八幡「雪の下の思い出」 (121)

書き溜め投稿です。
時間あるときに投稿します。

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【結婚披露宴場】

司会「それでは新郎新婦の入場です」

パチパチパチパチ

小町「結衣さーん!めちゃくちゃ似合ってて綺麗ですよ!」


姫菜「結衣綺麗だねぇ。それにしても旦那さんは強気攻めって感じ」ジュルリ


優美子「ちょっ、海老名。ここでそんなこと考えんなし」


隼人「結衣もようやく結婚だな」


戸部「っべー!結婚組の仲間入りっしょ!」


材木座「ぽむぅ。確かに美しい…………だがしかーし!我の嫁には劣るな」


彩加「でも由比ヶ……じゃもうないのか。綺麗だよ」


いろは「いやー、結婚組はテンション高いですね。ね、先輩たち?」


八幡「…そうだな」


雪乃「…そうね」


静「ぐぬぬぬ」

八幡(今日は由比ヶ浜の結婚披露宴だ。大学のとき付き合った先輩と結婚したらしい)

八幡(28歳にもなると結婚していく人が周りに増えていくな)

八幡(高校卒業のとき由比ヶ浜には告られ振ってしまったが、ちゃんと新しい恋愛ができていてよかったと思う)

八幡「よ、久しぶりだな」


雪乃「おめでとうございます。綺麗よ。とても似合っているわ」


結衣「あ、ヒッキーにゆきのん!来てくれてありがとね」


雪乃「…………親友の結婚なのだし来ない訳ないでしょう」


結衣「ゆ、ゆきのん」


八幡「ま、おめでとさん」


結衣「ありがと。後悔してる?」


八幡「いやしてない。大丈夫だ」


結衣「それはそれでなんかムカつく!ヒッキーもゆきのんと早くね」


八幡「…………は?」


結衣「え?だから
優美子「結衣ー!こっちにも構えし」


結衣「あ、うん!ならまた後でね、ゆきのん、ヒッキー!」

×××

八幡「…………ふぅ」


雪乃「あなたの正装はいつ見ても違和感があるわね」


八幡「そういうお前は似合いすぎだっつの」


雪乃「葉山くんと三浦さん、戸部くんと海老名さん、小町さんと川崎さんの弟さん」


八幡「材木座は声優と、戸塚は仕事先の人と結婚していったしな」


雪乃「周りの人が先に結婚して、取り残させる気分はどうかしら?」


八幡「まぁ、めでたいよな。それに取り残させることに関しては、今までもそうだったから特になんとも思わんな」

八幡「お前はどうなんだよ?今まで人の前を歩いてたみたいもんだろ」


雪乃「そうね…………私もあなたと同じようなものかしら」


八幡「そんなもんだよな」

いろは「先輩たちなにのんびりしてるんですか?盛り上がりましょうよ」


八幡「柄じゃねーんだよ」


いろは「そうですかー。雪ノ下先輩は?」


雪乃「わたしも柄ではないだしょうね」


いろは「ふーん……。ところで先輩たちはいつ結婚するんですか?」


八幡「……は?」
雪乃「……え?」

いろは「え?その反応何ですか?」


八幡「いや…………え?お前何言ってんの?」


いろは「先輩と雪ノ下先輩はいつ結婚するのかなー、って言ってるんですよ」


雪乃「……ちょっと一色さん?私が比企谷くんと結婚?何でそうなるのかしら?」


いろは「だってお二人付き合ってるじゃないですか」


八幡「……ちょっと待て。なんだその話?俺と雪ノ下が付き合ってる?」


いろは「…………えぇっ!?付き合ってないんですか!?」


雪乃「何故そのような話になっているのかしら…………」


いろは「みんな付き合ってると思ってましたよ」

いろは「そうか、付き合ってないのか」ボソボソ


八幡「どうした?」


いろは「い、いえっ!わたしはちょっと結衣先輩たちのところ行ってきます!」タタタッ

八幡(俺が雪ノ下と?)


雪乃「私が比企谷くんと?)


八幡「…………」


雪乃「…………」


八幡「なぁ」
雪乃「ねぇ」


八幡「…………」


雪乃「…………」


八幡「先にいいぞ」
雪乃「先にどうぞ」


八幡「…………」


雪乃「…………」

八幡「あー、あれだ。不快な思いさせたなら謝る」


雪乃「いえ、別に……噂程度だし。あなたも迷惑しなかったかしら?」


八幡「迷惑も何も今知ったことだしな」


雪乃「…………そろそろクリスマスよね」


八幡「ん?あ、ああ、そうだな。来週だったよな」


雪乃「比企谷くんは
戸部「っべー!もう料理きてんじゃん。うめー!!」モグモグ


姫菜「がっつかないでよねー」


隼人「比企谷たちは結衣のところに行かなくていいのかい?」


八幡「最初に行ってきたよ」

八幡「それで雪ノ下。悪いけどもう一度言ってもらってもいいか?」


雪乃「…………いえ、何でもないわ」


八幡「……そうか」

八幡(その後も由比ヶ浜の結婚披露宴はスムーズに進んでいった)

八幡(由比ヶ浜は泣いていた。自分の幸せを祝ってもらえて嬉しく、そして感動したのだろう)

八幡(雪ノ下は泣いていた……だろうか?下を向いていてよく分からなかったが泣いていたのだろう。親友の幸せが嬉しいのだろう)

八幡(なら俺は。俺はどうだろう?)

八幡(一度振った相手の幸せをどう感じた?答えは簡単だ…………)

八幡(由比ヶ浜の幸せは素直に嬉しかった)

材木座すげぇな
いやすげぇな

これは期待

サキサキはどうなったんだろう

>>13
彼女を自称しつつ八幡の家に居座ってそう

材木座にびっくり!

×××

【職場】

八幡(由比ヶ浜の結婚披露宴から数日が過ぎ、いつも通りの家畜ライフが続いていた。いざ行け干物妹ライフが羨ましすぎる)

八幡(クリスマスも近いせいか、仕事先の人はクリスマスの話で盛り上がっていた)


同僚A「えぇっ!?先輩合コン来れなくなったんですか!?」


先輩A「悪りぃな。ちょっと誘われちまってな」


同僚A「クリスマスの合コンどうしようか?」


同僚B「あと1人だろ?人数だけでも合わせないとマズイよな。暇そうなやつ誘うか」


同僚A「……となると」チラッ

八幡(帰るか)ヨイショ


同僚A「ひーきーがーやー!」ドンッ


八幡「いって…………なんだよ?」


同僚A「お前彼女いないだろうしクリスマス暇だろ?人数合わせでいいから合コン来てくれよ」


八幡「いや、その日はちょっとアレだから」

八幡(てか人数合わせって言っちゃうのかよ。まぁ、隠されるよりはっきり言われるだけマシだけど)


同僚B「強がんなって。とりあえずよろしくな。そんじゃお先に」


同僚A「よろしくなー!」


八幡「えぇー…………」

×××

【帰宅中】

八幡(俺が合コンとかはっきり言って無理だ。引き立て役にしかならないだろう…………くそ、引き立てや君を思い出してしまった)

八幡(そう言えばこの前雪ノ下は何を言おうとしていたのだろうか?)

八幡(クリスマスとかなんか言っていたけど…………まぁ、ないよな)

八幡(にしても今日は電車の中は一段と人が多いな。…………ん?あれ一色だよな?)


いろは「…………ん」


おっさん「」スリスリ


いろは(やだ、怖い。声が出ない)


おっさん「ハァハァ」スリスリ


八幡(おいおいマジかよ。こんなことって本当にあるんだな。じゃなくて流石に無視は出来ねぇよな)

おっさん「ハァハァ」モミモミ


いろは「…………や、だ」

いろは(なんで私がこんな目に合うの?嫌だよ)


おっさん「けっこう大きいね」ボソッ


いろは「ひっ」

いろは(やだ、キモい、気持ち悪い。…………助けて。誰か、助けて!!)


