P「……………」カタカタ
P「……あ、また打ち間違えた……デリートデリート……」カタカタ
小鳥「えっと……この資料のチェックは終わって、次は……」
プルルルル……プルルルル……
P「はい、こちらPです」
P「……あ、どうも」
P「はい……今、居るので代わりますね」
P「音無さん、電話ですよ」スッ
小鳥「あ、はい、もしもし音無ですが……えっ、お母さん?」
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小鳥「ちょっと、この電話に掛けないでって……!」
小鳥「どうせ、そこにいるからって……もう!」
小鳥「次からは、あたしの携帯にしてよね?」
小鳥「それで用事は……うん……うん……」
小鳥「あぁ、それは来週の日曜よ、今週じゃないの」
小鳥「うん、そう……はいはい、わかりました、じゃあね」ピッ
小鳥「すみません、プロデューサーさん……母がとんだご迷惑を」スッ
P「いえいえ……何の電話だったんですか?」
小鳥「来週、実家に帰るって言ったのに、勘違いして今週かと思ってたらしくて……」
P「あぁ〜……確か、来週の日曜に遊びに行くんでしたよね?」
小鳥「はい……本当、そそっかしい母親で……勘違いなんかよくして」
小鳥「迷惑な母親で恥ずかしい限りです……」
P「でも、音無さんとは仲良好ですね、電話の様子も見ても……」
小鳥「……まぁ、そうなんですけどね」
P「……ん〜!入力作業、一区切りついた!疲れた〜!」ノビ〜
小鳥「ちょっとここで一息入れて、休憩にしましょうか」
P「おっ、いいですね。一定の体勢じゃ体に悪いですからね」
小鳥「じゃあ、お茶とお菓子出しますね」スクッ
P「あっ、ありがとうございます」
小鳥(えっと……煎餅があったけど……センスがおばさん臭く思われるかも……)ガサゴソ
小鳥(あっ、ポリッピー……まぁ、これでいっか)
小鳥「おまたせしました〜、こっちで休憩しましょうか」スタスタ
小鳥「よいしょっ……と」ストンッ
P「そうですね……じゃ、いつもみたいに」
P「よっ……と」ゴロンッ
小鳥「ふふふ、プロデューサーさん、相変わらず横になるの好きですね」ニコッ
P「疲れた時は、一番楽な体勢でいるのが一番ですよ」ゴロゴロ
P「あ、お菓子いただいていいですか?」
小鳥「あ、はい、どうぞ」スッ
P「じゃあ……」パクッ
P「……んん〜、ポリッピーですか、酒が飲みたくなりますね」ポリポリ
小鳥「プロデューサーさん?お酒は残りの仕事が終わってからですよ?」
P「了解です……あ、そういえば」
小鳥「どうしました?」
P「音無さん、香水とか付けました?」くんくん
小鳥「えっ……あっ」
小鳥「そういえば、今日の朝、少し匂いの強いシャンプーに変えて……」
P「あ〜、なるほど……どうりで入力作業の時、この匂いが……」くんくん
小鳥「すみません、迷惑でしたか?」
P「いやぁ、結構好きですよこの匂い」
小鳥「本当ですか?よかった……」ホッ
P「いやぁ〜、それにしても眠い……今日家に帰るのが億劫だ……」
P「いっそこのまま、今日も泊まり込みで仕事しようかな……なんて」
小鳥「ふふふっ……わざわざ自分の家に家賃払ってるのに、帰らないのって勿体無くありません?」
P「そうですよねー……帰るの疲れるなぁ」
P「それにしても……はぁ〜……」シュン
小鳥「溜息ついて、どうしました?」
P「いや、あのですね……」
P「最近のカップル達が羨ましいんですよ……」
小鳥「あぁ……またその話ですか?」
P「いや、だって本当羨ましいですよ……」
P「あんな人目を気にせずに、いちゃいちゃイチャイチャと」
P「俺にも、もし彼女がいたら、こんな惨めな気持ちにはなりませんよ……はぁ……」
小鳥「プロデューサーさんも、彼女を作ってみては?」
P「脈がありそうな相手がいなくて……」
P「今の女性の関係者全員に告白しても」
P「きっと、フられて終わり……ですよ」
P「なので、毎日カップルを妬んでは泣き、妬んでは泣きで……」
小鳥「はぁ……そうなんですか……」
小鳥「………………」
P「この前見たカップルなんて、公園で膝枕してベンチ座ってるんですよ!?」
P「しかも、『耳の中見せてよ〜///』『おぉい、や〜め〜ろ〜よ〜///』とかいう会話して……」
小鳥「公園で堂々と……凄いですね」
P「はぁ〜……俺にも、彼女がいればな〜……」
P「今は、大分前に頼んでから以降……」
