前川みく「ふたりきりの夜想会」 (24)

小梅「こ…今回は、今日のために厳選…してきたから…す、すごい…よ」エヘ

幸子「ふ、ふふーん!そそそ、それは楽しみですね!」ブルブル

輝子「こ…これもリア充になる為の…試練…ふひ…」ガクガク

P「とか言いながら二人して俺の裾を掴むな。伸びる」

幸子「ぼ、ボクはカワイイですから平気ですが、怖がりのプロデューサーさんはボクがついてないと駄目でしょうからね!ね!?」

P「はいはい…」

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P「……すぐ観るか?」

小梅「そ…それでも良いけど…せっかくだからもう少し人が増えてからが…いい…な」

P「確かに絵的にもその方が良いか…あれ?そう言えばみくは?さっきまでいたよな」

幸子「怖くない怖くないボクカワイイ怖くない怖くない怖くない…え?」

輝子「こ…このキノコでテンション上げれば…な、なんだ?」

P「………輝子、迷惑だからヒャッハー禁止」

輝子「ふひぃ!?」

小梅「うん…うん……み、みくさんなら、台本持って出てったって…」

幸子「な…なんで聞いたふうに話すんですか!?」

小梅「き…聞いたから…だよ?」

P「一応撮影中だってのに、あいつは…。じゃ、ちょっとみくふん捕まえてくるかー」

小梅「い…いってらっしゃい…」

P「おう。始めるのちょっと待っててくれな」

小梅「おっけー…」

幸子「ちょっ!プロデューサーさん!ボクを見捨てるつもりですか!?」

P「小梅、幸子用にスクリーンの真ん前に席確保」

小梅「わ…わかった…」

幸子「こ、小梅さん!?」

P「どこ行ったかなぁ…お」

菜々「あっ、プロデューサーさん」

P「菜々さん。お風呂ですか?」

菜々「はい。やっぱり大きいお風呂は良いですね。久しぶりに足をいっぱいに伸ばして入れました」

P「それはそれは」

菜々「いやぁ、伸び伸び入れると違いますねぇ。肩とか腰とか、普段よりも心持ち軽い気がします♪」

P「ココは温泉を引いてるらしいですから、尚更でしょうね」

菜々「ほぉ!そうなんですね。それならもう少し入ってようかなぁ…」

P「お風呂もいいですが、試写室で面白い催しが始まるみたいですよ?」

菜々「へー。なら行ってみますかね」

P「ええ。小梅も喜びますよ………そうだ。それと、みく見かけませんでした」

菜々「みくちゃんですか?いえ。見てないですね」

P「そうですか…ふぅむ…」

菜々「みくちゃんがどうかしたんですか?」

P「いえ。せっかくだし、みくにも一緒に観せ…観ようと思ってたんですが…」

菜々「観せ…?」

P「もう少し探してみます。ああ、それと…」

菜々「はい?」

P「肩の湿布見えてますよ」

菜々「はうぁっ!」ビクッ

P「見切れないように気を付けてくださいねー」

P「みくー、出てこーい。今ならモンプチやるぞー。まぐろ入りの良いやつだぞー………」

P「……うーむ。……はやくしないとひと山いくらのカリカリにするぞー」

P「…………あれー?」

「プロデューサー、いくらみくちゃんでもそれじゃあ出てこないんじゃない?」

P「ん?……杏ときらりか」

きらり「にょわっ!Pちゃんおっすおっす☆」

P「おいっすー」

杏「みくがどうかしたの?」

P「いや、絶賛行方不明中でな。こうして一生懸命探している所だ」

杏「一生懸命?」

P「労働最高?」

杏「杏には縁のない言葉だね…」

P「で、見なかった?」

杏「見てないなー。きらり見た?」

きらり「んとねー、みくちゃんならお外に行ってたにぃ」

P「よりによって…」

きらり「薄着だったから、遠くには行ってないと思ーうよぉ?」

P「うい。それはそれとして、きらりの頭はなんだ?それ?」

きらり「うぇへへへ。お風呂上がりにポニーテールだけじゃ寂しいかな、ってやってたらこんなんなっちゃったにぃ☆かわうぃいでしょー?」

P「可愛いは可愛いけど…。まあ、映えるから良いか」

杏「良いんだ…」

杏「プロデューサーも大概適当だよね」

P「こんなんじゃないと200人も面倒見られるかっての」

きらり「Pちゃんもデコっちゃうー?」

P「遠慮しておく」