八幡「あー、そこら辺でやめた方がいいんじゃないですか?」パシッ


おっさん「……へ?」


いろは「せん……ぱい?」


八幡「それ痴漢ってやつですよね。犯罪ですよ」


おっさん「俺が痴漢?証拠とかあんの?」


八幡「ええ、まぁ。悪いけど写真撮らせていただきました。これです」スッ


おっさん「…………ちっ」


八幡「次の駅で降りましょうか」

×××

八幡(その後一色に痴漢をしていたおっさんを駅員に突き出した)

八幡(あんなことがあった後で一色を1人で帰らせるわけにも行かないので、家まで送ることにした)


八幡「…………」テクテク


いろは「…………」テクテク


八幡「…………」テクテク


いろは「……何も言わないんですか?」


八幡「何を言えばいいんだよ」


いろは「大丈夫か?とかいろいろあるじゃないですか」


八幡「あれ見て大丈夫だとは思えねーよ。だからこうして送ってるんだろーが」


いろは「……ありがとうございます。あと、写真ですが」


八幡「もう消しといたから安心しろろ」


いろは「ありがとうございます」

>>20八幡「〜〜安心しろろ」

すみません、ろが一つ多かったですろ。

八幡「別にいいけどよ。それよりまだ着かないの?疲れてきたんだけど」


いろは「軟弱ですね。もう着きます。そこのアパートです」


八幡「ならよかった。これからは気をつけろよ。じゃあな」


いろは「」ギュッ


八幡「…………一色さん?」


いろは「はい?何ですか?」ニコッ


八幡「何ですか?じゃなくてさ、何で袖掴んでるんでしょうか?」


いろは「何ででしょうね?」ギュー


八幡「質問で返されても困るんだが」

いろは「……少し上がっていきませんか?」


八幡「……………………はい?」


いろは「あ、いや、その……そ、そう!あれです!助けてもらったお礼でもと思いまして」


八幡「だったら高校のとき生徒会の仕事手伝ったお礼が先だろ」


いろは「む、今さらそんな話を……。それに先輩疲れたって言ってたじゃないですか!少し休憩した方がいいんじゃないですか?」


八幡「んー、でもなぁ」


いろは「」フルフル


八幡(震えてる……のか。まぁ、仕方ないよな)

八幡「なら少しお邪魔するわ」


いろは「はい!行きましょう!」

いろはす~とゆきのんのドロドロ愛憎劇か…素晴らしい

×××

【いろは家】

八幡(うん、なんか軽い気持ちでお邪魔するとか言っちゃったけど…………)

八幡(女性の家に1人で上がるのとか初めてだから、どうしていいか分からない!!!!」

八幡(なんだこれ、緊張してきたぞ。それにけっこう綺麗にしてるんだな)キョロキョロ


いろは「あの……あまりジロジロ見ないでください」


八幡「す、すまん」


いろは「いえ、別にいいですけど。それと…………着替えてもいいですかね?」


八幡「ならお前風呂入ってこいよ」


いろは「…………へ?」

八幡「だから着替えるならついでに風呂入ってこいって言ってんだよ。なんか変か?」


いろは「ちょっ……え?ちょっと待ってくださいよ!!何するつもりですか!?いきなりそんな///順序と言うものが…………」


八幡「いや、そういうのじゃないから。お前体洗いたくないのか?その……触られただろ?」


いろは「何ですかその言い方?何かやらしいこと考えてません?」


八幡「考えてねーよバカ。お前人が心配してやってんのに」


いろは「……なら少しお風呂に入ってきますね。覗かないで下さいよ」


八幡「何それフラグ?」


いろは「殴られたいですか?」ニコッ


八幡「ごめんなさい調子に乗りました」

八幡「お前が風呂入ってる間暇だから飯作っててやるよ」


いろは「え?いいんですか?いや、でも悪いですよ」


八幡「いいのか悪いのかどっちだよ」


いろは「んー…………」


八幡「まぁ、冷蔵庫の中とか見られるの嫌なら別にいいけどよ」


いろは(……はっ!これは先輩の手料理になるのでは?)

いろは「いえ、別にいいですよ。お願いしていいですか?」


八幡「おう、任せろ」


いろは「それではお願いします。覗かないで下さいね」


八幡「お前どんだけ信用してないんだよ…………」

×××

八幡(さて、何を作ろうか。ひとまずは材料確認だな)

八幡(ふむ、ふむ。こ、これは!!)

八幡(なんか腐ってる…………。見なかったことにしよう)

八幡「よし、作るか」

冷蔵庫の食材を腐らせる女の子…これが巷で話題の腐女子って奴か…

×××

いろは(先輩がいるのにお風呂に入るなんてわたし何してんだろ)

いろは(それにお礼するとか言いながら、料理作ってもらうってどうなの?)

いろは(…………やっぱり先輩優しいよね。今日も助けられちゃったし)

いろは(うっ、嫌な方も思い出した。しっかり洗っておこなきゃ)ゴシゴシ

いろは(あれ?わたしちゃんと下着用意したっけ?)

いろは(…………してない!してないよわたし!!先輩に風呂入れって急かされたから忘れてた)

いろは(ど、どうしよう。家の中には先輩がいるからなぁ)

いろは(うーん、やっぱり先輩に少し出ててもらうしかないよね)

いろは「せ、せんぱーい!」

シーン

いろは(お風呂場からじゃ聞こえずらいのかな?)

いろは(タオル巻いて、顔だけ出して。よし)

いろは「せーんぱーい!聞こえてますか?」

シーン

いろは(ん?さすがに聞こえるはずだけどな)

いろは「先輩!聞こえてるなら返事しなさい!」

シーン

いろは(むっ、少しムカつく。こっちから出向いてやる)

いろは「ちょっ、何で無視するんですか…………ってあれ?いない?」

いろは(ご飯は作り終わって置いてあるし。でもなぜ一人分だけ?先輩自分の分は作らなかったの?)

いろは「…………もしかして帰っちゃった?」

ガチャ

八幡「再びお邪魔しますだな…………は?お前タオル一枚で何してんだよ!?」


いろは「あ……み、見ないでください!あっち向いて!!目潰しますよ!!!」


八幡「怖い!怖いよ発言が!てか上がったならさっさと着替えろ」


いろは「う、うるさいうるさい!とりあえず外で待っててください!!着替え終わったら呼びますから!」


八幡「はい…………」

×××

八幡「で、お前何でタオル一枚だったんだよ」


いろは「それはもういいんです。それよりどこに行ってたんですか?」


八幡「ちょっとコンビニまで」


いろは「何でですか?」


八幡「何これ?取り調べみたいになってんだけど」


いろは「いいから答えなさい」


八幡「……酒買いに行ってたんだよ


いろは「そうですか。何でお酒を買いに行ったのですか?」


八幡「お前ん家になかったからだよ」


いろは「あったら勝手に飲んでたんですか?」


八幡「いや、俺のじゃなくてお前の分なんだけど」


いろは「へ?」


八幡「嫌なことがあったら酒でもと思ってな。大人の特権だ」


いろは「わたしのため、ですか?」


八幡「いや、んー……どうなんだろうな」


いろは「そこではっきり言えないのが先輩らしいですね」


八幡「なんだよそれ」


いろは「でも、ありがとうございます」ニコッ


八幡「…………おう」

八幡「ようやく俺も帰れるわな」


いろは「……帰るんですか?」


八幡「まぁ、帰るだろ。明日も仕事だから帰って寝たいしな」


いろは「…………傷ついている女性を置いて帰るんですか?」


八幡「なんだその言い方は。俺が傷つけたみたいな言い方すんじゃねーよ」


いろは「むー、仕方ないですね。なら少しだけ一緒に飲みましょう。そしたら解放してあげます」


八幡「はぁ?なんでそうなるんだよ」


いろは「いいじゃないですか。…………どうしても嫌っていうなら別にいいですけど……」


八幡「……なら少しだけな」


いろは「はいっ!」

〜数時間後〜

いろは「しぇーんぱーい。ちゃんと飲んでますかー?」フラフラ


八幡「お前飲みすぎだろ。もうやめとけ」


いろは「しぇんぱいが飲めって言ったんらないれすかー」


八幡「……軽くってつもりだったんだけど。ほら、水飲め」


いろは「はぁ〜〜い」ゴクッ


八幡「少しは落ち着いたか?」


いろは「…………い……すね」


八幡「は?」


いろは「らいたいれすね!なんれわたしがあんな目に合わなきゃいけないんれすか!!」バンッ


八幡「うおっ、なんだいきなり!それとテーブル叩くんじゃねぇよ。ビックリするだろ」


いろは「ビックリしたのはわたしの方れすよ!電車でいきなりあんなことされるんですから!!!」


八幡「いや、俺に言われてもな……。それとお前ろれつ回ってねーぞ」


いろは「答えてくらはい!なんれわたしがあんな目にあったんれすか!!答えなさいしぇんぱい!!」


八幡「だから俺に言われてもな…………」


いろは「こ〜た〜え〜な〜い〜とぉ〜〜、き◯玉潰しますよ」ニコッ


八幡「ちょ、ちょっと一色さん?あなたって酔うとこんなになっちゃうんですか?」


いろは「こ〜た〜え〜な〜さ〜い」ズイッ


八幡「ひぃっ!く、来るな」


いろは「…………」ニタァ


八幡(こ、怖えぇぇ!!)

