少女勇者「エッチな事をしないとレベルがあがらない呪い…?」 (1000)


-主な登場人物

 勇者<ユッカ>
15歳。天真爛漫で正義感溢れる少女。
栗色の髪に元気な跳ねっ毛と明るい笑顔が特徴。
魔王の復活を阻止すべく仲間と共に旅に出る。
淫魔の呪いを受け、性的行為をしなければ経験値があがらない体質。
また新月の夜には淫魔の力が強まり、理性が崩壊し発情してしまう。
幼いころの記憶が一部欠落している。
主な装備:【太陽の兜】【兵士の剣】

 僧侶<ヒーラ>
16歳。大聖堂に務める大神官の一人娘。
輝くような金髪と豊満な身体をもつ、育ちのよい少女。
ユッカの幼馴染で彼女のことを心から愛している。
高貴な身分でありながらも親しみやすい性格。
聖魔法、防御魔法が得意。パーティの家事担当。
主な装備:【蒼珠の腕輪】【神官の杖】

 魔女<マナ>
15歳。ユッカの昔馴染み。
透き通るような銀髪と色白の肌をした美しい少女。喜怒哀楽がやや希薄。
黒魔術と薬術が得意。
近くにいる相手の魔力を吸い取ってしまう生まれ持った体質に苛まれている。
人に忌避された過去があり人付き合いが苦手であるが、ユッカたちには心をひらいている。
魔力を持たないソルとの出会いに運命を感じ、仲を深めようと熱を上げる毎日。
主な装備:【闇珠の首飾り】【魔導の杖】

 傭兵<ソル>
25歳。勇者のガードを務める青年。元・王国騎士。
体には歴戦の勲章が多く残っている。
剣術体術といった武芸に秀でているが、魔力を一切操る事ができない。
ユッカの事を人一倍気にかけている。
長く戦いに身をおいてきたため、女性の扱いを心得ておらず、デリカシーを欠く事が多い。
時には少女たちに翻弄されながらも、今の暮らしを気に入っている。
主な装備:【騎士の剣】


-敵

 淫魔<サキュバス>
ユッカに呪いを与えた張本人。呪いを通して心を交信させることが出来る。
呪術・占星術・黒魔術の扱いに長けている。
つきまとう目的は不明。
朔の夜に淫魔としての力を増す。


 闇の魔剣士
魔王復活の野望を果たすべく暗躍する魔剣士。
仮面には大きな十字傷が刻まれており、決して外すことはない。ソルの仇敵。
生まれたてのマントルドラゴンを使役する。
 
 幼竜<マントルドラゴン>
本来は火山帯に生息し灼熱を操る翼竜種。
街の中で孵化し人々を恐怖に陥れるも、ユッカたちの手によって撃退された。
その際にユッカから分け与えられた魔力の味をいまでもはっきりと覚えている。

 館の少女<アリス>
薄暗い森で古びた宿屋を営むブロンドヘアーの美しい少女。
その正体は100年以上生きる魔法使いの老婆で、訪れた旅人の魔力を吸い殺し、魂を人形へと閉じ込めていた。
ユッカ達一行を襲撃するも、マナ1人に返り討ちにあい全ての力を奪われた。


-その他の人物

 獣の商人<マオ>
商業の街バザで薬店を営む獣人の少女(猫)
馬車の故障で立ち往生しているところをユッカたちに助けられる。
一行に宿泊する部屋を貸し与え、マナに薬術を伝授し笑顔で新しい旅立ちを見送った。

 妖狐<キュウ>
遥か遠い島国より湯治の旅に出た獣人の少女(狐)
その正体は魔力を得た狐であり、古の災厄の一つを身に宿すと自称する。
秘術の暴走により巨大な神獣へと変化したが、マナのドレイン能力によりその力を失った。
別れ際にユッカたち一人ひとりに虹の珠と呼ばれる希少な魔法石を与え、旅の無事を祈った。
 
 宿屋の少女<ローレ>
港町オクトピアにて潰れかけの宿屋『ローレライ』を営む少女。
おっちょこちょいではあるが何事も一生懸命。

 魔導師
魔女マナの後見人で元・王宮付きの大魔導師。
マナの呪われた体質を不憫に思い、王宮を離れ人里離れた深い森へと共に身を隠した。
ソルとは旧知の間柄。

新スレ乙です

立て乙!
前スレは埋めたほうがいいの?

マナの装備品+1号



第19話<ヒーラの受難>



勇者「浜辺に到着!」

僧侶「ほんとに賑わってますね」

宿屋の少女「例年だとあまり人気のない浜なのですが…」

勇者「ねぇねぇあそこらへん空いてるよ。早くパラソル立てようよ」グイグイ

傭兵「急かすな」

魔女「これが砂浜…青い海…」

魔女「暑い」

傭兵「マナ、日焼けしないように気をつけろよ」

僧侶「ユッカ様もですよ。まずは海に入る前に日焼け止めを塗りましょうね」

勇者「はぁーい」


傭兵「さて、準備はこんなものか」

勇者「…」ぬぎぬぎ スルスル

傭兵「うわっ、お前…っ」

勇者「みて! 中に着てきた!」

傭兵「なんだ…びっくりした。ついに人前で脱ぎ出すほど恥知らずになったのかと思った」

勇者「もぉ失礼だなぁ。それよりどう?」

僧侶「ユッカ様かわいいですよ。よくお似合いです」

勇者「えへへ。水着なんてあんまり着たこと無いからちょっと恥ずかしいね」

勇者「ねぇ、どう?」

傭兵「……。思ったより女の子だな」

勇者「え゛っ、なにそれ…何いってんの今更」

勇者「ヒーラたちも脱ぎなよー」

僧侶「は、はい」スルスル


僧侶「どうですか?」

傭兵「おー、やっぱビキニにしてよかったね」

僧侶「う…そうですか…ちょっと露出がおおいかなっておもったんですけど」

傭兵「よく似あってるよ。かわいい」

僧侶「えへへ…ありがとうございます」

勇者(ボクの時と反応が違う…)

魔女「…じりじりする」

勇者「マナは日陰に入ったほうがいいよ」

魔女「…」コクン

魔女「暑い。どうしてこんなに日差しが強いの」

宿屋の少女「お天気で良かったですね。海も穏やかで絶好の海日和です」

勇者「はやく海入りたい! ヒーラ日焼け止めかしてかして!」

僧侶「はい、どうぞ。自分で塗れますか?」

勇者「うーん…背中どうしよ」

傭兵「…! お、そろそろ持ち場につく時間だな。じゃあな、お前らはエンジョイしてくれ!」

新スレ早々そそるサブタイトル


勇者「逃げた…なにあれ」

僧侶「うふふ。じゃあ私の出番ですね…」ピトッ

勇者「!」ビクッ

勇者「人前だし変なとこさわっちゃやだよ?」

僧侶「あたりまえじゃないですかぁ」



傭兵「…ふぁ。にしても暇な仕事だ」

傭兵「あーどいつもこいつものんきにはしゃいじゃって」

傭兵「頼むから俺の監視中に足つって溺れたりしないでくれよ…」

傭兵「ユッカたちなにしてっかな」ジーー

傭兵「いた。浅いとこで水遊びしてるだけか」

傭兵「ヒーラちゃん遠目でもプルンプルン揺れてるな…あとでじっくり見よう」

傭兵「マナは…」

傭兵「砂いじって退屈そうにしてるな」

傭兵「交代の時間になったら相手してやるか」


傭兵「これがあと数日続くなんてな」

傭兵「俺たちは一刻も早く海を渡って魔王の神殿をさがさないといけねーのに」

傭兵「こうも平和だと…目的を忘れてしまいそうだ」

宿屋の少女「ソルさん、お水どうですか」

傭兵「あぁ悪いな。ありがとうそこに置いといてくれ」

宿屋の少女「暑いですね」

傭兵「ローレさんは海は好きなのか?」

傭兵「なんだか…こう言っちゃなんだが、いかにもおよげなさそうに見えるけど」

宿屋の少女「大好きですよ。私走るのは苦手ですけど泳ぐのは得意なんですから!」

傭兵「そうかー。よければヒーラちゃんに泳ぎ教えてあげてくれないか」

傭兵「ほら、またひっくり返って沈みかけてる。でっかい浮きが2つもあるのになぁ」

宿屋の少女「…それはソルさんがしてあげたほうが喜ぶと思いますよ」

宿屋の少女「またあとで。お昼は一緒に食べましょうね」

傭兵「おう」



  ・  ・  ・


勇者「遊んでたらあっという間にお昼だね!」

傭兵「いやー…俺はとても長い時間だったぞ…」ゴクゴク

魔女「…」ざっ ざくっ

傭兵「おーいマナ。お昼たべないか」

僧侶「いつまでお砂遊びしてるんですかー」

魔女「…まって、あとは外堀をつくって水を流すだけ。ここが重要」

傭兵「何作ってんだアレ」

勇者「砂のお城だってさ。なんだか凝りはじめちゃって…近くで見ようとすると怒るんだ」

魔女「ユッカが触ると壊れる」ざっ ざくっ

勇者「ボクも一緒につくりたいよぉ」

傭兵「まぁ、楽しそうならよかった」

僧侶「ですね…」


魔女「出来た」

傭兵「よく出来ました。で、これはどこのお城」

魔女「私とあなたのお城」

傭兵「…は?」

魔女「私の夢は将来あなたと結婚してお城にすむこと」

傭兵(結婚て…)

傭兵「まてマナ。俺は城には住めないぞ」

魔女「? どうして」

傭兵「どうしてって…俺ただの傭兵だぞ。2階建の小さな家が買えたら大成功だな」

魔女「……私と誓いのキスをしたのに王子様じゃないなんて…詐欺」

傭兵「そりゃすまんね」

魔女「…」グシャ

傭兵「あーあーもったね。せっかく作ったのに」

魔女「失望したらお腹がすいた。お水飲みたい」

傭兵「お、おう…行くか」

傭兵(頭の中がどうなってるのかわからん…)



勇者「ご飯のあとはみんなでビーチバレーしようよ」

僧侶「いいですね。やりましょう」

傭兵「剣の稽古は?」

勇者「ビーチバレーしようよ! ね、ローレさんもしたいよね?」

宿屋の少女「は、はいっ」

勇者「マナもしたいよね?」

魔女「…?」もぐもぐ

勇者「ほらしたいってさ」

傭兵「言ったか!? 俺には何も聞こえなかったぞ!」

勇者「ビーチバレー4票。お稽古1票」

傭兵「この野郎…」

勇者「負けたチームは罰ゲームね」

傭兵「何させる気だよ」

勇者「うーんと。何にしよう」

傭兵「じゃあ浜辺走り込みと素振り1000回」

勇者「やだ」



  ・  ・  ・


勇者「チーム分けは、ボクたち3人チームと、ソルとローレさんチームね」

傭兵「おいおい…」

宿屋の少女「やったことないんですけど、よろしくお願いします」

勇者「ゲームスタート! いつでもこーい」

傭兵「ローレさん、下手打ちでいいから向こうのコートにポーンってボール飛ばしてくれるか」

宿屋の少女「わかりました…やってみます。えいっ」ぽすっ

宿屋の少女「わわっ、やった」

僧侶「き、きましたよっ。私どうすれば」

勇者「ヒーラ!ゆるくトスあげて!」

僧侶「…はいっ、えいっ」ぽすっ

勇者「きゃっほう」バシュッ 

べちーん

傭兵「…」

勇者「あははは! なに棒立ちしてるのー」


勇者「いえーいまず1点!」パチン

僧侶「あはは…。おもいっきりいきましたね」

勇者「手加減したらソルに勝てないよ」

勇者「ふたりともボクにどんどんトスあげてね」

勇者「全部叩き込んであげるよ」

魔女「動きたくない」


宿屋の少女「大丈夫ですか…」

傭兵「痛くはないが…無性にムカついた」

傭兵「あのガキ、吠え面かかせてやる…」

宿屋の少女(足ひっぱっちゃったらどうしよう…)



<その後>


傭兵「おらっ、そこがガラ空きだ!!」バシュッ

僧侶「きゃっ」

勇者「あうう…また拾えなかった…」

魔女「弾丸。取りに行くのが大変だからやめて」すたすた

傭兵「ははは。これで第一セットはいただきだな」

勇者「むぐぐ…ずるいよ…」

僧侶「どうしましょう。ユッカ様のアタックも全部拾われちゃいますし…勝てる気がしません」

勇者「う゛ー…こうなったら…魔法解禁だ!」

僧侶「えっ」

勇者「…」ヒソヒソ

魔女「…」コクン

魔女「杖なしでどこまで正確にできるかわからないけどやってみる」


傭兵「ふはは、作戦会議はおわったか小娘共…かかってくるがよい」

勇者「魔王め…ボクたちは絶対に負けないぞ」

僧侶(仲いいなぁ…)



勇者「やぁ!」バシュッ

傭兵「そんなへなちょこアタックきくか!!」

勇者「うう…また拾われた」

傭兵「そしてくらえ!」

勇者「マナ! いまだよ!」

魔女「術式…ウィンドショット」

傭兵「なにっ! なんだこの強風は」

傭兵「うおぉああ!!」どたっ

勇者「わーーい。アタックさせなかったらいいんだ」

勇者「どうだ! これでソルに勝ち目はないよ!」

僧侶(うーん…)

宿屋の少女「ピピー! アタックの妨害行為は反則です! マナさん退場!」

勇者「えっ」

魔女「…は」

傭兵「当たり前だろ」むくり


傭兵「そしていつのまに審判してるんだ」

宿屋の少女「だって私がいたって戦力外ですもの…」

傭兵「それもそうだな…」

勇者「マナがいなくなって2対1になっちゃったよ…どうしよう」

僧侶「やっぱり風魔法で攻撃はやりすぎですよ。反則はやむ無しです」

僧侶「というわけで次は私におまかせください」

勇者「何か策があるんだね!?」

僧侶「はい! これならうまくいきます」



傭兵「うおおおくらええ!」バシュッ!

勇者「来るよヒーラ! まかせたから!!!」

僧侶「け、結界!」キィーン

ばよんっ

傭兵「なっ…! 弾かれたっ!?」

勇者「!」

僧侶「うふふ…ソル様のアタックはもう私達のコートに入ることはありませんよ」


傭兵「ず、ずるいぞ! アウトだろ!」

勇者「~♪ ソルのアタックが勝手に変なとこに飛んでいっただけで、ボクたちのコートには入ってないよ」

僧侶「…」コクコク

傭兵「勇者のくせに姑息な手ばっかりつかいやがって…」

僧侶(申し訳ありません)

勇者「よしここから反撃だ!」


僧侶「結界!」ばよんっ

僧侶「結界!」ばよんっ

僧侶「結界ー!」ばよんっ

僧侶「け、けっかい……」ばよんっ

僧侶「はぁはぁ…」

勇者「ヒーラ…?」

僧侶「さすがに杖なしで何度も張るのは疲れてきました」

魔女「精度が落ちてる」

勇者「うう…あとちょっとでこのセットをとれるから頑張って!」

僧侶「は、はい…」



傭兵「ふ…ヒーラちゃんも鍛え方が足りねぇな」

勇者「くるよ…ヒーラ!」

僧侶「けっ、結界!!」キィーン…

傭兵「甘い!」バシュッ

▼結界は砕け散った。

僧侶「!!」

勇者「ふぇ!? へぶっ」べちーん

勇者「…きゅう…いたいよ」

僧侶「け、結界が…ビーチボールなんかで…そんな」

傭兵「これで決まったな」

勇者「う゛ー…まさか筋力で無理やり突破してくるなんてぇ」

傭兵「さて、へとへとなようだが降参するか?」

傭兵「それともお前の鼻がぺったんこになるまでその可愛いツラにぶち当ててやろうか」

勇者「ひぃ…ぅ…参りました」

僧侶「私達の負けです…」


傭兵「ふははは! さぁ罰ゲームの時間だ」

勇者「やだよぉ…」

魔女「おめでとう。きっとあなたが勝つと信じていた」ギュッ

勇者「あっ、なに寝返ってるの! マナも罰ゲームにきまってるでしょ!」

魔女「…」ギュウッ

傭兵「言っとくけどお前が俺にしたことは忘れてないからな」

魔女「…!」スススッ

僧侶「なにすればいいんですか。砂浜を走るなんて無理ですよ」

傭兵「そうだなぁ。じゃあヒーラちゃんは俺と海に入ろう」

僧侶「はい?」

傭兵「泳ぎの特訓だ」

僧侶「いいんですか?」

勇者「わーいいなーボクも一緒に」

傭兵「お前は素振り。1000回」

勇者「…」むすっ


傭兵「マナは日陰で腹筋トレーニングでもしてろ」

魔女「…」コク

傭兵「悪いけどこいつら見張っといてくれるか」

宿屋の少女「え、はい…わかりましたぁ」

傭兵「よし、ヒーラちゃん、水飲んだらさっそく行こうか」

僧侶「はいっ!」


ソル様に泳ぎを教えてもらえるなんて思いもよりませんでした。
私は浮かれ調子のまま、浅瀬でソル様を手を握ってもらい、バタ足から練習を始めました。
遠目にユッカ様のじめっとした視線を感じます。

さきほどユッカ様に教えを乞うた時には散々な目に遭いました。
ソル様は私に優しく丁寧に泳ぎ方をおしえてくださいます。

ときどき腰をもってもらったりなんてして、私は水の中にいながらほんのりと体温の上昇を感じました。


傭兵「そうそう…良い感じ。もっと足のつけねから動かして」

僧侶「は、はい♪」

僧侶(ちょっとだけ幸せ…)バシャバシャ


しかしこの時の私にはこの先あんな出来事が待ち受けているなんて、想像もつかなかったのです。


第19話<ヒーラの受難>つづく

更新おわり 前スレは依頼出します
次回また夜に

乙!
マナは腹筋3回位しか出来なそうww
2号入ったままだし

乙!

エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!
乙!

乙です

魔王城建築計画
ソルはさしずめ囚われのプリン…プリンス?

マナにだんだん人間味が出てきてうれしい

おつおつー

帰宅遅れたのでまた明日に

了解
ゆっくり休んでください


毎日楽しみにしているよ

第19話<ヒーラの受難>つづき



傭兵「そうそう、いい感じ」

僧侶「…」パシャパシャ

傭兵「筋がいいなすぐに1人で泳げるようになりそうだ」

僧侶「ほんとですか!」

傭兵「あぁ。しばらく海に通うことになるだろうし、毎日練習だな」

僧侶「はっ、はい先生!」

傭兵「先生? そういえば、ユッカには教えてもらってないのか?」

傭兵「あいつ、さすがに運動は万能だよな?」

僧侶「ユッカ様はご自身の感覚で生きてらっしゃるので…」


 勇者『ちがうよヒーラ! そうじゃなくて、もっと体をバシャンバシャンって感じだよ!』
 
 勇者『鞭みたいに!』

 僧侶『えっえっ!? こ、こう…ですか…!』

 勇者『違うよー!ボクがお手本みせるね』 

 僧侶『きゃっ、手離さないでくださいっ…溺れちゃ…うっ』

 勇者『はぁーー。ヒーラは昔っから運動音痴だなぁ』

 僧侶(ユッカ様とくらべないでください…)ぶくぶく


僧侶「ってことになりますので…」

傭兵「はぁ」


傭兵「ん…いつのまにか深いとこまできたな」

僧侶「そ、ソル様…足ついてます」

傭兵「おう」

僧侶「ぜ、絶対離さないでくださいね?!」

傭兵「大丈夫大丈夫」

僧侶「絶対ですよ…」バシャバシャ

傭兵「……」

パッ

僧侶「あーいやですっ、イヤーっ!!! あああ死んじゃいますっ! やめっ、ソル様っ!」

傭兵「うそうそ。離さないってば」ガシッ

僧侶「…」むすっ

傭兵「ごめん。ちょっと可愛かった」

僧侶「…こんなところで1人にされたら溺れちゃいます」

傭兵(一応足つくんだけどな…)

傭兵「にしても、ほんとにヒーラちゃんは水属性なのか?」

僧侶「わかりません…なんの縁もないですよ」

傭兵「腕輪の珠はこんなに青く光ってるのになぁ」

僧侶「ですよねぇ……あれ」


傭兵「どうした?」

僧侶「いま…ソル様の背後に何か影が通ったような」

傭兵「ウミガメでもいるんじゃないか? さっき見かけたよ」

僧侶「そうでしょうか…」

傭兵「サメだったりしてな」

僧侶「や、やめてくださいよぉ…海で襲われたら勝てっこないんですから」

傭兵「とりあえず、浜に戻って休憩するか。俺もそろそろまた監視の時間だ」

僧侶「はい…」

 とぷん…ゆらゆら…

僧侶「…?」

僧侶(あれ…やっぱり何かいるような)

傭兵「よし、そろそろ手離していいか? もうだいぶ浅いところま―――」

傭兵「ひ、ヒーラちゃん…」

僧侶「…?」

傭兵「そ、それ…ビキニ、どうした…胸が」

僧侶「……え?」

僧侶「……!! いやーー!」


気づいた時には私の胸を覆い隠す布切れは失くなっていて、目の前のソル様に恥ずかしい姿を晒してしまいました。
そして申し訳ないことに、私は無意識に彼の頬を平手で打ってしまいます。

ヒーラの一人称編だなんて素晴らしい


傭兵「だっ。久しぶりに殴られたな」

僧侶「きゃーごめんなさいっ! …いやっ、見ちゃヤですっ」ぶくぶく

傭兵「ヒーラちゃん水着どうした」

僧侶「わかんないです…いつの間に脱げちゃったんでしょう」

傭兵「…」キョロキョロ

傭兵「あっ」

ソル様の視線の先では、私のビキニが波間をゆらゆらと漂っていました。

僧侶「あんなところに」

僧侶「どうして…」

傭兵「よし、取ってくるから」

僧侶「ま、まってくださいっ。一緒に…」ぎゅ

傭兵「ちょっ、のんびりしてたらどこかに流されちゃうぞ」

僧侶「だってぇ…ここちょっと深いんです!」

傭兵「大丈夫足つくから」

僧侶「でも波が…あぷっ、えほっ、波がきたら顔…あぷっ! えほっえほっ」

傭兵「わかった。背中に掴まってくれ」

僧侶「はい」


傭兵「くそっ、この」

傭兵「あっ、畜生。逃がすか」

僧侶「ソル様…また深いとこまで来てますよぉ」

傭兵「なんで浜のほうに流れていかないんだこいつ」

僧侶「ううう…」

傭兵「ダメだ。どこいった」

水のなかで動きの鈍るソル様は、悪戦苦闘してついには私の水着を逃してしまいました。

傭兵「ごめん」

僧侶「いえ…しっかり着用できなかった私が悪いんです」

僧侶「はぁ…買ったばっかりなのに」

傭兵「可愛い水着だったのにな」

傭兵「まぁ、そのうち浜に流れ着くだろう。回収できる可能性はある」

僧侶「…いまはどうしたらいいですか」

傭兵「…え…っと」


僧侶「まさか胸を丸出しのまま浜辺に戻るなんて言いませんよね!」

僧侶「人があんなにたくさんいるのに…」

傭兵「だよな…じゃあ俺が何か身に付けるものをとってくるから、ちょっとここで待っ――――」

僧侶「だからそれはイヤなんですっ!」がぶっ

傭兵「痛いっ、わかったわかった!」

僧侶「がうがう。それで溺れちゃったらソル様のせいですからっ!」

傭兵「どうどう。ちょっと落ち着こうな。動物みたいになってるぞ」

僧侶「ぐすっ…申し訳ありません。でも海の中は不安で」

傭兵「向こうの岩場に移動しよう。あの辺りなら人はほとんどいないはずだ」

僧侶「そうですね…あそこで待ちます」


【岩場】


傭兵「よっと、上がれるか?」

僧侶「はい…ん、しょ…登れ…な」

傭兵「お尻押し上げていい?」

僧侶「はい…んやっ、ん…しょ」

傭兵「ふー、これでやっと一息つけるな」

僧侶「ううう…私の水着…もう海なんてこりごりです」


ソル様がひょいと軽い身のこなしで私の隣にあがってきます。
私はこの岩場に登るのにあんなに苦労したのに…。
私は男の人との身体能力の差を痛感し、なおさらナイーブになっていました。

傭兵「はぁ…ほんとに見失っちゃったなぁ」

傭兵「あとちょっとで捕まえられるってなったときにサッと逃げちゃうんだよなぁ」

僧侶「やっぱり何かいたのでしょうか」

傭兵「ウミヘビか何かが誤ってひっかけて持って行ってしまったのかな」

僧侶「…」

私は丸見えになっている胸を抱きかかえるように隠して、ソル様を窺い見ると、
ソル様は笑顔で頭をなでて慰めてくださいました。

僧侶「はぅ…」

傭兵「さて、そろそろ羽織るものを取りに行ってくる」

傭兵「シャツでいいよな?」

僧侶「はい」


立ち上がって屈伸運動をするソル様をみて私はふとあることに気づきます。

僧侶(ソル様…あなたという方はこんな状況なのにもしかして…)


ソル様の海水パンツは誰が見てもあきらかなくらい、ふっくらとお山を作っていました。


傭兵「…ど、どうした。なんだか視線を感じるんだけど」

傭兵「まさか俺の筋肉に見惚れた? ふふ」

僧侶「…」ジトー

傭兵「はぁっ…そんなマナみたいな目しないでくれ」

僧侶「あの。私の勘違いなら申し訳ないのですが」

傭兵「な、なにかな」

僧侶「ソコ。そんなお姿で浜辺に、人前に戻る気でしょうか」

傭兵「…」

僧侶「否定しないんですね。もうっ」

傭兵「だってなぁ、ヒーラちゃんがそんな格好だから。俺は男なんだからこうもなるよ」

僧侶「これはハプニングなんですよ!?」

傭兵「むしろそのほうが」

僧侶「がぶっ」

傭兵「あいたたたっ、なんで噛むんだよ」

僧侶「ソル様って、私程度の力で叩いてもこれっぽっちも効いてませんもの」


傭兵「でもなぁヒーラちゃん…あたってるよ」

ふにっ

僧侶「…!」

傭兵「確かに。こんな状態じゃユッカたちのもとにも戻れないな」

傭兵「浜辺でおっ勃ててる不埒な野郎を取り締まるのも今回の俺の仕事だからな」

僧侶「ご自分がそうなってちゃ立つ瀬がないですよ」

傭兵「じゃあ、どうしたらいい?」

僧侶「…」

僧侶「脱いでそこの岩に腰掛けてください…」

傭兵「いいの?」

僧侶「は、はい…。いい…ですよ」

傭兵「じゃあお願いしようかな」

僧侶「終わったらすぐに取ってきてくださいね…?」

傭兵「おう。だんだん日も落ちてきたしはやめに終わらせよう」



ソル様は海水パンツをするすると下ろして、大きな岩の上に腰を下ろしました。
股間には赤く大きくいきり立ったモノが私を威嚇しながら待ち構えています。

僧侶「こんなにおっきくして…」

傭兵「ヒーラちゃんのおっぱいがすっごくエッチにみえた」

傭兵「やっぱこう、外でってのは良いな」

僧侶「何言ってるんですか」

私はソル様の足元に膝立ちし、彼の両足の間に身体を割り入れ、
眼前で天をつくように固くそびえ立つおちんちんを両手でそっと掴みました。

さきほどまで冷たい水の中にいたのに、それはとても熱くたぎっていて
その大きさに魅せられた私はおもわず鼻をくんと鳴らして、唇を近づけていきました。

ちゅっと唇のさきっちょがソル様の敏感な赤い部分に触れます。


傭兵「ヒーラちゃんそこにキスするの好きだね」

僧侶「…んっ、ちゅ」

僧侶「ソル様の大切なとこだから、優しくしないと…ちゅ」


私は左手の指でぎゅっと根本をつかんで、右手ですこし竿の部分をこすりながら、
かわいいさきっちょを口に含んで唾液をからませていきました。

僧侶「ちゅる…ちゅっ、ちゅむ」

僧侶「ちゅ…うふ。ちょっと塩辛いです」

傭兵「そりゃ海水だからな」

僧侶「ん…む、ちゅっ」

そのままおちんちんの裏っかわのすこし複雑な形をしている部分に
舌をぺっとりと這わせて、口内でひくひくとした脈動を感じながら、筋の部分を丁寧に舐めます。

するとソル様はすこしくぐもった声をあげて、私の頭をなでてくれました。


僧侶「ここ、すひれふか?」

僧侶「はむ…れろ、れろ…ちゅ、れろ」

傭兵「あぁ…ヒーラちゃんの舌がざらざらしてて気持ちいいよ」

僧侶「よかった…ちゅ」


この行為を俗にフェラチオと呼ぶそうです。
私は実は何度か練習を重ねていました。
相手はマナちゃんにもらった4号とよばれる木の棒です。



僧侶(4号よりも…ずっと熱くて、硬いのにどこか柔らかくて…おいしい)

僧侶(ずっと…我慢してたんですね)

僧侶「はむ…ちゅっ、れろ、れろ…えろ、れろ」

舐め続けているとソル様のさきっちょの小さい穴から、とても粘度の高いおしるが少しずつ溢れてきました。
私がそれを舌先でぺろりとなめとると、ソル様はあからさまにびくんと身体を跳ねさせて反応します。

私はその反応がうれしくっておもしろくって、何度も何度も小刻みにさきっちょを責め立てました。


傭兵「ひ、ヒーラちゃ…」

僧侶「…? れろれろ、れろ…あむちゅ…ちゅむ、れろぉ…♥」

傭兵「なんとなく…上手になったな」

僧侶「うふふ…はむ」

僧侶「竿の部分もうちょっと強くごしごしして大丈夫ですか?」

傭兵「あ、あぁ…」

僧侶「…♥」

 しゅっしゅっ しゅっ
  しゅっ しゅっ しゅっ

僧侶「あぁむ…ちゅ…れろ、れろ、れろ…」

僧侶(ソル様が私なんかのテクニックで喜んでくれてる…えへへ)


だんだんとソル様のおちんちんは大きく膨らんできて、
いよいよ限界が近いのかなと私は感づきました。
ソル様は依然として小さな声をもらすだけで、なにも教えてはくれません。

 しゅっ しゅっ しゅっ 
  しゅっ しゅっ しゅっ

僧侶「…? いっひゃっていいんれひゅよ」

僧侶「…ん、ちゅ…む…れろれろれろれろ」

傭兵「…ぁっ、あ」


だんだんと口のなかがソル様の匂いが満たされてきます。
唾液とおしるをぐちょぐちょに混ぜあわせて私はいやらしい音をあえて立てながらおちんちんを舐め続けました。

するとソル様は思いもかけず、私の頭を数度タップして、行為を中止するよう指示を送ってきました。

僧侶「…? ソル様?」

僧侶「もうちょっとだったのに…どうしちゃったんですか」

傭兵「…あのさ」

僧侶「…?」

傭兵「口の中でも出したいんだけど、今日はどっちかっていうと…」

ソル様はやや申し訳なさそうな顔で、私の何もまとっていない胸元をすっと指差します。

パイズリだあああああああああああああああああああああああああああああああ



それが一瞬なにを意味するのか私にはわかりませんでした。
しかし私の胸をじっと見つめる彼の目をみてようやく理解します。

僧侶「えっと…? も、もしかして…おっぱい…で」

傭兵「ヒーラちゃんに舐めてもらいながら、ずっと思ってた」

傭兵「それで挟んでもらったら、とっても気持ちいいだろうなぁって」

僧侶「…」

傭兵「…だめ?」

僧侶「…ぷっ。あはは」

傭兵「なんで笑うんだよぉ」

僧侶「ソル様おっぱい好きですか? 男の人ってそういうものですか?」

僧侶「うふふ…だったらぁ」

私は普段邪魔でしかたない大きな胸をそっと持ち上げて、ソル様の大切なところにそっと乗せました。
胸の谷間にはぴくぴく脈打つおちんちんがすっぽりとおさまって、真黒い顔をのぞかせます。


僧侶(あっ、なんかかわいい…)

傭兵「うあ…すげっ」

僧侶(これが嬉しいなんて…だめだめ、笑っちゃいそう)

傭兵「ヒーラちゃんのおっぱいあったかい…」

僧侶「ソル様のおちんちんのほうが熱いと思いますよー…?」



傭兵「頼む」

ソル様は普段見られないような情けない顔をして、私におねだりしてきました。
私は甘えてくれる彼がとっても愛おしく感じ、胸のお肉をきつくよせて彼自身をさらに強く包み込みます。

傭兵「おお…」

僧侶「これでどうしたらいいですか?」

傭兵「ごしごしできる?」

僧侶「はい…♪」

そして、私は胸でソル様のぬるぬるべたべたになったおちんちんをこすり始めました。

胸の谷間でとても熱く硬い肉棒が嬉しそうに跳ねます。

 
 ぬちゅっ ぬちゅっ
  ぬちゅっ ぬちゅっ


僧侶「…どうですか?」

僧侶「ちょっと…難しいです。リズム…よく」

 ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ
  ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ



僧侶「こんなのが気持ちいいんですか?」


たしかに肉の弾ける卑猥な音は立っているのですが、私にはこれがどうも気持ち良い行為には見えませんでした。
手や口でしたほうがよっぽど強い刺激を与えられているような気がしてたまりません。

しかし頭の上から聞こえるソル様の吐息は熱っぽく、
どうにも興奮しているように思えました。


僧侶(うふふ…気持ちいいなら良かった)

  ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ
   ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ

  ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ
   ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ
 
  ぬちゅ…ぬちゅ…
   

次第に粘液が乾いて滑りが悪くなってきました。
おっぱいでごしごしするだけでは、フェラチオやエッチとは違って汁気が十分に出ません。
ソル様のおちんちんのさきっちょから出るお汁だけでは物足りないのです。


僧侶(どうしようかな…)



行為をつづけたままチラと上を向いてソル様のお顔を伺うと、
ソル様は小さく舌を突き出して、ちょいちょいと指でつつくジェスチャーを見せてくれました。

僧侶「えっと…」

私は間違えていたらどうしようという不安を抱えながら、
おそるおそる唾液を胸の谷間に垂らします。

傭兵「正解」

僧侶「えへへ…」

こうして新たに潤滑剤を得て、また滑らかにおちんちんをこすることができるようになりました。


 ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ
  ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ


僧侶「はぁ…ソル様ぁ、いつでも出してくださいね」

僧侶「私のおっぱいを真っ白な精液で汚してください」

僧侶「遠慮せずに、たっぷりと…♪」

 ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ
  ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ



傭兵「うっ…ヒーラちゃん」


ソル様の焦り声とともに、胸の間で感じる熱い肉棒が激しく鼓動し、
おちんちんの先っちょの穴から熱い精液が噴火のように吹き出ました。

傭兵「…く、ぁ」

僧侶「…うふふ。イッちゃいましたね」

僧侶「うあっ、すご…止まりません」

僧侶「こんなにビューってしちゃって…気持ちよかったようでなによりです♪」


勢い良く飛び出た白濁液は私のあごや口元まで盛大に飛び散り、
胸元全体を汚していきます。
むわっと立ち込めるソル様の濃い素敵な匂いを目の前で嗅いで、私は頭がくらりと蕩けそうになりました。
ドロっとした精液は胸の間にもたくさん流れ込み、滑りは更によくなります。

 ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ
  ぬちゅぬちゅぬちゅ

傭兵「なっ、なんで…まだ」

僧侶「ほんとに全部出ましたか? まだ…残ってるんじゃないですか」

僧侶「全部出しましょうね。ほら、ほら♥」

 



そしてすぐさま二度目の射精。
次は小さく震えるようにぴゅっぴゅと白い塊が飛び出て、予め構えていた私のお口の中に飛び込んできました。

私はソル様の濃厚な味を舌でしっかり味わってから、粘っこいそれをゴクンとのどの奥に流し込みました。

僧侶「~~っ♪」

傭兵「…」


ふと顔をあげるとソル様は呆れ顔でこちらを見ていました。

僧侶「あ、あの……っ」

傭兵「君はいつのまにそんなエロい子になったんだ…」

僧侶「うっ…!」

僧侶「そ、そんなの…っ!」

私は彼の太ももにパチンと手をついて、勢い良く身を乗り出し、油断だらけの唇を奪いました。

僧侶「はむ…んっ、ちゅぅ♥」

傭兵「!?」

僧侶「ぷは……あなたのせいですよ♥」

傭兵「…ヒーラちゃん」


傭兵「げぇほっ、げほっ、やめてっ精子飲んだ直後でキスはダメだ…まじでダメだげほ」

僧侶「えぇー……」

どうやら禁止らしいです。



  ・  ・  ・


傭兵「それじゃシャツをとってくる」

僧侶「はい」

傭兵「少し戯れすぎたな」

僧侶「秘密のデートってことでお願いします…♪」

傭兵「わかった」なでなで

僧侶「んっ…ほんとは時間があれば…もっと」

傭兵「そうだな。帰ったら…続きしようか?」

僧侶「…っ! は、はい…! ご、ご無沙汰ですもの…ね?」

僧侶「って…ソル様はここのところ毎晩ユッカ様やマナちゃんと…」ズーン

傭兵「大丈夫! ちゃんと今晩はヒーラちゃんだけを愛します」

僧侶「本当ですか…?」

傭兵「約束する。ヒーラちゃんと二人っきりで寝ます」

僧侶(やったぁ…♥)

僧侶「…♪」ぎゅ

傭兵「いい子だ。しばらくここで待っててくれな」

傭兵「俺は岩場伝いで動けるから、取りに戻るのはすぐだ」

僧侶「いってらっしゃいませ!」



ソル様はぴょんぴょんと軽快に岩場を飛びながら去って行きました。


僧侶「いいなぁ…私もあんなふうに動けたらきっと足をひっぱらずにすむのに」

僧侶「…胸洗っておかなきゃ」


私は岩場に前のめりに伏せ、ぐっと手を伸ばして海の水を掬おうとします。


僧侶「もうちょっと…もうちょっと…」

僧侶「ん…しょ…」

僧侶「うわわっ、滑って落ちちゃうかも。やめとこう」

しかし岩場と海面の距離は思った以上に広く、私の指先は水面を弾く程度しか叶いませんでした。

僧侶「胸が邪魔…」

僧侶「…あれ?」

気づくと目の前には見慣れた布切れがふよふよと漂っていました。

僧侶「…どうして」



僧侶「見つけた! やった…!」

僧侶「んーーっ」

すくい上げようにもギリギリのところで手が届きません。

もどかしさに私は歯を食いしばって大きく身を乗り出し、腕をめ一杯伸ばしました。

そしてなんとか指先でビキニの紐をつかむと、

突然腕に何かが絡みつき、そのまま引っ張らり込まれ、
私の身体はあっという間に水のなかに真っ逆さまに落ちてしまいました。


僧侶「んぅ…ぶ、ぶく」

うまく呼吸ができませんでした。
天地の感覚を失い私は完全にパニックになっていました。

うっすらと目を開くと、目の前にはぼやけた黒い影。
はっきりと姿をとらえることはできません。
腕には依然何かが絡みついていて、私をぐいぐいと引っ張ります。

そしてその謎の影は私の背後に回りこみ、ぴったりと背中に張り付きます。
人のようなわずかな温かみを感じました。

僧侶(何…怖い…助けて…)


私は薄れゆく意識の中で不思議な声を聞きました。


 『手に入れた…スキュのお嫁さん…♪』



第19話<ヒーラの受難>つづく

更新おわり
次回本日夜22時~

乙、今日はよく眠れそうだ

まさか、ヒーラちゃんがタコ足に・・・!?
乙!

やっぱりヒーラちゃんがナンバーワン!ヒーラちゃんがナンバーワン!

乙!

蛸と海女クル━━━━(゚∀゚)━━━━ !?

ヒーラちゃんとヤりたい
この子は性格がすごいツボだ

第19話<ヒーラの受難>つづき



僧侶「……けほっ、けほっ」

僧侶「う…私は…」

僧侶「確か…海に落ちて…」

僧侶「ここ…どこでしょう」


気づけば上下左右ゴツゴツとした岩肌。
おそらく洞窟のような場所でしょう。
目の前に大きく開いた入り口から見える風景は、一面のオレンジに染まった海と鮮やかな夕日。
ほんとうにただそれだけ。


僧侶「海…」

僧侶「って! あ、あれ!? 私さっきまで浜辺の側の岩場に…あれ?」

僧侶「どうして…陸地が見えなくなってるんでしょう…」

僧侶「ここに流れ着いちゃったのかな…」

僧侶「ソル様! いらっしゃらないのですか! ソル様!」



???「スキュのお嫁さん」

僧侶「!」

ふいに背後から声がしました。
おそろおそる振り返ってみるとそこには…。

???「お嫁さん! 元気なった!」

私と同じくらいの歳の女の子が顔をほころばせて嬉しそうに両手をあげていました。
しかしその姿は明らかに異形で、下半身に人の足はなく、代わりに無数の太いタコの足がうごめいています。

僧侶「!」

僧侶「タコ…!? あ、あなたは魔物ですよね…」

???「スキュのお嫁さん」

僧侶「スキュ…?」

???「スキュはスキュラ。お嫁さん手に入れた」

僧侶「な、なにを言ってるのかよくわからないです」



私は恐怖心に駆られながらもしばらくの間そのたどたどしく喋る魔物に問答を繰り返し、ようやく得られた情報は、

この子はスキュラという蛸の魔物で名前はスキュ。
私を海に引きずり込んだのはこの子ということ。
ここはこの子の住処で、陸から離れた小さな島の入江だということ。

そしてこの子は、私をお嫁さんとして連れてきたということ。


蛸娘「…」ぬるぬる

僧侶「…ちょ、ちょっと待って下さい」

僧侶「お嫁さんってなんですか」

蛸娘「スキュのお嫁さんはスキュのお嫁さんになるためにスキュがつれてきた」

僧侶「えっ、えっと…ややこしいですね」

僧侶「私はヒーラといいます」

蛸娘「ヒー…ラ…。スキュのお嫁さん」

僧侶「…」ガクッ

蛸娘「ヒーラ、スキュのお嫁さんになる。スキュのお嫁さんになると嬉しい」


僧侶「それより、水着…返してくれませんか」

蛸娘「はい!」スッ

僧侶「これあなたが盗ったんですよね」

蛸娘「?」

僧侶「私を誘拐するために…おびき寄せたんでしょ」

蛸娘「スキュのお嫁さんだよ」

僧侶(うう…話が通じない)

僧侶(この子は間違いなく魔物でしょう。聖性を感じませんし、女神の類ではないはず…)

僧侶(オクトピアの町長さんの依頼の幻の蛸娘って…もしかしてこの子のことなのかな)

蛸娘「…?」ぬるぬる

僧侶(とにかく、帰る方法を考えないと)

僧侶「あの、私っ、元の場所に帰りたいんですけど!」

蛸娘「スキュのお嫁さんはここでスキュのお嫁さんしなきゃだめ」ぬるぬる


無数のタコ足が私の体へと忍び寄ります。
逃げようとしても足を取られ、私はあっという間に捕まってしまいました。
ぬるぬるとした感触に身の毛がよだち、気丈に保っていた心がだんだんと崩れ始めてきました。


僧侶(私…一体どうなっちゃうの…)

僧侶(ソル様…助けて)

蛸娘「ヒーラ。スキュのお嫁さんにふさわしい。スキュと赤ちゃんつくる」

僧侶「いっ、いやっ!」

僧侶「帰りたいんですっ! 私は人間なんです!」

蛸娘「…」うねうね

僧侶「くっ…あんまり変なことすると、やっつけちゃいますよ!」

僧侶「私は聖職者なんですから魔物なんて簡単に…!」


どれだけすごんでみても杖をもたない私なんて赤子も同然、
さらにさきほどのビーチバレーで魔力を使い果たし、
ソル様との泳ぎの訓練で体力まで消耗していました。

そんなへとへとの私がこの太いタコ足をふりきれるはずもなく、ただされるがままに抱き寄せられて、
スキュちゃんに頬を寄せられてしまいました。


僧侶「あうっ、やだ! まってください」

蛸娘「お嫁さんなでなで」

ぬちょぬちょ

僧侶「お嫁さんになんてなりません!」

僧侶「だいたい女の子同士ですよ! おかしいじゃないですか!」

蛸娘「でもスキュはヒーラがお嫁さんになってほしい」

僧侶「いやですっ」

蛸娘「抵抗したらだめ。おしおきする」

僧侶「…! なっ」

蛸娘「おとなしくして」

僧侶「なにをするっていうんですか…」

蛸娘「ヒーラ、海のなかで息できない。スキュのいうこと聞くまで海の中ざっぷんする」

僧侶「え…」


とても嫌な予感がしました。
その予感は的中して、私はスキュちゃんに絡め取られたまま、海の中へと再びひきずりこまれていきました。


僧侶「ごぼっ!? ごぼ…」

僧侶(水…! 息が…助け…)

蛸娘「スキュのお嫁さんなる?」

僧侶(…!)

僧侶「ごぼ…ごぼ…」

僧侶(イヤです…)フルフル

蛸娘「…」ぬるぬる

蛸娘「ヒーラ息できない。スキュ、お嫁さんが死んだらかなしい」

僧侶(苦しい…)

僧侶「ごぼっ…ごぼぼ…ん」

蛸娘「お嫁さんがんばる。スキュお嫁さんにひどいことしたくない」

蛸娘「スキュのお嫁さんになるなら息できるようにしてあげる」

僧侶(苦しい!苦しい!空気!空気!)

僧侶(死んじゃうっ! 死んじゃう)

蛸娘「スキュのお嫁さんなる?」

僧侶「!!」コクコク



ざばっ

僧侶「はぁーはぁー…ごほっ、げほ」

僧侶「な、なんてことを」

蛸娘「スキュのお嫁さん♪」ぎゅ

僧侶(私なんかじゃ到底逆らえないってことですか…)

僧侶(どうしたらいいんでしょう…)

僧侶(あぁ日が暮れてしまう…ここまさか真っ暗になるんじゃ…)

蛸娘「お嫁さんあったかい」ぴとっ

僧侶「ううう…」

僧侶(得体のしれない魔物と知らない場所で夜を過ごすなんて)

僧侶(私は帰れるのでしょうか…もしかして一生ここで…?)

僧侶(もう二度とユッカ様たちと会えない…そんなの…)

僧侶「ぐすっ。うええええん…ぁぁああ。うぇぇぇ」

堰を切ったように涙があふれ、とどまることはありませんでした。

蛸娘「…なかないで。スキュお嫁さんと仲良くしたい」

僧侶「わぁああん」



【浜辺】


傭兵「くそっ、どこに行ったんだ」

勇者「ヒーラ…どこなの」

傭兵「ユッカ、お前の魔覚で探せないか」

勇者「さっきからやってるよぉ…けど、ぐすっ、ヒーラの感覚がどこにもつかめなくて」

勇者「浜辺には人がおおすぎてわからないよ…」

勇者「どうしよう…ヒーラ溺れちゃったのかな」

傭兵「…俺のせいだ。くそっ」


ざばっ

宿屋の少女「この辺りを潜ってさがしてみましたが、ヒーラさんの姿はありませんでした」

宿屋の少女「どこへいったのでしょう…」

勇者「勝手に街にもどったのかな…」

傭兵「いや、そんなわけはない…そんなことをできる子じゃない」


魔女「念のため捜索してみる」

宿屋の少女「街はとても広いですよ。どうするのですか」

魔女「この子たちを使う」

魔女「出てきて、魂達」ボッ

▼魔女は無数の火の玉を呼び出した。

傭兵「これは…いつぞやの」

火の玉「…」ぐるぐる

勇者「いっぱい増えてる…」

魔女「館で私が手に入れた子たち」

魔女「ヒーラを探して。行って」

火の玉「…」ふよふよ

魔女「街の中は私が探す。あなたたちは海辺を」

傭兵「ああ」

勇者「ヒーラ…どこいっちゃったの…やだよぉ」


勇者「ヒーラがいなくなったら…ボク…ボクっ」

傭兵「すまない…俺のミスだ」

傭兵「また…失ってしまうのか…大切な人をこんなことで」


サキュバス「グッドイブニング。やぁねぇ、しみったれた顔して」

傭兵「淫魔…」

勇者「サキュ…」

サキュバス「なに? とうとうあたしの出現に身構えなくなったのね」

傭兵「お前の相手をしている時間はない」

サキュバス「事情はしってるわよぉ。勇者とあたしは心がつながってるのよ!」

サキュバス「だからさ、そんな悲壮な感情をもたれるとめんどくさいのよねぇ。あー湿っぽい」

勇者「あっちに…いけ」

サキュバス「手を貸してあげるって言ってるの!」

勇者「え…」

サキュバス「あんたたちいっつもあたしのことを蚊帳の外にするんだからぁ。心外よね」


サキュバス「えーっと、あの乳のムカつく子が消えちゃったのよね」

勇者「…」

サキュバス「よね?」

勇者「そう…ぐすっ、うえええんヒーラあああああっ」

サキュバス「あらら…」

サキュバス「あたしとしてはあんな子いないほうがせいせいするんだけど。ま、しかたないか」

サキュバス「ほらコレを見なさい」

勇者「…なにこの球」

サキュバス「水晶球よ。あたしは占いも得意なの」

サキュバス「あの子の今の様子を占って、ここに映してあげる」

勇者「ほ、ほんと!?」

サキュバス「できるかどうかはわからないけどね、相手魔力の反応をたどるわけだから」

勇者「でもボクの魔覚にすらひっかからないのに…そんなの無理だよ」

サキュバス「そうねぇ…」

サキュバス「あんたのその兜にはまってる宝石貸しなさい」


勇者「虹の珠?」

サキュバス「あの乳も今おんなじの持ってるでしょ」

勇者「う、うん! 持ってる!」

勇者「ねぇソル、ヒーラは腕輪に珠をくっつけてるはずだよね!」

傭兵「あぁ! 腕輪をしていれば、必ず側にあるはずだ!」

サキュバス「もともとこの珠は4つで1つのようね」

サキュバス「魔力の波動は強く結びつき…互いにひかれ合う」

サキュバス「珠を強く握りしめて、あの子のことを想いなさい」

勇者「やってみる…」ぐっ

魔女「私も…」ぐっ

傭兵「お、俺も!」

サキュバス「あなたは多分意味ないけどねぇ」

勇者(ヒーラお願い…無事でいて)

魔女(あなたがいないと私達は暮らしていけない)

傭兵(ヒーラちゃん…俺は君との約束を果たしたい。応えてくれ)

サキュバス「さぁ、映すわよ」


傭兵「何か見えてきたな」

勇者「暗くってよくわからないよ」

魔女「見づらい」

サキュバス「ここはどこかしら。この場所にあの子の珠があるはずなんだけどね」

勇者「あっ! ヒーラいた! ここ!」

傭兵「動いてる…よな?」

勇者「よかったぁ…生きてる。ヒーラぁ」ぺちぺち

サキュバス「こらこら。水晶球には触らない」

宿屋の少女「これ…洞窟かもしれませんね」

傭兵「洞窟? そういえばそんな感じだな…」

宿屋の少女「波が穏やかに見えますので、どこかの入江の洞窟かも…」

傭兵「洞窟…このあたりではないのか」

宿屋の少女「そうですね…このあたりの崖にこんな大きな洞窟はなかったはずです」


傭兵「ヒーラちゃんはどうやってこの場所に来たんだ」

傭兵「泳げなきゃ来られないだろ?」

宿屋の少女「そうですね…」

勇者「ねーなんかぼんやりしてきたよ」

勇者「サキュ! もっとはっきり映せないの?」

サキュバス「無茶言わないで。魔力の反応が鈍いわね、相当遠くってことかしら」

サキュバス「なんにせよ、無事そうでよかったじゃない」

勇者「うううよくないよぉここがどこかわからなきゃダメじゃん」

サキュバス「そんなのあとはあんた達で探しなさい」

サキュバス「あたしは、あのムカつく乳娘がいなくなってせいせいしてるの」

サキュバス「あの子の魔力、だいっきらいだから」

勇者「…ぐすっ」

サキュバス「あ……」

傭兵「おい」

サキュバス「ぐ、グッナーイ! 水晶球は一応おいて行ってあげるから! 消えるまで見てなさい!」パタパタ


傭兵「つってもなぁ。こんなぼやけた風景から探すなんて無理だろ」

宿屋の少女「…この広さ、もしかして」

傭兵「ローレさんはなにかわかるのか?」

宿屋の少女「あ、いえ…」

魔女「…」つんつん

宿屋の少女「はい?」

魔女「あなたは悪魔をみてびっくりしないの?」

宿屋の少女「えっ、あ!? そ、そういえば…いまの方、おかしな羽や尻尾が生えてましたね…あはは」

傭兵「今頃気づいたのか」

魔女「……」

傭兵「それで、なにかわかるなら教えて欲しい」

宿屋の少女「ええと。ここ、例の海賊が使っている入江かもしれません」

傭兵「海賊?」

傭兵「たしかに…船を隠すには十分な広さだな」

傭兵「だとするとヒーラちゃんは海賊にさらわれてここに軟禁されているのか」

勇者「た、たいへんだよ…ヒーラが殺されちゃう」


傭兵「まて落ち着け。ヒーラちゃんを誘拐したとしたら、目的は身代金だろう」

傭兵(いやヒーラちゃん自身を目当ての可能性もあるがそれは考えたくない…)

傭兵「とにかく俺はこの話を警備隊に持っていって、なんとか明日から捜索に加えてもらえるように打診をする」

勇者「うん!」

傭兵「お前たちはこの入江の情報を集めてくれ」

魔女「わかった」

宿屋の少女「お手伝いします」

傭兵「いいのか?」

宿屋の少女「ヒーラさんは大事なお客様です! それにこのオクトピアで人さらいなんて…許せませんっ」

宿屋の少女「必ず犯人を見つけて三枚に下ろします!」

傭兵「た、頼もしいな…ほどほどに頼む」

勇者「ヒーラ、すぐに助けに行くからね。もう少しだけ、我慢してね」すりすり


魔女「もしたまたま流れ着いただけなら、ヒーラの命は時間の問題」

傭兵「急いだほうがいいな」

勇者「ヒーラ、きっと不安で寂しくて泣いてるよね…だって女の子だもん」

勇者「できれば…ヒーラの声が聞けたらいいんだけど」すりすり


 『はぁーーおいしい♪ これが取れたての海の幸なんですね!』


勇者「…んぅ?」


 『こんなに身がぷりっぷりで、何も調味料がなくてもおいしいなんて!』

 『おいしい? ヒーラ元気になってよかった』

 『あとは綺麗なお水があれば良いのですが。私、海水でべたべたで…喉も乾いちゃったし』

 『そっち、岩肌からお水…ピューって吹き出てる。飲んでいい』

 『ほんとですか? よかったぁ…』 

 『お湯じゃないのは残念ですけど、これでもないよりマシですね!』ぬぎぬぎ


勇者「…」

傭兵「えらく元気そうだな…」

魔女「図太い」

勇者「ソルは見ちゃだめ!」べしっ

傭兵「いってぇ! こんなのぼやけすぎで見えねぇって!」



第19話<ヒーラの受難>つづく

更新おわり
次回土曜夜22時~

乙!

サキュさんまじ有能。このまま情に絆されてもいいのよ
乙!

乙です

乙!
ユッカに続いてヒーラまでポンコツにww

楽しんでるじゃないですかー

乙、ヒーラ強いな

第19話<ヒーラの受難>つづき


<夜>

【スキュラの洞窟】


僧侶「ん…ふぁー…」

僧侶「そろそろ寝むたくなってきちゃった」

僧侶「それにしても…こんな洞窟にランプから包丁までなんでもそろってるなんて幸運…」

僧侶「これはスキュちゃんの私物なんでしょうか…」

僧侶「魔物も人型ならお料理くらいするのかな…??」

僧侶「私にはスキュちゃん以外の誰かがここで生活していた名残のように感じるのですけど…気のせい?」

僧侶「今晩どこで寝よう…」

ざばっ

蛸娘「スキュのお嫁さん。もう寝る?」

僧侶「え、はい…真っ暗ですし、灯りも心もとないので。寝ます」

蛸娘「…」ぬるぬる

蛸娘「ヒーラはスキュのお嫁さんだからスキュと一緒に寝る」

僧侶「う…まだ言ってる」


僧侶「一緒には寝ません」

僧侶「朝になったら私を元の場所に返してもらいます」

蛸娘「……またザブザブする?」

蛸娘「夜はお水冷たい。ヒーラザブザブしたら死ぬ」

僧侶「ひっ」

蛸娘「スキュ、ヒーラと仲良くなりたい」

僧侶(魔物と仲良くなんて…そりゃ顔はどうみても人間ですけど…)

蛸娘「スキュのこときらい?」

蛸娘「スキュのお嫁さんになってほしいのに」

僧侶「何度もいいますけど、あなたに必要なのはお婿さんですよ。女の子なんですから」

蛸娘「?」

蛸娘「スキュはお嫁さんがほしい。ヒーラがお嫁さん」

蛸娘「スキュの赤ちゃんいっぱい産んで!」ぬるぬる

ぞわぞわ

僧侶「きゃっ」

僧侶「ちょっと打ち解けたと思ったらこれなんですから…っ!」



スキュちゃんの自由自在にうごめく触手のようなタコ足が私の体に絡みついてきます。
さきほどまで海の中にいたのでそれはとてもつめたく、ぞわぞわとした悪寒が背筋を走り、私はおもわず素っ頓狂な声を上げてしまいました。

蛸娘「どうしてスキュと赤ちゃんつくりたくないの?」

僧侶「あ、あたりまえじゃないですか!」

僧侶「赤ちゃんは…好きな人どうしでつくるんです」

蛸娘「?」

蛸娘「好きなひと…スキュ!ヒーラ好き! 赤ちゃんつくろ」

僧侶「ちがいますっ、相思相愛ってわかりますか」

僧侶「お互いに好きじゃないとダメなんです」

蛸娘「ヒーラはスキュのこと嫌い?」

僧侶「…」

スキュちゃんは哀しそうな目でじっと私のことを見つめてきました。
ここで下手に拒絶したら、また海に沈められてしまうと予感した私は曖昧な返事を返すことしかできませんでした。

僧侶「きらいじゃ…ないですけど」

僧侶「赤ちゃんをつくりたいほど好きじゃないです」

蛸娘「じゃあスキュのこと好きになって!」ぬるぬる



完全に体はタコ足に拘束され、私は身動きひとつとれなくなってきます。
8本もあればかよわい女一人の全身の自由を奪うことなんて容易いことでした。
その上大きな吸盤が肌のいたるところに吸い付き、離そうとしてくれません。

首元にも太い足がまきつき、呼吸が乏しくなった私はだんだんと思考が鈍ってきました。


蛸娘「スキュのこと好き好きにしてあげる」しゅるしゅる

僧侶「う…えほっ、やめ…」


ぬるっとした粘液に包まれた触手足がビキニの中に簡単に潜り込み、
私の乳首にぷちゅりと吸盤で吸い付いてきました。

下の方にも潜り込んで、まだ何も準備のできていない秘部を上からぬるぬるとなぞります。

僧侶「あっ、いやっ…」

蛸娘「いやじゃないよ。スキュね、ここ触ると気持ちいい。スキュのお嫁さんもきっときもちいい」

蛸娘「スキュのこと大好きになるよ」

僧侶「だめなんです…そこはイヤです」



蛸娘「ヒーラの赤ちゃん出てくるところに、スキュの足をいれるの」

僧侶「なっ、なんでそんなことを…っ」

僧侶「やめてください。足をいれたってなんにも」

蛸娘「そしたらね、スキュの足の先っちょから真っ白な体液が出るの」

蛸娘「それでね、ヒーラはスキュのお嫁さんになって赤ちゃん産むの」

僧侶「ま、まさか…」


そのまさかでした。
私の眼前をうねうねとうごめくタコ足の先っぽをよく観察してみると、
先端には小さな穴が空いていて、そこからトロリとやや白みがかった液体がこぼれ落ちています。

この時私はこのスキュラという種族をようやく理解しました。
オスなど必要なく、多種族のメスを捕まえて、妊娠させるのがこの子たちの生殖行為なのだと。
そしてこれがいま、私のあそこを撫でている…。


蛸娘「スキュのお嫁さん♪ かわいいかわいい」

僧侶「い、いやぁぁあ…」

真っ白な液体入りましたー



拒絶する私の口に目の前のタコ足が入り込んできました。
そして間髪入れず、生臭いドロドロとした液体が口内に吐出されます。

僧侶「おぶっ!? んぐぅうう」

僧侶(喉が…焼けちゃうっ)

蛸娘「スキュの赤ちゃんのおしる。お嫁さんにいっぱい食べさせてあげる」

蛸娘「お魚だけじゃお腹いっぱいならないでしょ」

蛸娘「体力いっぱいになって、元気な赤ちゃん生む!」

その体液は元気にビチビチと跳ねるように喉奥で暴れ、胃の中に落ちていきました。
こんなものを膣内に射精されたら間違いなく妊娠してしまいます。

僧侶(やだ…私はソル様の…)


ソル様の赤ちゃんがほしいと、いつか打ち明けるつもりでした。
旅がおわって、一時の平和が訪れたら、真っ白なドレスに身を包んで、
大神殿ではなく小さなチャペルで慎ましい挙式をあげて、
そしてやわらかいベッドで身も心も彼のものになりたい。
それが私がここ最近思い描いた淡い理想でした。



やがて、下着に潜りこんだタコ足の先が、ちゅくりと私の陰唇をかき分ける感触がしました。

僧侶「!!」

僧侶(こんな誰もしらない薄暗い洞窟で)

僧侶(魔物の女の子にはらまされて、一生蛸の赤ちゃんうみつづけるなんて…)

僧侶(そんなの、そんなの!)


