高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」 (86)

――おしゃれなカフェ――

藍子「おまたせしました、加蓮ちゃん」

加蓮「ん、待った」

藍子「今日は、何を選んでくれましたか?」

加蓮「これ。ハーブティーとさくさくクッキー。ふふっ、今回は当たり引けた自信があるかな」

藍子「そのこころは」

加蓮「前に雑誌を読んでる藍子を盗み見た」


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以下の作品と同じ設定の物語です。

・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」

藍子「み、みてたんですか。いつですか、それっ」

加蓮「んー、いつだっけ。森っ子特集の撮影の、えーと、次の次の日?」

藍子「森っ子じゃなくて森ガールです……」

加蓮「藍子に似合うよね、森ガール。ハチマキ締めてノコギリ握る?」

藍子「ずいぶんワイルドなイメージですね。私は、力仕事とかはちょっと」

加蓮「いや私よりはマシでしょ」

藍子「加蓮ちゃんも、最近は体力がついてきたんじゃないですか? Pさんも言ってました」

加蓮「おかげで『もう1人でも大丈夫だよな。CDデビュー以来、調子も大丈夫そうだし』だって」

加蓮「そのくせちょっと咳したら飛んできてやれマスクだレモンティーだって。ふふっ、バカみたい」

藍子「それだけ、大切に思われてるってことですよ」

加蓮「……知ってる」

ほう、そうきなすったか…期待





藍子「いただきます。んく……んー、おいしいっ!」

加蓮「グルメ番組風に」

藍子「えっ? えっと、ハーブティーの香りが、心を落ち付かせてくれますね。こっちのクッキーも……うん、ほどよく甘くて、溶けていくみたいです。疲れまで、溶けていっちゃいそう♪」

加蓮「にやにや」

藍子「……何やらせるんですか加蓮ちゃん」

加蓮「うまいうまい。でも私的には『溶ける』って連続で言ったのがマイナスかな」

藍子「しかもダメ出しですか……」

加蓮「お、あっちの店員が不思議な顔してる。藍子に気づいたかな。サインしてあげたら?」

藍子「ち、ちょっと遠慮しておこうかな、あはは……」

加蓮「藍子といえばさ」

藍子「はい」

加蓮「いや、こう、なんていうのかな。高森藍子と言えば? って感じで」

藍子「私と言えば、ですか。……ゆるふわ?」

加蓮「それ自分で言っちゃうんだ」

藍子「いろいろな方に言われたら、自分でもそんな気がして。ゆっくりがんばっていきたいから、ちょうどいいな、って、思います」

加蓮「呑気」

藍子「えっ」

加蓮「ノロマ」

藍子「えっ、えっ」

加蓮「だから一昨日のLIVEバトルで私に負けるんだ」

藍子「あ、あれほとんどズルじゃないですか。定例LIVEに見せかけて、新曲の発表なんて」

加蓮「ちなみにあのサプライズを提案したの、Pさんじゃなくて私なんだ」

藍子「余計にひどいですよっ。……確かに、Pさんがやりそうなことではないですけど」

加蓮「ふふっ。ごめんごめん」

藍子「加蓮ちゃんって、そういうの好きですよね。人をびっくりさせたり」

加蓮「びっくりっていうか、騙すっていうか。あ、じゃあついでに裏話をもう1つ」

藍子「はい」

加蓮「春にやった和服の撮影さ、夜の宴がテーマなのにぜんぜん夜っぽくなかったでしょ。私だけ」

藍子「そうでしたね、なんだか、仏様みたいで」

加蓮「言い過ぎ……あれさ、芙蓉は一日花だから"咲く頃"をイメージしたとか、CD発表に合わせて"夜明け"をイメージしたとか」

加蓮「色々言われてるけど、いやまあそういうのもあるよ? そういうのもあるけど、実際そんな綺麗な話じゃないんだよねアレ」

藍子「そうなんですか? あ、じゃあ、凛ちゃんや奈緒ちゃんよりいっぱい目立って」

藍子「どうだまいったか! ……なんて、さすがに失礼な考えですね、あははっ」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……」

