海未「各部の予算案の書類、珍しく穂乃果がまとめたと思ったら、実はことりが家でやっていたみたいで・・・」
希「ああ、あの書類なあ。ウチもやったことあるけど、大変なんよね」
海未「ここ最近、ライブも多くて、その度に9人の衣装を縫ってくれて・・・」
希「言われてみればそうやね。普通に考えたら物凄い作業量やろなあ」
海未「メイドのバイトも忙しそうですし・・・」
希「なんたって、伝説のメイドさんやもんね」
海未「私や穂乃果に心配させまいと、隠れてがんばっているようなんです・・・。ことりのことだから、直接言ってもはぐらかされてしまいそうだし・・・・」
海未「どうにか、ことりに無理をさせないようできないものでしょうか・・・・」
希「せやなあ・・・」
希「・・・・・」
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夜
メイド喫茶
店長「南さん、今日はもう上がっていいですよ」
ことり「あっ、はい。お先に失礼します・・・・ふぅ・・・」アセヌグイ
店長「本当に無理を言って、申し訳ない・・・・お客さんからの要望があまりにも多くて・・・・」
ことり「いいんですよ! 私もメイド服がたくさん着られて嬉しいです」
店長「そうかい? ありがとう」
ことり「はい、失礼します」
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更衣室
ことりのロッカー前
ことり(今日も遅くなっちゃった・・・。まだ、次のライブの衣装、全員分縫い終わってないのに)
ことり(ちょっと遅くまで起きてやれば間に合うよね・・・?)
ことり(とにかく早く着替えて帰らないと)
ガチャ
ことり(ん? なんだろうこの紙。所々切れていて、クシャクシャで、ちょっと黄ばんでる)
ことり(あんまり綺麗な紙じゃないけど、こんなものロッカーに入れてたっけ?)ペラッ
ことり「きゃ?!」ビクッ
ことり「な・・・・なんなのぉ・・・これ?」ヒヤヒヤ
ことり(思わず落としちゃった・・・)
ことり(何か文章が書いてあるけど・・・・滴った血みたいなもので文字が書かれてる・・・・)
ことり(えっと・・・・なんて書いてあるだろう・・・?)
“お前を見ている”
ことり「ひっ!?」ビクッ
“お前の後ろにいる”
ことり「っ!?」クルッ
ことり(何もない・・・・)
ことり(まだ、何か書いてある)ヒヤヒヤ
“影”
ことり(影・・・?)
“影は疲弊したお前を見失わない”
“影はお前の脆弱な意思を逃さない”
“影は力無きお前を追い詰める”
“影は一人のお前を吞む”
“影に吞まれると―――
ことり「吞まれると・・・?」
―――闇から出られない“
ことり「・・・・・・・・」
ことり「た、ただのいたずらだよね・・・・? 一体誰が・・・・」
ことり「・・・・・怖い」
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帰り道
ことり(早く帰らないと・・・・なんか嫌な予感が・・・)タッタッタッ
タッ.... タッ.... タッ.... タッ.... タッ....
ことり「はぁ・・・はぁ・・・」
ことり(あ、あれ・・・? まだ、ちょっとしか走ってないのに、なんでこんなに早く息が上がっちゃうの)
タッ, タッ, タッ, タッ, タッ
ことり(海未ちゃんのきついトレーニングをこなして、体力はあるはずなのに・・・)ゼェハァ
タッ、タッ、タッ、タッ、タッ
ことり(な、なんか、後ろで走っている人がいる気がする)
ことり(ただ、ランニングしているだけの人だよね?)
ことり(あそこの分かれ道を過ぎれば、離れるよね?)
ことり(・・・・そこまでは頑張って走ろう!)タッタッタッ
ことり「はぁ・・・ふぅ・・・」タッタッタッ....
ことり(よし、分かれ道を過ぎたっ)
ことり(・・・・・・)
タッタッタッタッタッ
ことり(まだ、来てる・・・?!)
タタタタタ
ことり「ひっ!」
ことり(足音が早くなった! 逃げなきゃ逃げなきゃ・・・!)タ、タ、タ
ことり「ぜぇ・・・・はぁ・・・」
ことり「だめ・・・・」
ことり(息が上がって・・・・足が重くて・・・)トタ...トタ...トタ...
タタタタタ!
ことり「!!!」
ことり(すぐ後ろに?!)
ガバッ!!
