にこ「受験勉強会をやるわよ」 (19)

部室

にこ「やっぱり、受験勉強はもっと後でいいわね……」

希「自分から言い出したのに?」

にこ「でも、もう1時間くらい勉強したわよ?」

希「その”勉強”って、フツーの宿題でしょ?

  いつもはギリギリにちゃっちゃとやってる物を、ちゃんとやっただけやん?」

にこ「だ、大正解……。やるわね」

希「にこっちの事なら、何でもお見通しなんよ~」

にこ「じゃあ、にこちゃんクイズでもやる?」

希「やらない」

にこ「第一問!」ニコッ

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にこ「私が昨日見た夢は、何でしょうか!?」

希「夢……?アイドルでしょ?」

にこ「ああ……、そうじゃなくて。えっと……、ドリーム!」

希「だから、アイドルになるっていう夢でしょ?」

にこ「あっそっか……。どっちもドリームよね……」

希「何言ってるの??」

にこ「なんていうか……、夜のヤツ!」

希「えぇ……?///何かエッチな話??///」ヒソヒソ

にこ「違うわよ!///」

にこ「あのね……?その夢じゃなくて……」

希「えっ!?アイドルになるのが夢じゃなかったの!?」

にこ「いや!それはそうだけど!

   もういいわよ!クイズ止めー!」

希「りょーかい♪」

にこ「何か嵌められた気がするわ……」

希「気のせいやん?」

にこ「じゃあ、普通に夢の話していい?」

希「いいけど……、人の夢の話って大抵反応に困るやん?」

にこ「大丈夫よ。ただ私が希とお喋りしたいだけだから。

   って!”夢”の意味分かってるじゃない!」

希「しまった」

にこ「えー、という事で、気を取り直して、にこにークイズ第一問!

   私の昨日の夢は何でしょう!?」

希「ええぇ~?やるん?」

にこ「何でしょうか!?」ニコッ

希「……」

にこ「何でしょうか?!」ニコッ

希「……」ツーン

にこ「ご、ごめんなさい……」ウルウル

希「何でちょっと泣きそうになってるの!?」

にこ「シカトするから……」

希「しょうがないなあ……、じゃあせめて、三択くらいにして?

  流石に当てずっぽうじゃ、ムリやん?」

にこ「ホントすみません」

希「謝るくらいならやらなければええやん!」

にこ「それは無理」

にこ「じゃあ、選択肢はホワイトボードに書いていってあげるわ」キュポン

希「テレビみたいやん。本格的」

にこ「一番が『アイドルになった夢』ね。二番『透明人間になった夢』」キュキュッ

希「うんうん」

にこ「で…………、三番は………………………、何にしよう。

   じゃあ『大統領になった夢』!」キュッ

希「二番」

にこ「えっ即答!?」

希「正解?」

にこ「正解!やるじゃない。ホントにお見通しなのね……」

希「す、スピリチュアルパワー?やん?」

にこ「どうしてちょっと笑ってるの?」

希「べ、別にー?」

にこ「まったく。これの為に、さっきシンキングタイムのうたを作ったのに。即答だったら……」

希「……勉強は?」

にこ「この話止めよっか」


希「透明人間だったんや?」

にこ「ええ。真姫ちゃんがそういう薬を作ってくれたのよ」

希「あー、分かる!真姫ちゃんって、夢でよくそういう薬開発するよね」

にこ「えっ!?希の真姫ちゃんも?」

ガチャッ

絵里「あれ?二人とも……、勉強会してるんじゃなかったの?」

希「エリチの真姫ちゃんは?開発してる?」

絵里「わ、私の真姫!?」

にこ「ちょっと希ぃ。透明人間の件から話さないと、イミワカンナイでしょ?」

絵里「とっ、透明人間!?!?」

絵里「なぁんだ。夢の話だったの……」

希「そりゃそうやん。いくら音の木坂面白女子高生軍団でも、透明人間は無いよ」

絵里「それミューズの事じゃないでしょうね?」

にこ「で、実際になれたらどうする?」

希「人間性が出る質問やね」

絵里「…………///」

希「あっ!今エリチが変な事考えた!」

絵里「か、考えてないわよ!///」

にこ「じゃあ何よ、今の『フヘヘヘ……』みたいなやつは」

絵里「そ、そんな事してた……?///」

希「口は開いてたよ♪」


絵里「でも!透明人間になったら!服は脱ぐ訳だから!

   ちょっと恥ずかしい想像をするのは!当然だと思います!」

希「服……?どうして脱ぐの?」

絵里「えっ?」

にこ「ああ~、そうか。設定をちゃんとしておかないとね。
 
   肉体だけが見えなくなるのか、とか。壁は通り抜けられるのか、とかね」

希「あぁそういうことね。何がベストなんやろうね」

絵里「ベストって……、これを元に何かする訳じゃないでしょ?」

にこ「いや、真姫ちゃんの頑張りによっては、実現するかも」

絵里「真姫を何だと思ってるのよ……」

希「錬金術師?」

絵里「学生よ!」


にこ「じゃあ、ホワイトボードに設定を書いていくわね」

絵里「何で……??」

希「ホワイトボードって普段全然使わないから今日は有効活用しよ」

絵里「無駄を無くすために無駄な事をするのは意味分かんないでしょ!」

にこ「でも、ヒマなんだからいいでしょ?」

絵里「……受験勉強会っていう用事があるわよ」

にこ「アンタたちは普段から勉強してるんだから、たまにはいいでしょ?」

絵里「……にこは?」

にこ「ホラ、私はもう、どうしようもないから」

希「確かに」

絵里「そうね」

にこ「プリーズフォローミー!」

絵里「『follow me』は、『付いてきて』よ」

にこ「そうなんだ!」


にこ「では、服が消えるかどうかから決めまーす。

   ……多数決でいい?」

希「異議なし!」

絵里「貴女たちのこのやる気は何なの……?」

にこ「服は消える派の人~?」

希「はい。

  ……って、ウチの一票だけやん」キュポンッ

絵里「希が書記なんだ……」

にこ「消えない派~?はい」

絵里「はい」

希「あっ、参加するんや」

絵里「いれてくれてもいいでしょ?独りだとさみしいし……」ゴニョゴニョ

にこ「絵里って肌が白いからちょっと顔が赤くなっただけでバレバレよね」ハハッ

絵里「うるさいわよ!///」

希「『服は消えない』ね~」キュッキュッ


絵里「じゃあ、原因は何?

