雪乃ウルフ (84)

化物語のキャラ、怪異はでません
書きだめできなかった、すいません

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443275583

AがBに変化したとき、その存在はAとBのどちらに定義するべきなのだろうか。

どうでもいい?

いやいや敬遠することなかれ、これは身近な問題である。

例えば、単なるお馴染みが異性の対象になったり

友人と喧嘩して、口も利かなくなったりしたとき

これからどう接するべきなのか、我々は迷う。

だから我々は、深く、慎重にその存在の定義を考え直す必要がある。

ひとたびその定義を間違えれば、全てを失うことさえあるのだから。

「起きなよぉー、お兄ちゃん。朝だよ」

「あぁ…」

聞きなれた声に、俺は思わず返事をしてしまった。

だめだ、こういうことは気を付けないと。

「お兄ちゃんと呼ばないと約束しただろ」

「あっ、忘れてた」

こつんと自分自身の頭を叩くと、比企谷小町の名を冠した怪異は笑った。

そう、彼女は妹だった。

しかし今は怪異である。

それもつい先週まで俺の命を狙っていた敵だった。

だがいざこざを経てからというもの、今は朝起こしに来るほどに馴れ馴れしい。

今日こそ、その理由を聞いてみようか。

「小町。あのさ」

「なに?」

「どうして俺なんかに気をかけるんだ?先週までヤル気満々だったのに」

小町は呆れた表情で首を振って答えた。

「言っておくけど、怪異の中で私は至ってまっすぐな類なんだよ。

分かんないのは、お兄…ごみぃちゃんがねじれてるから」

怪異にまっすぐな奴があるかとよほど言いたかったが、百倍になって返ってきそうなので自重した。

怪異だからか、それとも性格的なものか、小町は中々に弁が立つ。

生まれてこの方、俺は小町との口喧嘩に勝った覚えがない。

それに、肉弾戦になったらミンチにされかねないし。

小町が階段へ下るのを俺は黙って見届けてから、小町の言ったことを咀嚼することにした。

『言っておくけど、怪異の中で私は至ってまっすぐな類なんだよ。

分かんないのは、お兄ちゃんがねじれてるから』

…つまり小町は俺を起こす理由になんらかの答えをすでに出していて

俺がそれに気づいていないだけだということか。

思い当たる節がないことを鑑みると、あの人が何か小町に吹き込んだに違いない。

雪ノ下陽乃。

命の恩人であり、天敵。

元々人間離れしているとは思っていたが、実は怪異の専門家でもあった彼女。

あの人に直接、聞くのだけは避けたい、それはもう色んな意味で。

臆病風に吹かれて、ひとまず

『親切にしてくれる小町の答えは実は出ていた』という収穫で俺は満足することにした。

それから小町と向かい合って朝食をとり、小町と共に登校をする。

学校の前で小町と別れてからは、俺は自転車をぶうんと飛ばす。

怪異に深く関わってはいけない。

あの忠告を守っていることを、雪ノ下さんに証明するかのように。

今日はここまでです。エタだけはしないよう頑張ります
>>5の一部が分かりずらいので下文に書きなおしました。


…つまり小町は俺を起こす理由になんらかの答えをすでに出していて

俺がそれに気づいていないだけだということか。

その理由に思い当たる節がないことを鑑みると、あの人が何か小町に吹き込んだのではないだろうか。

つまんね。これから面白くなることに期待するわ。面白くならなかったら……覚悟しろよ

日が半分沈み、俺の瞼も半分沈んだ、無味乾燥な授業の終わり際、担当の平塚先生が俺を睨んだ。

「おい比企谷、このあと一緒に職員室に来い」

「…えっ」

「それでは,今日の授業は終わりとする」

一斉に雑音が教室にあふれかえった。

ようやく意識が覚醒した俺は反駁しようとしたのだが、教壇で待つ平塚女史の眼光たるや雷光の如しであったのですごすごと投降した。

「ふむ、それでは行こうか」

「ふぁい…」

平塚先生についていく形で、教室からでると

廊下にあふれてたはずの人の波がさっと引いた。

平塚先生が不機嫌なのは、すでに周りに伝播したみたいだ。

俺はモーセの奇跡を疑似体験できたことに感謝すると同時に

また婚活に失敗したのかなと、邪推することひとしきりであった。

支援します

廊下をぐんぐんと進み、到着した場所は人気のない空き部屋。

平塚先生は周りを見回してから、扉を開いた。

「ここなら、丁度いい。入ってくれ」

「職員室ってこんな場所でしたか」

「まあ、職員が1人でもいれば、そこは職員室だ」

「…」

「それは冗談だが、あまり他の人に聞かれたくはない話なんだ。察してくれ」

やはり、婚活に失敗したのか…。

ポケットの中にハンカチとティッシュがあることを確認した。

経験上、平塚先生は意外とメンタル強いから、聞いている俺が泣く羽目になることは分かっている。

ほんと、誰か貰ってあげて!