藍子「……あは、あははは……ええと……」

加蓮「……ぐにぐに」

藍子「わわっ、ひょ、かへんひゃん!? ほっへ、ほっへいたいひでふからっ! あっ、ハーふティーこぼれ……ひゃー!」





藍子「……店員さん、すごく変な目で見てました」

加蓮「ま、ひまな昼下がりにやってきたアイドル2人がほっぺたつねってハーブティーこぼしてたらね」

藍子「うう、ちょっと赤くなってる。明後日に撮影あるのに、なおるかなぁ」

加蓮「友だちとつねりあって友情を確認していました、って言えば? 新しいファンがつくかもよ」

藍子「それ絶対、私のキャラじゃないですよね……」

加蓮「責任は未央あたりに押し付けるとして」

藍子「未央ちゃんもそういうキャラじゃないと思いますよ?」

加蓮「いや案外わからないものでしょ。実はああ見えて生傷いっぱい持ってるとか」

藍子「そんなお話、聞いたことありませんよ……。未央ちゃんは、そんな子じゃないですってば。とっても素直で、まっすぐで」

加蓮「そうなんだろうけどさ。ほら、藍子だって見た目はふわっとしてるけど凄いボイラー持ってるし」

藍子「ぼ、ぼいらー?」

加蓮「争い事は嫌いとか言ってるクセに、スイッチが入ったらムキになったりしてさ」

加蓮「一昨日にバトった時とか、絶対負けるもんか、ってメラメラしてたように見えたけど」

藍子「……あれは加蓮ちゃんがズルしたからです」

加蓮「私がそういうズルをする人だって知ってるのに?」

藍子「う~……」

加蓮「……ま、いっか。ほら、私ってひねくれ者というか、ねじ曲がり者だからさ」

藍子「また自分でそういうこと言う……」

加蓮「藍子も試しに病院に1年くらい住んでみるといいよ。ひん曲がるから」

藍子「病院ですか?」

加蓮「もーすごいって。どいつもこいつも……男共はいかにライバルを蹴落とすかばっかりだし、女は女で少し集まれば陰口合戦」

藍子「あ、あはは、ちょっと想像したくないかな」

加蓮「ちいさな加蓮ちゃんにはちょっと毒が強すぎる。藍子は間違ってもこうならないでよ? 周りみたいに変に染まったりしたら泣くからね私」

藍子「……あれ? それなら、加蓮ちゃんが、私にいじわるをしなければいいんじゃ」

加蓮「(・ω<)」

藍子「かわいい顔してもだめですっ!」




加蓮「すみませーん、ショートケーキ2つー」

藍子「いや、だから加蓮ちゃん、私、明後日には撮影が……ああ、店員さんいっちゃった」

加蓮「ん? 太れば?」

藍子「いやですっ。Pさんにもご迷惑になりますから」

加蓮「ここで1つ、イイコト教えてあげる」

藍子「?」

加蓮「Pさん、前に巨乳系のエロ本を買ってた」

藍子「」

加蓮「ちなみに私と一緒にいた凛が猛然と走って回転つきドロップキックかまして本を破り捨てた」

加蓮「そして奈緒はまっしろけになってた。…………おーい、藍子ー? 藍子ちゃーん?」

藍子「……今度、まゆちゃんと晶葉ちゃんに相談してみます」

加蓮「何を?」

藍子「Pさんの見張りをする方法」

加蓮「……じゃあ私は早苗さんを呼んでおこうかな」

藍子「ひどいですっ、Pさん。信じてたのに……ぐすっ」

加蓮「本人に言いなよ。ダメージにもなるだろうし」

藍子「どんな顔して言うんですか……。加蓮ちゃん、代わりに言っておいてください」

加蓮「え? いや私はPさんの手提げ袋にこっそり病弱娘モノを入れて帰ったからもういいや」

藍子「……何やってるんですか」

加蓮「あ、大丈夫、ちゃんと買ってから入れたから」

