瑞樹「A Little Magic」 (72)

『川島さんってはっちゃけてますよね! 28歳なのに』

『28歳でアイドル? と思ってたけどこれはすごい』

『こんな28歳見たことない!』

また言われてしまった。何度も言われてきたこの言葉。

28歳なのに。28歳で。28歳! 28歳! 28歳!!!!

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私は現在地にたどり着くまでに少し遠回りをした。

でも、それに対して後悔はない。

遠回りをして選んだアイドルと言う道にやりがいを感じているし、今がすごく楽しい。

お仕事にも一生懸命取り組み、様々な魅力的な仲間たちに囲まれ、自分の魅力をたくさんの人たちに感じてもらっているのだと思う。

若い子に負けるものかと意気込んで頑張っているが、決して自分がコンプレックスと感じているからではない。

しかし、私にとっては瑣末なこの数字が周りや外部にはとても大事なことのようだ。

勿論、自分が年長者である場ではみんなのお姉さんとして引っ張るし、大人としての落ち着きや冷静さも私の魅力だとは思っている。

でも、この28という数字なしに単純に川島瑞樹というアイドルを見てほしい。

歌もダンスもトークも全部、このわずらわしいフィルターを通さずに見てほしい。

なんでみんなこの数字に拘るのだろうか。

他の子より歳を食っているから? 三十路を超えたら結婚の二文字がチラつくから? BBAって言いたいの?

BBAはさっさと結婚でもして引退しろっていうの? 相手がいないわ!

私はまだまだアイドル界の頂点を取ってはいないし取りにいけると思っている。

他の人はそうは思っていないってこと? 年取っていたらアイドルとして上を目指しちゃ駄目なの?

いろんな感情が頭をよぎる。本当はそんなわけあるはずもないのになんとなく不安になってくる。

私はこれ以上無理なのかな…ダメなのかな…

モバP「川島さん、大丈夫ですか?」

瑞樹「へ?」

前からの突然の声に我に返る。

沈みかけの夕日が射す静かで薄暗い車内。前の運転席に心配そうな顔をしたP君。

あ、現場からの帰り道だ。P君が迎えに来てくれたんだった。

瑞樹「どうしたの、P君? 私、変なことした?」

モバP「いえ、今まで見たこともないような顔をしていたので…」

瑞樹「どんな顔? 10歳くらい老けたような顔?」

モバP「違います! なんというか…うーん…」

言葉に困っている様子だ。

モバP「落ち込んだ顔というか……自信がないような顔をしてました」

瑞樹「私、そんな顔してたの? P君からもよく見えるくらいに?」

モバP「はい、バックミラーにチラッと映ったので気になって…」

見られてしまった。一番見られたくない人に。

P君は私が落ち込んでいる姿などあまり見たことなかっただろう。少しの驚きと焦りとが感じられた。

私だって女の子なんだから強気なばかりではないんだぞ、P君。

瑞樹「いいのよ。少し考え事していただけ」

モバP「川島さんがそんな顔するなんて絶対何かあるはずに決まってます」

こういうときだけは意固地だよなぁ、P君。普段は弱気で他人に流されるのに。

モバP「もう一度聞きます。大丈夫ですか?」

これは観念したほうがよさそうだ。

瑞樹「私ってトップアイドルを目指しちゃ駄目なのかしら」

モバP「…………どういう意味です?」

瑞樹「私はもう28よ。同じくらいの歳の子は大体結婚してるし、子供もいる。私がアイドルのトップを目指すのはもう遅いのかなって」

モバP「誰に言われたんです?」

瑞樹「誰か特定の人に言われたわけじゃないのよ? ただいつも『28歳だから』とか『28歳なのに』って言われるから」

モバP「…………」

P君が黙りこくってしまった。

どうしたのかなと思ってチラッとバックミラーに目配せすると難しい顔をしていた。少し怒ってる?