俺のメンタルはもうボロボロよ!

そんなことを考えているとはつゆ知らず、

平塚先生は小さく息を吐いて、椅子にどかりと座りこんだ。

「…君の妹が怪異だったそうだな」

心臓が数拍止まった。

目を見開いて、平塚先生の顔を凝視する。

「なんで…知っているんですか」

「陽乃から聞いたよ。一部始終すべてだ」

「全て…ですか」

「あぁ、今お前が怪異と暮らしているのも知っている。だから、私は言わなくてはならない。

そんなのは止めろ、不可能だ」

「君の妹の怪異の名は『郭公』。その名の通り、かっこうの怪異だったな。

多くは飢饉が発生して、栄養不足によって

死んだ胎児を身籠った妊婦に憑りつくことで知られている」

平塚先生が胸ポケットから煙草を取り出し、火をつけると

彼女の顔に暗い影がよぎった。

「郭公はその胎児を喰い、それと同時に自身の子を産み付け、それは子宮の中で育ち

人の姿で出産され、育てられる。それだけならまだ可愛いものだが

問題はその次だ。覚えているか?」

それは質問というよりは、確認だった。

いつの間にか乾ききった唇を小さく動かす。

「自身の兄妹を殺す…」

「そうだよ、比企谷。自分が最大限生きるために、奴らはそうする。

それは習性というよりは、本能だ。

怪異が怪異である証明だ。

一個人の人間がどうこうできるものではない。

陽乃が今はそれを縛っているみたいだが、いずれほどけるだろうな」

平塚先生は煙草を持っていない方の手で、俺の胸を、正確には心臓の辺りを軽く衝いた。

「すると君は殺される。おそらく、抵抗なんてできないだろう。

先週の時点で全長10mはあったと聞いた」

「…」

「せっかく拾った命だ、無駄にすることはない。今からでも、陽乃に退治させる」

そこではじめて、平塚先生は俺の言葉を待った。

平塚先生の瞳は不安げに揺れていた。

俺は平塚先生に感謝して、そして、安堵した。

雪ノ下さんはすべてを平塚先生に伝えたわけではなかったのだ。

今日はここまでです。コメント嬉しいです、頑張ります

つまらんけどな
まぁ頑張れば?

