後輩「先輩、ルームシェアしましょう!」(10)


男「は?やだよ」

後輩「私史上最大のお願いをそんな適当に返さないでくださいよ」

男「いやだって、急にそんな事言われてもなあ」

後輩「いいじゃないですか! こんな可愛い後輩が一緒にルームシェアしようって言ってるんです、普通二つ返すのが当たり前ですよ? 法律ですよ?」

男「はあ……」

後輩「はいそれじゃあもう一度いってみましょう、先輩も突然の事でビックリしたでしょうし」

後輩「先輩、ルームシェアしましょう!」

男「は?やだよ」

後輩「一字一句変わってない!?」


後輩「うう、そんな……」

男「というかお前さ、昼に
『授業後重要な私と先輩の一生を左右しかねない重要なお話があるので、教室に残っててください!』って言って俺を此処に残したわけだけど、ひょっとしてこれ話すために俺を残したわけ?」

男「というか何で重要って二回言ったんだよ」

後輩「言葉の強調って奴ですよ先輩! 現代文の授業で習ったので、使ってみた次第です」

男「そ、そうなのか」

後輩「ねーいいじゃないですか先輩ールームシェアしましょうよー。今なら炊事洗濯、私が受け持っちゃいますよー?」

男「そういう問題じゃないだろ……」

というか何でというかって二回言ったんだよ


男「そもそも何でそんなにルームシェアとやらがしたいんだよお前」

後輩「えっそ、そんなの四六時中先輩と居たいからに決まってるじゃないですか!言わせんな恥ずかしいって奴ですよ!」

男「そうか。じゃあそれを俺の目見ながらもう一度、ちゃんと言ってみろ」

後輩「いっいいですよ!じーー……」

男「(自分でじーーって言うやつ初めて見た……)どれ。…………」

後輩「じーー……………」

男「……………」

後輩「じーー……………先輩」

男「ん?」

後輩「目やに溜まってますよ、さてはさっきの授業、寝てましたね?」

男「どうでもいいわ!」


後輩「くっ……中々言い出せません!」

男「それはな、お前が嘘をついているって何よりの証拠なんだよ。そろそろ白状したらどうだ?」

後輩「そんな! 先輩が楽しみにとっておいた昼食のプリンなんて私知りませんし食べてませんよ!?」

男「買ってきたプリンが忽然と姿を消したのはお前の仕業かぁぁ!!」

後輩「……じゃあわかりました、先輩に免じて、本当の理由をお話しましょう」

男「お、観念したか」

後輩「寝袋の用意は出来てますか?」

男「どんだけ話す気!?」

睡眠王!寝袋の貯蔵は十分か!!


後輩「私の家が超大金持ちなのは、先輩も知ってますよね?」

男「父親がどこぞの大企業の社長なんだろ? 前に一度会ったことあるしな。というか自分で超大金持ちっていうのやめろ」

後輩「はい。それでその、父が今度の仕事で、母と一緒に海外にしばらく行っちゃうらしくてですね。私以外、家に誰もいなくなっちゃうんですよ」

男「ほう」

後輩「だから先輩が一緒に居てくれたら、帰ってくるまで寂しくもないかなーって」

後輩「そう思ったんです」

男「…………」


後輩「どうです、先輩? 先輩に言われた通り、ハッキリしゃっきり理由を述べてみたんですけど」

男「……そうだな、とりあえずツッコミたい所は色々とあるが、一個ずつ潰していく事にしよう」

後輩「男なら細かい事は気にしないでください!」

男「うるせえプリン代請求するぞ。まず最初、期間はどれくらいなんだ?」

後輩「えーっと、早くて1ヶ月くらいって言ってました。遅くて10年くらいとも言ってました」

男「幅ありすぎだろ!? まあそれはよしとして、次。何で他の女友達とかじゃなくて俺なんだ?」

後輩「そうですねえ、私も先輩の事は信頼してますし、それに父が」

男「え?」

後輩「『娘よ、私達がいない間、もし寂しく感じる事があれば男君の所に行きなさい。彼なら万が一の心配も無いし、きっと娘を受け入れてくれる。
あ、なんなら既成事実とか作っちゃって永久に男君の家で過ごしてもいいからね!』」

後輩「って」

男「何爽やかに言ってくれちゃってんのおおおおおおおおおお!?」


後輩「そしてもし私達が婚約するような事があれば、今取り引きしてる会社を潰してでもこっちに飛んでくるとも言ってました」

男「あの人ならマジでやりそうでこええよ!? はあ、だから苦手なんだよな後輩の親父さん……」

後輩「あはは、それちょっとわかります。まあなんにせよそういう訳で、私は先輩を頼ったんです。わかりましたか?」

男「ああ、出来れば知りたくなかったよ……」

後輩「またまたぁ~」

男「(マジで殺意沸くな、コイツ)」

後輩「さて、質問は以上ですか? それじゃそろそろ行きましょうか!」

男「は? い、いくって、どこにだよ」

後輩「え? 何処も何も、先輩の家に決まってるじゃないですか。いえ、私達のスウィートホームと言ったほうが適切ですかってあいたぁ!?」

男「男流体術、デコピン!!」


後輩「い、痛いです……骨身に染みます……」

男「ふっ俺のデコピンは岩をも砕く……じゃなくて!」

男「何でもう俺んち住む気満々なんだよ」

後輩「えっ、会話の流れとかからして交渉成立なのかと」

男「何処をどう読んだらそうなるんだ。だからなあ……」

キーンコーンカーンコーン

男「…………」

後輩「あ、チャイムです。男さん、そろそろ教室閉まりますよ?」

男「ああああもうわかったよ! とりあえず俺の家来い! そこで決着をつけるぞ」

後輩「本当ですか!? これからよろしくお願いしますね、先輩!」

男「ちょっとは人の話聞けよ、いやマジで」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom