やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 11.1巻 (37)

続きが読みたくて書いてしまいました。
本編とは一切関係有りません。完全な妄想です。

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雪乃「あともうひとつ 私の相談聞いてもらえるかしら?」

結衣「うん。聞かせて」





雪乃「あの 比企谷君。
   こ このチョコレートを・・・」

八幡「」

雪乃「こ こ このチョコレートを 葉山君に渡してほしいのっ!!」

ほほを赤らめて 雪ノ下はそう叫んだのだ。

結衣「・・・・・は?」
八幡「・・・・・へ?」

俺は理解するのに わずかながらの時間を要した。
いや言葉は理解できたのだ。しかしその意味を理解しようとしたのだが 結局かなわなかった。
雪ノ下は嘘をつかない。葉山とは幼馴染で他に何も無いとも言っていた。
だったら何故・・・。
思いを巡らせていると 由比ヶ浜が口を開いた。

結衣「そ それって ヒッキーのじゃ?」

おどおどと尋ねる由比ヶ浜に 雪ノ下は不思議そうに答えた。

雪乃「なぜ私がこの男にチョコレートを渡す必要があるのかしら?クッキーだけじゃ不満かしら。」

動揺が隠せない由比ヶ浜。

結衣「だだだだって 校門で・・・」

うろたえる由比ヶ浜対して 雪ノ下は淡々と答える。

雪乃「こんな恥ずかしい事なかなか言い出せないじゃない。
   そしたら由比ヶ浜さんが変な気を使ってくるし
   姉さんが現れるし。。。」

八幡「雪ノ下ぁ お前が自分で渡せばいいじゃないか?知らない仲でもないんだろうし・・・」

雪乃「最近姉さんのマークがきつくって 彼と二人きりにしてもらえないし。。。」

結衣「ゆきのん?ゆきのんって・・その 隼人君と その つつ つきあってたり する のかな・・?」

雪乃「交際してはいないのだけれども
   ・・・ただ・・・」
結衣「・・・ただ?」

雪乃「随分長い間・・・奪いあっているだけ・・・姉さんと
   姉さんは 彼と交際しているつもりみたいだから 私のことをおぞましいとか言うけど
   彼は どちらも選んでいないから。
   選ばないから。」

結衣「ははは それならそうと もっと早く言ってくれればよかったのにぃ」
雪乃「いやよ 絶対めんどくさい事になるもの。
   あなた三浦さんにも隼人にも近いもの きっと黙っていられなでしょ?
   言ったでしょ 三浦さんが部室に来て 私に絡んできたときに
   こういう事は慣れているって
   この事でもめるのは もううんざりなの」

うつむいたまま話す 雪ノ下の顔から表情はうかがえない。
ただ声に勢いは感じられなかった。

雪乃「ねぇ 比企谷君。あなたが渡すなら彼も受け取ってくれるかもしれないし 
   私の依頼 いいえ 私のこと 助けてくれるかしら?」

八幡「・・・・そん それは・・・。」

答えられない。だいたいこの話が信じられないのだ。いや信じたくないだけなのかもしれない。
雪ノ下は嘘をつかない。本当のことを言わない事はある。しかし嘘を言う事は無い。
だが これは 明らかに 雪ノ下の嘘だ。
何故 何の為に。
俺は 再び雪ノ下の表情を伺った。
夕日に照らされたその美しい顔は まっすぐこちらを見つめている。
覚悟と憎悪と優しさと諦めと・・・なんだかそういったすべての感情が混ざり合ったような
ただ一切の甘えを許さない その真剣な表情。

「ゆきのんのこと。それと あたしのこと。・・・・・・あたしたちのこと」

あのとき由比ヶ浜が俺たちに向けていた表情と重なった。

そして 悟ったのだ。

雪ノ下も由比ヶ浜も きっと覚悟をしたのだろうと。
そして何かを捨てたのだろうと。

まだ視線は雪ノ下美しい顔から外せないまま俺は
自問自答を繰り返す。
それは 俺の中のもう一人の俺とのせめぎ合いだったのかもしれない。

『なぁ八幡 お前の望んだ本物はこれなんだろ?』
違う!
『大切だと思っている誰かを振り回して ありもしない理想を押し付けるのがお前の本物なんだろ?』
違う!!
『じゃぁ、お前の言う本物って何だ?』
それは・・信念  確かにあったはず
『無いね。』
あった・・・・
『いや、無いんだ』
それは・・・・
『お前の言う本物は 理想の理想なんだ。絵に描いた餅ですらない』
・・・そ それは   ちゃんと考えて、  もがいて   苦しんで・・・・
『おまえはもがいたのか?苦しんだのか??考える事すら放棄したじゃないか」
『あの二人は ちゃんと考えて もがいて 苦しんで 理解して
 大切な何かを守るために 大切な何かを犠牲にして 
 そして   答えを    導いた』