どうあがいても、手も足も動かせませんでした。
口だって大きなタコ足に封じられ、呪文を詠唱することすら叶いません。
仮に唱えられても、いまは杖をもっていません。

だけど私の心と体にははっきりとした火が灯っていました。

火照った体からたくさんの魔力があふれてくるのを感じます。


蛸娘「!」

蛸娘「スキュのお嫁さん…元気になってきた」

蛸娘「スキュの赤ちゃんのおしる飲んで元気でた」

僧侶「んぐぅ、んぐっ」

僧侶(私は…あなたのものにはならない!)

僧侶(私の体は私のもの! 大好きな人に捧げるものなんです!)


僧侶「かぷ」

蛸娘「! 痛い…噛んじゃ嫌い」

僧侶「がぷ…」

蛸娘「痛い…スキュのお嫁さん、悪い子」

蛸娘「おしおきするよ?」

僧侶「がぶっ」

蛸娘「!!」

私の剣幕におされ、スキュちゃんはタコ足を私の口から引き抜きました。
ドロリとした精液が口の端からたくさんこぼれて、私の胸元を白く汚していきます。

僧侶「えほっ、えほ…」

蛸娘「おとなしくなしないとスキュ怒るよ」

蛸娘「ざぶざぶする? ざぶざぶしながら、スキュの赤ちゃんのおしるいっぱいいっぱい注いであげるね」

蛸娘「そうしよっか」

僧侶「くっ」

蛸娘「嫌ならごめんなさいして。そしたらここで優しく赤ちゃん産ませてあげる」

蛸娘「つめたいお水の中がいい?」

僧侶「どのみちそうするつもりなんでしょ…!」

僧侶「私は…あなたのお嫁さんにはなりません!」

腕に嵌めていたブレスレットの蒼珠が強く輝きだし、洞窟の中を真っ青な光に染めてあげました。
スキュちゃんが一瞬目をくらませた隙に、私は詠唱をはじめます。


僧侶(この純度の高い魔宝石なら、きっと私の魔力を伝達して魔法を発現してくれるはず)

僧侶(そうですよねマナちゃん、キュウさん…信じますよ!!)

僧侶「せ、聖守護結界!」

僧侶(お願い…私を守って!)

▼僧侶は光の壁を創りだした。

蛸娘「!」

バチッ バチバチッ…

蛸娘「…っ!?」

蛸娘「うううっ」ぬるぬる

▼蛸娘は逃げ出した。

僧侶「ハァ…はぁ…」

僧侶「出来た…?」

僧侶「で、できました…杖もないのに!」

僧侶「やったぁ」

蛸娘「…」じーー

僧侶「う…まだいる。私の本気がわかりましたか!」

蛸娘「…」つんつん

バチバチッ

蛸娘「!」

僧侶「これで魔物は近づけませんよ。ここから先は立ち入り禁止です!」


蛸娘「…」ぬるぬる

蛸娘「スキュのお嫁さん…スキュの赤ちゃん産んでくれない」

僧侶「私は、自分より強い相手のお嫁さんにしかなりません!」

僧侶「というかもう相手は決まってます!」

僧侶「つまりあなたの赤ちゃんを産むことはありませんし、子作りだってしません!」

蛸娘「…」うねうね

僧侶「わかってくれましたか?」

蛸娘「ヒーラ、強い。スキュのお嫁さんにしたら、丈夫な赤ちゃん産む」

蛸娘「だからますますお嫁さんにしたくなった」

僧侶「…」ガクッ

僧侶「あ、あのですね…この状況では私には手出し無用なんですよ?」

僧侶「この光の壁がわかるでしょう? 魔物が触れたら痛いですよ?」

蛸娘「…」つんつん

バチバチッ

蛸娘「…痛い」

僧侶「これ以上痛い目にあいたくなかったら、私の言うことを聞いてください!」

蛸娘「…はぅう」


僧侶「ふ、ふふ…これで逆転です」

僧侶(まぁ、所詮ただの防護壁なので魔力が切れるまでの脅しにしかなりませんけどね)

僧侶(どうして私攻撃魔法つかえないんでしょう…)

僧侶(早く誰か助けにきてください…)ぐすっ



<翌朝>


僧侶(うー…ろくに眠れなかった…)

蛸娘「…zzz」

僧侶「! なんで側に…」

蛸娘「スキュのお嫁さん…zzz」

僧侶「そんなに私のことを…ダメだって言ってるのに」

僧侶「…他に仲間はいないのでしょうか」

ぐー

僧侶「う…お腹が…」

僧侶「そういえば奥に備蓄があったような…」


洞窟の奥には明らかに人の住んでいた痕跡があり、物であふれていました。
大きな棚にはたくさんの海図が収まっていて、小さなテーブルは物で散乱しています。
私は昨夜そこからランプやナイフを見つけ出し、難を逃れることができました。


僧侶「明るいうちに…探しちゃおう」


洞窟の壁にはところどころにまるで窓のように穴が空けられて、そこから日が差し込んでいて、外をうかがう事ができます。
これの穴をスキュちゃんが空けたとは到底思えません。
この洞窟が人為的に手が加えられていることは間違いありませんでした。

僧侶(だとしたらここは一体)

棚から無造作に一枚の海図を引っ張り出します。
たくさんの島が描かれ、ところどころに赤いインクでバツマークが書き記されていました。

僧侶「せめてここがどこかわかればいいんですけど…」

僧侶「どうやって知らせましょう…」

僧侶「スキュちゃんを脅して連れて帰ってもらうのが現実的ではありますが」

僧侶「おそらく、海に出ると私の分は悪いでしょうし…またざぶざぶされたらもう身を守る術はないかも…」


なにか使えるものはと辺りを見渡すと、古びたサーベルや盾、
男物とみられる日褪せした色のシャツなどが箱にぎゅうぎゅうに押し込められていました。


僧侶「シャツ…着ようかな。いつまでもこんな格好嫌ですし…」



ごそごそ


僧侶「うーん使えそうなものはないですね…」

僧侶「こんなボロっちい剣じゃスキュちゃんと戦うのは難しいし、盾も使い方がわかりません…」

僧侶「せめて杖があれば…」

そう思って広くもなく狭くもない洞窟をうろうろと散策していると、私は壁になにか茶色い出っ張り棒のようなものを見つけました。

僧侶「これは…?」

そこは昨夜私が水を飲んだり、シャワー代わりにつかった真水の吹き出る岩盤でした。
大きな亀裂の中にそのとても長い木の棒は深く突き刺さっています。

僧侶「…? なんでしょうこれ」

僧侶「昨晩は暗くて気づかなかったのかな」

蛸娘「おはようスキュのお嫁さん」

僧侶「! ひっ、スキュちゃん…」

僧侶「だ、だめですよ近づかないでください! また痛い壁張りますよ!」

蛸娘「…」ぬるぬる

蛸娘「その棒、スキュ知ってる」

僧侶「えっ?」


蛸娘「スキュたちの大事な棒」

僧侶「なんなんですか?」

蛸娘「命の湧き出る棒。それがあるから、おいしいお水ここにジャボジャボ出てる」

僧侶「へぇ……?」

なにをいってるのかさっぱりわからなかったのですが、とにかくこれは私にとってもここでの暮らしに欠かせない大切な棒になりそうなので、
とりあえず手を合わせてスキュちゃんと一緒に拝むことにしました。

僧侶「…あれ」

この深々とつきささった謎の棒をみていると、不思議と手首の辺りががじんじんと熱くなってくるような気がしました。

僧侶「…?」

僧侶「私の珠が、共鳴してる…一体どうして」

珠はまるで私になにかを伝えるかのようにキラキラと蒼く輝きます。

蛸娘「スキュがお嫁さんをここに連れてきた意味があった」

蛸娘「ヒーラはやっぱりスキュのお嫁さんになるにふさわしい人」

それはどういう意味、と彼女に問おうとした瞬間、
洞窟の入り口のほうからたくさんの足音と笑い声が聞こえてきました。



やがてずかずかと複数の男性が洞窟の中に入ってきました。

彼らはみんな上半身裸で、頭には赤いバンダナ、腰には大きなサーベルを携え、同じ格好をしていました。


僧侶「あ、あなたたちは…」

海賊A「おんやぁ? 俺たちのアジトにこんなべっぴんさんがいるたぁ」

僧侶「あ、アジト!? こ、ここはあなたたちの…」

海賊B「ひゃはは、どうしたってんだお嬢ちゃん。知らねぇで迷い込んだのか」

海賊C「おいそっちの女…足がねぇぞ!」

海賊A「げぇ、こいつは蛸のバケモンだっ。こいつら魔物か!」

僧侶「ち、違います! わたしは人間です! お願いっ助けてください!」

僧侶「魔物にここに連れて来られて困ってるんです!」

海賊A「ああん?」


私達をみた彼らは思う思うに言葉を投げかけ、顔を見合わせた後、ニタリと笑いました。
そして腰の剣をひきぬき、私達に突きつけ――


海賊A「こりゃラッキーだ。ちょうど女に飢えていたところだ」

海賊B「片方はどうみても魔物だがまぁいい、こんなかわいいお嬢ちゃん…きっとお頭喜ぶぞお」

海賊C「ふひひ…ようこそ俺たち海賊のアジトへ。たっぷりかわいがってやるぜぇ…」

僧侶「そ、そんな…」

蛸娘「…」ぬるぬる


海賊B「にしてもかわええ子だ」

海賊C「乳でけぇ…こりゃ上玉だぜ」

海賊A「おいおい待てよ。楽しむのはまずはお頭からだ」

僧侶「…楽しむって」

蛸娘「ヒーラはスキュのお嫁さん。人間にはあげない」

海賊B「こいつは一体なんなんだ?」

海賊A「バケモンだ。襲ってくる前に切っちまおう」

海賊の頭「なんだ。なんの騒ぎだ」

海賊A「おうお頭、無断の侵入者ですぜ。それもべっぴんの」

海賊の頭「あん? 女か…」

僧侶「…」ぶるぶる

海賊A「かわいいねぇ。お頭の顔みて震えてやがる」

海賊B「へへへ、心配しなくても俺たちがその魔物から助けてあげるよ」

海賊C「その代わり、ちーっと航海に付き合ってもらうけどな」

僧侶「い、いや…っ」

僧侶「スキュちゃんここあなたのお家じゃなかったんですかっ!」

蛸娘「…? スキュのおうち」

海賊の頭「どうやらしばらく離れている間に頭の悪い魔物に住みつかれちまったようだな」


海賊の頭「蛸の魔物は不要だ。切り刻め」

海賊A「へいっ」

蛸娘「…」ビクッ

僧侶「…だ、だめ!」

海賊B「おいおい、魔物から助けてくれっていったのはお嬢ちゃんの方だぜ」

海賊C「いまとれたてのタコの刺身をごちそうしてあげるよ」

僧侶「こ、殺すのはだめです! そんな方法を望んでいません!」

海賊A「なーに都合の良いこと言ってやがる」

海賊A「お嬢ちゃんはただでさえ、俺達のアジトに勝手に入り込んだ侵入者なんだぜ?」

海賊A「その柔肌を傷つけたくなかったら、下がりな」

僧侶「!」ビクッ

蛸娘「スキュ…ヒーラお嫁さんにする」

海賊の頭「なにをいってるのかわからねぇが、人を襲う魔物にはうんざりだ」ジャキ

僧侶「スキュちゃん逃げてっ!」


屈強な男たちはスキュちゃんの正面に立ち、一斉にサーベルを振り上げました。

スキュちゃんはまだ状況を理解できていないようで、タコ足をうねうねと動かしているだけで逃げようとしません。
相手が魔物とはいえ、言葉を交わし、ほんのわずかでも心を通わせた子を私は見捨てることはできませんでした。

僧侶(きっとユッカ様なら…身を立てにしてでも守るはずっ)

私は無我夢中で何か抵抗できるものを、と探しまわり、
とっさに壁から突き出た棒を引き抜きました。
その棒の先には青く輝く珠が埋め込まれていました。

僧侶「これは…!」

その杖とおぼしき棒をしっかりと握り、小さく詠唱をはじめます。

僧侶(すごい…昨日よりずっと強い力があふれてくる…)

海賊の頭「なっ…おまえ」


僧侶「正守護結界!」

▼僧侶は光の壁を創りだした。



私とスキュちゃんを囲うように現れた蒼い光の壁は海賊たちの凶刃を弾き、私達の身を護りました。

僧侶「ハァ…はぁ…危なかった」

蛸娘「また痛い壁…? スキュこれきらい」

僧侶「そうじゃなくてっ、こっち来てください」ぐいっ

蛸娘「もしかしてヒーラ…スキュのこと守ってくれたの?」

僧侶「と、とっさにですよ!」

海賊A「なんだこの壁!」ガキンッ

海賊B「かてぇ!」ガキンッ

男たちは激しくサーベルで光の壁を切りつけます。
しかし、強固な聖守護結界はいつもの結界のように簡単にパリンと割れることはなく、
あっという間にサーベルの刀身をぼろぼろに破壊してゆきました。


海賊C「なんだこれは…! 俺の剣がこんな簡単に壊れるなんて!」

海賊の頭「…」

僧侶「ち、近づかないでください! 私が敵と判断したものはそれに触れるだけで痛い目みますよ!」

海賊C「さわってみるか?」

海賊の頭「やめておけ。指が消し飛ぶぞ」

海賊A「か、頭…どうすりゃ。こんな女2匹に手出しできねぇなんて」


海賊の頭「…」

僧侶「な、なんですか…近づかないでください」

僧侶「私を、オクトピアの浜につれていきなさい!」

僧侶「じゃ、じゃないと…あなたたちを、やっつけます」

それは私のできる最大限の脅し文句でした。
やっつけてしまったら帰る手段がなくなってしまうのは重々承知していましたが、
いまの私に取れる選択は多くありませんでした。

頭とよばれる強面の大男は依然私をじっと見つめています。

そして少し目を伏せたあと、なんと彼は突然その場にひざまづきました。


海賊の頭「まさか、その杖を引き抜く者が現れようとは」

海賊の頭「全てあなたの仰せのままに。我々海の一族はあなたに使役いたします」

僧侶「え…」

海賊A「か、頭…?」

海賊の頭「頭を下げろ。この方は、現代に蘇った海の女神様であられる」

僧侶「は、はい…?」

海賊の頭「数百年もの間誰も引き抜くことの出来なかった海鳴りの杖を手に取り、魔物を操るその姿」

海賊の頭「まさしく古くから伝説にある海の女神そのもの! おお、女神様! 我々を配下にお加えください!」

蛸娘「…」うねうね

僧侶「え、えええ!?」


私の災難は、思わぬ方向へと転がって行きました。


第19話<ヒーラの受難>つづく

更新おわり
次回本日夜

どの話も面白いね!乙!

レア武器ゲトおめ。副題通り面倒臭い事になりましたなw
乙!

やっぱりヒーラちゃんタコ足エンドなのか!?
乙!

淫魔に堕ちるユッカに対して、ヒーラちゃんの神々しさよ

ヒーラ、神話生物になったのか

流石はヒーラさん!
スキュさん以外の存在が気になるな

俺レズ寝取られ嫌い!

「つなみ」の効果がありそうな杖だな

マナもヒーラもソルと結婚したいのかぁ…一夫多妻制度あるんかな?3人娘には揉めて欲しくないなぁ。

武器、船、船員、報酬
いっぺんに手に入ったか

ふぐたん

第19話<ヒーラの受難>つづき



海賊の頭「女神様、我ら海の一族をどうかお導きください」

僧侶「ぁ、あなたたちは…海を荒らす海賊ですよね!」

僧侶「オクトピア近海で商船を襲ってたくさんの被害が出ていると聞きましたよ!」

海賊の頭「…」

海賊A「あちゃーやっぱ誤解されてんスねぇ」

海賊B「か、頭ぁ。やっぱやりかたがまずかったんですって」

海賊の頭「…だがな、ああでもしないと陸の頑固者たちはいうことを聞かねぇ」

僧侶「なにを言ってるかわかりませんが、私は無法者達に肩入れなんてしません!」

僧侶「さぁ、いますぐ私をオクトピアに連れて行ってください」

海賊A「調子にのってますぜこの女」

海賊B「このアマ、光の防壁がなくなったらめちゃくちゃな目にあわせてやる」

僧侶「ひっ」

海賊の頭「馬鹿野郎、女神様だって言ってんだろ、頭がたけぇんだよ。言葉を慎めぇ」ぼかっ

海賊A「あいたっ。けどよぉ…」

海賊C「確かに俺の怪力でも抜けなかったあの不思議な杖を簡単に抜いちまったが…」

海賊B「その程度でほんとに女神なんですか?」

僧侶(違います…)


海賊の頭「この方のお姿をみてみろ」

海賊A「…金髪だな」

海賊B「みたところ魔法使いだな」

海賊C「蛸とセットだな」

蛸娘「…」うねうね

海賊の頭「そしてこのふくよかな母性あふれる体! 命を育む母なる海のような大きさ!」

僧侶「ど、どこみてるんですか…」サッ

海賊A「確かに…」

海賊B「うむ…」

海賊の頭「ここらに伝わる女神伝説の通りだろうが!」

海賊C「本当だ! 頭すげぇええええ!」

海賊B「うおおおお!!!」

僧侶(なんなんですかこの人たち…)

海賊の頭「失礼でなければ、お名前をお聞かせください」

僧侶「えっと」

蛸娘「ヒーラ。スキュのお嫁さん」

僧侶「まだ言ってるんですか」

海賊の頭「ヒーラ様。すばらしいお名前だ…。ヒーラ様、どうか我々にお力添えを」

僧侶「い、一体何させようっていうんですか! 私には何の力もありませんよ!」


海賊の頭「実は…ここ最近オクトピアの近海に化け物が出没するようになりましてね」

僧侶「化け物…?」

海賊A「それはそれはでっけぇ蛸なんです。大きさで言うと、俺達の船よりデカイ」

海賊A「そいつが暴れまわって行き交うたくさんの帆船が沈められちまった」

僧侶「あなたたちがやっていたのではないのですか?」

海賊の頭「とんでもない! たしかに俺たちの先祖は陸の民と武力抗争をおこしたようだが」

海賊の頭「それはこの母なる海で暴虐の限りを尽くす陸の民を懲らしめるためと伝え聞いている」

海賊の頭「決して略奪や虐殺などを好んでしたわけではないのです!」

僧侶(じゃあ村長さんの言ってた昔話って…)

海賊の頭「何か陸の野郎どもによくないことを吹きこまれているようですね」

僧侶「…」

僧侶(いえ、こんな人達を信じてはダメ。だってどうみても悪い人達なんですから)

僧侶(スキュちゃんのことも殺そうとしましたし…私のことだって…)

海賊の頭「たしかに、俺達は気性が荒い。海賊と呼ばれてもしかたねぇ」

海賊の頭「だが海の民として守らなくてはいけないものはある」

海賊の頭「母なる海を荒らす野郎は人であろうが魔物であろうが成敗してやる」


僧侶「その蛸の怪物とやらは、魔物なのですか」

海賊A「あぁ。どうせそこの蛸女の仲間かなにかだろう」

蛸娘「?」うねうね

海賊A「くそっ、あいつに俺たちは仲間を…」

海賊の頭「人を襲う魔物は切り捨てる」

僧侶「す、スキュちゃんはそんなことしません」

蛸娘「…スキュのお嫁さん」ぬるぬる

僧侶「うぎゅっ…ちょっ、大事なお話をしている最中に絡みつかないでください」

海賊A「襲われているではないか!」

僧侶「ちがいます! 懐いてるんです!」

僧侶「ねっ!?」

蛸娘「…?」うねうね

海賊の頭「ということは、やはりヒーラ様の使役する使い魔なのですよね?」

僧侶「そ、そうです!」

蛸娘「…お嫁さん、好き」ぬるぬる

僧侶「うう…」


海賊の頭「話を戻します。我々としては、至急ヤツを退治しなくてはならない」

海賊の頭「だが、その巨体を前になすすべもなく、仲間がやられてしまった」

海賊の頭「せめてこれ以上被害が増えぬようにと、周辺で他の行き交う商船共を脅して、海域全体を通行止めしていたのです」

僧侶「事情はわかりました…」

僧侶「本当に、あなたたちは商船を襲ったりしていないのですね?」

海賊の頭「…あぁ。ここにある物はすべて沈んだ船から引き上げたものだ」

僧侶「…そうですか」

僧侶「ですが、私にできることはありません」

海賊の頭「そんな! お力添えをお願い致します!」

海賊の頭「我々だけではもうどうにもならないのです!」

海賊の頭「どうか、女神様の魔法であの大蛸を鎮めることはできませんか」

蛸娘「…」うねうね

僧侶「わ、私にできることなんて…」

僧侶「こんな魔法壁を貼ったり、傷を癒やしたりするくらいで、魔物と戦う力なんてないんですよ」

僧侶(それに海の上で戦いなんて絶対嫌です。もし転覆しちゃったら溺れちゃうし…蛸に食べられちゃう)


蛸娘「…」うねうね

僧侶「スキュちゃん離れてください」

蛸娘「スキュ。お友達」

僧侶「えっ」

蛸娘「スキュのお友達。ぷんぷんしてる」

蛸娘「ずっと前、海に悪いの来た。悪いの、海にもっと悪いのいっぱいばら撒いた」

蛸娘「スキュのお友達、クラ君戦った。そしたらクラ君、悪い子になった」

蛸娘「スキュ寂しい。クラ君がムカムカでスキュ会えない」

僧侶「えっと…?」

海賊の頭「やはりあの大蛸の仲間か!」

僧侶「スキュちゃん、そうなんですか?」

蛸娘「クラ君。スキュのお友達。いい子、でもいま悪い子」

蛸娘「スキュのお友達、みんないなくなった」

蛸娘「クラ君もローレもみんないなくなった…スキュ寂しい」

僧侶「え…」

蛸娘「でもヒーラいる! スキュのお嫁さん! スキュ寂しくなくなった!」ぬるぬるぬるぬる

僧侶「ひゃううっ」

海賊の頭「……破廉恥な蛸め。我々の女神様になんてことを、羨ましい」


僧侶「スキュちゃん。クラ君っていうのは、おっきい蛸さんですか?」

蛸娘「クラ君はクラ君。クラーケンっていうよ」

海賊の頭「伝説に伝わる巨蛸の名前ですね。間違いない…あの蛸だ」

海賊A「となると、その蛸女のいうことには」

僧侶「クラーケンはなにかに操られている…?」

海賊の頭「いえ、怒り狂っているといったほうが正しいでしょう」

僧侶「…」

僧侶「一度、近くまで行ってみないとダメかもしれませんね」

海賊の頭「女神様! おお! お力を貸していただけますか」

僧侶「その女神様っていうのやめませんか…むず痒いです」

海賊の頭「ならヒーラのアネさんって呼ばせてもらうぜ」

僧侶「え…」

海賊の頭「いやぁ慣れない言葉遣いは難しいもんだ」

海賊の頭「さぁアネさん、怪物退治に出港ですぜ」

僧侶(男の人って万国みんなこうなのかな…)

僧侶(ソル様…いまごろどうなさってますか)

僧侶(きっと心配してますよね…)

ロ~レはやはり…



【ローレライ2階・大部屋】


傭兵「くっそ、このポンコツ球め」コツコツ

勇者「うつれーうつれー」ナデナデナデ

魔女「無駄。魔力が切れてる。あの淫魔にしか起動できない」

勇者「もうっ、ヒーラお魚食べたあとどうなったの!」

傭兵「唯一の救いなのは、案外元気にしてたってことだな」

傭兵「だが早急に捜索しないと場所が場所だけに危ないかもな」

宿屋の少女「私も今日は宿をお休みさせていただいて、ヒーラさんの捜索にあたります」

傭兵「悪いな」

傭兵「俺は海を探してみる」

勇者「ボクも船にのる!」

傭兵「あぁ。昨日警備隊と話はつけておいた」

傭兵「さぁ、ヒーラちゃん探しに出発だ」

勇者「まっててヒーラ! どれだけかかっても必ず助けだすからね!」

勇者「それまで絶対元気でいてね…」



【洋上・海賊の船】


僧侶「どこまでも蒼い海…澄み切った青空…ここちよい潮風…」

僧侶「はぁ…なのにどうして私は」

僧侶「海賊の船に乗っているんでしょう…」


海賊B「アネさん! こっちきて飲みましょうや!」

海賊A「まだ海域につくまで結構ありますぜ。ほらほら、ここすわってくださいぜひ俺の隣に」

海賊C「あっこの野郎ずりぃぞ! アネさん、お酒注ぎますよ! こっちきてください」

僧侶「はぁ…カモメになりたい」

海賊の頭「馬鹿野郎お前ら! アネさんを困らすんじゃねぇ」

海賊の頭「すんませんウチのもんどもがご迷惑おかけしています」

僧侶「いえ、船におじゃまさせていただいてるのは私のほうなので…」

僧侶「できればこのままオクトピアに連れて行ってくれるとありがたいんですけどね」ブツブツ

海賊の頭「重ね重ねすんません。俺たちの海賊船はあの辺りをうろつくだけで警備隊に包囲されてしまうのでそれはできません」

僧侶「はぁ…私はどうやって帰ればいいんですか」

僧侶「せっかくあの洞窟から脱出できたのに…次は船に軟禁ですか」


海賊の頭「部屋でおくつろぎください」

海賊の頭「まるまる一室アネさんのためにこしらえました」

海賊の頭「それとも食事を用意しますか」

僧侶「結構です。あなた方から施しはうけたくありません」

ぐーー…

僧侶「…」

海賊の頭「体力つけなきゃクラーケンと戦えませんぜ」

僧侶「戦うなんて言ってないじゃないですか。遠くから様子をみるだけですよ」

僧侶「絶対に船を近づけないでくださいね!!! 絶対ですよ!!!」

海賊の頭「は、はい…どうしたんですかアネさん」ビクッ

海賊の頭「とりあえず、なにか軽く食べられそうなものを用意させます」

海賊の頭「景気付けに蛸でも食いますか?」

僧侶「結構です」

海賊の頭「そういやあの手下の蛸女は」


スイーー

蛸娘「♪」

僧侶「しっかりついてきちゃってますね…」

海賊の頭「さすがアネさんの使い魔だ」



蛸娘「ヒーラ。スキュと一緒に泳ぐ。海きもちいい」

僧侶「嫌です! ざぶざぶされた恨みは忘れてませんよ」

蛸娘「スキュもうひどいことしない」

蛸娘「ヒーラ女神になった。海の女神」

僧侶「なってません!」

海賊の頭「いえ…その杖を引きぬいた以上、アネさんは俺たち海に生きる者にとって永遠の憧れですぜ」

海賊の頭「きっとアネさん号令があれば、暴れ狂うクラーケンも鎮まるはず…」

僧侶「そううまくいくでしょうか。私としてはなんの実感もないんですけどね」

海賊の頭「いざとなったらお願い致します!」

僧侶「私の新しい結界で船を守れるでしょうか…不安です」


  ・  ・  ・


僧侶「あーおいしかった! やっぱり生魚もいいですけど、調理してある方がほっとしますね」

海賊の頭「食べ方ならいくらでもしってますぜ。俺たちは海の恵みで生きてきましたからね」

僧侶「着くまですこしレシピを教えてくれませんか!」

僧侶(これユッカ様たちのたべさせてあげたら喜びそう…♪)



  ・  ・  ・


【オクトピア近郊・とある海域】



僧侶「……」

海賊の頭「アネさん、感じますか」

僧侶(なんでしょう。風がピリピリする)


さきほどまで穏やかだった海が波立ち、海全体にどこか重苦しい雰囲気が立ち込めていました。
陽気に酒を飲んで合唱していた海賊さんたちは一同に慌ただしく作業にもどり、
船上はにわかに緊張感に包まれました。


海賊の頭「ここらにいる。俺たちの海の民の勘ですがね、外れたことはない」

海賊の頭「幸い鈍くてバカな陸の商人たちは近くにいねぇ」

海賊の頭「アネさん、足手まといがいない今、やっちまいましょう」

僧侶「本当にここにクラーケンが…」


ふと船の下をのぞきこむと、スキュちゃんが海面から半身をだして荒れ始めた海の先をジーっと見つめていました。


海賊A「2時の方向! でっかい足だ! 野郎が出やがった!」

僧侶「!」

海賊の頭「ちっ、距離が近すぎたか」

海賊の頭「野郎ども、絶対に真下に潜り込まれるなよ。一発で沈むぞ」

僧侶「クラーケン…なんて大きさ」

海賊の頭「小さい船なんてちょっとぶつかっただけでひっくり返っちまう」

海賊の頭「いままであのばけものと遭遇して生きて帰れたのは俺たちだけだ」

海賊の頭「陸のやつらに何を言っても信じやしねぇ」

海賊の頭「だから、どんな手段をつかっても、汚名を被ってでもここに船をこさせるわけには行かなかったんです」

僧侶「たしかにあんなのがいるなんて言われても、穏やかなオクトピアの海を見てたら想像もつきませんね…」

僧侶「どうしよう…襲ってきますか…?」

海賊の頭「もう俺達には気づいていると思います」

蛸娘「クラ君…またぷんぷんしてる」

蛸娘「クラ君!」すぃー

僧侶「あぁっ、スキュちゃん行っちゃダメです!」


海賊の頭「海を自在に泳げる蛸女なら逃げ切れるでしょう」

海賊の頭「だが俺たちはだめだ。海に落ちたら一貫の終わりです」

僧侶「そうですねそうですねっ、ぜっっったいに海には落ちたくありません」


海賊A「攻撃、きます!」

海賊の頭「回避ー!」


天高くふりあげられた巨大なタコ足が海面を叩きました。
炸裂するような大きな音ともに大量のしぶきがあがり、船上はあっという間に水浸しになりました。


僧侶「きゃっ」

海賊の頭「大丈夫ですあたってません」

海賊の頭「さぁアネさん、野郎が体勢を立て直す前にやっちまってください」

僧侶「そ、そんな…無理ですよ」

僧侶「ほんとに攻撃魔法なんてないんです!」

海賊の頭「なにかあるでしょう、火を飛ばすとか、雷を降らせるとか」

僧侶(うう…マナちゃんがいてくれたらぁ)



海賊A「次が来ます!」

海賊の頭「回避ー!」

海賊A「だめです…あたっちまう!」


僧侶「…! なんとか船を守らないと!」

僧侶「聖守護結界!」

▼僧侶は光の壁を創りだした。


海賊の頭「防いだ!」

僧侶「間に合った…よかったぁ」

僧侶「それにあんな攻撃をうけても割れないなんて…本当にすごい強度、これが私の力…?!」

海賊の頭「よし、大砲で迎え撃て」

僧侶「だ、だめですよ。スキュちゃんだってあのあたりにいるんですから。間違えてあたったら大変です!」

僧侶「それにこれ以上怒らせたらだめです!」

僧侶「私の魔法で攻撃を防げるのはわかりましたから、少しだけ船を近づけてください」

海賊の頭「はいっ、仰せのままに」


船を近づけると巨大蛸の全貌が明らかになってきました。
船の大きさをはるかに超える海の中の大きな影、私はそれを見ただけで肝をつぶすました。

先ほどの結界を殴りつけたのが痛かったのか、クラーケンは攻撃をの手をゆるめてこちらを伺っているようでした。


僧侶「クラーケンさん、私はあなたを倒しにきたわけではありません!」

僧侶「あなたを助けにきたんです!」

大蛸「…」ゴゴゴ

僧侶「…さすがに伝わりませんよね」

蛸娘「スキュにまかせて。クラ君にヒーラのことば伝える」

蛸娘「クラ君のことば、ヒーラに伝える」

僧侶「スキュちゃん…間に入ってくれるんですか? お願いします!」

僧侶「クラーケンさん、なにかあったのなら教えてください」

僧侶「ここで暴れて、海を荒らしてはいけません」

僧侶「怒りをおさめてお家へ帰りましょう」

大蛸「…」ゴゴゴ

僧侶「…スキュちゃん、何か言ってますか?」

蛸娘「人間、殺ス…」

蛸娘「クラ君、だめっ」

僧侶「殺すだなんて…」


蛸娘「ワレ…やみのじゅじゅつし…従ウ。って言ってる」

蛸娘「悪いのに負けちゃダメ!」

僧侶「闇の呪術師…?」

蛸娘「クラ君の中に悪いのいる! 悪いのと戦った時に悪いの入れられた」

海賊の頭「やはり何かに洗脳されているのか」

海賊の頭「こうなったらもうこいつを倒すしか俺たちの海に平和は無い」

海賊A「やっちまいましょう頭!」

僧侶「洗脳…おそらく呪いをかけられているんですね」

僧侶「苦しいでしょう。呪いがあなたの心と身体を蝕んでいるんですよね」

僧侶「…」

僧侶(私のいまの力なら…解呪の魔法陣でなんとかできるかも…)

僧侶(けど、ここからじゃだめ)

僧侶(あの巨体を包み込めるくらいの魔法陣を描かないと…どうやって、どこに!?)


海賊A「6時の方角! 帆船だ!」

海賊の頭「なにぃ、なんてタイミングだ」

海賊A「まずいぜ頭、ありゃオクトピアの警備隊の船だ」

海賊の頭「くそっ、何度言ってもわからねぇ頑固者共め」




【警備船上】


勇者「あれみてよ! おっきいタコ!!」

傭兵「な、なんだありゃ…バケモンじゃねぇか…」

勇者「ずっと遠くの方からぞわぞわいやな予感がしてたんだ。こいつだったんだね」

警備隊「…あの船は。例の海賊もいるな」

勇者「海賊!」

傭兵「ユッカ、ヒーラちゃんを魔覚で探知できないか」

勇者「探ってみたいけど、あのタコを中心にここらへんの魔力がぐちゃぐちゃに渦巻いててわからないよ」

警備隊「あの船に行方不明の仲間がいるのか?」

傭兵「そうあってほしくないがな。あんな距離、いまにも沈められちまうぞ!!」

警備隊「海賊どもめ、自業自得だ」

警備隊「巨大タコが海賊船に襲っている間に我々は一旦距離をとる」

勇者「えーー。あのタコはどうするの!」

警備隊「あの大きさだ、手に負える相手ではない。我々のほうが沈められるぞ」

勇者「で、でも人が乗ってる船があんな近くにいるのに!」

警備隊「ダメだ。助けられない命もある。海賊となればしかたもあるまい」

勇者「そんな…ヒーラがいるかもしれないのに」



勇者「ヒーラ…そこにいるの…?」

勇者「ぼ、ボク泳いででも」

傭兵「やめろっ」ガシ

勇者「離してよソル! あそこにヒーラがいたらタコに食べられちゃうよ!!」

勇者「それに他の人達も!」

傭兵「落ち着け…落ち着いてくれ。お前が泳いで行ってもどうしようもない」

傭兵「くっ…ヒーラちゃん」



僧侶「あの船…そのまま近づいてこないでくださいね」

海賊A「アネさんどうします。いくらなんでも船底から攻撃されたら防げませんぜ」

僧侶「いま考えてます!」

僧侶「…広大な魔法陣を描く方法。それも海に…できるわけない」

サキュバス「できるわよ」

僧侶「!! 淫魔! どうしてここに」

海賊の頭「うわっ、なんだお前は」ジャキン

wktk

wktk wktk


サキュバス「暇だから勇者についてきたら…」

サキュバス「ぷぷ、あんたすごい格好ね。しかも磯くさっ」

僧侶「う、うるさいですね。あなたには関係ないです」

サキュバス「あるわよ」

僧侶「えっ」

サキュバス「あんたのことは大大大っ嫌いだけど、あの子に泣かれるとあたしとしてはちょっと面倒なの」

サキュバス「だから未熟なあんたが生き残れるようにアドバイス」

サキュバス「魔法陣は、地面と同じように海面にもかけるわ」

サキュバス「安定させるのはとっても難しいけどね?」

僧侶「海面に…なるほど。あっ、でも私泳げません!」

僧侶「そうだ! ならあなたが私を抱えて空を飛んでそこから」

サキュバス「無理だってば。あんた重いもん」

僧侶「重……くっ、じゃあ結局描けないじゃないですか」

サキュバス「やり方はあんたが考えなさい。さぁて、タコ足の触手は趣味じゃないから退散するわ」

サキュバス「バーイ♪ 海の藻屑にならないようにね♪」スゥ―…


僧侶「海の藻屑…ほんとそれだけは嫌です」

僧侶「あんな苦しい重い二度としたくありません」

蛸娘「…」ジー

僧侶「ざぶざぶ……はっ!」

僧侶「スキュちゃん!」

蛸娘「? スキュのお嫁さん、どうしたの」

僧侶(うまくできるかどうかわらないけど、これは賭け!)

僧侶「お願いします! 私をキャッチしてくださーい!」


そして私はシャツを脱ぎ捨て、船の上から激しく波立つ魔の海へと身を投げ込みました。



第19話<ヒーラの受難>つづく

更新おわり。次回本日夜22時(予定)

磯くさいヒーラちゃんはちょっと・・・

乙!

乙、内容が濃くて楽しい

乙!

冒険要素わくわくするね。乙!

乙です
>>1はクラーケンが蛸派なのか

クラーケンにスキュラにローレライか。
あとはポセイどんでも出てくれば海の有名勢はほぼ揃うな。


>シャツを脱ぎ捨て
沢山男いるのに大胆だなww

シャツの下は水着ですし

でもヒーラみたいな女嫌い

第19話<ヒーラの受難>つづき



海賊A「アネさん!」

海賊の頭「なんて無謀な…こんな荒れ狂った海、俺達でも簡単に溺れちまうぞ」


ざぷっ

僧侶「ぷはっ…えほっ、えほっ…」

蛸娘「ヒーラ」ぎゅ

僧侶「ありがとうございます。私をつかんだまま、言うとおりに進んでくれませんか」

蛸娘「うん。クラ君、助けたい。苦しんでる」

僧侶「任せて下さい…」

僧侶(これは私にしか出来ないこと…私がやるしか無い!)


海賊A「アネさーん! 平気ですか!」

僧侶「大丈夫です! ここから船を離してください!」

海賊の頭「しかし…」

僧侶「はやく! もうあなたたちの船を守ることは出来ません!」

海賊の頭「わ、わかりました」

海賊A「かしらぁ…」

海賊の頭「アネさんを信じろ……あの人は、杖に選ばれた女神なんだ」



勇者「あっち! 誰かが海に落ちちゃった!」

警備隊「無理だ。この荒れた海では小舟すら出せん」

傭兵「あれは…金髪…? おい、双眼鏡を」

警備隊「あ、あぁ…」

傭兵「……」

傭兵「うそだろ……ヒーラちゃん…?」

勇者「嘘!? あれヒーラなの!? そんな!」

警備隊「なんてことだ、海賊どもめ。人質を囮として海に投げ捨て、自分たちは逃げ出すつもりか」

警備隊「許せん…」

勇者「ヒーーラァーーー!!」

勇者「ぼ、ボク助けに行くっ」カチャカチャ

傭兵「やめろっ、冷静になれ。お前が飛び込んでも無駄だ」

勇者「でもっ、ヒーラがぁ」

傭兵「…泳いでる」

勇者「えっ」

傭兵「なんだ…あの動き…ヒーラちゃんは泳げないはずじゃなかったのか」

勇者「ボクにもレンズ貸して!」

次俺にも!

その次俺な!


勇者「嘘でしょ…ほんとにヒーラがスイスイ泳いでるや」

勇者「で、でもおかしいよ! どうやって杖を持ったまま泳いでるの」

警備隊「あれは一体なにをしているんだ」

傭兵「本当にヒーラちゃんなのか…?」

勇者「あぁヒーラ危ないっ! かわしてっ!!」



下半身をスキュちゃんに抱きかかえられた私は大きな推進力を得て、
この混沌とした海を突き進み、クラーケンと対峙していました。

いまもまた大きな足が私たちに向かって振り下ろされようとしています。


僧侶「左へ!」

蛸娘「うん」


間一髪、真横に巨足を打ち付けられ、大量の飛沫があがりました。

僧侶「う……もう少しだけ近づいてください」

蛸娘「これ以上、あぶない」

僧侶「大丈夫です。直撃しそうになったら結界で防ぎます」



蛸娘「また来た」

一瞬で視界に影がかかり、見上げると再び、吸盤だらけの大きな足が私を捉えていました。
そして足元にも黒い巨大な影。

蛸娘「下からも来てる。よけられない」

僧侶「だったら…」

僧侶「集中……精度は、私次第…」


僧侶「聖守護結界!」

▼僧侶は自らを覆う球状の光の壁を創りだした。

私達をぐるりと包み込むように大きな球状の結界が現れ、上下からの同時攻撃を完全に弾くことに成功しました。


僧侶「やった!」

僧侶「でも魔力の消費が多すぎる…このままじゃジリ貧です」

僧侶「スキュちゃんもっと速く! 急いでっ」

蛸娘「…わかってる」スィー



蛸娘「スキュ、怖い」

僧侶「大丈夫です…絶対にあなたもクラーケンも救います」

蛸娘「ヒーラ…」ギュウ

僧侶「よし、まずは魔法陣の外周から」

蛸娘「何をするの」

僧侶「クラーケンを囲うように浄化の魔法陣を描きます」

私は蒼い巨大な魔宝水晶の輝く杖先を海面にひたし、
魔力を海中に溶かすように流し込んでいきました。
私の魔力が混じった海水は激しい泡と共に発光しはじめて、真っ白に輝いています。

僧侶「…大丈夫」

僧侶「スキュちゃんはこのまま一緒にぐるっと一周回ってください」

蛸娘「わかった!」



勇者「あわわ、ヒーラなにやってるのぉ…なんで近づいていっちゃうの」

傭兵「まずいな…なにか遠距離武器はないのか」

警備隊「迫撃砲なら積んでいるが、むやみに使うのは危険だ」

傭兵「俺に遠距離魔法があれば…」

傭兵「マナを留守番させたのは失敗だったな」


僧侶「魔法陣を描いている間、私は結界を張ることができません!」

僧侶「最高速度でお願いします!」

蛸娘「…スキュ、そこまで泳ぐの速くない。お嫁さんギューしてたらなおさら」スィー

僧侶「う…」

僧侶(おねがい…何もしてこないで)

しかし私の願いは虚しく、また天高くタコ足が突き上げられました。


僧侶(あんなもので殴りつけられたら海の藻屑になってしまいます…)

僧侶(一体どうしたら。結界? けど、魔法陣が途切れてやりなおしになっちゃう)

僧侶「うう」

一瞬の逡巡の間に、無情にも足は振り下ろされました。
目の前に巨大な影がみるみるうちに迫ってきました。

僧侶「!!」


勇者「あぁっ! ヒーラ!!」

傭兵「よけてくれ!!」



僧侶「う……あれ」


轟音とともに押しつぶされて命を絶たれたと思いました。
しかし痛みはやってきません。
反射的に閉じた目を開くと、そこには今もなお同じ景色が広がっていました。


僧侶「どうして」

蛸娘「…? スキュ、速い…?」

私が海面を移動する速度はさきほどまでとは比べ物にならないくらいにあがっていました。
それはもう、水の上を華麗に滑るように。
通りすぎた跡には綺麗な波紋が広がっていきます。


僧侶「スキュちゃん…?」

ふと足元を覗くと、私をだきかかえるスキュちゃんに更に何かが抱きついていました。


僧侶「え…」

蛸娘「ローレ。ローレ!」

僧侶「ローレさん…?」

大きな尾ひれで水を蹴り、優雅に泳ぐその正体は、私のよく知った人物でした。


宿屋の少女「なんとか、間に合いましたね」

僧侶「あ、あなた…どうして。その姿は…!?」

宿屋の少女「いまは事情を説明している時間はありません」

蛸娘「うにゅ…スキュのお嫁さん。助けてあげて」

蛸娘「スキュだけじゃ無理だから…おねがい」

宿屋の少女「安心してください。そのために来ました」

宿屋の少女「いきますよヒーラさん」

宿屋の少女「指示をください。私の速度ならアレに捕まりはしません」

蛸娘「スキュもスイスイする」

僧侶「…! わかりました、大きな魔法陣を描きます」

僧侶「このままぐるりとクラーケンを囲うように海面を泳いでください」



警備隊「なんだ…あの少女は」

警備隊「タコ足に…尾ひれ…? 魔物なのか…いや、まさか伝説の…」

傭兵「ヒーラちゃん…」

勇者「速い! あんな状況で魔法陣を描いてるんだ…すごい!」

勇者「ヒーラすごいよ!」



僧侶「これで一周!」

大蛸「…」ゴゴゴ

僧侶「もうこの円から逃げ出すことはできません」

宿屋の少女「この後は!」

僧侶「円の中に正三角形と、逆三角形の組み合わせです!」

宿屋の少女「…ひょっとして六芒星ですか。やってみます」

蛸娘「スキュも手伝う」

僧侶「ですが、この先はあの巨体の真横を通らないといけません」

僧侶「なにか気を引ければ…」


海賊の頭「アネさーん!」

海賊A「うおおアネさん無事ですかー!」

僧侶「あ、あなたたちっ、どうして戻ってきたんです」

海賊の頭「アネさんのやりたいことがわかりました!」

海賊の頭「てめぇら、小舟で散ってやつの気を逸らせ!」

海賊達「へい!」

僧侶「き、危険です!」

海賊の頭「こちとら海の男だぜ。荒波やたかがタコなんぞに負けてたまるか」

海賊の頭「いいか、アネさんが魔法の儀式を終えるまで手出しさせるな!」

僧侶「死んじゃいますよ!」

海賊の頭「へへ、海に沈めばもれなく海神様方の仲間入りだぜ。てめぇらアネさんのこと死んでも守れ」

海賊達「へい!」

僧侶「みなさん…」

宿屋の少女「急ぎましょう。魔法の効力が弱まってきています」

僧侶「えぇ!」



僧侶「いきます…!」

私は魔法陣の残りを描くために再び杖を強く握りしめました。


僧侶(みんなが力を貸してくれている…私がみんなを助けなきゃ)

僧侶「ローレさん、この角度で直進を!」

宿屋の少女「はい!」


六芒星を描くために私達はクラーケンのわき横数メートルを通過する必要がありました。
その神秘的とも言える巨躯に圧倒されながら、私は海面に杖を走らせます。

僧侶「近づくと、やっぱり大きい…」

宿屋の少女「ヒーラさん、大丈夫ですか」

僧侶「みなさんが気を逸らしてくれているおかげです。でもそれもいつまでもつか」

僧侶「はい、ここでターンをしてください!」

宿屋の少女「わかりました!」

私は神に祈りながら、クラーケンを取り囲むように六芒星を徐々に完成させてゆきました。



勇者「すごい…あんなおっきな魔法陣みたことないよ」

サキュバス「やるじゃない。あたしのアドバイスのおかげね」

勇者「う、うあっ、サキュ…!」

サキュバス「にしても、めんどくさい物手に入れちゃったわねあの子」

サキュバス「これからはもっと気をつけないと…!」

サキュバス「油断したらジュワっと消されちゃうかも♪」

勇者「ねぇ、ヒーラに会ってきたの!?」

勇者「ヒーラ…ちゃんとヒーラのままなんだよね!?」

サキュバス「どういう意味よ」

勇者「だ、だって…あそこまで膨大な魔力を持ってるヒーラなんてしらないよ!」

傭兵「しかもすごい速度で泳いでるしな」

サキュバス「ぷぷ…」



宿屋の少女「これで…!」

僧侶「完成です! ふたりとも協力ありがとうございました」

大蛸「…」ゴゴゴ



僧侶「ローレさんは、海賊さんたちのフォローにまわってください」

僧侶「もしかしたら落ちちゃった人がいるかも!」

宿屋の少女「はい」

蛸娘「スキュ、一緒にいる。ヒーラの足になる」

僧侶「…」コク


僧侶「術式…聖浄化六芒星!」


▼六芒星から放たれた聖なる光がクラーケンを包み込んだ。

大蛸「…!」ゴゴゴ

僧侶「あなたに巣食う魔を祓います!」

僧侶「浄化を――――」


杖の先から光の柱が天に向かってのび、クラーケンの頭上で弾けてシャワーのように降り注ぎました。

辺り一帯は目もくらむような真っ白な光に包まれます。



僧侶(…ここは)


気づいた時には私は蒼い海のなかにいて、
目の前にはさきほどまでとは打って変わって
暖かく優しい魔力を帯びたクラーケンがいました。

彼はゆっくりと一本の太い太いタコ足を伸ばしてきて、私の目の前につきつけます。

僧侶(よかったです…)

私はそっとその足に触れました。


僧侶(…!)

すると頭の中に何かぼんやりとした映像が浮かび上がってきました。


僧侶(これは…)


黒いローブを着た何者かが、船の上から邪な魔力を海へと流し込んでいました。


僧侶(ひどい…なんてことを!)



僧侶(まさか…この人が闇の呪術師…)


大蛸「…」ゴゴ…

僧侶(これはあなたの記憶なんですね)


その映像の中で、クラーケンは確かにその謎の呪術師と戦っていました。
しかし、圧倒的な魔力を前に為す術はなく、やがて海は真っ黒に染まってしまい、
そこで記憶は途切れました。
その後、邪な魔力にあてられたクラーケンは人を襲うようになったのでしょう。

僧侶(けど、あなたは海の生き物たちを守ろうとした)

僧侶(そうですね)

大蛸「…」ゴゴゴ

僧侶(もう大丈夫ですよ。懺悔の必要はありません)

僧侶(全部、教えてくれてありがとうございます)

僧侶(さぁ、あなたは元の棲家へお帰りなさい)

僧侶(あとは私が…私達にまかせてください)


その呪術師は、おそらくこの先私達に牙を向くでしょう。
私はこの時、はっきりと自分の対峙すべき敵といえる存在を認識しました。



僧侶「ぷはっ…」

海面に顔を出すとすっかり海は穏やかさをとりもどし、曇天には晴れ間が覗いていました。


僧侶「はぁ…良かった」

蛸娘「ヒーラ…ありがとう」

僧侶「えへへ。やりましたね。みんなのおかげです。スキュちゃんありがとう」

僧侶「ローレさん、ありがとうございました」

宿屋の少女「うふふ。いまでも心臓がドキドキしてます」


海賊の頭「おーいアネさん! こっちです!」

僧侶「あっ」

海賊さんたちは船に私をひきあげてくれました。

僧侶「みなさん無事ですか!」

海賊の頭「ええ。おかげさまで」

海賊の頭「ありがとうございました」

僧侶「こちらこそ。あなたたちの協力なしでは魔法陣を描くことはできませんでした」


海賊の頭「それで、アネさん…」

海賊の頭「これから、どうします」

僧侶「…」

海賊の頭「よければ俺たちのことを今後も導いてくれませんか!」

海賊の頭「お願いします!」

僧侶「そ、それは…」

海賊の頭「アネさんの部屋はとびきり豪華にします」

海賊の頭「野郎どもが扉に触れることすら許しません、アネさんのプライベートを保ちます」

海賊の頭「飯も風呂も不自由させません!」

海賊の頭「そうだ、あの蛸女も一緒に…!」

僧侶「…」

海賊の頭「それでも…だめですか」

海賊の頭「俺たちには女神のアネさんが必要なんです!」


海賊A「おかしらぁ…警備隊の奴らがもうそこまで来てますぜ」


警備隊「あーこちらは警備隊だ。海賊ども、応答せよ」

警備隊「お前たちが人質を連れていることは知っている」

警備隊「すぐに解放しろ」


海賊A「野郎、好き勝手いいやがって」

海賊A「この方は俺たちのアネさんだぞ…」

海賊の頭「…アネさん」

僧侶「…わ、私は。すでに仲間がいるので、同行はできません」

海賊の頭「そう……ですか」

海賊A「うおおんせっかく俺達の女神をみつけたのによぉ」


警備隊「人質を解放せよ」

警備隊「それとも、その女はお前たちの仲間か」

警備隊「そうとなれば、砲撃を開始する!」

傭兵「お前何言ってやがる!」

勇者「ヒーラはほんとにボクたちの仲間だよぉ! 海賊たちに誘拐されたんだ!」

警備隊「だが、そうは見えんぞ」


海賊A「まずいぜ頭、この距離で撃たれたら直撃しちまう」

海賊B「大丈夫だ。こっちにはアネさんの結界がある! 大砲なんていちころよ」

海賊の頭「…アネさん。お願いします、俺達と共に」

僧侶「でも…それはできません」


勇者「ヒーラーーー!!」

勇者「ヒーラなんでしょ!! ボクだよ!!」


僧侶「! ユッカ様!? あの船にユッカ様が!」

海賊の頭「あれがアネさんのお仲間ですか」

僧侶「そ、そうです! 私の仲間です!」

僧侶「うぇぇん…ユッカ様…ぐすっ」

僧侶「よかった…みんなと…また、ずずっ」

海賊の頭「…」 

警備隊「攻撃を開始する」

海賊の頭「!」



傭兵「やめろっ!」

勇者「うっちゃだめだよぉ! ほんとにヒーラはボクたちの仲間なんだよぉ!」

警備隊「我々の目的はこの海域を荒らす海賊どもの駆逐である」

警備隊「各砲座、構え!」


海賊の頭「まちやがれ!!」

警備隊「…む」

海賊の頭「これが見えねぇのか!」

海賊のお頭さんは腰のサーベルを引き抜き、私の首元に触れない程度にそっと当てました。

海賊の頭「ご無礼をアネさん…いえ女神様」ボソボソ

海賊の頭「この人質の女の命が惜しければ、俺たちを見逃してもらおうか。交換条件だ」


警備隊「くっ。やはり人質だったか…姑息な手を」

警備隊「わかった。いますぐ婦人を解放せよ!!」

海賊の頭「あぁ。小舟でそっちに向かわせる!! 砲撃すんじゃねぇぞ!」

頭ぁ・・・


海賊の頭「…行ってください」ボソボソ

僧侶「あなた…」

海賊の頭「俺達は言い逃れもできねぇ海賊」

海賊の頭「オクトピアから来た商船をおどしたのは事実なんです」

海賊の頭「へっ、やっぱりアネさんはここにいちゃいけねぇな」

海賊の頭「さぁ仲間が待ってんでしょ」

海賊A「下に船を用意してます。そこのロープを伝って海に降りてください」

僧侶「…お世話になりました。そうだ、この杖…返します」

海賊の頭「それはアネさんが海に認められた証だ。俺達は受け取ることはできねぇ」

海賊の頭「持って行ってください。もともと誰のモンってわけでもねぇ」

僧侶「でも…」

海賊の頭「ほら、グズグズしてると陸のバカどもがまた疑っちまう」

海賊の頭「お元気で。ヒーラ様」

海賊の頭「頭を下げちゃいけませんよ。いかにも怯えた人質を装ってください」

僧侶「あっ、ありがとうございました…!」ギクシャク

頭ぁ・・・!!


私は海に降りて小舟に乗りました。

オールの漕ぎ方がわからなかったのですが、不思議と小舟は前へ動いていきます。

僧侶「あ、あれ…?」

蛸娘「ヒーラ…」

僧侶「スキュちゃんが押してくれてるんですか…?」

蛸娘「そう。スキュ…ヒーラのこと好き」

蛸娘「でも、ヒーラ帰るとこある。ヒーラお嫁さんにできない」

蛸娘「スキュ悪い子だった。ごめんなさい」

僧侶「謝らないでください。もう済んだことです」

僧侶「それに…楽しかった。知らない世界を知れてすこしだけ、うふふ」

蛸娘「でも…」

僧侶「スキュちゃんは寂しかっただけですよね」

蛸娘「クラ君元気にもどった。もうぷんぷんしてない。ヒーラのおかげ」

蛸娘「ローレにもひさしぶりに会えた。うれしい」

蛸娘「ありがとう。ありがとう。ヒーラ好き」

僧侶「うふふ」

そして、小舟は大きな警備隊船の前までたどり着きました。

警備隊自重しろ!


蛸娘「あのね。スキュ、ヒーラに幸せになってほしい」

僧侶「スキュちゃん…」

蛸娘「ヒーラをお嫁さんにする人、きっともっと幸せになる」

蛸娘「スキュもがんばって幸せになる」

蛸娘「ばいばい…」

僧侶「…行っちゃうんですか」

蛸娘「スキュのお友達助けてくれてありがとう」

蛸娘「ばいばい。ヒーラばいばい」

僧侶「あっ…スキュちゃん、最後に顔がみたいです」

蛸娘「だめ。ヒーラ、スキュと一緒のとこみたれたらスキュの仲間とおもわれる」

蛸娘「ヒーラ、人間。スキュと違う」

蛸娘「だからヒーラ、ばいばい」

僧侶「…!」

そうして、スキュちゃんはスィーっと波間に消えてゆきました。

僧侶(…ありがとう)

僧侶(さようなら…スキュちゃん)


勇者「ヒーラぁぁああ!」

ユッカ様が勢い良く縄梯子から降りてきて、私に激しく抱きつき小舟がぐらぐらと揺れました。

僧侶「ユッカ様…泣かないで」

そう慰めた私の頬には、たしかに一筋の涙が伝っていました。


その日、疲れきった私はローレライに一旦帰ることとなりました。
事情聴取を含めた事後処理は明日以降おこなわれるそうです。


僧侶「…」

私は2階のテラスで潮風に吹かれながらぼーっと夜の海をながめていました。

僧侶「…」

勇者「ヒーラ!」

ユッカ様は私の側から離れようとせず、ずっとくっついたままです。

ソル様もマナちゃんも私の帰還を喜び、何かと世話を焼いてくれました。

傭兵「腹減ったろ。これ、晩飯買ってきた」

勇者「あーなにこれ唐揚げ?」

傭兵「タコだけどな。うまいぞ」

勇者「えータコ…」

僧侶「タコ…」


傭兵「タコはこの街の名物なんだぞ! なんたって蛸女伝説の残るオクトピアなんだからな」

勇者「それって罰当たりじゃないのかなぁ」

勇者「…はむ…。うわぁ、これサクサクだね! ぶにぶにしてない!」

傭兵「お、ついにお前もタコのうまさに気づいたか」

勇者「こんな調理法があるんだねー」もぐもぐ

魔女「おいしい」

傭兵「あれ、ヒーラちゃん食べないの?」

勇者「お腹へってないのー?」

僧侶「い、いえ…」

傭兵「ヒーラってタコ嫌いじゃなかったよね? もしかして…今日のあのおっきいタコとの戦いで嫌いになった?」

僧侶「…」フルフル

僧侶「タコは決して嫌いじゃありませんよ!」

僧侶「ただ…なんとなく今は食べづらくって」

傭兵「それもそうか。悪いな…なんか違うのすぐ買ってくる!」

僧侶「あっ…そこまでしなくていいのに」

僧侶「タコ…」

僧侶(スキュちゃん…元気でね)



第19話<ヒーラの受難>おわり

更新おわり
次回20話 今日か明日夜予定

乙です
裏で活躍していた者達が称賛もされずに去っていく、何とも物悲しい感じですね

スキュさん切ないな…
乙!

某ワンコゲーの浦島編を彷彿。こちらは皆無事で良かった。
乙!

海賊には海賊の正義がある。警備隊にも正義があるって事だね…パーレイ!

