艦これより、川内型軽巡洋艦一番艦、川内のSSです。コンセプトは「川内さんは正統派美少女可愛い」
↓過去作
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【艦これ】提督「中破した浴衣浦風を襲ってしまった……」 - SSまとめ速報
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提督「……なあ川内」
川内「!! 何、夜戦?!」キラキラ
提督「……ではなく」
川内「……なぁんだ」シュン
提督「単なる雑談なんだが……お前、好きなものとかあるか?」
川内「夜戦!」
提督「……夜戦以外で」
川内「夜!」
提督「……以外で」
川内「えー……うーん」
提督「…………」
川内「んんん……月、とか。星、とか。夜風、とか」
提督「……夜に関係するものばかりじゃないか。夜と関係なく好きなものってないのか?」
川内「うぅん……好きなもの……」
川内(私が好きなもの……好きなもの……好き……)
提督「…………」
川内「…………」ジーッ
提督「…………川内?」
川内「……えっ?」
提督「……そう睨むなよ」
川内「え、いや……えぇっ??」
提督「?」
川内(えっ、好きなものについて考えてたはずなのに私、提督を見て、た……?)
川内(えっえっえっ。それって……それって?!)
提督「川内、どうしたんださっきから」
川内「あ、やっ、その……」アセッ
川内「……そ、そうだ! 私夜間演習に行かなきゃ! て、提督、またね!」ダッ
提督「あ……」
提督「……うーむ」
・
・
・
川内「――っはあー、びっくりした……」
川内(……少し落ち着いたところで、もう一度考えてみよう)
川内(私は夜戦が好きだ。これは間違いない)
川内(夜戦ができるから夜が好き。だけど暗いのが好きなわけではなくて、闇を照らす月や星も好き)
川内(夜と関係なく好きなものも普通にあるけど、夜戦と同じくらい好きなものというと……)
川内(…………)
川内(……提督は……上官として、戦友として、信頼してるし尊敬もしてる……男性としては?)
川内(…………)
提督『――川内』
川内(…………)カアァッ
川内(あー……誤魔化してみてもこれってやっぱ、そういうことだよね……)
川内「参っちゃう、なぁ……」
・
・
・
提督「お、川内……」
川内「! ご、ごめん! ちょっと今忙しくて!」タタッ
提督「……?」
・
・
・
提督「川内、ちょっと……」
川内「! あー、今から、三水戦の娘たちを指導しなきゃいけないから!」ソソクサ
提督「……ふむう?」
・
・
・
川内(……あの夜から数日、提督と会話をするどころか、顔もまともに見れてない)
川内「……はぁ」
神通「……姉さん、どうしました? 先日から様子がおかしいですよ?」
川内「ん……何でもないよ」
神通「しかし……」
川内「ごめんね、心配かけて……大丈夫、だから」
神通「……本当ですか?」
川内「ん……」
神通「……解りました。……夜更かしは控えて下さいね」
川内「……解ってる」
川内(……ダメだなぁ、妹に心配かけてるようじゃ)
神通「……では私は行きますよ」
川内「……」ボー
神通「……」スッ
川内「…………忍ぶれど」ボソ
神通「……」ピタ
川内「……色に出でにけり、わが……恋は、か」
神通「…………恋?」ピク
川内「!! じ、神通、まだ居たの……?」
神通「……恋をしているんですか、姉さん?」ズイ
川内「い、いやそんな……聞き間違いじゃ」
神通「隠しても駄目です。相手は? 提督ですね?」ズズイ
川内「じ、神通、目が怖い……」
神通「どうなんです」ガシッ
川内「う……」
神通「……」ジッ
川内「…………」
川内「……神通の言う通りだよ」
神通「……」
川内「好き……なの、提督が」
神通「……そうですか」
川内「……ごめんね」
神通「? なぜ謝るんです?」
川内「え、だってさっきの反応……神通も提督が好きなんじゃ……」
神通「…………」ポカン
神通「いえ全く」
川内「え?」
神通「夜戦のことしか頭にない姉さんにも人並みの感情が芽生えたのかと思うと感慨深くて、つい身を乗り出してしまいました」
川内「…………あ、そ」
神通「それで、姉さん」
川内「ん…?」
神通「先ほどの様子だと、まだ提督に想いを伝えられてはいないようですね」
川内「う……だ、だって」
神通「だって、ではありません。昼でも夜でも真っ先に敵に切り込むべき軽巡洋艦が、そんな気弱でどうします」
神通「水雷戦隊旗艦、川内型の名に恥じぬよう、華々しく突っ込んで下さい」
川内「…………神通」
神通「……屍は拾ってあげます」
川内「玉砕前提!?」
神通「そのぐらいの覚悟をして下さいという意味です」
川内「それができれば……」