『そして お前は(俺は)またボッチだ』

結衣「ひっきぃ?」
由比ヶ浜のその声に 急に意識が現実に引き戻される。
由比ヶ浜の驚いた顔が見える。
結衣「ひっ  きぃ?」
雪ノ下の穏やかな顔が見える。
さっきまでの表情はもう無い。

俺は泣いていた。
体中の力が抜けて
膝が折れて
唇がが声にならない声を探して震えていた。

欲しい物がある。 いや 欲しい物があった。
言葉にしてしまえば 消えてしまいそうな
形にすれば 崩れてしまいそうな
俺は それを見たことが無い。触れた事も無い。
だから望んだ。欲した。求めた。

欲しい物は ここにあった。
よく似たものが二つ。ただちょっと色が違った気がする。
いつからだろう?思えば随分前からあった気がする。
でも気付かなかった。気付けなかった。気付かない振りをした。
見たことも 触れた事も無いから 
それが欲しい物とは思わなかった。
違うと思い込んでいた。
思い込もうとしていた。

そして 無くしたのだと 感じた。
感じて初めて 自ら壊したのだと思った。

八幡「・・・すまない・・・・雪ノ下」
雪乃「・・・・・ええ・・・・・」
八幡「・・ごめん・・・・由比ヶ 浜・・・」
結衣「・・・・・うん・・・・・」

かすれた声を絞り出す様にそれだけ言うと 
ヒッキーはをあたし達を背にして歩き出した。
二人とも ヒッキーのこと止めようとはしなかった。
あたし達は ヒッキーのその姿を見えなくなるまで ただ見送った。

ヒッキーが居なくなって 辺りはもう真っ暗で
あたしたちは かすかに赤みの残る西の空をなんとなく見上げながら
とぼとぼと歩いていた。

先に口を開いたのはゆきのんだった。
雪乃「これですべての依頼 終わったわね」
結衣「そ なの かな・・・あれで よかったのかなぁ」」
・・・・・・
言葉は 途切れ途切れ。
今度は あたしから。

結衣「ね ゆきのん」

雪乃「何かしら?」

結衣「ゆきのんは あれでよかったの?」

雪乃「・・・・・」

結衣「だって 隼人君のこと  あれって  ウソだよね?」

雪乃「・・・・いいえ、嘘じゃないわ。」

結衣「で でも・・」

雪乃「嘘じゃないの。
   私たち姉妹は二人とも 葉山君の許婚なの」

結衣「え!?二人とも!?姉妹で重婚!!!???」

雪乃「そうじゃないわ バカねぇ」

結衣「ごめん・・・。」

雪乃「彼のお父様は弁護士で 私の父の会社の顧問弁護士をしている事は 由比ヶ浜さん知っていたわよねぇ?」

結衣「えぇ?う うん・・・」

雪乃「はぁ・・・まぁ、いいわ。
   その事もあって、彼の御実家とは密な間柄なのだけれども
   私が小さかったころ 母があちらのご両親と盛り上がって決めた話で、今でも有効なのかは判らないけど
   両家で集まったときに いつもその話が出るの」
   「小さいころは まだ良かったわ」

~回想~
  陽乃:隼人は弁護士先生になって 私は~建築家になって 結婚するの~
  雪乃:えー私もけっこんする~
  陽乃:だめよ 隼人と結婚するのは 一人だけだもん。雪乃ちゃんはだめよ。
     雪乃ちゃんは 将来 何になるのかな~? だれとっ結婚するのかな~?。
  雪乃:えーやだー 私も建築家になって 結婚する~・・・・・
  大人達「隼人 もてもてだなぁ ハハハハハ」
~回想終~

雪乃:でも大きくなってくると やっぱり その あの・・・
   意識 しちゃうじゃない?
   今年のお正月だって・・・

~回想~
  陽乃「隼人~ どっちを選ぶのか決めた?」
  葉山「はははは・・・(汗」
  陽乃「昔は 『僕陽乃ちゃんと結婚する』って言ってくれたじゃない?
     何で今は言ってくれないのかしらww
     それとも 雪乃ちゃんが良くなったの?この浮気モノwwww」
  雪乃「姉さん・・・・」
  陽乃「あ、でも雪乃ちゃんは本物になるんだったかなwwwwww
     どう?雪乃ちゃん。
     雪乃ちゃんは 本物に成れたのかな~?」
  ままのん「隼人君、うちの娘 お願いね~」
  葉山「はははは~」
~回想終~