乙、(T_T)

この先それぞれに因縁の敵出てくるのかな
傭兵vs魔剣士
僧侶vs呪術師
勇者vs魔王?
魔女vs???
つかあとどんだけ続くんだ

ユッカの因縁の敵はサキュだろ!
魔王だったら色々問題が

ミスリードを誘われているかも知れぬが、魔女(マナ)が魔王になりそう
入れ替わりで、幼竜(マントルドラゴン)が仲間になりそう

確かにマナが敵になりそうだよね

そういう予想はしない方がいい

そういう予想はしない方がいい
書きづらくなるだけだ

最終的に誰と結婚するのか不安だ

海賊たち、人知れず活躍し去っていった所はカッコいいのだけど、初登場時に『女に飢えてた』『楽しませてもらおう』とか言っちゃってるあたり、もしヒーラがあの杖を抜くことが出来なかったらヒーラの事を○してたかもしれないんだよなあ。

>>204
もしかして一人としか結婚してはいけないと思ってるのかな?

ここは日本が…舞台じゃないわかるな?

申し訳ない更新明日22時~に遅れますおやすみ

おやすみぃ

おやすみ

俺は楽しみは最後にとっておくタイプなんだ
おやすみ

▼前回のあらすじ
蛸娘<スキュラ>に誘拐されて行き着いた海賊のアジトにて、海鳴りの杖に選ばれた僧侶<ヒーラ>は海の女神として祭り上げられる。
そして状況に流されるままに、海で暴れる大蛸<クラーケン>と対峙することになった。
スキュラと宿屋の少女<ローレ>、そして海賊達の力を借りたヒーラは新しい杖の力で
邪な魔力に支配されたクラーケンを浄化し、無事ユッカ達の元へと帰還したのであった。

あらすじ乙です



第20話<海日和>



【ローレライ2階・大部屋】


僧侶「ん…寝苦しい」

勇者「すぴー…zzz」ギュー

僧侶「ユッカ様…心配かけてごめんなさい」なでなで

魔女「…zzz」

僧侶「マナちゃんも。私のこと一生懸命探してくれたんですね。ありがとう」なでなで

僧侶「うふふ、でもちょっと暑いです」

僧侶「よいしょ…」

僧侶「すっかり汗かいちゃいました」

僧侶「11時…お風呂、まだはいれるかな」

僧侶「ちょっとだけ行ってきますね」なでなで

勇者「んぎゅ…ぅ…zzz」


カチャ…

僧侶「あっ」

傭兵「お…ヒーラちゃん、まだ起きてたのか」


僧侶「はい。汗かいちゃって…」

僧侶「あと、まだ磯の臭いが取れてないような気がして、お風呂に入りなおそうかと思ってるんです」

傭兵「すんすん。しないけどな」

僧侶「きゃあっ、もうっ! い、嫌ですよそんなことするの! セクハラです」

傭兵「悪い。でも汗の匂いはちょっとした」

僧侶「も~~っ!」

傭兵「しーー。じゃあ、先に入っておいで」

僧侶「え…。あ、もしかしてソル様もお風呂行くところでしたか?」

傭兵「まぁな。さっき入ろうとしたらちょうどローレさんが入ってたから、入れなかった」

僧侶「そうですか…」

傭兵「行っておいで」

僧侶「私があがるのを待ってたら、お湯…冷めちゃいますよ」

傭兵「じゃあ一緒に入るか! ははは、なんて」

僧侶「…ぃ、いいですよ…?」

傭兵「え゛っ!? 冗談だけど、俺水風呂でも別にかまわないし…」

僧侶「…」きゅっ

傭兵「ひ、ヒーラちゃん…どうしたんだ」


僧侶「…」

傭兵「……辛かったな」

僧侶「…」フルフル

傭兵「ごめん、俺のせいでヒーラちゃんをとんでもない目に遭わせてしまった」

僧侶「謝らないでください」

僧侶「それに、私にとって大切な出会いもありました。決して悪いことばかりではありませんよ」

傭兵「そ、そうか…とにかく、ヒーラちゃんが無事に戻ってきてくれて嬉しい」

僧侶「…ねぇ…あの、最後に交わした約束…覚えてますか」

傭兵「え……っと。あ、あーもしかして」

傭兵「アレ…のことか?」

僧侶「…」コクン

傭兵「と、とりあえず風呂行ったほうがいいんじゃないか。こんなことしてる間にも冷めちゃう」

僧侶「だから一緒に…ね?」キュッ

傭兵(参ったな)

僧侶「ソル様に…抱いてもらいたいです」



【大浴場(混浴)】


ガラ…


僧侶「おまたせしました」

傭兵「お、おう」

僧侶「…よいしょ」カコン

傭兵「どうして隣に座る…あっちにも向こうにもいくらでも空いてる場所が」

僧侶「ソル様ひどいです」

傭兵(寂しいのかな…)

僧侶「お体は私が流してさしあげますよ」

僧侶「はい。じゃぱー」

傭兵「…」

僧侶「? 目閉じなくて良いですよ?」

傭兵「だってヒーラちゃん裸だろ?」

僧侶「当たり前じゃないですか。お風呂なんですから。おかしなこと言いますね」

傭兵「…だよな」

僧侶「恥ずかしがってますか? 裸はいままで何度も見てるじゃないですか」

傭兵「昨日今日とさ、ずっとヒーラちゃんのこと考えたから、妙に気恥ずかしい」

僧侶「うふふ。それはどうも」


僧侶「私のこと考えて、こんな風になっちゃいました?」


ヒーラちゃんは俺の背中にふくよかな胸をおしつける形で抱きついて、背後からそそり立ったペニスへと手を伸ばした。
細くしなやかな指で陰茎をなでながら、耳元に息を吹きかけるイタズラをしてくる。


傭兵「ホントに心配してた。それだけだよ」

僧侶「では安心してこんな風に?」

 しゅっ しゅっ

傭兵「……はい」

僧侶「こんなにカチカチにしちゃって。昨晩はユッカ様とはなさらなかったのですか?」

傭兵「さすがに出来ないよ」

僧侶「でも私の生存はあの淫魔の協力で確認してたんでしょう? マナちゃんにそう聞きましたよ」

傭兵「だからしてないってば…そこまでユッカ図太くないよ」

傭兵「あいつずーっと水晶球を覗きながらオロオロしたり、球に難癖つけたりしてた」

僧侶「ユッカ様らしいですね」

僧侶「じゃあ…ほんとにあの日の岩場の続きなんですね…これ」

僧侶「♪」

 しゅっ しゅっ

傭兵「…う」


僧侶「出しちゃダメですよ」

僧侶「続き、なんですから」

僧侶「ちゃんと…私と…はむ」

洗い場の鏡越しに俺の背後に映るヒーラちゃんは、恍惚とした表情で俺の耳たぶを口に含んだ。

僧侶「こうやって、こしこししてるとどんどん固くなっていきますね」

僧侶「一番かたーくなったら、私にくださいね」

傭兵「ヒーラちゃんは準備できてるの?」

僧侶「…たしかめてみますか?」


ふいにヒーラちゃんは立ち上がり、俺の前に回りこんでおしりを向けた。
ぷるんとした真っ白なおしりのお肉が目の前で弾む。

傭兵「なっ」

そしてヒーラちゃんはそのまま腰を折るように正面の鏡壁に手をつき、陰部を目の前に突きつけてきた。
眼前で秘裂がひくひくと呼吸をくりかえし、俺を誘っている。


傭兵「お、おい…」

僧侶「ここ…ソル様の指で、ひらいて…見てください」


ピンク色に染まり少し成長のかいま見える陰唇と、うっすらとした金色の陰毛。
ヒーラちゃんの全てが目の前にある。

さすがにこんな距離だとすこしぎょっとしてしまう。

しかしそれ以上に俺の好奇心と性欲は駆り立てられ、
気づいた時には指先でその秘密の場所を左右に開いていた。

 くちゅ…

僧侶「んっ…ぁ」

僧侶「いいですよ…見て。私のここ…こんなになってるんです」

ちいさな水音と共にヒーラちゃんの恥肉は開かれ、
中の真っピンクの襞と、薄暗くすぼんだ穴が現れる。

穴の周りはすでに陰液で溢れ、つぅと重力に従って垂れて、ヒーラちゃんの金色の毛に絡みついた。


僧侶「どうですか…」

僧侶「ソル様にエッチなことしてもらいたくて、こんなに濡れちゃってるんです」

僧侶「私、エッチですよね…?」



傭兵「すごくエッチだ。ここ、ちょっと磯っぽい匂いするかも」

僧侶「えっ、う、嘘っ!」

僧侶「一応…帰って来たから念入りに念入りに念入りに洗ったんですけど…」

傭兵「じゃあこれヒーラちゃんの元からの匂いか」

僧侶「も~~っ!」

俺はなんの宣言もなしに、顔を近づけてヒーラちゃんのそこに舌を押し付けた。
いくら濡れていても、愛撫はしておいたほうがいいだろう。


僧侶「ひゃうっ…な、何を」

傭兵「ヒーラちゃんを味わいたい」

僧侶「そんな…舐められるのは恥ずかしいです」


しかしヒーラちゃんは特に抵抗する様子はない。
ぷっくりと腫れたクリトリスを舌先でつんつんとねぶると、次第に鼻をかすめる匂いは強くなった。

僧侶「そこ…は…っ。あっ、あっ♥

僧侶「き、きもち…い…う」

僧侶「クリちゃんはダメですよぉ…」

傭兵「はは、ヒーラちゃんてここの事そう呼んでるんだ」

僧侶「ひゃうん、もうクリちゃん舐めないでくださいっ」


傭兵「すごくトロトロの汁がいっぱい出てきた」

僧侶「だ、だってそんなことされたら…出ちゃいますよぉ」

傭兵「舌、入れるね」


少し強めにぐっとヒーラちゃんのあそこを広げて、横に伸びた恥穴に舌を無理やりねじこんだ。
ドロッドロに汁を溜め込んだそこからはヒーラちゃんの濃厚な味がした。

 ちゅく ちゅく ちゅく
  ちゅく ちゅく ちゅぷ…


僧侶「ふぁぁ…っ。だめっ、だめですぅ」

僧侶「ソル様の舌が…ざらざらしててっ、私のそこ…っ、やんっ、あっ、きもち…くて」

僧侶「はぁ…ハァ…♥ イッちゃいそ…」

僧侶「も、もうはなしてくださいっ、イッちゃいそうで…す、あんっ♥」

僧侶「穴のまわりれろれろしないでくださいっ! 中に入れるのもだめぇぇ♥」


 ちゅぷ ちゅぷ ちゅぷ ちゅくっ


僧侶「ぅ~~っ♥」


ぷしゅっと粘り気気の薄い汁が顔にふきかけられて、ヒーラちゃんのおしりがびくんと跳ねた。

僧侶「はぁぁう…♥♥」

傭兵(イったかな?)

傭兵(そこまで刺激あたえてないんだけどなぁ)

どうやら刺激そのものよりも、俺にこんなことをされているという状況に感じているようだ。

逃げようとする腰を手で捕まえて、なおも舌をねじ込み続けると、ヒーラちゃんの陰液はとどまることなく溢れ続け、
彼女の甘い喘ぎが浴室内に反響した。


傭兵「美味かった」

僧侶「…はぁ、ハァ…」

鏡ごしに表情をうかがうと、顔を真赤にそめてトロンとした目をしていた。

傭兵(あんまり長くするとまたのぼせるかもしれないな)

そう思った俺は、ヒーラちゃんの腰を掴んだまま立ち上がり、
すでに限界まで張り詰めた自分のイチモツを、いましがたほぐし終えた穴に突き刺した。


僧侶「ふあぁぁぁ~~~ぁっ♥♥♥」


ドロドロに溶けたソコは驚くほど簡単に俺のモノを受け入れ、
陰液でねちょねちょになった内襞で暖かく包み込み、そして激しく絡み付けてきた。


僧侶「そ、そる様のおちんちんがっ…♥ んんんぅ♥」

僧侶「熱いですっ、あつすぎて溶けちゃいます」

傭兵「もう溶けてるよ」

傭兵「動いていいか? あ、その前に」

激しいピストンをする前に、まずは2度3度とゆっくり突き入れる。

 ぶぴゅ…ぷぴゅぅぅ
   ぷぴゅっ!

僧侶「!」

膣内の空気と陰液が無理やり押し出されて、結合部からまぬけな音が鳴り響いた。

僧侶「や、やめっ! な、なんですか今の変な音ぉ…」

傭兵「これしておくと密着感がすごいな…ヒーラちゃんの中ちょっときつくなった」

僧侶「ううう…ひどいです」

傭兵「俺だってもう我慢できないからな。動くよ」

そして俺は容赦なく腰を動かし始めた。



  ・  ・  ・


僧侶「あっ、あっ、あっ♥ あ゛っ♥」

  
 ぶちゅっぶちゅっぶちゅっ
  じゅぷ じゅぷ じゅぷっ


腰を打ち付けるたびに肉のぶつかる乾いた音と、混じった陰液の弾けるぐちゃりとした音が同時に聞こえてくる。
後背位によって俺のペニスの反り返りがヒーラちゃんの膣壁を激しくこすりつけ、
カリ先は的確に子宮の入り口を捉えて、何度も何度も刺激をもたらしつづける。

ヒーラちゃんはいつもとは違う快感に声を抑えることをせず、よがりつづけていた。

僧侶「あ゛おおっ♥ ああっ、あああっ♥」

僧侶「ソル様ぁ♥ すごっ、ひっ、これ♥」

僧侶「おまんこの奥が…ごりっ♥ごりっ♥って」

僧侶「ソル様のおっきいおちんちんがいっぱい届いて…削られちゃって…あああっ♥」

僧侶「赤ちゃんのお部屋つぶれちゃいますよぉお♥♥」

僧侶「あああっ、おおっ、お゛おおっ♥」



傭兵「ヒーラちゃんっ、ヒーラちゃんっ」


俺は膣に出し入れする快感に酔いしれ、彼女をいたわることを忘れて猿のように腰を振っていた。
鏡を覗くと、いまにも気を失いそうなほどの快楽で顔をぐしゃぐしゃにしたヒーラちゃんと、
その下で千切れそうなほど激しく弾む大きな胸が見える。


 じゅぷっ!じゅぷっじゅぷっ!
  じゅぷっ! じゅぷっ! じゅぷっ!


だんだんと射精感が近くなり、俺は律動を早めてラストスパートをかけた。


僧侶「あああっ、ああっ、イグっイッれますっ!♥」

僧侶「お゛おぉぉ!? お゛おっあああっ♥♥」

僧侶「イグっ、イッてますからああ…♥」

僧侶「やめっ、もう止めてっ♥ はああっ、イクッまたイクっ!」

僧侶「んんっ~~~っ!♥」

僧侶「やぁぁぁんっ、イッてますってば♥ 」

僧侶「とめてっ、腰とめてくださいっ、イッてますからぁ」

僧侶「しんじゃいま…お゛おおっ、お゛お♥♥ らめぇ」



 じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ
  じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ


僧侶「う゛うううっ、ううっ、あああっ♥」

僧侶「はやぐっ、きてぇ♥ わたしのっ、膣、おまんこのなかにぃ♥」

僧侶「ソル様のあついのだしてぇええ♥」

傭兵「…くっ、う、ああっ」

傭兵「ヒーラ…ちゃっ」

そして激しい収縮で淫猥に俺をしめつけてくるヒーラちゃんの膣内に
俺はたっぷりと射精した。

 びゅくっ、びゅくびゅくっ
  どぷどぷどぷどぷ…どぷ

僧侶「ふぁぁぁあああ♥♥」

僧侶「でて、でてますぅ♥ ソル様の精液…♥」

僧侶「私のおまんこのなか…赤ちゃんのお部屋まで全部べたべたに…♥」

僧侶「これ、イクっ、イッちゃう…っ、くっ、もう何回目…あ゛ああっ♥」

僧侶「見ないで…っ、こんな姿…」

傭兵「はぁ…ハァ…ハァ…今日はすごく淫れたな」

僧侶「ううう…まだ…イッてます…止まんなくて、ぐすっ」


傭兵「ほんとにエロい子になった」

僧侶「うう…言わないでください」

傭兵「かわいいよ。素直に自分をさらけ出してくれて嬉しい」

僧侶「私の本性はエッチな子って言いたいんですか…?」

傭兵「う、うーん…まぁ、そうかもな」

僧侶「ひどいです。こんなに激しくしたのはソル様じゃないですかぁ」

傭兵「だってヒーラちゃんが、というかヒーラちゃんのここがすごくほしがってたから」

傭兵(それにヒーラちゃんならどんだけ激しくしても丈夫だからな…)

僧侶「何か変なことかんがえてませんか…?」

傭兵「さて。身体あらって風呂に」

僧侶「…ねぇソル様」


そういってヒーラちゃんは指を一本立てて俺の顔を覗きこんできた。

傭兵「なにその指」

僧侶「…」

傭兵「もう一回…?」

僧侶「…」コクッ

どうやらこれだけ激しくしてもまだし足りないらしい。
それほどに今回の件で彼女は寂しい思いをしたようだ。

傭兵(満たしてあげなきゃ、男じゃないな)


そうして俺は再び手をとり、ヒーラちゃんが満足するまで愛しあった。
行為を終えた頃にはすっかり湯船は熱を失っていたが、火照った二人の身体を冷ますにはちょうどよいぬるさになっていた。



第20話<海日和>つづく

更新おわり
予定を数日飛んでスマソ
次回本日夜22時~

乙です
ヒーラ、エロス

乙!
ヒーラの正妻力がダントツだなww

みんな淫乱ですわぁ

乙、寝れない

ヒーラを正嫁に迎えてユッカとマナはせフレにしよう

第20話<海日和>つづき


<翌日>


【オクトピア警備隊本部】



警備隊「これをもって事情聴取を終了とする」

僧侶「ほっ…」

警備隊「そして大蛸の討伐の件について感謝する。あんなものが航路にいるとはな…」

僧侶(本当はやっつけたわけじゃないんですけどね…)

傭兵「疑いは完全に晴れたってことでいいんだな?」

警備隊「あぁ。お前達が海賊や魔物の仲間でないことは理解した」

傭兵「これで俺のここでの任務も終わりだな」

警備隊「ん? 何を言っている」

警備隊「まだ契約が残っているぞ」

傭兵「は?」


警備隊「海賊は逃げたが、まだ航路の安全が確保されたわけではない。再び現れる可能性もある」

傭兵「ま、まじかよ…じゃあ開港は?」

警備隊「数日間、警備船隊で巡回し様子を見てそれから判断する」

傭兵「…またしばらく船の上か。まぁ金はどのみち必要だからいいけどよ」

傭兵「船の揺れはどうも苦手なんだよなぁ」

僧侶「がんばってくださいね」

警備隊「なにか勘違いしているな。今回は仲間が誘拐されたということで、特別措置としてお前を同船させただけ」

警備隊「新米海兵がやることは決まっている」

傭兵「……もしかして」



【浜辺】


傭兵「……暑い」

勇者「ソルー。ビーチバレーしよー」

傭兵「アホ。仕事中だ」

勇者「座ってるだけじゃん」


勇者「ねーボクもそこ登ってみたい」

傭兵「来んな」

勇者「…んしょ」

傭兵「勝手に登って来んなっつってんだろ。あーもう、なんなんだよ」

勇者「ボク高い所好きなんだ」

ずしっ

傭兵「乗るな」

勇者「はい。お水。喉乾いて無いかなって思ってとどけに来ただけだよー」

傭兵「…おう。そりゃ悪いな」

勇者「休憩の時遊ぼうね」

傭兵「いいや、お前は今日こそ稽古つけてやる」

勇者「……」むすっ

傭兵「船旅になるとしばらくなにもできないからな。今のうちに鍛えておけよ」

勇者「……はーーい」 ピョンッ

傭兵「あ、それと遊んでばっかいないでお前らも仕事探せ! もらったビラはどうした!」

勇者「ボクたち明日からする仕事きまってるよ」

傭兵「ほんとか? 何するんだ」

勇者「お楽しみに!」


<その夜>



【ローレライ2階・大部屋】



僧侶「本日もお疲れ様でした」

傭兵「…何もしてないのに疲れた」

勇者「ずいぶん日焼けしてるねー」

傭兵「お前もな」

勇者「えへへ。見てお腹は真っ白」ペロン

傭兵「しまってろ」パチン

勇者「あうっ」

僧侶「…ごほん。さて、ではそろそろはじめましょうか」

勇者「…! …う、うん。そうだね」

傭兵「なにかするのか?」

魔女「ユッカの呪いの浄化」

傭兵「え…? いままで散々失敗しただろ」

僧侶「じゃじゃーん。見てくださいこの杖」

傭兵「それは海で拾ってきたっていう杖か」

僧侶「そうなんです! いまのパワーアップした私ならきっとユッカ様を蝕む憎き呪いを打ち消せるはず!」

勇者(不安だなぁ…)


魔女「この杖はとても良いもの」

魔女「ヒーラと波長があっている。もう店で杖を探す必要はない」

魔女「ヒーラのちからを最大限に引き出すことができるはず」

僧侶「うふふ」

勇者「ほんとにできるの…?」

僧侶「私を信じてください。必ずユッカ様を救ってみせましょう」

傭兵「……」ソロー

僧侶「ねぇソル様どこ行かれるのですか」ガシッ

傭兵「なんだかろくでもない目に遭いそうな気がしたから…街の酒場にでも退避しようかと」

魔女「今回は私が太鼓判を押す」

魔女「必ず成功する」

僧侶「はい!」

傭兵(何の自信なんだ)

勇者(ふたりとも失敗しても何も責任とらないくせによく言うよ…)

僧侶「では魔法陣を描きますのでしばしお待ちを」グリグリ

勇者(それお布団に描けるんだね…)


僧侶「できました! さぁいつでもどうぞ! 魔法陣の上に乗ってください!」

勇者「バチバチってならない?」

僧侶「なりませんよ! きっと、たぶん…」

勇者「……」

魔女「乗って。今回は術に改良も加えている、きっとあなたの呪いを消し飛ばしてくれる」

勇者(アソコごと消し飛んだりしないよね…)

勇者「で、でも…不安だなぁ」

僧侶「はやくしてください。効果が消えちゃいます」

勇者「うう…わかったよ」

勇者「いくよ…」ソロー

傭兵「はよ乗れ」ドンッ

勇者「あっ…! う゛にゃああああああああっ!!!♥」バチバチバチ

勇者「お゛おおっ、あああっ♥ イクっ♥ だめぇこれっ、ああああっ♥」ゴロゴロゴロ


傭兵「…」

僧侶「そんな…今回は自信がありましたのに」

僧侶「申し訳ありませんユッカ様。失敗しちゃいました…」

勇者「そんにゃっ、助けてぇ♥ 」

魔女「私達の想像の上をいく高度な呪いがかけられているのかもしれない」

僧侶「あの脳天気なサキュバスにそんなことできるとは思えないのですが…」

勇者「ひどいよぉ!! はぁぁううう♥ おっ、お゛おおっ♥」

勇者「おまんこ…焼けちゃうっ♥ あ゛ついよぉ…♥」

勇者「たしゅけ…っ、助てぇ♥♥ あああっ」ゴロゴロゴロ

傭兵「…これはいつにも増してひどいな」

魔女「…こちらも高度な魔法陣を使った分、失敗した時の抵抗が強い」

僧侶「本当にごめんなさいっ」

勇者「ヒーラのばかああああっ♥」

僧侶「あぁ、でも可愛い…できることなら私が沈めてさしあげたいです」

魔女「お風呂行こ」

僧侶「ソル様あとはおねがいします」

傭兵「…まじかよ」


傭兵「…ついでにレベル上げしとくか」

勇者「うんっ♥ しよっしよっ♥ はやくぅ…」

勇者「おまんこ…焼けちゃうよぉ、おちんぽほしいっ♥」

勇者「おちんぽっおちんぽっ♥」すりすり

傭兵「しかしこれどうやったら解けるんだ」

傭兵「やっぱあいつをぶった斬るしかないのか」

傭兵「それとも魔導師のじいさんの知人とやらを信じてみるか…」

傭兵「住所は…おそらく船で渡った先の街か…はぁ」

勇者「ぶつぶついってないではやくセックスしてよおおお!!!♥♥」

傭兵「これが世を救う勇者の姿とは思えないな…」

勇者「はぁ♥ ハァ♥ おちんぽ…♥」

勇者「ボクのおまんこぐちゃぐちゃにしてぇ…♥」


 ・ ・ ・


傭兵「うっ…」


▼勇者はレベル21にあがった。



僧侶「戻りました…うわっ」

魔女「この部屋くさい」

僧侶「か、換気しないとっ」

傭兵「  」

勇者「  」

魔女「ふたりとも死んでる」つんつん

僧侶「そんなわけないじゃないですか」

魔女「起きて」べしべし

傭兵「う……俺は。マナ、朝か」

魔女「まだ時間はそんなに立っていない」

魔女「お風呂空いた。入って。くさい」

傭兵「おう…? なぜだが頭がぼーっとする」

僧侶「そ、それよりソル様…し、下を履いてくださいね」

傭兵「ん……うぉあっ!? そうだ。俺はこいつに…」

勇者「  」

傭兵「…死んでないかこれ」

僧侶「お風呂つれていってあげてください…汚れものは私が片付けてておきますね…」

傭兵「すまん…」

傭兵(ってこうなったのはヒーラちゃんたちのせいなんだけどな…)



【大浴場】


勇者「汗を流そう!」

傭兵(なぜ連日女と一緒に入ることに…)

勇者「あーあ、誰かさんのせいでお股痛いな。どうせ激しくしたんでしょ」

勇者「腫れちゃってたらどうしよう」

傭兵「知るか。お前にせがまれてしたことだぞ」

勇者「死ぬかと思ったよ」

傭兵「俺だってしぼり殺されるかとおもったぞ!」

ガラガラ

サキュバス「はーい♪」チャプ

勇者「!!」

傭兵「なっ!」

サキュバス「お風呂も一緒なんてずいぶん仲良しさんね」

サキュバス「そのままじゃんじゃん仲を深めて気が狂うまでセックスしていいのよ」

傭兵「なんでここにいる!」

勇者「そうだよ!! サキュ宿泊費払ってないでしょ!」

傭兵「そういう問題か?」

サキュバス「くすくす」


サキュバス「最近がんばってるじゃない」

サキュバス「レベルの上がり方も上々♪」

傭兵「ふざけやがって」

勇者「ボク達がどれだけ苦労してるとおもってるの」

サキュバス「えーでもキモチー事してレベルがあがるならそれって素敵じゃない?」

傭兵「俺はあがらねーんだけどな。迷惑極まりない」

サキュバス「あなたにしても、オスの欲望を満たす大義名分がうまれるんだからいいじゃない」

傭兵「なにを…」

サキュバス「私の呪いがなければ、あなたたちいまごろこんな関係になってないでしょ?」

サキュバス「特にあなたのほうは…この子に対して特別な思い入れがあるみたいだから」

傭兵「…何を知ってやがる」

サキュバス「うふふ。私はこの子と一心同体」

サキュバス「記憶の中にすこし霞がかった部分はあるけど、この子のことならなんだって知ってるのよ」

勇者「勝手に覗くな! はやく出て行ってよ!」

サキュバス「だぁめ♪」

勇者「君は一体なにが目的なの!」

サキュバス「…くすくす。知りたい?」


勇者「いい加減におしえてよ!」

勇者「迷惑してるんだから!」

サキュバス「じゃあこっちにいらっしゃい。教えてあげる」チョイチョイ

勇者「…ほんと?」ジャプ

サキュバス「そうそうそのまま隣にね」

傭兵「お、おい気をつけろ」

勇者「…」ザプザプ

勇者「ねぇ教えてよ」

サキュバス「うっそー。おしえるわけないじゃない♪」がばっ

勇者「ひゃあああっ騙したなああああ」

勇者「離してよぉおお!」

傭兵(あーあ)

サキュバス「あら意外。静観するのね?」

傭兵「お前がユッカに直接害をなさないことはわかっている」

サキュバス「そうよ♪ そこらの魔物と違って、とって喰いやしないわ」

サキュバス「この子は私にとっても大事な器だから」

傭兵(やはりユッカを何かに利用する気だな)


勇者「んーーヤダ近づかないで」

サキュバス「えーたまにはあたしと仲良くしましょう」

勇者「なにヒーラみたいなこと言ってるんだよずうずうしい!」

サキュバス「あんな上っ面だけの聖職者もどきより、あたしのほうがあなたのことを想っているわ」

勇者「絶対嘘だ! 君のことなんてしらないから!」

サキュバス「はむ♪」

勇者「やーだーやっぱり食べてるじゃんか嘘つき!! ソルたすけてよー!」


傭兵「…」わしゃわしゃわしゃ


勇者「仲間が魔物につかまってるのに何のんきに頭洗ってるんだよぉ!」

サキュバス「さっちヤりすぎて疲れちゃってるのね」

勇者「そんな…ボクのせいなの?」

サキュバス「んふふ。おっぱいちょっとおっきくなった?」ふにゅ

勇者「う゛ううっ!」

サキュバス「たくさん可愛がってもらって良かったわね」

勇者「そのわりにはレベル全然あがんないよ! ケチケチケチケチ!!」

サキュバス(この調子でいけば…覚醒は近そうね)



ガラガラ


宿屋の少女「おじゃまします」

傭兵「うおあ!」

宿屋の少女「きゃっ! ソルさん…ご、ごめんなさい。ユッカさんの脱いだ服しか見てませんでした」

宿屋の少女「まさかご一緒に入っていらっしゃるとは…」

傭兵「す、すまん!?」

勇者「ローレ! この人なんとかして! お金払ってないのに入ってる悪いやつがいる!!」

宿屋の少女「!」

サキュバス「…あ!」

宿屋の少女「…えっと…その羽と尻尾は」

宿屋の少女「…サキュ…ちゃん?」

サキュバス「あちゃー…見つかっちゃった」

宿屋の少女「サキュちゃんですよね! わーひさしぶり!」

傭兵「!?」キョロキョロ

勇者「え…ふたりは知り合いなの…?」


宿屋の少女「サキュちゃん。ぐすっ、会いたかったです」

サキュバス(あぁあ…めんどくさいのに捕まった)

サキュバス(お風呂入るのやめときゃ良かった)

傭兵「あの、ローレさん…そいつとどういう関係なんだ。そいつは魔物だぞ」

宿屋の少女「! い、いえ、な、なんでも…ないですっ」

勇者「ローレ…もしかして、君って」

宿屋の少女「!」

サキュバス「何、まだ隠してんの? もういいんじゃない、あの乳にはバレちゃってるんだし」

宿屋の少女「うう…そうですよね」

勇者「うすうす感じてたけど、やっぱりそうなんだね」

宿屋の少女「…隠していてすみませんでした」

宿屋の少女「実は私…魔族なんです」

傭兵「…そうは見えないが。普通の人間だ」

勇者「サキュと同じ淫魔なの…?」


宿屋の少女「いえ…違います」

宿屋の少女「驚かないでくださいね」

勇者「うん…ローレは悪い人じゃないってわかってるから、魔物でもなんでもかまわないよ」

サキュバス「あたしも悪い人じゃないでーす」

勇者「うるさい」

宿屋の少女「あの…実は私…」


そう言い淀んでローレさんはタオルを巻いたまま湯船に浸かった。
すると足元がキラキラと輝きはじめ、気づいた時には大きなヒレへと変貌していた。

勇者「あっ…」

傭兵「魚?」

宿屋の少女「は、はずかしいですね。こんな姿、人目に晒せません」

勇者「すっごく綺麗だとおもうけどなぁ」

傭兵「うんうん」

勇者「ソルは見ちゃダメ」べしっ

傭兵「なんでだよっ」

宿屋の少女「うう…」


傭兵「人魚なら、普通は海で暮らしているんじゃないのか?」

傭兵「どうして人の街で宿屋なんてやっているんだ」

宿屋の少女「じ、実は…私、魔界出身なんですけど」

傭兵「魔界…」

傭兵「魔界! ま、まさかそこに俺たちの探してるものがあるんじゃ…」

傭兵「ローレさん!」

勇者「まずはローレの話を聞こうよ」

傭兵「そ、そうだな…悪い」

宿屋の少女「よろしいですか? それで魔界を出てから安寧を求めて海をさまよっていたのですが」

宿屋の少女「たどりついた場所にはすでに魔物がすみついておりましてですね…」

勇者「うん」

宿屋の少女「その子とはじめはすごく仲良くしてたんです」

宿屋の少女「お互い海の魔物同士だし、波長があって毎日楽しかったです」

宿屋の少女「そ、そしたらある日…」

宿屋の少女「彼女は突然私のことを捕まえて、お嫁さんにするって」

勇者(…ヒーラに聞いた話にそんなタコが出てきたような)


宿屋の少女「無理やり子作りさせられそうになって私は逃げてきたんです」

サキュバス「しちゃえばよかったじゃん」

宿屋の少女「す、するわけないですよぉ」

勇者「ローレ。ありがとう」

宿屋の少女「はい…?」

勇者「あのね、ヒーラに昨日の話を聞いたんだ」

勇者「大蛸につかまりそうになったとき人魚さんが現れて、力を貸してくれたって」

勇者「その時ヒーラはその人魚がローレだってこと言わなかったよ」

宿屋の少女「ヒーラさんは…私のことを内緒にしてくれました」

宿屋の少女「私が魔物であることが広まるのはよくないからって」

傭兵「ヒーラちゃんらしいな」

宿屋の少女「私の方こそありがとうございます」

宿屋の少女「あっ、あのっ、内緒にしてくれますよね!」

宿屋の少女「魔物が経営する宿屋なんて怖くてますます人が遠ざかってしまいます」


勇者「そうかな?」

宿屋の少女「え…」

傭兵「俺たち人間にとって、人魚はそこまで悪いイメージは根付いてないな」

勇者「そうそう!」

宿屋の少女「そうなのですか」

サキュバス「少なくともあんたの一族はそんなに悪いことしてないしねぇ」

勇者「人魚がやってる宿ならみんな行ってみたくなるよ!」

宿屋の少女「で、でも…魔物なんてそれだけで怖いですよね」

傭兵「ローレさんを見て怖がる奴なんていないさ」

勇者「ボクならぎゅってして持って帰りたくなっちゃうよ!」

傭兵「あーそういう輩に来られたら困るな。ローレさんの身が危ない」

傭兵「なら、人魚も訪れる温泉宿ってことで売り出したらいいんじゃないか」

宿屋の少女「え…」

傭兵「⑫ローレライの経営立て直し。そう書いただろ」

傭兵「少しでも協力できることがあるなら、俺達が手を貸す」

宿屋の少女「いいんですか…?」

傭兵「まだ世話になりそうだしな」

俺も泊まるぜ


傭兵「それと、よければ魔界ってやつの話を聞かせて欲しい」

宿屋の少女「…」

傭兵「思い出したくないことか?」

宿屋の少女「い、いえ…かまいません。ですが後日でよろしいですか」

傭兵「あぁ。かまわない。とにかく情報がひとつでもあれば良い」

サキュバス「あたしには聞かないんだ?」

傭兵「教えてくれるのか?」

サキュバス「んーどうしよっかなー♪ じゃあ、交換条件にぃ、あなたの特濃のー」

傭兵「さて、先にあがる。ユッカ、あまり長湯するなよ」

サキュバス「あっ、何よそれ!」

傭兵「どうせお前は本当のことを話さないだろ」

サキュバス「信用ないんだぁ」

勇者「自業自得だよ」

傭兵「できることなら締めあげてでも聞き出したいことだけどな」


サキュバス「…なによアレ」

宿屋の少女「…」うるうる

サキュバス「…さてあたしもあがろっかなー」

宿屋の少女「サキュさんっ。お会いしたかったです!」ギュッ

サキュバス「ぎゃー」

宿屋の少女「朝まで語りあいましょう♥」



【ローレライ2階・個室】


傭兵「よし…この街での目的は順調に達成できそうだ」

傭兵「まさかこんな身近に情報をもった人がいるなんてな。ツイてる」

傭兵「あとは金だな」

傭兵「馬車を積むから渡航費だけで結構な額になるな…」


コンコン

傭兵「お? ユッカか、早かったな」

傭兵「淫魔はどうした。もう帰ったか」

ガチャ

魔女「…」

傭兵「なんだ、マナ…どうした」

魔女「…暇?」

傭兵「…あぁ。時間はあるけど、何か話でもあるのか」

魔女「最近ばたばたしていたから。あなたが1人になる時をうかがっていた」

傭兵「…?」

魔女「そろそろ、私の成果をみてほしい…」

傭兵「…成果? あっ…忘れてた」


マナは俺の腰掛ける椅子の前に立ち、ゆっくりとパジャマの下をおろしはじめた。
肌と下着の間につぅーっと糸がひき、恥部にくわえ込んだ木棒がわずかに頭を出している。

マナはうすく微笑み、俺に恥裂を見せつけた。


第20話<海日和>つづく

更新おわり
次回本日夜22時~

乙!ユッカに搾り取られたあとにマナとは…

乙、ソルのちんこは乾かない

乙!

乙!ヒーラとユッカはまだしもマナについては自業自得だ仕方ないね

追いついた
面白い

第20話<海日和>つづき



魔女「今日こそ…あなたと…」


目の前の少女の秘部に木棒がつきささっている。
一日中入れていたのだろうか。
それとも風呂あがりにまた挿入したのか、ポタポタと汁が伝ってこぼれるほどにマナはアソコを濡らしていた。


傭兵「今日は…やけに大胆だな…」

魔女「…」


マナは何も応えず、ただじっと俺のことを見下ろしていた。
そのジメッとした視線は早くことをすませろと言いたげに見える。

傭兵「恥ずかしいのに我慢してるのか?」

魔女「…!」

傭兵「ならしなければ」

魔女「…」げしっ

マナは表情をかえることなく素足で俺のスネを蹴飛ばした。

傭兵「痛っ…なっ!?」


傭兵「口で言いなさいって俺は何度も言ってきたよな」

魔女「…」

傭兵「はぁ…」

おおよそ検討はついていた。
ユッカとした日やその翌日は、マナは機嫌を損ねることが多い。

さきほど大部屋で盛っていたのが気になっているのだろう。

つまりは

傭兵「妬いてるんだな」

魔女「!」

魔女「ちがう」

傭兵「焦っちゃだめだぞマナ。お前はじっくり時間をかけたほうがいいんだ」

魔女「ちがう」

俺は立ち上がってマナの頭を二度三度なでたあと、場所を入れ替えた。
ゆったりとしたチェアにマナを座らせて、足を大きくひからせて肘掛けに乗せる。

椅子の前に屈みこむと目と鼻の先にマナの秘部がある。
呼吸にあわせてひくひくと木棒の飛び出た頭が動いていた。


傭兵「きつくないか?」

魔女「平気。2号には慣れてきている」

傭兵「そうか…抜いていいか」

魔女「…」コク

2号をつまみ、ゆっくりと引き抜く。
わずかな水音と共に木棒は徐々に姿を現しはじめた。

魔女「んっ…」

傭兵「しっかりと咥えこんでいるな…あんまりひっぱると痛いか」

魔女「…そんなことない。余裕」

魔女「余裕だから…今日は3号が入る。絶対に入る…!」

魔女「だから……んっ、あっ」

 ぬぷっ…ずぷっ

魔女「う…ぁ」

傭兵「抜けたぞ。ほら、マナのエッチな汁でべたべただ」

魔女「知ってる」

俺は2号をサイドテーブルの上に置き、再びマナの恥部に向かい合った。


どうあっても3号をいれたいらしい。
自分で勝手に挑戦しないように約束した以上、俺がしてやる以外は無い。

しかし、今のマナは3号よりもその先にあることを待ち望んでいるのだろう。

この少女は、俺と体を重ねたがっている。
こんなに小さな体で。


傭兵(マナ…)

マナの膣をすこしだけ開いて中の様子を伺った。
やや色素の薄いピンク色の粘膜が中で呼吸を繰り返していて、よだれのように垂れた分泌液がきらめいている。


魔女「ど、どう…」

傭兵「傷はついてないな。よかった」

魔女「そうじゃなくて…大きさ。広さ…そろそろ」

傭兵「…」

残念ながら、目に見えて膣の拡がりが変わっているとは思えなかった。
数日でどうにかなるとは俺自身おもっていない。
しかしマナは自信ありげに、朱に染まった顔でほほえんでいた。



 ずぷ…

魔女「んっ…?」

とりあえず指を一本入れてみる。
薄暗い中での視覚よりも幾度か経験した指先の感覚のほうがよっぽどあてになる。

ぐにぐにと暖かく湿った膣内を探り、マナの広さを確かめた。


魔女「う…あっ…あっ…」

傭兵「すごい濡れてるな…お前いつもアレいれてこんな風になってるのか」

魔女「ちっ、ちがう…」

傭兵「よく濡れるのはいいことだぞ。痛みが軽減する」

傭兵「たくさん濡れてくれないとむしろ出来ないな」

魔女「! そ、そう……私はいつもこんな感じ」

傭兵「ぷ」

 くちゅ…くちゅ…ちゅく

俺はわかりやすい反応を示すマナを愛しく思い、どんどん濡れてくる秘部を指でかきまわしつづけた。

魔女「んっ…んぅ…あなたの指…動いて…」

魔女「そこは…ダメなとこ」

傭兵「ここマナのきもちいいとこだな?」

魔女「…ぅ」コクッ


 ちゅくっちゅくっちゅくっ
  ちゅくっちゅくっちゅくっちゅくっ…
 

魔女「うっ、うっ…はぁ…うっ」

魔女「ぁぁ…はあっ♥」

傭兵「だんだんエッチな顔になってきたな」

傭兵「このまま指でイカせてやるからな」

魔女「待っ…!」

俺は小刻みに指を震わせ、マナの膣内を傷つけないように刺激を与えた。
本当はもっと激しくこすりあげてやりたいが、まだ未通の少女に傷でもつけたら大問題である。

魔女「んんんっ……んんぅ~…♥」

魔女「はぁ…はぁ…っ」

魔女「指…で…イ…はぁ♥」

魔女「あなたの指で…イッ…ちゃ…うう♥」

魔女「んっ♥ んんっ!♥」


ぴくりと小さくマナの体が跳ねた。
指先がぎゅんぎゅんと締め付けられ、絶頂をつたえてくる。


魔女「はぁ…ハァ…ハァ」

傭兵「よし、とりあえずほぐれたな」


指をひきぬくとねっとりとした糸のような愛液が沢山からみついていた。
俺はそれを3号の頭に丁寧に塗りたくる。

魔女「3号…入れる」

傭兵「わかってる。入ればいいけど」

魔女「きっと入る。入らなくても入れて」

傭兵「そういうわけにはいかないな」

いずれマナを傷つけるのは俺の役目だ。
俺以外で純潔をうしなってほしくない。
こいつらは所詮それを手助けするための道具でしかない。

傭兵(そうか…)

俺もまた嫉妬していたことに気づいた。
この陰茎の形をしたこいつらが、可憐な少女の膣内に分け入りとどまることを羨んでいたようだ。


俺は自嘲気味に笑い、マナのひくつく秘裂に3号の頭をそっと寄せた。
ゆっくりとマナはそれを飲み込んでいく。



魔女「ぴりぴり…する」

傭兵「痛い?」

魔女「へ、へいき…窮屈だけど、痛くはない」

傭兵「もう少し入れるぞ。力抜いて」

魔女「わかった」

魔女「すぅーー…ふーーー」

魔女「すぅーー…ふーーー」

傭兵「いつもそうして自分で入れてるのか?」

魔女「…っ。そ、それが何か」

傭兵「いや…」


ここまでのマナの涙ぐましい努力を想像すると、思わず笑みがこぼれた。
自分で挿入する時はいつもの無表情なのだろうか。
それともいま俺に見せているような、熱っぽい表情をなのだろう。

3号は無事マナの中を傷つけること無く、竿の真ん中まで姿を隠した。
ぎちぎちに拡がった膣のまわりはすこし赤みを増して俺には痛そうに見えた。


魔女「ん…」

傭兵「ほんとに痛くないか? やめとくか?」

魔女「どうして」

傭兵「マナのここがこんなに拡がってるとこはじめてみたから。不安になった」

魔女「あなたのはこれよりもっと太い」

魔女「だからこれくらい平気」

傭兵「マナ…」

そうしてマナの秘部は3号を根本までしっかりと飲み込んだ。

傭兵「入った…な…」

魔女「…」コク

傭兵「入るもんなんだな。ほんの最近まで指一本でもきつかったのにな」

魔女「成果がでた。毎日たくさんいじ……あっ」

マナは何か言いかけてしまったという表情と共に口を閉ざした。
顔をのぞきこむとサッと視線をそらし、もともと赤みがかった顔をさらに赤くさせていた。

傭兵「……スケベなやつ」


考えてみればこんなナリをしたマナだってユッカと変わらない歳で、ヒーラちゃんの1つ下だ。
思春期真っ盛りだ。
自慰のひとつやふたつ、みっつくらいはするだろう。
俺にそれを咎める権利はない。

どんな生まれであろうと、どんな力を授かっていようと、マナは1人のエッチな女の子だ。


傭兵「これで3号はクリアか。早かったな。よくがんばった」

傭兵「となると次は4号…あれ、入って無いじゃん」

魔女「…4号はヒーラに進呈した。ヒーラのペニスになった」

傭兵「そうなの。たしかにユッカの汁でまみれたあれをいまさら返せとも言えないよな」

魔女「つまり…次はない。私の開発はおわり」

傭兵「マナ…?」

魔女「約束をまもって。3号が無事入ったら、あなたをくれるって」

魔女「約束した」

傭兵「したような…してないような…」

魔女「した!」



傭兵「い、いや待て…痛いと思うぞ」

魔女「でも4号はない」

傭兵「なら5号を…」

といって箱をのぞく。
箱の一番右側に鎮座する5号はなぜかギラギラと黒光りしており、その大きさは桁違いだった。
もはや魔物サイズである。
身体の成熟したヒーラちゃんでもおそらくムリだろう。
一体誰に使うものなのか、俺には検討もつかなかった。


傭兵「よし無理だな!」

魔女「そう。だから私には4.5号が必要」

魔女「それはあなた」

傭兵「4.5ねぇ……4.5号……」

5号「…」ギラリ

傭兵「くそぅ!」


魔女「ん…」

 じゅぷ…


マナは勝手に3号をひきぬいて、布で丁寧に拭っていた。
そして俺の下着に手をかけ、そろそろと引き下ろしにかかる。

傭兵「お、おい…そんな急がなくてもいいだろ」

傭兵「無理だと思うぞ。いましがた3号でキツキツだったろ」

傭兵「自分の体のことはよくわかるんじゃないのか?」


反論も虚しく、俺は下着を脱がされてあられもない姿にされてしまう。
さらに情けないことに、俺の陰茎はまさしく4.5号といわれて仕方ない大きさに隆起していた。

魔女「たってる」

傭兵「うるさいっ!」

魔女「ペニスが勃起するということは、異性とセックスしたいということ」

魔女「あなたのココはセックスしたがっている」

傭兵「あぁあセックスとか言うなぁぁあ」

魔女「硬い。けど挿れてみて痛そうな硬さじゃない」むぎゅむぎゅ


魔女「きっと、とても気持ちいい。自慰とはくらべものにならないくらい」

傭兵「いやいや…そんなわけ」

魔女「そうに決まってる!」

傭兵「!」

魔女「ユッカはいつもいつも、エッチな声を出している…」

傭兵「う…」

魔女「今日も気を失うまでしていた。あなたと…」

魔女「……ずるい」

短くつぶやいたその一言に彼女の想いのすべてが集約されている気がした。

傭兵「マナ…」

魔女「もう我慢したくない。私も…あなたがほしい」

魔女「あなたを受け入れて、あなたの愛を感じたい」

魔女「あなたとセックスしたい…」

魔女「だめ……?」

傭兵「…」


俺はそっとマナの両肩をつかんで、敷いてある布団へ行くように促した。



布団の上にマナを仰向けに寝かせて、よく見えるように足を持ち上げた。

そして閉じた割れ目を開くと、ものほしそうにひくつく小さな膣口。

おそらく一日中2号の居座っていたそこは、狭まること無くわずかに円状にぽっかりと開いていて、俺のことを待ち構えている。


傭兵「入れるぞ…ほんとに良いんだな」

魔女「…」コクッ

傭兵「とりかえしはつかないんだからな?」

魔女「…」コクコクッ!

マナは緊張しつつも期待にみちた目で俺を見ていた。
目元はすでに潤んでいる。


俺は瓶から潤滑剤を取り出し自身にぬりたくり、マナの大切な場所へそっとあてがった。


傭兵「いくよマナ」

魔女「ちょうだい…あなたのペニス…。私のことをもらってほしい」

魔女「あなたに捧げたい…♥」


傭兵「そんな誘われ方したら…もう我慢できない」

傭兵「俺だって…マナのことが欲しかった」

傭兵「いくぞ…」

魔女「…うん」

ずぷり…

俺のペニスがマナの秘部をかき分けていく。
どれだけ潤滑剤を塗っても、サイズのあわない穴をこじあけるには力が必要になってくる。
だが強くやってしまうと間違いなくマナの膣襞はさけて、強烈な痛みを伴うだろう。
破瓜の痛みだけではすまないかもしれない。

傭兵「…」

魔女「迷わなくていい。ひとおもいにしてくれたほうが楽」

傭兵「と言われても……な、なぁ…例えば痛みを軽減させる魔法とか」

魔女「…」フルフル

魔女「それはダメ。あなたが与えてくれる痛みすら、私は愛おしく想いたい」

魔女「この体で全て感じたい。だから痛くてもいい。あなたを奥までちょうだい」

傭兵「マナ…」



傭兵「わかった。我慢できないくらい痛かったら暴れていい。俺を蹴飛ばしてくれ」

魔女「…」コク

傭兵「力抜けよ…」

魔女「すぅー…はぁー…」

魔女「……来て♥」


俺もマナと揃って深呼吸一つ。
半端に止めていた腰を欲望のままに一気に突き入れた。

魔女「…~~!? ぁ」

俺のペニスはマナの純潔を奪い、マナの狭い膣内を蹂躙した。
ぎちぎちに締まる膣襞の感触にいまにも射精してしまいそうなほどの官能を覚えた。

ふたりの結合部からはわずかに赤い血が滲んでいる。
今は性器が隙間なく埋まっている状態なので、これをひきぬけばもっと大量にあふれでるだろう。

傭兵「マナ…」

魔女「…ぁ、か…あっ、うううっ」


マナは大きく目を見開いて声にならない声をあげた。
鼻が真っ赤に染まり、目元からはたくさん涙が溢れでる。
それらが行為による痛みを物語っていた。

ついにヤるのか…ティッシュ準備しとくわ

マナおめ(`;ω;´)



傭兵「痛い…よな」

魔女「すぅーはぁーすぅーはぁー」

傭兵「あぁ…マナ」

マナは必死に痛みに耐えていた。
いますぐ暴れだしたいほど痛いだろう。
それでも俺を受け入れるために、俺を傷つけないために耐えている。

俺がそんなマナにしてやれることは、少しでも早く終わらせてやることだ。

だが、ギチギチにしまったそこに陰茎を出入りさせるのは難しい。
すこしでも動かすと、マナはとてつもない痛みに襲われるだろう。

傭兵「マナ…」

俺はマナの名前を幾度か呼びながら、頭を優しくなでた。
マナは鼻をすすりながら俺の目を見てにこりと無理やり笑顔をつくった。

魔女「私、あなたの女になった」

魔女「いまあなたのペニスが私のなかにいる…」

魔女「…すごく、嬉しい」

魔女「痛くない。これは嬉しくて泣いてるだけ」



それはどうみてもやせ我慢でしかなかったが
そんなマナの姿をみて、俺の中にさらに愛しさがこみ上げてきた。

傭兵「すこし、動いていいか」

魔女「…」コク

傭兵「痛かったら、ほんとにやめる」

魔女「中途半端にやめたら…一生恨む」

傭兵「そ、そうか…」

 ず…
  ず…ぷ…


魔女「ん…ぎ…痛っ……な、なんでもな…」

傭兵(あぁマナ…ごめんな)

俺は頭をなでたまま腰をゆっくり動かしつづけた。
マナの膣襞は張り付くように俺にからみつき、強い摩擦を与えてきた。
当然マナのほうも俺と同じような摩擦が、痛みとなって伝わっているだろう。

魔女「うっ…う゛うっ…う゛っ」

マナは端正な顔を歪めながら、俺の目の前で小さく呻いていた。



傭兵(これですこし楽になるといいが)

俺はマナの身体をだきしめて、唇を合わせる。
すると小さな舌が積極的に俺の方へと絡んできて、離そうとしてくれなかった。

傭兵(マナ…すきだよ)

その間も律動を止めることはない。
マナが何度も何度も舌を絡めてくる。痛みを紛らわすように。
唇を離したらいやいやと首をふり、また吸い付いて、熱い唾液を注ぎ込んできた。
この瞬間、俺とマナは恋人になれた気がした。

魔女「んっ、んんっ、んぅ♥」

魔女「んんう゛…。んぅ♥」

傭兵(かわいい…)

傭兵「マナ。かわいいよ」

魔女「…う…ん。あなたも、かわいい」

傭兵「俺が? そっか」

魔女「射精…していい。んっ…ちゅむ…ちゅう…ちゅ♥」



やがて俺はマナの中で果てた。
真っ白な欲望がマナの膣内を満たした。
隙間なくうまった結合部からあふれてくる事はない。
行き場をうしなったそれは膣内から子宮へと流れ込んだだろうか。

マナはぽぅっとした目で相変わらず俺の唇を吸い続けていた。

傭兵「終わったよ。マナ」

魔女「……そう」

魔女「きもちよくなれた? 射精した?」

傭兵「あぁ。わからなかった?」

魔女「なんだか熱いのが来たけど…よくわからなかった」

傭兵「射精したよ。マナのおかげだ」

傭兵「マナのここ、きついけどすごく気持ちよかった」

魔女「…そ、そう。良かった」

マナがぎゅっと俺の首元に抱きついてくる。

傭兵「なぁ、抜いていいか?」

魔女「だ、ダメ…まだしばらくこのまま。せっかく入れたのに」

傭兵「でも…見たいんだ。俺がマナのはじめてを奪ったっていう証」

魔女「…?」


傭兵「いいだろ?」

傭兵「それに、ちゃんと後始末しなくちゃ」

魔女「…」

マナは名残惜しそうにしながらも俺に従ってくれた。
上半身を抱き起こして、膝に座らせて二人の結合部がよく見えるようにする。


魔女「…ん」

傭兵「ごめ。痛かった?」

魔女「違う…こ、こんな大きいのが…刺さってる」

傭兵「そうだよ。マナのここ、ちゃんと入ったな。偉い」なでなで

魔女「…がんばった」

傭兵「次するときはきっと今回ほど痛くないからな」

傭兵「その時はたくさん2人で気持ちよくなろうな」

魔女「…」コクコク


俺はマナの中ならペニスをゆっくりと引き抜いた。
マナは一瞬痛みに顔をしかめたが、すぐに平静と取り繕う。

そして引き抜き終えると、2人の間からドロリとした液体が沢山溢れでた。
俺の出した白色の中にマナの赤色が混じっている。
それは間違いなく、2人の愛の混じり合った証だった。



 ・  ・  ・


傭兵「ここで寝ていくか」

魔女「そうする」

傭兵「マナを抱っこして寝よう」

魔女「うん。あなたの腕のなか…好き」

魔女「朝まで離しちゃだめ」

傭兵「わかったよ。おいで」


俺は手元の灯りを消し、マナを目一杯だきしめて床についた。


傭兵「マナの頭いい匂いするな」

魔女「…そ、そう」

傭兵「すんすん」

魔女「なんだけ変態……そんなあなたもいい匂いする」

傭兵「そうか。くさいって言われるかと思った。よーし、いっぱい嗅いでいいぞー」ぎゅうう

魔女「ん…ぐむ……。ふふ」

傭兵「いま笑った?」

魔女「別に」

魔女「そろそろ寝るね。おやすみなさい。ソル」

傭兵「…あぁ。おやすみマナ」

魔女「…そういえば。寝る前に一回だけキスしたい」

傭兵「あぁ、いいよ。大好きだよ…お前のことこれからも大切にするから。よろしくマナ」

魔女「こちらこそ。私も…あなたのことが大好き♥」チュッ




第20話<海日和>つづく

更新おわり
次回月曜日夜22時~

おめでとうマナ

乙です
次の時はマナもソルのでアへらせられるんだろうな…(捗るわぁ)

あああマナおめっとさん!おつ!
マナ派の俺写生

乙!
4.5号は休み無しのフル稼働だなww

そんな4.5号に俺はなりたい

この世界の処女膜はこっちの世界のと違うのか

乙!マナの処女は実は俺(3号)がうばったのさすまんな

ユッカの魔翌力供給で5号超えたりとかするんじや

乙!

トップレス
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira079347.png

>>297
なんぞこれwwww

俺(1号)の出番はもうないのか…

>>299
尿道にでも入れば?

