勇者「ふう……」
ある朝、国王の城まで呼び付けられた俺はごく普通の村人だ。
何が理由かは知らないが、国のトップの頼みとあらば断ればどうなるか想像に難くない。
母「勇者、朝御飯よー」
勇者「はぁい」
母さんは何を悟ってか、俺の大好物の鰒刺しを作ってくれていた。
この時は、これからあんなことになるとは微塵にも思っていなかったんだ……
ベクタァァァァァア!!p
王「……やほー、きたねしょうねんよ」
勇者「はあ……昨日も夜更かししたんですか」
王「え゙、なんでわかったの」
勇者「クマできてますし、目脂取れてません」
王「え!?はずかしいなぁ……」
兵士「可愛いから大丈夫だよ」ヒソヒソ
王「けいごをつかえこんにゃろー!」
兵士「申し訳ありません国王!」
勇者「……で、用件はなんなんですか?」
王「じつはね、まかいにまおうがあらわれたらしいんだ」
勇者「……まかい?」
兵士「魔物の魔に世界の界で『魔界』です。その魔界の王が『魔王』ですね」
王「せつめいごくろー」
勇者「はあ、その魔王ってのはどんな奴なんです?」
王「つよくてわるいやつだよ。それできみをよんだりゆうは」
勇者「理由は……?」
王「とりあえず、まおうをぼこぼこにしちゃって!」
勇者「ゑ?」
兵士「ここからは代わりに私めが説明致しましょう」
勇者「最初からそれで良かったんじゃないですか?」
兵士「実は国王はあらゆる素質を見抜く天才なのです」
王「ふふん」
兵士「城の者は全て国王の任命による配置なのです」
勇者「なんだそれ……」
兵士「まあそれはさておき。国王は貴方には魔王を討伐できる素質があると思っています」
王「おもっている、じゃなくてあるんだよ」
勇者「そうですか」
兵士「なので貴方に魔王を征伐していただきたいのです」
勇者「……」
兵士「当然旅は険しいものですので、報酬もそれなりに弾みます」ヒソヒソ
勇者「!」
兵士「承りくだされば資金援助としてもゴールドを差し上げます」ヒソヒソ
勇者「!!」
兵士「大丈夫です。一人では厳しければ酒場で仲間を見つけて共に旅をすると良いでしょう」
王「それで、ひきうけてくれるかな?」
勇者「いいともー!!!」
王「いいへんじだね。ありがとう!これはほんのおれいだよ」
勇者は10000Gを手に入れた▼
勇者「ありがとうございます!」
兵士「どうか世界を魔王の魔の手から救ってください」
勇者「任せてください!」
勇者「って、その場のノリで引き受けてしまったが」
勇者「魔王の強さが全くわからない」
勇者「それ以前に魔界ってどこだよ」
勇者「世界にとって魔王の何が危険なんだよ」
勇者「あーもう肝心なこと説明してくれないんだからさ国王は!」
勇者「とりあえず酒場で仲間を募るか……」
マスター「いらっしゃい」
勇者「こ、こんにちは」
マスター「何の用かね?」
勇者「ええと、旅の仲間を探しに来たんだけど」
マスター(こいつ、初めて来た奴だな……)
マスター(そうだ。アレを押し付けてみるか)
マスター「お、そういうことならオススメの奴がいるぞ。今なら8000Gでどうだ」
勇者「高……!」
マスター「おっと。払わねえなら他の奴も仲間にはさせねえぞ?」
勇者「……わかったよ」
マスター「毎度ありぃ!じゃあちょっと腰かけて待ってな!」
勇者「あ、ああ……」
マスター「連れてきたぞー」
?「離せ!離せ!自由にしろー!」
勇者(酒場のマスターが女の子を羽交い締めにして連れてきた……)
勇者(どういう状況なんだ!)
マスター「こいつの職業は『決闘者』とかいうらしい。反抗的だが、なかなか力のある奴だ」
勇者「決闘者?」
?「離せ!離せ!やめろ!離せ!」
勇者「……とりあえず、その子を下ろしてあげてよ」
マスター「しゃあねえな、ほらよ」
?「ぐぅ!」バッ
マスター「変な奴だが、返金は無しだからなー」
勇者(あ、これ手のかかるこの子を押し付けられたパターンだ!)