ことり「ひぃぃぃ!!」
ことり(後ろから羽交い絞めにされたっ?!)
「こっとりちゃーん!!」
ことり「え・・・?」
「ことりちゃんでしょー? こんなところで何やってるの?」
ことり「凛・・・ちゃん?」
凛「凛だよー」
ことり「なん・・・・だぁ」ヘナヘナ
凛「わわわ。どうしたの?」
ことり「あっ・・・ごめんね、支えてもらっちゃって・・・なんか力が抜けて・・・」ヘロヘロ....
凛「いいよいいよ。お疲れなの?」
ことり「うん・・・・なんか、ちょっと、疲れてるかも」
凛「そうだよねー。今日の練習ハードだったよね」
凛「凛は、練習の後かよちんとアキバで一杯遊んじゃったから、凛も疲れてるよ」
凛「脚に自信のある凛でもなかなかことりちゃんに追いつけなかったにゃ」
ことり「へえ・・・。がんばって追いかけたんだね」
凛「うん! 暗いし、ことりちゃんを見失わないようがんばって走ったよ!」
ことり「えっ?」
“影は疲弊したお前を見失わない”
ことり「っ・・・」ゾク
ことり「ね、ねぇ・・・凛ちゃん?」
凛「なーに?」
ことり「凛ちゃんは・・・どうしてことりを追いかけてきたの?」
凛「どうしてって・・・・?」
ことり「うん・・・・」ゴクッ...
凛「そりゃあ・・・」
ことり「・・・・・」バクバク
凛「ことりちゃんがいたからだよ!」
ことり「ふぇ?」
凛「長くてキレイな髪をユラユラ揺らして小走りしている人がいたから。ことりちゃんだ! って思って、追いかけたにゃ」
ことり「そうなんだ・・・」
ことり「ことりを見かけて、夢中で追いかけるなんて・・・・猫さんじゃないんだから・・・・」
凛「えへへっ。にゃん! にゃん!」
ことり「もうっ! 後ろからいきなり抱き着かれてびっくりしたんだよ! 今度からちゃんと声を掛けてくださいっ!」
凛「はーい。ごめんなさい」
---------------------------
凛「ばいばーい」
ことり「ばいばい。また明日ね」
ことり「ふぅ・・・・」
ことり(ことり、嫌な子。少しでも凛ちゃんを疑っちゃって)
ことり(・・・・・そういえば、今日のメイド喫茶。たくさんお客さんが来てたよね)
ことり(お客さんが来るたびに元気な声を出して、厨房とお客さんの間を行ったり来たりして・・・)
ことり(バイトの前は、μ’sの練習もあったし・・・・)
ことり(さっきも凛ちゃんに追いかけれて・・・・)
ことり「・・・・・・・」
ことり「ううん!」フルフル
ことり「ことりは疲れてなんかいません!」グッ
ことり(・・・・・でも、慌てて走って転んだらいけないから、歩いて帰ろう・・・)
---------------------
ことり(なんだかすごく冷や汗が・・・)ヒヤヒヤ
ピーポーピーポー
ことり「ひっ?!」ビクッ
ことり(ただの救急車・・・。遠くでサイレン鳴らしてるだけ・・・怖くない怖くない・・・)バクバク
カランッ
ことり「ひゃい?!!」ビクッ
ことり(な、なにっ?! 足に何かあたった・・・)
ことり(暗くて、良く見えない・・・・)
ことり(屈んで、目を凝らして見てみよう・・・)ジー
ことり「空き缶・・・・」
ことり「なんだぁ・・・・」ホッ
ことり(あそこのゴミ捨て場に置いておこう・・・)ヒョイ, コト
ことり(足元の空き缶もよく見えないなんて・・・なんか、暗いなあ・・・)
ことり(この道、いつもこんなに暗かったっけ?)キョロキョロ
ことり(心なしか、街灯の明るさがいつもより弱いような・・・・)
ことり(・・・・・)キョロキョロ
ことり(とにかく、周りに注意して慎重に歩こう・・・・)キョロキョロ ソロ~
ことり(怖くない怖くない怖くない怖くない)ブルブル
ことり(早く帰る早く帰る早く帰る、怖くない怖くない・・・)ガタガタ
トンッ!