   身体だけが消えるんだから、やっぱり薬とか?」

希「真姫ちゃんが『透明人間になる薬が出来たわ!』という事やね」キュキュキュッ

にこ「医者の娘って、凄い」

希「でも、実際いろいろ出来るし?」

絵里「ピアノ弾けるし、作曲出来るし、別荘持ってるし、歌上手いし、可愛いし……ね」

希「何を開発してもおかしくないやん」

絵里「そんな事はないと思うのだけれども」

にこ「μ’sを倒すなら、真姫ちゃんから攻めろ、という事ね」

絵里「アイドルユニットを籠絡しないでしょ……」

希「『真姫ちゃんから攻める』と……」キュッキュッ

絵里「書く必要ある!?」


希「あっ、もしかして……、寒くなるんとちがう!?」

絵里「何が?」

希「完全に見えなくなるためには、服を全部脱ぐ必要があるやん?

  ……流石に寒くない!?」

にこ「盲点だったわ……!!」

絵里「それは……、寒くないっていう設定にしたらいいんじゃないの?」

にこ「何言ってんのよ。そんなテキトーでいい訳ないでしょ!」

絵里「お、怒られた……!?たかが空想の話でしょ??」

希「真面目にやってる?」

絵里「やってないけど……」

希「どうしよっか?」

にこ「なんか服も一緒に消える能力にしよっか」

希「それでいいや」

絵里「真面目にやってよ!」


にこ「真面目にって……。たかが空想でしょ?」

絵里「それ私が言ったヤツよ」

希「じゃあエリチの為に真剣に考えよか」

にこ「仕方ないわね」

絵里「私、おうちかえっちゃうわよ?」

希「あっ!例のヤツ!?」

にこ「見たい見たい!」

絵里「やっぱり意地でも最後までいる事にしたわ」

にこ「ほんとスミマセン」

絵里「それでは!何か良い案はありますか?」

希「……いしころぼうしは、どう?」

にこ「あーなるほど。それはいいわね」

絵里「……イシコロボーシ?」


にこ「……えっ?知らない?」

希「クォーターだし、お家も上品だもんね」

絵里「みんな知ってる物なの?」

希「多分。ウチもちゃんと知ってる訳じゃないけどね」

にこ「じゃあドラえもん大好きな私が教えてあげるわよ」

絵里「ありがとう。ドラエもんは知っているわ」

にこ「石ころ帽子っていうのはね………、見えなくなる訳じゃなくて………、あたかも……。

   ね?あたかも。石のようにあたかもスルーするというか……………………。

   希、説明してあげなさい」ビシッ

希「は~い」

絵里「……」

にこ「私がボキャブラリーが少ない、とでも言いたいの?」

絵里「いや、何も言ってないって……」


希「いしころぼうしって言うのは、ドラえもんに出てくる道具でね?

  帽子なんやけど、被ると気配が消えて、誰にも気が付かれなくなるんよ。

  それが、あたかも誰も気に留めない道端の石ころのようだから、そういう名前なんやね」

絵里「成る程ね」

にこ「あたかもね」

絵里「あたかもの意味、分かってる?」

にこ「あたかもはあたかもでしょ?分かってるわよ」

希「じゃあ、あたかもを別の言葉で言うと?」

にこ「あたかも……、あたかも。あたかも……」

絵里「あたかも?」

にこ「何か気持ち悪くなってきちゃった……」

絵里「ええっ!?」

希「ゲシュタルト崩壊♪ゲシュタルト崩壊♪」

にこ「ああ!また新しい言葉が!」ヒェェ

絵里「のぞみ!にこに負荷をかけるのは止めなさい!」

にこ「そうよ!私は説明が下手よ!!」

絵里「だから何も言ってないって……」

にこ「実はクォーターもボキャブラリーもよく分かってません!」

絵里「謝るから落ち着いて!」

希「じゃあ『いしころぼうし』って書いておくね」キュキュッ

にこ「あれ?……そういえば、どうしてこんな事してるんだっけ?」

絵里「にこがそれを言うの……?二人がやってたんじゃない……」

希「ウチにもこれが始まった訳はさっぱり……」

絵里「ええ……?何これ……!」

希「何って、勉強会やん?」

絵里「ホワイトボードの内容を見るに、それだけは有り得ないわよ」

にこ「じゃあ、勉強会しよっか」

希「そうやね」

絵里「それなら、ホワイトボード片づけるわよ」

希「いや、それは後でええと思うよ」

絵里「そう?」

にこ「さあ!受験勉強会をやるわよ!」

**

にこ「第二問!」ニコッ

絵里「やらないわよ」

にこ「選択肢はホワイトボードに書くことにするわ」

希「テレビみたいやん」キュポン


*おわり*

オマケ

真姫「な、何このホワイトボード!?」

凛「これは勉強会なんてやってる場合じゃないにゃ!」

希「この謎を解いてみようやん!」

花陽(希ちゃんの字だと思うけど、これは言わないでいいかな)

*オマケおわり*

乙やで

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