応援はしたいけど……うん

乙です

文だと分かりずらいと思ったので登場人物の簡単説明です。


比企谷八幡…先週妹に殺されかかるまで、呑気にぼっちライフを送っていた。奉仕部の部員。

比企谷小町…先週怪異としての本能が覚醒し、お兄ちゃんのタマをとろうとした。怪異としての姿と人の姿を入れ替わる事ができる。

雪ノ下陽乃…怪異の専門家。小町の怪異としての本能を縛った張本人。

平塚静…陽乃と関わっていくうちに、怪異のことにも片足を突っ込んでしまった損な人。怪異に関して浅く広い知識を持つ。

雪ノ下雪乃…姉に似て文武両道、美人だが、毒舌なのが玉に瑕。家族関係は冷え切っている。奉仕部の部員。

由比ヶ浜結衣…恋する乙女。奉仕部の部員。

そういう問題じゃない

それならば、この場は切り抜けられるはずだ。

頭の中を高速で回転させる。

平塚先生の性格上、理屈をこねるのは下策だ。

ならば、感情に訴えかけていく。

「…先生は、小町と話したことありますか?」

「…ある。旅行へ一緒に行ったときに、二言三言だが。」

「どう思いました?」

「人懐っこくて、明るい子だと思ったよ」

「本当に、そうだと思いますか?」

平塚先生は口端を歪ませた。俺がこれから言わんとすることを察したのだろう。

煙草の柄が、先生の手の中でぐにゃりと曲がった。

平塚先生は呟いた。

「あぁ、確かに当時の私はそうだと思っていた」

これから言うことは、嫌な言葉だ。

手を差し伸べてくれた平塚先生に傷つけようとしている。

だが、平塚先生を諦めさせる為には最も確実な手段だ。

深く息を吸い込んで、言葉を吐き出す

「それが、平塚先生と俺の違いです。

俺は小町が、寂しがり屋なのを知っている。

小町が、家族を愛していたことを知っている。

小町が、俺のことを愛していたことを知っている。

退治しろとおっしゃる平塚先生は、小町を怪異としてしか見ていないんです。

それは当然ですよね、先生は他人だから」

「っ…確かに私は君の妹のことは詳しく知らない。

だが、君の事は多少知っているつもりだし、こんな自己犠牲を放っておけるか」

平塚先生の言葉は暖かくて、優しい。

だが、俺はそれを受け取る資格を既に失っている。

「平塚先生、優しさを押し付けないでください。

先生にそんなものを求めていません」

平塚先生は一瞬放心したようだった。

それから、先生のゆっくりと口がぎごちなく動いた。

「なら…私にどうして欲しいのだ」

そんなこと決まっている。

「俺のことを忘れて、そして

幸せになってください」

この部屋に入って初めて、俺は平塚先生に本音を告げた。

今夜はここまでです。臭い展開ですけれど、読んでくれた方ありがとうございました

乙です

登場人物の説明とかしてるSSが上手くいったの見たことないわ

「もう、部活へ行かないとどやされるので、失礼します。平塚先生」

立ち上がろうとした俺を、先生は手を上げて制止した。

「もし、もし、私が雪ノ下と由比ヶ浜にそれを話したら、どうするんだ」

想定外の質問だった。驚きで顔がこわばってしまう。

「あいつらを怪異と関わらせるような真似は、止めてください」

「ああ、そうだな」

平塚先生はそれ以上なにも言わなかった。

煙草を真っ直ぐに直してから、再び吸い始めた。

俺は胸中に一抹の不安を残して、そこを去った。

面白い

平塚先生と別れた俺は、見知った教室の前で足を止めた。

少女たちの声が扉の隙間から漏れ出ている。

もともと空き教室だったこの部屋も、にぎやかになったものだ。

初めは雪ノ下一人だったのが、俺が入り、由比ヶ浜が入った。

また、一色がときどき暇つぶしに来るし

材木座も原稿を持ってやってくる。

ここは俺にとって居心地の良い隠れ家となった。

それもこれからは変わっていくだろう

でも今だけは、俺の知っている場所であってほしい。

俺は扉に指を引っ掛け、おそるおそる開いた。

更新遅れてごめんなさい。ストーリーにようやく目途がついたので、頑張ります

乙です

部屋には二人の女性が長机の前に並ぶようにして座っていた。

手前側に座る童顔の今時風女子が手を振った。

「ヒッキー、やっはろー」

そして、奥側に座る、流れるような黒髪の女子はちらりと目線をこちらに向けた。

「久しぶりね比企谷、三日間ひきこもった成果はなにか得られたかしら」

怒っていらっしゃる。

小町の件で、幾日か病欠という名目で学校を休んだのだが、それを全く信用していないようだ。

流石だと言いたいが、本当のことを言うわけにはいかない。

「…うっす。病気が治ったのは成果だろう」

「そうね、ちなみにどんな病気だったのかしら」

「風邪だ風邪」

「貴方は風邪を引かないと思っていたのだけれど」

「どういう意味だ」

「人と話さないぶん、風邪をもらいにくいという意味よ」

「確かに…」

「そこ納得しちゃうんだ⁉」

「由比ヶ浜も風邪を引きにくいんじゃないか」

「むー確かに…って私がぼっちってこと?」

「ちがうちがう。風邪を引いても、気付かないということだ」

「それってとんでもないレベルの鈍感だよね⁉」

「きっと毎日が幸せだろうな…」

「痛々しいだけよ、イワン谷君」

誰だよ、イワン谷君。キラキラネームにもほどがあるぞ。

だいたい元ネタが『イワンの馬鹿』だと分かりづらいんだよ。

見ろ、由比ヶ浜の口がぽかんと開いてる。

それから隙を見て、俺はようやく自分の椅子に座った。

ふむ、雪ノ下の誤解というか正解をごまかせたようだ。

制服越しに伝わる冷たくて硬い感触が、今は心地よい。

勝者の余裕でゆっくりと教室を見渡すと

雪ノ下が目を細めて、俺を睨んでいることに気が付いた。

「結局、話すつもりはないようね。貴方らしいといえば貴方らしいのだけれど」

全くごまかせてなかったようだ。さっきまでの楽観的な自分が憎い。いや、雪ノ下が憎い。

しかし、雪ノ下はそれからふっと力が抜けたように言った。

「いいわ。でも連絡はしなさい。貴方も部員の一人なのよ」

「その…なんだ、連絡しそびれたのは悪かった」

「そう、それならいいわ」

雪ノ下はそれきり俺に関心を失ったように読書に戻った。

俺はその姿に違和感を覚える。

ごまかしを許すなんて、らしくないじゃないか雪ノ下。

そういうことを最も嫌っていたはずだが…。

だが、この疑問は、自分が勝手に作り上げた人物像の押しつけているから

生じているともいえる。

それは傲慢であり、うそだ。

ならばこの疑問に意味はない。

うそに、意味はない。

俺は生徒鞄から本を取り出し、雪ノ下と同じく読書を始めた。

他方で由比ヶ浜はいつのまにか復活しており、ケータイをいじっている。

その退屈で懐かしい時間は下校時刻になるまで続いた。

こんなに葉山をしっかり描いてるSSってなかなかないんじゃないか?
めっちゃ面白い!
本物が欲しい発言飛ばしてるのにヒッキーが本物を意識して前に進んでるのもすごくいいよね!
今まで読んだ俺ガイルSSのなかでもトップクラスに面白いので続き楽しみにしてます!

草生えた、訴訟

俺は面白いと思うよ
応援してる

乙です

同じ狼の怪異でも負物語 智也ウルフは秀逸だったからな。今度は独人狼ってとこか。
期待しない程度に待ってる

下校時刻を告げるチャイムが鳴る10分前に、俺は本を生徒鞄へいそいそとしまいこんだ。

5分前行動とは、物事の予定時刻の5分前には、それを行う場所に赴き、定時に物事を始められるように準備を整えておくためのものだが、この10分前行動

は違う。

この10分前行動はより早く準備を整えることができるが故に物事を待ちわびる人を苛立たせ、無意味な行為に走らせてしまうのだ。

御多分に漏れず、俺はあまりにも早く帰宅したいので

時計に向かって

「知っているか長針くん。

秒針くんはな、マラソンで『一緒にゴールしようね』と油断させておいて、60周差をつけてゴールするような薄情者だぞ。

だから秒針くんに構ってないで、長針くんは進んでしまうといい」

などと話しかけたこともあった。

ちなみに、我ながら説得力がある例えだと思ったので

由比ヶ浜にも教えてやったのだが背中を優しく撫でさすられた。

なぜだろう、間違ったことは言っていないはずなのに。

これは今でも謎だ。

だが今日はどうやって長針を説得しようか脳内に妄想をのさばらせている内に、雪ノ下と由比ヶ浜が帰宅準備をし始めた。

「いつもより、終わるのが早くないか」

不審に思い尋ねると、雪ノ下がこともなげに答えた。

「あの時計、15分遅れているの。電池を取り換えようとしたのだけれど…そのとき丁度いい足場がなかったのよ」

足場の部分で俺を見るのはやめろ。

本当の理由は、時計の高さに手が届かなかったのだろう。

黒板の上に置かれた時計が、椅子を台に上っても結構な高さがある。

部活の顧問である平塚先生の身長は高いが

この部室に来る頻度が低いし、仕方がない。

「そうだな、明日にでも直すか」

「ええ、電池は既に用意してあるから、…お願いします」

『お願いします』と同時に不満げに頬を膨らませた雪ノ下は負けず嫌いなのだと思った。

それから、奉仕部は解散し、三人の部員は思い思いの場所へと散った。

今日はおわりです。応援うれしいです、がんばります

時計のくだりが矛盾しているので、時計が10分進んでいて八幡はその調整をするということで補完をおねがいします
これからは進行を少し遅くして推敲をしていきます

まだ遅くなるのか・・・

乙です!

玄関口から出ると、夜の空気がむわっと俺の体を纏わりついた。

とうとう夏が始まった6月の中旬、正確には13日だが未だに世界は太陽によって蒸されている。

自転車にまたがったときには、額の上にじっとりと汗が浮かんでいた。

それでもこぎ始めると、汗が蒸発して幾らかましになった

余裕がでてきた俺は、目線をあたりに軽く走らせた。

住宅街に伸びる一本の道路。電柱がそれに付き添うように立ち並び、ちらほらと蛍光灯で足元を照らしている。

人の姿はちらほらと見かけるものの、大体は主婦と学生のようだ。

全国のお父さんはまだまだ働いているということだ。合掌。

やはり俺が専業主夫を目指していたのは間違っていないということを再確認する。

まぁ、もうなれないのは確実なのだが。

気がくさくさしてきた俺はすっと上を見上げた。

夜空は暗かった。

ちっぽけな星がわずかに光っているものの、黒々とした雲によって簡単に飲み込まれてしまう。

真っ暗なカーテンが揺らめくこの舞台は月が独占しているようなものだ。

月だけはいかに飲み込まれようとその輝きをもって、悠々と突き破ってくる。

ただ、満月ではないのが残念だ。

半円に楕円を無理やり繋げたような、歪な形は人を不安にさせる。

そういえば今日は十三夜、あと二日もすれば十五夜を迎え、完全な姿を拝むことができるだろう。

そう考えると、ちょっとした楽しみができた。

小町に殺される前に、それぐらいはできるかな?