ことり「ぴぃぃぃぃぃい!!?」
「ぴゃぁぁぁぁああ!!?」
ことり(前から何か体に当たった! 何か叫んでるっ!)ビクビク
ことり(なにー?!)ビクビク アトズサリ
ことり(あ、あれ・・・・? あの頭抱えている子?)ジー
「はわわわわわ」
ことり「はなよ・・・・ちゃん?」
花陽「ふぇ・・・?」チラッ
花陽「ことりちゃん・・・?」
ことり「な、なんだぁ・・・。花陽ちゃんか・・・」ホッ...
花陽「ことりちゃんだった」ホッ
ことり「ごめんね・・・・私、周りばっかり気にしてて、前をよく見ないで歩いてた・・・」
花陽「いえ・・・私の方こそ、変な声出してごめんなさい・・・」
ことり「ううん。花陽ちゃんはどうしたの? こんなところで」
花陽「μ’sの練習が終わった後、凛ちゃんとアキバで遊んでいて、その帰りなの」
ことり「あ、そっか。そういえばさっき私、凛ちゃんに会ったんだった」
花陽「そうだったんだ。凛ちゃんとはさっき別れたんだよ。ことりちゃんはどうしたの?」
ことり「へっ? あ、えっと、私は・・・・」
花陽「?」キョトン
ことり(こんな遅くまでバイトやってたなんて言ったら、心配させちゃうかな・・・?)
ことり「大したことじゃないんだけど、ちょっとね・・・。は、花陽ちゃんは凛ちゃんとアキバで何して遊んでたのっ?」
花陽「んっとね。ゲームセンター行ったり、ラーメン食べたり、ご飯食べたり、アイドルショップ行ったり、公園をお散歩したり、お話ししたり」
ことり「ふふ。いっぱい遊んだね」
花陽「うん! 凛ちゃんと一緒ならなんでも楽しい・・・・んだけどね・・・・」モジモジ
ことり「?」
花陽「ううん。なんでもない」
ことり(なんか花陽ちゃん、元気なさそう)
ことり「何か悩み事があるの? 良かったら聞かせて」
花陽「ありがとう、ことりちゃん・・・・」
花陽「悩み事って程じゃないんだけど・・・・」
ことり「聞かせて?」
花陽「うん・・・。私、凛ちゃんに頼り過ぎというか・・・」
ことり「そうなの?」
花陽「自分で物事を決められないって言うか・・・μ’sも凛ちゃんに引っ張ってもらって、やっと入れたし・・・。凛ちゃんがいないと、何もできないのかなって・・・・・・」
ことり(そっか。ここは一つ、花陽ちゃんを元気付けないと!)
ことり「あのね、花陽ちゃ―――」
ことり(ことりも穂乃果ちゃんに引っ張ってもらってばっかりだし―――・・・あっ)
ことり(そ、それじゃあ、私はなんて言って花陽ちゃんを元気付ければいいの・・・?)
花陽「花陽、意思が弱すぎるのかなあ・・・」
ことり「えっ」
“影はお前の脆弱な意思を逃さない”
ことり「ひっ?!!」ビクッ
花陽「ことりちゃん?」
ことり「あ・・・・な、なんでもないよ・・・・」
花陽「そう? ごめんなさい。急にこんな話をしてしまって。花陽、もう帰るね」
ことり「は、花陽ちゃん、もしかして・・・」
花陽「うん?」
ことり「ううん! なんでもないよ。また明日」
花陽「うん、また明日」
ことり(はあ・・・・。また花陽ちゃんを疑っちゃった。神経質になりすぎだよね・・・・)
ことり(それに、花陽ちゃんを元気付ける言葉も、私には無かった・・・)ショボン
ことり(ごねんね。花陽ちゃん)
ことり(・・・・・ことりも帰ろう)クルッ
真っ暗
ことり(・・・・・・)
ことり(・・・花陽ちゃんと一緒に帰れば良かったかなあ?)
ことり(ううん! ダメダメ。私、先輩なんだから、これ以上カッコ悪いところは見せられない)
ことり「行こう」トコトコ
--------------------
ことり「あっ・・・」
ことり(大きい木の枝が落ちて、道を塞いでいる)
ことり(昨日風が強かったから、あそこの木から折れて落ちちゃったのかな)
ことり(とにかくどかさないと、通れない)
ことり(ことりにどかせるかな?)
ことり「んしょ、んしょ」グイッ
ことり(あ、あれ・・・? 全然動かない。どこかに引っかかってるのかな?)
