キョン「ハルヒ、超能力を見せてやるよ」ハルヒ「なんですって?」(10)

部室

キョン「ここに買ってきたばかりのトランプがある。この通り、新品だ」

ハルヒ「ふんふん」

キョン「で、開けるだろ」ゴソゴソ

ハルヒ「それでそれで」

キョン「な?どっからどう見ても真新しいトランプだ。出来上がったばかりなのか、どこか温かい気もするほどだ」

ハルヒ「続けて」

キョン「じゃあ、ハルヒ。よく切ってくれ」

ハルヒ「うん」シャッシャッ

ハルヒ「できたわよ。それから?」

キョン「好きなカードを一枚選んでくれ。まだ見るなよ?」

ハルヒ「……選んだわよ」

キョン「そのカードはスペードのエースだな」

ハルヒ「……当たってる」

キョン「どうだ?これが超能力だ、ハルヒ」キリッ

ハルヒ「……」

キョン「すごいだろ?」

ハルヒ「……」プルプル

キョン「どうした?」

ハルヒ「ざっけんなぁ!!!あほんだらけぇ!!」

キョン「な、なんだよ?」

ハルヒ「どこが超能力よ!!どこが!!」

キョン「だって、お前が無作為に選んだカードを当てたんだぜ?」

ハルヒ「ただの手品じゃないの!!」

キョン「……おいおい、ハルヒさんよ」

ハルヒ「なによ?」

キョン「これにはタネも仕掛けもない」

ハルヒ「嘘ね。こんなの超オーソドックスなマジックじゃない」

キョン「じゃあハルヒ。お前は同じことができるのか?」

ハルヒ「……できないけど」

キョン「ほら、みろ」

ハルヒ「それはタネを知らないからで、知っていれば出来るわよ」

キョン「いーや、できない」

ハルヒ「なんですって?」

キョン「これは超能力だからな」

ハルヒ「はん。こんなのが超能力ならデビットカッパーフィールドは神になるんじゃないの?」

キョン「ああ。そうだ」

ハルヒ「……バッカじゃないの?」

キョン「言っとくけど、どんな選び方をしてもお前が選ぶカードぐらいなら簡単に当てられるからな」

ハルヒ「言ったわね?」

キョン「俺、超能力に目覚めちまったからな」

ハルヒ「分かったわ。それじゃあ、はい」

キョン「なんだ?この紙とペンは?」

ハルヒ「私が選ぶであろうカードをまず先に書きなさい」

キョン「そういうことか。いいぜ」

キョン「―――よし、書いた」

ハルヒ「じゃあ、それは私に見えないように折りたたんで」

キョン「はいよ」

ハルヒ「いいわね?」

キョン「いつでも」

ハルヒ(トランプは私がずっと持っていた。細工できる術も隙もなかった)

キョン「……」

ハルヒ「じゃあ、これ」

キョン「ダイヤの7か」

ハルヒ「じゃあ、紙を見せて」

キョン「いいぜ」ペラッ

ハルヒ「……!!」

キョン「……どうした?ハルヒ?当たってるぜ?」

ハルヒ「……ふふ……やるじゃない、キョン……どこでこんなテクニックを身につけてきたのか聞きたいわね」

キョン「テクニックじゃない。サイコキネシスだ」

ハルヒ「でも、まだマジックの域は出ていないわ」

キョン「そうか?もう十分だと思うんだけどな」

ハルヒ「じゃあ……はいっ!!」ピッ

キョン「え?」

ハルヒ「今、手に持っているカードの図柄はなに?」

キョン「……」

ハルヒ(よし。完璧に不意をついた。これなら私が何を選んだかなんて絶対に分かるはずが―――)

キョン「スペードのクイーンだな」

ハルヒ「……」

キョン「どうした?みせてくれ」

ハルヒ「……いや」

キョン「なんで?」

ハルヒ「いやなものは嫌なの!!あっちいけ!!」

キョン「いやいや。見せてくれよ。とりあえず答え合わせはしないと」

ハルヒ「うぎぎぎ……」プルプル







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