380000キロメートル離れた異星人からの問いに対して

月は黙して、語らなかった。

「ただいま」

「おかえりー。今日はハンバーグだよ、お兄ちゃん」

「お兄ちゃんて呼ぶな」

ようやく我が家に到着した俺は比企谷小町に迎えられる。

彼女は今日の料理当番なので、エプロンをつけ台所に立っていた。

俺は荷物を自分の部屋にどさっと置いてから、居間のソファの上でごろんと寝転がった。

そして目をつむると

平塚先生の忠告が、雪ノ下の憎まれ口が、由比ヶ浜が人懐っこく笑う表情が

網膜の上に浮かび上がってきた。

…まだ、俺は悩んでいるというのだろうか。

しかし俺の思考は

ぐちゃぐちゃグチュ!

という身の毛もよだつような音によって遮られた。

慌てて起き上がり、台所へ向かうと

小町がひき肉と卵をボウルの中でかき混ぜていた。

普通はビニール袋等で手を覆ったりするものだが

あいつは直接手でかき混ぜるのが好きなのだ。

なんかコワイ。近い日に俺の内臓を思いっきりやられそうだ。

こうなると眠れないので、仕方なく台所へ顔をだすことにした。

「なんか、手伝うことあるか」

俺が声をかけると

小町は細かい肉片が付いた両手をいったん止めた。

「うーん、そうだ。たまねぎをみじん切りにしてよ、にぃに」

一瞬、時が止まる。震える声で俺は言った。

「…こ、こまち。まさかあの秘蔵のゲームを」

「にぃに、早くお願いね。あとあんな妹はこの世に存在しないよ。

分かっているとはね、思うんだけど 一 応 ね」

小町はもうこちらを見ようともしない。

むしろこれまで以上に肉を荒々しく、叩き付けるようにしてこねはじめた。

アマガミってレベルじゃねーよこれ。

喉笛まで食いちぎられてるよこれ。

今日はこれまでです これから早く投稿するようにします、ごめんなさい


待ってるぞ

乙です

             ,、         ,、
             |;;\       / ;i
             |;; `'、_/^ヽ-=/ ;|
             |_ /〈  〉 l二l\_〈  _人人人人人人人人人人人人人人人_

             l/  ヽ_/ l二l   l >    こいつで遊んでやるぜ!!  <
             | \\    l二l ,.-,.  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^
           _/.::( ゚\\ <l'二二L]_

           \   ̄ /o\     /

             \  ノトエエエイヽ   /
              ヽ \   / /
        __/ ̄/ ̄ ̄/ ̄ ̄/_γ⌒\

       ◎_| ≡|二二|≡ | ◎_) ヽ |
      ◎◎_\__\__\__◎◎ )丿_ノ
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     ヽ===|________V≡≡|~)~~|√|√|√~

ギャルゲーを妹に発見される兄貴のクズ

いま、小町の小さな手の中で握り潰されているお肉はきっと俺を恨んでいるだろう。

だが俺だってこんな風にはなりたくない。

棒のようになった腕を動かし、目前に置かれた玉ねぎを刻むことにした。

サクサクサクぐちゃ!…サクサクどちゃ!…サクべちゃ!…

言外の批判を受けながらも、俺はなんとか玉ねぎをみじん切りすることに成功した。

「で、できたぞ」

「うん…ありがとう」

小町は俺に一瞥をくれると、再びお肉を虐める作業を続ける。

やはりあのゲームを見られてしまったのは相当にまずかったようだ。

なんとか弁解しなければならない。

「小町、俺は男だから仕方ないんだ。ああいうゲームもしたくなる」

「うん」

「…小町の目に留まるところにあったのは悪かった、ごめんな」

「もうそれはいいよ」

あれ?どういうことだ。この返答が本音だとしたら何がそんなに気に入らないんだ。

首をかしげる俺を尻目に小町はこま切れとなった玉ねぎをボウルへ勢いよく入れた。

「…本当にお兄ちゃんは分からないんだ」

「だからお兄ちゃんって呼ぶなって」

小町がぴしゃりと言った。

「小町が言ってるのはね、その『お兄ちゃん』って呼ばせてくれないことだよ

あんな作り物の妹がいいの?ごみぃちゃんは」

小町の不満の原因はお兄ちゃんと呼ばせてくれないことと、アマガミの橘美也ちゃんに対する嫉妬だった。

過激な描写があるので、苦手な方はお気を付けください

「それは誤解だ。前にも言ったろ、『お兄ちゃん』と呼ばないことで…」

「お兄ちゃんを兄妹だという認識から外す、でしょ。そして、『これはお兄ちゃんの命を救うためだから守りなさい』あの女の馬鹿馬鹿しい戯言だよね」

小町は苛ついた様子で言葉を被せた。

「でも、それだけで兄妹の契りが消えるわけがない。だからお兄ちゃんは私によそよそしくなっていった。これもあの女の命令でしょ」

小町の言う通り、確かに雪ノ下さんは、怪異に深く関わるなと忠告した。

俺がそれを順守していたわけではないが、小町が気づく程度には避けていたようだ。

「仮にそうだとしても、俺だってみすみす殺されたくはないんだ。協力してくれ」

「そこだよお兄ちゃん!私ね、『お兄ちゃん』のこと『殺さなくちゃいけない』なんて思わなくなったんだよ!」

小町は目を輝かせて、堰を切ったようにしゃべり始めた。

「お兄ちゃんがあの女から私をかばってくれたあの時から、胸の奥から響いてた叫び声がやっと聞こえなくなったのっ!

