男「話し相手くらいなら」 (10)
夏休み中だというのに学校に行ってきた帰り道
ふいに、3年前に友達と集まって作った秘密基地を思い出した
今どうなっているのか気になるので立ち寄ってみることにした
そもそも人が少ない地域なのだがあの辺は特に人通りが少ない
といった場所にある河川敷にいたのが彼女だった
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なんか通りかかっておいて話しかけないのもすごく居心地が悪い気がした
男「中谷……さん? なにしてんの?」
女「ん……? ……あれ、奇遇だね」
男「え、うん」
女「なにしてんのって……川を見てたんだけど」
男「……あ、……そう」
彼女は少し変わっていることでも有名だった
女「それで、君はこんな辺鄙なところに、何しに来たの?」
男「え……」
男(中学2年にもなって秘密基地を見に来た、と言うのは……女子的にはどうなんだろうか)
男「……」
女「教えてくれないの? ……ふーん」
女「悲しいなあ。せっかくクラスメートの小山くんと仲良くなれる機会だと思ったのになあ」
女「私なんかとはおしゃべりしてくれないかあ」
女「残念だなあ」
そう言われて焦っている自分を見て、彼女はふふっと笑った
男「いや、あの……えっとね」
女「うんうん」
男「あの……5年生くらいの時にね」
女「うん」
男「あっちの……林があるじゃん? ……あるんだけど」
女「あるね」
男「あそこで秘密基地を作ってたんだよ」
女「なるほど」
男「それで……ずっとほったらかしだったから、ちょっと様子でも見に行こうかなって」
男「あの……暇だし」
女「へー! じゃあ、私もついて行っていい?」
女「暇だし」
男「川はいいの?」
女「うん」
女「川ってつまんないしね」
男「そうだね」
女「よし! じゃあ行こう。案内してよ」
男「ああ……うん」
男(いつの間にか一緒に行くことになってる)
まあ、結論から言うと、秘密基地は草に埋もれてかろうじて何かがあったことが分かる程度だった
……雨風とかもあるししょうがない
それでも彼女は楽しそうに調べていた
女「えー、段ボールで作ったの?」
男「うん、まあ小学生だったしね」
女「今作るとしたら何で作るの?」
男「え……」
男(なんだろう、頑丈そうなもの……なんか木の板とか……?)
男「……いや、作らないよ」
女「えーつまんないの」
女「でも、あれでしょ? ベニヤ板とか!」
男「ははは……」
女「なんか布見つけた」
男「ああそれ、……いや、もうよくない?」
女「ん、そう? 帰る?」
男「帰ろうよ」
女「そうだね、まあ、部活帰りで疲れてるし」
男「そういえば、なんで制服なの? 部活?」
女「うん、水泳部」
男「ああ、それで川見てたの」
女「いや、それは関係ないと思うな」
帰り道は途中まで同じだった
男「ねえ……もしかして、いつもあの河川敷にいるの?」
女「んー……まあ、結構頻繁に行ってるかな」
男「そうなんだ。 そんなに川が好きなの?」
女「別に……」
男(別に……って!)
女「まあでも、気に入ってはいるかな」
女「静かだから」
男「図書館とかも静かだよ」
女「そう言うのとはちょっと違うんだな」
女「小山くんも、暇だったらいってみるといいよ」
女「静かだから」
女「じゃ、ね」
なんか男女が会話する感じのあれが書きたかった
深夜のノリで書いたので続きはあんまり考えてない
Yes!
夏でつね
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