・艦これより、翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴のSSです
・作者の特徴…三点リーダ多用、書き溜めてからのペースト、純愛至上主義
※作中、ゲーム内のケッコンカッコカリボイスと轟沈ボイスを一部使用しています。あらかじめご承知下さいますよう
↓今作と特に関連はない過去作
【艦これ】比叡「司令のことを考えると眠れない」
【艦これ】比叡「司令のことを考えると眠れない」 - SSまとめ速報
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【艦これ】提督「那智が好意に気づいてくれない」
【艦これ】提督「那智が好意に気づいてくれない」 - SSまとめ速報
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瑞鶴(…………)
提督『瑞鶴――』
瑞鶴(――提督さん?)
瑞鶴(――どうしたの、そんな真顔で?)
提督『瑞鶴……』
瑞鶴(――あっ、近い、近いですよ、顔が!)
提督『…………』
瑞鶴(――あっ、ああぁ……)
――ガバッ
瑞鶴「――やっぱりダメ! まだ心の準備……が……?」
――チュンチュン、チチチチチ
瑞鶴「…………」
瑞鶴「~~~~っ、何て夢見てんの、私ぃっ……!」カアァッ
翔鶴「ん……ふぁ……お早う、瑞鶴。どうかしたの……?」
瑞鶴「な……何でもないよ! お早う、翔鶴姉!」
翔鶴「?」
・
・
・
瑞鶴「……よりによって、秘書艦の日にあんな夢を見るなんて」
瑞鶴(提督さんの顔……まともに見らんないかも)
瑞鶴「――ああっ、思い出したらまた顔が……!」
――ガチャ
瑞鶴「ふぇっ!?」
提督「ぶつぶつと独り言が聞こえると思ったら……瑞鶴だったか」
瑞鶴「て、提督さん……?」
瑞鶴(あわわ……目の前に……提督さんの顔が目の前に……!)
提督「……? 何か顔が赤いようだが……体調でも悪いのか?」
瑞鶴「! な、何でもないっ!」フイ
提督「?」
・
・
・
提督「…………」モクモク
瑞鶴「…………」ジー
瑞鶴(提督さんて、いわゆるイケメンではないけど……まあ無難に整った顔立ちよね)
瑞鶴(何百万の候補者の中から選ばれただけあって、指揮官としてもよくやってるし)
瑞鶴(……あー、何で私、そんなこと考えてんだろ)
瑞鶴(……ひゃっ、目が合っ――)
提督「瑞鶴?」
瑞鶴「えっ、えと……な、何?」フイ
提督「いや……そうじっと見張ってなくても、真面目にやるぞ」
瑞鶴「べ、別に見張ってなんか……」
瑞鶴(やだっ……私、どのくらい提督さんのこと見てたの……?)
提督「そうか? ……ははん」
瑞鶴「?」
提督「さては、俺の男ぶりに見惚れてたな?」ドヤッ
瑞鶴「んなっ……」ボッ
瑞鶴「――――」パクパク
提督「……え?」
瑞鶴「や――えと――///」
瑞鶴「ん、んなわけないじゃん! 何言ってんの、爆撃されたいの!?」
提督「……う、うん。そうだよな。冗談だよ、冗談……」
瑞鶴「…………」
提督「…………」
瑞鶴「……ほ、ほら、仕事しなよ」
提督「あ、ああ……」
瑞鶴「…………」
提督「…………」チラ
瑞鶴「!」フイ
提督「…………」
・
・
・
瑞鶴(――気まずい一日だった)
瑞鶴(――っていうかどうしようっ……いくら提督さんが鈍くても、さすがに気付いたでしょ……!)ジタバタ
翔鶴「……瑞鶴? 部屋に戻るなり布団に顔を押し付けて……どうかしたの?」