雪乃「思い出しただけで腹立たしい。」

結衣「あははは・・・・汗
   そんな話が本当にあるんだね。TVの昼ドラみたい」
  「それで その どっちが 隼人君と・・・?」

雪乃「決まっていないわ。彼は決めない。 決められないもの」

結衣「本当に 隼人君が決めるんだ!?」
  「じゃじゃじゃじゃじゃぁ ゆきのん もしかしたら 隼人君と・・・えぇぇぇぇぇぇぇ!!」

雪乃「そんな事は無いと思うのだけれども・・・・・・」

結衣「ゆきのんは それでいいの?」

雪乃「いいわけないでしょ。」
  「でも 姉さんは・・・。」

結衣「陽乃さん?」

雪乃「姉さんは本気で考えているのだ思うわ」
  「だから建築学科に進んだのだし・・・・」

結衣「へー」

それ以上は聞かなかった。

だって ゆきのんが今まで隼人君とのこと黙っていたのは やっぱり言いたくなかったからだろうし
あたしの入り込んじゃいけない話のような気がしたし。

それから あたし達は駅のホームに着くまで一言も発しなかった。
アナウンスが流れてる。電車はもうすぐに来る様だった。
向こうの方に見える 近付いてくる電車の明かりを見つめながら
再び私が口を開いた。

結衣「それで ゆきのんはこれでいいの?」
雪乃「・・・・・?」
結衣「ヒッキーの事。プレゼントはヒッキーのだったんでしょ?」
雪乃「・・・・・」
結衣「あたしね ヒッキーの事好きだったんだ。うん 今でも好き」
  「ヒッキーの事 何でも知りたい。何でも知っていたい。すっとそう思っていた」
  「ゆきのんもそう。大好きで、もっともっと仲良くなりたくて もっと知りたい」
  「でもさ 二人の事好きだからさ わかっちゃうんだ 二人の事」
  「求められているのは あたしにじゃないって」
  「欲しい物と 求められているものは とってもよく似ているのに・・・っ」

そこまで言って 言葉に詰まった。
こみ上げてくる嗚咽を堪えるのに必死だった。
自分の中で整理したはずなのに。
だから独白できると思っていたのに。 

雪乃「由比ヶ浜さん・・・その・・・私は・・・・」
結衣「・・・・」
雪乃「私は・・・・あなたに 憧れていたの
   その 何て言うのかしら あなたの純粋さ 健気さ 頑なところとか
   私に無いものばかりで とても羨ましかった」
  「・・・彼を慕う あなたの姿が とても素敵で・・・その・・・」
  「少しでも・・・・近付けたら・・・と・・」
結衣「それで 好きになっちゃったの?」
雪乃「・・・・」
結衣「じゃぁ なんで あんな嘘言ったの?
   好きって言えばよかったじゃん
   プレゼント渡せばばいいじゃん
   あたしに 気を使ったとかなら 余計なお世話だから」

雪乃「そんな訳じゃ無いのだけれど
   私は ただ あなたが・・・・
   そもそも気を使ってたのは あなたのほうでしょ?」
  「あなたこそ 彼に好きだとしっかり伝えるべきだわ
   言葉にしなければ分からない事だって有るといったのは あなたよ」

結衣「だって あたしは求められて無いもん 求められているのはゆきのんじゃん」

雪乃「そんなの ・・・・・」

ホームにベルが鳴り 電車が滑り込んでくる。
雪のんの長い髪が乱れて舞い上がる。

結衣「あたしじゃ・・・・・ダメなの・・・・・・ダメ・・・なの」

もう この時は あたし酷い顔してたと思う。 
最後の言葉は声になっていなかったかもしれない。
ゆきのんも一生懸命言葉を紡ごうとしていけど 
なかなかいい言葉が見つからなかったみたい。
結局 俯いたままになっちゃった。

あたしは ゆきのんに抱きついて
ゆきのんの胸に顔をうずめ 軽く深呼吸して 息を整えた。
これは あたしが出した答え。
奉仕部 最後の仕事。

結衣「ゆきのん 聞いてほしいの。
   あたしたちは もう3人ではいられないんだよ
   あたしは もう あの部室には戻れない 戻らない 
   これはあたしが決めた事だから
   ゆきのんのことは ゆきのん自身で決めなきゃいけない
   ううん、ゆきのんが決めて良いんだよ
   あたしなんかに気を使わなくていい
   誰かに 倣って 同じことをしなくてもいい
   ゆきのん自身で 考えて もがいて 苦しんで 出した答えが
   きっと本物なんだと思う」


結衣「あとね ヒッキーきっと ゆきのんのウソ 分かってたと思うよ」
  「じゃぁね、バイバイ」

あたしは それだけ言うと ゆきのんを発車のベルがなる列車に押し込んだ。

雪乃「由比ヶ浜さん!私はっ 私はっ!!・・・・・」

ゆきのんの声 ベルの音と閉まるドアで 届いてはこなかった。
あたしは 出来るだけの笑顔を作って見送ろうとしたけど たぶん出来てなかったと思う。
ゆきのん 少し泣いてた。