神通「して下さい」
川内「いや、でも」
神通「腹」ニコ
川内(ビク)
神通「括って下さい?」
川内「……うぅ……ぐぐ」
神通(ニコニコ)
川内「~~っ! ああもう、解ったよ!」スクッ
川内「言えばいいんでしょ、言えば! フンだ! 神通の鬼! スパルタ!」バタン
神通「…………やれやれ」
神通(何も気に病むことなんてないのに……世話が焼けます)
神通「……それにしても」
神通「妹を鬼呼ばわりするような人には……躾が必要かもしれませんね……ふふ……」ニコォ
・
・
・
川内(――と、神通に啖呵を切ったのはいいけど)
川内(ウロウロ)
川内(いざ執務室の前に来ると……決意が……)
川内(……落ち着け、深呼吸……自然体、自然体……)
川内(…………)
川内「……よ、よしっ」コンコン
(…………)
川内「……あれ?」
川内「提督ー?」コンコン
(…………)
川内「中にいるはずだけど……」
川内「入るよー……?」カチャリ
・
・
・
川内「……提督?」
提督(……グゥ)
川内「……なんだ、寝てる、のか」
川内「…………」
――半ば無意識に、川内の手が提督へと伸びる。
髪を撫で、頬を撫で、やがて指先が唇に触れる。
しばしの逡巡の後、指先がつつつ、と唇をなぞる。
ゆっくりと一周してから、名残を惜しむようにそっと指を離した。
川内はその指をじっと見つめると――
川内「…………」
愛おしむように、己の唇に当てた。そして、わずかに残った温もりを逃すまいと、深く息を吸い込む。
川内「…………提督」
提督「…………んむ」ムク
川内「!!」サッ
提督「ふぁあ……いかんいかん」
川内「……」ドキドキ
提督「ん……川内?」
川内「……お、おはよ、提督」
提督「いや、今真夜中だろ……どうしたんだ、突然?」
川内「あー、うん、えとー……」
川内(あああああ、さっきので頭が空っぽになっちゃって、言葉が何も出てこない!)
提督「……?」
川内(何でも……何でもいいから、とりあえず場を繋がないと……)
川内「……き」
提督「き?」
川内「今日は……いい、夜空だなぁ……と、思って……」
川内(って、結局夜の話か、私!)
提督「夜空……?」クル
提督「……ああ、確かに今日は月が明るいな」
川内「うん、それでー……」
提督「ん?」
川内(ええい、どうとでもなれ!)
川内「よかったら……ちょっと……そう、二人で散歩でも……しない?」
提督「…………」パチクリ
提督「お、おお……構わんぞ」
川内「! ほ、ほんと? ……よかったぁ」
提督(何だか今夜の川内は……女の子らしい、雰囲気だな……)
提督(…………)
・
・
・
川内「…………」
提督「……月は明るいが、星はかえって見づらいな」
川内「そう、だね……」
提督「…………」
川内「…………」
提督「……少し冷たいが、風は気持ちいいな」
川内「そだね……」
提督「…………」
川内「…………」
提督「…………」
川内「……今日は」
提督「ん……」
川内「今日は、静かな夜だね……」
提督「……いつも静かだよ。誰かさんが騒いでさえなければな」
川内「……私、そんなにうるさいかな?」
提督「……まあ皆はそう言ってるな」
川内「……そか。今度から、気をつけてみるね……」
提督「え……」
川内「え?」
提督「…………」
川内「……提督?」
提督「……その……俺は、聞いていたいけどな」
川内「……え」
提督「川内の、元気な声……」
川内「提、督……?」
二人の足が止まる。熱っぽい視線を向け合う二人を見ているのは、静かな海と、明るい月だけ――
提督「…………なあ、川内」
川内「……待って、提督」
提督「……」
川内「私が……言う」
提督「……」
目を閉じ、胸の前で右の拳をぎゅっと握る川内。一度深呼吸をすると、意を決して目を開いた。
川内「――好きだよ、提督」
川内(――あれ)
川内(言葉が、自然に出た)
川内(そっか)
川内(恋って……夜戦より、ずっと簡単なんだ)
川内(ずっと簡単で……ずっと、温かい)
川内「私が夜と関係なく好きな……夜戦よりも好きな、たった一つのもの」
川内「それが……私にとっての、提督」
川内(……言っちゃっ、た)
提督「…………」
提督「……弱る、なぁ」
川内「……提督?」
提督「……こういう時は、男の側から言うのが甲斐性ってもんだろうに」
川内「あ……ご、ごめん」
提督「い、いや、責めてるんじゃない。むしろ……」
提督「……すごく、嬉しいよ。俺も……川内が、好きだ」
川内「! ……提督っ」ダキッ
提督「おっと……」ギュ
川内「…………温かい」
提督「……」
川内「……すごく、温かいよ」
提督「そうか……」
川内「うん……」
提督「……そうだ、川内」
川内「何……?」
提督「俺の上着の右ポケット……見てくれないか」
川内「ポケット……?」ゴソゴソ