気まずい空気。何か言わないといけないと言葉を探していたらゆっくりとP君が口を開いた。

モバP「川島さんは…今の自分…嫌いですか?」

唐突な質問に少し驚きながらも自信を持って答える。

瑞樹「いいえ、嫌いじゃないわ…むしろ好きよ」

瑞樹「だって…今まで私は君と一緒にやってきてよかったと思ってるから」

私を見つけ出してくれたあの頃からこの気持ちは変わっていない。

モバP「川島さんもそう思ってくれているなら俺も嬉しいです」

あれ、P君もそう思ってくれてるのか。

モバP「確かに川島さんについて色々な事を言ってくる人がいるとは思います」

モバP「それは僻みや妬みもあるかもしれません。単純に助言や忠告をしているつもりなのかもしれません」

確かに色んなことを言われるわね。主に年齢とか年齢とか年齢とか。

モバP「でも…俺は今の川島さん…自分の思うままにアイドルをやっている川島さんを曲げて欲しくないんです」

瑞樹「そうね、誰に何を言われても自分のスタンスを曲げるつもりはないわ。それが私、川島瑞樹だもの」

まぁP君に言われたら自分を曲げるかもしれないけど。というか、曲げるけど。

モバP「そう言ってくれるなら安心です」

瑞樹「私にああしろ、こうしろとは言わないのね」

モバP「そりゃあそうですよ」

妙に語気が強まった気がする。

いつもの頼りない顔が引き締まって見えた。少しかっこいい。

モバP「だって俺は最初から川島さんを信じてますし、そのままの川島さんに惚れ込んでますから」

P君ってたまに躊躇もなくこんな恥ずかしいセリフを言ってくるのよね…

モバP「俺は……川島さんの一番のファンです。川島さんのことを一番に考えてます」

他に誰もいないと分かっていても恥ずかしくて顔が赤くなる。何言ってるの!

モバP「だから、明るくて、前向きで、一途に頑張って、でも大人っぽく凛として、家庭的で、しっかりものの川島さんが好きです」

本当に何言ってるの! 言葉には出来ない、恥ずかしすぎて。

何とか沈まずに残っている太陽があまり人には見せないこの赤面を覆い隠してくれるのだけが幸いだ。

モバP「俺は川島瑞樹というアイドルの選択に賛同し、従います。トップアイドルという理想を目指すなら、俺は全力で後押しします」

モバP「それがプロデューサーですし、俺と川島さんの出会った時からの約束です」

そうだ。あの時からずっと。P君はこう言ってくれる。

私が自分の気持ちのままに、まっすぐとアイドルを続けられていたのはP君がこう言ってくれるから。

私のやること、アイドルとしての生き方にいいですねと言って私の背中を押してくれる。例え迷いながらの選択であったとしても。

だからアイドルを続けられる。頑張れる。

アイドル川島瑞樹でいられるのは、P君のおかげ。

P君には本当に感謝しかないなぁ。

瑞樹「P君……ありがとね」

モバP「いえ、相談に乗るぐらいならいくらでもしますから」

瑞樹「P君は相談以外も私の為に色々してくれてるからその分も合わせてよ」

モバP「当たり前です。俺は川島さんのためになら命だって投げ捨てる覚悟が出来てます」

だからなんでそういうことを惜しげもなく言えるのよ!

話を逸らさなきゃ……

瑞樹「今日はこの後どうしようかな~」

モバP「何かご予定はないんですか?」

予定があったらこんなセリフ言わないでしょ…

瑞樹「久しぶりに君とお酒が飲みたいかも…なんて」

モバP「うーん…俺も川島さんと飲みたいんですが…」

瑞樹「なに? 他の女の子とデートでもするの?」

モバP「そんなわけないじゃないですか! 俺にそんな相手いませんよ……」

ほっ

瑞樹「じゃあ何があるの?」

モバP「今日はこのまま事務所に戻って仕事しないと…」

それくらい仕事無視してでも私のためなら! とか言いなさいよ!

こちらから誘ったときはいつもこんな調子である。

なんであれだけ恥ずかしいセリフ連発できるのに思いっきり鈍感なんだろうこの人……

まぁいい。楓ちゃんとも中々飲めていなかったからちょうどいい機会だ。

瑞樹「いいわ。楓ちゃん誘うから」

モバP「仕事終わったらすぐにでも駆けつけますから…」

瑞樹「楽しい女子会に男の子は来ちゃダメなの!」

なんで強く言っちゃったのだろう。まるでP君を拒否しているみたい。そんなつもりないのに。

しかも自分で『女子』会と言っちゃうのもなぜか悲しくなる。

モバP「はあ、そういうもんですか」

P君も呆気に取られているかのようだ。

やばい、この気まずさは。

自分で作った空気ではあるが、嫌な感じだ。

携帯電話を取り出し楓ちゃんの番号に電話をかける。

中々繋がらない。

楓ちゃんだから仕方ないとはいえ、このなんともいえない微妙な空気はきついから助けて、楓ちゃん!