藍子「そうじゃないです! 加蓮ちゃん、16歳ですよね? その、えっ……えっ……そ、そういう本は買えないんじゃ!」

加蓮「甘い、甘いよ藍子。病院で覚えた処世術ナメちゃダメだよ。……ごほん。ごきげんよう藍子さん、お元気でしたか?」

藍子「わあ、スゴく大人っぽい……いや、それイタズラに使うんじゃなくてアイドルで使いましょう」

加蓮「どっちでも使ってるよ。あ、ショートケーキ来た」

藍子「いただきます。ぱくっ……おいしい……♪」

加蓮「グルメ番組っぽく」

藍子「もうやりませんっ」

加蓮「結局は食べるんじゃん。撮影がとか言ってたクセに」

藍子「……あ」

加蓮「やーい、弱虫ー、ヘタレー」

加蓮「やーい、弱虫ー、ヘタレー」

藍子「ううっ、ここのケーキがおいしそうなのが悪いんですよう……」

加蓮「やーいやーい。あむっ。………………すみません、同じのもう1つ」

藍子「…………でしょ?」

加蓮「ゴメン藍子、私が悪かった」

藍子「あんまり甘くないから、胸やけもしなくて……ついつい続けて食べちゃいます」

訂正 >>22 の最初の一行はなかったことにしてください……。



加蓮「甘党じゃないのも引きこもうなんて……やるね、このカフェ」

藍子「静かで綺麗で、いいカフェですよね」

藍子「たまたま見つけたカフェで、こんなおいしいケーキが食べられるなんて、もしかしたらすごくラッキーなのかも?」

加蓮「ここ、通いつめて何回目だっけ」

藍子「まだ……ええと、いち、にー…………4回目ですっ。メニューも、覚えきれてなくて」

加蓮「ホントに穴場って感じだよね。ずっと東京にいた藍子が見つけられないとは」

藍子「探せば、まだまだいっぱいあるんですよ。静かなカフェ」

加蓮「路地裏だから客も少ないしさ。あ、ケーキありがとー」

加蓮「……でも通いつめたら、んぐ、おいしっ、アイドルのいるカフェみたいに有名になるかもよ?」

藍子「それは、ちょっと複雑かも……。でも、こんなにすてきなカフェですから、みなさんにも知ってもらいたいです」

加蓮「よし、じゃあ今度、合同LIVEやろう」

藍子「唐突っ!」

加蓮「んでトークでここの宣伝しよう」

藍子「あ、そういうことですか。いいですね、それ」

加蓮「もう1人くらい欲しいよねー。奈緒……は、キャラに目が行きがちだし、美嘉のファンはちょっと合わないか」

加蓮「未央とか茜っちゃんって訳にもいかないし、奏はこういうの苦手そうだし、ここは無難に卯月かな。藍子はどう思う?」

藍子「……ほえー」

加蓮「藍子? どしたの?」

藍子「あ、いえ。加蓮ちゃん、プロデューサーさんみたいだなぁって」

加蓮「Pさん?」

藍子「いいえ、プロデューサーさんです」

加蓮「……うん?」

藍子「え、ええと、Pさんじゃなくてプロデューサーさん……」

加蓮「んんん……?? ……あー、Pさんって人間のことじゃなくて、プロデューサーっていう……職業? ってこと?」

藍子「はい、そっちです。あはは、まぎらわしいことを言っちゃいました」

加蓮「プロデューサーっぽいって言われてもねー。こうすればいいかも、ってくらいにしか分かんないし。逆は? 藍子がプロデューサー」

藍子「私にはムリですよ~」

加蓮「似合うと思うけどな。でもなんか藍子にプロデュースされると最後に『もりのくまさん』とか歌わされる羽目になりそう」

藍子「仁奈ちゃんに頼んで、きぐるみを借りてきましょうか?」

加蓮「いい、いい。そんなのいらないって。藍子がやってなさいよ、適任でしょ」