ことり(どうしよう・・・・)ゼェハァ
ことり(疲れて力も出せないし・・・)
ことり(しょうがないや、回り道しよ)
---------------------
ことり(この道あんまり知らないんだけど・・・)
ことり(こんなに街灯少ないのぉ・・・?)
ことり(やっぱり、さっきの木を頑張って動かして、いつもの道で帰った方が良かったかなあ・・・)
ことり(でも、あの木、なんだか重かったし、ことりの力じゃあ・・・・)
“影は力無きお前を追い詰める”
ことり「・・・・・っ」ビクッ
ことり(あ、あれれ? ここどこ? ここ、家の近所のはずなのに・・・なんか見慣れない場所にきちゃった・・・)
ことり(どうしよう・・・)
ことり(と、とにかく、進まないと・・・)
ことり(本当に街灯が、少ないな・・・・)キョロキョロ
ことり「暗い・・・・」
ことり「え? え? ちょっと待ってよ! いくらなんでも暗すぎる!」
ことり「だって・・・足元すら全く見えない・・・」
ことり「あ、あれれ?? 手元もだんだん見えなくなってきてる・・・?!!」
ことり「こ、怖いよぉ・・・・」フルフル ガタガタ
ことり「誰かいないのぉ・・・?」オロオロ
ことり「あっ・・・・うぅ・・・」クラッ
ことり「あ、れ・・・? なんだか・・・頭が。ぼーっとしてきた・・・?」
ことり「んー・・・・」フラフラ
ふむ…
ことり「・・・何も、見えない」
ことり「・・・何も、聞こえない」
ことり「・・・何も、感じない」
“影は一人のお前を吞む”
“影に吞まれると闇から出られない“
ことり「そっか・・・わたし・・・吞まれちゃったのかな・・・?」
ことり「なんか・・・・足に力が入らない」ペタンッ
「・・・・り」
ことり「もう、疲れちゃった」
「・・・と・・り」
ことり「眠い・・・」クラクラ
「こ・・・・り」
ことり「なんか・・・心地よい声が聞こえる気がする・・・」
「こ・・・と・・・・」
ことり「ずっと、聞いていたい・・・」
「ことりっ!」
ことり「!?」
ハッ!
海未「ことり! 大丈夫ですか?!」ユサユサ
ことり「え・・・・? あっ・・・? ・・・こ、ここは?」
海未「私の家の近くですが」
ことり「ふぇ・・・・?」キョロキョロ
ことり「あっ・・・本当だ。海未ちゃんちの近くだ・・・」
海未「一体何があったのですか? こんな所でへたりこんでしまって」
ことり「あ・・・そっか・・・私、一人じゃなくなったから・・・」
ことり「助かった・・・のかな・・・・」
海未「一人? 助かった? どういうことです?」
ことり「うっく・・・ひっく・・・」ジワッ
海未「え? ことり・・・?」
ことり「うみちゃぁぁぁん! ふぇぇぇん!」ポロポロ
海未「えっ?! え?! こ、ことり、どうしたのですかっ?」オロオロ
ことり「ふぇぇぇぇん! しっく、ひっく」グスグス
海未「と、とにかく、こんな人目の付くところでは良くありません。私の家に」
海未「ことり、すいません、抱き上げますよ」
海未「よいs―――」
海未(あっ、いけません。ことりを抱き上げるのに、『よいしょ』なんて言うのはおかしいです)
海未「ん・・・っと」ヒョイ
ことり「しくしく・・・」ギュー
海未(抱き上げた瞬間、ことりが私の首に手を回して、私の肩に顔を埋めてしまいました)
海未(こんなに泣いて・・・。よほど怖いことがあったのでしょう)
-----------------------------
海未の部屋
海未「ことり、ベッドに降ろしますよ。大丈夫ですか?」
ことり「うん・・・」シクシク
海未「はい。それじゃ、私も隣に座りますね」ストン
ことり「・・・・」ギュ
海未「ことり?」
ことり「・・・・」ギュ
海未(私の腕にしがみついたまま動かなくなってしまいました)
海未(本当にどうしたんでしょう・・・)
海未「あの、ことり? 何があったのですか?」
ことり「・・・・・」
海未「話したくなければ、無理にとは言いませんが・・・」
ことり「・・・・・」
ことり「・・・・・すごく」
海未「はい」
ことり「・・・・・すごく、怖いことがあったの」
海未「聞かせてもらえますか?」
ことり「・・・・・いいの?」
海未「私に話してくれれば、きっと、怖さは半分になりますよ」
