烈海王「ここは……」(17)
……
……
……
ザクッ…… ザクッ……
烈「ここは……」
烈「…………」
烈(そうか……)
烈(私は宮本武蔵氏との比武に挑み──)
烈(氏の刃を受け──)
烈(死んだのだな……)
烈(悔いはあるか?)
烈(……あろうはずがない)
烈(比武の結果、重傷を負う、肉体の一部を失う、時には死する)
烈(武術家にとっては至極、当然のこと。覚悟していなければならないこと)
烈(悔いなど、あろうはずがない)
烈(あえていうなら──)
烈(あの宮本武蔵、必殺の刃を受けてなお)
烈(次に活かせる、などと思ってしまったことが、悔いといえば悔い、か)
烈(すまぬ……武蔵ッ)
ザクッ…… ザクッ……
「烈よ……」
烈「!」
「烈永周よ……」
烈「…………」
「君のことだ」
「すでに察していることだろう」
「ここは……死人(しびと)のみがたどり着ける領域」
烈「…………」
烈「はい……心得ております」
「これから君には二つのうち、いずれかの道を選択(えら)んでもらう」
「一つは、永遠の安息の地にて、その魂を安らげる道」
「そしてもう一つは──」
「“試練”というにはあまりにも理不尽で過酷な“試練”が待ち受ける道」
「さて、いずれの道を歩む」
烈「心は決まっております」
烈「どうか私に……試練をッ! 試練をお与え下さい!」
「…………」
「君の気性ならば、そう答えることは理解(わか)っていた」
「しかしながら、これだけはいわせてもらおう」
「安息の地といっても、決して武術とは無縁の平穏無事な世界というワケではない」
「自己鍛錬や、あるいは他の魂との切磋琢磨に励むことも充分可能」
「それでも……ゆくというのか?」
烈「お心遣い、感謝致します」
烈「しかし、それを甘んじて受けてしまうこと──」
烈「それすなわち、私が私を否定することになってしまうのです」
烈「そしてそれは──」
烈「私が知るあらゆる苦痛にも勝る、苦痛となるでしょう」
烈「どうか……試練をッ」
「そこまでいうのならば、もはや君を止めることはすまい」
「……後戻りはできんぞ」
烈「一向に構いません」
「ならば、ゆくがよい」
「烈永周……いや……烈士、烈海王よ」
烈「謝々ッ!」
ザクッ…… ザクッ……
─ 完 ─
短いですがこれで終わりです
どうしても書きたくなってしまいました
今週の烈に関しては色々意見が飛び交ってますが
だれがなんといおうと私は悲しいし
実は死んでないオチ、クローンだろうがドラゴンボールだろうが生き返るオチがきたら
手放しで喜んでしまうでしょう
乙ッ!
烈さんらしい生き様
安藤さんだって夜叉猿に内臓引きずり出されたけど生きてたし、ヘーキヘーキ(震え声)
乙!
キャラをよくつかんでいるね!
かまわんっ
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