P「音無さんに膝枕して貰ってるけど」ゴロゴロ
P「音無さんは彼女じゃないからなぁ……はぁ〜……」ゴロゴロ
小鳥「…………………」
P「音無さんが彼女だったらなぁ〜……」
P「今の膝枕が、もっと幸せに感じるんだろうなぁ〜……」
P「今も、柔らかい肌包まれた上、音無さんの美人顔が見れて幸せなんだけど……」
P「でも、音無さんは彼女じゃないからなぁ……」
P「これは必死に頼んだから、同情されて、やって貰ってる事なんだよなぁ……はぁ〜……」
小鳥「………………」なでなで
P「あ、どうも」
P「他にも羨ましい所があってですね……例えば……」
P「ファミレスとかで、『あ〜ん』なんてしてるカップル!」
P「食べ物は自分で食べるって教育、受けなかったんですかね……全く」
P「……でも、羨ましい……はぁ」シュン
小鳥「食べた本人も、きっと何倍に美味しく感じてるんでしょうね」
P「……あ、またポリッピー貰っていいですか?」
小鳥「あ、はい、じゃあまた、さっきみたいに口開けてもらっていいですか?」
P「はい、あ〜ん」パッ
小鳥「ふふふ、どうぞ」スッ
P「んっ……」パクッ
P「……うん、酒のつまみに合うなコレ」モグモグ
小鳥「あたしも少し貰いますね」パクッ
何かこのPに殺意沸くわ
あっ、これイライラする!
イライラするぞ!爆発してくれ!頼む!!!
おう新しい壁持ってこい
P「音無さんが彼女だったらなぁ〜……」
P「今の『あ〜ん』が、もっと幸せな気分になれるんだろうなぁ……」
P「今も音無さんに食べさせてもらって、ちょっと指と唇が当たったりして、嬉しいんだけど……」
P「だけど、音無さんは彼女じゃないからなぁ……」
P「これは、お願いした事を叶えてくれてる事なんだよなぁ……はぁ〜……」
小鳥「……はい、あ〜ん」スッ
P「あ〜ん」パクッ
新しい千早持ってきた
P「……他にも羨ましい所があってですね……例えば……」モグモグ
P「電車で、必要以上にくっつくカップルとかいたんです!」
P「2人して席に座って、ベタベタとくっついて……」
P「ほぼ彼女が、彼氏の膝の上に座ってる状態でしたよ」
P「全く……電車がガラガラに空いてたからって……傍迷惑な……」
小鳥「まぁ、ガラガラならいいじゃないですか」
P「……羨ましいなぁ……はぁ〜……」
P「さっきは音無さんに、お願いして」
P「膝の上に座って貰いつつ、資料チェックしてもらったけど……」
P「音無さんは彼女じゃないからなぁ〜……はぁ〜……」
小鳥「…………………」
P「音無さんが彼女だったらなぁ〜……」
P「きっと、幸せの重さを、もっと噛みしめられるんだろうなぁ……」
P「さっき乗ってもらった時も、女性らしい柔らかい肌感触や、抱き心地の良さ」
P「シャンプーの良い匂いで、堪らなく幸せだったけど……」
P「しかし、音無さんは彼女じゃないからなぁ……」
P「乗って貰ったのは、頼まれたからやってもらってる訳で……はぁ〜……」
小鳥「…………………」
?「しっとの心は父心、押せば命の泉わく!」
P「音無さんが乗ってる間、シャンプーのいい香りを堪能出来ましたよ」
小鳥「な、なんか、匂い嗅がれるのって恥ずかしいですね……///」
小鳥「スウィーティ系のシャンプー使ったんですけど……スウィーティ系好きなんですか?」
P「まぁ、そうですね。音無さんの匂い自体好きなんですけどね」
P「きっと、あの電車カップル彼氏も、彼女の匂いを堪能したんだろうなぁ」
P「彼女の匂いってのは、きっとどんな匂いでも好きになるんだろうな……うんうん」
P「……他にも羨ましい所があってですね……例えば……」くんくん
P「帰り道の時、カップルが互いの両親に挨拶しに行く話をしてて……」
小鳥「ご両親に結婚報告ですかね?」
P「そうですかねぇ……結婚かぁ……俺も早くしたいなぁ……」
P「お互いの家族に認められて、満場一致とかだったら最高ですよね」
小鳥「挨拶しに行くのは緊張しますけど、良い思い出にはなりますね」
P「『娘さんを下さい!』なんてドラマみたいな台詞言って……羨ましいなぁ……はぁ〜……」
P「来週の日曜は音無さんの実家へ、一緒に遊びに行きますけど……」
P「これは、結婚報告のご挨拶とかじゃないしなぁ……」
P「そもそも音無さんは、彼女じゃないしなぁ……はぁ〜……」
小鳥「…………………」
P「でも、音無さんのお母さん」
P「音無さんに用があるのに、俺の携帯にかけてくるとは……」