八幡「あ、あれだ!一色の女性としての魅力が凄かったんだろ。だから理性が吹っ飛んで痴漢しちゃったー、みたいな感じだろうなうん。きっとそうだ」


いろは「…………ぱい………………か?」


八幡「さ、さっきから聞き取りずらいんですが……」


いろは「しぇんぱいもわたしに魅力感じましゅか?」


八幡「…………は?」


いろは「…………しぇんぱいもわたしにあんなことしたいって思いましゅか?理性なくなっちゃいますか?」


八幡「ど、どうだろうな?」


いろは「せんぱい」ズイッ


八幡「は、はいっ!」


いろは「……せんぱいならいいですよ」ヌギッ


八幡「やっ、ばか!何脱ごうとしてんだお前」


いろは「…………女に恥、かかせないでくださいね?」


八幡(はぁぁぁ!?何この展開?正直おいしすぎますよ!…………いいのか?こんなことあっていいの?)


いろは「…………」


八幡「一色さん?」


いろは「…………」zzZ


八幡「……ね、寝てる!?このタイミングで!?」


いろは「…………」zzZ


八幡「まぁ、よかった?のだろうか。むしろ惜しかった?」


いろは「…………」zzZ


八幡「はぁ、帰るか。…………毛布くらいかけといてやるか」

怖すぎw

×××

〜翌日〜

チュンチュンチュンチュン
ホーホケキョ

いろは「…………ん、朝?わたし何でこんなとこで寝てるの?」ズキッ

いろは「いっつ、頭痛い。先輩は?昨日のこと…………あれ?何があったんだっけ?」

いろは「何これ?書き置き?」


『朝飯作って冷蔵庫の中入れといたから、温めて食っとけ。あとお前悪酔いしすぎだったからな。飲み過ぎるのは気をつけろよ。どうせ二日酔いするだろうから、頭痛薬置いといた。ちゃんと飲めよ』


いろは「…………先輩」

いろは(わたしの家に頭痛薬なかったのに。わざわざ買ってきてくれたんだ)

いろは(昨日わたし何かしたのかな?また迷惑かけちゃったのだろうか?)

いろは(迷惑かけたとしても、朝ごはんまで作っててくれるなんてやっぱり優しいな)

いろは(やっぱり先輩には迷惑かけてばっかりだな)

いろは(やっぱり諦めきれないな)

いろは(やっぱり………………………………好きだな)

いろは(わたしは先輩のことが、好きだ)

×××

【八幡家】

八幡(昨日は大変だった。仕事後の方が大変ってなんだよそれ)

八幡(まぁ、プチラッキースケベもあったから、疲れた分は返してもらったって考えておこう)

八幡(一色には悪いけどな。そしてあんな事があったら、なんだか少しだけ気まずくなりそうだ)

ピロリン

八幡(一色からメール?)


『朝ごはんごちそうさまでした!美味しかったです。ところで…………昨日のことあまり覚えてないんですけど、変な事とかなかったですか?』


八幡(…………うん、覚えてないならよかった。あいつそういうタイプか。適当に返しとくか。特になんもなかったぞ、と)

ピロリン

八幡(返信はやっ!)


『何もないならよかったです。ところで、先輩はクリスマスに予定があったりするんでしょうか?ないと思いますけど。暇なら付き合ってあげてもいいですよ!』


八幡(クリスマスか。合コン……とはなんだか言いづらいな。会社の奴と飲みに行く予定がある、こんなもんか)

ピロリン

八幡(だから返信はえぇよ。なに?俺が送る前に返信書き出してるの?)


『先輩が会社の人と…………?珍しい事もあるんですね(笑)暇になったらいつでも誘ってくださいね。仕方なく付き合ってあげます』


八幡(はいはいと。さて会社行くか)

このまま八色になるといいな

こういう馬鹿がいるからみんな書く気なくして放置しだす

普通に続き待ってる

今帰ったので残り一気に投下します!
休憩挟むかもだけど今日中には終わらせます。

×××

【クリスマス】

八幡「……はぁ」


同僚A「何ため息ついてんだよ!今からお楽しみだってのに」


同僚B「合コンだな。可愛い子いるといいな」


同僚A「俺は見た目じゃなくて中身で選ぶがな」


同僚B「とか言いつつ?」


同僚A「見た目がいいにこしたことはない」


同僚B「それな!」


八幡(合わねぇ。こいつらのテンションは俺に合わねぇ)

八幡「本当にここ終わったら帰っていいんだよな?二次会とかあっても行かねーぞ」


同僚A「大丈夫大丈夫!最初の人数さえあっておけばそれでいい」


八幡「……あっそ」


同僚B「それではいざ尋常に……」


同僚A「行くぞー!」


八幡「はいはい…………ん?」

沙希「」テクテク


男A「でさー……」


沙希「そ、そうですか」アハハ

沙希「その、早く行かないとみんな待ってますよ」


八幡(川崎?あいつはクリスマスにデートか?)

八幡(てか彼氏出来てたのか。全然知らなかったな)

八幡(一言くらい言ってくれればいいのに。まぁ、別にいいけど)


同僚A「どうした比企谷?」


八幡「あー…………いや、なんでもない」


同僚B「なら早く行くぞ」

×××

同僚A「あ、いたいた」


女A「遅いよー!女性またせんなー」


同僚A「悪りぃ悪りぃ。こいつらが俺の同僚な」


同僚B「初めまして同僚Bです!」


八幡「ども」


女A「こっちがあたしの会社の人ね」


女B「こ、こんばんわ。あ、初めまして、がいいのかな?女Bです……。よろしくお願いします」


同僚A「……ん?あと1人は」


女A「なんか仕事が長引いてて遅れるらしいよ。後から来るから先に始めてよ」


同僚A「そうか、なら今日の出会いに……」


女A「あたしはあんなとこと知ってるけどね」


同僚A「知ってるから。じゃないと今日集まれてないから」

同僚A「まぁ、いいや。それでは……」


「「「かんぱーい」」」

「「かんぱーい」」


例のSSしか思い浮かばない

期待

〜数十分後〜

同僚B「いやー、楽しいな。今年のクリスマスは可愛いこと一緒で最高だな」


女B「な、何ですかそれ。可愛くないですよ」


同僚A「お前相変わらずだな」


女A「あんたもそうでしょ」


八幡(はい、こうなることは分かってましたよ。俺だけ何のためにここにいるんだって話よ)

八幡(別に分かってたからいいんだけどよ。早く終わらねーかな)

イラッシャイマセー

・「」キョロキョロ


女A「あ、来た。こっちこっち」


八幡(あー、残りの一人か。別に俺には関係ないか)