それからあたしは 電車を2本見送ったあと 2つ手前の駅で降りて
線路際にとまっている黒塗りの高級車のドアを開け 乗り込んだ。

陽乃「ひゃっはろー ガハマちゃん。お疲れ おつかれ~」

この人のテンションが今日はいつも以上に不快に感じた。
あたしは 軽く頭を下げただけで返事はしなかった。


静「すまないな 由比ヶ浜。君に辛い役回りばかり押し付けて」

運転席から ミラー越しに私の様子を伺うように平塚先生が話しかけてきた。
   
結衣「・・・いえ」

陽乃「それで 雪乃ちゃんはどうだった?」

結衣「・・・」

静「じゃぁ、今日の事 詳しく聞かせてもらえるかな」

ここで終わり!?

ごめんなさい 続きはまた近いうちに

面白い






それは バレンタインイベントの帰り道のことだった。
ヒッキーが送ってくれるといった言葉を断ったあとのこと。
駅の近くまで来たところで 私は呼び止められた。

陽乃「ひゃっはろー がはまちゃん。ウチのママはどうだった?怖かった?」

振り向くと いつもの笑顔で あたしの真後ろに立っていた。

結衣「見てたんですか? なんか感じ悪いです」

イベント会場の件もあるし
ゆきのんのお母さんを寄こしたのも きっとこの人だ。
正直係わりたくない。

陽乃「そんな 怒んないでよー お姉さんとしても心配でー」

飛び切りの甘えるような笑顔でそう言うと
陽乃さんの顔から笑顔がふっと消えて

陽乃「ところで がはまちゃん
   ちょっと話があるんだけど そこのカフェまで付き合って」

それだけ言うと あたしの返事なんか聞かずにスタスタと歩き始めてしまった。
なんか腑に落ちないけど 断れる雰囲気でもないし
仕方なく付いていくことにした。

陽乃「静ちゃーん おまたせー。由比ヶ浜ちゃん連れてきたよー」

結衣「どうしたんですか先生まで?」

静「由比ヶ浜 すまんな。とりあえず 座ってくれ」

あたしは言われるがままに 先生の向かいに座り 
二人分の飲み物を持ってきた陽乃さんがあたしの隣に座り
あたしに 温かいカフェオレを差し出してくれた。

結衣「話って 何ですか?」

飲み物をすすりながら 問うた。

静「由比ヶ浜 お前は 比企谷のこと好きか?」

突然の質問で噴き出しそうになる。
『何を冗談を」と言いそうになったけど 
二人の真剣な表情に 言葉が詰まった。
どう答えるべきかと 悩んでいると
先生が首を振りながら

静「いや、言わなくてもいい。見ていれば分かるからな」

そうやさしく言うと 懐からタバコを取り出し一度咥えた.
が、禁煙の文字が目に入ったのか、渋々咥えかけたタバコを仕舞い直した。
行きき場を失った指が 居心地悪そうにしている。 

静「奉仕部のことなんだが・・いや 部じゃないな
  お前たち3人の事だ」

もう なんとなく直感できた。

静「なぁ、由比ヶ浜。もうそろそろ見て見ぬ振りもできなくなってきただろ?」

あぁ、やっぱり。
この人たちには 分ってたんだ。

結衣「・・・・・あたしは そんな・・・・」

うろたえることしか出来なかった。
実際 見て見ぬ振りしてきたから。

静「由比ヶ浜 おまえはこの先どうしたい?どうなりたい?
  私は 具体的には何もしてはやれないが 助言くらいはしてやれるかもしれん」

あぁ ついに言葉にしなきゃいけない時が来たんだ。あたしはそう思った。
いつか近いうちにそうなると思ってたけど、ちょっと早かったな。

結衣「・・・・あたしは   今のままでいたい。  3人のままでいたい。」

静「そうだな、出来れば私もそれを望む。
  だがな由比ヶ浜 お前はもう気付いてしまったのだよ」
 「気付いてしまった以上 今のままで居られないのはおまえ自身だ」
 「自分に嘘をついて現状を続けても 辛いのはおまえ自身だという事は
  もう十分感じただろう?」

 「比企谷の事はどうする?
  付き合いたくはないのか?」

結衣「それは・・・」

唇をかんで 俯くしか出来なかった。

静「奉仕部はなぁ 元々 社会性の低かった雪ノ下を更正させるために
  陽乃と私で考えた部活なのだよ。
  最初は 雪ノ下一人だけでなぁ それは大変だったぞ
  依頼に来た者を 全部あいつの理論で論破して追い返してしまっていたからなぁ」
 「なぁ陽乃 あれはお前へのオマージュだったのか?」