瑞鶴「…………翔鶴姉ぇ」
翔鶴「…………」
翔鶴「……提督のこと?」
瑞鶴「! な、何で……?」
翔鶴「……隠さなくても、提督以外の皆は何となく察してるわよ?」
瑞鶴「え」
瑞鶴「…………ホントに?」
翔鶴「本当に」
瑞鶴「…………」
瑞鶴「……もう、誰とも顔を合わせられない……」ヘナヘナ
翔鶴「ず、瑞鶴!」
・
・
・
翔鶴「……もう、大丈夫?」ナデナデ
瑞鶴「……何とか」
翔鶴「……それで、今日何があったの?」
瑞鶴「…………」
瑞鶴「……提督さんに、気付かれた……たぶん」
翔鶴「……瑞鶴が、提督のことを好きだってことが?」
瑞鶴「……」コク
翔鶴「そう……」
翔鶴「……でもどの道、気持ちを押し込め続けておくことなんてできないんだから」
翔鶴「そうなってしまったのなら……後は、瑞鶴と提督が解決しないといけない問題よ」
瑞鶴「…………」
翔鶴「私は、瑞鶴を応援しているわ。……でも、応援するだけ」
瑞鶴「……翔鶴姉」
翔鶴「……そんな顔しないの。あなたは私の妹で、幸運の空母で、鎮守府で最も練度の高い艦娘でしょう?」
翔鶴「自信を持ちなさいな」
瑞鶴「……それができたら、こんなにやきもきしてないよぉ……」
翔鶴(女の子ねぇ……)
翔鶴「……ね、瑞鶴」
瑞鶴「……?」
翔鶴「瑞鶴は……提督のどんなところを好きになったの?」
瑞鶴「……どんなって言われても」
翔鶴「瑞鶴は秘書艦として提督といることが多いし……私たちの知らない提督のいいところを知っているのかな、って」
瑞鶴「……そんなこと、ない」
瑞鶴「提督さんは……誰に対しても優しくて、でも規律には厳しくて」
翔鶴「うん」
瑞鶴「真面目に仕事をしてるかと思えば、急にセクハラしてくるお調子者で」
翔鶴「うん」
瑞鶴「誰にも弱いところを見せないけど、本当はいつものしかかる責任感に必死で耐えてる……」
翔鶴「……」
瑞鶴「どこが好きとか、何がきっかけとか、そういうんじゃないの……」
瑞鶴「ただ気が付いたら、好きだったんだよ……!」
翔鶴「……うん、うん」ナデナデ
瑞鶴「……自分の中でも整理できてないのに、伝えられるわけないよ……!」
翔鶴「…………」
翔鶴「……大丈夫、大丈夫よ、瑞鶴」ナデ
瑞鶴「…………」グスッ
翔鶴「……きっと、大丈夫……」
・
・
・
瑞鶴(――それから数日)
瑞鶴(翔鶴姉は背中を押してくれたけれど、結局あれから提督さんとは話せていない)
瑞鶴(いや――話す機会は何度かあったけれど、つい目を逸らしてしまう私に、提督さんもかける言葉が見つけられないようだった)
瑞鶴(このままではいけないと思いつつも、言葉にも、行動にもできず、私の心は落ち着きを失う一方だった)
瑞鶴(そんな中、私は翔鶴姉や加賀さんたちと、北方海域に集結中の敵増援部隊捜索のため出撃した――)
翔鶴「……偵察機より報告。敵艦隊発見。編成は、戦艦1、重巡2、軽巡1、駆逐2。以上」
加賀「……空母がいないのなら、一方的に叩けるわね」
翔鶴「ええ。すぐに攻撃隊を出しましょう」
瑞鶴「…………」
翔鶴「……瑞鶴? いいの?」
瑞鶴「っ……ゴメン。攻撃隊ね? 大丈夫、解ってる」
翔鶴「……そう。なら、いいんだけど」
加賀「…………」
翔鶴「では、攻撃隊、出します……」キリキリ
翔鶴「全航空隊……発艦、始め!」ピュン
加賀「……鎧袖一触よ」キリキリ
加賀「…………」ピュン
瑞鶴「…………」キリキリ
瑞鶴(……ほんの少し、あの人のことを考えただけで指が震える)
瑞鶴(……集中しろ、瑞鶴。戦闘中よ……)