などと思っているとようやく電話が繋がったらしい。

ある種の焦りと逃げたさとでかかって間もなく言葉を発する。

瑞樹「もしもし、楓ちゃん? 今晩、空いてるかしら?」

楓『はい、もう今日のお仕事も終わりましたから』

瑞樹「わかったわ。じゃあいつものあの場所の予約とっておくから駅前に集合しましょう」

楓『そうですね。多分私は、らっという間に着くと思うので待っておきます』

らっという間って何よ…早いのか遅いのかわからないわ。

瑞樹「それじゃあ私もすぐに着くようにするから。あまり待たせるつもりはないけど気長に待っててね」

楓『はい、音楽でも聴きながら気長に待ってます…………ふふ』

プツッ

背中におぞましい寒気を感じて反射的に電話を切ってしまった。

とりあえずこの悪寒は気にしないようにしよう。

いつものお店に電話し要件を伝えると、気前の良いご主人がこれまたいつも利用する座敷を確保してくれた旨を報告してくれた。

瑞樹ちゃん、待ってるよーなんて少し嬉しい言葉を聞き、お礼を言って電話を切る。

瑞樹「というわけでP君! いつもの駅にお願いね」

モバP「わかりました。確か南口のほうがいいんでしたよね」

瑞樹「よく覚えてるわね。そうね、楓ちゃんは南口のロータリーから少し離れたベンチか喫茶店辺りにいるのが好きだから」

モバP「あそこの喫茶店ですか。確か先週だったかな…新商品が出来たらしいですよ」

瑞樹「ほんとに? P君あそこの喫茶店によく行くの?」

モバP「仕事の合間に時間があれば…ですけどね。マスターとすっかり仲良くなっちゃって…」

あそこのマスター、物静かで中々話してくれない人なのに…

モバP「川島さんのこともマスターが話してました」

え? 何見られたんだろう…

瑞樹「なんて言ってたの?」

モバP「この前来た時にコーヒーをすすりながらものすごく気難しそうな顔で本と睨み合ってたって。何読んでたんですか?」

多分…アンチエイジング関連の商品の最新カタログだわ・・・

瑞樹「そ、そうね・・・君にはあまり関係ない本だと思うわ、うん」

モバP「そうですか・・・」

チワワのような顔をチラッと向けてくるな! 惚れてまうやろ!

モバP「まぁ俺に出来ることがあれば言ってください! アンチエイジングの感想は無理ですけどね!」

それよ。その無理なヤツなのよ。

というか、アンチエイジング以外なら全て出来ますって言ってるように聞こえるわ。

モバP「着きましたよ。ココで大丈夫ですか?」

瑞樹「うん。ここからならすぐに楓ちゃん見つけられると思うから」

モバP「俺もいつでも行けるようにはしておきますから何かあったら電話をかけてください」

まだ諦めてなかったのか…いや、私と楓ちゃんが酔いつぶれたらってことか。

瑞樹「流石に今日はそこまで飲むつもりないから大丈夫…だと思う」

モバP「本当ですか? 前にそう言ってた時は二日酔いで辛そうでしたよ?」

ギクッ

気付かれまいとしてたのにバレてたのか。他の子たちにはバレてなかったんだけどな…

モバP「まぁ何かあれば呼んでください」

瑞樹「わかったわ。ありがとね、P君」

車を降り、楓ちゃんを探そうかなと辺りを見渡す。

会社帰りのサラリーマン、楽しそうに飲み屋街に向かう大学生らしき集団、様々な人たちで溢れ返る駅前の少し外れたところにぽっかりとスペースがあった。

老若男女問わずその場所で立ち止まり視線をやるものの、まるで神々しいものを見たかのように近づくことさえ出来ない。

私が雑踏を通り抜け神の祭壇とも思しきベンチへと向かうと、当の女神は周りの誰の行動も気に留めずイヤホンで音楽を聴いていた。

本当に音楽を聴きながら待ってるわ・・・

少しため息にも似た息を吐き、肩を叩いてこちらの存在に気付かせる。

瑞樹「楓ちゃん」

楓「あ・・・来ましたね」

瑞樹「楓ちゃんが音楽を聴いてるところ、あんまり見たことがない気がするわ」

楓「そうですね。一人の時には聴く事はあるのですが、大体デモテープが多いですし」

瑞樹「それで、何を聴いてたの?」

楓「この前、ラジオの収録をしたときに頂いたCDの曲です」

パッとミュージックプレーヤーの画面を示される。

興味深く見てみると、聞いたことのないアーティストだ。ジャケットにも見覚えがない。

曲名は……A Little Magic……だそうだ。

瑞樹「私も少し聴いてみていいかしら」

楓「はい」

右耳につけていたイヤホンを差し出される。

楓ちゃんの左に座りイヤホンをつけると、ちょうど間奏部分から…2番だろうか、歌声が流れてきた。




見上げてる空が時々 やけに遠く感じる

『平気だよ』なんて笑って いつも誤魔化してた

気付いてる本当は 寄りかかる肩が欲しいのに

なんでだろ つまらない 意地張ってばかりいた

でもね、

叶えたい思いや もどかしい痛みも

無駄じゃないんだと気付けたから

キミへのありがとう

溢れそうだった 熱い思いを抱えながら

強くいられる また明日も



5人くらいの女性の柔らかい歌声が胸に刻まれるように聞こえてきた。

強くいられる、また明日も……か。

ここからラストのサビまで向かっていくのだろうとは思ったが、イヤホンを耳から外す。

私たちの周りがざわつきはじめたのに気付いたから。

ネェ…アレタカガキカエデジャナイ? ヨコハダレダッケ…ナマエワスレタケド28サイノアイドルガイル! コンナトコロデアイドルニアエルトハ!