陽乃「ひどいなぁ静ちゃん 私はあんなに刺々しくなかったわよー」

静「そんなこと無かったぞ?お前にも散々手を焼いたものだ」
 「まぁそんなこんなで 私は雪ノ下に対抗出来る人物を探していて
  現れたのが比企谷だ。
  『青春とは 嘘であり悪である』だからな、あれには笑ってしまったよ」
 「クソッタレの屁理屈ばかりだが 雪ノ下にとっては新鮮だった様だし
  実際 雪ノ下も納得せざるを得ない屁理屈も有ったからな」
 「そこから先はお前の知っている奉仕部だよ」
 「なぁ由比ヶ浜 私は嬉しいのだ
  お前たち3人が私の想像を越えて成長したことが」
  
平塚先生は 優しい笑顔で 私を真っ直ぐに見つめながら
でも どこか遠くを見ているように ゆっくりと語った。
そして 陽乃さんが 改まって 

陽乃「がはまちゃん 雪乃ちゃんのことで色々と迷惑をかけてごめんなさい。
   雪乃ちゃんはね、自分の知識として持っている以外のことや
   理屈で理由付けできないことには
   とても脆くてね」

結衣「いえ・・そんな・・・」

陽乃「それでね がはまちゃん・・・
   以前 確か言ったよね?
   雪乃ちゃんのこと好きだって。
   雪乃ちゃんに嫉妬して憎んで、雪乃ちゃんを拒絶して排斥したりしないって」
  
  「今でも言える?」

結衣「それは・・・」

今でも言えると言おうと思ったのに 口は動かなかった。
あたしがゆきのんを憎むとか 拒絶するとか 考えられない。
でも 心の中には なんだか渦巻くのものは確かにあって
陽乃さんの言葉に すぐに否定できなかった。

陽乃「君は正直者で まっすぐで いい子だね」

陽乃「それでね がはまちゃん
   ひとつ提案があるの。
   2月14日は あなた達お休みなんでしょ?
   3人でデートしてみない?
   そこで ガハマちゃんが 告白するの!!
   どうかしら?」

静「おいおい 陽乃 いきなりそれは極端すぎるぞ」
 「あのな 由比ヶ浜聞いてくれ
  陽乃が言っているのは ・・・」
陽乃「静ちゃん 大丈夫だから」
  
結衣「なんだか あたし 噛ませ犬みたいですね」

陽乃「あれ~?負けを認めちゃってるんだ?
   大丈夫だよ、あなたは きっと大丈夫」

結衣「何の根拠も無くそんな事言われても 
   何の支えにもならないんですけど。」

陽乃「根拠はあるわよ。今は言えないけど(笑」

結衣「それで 私が告白すると何かあるんですか?」

陽乃「ん?あるわよ~」

結衣「何なんですか それ?」

陽乃「う~ん 詳しくは言えないけど
   雪乃ちゃんのためかな」

結衣「・・帰ります」

陽乃「まって まって 待ってって!!
   がはまちゃん あなたの為でもあるのよ!!
   比企谷君のためにはならないかもだけどねー」

結衣「あたしのため?」

陽乃「そう あなたたちのためなんだから! ね!?」

この人たちが 何か企んでいる事は あたしにでも解る。
あたし達のためって言われても 何か裏がありそうで
二つ返事に答える事は出来ない。
しかも こんな状態で告白だなんて・・・
もっと早く 気持ち伝えてたら 
こんな事にならなかったのかな?
あたしなりに 積極的にして来たつもりだけど
なんだかね。。。
このままってのは 確かに無理っぽい気がするし
やっぱ どこかでケジメ付けなきゃだけど・・・
もし あたしが告白してヒッキーが受け入れてくれたら
ゆきのん どうするんだろ?
そもそも あたしが ゆきのん放って
ヒッキーと付き合ったり出来るのかな?
もし あたしが振られたら 
ゆきのん どうするんだろ?
そもそも ヒッキーがどちらかだけを受け入ることあるのかな?