藍子「きぐるみのお仕事ですか……。楽しそうですね。加蓮ちゃんもぜひ、ご一緒に」

加蓮「人の話を聞いてよ」

藍子「加蓮ちゃんには、何が似合うかなー。やっぱり羊さんとかですか?」

加蓮「聞けっての。なんで私が羊なのよ」

藍子「うーん、なんとなく?」

加蓮「変なの……。あ、すみませーん、お水もらえますかー?」




加蓮「きぐるみといえば奈緒かな」

藍子「……? いきなり、何ですか?」

加蓮「いや、さっきの続き。どうせだからプロデューサーごっこでもしてみよっかなー、なんて」

加蓮「んできぐるみの仕事を誰に持ってくるかって考えたら、私ん中じゃ奈緒になった」

藍子「奈緒ちゃんがきぐるみですか。とっても似合いそうですね」

加蓮「恥ずかしがってるところを子供に引っ張られるのを想像したら……ふふっ。凛は……ちょっと想像できないかな。木の役でぽつーんとしてそう」

藍子「ああ、なんだか想像できちゃう……。でも、そんな子にあえてお仕事を持ってきちゃうのが、私たちの事務所じゃないですか?」

加蓮「スカイダイビングとか本当に何考えてるんだか」

藍子「あれは……すごかったですね」

加蓮「スゴかった。未央とか茜は……きぐるみって柄じゃないか」

藍子「あはっ。未央ちゃんは、歌のお姉さんが似合いそうですね」

加蓮「いやもう未央は子供と一緒に遊びまわるタイプでしょ」

藍子「あ、確かに」

加蓮「茜は……駄目だ、きぐるみでボンバーしてる姿しか思い浮かばない」

藍子「ぷっ、な、なんですか、あははっ。きぐるみでボンバーって」

加蓮「森のくまさんならぬ、燃えろくまさん」

藍子「うぐっ、くっ、笑わせないでくださいよ加蓮ちゃん、お腹痛い~~~」

加蓮「いや、そこまで面白いことは言ってないからね? ……ダメだこりゃ」

藍子「はーっ、はーっ。うぅ、つかれちゃいました」

加蓮「おかえりー。藍子って沸点低いよね。未央と一緒にいるなら耐性がつきそうな物だけど」

藍子「うーん……未央ちゃんのネタは、私にはちょっと難しいみたいで」

加蓮「……あ、これ未央がスベりまくってるヤツだ。かわいそーに」

藍子「今度は、お笑いの勉強もしてみようと思います」

加蓮「やめときなさいって。そっちには向いていないだろうし」

藍子「加蓮プロデューサーのアドバイスですねっ」

加蓮「誰でも同じこと言うだろうけどね。藍子はやっぱ森の妖精をやってるのが似合うって」

藍子「妖精さん……。そんなの、私には」

加蓮「難しくない。現にやってるんだから」

藍子「それは、そうですけど」

加蓮「まったく、こう肝心なところで……。次の撮影は私も参加してみようかな?」

藍子「そういえば私たち、あんまり一緒にお仕事することありませんね」

加蓮「タイプが違いすぎるからねー。私じゃ藍子についていけないかも」

藍子「え? いえいえ、逆ですっ。私の方が、加蓮ちゃんについていけるか不安です」

加蓮「普段、茜らに鍛えてもらってるのに?」

藍子「そんな。いつも、へばってばかりですから、私」

1です。今気づきました。呼称がおかしい!
ちょっといくつか訂正を入れさせてください……。

>>30
誤:加蓮「スゴかった。未央とか茜は 正:加蓮「スゴかった。未央とか茜ちゃんは
>>31
誤:加蓮「茜は……駄目だ、 正:加蓮「茜ちゃんは……駄目だ、
>>34
誤:加蓮「普段、茜らに鍛えてもらってるのに?」 正:加蓮「普段、茜ちゃんらに鍛えてもらってるのに?」

大変申し訳ございません……!