トップレス
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira079401.png

蛸娘かわいいな

>>297
>>301
可愛い!ありがとうございます

第20話<海日和>つづき



【浜辺】


勇者「いらっしゃいませー。お席へどうぞー」

勇者「海鮮焼きパスタ入りまーす」

僧侶「はーい」

宿屋の少女「ありがとうございます」


傭兵「海の家ローレライねえ…」

魔女「休憩?」

傭兵「おう。ユッカの言ってた仕事ってこれのことだったのか」

宿屋の少女「あらソルさん。お疲れ様です」

魔女「水」コト

傭兵「悪いな。それ、水着の上にエプロン着てるだけなのか?」

魔女「…」コク

傭兵(そりゃ客も入るはずだ)

客「おーいこっちにもメニュー頼む」

勇者「は~い」


傭兵「慣れたもんだな」

勇者「マオにゃんのとこでたくさん接客してたからね!」

傭兵「せっかくだし俺もなにか食べようかな」

勇者「かき氷がおすすめだよ!」

魔女「私の魔法で氷をだしてそれを砕いて蜜をかけるだけ」

勇者「元手がほとんどかからないんだよ!」

勇者「みんな暑いからいっぱい頼んでくれるんだ!」 

傭兵「なるほどなぁ」

傭兵「けど飯を」

勇者「かき氷はいりまーす」

魔女「はい」

僧侶「はーい」

傭兵「おい飯も…」



  ・  ・  ・


僧侶「おまたせしましたソル様。かき氷と海鮮焼きパスタです」コト

傭兵「ありがと。あれ、2つずつ?」

僧侶「私休憩です。一緒に食べましょ」

傭兵「おう」

僧侶「…」ニコニコ

傭兵「どしたの」

僧侶「い、いえっ! なんでもないですよ」

僧侶「いただきます」

傭兵「いただきます。これヒーラちゃんが作ったのか?」

僧侶「はい。バザでいただいたものを見よう見まねでアレンジしたものですけど」

傭兵「あいつらのやってた屋台か…そういえば、こんなソース味だったよな」

僧侶「どうでしょうか…?」

傭兵「ヒーラちゃんの作るものはなんでもおいしいよ」

僧侶「もうっ、それじゃ感想になってないじゃないですか」


傭兵「昼過ぎても客入りいいな」

傭兵「この海の家は借りたのか?」

僧侶「はい。なんとか黒字になりそうです」

傭兵「すごいな」

傭兵「まぁそんな服装で売ってりゃな…」

僧侶「…あ、あぅ…やっぱりおかしいですか…?」

傭兵「いやいや気にするな」

傭兵「ただ、どこぞの金にうるさい商人みたいな発想だなと思ってな」

僧侶「お客さんもみんな水着ですし、あの時よりは恥ずかしくありません」

傭兵「それもそうか」

僧侶「あと何日くらい滞在することになるでしょうか」

傭兵「そうだなぁ。俺の給料やすいからなぁ…」

僧侶「でしたら私たちががんばって身体で稼ぎます!」

傭兵「っ!? あ、あぁ海の家でってことね…」

僧侶「はい?」

傭兵「…」ずるずる


傭兵「俺契約期間終わったらこっちで働こうかな…」

僧侶「ソル様が手伝ってくださるなら百人力ですよ」

傭兵(勝手にやらせておくのも不安だし)ずるずる

傭兵(俺過保護かな…)

僧侶「…」ニコニコ

傭兵「なぁヒーラちゃん」

僧侶「?」ずるるっ

傭兵「やっぱそのエプロン、なにも水着の上からじゃなくて、シャツの上からでいいんじゃない?」

僧侶「そうしますか? 私は何か羽織ったほうが良いと言ったんですけどね」

傭兵「だれがそんなの提案したんだ。普段着でも十分だと思うんだが」

勇者「だってこのままに海にパーッと遊びにいけるでしょ!」

傭兵「お前か」

勇者「はいお水おかわり」コポポポ

傭兵「サンキュ。忙しそうだな」

勇者「そうだよ! ヒーラゆっくりたべてないで手伝ってー」

僧侶「は、はい! 急いで食べますのでっ」



傭兵「1人で海を眺めながら食う飯もいい…」

村長「これおぬし」

傭兵「おわっ!? じいさん…」

村長「海賊騒動で進展があったようじゃな」

傭兵「あぁ。一応海域からは撤退したみたいだが、まだその後の足取りはわからねぇ」

傭兵「なんせ俺は浜辺でぼーっとカップルやファミリー眺めるしかやってねぇからな」

村長「なにを膨れておるんじゃ」

村長「あっちのほうはどうじゃ」

傭兵「あっちって」

村長「ワシの依頼じゃ。蛸足の女神様はどうなった」

傭兵「…」

傭兵(例のスキュラって魔物がもしかしたら、じいさんの出会った蛸女の子孫かなにかかもしれねぇが)

傭兵(いまさら連れてきて会わせることなんてできないよなぁ。しかも女神じゃなくて魔物だしな…)

村長「いやええんじゃよ。薄々はわかっておる。もうあの方はワシらの前に姿を現さんだろう」

村長「やはり今年も依頼は取りやめじゃな」


傭兵「そんな簡単に諦めがつくのか?」

傭兵「あんたの長年の夢じゃないのか」

村長「…いまではアレはただの白昼夢だったのでは…とさえ思っておる」

村長「それにの、手の届かぬ幻よりも、目先にある現実の方が大切じゃ」

村長「掛けていた賞金1000000Gの半分は警備隊に回す事となった」

村長「彼らならオクトピアの治安のために有効につかってくれるじゃろうて」

傭兵「じいさん…」

村長「そして残り500000Gはビーチの女神に託すとする! 今年は例年の5倍の賞金じゃ!」

村長「ぐへへへ、もちろんお主の仲間のボインちゃんは出場するんじゃろう」パサッ

傭兵「このビラ…水着美人サマービーチコンテスト…」

村長「今年はどんな女神ちゃん達に会えるか楽しみじゃのう!!」

傭兵「…」

村長「特設会場の建設は進んでおるぞ!」

村長「この用紙に名前を書いてエントリーするのじゃぞ! させるのじゃぞ!!」

傭兵「…一応受け取っとく」



傭兵(ヒーラちゃん出てくれるだろうか)

傭兵(500000G…ヒーラちゃんならいい線いくと思うが…)

傭兵(今夜の会議の議題にしておくか)

村長「たのむぞおおおお」ゆっさゆっさ

傭兵「残りの2人も出たら多少優勝の確率あがるか?」

村長「残りというと、あのせわしなく働いとるおチビさんたちかの?」

傭兵「あの2人も俺の仲間だ」

村長「ふぅ…規定をしっかりと読むのじゃ。バスト80未満は出場禁止じゃぞ」

傭兵「くっ。すまん…」

村長「じゃが奥で料理しとる子は資格ありじゃぞ」

傭兵「ローレさんはヒーラちゃん以上にシャイだし出ないと思うぞ…」

村長「出ないじゃなくて、お主が説得して出すんじゃぞ?」スッ

傭兵「この金は」

村長「これでみんなでうまいものでも食うといい」

傭兵「受け取れるか!!」



<夜>


【ローレライ2階・大部屋】


勇者「売上いっぱいだー。わーい」

僧侶「これがローレさんの分です。お納めください」

宿屋の少女「みなさん、ありがとうございました。宿の宣伝までしてもらって、感謝しきれません」

勇者「いいのいいの。ボクたちだってローレさんがいないとこのお仕事できなかったんだから!」

魔女「明日もたくさん氷売る。氷がお金にかわるなんて素敵」

傭兵「よし、定例会議だ。はじめるぞ」

勇者「うん!」

傭兵「お前仕切るか!」

勇者「無理!」

傭兵「そうか!! それじゃあ前回の紙出してくれるか」

僧侶「こちらですね」


①船を入手or渡航費を得る
②お仕事を探します
③ギルドへ向かいます
④魔王について情報収集
⑤呪いについて情報収集
⑥レベルあげ!ま法のとっくん!(ユッカ)
⑦新しい杖を探します(ヒーラ)
⑧開発する(マナ)
⑨己を鍛え直す(ソル)
⑩たくさん人助けをする!(ユッカ)
⑪海賊騒動の早期解決に助力する(ソル)
⑫ローレライの経営を立て直します!(ローレ)


傭兵「ヒーラちゃんが一部書きなおしてくれた分だな」

僧侶「あまりに読みづらかった部分だけですけど…」

傭兵「さて、まずは個人目標から。進捗を報告しようか」

傭兵「まずはユッカの⑥と⑩から」

勇者「はーい。ボクは順調にレベルあがってるよ!」

僧侶(あれだけすればあがりますよね)

勇者「魔法はちょっとずつ練習してるけど、なかなかコツがつかめなくて苦労してるよ」


傭兵「人助けは?」

僧侶「いろいろなさってますよ。日射病で倒れたお年寄りを介抱したり、溺れかかっている方を助けたり」

傭兵(俺がやけに暇なのはこいつに仕事を奪われていたせいか)

勇者「えへへ。たいしたことしてないよ」

傭兵「いや、よくやったぞ」

僧侶「それと、私のことも助けに来てくださいましたしね」すりすり

勇者「んぅ…ということでボクの報告おわり」

傭兵「なら次はマナの⑧…は聞かなくていいや」

魔女「!」べしべし

傭兵「痛いっ、お前それ報告いらないだろ!」

魔女「開発は無事終了した。ありがとう」

宿屋の少女「開発って何を開発されていたんでしょうか」

宿屋の少女「新しい装備でしょうか…?」

魔女「それは私がこの人のペニ――」

傭兵「はい終わりっ!」ぎゅむ

魔女「むぐ…を、うけいれるために…ち、ちつ…を開…苦しい」

傭兵「次ヒーラちゃんね」


僧侶「七番です。無事新しい杖を手に入れることができました!」

僧侶「みなさんありがとうございました。そしてこの度はご迷惑とご心配おかけして申し訳ありません」

勇者「よかったねヒーラ! でもその杖でボクの解呪に挑戦するのはやめてね」

僧侶「またレベルがあがったらその時こそは…!」

宿屋の少女「その海鳴りの杖はヒーラさんの魔力の波長とよく合っていますね」

魔女「前の杖より良いもの。ヒーラのちからを最大限ひきだしてくれる」

傭兵「あぁ。それと殴られても痛そうじゃないのがいい」

傭兵「じゃあ次は」

宿屋の少女「ソルさんどうぞ」

傭兵「俺か。ええと、己を鍛え直すって書いたが、日がな一日座っているだけだから鈍る一方だ」

傭兵「寝る前に外でも走ろうかと思う」


勇者「ソルは強いから十分でしょ? レベル高いじゃん」

傭兵「ダメだ…最近戦闘で役に立ってる気がしなくてな」ブツブツ

傭兵(あれ…最後にまともに戦闘したのいつだっけ…)

勇者「?」

僧侶「お、お気になさらず…ソル様はいざって時たよりにしてますよ」

魔女「魔力がないのが致命的」

傭兵「う゛っ」

魔女「だけどそれがあなたの取り柄でもある」

傭兵「ほめてんのかそれ…」

勇者「次はローレさん!」

宿屋の少女「はい。ローレライは現在新装開店準備中です!」

宿屋の少女「すみずみまでお掃除して、港が開いたら新しいお客さんを迎え入れようと思います」

宿屋の少女「みなさんが旅立ってしまうのは寂しくなりますけどね…」

勇者「…」なでなで

勇者「また遊びにくるからね」



傭兵「さて、最後に全体目標だ」

傭兵「②の仕事探しと③のギルドはすでにクリア」

傭兵「⑤の呪いについてはまだ現在聞き込み中だ」

傭兵「有益な情報があったら頼む」

傭兵「そして①。うちの大型馬車一台を積むのにずいぶんと船代がかかることがわかった」

傭兵「それと俺たち4人の渡航費もな」

傭兵「ここで生活しながらいまの仕事をしていたら、ゆうに一ヶ月はかかる」

勇者「そんなに!?」

傭兵「船を買おうと思ったらもっとだな」

僧侶「…そんな」

傭兵「だが心配するな。浜辺には一攫千金の夢がある」

勇者「そっか! 蛸探し!」

傭兵「じゃなくてこれだ! サマービーチコンテスト!」ベシン

僧侶「なっ!? 出ないって言ったじゃないですか!!」

勇者「ボクでる!」

傭兵「お前出られないそうだ」

勇者「えー???」


傭兵「優勝賞金はなんと500,000Gだぜ」

傭兵「2位でも100,000G。出るしかない!」

僧侶「ご、ごじゅうまん…」ゴクリ

勇者「すごー。いつのまにそんなにあがったの」

宿屋の少女「500,000Gですか…すごいなぁ」

傭兵「競争相手は多いが、君ならきっと勝てる!」

傭兵「たのむヒーラちゃん」がしっ

僧侶「…う」

傭兵「…ダメか。そうだな無理強いはできないな」

僧侶「わ、私なんかじゃどのみち出ても入賞できませんよ」

勇者「ヒーラなら勝てるよー」

僧侶「無茶言わないでください。なんの経験もないんですから…」

傭兵「だがそうなると金策の宛がない」

傭兵「いや、最終手段はある。俺のこの珠を売る」

僧侶「えっ! ダメですよ!」

勇者「だめだよぉ! キュウちゃんに悪いとおもわないの!!」

宿屋の少女「わぁ綺麗ですね。宝石ですか」


傭兵「これを売れば、足元見られても船を買えるくらいの金にはなるだろうな」

傭兵「キュウもいざとなったら売っていいと言っていた」

勇者「そんなぁ…」

傭兵「俺だって売りたくはない。俺はこれに魔力が灯る日を楽しみにしてるんだ」

傭兵「だが俺たちの使命は、魔王復活の阻止」

傭兵「やつらはすでに動き出している。時間に限りがある」

僧侶「闇の呪術師…」

僧侶「私達がのんびりしている間に、またどこかで誰かが悲しい思いをしてしまう…」

傭兵「そうだ。俺たちは一刻も早く海を渡り、闇の神殿を見つけ出さなくてはならない」

僧侶「…そうですよね」

傭兵「そのためには…金がいる」

僧侶「そうですよねぇぇ…。わかりました」

僧侶「私、出ます!! 絶対にコンテストで優勝してみせます!!」

傭兵「おーいいぞ。優勝間違いなしだからこれで金策は完璧だな」ぱちぱち

勇者「わーいヒーラがんばってー」ぱちぱち

魔女「余ったお金でなにかおごって」ぱちぱち

僧侶(あれっ!? 担がれました?)


傭兵「項目も最後となった」

傭兵「④魔王について」

傭兵「ローレさん。昨夜の話、聞かせてくれないか」

宿屋の少女「そうですね。ソルさんたちにはお世話になってますし、なんでもお聞きください」

傭兵「ローレさんと淫魔は魔界から来たと言っていたな」

宿屋の少女「はい。みなさんすでに御存知の通り、私は人魚。こちらでは魔物と称される存在です」

宿屋の少女「私達の領土を治めていた魔王とよばれる存在が消滅して早数百年」

宿屋の少女「魔界には至って平和な時間がながれていました」

宿屋の少女「このオクトピアと大差はありません。人の暮らしがあって、笑顔があって、住み心地のよい場所でした」

宿屋の少女「しかし、数年前ある魔族の男が禁断の地へと立ち入りました」

勇者「禁断の地?」

宿屋の少女「ええ。私達の魔界大陸の中央にある大きな島で、かつて闇の神殿と呼ばれた場所です」


傭兵「闇の神殿!」

宿屋の少女「そこには……魔王の魂が封印されているのです」

宿屋の少女「その封印が徐々に解かれはじめ、島を中心に邪悪な魔力があふれ、私達は笑顔で過ごすことができなくなりました」

傭兵「そんなにひどいのか」

宿屋の少女「言ってみれば、年中寒気がするといった感じです」

宿屋の少女「ひとりまたひとりと魔界から温厚な魔物は消え、残ったのは凶暴な者達だけです」

宿屋の少女「私も折を見てこちらの海へと避難してきました」

宿屋の少女「でももし魔王が復活してしまったらどうなるのでしょうか」

宿屋の少女「いずれ邪悪な魔力がこの世界を飲み込んでしまうのではないでしょうか…不安です」

傭兵「そうはさせない。必ず復活を阻止してみせる」

勇者「うん…!」

宿屋の少女「風のうわさで、いま彼らは"器"を探していると聞きました」

宿屋の少女「それが一体何を指すのかはわかりません…」

宿屋の少女「皆様。どうかこの先の旅、十分にお気をつけを」

傭兵「器…か…」



第20話<海日和>つづく

更新終わり
次回本日22時頃予定

乙です

乙!
どっかで器って出てきていたような(棒

乙!

やはりラスボスは・・・

乙!
同じく器という文字にに引っかかったが、>>324の>(棒 のせいで器がいやらしい物に思えたのは内緒だ

乙!
ゆっかは順調にレベル上がってると言うが…それは本当に勇者ジョブとしてのレベルなのか

ローレとサキュは結局何きっかけで知り合ったんだか
接点なさそうな

魔界で同じアパートに住んでたとか…

ローレをコンテストに勧誘しないのか、残念

するんじゃね?宿の宣伝兼ねて

申し訳ない帰り遅れたので更新明日にしますおやすみ

おやすみなさい

アイスノン

第20話<海日和>つづき


<数日後>


【浜辺・特設会場】


司会「さぁ今年もやってきたぜ!小麦肌の美女たちが織りなす真夏の祭典!」

司会「オクトピアサマービーチコンテスト!」

司会「今年はいったいどんな美女たちに会えるのか!」

司会「さっそくひとりずつ登場してもらいましょう!」


傭兵「うおっ、もうはじまってるじゃねぇか」

勇者「ソルーこっちこっち! ボクの隣空いてるよ!」

傭兵「おお、ユッカ。ヒーラちゃんは」

勇者「もう舞台裏の控室だよ。これからはじまるとこ」

勇者「ここから一緒に応援しようね」


傭兵「マナはどうした」

勇者「ええっと」

勇者「あっち」ピッ


魔女「かき氷。かき氷です」

魔女「20G。かき氷です。とても冷たい。かき氷」シャリシャリ

魔女「食べないと損」シャリシャリ


傭兵「あいつはなにやってるんだ…」

勇者「商機を逃しちゃあかんでっていう師匠の教えを守っているらしいよ…」

傭兵「うーん…まぁいいか。こんだけ暑いから需要があるだろう」

勇者「あとでもらいに行こ」

傭兵「おう」

勇者「あっ、舞台袖から出てきたよ」

傭兵「ヒーラちゃん何番目?」

勇者「じゅう…17番くらいだったかな」


【控室】


僧侶「……」そわそわ

宿屋の少女「…き、緊張しますね」

僧侶「そうですね…私こういうのはじめてなので、どうしたらいいかわからないです」

宿屋の少女「私もです。自己アピールっていわれても私なんて何もアピールするとこないですよ…」

僧侶「出なきゃよかった…」

宿屋の少女「だけどヒーラさんはなんとしても優勝して賞金をもってかえらないと!」

僧侶「ううう…」

僧侶「私みたいな田舎者がこんな美人な人たちの中に紛れ込んでいていいんでしょうか…」

スタッフ「次エントリーナンバー17番18番の方、舞台へおねがいします」

僧侶「!」

僧侶「は、はい!」

宿屋の少女「ついに来ちゃった…いきましょう」




16番の女性「スリーサイズはぁ、上からぁ、92・58・88でぇーす」

16番の女性「得意なことは、サーフィンとお料理です♪」

16番の女性「みんなわたしのことをよろしくねー♪」たぷん


司会「はい元気なアピールありがとうございましたー」

司会「いやぁ。今年は一段と明るい子がおおいですねぇ」

村長「うむ。どこの子も優勝の可能性がある」

村長「これは競技がたのしみじゃのう…」

司会「それでは次の子へまいりましょう」

司会「エントリーナンバー17、僧侶のヒーラちゃんです」


僧侶「!」

宿屋の少女「いってらっしゃい」

僧侶「は、はひっ」

僧侶(ど、どうしよう…あんなにたくさんの人達の前に出るなんて…)

僧侶(足が震えてきました…)


僧侶「ぁぅ…ぁぅ…」カクカク


勇者「あっヒーラ出てきたよ!」

傭兵「やっとか。結構参加者いるんだな」

勇者「みんな美人だよねー。ソルへんなこと考えちゃだめだよ」

傭兵「何言ってる。ほらヒーラちゃん見とけよ」

勇者「あぁ…ヒーラガチガチだよ…」


司会「はい、では短く自己紹介おねがいします」

僧侶「…ひ、ヒーラ…ですっ」

僧侶「職業は…僧侶で、今は…た、旅をっ、して」

僧侶「特技はえっと…えっと…!?」


 \聞こえないぞー/ \あがってんのかー/

     \スリーサイズおしえてー/

僧侶「! あぁぅ…」

勇者「ヒーラがんばれー!」

僧侶(ユッカ様…ソル様もみてくださってるんですね)


傭兵「だめそうだな…」

勇者「やっぱりボクが出た方が良かった」

傭兵「お前あの中に混じるなんて正気か…」

勇者「ふぇ…」シャクシャク

勇者「冷たい。頭キーンってする」


僧侶(はぁ…いきなり失敗しちゃいました。カッコ悪い)

僧侶(みんなすごいなぁ。どうしてあんなにはきはきと喋れるんでしょう)

僧侶(それにあんなきわどい水着で…私のですら面積少ないかなとおもってたのに…考えられません)

僧侶(私、これで優勝なんて出来るんでしょうか…)


司会「さぁ次の子にいってみましょう」

司会「港町で宿を経営するローレちゃんです。拍手でお出迎えください」


宿屋の少女「…」どきどき

宿屋の少女「こ、こんにちは」


司会「はいこんにちは。では簡単な自己紹介をおねがいします」

宿屋の少女「私、宿屋街裏通りでローレライという宿屋を営んでいるローレといいます」

宿屋の少女「いまはまだ改装中ですが、港の開港にあわせてリニュアルオープンしますので」

宿屋の少女「ぜひみなさんご宿泊にご来館ください!」

宿屋の少女「海の幸を使った豪華なお食事をご用意してお待ちしています!」

司会「えっ、あのアピールを…」

宿屋の少女「当館の売りはホテルにも負けない広い浴場です!!」

宿屋の少女「とってもきもちいいので、ご入浴だけでもぜひいらしてください!」

司会「は、はーいありがとうございましたー。ローレちゃんでしたー」


 パチパチパチ…


傭兵「いいのかあれ?」

勇者「いいんじゃない…きっとお客さん増えるよ」

傭兵「優勝賞金…無理そうだな」

司会「さぁ次はエントリーナンバー19。占い師のサキュちゃんです。どうぞー」

勇者「!?」



サキュバス「はぁーい。こんにちはサキュでーす」

サキュバス「お仕事はぁ、旅の占い師をやっていまーす」


 \うおお!/ \グラマラス!/

    \スリーサイズおしえてー/

サキュバス「くすくす」

サキュバス(この街のギラついた男たちは絞りがいがあるわね…)

サキュバス「スリーサイズはぁ、上からぁ…99ぅ♥」

僧侶「あっ、あなた何やってるんですか!」

サキュバス「ちょっと、あたしの邪魔しないでよ」

サキュバス「乳しか取り柄のないあんたはどうせ予選で脱落よ。ばいばーい」

僧侶「な゛っ」

サキュバス「いいからすっこんでなさい。あたしの時間よ」シッシッ


勇者「お前なにやってるんだー!! 帰れー!」

傭兵「おいユッカ座れ」クイクイ


司会「美女たちへのヤジはご遠慮くださーーい」



サキュバス「みんなあたしに投票しなさい!」

サキュバス「それとぉ、なにか人生で困ったことがあったら、あたしの占い屋にきてね」

サキュバス「波止場でやってるからぁ、投票してくれた人にはサービスしちゃう♥」


 \うおおおお/ \サキュちゃーん!/


【控室】


スタッフ「現在予選の投票を行っていますので、こちらでしばらくお待ち下さい」


僧侶「…」むすっ

サキュバス「なによこわーい」

宿屋の少女「サキュさん!」ぎゅっ

サキュバス「ちょっと! くっつくな」

僧侶「どうしてあなたが参加してるんですか」

サキュバス「いいじゃない。この子と目的は大してかわんないわよ」

サキュバス「 せ ん で ん ♪」

僧侶「…」

サキュバス「あと人間のお金もほしいしー」

僧侶「邪魔しないでください!」

サキュバス「邪魔って…ぷぷ、あんたなんてあたしの相手にすらないから」

サキュバス「あたしに勝てると思ってるの? 勘違いしないで? くすくす」

僧侶「ううううっ悔しい!」


僧侶「それより…どうやって潜り込んだんですか」

サキュバス「んー。偉いおじいさんに出たいって言ったら一発でOKもらえたわよ」

僧侶「む…」

僧侶「角と尻尾と羽はどうなったんですか?」

宿屋の少女「私達はある程度なら魔力を抑制して人間の姿をとることができるんです」

宿屋の少女「というのも、大昔の私達のご先祖様たちは元は人間だからだそうです」

サキュバス「ま、抑えるにも限度があるけどねぇ」

サキュバス「例えばあたしだとぉ、魔力が強まる朔の日には今の姿にはなれないわ」

サキュバス「この子の場合だと、水に浸かっちゃうと一発でお魚よね」

宿屋の少女「そうなんです」

僧侶「…」

サキュバス「…おりゃ」むぎゅっ

僧侶「ひゃうっ! な、なにをっ!?」

サキュバス「あんたのこれほんと無駄よねぇ。あたしみたいにうまく使いなさいよ」

僧侶「つ、使うって…何のことですか」

うまくパイズリしてまっせ


サキュバス「わかってるくせにぃ」

サキュバス「もっと谷間のできる水着にしたら良かったのに」

僧侶「あなたには関係ないですっ!」

僧侶「そうだ、いまここで成敗します! 見なさいこの私の新しい杖を!」

僧侶「あなたなんてこれであっというまに」

サキュバス「…」

宿屋の少女「ヒーラさん。物騒なことはやめましょう」 

宿屋の少女「サキュさんは悪い人じゃないんですよ」

僧侶「いいえ悪い魔物です! 私のユッカ様にひどいことをして…! 許せません」

宿屋の少女「そうなんですか?」

サキュバス「――」ヒソヒソ

宿屋の少女「あぁー、なるほど…サキュさんの」

僧侶「?」

サキュバス「ふふ。ま、がんばりなさい。でもあなたの相手はあたしじゃないわよ」

僧侶「!」


サキュバス「わかってるんでしょう?」

僧侶(闇の呪術師…)

サキュバス「前に占ってあげたことあったわよね」

僧侶「え、ええ…信用してませんけどね」

サキュバス「あなたの運命の分かれ道はそこまで近づいて来ている」

サキュバス「与えられた選択肢は2つ。受け入れるか受け入れないか」

僧侶「えっ…」

サキュバス「なによ素っ頓狂な声だして」

僧侶「い、いえ…なんでもありません」

僧侶(てっきりソル様とのセックスのことだとおもってました…恥ずかし)


スタッフ「休憩おわりです。集計結果が出ましたのでステージへおねがいしまーす」

サキュバス「その時が楽しみね?」

僧侶(この先…私の身に一体なにが…?)

宿屋の少女「いきましょう。なんとか勝ち進んでもう一度アピールの場が手に入りますように!」


 
  ・  ・  ・ 


司会「――――17番、18番、19番――22番」

司会「予選突破は以上16名だ! おめでとう!」

僧侶「! と、通ってます!」

宿屋の少女「やったぁ!」

サキュバス「なによ。つまんない。あんたがピーコラ泣く姿がみたかったのに」

僧侶「絶対に絶対に優勝賞金を持って帰ります!!」

僧侶(待っててくださいね!)


司会「さぁ一回戦の種目は! 村長おねがいします」

村長「うむ。オクトピア美女たるもの、蛸の女神様にあやかって軟体でなければならぬ」

村長「1回戦はぷるぷるリンボーダンスバトルじゃ!」


  \うおおおおおおお!!/ \いいぞ村長!!/


傭兵「うおおリンボーダンスだと!? ヒーラちゃんって身体柔らかかったっけ!?」

勇者「ソルはよく知ってるんじゃないの…」

傭兵「機嫌悪いな…」

勇者「むぅ…知らないもん」

魔女「氷…冷たいかき氷20G。食べないと損。最悪死ぬ。だから買って」



第20話<海日和>つづく

更新終わり
次回明日22時~

>>335
かわいい!ありがとう
アイスビュレットまさにそういうイメージです

???「マナはん、なかなかうまいでぇ」

早速ヤジ飛ばしてて草

おつです

妙に商魂たくましいマナにわろたwwwwww

乙!

1G=1円ならかき氷20Gはかなり安くないか?
??「あかんあかん!200Gは取れるで~!」

乙!
リンボーダンスならユッkゲフンゲフン

乙!
スリーサイズ厨わろたwwww

>>355
1ドル換算かもよ

ぼったすぎワロス

>>355
元手0だしいいんじゃね

第20話<海日和>つづき



司会「ではリンボーダンスのルールを説明します」

司会「このステージ上に設置した水平のバーを、このように…、上体を反らしてくぐり抜けてください」

司会「バーへの接触、転倒は脱落です!」

司会「一巡する度にどんどんバーは低くなっていきますので、ご用心を」

司会「くぐり抜けた回数によってポイントが割り振られます! 最後のひとりになれるよう頑張りましょう!」

司会「そして2回戦3回戦種目との合計で決勝進出者が決まります!」

司会「それでは早速はじめましょう! 美女のみなさま、縦一列にお並びください!」

僧侶(どうしましょう…あんなのできるかな)

司会「演奏とともにスタートです!」

僧侶「わわっ…」

宿屋の少女「前の人の真似したらきっと大丈夫ですよ」

サキュバス「人間っておかしなゲームするのね」

勇者(ヒーラ大丈夫かなー)


審査員「16番。成功です」

司会「さすがにまだこの高さなら余裕が見えますね」

村長「ハァハァ…」

司会「しかし発案者はすでに余裕がないようだ。みなさん熱中症には気をつけましょう」

村長「みんなええおっぱいしとるのぉ…ハァ、はぁ」

司会「さぁ次は17番。僧侶のヒーラちゃん、お願いします」

僧侶「は、はいっ」

僧侶(こ、こんな感じかな…)グイッ スススッ…

僧侶(ううう。やだっ、すごい見られてます)

僧侶「ハァ…はぁー…」

審査員「17番。成功です」

僧侶「良かった…」

司会「この調子でどんどん行きましょう!」



 ・   ・   ・

<4巡目>


僧侶「うくっ…きつい…ですっ」スススッ


傭兵「がんばれ…がんばれヒーラちゃん…行けっ」

勇者「どこ見てるの」

傭兵「いや俺は純粋な気持ちでヒーラちゃんの応援をだな」

勇者「ふぅーん…」

傭兵「ヒーラちゃんがんばれ!」


 \うおおおがんばれ!/  \危ないよ!ひっかかるよ!!/

    \もっと腰そらして!/ 


勇者「男の人ってさ…」イライラ

魔女「これを食べて冷静に」

勇者「ありがと…って余計なお世話だよ! まぁ食べるけど!」シャクシャク

勇者「う゛っ…頭キーンって…でもおいしー♪」

魔女「20G」

勇者「ボクからも取るの!?」



<5巡目>


宿屋の少女「あう…ごめんなさいヒーラさん…あとは…任せ…ます」どたっ

司会「あぁーとここでローレちゃん脱落です」

司会「これで残りは6人となりました!」

僧侶「どうしよう…そろそろ無理そうです…」

サキュバス「くふふ。あんたちょっとは体柔らかくしたほうがいいわよ」

サキュバス「男は柔らかい女に母性を感じるんだから…くすくす」

審査員「19番。お願いします」

サキュバス「ま、見てなさい♪」

サキュバス「よいしょ。これくらい楽勝らくしょ――」 コツッ

サキュバス「あれ!?」

司会「あぁあっと残念! バーに接触してしまいました」

司会「ここで占い師のサキュちゃんも失格です」

サキュバス「はぁ!? 嘘!? バー落ちてないわよ!」

審査員「19番。胸の接触により失敗です」

サキュバス「ええ…そんなぁ」

僧侶「ふっ…その無駄な物がアダとなりましたね」

サキュバス「なっ、むっかぁ」


傭兵「なぁお前が出たらこの競技は優勝できたな?」

勇者「うるさいよ!」グリッ グリグリグリグリ

傭兵「痛っイタタタ。やめろっごめんっ」



<7巡目>


僧侶「もう…だ…めっ…あっ」ぼてっ

司会「残念! ヒーラちゃんここで脱落です」

司会「これで残りは3人となりました」

 \よくがんばった!/  \いいぞー!/
     \ナイスファイト!/  

傭兵「いいぞ、次の競技がある! 切り替えていこう」パチパチ

勇者(もうただのおじさんの1人じゃん…)


僧侶「ソル様…ずっと応援してくださってたんですね」

宿屋の少女「2回戦の競技はなんでしょうね?」

サキュバス「搾精対決なんて来ないかしら? せっかくオスがいっぱいいるんだからさ」

僧侶「さくせい? さくせー?」

サキュバス「ぶりっ子ししなくていいわよ。わかってるくせに」

僧侶「嫌いです。あっちいってください」

サキュバス「あたしだってあんたのこと大っ嫌い!」


宿屋の少女「まぁまぁ…仲良く。仲良く…手を取り合って…握手でもして」ガシッ

バチバチッ

サキュバス「あぎゅっ」

僧侶「ひゃううっ」

サキュバス「だから嫌いなの! あー、いったぁい。無防備に触ると手のひら溶けちゃうわよ」

僧侶「私もです!! こんな人に触ったら穢れちゃうじゃないですか」

宿屋の少女「すいませぇん…」



  ・  ・  ・


司会「さぁ2回戦の時間がやってまいりました!」

司会「では村長。種目の発表をお願いします」

村長「うむ。オクトピア美女たるもの、蛸の女神様にあやかって泳ぎが達者でなければならぬ」

村長「2回戦は…競泳じゃ!」

僧侶「!!?」


勇者「あーあ…」

傭兵「終わったな…」


司会「それでは美女の皆さんは波打ち際へ!」

司会「見えますか、あの浮きのある場所まで泳いで、Uターンしてまたここへと戻ってきます」

司会「先着順で大きなポイントが付与されますので一着めざしてがんばってください」


僧侶「 」

サキュバス「おーい。死んでるわよー」ヒラヒラ

宿屋の少女「ヒーラさん…泳げないんです」

サキュバス「あはは! なにそれ! だっさ」

サキュバス「わかってたけど、あんたってほんと運動音痴ね」

僧侶「…」

宿屋の少女「ヒーラさんの分、必ず私が一着で戻ってきます! 泳ぎは大の得意なので!」

サキュバス「あんた出たらまずいでしょ」

宿屋の少女「えっ!」

サキュバス「だって魚になっちゃうし。バレちゃうわよ」

宿屋の少女「! そ、そうでした…どうしましょう」

サキュバス「ふたりとも脱落おめでとう♪ 決勝にはあたしが進んであげるわ♪」


僧侶「ほんとにどうしたらいいでしょう」

宿屋の少女「まったく泳げないですか?」

僧侶「浮きません」

宿屋の少女「大丈夫ですよ。あなたには海の神様の守護があります」

僧侶「なんですかぁそれ…」

宿屋の少女「すみません、道具の持ち込みは可能ですか」

スタッフ「さすがにボートはだめですけど、浮き輪やゴーグル、シュノーケル等の使用はOKです」

宿屋の少女「ヒーラさん。海鳴りの杖を持って行きましょう」

僧侶「どうするんですか?」

宿屋の少女「これで水の流れを生みだします。それなら泳げないヒーラさんでもきっと前に進めるはず」

宿屋の少女「念のために浮袋を肩につけましょう」

僧侶「ほんとに大丈夫でしょうか」

宿屋の少女「はい!」



<5分後>


僧侶「あぷっ、あぷっ…たすけっ」ばたばた

僧侶「足がっ、つかなっっ」ばたばた

宿屋の少女「大丈夫ですよ! そこは浅瀬のはずです!」

僧侶「しょんなことなっ、ひぃ、ああああっ溺れちゃいますっ」ばたばた

宿屋の少女(慌てふためいて魔法が発動できてない…)

宿屋の少女(クラーケンと対峙したときはあんなに冷静だったのにどうしてなのですか…)


勇者「ヒーラぁああ!!」

傭兵「俺がいくっ!」ざぷっ


  ・  ・  ・


僧侶「ごめいわくおかけしました…ぐすっ」

傭兵「いや、いいんだよ。よく頑張ったな」

僧侶「賞金…ごめんなさい」

傭兵「まだ3回戦がある。巻き返せるさ」

僧侶「はぅぅ…」



サキュバス「はぁ、泳ぐのってかなりつかれるのね。あたしは飛ぶほうが好き」

宿屋の少女「棄権しなければ私が確実に一着だったのに…悔しいです」

サキュバス「で、あの役に立たない浮袋のカナヅチ女は?」

宿屋の少女「サキュさん、そんな言い方しちゃだめですよ」

宿屋の少女「ヒーラさんなら3回戦に向けて休憩中です」

サキュバス「全然泳いでないくせに。へなちょこよね」


司会「2回戦お疲れさまでした! 少しトイレ休憩をはさみます」

司会「ポイントによる現在の順位は張り出しているので観客のみんなはそれぞれ確認してくれ!」


勇者「この掲示板だよ!」

傭兵「どれどれ。ヒーラちゃんは」

勇者「16人中11位だってさ。ローレは16位だよ…」

傭兵「淫魔は8位か。やるな」

勇者「これ優勝どころか決勝にすら行けないよぉ」

傭兵「最後の種目で一発逆転できればいいんだがな…」



魔女「…食べて。冷たくて元気がでる」スッ

僧侶「あ、どうも…気を使ってくださってありがとうございます」

魔女「ヒーラ疲れてる。特別にメロンといちごと練乳をミックスしてあげる」ニュルニュル

僧侶「え、そういうの結構ですので……かけちゃいやですよ!!」さっ

魔女「お代は40G」

僧侶「なにしにきたんですか!」

魔女「がんばって。きっと優勝できる」

僧侶「私の順位しってますか…ここからじゃ難しいですよ」

僧侶「ソル様と泳ぎの特訓したのに、結局泳げませんでしたし…私ってダメダメですね」

魔女「そんなことない」

魔女「あなたはいざというときとても強い人。私はあなたのことを信じてる」

僧侶「マナちゃん……」

魔女「40G」

僧侶「いまお財布もってません」

魔女「そう…」すたすた

僧侶(もしかして私があてにならないからせっせとお金稼ぎしてるんでしょうか…)ズーン



司会「さぁ3回戦の時間だぁ!」

司会「村長、例によって頼むぜ!」

村長「オクトピア美女たるもの、蛸の女神様にあやかって強くなくてはならぬ」

村長「3回戦は…水着SUMOじゃ! ポロリもあるぞよ」

司会「おおっと聞いたこともない言葉が飛び出した! 村長、SUMOとやらのルールの説明をお願いします」

村長「うむ。皆のもの、浜を見よ!」


傭兵「ん? なんだあの円」

勇者「あそこでなにかするのかな」

村長「ルールは簡単。ずばり1対1のレスリングじゃ!」

村長「お互いを押し合って、輪の外へと押し出した者の勝利とする!」

村長「これはワシが昔この港で外国からやってきた漢に教えてもらったものでな。あの頃のワシは筋骨たくましく――」

司会「はいありがとうございましたー。以上がルールとなります!」

傭兵「なるほど…力比べか」

勇者「わかりやすくていいね!」


傭兵(3競技ともユッカが出てたら簡単に決勝いけたな)

傭兵(こいつにせめてバストがあればよかったのに…)チラッ

傭兵(無情だ…たったひとつ違いのヒーラちゃんとユッカに一体なんの差が…神よ)

勇者「? なんか変なこと考えてるでしょ」


僧侶「力比べ…」

宿屋の少女「うう…一番苦手です」

サキュバス「ふっふっふ。これはもらったわね」

サキュバス「人間ごときが魔族に勝てるわけないじゃない…くすくす」

サキュバス(ま、トーナメント制な以上、こいつとあたらなければだけどね)

僧侶「ユッカ様ほどではないですけど…今回はいけるかも!」グッ


司会「それでは早速抽選だ!」

司会「参加美女のみんなはこの箱からくじを引いてくれ!」



<1回戦>


宿屋の少女「いきなりヒーラさんなんて…ついてないです」

僧侶「お手柔らかに」

宿屋の少女「勝てるわけないじゃないですかぁ」

宿屋の少女「痛くしないでくださいね?」

僧侶「はい」


司会「それでは一回戦Aブロック。僧侶のヒーラちゃんvs宿屋のローレちゃん。スタート!」


僧侶「…どうやって戦うんですか?」

村長「水着をつかんで身体をぶつけあうのじゃー! 相手を輪から押し出すんじゃぞー」

僧侶「な、なるほど…」

がしっ

宿屋の少女「ひゃうっ」

僧侶「ここつかんで大丈夫ですか? いきますよ…えーい」


  ・  ・  ・


僧侶「ふぅ…ごめんなさいローレさん。痛くなかったですか?」

宿屋の少女「はい。砂なので平気です…」

宿屋の少女「けど、顔見知り同士だからこんなふうに戦えましたけど」

宿屋の少女「次からどうするんですか?」

僧侶「えっ」

宿屋の少女「あっちの試合みてください。ほら」



 \いけぇ! やれぇ!/  \そこだ! もうちょっと!/
    \うひょーポロリしちゃってるぜ/ \いいぞー脱がしあえー!/


僧侶「は、ハレンチです!」

宿屋の少女「うちの村長がおかしなこと言い出してすみません…」

僧侶「い、いえ…これも賞金のためですし、がんばってみます」

宿屋の少女「みなさんのために、かならず賞金とってかえってくださいね」

僧侶「はい!」



そしてヒーラちゃんと淫魔は苦戦することもなく決勝まで勝ち進んだ。


傭兵「いよいよ決勝か…」

傭兵「ビール飲みながらのスポーツ観戦もたまにはいいな!」

勇者「ねぇボクもやりたい! ソル、あとでボクとSUMOしよ?」

傭兵「お前が俺に勝つなんて100年早いぜ」グビグビ

勇者「どーん」

傭兵「いってぇなおとなしく見てろ」コチョコチョ

勇者「きゃふっ、きゃはははっ。なにするのぉ」

魔女「…」

傭兵「お、マナ。いいとこに来たな。かき氷くれ」

魔女「2つで40G」

傭兵「ちゃんとあとで払うから…売れ行きどう?」

魔女「毎日このイベントがあればいいのに。と思う」チャリンチャリン

傭兵「そうか…」

魔女「ヒーラの試合はじまる」



サキュバス「あんたとサシでやりあえる舞台を用意してもらったことに感謝しなくっちゃね」

僧侶「…私のセリフです!」


司会「おおっと。一回戦からなにやら因縁めいた2人ですが、ここはフェアプレーでお願いします」

司会「それでは水着SUMO決勝戦。僧侶のヒーラちゃんvs占い師のサキュちゃんです」

村長「のこった!」


サキュバス「かかってきなさい! 全裸にひんむいてあんたの恥ずかしい部分を隅から隅まで衆目にさらしてあげるわ!!」

僧侶「あなたなんてあなたなんて、ジュワジュワに浄化して影も形もなくしてあげます!!」


勇者「うわぁボクまずい予感がしてきたよ」

魔女「相反する属性同士がぶつかるのは危険」

傭兵「一応いつでも止められるように備えておくか…」ジャキ

宿屋の少女「サキュさんなんだか楽しそう…」ウットリ


サキュバス「いっつもいっつもあんたの魔力がうっとうしいのよこの能なし無駄乳女!」

僧侶「いますぐユッカ様の呪いを解きなさーい!!」


かくして女同士の暑い熱い戦いが始まった。



第20話<海日和>つづく

更新おわり
次回本日夜22時~(予定)

乙!

乙です

でも頭がキーンってなるってことは魔女が作り出す氷は質が悪いってことか…

一度いい氷使ってるの食べたことあるけど全く頭がキーンならなくて驚いた。

温度じゃないの?

アイスクリーム頭痛に氷の善し悪しなんて関係あるわけないだろ…
いまだこの御時世でそんな途方もない与太噺をしたり顔でひけらしかす常識知らずの大馬鹿者が存在するなんて
まるでつちのこでも見かけた気分だよ、どうもありがとう

マナ荒稼ぎしとる

>>383

氷の良し悪しってあるんだよなぁ…

天然水で作った氷って純度が高い分薄く削れるから空気がたっぷり含まれて一口あたりが少なくなるからなりにくいんだよ。

まあ他にも場所によっては涼しい場所で売ってるからだったり、いい奴だから〜ってゆっくり食べたりするから頭痛になりにくいっていうのもあるけど…

つまり今回は暑い環境、値段の安さ、あと削り方がアレで頭痛が起きたと考えるのが自然か…氷の純度は知らん

乙!
マナの借金の取り立てはいろんな意味で凄そうだなww

乙乙!

しかしまあ天然水は水の純度が高いとかいう名言は傑作だな

お馬鹿なユッカががっついて食べただけでしょ

>>383
難しい言葉って使い方間違えるとすっごくダサいぞ

固い氷は、天然水でなく凍らせるのにかかった時間だけどな

ポロリ…ズボン脱いで待っとくわ

ちなみに頚動脈で冷やされた血液が脳に流れて頭痛が起こるらしいぞ

第20話<海日和>つづき


【浜辺】


僧侶「あなたには…絶対にまけられないんですっ」ギリギリ

サキュバス「小娘が生意気なのよ…!!」ギリギリ


司会「両者譲らぬ激しい攻防が続いております!」

司会「ゆれている! ゆれています!!」

村長「ええのう…。たゆんたゆんじゃのう…」


勇者「ヒーラがんばれ! 負けるな!」

傭兵「案外力持ちなんだな。淫魔相手に負けてない」

勇者「違うよ。あれは筋力の勝負じゃない!」

勇者「2人の間で強い魔力がバチバチぶつかりあってるんだ」

傭兵「ヒーラちゃんがあの淫魔と対等に?」

魔女「いつのまにか強くなった」

勇者「けどこのままじゃ、先に魔力が尽きたほうがふっとんじゃうよ! 危ないよ!」

傭兵「ヒーラちゃん…」


サキュバス「あんたの魔力…バチバチビリビリしてムカつくのよ!」

サキュバス「淫乱ドスケベ聖職者の分際で、こんな上等な聖魔力扱ってんじゃないわよぉ…!」ギリギリ

僧侶「よ、余計なお世話です! あなたの方こそ、こんな邪な魔力をあろうことかユッカ様に向けるなんて!!」

僧侶「全部浄化してあげますから安心して消し炭になってください!!」バチバチッ


 \いいぞやれやれー!/ \ポロリしろ―!/


傭兵「俺もう見てらんねーよ」

勇者「だめだぁ、ヒーラの魔力が弱まってきてる…」

勇者「ねぇソルなんとかしなきゃ!」

傭兵「つっても俺があそこに割り込んでもどうもできないぞ」

勇者「ねぇマナ!」ゆさゆさ

魔女「見守るしか無い」

なるほどじゃあ口の中ですぐ溶けるかどうかの違いで差が出るわけか

この話もうよくないか


サキュバス「やるじゃないの。力を抑えた状態とはいえ、あたしとここまでやりあうなんて思ってみなかったわ」

サキュバス「けど、だんだん余裕がなくなってきたようね」

僧侶「うっ…」

サキュバス「ほらほらどうしたの!」ギリギリ


司会「あぁっとヒーラちゃん選手劣勢です! だんだんと後ずさりを始めました」

司会「このまま押し出されてしまうのか!」


僧侶「うっ…くぅ」

サキュバス「ふふふ…早く降参しなさい!」

僧侶「そんなわけには! 私は魔物には絶対に屈しません!」

サキュバス「がんばるのね、だけどもう土俵際が近づいてきたわよ?」

ずるるっ

僧侶「ううあああっ…ダメッ、嫌っ、負けたくないです!」


傭兵「まずい…押し出されるぞ」

勇者「一体どうしたら…」

勇者「…そうだ! ヒーラ! ビーチバレーだよ!」

僧侶「えっ」


傭兵「ビーチバレー…?」

サキュバス「なんのことよ」

僧侶「そ、そうだ…それがありました」

僧侶「略式:結界!」

▼僧侶は光の壁を創りだした。

バチッ バチバチ

サキュバス「ッ!!」

サキュバス「な、なによこれ! いったぁーい」

サキュバス「ふざけたことしてんじゃないわよ!!」

僧侶「! あんまり効いてない!?」


勇者「そんな…結界でもサキュを振り払えないなんて」

魔女「魔力が足りてない。あの魔法は杖無しではボールを跳ね返す程度の力しか無い」


サキュバス「憎たらしいことしてくれるじゃない!」

僧侶「…くっ」

サキュバス「あんたには罰が必要ね」



▼淫魔は僧侶の胸を激しくつかんで魔力を送り込んだ。


僧侶「…!」ドクン

僧侶「ふぁぁああああああ!!!」

勇者「ヒーラああああ!!」

サキュバス「あはははは!」


司会「な、な…なんと…なにがおきているのでしょうか」

司会「サキュちゃん選手に、翼と尻尾が生えております…」

司会「この姿は…まるで」

村長「ま、魔物じゃあああ!!!」


サキュバス「ん? あら、戻っちゃってたの。気づかなかったわ」パタパタ

傭兵「くそっ! てめぇヒーラちゃんに何をした!」

サキュバス「ちょっと生意気な乳娘にお仕置きしてあげただけよ」

サキュバス「呪いの名前はミルキー。楽しみなさい?」


傭兵「呪いだと…」

サキュバス「そっちにかけたのに比べたらぜーんぜん大したこと無いレベルだけどね」

勇者「サキュ!!!」

サキュバス「こっわーい」

僧侶「胸が…あつい…っ…何で」

僧侶「なんなんですか…これは…」

サキュバス「すぐに収まるわよ」

宿屋の少女「サキュさん…」

サキュバス「ふふ。またいつか会いましょうローレ」


観客A「きゃあああ魔物だあああ!!」 

観客B「食われるぞ!」

観客C「子供たちを避難させろ!!」


サキュバス「…なによ。いままであたしのこといやらしい目で見てたくせに」

サキュバス「ま、しかたないわね。この姿に戻されたあたしの負けってことにしておいてあげる」

サキュバス「ということで棄権しまーす! じゃあね、グッバーイ♪」スゥ――

宿屋の少女「サキュさん待って!! あぁ…」

この呪いはきっと…



  ・  ・  ・



司会「えーとんだハプニングがありましたが、みなさんご静粛に」

司会「3回戦水着SUMOトーナメントは、僧侶のヒーラちゃんの優勝としてコンテストを続行いたします」

司会「それと、凶悪な悪魔と勇敢に戦ったヒーラちゃんにいまいちど大きな拍手をお願いします!」


 \うおおおありがとうヒーラちゃん!/  \かっこよかったぞー!/

      \おっぱい大丈夫かー!/  \念のためみせてくれー!/


司会「えーヤジはお控えください」

僧侶「はぅぅ…なんとか1位になれました」

勇者「ヒーラへいき?」なでなで

僧侶「大丈夫です…胸の熱いのは収まりましたよ」

僧侶「けど…なんでしょうこのゾワゾワした感じ」

僧侶「淫魔の魔力がまだ身体の中に残っているような気がします」

僧侶「あとで清めないと…」


司会「それではお待たせしました!」

司会「1~3回戦の取得ポイントを元に、決勝ラウンドへ進出する4人の美女たちを発表します!」



司会「さぁいよいよサマービーチコンテスト決勝が始まります!」

司会「浜遊びをしているそこのファミリーもぜひ当仮設会場へ!」


勇者「あつーい…」グダー

傭兵「ずっと炎天下に座りっぱなしだったからなあ」

勇者「マナはなんで元気なの?」

傭兵「お前日に弱いはずなのにな」

魔女「答えは…触ってみて」

傭兵「……ん」ペタ

傭兵「お!? な、なんだ…冷やっとするぞ!」

魔女「触る場所がおかしい」

勇者「ほんとだー! マナ冷たい」ペタペタ

魔女「私の周りの魔力を冷気に変えてる。こうしておけばかき氷が溶けることもない」

勇者「わーいマナひんやりだー」ぎゅっ

魔女「あなたは暑いから離れて。まだまだ売らなきゃいけないから」

傭兵「で、どれくらいもうけでたんだ…?」

魔女「ぼちぼちでんな」

傭兵「は?」

どこ触ったんだ



勇者「あっ、ヒーラ出てきたよ」

傭兵「いやー、にしてもよく決勝まで残れたもんだ。3回戦でポイント稼げたな」

勇者「決勝はなんだろうね!? ボクかけっこがいいな!」

傭兵「お前はな」

勇者「わくわくしてきたよ」


司会「それでは我らが村長より決勝戦を種目を発表してもらいましょう!」

村長「うむ。オクトピア美女たるもの、蛸の女神様にあやかってエロくなくてはならぬ!!」

 \うおおおおおお!!?/

村長「決勝戦はエロエロ女神様アピール勝負とする!」

僧侶「え!?」

  \ひょおおおおおお!!!!/

司会「うおおおお! なんだかよくわかりませんが暑さで頭がやられているわけではありません!」

司会「会場からはすごい熱気が伝わってきます!」

村長「1人持ち時間5分間で好きなアピールを行い、全員終了後観客の投票によって優勝者を決定する!!」

村長「ぐふふ…控室にはいろんなコスチュームがあるから好きなモノをえらんでええぞ」


傭兵「ま、待て! ヒーラちゃんにそんなことさせられるか!」

勇者「そうだよ!!」


  \うるせーだまってろ!/ \ひっこめ!/


傭兵「くそ…なんて奴らだ…エロエロアピールだと…」

勇者「これだから男の人って! さいてーだよ!」

傭兵「ヒーラちゃんが公衆の面前で恥ずかしがりながらエロエロアピールなんて…くそっ」

傭兵「エロエロアピールなんて……ぐ、ぐう…・」

勇者「ちょっと見たがってるでしょ…」

傭兵「んなわけ無いだろ!!」ゆさゆさ

勇者「…今日のソルはボクの敵だ」ジトー

勇者「ヒーラもう優勝しなくていいから棄権してくれないかなぁ」



【控室】


僧侶(とんでもないことになってしまいました…)

僧侶(エロエロアピールって一体…)

僧侶(胸を寄せたり…とか?)

僧侶「むむ、無理ですっ無理です!」ブンブン

16番の女性「なら諦めたらぁ。優勝賞金はわたしがもらっちゃうから」

僧侶「ううう」

16番の女性「あ、この水着エロかわ。これにしよっと」

僧侶「そ、そんなの…いろいろ見えちゃいますよ!?」

16番の女性「えーでもぉ、そういう競技でしょ?」

16番の女性「いやならあなたはそのだっさいビキニで舞台にあがれば?」

僧侶「くぅ…」

16番の女性「やけに今年は賞金が太っ腹だと思ったらこういうコトだったのねぇ」

16番の女性「ま、見られるくらいいいけどね♪」



<決勝戦>


司会「決まったぁ! なんという腰つきのダンスだ!!」

村長「ハァ…はぁ…これは優勝間違いなしじゃのう」

司会「なんと4人目の登場をまたずして優勝が決まってしまうのか!?」

16番の女性「もっとわたしのことをみてぇ…」

16番の女性「みんな、ちゃんと私に入れてねぇ」

  \入れます!/ \入れさせてくれぇ!/



傭兵「おいこら今どうなってんだ。離せユッカ!」

勇者「ソルは見ちゃだめ」ぺとっ

傭兵「こらぁっ。見えねーだろお前っ」

勇者「あんな下品なダンス見なくていいもーん」

傭兵「きわどい衣装でダンスくらいバザでもやっただろ!」

勇者「だめー。このまま目ん玉つぶしちゃうよー」

傭兵「ひぇぇ…」


司会「さぁ最後の1人となりました。エントリーナンバー17、僧侶のヒーラちゃんです」

  \うおおおお!/  \待ってたぞー!/
    

傭兵「おい…見たい。ヒーラちゃん見たい」

勇者「…むぅ。ちょっとだけだよ」パッ

傭兵「おお……! って、あれ」

勇者「水着一緒のまんまだね」

傭兵「やっぱあんな小さい水着着るの無理だよな」

勇者「よかった。ヒーラがヒーラのままで安心したよ」

傭兵「だが…これで優勝は」

魔女「まだ諦めるのは早い」

勇者「そうだよ! ヒーラのパフォーマンスを最後まで見ようよ!」


司会「おっとヒーラちゃんは特に着替えは行っていない模様ですね」

司会「杖を持参ですか? 僧侶らしさアピールですね」

僧侶「は、はい…」

司会「それではどんなパフォーマンスをみせてくれるのでしょうか! スタート!」

ごくり…


僧侶「お、踊ります!」


 \うおおおお!?/


そういうとヒーラちゃんは手に持った杖をぐるぐると振り回したり、宙に投げたりして舞台の上を右往左往し始めた。


傭兵「なぁユッカ。あれはなにをやってるんだ」

傭兵「杖ぶん回してるようにしか見えないんだが…」

勇者「ヒーラはね、小さいころバトントワリングをやってたんだよ。けど魔法の修行が忙しくなってやめちゃったんだって」

傭兵「そ、そうなのか…あれがバトン…」

勇者「どうしよう。前の人が刺激的すぎたせいで全然お客さん盛り上がってないよ…」


僧侶「はい!」パシッ


 パチパチパチ…


僧侶「あ、あれ…」

司会「まだ時間残ってますよー」



僧侶(ど、どうしましょう…もう私にできることなんて…)

村長「ふぅむ…期待外れじゃったかのぅ」

司会「あぁっとヒーラちゃん、固まってしまいました」

  \脱ーげ! 脱ーげ!/  \早くおっぱいみせろ!/

      \全部脱いじまえ!/ \エロくねぇぞ!/


司会「会場からは熱い声援が送られます」

司会「これはもう脱ぐしか無いでしょう!」

  \脱ーげ! 脱ーげ!/

僧侶「ううう…そんな」


勇者「ひどい…おかしいよここの人達!」

傭兵「確かに、異常な熱気に包まれてるな」

魔女「きっと、淫魔のせい」

傭兵「何?」

魔女「淫魔が会場全体になにかしていったのかもしれない」

脱げ!
そして[田島「チ○コ破裂するっ!」]しろ!!

なんかしらんがサキュに胸に仕込まれたのが発動しろ!



サキュバス(…くす…ずいぶん察しがいいじゃない)

サキュバス(さぁ乳だけ聖職者。オス共の欲望を満たすために素っ裸になりなさい!)

サキュバス(あんたの恥辱にまみれた悔し顔は大好物よ)


僧侶「…ううう…どうしたら」


観客A「さすがに暑くなってきたな」

観客B「この熱気だからな…お日さんもギラギラだしよ」

観客C「あぁ喉かわいた…かき氷屋どこいった」


宿屋の少女「…」グッタリ

勇者「ローレ大丈夫?」

宿屋の少女「あ…はい…けど、ちょっと暑くなってきました」

傭兵「まずいな。水に浸かったほうがいいんじゃないか」

宿屋の少女「へ、へいきです…せめてヒーラさんを見届けてから…」


司会「ご来場のみなさん、暑さで倒れる前に水分補給をお願いします」

村長「今日は一段と熱いのう…」よろっ


僧侶「……みんな暑そう」

僧侶「こうなったのも私が2回戦や3回戦で時間を引き伸ばしてるせいですよね…」

僧侶「そりゃ暑いですよね…ご老人や小さい子がこのままじゃ倒れちゃう…」

僧侶「なんとかしてあげなきゃ…」


  \脱ーげ!/ \脱ーげ!/


僧侶「この人達も…これ以上ヒートアップしたら危ないかも…」

僧侶「ここに立ってる私にしかできないこと…そうだ!」

僧侶「えいっ! 浄化のシャワー!!」

▼僧侶の杖先から水流が上空へと立ち上った。

▼水流は細かい雫となりキラキラと会場全体に降り注ぐ。

僧侶(これで…静まって)


観客A「おおおなんだ!?」

観客B「冷たくてきもちい…」

観客C「生き返る~」


勇者「わーヒーラの雨だ!」

魔女「辺りの淫気が浄化されていく…」

宿屋の少女「はあうう…気持ちいいです。ヒーラさんの優しさが身にしみるようです…」ウットリ

傭兵「ヒーラちゃん…」

傭兵(やったな)グッ


僧侶「…えへへ」ニコッ


司会「おお…これは…」

司会「なんとびっくり仰天! 会場に癒やしの雨が降ってきました!」

村長「あああ……」わなわな

司会「どうしました村長」

村長「女神じゃ…水を操る女神様じゃあああ!」

司会「いつのまにか激しいヤジも収まっています…なんともミラクル!」

司会「おっとここでアピールタイム終了だぁ!」

司会「美女のみなさまパフォーマンスありがとうございました! これより観客による投票の時間といたします!」

司会「一番オクトピアの女神にふさわしいと思った美女の番号を紙に書いて、こちらの箱に投票してください!」




  ・  ・  ・


司会「おまたせいたしました」

司会「これより、第45回オクトピアサマービーチコンテスト優勝者の発表です」

司会「それでは発表します」


勇者「どきどき」

傭兵「やれることはやった。ヒーラちゃんはヒーラちゃんなりにがんばったよ」

勇者「そんな負けるみたいな言い方しないでよぉ」

傭兵「でもちっともエロくなかったしなぁ…」

勇者「…」ふみっ

傭兵「いだっ」


僧侶(倒れる人がでなくて良かった…みなさんが無事ならそれでいいです)

僧侶(また明日から海の家がんばろう…)

司会「優勝者は…エントリーナンバー……」

ざわざわ

司会「17!! 見事な水芸を披露した僧侶のヒーラちゃんです!」

僧侶「!!」

きたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ



僧侶「ほ…ほんとに…?」

司会「さぁ、前へどうぞ」

僧侶「あっ、ありがとうございます!?」

村長「優勝おめでとう」ニッコリ

村長「おぬしのシャワーを浴びてから、まるで邪にいきり立った心が浄化されたようじゃ…」

僧侶「で、でもほんとに私なんかでいいんでしょうか…」

僧侶「決勝のテーマになったいかがわしいアピールなんてしてないのに…」

村長「みなの顔を見てみよ」

村長「火照った肉体だけでなく、心まで洗われ、晴れやかな顔をしておるじゃろう」

僧侶「…」

村長「これは全ておぬしのおかげじゃよ」

村長「ここ最近の騒動で、みな街に釘付けとなり、船もだせぬ要求不満な状態が続いておった」

村長「そこに現れたおぬしが、海も街も両方一手に救うてくれた」

村長「感謝しようもないことじゃて」

村長「賞金を受け取るのじゃ。我らオクトピアの女神の旅路に幸あれ」

僧侶「ありがとうございます!!」


 \うおおお!ヒーラ様!/  \素敵だー!/

     \微笑みかけてください!!/

\あぁ^~/ \ふぅ…/
   \スッキリ!/



<夜>

【ローレライ2階・大部屋】


勇者「かんぱーい!」 カツン

勇者「わーいヒーラ優勝おめでとう!!」

僧侶「はい! ほんと一時はどうなっちゃうことかと思いました!」

宿屋の少女「素敵でした。おめでとうございますヒーラさん」ぴたっ

僧侶「あ、あはは…ご無事でなによりです」

宿屋の少女「ヒーラさんの聖水…もっとほしくなっちゃいました」

傭兵「ヒーラちゃんの聖水って言われるとおかしなものに聞こえるな。俺も飲みたい」

僧侶「…?」

魔女「…今日はお金いっぱいもらった」もぐもぐ

僧侶「マナちゃんがんばってましたね。ずっと舞台の上から見てましたよ」

魔女「でもヒーラのほうががんばった。これで船に乗れる」

傭兵「そうだな。ついに俺たちは資金難を乗り越えた!」

僧侶「うふふ。良かったですね」ゴクゴク

勇者「あっ…ヒーラあんまり飲まないほうが…」

傭兵「馬鹿野郎! 今日はお祝いだぞ! 飲め飲め!」

勇者「じゃあボクもお酒飲んでいい!?」

傭兵「それはだめー」

勇者「ぶーケチっ!」

傭兵さんがサラッとひどいこと言うようになってるんですが(良い意味で)



傭兵「それにしてもいつの間にかあんなふうに魔法を扱えるようになってたんだなぁ」グビグビ

魔女「あの杖がヒーラの潜在能力を引き出している」

傭兵「なるほど…キュウが言ったとおりヒーラちゃんは水魔法の才能ありありってわけだ」

魔女「そうじゃないとあの魔宝石は蒼く染まらない」

宿屋の少女「素敵です…ほんと素敵」ぴたっ

僧侶「…」

僧侶(水の魔物さんに好かれる運命なんでしょうか…)ゴクゴク

僧侶「…う」クラッ

宿屋の少女「ヒーラさんずっとここにいてくださいよぉ」スリスリ

僧侶「ひっく…それはらめなんれすよぉ。私達には旅がありましゅので」


勇者「…」そ~っ

傭兵「ダメだぞ」

勇者「きゃふっ! ちょっとくらい飲みたいよ! ねぇヒーラの分けてよぉ」

僧侶「じゃあユッカさまはわたしがのませてあげますよぉ」

勇者「え?」

傭兵「あああっコラっ。」

僧侶「ちゅむ♥」

勇者「ふぅむ!? んんん!!!」



勇者「んんんぅうう!?」ゴクゴク

僧侶「ぷはっ…♥ あぁユッカ様のやわかい唇…」

勇者「うぇぇ酔っ払うの早いよぉ…ていうか苦っ! こんなのよく飲めるね…」

僧侶「くすくす。ねぇソル様ぁ…」ぺたぺた

宿屋の少女「ヒーラさん私にもぉ…」べたべた

勇者「ソルぅ、なんとかしてよぉ」

傭兵「よし、お開きにしよう」

傭兵「マナ。後始末よろしくな」

魔女「!?」

魔女「逃げちゃだめ」ガシッ

傭兵「おやすみ!」ポンッ

魔女「…私をこの中に放置しないで」

傭兵「お前なら出来る。お前にしか出来ない」

傭兵「俺は絡まれる前に部屋に戻る!!」

魔女「ひどい…」



<深夜>


カチャ…


傭兵「ん…誰だ」

僧侶「…ねぇソル様ぁ」

傭兵「ヒーラちゃん?」

傭兵「まだ酔ってるのか?」

僧侶「うーん、なぜだか身体が火照ってるんです」

傭兵「お風呂で水でも浴びておいで」

僧侶「したんですけど…だめなんです」

僧侶「というより…身体が変なんです」

傭兵「変?」

僧侶「なんだか、む、胸が張っちゃってるような感じがして…」

傭兵「は?」


ヒーラちゃんは薄暗闇の中でそう告げると、俺の前でだいたんにもシャツをべろんとめくりあげた。
目の前に豊満な胸が現れる。今日一日ずっと水着だったせいか、わずかに水着の日焼け跡が残っていた。

傭兵「お、おい…びっくりするだろ」

僧侶「見てください。へんなんです…おっぱいが熱くて…熱くて…」

可愛らしい胸の先端にきらりと光る何かがある。

恐る恐る触れてみると、それは一滴の雫だった。


傭兵「これは……」

僧侶「私…母乳…出ちゃうんです…」




第20話<海日和>つづく

更新おわり
次回日曜日夜22時~
次回で20話おわりです

ミルキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ
乙!!!