同僚A「お、おい、メチャクチャ綺麗じゃね?」ボソボソ


同僚B「やばい……な」ボソボソ


・「待たせてごめんなさい。思っていたより仕事が長引いたしまって」


女A「全然大丈夫だよ」


同僚A「ど、どうも、同僚Aです」


同僚B「は、初めまして。同僚Bです」


八幡「比企谷八幡です」


・「……え?比企谷くん?」


八幡「……は?」チラッ

雪乃「……結婚披露宴以来ね」


八幡「……雪ノ下?なんでお前が?」


雪乃「……あなたこそ、何故いるのかしら?」


女A「え、え?知り合い?」


同僚A「なになに?どういう関係?」


雪乃「……高校のときの同級生よ。同じ部活でもあったわね」


八幡「そんな感じだな」


女A「そうなんだ。ま、全員揃ったことだし乾杯し直そうよ」


同僚A「それでは改めて……」


「「「かんぱーい」」」


雪乃「比企谷くん、乾杯」スッ


八幡「おう、乾杯」コツン

八幡「……で、なんでお前はこんなとこいんの?」


雪乃「私の意思でここにいるのではないわ。人数不足で困っていたらしいのよ。……まぁ、無理矢理って感じかしら」


八幡「俺と同じだな。こっちも強制参加だよ」


雪乃「そう。それと…………勘違いされるのは嫌だから言っておくわ」

雪乃「私はこういったことに参加するのが初めてなの」


八幡「……そうか」


雪乃「だから……その、普段はこんなところに来たりしないわ」


八幡「俺もだな。てか何をそんなに熱弁してんだ?」


雪乃「べ、別に軽い女だと勘違いされるのが嫌だっただけよ」


八幡「……勘違いするわけねぇだろ。お前のことは……その、なんだ、それなりに分かってるつもりだからよ」


雪乃「…………そう」


八幡「…………そうだよ」

女A「なになに〜?二人だけの世界に入ってない?」


八幡「それはないな」
雪乃「それはないわ」


同僚A「うっわ!息ピッタリだし」


女B「雪ノ下さんのこんな一面見るの初めてかも」


雪乃「彼と息が合うくらいなら数分止めてた方がマシだわ」


八幡「いやお前それ普通にきついだろ。ちゃんと息しろ。空気はうまいぞ」


同僚B「な、何その絡み?」


女A「あはは、比企谷くんだっけ?君面白いかも」


雪乃「!!」


八幡「いや、そんな面白くもないですよ」


雪乃「そ、そうね。あなたが面白い人間だったらもっと友達がいたはずなのにね」


八幡「それはあなたもでしょう。人のことを言えるのかしら?」


雪乃「」ムカッ


女B「に、似てる、かも」


女A「やっぱ面白いじゃん!」


同僚A「比企谷ってそんなキャラだったのか」


同僚B「会社だとそんな素振り見せねーしな」


雪乃「」ギロッ


八幡(やば、調子に乗りすぎてしまった)


雪乃「比企谷くん」ニコリ


八幡「わ、悪りぃ」

八幡(その後なんだかんだで時間は過ぎ、一次会は幕を閉じた)

×××

同僚A「次どうするよ?」


八幡「あ、俺は帰るから」


同僚B「お、そうだったな。じゃーな」


雪乃「……比企谷くん、帰るの?


八幡「おう。その予定だったしな」


雪乃「そう。…………私もここで失礼するわ」


同僚B「えー?雪乃ちゃん帰っちゃうの?」


八幡「…………」ムカッ

八幡(ん?何ムカついてんだ俺は?)


雪乃「え、ええ。それとその呼び方はやめてもらってもいいかしら?」


女A「何か予定あるの?」


雪乃「……そんなところかしら。ごめんなさい」


女A「大丈夫!無理矢理なのに付き合ってもらってありがとね。ならまた明日」


同僚A「バイバイ雪ノ下さーん」

八幡「さて、俺らは帰るか」


雪乃「…………本当に帰るの?」


八幡「は?さっきもそう言ったじゃねーか。それにお前も予定があるんだろ?」


雪乃「…………ないわ」


八幡「……マジ?」


雪乃「…………ええ、本当は何もないのよ」


八幡「雪ノ下が嘘をつくとはな」


雪乃「……そうね、このままだと嘘にるわ」


八幡「そうだな」


雪乃「…………だけど今から予定を入れたら嘘にはならないわ」


八幡「なんかズルいなそれ」


雪乃「あなた程でもないと思うのだけれど」


八幡「で、どうすんの?」


雪乃「今から私と一緒に過ごしてくれないかしら?」


八幡「……俺が?」


雪乃「あなた以外いないでしょう。それとも私とじゃ嫌かしら?」


八幡「別に嫌じゃないけどよ」


雪乃「けど?」


八幡「…………嫌じゃない」


雪乃「だから?」


八幡「お前面倒くさいな」


雪乃「それもあなた程ではないと思うのだけれど」


八幡「……はぁ、付き合ってやるよ」


雪乃「付き合わせてあげるわ」ニコッ


八幡「でもどうする?クリスマスだしどこも人だらけだぞ。俺もお前も人混みは苦手だろ」


雪乃「それもそうね。…………一つ、いいところがあるわ」


八幡「どこだ?」


雪乃「付いて来たら分かるわ」


八幡「??」

×××

いろは(う〜、クリスマスなのにわたし何してるんだろ。何もしてないんだけど)

いろは(先輩も会社の人と一緒だろうしすることないなー。他の男の人と遊ぼうっても思わないし)

いろは(……先輩、楽しんでるのかなぁ?)


八幡「」テクテク


いろは(え!?あ、あれ、先輩?もしかしてもう帰りなのかな?……ふふふ、チャンスかも。よし、声かけちゃおう)

いろは「せーんぱ…………」


八幡「結局どこ行くんだよ?」


雪乃「しつこいわね。懐かしいとろこよ」


八幡「懐かしいところ?」


雪乃「そう。付いてからのお楽しみよ」


いろは(雪ノ下先輩?え、なんで一緒にいるの?先輩は会社の人と一緒じゃなかったの?)

いろは(……なんて考えても分からないよね。いや、考えなくてもクリスマスに一緒にいるなら、普通付き合ってるんだよね)

いろは(そっか………………って、ん?普通はそうだけど、あの二人って言っちゃあれだけど普通じゃないよね?)

いろは(だったらもしかしてまだチャンスはある?)

いろは(気は乗らないけど気になるから後付けちゃおう)コソコソ

いろは(うぅ、わたしクリスマスに何してんだろホント)

×××

八幡(この道ってもしかして)チラッ


雪乃「さすがにもう分かったかしら?」


八幡「あ、ああ。何となくだが。それしかないだろこの先は」


雪乃「ご名答」


八幡「…………でも開いてないだろ?」


雪乃「そこは私がなんとかするわ」


八幡「なんとかってお前…………」


いろは「」コソコソ


雪乃「……比企谷くん」ボソッ


八幡「っ!お前いきなり耳元で囁くな!」


雪乃「静かに。誰かに付けられてるわ」ボソボソ


八幡「マジで?でも誰だよ?」ボソボソ


雪乃「そこまでは分からないわ。でも後ろに確かに誰かいるわ。あ、振り向かないでね」ボソボソ


八幡「……仕方ねぇ。そこの角曲がったら待ち伏せするぞ」ボソボソ


雪乃「危なくないかしら?」ボソボソ


八幡「大丈夫だろ。こっちは二人もいるし。それにいざってときはお前が抑えつければいい」ボソボソ


雪乃「はぁ…………。そこで俺が抑えつけると言わないのね」ボソボソ


八幡「これはあれだ。お前のこと信頼してるから任せるぜ的なやつだ」ボソボソ


雪乃「物は言いようね。それでは行きましょうか」ボソボソ

いろは(な、なんだか近くないあの二人?何をそんなに近寄っているんだろう)

いろは(あっ、曲がった。急がないと見失っちゃう)タタタッ

いろは「っ!!」


八幡「一色!?」


いろは「あ……」


雪乃「一色さんだったのね。私たちを尾行していたようだけど何か用かしら?」


いろは「い、いえ、別にたまたま通りがかっただけですよ?」アセアセ


八幡「嘘はいいから。別に変に疑ってる訳じゃない。なんか用があったんだろ?」


いろは「う…………」


雪乃「一色さん?」

いろは「せ、先輩は今日同僚の人と一緒じゃなかったんですか?」


八幡「……さっきまで一緒だったよ」


いろは「そうですか。それでなんで雪ノ下先輩と一緒なんですか?」


八幡「たまたま会っただけだ。お互い暇になったから一緒にいるだけだ」


いろは(暇になったら誘ってって言ったのに……)

