。でかくて汚い声だ。
それでも、船は上流へと進んでいく。どうやら丈夫なサーヴァントらしい。
凛はため息をつくと、踵を返して遠坂邸へと戻っていった。
ライダー「くそっ、くそっ、くそっ!!」
力任せに甲板を叩くと、大穴が開いた。
補修するべく船員を呼んだが、当然のごとく誰も出ては来ない。
ライダー「俺の愛する船まで壊しやがって、許さねえ!!」
ライダー「この借りは必ず返すからな。二人共、ぶち犯してやる・・・」
船は勢い良く上流へ進んでいく。サーヴァントが追ってくる気配はない。
魔力は少しずつ消費されているので、長い時間こいつは展開したくない。
ライダー「ここらで降りるとするか・・・イデデデ」
護岸へ飛び移り、宝具を解除する。
ライダー「畜生、結構な深手を追っちまったなあ。何とか住む場所ぐらい確保しねえと」
ライダー「陸を出歩くと碌な事がねえな。さてさてお宝のありそうな家は、と。」
ライダー「お、キラキラしててたんまり金がありそうじゃねえか!」
男は巨大な建物に吸い込まれていく。
それが、ライダーの正気な最後の姿となろうとは、彼自身ですら知る由もなかった。
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