ことり「海未ちゃん・・・」
------------------
海未「そんなことがあったのですか」
ことり「うん・・・。最初はただのいたずらかと思ったけど・・・・」
海未「いえ、それはもはや、いたずらの領域を逸しています。呪いと言った方が適切でしょう」
ことり「うん・・・・」
ことり「ありがとう、海未ちゃん。こんなとりとめのない話を信じてくれて・・・」
海未「こんなに怯えていることりの話を信じられないわけがありません」
海未「辛かったですね。大変でしたね。本当によくここまで辿り着けました。良かったです」ナデナデ
ことり「ありがとう、ありがとう」ポロポロ
海未「安心してください。呪いの原因は分かりませんが、私の傍にいれば、安全ですから」
ことり「・・・・やっぱり、海未ちゃんに話すべきじゃなかったかも」
海未「何故です?」
ことり「海未ちゃんにも呪いが掛るかもって思ったら・・・」
海未「それは絶対にありえません」
ことり「えっ・・・?」
海未「信じられませんか? では、その紙に書いてあったことを、一つ一つ考えてみましょう」
ことり「うん・・・?」
海未「最初は、」
“影は疲弊したお前を見失わない”
ことり「うん。海未ちゃんだって結構疲れてるでしょ?」
海未「そんなことはありません」
ことり「本当? だって、海未ちゃん、お家では、剣道や日舞の稽古。学校では、弓道にμ’sに生徒会・・・やること一杯あるから・・・」
海未「稽古は昔からやっていますし、学校での活動も色々ありますが、ちゃんと下校時間を守っています。睡眠だってしっかりとっています」
海未「ちゃんと規則正しくメリハリのある生活を送っていますから、疲れているなんてことはありません」
ことり「そっか・・・」
海未「そうなんです。次のを考えてみましょう」
“影はお前の脆弱な意思を逃さない”
ことり「私、穂乃果ちゃんに引っ張ってもらってばっかりで、自分の意思は弱い気がするの・・・。海未ちゃんもかなって・・・」
海未「むっ。心外ですね。まあ、確かに穂乃果に引っ張りまわされることはしょっちゅうありますが・・・」
海未「健全な肉体には健全な精神が宿るという言葉の通り、私は、自分自身の意思はしっかりしているつもりです」
海未「そして、私はいずれ、園田道場を継ぐ身でもあります。明確な目標があるので、自分を見失うことはありません」
ことり「海未ちゃんすごいなあ・・・・」
海未「ふふ、ありがとうございます。次の物を考えてみましょう」
“影は力無きお前を追い詰める”
海未「これこそ、私には当てはまりません。剣道、弓道、薙刀・・・・私はあらゆる武道の鍛錬を積んでいますから」
ことり「そうだよね。海未ちゃんは普通の男の子よりずっと強いもんね」
海未「ええ。父の門下生の方との組手でも、私が一方的にやられてしまうことだって、まずありません」
ことり「私の帰り道を塞いでいた木も、海未ちゃんだったらどかせたかも」
海未「もちろん。次に同じことがあったら、私に任せてください」
海未「そして最後にあったのが、」
“影は一人のお前を吞む”
海未「私がことりの傍にいれば、一人ではありませんよね」
ことり「そうだね・・・」シュン
海未「ことり? 今の私の話では納得できませんでしたか?」
ことり「ううん。海未ちゃんが傍にいてくれれば安心できるって、そう思えたけど・・・」
ことり「話を聞けば聞くほど、海未ちゃんってすごい人だな、って改めて思って・・・」
海未「そんな。私なんて、まだまだ未熟者です」
ことり「少なくとも海未ちゃんは普通の女子高生じゃないよ」
ことり「だから、そんなすごい海未ちゃんが、私なんかを守る義理なんて、あるのかなって・・・」
海未「・・・・・・」
ことり「海未ちゃん・・・無理しなくていいよ。私を守るなんて、面倒でしょ・・・」
海未「・・・・・・不思議なこともあるものですね」
ことり「えっ?」
海未「私達、幼馴染同士、なんでも分かり合っているつもりでも、お互い負い目を感じていた・・・・。それを、口にして初めて気が付くなんて」
ことり「・・・・??」
海未「私もよく思っていました。ことり程の素晴らしい人が、どうして私なんかの友達でいてくれるのかなって」
ことり「えっ???」
海未「ことりは、とても可愛らしくて、女性らしくて」