ここから離れたほうがよさそうだ。CDはまた楓ちゃんから借りて聞いてみることにする。

もう一度聴きたいと思った。歌詞に引っかかりを感じたから。

瑞樹「楓ちゃん、そろそろお店に向かいましょうか」

楓「わかりました」

申し訳なさそうに2人で人ごみから脱出する。途中で声をかけられたが、ごめんなさい! と言って道を急ぐ。

お店は駅から比較的距離が近いためあまり時間はかからなかった。

引き戸を左に引いてお店へ入る。カウンターで調理をしていたご主人が元気に呼びかけてくる。

笑顔で手を振っていつもの座敷席へ。楓ちゃんは向かって右側、私は左側に座る。

瑞樹「私はビールにするけど、楓ちゃんは?」

楓「私もまずはビールですかね」

瑞樹「まずは…って今日どれだけ飲むつもりなの…」

楓「久しぶりですからね…飲めるだけ飲みます」

そんなに目をキラキラさせちゃって…25歳とは思えない。まるで子供のような目の輝き。

とりあえず店員さんを呼んでビールを頼んでおく。

今日はたくさん飲んでやるぞという気持ちにならないので声は抑え目になってしまった。

そうしていると不思議そうな顔で楓ちゃんから見つめられていた。

楓「どうしたんですか? 今日はテンション低めですね」

瑞樹「私もたくさん飲みたいんだけどね…潰れちゃわないか心配だわ」

楓「?」

瑞樹「どうしたの? 楓ちゃん?」

楓「潰れたらどうしようって心配しているのを初めて見た気がします」

瑞樹「そ、そう? いつも心配してるわよ?」

楓「潰れたらプロデューサーが迎えに来てくれるから飲んでやるーっていつも言ってますよ」

そんなこと言ってたかしら…強気なのはいつものことにしても。

瑞樹「P君は関係ないわ…自分の体に気をつけてるのよ」

楓「そうですか?いつも二人で飲んでる時、プロデューサーに来てほしいって思ってますよね?」

瑞樹「うぇ!?」

素っ頓狂な声を出してしまう。ビール飲んでいたら間違いなく吹き出していたと思う。

瑞樹「わ、私そんなこと考えてないわよ!?」

楓「そうですか? いつもいかにもプロデューサーに来てほしいって顔してますよ?」

瑞樹「今も?」

楓「はい」ニッコリ

初めて会った時からそうだけどこの子は本当によくわからないわ…

瑞樹「と、とにかくP君は今関係ないわ! これは『女子』会だから!!」

楓「そうですね。女子会ですね」

そうこうしている内にビールが運ばれてくる。

店員さんは私たちの会話に耳を傾けるそぶりもなく厨房へ戻っていく。この店はこういうところがいい。

瑞樹「それじゃあ……何に乾杯しましょうか」

楓「いいじゃないですか。プロデューサーにで」

瑞樹「どうしてそうなるのよ! 楽しくお酒飲みましょうとでも言って乾杯すればいいでしょ!」

楓「お仕事を労って乾杯するっていうのは普通じゃないですか?」

瑞樹「だからってP君は関係ないでしょ!」

モバP「俺が関係ないって何があったんですか?」

瑞樹「にょわっ!?」

丁度頭をよぎっていた顔がいきなり目の前に現れた時、人間はこんな声を発するようだ。

モバP「どうしたんですか?」

瑞樹「どうしたんですかはこっちのセリフよ! なんでP君がここに?」

モバP「やっぱり…来ちゃダメでしたか?」

楓「そんなことないですよ? ささ、そちらに座って」

何で楓ちゃんは私の隣を勧めるのよ!

瑞樹「楓ちゃん!」

楓「あ、店員さん。ビール追加でお願いします」

聞いてない…いつものことか。P君も何事もなかったかのように私の隣に腰を下ろす。

瑞樹「それで…なんでP君がここに?」

モバP「えーっと…話すと長くなるんですが」

楓「別にいいと思いますよ? 私たちも聞きたいですし」

勝手に私も加えないで!

モバP「では話しますけど…」

それで話し始めるP君もP君だわ。

モバP「川島さんを送った後、事務所に戻って仕事をやろうとしてたんです。そしたらちひろさんが…」

またあの人か。



ちひろ『プロデューサーさん、今日は川島さんを迎えに行ってましたよね?川島さんは?』

モバP『川島さんは楓さんと一緒に飲みに行くということで近くの駅まで送りました』

ちひろ『え? プロデューサーさんは一緒に行かないんですか?』

モバP『俺はまだ仕事が残ってますし…』

ちひろ『それは明日やっちゃえばいいんですよ! 私がある程度やりやすいようにしておきますから!』

モバP『でも、大事な仕事ですし…』

ちひろ『担当のアイドルとコミュニケーションをとるのも大事なプロデューサーの仕事ですよ! ほらほら、行ってきてください!』



モバP「と言った具合でして…」

またあの人か。

あの人は何を考えているのかイマイチ分からない。腹に二物も三物も抱えていそうだ。

というか何歳なのかも分からない。一応さん付けしているが。

モバP「ですので、川島さんにダメと言われましたが来てしまいました…あの人には逆らえません」

楓「別にいいと思いますよ~私たち、来てくれて嬉しいですし」

たちって言わないで! 加えないで!