ペロリ……これはママの味!

乙です
未出産の搾乳プレイか



>>427
>>428笑えないのを投稿中に連投されると引くわww

母乳出過ぎたら貧血なるってまじか?

>>431
母乳は血液から作られ、血液から赤血球を抜いた様な成分らしい
出しすぎて貧血になるよりは、貧血だから母乳が作られないって感じではないかと

サキュバスさん!マジ最高っス!

母乳と愛液はだいたい同じ

ミルキィイイイイイイイイイイイイはヒーラの味~♪

いつでもソフトクリーム作れるな

僧侶のミルクをマナが氷化して販売。
ミルクシャーベット。

ゲスい商売だ

第20話<海日和>つづき



傭兵「母乳…?」

僧侶「は、はい…おっぱい…です」

たしかに胸の先端から出るその液体はやや白かった。
ヒーラちゃんは大きな胸を俺に向かってつきだしたまま、恥ずかしそうに視線を右往左往していた。

傭兵(ありえない…これが母乳だということは…)

僧侶「わ、私…」

傭兵(まさか…)

僧侶「ソル様の赤ちゃん! できちゃいました!」

傭兵「…」

傭兵「そんなわけないだろ」

僧侶「えっ!?」

僧侶「おっぱいは赤ちゃんができたら出るんですよね…?」

傭兵「すぐに出るようにならない。母乳は出産してからだと思うぞ」

僧侶「じゃあこれはやっぱり…」

傭兵「あの時淫魔にうけた呪いとやらかもしれないな」

僧侶「はぁ…」


傭兵「ヒーラちゃんまで呪いにかかるとは、参ったな…」

僧侶「どうしましょう…」

僧侶「胸がうずうずするんです。これ、どうしたらいいんでしょうか…」

傭兵「えっと…」


そう言われても俺は呪いについて明るいではない。
むしろ魔術や呪術とは縁のない人生を送ってきた。
しかし、今ヒーラちゃんの周りにいる大人は俺だけで、彼女は俺以外に頼る相手がいなかった。

傭兵「触っても痛くないか?」

僧侶「はい…つっ張った感じがするだけで痛みはありません」

僧侶「けど…あの…垂れてくるのが気になって」

そうつぶやくヒーラちゃんの胸を観察すると、一滴また一滴と白い雫が先端からこぼれていた。

傭兵(これは…まずいな)

傭兵(いかんともしがたい。悩ましい姿だ…)

僧侶「…ソル様ぁ…」


傭兵「解呪は試したみたか?」


ヒーラちゃんは無言で首を振った。

傭兵「ならやってみたら」

僧侶「…ユッカ様の二の舞いですよ」

傭兵「あぁ…」


ヒーラちゃんはこれまで数度ユッカの呪いに対して魔法陣での解呪を試みた。
しかし結果はどれも失敗。
呪いの熱に蝕まれるユッカは理性が崩壊して、勇者として情けない姿を晒す羽目になっている。


傭兵「あいつの呪いは強力だからな…」

僧侶「淫魔のくせに…。うう…」

僧侶「聖職者の私までこんなことになってしまうなんて、お父様に顔向けできません」

傭兵「俺もだよ…ヒーラちゃんをみすみすこんな目に合わせるなんてとんだ失態だ」

僧侶「すぐに解呪できないとなれば、私は一体これをどうしたらよいのでしょうか」

ヒーラちゃんは目元をうるませながら俺を見上げた。
大きな乳房が乳を垂れ流しながらふるんと弾む。
俺は不謹慎ながらもこの状況にわずかに興奮をおぼえていた。

修正>>440
× 明るいではない。
○ 明るいわけではない。


傭兵「とりあえず、ユッカみたいにその場しのぎでよければ」

僧侶「なんとかなりますか…?」

傭兵「うずきをおさめたらいいんだろ?」

僧侶「は、はい…たぶん」

ヒーラちゃんはきゅっと口を真一文字に結んで俺から照れくさそうに顔をそらした。
おそらく何をすべきかはわかっているのだろう。

俺は目の前の乳房を下からそっと持ち上げるように手のひらで包むこんだ。
たぷんとした重みを感じる。


僧侶「あっ…」

傭兵「一度出してしまおう。きっとよくなるはず」

僧侶「はい……」

むにゅ…

僧侶「ん…っ」

傭兵「痛くないよね?」

僧侶「大丈夫です……私のおっぱいもんでください」



むにゅ…むにゅ…

ヒーラちゃんの胸は俺の手の動きにあわせて自在に形をかえる。
胸をたぷたぷと揺らす度に乳首からはつぅっとヒーラちゃんの乳が垂れて、俺の手を白く染めていった。

傭兵「結構でるな」

僧侶「…」

傭兵「恥ずかしい? ごめんな」

僧侶「い、いえ…私がお願いしたことですから」

僧侶「あの…もっと強くさわってもいいですよ」

僧侶「できれば…さきっちょも…」

ふっくらとした鮮やかなピンク色の乳輪の中央につんと尖った乳頭がそびえたっている。
大きくもなく小さくもなく完璧なバランスでなりたつその胸は、世の男なら誰でもかぶりつきたくなるくらい美しかった。
俺はそれを指先で軽くつまんだ。

僧侶「んっ…んっ♥」


ヒーラちゃんは一瞬顔をしかめて甘い声を出した。
ほんのすこし触っただけなのにずいぶんと過敏な反応を示す。


傭兵「痛い?」

僧侶「ちがいます…な、なんだか…いつもより敏感な気がして…ひゃんっ♥」



くりくり くりくり

僧侶「あぁっ…あっ♥」

あっという間にカチカチに勃起した乳首を指ではさみながら弄ると、ヒーラちゃんは官能に溺れ始めた。
胸の先端からはぴゅっぴゅっと小さく白い液体が飛び、俺の服に付着する。

傭兵「エッチな声でてるよ」

僧侶「んっ、んんっ…うっ♥ だ、だってぇ…♥」

僧侶「ちくびっ…いつもよりきもちよくて」

僧侶「どうなっちゃってるんですかぁ…♥」

傭兵「やっぱりあいつの呪いは感度を上昇させる効果もあるみたいだな」

くりくり くりくり

僧侶「あぁぁあん、ヤですっ!」

僧侶「乳首、くりくりしないでぇ…」

傭兵「そうだな。もっとぎゅーって絞って悪いの全部出さないとな?」

僧侶「えっ…」


俺はヒーラちゃんのつまみを人差し指と親指で挟んで、ぎゅっと引き寄せた。
大きな胸のお肉が形を変える。
胸の先からはびゅーっと勢い良く、細い白い線が飛び出た。

僧侶「きゃああんっ、ひっぱちゃだめですぅう♥」

ぴゅーっ ぴゅーっ

僧侶「だめっ、そんな風にしちゃ、ぴゅっぴゅ出ちゃいますっ♥」

僧侶「おっぱいきもちいい♥ おっぱいだすのきもちいいですぅ♥」

傭兵「うわっ、こんなに出るのか」


思った以上の勢いで噴き出る母乳は、俺の服だけでなく椅子の座面や床まで飛び散る。


傭兵「ここもうすぐ出て行くのに汚して終わっちゃまずいな」

俺は強くひっぱるのをやめて、再び指でこねくりまわすことにした。

僧侶「はぁ…はぁ…♥」

僧侶「乳首とれちゃいますよぉ」

傭兵「ごめん…そんなにきもちいいの?」

僧侶「は、はい…」

僧侶「おっぱいがぴゅーって出る度に…イッちゃいそうなくらい頭がビリビリします…」



噴乳にはかなりの快楽が伴うらしい。


傭兵「うらやましいな」

僧侶「えぇ…そんな事言わないでください」

傭兵「悪い。で、結構でたけどまだダメ?」

僧侶「そ、そうですね…まだ、じくじくするような」

僧侶「おっぱいの中で何かが渦巻いてるような感じがするんです」

傭兵「それが淫魔の呪いか」

僧侶「うう…最悪な気分です。私が淫魔なんかに遅れをとるなんて…ぐすっ」

傭兵(言っちゃ悪いが正直たのしい…)

女性を搾乳することなんて経験したこと無い俺からするとヒーラちゃんの姿は神秘的とさえおもえた。

傭兵(どんな味するんだろうな…)

ふと悪い考えが脳裏に浮かぶ。
男の夢でもあるそれを実行するチャンスはいま目の前にある。

ヒーラちゃんならおそらく許してくれるだろう。
俺は椅子にゆったりと腰掛けてヒーラちゃんを招き寄せた。



僧侶「あの…?」

傭兵「ごめん。俺はもう限界だ!」

きょとんとした顔のヒーラちゃんの手をおもむろにひく。
そして目の前ではずんだ乳をつかまえて、俺は口へとその鮮やかなピンク色の先端をふくんだ。

ちゅぅぅぅ…

僧侶「ひゃあっ!?」

僧侶「な、なにして…んっ、んぅ…」

カチコチになった乳首を舌でぐるりと巻き込み、強く吸い上げる。
すると口のなかにほのかな甘味がひろがった。

僧侶「ふぁぁぁあ♥」

僧侶「だ、だめですよぉ!!」


ヒーラちゃんがなんと抵抗しても俺は行為を辞めるつもりはなかった。
吸えば吸うほど母乳はピーッと噴き出て、口内により強い風味を残していく。

俺はその優しい味わいをしっかりと受け止めながら、喉を鳴らした。


僧侶「はぅぅ…なにやってるんですか、もぉ…」

僧侶「ソル様のエッチ…♥」



傭兵「おいしかった」


唇を離すとヒーラちゃんが手のひらで俺の頬に触れてきた。
平手打ちをしようとしたのをぎりぎりで減速したように見えた。

傭兵「怒った?」

僧侶「う…ううう…」

僧侶「うううう…もおおお!」

傭兵(牛だな…)

僧侶「一言言ってくれれば心の準備ができましたのに…」

僧侶「恥ずかしいじゃないですか!」

傭兵「悪い。けどおいしかったよ。ヒーラちゃんのおっぱいってこんな優しい味がするんだな」

僧侶「~~~っ!」

ヒーラちゃんは声にならない声を上げて、顔を真赤にして俯いてしまった。

俺はそんな彼女を愛おしく感じ、だきよせて頭をなでた。


傭兵「どう? 右胸はすっきりした?」

僧侶「……はい。だいぶ、うずうずが取れた気がします」

傭兵「良かった。じゃあ次は反対な」

僧侶「あぅぅ…」


傭兵「ヒーラちゃんのおっぱいを吸える日が来るとは思わなかった」

僧侶「…私もですよ」

僧侶「赤ちゃんより前に、ソル様に吸われるなんておもってもみませんでした」

傭兵「こんなおいしいおっぱいを毎日飲めるヒーラちゃんの赤ちゃんは幸せだな」

僧侶「ソル様の…子供ですよ」

傭兵「…あ、ああ」

僧侶「だから…その。こんなこと出来るのは赤ちゃんが生まれるまでですからね?」

僧侶「…う、恥ずかしい。何言ってるでしょう私っ」

傭兵「左のおっぱい、いいか?」

僧侶「いいですよ…いっぱい飲んでくださいね」

傭兵「ヒーラちゃんのうずきを全部吸いだすよ」

僧侶「はい…♥」


こうして俺は一時の間、自分より10近く歳下の少女に授乳してもらった。



  ・  ・  ・


ヒーラちゃんの胸のうずきを取った後、
俺たちはごく自然に身体を重ねあわせていた。

すっかりと屹立したペニスを彼女の膣はすんなりと受け入れる。


僧侶「んっ♥ あっ♥ ソル様ぁ…♥」

僧侶「きて、もっと来てください♥」

僧侶「激しく…あぁぁん、またおっぱい垂れてきちゃいました」

傭兵「今日はエッチだな」

僧侶「はいっ、エッチなんです♥ いっぱいしたいんですっ」

傭兵(ヒーラちゃんが実はこんなエッチな子だとは、昼間コンテストに来ていた男たちはつゆほども思わないだろうな)


優越感に満たされていく。
世界でただ一人、この子をこんな風に愛せることを俺は嬉しく思った。

膣とペニスがこすれる水音は激しさを増していく。


いつの間にか外は強いスコールにみまわれていた。

屋根を打つ雨音はヒーラちゃんの嬌声と、膣を出入りするいやらしい水音ををかき消していった。


  ・  ・  ・


傭兵「ヒーラちゃん。平気?」

僧侶「はい…ソル様のお部屋を訪ねて良かったです」

傭兵「今日はエッチだったなぁ」

僧侶「の、呪いのせいですよ! 私こんなんじゃないんですから!」

傭兵「どうかな」

僧侶「ううう…イジワルです」

傭兵「こうして雨の中ふたりっきりだと、昔を思い出すな」

僧侶「うふふ。そうですね…覚えていらっしゃったんですね」


俺とヒーラちゃんちゃんは王宮を出入りしていた時代によくふたりっきりで会っていた。
雨の日は訓練は中止で、中庭にも立ち入ることができなかったので、
昼寝の場所もない俺はもっぱら談話室でヒーラちゃんの話相手になっていた。

彼女は最近学んだことや読んだ本の話を熱心に聞かせてくれた。


傭兵「もう4年も経ったのか」

傭兵「俺たちあんまり変わらないな…」

僧侶「変わりましたよ!」

傭兵「そう? ヒーラちゃん昔っからおっぱい大きくてさ」

僧侶「……」

傭兵「あ、違う?」

僧侶「うふふ。ソル様はお変わりないですけど…私達の関係は変わりましたよ?」

僧侶「あの時はただの僧侶見習いと騎士様」

僧侶「だけどいまは…恋人同士…♥ ですよよね?」

傭兵「…そうだな」

俺はヒーラちゃんの肩を抱いて布団に潜り込んだ。

僧侶「きゃんっ。えへへ…こんなふうに抱き合って眠るなんて、あの頃からしたら夢のようです」

僧侶「次に私達の関係が変わる時は……きっとただの恋人じゃなくって…」


ヒーラちゃんはその先を言わなかった。

わかっている、俺たちの旅はまだまだ終わらない。

本懐を遂げるその日まで。

お互い、心のうちに留めておこう。



<翌朝>


警備隊「ご苦労だった。お前の契約期間は終了だ」

傭兵「世話になったな」

警備隊「どうやら、金の目処はついたようだな」

傭兵「あぁ。あとは…港なんだが」

警備隊「夕刻より、開港する。聞いていないのか?」

傭兵「本当か?」

警備隊「数日近海を見回っていたが、海賊の姿は確認できなかった」

警備隊「もう彼らは果てしない海へと旅立ったのかもしれないな」

警備隊「諸君らの活躍によりオクトピアの脅威は去った。晴々しい気持ちで船出と行こうではないか」

警備隊「馬車の積み込みが可能な船舶はこちらで手配しよう」

傭兵「すまないな」

村長「ええんじゃよ。この程度で大恩を返せたとも思えんがな」

僧侶「こんな莫大な賞金ほんとにもらっちゃってよろしいんでしょうか…」

僧侶「蛸娘を探す約束、果たせなくて申し訳ありません…」

村長「堅いことは言いっこ無しじゃ。昨日は蛸娘以上にええもんをみせてもろうた…にょほほ」


勇者「今日旅立ちかぁ…」

僧侶「ローレさんに挨拶しなきゃいけませんね」

勇者「うん…」

傭兵「いずれ来るとは思っていたが、その日が来てみると寂しいもんだな」

勇者「まだあのお風呂にも入りたかったなぁ」

魔女「また来ればいい」

傭兵「お? お前がそんなこと言うなんてな」

魔女「…私はまたここにかき氷を売りに来たい」

傭兵「気に入ったんだな。この街のこと」

警備隊「いつでも歓迎である。その日がくるまでオクトピアの平和は我々が護ろう」

村長「女神様、元気での」

傭兵「次会う時まで死ぬんじゃねーぞ」

僧侶「大変お世話になりましたっ」ペコッ

村長「ふひひ…揺れとる揺れとる」

勇者「このおじいさんは長生きするよ…」

傭兵「そうだな…」



【宿屋ローレライ】


宿屋の少女「そうですか…今日の夕方に…」

傭兵「急なことですまない。お世話になりました」

勇者「いままでありがとうローレ」

宿屋の少女「晩御飯はみなさんと一緒に食べられないんですね…」

勇者「さびしいよぉ…」

宿屋の少女「そうも言ってられませんよ」

宿屋の少女「みなさんには大切なお役目があるんですから。がんばってくださいね」

宿屋の少女「私、ここでずっと応援してます」

宿屋の少女「あの邪悪な気配が世界に満ちるその前に、魔王の復活を阻止してください」

宿屋の少女「それは私達魔族であっても同じ想いです」

傭兵「必ず…!」

僧侶「お任せください」

魔女「復活なんてさせない」

宿屋の少女「必要なものがあれば言ってくださいね」

宿屋の少女「まだ時間もありますし、街でお買い物して揃えましょう!」

宿屋の少女「最後の最後まで案内いたします」



<夕方>


【船着場】


宿屋の少女「いままでのご宿泊、ありがとうございました」

傭兵「こちらこそ。わざわざ見送りにきてもらってありがたい」

宿屋の少女「またのご来館……お待ちして…ぐすっ」

宿屋の少女「あれ…泣かないって決めたのに…ずずっ」

僧侶「また来ますからね」なでなで

宿屋の少女「ヒーラさん…必ずですよ。次はもっと立派な宿にしてみなさんをお出迎えできるようにがんばりますからっ」

宿屋の少女「どうか、それまでお元気で!」

宿屋の少女「負けないで!」

勇者「バイバイ! また会おうね!」

魔女「さよなら」

傭兵「ローレさんのご飯おいしかった。とても素敵な思い出になったよ」

傭兵「またいつか」

僧侶「お世話になりました。さようなら」

船乗り「おおい、出港の準備入るぜ。荷馬車は積み入れてあるからお前たちも早く乗ってくれ」

傭兵「…行こうか」



宿屋の少女「さようなら。みなさんに海の御加護がありますように」

宿屋の少女(そしてサキュさん。どうかみなさんのことをお願いします)


錨を上げて、船はゆっくりと港を離れ始めた。

オクトピアが遠ざかっていく。

ローレさんは見えなくなるまで大きく手を振っていた。

彼女に助けられた恩はまだちっとも返せていない。

だから俺たちは必ずまたここへ戻ってくる。


勇者「ローレ…見えなくなっちゃった」

傭兵「短い間だったが、いろんなことがあったな」

勇者「うん…楽しかったね」

僧侶「本当に楽しかったです」

魔女「だけど、楽しい旅はいつまでも続かない」


魔剣士は次の大陸で俺たちを待つと言った。
この先戦いは熾烈になるだろう。
新しい刺客を差し向けてくるかもしれない。
闇の呪術師という存在も気がかりだ。



勇者「ねぇ、次の目的地はどんな街なの?」

傭兵「ええっと資料によるとな」

船員「へっへお嬢ちゃん。目的地はこんな潮風で錆びた街とちがって、ずいぶんとハイカラな街だぜ」

船員「ピニオンと言う歴史ある街だ」

船員「そこは歯車による工芸品の盛んな街でな」

船員「なんでも、すごい魔術師が街全体を取り仕切っているらしい…」

傭兵「魔術師か…」

傭兵「俺にも魔法が使えたらな」

勇者「貸してあげよっか?」

傭兵「いまは必要ない」

勇者「ボクもっとレベルアップしてソルにいっぱい魔力貸せるようになるよ!」

勇者「そしたらさ、ソルもいっぱい戦えるでしょ?」

傭兵「結局俺が戦うのか」


魔女「がんばってユッカ」

勇者「うん!」

魔女「この人が魔力を扱えないと私の夢がかなわない」

勇者「夢って?」

僧侶「どんな夢ですか?」

魔女「妊娠」

傭兵「は!?」

僧侶「なな、なにいって…!」

勇者「妊娠って…それが魔力と何の関係があるの?」

魔女「…人は誰しも魔力を体内に秘めている。人体を構成するすべてに、微量ではあるけど魔力は含まれる」

魔女「精液も同じ」

僧侶「きゃーもうマナちゃんいきなり何言ってるんですか!」

傭兵「お前ぇ場所をわきまえろ」ゴチン

魔女「…っ! 話を聞いたほうがいい。あなたにとってとても大事な話」

魔女「魔力を持たない精液は、脆弱」

魔女「魔力に包まれた女性器のなかで、あっという間に死ぬ」

傭兵「え…」

魔女「あなたは、残念ながら…オスとして不完全」

魔女「いまのままでは誰一人として、孕ませることはできない」

傭兵「……ふぇ!?」

勇者「ええええ~~!?」

僧侶「そ、そうなんですかソル様!?」

傭兵「……まじ…かよ」サー




第20話<海日和>おわり

更新終わり
次回第21話 本日夜22時~(予定)

乙です
ソル、ある種の種無しか…



ローレ良い子だったなあ

乙!
飲尿に授乳…ソルはどこまで追い求めていくのかww

サキュはそれを知っていたのかな?

おつ!
ソルどんまい!

乙!
しかしユッカから借りるだけだと戦闘に使って終わりなんじゃ・・・

乙、ソルほぼ種無しか。
中田氏し放題だな!

妊娠しないのはこれがあるからか

中出し妊娠はファンタジーで終わらせない作者の鑑

こいつぁ中に出し放題ですな!w(ゲス顔)

乙!

乙、昔淫魔の呪いで母乳が出るようになってその母乳を飲むと精力が回復するssを書いたことを思い出したな〜



第21話<懐かしい味>



マナによる衝撃の告白から一夜。
俺はすっかり落ち込んでいた。
いまは潮風にふかれながら遠い水辺線をぼうっと眺めている。

傭兵(俺は劣等種…俺は劣等種…俺はもはや出来損ないのオス)

傭兵(いやオスですらない…俺は無性別のスライムです)

どんよりした俺の心うちとは裏腹に、からっと晴れ上がった上空では海鳥達がナンパに励んでいた。
俺をあざ笑うかのような甲高い鳴き声をあげて、周囲を飛び交っている。

傭兵「…くそっ」

しかしこれで合点がいった。
どうりであれだけ中で出したユッカやヒーラちゃんが妊娠しないわけだ。

そう、俺の精子はそこらの凡夫にも劣る類まれなる雑魚だったのだ!

傭兵「ははっはははは!!」


勇者「ねぇかわいそうだよ…教えなきゃよかったのに」

魔女「私の責任ではない」

勇者「慰めてあげようよ!」

僧侶「こればっかりはそっとしておいたほうが…。とってもデリケートな問題ですよ」

勇者「ボク行ってくる!」

僧侶「あぁぁ…絶対余計なこと言っちゃいますよ」


勇者「そ…ソル」

傭兵「どうしたユッカ。情けない男を笑いに来たか」

勇者「元気だして!」

傭兵「出るかよ…こんなショックなことは久しぶりだぜ…」

勇者「ソルの…ぉ、おちんちんは立派だよ! 精子は死んでるけど…」

傭兵「…海に放り投げるぞ」

勇者「あわわわっ」

勇者「で、でも考えようによってはいつでも好きなタイミングで女の子を妊娠させられるってことだよ!」

傭兵「…」


勇者「えっと、ボクが魔力を貸すでしょ、それでソルがびゅーって中で出すでしょ?」

勇者「そしたらソルの精子も魔力を得て、赤ちゃんできるかも! すごくない!?」

勇者「ね!? マナもきっとそういうことを考えてボクに強くなれって言ったんだよ!」

傭兵「…はぁ」

傭兵「じゃあいますぐ魔力貸せ。船室でお前を犯しまくってほんとに孕むか実験してやる」ガシッ

勇者「ふええやめてよぉ落ち着いて!」

勇者「あれ…泣いてる?」

傭兵「泣いてない」

勇者「…よしよし」なでなで

傭兵「ユッカ…」

勇者「いい子いい子…」なでなで

傭兵「…薄々感じてはいたんだ。俺はお前たちを幸せにできないんじゃないかって」

勇者「そんなことないよ! ボクはソルと一緒にいて楽しいし、十分幸せだよ!?」

傭兵「だが、オスとして責任を俺は果たせない……終わりだぁ!」

勇者「あ゛ー待ってぇ! 飛んじゃだめだよぉ何やってるの!」がしっ

傭兵「はなせぇ! 魚の餌になれば俺の血肉はまわりまわって後世に伝わるんだよぉおお!!」


勇者「自分の役目をおもいだしてよぉ!」

傭兵「役目…! はっ! すまん…そうだ俺はまだ死ねない」

勇者「ほんとだよ」

傭兵「なら魔王の復活を阻止したら、こんな役立たず切断して…」

勇者「ちがうちがう!!」ぼかぼか

勇者「はぁ…困ったちゃんだなぁソルは」

勇者「ボクの手を焼かせないでよ」

傭兵「それお前に言われるとすっごいムカつくな」

勇者「よし待ってて。ボクが傷心のソルのためにお昼作ってあげるよ」

傭兵「お前料理作れるのか?」

勇者「作れるよ! オクトピアにつく前に約束したでしょ? ソルのためにご馳走するって」

傭兵「したっけか…したような、してないような」

勇者「むー…まぁ見ててよ。ソルの舌をうならせてあげるからね」

勇者「厨房かりてこよーっと」

傭兵「頼むからヒーラちゃんか船のシェフに手伝ってもらってくれ」

勇者「ひとりでできるもん!! ばんのうな勇者を侮るな…」

傭兵「お、おう…?」



  ・  ・  ・


<昼>


僧侶「楽しみですね」

魔女「不安でいっぱい」

傭兵「俺もだ。ユッカが飯ねぇ…」

傭兵「念のため船のコックに注文しておくか」

僧侶「失礼ですよ! ご飯をつくってあげたいとおもう乙女の気持ちを汲んでください」

傭兵「ヒーラちゃんはいつもそういう気持ちでつくってるのか?」

僧侶「ソル様たちの笑顔を思い浮かべながらつくってます」

傭兵「うまいわけだ」

魔女「おなかすいた」

勇者「おまたせ~~~♪」


ユッカがニコニコしながら大きな鉄鍋をもって甲板にやってきた。
テーブルに配膳された食器からすると、カレーかシチューであろうことは予測できる。

傭兵(カレーなら失敗しないだろうな)


僧侶「お疲れ様ですユッカ様!」

魔女「はやく」

勇者「じゃじゃ~ん。蓋あけるよ~♪」

そうしてユッカは勢い良く大鍋の蓋を開いた。

僧侶「わぁ…」

魔女「黄色い」

傭兵「これは…」

中からは黄金に輝くドロリとしたスープが現れた。
やや甘い匂いが鼻孔をくすぐる。
とてもうまそうに感じたが、よく観察すると野菜はゴロゴロと不揃いに切られていた。

僧侶「おいしそうですね! ですが、ちゃんと煮えていますか?」

勇者「大丈夫だよ! 味見したもん」

傭兵「…」

勇者「どうしたの?」

傭兵「い、いや…一応聞いておくがこれってなんのスープだ」

勇者「もうっ! 匂いでわかるでしょ!」

勇者「パンプキンスープだよ!」

勇者「 か ぼ ちゃ !」

傭兵「かぼちゃ……」

傭兵(これを…ユッカが…?)


取り分けられた皿からスプーンですくい、その黄金色のスープをおそるおそる口元へと運んだ。

口の中に濃厚すぎるかぼちゃの味が広がる。

傭兵「……」

勇者「どうしたのソル?」

勇者「美味しくなかった…? 美味しいよね?」

僧侶「お、おいしいです~!! すごいユッカ様すごいです!」

魔女「おいしい」ずるるっ

勇者「えへへ~、実はこれ得意料理。なぜかパンプキンスープだけうまく作れるんだぁ」

魔女「おかわり」

勇者「いっぱい食べてね。で、ソルはどう? ボクのこと見なおしたでしょ?」

勇者「ちゃんと料理だってできるんだよ!」

ユッカは得意げに無い胸をはった。
コックから強引に借りたであろう背の高い白い帽子が風に揺れていた。

勇者「ソル…? まだ落ち込んでるの? ボクのスープたくさん食べて元気だしなよ」

傭兵「あ、あぁ…」


胸の中でざわめく奇妙なひっかかりの原因はすぐにわかった。

俺ははっきりとこの味を知っていた。

覚えていたんだ。

気づいた時には食器を置き、隣の席で微笑むユッカを抱き寄せていた。

水の入っていたコップが1つカシャンと勢いよく倒れて机を濡らした。

勇者「ちょっ…ソル…? どうしたの」

僧侶「ソル様…?」

傭兵(お前だって……小さな体のどこかで、この味を覚えていたんだな)

勇者「んぅ…? い、痛いよぉ…なんなの?」

スープを舌で味わいユッカのぬくもりを腕に感じながら、俺は遠くに置いてきた在りし日に想いを馳せた。

そう、それは俺が魔力を失うきっかけとなった出来事。
そして、いまに続く運命が始まった日。



<およそ8年前>


【雪の降る森】


傭兵「くっ…う…」

傭兵「ここは一体どこなんだ…もう3日も歩き続けてる…」


当時、10代の俺は傭兵業を日々の糧に世界中を転々としていた。

幼いころから少年兵としてずっと血で血を洗う戦いに身を置いてきた。
しかし、忠義を尽くし一生を捧げたいと思えるほどの人物に出会うことがなかった。


生まれつき根無し草が性に合っていた。
そうして常に場所を移らなければ、恨みを買った者に昼夜問わず命を狙われるだろう。
あてもない旅が唯一の生き延びる術だった。

だがそれもここまで、悪運と食料は尽き、俺はいよいよ生命の危機を迎えていた。


傭兵「寒…い…」

傭兵「腹…へった…」

傭兵「こんな名前もしらない森で…俺は死ぬのか」

傭兵「くだらない人生だったな…親の顔も知らない…仲間もいない…」

傭兵「来る日も来る日も殺して…また殺して…」

傭兵「俺は…なんのために生まれてきた」

吹雪く闇夜の空を見上げても俺を導いてくれる星ひとつみえやしない。
もはや自分がどっちへ向かって歩いているのかもわからなかった。

俺は死を覚悟して、側にある大木に背を預けて座り込んだ。

傭兵「朝には…きっと死んでるな」

傭兵「ざまぁないぜ…これが俺への罰なら…お似合いだ」

己の身を守る魔力もいよいよ薄くなりはじめ、寒さが身を突き刺す。


傭兵「死ぬ前にせめて……」

その先何を言おうとしたのかわからない。
会いたい人はいない。行きたい場所もない。やりたいこともない。
未練はこれっぽっちもないはずだった。
地獄へおちてもかまわないと思いながら、日々殺生を繰り返してきてはずだったのに。

なのに今際の際の俺の口をついて出たのは現世への未練だった。

欲しかったのは暖かい食べものか、心穏やかに眠れる家か、それとも愛する相手か。
俺は何ひとつ持っていない。
天涯孤独だった。

傭兵(まぶたが重い…)

傭兵(別れを告げる相手すらいないなんて…本当にくだらない人生だった)

傭兵「……――」

全てを諦めた時、ぼやける視界の中になにか動く物が見えた。
それは降り積もった雪をかき分け、ザクザクと足音をたてながら、俺に近づいてくる。

そしてそいつは身動きとれない俺をなにか棒のようなものでつついた。


???「ねーねー。おにいさんなにしてるの」


???「ここでねたらさむくてしんじゃうよ」

傭兵「……――」

???「ねむたいの?」ツンツン

傭兵「……――」

???「ママ! ねてるひとがいるー」

傭兵(子供…か……――)

やがて俺は意識を失った。



  ・  ・  ・


傭兵「!」

傭兵「…? ここは…」

気が付くと俺は見知らぬベッドに横わたっていた。
小さな家の中で暖炉が勢い良く燃え盛り、寒さに凍えた俺の身体を温めている。

窓の外は激しく吹雪いていて、強い風が小窓を打ちガタガタとうるさく震えていた。


傭兵(一体どこだ…)

傭兵(俺は死んだはずじゃ…助かったのか?)

子供「ママー! おきた!」

傭兵「…!」

ベッドの脇で活発そうな見た目の子供がジーっとこちらを覗いていた。
さきほどぼんやりとした意識の中で見えた子供と同じだった。

部屋の奥から、1人の女性がお盆を持って出てくる。
栗色の長い髪をしたとても美しい人だった。
ずいぶんと若く見えるが、どうやらこの子供の母親のようだ。

その人は優しい笑顔で俺に歩み寄り、手にしたスープを差し出した。

母親「飲んで。温まるよ」

傭兵「…俺を助けて…くれたのか」

母親「ユッカがキミのことを見つけたんだよ。あ、ユッカっていうのはこの子ね」

子供「えへへー。ボクもスープほしー」

傭兵「…」スッ

母親「それはあなたにあげた分。ユッカはこっちでしょ」

子供「はーい」


母親「さ、早く飲んで」

傭兵「…いただ…き…ます」

子供「いただきまーす!」

その黄金色に輝くかぼちゃのスープは、心身ともに疲弊した俺をまたたく間に癒してくれた。
いまだ凍える体を芯から温めてくれた。
スプーンがとまらない。
舌と喉をやけどしても俺は懸命にすすり続けた。

母親「うふふ」

子供「ずずずっ、ずずっ」

母親「もう、ユッカ。綺麗にたべなきゃだめだよ。またお口の周り汚して」

子供「ごめんなさーい。ねーママのスープおいしーでしょ」

傭兵「…」

母親「どう? お口に合う? 田舎くさい料理でごめんね」

傭兵「とても…うまい…。俺…こんなスープ飲んだこと無くて」

母親「お腹まだまだ空いてるでしょ。おかわりあるからね。たくさん食べて温まって」

子供「おかわりー!」

母親「あなたはいいの」

傭兵「…」

見ず知らずの他人にもてなしてもらったことは初めてだった。
誰かの優しさに触れたことすらなかった。
不思議と、なにか熱いものが頬を伝っていた。

傭兵(俺は…生きている…)


母親「よっぽど疲れてたんだね」

母親「あなたが倒れているところを見つけてびっくりしちゃった」

傭兵「礼を言ってなかった…助けてくれてありがとう」

母親「いいよ気にしないで。困った時はお互い様でしょ」

母親「んーと、でもあなた村の人じゃないよね。旅人さん?」

傭兵「…あぁ」

母親「そっか! 体力が回復して、外の吹雪がやむまでゆっくりしていって」

母親「何にもない家だけど、ここは安全だからね?」

子供「おなまえなんていうの!?」

傭兵「俺は……ソル」

子供「ボクはユッカ!」

ユッカと名乗った少女は口元を黄色でベタベタにしながらニッコリと歯を見せて笑った。

母親「私はユッカの母親のユイ。よろしくね」

傭兵「ユッカ…。ユイ…さん…」

ユイさんは優しく微笑みながらそっと俺の手に触れた。
まるで知りもしない母親のぬくもりのように感じた。

それから数日間、天が俺をここに足止めするかのように大雪の日が続いた。



  ・ ・ ・


母親「そっかぁ! ソル君は剣が得意なんだね」

傭兵「ま、まぁ…いちおう傭兵やってるから」

母親「…んー」

傭兵「ユイさん、火。鍋吹いてる」

母親「あわわっ、危ない危ない。お料理中にお話しちゃだめだね? えへへ」

傭兵「雪、すこしおさまってきた…きましたね」

傭兵「俺、明日にはここを発ちます」

母親「えっ」

傭兵「見ず知らずの人の家に世話になりっぱなしにはいかない」

母親「気にしなくていいのに。見ず知らずだなんて、もうこうして知り合いでしょ」

子供「ねーソルー。かたぐるまかたぐるま」

母親「ユッカすっかり懐いちゃったね」

傭兵「……」

子供「しゃがんでよー」

傭兵「しかたねぇな…」


俺は誰かに一方的な施しを受けることは好きではない。
しかしこの家は、決して居心地は悪くなかった。



ガチャッ


???「おお、ユイ。雪がおさまってきたので様子を見に来たぞ」

母親「パ……司祭様!」

子供「あーおじいちゃーん」

傭兵「…?」

突然家に中に豊かなヒゲを蓄えた中年の男が入ってきた。
ユッカはその男のことをおじいちゃんと呼び、俺の肩の上で激しく手を降っている。
ということはユイさんの父親にあたる人物だろう。

しかしその男は俺を見かけるやいなや、眼光を鋭くし大きな声で吠えた。

司祭「なんじゃ貴様は!」

司祭「ユッカを離さんか!!」

傭兵「…!」

母親「あっ…違うのパパ…この人は」

司祭「またユッカを付け狙う賊どもか…ええい。許さん…」


男は詠唱とともに手の中で魔力を練り始めた。
敵意は確実に俺へと向けられている。


傭兵「ユッカ。降ろすぞ」



傭兵「いますぐ出て行く。ここで魔法を使わないでくれ」

司祭「…消え失せろ!」

母親「待ってパパ。違うの!」

司祭「なんじゃユイ。こいつはお前たちを狙って」

母親「先日の大雪で遭難しているところを私が助けたの」

司祭「む…」

傭兵「お世話になりました」

母親「あ…」

子供「あーソルやだよー」トコトコ

司祭「なっ! これユッカ。得体のしれぬ男に近づくでない」

司祭「やはり成敗せねばならぬか! きぇえ!!」

傭兵「…」

家の扉をくぐった俺の背後で、男は魔法弾を発射した。
俺はそれを目の端で捉え、振り向くと共に抜刀し軽く弾き飛ばした。

司祭「なにっ!」

母親「すごい…パパの魔法をあんな簡単に…」


傭兵「もうここには近づかない。それで許してほしい」

傭兵「そうだ。これ、少ししかないが、宿代として受け取ってくれ」

俺は腰につけた路銀の入った巾着を玄関に置いて、しんしんと降る雪の中を歩き始めた。

司祭「…」

母親「待ってソル君!」

しかしなにをおもったかユイさんによって背後から抱きとめられる。
いつのまにか足元にはユッカがしがみついていた。

母親「あのね…」

母親「ソル君がよければ…もうすこしここにいてほしい」

司祭「何を言っとるんじゃ! そやつは見るからに怪しい男で…」

母親「パパの馬鹿! わかるでしょ!」

母親「ユッカがこんなに懐いてるのに悪い人なわけないじゃない! この子の魔覚を侮らないで!」

司祭「む、むぅ…しかしだな。用もなく男をお前たちに近づけるわけには…」

母親「用ならあります」

母親「前からパパ言ってたよね。ガードをつけなさいって」

司祭「ま、まさか…ユイお前」

母親「私はソル君を我が家の、ユッカのガードとして雇います」

司祭「ひぇ~!?」

傭兵「え……?」

母親「いいでしょ? ね? 傭兵は、お金で仕事をするんだよね?」ニコリ

傭兵「えぇ…金がもらえるなら」

母親「なら契約成立! これからよろしくね!」


こうしてひょんなことから俺のガードとしての仕事が始まった。



第21話<懐かしい味>つづく

乙!
ストーリーの組み立てが綺麗だなあ
すごく見習いたい

一番気になっていた過去がついに来た


いよいよか…

過去回想きた!
前々からだけどエロだけじゃなくて読み物として面白いです
乙ですー

エロ要らない面白さだけどエロもあるなんてお得!

ただのエロおかずとして読んでたらいつのまにかまたストーリーが気になってた
あると思います

乙、じわじわと目頭が熱くなる

乙!

時空を越えて親子丼(゚∀゚ 三 ゚∀゚)キター!!(これはいいお話の予感。期待してます)

少し遅れたので更新明日22時にします

お疲れさん!
無理すんなよ

エロ展開はよ(ストーリー面白いからエロ無しでも読めるな!)

おつんつん

>>500>>503
逆!逆!本音と建前がww

第21話<懐かしい味>つづき



司祭「ガードを務めることは許す」

司祭「しかし、この家で寝泊まりすることはゆるさーん!」

傭兵「!」

司祭「貴様のような若い男が、可愛いユイやユッカと共に暮らしてなにもせんわけがない」

母親「もう…パパったら何言ってるの」

傭兵「たしかに」

母親「ええ!? ちょっ…ソル君何言ってるの」

傭兵「家事を手伝うくらいはする」

司祭「そういうことをいっとるんじゃないわ!」

司祭「貴様には村の宿を貸し与える」

司祭「この丘の家と村とを毎日毎日毎日雨だろうが風の日だろうが往復してもらう」

傭兵「丘? ここは丘に建っているのか?」

司祭「なんだ知らんのか」

母親「だからねパパ、私が遭難して倒れてるソル君をずるずるひっぱってきたんだってば」

母親「ちょうどここから見えるあの森だよ」

ユイさんが指さした先には小さな森があった。
その森を抜けた先にはポツポツと灯りが見える。おそらくそれがこの男の来た村だろう。


傭兵「家族なんだろ? なぜ離れて暮らしている…んですか」

司祭「ふんっ。貴様に話す筋合いはないわ」

母親「パパ…これからガードになってくれる人にそんな態度よくないよ」

司祭「人前では司祭様とよばんか!」

母親「ごめんねソル君。ほんとは怖い人じゃないんだよ?」

母親「ただ最近、この辺りに不審な人が出るから気が立ってるの」

司祭「お前たち親子のことが心配で心配で、こうして見回りにきたというのに」

司祭「どこの馬の骨ともわからん男なんぞ連れ込みよってからに!!」

傭兵「そういえば、旦那さんは」

母親「…」

傭兵(聞いちゃまずかったか)

子供「パパいないのー」

母親「この子が生まれるよりも先にね…体の弱い人だった」

傭兵「そう…ですか」

母親「この丘は、あの人との思い出の場所なんだ。だから私は多少不便でもここに住み続けるの」


司祭「一度言い出したら聞かん頑固娘でな」

司祭「近頃は物騒だから村へ住めと口を酸っぱくして言うとるのに」

司祭「家のなかで貴様がユッカを抱えているのをみて卒倒しそうになったぞ…」

傭兵「誤解を与えてすまなかった」

母親「謝らなくっていいよ。パ…司祭様のただの早とちりだもん。恥ずかしいよ」

母親「それに、これからは危ない人が来てもソル君が守ってくれる。でしょ?」

傭兵「全力で守ります。腕には自信がある」

司祭「ふん、ぬかしおる」

母親「えへへ。頼りにしてるからね」

子供「わーい」

司祭「まだ実力は眉唾ものじゃ。一度村へ来てもらう」

母親「もうっ! 私が頑固なのはパパ譲りだよ」

司祭「村一の使い手と手合わせして、もし貴様が負けるようなら…」

司祭「かねてからの約束通り、そっちの男をユッカのガードにつける事とする」

母親「私あの人苦手。それにあのおじさんもう良い歳でしょ。毎日往復してもらうの大変だよ」


子供「おうちいてくれるのソルがいい…」ぎゅ

傭兵「…」

司祭「むぐ…ユッカよ、これはとても大事なことだからな?」

子供「ソルいじめるおじいちゃんきらーい」

司祭「!」グサッ

母親「私もパパきらーい」

司祭「ひぇぇえ許してくれ。きらいにならんでくれ」

母親「くすくす」

傭兵(娘を持つ親は大変なんだな)

傭兵(手合わせか…誰が相手でも問題ない)



【小さな村】


司祭「ここは太陽の村と言う」

傭兵「太陽?」

司祭「そうじゃ。貴様は魔王と勇者の話を知っておるか」

傭兵「おとぎ話に興味はない」

司祭「遥か数百年前、闇を照らす太陽の勇者はこの地で生まれ、古の災厄である魔王を討ったとされている」

司祭「ゆえに伝説の勇者様にあやかって太陽の村だ」

傭兵「そうなのか」

斧男「おお、司祭様。その若造は誰です」

司祭「良い所に来たな。手はあいておるか」

斧男「ええ、まぁ。もしかして例の話うけてくれたんですか!」

斧男「俺、ユイちゃんのこと全力で守りますよ!」

斧男「四六時中、片時も離れることもなくガードするぜ!」



ちょび髭を生やした恰幅の良い大男が司祭に向かって何度も頭を下げていた。
表情を伺うとずいぶんと鼻の下を伸ばしている。


傭兵「例の村一番の使い手か?」

斧男「あぁ? で、誰なんです」

司祭「ユイのお気に入りの男じゃよ…はぁ」

斧男「なな、なんだと!? こんなやつ見たこともねぇぞ。城下町から来たのか!?」

傭兵「流れの者だ。この辺りの人間じゃない」

斧男「んなやつにユイちゃんとユッカちゃんを任せられるか!! ユイちゃんは俺が幸せにしてみせる!!」

司祭「どれ1つ手合わせしてみろ」

司祭「勝者をユッカのガードとする」

傭兵(ユッカの…? まぁなんだっていい)


村の広場で一騎打ちが始まった。
ぐるりと俺たちを取り囲うように村民の人だかりができている。


村人「なにがはじまるってんだ? あの小僧はなんだ」

村女「ほら、ユッカちゃんのガードがどうたらって話あったろ」

村人「あぁ…にしてもありゃ知らない顔だ」

村女「大丈夫なのかねぇ。村の真ん中で血なまぐさいことはごめんだよ」


俺は腰の錆びた刀剣を抜き、ゆらりと構えた。

斧男「なんだそのボロい剣は。若造、尻尾巻いて逃げるならいまのうちだぜ」

傭兵「来い」


決して戦いが好きだったわけじゃない。
俺は戦いに身をおくしか日々の糧を得る術を知らなかった。
物心ついたころからずっとそうして生きてきた。

武の才を与えてくれた顔もしらない両親に感謝しなくてはならない。
俺の体は戦いとなると自然と血がたぎり、躍動し、地を蹴って宙を跳ねた。

傭兵(まず一撃)

空中で横一線になぎ払う。

手加減して打ち込んだその斬撃を斧男はかろうじて受け流した。

傭兵(動き悪くないな。手練というのは本当のようだ)

次は少し距離をあけ、相手の攻撃をあえて受けてみる。
大きく振りかぶられた斧がビュンと風切音と共に眼前に迫った。

細い刀身に魔力を張り巡らし、振り下ろされた重撃を受け止める。

傭兵「!」

しかし、すでにボロと言っていい俺の剣はダメージに耐え切れず、
金属の破片をまき散らしながら真っ二つに砕け散った。


傭兵「やるな!」

大男はその巨躯に見合わず正確無比な攻撃を繰り出してくる。
当たれば即死とはいかずとも深い傷を負うだろう。
そう、彼は自らの力を証明するために、よそ者である俺に対して容赦する必要などない。


斧男「ははは! 直撃はしなかったが得物は奪ったぞ!」

斧男「どうしたどうした! 避けてばっかりじゃつまらねぇぞ」

斧男「さぁ痛い目見る前に諦めろ若造。ユイちゃんは俺がまもるぜぇ」

傭兵「護る…」

誰かを護るのは誰かを殺める以上の力がいる。
俺は依頼されるがままに殺すことしかしてこなかった。
俺に出来るのだろうか。俺に彼女たちを護れるのだろうか。

傭兵(いや、やるしかない)

傭兵(なぜなら、俺はまだ救われた恩を返していない!)

折れた剣を放り投げ、男相手に再び向かい合う。
たとえ丸腰であろうと戦いにおいて恐れを感じたことはない。
危機は幾度となく乗り越えてきた。
俺の中で熱く魔力が燃え上がった。



  ・  ・  ・


<数分後>


司祭「これは…」

村女「なんてことだい信じらんないね」


村女「村一番の戦士をあっという間にのしちまった…」

村男「ほとんど目で追えなかったぞ…」


母親「司祭様」

司祭「おお、ユイにユッカ。何しに来た。家で待っとれといったのに」

母親「お買い物。家はちゃんと閉めてきたから」

母親「あれ、ソル君」

子供「ソルとおのおじちゃんだー」

傭兵「…」

俺の足元には斧男が泡を吹いて倒れていた。
自慢の斧は無残に砕け散り、俺の折れた剣以上に見る影もない。

斧男「 」

司祭「ふぅむ…まさか素手でここまでやるとは」

母親「も、もしかして決闘!? もーやめてよパパぁ」

司祭「なんという力……」

司祭「身体能力、魔力ともに、あの青年に天が二物を与えたというのか…」


子供「おのおじちゃーん。げんきー」ペチペチ

母親「こらユッカ」

斧男「う……げほ」

傭兵「…悪い。もっと手加減するはずだったが、抑えられなかった」

斧男「…ぐ、げほっ…なんつーやつだ」

傭兵「起き上がれるか」ガシッ

斧男「すまねぇ……はっユイちゃん!? きゃー恥ずかしいとこを見られちまったぁ!!」ドタドタ

傭兵「なんだ…? まぁ元気そうでよかった」

司祭「…決まりだな。小僧、暫くのあいだ村の護り手としてユッカたちを頼んだ」

母親「ありがとう司祭様! よかったねソル君!」

子供「わーい」

傭兵「金と部屋さえもらえればなんでもやるさ」

母親「そうだ怪我はない!?」

傭兵「平気です」

母親「手から血でてるよ…すぐ手当しなきゃ」

傭兵(斧を砕いた時か。たいしたことなさそうだな)ペロリ

子供「こっちのてもついてるよー。ぺろぺろ」

傭兵「!!」ビクッ


母親「だめでしょユッカ。ソル君びっくりしちゃう」

司祭「うおおん! おじいちゃんにもぺろぺろしてくれたことないのに! なんでこんな小僧にぃ!!」

司祭「ユッカおいで。おじいちゃんが高い高いしてやろう」

子供「ソルーかたぐるましてー」

司祭「…」ガクッ

傭兵「なんだか悪いな」

司祭「加齢臭だろうか…」

母親「ユッカったら。ほんとソル君来てからべったりなんだから。えへへ」

司祭「いいか小僧。くれぐれも、くれぐれもユイとユッカに間違ったことをせんようにな」

傭兵「しない。俺は雇い主や護衛対象に対して特別な感情をもったことはない」

司祭「ならええが…親としては年頃の娘に男を近づけるのは心配でたまらんのだ…」

母親「年頃って…私とっくに一児の母なんだけど…それももう20も半ばなんだけど…」

司祭「親にとって娘はいつまでたっても娘なの!!」


村女「やれやれだよこの男は。こんなんでもうちの村長なんだよ」

村人「君これからよろしくなぁ。ソルで合ってるか?」

傭兵「傭兵のソルだ。しばらく世話になる」

村人「困ったことがあったらなんでも聞きな。へっへせっかく外から若い男が来たんだ。逃がしゃしねぇぜ」

傭兵「…?」

傭兵(なんとかやっていけそうだ)

傭兵(ユイさんに引き止めてもらえなければ、またあてもなくこの雪景色を彷徨い歩く羽目になっていたな)


傭兵「それで、俺は何から2人を護ればいい」

司祭「すべてだ。魔物、野盗、暴漢。ユイとユッカに近づくすべてを排除してくれ」

司祭「ここらは比較的平和だからあまり剣を抜く機会はないかもしれんがな」

傭兵「仕事を受ける身でこういうのもなんだが、ずいぶんと過保護だな」

司祭「……」

表情を見るに、ただの子煩悩というわけではなさそうだった。
雇われ兵ごときには言えない何か深い事情があるのだろう。
だがそこを詮索することはしなかった。

傭兵「了解した。俺は俺の任務をこなすだけだ」

司祭「それでいい。お前の寝泊まりする宿舎に案内しよう」

母親「よろしくねソル君!」




  ・  ・  ・



それから季節がひとつ過ぎ、太陽の村にも春がやってきた。

俺の任務は朝はやくおきることからはじまる。
寝泊まりしている村の宿舎はおんぼろだが、これまでの戦場生活に比べれば決して寝心地は悪くない。
多少手をいれて、外観も内装もずいぶんマシになった。


司祭「おおソル。おはよう。今日も早いな」

傭兵「おはよう。ユイさんの所にこれから向かう」

司祭「ならこれをもっていけ。いましがた畑で穫れた作物だ」

斧男「若造! これももっていけぇ。ユイちゃんは俺の作った豆が大好きなんだ」どさっ

傭兵「こんなにか」

斧男「おめぇさんも食うんだろ? ならこれくらいはないとな!」

傭兵「…助かる」

斧男「ユイちゃんたちと毎日ランチを一緒できるなんてうらやましいぜこのー」

傭兵「側に立っているだけだ」

斧男「んだつまんねぇ男だなぁ」


村女「あらソルくん、この魚ももっていきなさい。ユッカちゃんにうんと食べさせなきゃね」

村女「タコはきらいだったかねぇ。まぁいいか一緒に入れちゃえ」

傭兵「…ユイさんが喜ぶ」

村女「あぁそれと、うちの椅子の足が一本折れちゃったんだけど、ソルくん直せないかしら?」

村女「あのボロ宿の修理してるのってソルくんでしょ?」

村女「あたしの旦那ったら、日曜大工なんざてんでだめでねぇ。何度直してもぽきぽき折れちまうんだよ」

斧男「おめーが太りすぎだっての」

村女「なんだって! それが女に対していうセリフかい!」

村女「だからあんたユイちゃんにきっぱりフラレんだよ」ブツブツ

司祭「ユイは誰にもやらんぞ」

斧男「そんなぁ…」

傭兵「……。まだ時間があるのでいまから見に行く」

村女「あら悪いねぇ。忙しいのにいろいろ村のやつらの面倒みてもらっちゃって感謝しきれないよ」

傭兵「感謝しているのは住まわせてもらっている俺の方だ。ありがとう」

傭兵「…」

村女「どうしたいんだい?」

傭兵「いや…なんでもない」

傭兵(自分の口から感謝の言葉が出るなんてな)


村女「なんせ若いもんがみーんな城下町に仕事さがしにいってしまうもんだから、村にはじじばばしか残ってないのさ」

斧男「俺はまだまだ若いぜ!」

司祭「私もそこまで歳を食ったおぼえはないぞ」

村女「40、50をこえたおじんに用はないよ。ささ、ソルくん行きましょ♪」

傭兵「あぁ」

斧男「なははコイツは文句1つ言いやしねぇ。だったらどんどんコキつかってやるか!」

斧男「春になったんだ! やることは山積みだぜ」

司祭「この調子じゃそのうち契約金の見直しをせんといかんな」

傭兵「…」


住み心地のよい村だった。

みんなよそ者の俺のことを暖かく迎えてくれる。

ひとえにこれもユイさんとユッカのおかげだ。
それと彼女の父であり村の有力者でもある司祭の根回しも効いている。

俺は用事を済ませたあと村を出て、森を抜けた先のユイさんの住む丘の家へと向かった。



【丘の家】


母親「ソル君!」

傭兵「おはようござ…なにしてるんですか」

母親「急いで急いで!」

子供「むぅー…」もぐもぐ

傭兵「どこか出かけるのか?」

母親「そ、それがね! 今日午前中に先生のとこに行く日だったのにすっかり忘れてたの!」

傭兵「先生?」

母親「ユッカはやくたべて。ごっくんして」

子供「ねむいよぉ…」もぐもぐ

母親「ごめんねソル君来てもらったばっかりなのに! この後一緒に村に戻って!」

母親「そこから馬車に乗って王宮に向かうからね」

傭兵「王宮…どうして王宮なんです」

母親「そ、それは…」

傭兵「…?」

母親「ずっとガードをしてもらっていたキミに、私まだ内緒にしてることがある。ごめんなさい」

傭兵「言えないことがあっても問題ないですよ」

母親「馬車のなかで…話すよ」



【太陽の村】


司祭「そうか。城にソルを連れて行くことにしたか」

母親「うん。だってソル君はユッカのガードだから」

母親「隠し事をするのはよくないと思うの」

司祭「なら、私の代わりに行ってもらうか」

母親「いいの?」

司祭「母親のお前が決めたことだ。それに私達はこの数ヶ月で小僧のことを信頼しておる」

司祭「ええな。村の代表として付き添ってやってくれるか」

傭兵「それが任務なら同行する」



 ・  ・  ・


傭兵「それで、話って」

傭兵「なぜユイさんたちが王宮へ向かうんです」

母親「…」

雪解けとともに開通した山道を駆ける馬車の中で、ユイさんは神妙な面持ちでポツリポツリと話しはじめた。



母親「今から向かうのは、ユッカの魔法の先生のところ」

傭兵「魔法…? ユッカが魔法の訓練をうけているのか」

子供「うん! まいとしせんせーにまりょくおしえてもらってる」

傭兵「そうなのか…」

母親「この子は特別なんだ」

傭兵「ユッカが?」

母親「ユッカはね…太陽の勇者の血を引いているの」

傭兵「太陽の勇者?」

母親「ユッカは選ばれた勇者様…なんだよ」

母親「この子の魔覚の鋭さは知ってるでしょ。これは勇者に代々発現する能力なんだって」

傭兵「へぇ…。たしかに常人とはかけ離れているとは思ったが…そうだったのか」

傭兵「ならユイさんや司祭にも?」

母親「…」フルフル

母親「勇者の血は私ではなくて父親の方」

母親「あのね、驚かずに聞いてソル君。ユッカの父親はね…この国の王族なの」


傭兵「王族…勇者…」

母親「だから春になったら週に数回王宮に行って」

母親「魔導師の先生や騎士の先生とお稽古をするの」

傭兵「なぜ王家の人間があんな辺鄙な村のそれも離れの丘に、護衛もつけずに住んでいるんですか」

母親「……」

傭兵(言えないことなのか?)