瑞鶴「…………っ」ピュッ
翔鶴「……戦果報告。戦艦、駆逐各1隻撃沈。軽巡、駆逐各1隻小破。重巡2隻は被害なしとのこと」
加賀「戦艦を沈められたのはいいけれど……思ったより、損害を与えられていないわね」
瑞鶴「…………」
翔鶴「……攻撃隊の収容後、第二次攻撃を……」
最上「! 敵艦隊、速度上げたよ! 見つかったみたいだ!」
翔鶴「……仕方ありません。攻撃隊収容後、砲撃戦に移行します」
最上「了解! 鈴谷、熊野! ボクたちが前に出るよ!」
鈴谷「鈴谷にお任せ~!」
熊野「承りましてよ」
鈴谷「――敵艦隊、射程に入るよ~」
熊野「先行しますわ! とぅおおおぉぉぉう!」
最上「よーし、ボクも突撃するぞー!」
翔鶴「瑞鶴、加賀さん、私たちは後方から最上さんたちの援護を」
加賀「……ええ」
瑞鶴「……ん」
最上型航巡3隻の砲撃により、たちまち小破から大破まで追い込まれる軽巡ホ級、駆逐イ級。
しかし最上たちがホ級、イ級にかかずらっている間に、2隻の重巡リ級が左右から瑞鶴ら目掛け回り込んでくる。
あらかじめ艦載機を上げておかない限り、懐に入られた空母に反撃する手段はない。
鈴谷と熊野がホ級、イ級への砲撃を続け、最上が旗艦の翔鶴のカバーに入るが、2隻のリ級はそれぞれ加賀、瑞鶴を狙い砲撃を開始する。
加賀は危なげない動きでこれを回避したが、瑞鶴の回避運動は精彩を欠き、いくつもの水柱に囲まれる。
翔鶴「瑞鶴?!」
瑞鶴「っ……」
ホ級、イ級を沈めた鈴谷、熊野、そして最上が瑞鶴の援護に向かおうとするが、その時には既に、リ級の砲口が瑞鶴を完全に捉えていた。
――ドンドンッ、ボガァッ
瑞鶴「――くぅっ、ああぁっ!」
瑞鶴(う……私が、ここまで被弾する、なんて……)
翔鶴「瑞鶴!!」
瑞鶴(翔鶴姉……)
瑞鶴「ぅぐ――ゲホッ……」
瑞鶴(参った、な……すごく、痛い)
瑞鶴(ホント何やってんの、私……)
リ級『…………』ジャキン
瑞鶴(……私、逝くの……?)
翔鶴「――――!」
瑞鶴(ゴメン、翔鶴姉……)
瑞鶴(…………)
瑞鶴「…………提督、さん」
瑞鶴(――!)
瑞鶴(嫌……だ)
瑞鶴(嫌だ……絶対、沈みたくない……!)
リ級『…………』ドゥッ
瑞鶴(嫌だっ……動いてっ……!)
瑞鶴「くっ……そ……!!」
――スッ
瑞鶴「……え?」
――ボウゥゥン
加賀「っ…………」
瑞鶴「加賀……さん……?」
加賀(……右目が血で真っ赤。それと口の中も切ったかしら)
加賀(ペッ)
加賀「……ここは」キッ
リ級『……!?』ビク
加賀「……ここは譲れません」
瑞鶴「なん、で……」
加賀(チラ)
加賀「……さきほどの無様な動きを見て、解りました」
瑞鶴「……」
加賀「どれだけ練度に差がつこうと……後輩はどこまでいっても後輩」
瑞鶴「……」
加賀「……目の前で教え子に死なれると、寝覚めが悪いわ」
瑞鶴「……!」
加賀「……戻ったら説教よ」
鈴谷「はいはい、カッコつけてないで怪我人は下がっててね~」
加賀「…………」
熊野「――リ級1隻、撃沈ですわ!」
最上「もう1隻も追い詰めたよ! ……これで!」
リ級『!?!?』
――ドゴオォォン
最上「……ふぅ。危ないところだったね」
熊野「空母1隻大破、1隻中破……これ以上の進撃は難しそうですわね」
翔鶴「……そうですね。敵の主力を発見できていませんが……これより、鎮守府へ帰投します」
瑞鶴「…………」
加賀「…………」
・
・
・
提督「…………」
翔鶴「……艦隊、帰投しました」
提督「……ああ、ご苦労」