大変申し訳ございませんでした。再開します。



加蓮「パッションタイプなのに私についていけないって、それっておかしくない?」

藍子「加蓮ちゃんは、エネルギーがすごいですから」

加蓮「ふうん。その辺は分かんないかなぁ……。あ、お水なくなった。でもけっこうお腹がたぷんたぷんだしなぁ」

藍子「外、出ますか?」

加蓮「んー、いい。今日はここでだらだらする」

藍子「はい、わかりましたっ」

>>35
>>1の事だから意図的に呼称変えてるのかなーと思ってた、この加蓮なら呼び捨てでも自然だしねw

加蓮「散歩はまた今度ってことで。藍子となら退屈しなさそうだし」

藍子「えっと……はいっ。加蓮ちゃんにも、幸せのおすそわけができるように、がんばりますね」

加蓮「がんばってー。私はお返しに……お返しに……お返し、だめだ、何も思いつかない」

藍子「別に、いいですよ」

加蓮「なんか落ち着かないし」

藍子「加蓮ちゃんは優しいんですね。うーん……それなら、また写真を撮らせてくださいっ」

加蓮「……撮るのはいいんだけどさ、藍子。半月くらい前に、撮った写真をPさんに渡してない?」

加蓮「なんかうちのホームページの私の紹介に入ってたんだけど」

藍子「な、なんのことでしょうか?」

加蓮「いやあの写真、持ってるの藍子だけなんだから。犯人は藍子でしょ」

藍子「あぅ」

加蓮「うん、終わったことだし、寝顔とかでもないんだから別にいいんだけどさ。ただ、これだけははっきりさせとこうと思って」

藍子「は、はい、何ですか?」

加蓮「……いくらもらったの?」

藍子「…………」

加蓮「んー?」

藍子「…………駅前の『白香本店』のデラックスパフェ」

加蓮「店員さーん。このチョコレートジャンボパフェってのいうの1つー。クリーム砂糖たっぷりでー」

藍子「だから私には撮影がー!」




藍子「うぅぅ……パフェおいしいです、パフェおいしいです……」

加蓮「……泣きながらパフェ食べてるし……。もう、さっさと吹っ切れなさいって。店員がいよいよどうしようって顔してるから」

藍子「加蓮ちゃんのせいですよぉぉぉぉ……」

加蓮「ハァ……ん」

藍子「え?」

加蓮「一口ちょうだい」

藍子「あ、はい! じゃあ、あーん」

加蓮「んー。……うぁ、だめだこれ甘……ごめん藍子、私って辛党なんだよね。がんばってー」

藍子「加蓮ちゃんのばかぁ!」

加蓮「あはは」

加蓮「写真さ」

藍子「?」

加蓮「ん。いや、写真もいいけど、今度、プリクラでもどうかなって」

藍子「んぐんぐ、ごくん……いいですよ。でも、私、ああいうところは慣れていなくて。加蓮ちゃん、お願いしますね」

加蓮「うん。ふふっ、どんな変顔にしてあげようかな」

藍子「……普通のでいいです。普通ので」

加蓮「でも私もゲーセンとかあんまり行ったことないんだよねー。行く機会なんてなくて」

藍子「未央ちゃんがたまに、美嘉ちゃんや莉嘉ちゃんと行ってる、って言ってました。私も、ぜんぜん行きませんけどね……あはは」

加蓮「ゲーセンかー。奈緒がよく行くって言ってたかな。紗南ちゃんと協力してハイスコアがどうこうって」

藍子「奈緒ちゃんと言えば、前に、すっごく真剣な顔をして悩んでいたんです」

加蓮「うん」

藍子「どうしたのかなって尋ねてみたら、クレーンゲームのぬいぐるみをどう取ってくるか、考えていたみたいで」

加蓮「そして気づいたら2時間が経過していた?」

藍子「…………お恥ずかしながら」

加蓮「相手のペースで会話させても発動するとは……さすがゆるふわ空間」

加蓮「ところで絶賛ゆるふわ発動中の藍子に言っときたいんだけど」

藍子「はい?」

加蓮「パフェ、半分くらい溶けてきてるよ」




藍子「ごちそうさまでしたっ!」

加蓮「おー、なんだかんだで食べる時には食べるよね、藍子も」

藍子「もう吹っ切れました。太ったか聞かれたら、加蓮ちゃんのせいにしますから!」

加蓮「じゃあこっちは藍子が私の分まで食べたから貧血になりかけたって言うから」

藍子「そ、そんな。それじゃまるで、私がいやしんぼみたいにっ」

加蓮「あははは。そんな藍子に朗報。その撮影の件だけど、1週間延期したって」

藍子「え、そうなんですか?」

加蓮「なんかセッティングがトラブったとかカメラマンの予定がブッキングしたとか。よかったね藍子、今から走ってカロリー燃やせるよ」

藍子「はいっ。……って、あれ? どうして私の予定が、加蓮ちゃんのところに?」

加蓮「何回連絡しても出ないから、こっちにメールしてきた。Pさんが」

藍子「えっ。……わっ、着信が何件も……あうぅ、ごめんなさい、Pさん」

加蓮「ちょっとだけ心配してたみたいだから、なんか一心不乱にパフェ食べててたぶん気づいてない、って返信しといた」

藍子「えっ……あ、あの、Pさんは、なんて」

加蓮「なんか納得してたみたいだけど?」

藍子「うぅ、またいやしんぼみたいに思われちゃう」

加蓮「"また"? ってことは、もしかして前に食べた時も」

藍子「……あそこのパフェは愛梨さんがオススメしてくれて……本当においしかったから」

藍子「その、自然とおかわりを……Pさんは、笑って許してくれたんですけど」

加蓮「あー。まあ、痩せすぎてるよりはちょっとくらい太った方がいいんじゃない? 抱き心地とか」

藍子「だっ!? ……うぅ……食べるならせめて、野菜とか、果物とか、あんまり太らないものを……」

加蓮「あ、そうだ。前に茜ちゃんから相談を受けたことがあって」

藍子「なんですか?」

加蓮「あー、ゴホン。『いつも藍子ちゃんが野菜ばっかり食べてるんです!!! あれじゃパワーになりません!! どうしたらお肉を食べさせることができるでしょうか!!!!』……ってさ」