母親「続きはユッカがお稽古してる間に話すよ」

傭兵「わかりました…」



【王宮】


傭兵「これがこの国の城か」

母親「大きいでしょ! 中はもっとすごいよ!」



王子「む。義姉さん」

勇者「あーおうじさまー」

王子「やぁユッカ。よく来たね」

母親「! グレイス王子…ご無沙汰しておりますっ! 遅れて申し訳ありません」ペコッ

王子「そう固くならなくていいですよ。あなたは我が兄の最愛の君だ」

母親「…」

王子「おや、そっちの者は」

傭兵「ユイさんとユッカのガードをしているソル…です」

王子「そうか。なら通れ」

兵士「ユイ様とガードの方はこちらの別室にどうぞ」


魔導師「おおユッカ。待っておったぞ」

魔導師「魔覚は昨年よりさらに育っておるようじゃな。これも大自然に囲まれた太陽の村のおかげじゃ」

魔導師「さて、稽古をつけてやろう」

勇者「はーい!」



【王宮・談話室】


傭兵「もしかして、あの王子とやらに嫌われているんですか」

母親「…っ」

傭兵「すいません…」

母親「私は…グレイス様のお兄様であらせられるフレア第一王子の専属のメイドをしていたの」

傭兵「そうなんですか」

傭兵(この話題はあまり立ち入らないほうが良さそうだな)


コツコツ

王子「我が兄は生まれながらに病弱で、ベッドから起きることもままならなかった」

傭兵「!」

王子「だが兄上は勇者としての資格である優れた魔覚と才覚を持ち、正当な後継者であった」

王子「私ではなく、兄上にはあった!」

母親「グレイス様…」

王子「様づけで呼ぶのはやめてもらおう」

母親「いえっ、たかがメイドの私なんかが恐れ多いです…」

王子「恐れ多いだと、ふ。兄上との間に子をもうけておきながらどの口が言うのです」


傭兵「勇者とは…なんだ? 何をするために存在する」

王子「なにもしらないガード風情が…まぁ良い教えてやろう」

王子「勇者とはこの世の災厄である魔王を打倒した古の英雄」

王子「勇者はこの地に国を興し、我々一族はその血を受け継いできている」

王子「そして、代々最も優れた才覚を持つものを、魔王復活を阻止するために旅立たせてきた」

王子「兄上はその役目に就くはずだった」

傭兵「…なら、あんたの兄の娘であるユッカが…」

王子「そうだ。ユッカには魔覚が発現している。大人になった暁に勇者の役目を継いでもらうこととなる」

王子「そのための英才教育だ」

傭兵「ユッカが…旅に…」

王子「だが兄上はもっと優れた血を残すべきだった。村娘のメイドではなく…もっと優れた血をな」

傭兵「この野郎!」

母親「まってソル君! ほんとに私が悪いの!」

傭兵「だが、黙っていられるか」

王子「見たところ私と同じくらいの歳のようだが、やはりただのガード。頭の巡りは悪そうだな」

王子「こい。王家の力をお前にみせてやろう」


【王宮・中庭】



王「グレイス。何をしておる。なんじゃこの騒ぎは…」

王子「父上。躾のなっていない蛮族が王宮に紛れ混んでいる」

大神官「しかし王子。このようなことは…お控えください」

大神官の娘「お父様…何がはじまるのですか…私怖いです…」


王子「ソルと言ったな。お前が本当に王族であるユッカのガードとしてふさわしいか…」

王子「私が試してやる!」ニヤリ

傭兵「…あぁ」

母親「ダメよソル君! やめて、王子様に剣を向けちゃダメ」

王子「かまいませんよ」

王子「これは私からの決闘だ。断ることは許さん」

傭兵「受けて立つ」

傭兵「ユイさんを侮辱されたまま引き下がれるか」


そして俺は剣を抜き、王族や神官たちの見守る中で王子へと斬りかかった。



第21話<懐かしい味>つづく

王子終了のお知らせ

更新終わり
次回本日22時~

乙!
おおっ!ついに語られなかった秘密が明らかになるのか…

乙です
こっそりヒーラもいるな

おつ
ずっとROMってたけどレスさせてくれ。マジ上手いな。他の作品もあったら教えてくれ


ヒーラの過去編にもこのグレイスっての出てなかった?
王子だったっけ?

>>534
ヒーラの過去編に居るね
役職は王様だけど
あの話は4年前でこの話は8年前だから4年間で何かあったんじゃないかな

太陽の村に太陽の勇者・・・
ソルに縁がありそうなネーミングだが真相はどうなんだろう

ソルのソルはソルジャーのソルでは?
もしくはダブルミーニングか...

乙、ギガスラッシュかましたれ!

このころは、ソルがちゃんとしてたんだなぁ。
乙、頑張ってください

王子がホモに目覚めそう(腐並感)

王子「奥義!桜吹雪!」ブワワー
傭兵「ぐはー」バヒューン

>>537
ソルジャーのソルだけど、何かかかってるような気がしてさ
まあただの偶然かもね

この真面目な青年がおしっこや母乳ごくごくする変態野郎になるなんて・・・

>>543
言ってやるな...

おとなになるって、かなしいことなの…

アナル初体験は誰になることやら(期待)

ソルの?

第21話<懐かしい味>つづき




鋼鉄がぶつかりあい激しく火花が散る。

軽装の王子はマントをひるがえし、軽い身のこなしで俺の攻撃をいなしていた。

何度剣を薙ぎ払っても思うように命中しない。


傭兵「くっ」

傭兵(速い…! 腕力は俺より下だが素早さでは分が悪いか)

王子「どうした。口だけか」

王子「これで我が姪のガードを務めるだと?」

王子「笑わせる! その鈍重な剣で何を護れるというのだ!」


ギィン…

傭兵(強い…ただの武芸者じゃない)

王子「口惜しいよ。私の武の才に加えて兄上の魔覚が備わっていれば、さっさと旅に出て本懐を遂げてやったというのに!」

ギィン!

傭兵「くっ」

傭兵(防戦一方になってしまう…!)


王「…変える気はない。我々は先祖代々、優れた魔覚を持つものを真の勇者として旅立たせてきた」

王「ワシの代でそれを歪めるわけにはいかん」

王子「ふっ…くだらないしきたりだ」

傭兵(これがエリートというやつか…)



王子「我がレイピアが繰り出す刺突の嵐からは逃れられん」

王子「消えろ!」

兵士A「まずい! 王子があの技を出すぞ! 後ろで見てる奴らは退避しろ!」

兵士B「あーあ。あのガキ死んだな…」

母親「ソル君…」

王子「殺しはしない。だが、私1人どうにもならんようなら貴様にガードの資格はない!」

王子「秘技:サウザンドスピア!」

傭兵「!」

かなり相手との距離をとっていたはずが、目の前にはあっという間に無数の斬撃が迫っていた。
まともに直撃すれば全身がズタズタにされてひき肉になってもおかしくない。


傭兵(回避を…!)

傭兵(速い! 間に合わない…!)

そして斬撃は辺り一体の植え込みを切り裂き、地を削り俺に降り注いだ。
激しい土煙が巻き起こり、周囲を視界を奪う。


王子「……手応えありだ」チャキ

母親「そん…な…」

兵士A「さすがです王子!」

兵士B「こりゃあのガキ、血煙になって消え失せたな」

王子「観衆の皆様。ご観覧いただきありがとうございました」

王子「父上。これでも私が旅立つことは反対なのですね」

王「う…むう…いかん。いかんぞ」

母親「ソル君! ソル君返事をして!!」

王子「無駄だ。我が一撃をかわした者はいない」

王子「残念だが、新しいガードを探したほうが良――」

王子「!」

傭兵「手応えがなんだって」

王子「何!!」


母親「ソル君!」

王「おお…グレイスのあれを避けたか」

兵士A「どうなってんだ?」

兵士B「あのガキどんなトリックをつかって避けやがった…」

大神官「いや…少年は避けたわけではない…」

王子「私の…千の突きを、すべて弾いたのか…?」

傭兵「全てじゃない…少しくらってしまったな」ズズ

王子「!」

血がたぎる。
まるで炎のように燃え盛って、俺の真っ赤な魔力が底なしに溢れ出す。

体を伝って高音に熱された剣の切っ先が、地を焦がした。
腕や頬から流れでた血は一瞬のうちに気化する。
気づけば深いと思っていた傷口はふさがりはじめていた。
じわじわと周囲の温度が上昇していき、中庭を取り囲んでいた兵士達は城内へと引き下がっていく。


王「ぬぅ! この魔力…!」

王子「な、なんだこの魔力量は…」


傭兵「撤回しろ。ユイさんは高潔な人だ」

傭兵「ユイさんがいたから、いまのユッカがある」

王子「ふざけるな…勇者の一族たるものより強い血を求めるのは至極当然のこと!」

傭兵「体は強くなくても、心は誰よりも強い」

王子「兵士の分際で綺麗事を言う。生半可な力では魔物共に対抗できんのだ!」

王子「失せろ! 次は直撃させる!」

傭兵「来い」

大神官「いけません! このまま2人を戦わせては大怪我じゃすまない」

大神官の娘「お父様!なんとかしてください」

大神官「間に合うか…結界を――」

魔導師「バカ者ども!」

傭兵「!」

王子「!」


突然の怒声とともに俺と王子の体はぴくりとも動かなくなった。
よく目を凝らすと、魔力で作られた白い茨のようなもので全身をガチガチに縛られている。

傭兵「ぐ…あ…なんだこれは」

魔導師「緊縛の魔法じゃよ。暴れたら痛いぞ」


魔導師「やれやれ…膨大な魔力の爆発を感じて、何事かと思って来てみれば」

魔導師「…」

俺を魔法で拘束した張本人である老人は、厳しい目つきで俺をじっと観察した。
つい睨み返すと、そろ老人の足元にへばりついたユッカが不安そうに瞳をうるませてこちらを見ていた。


魔導師「グレイス王子。決闘などと、またくだらんことをしておったのか」

王子「くっ、離せ。無礼だぞ」

魔導師「そのままふたりとも頭に登った血を冷ましておれ」

魔導師「なんなら氷魔法で頭をぶんなぐってやろうか」

王子「や、やめろ…」

勇者「ソルとおうじ…こわい」

傭兵「ユッカ…すまない。ユイさんも…」

母親「無事で良かった…ほんとに心配したんだから…」

魔導師「この場はワシが引き受ける。よろしいかな、王よ」

王「う、うむ。わしは政務にもどるとしよう」イソイソ…

王「グレイス。反省するのじゃぞ。壊した花壇の修理はお前がせい」

王子「…」




 ・  ・  ・


王子「非礼を詫びよう」

傭兵「…いや、こちらこそ申し訳ない…です」

王子「熊をも一撃で仕留める私の一撃を耐えたのは君が初めてだ」

王子「私に一撃こそ与えていないが、君が強者であることはわかった」

王子「名をソルと言ったか」

傭兵「…ああ」

魔導師「1つ気になったことがあるのじゃが、お主はどこで生まれ育った」

傭兵「なぜそんなことを聞く」

魔導師「いや、聞いておきたいだけじゃ」

王子「どこから来た。答えよ」

傭兵「北のほう…としか言い様がない」

王子「大雑把だな。もっとどこの国の出身など、相応の答えがあるだろう」

傭兵「言っておくが俺については何もかも不詳だ」

傭兵「俺自身知りはしない。気づいた頃から戦争の真っ只中だった」

傭兵「ずっと戦場を転々として、死にかけていたところをある日ユイさんに拾われた。それだけだ」


傭兵「やはり俺みたいな血統書付きでない野良犬に勇者のガードは出来ないか」

傭兵「ならば契約を終えて立ち去るのみだ」

傭兵「俺はただの傭兵。上のやり方に従う」

傭兵「俺の方こそ、一国の王子に不躾に剣を向けてすまなかった。処分でもなんでも好きにしてくれ」

王子「勘違いするな。ガードに必要なのは血統ではない」

王子「力だ! 私は直々にそれを試したにすぎん」

王子「これからも我が姪のガードを頼む」

傭兵「!」

王子「あの子はおてんばでな、目を離すとすぐどこかへ行ってしまうのだ」

王子「体が不自由でどこへも行けなかった兄上の代わりとでも言わんばかりにな…」

タッタッタ

母親「あ、あの…王子様。大変大変失礼をいたしました」ペコペコペコ

母親「この罪は私が身を持って」ペコペコペコ

王子「全く。そろいもそろって勘違いも甚だしい。たかが村娘のあなたの身で何を償えるというのですか」

母親「あぁう…申し訳ございません」

王子「あなたに唯一できることは、ユッカが大きく強く育つようにたくさん食べさせることです」

母親「!」


王子「もっとも。小娘と見間違えるようなあなたの娘が、そこまで大きくて強い体になれるとも思わないが…」

母親「…うう」

傭兵(この野郎…またユイさんをいじめやがって!)

王子「だが兄上は、そんなどうしようもなく凡庸なあなただからこそ好きだったのでしょうね」

母親「…あ」

王子「城を抜けだして、あなたと太陽の村の近くの丘に出かけたことがあったでしょう」

王子「その時描いた風景がを後生大事に部屋に飾っていましたよ。父上にバレて怒られることもいとわずに…ふふ」

母親「王子…」

王子「私はわけあってしばらく城を離れるが、またいずれ兄上の話を聞かせてもらいます」

王子「その時までお元気で、義姉上」

母親「は、はい!」


魔導師「話はついたようじゃな」

魔導師「ソルよ。ユッカのことを頼んだぞ」

傭兵「任せろ」

魔導師「じゃが1つ、ワシからのおせっかいを聞いてくれんか」

傭兵「なんだ」

魔導師「どんなときも心を強くもて。ここで魔力を制御するのじゃ」

そういって老人は俺の左胸を杖の先で小突いた。

傭兵「…わかった。心に留めておく」

魔導師「さぁ。今日の稽古はおしまいじゃ。気をつけて帰るのじゃぞ」

勇者「せんせーさよーなら」

魔導師「さようなら。また来週」

勇者「はーい」

勇者「ママ、ソル。おうちかえろー」

母親「ありがとうございました魔導師様」

母親「グレイス王子、これで失礼いたします」ペコッペコッ

勇者「おうじー。もうママとソルいじめちゃだめだよ」

王子「ん? はは、怖がらせて悪かった。またおいで」

勇者「ばいばーい」


王子「そうだ、ガード。ソル」

傭兵「なんだ。なんです」

王子「いつかまた手合わせ願おう。同世代には私を満足させる相手がなかなかいなくてな」

傭兵「あなたを怪我させると打ち首になるんじゃないか」

王子「ははは! なるほど、次は私に一発くらわせるとでも? ならばなおさら楽しみにしておこう」

王子「それまでユッカを頼む。兄上の最後の宝で、私の大切な姪だ」

傭兵「あぁ、任せろ」



【城下町】


傭兵「世の中には強いやつがいるもんですね」

傭兵「俺もまだまだ力不足だな…」

傭兵(まさかあの状態を見られてしまうとは思わなかった)

母親「ソル君はとっても強いよ」

勇者「こわいソルはおうじよりつよーい!」

傭兵「何言ってる。一方的にやられただけです」

母親「ううん、そんなことない。とってもかっこよかった」

母親「私なんかのために怒ってくれてありがとう…」きゅっ

傭兵「! お、往来ですよ」

母親「あはは、ごめんね」


母親「ん…ちょっと汗のにおいするね。そうだ、お風呂屋さん寄っていこっか」

勇者「わーいおふろおふろ! ボクまちのおふろやさんすき!」

傭兵「風呂屋があるんですか」

母親「ここは天下の城下町だからなんだってあるよ」

勇者「あめかってー。あめー。あめたべたーい」

母親「はいはい。帰りに一袋だけね」

勇者「わーー」ピョンピョン



【大衆浴場】


勇者「ソルとおふろー」

母親「がいいの? じゃあ今日はソル君にいれてもらおっか」

勇者「うん! ソルといっしょにはいるー」

母親「ごめんねユッカのことお願い」

傭兵「いいですよ。ユイさんは思う存分羽を伸ばしてください」

母親「そうさせてもらおっかな♪ じゃあ後でここで待ち合わせね!」

傭兵「はい」



【脱衣所】


傭兵「ほら両手あげろ」

勇者「あー」

傭兵「ちゃんとあげろ。引っかかってるぞ…よし脱げた」

勇者「あはははおとこのひとのほうはいるのはじめてー」タタタッ

傭兵「こらっ、走り回るな」

傭兵「ちゃんと下も脱いでからじゃないと入っちゃだめだからな」

傭兵「こい」

勇者「うん」

傭兵(ほんと手が焼けるな…ユイさん苦労してるんだろうな)

傭兵「脱がすぞー」ズルッ

傭兵「ん……?」

勇者「んぅ?」

傭兵「ゆ、ユッカ…あれ……あ゛?」

傭兵「ひぃっ!」ダダッ

勇者「どこいくのー」


傭兵「大変だユイさん! ユッカのアレがない!」

母親「キャー!ソルくん! なんでこっち来てるの!! 女湯だよっ!!」

傭兵「うわっ、す、すいません!」


母親「他のお客さんいなくてよかった…もうっ」

傭兵「見てません。見てませんので」

母親「で、なに?」

傭兵「ユッカのアレがないんです…男にとって大切なアレが」

母親「……」ジトー

母親「もしかして、おちんちんのこと言ってる?」

傭兵「…!」コクコク

傭兵「なんてことだっ…どこで落としたんだ」

母親「あのさ。ユッカ女の子だよ…」

傭兵「…はぁ?」

母親「だからぁ、ユッカは女の子だってば。え゛…もしかして気づいてなかった!?」

傭兵「おんな…のこ…女の子!」

勇者「あーここにいた。ママのはだかんぼみたらめーっだよ」ぎゅっ

傭兵「お前女の子だったのか…」

勇者「うん」

傭兵「…言ってくださいよ」

母親「うわ本気で男の子だとおもってたんだ。ひどいねーソル君」

勇者「ひどーい」


傭兵「だ、だってこいつ自分のこと僕って!」

傭兵「それに服装だって少年っぽいし、髪も伸ばしてないし…」

傭兵「俺はてっきり男だと……はは、は」

母親「勇者だから男の子として育てなきゃだめだって言われたんだぁ」

傭兵「…」ガク

母親「はい、ちゃっちゃとお風呂行きなさい!」

母親「そこで突っ立ってたら他のお客さん来た時また叫ばれちゃうよ」

傭兵「行ってきます…」


【風呂場】


勇者「ボクおんなのこだけどだめだった?」

傭兵「ダメじゃない…ダメじゃないけど今日は衝撃的な事実ばかり打ち明けられて疲れた」しゃかしゃか

勇者「んぅ…せっけんめにはいった。いたいよぉ」

傭兵「あ、悪い。こんなことはじめてだからうまくできなくてな…流すぞ」

勇者「ボクもソルのおせなかをながしてあげるー」


勇者「ごしごし」

傭兵(あたりまえだけど力ないなぁ)

勇者「ここがきもちいですかー」

傭兵「おーう」

勇者「ごしごし。あははソルのからだきずだらけだねー」

傭兵「いいだろ?」

勇者「かっこいー」ぺたぺた

勇者「つぎはまえをあらいまーす」

勇者「…! なんかへんなのある」

傭兵「しらない…よな」

勇者「おーー。これおちんちんでしょ」ぺちぺち

傭兵「やーめーろ」

勇者「あはは! おちんちんだー! ソルのおちんちーん。ぷらぷら」

傭兵「だー! でっかい声出すな! ユイさんに聞こえるだろ!」

<なにしてるのー?

傭兵「なにもしてません! すぐ洗ってあがります!」

<ユッカー。ソル君のいうこと聞いておとなしくしなさいね。

勇者「は~~い! くふふふ…これおちんちん…あははは」

傭兵(なにがおもしろいんだ…)



  ・  ・  ・


傭兵(風呂に入ったのにどっと疲れた…子供って大変だな)

勇者「…」うとうと

傭兵「おーい寝るのか。お前も疲れたか」

母親「おまたせ。あれ、ユッカ寝ちゃった?」

傭兵「稽古もあったし、寝かせてあげましょう。俺がおぶさります」

母親「ごめんね。じゃあちょっとだけ夕飯のおかずとかユッカのおやつを買い物してから帰りましょ」

傭兵「はい」

母親「くすくす。なんだかこうしてると夫婦みたいだね」

傭兵「え?」

勇者「…zzz」

母親「ううん。なんでもない!」

母親「今日はありがとう。これからもよろしくね」

傭兵「こちらこそ。お役にたてて嬉しいです」

母親「もうっ、真面目なんだから!」

母親「ま、それがキミのいいとこだよね」


その日俺はユッカにまつわるいろんな事をしった。
ユイさんは長年ずっと1人で、過去の重荷を背負っていたこともわかった。
それでも笑顔をたやさず生きてきた。

俺はすこしでも、この人の役に立ちたい、俺もずっと分けあって背負っていきたい。
そう思える春の暖かい夕暮れ時だった。


第21話<懐かしい味>つづく

更新おわり
次回22時~

おいお前がおぶさってどうする

乙!
ユッカは義娘じゃないよね(小声


ソルの本命って…

乙、ちんちんぺちぺちされたい

ユッカはすでに素質があったんだね(おちんちんに興味)

なんでこの真面目な青年が毎日のようにズッコンバッコンするようになったんだろ

>>566
お前のせいで

ユッカママとフラグ立ってるのか?

>>566
ユ、ユッカを鍛えてるんだよ(白目)

sage忘れ失礼

>>541が思いのほか良いセン行っててワロタ

ママの口から「おちんちん」と言わせる巧妙な話術…やはり天才か

あともうすこしで!

第21話<懐かしい味>つづき



あっという間に季節は過ぎてゆく。

暖かい春の日は山へ3人でピクニックへ出かけ、
雨の日はユイさんの編み物を横目にユッカと勉強し、
夏の暑い日は湖で水遊び。
秋には庭や森で実りをたくさん収穫した。

俺は相変わらず村と丘を往復する日々を過ごしていた。

ただユイさんの父親である司祭や村人達が俺を見る目は、昔にくらべてずいぶんと甘くなり、
大雨の夜は村の宿舎へ戻らずにユイさんの家への宿泊を許してくれた。



【太陽の村】


司祭「ソル。出かける前に、今日はお前に話がある」

司祭「少しだけ時間をくれ」

傭兵「なんだ」


司祭「の前に…今日は何の日かしっておるか…」

傭兵「いや? 村で祭りでもあるのか?」

司祭「いんや…知らぬなら良い良い。忘れてくれ」

傭兵「話はそれだけか」

司祭「あー待て。いまのは雑談だ。では単刀直入に聞く!」

司祭「娘のことをどう思う」

傭兵「ユイさん? 雇い主だ。いや、直接の雇い主はあんたになるのか?」

傭兵「ならユイさんとユッカは俺にとって重要な護衛対象だ」

司祭「そういうことじゃないこの唐変木め」

司祭「お前は1人の女としてのユイのことをどう思う」

傭兵「おかしなことを聞くんだな。彼女は有能な女性だ」

司祭「…」

司祭「これで単刀直入にきいたつもりだったが、もっと噛み砕かんとダメか…」

司祭「お前はユイのことは好きか」

傭兵「!」


傭兵「好きか嫌いかなら、好きだ」

司祭「それは愛か」

この老人が言おうとしていることは俺にでもわかった。
ユイさんは気立てがいい。
鍋を焦がしたりと、すこし抜けたとこもあるが、そこもかえって女性として魅力的だとおもっている

傭兵「…」

司祭「どうなんだ…身内の欲目でなくとも、ユイは可愛いだろう?」

確かに若々しくて小柄な見た目は、10代と言っても誰も疑わないくらい愛らしい。
見ようによってはユッカの姉に見えないこともない。
俺はあの人の眩しい笑顔が好きだ。しかし――

傭兵「ユッカがいる」

司祭「やはりそこか…」

傭兵「ユイさんは義理堅い人だ。きっと、ユッカの父親である第一王子のことを今でも愛しているはず」

司祭「むぅ…。愛している…か」


傭兵「愛か…。俺には無縁な話だな」

司祭「聞いてくれ。ユッカはこの村での成人の儀を終えていずれは旅立つ」

司祭「勇者の宿命だ。あとたった7~8年後の話よ」

司祭「ユイはきっと寂しい思いをする。その頃はもういくつだ、30過ぎほどか」

司祭「若者すらろくにおらんこの村で貰い手を探すとなると…絶望的だろうな…」

傭兵「な、何が言いたい」

司祭「一度でいいから親としてユイに花嫁衣装を着させてやりたかった」

傭兵「結婚…してないのか?」

司祭「身分不釣合いというものだ。私は司祭とはいえ、片田舎の村長役でしかない」

司祭「ユイはユッカを身ごもってから、城を追い出させるようにメイドを辞めた」

司祭「そして相手の王子はその後まもなくして持病により天に召された」

司祭「生まれてくる娘の顔すら見られずにな…」

司祭「だからユッカは生まれてから一度も父親の愛を知らん。かわいそうに」

傭兵「そう…か…」


司祭「ここ一年、私がユイとふたりきりで会った時、あいつはお前の話ばかりするのだよ」

司祭「本当に楽しそうに…思春期の恋する乙女のようにな…」

傭兵「…」

司祭「ソル。もしお前がその気なら」

傭兵「…しばらく考えさせてくれ」

司祭「本当か!」

司祭「おおい聞いたかお前たち」

斧男「おうよ!」

村女「よかったねぇ。はりきってユイちゃんの花嫁衣装をつくらなくっちゃ」

傭兵「っ!? どこから出てきやがった」

村男「ユイちゃんまだ若いんだから、ばばーんとあと2人3人とユッカちゃんの弟妹をこしらえちまおうぜ」

村男「そしたらユッカちゃんが旅に出てもきっと寂しくねぇ」

傭兵「何言ってるんだ…考えるだけだ。まだ決めたわけじゃ…」


村女「とかいいつつあんただってまんざらでもないんでしょう? あんないい子の側にいられるんだからさぁ」

傭兵「ぐっ…」

斧男「おおんユイちゃんが取られるのは悔しいが、相手がおめぇなら仕方ねぇ。幸せにな」ガシッ

傭兵「なっ…」

司祭「快い返事を待っているぞ」

村男「それ、お祝いに肉でも持っていけ」

傭兵「……。もらえるものはもらっておくが、いいのか?」

傭兵「この時期に備蓄を減らすのはよくない」

村男「かてぇこと言うなって。村の若い男と女がくっつくんだ。こりゃお祭りだな」

司祭「ははは、さぁはやく行って来い。お前の女房が家で待っておるぞ」

司祭「なんなら2~3日帰ってこなくていいぞ!」

村女「今夜は冷えるから親子3人抱き合って眠るんだよ!」

 
 ・  ・  ・


傭兵(なんなんだみんなして…)

傭兵(いつの間にかそれだけ信頼を得ていたということだろうか…)

傭兵(俺としては毎日任務についているだけなのにな)

傭兵(ユイさんと結婚…結婚とはどういうものなんだ)

傭兵(今日は顔を出しづらいな)



ガチャ


母親「あ、ソル君。おはよう。今日は寒いね」

傭兵「おはようございます」

母親「外冷えたでしょ。入って入って。暖炉焚いてるからね」

傭兵「ユッカは」

母親「台所。珍しく早起きしたんだよ」

傭兵「台所でなにをしているんだ…」

母親「あーだめだよ入っちゃだめ」ぎゅっ

傭兵「!」

母親「あっ…ご、ごめんね。びっくりしたよね」

傭兵「いえ…大丈夫です」

母親「……えへへ」

ユイさんは俺の腕をつかんだまま照れくさそうに笑った。
司祭のいうとおり、その姿は年頃の少女のように俺の目に映った。



それからしばらく家のなかですることもなく、ユイさんの話相手を続けた。
ユッカは台所からなかなか出てこない。
ときどきガツンガツンと何かをまな板に叩きつける音がする。


傭兵「大丈夫なんですか」

母親「う、うーんどうだろ…」

母親「でもソル君のおかげでユッカは包丁さばきは上手になってるから!」

母親「包丁で怪我をすることはないと思うんだけど…あはは」


俺はこの半年ほど、ユッカに稽古をつけていた。
といっても俺の剣術は我流なので、王宮の剣の先生の妨げにならない程度にだ。
さすが勇者の血をひくだけあって、幼い子どもとは思えないほどにユッカは腕を上げた。
魔力の扱いも上手い。
大人になる頃には俺や王子ではかなわないほどの剣の達人になるかもしれない。

母親「なに考えてるのー?」

傭兵「あ、いえ…」

ユイさんは相変わらず笑顔で俺の顔をのぞきこんでくる。
俺は今朝司祭にされた話題を切り出すことが出来ずにいた。

 

<できたーー!


母親「うふふ。出来たって。ほんとかな」

母親「ちょっとだけ様子みてくるね」

母親「ソル君はダイニングのテーブル拭いといてくれる」

傭兵「分かりました」

傭兵(何ができたんだろう)


勇者「んしょ…んしょ」

母親「落とさないように気をつけてね」

しばらくしてユッカが大きな鍋を持ってきた。
腕を震わせながらそれを机の真ん中に置き、ユッカはご満悦な様子で俺の正面の席に座った。

傭兵「ユッカが作ったのか」

勇者「ママにちょっとてつだってもらったけどー」

勇者「あとはボクがつくった!」

母親「よくできましたー」なでなで

勇者「えへへへ。ふたあけてみて!」



恐る恐る鍋の蓋をひらくと、そこには黄金に輝くスープがあった。
食材はいつもにくらべて大きめに切られてゴロゴロとしたものが浮いている。

しかしその匂いはまごうことなく、ユイさんの得意料理であるパンプキンスープだった。


傭兵「よく作れたな」

勇者「ほめてほめてー」

傭兵「…すごい」

母親「今日のためにずっと内緒で練習したんだよね」

勇者「うん!」

傭兵「しかしなぜ急に…」

母親「ユッカがどうしても作りたいって言ったから」

勇者「ねー♪」

傭兵「…そうなのか」

続けてユイさんが奥から別の皿を持ってきた。
それにはケーキが乗っていた。

ユイさんとユッカは顔を見合わせてニッコリと笑った。


傭兵「ケーキ…何かあったんですか」

ユイさんは時々趣味でケーキを焼くことはあったが、これほど大きいものはユッカの誕生日以外で見たことがなかった。

俺は頭をひねって今日がなにかの記念日だったのではないかと記憶を掘り起こす。
しかしそれらしい答えは出てこなかった。

傭兵(そういえば司祭も今朝何か言おうとしていたような…)

母親「あ、わからないんだ」

勇者「ぶぅー」

傭兵「うーん…すいません。大事な日でしたか」

母親「うん! 今日はね――」

勇者「あーママ言っちゃだめぇ。ボクが言うんだよ」

勇者「ソル、おたんじょうびおめでとー!」

傭兵「は?」

母親「えへへ。びっくりするよね」

母親「ソル君自分の誕生日わからないっていうから、ここにきてちょうど一年目の今日を記念日にしたんだぁ」

勇者「そうなの!」

傭兵「一年…」

母親「もしかしてほんとに忘れてた?」



あの日、俺は吹雪く森をさまよって行き倒れているところを2人に救われた。

どうやらユッカの人並み外れた鋭い魔覚が、消えかかっている俺の魔力を拾ったらしい。

あの日あの時間にあそこを通りかかったのが、ユッカじゃなければ俺は死んでいた。

そしてユイさんが俺を救ってくれた。


母親「たべよ!」

勇者「ソルいっぱいたべてね!」

傭兵「あぁ。いただきます」

傭兵「それと、ありがとう…」


2人はまた顔を見合わせておかしそうに笑った。
あなたたちは、俺の運命の人だ。



  ・  ・  ・


勇者「おいしかったー」

傭兵「げぷ…あぁおいしかった。ごちそうさま」

勇者「まだまだあるよ! おかわりいれてあげる」ドバー

傭兵「ぐ……もう4杯目だぞ」

母親「こらこらユッカ。そんなにたべさせたらお腹こわしちゃうでしょ」



勇者「でもさー…じゃああしたたべよっか!」

傭兵「おう。そうしてくれ…」

勇者「ふぁぁボクねむたくなってきちゃった」

傭兵「まだ昼だぞ」

母親「朝早起きしてがんばったもんね。寝かしてくるね」

母親「あ、そうだ…ソル君。あとで…すこし話があるんだけど」

傭兵「さっきの続きですか? ちょうどいい、俺はもう少しユッカの装備の選定について説きたかったんです」

母親「あぅ…そうじゃなくて」

母親「大事なお話…ね?」

傭兵「はい…かまいません。どうせ、することがないので」

傭兵(なんだろう。まさか…)

いつの間にか外は一年前のあの日のように吹雪いていた。
窓がカタカタと鳴っている。

ふいに窓の外を何か黒い影が通りかかったような気がした。


傭兵「!」


コンコン

玄関から聞こえるノック音。
誰かが訪ねてきたようだ。

傭兵(こんな場所に?)

司祭は合鍵をもっているし、他の村の者だとしたらこんな吹雪く日にわざわざ訪れるのはありえない。
この一年間でそういったことは滅多になかった。


母親「はぁーい。ちょっとお待ちくださいね」

勇者「むにゃむにゃ…」

傭兵「ダメだ。出るな!」


ガチャ

母親「どなた…――」

野盗A「すんません。この雪でちっと迷っちまって」

野盗B「家をみかけたんでお邪魔させてもらいたい」

野盗C「へへへ。寒いんだからさっさと入れろ!」

母親「あ、あの…」


扉の外には数十人の野盗とおもわしき薄汚れた格好の奴らが、頭に雪をつもらせて立っていた。

すでに何人かは刃物をちらつかせている。


男の1人がユイさんに腕に触れようとした瞬間、俺は電光石火の如く家の中を駆け抜けた。

相手の腹を肘で打ち抜き、遥か後方へと吹き飛ばし、即座に抜刀して構える。

あっという間に灼熱のような戦意が体の底から湧いてくる。


野盗A「げはぁぁああ!」

母親「ソル君!」

傭兵「去れ。てめぇらの来ていい場所じゃない」

野盗B「んだこの野郎」

野盗C「しかしこれでここが噂の家ってことは確定ですぜ」

野郎の頭「へへへ。ってことはここに例のお宝ちゃんがいるのか」

野盗の頭「勇者の血族なんてマニアにゃ高く売れるぜ…」ジュルリ

野盗C「ボス。こっちの女も別嬪だ。もらっちまおうぜ」

野盗の頭「それもいいな。そこのガキ、通してくれるか」

傭兵「てめぇら!」



相手の力量から察して、束でかかられようと蹴散らすことは容易いだろう。

しかしユイさんの目の前で皆殺しになんて出来やしない。

この人は本来戦いとは無縁の存在なんだ。

それにこんな薄汚れた奴らの血で家の中を汚したくない。

傭兵「ユイさんは中に。外に決して出ないように」

傭兵「俺と勝負しろ」

野盗B「このガキ。女の前でいいかっこしようとしてますぜボス!」

野盗の頭「ハハハ! よぉーし外に出ろクソガキ」

野盗C「リンチにして、瀕死のてめぇの目の前で大好きな女をいたぶってやるよ」



俺は後ろ手に扉を閉めた。

傭兵「12人か…」

傭兵「全員でかかってこい」



斧や棍棒、ナイフなどさまざな武器をてんでちぐはぐな構えで野盗達は構えはじめる。

俺の発した気迫に気圧されて、じりじりと後ずさる者もいた。

明らかに戦闘経験の浅い烏合の衆だ。

寒い時期になると必ずこんな奴らが出てくる。

いままでの人生でいくらでも見てきた。

野盗A「いっつつつ…思っきりぶっ飛ばしてくれやがって…」

野盗B「血祭りにあげろ!!」

野盗C「こいつの剣も奪っちまえ!」


自ら何も生産性をもたないこいつらは人から奪う事しか知らない。

俺もそうだ。

俺も、戦うことでしか己の存在意義を見出だせない。くだらない人間だ。

だが今はこいつらとは違う。

傭兵(俺は…もう無闇に奪うことはしない)

背後にあるこの暖かい家に住む2人を護りたい。

傭兵(護ることは、殺すことよりも難しい…やってみせる!)



  ・  ・  ・


野盗の頭「ひぃやああっ…バケモンだ!」

野盗B「こいつ…素手で俺たち全員を…」

野盗C「鎌が蹴り折られちまった…」


傭兵「なぜこの家のことを知っていた。答えろ」

野盗の頭「へ、へへ…言うかよ」

傭兵「答えろ。俺はただの傭兵上がり、殺すことに躊躇はしないぞ」

野盗の頭「ひぃっ」

野盗の頭「く、くそ……クソぉ!!」

野盗の頭「なんてな、馬鹿が!」


ガチャ


傭兵「!」


勇者「むぐっ…むぐぅ」

傭兵「ユッカ!」

背後の扉の開く音に振り返ると、男がユッカを腕に抱えて人質にとり、首元にナイフを突きつけていた。


野盗の頭「俺たちが何人いるって? ははは、12人じゃねぇ。13人だ」



傭兵(油断した…?)

傭兵(いや、戦闘前に魔覚で確かに探ったはず)


最後に出てきた男はローブのようなものを身にまとっていた。
戦場で何度か見たことがある。
それは魔法使いが時々己の存在を隠すために使う、魔隠しのローブだった。


傭兵(察知できなかったのか…ク…こんなくだらない手で)

野盗の頭「ガキを殺されたくなければ剣を捨てろ。抵抗するなよ」

野盗の頭「さぁリンチのはじまりだ」

野盗の頭「っと。その前に、そのチビの母親がいるはずだろ」

野盗の頭「ここに連れてこい」

野盗A「へい! やるんすね!」

野盗の頭「このガキには痛い目あわされたからなぁ。責任をとってもらわねぇよ」

傭兵「…」

野盗の頭「なんだその目は。オラァ!」

ガッ

傭兵「…ッ!」



野盗の頭「蹴っても殴っても大して聞いてねぇなこりゃ。つまらねぇ」

野盗の頭「さすが国の雇ったガードとやらだ。だがこうなっちまえばただの無抵抗なガキ」

野盗の頭「こいつをいたぶるより、どうやらこの親子をなぶったほうがこいつにゃダメージが入りそうだなぁ」

野盗B「ですね!」


勇者「んぐぅ、んぐぅ!」ジタバタ

母親「ソルくん…」

野盗A「へへ、おとなしくしろよ」

傭兵「…やめろ」


体が熱く燃え上がる。

とっくに冷静でなんていられなかった。

いままで死地には幾度も立ってきた。目の前で同僚を失ったこともあった。
だがここにきて俺はなぜ自分を見失う?


魔導師『どんなときも心を強くもて。ここ【心臓】で魔力を制御するのじゃ』


傭兵「魔力…俺は…」



野盗の頭「さてどうしてくれるか」

野盗の頭「最初は俺でいいよな。女なんて久しぶりだ。それもこんなに美人」

傭兵「触るな」

野盗の頭「何ぃ…てめぇ自分の立場が」

傭兵「ユッカ。ユイさん。目をつぶっていてくれ」

傭兵「すぐ、終わらせるから」


悪党にこれ以上の手加減なんていらない。

俺はユイさんたちが目をぎゅっとつぶったのを確認して、体を一気に燃え上がらせた。

自分でも恐ろしい量の真っ赤な魔力が溢れだして、周囲の雪が一気に溶け出し地面がむき出しになる。

俺を取り囲んで蹴ったり殴ったり好き勝手していた野盗達はたまらず俺から距離を取った。


傭兵「俺の炎は、死ぬより痛いぞ」


ふっと野盗の1人に向けて手をかざすと、魔力が激しい熱線となり、相手にまっすぐ襲いかかった。
俺の魔力はまたたく間に捉えた男を焼きつくす。

男は声ひとつださず、消し炭となって地に還った。



野盗の頭「……は?」

野盗の頭「お、おい…何が」

傭兵「次はお前だ。」

野盗の頭「ま、まてこっちには人質が…」

傭兵「なら先にそっちからだな…」


俺はユッカとユイさんを抑える2人の野盗に同時に両手のひらを向けた。


野盗の頭「や、やめ…そんなことをしたら人質まで」

傭兵「俺の炎は悪人しか燃やさない」

そして念じるとともに熱線が激しい光をまき散らしながら飛んだ。

輝く炎はユッカとユイさん、そして男2人を包み込む。
そして男2人の肉体のみを瞬時に焼きつくした。
装備していた武具がガシャン足元に落下する。

勇者「…?」

母親「…??」

傭兵「まだ目をつぶっていてくださいね。俺がいいって言うまで絶対に」

おおktkr


野盗の頭「なんなんだお前はよぉおお!!」


これは俺が生まれた時から背負った呪いのような力。
なにかがきっかけで能力が解放されると、辺り構わず全てを焼きつくす。
王宮で王子と構えた時は危なかった。

だがそんな俺にも唯一燃やせない物がある。それが善の存在だ。

しかし人間の善悪はなにが基準になっているかはいまでもわからない。

ひとえに俺の持つ心象だけなのかもしれない。

だから俺はユッカとユイさんを燃やさない自信があった。
2人なら俺の炎に耐える自信があった。
そして目論見通り2人には毛ほども通用しなかった。


   ・   ・   ・


傭兵「あとはお前1人だな」

野盗の頭「! ま、まって…嫌だ…」

野盗の頭「死にたくないっ! お願いだ、もうここには来ない!」

野盗の頭「助けてくれぇ…」

傭兵「俺の炎で天地に還ればいい」

野盗の頭「いやだああああ!!」

母親「ソル君…」

傭兵「!」

ソル強すぎだろ…


母親「もういい。もういいんだよ」

傭兵「……」

野盗の頭「ひ、ひいいいい!!」バタバタ

傭兵「くっ」

母親「平気?」

傭兵「すいません…俺がいながら2人を危険な目にあわせました」

母親「ううん。大丈夫、私達は怪我してないよ」

母親「ソル君のほうこそ、大丈夫なの?」

傭兵「…傷は勝手に治るんです…変でしょ」

母親「お家、戻ろ」

傭兵「俺は…危険な人間なんです。凶暴で、凶悪で…いつもこうだ」

母親「そんなことない」

母親「ソル君がなにをしたかわからないよ。けど、あの時一瞬キミの想いを感じた」

母親「優しいキミに包まれた気がした」

勇者「たくさんのソルがね、ぶわーってボクのとこにきてね、あったかかった」

勇者「だからソル…なかないで」ペタペタ

傭兵「ごめん…2人とも」



その晩さらに雪は激しく降り注ぎ、太陽の村にも本格的な冬の訪れを告げた。

俺はユイさんの家に泊まることにし、寝支度していた。


母親「ユッカ寝ちゃった。朝からいろいろあって疲れちゃったみたい」

母親「ソル君も今日は大変だったね」

傭兵「近年ここらをウロウロしてた奴らってのはあいつらのことなんでしょうね」

傭兵「ひとり逃がした…」

母親「…」なでなで

傭兵「! な、なんです」

母親「がんばった。えらいぞ」

傭兵「やめてください。そんな母親みたいな…」

母親「母親かぁ…うーん」

母親「ぎゅっ」

傭兵「! ゆ、ユイさん!」

母親「しー。ユッカが起きちゃうでしょ」


母親「お話、聞いてくれるって約束したよね」

気づけばユイさんの顔が間近にあった。
すこし複雑そうな表情で眉を下げて、じっと俺のことを凝視している。

母親「あのね。今日ではっきりわかったの」

母親「私…」

傭兵「待っ――」

母親「言わせて」

傭兵「…はい」

母親「ソル君のこと好きだよ」

母親「…大好き」

傭兵「…そ、そうですか」

母親「ねぇ。ソル君は、ずっとここにいたいと思う?」

傭兵「…他に行く宛なんてありませんし、俺は生まれてからずっと根無し草でした」

母親「じゃあ、ここにいたらいいんじゃないかな」

傭兵「けど、俺はユイさんたちを危険な目にあわせてしまった…ガード失格だ」

母親「…」フルフル

ユイさんは再び俺を抱きしめた。
それはいままで経験したこともない熱い抱擁だった。
お風呂あがりのユイさんのいい匂いを間近で感じて、頭が溶けそうなほどにクラっとしてしまう。


母親「ガード、やめちゃうの?」

傭兵「国には俺よりもっと優秀な人がいると思う」

母親「ガードやめちゃおっか」

傭兵「…」

母親「かわりにユッカのパパになって」

母親「それでこの家にいてくれたらいいよ」

傭兵「…それは」

母親「私と結婚しよ」

傭兵「でも、俺は…」

俺は生まれてからずっと血にまみれた手をしている。
それは決して拭うことは出来ない俺の過去の業である。
そんな手でユイさんたちを抱くことなんて出来ない。

手の置きどころに困ってあたふたと視線を泳がせていると、ユイさんが肩を震わせているのに気がついた。
耳元では微かにすすり泣く声が聴こえる。

母親「やっと言えた…」

母親「一年間もこんな素敵な子がそばにいて、なにもできないなんてつらかったよ」

傭兵「ユイさん…」



母親「ソル君。私と一緒になろ」

母親「キミのことが好き。何度でも言うよ」

母親「大好き…」

傭兵「お、俺も…好き、です」

傭兵「ユイさんのこと敬愛してます」

母親「ただの敬愛?」

傭兵「………好きです」

傭兵「愛してます」

そう、俺の心はとうに決まっていたんだ。
はっきりと告げると彼女はますます強い力で俺の首元に抱きついた。
俺はそっとその小さな背に腕を回した。

傭兵(そうか。こんな小さな体でずっと1人でユッカを守ってきたのか…)

傭兵(なら俺のすべきことは…)

傭兵「ユイさん。これからもよろしくお願いします」

母親「うんっうんっ! ありがとうソル君…」



その夜、俺は生まれてはじめて雇い主と床についた。

いや、もう雇い主と傭兵という関係ではなくなる。

俺たちはもうすぐ家族になる。

ベッドの中でユイさんは少女のように愛らしかった。



  ・   ・   ・


母親「ねぇ、ソル君」

傭兵「どうしました?」

母親「いつにしよっか。いまは冬だから、春がいいかなぁ」

傭兵「なんのことです」

母親「なにって…もうっ、式だよ式!」

傭兵「う、うーん…どうしましょう」

母親「やっぱり私じゃ嫌…? 子持ちだもんね」

傭兵「いえっ、そんなことはないですけどっ!」

母親「まさか…ユッカをお嫁さんにしたいとか!?」

母親「でも私とユッカなら私のほうがソル君と歳近いよ!? ねぇどうなの!?」

傭兵「……何言ってるんですか」

母親「冗談冗談♪ ソル君の気持ちはさっきいっぱい受け取ったよ…」

傭兵「あなたって、可愛い人ですよね…」

母親「いまさら? …きゃっ、ソル君大胆…♥ だめだってばぁあんまりおっきい音立てたらユッカが起きちゃうよぉ…」

傭兵「ユイさん…愛してます」

母親「私も…♥ えへへ」




第21話<懐かしい味>おわり

更新終わり
次回22話 本日夜予定
あともう少しだけ過去話

おつ
やべーおもしろい。こえーよ、完全にフラグ立ちまくってる。先が気になる

乙です。
これが現在につながるのか………

ユイさん完全にヒロインやん……
今どうなってんだ……

あいつを逃がしたせいで・・・

つまり、ソルは親子丼をしたと(ぁww

乙!
鬱展開くるんじゃね?って思いながら読んだら疲れたww
記憶封印されるぐらいの出来事って…

乙!

やばい...これまでのどの登場人物よりヒロインしてるやん...


これユイさん逃がした山賊にレイプされて殺されるんじゃ・・・

乙、幸せすぎて後の展開が怖い

予測はNGよー

すまん・・・

まて、大事な描写が抜けてないか?

エロかける人はバトル描写も上手いな

もしかしてソルはユイさんとセッk

もしかしてソルはユイさんとセッk

このSSの流れからしてエロ描写をキンクリする意味がわからない。



第22話<ユッカ>



その日、俺は午後から雪降る森の奥でユッカに剣の稽古をつけていた。



勇者「えいっ、やああっ!」

傭兵「いいぞ。ちゃんと踏み込め」

勇者「えいい!」つるっ

勇者「うぎゅ!?」

傭兵「おっと危ない。大丈夫か」

勇者「うん…へっちゃら。ねーおなかすいたー」

傭兵「ん、そうだな。おやつにするか」

勇者「わーい! おやつー」


俺は太陽の森の神樹と呼ばれる大木に背を預け、ユイさんから預かった包みを広げた。
中の弁当箱には色とりどりの具を挟んだサンドイッチが小さく切られてかわいらしく詰まっていた。
その横には丸っこい字で『夕飯までに帰ってきてね♥』と書かれたメモが添えられている。


勇者「あーおいしそ!」

ユッカはピョンと俺の膝に飛び乗って、そのサンドイッチを食べさせてとせがんで大きく口を開いた。

傭兵「あまえんぼだな」なでなで



一年前に比べて少しだけ背が伸びただろうか。
それでも相変わらず小さくてくりくりしたユッカは可愛かった。
目元は特にユイさんに似ている。
大人になればユイさんのような見た目になるのだろうか。

傭兵(ユイさん…)

ユイさんと想いを重ねて数日、俺は村に帰ることを忘れて毎夜ユイさんのベッドで寝泊まりを繰り返していた。
その度に彼女の普段とは別の可愛らしい表情や声が、記憶の中に新たに刻まれていった。


勇者「どうしたのー」

傭兵「あ、いやなんでもない」

勇者「ソルはさいきんニコニコだね」

傭兵「そ、そうか?」

勇者「うん!」

勇者「でもよるはわるいこ…ママのことなかせてる」

傭兵「え……」

勇者「ママ、あーんあーんってないてる…ママいじめちゃいや」

傭兵「いや…あれはだな虐めてたわけじゃなくて…うーん、というかお前起きてたのか?」


俺ははぐらかすようにユッカを抱きしめた。
少女特有のミルクっぽいふんわりとした香りと、稽古を終えたばかりの汗っぽさが混ざった匂いが鼻をつき、妙な気分になった。


勇者「?」

傭兵「いつかユッカもお嫁にいくんだよなぁ」

すっかり父親気分に浸った俺はユッカの未来を想う。

傭兵(ユッカはどんな奴と付き合うんだろう。うわぁ考えたくねぇ)

勇者「??? あーん」

傭兵「はいよ」

勇者「むぐむぐ♪」

傭兵(やっぱ可愛い)なでなで


神は残酷だ。
こんなに小さくて、か細い1人の少女に過酷な宿命を背負わせる。


傭兵(家族3人で旅立つのもありかもしれないな)

そんなことを漠然と考えていると、ふいにユッカが落ち着き無くあたりをキョロキョロと見渡し始めた。

傭兵「どうした?」

勇者「ッ! っ! !?」

なにかを探っているように見える。

勇者「やだ……」

勇者「こわいの……くる」



傭兵「怖いモノ…?」

勇者「うん……こわいの…」

俺も周囲を探ってみる。
魔覚に触れるものはなし、殺気もなし。
間違いなくこの神樹近辺には俺とユッカしかいないはず。

なにがなんだかわからないままに、しだいにユッカは目を閉じて腕を抱きすくめカタカタと震え始めた。


傭兵「ユッカ? 寒いのか?」

勇者「…」フルフル

尋常じゃない様子に、俺は心臓がどきりと脈打った。


そしてその数秒後、

全身を覆うような激しい悪寒が日の沈む方角からぞわりと押し寄せた。
それは間違いなく膨大な魔力だった。俺でもわかるほどに明らかな悪意を孕んでいる。

傭兵「!!」

勇者「ああああああ!!」


ユッカは半狂乱になり、頭を振り乱しながらイヤイヤと泣き叫ぶ。
このままではユッカの敏感な魔覚が壊れてしまうかもしれない。



傭兵(なんだ! 何が起きている…!)

傭兵(まずい、ユッカをなんとかしなくては)

俺はユッカを抱きかかえて、神樹の幹に空いた大きな穴の中に押し込んだ。

傭兵「ここにいろ!!」

傭兵「行って様子を見てくる!」

勇者「あう…あう…あああっ」

傭兵「大丈夫。この中にいれば神樹の魔力がお前を護ってくれるさ」

傭兵「な、へっちゃらだろ?」

勇者「…」コク

傭兵「いいか。俺が迎えにくるまでここにいるんだぞ。いいな!」

勇者「うん…」


事は一刻を争うかもしれない、俺は邪悪な魔力が押し寄せる方角に向けて走った。


傭兵(何かが…何かよくない者達が太陽の村にやってきたんだ)

傭兵「そうだ、ユイさんは!」



ユイさんは今朝から1人で太陽の村へ出かけていた。

夕刻には帰るといっていたから、いまはちょうど帰路についている頃だろう。


傭兵「どこにいる…」


神樹の森を抜けて、足早に小高い丘の上に出て、さらに背の高い木の上にかけ登った。
そこから見渡す景色は想像を絶するものだった。

傭兵「なんだ…あれは…」


西の空をうめつくす程の黒い影。
その1つ1つがおぞましい邪気を携え、周囲の村や森に下降していった。

間違いなく、魔物だ。


傭兵「うそだろ…」

俺は呆然とその光景を眺めていた。

あっという間に村からいくつも火の手があがる。

傭兵「まずい…!」



俺は木の枝を大きく蹴って宙を舞い、太陽の村へとつながる林道に入った。


傭兵(何が、何が…!)


いくらで戦場暮らしでも、一度にここまでの数の魔物を見たことはなかった。
膨大な魔力の暴力に気圧されて、俺の魔覚はめちゃくちゃにされ、思わず手足が震えた。


傭兵(頼む…無事でいてくれ!)


走り続けること数分。


得体のしれぬ魔力を察し、その方向を振り向くと、大男が四つん這いのような奇妙な体勢で地に寝そべった何かを喰らっていた。

男は俺の方へ振り向き、ニタリと笑う。

その姿はどうみても人間ではなかった、丸で狼のような顔に、毛むくじゃらの体。
巨大な爪からは激しく血が滴っていいる。


傭兵「狼…人間…」


狼魔人「ああん? 誰だオメェは。ま、人間なんざ誰でもいいが」

狼魔人「オレの食事の邪魔すんじゃねぇ」

傭兵「何を食っている」

狼魔人「これか?」


魔獣の足元では大柄の男が無残な姿で息絶えていた。
応戦したのだろう、側にはへし折られた斧が転がっている。
俺はそいつのことをよく知っていた。


傭兵「貴様!」

狼魔人「んだよ」

狼魔人「オメェもくわれてぇのか」

狼魔人「人間の男がオレに勝てるとでも思ってんのか」

傭兵「お前達は何をしに来た…!」

狼魔人「何って。狩りだよ」

狼魔人「獣が餌を狩るのはあたりまえだろう!! ハハハ!!」

狂気を孕んだ高笑いとともに魔獣から強い魔力が発せられた。

傭兵「ぐっ…」



狼魔人「いいか人間のガキ」

狼魔人「長い歴史においてオメェらはオレたちの餌でしかないんだ。オレたちに従え!」

狼魔人「そして血肉を差し出せばいいんだよ!!」

魔獣がギラリと爪を向ける。
あれで引き裂かれるとひとたまりもないだろう。

そして筆舌に尽くしがたいのはその魔力。
やはり人間とは比べ物にならない量で、凶暴性が色濃く現れている。

傭兵(勝てるのか…)

俺は戦場で恐れを感じたことはない。
だが、いま感じているこの感覚は、間違いなく恐れそのものだ。

剣の柄を握る手が自然と震える。
冷や汗がこめかみを伝う。
そして小さく息を飲んだ瞬間、目の前の魔獣は跳躍した。


狼魔人「あばよ! 死ねぇ!」


敵の前腕から一度に5本の太い斬撃が繰り出される。

かろうじてそれらを刀身で弾きとばすも、次は空いた逆の腕から同じ攻撃が続けざまに放たれる。

傭兵(手数が違いすぎる!)

傭兵(これが魔物の戦いかた!)

剣を構えた人間相手とは違い、魔物には太刀筋など存在しない。
特にそれはこいつのようなしゃべることの出来る知性のある魔物になると顕著だ。

そこらのスライムや動物のバケモンとは違い、こいつらは本当の化け物だった。
格が違うと言える。
自身の性質をよく理解し、魔力を巧みに扱うことができる。

ゆえにこいつらは個々がそれぞれ突出した戦闘力をもっていて、たった1体相手とは言え攻略は並大抵ではなかった。

過去の任務では1体の魔獣を駆除するのに丸1ヶ月かけたこともあった。

ギィンと鈍い音がして、俺は遥か後方に吹き飛ばされる。


傭兵「うあっ…!」


狼魔人「この程度か。さて、食っちまうか」



傭兵「ううう…」

傭兵(なぜだ。うまく力が出せない)

傭兵(俺が怯えているのか…)

魔力をうまく扱うにはまず呼吸を整えて、発動条件を満たさなければならない。
戦闘中の土壇場に強大な魔力を上手く扱うのは、長年訓練していてもなかなか難しいとされている。


傭兵(やれるかどうかじゃない。やらなきゃ殺される!)


血がたぎる。
体から赤い魔力が噴き出て、木の枝や地面につもった雪をじわじわと溶かしていった。


狼魔人「さっきの野郎よりはやれるようだな」

狼魔人「クンクン…ん?」

狼魔人「でもやーめた」

魔獣はからかうようにぶらんと爪を降ろし、何かを嗅ぎまわっている

傭兵「なに」

狼魔人「どこからかいい匂いがするぜ。メスだ…」

狼魔人「うまそう!」

傭兵「! まさか」

そして魔獣はぴょんと飛び跳ねたあと、四つ足でかけていった。
本物の狼を越えるほどの駿足で、あっという間に視界から消えてしまった。



  ・  ・  ・


俺は木々の合間を飛ぶように駆けた。

傭兵(ユイさんならこの道を通って帰ってくるはず…!)

傭兵(やつより、やつより早く…!)


そして俺はついに見慣れた女性の姿を視界の端に捉えた。
いつもと変わらぬ様子で、買い物帰りの大きな包みを抱えて歩いている。


傭兵(良かった…無事だった)

安堵して、ユイさんの名前を呼び駆け寄ろうとした瞬間。

俺の背後からとびだした何かが、俺をはるかに飛び越えて、まっすぐに彼女の元へと向かっていった。

そして制止の間もなく振り下ろされる凶爪。

俺の目の前で、愛しい人の鮮血が跳ねた。


母親「え……?」

ああああああああああああ...


