紬「とある日曜日に」 (24)

ムギちゃんお誕生日おめでとうSSですよ。

それではレッツゴーです。

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紬「しゃらんらしゃらんら♪」

今日は日曜日。

私は一人、街を歩いています。

美味しいお菓子と紅茶を売っているお店があると聞いたので、そこへ向かっているの♪

紬「うふふっ、みんな喜んでくれるかなぁ」

唯ちゃんたちの喜ぶ顔を想像すると、心がとってもウキウキ。

紬「確か、あの横断歩道を渡った先だったかしら。
……あら?」

向こうから、知った人が歩いてくるのに私は気付きます。

紬「こんにちは~。
えっと、曽我部先輩……ですよね?」

恵「──あら? あなたは……
軽音部の琴吹さん?
こんにちは、久しぶりね」

そう言ってほほえみ返してくれた人は、前に桜が丘の生徒会長だった、そして今は大学生の曽我部恵さんでした。

─────────────────────

あとで人と待ち合わせをしているらしい曽我部先輩は、早目に街に出てきて時間つぶしをしていたらしいの。

『立ち話もなんだし、よかったらどこかに入らない?』と曽我部先輩に誘われ、近くの喫茶店に入った私たち。

恵「どうしたの? 妙に嬉しそうね」

席について注文をした後、曽我部先輩は笑顔でそう問いました。

紬「うふふっ、私、学校の先輩とこんな風にお店に入るのって初めてなんです。
なんだかとっても楽しくって♪」

恵「あら、そうなの?」

もうしばらくお話をしていると、ウエイトレスさんが紅茶とケーキが二つずつ乗ったトレーを持ってやって来ました。

恵「ありがとうございます」

紬「ございます~♪」

それらをテーブルに置いたウエイトレスさんが去って、お互いに紅茶をお口に一含み。

……うふふっ、美味しいな♪

恵「ところで、一人……なのよね? なんだかめずらしいわ」

紬「そうですか?」

恵「ええ。
軽音部のみんなって、いつも一緒に居るイメージがあるから」

紬「あ~、そうかもしれないですね」

よく考えたらもちろんそんな事はないのだけど、私自身にもそんなイメージはあったり。

なんて言うのかな? それが当たり前みたいな……

紬「うふふふっ、実はですね……」

と、私は、今日この街を歩いていた目的を話しました。

恵「──なるほど。
良いわね、そういうのって……」

紬「あっ、でもでも、唯ちゃんたちには内緒ですよ?」

恵「え?
……ふふっ、うん。わかっているわ」

それにしても、この紅茶は本当に良い味。

ケーキもほんわかした甘さで、とっても美味。

これは思わぬ収穫だったかも~♪

紬(今度、みんなとも来てみたいな)

恵「ところで、澪たんは元気?」

紬「はい、とっても元気ですよ~」

恵「相変わらず可愛くて綺麗?」

紬「はいっ! 相変わらず可愛くて綺麗ですよ~♪」

恵「まあっ♪」

とても嬉しそうに目を細める曽我部先輩。

そうなのですっ。曽我部先輩は澪ちゃんの大ファンなの♪

恵「ああっ、澪たんが恋しいなぁ。
大学生活もとっても楽しくはあるんだけど、澪たんほどの魅力を持った人は居ないのよね」

紬「確かにそうかもしれないですね。
澪ちゃんもですし、唯ちゃんもりっちゃんも梓ちゃんも、みんなみんな魅力の塊ですからっ」フンス!

恵「ふふふっ。ええ、そうね」

紬「魅力的すぎて、困ってしまうくらいです~」

恵「あら、そういう琴吹さんだって魅力的よ?」

紬「えっ?」

私……も?

恵「ええ」

……たぶん、気を使って頂いたのだと思います。

紬「うふふっ、ありがとうございます♪」

恵「あら、お世辞だと思ってるわね?」

と、向かいの椅子に座る曽我部先輩はちょっとだけ身を乗り出し、

恵「……ほら、周り」

声を落として私に囁きます。

紬「?」

私は周りに意識を向けてみました。

すると。


さやか「あの美少女コンビ、超めろはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
いつまでも眺めていたいっ!」