勇者(言うなれば買い手のつかない在庫を処理させられるような)
セレナ「私はセレナだ!変な奴などではない!」
勇者「君はセレナって言うのか。俺は……俺は勇者。よろしくね」
セレナ「勇者……?つまりお前もデュエリストだな!」
勇者「は?」
セレナ「ところで、ここはスタンダードなのか?エクシーズの残党は何処にいる?」
勇者「ちょ、待って、落ち着け。デュエリストってのがなんだか知らないし、スタンダードもエクシーズも知らない!」
セレナ「知らない……?まさか記憶を消されて」
勇者「ないから、消されてないから!とりあえず話のキャッチボールをしろ!」
セレナ「キャッチボールとはデュエルのことか?」
勇者「だから俺はデュエル知らないって!」
セレナ「何?勇者はデュエルを知らないのか?」
勇者「ああ。聞いたこともない」
セレナ「ふん、ならば教えてやろう。デュエルとは……」
「きゃあああああああああー!!」
勇者「!?」
セレナ「今の悲鳴は……!?」ダッ
勇者「なっ、おい待てセレナ!」
勇者「な……あれはなんだ!?」
セレナ「恐らくドラゴン族モンスターだな」
勇者「ドラゴンだと!?」
セレナ「その横には壊れた民家、そして先ほどの悲鳴……」
勇者「あのドラゴンが暴れて、民家が破壊されているのか!」
勇者「あんなでかい魔物、どうしたら……!俺じゃあ倒せない!」
セレナ「落ち着け勇者。あの程度のモンスターならおそらくは下級、攻撃力はそう高くない」
勇者「でも、俺は武器も何も……」
セレナ「あんなモンスター、私一人で蹴散らしてやる!」シュピー
勇者(なっ……セレナの腕が剣……いや、剣の形をした光?を発している!?)
セレナ「私のターン!」シュバァ
勇者(セレナが何かを袖から引き抜いて……あれは、お札か?)
セレナ「私はマジックカード、《融合》を発動!私が融合するのは、《月光蒼猫》と《月光紫蝶》!」
セレナ「蒼き闇を徘徊する猫よ、紫の毒持つ蝶よ!月の引力により渦巻きて、新たなる姿へと生まれ変わらん!」
勇者(セレナが何かの詠唱を……?何をするつもりだ!)
セレナ「融合召喚!現れ出でよ、月明かりに舞い踊る美しき野獣!《月光舞猫姫》!」
月光舞猫姫『ニャー』ドン☆
勇者(詠唱の次は、魔物を呼び出した!?)
勇者(デュエリストって、召喚士のことなのか!)
セレナ「バトルだ!月光舞猫姫で相手モンスターに攻撃!フルムーン・クリスタ!」
舞猫姫『ニャー』ドゴォ
ドラゴン『サヨナラ!』ティウンティウンティウン
勇者(ドラゴンが消えた……!)
眠いからここまで
誰か見てくれていると嬉しいな
乙
セレナのカードはもっと増えて欲しいよな
悪くない
デュエリストときくと世界を革命する力をの人たちを思い付くお年頃
デュエデュエデュエデュエデュエデュエデュエデュエ
セレナ「大丈夫か、勇者」
勇者「セレナ、今の腕の光は?」
セレナ「腕の光……?もしやデュエルディスクのことか?」
勇者「デュエルディスク?……そもそもデュエルって何なんだ?」
セレナ「先程は邪魔が入ったからな。今度こそ説明しよう」
はやくしろ
勇者「……かーどげーむ?」
セレナ「そうだ。だがゲームなどと侮っては困るがな」
勇者「かーどってのはそのお札のことか?」
セレナ「お、お札だとっ……ぐっ!まあ、いいだろう」
勇者「それで、さっきの魔物は《むーんらいときゃっとだんさー》だったか」
セレナ「ああ。融合モンスターと言い、尊き融合召喚で呼び出すことができる!」
勇者「じゃあ、デュエリストは召喚士なんだな!」
セレナ(む……微妙な齟齬が解決しないな……)
おい
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