翔鶴「……申し訳ありません。敵の警戒艦隊相手に苦戦し、撤退を余儀なくされました」
提督「……報告は聞いた」
提督(チラ)
瑞鶴「…………」フイ
提督「…………敵増援部隊の撃破という作戦目標自体は、君たちの後から出撃した第二艦隊によって達成された」
提督「結果的にではあるが、第一艦隊は陽動の役目を果たしたと言える」
提督「……必要以上に気に病むことはない。今は傷を治し、轟沈のなかったことを喜べばいい」
提督「瑞鶴と加賀はすぐにドックへ――」
加賀「――待って下さい、提督」
提督「……加賀?」
瑞鶴「…………」
加賀「……瑞鶴、あの情けない戦いぶりは何」
瑞鶴「…………」
加賀「……あなたはこれまで、誰にも引けを取らない練度と、それ相応の戦果を維持してきました。それは認めます」
加賀「……ですが今のあなたは、集中力を欠き、所作の一つ一つが覚束なく、地に足が着いていない、と言わざるを得ません」
加賀「……今のあなたには、一航戦はもとより五航戦の名さえ重い」
瑞鶴「…………」
加賀「……いつものように、何か言い返したら」
瑞鶴「…………っく」ポロ
加賀「…………」ジッ
瑞鶴「……っ」ダッ
翔鶴「瑞鶴!」
提督「……加賀、何も今でなくとも――」
加賀「……提督も提督です」
提督「!?」
加賀「あの子が地に足を着けられていない理由……さすがに気づいているでしょう?」
翔鶴「……加賀さん」
提督「…………」
加賀「……鶴にもいろいろ種類があるけれど、中には渡りをするものもいるそうね」
提督「…………」
加賀「……あの子は、気紛れだから。捕まえておかないと、どこかへ飛んでいってしまうわよ」
提督「…………」
提督「…………翔鶴」
翔鶴「……はい」
提督「……瑞鶴に、ドックから出たら執務室に来るよう、伝えておいてくれ」
翔鶴「……はいっ」
・
・
・
瑞鶴(――すっかり、暗くなっちゃったな)
瑞鶴(提督さん、何の用かな……って、あんな失態を晒しておいて、何の用もないか)
瑞鶴「……はは」
瑞鶴(自分でも、情けない……でももう、無理だよ……)
瑞鶴(想いは伝えられない。かと言って抑えることもできない。そしてそのせいで何も手につけられない)
瑞鶴(このままじゃ今日みたいに、自分だけでなく皆も傷つける……たとえ提督さんが私を責めなくても……)
瑞鶴「…………私に、あの人の側に立つ資格は……」
――コン、コン
提督「……入れ」
――キィ
瑞鶴「……失礼、します」
――カチャリ
提督「…………」
瑞鶴「…………」
提督「…………」
瑞鶴「…………あの」
提督「…………」
瑞鶴「……今日の戦闘については、反省しています。加賀さんの言う通り、生死に係わる場で集中力を欠き、その結果、加賀さんの身まで危険に晒しました」
瑞鶴「……どんな罰でも、甘んじて受けます」
提督「…………」
提督「……自省ができているのなら、俺から言うことは何もない」
瑞鶴「…………」
瑞鶴「……何か罰則などは」
提督「……俺から課すものはない」
瑞鶴(……提督さんは、優しいね)
瑞鶴「……解りました。……それでは、失礼します」
瑞鶴(……さよなら、提督さん)
提督「……あー、待て」
瑞鶴「……?」
提督「……今回呼んだのは、今日の戦闘について話すためではない」
瑞鶴「へ……?」
提督「…………」
瑞鶴「……じゃあ、一体……?」
提督「……渡したいものがあってな」スッ
瑞鶴「何? これ……って、へぇっ!?」
瑞鶴(こっ、これって……)
瑞鶴「ゆび、わ……?」