うるさくてうるさくて、気が狂いそうになったあの声がやっと消えた!

小町はね、自分が人間でも怪異でも構わないけど、『お兄ちゃん』を殺したくなんてなかった!

確かに…あのときだけは…私は私じゃなくなってたよ。完全におかしくなってた…。

でもお兄ちゃんが小町をかばってくれたから、私は変われたんだよ」

息も絶え絶えになった小町は潤んだ目で俺を見た。

「はぁっ…ぁん…お兄ちゃんなら信じてくれるよね?」

期待

「…信じる。俺は小町を信じる」

言葉が口を衝いてでてきた。

小町は鼻をすすって、前腕で目を塞いだ。

やがて嗚咽の混じった泣き声が空間を静かに満たした。、

あぁ、やはり、怪異であっても小町は優しくて、寂しがり屋だった。

怪異の本能に抗い続けて苦しんでいることに俺は気付かなかった。

名前を呼ばせないことを気に病んでいたことも俺は知らなかった。

ただ、俺はお前を知らなかったんだ。

それは平塚先生と同じように、他人だという理由で。

そして、お前は知らないんだ。

お前は雪ノ下さんがお前の怪異としての本能を縛っていることを知らない。

それがいかに脆いものか予想もつかないのに、自分が『変われた』と錯覚していることにも気付いていない。

それでも、俺は小町を信じられる。

言葉ではない、何かを、小町からもらった気がしたから。

今日はここまでです。コメントくださる方、とてもうれしいです。頑張ります

乙です

俺ガイルでやる意味はあるの?