川内(……小箱?)パカ
川内「あっ……」
川内「三日月と星型の……ブローチ?」
提督「ちょっと間の抜けたタイミングになってしまったが……お前に、プレゼントだ」
川内「…………」
提督「……あー、気に入らなかったか」
川内「う、ううん! そんなことない!」
川内「いい、よ……すごく、いい」
提督「……本当か?」
川内「うん……こういうの、好きだな……」
提督「……なら、よかった」
川内「でも、何でこんなもの……?」
提督「…………」
提督「明日……いや、もう今日か」
川内「……?」
提督「お前と……初めて会った日、だろ」
川内「あ……!」
川内(そうだ、一年前の今日、私は提督と出会ったんだ……)
川内(夜戦して、改になって、改二にもなって……)
川内(妹や三水戦の娘と過ごすことが多かったけど……)
川内(提督とも、今日まで時を重ねてきたんだ……)
川内(そしてこれからも、重ねていくんだ……)
川内「…………」ギュッ
川内(これからもっと……提督の役に立ちたい。提督に、褒めてもらいたい。提督と……一緒に、いたい)
川内「……そっか」
提督「どうした?」
川内「いや……私にとっての夜戦って、いつの間にか目的から手段に変わってたんだな、って気づいて」
提督「手段……?」
川内「……うん。……提督に、褒めてほしい、構ってほしい……って」
提督「……川内……ああっ、もう!」ギュウッ
川内「……提督……」
強く抱きしめ合う二人。深夜の冷たい風が吹き付けるが、胸の奥から湧き上がる熱はそれを打ち消す。
長い時間そうしていたが、不意に、そして同時に、腕に籠める力が緩められる。
頬が擦れ合いそうなほど近くで隣り合った顔が、そろそろと向きを変える。
視界の端に相手が現れ、視線が絡まり、そして温かな吐息が混じりあう。
二人は同時に目を閉じ、首を傾けた――
川内「んっ……」
触れた唇から、互いの熱を交換し合う。火傷したかと思うような錯覚が引いてからは、舌でも。
一年分の想いと、未来への誓いを込めた、長く、濃厚なキス。
ようやく唇が離れたかと思えば、糸を引く唾液さえ惜しいというようにまた唇を付ける。
荒い息を吐きながらも落ち着いたのは、呼吸が苦しくなるほど長いキスを終えてからだった。
川内「っはぁ……」
提督「……ふぅ」
川内「あうぅ……」
提督「どした?」
川内「……」チラ
提督「?」
川内「…………」グイッ
提督「んむ……」
川内「ん……んん~っ」
川内「っぷは、っはー……」
提督「ぷは……川内……?」
川内「……熱い、の。体が……提督」
提督(ドキッ)
川内「……ねぇ、提督……私、と夜戦……しよ…?」
提督「せ、川内!? そ、そそそれは……!」
川内「……解ってる、よ。私だって……何、言ってるか」ギュッ
川内「……ね? 夜戦、しよ……?」ボソボソ
提督(…ゴクリ)
川内は足元が覚束ないといった様子で提督にしな垂れかかる。
提督は川内の体をしっかりと抱き寄せると、互いに寄り添いあって鎮守府へと戻っていった――
本編はここまでなんじゃ
後日談
川内「さあ皆、今日も張り切って行くよ~!」
吹雪「…川内さん、最近調子良いよね」
白雪「それに、綺麗になった気がします」
初雪「……男の気配」
深雪「えぇ、あの川内さんが? まっさか~」
磯波「うぅん……どうなんでしょう」
川内「ほらほら、お喋りしてないで」キラッ
吹雪(あれ?)
吹雪「川内さん、マフラーに付けてるそのブローチ……前からありましたっけ?」
川内「ん? ……ああ、これね」
川内「…………ちょっとね」サスサス
初雪「……怪しい」
深雪「え、マジで男からなの? 相手は、まさか司令官!?」
白雪「ち、ちょっと二人とも!」
川内「さあ、どうかな~」ニヤ
初雪「女の余裕……」
磯波「はわぁ……」
川内「ま、一つだけ言えるのは……」
五人(ジッ)
川内「私は別に……夜戦だけが好きなわけじゃない、ってことかな」
吹雪「そ、それってつまり……?」
川内「……これ以上は言えないな~」
初雪「認めたも同然……」
深雪「こいつは大ニュースだぜ!」
五人(キャアキャア)
川内(可愛い反応だなぁ……)
川内(……い、いや待てよ。というか、浮かれてちょっと口を滑らせすぎたような……?)
――帰投後、主に深雪の口から川内と提督の関係についての噂話が広まり、
川内自身が可愛い反応を皆に返すことになったのは、また別の話である――
艦!
以上で終了です。今回もおまけなしで申し訳ない…
次作はさすがに少し間が空きますが、見かけたらよろしくお願いします
乙
素晴らしい!
乙です
いいわあ
乙
川内ほんとかわいい
乙です
かわいいあいいいいおいいい
神通さんのニコォタイムはまだですか!?
おつでした!
最高にニヤニヤさせてもらったww
このSSまとめへのコメント
わっふるわっふる