ことり「海未ちゃんの方が可愛いよ・・・」
海未「ことりは内面も素晴らしい方です。ことりは、いつも人の見えないところでがんばって、私を支えてくれています」
海未「もし私が本当にすごい人であるというならば、それはことりのおかげです」
海未「だから、私がすごい人であり続けるには、ことりが傍にいて頂かないといけません」
ことり「私、海未ちゃんみたいにしっかりしてないし・・・・支えてあげられてなんかないよ・・・」
海未「・・・・・・」
海未「先日の各部の予算案の書類。ことりは穂乃果がまとめたと言っていました」
ことり「あっ、それは・・・・」
海未「穂乃果はずっと遊び呆けていたのに、いつやったのでしょう? 奇妙な出来事ですよね」
ことり「そ、そうだねえ・・・あはは・・・」
海未「ライブがある毎に、9人分の新しい衣装のデザインの立案・製作をしているのはどなたでしたっけ?」
ことり「えっと・・・」
海未「9人それぞれの体型に合わせた衣装の製作は相当な作業量のはずです。それをいつもライブまでに確実に仕上げてくるのは並大抵のことではないと思いますが」
ことり「妖精さんがやってくれてるのかなあ? えへへ」メソラシ
海未「妖精さん・・・・ですか。それなら納得です」
ことり「ほっ・・・・」
ギシッ
ことり「ふえっ? うみちゃ?」
海未「キラキラした綺麗な髪」サラサラ
ことり「ひゃ・・・」
海未「柔らくて白い肌」サワサワ
ことり「んっ・・・」
海未「スラッとしていて、女性らしい体」マジマジ
ことり「そんな・・・・」
海未「そして、大変な仕事を、文句を一切言わず人知れずこなしてくれる優しさ」ギュ
ことり「うみちゃ・・・」
海未「なんと素晴らしい妖精さんでしょう。絶対に傍に付いて守り続けたいです」
ことり「・・・・///」ウツムキ
海未「それだけに・・・・」
ことり「えっ?」
海未「私がいくら守ろうとも、ことり自身が無理をして、もし体を壊すようなことがあってしまっては、元も子もありません・・・・・」
ことり「・・・・・・」
海未「生徒会の仕事も、穂乃果にきついお灸を添えて、積極的にやらせます」
海未「衣装は、裁縫ができる他のメンバーにも、もっと手伝ってもらいましょう」
ことり「うん・・・・分かったよ」
海未「それと・・・」
海未「メイドのバイトを辞めてもらう訳にはいかないでしょうか?」
ことり「うーん・・・・。メイド服かわいいし。お客さんの笑顔も見たいし。それに・・・なんというか・・・メイドは私の唯一のアイデンティティというか・・・」
海未「メイドの仕事にやりがいがあるのは分かります・・・・ですから・・・」ゴニョゴニョ
ことり「海未ちゃん?」
海未「・・・・私だけのメイドになってもらうわけにはいかないのでしょうか・・・」ゴニョゴニュ
ことり「ふぇ!!??///」
海未「す、すいません! 過ぎたことを言ってしまいました。ことりはアキバの方たちにとって伝説のメイドですもんね・・・私なんかが独占するわけには・・・」
ことり「・・・・・はぃ///」コクッ
海未「忘れてくだs・・・えっ?!」
ことり「/////」ウツムキ
海未「あっ、えっと、その///」
ことり「ね、ねえ!」
海未「ひゃいっ!」
海未(ああ、緊張して変な声が出てしまいました・・・恥ずかしい)
ことり「今日は、海未ちゃんちに泊まってもいい?」
海未「あっ、はい! もちろんです! こんな夜中にことり一人で帰す訳には行きません!」
ことり「えへへ。ありがとう」
ことり「海未ちゃんは、もう夕ご飯は食べた?」
海未「ええ、先ほど済ませています」
ことり「そっか・・・・。じゃあ、お風呂は?」
海未「これから入ろうと思ってます」
ことり「ホントっ?!」ズイッ
海未「?」キョトン
ことり「え~・・・ん゙―、ん゙―。コホン。・・・よしっ」キリッ
海未「ことり?」
ことり「お背中お流しします、お嬢様♪」ニコッ ←営業スマイル&ボイス
海未「っ~~!!!??!///」
ことり「お嬢様♪」ニコッ
海未(ううっ、恥ずかしい・・・逃げ出してしまいたい・・・。ですが・・・)チラッチラッ
ことり「お嬢様・・・・?」
ことり「海未ちゃん、恥ずかしいからって逃げたりしないよね・・・・?」シュン...