あれ?どれも想像付かないな。

そっか。

あたしに出来ることってあまり無いんだ。

結衣「わかりました。バレンタインデーに二人を誘います。
   陽乃さんの提案通りにするかどうかは わかりませんけど」

陽乃「あれ?がはまちゃん 告白しないの?
   一度位しておいたほうがいいよ~
   青春の思い出じゃん♪」

結衣「・・・・!」

無理して作っていた笑顔が あたしの顔から消えていくのを感じた。

陽乃「ごめんごめん 今のは失言 ゴメンナサイ
   まぁまぁ、そんなに怒らないで。」
  「じゃぁ、どんな段取りにしようかしら。
   う~んと そうねぇ、
   じゃぁ こうしましょう。
   13日の下校時間くらいに 私が総武高に行くわ。
   そこで 雪乃ちゃんにキツイ事言うから
   がはまちゃんは 雪野ちゃんつれて帰って泊めてあげて。
   がはまちゃんが雪乃ちゃんの心の支えになってあげてね。
   それで~ ガールズトークでもして 雪乃ちゃんにそれと無く
   『告白するのよ~』的なことを匂わせてほしいの」
  「そうすれば 雪乃ちゃんも一晩考えることが出来ると思うわ」
  「当日はどこがいいかな?
   ディスティニーじゃ落ち着かないから 水族館でいいんじゃない?」
  「さすがにその日は私も色々忙しいから 付いていてあげられないけど
   終わったらメールしてね。どこかで落ち合いましょう。
   静ちゃんはどうする?」

静「私は その日は試験官をしなきゃならんので 学校だな」

陽乃「そう、じゃぁ終わったころに迎えに行くよ。
   つもる話もあるしね」

静「あぁ、頼む。
  だから つもる話があるならいつでも聞くぞ
  あるならな」

静「由比ヶ浜 すまんな こんなことを教師の私が頼むべき事ではないのだが
  お前たち3人は 私ににとって特別でな ほっとけないのだ。
  君たち3人が 同じ問題に対して 平等に悩み苦しみ
  そして 出した答えを 私は見てみたい。
  たとえそれがどんな形であっても 私はそれは本物だと思う」
  
結衣「どんな形でも 本物・・・。」

静「あぁ、そうだ 由比ヶ浜。胸を張っていけ
  それで・・・もう 夜も遅い 呼び止めて悪かったな。
  気をつけて帰ってくれ」

結衣「・・・・はい。
   じゃぁ、あたしは これで」

二人とメールアドレスの交換をして あたしは店を出た。
変な事になってきたなぁ。
あの人達の目的が良く分らないのが 問題だなぁ。
等と帰り道すがら ひとりごちりながら 
でも もう心は決まりかけていた。




静「なぁ、陽乃。本当にこれでいいのかな?」

陽乃「もー 散々話して静ちゃんも納得したじゃない
   雪乃ちゃんが 今まで押し殺してきた自分の本当の気持ちを
   自分で見つけるためには これでも足りないくらいよ。
   でも あとは 由比ヶ浜ちゃんと比企谷君次第ね」

  
  
  







黒塗りの高級車は ただひたすらに静で触るものすべてが柔らかくて暖かいのに
何か無機質な感じがした。
後部座席にも左右温度調節が出来るらしく あたしが暑そうにマフラーを外し
外套を脱いでいると
陽乃さんが あたしの側のエアコンの温度設定を下げてくれた。

静「じゃぁ、今日の事 詳しく聞かせてもらえるかな」

その言葉から あたしが話し出すまでにしばらくの時間を要した。
二人は 黙ってそのときを待っていてくれた。

あたしは 昨日の部室での出来事から順番に話した。
ゆきのんがクッキーを焼いてきてくれたこと。
あたしが ヒッキーのは無いのかと聞いたこと。
ヒッキーには お皿に盛ったクッキーを差し出したこと。
帰りに校門前で ゆきのんがヒッキーにプレゼントを渡そうと
もじもじしていたこと。
陽乃さんが現れたこと。
二人を 家に連れて行ったこと。
ママが はしゃいじゃってウザかったこと。
ゆきのんが陽乃さんに電話したこと。
ヒッキーが言ったことをそのまま電話で話したこと。
ヒッキーがサブレのこと気にしながら帰っていったこと。
寝るときに ゆきのんに これからどうしたいか問うたこと。
あたしは したいこと 決めていると言ったこと。
ゆきのんをデートに誘ったこと。

翌朝 ヒッキーに電話してデートに誘ったこと。
待ち合わせ場所にゆきのんが居てヒッキーがちょっと驚いてたこと。
ヒッキーが ここでいいのかと聞いてきたこと。
シーに行く約束していたことは言わなかった。
シュモクザメでヒッキーのテンションがあがったこと。
ゆきのんがひっきーとさめの写真を撮ったこと。