いろは「その、わたし帰りますね。それでは」


八幡「おい、なんか用じゃなかったのか?」


雪乃「…………」


いろは「え、えへへ。何もないですよ」


雪乃「……比企谷くん。一色さんを送って行ってあげなさい」


いろは「!?」


八幡「お前はどうすんだよ?」


雪乃「私は大丈夫よ。ちゃんと送って行ってあげなさい」


いろは「え?え?」


八幡「…………」チラッ


雪乃「…………」コクリ

八幡「……はぁ、分かったよ。一色、行くぞ」


いろは「え?雪ノ下先輩はどうするんですか?」


八幡「あいつは多分大丈夫だろ。それにお前はこの前の件もあるからな。さっさと行くぞ」


雪乃「比企谷くん、少し来なさい」


八幡「?」


雪乃「きちんと向き合いなさいよ」ボソッ


八幡「それってどういう
雪乃「いいから。逃げないでね」


八幡「…………まぁ、よく分からんが分かった」


雪乃「……さよなら一色さん」


八幡(一色にだけか……。まぁ、そういうことなんだろう多分)

×××

【いろは家】

いろは「あ、その、なんかすみません。また迷惑かけちゃって」


八幡「別に大丈夫だ。じゃあな」


いろは「あ……」


八幡「どうした?まだなんかあんのか?」


いろは「…………」


八幡「何もないならもう行くぞ」


いろは「……残りのクリスマス、わたしと過ごしませんか?」


八幡「…………なんで?」


いろは「その、理由という理由は…………」


八幡「…………」


いろは「……ある、んですけど」


八幡「…………」


いろは「その…………先輩と一緒がいいです。先輩と一緒にいたいです」


八幡「……それはどういう意味でだ?」


いろは「…………言わないと、分かりませんか?」


八幡「分からねぇな」


いろは「そうですか…………。分かりました」スーハー


八幡「一色?」

いろは「」スーハースーハー

いろは「よし、先輩!!」


八幡「 ……はい」


いろは「先輩のこと好きになっちゃいました!これからも先輩と一緒にいたいです!隣にいたいです!だから……」


八幡「…………」


いろは「だから!わたしと付き合ってください!!」


八幡「…………」


いろは「お願いします!」


八幡「…………一色」


いろは「……はい」

八幡「…………すまん。お前の気持ちには答えることは出来ない」


いろは「…………」


八幡「その、なんと言う
いろは「ま、だと思ってました!」


八幡「……はい?」


いろは「先輩はなんだかんだで分かりやすいですからね。振られることも分かってました」

いろは「これはわたしの自己満足です!またまた迷惑かけてすみません」


八幡「…………分かりやすいって何がだよ?」


いろは「分かってますよね?」


八幡「分からん」


いろは「またまたー。いい加減素直になれって感じですよ!じゃないとわたしはどうなるんですか?」


八幡「どうなるって……」ハッ


いろは「どう……なるんですか」グスッ


八幡「…………」


いろは「あ、あれ?わたし……泣いてる?」グスッ

いろは「なんでだろ?なんでなんだろう?先輩に振られちゃったからかな?」グスグスッ


八幡「…………すまん」


いろは「許しません…………と、言いたいですけどせっかくのクリスマスですからね。許してあげなくもないです」グスッ


八幡「なんだその曖昧な言い方は。とりあえず涙拭け」スッ


いろは「誰のせいですか」フキフキ

いろは「さて、それでは条件付きで許してあげます」


八幡「条件?変な条件だと嫌だぞ」


いろは「いえいえ、そんなことはないですよ。クリスマスっぽくいきましょう」


八幡「クリスマスっぽく?」


いろは「クリスマスプレゼントください!それでチャラにしてあげます」


八幡「いや、そんないきなり言われても……。俺何も持ってないぞ」


いろは「仕方ないですね……。ならこれがプレゼントで」ギュッ


八幡「ちょ、ちょい、え!?何で抱きついてんの?」


いろは「チャラにするんですからこれくらいサービスしてくださいよ」ギュー

いろは「本当はキスがしたかったんですよ」ボソッ


八幡「……一色」


いろは「はい?」ギュー


八幡「その……聞こえてるから。こんだけ近いんだし」


いろは「…………///」カァァ

いろは「……バカ。聞こえてない振りくらいしてくださいよ」ギュッ

八幡「……その、いつまで続くのでしょうか?」


いろは「…………よく考えたらこれはわたしから先輩へのプレゼントになりますね」パッ


八幡「え?そうなの?」


いろは「そうなのです。なので先輩、クリスマスプレゼントください」


八幡「……なんで目を閉じてんだよ?」


いろは「なんででしょうね?プレゼントまだですか?」


八幡「……動くなよ」


いろは「……はい」


八幡「…………」


いろは「…………」ドキドキ


八幡「」ギュッ


いろは「……へ?」


八幡「……これでいいんだろ」ギュッ


いろは「いや、その……普通ここは抱きしめるじゃなくて。さっき聞こえてたのなら尚更…………」


八幡「……何の話だ?」ギュッ


いろは「先輩はズルいです」


八幡「……そうかもな」ギュッ


いろは「……ありがとうございました」パッ

いろは「少しの間ですけど幸せでしたよ」


八幡「少しじゃなくて、これからも幸せになれよ」


いろは「不幸にした本人が何を言ってるんですか?」


八幡「幸せじゃなかったのかよ」


いろは「……先輩は幸せになってくださいね」


八幡「と言ってもな、今はそんな相手いねーよ」


いろは「本当にそう思いますか?」


八幡「…………」


いろは「やっぱり分かりやすいじゃないですか」

いろは「それでは、送ってくれてありがとうございました」


八幡「じゃーな」

八幡(……さて、俺はどうするかな)

いろは…

八幡「帰ってめぐりといちゃいちゃして寝るか」

×××

【総武高校前】

雪乃「…………」


八幡「……よ」


雪乃「……あら、来たのね」


八幡「まぁな。てかお前も待ってたじゃねーかよ」


雪乃「一色さんはもういいの?」


八幡「なんの話だ?」


雪乃「しらばっくれてもいいけど、大体分かるわよ」


八幡「さすがは雪ノ下さんだな」


雪乃「それで、いいのかしら?」


八幡「……ああ。もう大丈夫だ」


雪乃「そう。それなら行きましょうか」

八幡「行きましょうかって言ってもここに入るつもりか?鍵閉まってるぞ」


雪乃「私が開けるわ」


八幡「え?お前鍵持ってるの…………何してんだよお前」


雪乃「見て分からないかしら?ピッキングよ」カチャカチャ


八幡「分かった上で聞いてんだよ」

ガチャッ

雪乃「開いたわ」


八幡「お前どこで覚えたんだそんなこと」


雪乃「……社長の金庫を」


八幡「はぁ!?お前何してんの!?」


雪乃「冗談よ。それと大きな声出さないで」


八幡「……変なスペックまで上げてんじゃねーよ」


雪乃「入りましょうか」

ピキのん…

×××

【元奉仕部部室】

雪乃「この部屋も懐かしいわね。10年ぶりくらいかしら」


八幡「てかこんなことしていいのか?冷静に考えたら不法侵入だろ」


雪乃「いいわけないじゃない。けれど高校時代に他の生徒と比べてバカやってなかった分を、今この校舎に返してもらいましょう」


八幡「雪ノ下も屁理屈言うんだな」


雪乃「誰の影響かしらね?」


八幡「……さぁな」

八幡「懐かしいな」


雪乃「そうね。懐かしついでにちょっとした余興でもしましょうか」


八幡「余興?」

雪乃「…………そうね、ではゲームをしましょう」


八幡「ゲーム?」


雪乃「そう。ここが何部か当てるゲーム。さて、ここは何部でしょう?」


八幡「お前これって……」


雪乃「」ニコリ


八幡(少しくらい付き合ってやるか)

八幡「他に部員っていないのか?」


雪乃「いないわ」


八幡「……文芸部か」


雪乃「へぇ……。その心は?」


八幡「特殊な環境、特別な機器を必要とせず、人数がいなくても廃部にならない。つまり、部費なんて必要としない部活だ。加えて、あんたは本を読んでいた。答えは最初っから示されていたのさ」