海未「うっ」
ことり「ことりのこと、一人にしないよね・・・・?」ウルウル
海未「もう・・・ずるいです、ことり・・・」ガックシ
ことり「!」パァ
ことり「お嬢様♪ お任せください♪」
海未「も、もう・・・///」
海未「そ、それと、一つお願いが・・・」
ことり「はい♪ なんでもお申し付けください♪」
海未「・・・その、お嬢様というのは・・・」
ことり「いやだった・・・?」シュン
海未「いいえ! そんなことはありません。ただ・・・」
ことり「??」
海未「ことりは私だけのメイドなのですから・・・。二人きりの時だけに、そう呼んで頂けないでしょうか・・・・?」
ことり「!!!」
ことり「もっちろんっ!」
ことり「えへへ/// お嬢様♪」ギュ
海未「ことり//」ギュ
---------------------------------------------
翌日 学校
下校時間
ことり「んみちゃ~♪ どこかな~?」トコトコ
希(おっ、あれはことりちゃんや。よ~し・・・・)
希「おーい! ことりちゃーん!」
ことり「希ちゃん。どうしたの?」
希「ううん。特に用事は無いんやけど。これから帰り?」
ことり「うん。海未ちゃんと一緒に帰るの♪」
希「そうなんや。気を付けて帰り。最近は日が落ちるのも早くなってるしね」
ことり「そーだねぇ・・・。夕日が綺麗・・・」シンミリ
希「つい黄昏ちゃうよね。ほら、見てみ。夕日でウチらの”影”がこんなに伸びてるよ」
ことり「チュン?!!」ビクッ
希「ん? どうしたん? 何かあった?」
ことり「な、なんでもないのよ。ご、ごめんね、海未ちゃん探すから・・・」
希(おや? 思ったより反応が薄いやん。影って聞いただけで鳥みたいに飛び上がっちゃうくらいんのを期待してたんやけど)
希(意外と早く抜けてきちゃったのかな?)
海未「ことり」
ことり「あっ! 海未ちゃん! ・・・希ちゃん、ごめんね、またね」タッ
希「またね。・・・・ああ、逃げられてもうた」
希「・・・・・お?」
海未「希と話しをしていたのですか?」
ことり「そうだけど。なーに? 海未ちゃん、嫉妬してる?」
海未「そ、そんなことはありません///」プイッ
ことり「ふふ♪ 大丈夫だよ。ことりは海未ちゃんだけのメイドですから♪」ボソッ
海未「ちょ、ちょっとことりっ/// も、もう・・・さあ、帰りますよ」ギュ
ことり「あっ・・・」
海未「す、すいません、つい・・・。こんな人目のあるところで・・・嫌でしたか?」
ことり「ううん!」ギュー!
海未「少し痛いです、ことり。意外と力が強いですね」
ことり「むっ。そんなことないですー! ことりはか弱い女の子なのっ! だから、ちゃんと海未ちゃんが守ってよね」
海未「ええ、もちろん。私の大事な妖精さん。言われなくとも守ります」ギュ
ことり「っ?!/// も、もう/// なんでそんなこと言うのっ!?/// 海未ちゃんのばかっ/// 女タラシ!」ドキドキ
海未「えっ? ええ~?」
希「・・・・ほー」ニヤニヤ
希「海未ちゃんが送り迎えしてあげるんや」ニヤニヤ
希「海未ちゃんだってやる事たくさんあって大変やろうに」ニヤニヤ
希「いやはや、愛の力は無限大やねぇー」
「ふふ、お幸せに」
おわり
ありがとうございました。
乙
あの紙はのぞりんぱなでしかけたのかな?
また一つゴミスレが増えた
スピリチュアルやね
乙乙
お人形遊びシネ
ことうみいいゾ~^
乙
面白かった
次は一年生に行くのか…それとも三年生か…
最高だった乙
乙
ことうみ最高
あくまでもぴゅあぴゅあやね
は?
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