きらり「そっかぁー」ショボン

P「代わりに幸子をデコる権利を与えよう」

きらり「にょわわっ!ホント!」

P「うむ。今試写室にいるから杏を持って行くと良い」

きらり「りょーかいだにぃ☆」

杏「なんで試写室?」

P「………小梅がな?」

杏「………あっ」

P「さて…と……」

P「台本持って出てったって事は明日の練習でもしてるんだろうけど…」

P「んー……」キョロキョロ

………ャー

P「?」

………ニャー

P「あっち、か?」

みく「でね、Pチャンったらひどいんだよ?いっつもみくにイジワルばっかりで…」

ニャー

みく「この前だって、何の説明もなしに夜明け前から七海チャンと一緒に漁船に乗せられたし…」

ニャー

みく「みくはお魚食べられないの。あ、でも帰りに食べたハンバーグは肉厚で美味しかったにゃあ」

ニャー?

みく「まあ、今回のお仕事はPチャンにしてはよく取ってきたって思うにゃあ」

ニャー…

みく「ふふっ」

P「ははっ」

みく「ふふふっ……………!?」

P「はっはっはっ」

みく「ぴ……ぴ…ちゃ……」ダラダラダラ

P「どうしたみく?汗がすごいぞ?」

みく「いいい、いつから?」

P「『でね、Pチャンったらひどいんだよ?』のあたりかな」

みく「……………」パクパク

P「どうした?金魚の真似か?猫キャラ辞めて金魚キャラでもやるか?ん?」

みく「どんなキャラだにゃーっ!」フカー!

P「はっはっはっ」

ニャー…

みく「ぴ…………」

P「?」

みく「Pチャンはどうしてここに…?」エヘッ

P「お、無理矢理話題変えてきたな」

みく「うっさいにゃあ…」プクー

P「みくを探しに来たんだよ」

みく「へ?」

P「急にいなくなったら心配もするだろ」

みく「へー。心配してくれたのにゃ?」エヘヘ

P「知らない雄猫に発情してたら大変だからな」

みく「みく、そんなふしだらじゃないにゃ!」

みく「まったく…」

みく「みくはね、夜のお散歩も兼ねて秘密の特訓中だったにゃ。小梅チャン達、映画観るって言ってたし。フリ付きで練習してたら迷惑になるでしょ?」

P「なるほど。流石前川さんは真面目だな」

みく「前川言うなにゃ!」

P「で、その猫は?」

ニャー?

みく「このコは公園のお友達にゃ。練習に付き合って貰ってたのにゃ」ナデナデ

ゴロゴロ…

みく「ふふっ」

P「俺には愚痴を言ってるようにしか見えなかったけど…」

みく「そ、そこはスルーして欲しかったにゃあ…」

P「無理だな」

みく「もー……」

みく「でもまあ。せっかくPチャンが探しに来てくれたんだし、そろそろ戻るにゃ」

P「と言うか、固定カメラだけとはいえ合宿の撮影中に主役がいないって普通にダメだろ」

みく「うっ…」

P「それに小梅もみくと一緒に観たいらしいしな」

みく「そうなの?」

P「ああ。今日のは厳選に厳選を重ねた凄いやつだからたくさんの人に観て欲しいんだってさ」

みく「へー。それは楽しみ……小梅チャンが厳選?」

P「ああ。幸子も楽しみだって」

みく「……や、やっぱりもう少しここで特訓してようかにゃ…」ストン

みく「ね、Pチャン…」

P「ん?」

みく「もう少しだけ……みくとお話、いいかにゃ?」

P「えー…」

みく「ここは素直に頷く場面にゃ!」

P「冗談冗談」ワシワシ

みく「にゃにゃっ!髪が乱れるにゃー!」モー

P「よっ……」ギシッ

P「ブランコに座るなんて何年ぶりかなー」

みく「ふふっ。なんだかんだ言ってもちゃんと付き合ってくれるから、Pチャン好きだにゃ」ニヘー

P「はいはい」

みく「そうだ。せっかくだしちょっとみくの特訓に付き合うにゃ♪はい、台本」

P「…………俺に演技をしろと?」

みく「別に棒読みで構わないにゃ。ほら、相手がいると、演技しやすいでしょ?Pチャンお願い!」

P「ふぅ……。どこから?」

みく「やった。えっとね………じゃあ、開催のシーンからで……」

P「はいよ…」

みく「こほん……『黒猫館にようこそお越しくださいませ♪ここはみくが主催を務める、紳士淑女のネコチャンが集う夜想会にゃ!今宵の盛大なキャンドル・ナイト・パーティ…ゆっくりくつろいでいくにゃあ!』」