などと話しているとP君のビールもすぐに運ばれてきた。パパッとP君の席の前に持っていく。

準備万端。後は乾杯をせねば…

楓「プロデューサーのビールも来ましたし……それでは、プロデューサーに乾杯!!」

楓ちゃん!!

モバP「か、かんぱ~い?」

P君も何がなんだか分からないって顔してるじゃない…

モバP「川島さんも乾杯しませんか…?」

これはとりあえず助けてってことかしら…

瑞樹「わかったわ。か、かんぱ~い…」

少し照れてしまう。何を意識してしまっているのだろう。

楓ちゃんはジョッキを合わせるや否や6割ほど飲み干していた。今日どれだけ飲むつもりよ…

P君も半分くらいは飲んでいる。ヘタレのくせにお酒のペースが早い酒豪なのよね。

私も飲まなければ…と黄金色の劇薬を一気に流し込む。

疲れた体にいつもの爽快感と苦味が駆け抜ける。

やはり一杯目はビールに限る。この快楽のために仕事を続けているという錯覚が湧き上がるのだ。

実際にお酒のためにアイドルを続けるのであれば、てんでおかしい話だろう。

ただそれほどまでの気持ちにさせるのはお酒の魔翌力なのだと思う。

もう一度二人を見てみる。

楓ちゃんは今日は飲むつもりという言葉のままに早くも二杯目の検討をしているようだ。やはりこの子はお酒を愛しお酒に愛されているのだろう。

P君は…と視線をやると目が合った。少し動揺。

モバP「川島さん、どうしました? 二杯目ですか? それともおつまみを?」

瑞樹「二杯目は…そうね、もう一杯ビールにするわ。おつまみは…楓ちゃんに任せましょう。楓ちゃん、何か食べたいものある?」

楓「イカが食べたいです! あと、梅酒をロックで」

モバP「分かりました。それじゃあ注文してきますか…」

そう言ってP君は席を立つ。多分注文ついでに外へ出てタバコを吸うのだろう。胸ポケットに入っているみたいだったし。

別に私たちがいる中でも吸っていいとは言っているのだが、『アイドルを副流煙に巻き込むなんて以ての外です!』と言って譲らない。

気にしてないんだけどな。実際、現場で吸ってる人なんてそれなりにいるのに。

タバコをくわえるP君も少し見てみたいな。

ぼーっとP君が出て行った方向を見つめながら考えていると楓ちゃんが口を開いた。

楓「本当にプロデューサー来ちゃいましたね」

瑞樹「偶然よ。それに仕事を放っておいてきちゃうなんて…」

楓「口ではそう言っても目はそう言ってませんよ?」

この子、こんなに不思議ちゃんだったかしら…小梅ちゃんとユニットを組んでも面白いと思う。今度P君に持ちかけてみようかしら。

瑞樹「私ってそんなに表情分かりやすいかしら?」

楓「いえ? プロデューサーのときだけだと思いますよ?」

そうなのか…自分ではわからないわ。

瑞樹「私はP君のことをどう思っているように見えるのかしら」

楓「感謝している……というのが一番にくるんじゃないですか?」

それは勿論だ。

楓「私も楽しくお仕事できているのはプロデューサーのおかげだと思ってますから、それと同じだと思いますよ?」

楓ちゃんは運ばれてきた梅酒を軽く飲みきる。私も二杯目のビールに口をつける。

瑞樹「やっぱりP君に感謝してるのね」

楓「それはもちろんですよ。私をこの世界に導いたのも、私が輝けるのもプロデューサーがいたからだと思います。あ、店員さん久保田を冷で1合お願いします」

早くも三杯目ね。

瑞樹「そうね。P君にはありがとうの気持ちが大きいわ」

楓「でも、それ以上に思うことはあるでしょう?」

瑞樹「うっ……確かに少しはいいなと思うわよ? 私も28だし? 親からそれとなく催促されるし?」

楓「例え今の年齢より10歳若かったとしてもプロデューサーに魅かれてたと思いますよ? 結婚がどうこう関係なく」

瑞樹「それはどういう意味なのかしら? 私がああいうヘタレタイプが好みそうってこと?」

楓「噛み合ってるって感じですかね。枝豆とビールみたいに」

????

わからないわ。

おつまみが運ばれてきた。でも確かに枝豆とビールって合うのよね。そう思いながら枝豆をつまむ。……枝豆?