提督「…………」
瑞鶴「て、提督さん……?」
提督「……それは、上層部から送られてきたものだ」
瑞鶴「……へ?」
提督「非常に高い練度に到達した艦娘に、更なる成長の余地を与える装身具だそうだ。……理屈は解らんが」
瑞鶴「あ、そぉ……なんだ」
瑞鶴「……でも、私を選んでくれて……ううん、私をここまで育ててくれて、ありがとう。けど……」
提督「……」ジッ
瑞鶴「……」フイ
瑞鶴「……ごめん。……受け取れない」
提督「……なぜ?」
瑞鶴「…………」
提督「…………どうしても嫌だというのなら、受け取らなくてもいい」
瑞鶴「…………」
提督「……だが、こちらは受け取ってほしい」
――チャリ
瑞鶴「……へっ?」
瑞鶴の首に、細い銀のネックレスがかけられる。宝石の装飾などない、ごくシンプルな作り。
提督が手を放すと、大きな輪に通された小さな輪が重力に引かれ、瑞鶴の胸当てにコツン、と当たる。
瑞鶴「あ……」
瑞鶴の目に映るのは、ネックレスと揃いの銀色の指輪。
こちらもシンプルな作りではあるが、先ほど差し出された無味乾燥なものとは違い、内側に小さく、錨と鶴の意匠が掘り込まれている。
提督「……こっちは、俺からだ」
瑞鶴「…………提督、さん」
提督「……瑞鶴」
瑞鶴「…………」
提督「――お前が、好きだ」
提督「他の誰も考えられない。お前にずっと、隣にいてほしい――」
瑞鶴「…………っ」ポロ
瑞鶴「……提督さんっ」ダキッ
提督「…………」ギュッ
瑞鶴「……ありがとう、提督さん」
瑞鶴「私も……提督さんが好き」
瑞鶴「どこへも行かない……ずっと、提督さんの側にいる……」
提督「瑞鶴――」
瑞鶴(提督さんの、真剣な顔が近づいてくる……)
瑞鶴(この表情、私知ってる……)
提督「…………」
瑞鶴「あ……んっ…………」
提督「…………」
瑞鶴「…………はふぅ……」
瑞鶴(夢みたい……だけど、夢じゃないんだ……)
瑞鶴「提督さん……」
提督「……うん」
瑞鶴「私、もっと一生懸命やるから……だから瑞鶴のコト、ずっと見てて、ね」
提督「……ああ。ずっと、見てるよ……」
瑞鶴(提督さんが見ててくれるなら……)
瑞鶴(もう二度と、失敗はしない。もう二度と、負けることはない)
瑞鶴(そしてもう二度と、悲観的になりはしない。だって――)
瑞鶴(瑞鶴には、いつ、どこででも……提督さんが、ついていてくれるから!)
瑞鶴「……今だけ、言っちゃおう」
提督「……?」
瑞鶴「私は、世界一幸運な……幸せな、空母だーーっ!!」
本編 艦!
本編は以上です。今回は2、3度全体を書き直しており、もっと上手い話の作り方があったのではないかと自分の中で不満があります。
おまけを書くかどうかは未定ですが、気が向いたら数日中に…
おまけ上げていきます。今回のおまけは「スキンシップ」「耳かき」「爆撃」の三本です
「スキンシップ」
提督「……んん」ゴキゴキ
提督「……疲れた」
瑞鶴「お疲れ様、提督さん。はいお茶」コト
提督「お……すまんな」ズズ
瑞鶴「提督さん、あんま無理しちゃダメだよ?」
提督「なに、実際戦っている瑞鶴たちに比べれば、多少の書類仕事なんぞ軽い軽い」サワサワ
瑞鶴「……発言と動作が乖離してるんですけど?」ジト
提督「……嫌か?」
瑞鶴「…………嫌じゃ、ないケド///」
提督「…………」ニヤ
瑞鶴「あー! その余裕そうな笑み! 何か腹立つー!」
提督「はっはっは……」サワサワ
瑞鶴「っん、もう……」
――数分後
瑞鶴「はー……提督さん?」
提督「んー……?」