P「『わー、これはこれはすてきなぱーてぃーだなー』」

みく「…………Pチャン…」

P「…………だから言っただろ」

みく「下手にも程があるにゃあ!」

みく「これじゃあ絶対耐えられなくなって特訓どころじゃないにゃ…」クスクス

P「失望したか?」

みく「失望……別に、今更Pチャンの駄目な所の一つ二つ増えたって、失望したり、ましてやファン…じゃない。アイドル辞めたりしないにゃ。誰かさんと違って」

P「辞めたあとちゃんと前川さんのファンになってるだろ」

みく「そういう問題じゃないにゃ!」

P「そうかー?」

みく「もー。仕方ないから、代わりにおしゃべりに付き合うにゃ」

P「帰るという選択肢はないのか」

みく「みくは夜行性だからにゃ♪……ふにゃあ…」フワー

P「あらおっきなあくび」

みく「それに、今夜は月明かりがステキだから、すぐ帰るのは勿体無いにゃ」

P「月?………おー。確かに言われてみれば…」

みく「ね?だからもうちょっとだけ…」

P「なんか今日は積極的だな。貞操の危機?」

みく「ふふっ。月明かりはみくをダイタンにさせちゃうんだにゃ……って、貞操!?」

P「いやん」

みく「普通にキモいにゃ…」

P「あるえー?」

みく「もー。どうしてPチャンはいつもいつも余計な一言が多いの?折角良い雰囲気にしようとしてたのに…」

P「そういう性分なんだよ」

P「ほら、ぐだぐだやってないで本当に帰るぞ。明日は早いし、小梅たち待ってるんだから」スッ

みく「にゃっ?手?」

P「……夜道は危ないからな」

みく「うんっ♪」ギュッ

P「よし、逃亡猫確保、っと…」ギュッ

みく「だからもうちょっとムードとか…」

P「知らん」

みく「もー…。あれ?旅館はあっちじゃない?反対方向だにゃ」

P「そうだったか?……みくがそっちがいいんなら良いけど…」

みく「?…………あっ!んふふ。Pチャンも素直じゃないにゃあ♪」

P「なんの事だ…」

みく「にゃふふふ♪」スリスリ

P「暑い」

みく「まったまた〜♪」

みく「ふふっ。ふたりきりで夜の散歩も、またオツだにゃ♪」

P「そうだな…」

みく「うん。……Pチャン、ありがとね」

P「?」

みく「みく、今回の主役抜擢、すごく嬉しかったにゃ…」

P「別に初めての主役ってわけでもないだろうに…」

みく「そうだけど、何だか今回のはみくにとって特別、って感じがするの。分かんないけど…」

P「分かんないのかよ…」

みく「ふふっ。でも、ちゃんとPチャンにありがとうって言えてなかったから。……ありがとう」

P「はいよ」

みく「うん。それに、ほら…」

みく「今日は……月が綺麗ですね、にゃ」

P「…………」

みく「…………」

P「…………」

みく「何か言うにゃあ」

P「いや…どちらの意味か図りあぐねてな」フム

みく「ホント、デリカシーないにゃ」プクー

P「何を今更」ハハッ

みく「もー…」

P「そうだな…」

みく「?」

P「どちらの意味にしても、明日を成功させたら答えてやってもいい、かな」

みく「え?それって…!」

みく「ホント!?」

P「成功させたら、な」

みく「ふふーん!みくに任せてれば大成功間違いなしにゃ!」

P「期待しておこう」

みく「だからPチャンは給料三ヶ月分用意しとくにゃ♪」

P「話が見えんな」

みく「まったまた〜♪」

P「ま、その前に…」

みく「?」

P「今夜を乗り越えられるかどうか、だけどな」

みく「今夜?………あっ、あー……」



おしまい

以上、読んでくださった方ありがとうございました!
みくにゃん可愛いよみくにゃん

乙乙にゃんにゃんにゃんも*もいいけど
やっぱり、Pとじゃれあう感じの雰囲気が一番好きだな

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