ひっきーが 『あたしらしい』と言ったこと。

つがいのペンギンが可愛かったこと。
ゆきのんは それう見るのが辛そうで その場所を独り離れたこと。
ひっきーが その後を追ったこと。

クラゲが花火みたいできれいだったこと。
三人で見れて良かったと思ったこと。

観覧車に乗ったこと。
ゆきのんがちょっと怖がっていたこと。

あたし達のこと これからどうしようか 二人に問うたこと。

あたしの ゆきのんに教えてもらって 自分なりにがんばって作ったクッキーを
あのときのお礼と言ってヒッキーに渡したこと。

ゆきのんに 『すごいわ』と褒められたこと。

あたしの最後の相談 最後の依頼をしたこと。

ゆきのんの問題とその答えをあたしは知っていると言ったこと。

ゆきのん困惑していたこと。

あたしが 勝負に勝ったら 全部貰うと言ったこと。

ゆきのんがあたしの言葉に身を任せようとしかけていたのを
ひっきーが遮ったこと。

少し残念で、一寸ホッとしたこと。

ゆきのんが 『私の気持ちを勝手に決めないで』と言ったこと。
それが うれしかったこと。

ゆきのんが依頼をしたこと。

依頼の内容にヒッキーもあたしも驚いたこと。

たぶんその依頼は嘘だったこと。

ひっきーが泣きながら謝って 帰っていったこと。

ゆきのんが 雪ノ下家と葉山家のことについて話してくれたこと。

ゆきのんが あのチョコレートはヒッキーのために用意したとは言わなかったこと。

あたしは ヒッキーのことが好きだと ゆきのんに言ったこと。

『ゆきのんは自分の事は自分で決めていい』といって電車に押し込んだこと。

たくさんのことを一度に話した。
あたしは 淡々と話しているつもりだったけど
話し終わったら 頬が濡れていた。
気付けば 陽乃さんがあたしの頭をそっと撫で続けてくれていた。
誰も 言葉はなかった。

ただ

陽乃「雪乃ちゃんは 幸せだね」

そう呟いた気がした。


事後報告も終わり、
これであたしの奉仕部関係の事はすべて終わり。
先生が 雪ノ下家の車で送ってくれると言ったけど
なんか 独りで居たくて。
望んだ結末じゃ全然無くて
なんか 空回りだった気がしないでもないけど。
まぁ、たぶんこれで3人の今までの関係は終わったことには違いなくて。
でも もっと悲しくなるのかなと思っていたけど
何かそうでもなくて やり終えた達成感なのかな?
ほっとした気持ちと、
明日から また学校で会っちゃうんだけど どうしよう?
的な焦りと 恥ずかしさ
そっちのほうが大きかった。
ただ、時々大きな波の様に押し寄せてくる虚無感は 確かに有った。





静「なぁ、陽乃
  妹は 自分の気持ちに気が付いたのだろうか?」

陽乃「気付いても気付かなくても 結果は同じじゃない?
   私のシナリオ通りじゃなかったけど
   由比ヶ浜ちゃんは それ以上の結果を残してくれたと思うし」
  「比企谷君には 一寸可愛そうだったけど
   まぁ、大体、あんな捻くれボッチが 私の可愛い妹や由比ヶ浜ちゃんと
   うまくやろうだなんて 甘いのよ!!」

静「まぁそう言うな。あいつはあいつなりにだな・・・・」

陽乃「なに~静ちゃん 比企谷君の肩持つじゃない?
   だいたい静ちゃんが 彼を奉仕部に引き込んだことがすべての原因なんじゃない!
   そんなに気になるなら ちゃんと躾ておきなさいよ」


静「何を言う 原因はあの事故からだ。
  あの三人が 何らかの形で絡むのは必然だったのだよ」
  
陽乃「そうかもだねー
   そして きっと これで終われないんだよね
   あの3人」

静「そうだな」

 「それとな陽乃 比企谷は妹属性だ。
  私達年上の出番はないからな」

陽乃「なにそれww」




もう結構遅い時間なのに電車は 結構な混み具合で
バレンタインデーのデートの帰りと思われるカップルも何組か目に留まった。

あたしの降りる駅は団地が多い場所で
まさに東京のベットタウンって感じで
でも 通勤快速は止まらなくて、
ヒッキーだったら
『千葉の中の千葉』
とか言いそうな場所。
(あぁ、またヒッキー中心に物事を考えてるな)
だから 電車から降りる人も多くて
今日も乗っていた人の半分くらいが ここで降りたのじゃないかと思えるほどの人の流れが出来た。
ホームから改札に下りる階段が一寸渋滞するほどだった。
あたしは 人の流れに身を任せ改札を抜けた。

「・・・・浜さん」

呼ばれたような気がした。
あたしは 流れの中で立ち止まる。
後続の人が邪魔くさそうにあたしを睨んで追い越していく。
あたしは 四方を見渡したが人の壁でよく見えない。
『ゴメンナサイ ゴメンナサイ』
あたしは ひたすらその言葉を口にしながら
人の流れを押しのけ 改札まで戻り ホームへ続く中段コンコースを見上げるが知った顔は居ない。
券売機の前、各柱の周り 構内の閉店準備を始めたコンビニ
もうすっかり 人の減った駅の中をぐるぐると探し
空耳だったかと 諦めかけたところで
その姿を 駅の外の暗がりの中に
数時間前まで一緒に居た 
その懐かしい姿を見つけた。