その後の夕食は、普段よりも口数が少ないくらいだった。

珍しいことではない、小町と仲直りしたときはこんなものである。

お互いに気恥ずかしさが先だって、会話が弾まないのだ。

俺は夕飯を早々に平らげ、食器洗いを済ませてから

自部屋に閉じこもった。

そして、ようやく冷静になった。

客観的にみて、俺は馬鹿だ。

小町との関係を改善するということは、命を自ら縮めるようなものだ。

また、そんなことをしておいて後悔をしていない自分に驚く。

どこのゲームの主人公だよ。例えるなら自分の命を引き換えに魔王を倒しそうな勢いだ。

だが俺は魔王の手下になって勇者に斬られるのが適役だ。そのあとアンデット化して使いまわされるまである。

雪ノ下曰く、俺がぼろぼろの服を着ればゾンビに限りなく近づけるらしい。

真顔で言われたので、きっと本当にそうだと思ったのだろう。

もしくは、その直前に『雪ノ下の雪女の衣装が似合っていた。

むしろ雪女が雪ノ下に化けていたのか』と軽口を叩いたのがいけなかったのかもしれない。

さて、魔王で思い出したが

このことを雪ノ下さんに知られたら、間違いなく(雪ノ下さんが)楽しいことになるだろうな。

あの甘い唇で醜く開いた傷口を愛するように嬲るのだ。

『えーお姉さん驚いちゃった。比企谷君って小町ちゃんに随分と傾倒しているんだねぇ。

良かった~自分が妹よりも価値が低いだとか、生きるのが面倒だとかそういう理由で

妹ちゃんを助けようとしているんだと思っていたよ。見直したよー比企谷君♡』

…ああ、携帯を持っていなくて、本当に良かった。

それでも、雪ノ下さんの言葉にむしゃくしゃした俺は呟いた。

「俺は、もう後悔はしていない。覚悟を決めたんです。

逆に雪ノ下さんが俺の立場ならどうしますか。

妹の雪ノ下を、助けるんですか」

雪ノ下さんの幻影は、眉一つ変えずに頷いた。

「当たり前でしょ、大切な妹なんだから」

俺にはどうしてもそれが真意だとは思えなかった。

「起きて、お兄ちゃん。遅刻しちゃう!」

目を薄く開けると、パジャマ姿の小町が布団を揺らしていた。

「…ぁう、ありがとうな。小町」鉛のように重い瞼を持ち上げ、小町を視界に入れる。

「えっ…と…どういたしまして」

小町はぎごちなく目をそむけると、パジャマの裾をいじり始めた。

俺もまた、時計を見るふりをして視線を外す。

朝の暖かい陽光とは裏腹に、この部屋には粘土が詰まっているようだ。

重苦しい空気を取り払うべく、俺はわざと声を張り上げる。

「げっ、もうこんな時間か。自転車で飛ばしてもぎりぎりだな…急ぐと危ないから諦めるか」

小町がはっと顔を上げる。

「あっそうだった。もうお兄ちゃんの自転車だけが頼りなの。お兄ちゃんが頑張ってくれたら、小町的にポイント高い!」

「ならやってやる―――――ところでタクシー会社の電話番号を知っているか」

「さっそく人に頼りだすお兄ちゃんにびっくりだよ。

しかもタクシー会社ってなに」

「いや、小町を送ってやろうとだな」

「あー分かった。とにかく早く着替えて一緒に出発しようね」

小町は胸元のボタンをはずしながら、部屋から去っていった。

このシチェーション、某ノベルの千葉の兄妹ならラブコメだったはずだが

現実はこんなものだ。

だが、こんな朝もわるくない。

汗水たらして自転車をこいだ結果、小町の始業時刻には間一髪で間に合った。

それはつまり、俺は間に合わないことを意味する。

誰もいない下駄箱で靴を履き替え、廊下をとぼとぼと歩く。

しばらくして俺は自分の教室に到着した。

幽霊になったつもりでそろーりと扉を開くと、真っ先に由比ヶ浜と目があった。

俺に小さく手を振る由比ヶ浜には霊感でもあるのだろうか。

数ミリ頭を下げたあと、自分の席へ向かう途中

「ばかだね」

そんな声がどこからか聞こえたが、結局その正体は分からなかった。

学校は平常と変わらなかった。

俺は相変わらずぼっちであったし、戸塚は天使だったし

国語の先生は独身だった。

先生が俺と目線を合わせようとすることが何回かあったが、俺は躱し続けた。

先生に当てられるなんて、嫌だからな。

それだけの理由だ。

今日はこれまでです。ようやく雪乃の話に移ります。
そこで、これから雪乃の一人称で書きたいのです。八幡の方が読みやすいならばそのまま進めます。どうか教えて下さい

乙です

スレ立ててからもう1ヶ月以上過ぎてんのか・・・・

雪乃かなー

書きたい方で書こう

同時刻、比企谷八幡がいる教室から50mも離れていない教室に私はいた。

先生が黒板に書いた文字を、ぼんやりと眺める。

そして、頭の中ではあの男のことが走馬灯のごとく駆け巡っていた。

あの男とは比企谷八幡、奉仕部の仲間だ。

彼の性格と言えば陰気で、物事を斜に見るのが大の得意。

それでいて、人の為に自分を犠牲にできる勇敢だ。

世論にずたずたに引き裂かれても、強がりを言えるほどに。

しかし、逆に言えば他人を傷つけることを彼はひどく恐れている。

それを知っているのはこの学校ではごく少数のひとだけ。

平塚先生、由比ヶ浜さん、そして私。

言い換えれば、彼はそれほどに孤独だということ。

だから、比企谷君は腹を割って話せる家族を溺愛している。

特に小町さんに関しては目に入れても痛くないといわんばかりに

可愛がっている。

だからって

だからって

しぬことはないでしょう。

途端に昨夜のことを思い出されて、頬がかっと熱くなった。

落ち着くために目を閉じて、小さく息を吐く。

平塚先生、この依頼だけは必ず解決します。

私は誓いの言葉をふたたび胸に刻んだ。