雪乃「はずれ」


八幡「……はははっ」


雪乃「ふふふ」


八幡「本当にただの余興だったな」


雪乃「あなたが初めてここに来た時の会話よ。それにしてもよく一字一句も間違えずに言えたわね。気持ち悪い」


八幡「間違えてないって分かってる時点で、お前も覚えてたんじゃねーか」

雪乃「この部に入ってよかったかしら?」


八幡「……悪くはなかったよ」

八幡「そーえばいつの間にか俺はここが特等席になってたんだよな」ヨイショ


雪乃「私がここだったわね」ヨイショ


八幡「…………」


雪乃「結構離れていたのね。間に由比ヶ浜さんがいたから気づかなかったわ」


八幡「それに二人とも本ばっかり読んでたからな」


雪乃「……そう考えたらお互い下ばかり向いていたのね」

雪乃「あの時のあなたと私は、向かい合えていたかしら?」


八幡「出来てたんじゃねーの?向かい合いすぎてぶつかり合いもしたしな」


雪乃「すれ違いもあったけれど」


八幡「いつの話だ?交通事故?文化祭?」


雪乃「…………素直になれなかった気持ちの話よ」


八幡「…………」

雪乃「…………今はなれるかもしれないわね」


八幡「…………どうだろうな。人は簡単には変われねぇよ」


雪乃「そうね。あなたはそう言うわよね」

雪乃「けれどこんな言葉はあるわよね。『恋は人を変える』」


八幡「……そんなの意識の問題だろ。そいつ自身は変わってねーよ」


雪乃「ねぇ比企谷くん…………」





雪乃「あなたは私を変えたわ」





八幡「……お前、それってどういう意味だ」


雪乃「…………」


八幡「…………本気か?」


雪乃「……嘘はつかないわ」


八幡「雪ノ下……」

雪乃「…………雪」


八幡「は?」


雪乃「雪が降ってるわ」


八幡「ホワイトクリスマスだな」


雪乃「ふふ、あなたには似合わない言葉ね」


八幡「うるせーよ。……てか雪のせいでいっそう寒くなってきたな」


雪乃「……比企谷くん、手を出しなさい」


八幡「なんで?」


雪乃「いいから」


八幡「……はいはい」スッ


雪乃「」ギュッ


八幡「……手を握る必要はあるんですかね?」


雪乃「……寒いでしょ。この方が暖かくなるわ」


八幡「まぁ、そうだけどよ……」


雪乃「それとも紅茶でも飲むかしら?もしかしたらあの頃のが残っているかもしれないわよ」


八幡「飲まねぇよ。腹壊すだろ」


雪乃「…………」ギュッ


八幡「…………」

雪乃「…………」ギュッ


八幡「……その、待っててくれねぇか?」


雪乃「何をかしら?」


八幡「さっきの言葉に対する答えをだよ。その……少しでいいから」


雪乃「……仕方ないわね。待っててあげる。あなたの答えが出るのを」


八幡「……悪りぃな」


雪乃「その時はこの手を握り返してくれるのかしら?」ギュッ


八幡「……それも待っててくれ」


雪乃「そう」パッ

雪乃「そろそろ帰りましょうか」


八幡「……そうだな」


雪乃「比企谷くん」


八幡「……なんだよ?」


雪乃「面倒くさいことを考えずに素直な気持ちで答えを聞かせてね」


八幡「分かってるよ」


雪乃「…………そうじゃないと『本物』ではないのでしょうね」


八幡「……………………言うなよ。恥ずかしいだろ」


雪乃「私は嫌いではないわ。その言葉」


八幡「そうかよ」


雪乃「帰りましょうか」


八幡「送ってくよ」

八幡(そして、雪ノ下を家まで送り俺も帰宅した)

八幡(雪ノ下に答えを求められた。俺はその答えを出す時に、あの手を握り返すことは出来るだろうか?)

八幡(全部俺が決めることだ。これは俺の問題だ)

八幡(だが、やっぱり相談してしまいそうだな。そしてきっと話を聞いてくれるだろう)

八幡(…………あの妹なら)

×××

【比企谷家実家】

八幡(クリスマスも終わり、今年も残すを一日だけとなった。つまり今日は大晦日である)

八幡(俺は未だに雪ノ下への返事をしていない)

八幡(ここ数年、大晦日の過ごし方は決まっていた)

八幡(実家に帰る。小町も帰ってくる。…………普通だとこんなものなのだろう。だが、小町が結婚してからというものの…………)


比企谷母「あ、どうぞ。遠慮しなくていいですよ」


川崎母「毎年お邪魔してすみません。ご迷惑じゃありませんか?」


比企谷母「いえいえ、今年も残り最後を楽しみましょう」


八幡(年末年始には、比企谷家族と川崎家族の大集会が開かれるのである)

大志「お兄さんお久しぶりっす」


八幡「おう、久しぶりだな」

八幡(もうお兄さんと呼ばれるのも諦めがついた。だっていちお義兄さんなんだもん。それに悪いことだけでもない。なぜなら…………)


京華「お義兄ちゃん久しぶりー!」ダキッ


八幡「久しぶりだな。元気にしてたか」


京華「うんっ!お義兄ちゃんは?」


八幡「元気元気」

八幡(義妹が出来たのだから!いやマジ可愛い。小町と張り合っちゃう)

八幡(まぁ、もちろん川崎家といとこになった訳だから、あいつもいるわけで…………)


沙希「け、京華!いきなり抱きついたりしないの。危ないよ」


八幡「危ないって何がだよ。俺か?俺が比企谷菌でもぶり返したのか?」


沙希「……はぁ、あんた相変わらずだね」


八幡「お前もな」


沙希「……久しぶり」


八幡「久しぶり。まぁ、ゆっくりしていけ」


沙希「うん」


八幡(こんな風に過ごすのが毎年恒例の年末年始になっていた)

×××

八幡(比企谷家と川崎家が全集合して時間も少したち、俺たちは年越し蕎麦を食べていた)


小町「お兄ちゃん今年はどうだった?何か変わったことでもあった?」


八幡「ぶふっ!!」


大志「ちょっ、お兄さん!蕎麦かかったっす」


小町「お兄ちゃん。いきなり蕎麦吹き出さないでよ!汚いよ!かかったのが大志くんだからいいけど」


大志「え?小町ちゃん?」


沙希「あんた何してんのさ。ほら、拭いてあげるから動かない」フキフキ


八幡「す、すまん」


小町「」ニヤニヤ


沙希「……なんかあったの?」


八幡「…………まぁ、生きてりゃ誰でもなんでもあるだろ」


沙希「……そ」


小町「ふーん、お兄ちゃんも大変そうだね。主に仕事だけだろうけど」


八幡(な、なんだか小町には話しづらくなってしまった気がする)

八幡「お前らは今年どうだったんだよ?なんか変わったことあったのか?」


京華「あ、京華はクラスの人に告白されちゃった」


八幡「なんだと!?おい、今すぐ連れて来なさい!俺の許可なく京華に手を出すとは身の程知らずめ。大人の力見せてやる」


小町「なんでお兄ちゃんが一番動揺してるの」


大志「しかも大人の力とか言い出してるっすよ。高校生に何する気なんですか」


沙希「そ、それで京華はその人のことどうしたの?」


京華「もちろん振ったよ」


小町「もちろんなんだね」


京華「だって京華はお義兄ちゃんと結婚するんだよ。ね?」


八幡「はっはっは。よく分かってるじゃないか」


沙希「け、京華……。冗談はその辺にして蕎麦食べなさい」


京華「はーい」


八幡「え?冗談なの?」


京華「んー、美味しいね」ズルズル


沙希「当たり前でしょバカ。そんなのあたしが認めないし」


八幡「シスコンはまだ継続中か」チッ


沙希「あんたに言われたくないんだけど」

八幡「川崎はなんかなかったのか?」


小町「お兄ちゃん。ここに川崎はたくさんいるから、誰に話しかけてるかわからないよ?」


沙希「…………」


八幡「川崎沙希はなんかなかったのか?」


大志「まさかのフルネームで対応してきたっすね」


小町「いい加減名前くらい呼べばいいのに。京華ちゃんにも大志くんにも呼び捨てのくせに」


八幡「別にいいんだよ。川崎で呼び慣れてるし。な?」


沙希「あ、そ、そうだね。今さら呼び方変えられても…………分かりづらいし」

沙希「それにあたしは今年特に何もなかったかな」


八幡「ん?お前クリスマスの日誰かと一緒じゃなかった?」


沙希「え?え?ちょっ…………えっ!?何で知ってんの!?」


八幡「何でって…………。見かけたからな」


京華「お姉ちゃん彼氏できたの?」


沙希「違う!違うからね!二人だけじゃないから!会社の人で飲んでたの!それでちょっとしつこい人がいたって話で…………」


八幡「彼氏じゃなかったのか」


沙希「あ、当たり前でしょ!彼氏とかいないから」


八幡「そうか」


沙希「本当だからね!」


八幡「わ、分かったよ。何をそんなに何度も言ってるんだ」


沙希「…………///」


小町「」ニヤニヤ

京華「あー!もう今年も終わっちゃうよ。カウントダウンしようよ」

京華「ごぉーー!」


小町「よーん!」


大志「さぁーん!」


沙希「……に」


八幡「え?あ?い、いち」



「「「あけましておめでとう」」」



小町「よし、年も開けたね!それじゃ初詣行こうか」


京華「行く行く!お義兄ちゃんも一緒に行こう」グイッ


八幡「よし、なら行くか」


沙希「本当妹には甘いよねあんた」

沙希(……あたしだって誕生日はあんたより遅いんだよ)