頼まれてますよ? と店員さん。思えば烏賊の一夜干し以外にも串盛り合わせや鶏のから揚げも並んでいる。多分P君が頼んでくれたのだろう。

こういう気配りが咄嗟に出来るところも彼の好きなところではある。

モバP「あ、料理来てますね」

P君がタイミングを合わせたかのように戻ってきた。

瑞樹「あの…P君、これ…」

モバP「え?店員さんがサービスしてくれたんですかね? 料理が一杯ありますね」

何故白々しい嘘をつくのか。気を使ったならそう言えば良いのに。少しムッとした視線を送る。

モバP「……すいません…お酒飲むのにある程度のおつまみは必要だと思って頼みました」

何かに観念したかのようにP君が白状した。

楓「いいんですよ。どうせ頼むだろうし。夏の日本酒は冷で飲むのがいいですね」

楓ちゃんは適当ね……私だってそこまで気にしてないけど。

モバP「俺が肉を食べたかったということにしておいてください。今日は俺も飲むつもりですし」

ハイボールを傾けながらP君まで適当なことを言い始めてしまった。もう私も適当でいいかしら。

瑞樹「今日は私も二人に負けずに飲もうかしら…店員さん! スクリュードライバーお願いします!」

モバP「お! 川島さんも本気モード入りましたね! 俺もスクリュードライバーお願いします」

楓「皆で楽しく飲むのが一番ですからね…あ、私は黒霧島のロックを」

瑞樹「よ~し! 今日は飲むわよ~!」

モバP&楓「お~!」




~~~2時間後~~~



モバP「川島さん…大丈夫ですか?」

瑞樹「私は平気よ…楓ちゃんは?」

楓「…………」スヤァ…

瑞樹「寝てる…みたいね」

モバP「あれだけ飛ばしてたら無理もないですよ…今日何杯飲んでました?」

会計を見れば分かるかしら。

瑞樹「えっと……ビールのジョッキ1杯、日本酒2合、梅酒をロックで3杯、焼酎もロックで3杯……すごいわね……」

モバP「しかも今日はそれを2時間で飲んでますからね…」

瑞樹「私たちもそれなりに飲んでるけど……」

モバP「そうですね……そろそろお開きでもいい時間かもしれませんね」

瑞樹「流石に楓ちゃんを寝させておくわけにはいかないしね」

モバP「少し様子を見てからにしましょう…調子悪いのを無理やり帰らすのもよくないですし」

このまま帰らせたらこの子は何をしでかすかわからない……単純な怖さと見てみたい興味深さが半々あるが。

瑞樹「そうね…店員さん、お冷を3つお願いできますか?」

席を移動して机に突っ伏して寝ている楓ちゃんの頭を私の膝に乗せる。この方がまだ寝やすいだろう。

モバP「細かく気配りしてもらってすいません……」

P君はいつも私たちにしてくれているじゃない。

瑞樹「それくらいするわよ……それはそうと、私少し気になったことがあるんだけど」

モバP「何かありました? 俺の顔に何かついてますか?」

そういうことじゃないわよ…この人はとぼけ方がヘタだ。

瑞樹「車の中ではあれだけ仕事をしないと…って言ってたのにどうしてここに来る気になったのかしら」

モバP「それはちひろさんに言われたからで……」

瑞樹「P君だったらいくらあの人に言われようと少しでも仕事をしてからくると思うわ。それが今日は丸々ほっぽり出してきてるみたいね」

モバP「確かにそうですね……俺らしくないかもしれませんね」

というよりも何か裏がある感じがする。怪しい。

モバP「実は川島さんと少しお話したいなと思ったんです」

瑞樹「……話?」

モバP「ええ。今日、俺に相談をしてくれたじゃないですか」

あれはP君がさせたようなものだけどね。

モバP「あれで少し昔を思い出しまして」

瑞樹「昔? いつのことかしら」

モバP「川島さんと会ってから、アイドルを始めたて…くらいの頃ですね」

瑞樹「最初の頃…………あっ」

モバP「気付きました? あの頃は川島さんが中々俺を頼ってくれなくて……」

あの頃の思い出が色鮮やかによみがえってくる。

あの頃……P君が私をこの世界に導いてくれて間もない頃。

新人アイドルとはいえ、P君より年上で地方局に勤めていた経緯もあり社会経験も豊富だと思っていた。

だから壁にぶつかっても自分1人で乗り越えられると思っていた。乗り越えなければいけないと思い込んでいた。

それが社会人、大人ということだから。

失敗しても自分の魅力に気付く人が少しづつでも増えてくれればいいやという思いがあった。

トップアイドルに……という野望もありはしたが、それを現実的に捉える余裕はなかった。

実際、最初の頃は失敗の連続だった。

オーディションでは中々私の魅力を引き出せず、残念な通知ばかり。たまにもらう小さな仕事でミスをしては現場の責任者に嫌な顔をされた。

自信をなくしたわけではなかった。ただ自分の中で何かが折れてしまいそうだった。

P君は私がどんなに失敗をしてもひたすら励ましてくれた。

帰り道で一緒にお酒を飲もうと積極的に誘ってくれた。