瑞鶴「……あんま、無理しちゃダメだよ」
提督「…………」
瑞鶴「私の前では……無理に笑ったり、無理に余裕ぶったりしなくていいから」
提督「…………」
瑞鶴「私たち、パートナーなんだから」
瑞鶴「だから瑞鶴にだけは……提督さんの弱いことろ、見せてもいいんだよ」
提督「…………」
提督「……参ったなぁ」
提督(惚れた弱みを握っているつもりが、いつの間にか握り返されていたか)
提督「……ありがとう、瑞鶴。でも大丈夫だ」
提督「瑞鶴が隣にいれば……それだけで、俺は大丈夫だから」
瑞鶴「……ん、そっか」
提督「……ああ」
瑞鶴「……ふふっ」コツン
提督「……ははっ」スリスリ
二人「「あははははっ――!!」」
「スキンシップ」 了
「耳かき」
提督「……んん」ゴキゴキ
提督「……午後の執務は眠いな」
瑞鶴「お疲れ様、提督さん。ちょっと休憩したら?」
提督「んー……そうだな。じゃあお茶でも……」
瑞鶴「はいっ」ポンポン
提督「……?」
瑞鶴「ほらっ」ポンポン
提督「えと……」
瑞鶴「ひ・ざ・ま・く・ら」
提督(最近の瑞鶴は……随分と積極的だ)
瑞鶴「は・や・く♪」ポンポン
提督「……じゃあ、お言葉に甘えて」
瑞鶴「耳掃除もしたげるからね♪」ウキウキ
提督(まあ……悪い気は、しない)
瑞鶴「――♪」
提督(演習も出撃もない、静かな午後。瑞鶴の鼻歌と、耳の内側をなぞる耳かきの音だけが聞こえる)
――ゾリゾリ、スポッ
提督「おぅ……」
瑞鶴(フウッ)
提督(ビクッ)
瑞鶴「提督さん……もしかして、耳が弱い?」ニヤ
提督「……だったらどうする」
瑞鶴「……どうしてほしい?」
提督「…………」
瑞鶴「……ま、それは置いといて。次、反対側ね」
提督「ん……」ムク
瑞鶴「あ、起きなくていいよ。そのまま寝返りうっちゃって」
提督「え」
瑞鶴「いいから、ほら」
提督「お、おお……」ゴロ
瑞鶴「~~♪」
提督(先ほどと同様の、静かで心地よい時間が流れる)
提督(後頭部を除く三方向を瑞鶴の身体に囲まれ、仄かに伝わってくる温もりに眠気を誘われる)
提督(視線を右へ向けると、瑞鶴の楽しげな顔が見える)
提督(……瑞鶴の、顔が、見える。視線を遮るものは……ない)
瑞鶴「……何か不愉快なこと考えてない?」
提督「…………」
提督「……いや」
瑞鶴「…………」
提督(瑞鶴の恨めしそうな視線から逃れるように、俺は目を閉じる)
提督(やがて、静けさと、心地よさと、そしてほどよい疲労が……俺を、眠りに…………)
提督(…………)
瑞鶴「(フッ)……提督さん、終わったよー?」
提督「…………」
瑞鶴「提督さん?」
提督「…………」グー
瑞鶴「……寝てる」
瑞鶴「……ふふ」ナデ
提督「…………」スピー
・
・
・
――コンコン
翔鶴「……提督、ちょっとよろしいですか?」
(…………)
翔鶴「いらっしゃらないのかしら?」
――キィ
翔鶴「失礼します…………あら」
提督「…………」グースカ
瑞鶴「…………」スヤスヤ
翔鶴「……お邪魔しました~……ふふふっ」
――パタン
提督「…………瑞鶴ぅー……」ムニャムニャ
瑞鶴「…………提督さんー……」ムニャムニャ
「耳かき」 了
「爆撃」 ※このお話はひょっとしたらR-15くらいに分類されるかもしれない描写があります。一応ご注意下さい
提督「……んん」ゴキゴキ
提督「もうこんな時間か……」
瑞鶴「提督さん、今日も一日お疲れ様~」
提督「おおずいか……くっ!?」
瑞鶴「?」
提督「……なぜ浴衣?」
瑞鶴「お風呂上がりだから」