八幡「どうした?早く行こうぜ」


沙希「……うん」

×××

【神社】

八幡「人が…………多すぎる」グデー


小町「お兄ちゃんダウンが早すぎるよ」


八幡「ちょっ、マジで無理。ここで休憩しとくから、お前ら先に行ってていいぞ」


小町「一人で大丈夫?」


八幡「あー、大丈夫大丈夫」グデー


沙希「……はぁ、本当だらしない。あたしが付いててあげるから、小町たちは心配しないで行った来ていいよ」


八幡「え?いやでも
小町「ホントですか?いやー、沙希さんなら頼りになります」

小町「さ、大志くんも京華ちゃんも行こっ」


大志「それでは先に行ってるっす」


京華「お義兄ちゃんと一緒がよかったけど仕方ないよね。また後でね」


八幡「…………」


沙希「…………」


八幡「迷惑かけてすまん」


沙希「別にいいよ。なんか飲む?買ってきてあげる」


八幡「……すまん、お言葉に甘えさせていただきます」


沙希「何がいい?」


八幡「MAXコーヒーで」


沙希「あんたまだそれ好きなんだ。分かった、待ってて」タタタッ

八幡(新年早々迷惑かけまくりだな俺)

八幡(元旦か……明後日は1月3日、雪ノ下の誕生日だよな。…………どうしよう」


・「何がどうしようなの?」


八幡「……は?」


結衣「やっはろーヒッキー!あけましておめでとう!」


八幡「……由比ヶ浜」


結衣「もう由比ヶ浜じゃないんだけどね」


八幡「あ、そうだったな。えっと……」


結衣「あーもう、由比ヶ浜でいいよ。あ、ゴメン先に行ってて」


結衣旦那「おう。後から連絡くれ」


結衣「うん!」

八幡「……いいのか?」


結衣「大丈夫だよ。だってヒッキー悩んでるんでしょ?どうしたの?」


八幡「あー……まぁ、ちょっとな」


結衣「ゆきのんと何かあったんでしょ」


八幡「んだよ、雪ノ下に聞いてたのか」


結衣「んーん、ゆきのんからは何も聞いてないよ。でも当たってたんだ」


八幡「まぁ、その…………告白、みたいなのをされた」


結衣「みたいなのってなんだし」


八幡「そんな感じなんだよ」


結衣「返事はしたの?」


八幡「…………まだ」


結衣「答えは出てる?」


八幡「どうだろう」


結衣「あたしの時はその場で振ったよね」


八幡「うっ」


結衣「いろはちゃんのときも」


八幡「……なんで知ってんだよ」


結衣「それはいろはちゃんから連絡来ましたので」


八幡「マジかよ」


結衣「それでゆきのんのときは保留なんだよね」


八幡「……そうなってるな」


結衣「ならもう答え出てるんじゃん」

八幡「そう……なんだろうか」


結衣「そうだよ。ちゃんと分かるようにあたしが言葉にしてあげる」





結衣「ヒッキーはゆきのんのことが好きなんだよ」





八幡「…………」


結衣「ね?」


八幡「……そうだな。ありがとう由比ヶ浜」


結衣「んーん、ゆきのんにもヒッキーにも幸せになってほしいから」


八幡「ありがとよ。もう大丈夫だ」


結衣「どういたしまして。うまくいったら報告すること。それじゃね」


八幡「またな」

×××

沙希(あたしが飲み物を買って戻ってきたら、あいつは由比ヶ浜と二人で話をしていた)

沙希(とても入れる雰囲気ではなかった。趣味が悪いようだけど、盗み聞きみたいなことをしてしまった)

沙希(雪ノ下が比企谷に告白した。比企谷も雪ノ下を好きだと認めた)

沙希(そっか。これが失恋という気持ちなのか)


『サンキュー!愛してるぜ川崎!』


沙希(あんな言葉一つであたしはあいつのことを気にかけていた。あたしも単純だなぁ)

沙希(でもこの気持ちはあたししか知らない。そしてこの想いは誰にも伝わることなく終わった)

沙希(なら、ならば、最後まで自分の中で終わらせよう)

沙希(上手くいく恋愛に手を出すのも相手に悪いしね)

沙希(誰かに相談したら言われるかもしれない。『気持ちは伝えた方がいいよ』などと言われるかもしれない)

沙希(なんで伝える方がいいみたいに思うのだろう?伝えない方がいいこともあるのに)

沙希(そしてこの気持ちは伝えなくていい気持ちだ。だからあたしは自分で終わらせる)

沙希(間違ってはいない。間違いなんて言う人は伝えることの間違いを知らないだけだ)

沙希(だからあたしはいつも通りにしよう)


沙希「お待たせ。はいこれ」スッ


八幡「ありがとよ。お参りの前に先におみくじでも引いとくか。そこにあるし」


沙希「うん」

×××

八幡「…………末吉」


沙希「あんたらしい微妙な結果ね」


八幡「お前はどうなんだよ?」


沙希「ふふん」ピラッ


八幡「大吉……だと」


沙希「あんたとは大違いだね」

沙希(神様は何も分かっていない。元旦から失恋したあたしが大吉なわけないのに)

沙希(神様はきっと見ていない。だから大吉などをあたしに引かせるのだ…………ん?)


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沙希(あたしのおみくじの恋愛の欄に書かれていた一言に目がついた)

沙希(諦めなさい、か。そっか……そうだよね)

沙希(なんだよ神様。ちゃんと見てるじゃないかい)グスッ


八幡「か、川崎?どうした?」


沙希「何が?」グスッ


八幡「何で泣いてるんだ?」


沙希「…………えっ?」グスッ


八幡「大丈夫か?」


沙希「だ、大丈夫!……目にゴリが入っただけ」


八幡「ゴ、ゴリ!?ゴリラが入ったの?」


沙希「…………ゴミだよ!噛んだんだよ!いちいち突っ込むな」

沙希「……ふぅ。じゃあそろそろ小町たちと合流しよっか」


八幡「……そうだな」

八幡(俺のおみくじは末吉だった。だが一つだけいいことが書いてあった)


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八幡(いつもなら流し見みするような項目も今年は目が止まった)

八幡(神に頼ったような結果だけど、少しは自信がついた)

八幡(そして1月3日。雪ノ下の誕生日を迎える)