後々聞いたら、お酒が入れば自分に対して多少なりとも愚痴を言ってくれ、それに対して言葉をかけられるのではないかと思っていたそうだ。

でも私はP君に心を開けずにいた。本音を言って弱気な自分を見せると嫌われるのではないか、見捨てられるのではないか……そんな私らしくもない理由だったと思う。

わかってはいた。誰かを頼りたい気持ちを抱えていることに。年下を頼るものかと本当につまらない意地を張っていることに。

そんな時、何度目かのオーディション落ちの帰り道にP君が私をこのお店に連れてきてくれた。

初めての店でどこか余所行きの雰囲気でお酒を飲む私と対照的に、P君はそれまでに見たことのなかったくらいのハイペースでお酒を飲んでいた。

その時に私は多少なりともお酒が入っていたこともあり、ついこんなことを言ったのだ。

瑞樹『私、トップアイドルになるにはどうすればいいのかしら』

P君は少し驚いたような顔をしつつも簡単に答えを言ってのけた。

モバP『これだけ守ってくれればいいんです』

モバP『もっと俺を頼ってください!』

突然何を言うんだ、意味がわからないわと感じたのは言うまでもない。

思っていたままに反応した。

瑞樹『プロデューサーを頼る? どういうこと?』

モバP『言葉のままです。俺に対して何でも言ってきてください』

やっぱりここでもくだらない意地が邪魔をした。

瑞樹『でも、プロデューサーも色々とやらなきゃいけないでしょ?私は自分で何とかするから平気よ?』

モバP『ダメです!』

P君の強い口調というのを見たのはこれが初めてだったと思う。

モバP『川島さんが結果を出せていない原因は俺にあるんです!』

瑞樹『それは私が自分を曲げずにいるから……』

モバP『川島さんは今のままが一番魅力的なんです! そこは変えちゃダメなんです!』

お酒を飲むと饒舌になるのだろう。

P君はひたすら私がいかに魅力的か、アイドルとしてトップを目指せるか、そしてそのために自分がどういうことが出来るのかを熱く語った……はずである。

私もお酒が入っていたから記憶が曖昧だ。

口説かれているのかと思うくらい恥ずかしいセリフを言われ続けたが故に、記憶を克明に思い出すことを脳が拒否してるだけかもしれないが。

聞いている周りの人間まで恥ずかしくなるような数々の言葉が一区切りついたころに、首の下まで真っ赤になった私はこう聞いたはずだ。

瑞樹『私が自分を曲げずに頑張ればいいことはわかったわ。でも、プロデューサーを頼るって具体的には?』

ここもP君はさらっと答えてみせた。

モバP『何か悩んだり、困ったら迷わず俺に言ってください。川島さんのためなら俺はどんなことでもやります』

モバP『そして、俺はどうあっても川島さんの後押しをします』

当時は後押ししか出来ないのか…なんて馬鹿なことを考えたものだ。今となってはわかる。それがどれだけ心強いか。

それから私はP君にどんな些細なことでも気軽に言うようにしてきた。

今日の場合は1人でグルグルと考え込んでしまっていたところを見られてしまったが。

プロデューサーじゃ何か余所余所しいし、君付けくらいはしなきゃねと思って呼び方を変えたのもこの時期だっけ。

色々と思い出さなくてもいいことまで記憶がよみがえってきた。

なんだかんだ私もよくわからないプライドで意地張ってたんだなぁ…あの頃は若かった……

ふと夕方に楓ちゃんと聴いた曲が頭をよぎった。

なるほど、もう一度聴きたいと興味をそそられたのは歌詞とあの頃の私がダブって見えたからなのかもしれない。

普段から積極的にあの頃を思い出すわけではないけれど、頭のどこかには引っかかったままになっていたわけだ。

瑞樹「確かにあの頃は私、P君に対して遠慮がちだった気がするわ」

モバP「俺がダメなのかな…プロデューサー失格かなぁとか思い悩んだりしましたよ」

思い込みが激しいタイプだよなぁ、P君。でもあの時は私が悪いけど。

瑞樹「今は違うでしょ?」

モバP「川島さんは順調に階段を登っていって、俺も川島さんの為に出来ることをやって……二人三脚でやれてこれたのかなと思ってます」

瑞樹「そうね……私1人で歩んできたんじゃない。君と一緒に歩んできたのよね……多分これからも…」

モバP「いや、川島さんには俺がいなくても大丈夫かなっていうくらい立派なアイドルになったと思います」

瑞樹「そんなことないわ。私は1人でアイドルする自信はないわ」

モバP「俺はここまで成長した川島さんには役不足だと思います。前々からそう思ってたんですけどね…」

どうしてそこまでネガネガしいのだろう。私にはP君がいないとダメなのだ。

モバP「俺なんかいなくっても今以上に成長できるでしょう……俺がいなくても仕事も出来ますし……」

瑞樹「仕事はP君がいてくれるからなんとかやっていけるのよ」

モバP「仕事じゃなくても俺では川島さんにやってあげられることは少ないです」

瑞樹「少ないとしても私にとっては大事なの」