小鳥「すみません、いつも一緒にいるからって、そっちの携帯に掛けて……」
P「いやいや、俺は構いませんよ」
P「音無さんのご両親、凄く良い方達ですよね」
P「前一緒に遊びへ行った時も、夕飯まで用意して下さって……」
P「『うちの娘の事、末長くよろしくお願いします』なんて言って、娘想いな所あるし……」
P「大人になっても友人関係を心配してくれる親なんて、中々いませんよ?」
小鳥「友人……関係……」
小鳥「そう、ですね……ははは……」
P「次で俺、音無さんの実家に行くの2回目になりますけど……」
P「今いる、この音無さんの家には、もう何十回も遊びに来てますよね」
小鳥「そうですよね……わざわざ遠くから電車で来ていただいて……」
P「よく残りの仕事をしに来たり、一緒に酒を飲みに来るようになりましたよ」
P「これが、彼女の部屋とかだったらドキドキするんだろうなぁ……」
P「今も音無さんの部屋に来ても、半纏姿を見てドキッてしますけど……」
P「きっと、彼女の家に遊びに行くのとは違うドキドキなんだろうなぁ……はぁ〜……」
P「やっぱり、カップルが羨ましい……くそぅ……」ズ〜ン…
小鳥「まぁまぁ、そんなに落ち込まないで下さいよ」なでなで
P「……ポリッピー……」
小鳥「はい、どうぞ」スッ
P「んっ……おいしいです」パクッ
P「……やっぱ、お酒飲みたくなるなぁ……」モグモグ
小鳥「……お昼ですけど、もう飲んじゃいます?」
P「……そうですね!残りの仕事は後日やります!」スクッ
P「じゃあ、早速冷蔵庫を開けて……」スタスタ…
小鳥「あ、実はまだ買ってなくて……後でコンビニへ買いに行こうと……」
P「そうですか……あ、そうだ‼」
P「あの……音無さん」
小鳥「はい?」
P「一緒にデパートへ……手を繋いで、買いに行ってくれませんか?」
小鳥「手を繋いで……ですか?」
P「実は、前にカップルが手繋いでるのを見て羨ましくなって……」
P「またカップルの真似をしたいんです!」
P「だから……一緒に手繋いでくれませんか?お願いします!」バッ
小鳥「……うふふっ、あたしはかまわないですよ?///」ニコッ
P「やった!よし!」
小鳥「あっ、夕飯も食べて行きます?それなら夕飯も一緒に買って……」
P「いいんですか?じゃあ、頂いて…」
P「あっ、でも……夜まで飲んでたら、終電ギリギリになりそうだな……」
小鳥「じゃあもう、今日も泊まって行きますか?」
P「いいんですか?6泊もしちゃって……」
小鳥「本当は家賃が勿体無いから、帰った方がいいと思いますけど……」
小鳥「まぁ、プロデューサーさん本人がいいなら」
P「いやぁ、ありがとうございます!」
小鳥「じゃあ、化粧や着替えしますので……ちょっと待ってて下さいね」
P「はい、じゃあ、玄関の外で待ってますね」スタスタ
小鳥「あっ……いや、あの……」
P「それじゃあ、後で」ガチャッ
バタンッ
小鳥「……………」
小鳥「もう一緒のベッドで寝た仲だし……」
小鳥「正直、あんまり着替え見られても恥ずかしくないから」
小鳥「中で待ってくれてても、良かったのになぁ……」
小鳥「……まぁ、深い意味でのベッドで寝る、じゃ無いけど……」
小鳥「………………」
小鳥「はぁ……」
小鳥「何で交際相手になって下さい、って言えないんだろうなぁ……」
小鳥「プロデューサーさんも……あたしも」ズーン……
完
こいつら中学生かよ
乙
壁殴ってたらお隣さんに怒られたぞ乙
乙
乙ドンッ
壁ドンて世間だと真逆の使い方されてるな
千早ドンにしよう
ドン如月乙
乙
これも全部ドンサウザンドってやつのしわざなんだ
別事務所の事務員やん(パリンパリン)
乙
ちょっとP君、面を貸してほしいんだが
なんかさあ、最近はこういう無自覚カップル現実に増えてるらしいな。
ヤりもしないのにお泊まりしたり一緒のベッドで寝たり、周囲からは完全にカップル認定されてるのに付き合ってないの。
俺らが萌え妄想でしか知らなかった世界が、リア充にとっては現実なんだね…
乙
家の壁とドアと窓がボロボロなんだが
如月千早さん、重傷
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
読み物としてすっごい傑作だと思うんだけどこれ
朝からこんなの読むんじゃなかった…
これが叙述トリックというものか…
乙
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