カロリーはどこに消えてるんだろう

藍子「……加蓮ちゃん、ぜんぜん似てないです」

加蓮「忘れて」

藍子「お肉もおいしいですけど、私はやっぱり野菜が好きかな……あと、こうしてゆっくり食べる方が、私は好きですね」

藍子「茜ちゃんも未央ちゃんも、食べるのが早いから、お肉がすぐなくなっちゃうんです」

加蓮「……じゃあ茜ちゃんからの相談の答えって、アンタがゆっくり食べればいい、ってことになるんじゃ」

藍子「でも、私、茜ちゃんがおいしそうに食べているのを見ると、それだけで幸せになっちゃいます」

加蓮「ふうん」

藍子「もちろん、加蓮ちゃんも」

加蓮「はいはい、ありがとー。それはいいから肉でも食べたら?」

藍子「うぅ、加蓮ちゃんが冷たい。私は、今のままでいいです。ムリに食べなくても」

加蓮「こういう時に料理とかできたら、太らせられるのにな……」

加蓮「ふふっ、自分の女子力のなさを後悔する日が来るなんてね。昔の自分じゃ考えられないよ」

藍子「じゃあ、今から練習してみますか?」

加蓮「え、やだ、めんどくさい」

藍子「もーっ」




加蓮「藍子ちゃん」

藍子「はい。……ええ?」

加蓮「いや、さっき茜ちゃんを真似して言った時に、ちょっと引っかかってさー」

藍子「やってみますか?」

加蓮「うん。……藍子ちゃん」

藍子「はい」

加蓮「藍子ちゃん」

藍子「はいっ」

加蓮「……やっぱ藍子で」

藍子「えー。ちょっぴり残念。今の加蓮ちゃん、すごく可愛かったのに」

加蓮「どこがよ」

藍子「ねこさんみたいで」

加蓮「ね、猫?」

藍子「でも、ちょっぴり寂しいかも。なんだか、加蓮ちゃんと距離が空いちゃったみたいですから」

加蓮「そう……? そんなものかな」

藍子「はいっ。そういうものです」

加蓮「じゃあ次、藍子の番」

藍子「私ですか?」

加蓮「そりゃこっちがやったんだから当然でしょ」

藍子「でも、なんとお呼びすればいいか」

加蓮「とりあえず呼び捨てからやってみて」

藍子「う、うぅ……ええと、加蓮……ちゃん」

加蓮「はいもう1回」

藍子「……加蓮ちゃん」

加蓮「ちゃんを外すだけだってば。簡単でしょ?」

藍子「加蓮……ち……加蓮さんっ」

加蓮「なんで!?」

藍子「あ、あはは。ごめんなさい。私には、ちょっと難しいみたいで」

加蓮「もー、ちょっと変えるだけなのに」

藍子「ずっと加蓮ちゃんって呼んでいますから、いきなり変えるなんて難しいですよ。加蓮ちゃんだってそうでしょ?」

加蓮「まあね。……でも捨てきれないなぁ。呼び捨て」

藍子「もう。あきらめてくださいよ」

加蓮「諦めることが大っ嫌いなもので。……呼び捨てが難しいならアダ名とかにしてみたら? 未央みたいに」

藍子「未央ちゃんみたいにですか?」

加蓮「そうそう。よくやってるじゃん」

藍子「うーん……ちなみに加蓮ちゃんのアダ名って」

加蓮「ない。あ、未央はたまにふざけて『レンさん』って呼んでる」

藍子「レンさん……かっこいいですねっ」

加蓮「藍子は……えーと、あーちゃん、だっけ。なんか寮長みたいだって奈緒が言ってたけど、何のこと?」

藍子「さあ……?」

加蓮「藍子寮長……駄目だ、厄介者をまとめ切れないであたふたしてる光景しか思い浮かばない」

藍子「こっ、これでもパッショングループのまとめ役なんですよっ!」

加蓮「はしゃぐ子が多いもんねぇ。どう? ついていけてる?」

藍子「な、なんとか……あはは……。加蓮ちゃんも手伝ってくださいっ」

加蓮「私はむしろ一緒になって藍子を困らせる方じゃん」

藍子「いじわるーっ」

加蓮「それに、明らかに私の方が体力ないでしょ」

藍子「そうかもしれませんけれど、ほらっ、加蓮ちゃんが声を掛けたら、きっとみんな黙って聞くと思うんです」

加蓮「んー、んー……んー? つまりどういうこと?」

藍子「なんというか……カリスマ? みたいなのが」

加蓮「カリスマって言えば美嘉だけど……うーん」