「ゆきのん、ゆきのんってば!ウインナー落ちちゃうよ!」

ふと我に返った私は、危うく箸からすべり落ちそうになっていた彼を慌てて締め上げた。

だが、その勢いが強すぎたのか、強度の低い切れ目から真っ二つに切断してしまった。

「わ、わ、わ」

由比ヶ浜さんの声に合わせるようにして、彼の亡骸はリノリウムの床の上を転がっていく。

やがて、纏わりついた埃で動くこともできなくなった彼は恨めしそうに私を睨み付けていた。

どちらが上半身か下半身か分からないような姿だけれど、鬱陶しいことこの上ない。

私は箸を置いて、ティッシュによる回収作業へ移った。

埃と油脂まみれの片割れを純白の繊維に包んでやる。成仏なさい、ウイン谷君。

もう一方に目をやると、由比ヶ浜さんが拾ってくれていた。

「由比ヶ浜さん、私が拾うから座っていて構わなかったのよ」

「いやぁー、こういうのって手伝うようにしてるんだ。わたしよくえんぴつとか消しゴムとか落としちゃうし、ちょっとした心がけみたいな?」

「情けは人の為ならず、ということかしら」

「それ、二つの意味があるんだよね。ずっと前に、ヒッキーに小ばかにされたから覚えてる。意味は忘れちゃったけど」

由比ヶ浜さんは死んだウインナーをゴミ箱へぽとりと落とした。


無事にウイン谷君の死体処理を完了させ、昼食を再開すべく着席すると

由比ヶ浜さんが眉をきゅっと寄せて、尋ねてきた。

「ゆきのん、具合わるいの?」

「いいえ、普段と変わらないわ」

「じゃあ考え事?」

「ええ、それだけのことよ。だから心配は要らないわ」

それを聞くと由比ヶ浜さんはぷくぅと頬を膨らませた。

「そう言って、一人で無理したこともあったよね」

「あの時と状況は大分違うの。それに今度は体を壊すような失態は犯さないわ」

由比ヶ浜さんはどこか納得いかない様子だったけれど

『無理はしない』という約束を取り付けると

深くは突っ込もうとはしなかった。

私は、ひそかに胸を撫で下ろした。

これって読んでる人おるん?

自己満足の為に書いてるので、たぶんいないと思います
それでもいいのでどうか荒らさないでください

まあいるで

見てるよ

由比ヶ浜さんに比企谷君のことをまだ話すつもりはない。

それは、平塚先生から教えられたこの事件の原因が余りにも不明瞭だからだ。


事の発端は昨日の夕方に遡る。

部活動を終えた私は、部室の鍵を返しに職員室へ行くと、平塚先生に呼ばれた。

平塚先生は二言三言世間話をしてから、比企谷君の調子を訊ねた。

私は特に変わった様子はなかったと答えた。

彼の事だから引きこもりになる前兆かもしれないとは、一応付け加えておいた。

彼のメンタルに、全幅の信頼を置いているからこそ言える冗談だ。

だが、平塚先生は苦虫を噛み潰したような顔をして

拳を机に叩きつけた。

『雪ノ下が思っている以上にばかなんだよ…比企谷は』

それからすぐに職員室中の視線を集めてしまったことに気づいた平塚先生は

場所を変えようと提案した。

比企谷君のことで話があるのだという。

彼のことで、なぜ私が呼び出されるのか?

不思議と悪い気はしなかったが、この疑問は拭えない。

しかし平塚先生の張り詰めた表情が、私に疑問を挟む余地を与えなかった。

そして彼女の全身から発散されるエネルギーが私を圧倒する。

こんなことは、今までなかった。

比企谷君にそれほどのナニカが起きているというのだろうか。

狼狽した私は、平塚先生の案に従うより他なかった。

私は平塚先生に連れられて、生徒相談室へ向かった。

その間、私と先生は何も話さなかった。

言葉を発せば、全てが明らかになる、そんな気がしたのだ。

その沈黙の中、目的の生徒相談室へ到着した。

そこは見た目窮屈そうだが、恐ろしいほどに閑散としていて

秘密の会話をするには適していた。

それでも廊下に人がいないか確認してから、先生と私は入室した。

これほどまでに先生が用心深くなる理由はなに?

得体のしれない不安が心臓をきゅっと絞めつけた。

HTML依頼だしました。構想をまとめ切れませんでした、くやしいのでそれを書かせてください。

雑談スレで相談されたときにそれ誰も読まないよ、完走できないよって真面目に答えてあげたのを荒らし扱いされたのが残念でした

この後、雪乃が八幡が死を受け入れることを知らされ、彼を説得を試みたものの拒否される予定でした。
雪ノ下は既に依存していたので、衝撃を受けます。、その前日で八幡が休んだ理由を問い詰めなかったり、由比ヶ浜に八幡のことを伝えなかったのは、彼を理解できている私でいたいという密やかな願望でした。
さて肝心の狼の怪異は赤ずきんに倣って、人を喰いそれに化ける性質にしました。
理由は、童話では幼女を喰らうのに老婆に化けるという回りくどい方法をとりますが、それはその狼が一匹狼で孤独を紛らわす為の遊びだと考え上記の怪異にしました。
雪乃は、自分の持ち合わせていない家族愛への嫉妬と、これから訪れるであろう孤独への恐れから憑りつかれます。
そして、いよいよ小町を呑み込んで『妹』に成り代わって、八幡と対峙するつもりでした。

でもそれから先どうなるかが全く思いつきませんでした。
今まで読んで下さった方すみませんでした。

>>80
いえ、雑談スレで答えて下さった方を荒らしと思っていません。
むしろやる気がでました。
荒らしだと思った方も、今考えると辛口で批判してくださったのだと思います
誤解を生ませるような書き込みをしてしまい、申し訳ありませんでした

とりあえず乙
また思いついたら戻ってきてほしい

乙です

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