×××

雪乃「ねぇ、比企谷くん」


八幡「どうした?」


雪乃「いきなり新幹線に乗せられた私は、一体どこに連れて行かれてるのかしら?」


八幡「あれ?言ってなかったか?」


雪乃「言ってないわよ。とぼけないで」


八幡「着いたら分かる」


雪乃「……私の真似事かしら?」


八幡「そんなもんだ。お前もクリスマスに行き先教えなかっただろ」


雪乃「にしても遠出している気がするのだけれど」


八幡「新幹線だしな。近場じゃないだろ」


雪乃「…………はぁ。分かったわ。大人しく着いて行くわ」


八幡「ありがとよ。ほら降りるぞ」


雪乃「京都?」


八幡「おう。京都だ」


雪乃「なぜ京都に…………」


八幡「日帰りだしいいだろ。どうせ来たんだし楽しんでいこうぜ」


雪乃「あなたが一方的に連れてきたのだけれどね」


八幡「さーて、どこか行きたいところあるか?」


雪乃「いきなり言われても…………」


八幡「よし、飯食おう。ラーメンだラーメン」


雪乃「え?ラーメン?」


八幡「そう、ラーメン」


雪乃「ここに来て食べるラーメンってあなたまさか……」


八幡「」ニヤリ


雪乃「…………はぁ」

×××

八幡「ふぅー、食った食った。どうだったよ?」


雪乃「……凶暴な旨味だったわ」


八幡「感想変わんねぇなお前」


雪乃「いきなりこんなところに連れてきて、まさかラーメンが食べたかっただけじゃないでしょうね」


八幡「……まぁ、ラーメンは食いたかったな。だけどそれはついでだ」


雪乃「なら本当の目的は何かしら?」


八幡「次どこ行く?」


雪乃「聞いてるの?」


八幡「聞いてるよ。いいから楽しむぞ」


雪乃「…………仕方ないわね。そこまで言うなら覚悟しなさい。次はここに行くわよ」


八幡「お、おう。いきなり気合い入ってんな」


雪乃「これは気合いでもやる気でもないわ。ヤケクソよ」


八幡「そ、そうか」


雪乃「そうよ。早く行きましょう」


八幡「はいはい」

×××

八幡(そして俺と雪ノ下は京都巡りをした。気づけば日は落ち始め夕日に変わっていた)

八幡「つ、疲れたな」


雪乃「いろいろ回ったからね。修学旅行では二人で回ることもなかったのだし、行きたいところに行けたでしょう?」


八幡「それはお前もだろ。まぁ、お前と二人ってのも悪くないな」


雪乃「…………そう」

雪乃「そろそろ帰らないと夜になるわよ?」


八幡「そうだな。なら最後に一箇所行くか!」


雪乃「まだあるのね」


八幡「最後だって」


雪乃「分かったわ。最後まで付き合いましょう」


八幡(そして俺は雪ノ下を連れてあるところへ向かった)

八幡(それは戸部の告白が届かなかった場所)

八幡(それは修学旅行のときの奉仕部への依頼を達成した場所)

八幡(つまり俺がいろいろなものをぶち壊した場所だ)

雪乃「ここは……」


八幡「さすがに覚えてるだろ?俺たち奉仕部の悪い思い出の場所だ」


雪乃「なぜこんなところに連れてきたのかしら?」


八幡「…………この場所は悪くない。なのに俺たちの中で悪い思い出の場所のままではあるよな」


雪乃「原因はあなただったけどね」


八幡「分かってるよ。だからこの場所を俺たちにとって、いい思い出の地に変えたいんだ」


雪乃「??」


八幡「雪ノ下…………」





八幡「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」





雪乃「!!」


八幡「…………」


雪乃「……本気かしら?」


八幡「ああ。本気だ」


雪乃「それにしても言葉も全く変えないなんてどうゆうこと?」


八幡「言葉通りだ。ずっと前から好きだった。憧れなんかじゃない。好きだった」


雪乃「そう……………………」

八幡「返事は…………いつでもいい」


雪乃「馬鹿ね」


八幡「……はい?」


雪乃「私の方が先だったでしょう。今のは比企谷くんが私の告白に返事をしたのよ」


八幡「ということは…………」


雪乃「」スッ

雪乃「今回こそ、私の手を握り返してくれるわよね?」ニコッ


八幡「……当たり前だろ」ギュッ


雪乃「ふふっ」


八幡「はははっ」

雪乃「…………」


八幡「…………雪」


雪乃「えっ?」


八幡「また、雪が降ってきたな」


雪乃「そうね。冷えそうだわ」


八幡「それにしても俺もお前も思い出に浸りすぎたな」


雪乃「私は総武高校へあなたを連れて行った。あなたは修学旅行先であっまた京都へ私を連れてきた」

雪乃「……雪が積もってきたわね」


八幡「俺たちの思い出の分積もってくれてるんだろ」


雪乃「そう…………。けれどまだまだ降り続きそうね」


八幡「そりゃそうだ。新しく始まったばかりだからな」


雪乃「どこまで積もるかしら?」


八幡「どこまでも積もるだろ。これからは二人分雪が降るからな」


雪乃「…………」


八幡「誕生日なのに振り回して悪かったな」


雪乃「構わないわ。楽しかったもの」

雪乃「ところで比企谷くん。私まだ貰っていないと思うのだけれど?」


八幡「…………何をでしょう?」


雪乃「分からない?」


八幡「分からねぇな。雪ノ下がそんなことを自分から言い出すのも意外だ」


雪乃「普通は言わないでしょうね」


八幡「だろ?」


雪乃「でもあなたには言うわ。…………私はあなたの彼女だから」


八幡「…………………彼女の初めてのわがままなら仕方ねぇわな」


雪乃「用意してくれてたの??」


八幡「いやしてなかった」


雪乃「あなたって人は…………仕方ないわね。これでいいわよ」


八幡「これって何ですか?何で目を瞑っているんですか?」


雪乃「…………私の初めてのわがままよ。ダメ……かしら?」


八幡「……ダメじゃねぇな」

八幡(最近こんな光景を見た。今回は間違わねぇな)


雪乃「……なら」


八幡「……おう」


雪乃「…………」ドキドキ


八幡「…………」ドキドキ


雪乃「…………」ドキドキ


八幡「」チュッ


雪乃「……///」

雪乃「…………その、ありがとう」


八幡「…………ど、どういたしまして」

八幡(こうして俺と雪ノ下は結ばれた。ここまで長い道のりだったと自分でも思う)

八幡(そして俺と雪ノ下はここで誓ったのだ)


雪乃「言っておくけど私は結婚を前提じゃないと嫌よ」


八幡「気が早いな。…………まぁ、俺もお前以外とは考えられねぇが」


雪乃「その内両親に挨拶に来なさい」


八幡「マジかよ。いや、そうなるよな…………。はぁ」


雪乃「あなたの気持ちは分かるけど観念しなさい」


八幡「……了解」

八幡(俺たちの思い出が降り積もった場所で)

八幡(この雪の下で)

〜完結〜

以上です。
投稿中にコメントもらえてモチベーション上がりました!
ありがとうございます!

ギップリャ!

おつおつ

乙です!
面白かった


八幡達が28ってことは平塚先生は…

…おっと誰か来たようだ

お疲れ様です

ぶたごりさんのあのあーしさんとサキサキss の続き、
本当に見たいです
期待しでもいいですか?
すいません

乙。このままじゃ、いろはが第2の平塚先生になってしまう…材木座さえ結婚してしまっているのに
他に残っている男キャラは…副生徒会長、玉縄、童貞風見鶏くらいか?副生徒会長はともかく、あとの二人はちょっと…

おつ!
甘々しくて口から砂糖吐いた

サキサキ・・・義理の兄妹になったタイミングで押しまくっていれば、小町達のアシストで上手くいったかもしれないのに。

乙です
面白かった!

>>104
書き始めたはいいもののよく考えたら大学行ってなかったんで内容が浮かばなかったです(笑)

なんか登場人物の精神年齢がおかしい

>>111
これ

静ちゃんは私がもらっていきますね。

このけーちゃんと結婚したいと思いました

>>100
言わんとするところは分かる

28歳までなんの進展もなくて他に彼氏彼女もいたことないってちょっと異常なんだよなぁ…
23とか24だったらまだわからんでもないが…

だな
ガハマさんはしっかり彼氏作って結婚して幸せを掴んだのにな
それどこれか材木座までねんがんのせいゆうさんとけっこんするを果たせたというのに

材木座って男性声優にモテそう

>>118
下野みたいな感じで(男に)モテそう

出来ないなら仕方ない

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月24日 (月) 17:53:43   ID: H0NIxDYH

続きはよ

2 :  SS好きの774さん   2015年08月25日 (火) 12:13:51   ID: 98iX2EwF

感動しました!

3 :  SS好きの774さん   2015年08月26日 (水) 00:33:21   ID: 5WeeCcWs

なかなかの良作でした。

4 :  SS好きの774さん   2015年09月01日 (火) 13:40:05   ID: gpRr14MT

補完できるからええけど、もう少し誤字がなかったら上の中だった

5 :  SS好きの774さん   2016年04月12日 (火) 10:44:30   ID: M4_ImWnN

なーんだ
ただの神作か(マジで良かった)

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