藍子「ほらっ、美嘉ちゃんは目立つカリスマだけど、加蓮ちゃんのは実はすごいカリスマって感じで! どうでしょうか」

加蓮「どうでしょうって言われても」

藍子「カッコイイ顔して言ったら、きっとみんなも言うこと聞いてくれますよっ」

加蓮「ちょっとやってみよっか。ごほん…………『アンタ達、そろそろ静かにしなさい?』」

藍子「わぁ……!」

加蓮「なんか微妙に私っぽくないんだよね……そういうドラマならまだしも」

藍子「カッコイイですよ! その顔で、ときどきでいいので、私を手伝ってくださいっ」

加蓮「ん……んー…………んー、やっぱいいや。私の性分じゃないよ」

藍子「えー。残念です。あっ、じゃあ他のキャラならどうでしょうか?」

加蓮「いやキャラとかじゃなくてそもそもまとめ役っていうのが私らしくな、」

藍子「姉御肌、みたいな……そうだっ。ちょっとやってみてくださいよ!」

加蓮「…………はいはい。姉御肌?」

藍子「ちょっとした練習ですっ。みんなの姉御、みたいに!」

加蓮「うーん……。『おうお前ら! 大人しくしねえと黙らせっぞ!』」

藍子「ひゃっ」

加蓮「うん、これはない」

藍子「えぇー。私だったら大人しくしちゃいます」

加蓮「凄んで黙らせるのは好みじゃないなぁ……」

藍子「そうだっ、どうせなら男装とか」

加蓮「ますます似合わないってか私のキャラじゃないじゃん。これでもファッションリーダーだよ? クールグループ限定だけど」

藍子「グループ限定?」

加蓮「事務所のリーダーを名乗るには美嘉が強敵すぎる」

藍子「美嘉ちゃんですか。でも、加蓮ちゃん、よく美嘉ちゃんとファッションのお話をしていますよね?」

加蓮「知識も経験も違いすぎるんだって。にしても、男装かぁ……」

藍子「……?」

加蓮「……」ジー

藍子「……??」


加蓮「……藍子なら見抜かれないこと前提の男装ができそ「それ以上続けたらさっきのパフェを注文しますよ?」

加蓮「おいしかったからおかわり?」

藍子「私はおなかいっぱいです。加蓮ちゃんが食べるんですよ」

加蓮「あんなに甘いの食べられない。というか食べたら医者に怒られるし。あとPさんにも」

藍子「パフェをおいしく食べている加蓮ちゃんを、私が写真に撮るんです」

藍子「きっと、いい笑顔なんだろうな……♪」

加蓮「苦手な物を食べて笑顔になるヤツがいるかっての」

藍子「あはっ、そんなお話をしていたら、加蓮ちゃんの笑顔が見たくなっちゃいました。すみませーん」

加蓮「レモンティー1つ。……いや、パフェじゃなくてレモンティー1つ」

加蓮「ちょ、伝票の1を2に変えようとしないっ。その分かってますよって笑顔をやめて。ちょっと」




藍子「ちぇ」

加蓮「藍子ってさ、たまに私の話を聞かなくなるよね」

藍子「それでいいって言ったの、加蓮ちゃんじゃないですか」

加蓮「むぅ、そういうことじゃないのに」

藍子「みんなをまとめる時には、たまにはぐいっといかないといけないんです」

加蓮「ぐいっと?」

藍子「ぐいっと!」

店員w

加蓮「で、うまくいってるの?」

藍子「…………あははは……」

加蓮「ふふっ」ズズ

藍子「あと、Pさんも」

加蓮「Pさんも?」

藍子「加蓮ちゃんは、ほうっておいたらムリばっかりするからって。時には、ひっぱってでもおふとんに入れておけ、って」

加蓮「余計な……あ、でも反論できない」

藍子「私が心配しても聞いてくれないから。だから私、加蓮ちゃんの言うことなんて、もう聞いてあげませんから。ふんっ」

加蓮「……いや、それとパフェを押し付けてくることは関係なくない?」

藍子「(・ω< ;)」

加蓮「可愛くやってお許さないって言ったのアンタでしょ! あと慣れてないならやめなさいよその顔!」

藍子「あはっ」

加蓮「んー……やっぱ藍子からは『加蓮ちゃん』でいいや」

藍子「あれ、またそのお話ですか?」

加蓮「どーも頭にこう、こんな感じで残っちゃって」テヲカザス

藍子「こんな感じ」

加蓮「こんな感じ」