モバP「川島さんには俺より合う人がいると思います」

瑞樹「そんな人、多分この世界中どこを探しても見つからないわ」

モバP「でも……」

瑞樹「デモもストもなーーーい!!!」

何言ってんだ私。

瑞樹「私がアイドルを続けられているのはP君のおかげ。P君がいるからアイドルを楽しめてる。君のおかげで強くいられるの。だから…!私は…!」

感情がぐちゃぐちゃっとしているからか中々言葉が出てこない。

でも元はと言えばP君がネガティブすぎるのが悪い。

瑞樹「私はまだまだトップアイドルへ突き進むの! その為に君と一緒に頑張る!! それだけ!!」

瑞樹「だから……」

瑞樹「明日も…そしてこれからも…私を強くいさせて」

少しの沈黙。自分の発言への反省と後悔の念が波のように押し寄せる。何か喋ってよ、P君!

モバP「俺……偉そうにアドバイスしてて何言ってるんだって感じですね」

弱気で頼りないのはいつものことよ。

モバP「でも…やっぱり…あの頃から俺の気持ちは変わってないです」

瑞樹「どんな気持ち?」

モバP「この人ならアイドル界の一番上に立てる、俺はそのために懸命にサポートしたい!……って気持ちです」

モバP「他のアイドルの子達とも一生懸命上を目指していますが、俺はあなたなら……あなたとなら絶対に出来る!って気持ちです」

酔っているのかな……あまり恥ずかしいセリフでも気にならない。

モバP「俺からも言わせてください」

モバP「俺が毎日頑張っていられる、強くいられるのはあなたのおかげです」

モバP「これからも一緒に頑張らせてください」

モバP「俺をこれからも強くいさせてください」

…………なんて返事したらいいのよ……

私が今思っているありのままを伝えればよいのだろうか。

やっぱりこの人と一緒にアイドルを続けていきたい。それは私のためだし、P君のためでもある気がする。

ポジティブの権化のようだと言われる私とネガティブを形にしたかのようなP君…なんだか凸凹としてるようだけど2人でやっていきたいのだ。

さっき楓ちゃんが私とP君を枝豆とビールと言っていたのがなんとなくわかった気がした。

瑞樹「……はい、と言いたいところなんだけど」

モバP「?」

瑞樹「私は何をしたらいいの?」

モバP「うーんと……毎日お仕事を頑張って、その後でも毎日俺と一緒にいてくれたらそれで…」

瑞樹「そ、それって……」

モバP「あ、別にオフの日も顔を見せなきゃいけないってわけじゃなくて……」

こういうのなんて言うのだろうか。

画竜点睛を欠く?

そういう余計なことを言わなければ完璧だろうに。

瑞樹「と、とにかく……明日からも上を目指して頑張るわよ!」

モバP「そうですね。あ、そうだ。目標を立てましょう」

瑞樹「目標?」

モバP「その方が二人とももっと頑張れる気がするので」

瑞樹「わかったわ。でも何がいいのかしら」

モバP「俺はあなたに相応しいだけのプロデューサーになってみせます」

だからそれは今でも充分だって……とかこれ以上言ってもしょうがないか……

瑞樹「じゃあ私は…トップアイドル……は前からある目標だし…レギュラー番組10個?オリコン1位?」

後者はスヤスヤ寝てるこの女神様がいる限り難しい気もするけどね。

モバP「ずっと笑顔でアイドルを続ける……っていうのはどうですか?」

瑞樹「ずっと?」

モバP「はい。引退するまでずっと」

またよくわからない目標だ。抽象的とかそれ以前の問題だろう。

瑞樹「引退…ねぇ…いつになるのかしら」

モバP「それは結婚してかもしれませんし……」

相手がいないわ! 君がしてくれるんなら早いけども!

モバP「アイドルの高みを堪能し続けたが故に……かもしれません」

瑞樹「あら? 私がその状況に飽くような性格をしているように見える?」

モバP「見えないですね……」

瑞樹「わかってるじゃない」

モバP「まぁ俺とあなたの仲ですしね」

瑞樹「それじゃあ私はとことんアイドルを楽しむわ! P君が私の笑顔しか見てないって思うくらい!」

あなたは私に魔法をかけてくれる

それは小さな魔法

だけど私に力をくれる

私を強くさせてくれる魔法

その魔法にかかると私は夢を見ることが出来る

アイドルという名の儚くも美しい夢

私はその夢を見続けるために頑張りたい

あなたと夢の喜びを分かち合うために頑張りたい

魔法はいつか解けてしまう

あなたがくれるのは小さな魔法だから

でもその魔法が解けるまで

私はあなたと夢を見ていたい

未来がどうなっているかはわからないけれど

私はあなたと夢を見続けていたい




瑞樹「だから……これからもよろしくね!」


終わりです
アニメ2クール目はお姉さん勢の活躍に期待してます

おっつおっつ、いつのまにやら川島さんも年下かあ

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