七星「さやか、落ち着いて。
……まあ、同意するけれど」


ザーボン「可憐なる少女たちのティータイムというのは絵になるものだな。
素直に美しいと感じる」


……といった、私たちに向けられた視線と声がいくつもあるのに気付きました。

恵「ね?」

紬「うふふ、ありがとうございますっ♪」

曽我部「えっ?」

紬「曽我部先輩は美人さんですから、一緒に居る私もそんな風に見えるんですね」ウンウン

そうじゃないと説明がつかないもの。

曽我部先輩は唯ちゃんたちと同じで、側に居る人までピカピカと輝かせてしまう人なんだなぁ。

紬(やっぱり、生徒会長を出来る人って凄いのねっ♪)キラキラキラキラ☆

恵「……う~ん。
本気でそう思っているのがわかるから、逆になにも言えないわね」

苦笑する曽我部先輩。

紬「?」

恵「ふふっ、まあ良いわ」

言うと、曽我部先輩は紅茶を上品にお口に含みました。

恵「……私ね、あなたたちと出会えてよかったなって思ってるの」

紬「えっ?」

恵「澪たんにとことんハマってた日々は凄く楽しかったし、
あなたたちが私の為にしてくれたライブも本当に最高だった。
……まあ、ハマりすぎて澪たんには迷惑かけてしまったのだけど」

困ったように頬をかく曽我部先輩。

恵「でも、思うのよ。
もしもあなたたちと出会えなかった高校生活は──それでも幸せなものではあったのでしょうけど──
今思い返して感じるほどの、ここまでの充実感は無かったんだろうなって」

そっと目を閉じる曽我部先輩は、なにを見ているのかな……?

恵「そして、その充実感は日が経つごとにどんどん大きくなっている感じがするの」

紬「…………」

恵「桜が丘を卒業して、高校時代が離れていけば離れていくほど、ね」

どこか懐かしそうに、でも満足そうに、曽我部先輩はゆっくりと言いました。

そんな曽我部先輩が、私にはとってもとってもキラキラしているように見えて。

恵「まあ『あなたたち』とは言っても、やっぱり今でも私にとっての一番は断トツで澪たんなんだけどねっ!」

紬「……良いなぁ」

気が付いたら、私はつぶやいていたの。

恵「えっ?」

紬「曽我部先輩、とっても楽しそうっ!」

恵「──そうね、おかげさまで……
でも、それは琴吹さんも同じでしょう?」

紬「私も?」

恵「ええ。琴吹さんも、凄く楽しそうに生きているように感じるわ。
そうね……私見だけれど、軽音部の子の中では一番」

確かにそうです。

一番かはわからないけれど、毎日が楽しくて楽しくてしょうがなくて……


──桜が丘に入ってよかった。軽音部のみんなと出会えてよかった──


紬(なんだか、とってもあったかいな……)

恵「……日々成長していく、素敵な贈り物をありがとうね」

─────────────────────

お店を出ました。

時間を確認したら、結構長くお店に居たみたい。

やっぱり、素敵な時間はあっという間に過ぎるのね。

紬「すみません、ご馳走して頂きまして」

恵「良いのよ。
先輩なんだからこのくらいはカッコつけさせて」

紬「うふふっ、はいっ、 ありがとうございました♪」

恵「その代わりにという訳ではないけれど、約束の澪たんのお宝画像、あとで絶対絶対ぜぇーったいによろしくねっ!?」

紬「はいっ! もちろんです~♪」

私と曽我部先輩はメルアドの交換もしました。

先輩とのこういう経験も初めてで、私の心は最後までウキウキ♪

恵「じゃあまた。
澪たんたちによろしくね」

紬「はいっ! また~」

こうして、私と曽我部先輩は別れました。

去っていく先輩の後ろ姿は、なんだか物凄く大人の女の人に見えて、ちょっと憧れてしまいます。

紬(私も大学生になったら、あんな風になれるのかなぁ?)

ふと思ったけれど、でも、先の事よりも今が大切。

今を大切に過ごした先に……

その先に、幸せな未来も待っているのだと思うから。

そうやって毎日を過ごしているからこそ、今こうして幸せなんだよね。

紬「──よぉしっ!」ムンッ!

私も歩き出します。最初の目的のお店に向かって。

良い紅茶やお菓子があったら、たくさん買っちゃおうっ。

みんなと食べたいから。

みんなの笑顔が見たいから。





おしまい。

以上です。

『生きていてよかった』

ムギちゃんは、ナチュラルにそれを感じ・思える人なんだと思います。
色々な事があったとしても、それを忘れず、感じながら人生を歩いていける人なんだろうなぁとも。

それでは、ここまでお付き合い頂いてありがとうございました~。

ムギちゃん、今年もお誕生日おめでとう!

乙です。
貴方はひょっとしてザーボンの人?

>>23
そうです~。レスありがとうございます♪

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