藍子「ええと……加蓮ちゃん、でいいんですよね?」

加蓮「うん。いいよ。呼び捨てされたら、その度にムカつきそうだし」

藍子「えー……」

加蓮「言っとくけどね、藍子。同じ16歳でも私の方が人生経験も豊富だしこちとら地獄を見てきてるんだからね」

藍子「うーん、確かに加蓮ちゃんの人生経験には勝てないかもしれませんけど……」

加蓮「だからそこら辺の立ち位置をちょっとこの辺りで再確認を、」


藍子「――言いたいことは分かりますけど、少し落ち着いて、ゆっくり喋ってくださいよ。加蓮」


加蓮「ぶほっ!」

藍子「だめじゃないですか、加蓮。ここはカフェですよ、加蓮。静かにしないと。ね? 加蓮」

加蓮「すとおおぉぉぉぉぉぉっぷ!! かゆい、体かゆいいいいい!」

藍子「もう。だから、そんなに怒鳴っちゃ……おっと。ごほんっ。……いえ、怒鳴ってはダメですよ、加蓮」

加蓮「ぐおおおおおおお! なんか藍子が急に+5歳くらいに見えてきたんだけど! アンタはウサミンか!」

藍子「菜々さがどうかしたんですか? 加蓮ちゃ……あ、ちがう。どうしましたか? 加蓮」

加蓮「アンタ私で遊んでるでしょ! わかった、いつものことは謝るから! ね? ほら藍子、いつも通りに加蓮ちゃんって、ね? はい、せーのっ」

藍子「加蓮、めっ、ですよ」

加蓮「ぬあああああああああ――――!」




――かえりみち――

藍子「えへっ、えへへへ、えへへっ」

加蓮「……いきなりえへえへ言われると、さすがにちょっと引くよ」

藍子「だって、さっきの加蓮ちゃんが……えへへっ」

加蓮「ハァ……。変な影響を受けないでよね、藍子」

藍子「影響させている人が、それを言うんですか?」

加蓮「……まあ、そうだけど。今日はやられっぱなしだなぁ。絶対に仕返しするからね」

藍子「お手柔らかに、おねがいしますね」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「重たくない?」

藍子「いいえ、ぜんぜん。いつも、こうしておぶってあげられたら、いいんですけど」ヨイショ

加蓮「そこまで私は貧弱じゃないって」

藍子「あはっ。ごめんなさい」

加蓮「レッスンとか仕事とかから帰ってきた時、ちょっと背中を貸してくれれば、それだけでいいからさ」

藍子「はい。じゃあ、いつでもお待ちしています」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……てい」

藍子「いたっ。わ、加蓮ちゃん、いたいいたい。いたいですよっ」

加蓮「ていっ」

藍子「わっ。も、もうー、いたいですってばー」


おしまい。

呼称のミスについては本当に申し訳ございません。意図的ではなく完全な見落としでした。

乙乙、加蓮はVi(表現・演技力含め)振り切ってるし中の人的にも男装とか普通に似合いそう
一応過去作貼ってくれるとありがたい

読んでくださり、ありがとうございます。

>>82
道明寺歌鈴「もしも藍子ちゃんと加蓮ちゃんが逆だったら」

モバP「Y.Oちゃん談義」相葉夕美「岡崎泰葉ちゃんだよね?」

北条加蓮「菜々ちゃん、ちょっと学校の宿題を教えてよ」

北条加蓮「マイアイドル?」

高森藍子「お酒が飲める歳になって」

高森藍子「蓮の華と鈴の音が、小さな小さな花へと届く」

北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」

過去作はこの辺りですよ~

>>83
ありがたいです、勝手ながら某まとめに推薦させていただいているので…
迷惑でなければ>>1さんの作品だとわかるようにしてもらえるとありがたいです(おこがましくてすみません…)

>>84
ありがとうございます。ぜんぜん迷惑なんかじゃないです。超嬉しいです。
次に投下する時には、また何か考えてみますね……。

乙 良い雰囲気でした

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