血は激しく飛び散って、辺りの雪を真っ赤に染めた。

長年の戦場暮らしの経験から、俺はそれが助からない傷だという事がひと目でわかってしまった。



傭兵「……ぁ?」

母親「…?」

ユイさんは目をぱちぱちとさせて、倒れこんだ。
紙袋からたくさんの食材がこぼれて、ゆるやかな斜面を転がっていく。


狼魔人「フフフ…ひゃっほう! 丁寧に案内ありがとよ!」

狼魔人「んじゃ、いっただきま~す」

傭兵「貴様…」


心臓が痛い。
いままで目の前で誰か死んでも、心は冷徹にすぐに戦闘態勢に切り替えることができた。
なのにいまは…。
血が熱い。
ドロドロとした感情とともにマグマのような魔力が噴き出してくる。

俺は無意識に、目の前の凶獣めがけて容赦なく熱線を放っていた。


熱線は敵の肩口を貫く。

狼魔人「ぐがああああ!!! あああああ!!」

狼魔人「いだあああああ!!」

狼魔人「グルルルル…あががああ」

狼魔人「なにを…しやがったあああ!」


先までへらへらとしていた魔獣は一変、飢えた獰猛な獣ようなおぞましい目つきで俺を睨みつける。
牙をむき出しにし、巨大な爪はさらに膨れ上がり鋭さを増した。

傭兵「消えろ!」

そんなこともお構いなしに俺は続けざまに熱線を放ち、駆けながら相手との距離を詰めた。

傭兵「ユイさんから離れろ!!」

狼魔人「グルルル!!」

斬りかかるもすんでのところで逃げられる。

狼魔人「てめぇは後で食ってやる! おぼえてやがれ!」

そして魔獣は駿足をとばして場を去った。

残された俺の足元には、血に染まったユイさんが横たわっていた。



傭兵「ユイ…さん…」

母親「……ぁ、あ」

抱きかかえると、なにか伝えようとユイさんは口を小さく動かしていた。

傭兵「どうして…こんなことに」

母親「ソル…く…」

傭兵「ユイさん! しゃべっちゃだめだ。いま医者に…!」


頭ではわかっていた。
傷が深くすでに手遅れだということ、村の医者が生きているかもわからないこと。
そして、もう永遠のお別れだということ。

ユイさんは最後のちからを振り絞って、俺の頬に手を添えた。

傭兵「あなたを…護るって…誓ったのに…」

母親「ユ…カ…を」

傭兵「!」

母親「おねが…ソルく……ユッカ…を…まもっ…て」

母親「あのこは…わたし…たちの…希、望…」

母親「おねがい…だよ…ソル…く」

ユイさんは青ざめた顔でうっすらと微笑んだ。
そして間もなく、細く白い手がはらりと力なく落ちた。


なぜだ。どうしてこうなってしまった。

誰のせいだ。

俺のせいだ。

ユイさんを死なせてしまった。失ってしまった。

俺はこの先どうすればいい。

そんなの決まっている。

傭兵「ユッカを…護らないと」

俺は最後に、小さな手を握りしめた。

ユイさんの亡骸は道を少し外れた樹の根元に寝かせた。

不思議と涙は出なかった。

さきほどまでと打って変わって、恐ろしく冷静に現実を直視できている。

傭兵「ユッカ…待っていろ」

強い決心を胸に、徐々に雪の勢いを増す林道を走った。



第22話<ユッカ>つづく

更新おわり
次回本日夜21時くらい

乙です

ユイさん…

おつ
明日も楽しみにしてるー


んー、わかっちゃいたけど救いは無いのかねぇ…

逃がした頭は彼女の死に何も関係なかったとは

乙。遺体は置いてくしかないよなあ、しかし…

乙乙
しかし野盗に陵辱展開より魔人に殺される方がある意味安心して見てられるという不思議


心臓バクバクだわ・・・寝れねえ
明日も頼むぜ

乙です

第22話<ユッカ>つづき



  ・  ・  ・


林道を抜け、丘の中腹に差し掛かった辺りまでたどり着くと、数匹の魔物が徘徊していた。

程度の低そうな人型でない魔物だ。

燃えたぎる剣で両断し、あっという間に駆け抜けていく。

ユッカの待つ神樹の森は、この丘を超えた反対側に位置する。

奴らはもうここまで迫ってきている。

傭兵「こんなところにもたくさん…まずい」


魔物達は海の向こうから翼を持った魔鳥の背にのって突然やってきた。

また一匹また一匹と俺の前に姿を現しては、頭を叩き潰されていく。

油断していると中にはとても生命力の強い個体もいる。

しっかりと止めをささなければならない。


傭兵「邪魔だ!!」

いまはただユッカのことだけが頭にあった。
きっと怯えて泣いているだろう。
はやくユッカの元へ駆けつけたい。その一心だった。

だが駆けつけたその時、俺はユッカにどんな顔を向ければいい。

なんて伝えればいい。



【丘の頂上】


ザッ ザッ…

狼魔人「よぅ。また会ったな」

狼魔人「どこへ向かうんだ。人間共の村はこっちじゃねぇぞ」

狼魔人「それともなにか。この先にお宝でもあんのか」

傭兵「……」

狼魔人「怖い顔すんなよ。この肩の穴の礼をしに来ただけだ」

狼魔人「イテェんだよ。いつまでも焼け付くような痛みが残ってやがる…」

狼魔人「オメェのツラむかつくぜ…なぶり殺しにしなきゃ気がすまねぇ」

狼魔人「それからあの女を…そういやあの女はどうなった。オレの爪であっけなく死んだか。ははは」

狼魔人「真っ二つにしねぇように、かな~り手加減したんだが、人間ってのはもろいもんだな」

傭兵「…」


狼魔人「おっと、激昂しねぇんだな。思ったより冷静だ」

狼魔人「いいぜその目つき。オレと同じだ。ただ冷静に獲物の性質を見極め、攻撃の瞬間を伺っている目だ」

狼魔人「種族は違えど、オメェはオレと同類だな」

傭兵「そこをどけ。いや、お前を殺してからじゃないと意味が無いか」

こいつは俺がいままで出会った魔物の中でも明らかに異質で危険だ。
狼の特性が色濃いこいつは、ほんのわずかな臭いから足取りをたどることだってできるだろう。

ユッカのもとへむざむざ案内するわけにはいかない。

ここで俺が始末する。

狼魔人「やる気かよ」

傭兵「その前に、口の聞けるお前にひとつだけ聞いておく」

狼魔人「あん?」

傭兵「お前たちは何をしに来た」

狼魔人「…狩り♪ というのはオレの趣味で、あーっと、なんだったか」

狼魔人「とにかく探しものだぜ。探しもの」

狼魔人「オレの仕えるお方があるものを探していらしてな」

傭兵(やはりユッカが狙いか)


傭兵「そうか」

狼魔人「ま、オメェには関係ねぇよ。今からここで死ぬんだからな!!」

あの凶爪が俺に向けられた。

あれが、ユイさんの命を刈り取った。

傭兵(仇は討ちます)

抜刀。

狼魔人「どうした! さっきのわけわからねぇ火は使わねぇのか!!」

狼魔人「なら好都合!! 死ね!」


魔獣の体術は明らかに俺より上だった。

速度も腕力も手数も、何一つ人間である俺は奴に及ばない。


傭兵(だが、魔力なら)

俺の全身を纏う豪炎の魔力に、魔獣は今ひとつ決め手をかいているようだった。

傭兵(肩を撃ちぬかれた痛みと熱さを覚えているな)

傭兵(近接では勝ち目は薄い。このまま距離をとって迎撃する)



狼魔人「チッ…近づくだけで肌がチリチリしやがる」

傭兵「お前が邪悪であればあるほど、この炎は威力を増す!」

狼魔人「なんだこいつ…」

狼魔人「だったやりかたってのがあるぜ!」


魔獣が5本の鋭い爪で空を裂くと、斬撃がかまいたちとなり俺に降り注いだ。

傭兵「!」

狼魔人「おらおらどんどんいくぜ!」

奴は攻撃の手を休めることなく、腕を何度も振り、無数のかまいたちを放ち続けた。

一本の剣で防げる量などたかが知れていて、俺は全身を浅く切り裂かれ、血しぶきをあげながら後退した。

傭兵「あっ…ぐ」

狼魔人「ズタズタだな。ハハハ!」

狼魔人「どうだ。自慢の魔力でもガードしていいんだぜ」

狼魔人「だが、それがどこまで持つかな…」

傭兵「…」

敵は遠距離戦にもかかわらず魔力をほとんど消費していない。対して俺は身を護るだけで精一杯だ。

傭兵(推しても退いても俺の不利はかわらないか)



その後、奴の懐に飛び込んで何度も切りつけたが、致命打を与えることは出来なかった。


傭兵「…」

狼魔人「ハァ…ハァ」

だが消耗はしているようだった。

狼魔人「ムカつくんだよその魔力…! チリチリ焼き焦がしやがって」

傭兵「お前と持久戦をしている暇はない」


こうしている間にも続々と魔物は集まってくるだろう。
他の魔物が神樹の森へ侵入したかもしれない。
ユッカのことを考えると気が気でなかったが、俺は現状を打開しなければ、自身の命すら危うい。

傭兵(魔力をどれだけつかってでもこいつを仕留めるしかない)

しかし熱線はすでに一度放っている。
奴は神がかった反射と身のこなしで直撃を避けて、肩を撃ちぬくだけで終わってしまった。

発動の所作を見られている以上、膨大な魔力を消耗するあれを次に回避されたら終わりだ。

傭兵(だがもう時間がない!)

傭兵(懐に飛び込んで…焼き払う)



狼魔人「来やがれ赤毛! オメェの体をバラバラにしてやる!!」

傭兵「…!」

同時に地を蹴って相手に向かって突撃した。
腕の振りは奴のほうが遥かに速い。
そして奴の場合、腕2本による攻撃で即座に二撃目を加えることができる。


狼魔人「オラァ!」

一撃目。
魔獣は右腕を目視不可能なほどの速度で振りぬいた。

俺は予め構えていた剣で、なんとかそれをはねのける。
しかし宙で体勢が崩れ、天地を失ってしまう。

そして寸分の隙もなく放たれる二撃目。
左腕の爪が俺に斬りかかった。
しかし撃ちぬかれた肩のダメージせいか、わずかに動きが遅い。
俺は攻撃を目で捉え、魔力を存分に寄せ集めた右足で応戦した。


狼魔人「何っ。足で」

傭兵「ぐあっ」

足に深々と5本の凶爪が突き刺さる。

狼魔人「勝った! このまま足をぶったぎって――」

傭兵「これで逃げられねぇ」



狼魔人「あぁ、お前はもう逃げられねぇよ! ぐちゃぐちゃにして」

傭兵「逃げられないのはお前だといったんだ」


俺は瞬時に魔力を練った。
痛みが頭をクリアにしてくれる。

そして、両手の平を奴の毛むくじゃらの胸に押し付け、至近距離でありったけの熱線を浴びせた。

狼魔人「!!!」


魔獣の胸は俺の手の形に焼き消え、そこから真っ赤な浄化の炎が全身へと伝っていく。

狼魔人「!!!」

魔獣は声をだすことも出来ず、後ろにのけぞった。

俺は剣で魔獣の左腕を切り落とし、右足に突き刺さった爪を痛みとともに引き抜いた。

傷が深く、再生が始まらない。


傭兵「う…ぐぁ…」


狼魔人「あ…が……が!?」


傭兵「ユッカの元へ向かわなくては…」



ユイさんの敵は取った。

俺はのたうち回る魔獣を背に、ユッカの待つ森へと入った。



【神樹の森】


神樹の森に群生する木々は強い魔力を帯びている。

ここなら魔覚を用いて正確な位置を把握することが出来ない。
ゆえにユッカの魔力を隠すにはちょうど良かった。

だがそれは俺にとってもリスクがある。
今仮に敵に背後から近づかれても、気づかない可能性があるからだ。

もはや走ることすらできない俺は、辺りに細心の注意をはらって少しずつ歩みを進める。

傭兵(あの狼男と同格の魔物に出くわしたら終わりだな)



傭兵「ここだ…ユッカ」

幹に空いた大きな穴の中で、依然ユッカはおとなしくしていた。

傭兵「よかった…無事だったか」



ほっと胸をなでおろすと、全身の痛みが回ってきた。


傭兵「ユッカ」

勇者「ソル……」

勇者「けが…してる」

ユッカは俺をみるやいなや、大きな瞳からボロボロと涙をこぼし、声をあげて鳴いた。

こんな森にひとりにされて、ずっと不安だったのだろう。

いまだ村の方角からはおぞましい魔力の源が微かに感じ取られる。


俺はそんなユッカの姿をみてどうしたら良いかわからなかった。

ユイさんを死なせてしまった。

それは腹を切っても贖罪なんてできないほどの失態だ。

傭兵「…ユッカ」

そしてこの先のこと。

傭兵(俺たちはこの状況をどうやりすごしたらいい…)

傭兵(奴らはユッカを見つけ出すまで手当たり次第破壊を続けるのか、それとも頃合いを見て退却するのか)

俺には何もわからない。

血にまみれた手で泣き続けるユッカを抱きしめた。



勇者「ソル…ぐすっ…うえええん」

傭兵「ユッカ。ここに隠れていよう」

傭兵「きっと、神樹が俺たちを護ってくれるから」

傭兵「奴らは見つけることなんてできないさ」

傭兵「奴らがいなくなるまでずっとここにいよう…ずっと」


ユッカは頭をふった。
そして、泣きながら、俺のやってきた方向をゆっくりと指差す。

勇者「こわいの…こわいのくる」

傭兵「!」

勇者「こわいのが…くる…」

傭兵「そん…な……」


そいつはまだ俺の遥か後方にいる。

だが気配をはっきりと察知できた。

魔覚ではない。俺程度の魔覚ではこの魔力まみれの森で何かを探し当てることはできない。

ならなぜわかったか。

それは、そいつから放たれる尋常ならざる殺気が、ただ一点俺に向いていたからだ。

傭兵「生きている…?」



俺は絶望に打ちひしがれた。

いましがた刃を交え、止めを刺したと確信した相手が、再び立ち上がりこちらへ向かっているのだ。

傭兵(手負いの俺で勝てるか…?)

傭兵(奴は鼻が効く…)

傭兵(なら俺はこれ以上ここにいるわけにはいかない…)


俺は立ち上がり、ユッカに背を向けた。

勇者「やだぁ…いっちゃやだぁ…」

勇者「ここにいて…よぉ…ソルぅ」

傭兵「またお前のもとへ戻ってくるよ。約束する」

そうだ。俺はユッカを護りつづけると約束した。

ここでユッカが奴にみつかったら、守り切ることはできない。
奴はいのいちばんにユッカの命を摘むだろう。


傭兵「行ってくる」

泣きじゃくるユッカの頭を5回6回と繰り返しなでた。



【神樹の森・入り口】



狼魔人「ちったぁ学習したな」

狼魔人「だが…この森のなかに…いることはわかった…ぜぇ、ぜぇ」

傭兵「なぜ生きている」

狼魔人「オレたち魔人種はよぉ…呪われてるんだ。だから、ちょっとやそっとじゃ死なない」

傭兵「なんだと」

狼魔人「おっと、これ以上教えてやる義理はねぇや」

狼魔人「手負いの狼同士、ラストバトルと行こうぜぇ」

傭兵「…なぜ、こんなことをした」

狼魔人「全てはオレたち魔族の再興のため…」ニヤリ

狼魔人「邪魔立てするやつは全員殺す!」


そして俺は、再三に渡って狼魔人と対決した。




  ・   ・   ・


斬りつけ合って数分が経った。

最初に悲鳴をあげたのは俺の剣だった。

小気味の良い音と共に、刀身が破砕し、切っ先が彼方へと飛んで行く。


狼魔人「終わったな」

狼魔人「人間の剣士。いい線いってたぜ」

狼魔人「最期に名前を聞いといてやる」

傭兵「…ソル」

狼魔人「あばよ赤毛」

狼魔人「オメェは俺が生涯戦った中で一番強かった」

狼魔人「安心しな。オメェのことは髪の毛一本残らず食ってやるから、オメェはオレの血肉となってオレの中で永遠に生き続ける」

狼魔人「寂しくないぜ」

狼魔人「さぁ…トドメだ!」


傭兵(ユッカ…すまない…どうかそのまま隠れ続けていてくれ)

傭兵(絶対に出てくるな。震えているだけでいい…)

傭兵(ごめん…俺はもう戻れない…今ここで…死ぬ)


傭兵(ユイさん。あなたとの最期の約束を違えてしまいました)

傭兵(俺に力がなかったから…あなたを救えませんでした)


狼魔人は俺の目の前で大きく右腕を振り上げた。


傭兵「…」

狼魔人「サクっとやってやるからよ。ハハハ!!」

狼魔人「……クン。ん?」

傭兵「…え」

背後から、雪をかきわける小さな足音が聞こえた。
それと、俺の名前を呼ぶ愛らしく甲高い声。

傭兵「どう…して…」

狼魔人「ハハハハハ!! そうか、ガキだったのか!! やっと見つけたぜぇ!!」

傭兵「ユッカくるなぁああ!!」

勇者「ソル! ソルぅ…! ボクを…ひとりに…やだ…よぉ」


狼魔人は振り上げた手を降ろし、ニタリと笑って跳躍した。
もはや俺のことなど歯牙にもかけていない。
同時に俺もユッカの元へ駆け出していた。

傭兵(ユッカ…なぜ来てしまったんだ…!)

傭兵(お前は神樹の中にいればよかったのに…!)



狼魔人「さっき殺った女とおんなじ臭いだ!!」

狼魔人「あたらずとも遠からずだったってことか!!」

傭兵「やめろ…!」


ユッカは固まって身動きひとつとらなかった。
いや、恐怖で取れなかったのだ。
このままでは暴虐性を孕んだ邪悪な魔力にユッカの鋭敏な魔覚が粉々に破壊されてしまう。
それ以前に小さな肉体が割かれ、ユッカは死ぬ。

魔獣は宙で大きく腕を振りかぶり、迷うことなく一撃を放った。

狼魔人「手柄はオレのもんだ!!」


鋭い斬撃音と飛び散る血潮。

そして俺の背中に激しい痛みが襲った。


傭兵「あぐっ…あ゛っ!」

狼魔人「!」

俺は気がつけばユッカを抱きしめるように、魔爪の盾になっていた。

背中を深々と切り裂かれ、もう、自分が助からないことを悟った。



狼魔人「オメェはよぉ、性懲りもなく!」

狼魔人「邪魔しやがって!!」

傭兵「……」

勇者「ソ…ル」

傭兵「守るから…お前のこと…」

勇者「…」フルフル

勇者「ち、が…」

傭兵「平気だよ。こんなの痛くない」

傭兵「ちっとも、痛くない」


俺は残された魔力で命を燃やした。

ユッカを護って死ぬならそれでいい。

魔力は真っ赤に燃え、ドロリとしたマグマのように狼魔人の右腕に絡みついた。

狼魔人「お、おわっ…ああああ!!」

狼魔人「熱いっ…なんだ…!? 腕が溶ける…! あああああ!!」

そして浄化の炎は俺とユッカ2人を包み込む繭のように形を変えていく。


狼魔人「あちぃ…アチぃぞ…なんだこの焼けつく炎はッ」

狼魔人「雪でも土でも消えねぇどうなってやがる!!」


ザク…ザク…

ローブの男「何をやっている」

狼魔人「! 呪術師様…!」

狼魔人「あぁちょうどよいところにおいでくださいましたよぉおお!」

狼魔人「このドロドロの炎を! 俺の腕の炎を消してくれぇええ!! 次こそ死んじまうよぉお!!」

ローブの男「これは…」

狼魔人「あちぃんだよぉ…死ぬほどいてぇ!」

狼魔人「あの野郎! 八つ裂きにして…内蔵食い散らかしてやる…!」

狼魔人「それでも気がすまねぇ…! ガキもろとも肉団子にして…!! ぐあああああ!!!」

ローブの男「見せてみろ」

狼魔人「あぁぁ…熱いんだよぉ…死んじまうよぉ」

ローブの男「闇を晴らす浄化の炎…」


ローブの男「あの小娘にまんまとしてやられたのか」

ローブの男「ならばあの娘が我らに仇なす一族の末裔というのは間違いないようだな」

狼魔人「いでぇえ…腕がなくなる…助けて」

狼魔人「あ、魔術師様…ち、近づいたらやべえです…全身がこうなっちまうよぉおお」

狼魔人「うおおおん痛い…痛い…体が擦り切られていくみてぇだ助けてくれぇ」

ローブの男「……撤退するぞ」

ローブの男「ああなってしまうと手に負えん」


傭兵「……」

勇者「ぐすっ…ぐすっ…」


狼魔人「それよりこの痛みをおおお!!」

ローブの男「あとで私の魔封陣でなんとかしてやる」

狼魔人「覚えてやがれクソ野郎! 次あったらぶち殺してやるからな!」


罵声と足音が遠ざかっていく。

傭兵(助かった…のか…)



やがて俺とユッカを包み込んでいた炎の繭は音もなく消え去った。
それとともに全身へ痛みや疲れがどっと押し寄せてきて、俺の意識は朦朧とする。

ユッカは大きく目を見開き、俺の腕の中でわなわなと震えていた。

勇者「ソル…ちが…。せなかからいっぱいち…が…」

傭兵(さすがに回復しきらないか…)

勇者「あ……あ……。ち…が…」

背中の鋭く深く切り裂かれた傷口が熱を帯びている。
おびただしい量の血が噴き出て少女の小さな手を汚し、膝元に血だまりを作った。

傭兵(そんな顔をするなユッカ…)

傭兵「お前が生き延びただけで…俺は…」

いまの俺だと、撃退できただけでも十分だ。

傭兵(俺は死ぬのか。あぁ頭がボーっとしてなにも考えられない。死ぬのか…でも死んでしまったら)

傭兵(ユイさんすまない。俺、約束…守れ――な――)

俺は真っ赤に染まった雪の上に崩れ落ちた。


勇者「あああああっ! ソルぅ! いやああああ!!」



俺は死ぬのだろう。全身の感覚がなくなって、今は痛みすら感じない。
光も音もだんだんと閉ざされ始めた。
唯一、ユッカの泣き声だけが微かに頭の中に響いた。


  「かみさま! だれでもいいからソルをたすけて!!」

  「おねがいします…かみさまだってあくまだって、だれでもいいから…ソルを…たすけて…」

  「だれでもいいから…たすけてよぉ…っ」

  「おねがいします…うわあああああん、あぁぁぁあああ!!」


耳元で少女の泣き声が聞こえる。

ユッカ、泣かないでくれ。

お前の泣いている声なんて聞きたくない。

笑って強く生きて…立派な勇者になってくれ。


  『ほんとに悪魔でいいの?くすくす』

  『じゃあ、助けてあげよっか?』

  「なんでもおれいします…おねがい…します…ソルを…」
 
  『そうねぇ。だったらお礼がわりにあたしの言うこと1つ聞いてもらおうかなー』

  「ボク…なんでも…ぐすっ…」
 
  『大人になったらあなたの体を頂戴♪』

  『いい? 約束よ、約束。はい、契約完了♪』


誰だ。そこに誰かいるのか。
誰でもいいユッカを安全なところに…――

俺の大切な…ユッカを―――


――――


――



第22話<ユッカ>つづく

更新終わり
次回明日22時頃

サキュ、貴様ぁ・・・

乙です!

うう、最初から読み直さないとダメだこれは。
過去編終わってからにすべきか、今すぐ読み直しに行くべきか。

乙!ローレさんがなついてたし悪いやつじゃあないと信じたい
しかしこんな前から関わってたんかサキュさん

乙!
契約となると簡単には解呪出来ないな…

乙!
なんだかソルが勇者に思えてきた

乙!ソルかっこいいなw

乙!

乙、ローブと狼の会話でソルの過去が明かされかけたな

こういう王道ストーリーでいつも思うんだが、なんで出てくるんだろうな?
ハリウッドストーリーでも9割方出てくるよな、足手まとい

ソルの命を助けるための契約だったのにユッカ達から呪いだのなんだの文句言われ斬りつけられたサキュかわいそす

ユイさんもたすけてあげてよ・・・

てっきりユイさんがサキュに転生でもしたのかと思ってたわ

最初から読みたいけど読めねぇ…………

>>690
この板は落ちても過去ログ倉庫から見れるよ
専ブラが良いならDATも落とせるよ

みんなの暇つぶしからみたら?

https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.shimasoft.httpex
mate使ってるならこれでdat取れる

第22話<ユッカ>つづき




気づいた時、俺は見慣れた天井を見ていた。
ここ一年以上ずっと寝泊まりを繰り返してきた、おんぼろの宿舎だ。
なぜ俺はここにいるのだろう。


傭兵「…夢だったのか…? いッ…」

この背中の痛みは夢ではない。

あれが全て夢なわけがなかった。

俺は失ったんだ。大切なユイさんを死なせてしまった。

護ることができなかった。


傭兵「……どうなったんだ…俺は…」

傭兵「…切り裂かれて死んだはずじゃ」

背中や手足に痛みは走るが、動けないほどではない。
五体満足で、間違いなく俺は生きている。

金髪の少女「…むにゃzzz」

美しい少女がベッド横の椅子に座り、俺の腕を枕にするように眠りこけていた。


傭兵「誰だ…っけ」

ユッカと同じくらいの歳だろうか。
そういえば、何度か王宮内で見かけたことがあるかもしれない。

金髪の少女「…むぅ…? はっ! 起きてる!」

金髪の少女「おとうさま! おとうさまー!」

少女はいきなり起き上がり、口元を一拭いすると慌ただしく部屋の外へとかけていった。
しばらくして父親と思われる男と共に部屋に戻ってきた。

大神官「目を覚ましたのですね」

傭兵「あんたは…」

大神官「おや、自己紹介はしたことがありませんでしたか」

大神官「私は城下町の神殿にて大神官を務めています」

大神官「この子は娘のヒーラ。この子があなたを一週間看病していたのですよ」

金髪の少女「めをさましてよかったです…」

傭兵「いっ…週間」

傭兵「俺は一週間もねむっていたのか」

大神官「そうです。さて、どこから話したものか」


傭兵「ユッカは」

こっちから食いかかるように尋ねようとしたら、大神官は優しく頷いて俺を制止した。

大神官「まだ起き上がってはなりません」

金髪の少女「横になりましょうね」

大神官「聞きたいことはたくさんあるでしょうが、まずは冷静になって私の話を聞いてください」

大神官「ヒーラ、あなたは他の患者たちの様子をみてきてくれますか」

金髪の少女「はいお父様」

金髪の少女「おだいじに」ニコッ

傭兵「あ、あぁ…ありがとう」



  ・  ・  ・



大神官「まず最初に。あなたたちは事件の翌朝、魔隠しの陣の中でみつかりました」

傭兵「…なぜ、そんなところに」

大神官「あなたが施した陣ではないのですか?」

傭兵「俺はそんな高等な術は使えない…」

大神官「そうですか…。ではあれは一体…?」

傭兵「続きを聞かせてくれ」

大神官「事件発生後、王国騎士団は早馬の一報を聞いてすぐに駆けつけたのですが、すでに被害は甚大でした」

大神官「近隣の村々は焼かれ、多くの村人が犠牲になりました」

大神官「私はいま人々の手当と供養をするためにこの太陽の村に滞在しています」


傭兵「守れなかった…。ユイさんが、俺のせいで」

大神官「あなたのせいではありません」

傭兵「だけど…っ」

大神官「あなたはこの世界を未来をつなぎました。我々の唯一の希望の火は、無事生きています」

傭兵「…ユッカ」

大神官「魔物の軍勢の侵入をこうも簡単にゆるしてしまうとは…情けないのは我々国の人間です」

大神官「今回の聖地侵攻をきっかけに、国境の警備が殊更に厳重となることでしょう」

傭兵「魔物は…どうなった」

大神官「全て撤退、あるいは残党を騎士団が殲滅しました」

大神官「ですが被害は大きい。私達はあまりに多くのものを失いました…」

傭兵「……」

俺は、なぜのうのうと生きているんだろう。

ユイさんを護れず、ユッカを危険な目にあわせて…。


大神官「この村の者に聞きました。あなたは元は流れの傭兵だそうですね」

大神官「一年ほど前にこの村にやってきたとか」

傭兵「あぁ……ここよりずっと北の国で生まれ育った……」

傭兵「戦うことしかできなくて、幼い頃から戦場を転々として生きてきた」

傭兵「殺すことしかできないくせに…なにが、なにがガードだ…」


傭兵「俺は、なんのために……?」

なんのためって。

そんなのとっくに決まっているじゃないか。

 
 『おねがい…だよ…ソル…く――――』


傭兵(ユイさん…)

ユッカを、護るためだ。

傭兵「ユッカはどこにいる!」


大神官「こうなった以上、今彼女は王宮で騎士たちに周囲を固められ、手厚く保護されています」

傭兵「…」

傭兵「もう起きられるのですか」

傭兵「ユッカに…会いにいかなきゃ」

傭兵「俺は…ガードなんだ」

大神官「おやめなさい。もはやあなたが行って出来ることはありません」

大神官「さぁ横になって、傷にひびきます」

大神官「私の魔法とて、あなたの傷が完全に癒えたわけではありませんよ」

傭兵「それでも…行かなきゃいけないんだ。俺はユッカのガードなんだ」

傭兵「残されたたったひとりの家族なんだ…」

大神官「…あなたという人は」

大神官「…はぁ」

大神官「以前、あなたが王子と決闘をしている場面に出くわしたことがあります」

大神官「信念の強さは、どんな状況でも変わらないのですね」

傭兵「ユッカに会いに行く。痛っ…つぅ…」

大神官「…馬の手配をしましょう」

傭兵「!」


大神官「どう諭しても、あなたを納得させることはできないのでしょう」

大神官「それまで食事にしましょうか。スタミナのつく食事があればよいですが」

傭兵「なにからなにまですまない…。本当にありがとう…ございます」

傭兵「あんたがいなければ、俺は死んでいた」

大神官「いえ、すべては神のお導きのおかげです」

大神官「私は魔法陣の中で倒れていたあなたを拾い、ここへ連れてきただけ。礼なら後ほどヒーラに」

傭兵「あの子にずいぶん世話になったみたいだな…」

大神官「ところで、あの陣についてもう一度伺いますが、本当にあなたが作りだしたのではないのですね?」

大神官「かなり精巧な物で、見慣れない印字がなされていました」

傭兵「俺には出来ない」

大神官「…そうですか。なにかわかれば御一報を」

傭兵(誰かが俺を生かした…?)

傭兵(だが心当たりがない。そんな芸当できる知り合いなんていない)

傭兵(そういえば、薄れゆく意識のなかで誰かの声を聞いたような…)

傭兵(あれは、天使だったのだろうか)




  ・  ・  ・



金髪の少女「お兄さんもう平気なのですか?」

傭兵「ありがとうな。包帯かえたり、変なドロドロ飯を食わせたりしてくれたんだろ?」

金髪の少女「それが私のつとめですので」

傭兵「いい子だ。将来が楽しみだ」

金髪の少女「え? えへへ…」

大神官「この手紙をお持ちなさい」

傭兵「これは?」

大神官「紹介状のようなものです。あなた一人では王宮へ入れないでしょうからね」

傭兵「ありがとう。行ってくる」

金髪の少女「行ってらっしゃい!」

大神官「神よ。どうかこの若者の行く末に幸あらんことを」


そうして俺は痛む背をかばいながら王宮に向けて馬を走らせた。



【王宮・入り口】


兵士A「誰だ」

兵士B「ほら、勇者様のガードの…」

兵士A「役立たずのガード風情が、何をしに来た」

傭兵「ユッカに会いに来た。通してくれ。紹介状ならある」

兵士A「よくもぬけぬけと! 貴様のせいで…!」

騎士「よせ」

兵士A「はっ」

騎士「手紙を拝借……ホーリィ大神官と会ったようだな」

傭兵「ユッカがここにいると聞いてきた」

騎士「入城は許可する。ただし、勇者様のいらっしゃる部屋には通さん」

傭兵「な、なに…!」

傭兵「ユッカになにかあったのか…!?」

騎士「ふん。お前にそれを語る必要はない」



騎士「城内もばたついていてな、お前をもてなしている暇はない」

傭兵「必要ない。ユッカに会えればそれでいい」

騎士「これは王による厳命だ」

騎士「いま勇者様は貴様ではなく、我らの庇護下にある」

騎士「何人たりとも、面会させることはできん」

騎士「まだ悪魔がこの国に潜伏している可能性も捨てきれんのだ」

騎士「お前とて例外ではない、悪魔が貴様に化けていることもありうる」

傭兵「ユッカに会えば俺が悪魔じゃないことはわかる」

騎士「ハハハ。ふざけたことを言うじゃないか」

騎士「まぁ、俺はそこまで疑っていないがな。建前だよ」

傭兵「何?」

騎士「今回の奇襲をうけて、誰もがふがいなく思っているのさ」

騎士「お前のような小僧ひとりに勇者様を護らせていたのは事実」

騎士「いまさら恥ずかしい話だが、我々は本当に護るべき存在を知ったのだ」


王子「そして、義姉上をあの地へ追いやったのも、私達王族の意固地さが端を発している」

傭兵「グレイス…王子」


王子「ユッカに会いに来たんだな」

傭兵「あぁ…」

王子「包帯だらけじゃないか」

傭兵「……」

王子「話は、聞いている」


普段から仏頂面の王子はその顔をしかめいつも以上に神妙な顔をしていた。

ユイさんの事はこの王宮の人間はみな知っているのだろう。

なら俺の醜態だって伝わっているはずだ。

俺の不手際でユッカを危険にさらしたと認識されてもおかしくはない。


王子「お前には、苦労をかけた」

傭兵「え…」

王子「姪の身の安全は保証する。お前の役目は王国騎士団が引き継ぐ」

王子「ソル。よくやった、お前に暇を与える」

傭兵「そう…か…」


それは俺への解雇通告だった。

傭兵(当たり前だよな…)



俺は流れの人間だ。
縁もゆかりもない地でうまれ、たまたまここへ来ただけの、なんの関係もない人間。
この国の内部に深く関わることは出来ない。

それはわかっていた。
だけど、ユッカは俺にとって…。
俺は踵を返そうとした。

傭兵「…」

王子「だが、いままでの働きに免じて最後に顔を見るくらいならかまわん」

王子「3階の貴賓の間だ」

騎士「し、しかし…」

王子「私の権限で面会を許可する。連れて行ってやれ」

騎士「御心のままに」

傭兵「グレイス」

王子「私はまたしばらく王宮を離れる。最後に、友人の願いを聞いてやるくらいわけもない」

王子「また会おうソル。会えるかはわからんがな」

傭兵「…ありがとう」



【貴賓の間】



通された部屋は豪華な装飾が施されていた。

大きなベッドの真ん中には少女が眠っている。

その脇の椅子には、ユッカの魔法の師である魔導師がゆったりと座っていた。


傭兵「ユッカ」

魔導師「おや。誰かと思えばおぬしじゃったか」

傭兵「ユッカは…なぜ面会謝絶なんだ」

傭兵「怪我…したのか…?」

魔導師「いんや、体は至って無事健康じゃ」

魔導師「じゃが、心に深い傷を負っておる」

魔導師「深い深い傷をな…」

傭兵「!」

傭兵「そう…か…」

魔導師「起きていると錯乱してしまうので、今はワシの魔法で眠っておる」



魔導師「この子の容態についてはワシに一任されておる」

傭兵「だけど、いつまでもそうしているわけにはいかないだろ…」

魔導師「うむ…そこでじゃ」

魔導師「ワシはおぬしを密かに待っておった」

傭兵「俺を…?」

魔導師「おぬしに悔いが残らんようにな、最後に会わせてやろうとおもってな」

魔導師「おぬしが来るこの日を待っていた」

傭兵「最後だと…? 確かに、俺はいまさっき首になったが」

魔導師「この子の心の傷を塞ぐために、ワシは禁術を使う」

傭兵「禁術…」

魔導師「記憶を、封印するのじゃよ」

魔導師「この子は今回の騒動にかかわる全てを忘れ、平穏な生活を取り戻す」

傭兵「封印だと!」

魔導師「そしてその記憶の中には、母やおぬしのことが数多く含まれている」


傭兵「俺を…忘れるのか…」

勇者「…すぅ、すぅ…zzz」

勇者「んぅ…う…う゛…」

勇者「ソル…やだ…しなな…いで…や…だ」

勇者「ぐすっ…zzz」

傭兵「ユッカ!」

魔導師「苦しんでおるのじゃよ。この一週間、何度も何度も夢の中でおぬしの名前を呼んでいる」

魔導師「なにがあったかは察しがつく」

傭兵「俺が…ユッカにトラウマを植えつけてしまった…?」

魔導師「いや、決しておぬしのせいではない。自分を責めるな」

魔導師「決しておぬしのせいではないのじゃ…」

魔導師「だから、こうなってしまったことをすまぬと、謝っておく」

魔導師「そして、ワシがこれからすることを許してほしい」

傭兵「……」

傭兵「それでユッカがまた笑顔で暮らせるなら…」

傭兵「俺は…かまわない」

傭兵「俺のことも、あの家で暮らしたことも全部忘れても…ユッカは強くならなくちゃいけないから!」

傭兵「勇者だから…ユッカは強く育ってほしい! 俺の願いだ!!」


俺はいつの間にか声を荒らげていた。
背中以上に、心臓が痛かった。



魔導師は椅子から立ち上がり、眠るユッカの頭の上にそっと手のひらをかざした。

魔導師「目覚めよ」

勇者「んぅ……?」

勇者「…ふぁ…」

傭兵「ユッカ!」

勇者「ソル…? あ、あ、あ…」

魔導師「術の詠唱に入る。最後におぬし自身のために言葉を交わしておけ」

傭兵「!」

傭兵「ユッカ。俺だ。俺は生きてる…」

勇者「ソル!」

ユッカは起き上がるやいなや、俺に激しく抱きついた。

傭兵「いたっ、いたた…」

勇者「ごめんね…ごめんねソル…ボクのせいなのっ」

勇者「ボクがわるいこだったの。ソルのいうこときかなくて…うわあああん」

傭兵「違うんだユッカ。お前は悪くない」

傭兵「だから泣かないで」

傭兵「俺、お前のこと護れてよかったよ。こうしてまたお前の声を聞けた」

傭兵「俺は…それだけで十分なんだ…」

ユッカを抱きしめる手に自然と力がこもった。

そして俺の中で、熱く魔力が燃えたぎり始める。

なのにちんぽぶち込んだよね


傭兵「ごめんなユッカ」

傭兵「これからもずっと護りたかった。けど、俺は…弱い傭兵でしかないから」

傭兵「お前の側にいてやることができないんだ」

勇者「…え…? ソル…?」

勇者「やだ! やだよ! もうどこにもいかないで!」

勇者「ボクをひとりにしないで…ママ、ママ…っ! うあああん! ママぁー!!」

傭兵「これが、お前がどんな悪い奴にも立ち向かえるような、力と勇気になりますように」

魔力が全身からあふれ出て、ユッカの魔力と同調し、溶け合っていく。

勇者「あったかい…なにこれ…」

勇者「ソルが…ボクのなかに…はいってくるよ…ん…」

傭兵「ユッカ…お前のことを、離れていても護るから」

傭兵「だから強く生きて…立派な勇者になってくれ」

傭兵「俺の想いが、お前をどんな災厄からも護るから…」

傭兵「愛してるよ…ユッカ」


魔術師「忌まわしき記憶よ、眠れ…心の奥底で」


魔導師の発した言葉とともに、部屋中を光が包み込んだ。



  ・  ・  ・


勇者「んぅ……あれ」

傭兵「……あぁ、あ…ごほ、ゴホ…」

勇者「おにいさん、誰…? ボク、ここで…なにしてるんだろう」

勇者「ここ…どこかな」

勇者「んぅーくすぐったいよ、離してぇ」

魔導師「…おぬし、今何をした!」

勇者「あれ、なんだかからだがぽかぽかしてあったかい…えへへ」

魔導師「なんということを…」

傭兵「…ぁ…ぁ」


力が出ない。
立ち上がることもままならなかった。
まるで病床の老人ともいえるほどの恐ろしい体力の低下。

魔力は練られない。体の中に毛ほどもその感覚を感じとれない。
魔力を失うとどうなるんだったか。
たしか、死ぬのか。


傭兵「へ、はは…できるもんなんだな…ゴホッ」

魔術師「そんなことはありえぬ……おぬし、自分がなにをやったかわかっているのか」

傭兵「あぁ…この子に…全部たくした」

傭兵「元気でな…」なでなで

勇者「??? えへへ、ばいばいしらないおにいさん!」



魔導師「ワシは…長年魔法の研究をしてきた」

魔導師「じゃが、ありえんのだよ。おぬしがいま行ったのは、魔移しと呼ばれる守護魔法じゃ」

魔導師「おおよそ、死にゆく母が子を護るほどの強い想いがなければ決して発動せぬ」

魔導師「赤の他人のおぬしに適正はない。習得不可能なのじゃよ」

魔導師「魔力が…結びつくはずがない…なぜじゃ…」

傭兵「子供…か」

傭兵「ごほっ、ゲホっ…ゴホ…」

魔導師「尋常ならざる想いが、超越したのか…」

魔導師「だがおぬしは…」

傭兵「かまわない…希望は残せた」

傭兵「あとはユッカ次第だ」

魔導師「こい。そのままでは死んでしまうぞ」



  ・  ・  ・


【王宮・入り口】


魔導師「いまはワシの魔力を少し貸し与えているが、じきに貰い物の魔力は尽きる」

魔導師「新しい魔素として体に定着することはない」

傭兵「わかっている」

魔導師「生きているのが信じられんくらいだ。普通は衰弱しきってそのまま死ぬ」

魔導師「神がおぬしを生かしたのかもしれんな」

傭兵「そうは思わない」

傭兵(この世に神様がいたら、ユイさんとユッカは…)

魔導師「して、これからどこへゆく」

傭兵「傭兵をクビになったんだ。生きる糧を探して彷徨うさ」

魔導師「…国境防衛部隊が新兵を募集しておった」

魔導師「こんな事になった以上、国境を強化するのじゃろう」

魔導師「なにも側にいることだけが守護ではない」

魔導師「おぬしにできることはまだあるはずだ」

傭兵「…あぁ。訪ねてみる」


傭兵「俺が無事生きているうちはユッカの成長を陰で見守るさ」

傭兵「世話になったな」

魔導師「……」

魔導師「ふとしたきっかけで、魔法の枷は外れ記憶はよみがえる」

魔導師「深い関わりのあったおぬしは十分にそのきっかけとなりうる」

傭兵「わかっている。近づかない」

魔導師「ゆめゆめ忘れるでないぞ」

傭兵「…あぁ」

魔導師「達者でな」

傭兵「またいつか会おう」

魔導師「うむ…」

傭兵「くたばるなよじいさん。後は頼んだ!」


そう、これは俺が魔力を失うきっかけとなった出来事。
そして、いまに続く運命――


―――――――

――――




【船上】


勇者「うー、ソル苦しいよぉ…!!」

勇者「なんなのさ、いきなりぎゅーってして!!」



勇者「ボクのスープおいしくなかった!? それで怒ってるんでしょ!」

傭兵「……」なでなで

勇者「うん? ほんとにどうしたの…変だよ」

傭兵「なぁーユッカ」

勇者「うん」

傭兵「食べ終わったら一緒に昼寝でもしないか」

僧侶「わっ大胆発言!」

勇者「な、何言ってるの!? ばかばかバカソル」ぺしぺし

魔女「……」

傭兵「ダメか?」

勇者「う、うーん……。う…えっと、いいよ♥」

勇者「だってそんな目で見られるとさ…う、うずうずしてきちゃうじゃん…」ヒソヒソ

僧侶「はぁ…どうぞごゆるりと」

魔女「スープがまずい」



【船室・ベッド】


勇者「やれやれぇ。お昼からこんなにおちんちんおっきくするなんて、いい大人がみっともないよ」

勇者「それとも、ボクの手料理でボクのことますます好きになっちゃった?」

傭兵「ま、まぁな」

勇者「あれっソルが素直なんて珍しいね。えへへー」すりすり

傭兵「…」

勇者「やっぱり変だ! 難しいこと考える顔だ」

傭兵「そんなことないぞ」

勇者「そうかなぁ。ボクソルのことならなんだってわかるんだよね」

傭兵「あーそう、敏感な魔覚で結構!」ぐりぐり

勇者「ううん。魔覚じゃないよぉ、なんかね、えへへ…わかっちゃうの」

勇者「こうしてぎゅーってしてると…なんだか懐かしい気分になるんだ。どうしてだろう…?」

傭兵「ユッカ…」なでなで

勇者「ねぇ早くしよ! おまたのうずうず止まらないよ…いっぱい中にちょーだい♥」チラッ

勇者「ほら、赤ちゃんできないから安心でしょ?」

傭兵「……」むにゅ

勇者「ぎゃっ…ご、ごめんなさいっ…! やーんえっち! どこつかんでるの!」

傭兵(ここはやっぱなかなか大きくならないな…)

傭兵「ははっ」

勇者「なんで笑うの!! いじわる!」


ユイさん。

必ずこの子を幸せにします。
ずっと護り抜きます。
だから、見まもっていてください。

ユイさん、ありがとう。


第22話<ユッカ>おわり

更新おわり
次回23話 今日か明日22時~

乙!
浄化の炎をユッカが使いこなせる日は来るのだろうか?
ソルの騎士時代の話も見たいww

乙です
一つの謎が解決したが、新たな謎が出てきたな

ソルの能力自体も謎だな

おつ。過去編よかった、今までで一番。
このSS読み始めてから、自分のSSが進まん…馬すぎるよ

>>710
ひどいタイミングだ

乙!

最初から読み返すと案外ユイさんをおもったセリフが多いな
あとづけでなくこの展開を最初から含めて話つくってたのね脱帽だわ
騎士編も期待

>>710
お前みたいなのを空気の読めないヤツというんだ…

勇者「ソルが…ボクのなかに…はいってくるよ…ん…」

これと同じセリフが過去にあったとしたら天才認定

ここまでの関係とはおもわなかった
ヒーラちゃん派だったけどもうユッカが正妻でいいよ


この一行の仲ではもう昼寝=セックスなのか……

>必ずこの子を幸せにします。
ずっと護り抜きます。
だから、見まもっていてください。

↑だがチンポビンビンである

>>693
サンクス

ユイさんの遺体を埋葬するシーンが無かったが、まさか敵に「再利用」されないだろうな…?







その時は3人娘+ユイさんで修羅場になるな。

>>732
正直悪堕ちでもいいから助かっていてほしい

更新明日

了解、天気も悪いから早く寝なさい

今全体のどれくらい進んでるんだろ

第23話<将来の夢>



勇者「んぁうっ♥ あぁっ♥ あああっ♥」

勇者「イクっ…♥ イッひゃう…♥」

 ぱちゅっ ぱちゅっ ぱちゅっ
  ぱちゅっ ぱちゅっ ぱちゅっ


勇者「やんっ、あああっ♥」


その日、ボクは昼間っからソルと船室でレベル上げに励んでいた。

今日のソルはどこか様子がおかしくて、ボクの振る舞ったスープを食べるやいなや、ボクの手を引いてこの薄暗くて狭い船室へと連れ込んだ。
そしていまにいたる。

イチャイチャはほどほどに、ボクはかえるみたいにベッドの上にひっくりかえされて、彼のおっきくなったおちんぽを受け入れていた。


  ぱちゅっ ぱちゅっ ぱちゅっ
   じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ

勇者「んひゅっ、ひぃっ♥ どうしたのっ、ああんっ」

勇者「今日のソルっ、やっぱりへんだよぉ…っ!」


傭兵「ユッカ…ユッカ…」


ソルは何度もボクの名前呼びながら、頭をなでてくれたり唇を奪ったりして、腰を振っていた。

勇者「なんれっ♥ あああっ♥」

勇者「あんっ、あんっ♥ ソルぅ♥」

勇者「おちんぽ…おっき♥ あああっ」


硬くておっきいおちんぽが何度もボクのおまんこの奥にたたきつけられる。
もう今まで何度もエッチしてきたからソルはボクの気持ちいい所なんて全部知ってる。

一番おまんこがかゆくなるのは赤ちゃんをつくるお部屋。
とその入口あたり。

ソルはそこをおちんぽのさきっぽで何度もついた。


部屋のなかにはボクの恥ずかしい声と、ボクらのエッチなお汁がぐちょぐちょ絡み合う音が響いていた。


傭兵「はぁ…うっ」

勇者「あんっ、んぅ…ああああっ、出てるっ…出てるよぉ♥」

ソルは短い間で3度も射精していた。
ボクも6回くらいイッちゃって、お互い息も絶え絶えに唇をチュッと重ねあわせた。


  
  ・  ・  ・


エッチな事がおわったあとはお楽しみの経験値の確認。


勇者「…どれだけ入るかなぁ」

傭兵「700」

勇者「えー今日はきもちよかったからボクは1000予想!」

傭兵「じゃあ800…」


▼勇者は867の経験値を手に入れた。


勇者「ソルのほうが近かった…ちぇっ」

傭兵「途中一回外に出したちゃったからな」

勇者「えーなにやってるの。もったいない…」

傭兵「…」なでなで

勇者「おちんぽまだおっきいね…もういっかいしたい?」

傭兵「しようか。おいでユッカ」

勇者「うん…♥」



勇者(今日はソルがあまえんぼだぁ♥)ぎゅー


ボクたちはときどき激しいエッチの後にこうしてゆっくりエッチもする。


その時はお互いあまり腰を動かさずに、体を優しくくすぐるようにさわりあって、頭が溶けちゃうみたいな深いチューをして性感をたかめていく。

2人きりでゆっくり話もできるし、ボクにとってそれはすごく楽しいエッチの時間だった。


勇者「んっ…ちう…♥」

勇者「れろ…ちゅぷ、ちゅる…♥ えへ」

勇者「ソルくすぐったいよ」

勇者「おっぱいふにふにするの好き?」

勇者「いっつもおっぱいさわるよね。こんなちっちゃいのに楽しい?」

勇者「ねー何か言ってよ。ヒーラのおっぱいとどっちがすき?」

ふにふに
 きゅっ

勇者「んひゃっ!? あ、うう…こりこりするのはダメ♥」

ソルはイタズラな顔でボクの乳首をつまんだりこすったりしていじめてきた。



勇者(なんだか子供っぽいな)

ソルはボクより10も年上なのに、なんだかこうして楽しくしている時の顔は幼く見えて、つい甘やかしてしまう。

勇者(母性本能ってやつなのかな?)


もう何度も射精したおちんちんは、いまだボクのおまんこの中で熱く堅いまま時々ビクビクって脈打っている。

勇者「きもちいい…」

勇者「こうしてぎゅーってしながらつながってるの幸せだよ…」

勇者「すっごく落ち着く…キミもでしょ」

勇者「また射精したい? じゃあちょっと動こうよ」

 ちゅぷ…ちゅぷ…

  ちゅぷ… ちゅぷ…

勇者「んっ、はぁ…♥ ハァ♥」

勇者「いったん動かしはじめると、我慢できなくなっちゃうよね」

勇者「ソルを感じてたらおまんこの奥でまたじゅくじゅくお汁が止まらないよぉ」

勇者「おっぱいもっとさわって! チューもして! はぁ、はぁ好きぃ♥」


ソルは呆れた顔をしながらボクとエッチし続けてくれた。



<夕方>



僧侶「おかえりなさい」

僧侶「お昼寝にしては長かったですね」

勇者「う……そ、そうかなぁ」

僧侶「あ、レベルあがってる」

勇者「えへへ…22になりましたー!」

傭兵「…それって本当に強くなってるのか疑問だな。よし、甲板の空いてるとこで稽古するぞ」

勇者「えーー。いまから?」

傭兵「剣の腕は日々精進」

勇者「魔法の練習がしたいんだけどなー」

魔女「行こ、私が教えてあげる」

傭兵「お、おい! 戻ってこい!」

傭兵「なんだよ」

僧侶「ユッカ様はやることが山積みですね…」

ユッカはオレの精液を絞り続けるサキュバスかな?!



傭兵「どっちかにしたほうがいいとおもうんだけどなぁ」

僧侶「魔法か剣かですか?」

傭兵「あぁ。どっちつかずになるよりは将来を見据えていまから絞っておいたほうがいいんじゃないかと俺は思うんだ」

傭兵「だけど勇者にかかる期待ってのは大きくてな」

傭兵「なんでもやらせようとあれでも国から英才教育うけてるんだぜ」

僧侶「そうですね。ユッカ様が王宮内で剣の先生と魔法の先生に追い掛け回されているところをよくお見かけしました」

僧侶「よく遊ぼうよーって私の家まで逃げてきたりしてたんですよ。うふふ」

傭兵「あいつらしいな」

傭兵「将来はどうなることやら」

僧侶「ユッカ様の将来ですか…」

僧侶「…」

傭兵「なぜ俺を見る」

僧侶「…い、いえ。これといった意味はないですけど…」

僧侶「ソル様は…旅がおわったらどうなさるおつもりですか?」

ユッカが上手く魔法を使えないのは、ソルの魔翌力が混じってるないし、纏っているからなのかね



傭兵「考えたことなかったな」

僧侶「え? 将来の夢はないんですか?」

傭兵「夢を思い描ける歳にもどりたい」

僧侶「あっ…ごめんなさい」

傭兵「ガキの頃から戦いっぱなしだったしなぁ」

傭兵「明日の糧を得るのに精一杯だったからあんまり漠然とした未来のことは考えなかったな」

傭兵「唯一叶えたい夢はあった」

僧侶「えっ、それってなんですか!?」

傭兵「…内緒♪」

僧侶「ど、どうして内緒なんですか…」

傭兵「じゃあヒーラちゃんの将来の夢を教えてくれたら、教えるかも」

僧侶「えっ!?」

僧侶「ええっと……」もにょもにょ

僧侶「およめ…さん…です」

傭兵「聞こえない。あそこを飛ぶカモメに聞こえるように」

僧侶「もうっ! お嫁さんですっ! 悪いですか!」

傭兵「悪くないよ。ヒーラちゃんなら素敵なお嫁さんになれると思う」


僧侶「…でも、ほんとは帰ったら大神殿を継がなきゃいけないんです」

傭兵「あーヒーラちゃんの実家の」

僧侶「はぁ…気が重いです」

僧侶「私に国の大神官なんて務まるのでしょうか。世襲よりもっと実力を考慮して…」ブツブツ

傭兵「けど帰る家があるのはいいことだと思うぞ」

僧侶「すいません。ソル様はおうちが無いんでしたね」

傭兵「俺はどうすっかなー」

傭兵「またどこかふらふら彷徨うことになるのかな」

僧侶「えぇええ! ダメですよ!」ガシッ

僧侶「そしたら私の夢かなえられなくなっちゃうじゃないですか!!」

僧侶「…あ゛」

僧侶「あう…聞かなかったことにしてくれませんか」

傭兵「…わかってる。ヒーラちゃんたちを置いてどこにもいったりしないよ」なでなで

傭兵「旅がおわったらちゃんと話合おう」



傭兵「さて、ユッカの様子でも見に行くかな」

僧侶「私そろそろ晩御飯の仕込み手伝ってきます」

僧侶「お昼にユッカ様が厨房にご迷惑かけてしまった分の謝罪もありますし」

傭兵「あー悪いな」

僧侶「いえ、ほんとはソル様とお話してたいたかったですけど」

傭兵「船旅は長いから時間はたっぷりあるぞぉ、それこそ暇で暇でしかたなくなるくらいにな」

僧侶「……あ、あのっ」

傭兵「?」

僧侶「お話だけじゃなくて、お、おひるね…もしてくれますか?」

傭兵「心配しなくてもちゃんとヒーラちゃんのことも見てるよ」

傭兵「約束な」

僧侶「はいっ! 荷物から耳かき出しておきますね!」

傭兵「そりゃ楽しみだ」




傭兵「ユッカは…っと。お、いた」


勇者「ああうう…でないー」ぷすっ ぷすっ…

魔女「意識を集中して」

魔女「頭のなかに鮮やかに炎をイメージする」

魔女「魔力を練り上げて、一気に放出」

勇者「はぁ!!」ぷすっ ぷすっ…

勇者「くんくん。それっぽい臭いはするんだけどね」

魔女「…おかしい。才能は十分にあるはずなのに…」

勇者「こんな海のどまんなかで炎のこと考えるの無理だよぉ」

魔女「…問題は集中力」

勇者「晩御飯まで釣りでもしようよ! タコつるぞー」

勇者「そしたらカリカリに焼いてたべよう!」

魔女「…そしてこの危機感のなさ」


傭兵(なかなか難航しそうだな)


傭兵「よぉ。釣りなら俺も混ぜろ」

傭兵「晩飯のおかず増やそうぜ」

勇者「いいよ! 勝負しよ!」

魔女「どうやるかわからない」

勇者「餌をつけた釣り糸をたらして、食いついたら竿をぴゅーんってあげるだけだよ!」

魔女「…そう。餌はどれ」

勇者「ここの箱に入ってるよ。はい、餌!」ぱっ

虫「キィ!」ぴょこ

魔女「!!」

勇者「これを針に刺して」ぐさっ

虫「  」

魔女「!!!?」

勇者「海にポーイ」

魔女「~~~っ!?」

傭兵「顔ひきつってるぞ」

勇者「なにが釣れるかなー」 ちゃぽん

魔女(魔法で釣る方法を考えなきゃ…)



<数十分後>


傭兵「かかんねーな」 

勇者「ふぁ…ご飯まだかな」

傭兵「見ろ。マナがたそがれている…」

勇者「ルアーにしたらよかったね」

魔女「…あ、竿がなにかひいてる」

勇者「きた!? ひいてひいて!」

魔女「ど、どうすれば…」

勇者「手伝うよ! えいっ」

魔女「…!」

ちゃぷ

勇者「なんだークラゲがひっかかっただけか」

魔女「…魚?」

勇者「どうみても魚じゃないよ!」

魔女「これはどうしたらいい」

勇者「海に返したら?」

魔女「…ぷにぷにしてる」



僧侶「あら、仲良く釣りですか」

僧侶「なにか釣れました?」

傭兵「マナがクラゲひっかけただけだ」

魔女「…おもしろい。魚より好き」ぷにぷに

勇者「毒針もってるやつもいるから気をつけて!」

魔女「そうなの。気をつける」

魔女「せっかく釣れたし、バケツで飼ってみる」

傭兵「飼うようなもんじゃないが…まぁいいか気に入ってるし」

魔女「クラゲ…素敵な生き物」ジー

勇者「タコ釣りたかったなー」

僧侶「嫌いじゃなかったですか」

勇者「オクトピアで最後に食べたタコはあんまりブニブニしてなくておいしかった!」

僧侶「では夕ごはんも安心ですね」ニコッ

勇者「え、もしかしてタコ?」

僧侶「お刺身でふるまわれるみたいですけどね」

勇者「ええ……」



勇者「…」もぐもぐもぐ…

勇者「うう。うえ……ソル、口あけて」もぐもぐ…

傭兵「絶対嫌!!」




<深夜>

【船室・一人部屋】



カチャ


傭兵「どうした。またうずいてきたか…ってなんだマナか」

魔女「空いてる?」

傭兵「空いてるって、あぁ、俺ひとりだけど」

魔女「ユッカもヒーラもこない?」

傭兵「もうこの時間だからな。一緒に寝てたんじゃないのか」

魔女「寝てる」

魔女「けど深夜にとりつかれたように起き上がって出て行くことは何度かあった」

傭兵「今日はさすがにこないだろ。新月でもないしな」

傭兵「そういや満月が近いな…」

魔女「また、大きな目が開かれる」

傭兵「不安なのか? 前もそんなこと言ってたな」

魔女「窓を閉めていても、高まる魔力からは逃れられない」



魔女「というのは、置いといて」

傭兵「あん?」

魔女「本当はあなたを求めに来ただけ」

傭兵「おい…」

魔女「不思議と眠られなかったから」

魔女「相手になって」もぞもぞ

傭兵「お、おい入ってくんな」

ぎゅっ

魔女「それとも、ユッカとしすぎてもう無理…?」

魔女「なら私特製のこのお薬で」

傭兵「あーわかった、わかったからそれは勘弁してくれ。それ翌日辛いんだよ」

傭兵「要はセックスしたいんだな?」

魔女「…」コクン

傭兵「ムラムラしてんの?」

魔女「わからないけど。3号じゃ物足りない」

傭兵「え、いま入ってんのか…?」

魔女「あれ以来かかさず入れてるけど……」

傭兵「え……。お前…ゆるくなるぞ」

魔女「…」ぼかっ



第23話<将来の夢>つづく

更新おわり
次回明日22時頃~

乙です

マナのガバマンにつっこみたいぞ

ずっとシリアス読んでたからこのノリ久しぶりだ

エロ無しから一気にエロ展開だな。
おつ

乙!
マナはクラゲにどんな名前を付けるのだろうww

乙、久々ののんびり展開を堪能してる

タコを焼くところをイメージしたらメラできるんじゃないかもしかして

釣り針に生き餌付けられないマナ可愛い
俺も無理だけど

乙!

