黒咲「俺達の戦場」 (2)

始まりは何時だって、どんなときだって唐突だ。そう。何かが壊れる瞬間は前触れなく、唐突に俺の目の前に現れる
あの日も、唐突だったんだ

「おーい、隼!」

学校も終わり家に帰る道で俺を誰かが呼ぶ
と言っても俺をこんな親しげに呼ぶのはアイツだけなのだが

「どうしたユート、宿題は手伝わないぞ?」

先手を打ってやると図星なのかうっとユートは顔色が悪くなった

「い、いやぁ…二人でやれば宿題も早く終わるから一緒にどうかな?…なんちゃって…」

「やるのはいつも俺一人だけだろ?お前は写してばっかりじゃないか」

やはり痛いとこを突いてやるとユートは困りきった顔をした。相も変わらず授業中は寝てばかりだから勉強が出来なくなるのだ

「仕方無い。今回だけだからな?」

「流石隼!早速お前の家でやっても良いか!?」

さっきまでの追い詰められた表情から一転して嬉しそうに様変わりした表情にはやれやれとため息をこぼしてしまった

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「相変わらず隼の家って大きいよなぁ~」

呑気な声を上げながらユートは感心した。宿題をやりに来たのを忘れてはいないか?
見ると家の前に誰かが立っている。俺達と同じ制服である

「お帰りお兄ちゃん!あっ!ユートも一緒なんだ」

「帰ってたのか瑠璃。…もしかして鍵持っていくの忘れてたのか?」

当たっていたのか瑠璃はてへへと頭をかいて照れて肯定した
妹の瑠璃は少しだけ抜けているところがある。良く鍵なんかを忘れたりなんてするので困ったものだ。決まって届けるのは俺かユートの役目になっている

「まったくしっかりしろよな~瑠璃」

「ユートにだけは言われたくないもん!」

「俺は瑠璃よりはしっかりしてるから。うっかり瑠璃とは違うんだよー」

「俺からしてみたらお前ら二人ともしっかりしてないけどな…まだまだ二人とも世話のかかるお子さまだな」

二人してお子さまじゃない!とシンクロした文句を言われ、笑いを堪えきれず三人して笑ってしまった

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