瑞鶴「提督さんも、さっぱりしてきたら?」
提督「む……そうだな。ちょっと留守番頼む」
瑞鶴「は~い」
――十数分後
瑞鶴「…………」ブルッ
瑞鶴「……ちょっと冷えてきたな」
瑞鶴「…………」キョロキョロ
瑞鶴「……提督さんの上着、借りちゃおっと」
――数分後
瑞鶴「…………」ポー
瑞鶴(なんだろう、体の内から熱い感じ……)
瑞鶴(提督さんに抱きしめられてるみたい……)
瑞鶴「…………」スンスン
瑞鶴(提督さんの匂い……)
瑞鶴(ふわぁ……ドキドキするぅ……)
提督「…………瑞鶴?」
瑞鶴「ふゃあっ!?」
瑞鶴「ててっ、提督さん……?」
提督「上着、臭うか? ……っ! まさか、加齢臭!?」ガーン
瑞鶴「やっ……違くて……その……!」ガバッ
瑞鶴「(ズルッ)あわわっ……!」
提督「! 瑞鶴っ」ガシ
瑞鶴「ふわ……」ギュ
――薄い布を通して伝わる、互いの温もり。薄暗い室内に、二人きり――
瑞鶴(提督さんの……鼓動が聞こえる)
瑞鶴「提督……さん……」キュッ
瑞鶴(提督さんの襟元にしがみつき、目を閉じ、顎を上げる)
瑞鶴(わずかな間を置いて私の唇に、愛しい人のそれが触れた)
瑞鶴「んっ……ふぁ、んんっ……」
瑞鶴(頭が……ボーっとして……)
瑞鶴「ぷふぁ……提督……さんっ」ドサッ
提督「瑞……鶴?」
瑞鶴(提督さんに馬乗りになった私の口から、荒い息が漏れる)
瑞鶴(はだけた浴衣から露わになった、意外に逞しい胸板に指を這わせる)
瑞鶴(そして興奮で頭を空っぽにしたまま――その胸板にキスをした)
瑞鶴(初めは心臓の位置に。次には肩。そして首にも、耳にも――)
瑞鶴「ん、ちゅっ…………提督さん、イヤなら押しのけて……」
提督「……嫌なものか。今だって、必死で理性を維持しているところだ……っ」プルプル
瑞鶴「……提督さんは、真面目だね。真面目で、立派な人……」
瑞鶴「……それなのに、私をこんなにおかしくして……悪い人」
瑞鶴「そんな人は……私の唇で……『爆撃』しちゃうから……」チュッ
提督「……! っ……!」
瑞鶴「……もうダメ、止まんないよ……」
提督「瑞鶴――っ」
――ダダダダダッ
川内「(バァン!)夜戦の気配は、ここだーーーーっ!!」
瑞鶴「はぅ!?」
提督「ぬぉっ!?」
川内「…………?」
瑞鶴「…………!」(半裸)
提督「…………」(半裸)
川内「あ……そ、その……ごめ」
瑞鶴「…………全機、爆装」ゴゴゴ
川内「ご、ごめんね! 何も見なかったことにす――」
瑞鶴「準備でき次第発艦! 準備ができなくても発艦!! 体当たりでも何でもして、奴を沈めろーーー!!!」
川内「うあぁっ! ちょ待って! 忘れる、忘れるからーー!!」
瑞鶴「聞く耳持たない! かわうち、沈めーーーっ!」
川内「夜戦で空母に攻撃されるなんてぇ~……――」ドタバタ
提督「…………」
提督「……生殺しだッ」
――その翌日、冷静になった瑞鶴は恥ずかしさから提督を避けるようになり、提督の悶々とする日々はしばらく続いた――
「爆撃」 了
【艦これ】瑞鶴「提督さんと目を合わせられない」 艦!
というわけで、本作はこれにて完結です。
おまけを書いてる最中、「これこれ、これだよッ! 俺が書きたかったのはこういう角砂糖の蜂蜜漬けより甘い話だよッ!」という感情が湧いてきて、ついつい暴走してしまった感は否めない。
それでは皆様、10日からのイベント攻略頑張りましょう。余裕があれば鶴姉妹のレベリングも是非に~ノシ
このSSまとめへのコメント
砂糖がァァァァ(ゴフッ)
以下同文