青みがかった綺麗な髪。透き通りそうな白い肌。慎ましやかな胸元。

私は息を切らしながら駆け寄り

結衣「どうしたの ゆきのん! 
   ゆきのんの駅ここじゃないのに!」

雪乃「やっぱり あなたは 私を見つけてくれた」

結衣「だって ゆきのん あたしの事呼んだジャン?」

雪乃「あら 呼んだかしら 覚えてないわ。
   私は ここであなたが帰ってくるのを待っていただけなのだけれども」

結衣「うん、呼んだよ」
「それで 何でここに?何か用でもあった?」

雪乃「用事ってことではないのだけれど
   あなたが 私の話も聞かずに
   私のこと電車に押し込むものだから
   一言文句が言いたくて」

結衣「アハハハ・・だって・・・恥ずかしかったし・・・」

別れ際に言ったことを 思い出すと今更ながら顔が赤くなる。
 
雪乃「そうよね 私にあんなお説教をしたんだもの。
   恥ずかしいわよね」

結衣「うぅぅ・・・・」
  「それで、あたしが聞かなかった ゆきのんの話って?」

あたしは 恥ずかしさを誤魔化すために わざとぶっきらぼうに訪ねた。
それまで強気だったゆきのんが 急に一寸困った風になって

雪乃「その事なのだけれども・・・」
 
結衣「うん、聞かせて」

何か一寸前にも言ったな気がする。

雪乃「その 由比ヶ浜さん、あなたもう部屋 部室に来ないと言ったのだけれども
   それを撤回してもらいたいの。」

結衣「でも もう それは・・・」

雪乃「あなたの言いたい事は 解るわ。

   でも あなたは ちゃんと 言葉にしていない。

   そして 私も 何も 言葉にしていない。

   それなら 私達二人の間に 何も問題は無いのと変わらない。
   あったのは ちょっとした勘違いと 誤解だけ。」

結衣「でもそれじゃ 自分の気持ちを誤魔化しているだけじゃ・・」

雪乃「いいえ 由比ヶ浜さん。
   私は 選んだの。」

そういうと ゆきのんは あたしの肩と腰に優しく手を回して
優しく抱きついてきた。
あたしから抱きつく事は 今まででも何度もあったけど
こんな ゆきのんから抱きついてくるなんて初めてで
あたしは 驚いたのと緊張で
体が硬直してしまい 声も上ずって
拙い返事も噛み噛みだった。 

結衣「え 選んだ?」

雪乃「そう。あなたは言ったわ。
   3人ではいられないって。
   だから私は あなたと二人で居る未来を選んだの。
   いつも隣に居てくれたあなたが
   明日から私の隣にいないなんて
   私には耐えられない」
   
結衣「!!!」

何か言わなきゃと思って 頭を巡らせ言葉を捜しても
いい言葉が見つからない。
それでも 何か言おうとして口を開きかけたが動かない。
柔らかいもので 唇をふさがれていた。


『キキキキ キスされてる!!??」

優しく抱かれているはずの体は 金縛り状態で身動きひとつ取れず、
呼吸も止まってしまった。
でも 次の瞬間
唇に伝わる ゆきのんの体温と ほのかにローズが香るリップが心地良く
あたしの体は 次第に溶け出していった。
思考が止まっていく。
このぬくもりと この柔らかさと この香があれば
本物とか 嘘とか 依存だとか そんなことどうでいい様に感じられた。 
そして
唇が唇から離れる瞬間 とても切ない気持ちになった。

顔が熱い。まともにゆきのんの顔が見れない。
恥ずかしくて 顔見られたくなくて ゆきのんのことギュって抱きしめた。
頬に当たるゆきのんの耳が あたしの顔より熱かった。
ゆきのんも 恥ずかしくてたまらないのだろうと思ったら
ちょっと笑えて来た。

どれくらそうしていただろう。
ゆきのんが 私の耳元で囁いた。

雪乃「由比ヶ浜さんは 私のこと選んでくれるかしら?」

結衣「・・・・分らない」

分らない。正直 そうとしか答えられなかった。

ただ

結衣「・・・・ただ・・・」

雪乃「ただ?」

結衣「もう一回キスしてくれたら 考える」


こうして あたしのラブコメにもならない青春は間違え続けていくのだろう。



END

お読みいただきありがとうございました。

乙です

つまんね

なにこれ?くっそつまんないんですけど

百合なら最初にそう書いといて欲しかったな

これ更新前はもっと話広げられる展開だったろ・・・オツカレ

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