もしかしてクラゲは魔翌力持ってないのか

第23話<将来の夢>つづき



マナは下着をずり下ろして、俺に恥部をみせつけるように足を開いた。
股の間にはずっぽりと木棒が突き刺さっている。
むわっと辺りにマナの匂いが拡がった。


傭兵「ほんとに入れてるんだな…」

傭兵「抜くぞ?」

魔女「…」コクン

傭兵「よ……っと」

ずちゅ…ちゅ…ぷ…

魔女「…ぁ…っ、うっ」


傭兵「すげぇぬるぬる…だいぶマナの汁吸ってるな」

魔女「机に置いて。あとで乾かす」

傭兵「おう…」

魔女「…?」

木棒を抜いた後、マナの膣穴は閉じることなくぽっかりと開いていた。
赤く染まった陰唇と、膣内がいやらしくヒクついていて、俺は誘われるように顔を近づけた。

魔女「…!」


魔女「や…舐めるのはダメ」

傭兵「マナのエッチなお汁が垂れるのはもったいない」

魔女「な、何を言ってるの!」

魔女「んっ…はァ…」

俺はマナの膣穴に下をねじ込んで、膣内を舐めた。
いつにも増して、濃厚な匂いが鼻をかすめる。

魔女「や…そんなことしてほしくない」

傭兵「…マナ。エッチっていうのはただ単に挿入して射精しておわりってわけじゃないんだぞ」


腰をもぞもぞさせて俺の愛撫から逃げようとするマナを捕まえて、ベッドへと押し倒した。

次は足を大きくひらかせて、未発達の性器をよく観察できるようにする。
ランプを近づけるとマナは顔を真赤にして抵抗した。


傭兵「ここ、ちゃんと洗ってるか?」

魔女「…洗ってる」

傭兵「…ほんとに? またマナのここに小さい白いのついてるぞ」

魔女「や、やめ…っ」

ちゅ ちゅむ

魔女「う…あぁぁ…」


傭兵「おまんこ綺麗にしような」

俺は陰唇や陰核のまわりにこびりついたマナの塊を下で丁寧に舐めとった。
芳醇な匂いがする。
一日入れっぱなしだったということは、かなりの分泌液がたれていたのだろう。

それが時間ともに乾いて固まって、マナの膣を飾っていた。


魔女「ぁ…あぁっ。そこは…嫌。恥ずかしい」

傭兵「ばっちぃままセックスしにくるほうが悪いんだぞ」

傭兵「こんなことされたくなきゃちゃんと洗って綺麗にしておけよ。ちゅむ」

魔女「ごめんな…さい」

傭兵「まぁ俺は歓迎だけどな」

傭兵「こんなに濃厚なマナを味わえるなんてめったにないからな」

魔女「ううう…」


マナは口では平気でペニスセックスと卑猥な単語を連呼するくせに、いざ行為になると萎縮してしまって俺にされるがままだ。
もう全く抵抗する意思もみせず、俺が舐め終わるまで彼女は顔を赤らめてじっといた。



傭兵「こんなものかな」

傭兵「おっと」

俺は淡い色の包皮に護られたマナの陰核に目をつけた。
これを剥いたらもしかしたらまだ汚れカスが残っているかもしれない。


傭兵(剥いてみるか)

皮の上からちょんと触るとマナは過敏な反応をみせた。

魔女「…あうっ。なにをしたの」

傭兵「どうした」

魔女「体に電撃がはしったみたいな…」

傭兵「敏感なんだな」

俺は指先にたっぷりと愛液をぬりたくってから、マナのぷっくりとした萌芽をすりすりと挟むように擦った。

魔女「ああああっ! なにっ!」

傭兵「むくからじっとしてろよー」

魔女「え? え……ああっ」

くにゅり

魔女「んっ…♥ ふっ…うう」

傭兵「やっぱりちょっとだけついてる」


小指の先ほどもないとても小さくて敏感なクリトリスを舌先でつついていると、
マナは声を漏らしながら短く鳴いた。

傭兵「マナのここはほんとにおいしいな」

傭兵「もしかして俺に味あわせるためにわざと綺麗にしてないのか?」

魔女「…っ」フルフル

傭兵「おしっこしたくなってきたか? また俺に飲ませてみるか?」

魔女「し、しない!! すませてきた…」

傭兵「どうりで」

魔女「!!」

傭兵「おしっこくさいとおもった」

 ちゅむ…ちゅぷ…ちゅう…


魔女「~~~っ!」

魔女「あっ、ああっ…頭がじんじんする…」

傭兵「俺に汚いおしっこくさいおまんこ舐められて気持ちよくなっちゃってるんだろ」

魔女「ぅぅ……あああっ♥」



俺は陰核をしつこくなめつづけながら、膣内にも指をもぐりこませた。
トロトロのそこから更に愛液がこぼれて、ベッドのシーツを汚した。


傭兵「あーあ。こんなに汚して。俺今夜ここで寝るんだけどなー」

魔女「…うっ」

傭兵「ごめんなさいしろよ。エッチなおまんこ汚くてごめんなさいって」

魔女「ご、ごめんなさ…いっ」

傭兵「ちゃんと何がごめんなさいなのか言え」

ちゅくちゅくちゅくちゅく 

魔女「んぅっ…ふ…う♥」

魔女「私の…エッチなおまんこきたない…から。ごめんなさいっ」

傭兵「それと綺麗にしてくれてありがとうは?」

魔女「…!」

傭兵「言えないなら…やめちゃおうかな。残念だなもうちょっとでイケそうなのにな」

ちゅく…ちゅく…

魔女「い、いうから…途中でやめちゃいや…」

魔女「お、おまんこ…きたないおまんこきれいになめてくれて…ありがと…う…。ううう…」

傭兵「最後におねだりできるよな?」

魔女「え…。あっ、あ…きもちよくしてっ」

魔女「私のおまんこにあなたのペニスいれて…気持ちよくしてほしい…っ」


傭兵「ほんとにエッチなやつだな」

傭兵「まぁ自分から誘ってきたんだし、お前はそういうやつだよな」

俺は下を全て脱いでいきりたった肉棒を取り出した。
マナは期待と不安のまじったような複雑な表情でそれをじっと凝視している。

愛撫で蕩けきった膣はずっとヒクついていて、俺が入り込んでくるのをずっと待っているかのようだった。


傭兵「いくぞ。今日はきっと痛くないからな」

魔女「…♥」コクコク

傭兵「力ぬけよ……ん」

じゅぷ…じゅぷ……


拡張してもいまだ狭いマナの膣内にペニスはすんなりと沈んでいった。
未発達の肉襞をかきわけて、陰液を混ぜあわせながら最奥へと突き進んでいく。

魔女「んぅ~~~っ♥♥」

魔女「あぁぁあう♥♥」

執拗な攻めですでに限界近かったマナは、たったそれだけで達してしまった。
それもそのはず。
こいつは俺のペニス欲しさにずっと日夜恥部の拡張を続けている。
精神的にもずいぶん満たされている、というのは俺のうぬぼれだろうか。



 じゅぷ じゅぷ じゅぷ じゅぷ


魔女「あっ…あっ…ううっ♥」

魔女「きもち…いい…はっ、あっあっ♥」

魔女「あなたの…ペニス…奥までとどいて…」

魔女「3号入れるよりずっと♥ きもちいいっ♥」

傭兵「当たり前だろ。女を気持ちよくさせて孕ませるためにあるんだからな」

魔女「孕む…」

魔女「射精…中でしてっ♥ 孕みたい♥」

傭兵「言われなくても中でだすよ」


 じゅぷ じゅぷ じゅぷ じゅぷ
   じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ

魔女「ああぁあっ♥」

魔女「孕むっ、あなたの赤ちゃん妊娠しちゃう…♥」

魔女「子宮の入り口に…ごちゅごつあたってる♥」

魔女「あっ♥ ああっ♥」

魔女「だめ…イクっ、イク…♥」



マナの膣内が食いちぎられそうなほどぎゅうぎゅうに締め付けられる。

どうやら上側が弱いようで、そこをカリでえぐるようにこすると、
マナは普段聞けないような甲高い声をあげながら何度も絶頂した。 


魔女「イク…またイク♥」

傭兵「何回もイケて羨ましいな。そろそろ俺も出すよ」

魔女「ほしい…っほしい!」

傭兵「どこに出してほしいって」

魔女「おまんこの中…っ♥ 私の子宮のなかにいっぱい流し込んで」

魔女「赤ちゃんつくるっ♥」

傭兵「よく言えたな。ほら、イッちゃえ」

 じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ
  じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ
 じゅぷんじゅぷんじゅぷん

魔女「う…く…ああああ~~~っ♥♥」

魔女「あたま…おかしく…な♥ るぅ…♥」

魔女「ああっ♥ あああっ♥」

魔女「イクっ…イク!! う…ああああああ♥」


マナはひときわ大きな嬌声をあげて俺をしぼりとった。
吐き出された欲望がマナの中に流れ込んで、2人の結合部を真っ白に汚していった。




  ・   ・   ・



魔女「よくよく考えたらあなたの弱い精液では妊娠しない」

傭兵「…」ぼかっ

魔女「!」

傭兵「おまえってやつは…なんつーこと言いやがるっ!! ううう…」

魔女「で、でも平気…きっといつか、あなたも魔力に目覚める日が来る」

傭兵「そうかい…」

魔女「それに妊娠したら旅が続けられない」

魔女「すごく得心が行った。これはきっと私とあなたの運命」

傭兵「お前いつも俺に運命感じてるな」

魔女「…」コクコク

魔女「あなたに抱かれると嬉しい気持ちになる。こんな人に出会ったのははじめて」

魔女「私の薄暗くじめじめしていた未来は、あなたと出会ってからずっと輝いている」

傭兵「お、おう…?」


魔女「将来は決まった。子を宿してあなたに責任をとってもらう」

魔女「そのためにあなたが魔力を手に入れる方法を探さなくちゃ」

魔女「次の街に図書館があれば嬉しい…たくさん調べることが溜まっている」

傭兵(なんだかなぁ)

傭兵「そのさ、ユッカの魔力貸与じゃやっぱダメなのかな」

魔女「あなたは借り物の魔力で私を孕ませるの?」

傭兵「はい。すいません」

魔女「…」ピトッ

傭兵「そろそろお眠か?」

魔女「もっとあなたを知りたい」

魔女「私は自分のことをよくわかっていないから。せめてあなたを知りたい」

傭兵「俺もだよ。俺も、自分がなんなのかわからない」

魔女「私達はよく似ている」

傭兵「そうだな」なでなで

魔女「だから体の相性が良い」

傭兵(それはどういう理屈だ…)

傭兵(そもそもようやく出来るようになったばっかりなくらいちぐはぐな体格差だが……)

魔女「どうして何も答えないの」



傭兵「寝ような。俺と一緒なら満月も怖くないんだろ?」

魔女「明日も一緒じゃなきゃだめ」

傭兵「分かった。夜はマナと一緒にいるよ」

魔女「んぅ…」チュッ

傭兵「…自分からしてくるなんて珍しい」

魔女「キス。きもちいい…♥」

魔女「いっぱいキスして寝たい」

傭兵「やらしーやつだな」

傭兵「おいでマナ」


その晩マナを抱きしめて眠りについた。

船は洋上。まだしばらく陸地を踏むことはない。

窓の外では月がいよいよ満ちようとしていた。

今夜のマナは、とてもおだやかな顔で眠っていた。



<翌日>



魔女「弱っている…」

勇者「それどうするの?」

魔女「なぜ…」つんつん

クラゲ「…」

勇者「釣り糸ひっかけたときからこんな感じじゃなかった?」

船員「お、昨日釣りしてたお嬢ちゃん達だな」

魔女「弱っている」

船員「魚か?」

勇者「クラゲが死にそうなんだけどどうしたらいいの?」

船員「クラゲなら海に返してやったらどうだ?」

魔女「…」フルフル

魔女「少しの間でいいから飼いたい。船の中は暇」

船員「そうかぁ。けどそのちっこいバケツじゃなぁ。もっとたくさん海水をいれねーとな」

船員「もしかしたら船内で生け簀が余ってるかもしれないから見てきてやるよ」

勇者「ありがとー」



魔女「ジェリー。元気だして」

勇者「じぇりーって名前?」

魔女「…そう」

勇者「クラーゲンがいいよ! クラゲのクラーゲンにしようよ!」

魔女「ややこしい」

魔女「ジェリー、もうすぐ広いところに移れる」

勇者「こんな狭くて暗い器の中じゃ息苦しいよね」


ローブの男「そうなのです!」

勇者「え? 誰」

ローブの男「そう。せまくて暗い器のなかでは存分に力を発揮することはできない」

魔女「?」

ローブの男「あぁわが主よ。あなたの器を探して私は果てしない海へ~」

勇者「お茶碗でもさがしてるの?」

ローブの男「そうそう少女たちよ。水槽なら物置にありましたよ」

ローブの男「ぜひ、移してあげるとよいでしょう」

ローブの男「ではまた」


勇者「…? あんな人乗ってたっけ」

魔女「知らない。取りに行こう」

勇者「うん!」


第23話<将来の夢>つづく

更新終わり
次回更新明日22時~

とうとうあの局面となってしまうのか

乙!
ソルさーん怪しい人居ますよー(棒

おつ

乙です

過去見てからだとソルそりゃ凹むな後天的に魔翌力全部与えちゃったわけだし

やばいな

体調不良につき更新ありませんスマソ
明日がんばります

お大事にしてください

どうぞお大事に

無理しないで更新してくれよ

つ【栄養ドリンク】

自分のss読んでシコリすぎなんじゃないの?
自業自得だよ。

第23話<将来の夢>つづく




【船室・一人部屋】



僧侶「ふぁ~、船旅って暇なものですね」

傭兵「そうだな」

僧侶「持ち込んだ本、読みつくしちゃいました。もっとオクトピアで買っておけばよかったです」

傭兵「どんどん本増えていかないか?」

僧侶「いえ。読んだ分は買う時についでに売っちゃってます」

僧侶「あんまり荷馬車の中を私の荷物で占領するわけにはいきませんので」

傭兵「へぇ。読んだだけで覚えられるなんてヒーラちゃんはやっぱり賢い子だな」

傭兵「俺にも何か本貸してよ」

僧侶「そうですねぇ。魔導書なんて読まないですよね…えっと、じゃあ」ゴソゴソ

傭兵「暇つぶしになればなんでもいいけどな」

僧侶「んーっと…こ、これなんてどうですか」

傭兵「ずいぶんとくたびれた本だな」


僧侶「昔からよく読んでるので」

ヒーラちゃんはニコニコと表紙をめくった。
背表紙の一部は剥げていて、別の紙で補修した名残がある。
きっと幼いころから大事にしている本なのだろうと察した。


傭兵「ええっと…『箱庭姫』っていうのか、童話か?」

僧侶「はい」

僧侶「よければ読んでさしあげましょうか?」

傭兵「え、いいよ。子供じゃあるまいし…」

僧侶「…」

傭兵「あーわかった。読んでほしいな~」

僧侶「ではこちらへ」

そういってベッドの上で正座をし、膝をぽんぽんとはたく。

傭兵「…いいのか?」

僧侶「どうぞ」



僧侶「えへへ…」

傭兵(読み聞かせがしたいんだな)

いまはユッカもマナもいない。
せっかくふたりきりなのだから、これくらいはしても大丈夫だろうと思った俺は、遠慮無くヒーラちゃんの膝の上に頭をのせた。
視界がたぷんとした大きな膨らみでさえぎられる。


僧侶「あ、あの…横向きで。耳かきするときみたいな姿勢でお願いします」

傭兵「あぁ悪い」ゴソッ

僧侶「はうっ…頭を動かす時は、一度首をもちあげてくださいねっ」

傭兵「それも悪い」

僧侶「それじゃあ読みますよ。あんまり長くないので、聞いててくださいね」

僧侶「むかーしむかし…」



   ・   ・   ・




僧侶「そして2人は末永く幸せに暮らしました」パチパチ

傭兵「…」


本当に短かった。
中身はよくある恋愛劇で、王宮で小間使いをしていた少女が
王子に見初められて恋に落ちるというものだった。

しかし、身分不釣合いがゆえに2人は人目のない小さな箱庭のような庭園で密会することしかできなかった。

やがて王子は隣国の王女と政略結婚をすることになる。
時を同じくして少女もまた、とある貴族と婚約を交わしていた。
話の結末は、少女への愛を想いを捨てきれない王子が国を捨て、彼女の手を取って逃避行にでる、というものだった。


僧侶「どうでしたか」

傭兵「なんというか…メルヘンチックだな」

僧侶「ですよね! 素敵ですよね…」

傭兵(その後国がどうなったのか気になって仕方ない…)



傭兵「ヒーラちゃんこういうのに憧れてたんだ」

僧侶「そ、そんなことないですよ?」

傭兵「話を聞きながら、境遇が少しだけ似てる気がしてたんだ」

僧侶「…」

僧侶「私、ずっと箱庭の中で暮らしていたんです」

僧侶「だからこうして広い世界に出られて、いろんなことを知れて良かったです」

僧侶「ソル様とユッカ様に感謝しなくっちゃいけませんね」


大きな胸で表情はよくみえなかったが、ヒーラちゃんはくすくすと笑っていた。


僧侶「さて、このまま耳かきでもしましょうか」

傭兵「なんだか俺ヒーラちゃんの子供になった気分だ」

僧侶「ふふ。そうですか?」なでなで

僧侶「ソル様が小さいころはきっと可愛かったのでしょうね」

僧侶「まぁ、いまでもも可愛いですけどね!」なでなで

傭兵「この強面のどこが可愛いんだ」




 カリ… カリ…

  カリ カリ カリ


僧侶「どうですか。ここら辺がきもちいですか」

傭兵「あぁ。もうちょっとだけ奥でも大丈夫」

僧侶「カリカリ♪ うふふ、だんだんと眠たそうな表情になってるんじゃないですか?」

傭兵「ヒーラちゃんのやわらかい膝枕と耳かきの連携がきもちよくて…」

僧侶「このままおやすみになってもいいんですよ」なでなで

傭兵「うあ…」

僧侶「うふふ…」


ガチャ

勇者「ここ空いてるよ! この机に置こうよ!」

魔女「うん」

勇者「よいしょ」ゴトッ


僧侶「ユッカ様とマナちゃん…」

勇者「あー! ヒーラとソルイチャイチャしてる!」

傭兵「な、なんだお前ら! 船内探検してるんじゃなかったのか」

勇者「クラーゲンのおうちをさがしてたんだよ」

魔女「ジェリーだから」



ユッカは大きな水槽を机の上に設置し、そこにマナがバケツから海水とクラゲを流し込んだ。


傭兵「なぜ俺の部屋でやる」

勇者「だってボクたちの部屋は荷物でいっぱいだもん」

魔女「ここに置かせて」

傭兵「それはかまわないが…どうしたんだその水槽」

勇者「借りてきた」

傭兵「はぁ…クラゲかよ…どうせなら魚入れろよ」

魔女「私達は静かにしてるから。気にしなくていい」

勇者「うん。クラーゲン見てるだけだから」

魔女「ジェリー!」


僧侶「すいませんソル様…お騒がせしました…」

傭兵「あ、ああ…」


ユッカとマナは水槽の前に座ってじーっとクラゲが漂う様を眺めていた。

魔女「へんな足」

勇者「こうしてみると結構おいしそうに見えるね」

魔女「食べちゃダメ」

勇者「生ではたべないよぉ。絶対こいつブニブニしてるもん」



僧侶「どうしましょう…中途半端におわっちゃいましたね」

傭兵「ほんとあいつらときたら…」

勇者「おかまいなくー」

傭兵「おかまいなくじゃねぇよ!」

魔女「私たちもインテリアの一部だとおもっていい」

傭兵「…」

勇者「ほらヒーラ。ソルをまたせてるよ」

僧侶「は、はいっ」


そして言われるままに耳かきを再開するものの、どこか気持ちは上ずったまま俺たちに安らぎは訪れなかった。


僧侶「ごめんなさい」

傭兵「ヒーラちゃんは謝らなくていい…」

勇者「ふぁ…クラゲみてると眠たくなってきちゃったよ」

勇者「ねーボクもそっちいっていい?」

傭兵「え? うおっ」

どさっ

ユッカが横になって、俺の腕の中にすっぽりと収まってくる。

勇者「いいなーヒーラ。ボクもソルに耳かきしたいなー」



僧侶「えっ、だめですよ。これは私のお仕事なんです!」

僧侶「不慣れな人がやると鼓膜に傷がついちゃったりする大変危険な行為なんですよ!」

勇者「…へーーー」

勇者「まぁいいや。おやすみー」

傭兵「お、おいここで寝るな! 部屋にもどれ」

勇者「ボクはここがいいなー…zzz」

傭兵「はぁ。なんなんだ」

僧侶「ユッカ様ったら困ったちゃんですね?」


マナはというと、水槽を挟んでずっとこっちの様子を伺っていた。

傭兵「お前もくるか」

魔女「…!」

呼ぶと勢い良く立ち上がり、トコトコと近づいてきてベッドに飛び乗った。
そのまま俺の背中側にしがみつく。

傭兵「俺うごけない…」

魔女「…おやすみなさい」すりすり

傭兵「せまいからせいぜい落ちないように気をつけろよ…」

傭兵「ヒーラちゃんごめんな。反対側の耳かきできなくなった」

僧侶「えぇ。でしたらまた今度」なでなで




<夕方>


傭兵「ん…何時だ。真っ暗だ」


どうやらずいぶん長く4人で眠っていたようだ。

体が動かない。

傭兵(そうだ…ユッカとマナにしがみつかれているんだった)

俺はいつのまにか仰向けに眠っていて、両腕には2人の少女が思い思いに抱きついて眠っているのだろう。
がっちりと挟み込まれて動かすことができないでいた。

しかしそれにしても視界が暗い。そしてなにやら顔が暖かい。

傭兵(なんか重くてやわらかいものがのっかっているような…)

勇者「ふぁ~~~っ」

勇者「ん…ゆ…あれ、もう夕方?」

傭兵「夕方? バカ言え真っ暗だぞ」

勇者「あ……ぷくく」

傭兵「なんだよっ。俺が寝てるうちにアイマスクでも勝手につけたのか」


やや苛立った俺は視界をふさぐ何かをわしづかみにした。



僧侶「ひゃうっ!!」ガバッ

素っ頓狂なヒーラちゃんの声とともに視界がひらけた。
たしかに夕方だ。小窓から赤々とした夕日が差し込んでいる。
そして目の前には例の膨らみ。
この角度から見るのはこれで何度目だろうか。


勇者「あーあ。そのままがおもしろかったのに」

僧侶「な、なんですか!?」

僧侶「…胸触ったのユッカ様ですか」

勇者「ううん」

傭兵「胸…! まさか」

たぷん…

傭兵「なるほど…」

僧侶「あっ! もしかして私、このまま寝ちゃってました!?」

勇者「ヒーラがね、ソルの顔におっぱいむぎゅって押し付けて…ぷくく」

勇者「ソルったら真っ暗だーなんて言っちゃって馬鹿みたいでおもしろかったよ」

僧侶「ごご、ごめんなさい~~~息苦しくなかったですか!」

傭兵「いや…別に」

傭兵(そうか、これが原因だったのか…)

傭兵(また今度してもらおうかな)


傭兵「ヒーラちゃんこそ大丈夫か。足しびれてないか」

僧侶「うーんと…イタタ。ちょっとしびれちゃってます」

勇者「えいえい」つんつん

僧侶「ひゃっ。もうっ、ユッカ様ぁ!」

魔女「…zzz」

傭兵(こうしてると平和だなぁ)


俺たちにとって、この船旅はつかの間の休息だった。
海賊事件も解決し、海の魔物に襲われる気配もなく、全てが順風満帆に思えた。

しかし大陸につくとすぐさま新しい旅と『奴』が待っている。


傭兵(いまのうちにたくさん触れ合っておかなきゃな)

傭兵「のどかわいたな。何かもらってくる」

勇者「ボクは果物のお酒!」

傭兵「ジュースと。ヒーラちゃんは何する」

僧侶「お水でお願いします」

傭兵「おう」

ちちくりあう2人を横目に俺はベッドを降りて扉へと向かった。


傭兵「ん?」

扉の隙間に一枚の紙が挟まっていた。


勇者「なになにー? どうしたのー」

魔女「…眠い」ゴシゴシ

傭兵「手紙だ」

僧侶「船の上で手紙ですか? 一体どなたからですか」

傭兵「差出人の名前はどこにも書いてないっぽいが。とりあえず読んでみる」

傭兵「……」

勇者「なんてかいてあるのー?」ピョンピョン

傭兵「ん。夜になったら甲板でパーティをするから是非参加してくださいってさ」

勇者「ほんと!? パーティ!」

僧侶「私達がお昼寝してたので手紙で教えてくださったのでしょうか」

傭兵「天気もいいし、楽しそうだから行ってみるか」

勇者「行きたい! ごちそうあるかも!」

傭兵「マナ、お前も行くか? 眠たいか?」

魔女「…行く。けど」ぎゅっ

傭兵「?」

魔女「今日はあなたの隣から離れないようにしておく」

勇者「そっかぁ。満月の日だもんね」

魔女「他の人に近づくと危険かもしれない」



部屋を出てから甲板に向かうまで誰ともすれ違うことがなかった。
広い客船にはたくさんの人がのっていて、みんな暇つぶしにと船内を徘徊したり備えられた遊戯室に寄り集まったりしている。
今日は客達はすでに甲板に集まっているのだろうか。


【甲板】


傭兵「なんの準備も出来てねぇな」

僧侶「机の1つすら用意されて無いですね…」

僧侶「本当にパーティがあるのでしょうか」

傭兵「こんだけ人は集まってるのにな…」

勇者「ねぇ。なんだか変だよ」

傭兵「妙だな。聞いてみるか」

勇者「うん。甲板に出てからずっと何かの魔力を感じるんだ…」

魔女「私も」

傭兵「あの、すいません」

船員「……」

乗客「……」

魔女「気をつけて。様子が変」



傭兵(なんだこいつらの目…まるで意思を感じない)

勇者「あのっ、パーティがあるって聞いたんですけど…」

船員「……」

勇者「おじさん?」


傭兵「まずい!」

ユッカの話かけた大柄の男は突然拳を大きく振り上げ殴りかかってきた。

勇者「うわっ!」

ユッカはそれをとっさに後ろに飛んでかわした。
子供とはいえさすがの身のこなしで、素人の攻撃が当たることなどまずないだろう。

勇者「な、なにするの!」

船員達「……」

乗客達「……」

勇者「…この人たち…」

魔女「魔力の流れが変。誰かに操られている可能性がある」

傭兵「何」

そして甲板の上の俺たち以外の大勢の人間は、そこらの物を手に取り、一斉に俺たちに向かって襲いかかってきた。

傭兵「敵の罠だったのか!」

僧侶「どうしましょう!」



次々と襲いかかる攻撃を俺たちはひたすら避けたり受け流していたが、それではらちがあかない。
取り囲む人数が次第に増えていく。
中には剣や刃物を人間も現れだした。


傭兵「反撃しなきゃまずいぞ」

僧侶「いけません! この人達は一般の方です」

傭兵「魔物の手先って可能性もあるだろ」

勇者「ううん違うよ。悪い人たちじゃない! ボクはわかる」

傭兵「お前がそういうなら…けどよ」

傭兵「マナなんとかなんねーか」

魔女「どうやって操っているのかわからない」

魔女「【マリオネット】のように魔力で無理やり身体をあやつっているわけではなくて、精神系の操作を受けているのかもしれない」

魔女「私にはどうにもできない」

傭兵「く…まずいな。囲まれてしまう」

傭兵「ヒーラちゃん結界は?」

僧侶「ダメです。私の進化した結界は邪な心を持たない人は弾けませんし、弾けたとしても大怪我を負わせてしまいます」

傭兵「ダメか…なら浄化してみたら!」

僧侶「や、やってみます!」


勇者「お願いヒーラ!」

僧侶「はいっ! 浄化のシャワー!!」

▼僧侶の杖先から水流が上空へと立ち上った。

▼水流は細かい雫となりキラキラと甲板全体に降り注ぐ。


船員達「……」ジャキン


僧侶「ダメです…効果がありません」

傭兵「俺はともかく、マナやヒーラちゃんが攻撃を避け続けるのは限界が近い。蹴散らすしかねぇか…」

傭兵「…!」


解決策を探しながらも入り乱れる中で、俺は一人不審な人物を見かけた。
そいつは群衆を遠巻きに立ちつくしていて、こちらを様子をただ伺っているだけだ。
闇夜に漆黒のローブを身にまとうその姿は異様だった。

睨みつけるとそいつはおどけたように笑った。そして。


ローブの男「なかなかしぶといですね」

ローブの男「やはり勇者の一味はそうでなくては」

傭兵「この騒ぎはお前のしわざか!」

勇者「あっ、あの人…」


ローブの男「お初にお目にかかります」

ローブの男「いえ、子どもたちには昼間お会いしたのですがね」

勇者「水槽教えてくれた人だ!」

ローブの男「…ふ」

男がすっと手をあげると、俺達を切りつけていた船員達はみな一同に動きを停めた。

僧侶「あなたが操っているのですね!」

ローブの男「…ほぉ。なかなか良い魔力をお持ちで」

ローブの男「あなたも我が主の器にふさわしい逸材だ」


男はニタリと笑い、不愉快な視線でヒーラちゃんをジロジロと眺め回す。


傭兵「器だと」

ローブの男「おっと口を滑らせるところでした」

傭兵「お前は何者だ」

ローブの男「フフフ…」

ローブの男「覚えていないのですか。そういえば、あなたは私のことを知りませんでしたか」

傭兵「何…?」


男はローブを脱ぎ捨てた。
中からは陰気な面をした長い髪の男が現れた。

その途端ユッカ達が短く声をあげた。

勇者「あぅ…なんだこの魔力…気持ち悪い」



闇呪術師「私は魔王様の眷属。三魔人のうちの一人」

闇呪術師「名前はクロノ。おもに闇の呪術を担当する者です」


僧侶「闇の呪術師…! あなたが…」

勇者「ソル…この人…魔族じゃないよ」

傭兵「何っ」

闇呪術師「ほぉ。すばらしい魔覚をお持ちだ。さすがは勇者」

闇呪術師「いかにも。私は人間です」

傭兵「人間が魔族に肩入れするのか」

闇呪術師「はい。魔族でありながら人間に力を貸す者もいますしね」

勇者「どうしてそんなことをするんだ!」

闇呪術師「お互いの野望のためと言ってしまえば、なにもおかしいことはありません」

闇呪術師「フフフ…」

傭兵「ここにいる全員操れるってことは、たいした魔力を持っているようだが」

傭兵「姿を現したのがうかつだったな。戦闘に関しちゃ素人だろ」

闇呪術師「お察しの通り武闘派ではりません。このように軟弱な身体でしてね」

闇呪術師「ですが、あなたたちを屠るのに力などいらないのですよ」

闇呪術師「この私の禁術があればね!」



闇の呪術師が腕を振り上げたと同時に、俺達の足元が輝き出した。


勇者「!」

傭兵「何!」

闇呪術師「彼らはあなたたちをそこへ誘い込むために利用したにすぎません」

魔女「これは…魔法陣…!」

僧侶「どうして!?」

闇呪術師「勇者という存在そのものを、この世から抹消してあげましょう!」

男は聞いたこともない言葉を詠唱する。
と同時に俺は焼け付くような身体の痛みに襲われた。

傭兵「あ…ぐぁっ…」

勇者「ソル!?」

僧侶「ソル様!!」

激しい頭痛とともに視界が薄れていく。

傭兵(せめてこの子たちだけでも逃さなくては…)

傭兵「が…ユッカ……」

勇者「ソル!」

そして俺は意識を手放した。




  ・   ・   ・



勇者「そん…な…」

僧侶「ソル様が…」

魔女「……」


闇呪術師「どういうことだ…確かに小娘の存在を抹消するほどに時を巻き戻したはず」

闇呪術師「なぜあの男にしか効いていない…」

闇呪術師「ぐふっ…満月の夜でも私にこの術は重すぎたか…がはっ」

闇剣士「脆弱な人間が禁忌を扱うなど笑止千万」

幼竜「ぎゅるるっ」

闇呪術師「おお…迎えにきてくれましたか」

闇剣士「ふん…お前とて我が同志。我らが悲願のためここで失うわけにはいかないのでな」

闇呪術師「では、その前にあなたの力で奴らにトドメを」

闇剣士「……」


勇者「ソル…! ソル!」

赤毛の少年「――」

僧侶「ソル様…どうして」

魔女「小さくなった」

勇者「うわああああんソルぅー!! 死んじゃやだよー!!」ギュッ


闇呪術師「ですが戦力は奪った。さぁ、剣士殿奴らにとどめを!」

闇剣士「私は奴と決着をつける時を待っている」

闇剣士「このような結末に興味はない」

闇呪術師「…くっ、なにを悠長なことを」


勇者「お前!! ソルに何をした!! 答えろ!!」

闇呪術師「なぜだ…なぜ小娘3人に私の呪いが効いていないィィィ!」

闇呪術師「確実に呪術の発動範囲に入っていたはず…なぜだ。わからない」

サキュバス「そ・れ・は♪」ぬっ

勇者「!」

闇呪術師「!」

闇剣士「…くだらんな」

サキュバス「あたしが先に唾つけちゃったから♪」

闇呪術師「何…?」

サキュバス「残念♪ 呪いは上書きできないの。くすくす。って知ってるわけよね」


闇呪術師「貴様ァ…裏切り者が!」

勇者「サキュ…」

勇者「ねぇソルが…ぐすっ。ソルが死んじゃった…」

サキュバス「はぁ? 死んでないわよ。ほら」

勇者「えっ」

赤毛の少年「う…? あ……」

僧侶「ソル様!」ぎゅっ

勇者「ソル!」ぎゅっ

赤毛の少年「! 何だ!?」

僧侶「ソル様! 生きててよかったです…」

赤毛の少年「ここは…おれは一体…さっきまでおれは」

勇者「え…」

赤毛の少年「ていうかお前…だれだ…? おれにさわんじゃねぇ!」バシッ

勇者「ソ…ル…?」



第23話<将来の夢>つづく

更新終わり
次回明日夜22時~(予定)

満月の夜なのに何故サキュが出ているんだ?
別に出て来れないわけではないのか?

乙!
ソルの魔翌力まで戻ったりはしないよね…

>>816 乙!
唯一のチンコが小さくなったらユッカの経験的が増やせない!
マナとサキュって拡張セット以外で呪いを受ける何かあった?

闇剣士「私は奴と決着をつける時を待っている」
闇剣士「このような結末に興味はない」

呪術士頑張ったのに……温泉の時も思ったがどいつもこいつもポンコツすぎやしませんかね

ショタ化の呪いか…

>>820
たしかに凶悪な敵は狼男くらいしかいないね
万能サキュさんが出てくるだけで安心しちゃうわ

時間の巻き戻しでソルの魔翌力復活とかそういうアレ?

ひょっとしておねしょた展開?

更新明日です
おやすみ

おやすみなさい

おやすみ

お疲れ

第23話<将来の夢>つづき




勇者「どうして…ボクのことがわからないの」

僧侶「まさか…これはソル様の身体が縮んだわけではなくて…」

勇者「子供の頃にもどっちゃった……?」

傭兵「はなせって言ってんだろ!」

勇者「あ、暴れないで…」


闇呪術師「フフフ…」

闇呪術師「思わぬ邪魔が入ったが、これでやつらの戦力は大きく削ぎましたよ…」

闇呪術師「さぁ剣士殿! 戦いの矜持など捨てて早く奴らを!」

闇剣士「…」

サキュバス「ちょっと待ちなさい! あの子たちへの以上の手出しは許さないわよ!」

サキュバス「あの子たちはあたしが先に唾つけたんだから!」

闇呪術師「フッ…全天を光に覆われたこの夜に、貴様ごとき浅ましい生き物になにができる」

闇呪術師「見上げてみろ! 魔眼が貴様を監視しているぞ」

サキュバス「…」ギリッ

サキュバス「それでも力使い果たしてぜぇぜぇ言ってるあんたをしめあげるくらいできるわよ!」


闇呪術師「ぐっ…剣士殿! この聞き分けのない淫魔ごと切り捨ててください」

闇剣士「……退くぞ。乗れ」

幼竜「ぎゅるるっ」

闇呪術師「なぜです! この絶好の機会を逃す手はない」

闇呪術師「せっかく我が呪術によって…奴らを貶めたというのに…」

闇剣士(このような下劣な人間を三魔人に引き入れたのは過ちだったか)

闇剣士(だがこの魔力と呪術。まだ利用価値はある)

闇剣士「置いていくぞ」

闇呪術師「……くっ」

闇呪術師「フフフ…だが二度はありませんよ」

闇呪術師「私の魔力が戻り次第、次は火力を持ってあなたたちを屠ってあげましょう」

闇呪術師「それまでその子どもと仲良くしていることです」


勇者「お前! ソルを戻せ!!」

僧侶「戻しなさい!」

闇呪術師「フフフ…諦めることです。いいじゃないですか、レディ達に囲まれてもう一度新しく人生を歩みなおせるのですからね」

闇呪術師「まぁそれも短い命でしょうがね」

闇呪術師「では…また会いましょう」


闇剣士「……」

傭兵「……」

闇剣士(ふっ当たり前だがやつにも少年の頃があったのだな


闇剣士(研いだばかりのナイフのように鋭く尖っている。
戦いしか知らない美しく精悍な目つきだ)

闇剣士(貴様と再び刃を交える日を楽しみにしていたのだがな)

闇剣士(これで終わる運命なら、この程度の男だったというわけだ)

闇剣士「…飛べ」

幼竜「ぎゅるるるっ」


勇者「逃げるな!!」

勇者「くそぅ!!」

僧侶「どうしましょう…」


船員「いつつ…あれ、俺達こんなところで寝っ転がってなにしてんだ」

船員「おおい全員仕事場にもどれぇ!」

乗客「あれぇ、なんでこんなもの持ってんだ俺。ふぁー部屋戻って寝るか」


勇者「みんな正気を取り戻してる…」

傭兵「…」ギロ

勇者「でもソルは…ぐすっ」

勇者「うぇぇえんソルぅー」ぎゅ

傭兵「さわんじゃねぇ…」

サキュバス「とりあえず一度部屋に戻ったほうがいいんじゃない。頭いたくってさ」



【船室】



勇者「サキュ、ありがとね。ボクたちのために来てくれたんでしょ」

サキュバス「はぁ? べ、べつにそんなんじゃないけどさ」

サキュバス「ああいう陰湿な男がムカつくだけよ!」

勇者「でも、サキュの呪いがなければ。ボクも子供になってたよ」

僧侶「私もです…この呪いはすっっっごく腹が立ちますけど。おかげでなんとか助かりました」

魔女「私はどうして無事だったの。やっぱりこの力のせい…?」

サキュバス「そうなんじゃないの。あたしはおチビには何もしてないもの」

サキュバス「あーそうそう。ちなみにあんたらがあれ食らってたら、子供になるどころじゃすまなかったわよ」

勇者「え?」

サキュバス「あれはね、時戻しの魔法。魔法陣の中の対象の時を一定時間巻き戻す魔法よ」

サキュバス「陣に描かれていた時間はおよそ16年分。あんたたちはおたまじゃくしと卵ちゃんにもどってるわよ」

勇者「え、えう…」ぶるるっ

勇者「じゃあこのソルは…16年前の姿なの?」

サキュバス「そういうことね。記憶も頭の中も当時のものよ」

サキュバス「でしょ?」

傭兵「…悪魔たちがおれになんのようだ」

傭兵「おれをもとの場所にもどせ…おまえら全員殺してやる…」

サキュバス「こわっ」


サキュバス「ま、そういうわけ!」

勇者「どうしたらいいの…。呪いなんだから解く方法があるんだよね」

サキュバス「うーん。すっごく強力な類だから解ける人なんて術者以外にいるかしら」

サキュバス「そこに関してはあたしはどうでもいい!」

勇者「えぇ!? なにいってるの」

サキュバス「だって、あたしそいつの大人版嫌いだもん♪」

サキュバス「すぐズバズバ斬りかかってくるしぃー、おっかないじゃない」

サキュバス「この姿なら何かされても子犬に噛まれるようなもんでしょ」なでなで

傭兵「さわるな!!」

勇者「あばれちゃだめだよぉ…」

傭兵「おれはいま任務の最中なんだ」

勇者「任務…?」

傭兵「依頼された敵を殺さなきゃいけない」

傭兵「こんなところでお前たち悪魔と遊んでいられない」

勇者「でもここ船の上だよ…どこにも行けないよ」

勇者「それにサキュ以外は悪魔じゃないんだけど…」

傭兵「なぜ俺はここにいるんだ。お前たちはさっきから何の話をしている…!!」


勇者「どうしよう…」ヒソヒソ

僧侶「ほんとのこと伝えてもきっと理解できませんよ…」

魔女「黙っていたほうがいい」

勇者「あのねっ、キミは…そうだ。キミはここに突然瞬間移動してきたんだよ!」

勇者「だからすぐには帰れないの!」

勇者「船を降りたらキミを元の場所に返す方法を探してあげるから、それまで辛抱して!」

傭兵「…」

勇者「ね?」

傭兵「あと何日くらいだ」

勇者「3~4日だよ」

傭兵「……わかった。だがこの格好はなんとかしてほしい」

勇者「服ブカブカだね…そりゃそうか」

勇者「じゃあボクの服かしてあげるよ。着替えよ! こっちの空いてる部屋においで」

勇者「そゆことで、ボクがソルの面倒みるから!」

僧侶「えっ?」

サキュバス「……」

魔女「2人きりになるのは危険だとおもう」

勇者「まかせてまかせて!」

勇者「ほら行こ」

傭兵「…あぁ」



<船室・一人部屋>


勇者「ここがソルが使ってた…じゃなくて、キミがこれから使う部屋だよ」

傭兵「……ッ」

ボクが少年になったソルを部屋に連れ込んだ瞬間、
ソルは怖い目つきでボクを一瞬見てから、お腹におもいっきり肘打ちをくらせてきた。

勇者「うぎゅっ!」

傭兵「…はっ」

そして畳み掛けるように拳を何発も叩きつけられて、ソルは崩れかけたボクの背後に回って腕をひねった。

勇者「あっ…」

傭兵「…俺をこどもだとおもって油断したな」

傭兵「俺はこれでも傭兵。たとえ年上でもおお前のような子供ひとり…」


しかしボクにはそれらの攻撃はほとんど効いていなかった。
やれやれと息をついてから簡単に足を払って転ばせて、驚いた顔のソルを抱きかかえてベッドに放りなげてやった。

傭兵「なっ…! なんだこいつ」

勇者「ふぅ…あのね」

勇者「だめだよこんなことしちゃ。ボク女の子なんだから」

傭兵「女…?」

勇者「どうみても女でしょ」

傭兵「…人型のゴリラの魔物」

勇者「うるさいよ!」


勇者「一応…勇者だから強いの」

傭兵「…」

勇者「まぁいいや。はい服」

勇者「これ着てね」

勇者「あとボクが監視につくから」

傭兵「…」

勇者「ボクにはともかく、ヒーラやマナにあんなことされたらたまらないからね」

勇者「片時も目を離さないよ」ジー

傭兵「なっ…クソ」

勇者「…えへへ。にしても10歳かぁ。昔っからすごいねソルは」

傭兵「なんの話だ」

勇者「ううん。なんでもー」ニコニコ

傭兵「お前のほうが強いだろ…くそっ、女の悪魔にまけるなんて拘束されるなんてみじめだ」

勇者「ソルってさ、いまは何してるの?」

勇者「傭兵業って何?」

傭兵「お前に言う必要はない」

傭兵「俺は任務にしたがって、殺すだけだ」

勇者「……そっか」


ボクは着替え終わったソルをぎゅっと抱きしめた。
ソルは抵抗したけど、少年の力じゃ勇者であるボクの拘束を解くことはできない。

無性に寂しい気持ちになった。
ソルがあまり戦歴手帳をみせてくれないのと、昔のことを話さない訳がわかった。

勇者(ほんとにキミはこんな小さい頃から戦っていたんだね…)


勇者「…くんくん。ボク汗くさいかな」

傭兵「…」

勇者「ねぇ聞いてるんだよ」

傭兵「う、うるさいな」

勇者「…?」


ソルは決して目を合わせてくれなかった。
突然こんな見知らぬ環境で、見知らぬ相手にこんなことをされて警戒するのはあたりまえだ。
だけどそのあまりにとげとげしい態度はなにか別の意味をもっている気がした。

勇者「?」

傭兵「…」

間近で顔を覗きこんでもソルはすっと顔を逸らして、唇を噛み締めた。
わずかに頬が赤い気がした。

勇者「あっ…えへへ。そっかぁ」

勇者「キミ…女の子にぎゅってされて照れちゃってるんだ?」

傭兵「…ちがう」

勇者「そうだ、自己紹介。ボクユッカっていうんだ」

勇者「ユッカお姉さんって呼んでね」

傭兵「呼ばない」


勇者「そんなツンツンしちゃう子は嫌いだなー」

傭兵「好かれたくない」

傭兵「船が港についたらおれをもとの場所に戻す約束をしてくれたらそれでいい」

勇者「えー…うーん…」

勇者「ボクがタダでそんなことしてあげる義理があるのかなぁ」

勇者「ボクにとっても、キミはしらない子供なんだけど? くすくす」

傭兵「…くっ」

傭兵「じゃあどうしろっていうんだ」

傭兵「海に捨てる気か」

勇者「そんなことしないよ! じゃあねぇ、ボクと仲良くしよ」

傭兵「…おれは仲間も友達もいらない」

傭兵「仲良くなれば、そいつが死んだときかなしいおもいをするんだ」

勇者「…ボクは死なないよ」ぎゅうう

傭兵「…く、くるしい」

傭兵「おれは永遠に孤独でいきていく…! 仲間なんていらない」

勇者「なでなで。ソルはひとりぼっちじゃないんだよ」

勇者「ボクがついてるからね…」

勇者「あ、しまったお風呂使える時間すぎちゃう。ソルも来るでしょ? 小さいけど一緒に入れるよ」

傭兵「はぁ!?」



【船内・簡易風呂】


勇者「ほらぬいでー」グイグイ

傭兵「や、やめろー」

勇者「お風呂入らなきゃ寝ちゃだめ」

傭兵「なら寝ない」

勇者「そんなわけにはいかないでしょ! ほらっ」グイグイ

勇者「ボクの服貸してるんだからボクの言うこときけー」

傭兵「やめろぉ…」


傭兵「くそっ」

勇者「…えへへ。ソルのお肌つるつるだね」

勇者「じゃあボクも脱ごっと」ぬぎぬぎ

傭兵「うわあっ。あ、あっちいけ」

勇者「…。お姉さんの裸みたくないの」

傭兵「うるさいなにがお姉さんだちんちくりんめ」

勇者「む…」

勇者「いーから入るの!」ぎゅっ


ざぷん

勇者「あはは、2人で浸かるとせまいねぇ」

傭兵「ひぃぃ…なんなんだこの女」


勇者「100数えるまであがっちゃだめだよ」

傭兵「ふざけるなっ…」

勇者「いーち…にーぃ」

傭兵「100! 上がるぞ!」

勇者「さーん…しーい」ガシッ

傭兵「悪魔め…」ギリリッ

勇者「えへへ。背中スベスベ…この頃は傷跡なんてないんだねぇ」

勇者「お風呂あがったらボクと一緒に寝ようね」なでなで

傭兵「……とんだ災難だ」

傭兵「おれはいったいどうしてこんなところに飛ばされたんだ…」

勇者(すっかりボクの嘘を信じてる…自分が若返ったなんてまさか思いもよらないよね)

勇者(にしてもどうしようかなぁ。この呪い解ける人いるのかな)

勇者(あいつを締めあげて戻させるしか方法ないのかな)

勇者「うーん…」

傭兵「数字続きかぞえろよ…」

勇者「あっ、ごめんごめん。わかんなくなっちゃったから最初からね」

傭兵「は?」

勇者「いーち…にーぃ…さーん」

傭兵「ふざけるな!!」バタバタ

勇者「だめだよぉ」むぎゅっ

傭兵「なっ…」

勇者「あーあ耳まで真っ赤にしちゃって。お姉さんとぎゅーできて嬉しいね」



【船室・一人部屋】


勇者「はぁさっぱりした」

傭兵「…」

勇者「飲む? はい」

傭兵「…」ゴクゴク

勇者「ソルいい匂いする」くんくん

傭兵「お前なんなんだ」

勇者「頭ふいてあげるからおいでー」

傭兵「おれは子供じゃない」

勇者「子供じゃん! ボクより5つも年下のくせに!」

傭兵「もう自分でかせいでる。大人の経験はつんだ」

勇者「ふぅーん……そっかぁ…」

うずうず…

勇者「んっ…♥ う…あ」

傭兵「? どうした」

勇者「い、いやなんでも…」

勇者「はぁ…うっ…く、どうして…」

勇者「満月で呪いが弱まってるはずなのに、来ちゃうなんて…♥」

きたああああああああああああ!!!!!

おねしょたプレイか



傭兵「くるしそうだな…」

傭兵「誰か呼んでくるか」

勇者「い、いいよっ、ここにいて。ボクの側に来て」

傭兵「え…」

勇者「はやくぅ」

傭兵「頭は自分でふける」

勇者「えへへ…ソル。ソル

傭兵「? やっぱり様子が変だな」

勇者「ソルはさ、大人の経験はつんだっていったよね」

傭兵「あぁ。おれはもう立派な大人として自立している」

傭兵「…お前たちに助けられる筋合いもない」

傭兵「迷惑をかけて悪かった。お前たちこ、そおれが突然やってきて邪魔だったろ」

傭兵「元の場所に戻るほうほうは自分で探す。地図をよこせ」

勇者「きにしなくていいのに」

勇者「それよりさ♥」


ボクは無性に沸き立つ性欲をおさえきれず、大人としてやっちゃいけないことをしようとしていた。
目の前に立つ髪を濡らした少年のソルがあまりに美しくて、ボクは彼を手に入れたくなったんだ。

気づけば、ソルの腕をつかんでベッドに引き寄せていた。

ソルは驚いた顔でボクを見つめている。

まだ少年のあどけなさの残る、可愛らしい顔だった。



勇者「あのね…ソルの言ったとおり、ボク悪魔なんだ」


ボクはこれから起きることを正当化するための言葉を探していた。
どんな手を使ってでも、少年になった純真無垢で綺麗なソルと、エッチがしたかった。

決して捉えられないソルの過去に、自分を刻みつけたかった。


勇者「だからね。ソルにいたずらしちゃう」

勇者「ごめんね…えへへ」

勇者「おいしそう…」

ついを口をついて出た言葉にボクはびっくりした。
これじゃもうサキュとたいして違わない。
着々と呪いで淫魔化しつつある身体を心が認め始めてしまっていた。

勇者(だって、こんなの我慢できないよ♥)

勇者(目の前にこんなに可愛い子がいるのに…大好きなソルがいるのに)

ボクのおまんこはあっという間にじゅくじゅくに湿って、意味を成さなくなったパンツをさっと脱ぎ捨てた。
ソルはぎょっとしてボクを突き飛ばそうとしたけど、その力は及ばず、逆にベッドに押し倒してやった。

傭兵「な、なにを…」

勇者「ユッカお姉さんにまかせて…ソルにほんとの大人をおしえてあげるよ」

もうボクの性欲は止まらない。
理性はあっという間に崩壊して、ソルの下着に手をかけていた。



勇者「するする~♪」

傭兵「うああっ」


ソルは声にならない声をあげて抵抗する。
だけどボクの押さえつける力を知って、体がすこし恐怖を覚えたのか、
やがておとなしくなった。

視線の先ではソルの子供おちんちんがピンとたっていた。

お腹にまでくっつきそうなくらいに元気なそれに目を奪われる。


勇者「これが…子供ソルの…」

傭兵「み、みるな…」

勇者「あんまりエッチな形はしてないけど…すごいね」


いつものように大きなカリが露出しているわけではなくて、皮が半あまりでさきっちょが見えずに苦しそうにしている。

ボクはそのおちんちんをそっとつまんだ。


傭兵「ひぃ」

勇者「大丈夫だよー。ボクにちょっとみせてねー」

勇者「えへへ…ソルのおちんちん…かわいいおちんちん」

勇者「はむっ」

傭兵「うああっ」

勇者「んぐ…ちゅっ、ちゅる…んふ、えへ♥」

勇者「かたいねー。カチカチなっちゃったねー」


傭兵「ずるいぞ…こんなむりやり」

勇者「そうだね。ソルだけ裸にするなんてずるっこだよね」

勇者「…えへへ」

傭兵「…!」

勇者「お風呂ではあんまり見てもらえなかったから、今度はじっくりみせてあげるね」

そういってボクはソルの目の前で脱衣をはじめた。
するりするりと衣擦れの音がして、ボクの全身が空気にさらされていく。

ソルは顔を真赤にして顔をそらしつつも、警戒した様子で何度かボクの裸をちらちらと盗み見ていた。

勇者「どう…? おっぱいだよ」

わざと胸をよせて見せてあげた。

傭兵「……」

勇者「見て? 女の子の裸だよ?」

傭兵「…」

勇者「エッチなソルは大好きだよね。いっつもおっぱいふにふにするもんね」

勇者「あ、ちがうちがう。忘れて」

勇者「えへへ。ボクの裸にさわってごらん」

勇者「こことか、こことか…ココも♥」

ソルの手を無理やり取って、胸やふとももやおまたを触らせていく。
おちんちんがピクピクと震えていた。

勇者(元気だなぁ…♥)



勇者「ソルはこんなことしたことないんだね。そりゃそうだよねー」

勇者「あんっ、そんな手つきでさわったやだめぇ♥」

傭兵「し、してない! なにもしてない!」

勇者「くすくす。冗談だよ。遠慮せずにさわって」

勇者「ボクの肌、もちもちしてるってよく言われるよ」

勇者「手に吸い付くでしょ?」

勇者「ほらおっぱいももう一回。むにゅむにゅー」

勇者「あはは! おちんちんがぴくっぴくってなってるよ」

傭兵「な、なんだよこれぇ…」

勇者「勃起っていうんだよ。ねぇねぇいつから勃起してたの? 教えて?」

傭兵「…っ」フルフル

勇者「悪い子。お姉さんにぎゅーされて興奮しちゃってたんだね」

勇者「はむ…ちゅっ。れろれろ」

傭兵「あっ…そ、それ…はっ」

勇者「おひんひん、はむっ…ちゅうう…」

勇者「おいひ♥ 精子でるかなぁ」

勇者「でたことある?」

傭兵「な…なにが」

勇者「あっ、しらないんだぁ…えへへへ。じゃあ試してみよっか」

勇者「ボクのココで♥」くにゅり



ボクは仰向けに倒れるソルの上ののしかかった。
おちんちんがおしつぶされて、濡れたおまんこにぴたりとくっついている。


勇者(これがいまから…)

勇者(ソルはどんな顔するだろう)

傭兵「なにを試す気だ…っ」

勇者「ソルが、ほんとに大人かどうかだよ」

勇者「ま、こんだけ勃起してたら精子くらいでるよね」

勇者「だから、ボクが大人にしてあげるね♥」

勇者「どんな姿になっても好きだよソル…大好き」

勇者「い、いくよ」

ボクはおちんちんの根っこをつかんでまっすぐに立てて、それめがけてゆっくりと腰を下ろしていった。

おまんこの割れ目がひらいて、おちんちんが穴にちゅっと触れる。

傭兵「!!」

勇者「キミの勃起おちんちんがボクのヌレヌレおまんこに入るよー。よく見ててね♥」

じゅぷ…

傭兵「…ぅああ」


そして小さな子どもおちんちんはおまんこのひだひだをかき分けながらあっという間に姿を隠した。

じゅぷんっ!

勇者「あああっ♥」

傭兵「くぅぅ…っ!!」

勇者(童貞っ♥ ソルの童貞っ♥ やったあああ♥♥)

野獣と化した勇者…


勇者「うれしい…」

傭兵「あ…くっ、うっ」

勇者「きもちいい?」

傭兵「…」コクッ

ソルは顔をまっかにして力なく頷いた。
その様子がかわいくってかわいくって、ボクは腰を激しく動かしたい欲望にかられる。

勇者(だけどはじめてさんだから優しくしてあげなくっちゃ!)

そう思いわずかに腰を動かすと。


びゅっ…びゅびゅるっ

勇者「!!」

ボクの中で熱いものがはじけた。

傭兵「あううっ…くあっ…~~~っ!!」

勇者「あ…イッちゃった? えへへ…もう、ソルったらぁ」

勇者「おめでとう。ボクの中で精液だしちゃったね♥」


しかしその時ボクはとある違和感に気づいた。
お腹のなかに貯まる精子の感じがいつもと違う。
その違いというのは、決して出た量の話ではなくて、
妙に力を感じるというか、精子そのものがボクのおまんこの奥の奥をきゅんきゅんと刺激する。


勇者(なんだろう…?)



傭兵「あ…くあ…はなれ…ろ」

勇者「ソル…?」

傭兵「…おれからはなれろ…」


様子のおかしいソルを見て、ボクはようやく感じ取る事ができた。

勇者(これ…ソルの魔力…? うそ…)

魔覚を鋭敏にしてみると、確かにソルに灼熱のような赤い魔力の流れがうまれている。

勇者「え…」

勇者「じゃあいまボクの中にでた精子は魔力をまとっていたのかな…?」

勇者「でもどうして…」

傭兵「はなれて…あんたを…もやしてしまう」

傭兵「おれは…自分であやつれないんだっ…だからっ…おさえてたのに…っ」

傭兵「にげてくれっ」


ボクは悲痛に叫んだソルの幼い唇を唇で塞いで、真っ赤な頭をなでてあげた。
そしてボクの魔力をたくさん送り込んだ。

傭兵「!?」

やがて燃え盛るような魔力はゆるやかに収まっていく。

傭兵「……?」

勇者「ぷはっ。いい子だね」

傭兵「お、おれ…」

勇者「いい子いい子。がんばって抑えたね」



傭兵「……」

勇者「じゃあ続きしよっか」

傭兵「…は?」

勇者「だってぇ♥ まだボク途中だもんっ」

勇者「それに…ソルのおちんちん。ボクの中でまたおっきくなってるよ」

勇者「若いんだから、2回目がんばろ!」

勇者「それともこのちっちゃい玉玉じゃあんまり精液つくれないかなぁ」

勇者「えへへ」

傭兵「な、なんなんだほんとにお前…」

勇者「ボクはユッカ。元気が取り柄の勇者な女の子」

勇者「将来の夢は、とある素敵な人のお嫁さんだよ♥」

傭兵「そんなやつがこんなことしていいのか…」

勇者「はむっ…ちゅっ。いまは内緒♪」


勇者「それじゃあ動くよ~~♥♥」じゅぷじゅぷ

傭兵「あっ、悪魔め!!」

勇者「えへへへ」


第23話<将来の夢>おわり

更新終わり
次回第24話明日22時~

乙、早く寝なさいよ

おつ、エロとシリアスの融合とはこのことか

おねショタに興奮しつつも気になる事が
25歳の16年前なのに10歳なのは満26歳だから?
あと、ショタソルの中に当時の魔翌力があって、そこにユッカが魔翌力を入れた事で青年ソルの魔翌力とショタソルの魔翌力がショタソルの中に混在する事になる?

なぁ、今のソルって魔翌力が…


次はヒーラちゃんとのオネショタお願いしますお願いしますお願いします

書き忘れたけどその際一転攻勢は無しでお願いします
厚かましいお願いですがよければおねショタの不文律をお読みください

乙です
ショタソルとヤると妊娠する可能性

「そんなやつがこんなことしてていいのか」
まんざら無知でもないのだな少年

>>860勝手に要望する姿勢も内容も気持ち悪い

これは妊娠したりs…

これは妊娠したりs…

おねショタの不文律wwwwww初めて聞いたわw



第24話<時の歯車>



 じゅぷっ じゅぷっ じゅぷっ
  

勇者「あっ…あうっ♥ ああ♥」

勇者「イッて♥ イッていいよ」

傭兵「うっ…うっ…ああっ」

勇者「ボクの中でいっぱいビューしよっ! ほらっほらっ」


 じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷっ
  じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷっ


傭兵「うっ…ぅ…く、ああっ!」

勇者「はぁい3回目~♥ やんっ、熱いのおまんこの中ででてるよぉ」

勇者「がんばったねぇソル」なでなで

勇者「あはは顔とろとろだねぇ可愛いっ」チュッチュッ

傭兵「たすけ…」

勇者「ほらみて…」トロリ

勇者「ここにキミのかわいいおちんちんがじゅぽじゅぽ入ってたんだよ…♥」


傭兵「……」

勇者「一緒に寝よっか? ねぇねぇ」

傭兵「ち、ちかづくな」

勇者「どうして? またエッチな気分になっちゃう?」

勇者「恥ずかしいのかな。ユッカお姉さんのこと好きになっちゃった?」

傭兵「だれかおねえさんだ…ちびの悪魔のくせに」

勇者「うーん」

勇者(サキュと一緒にいたからそう思われてもしかたないか…)

勇者「口の悪い子はまたおしおきしちゃうよー」

傭兵「わ、わかった…勝手にしろ」

傭兵「船がつくまでここでおとなしくしてる」

勇者「うんうん。じゃ、おやすみー」ぎゅっ

傭兵「…服着ないのか」

勇者「? 肌をすりすりし合うのきもちいいよ」

勇者「ほら、触ってみて」

傭兵「もういいって…」

勇者「でもおちんちんまたちょっとだけ固くなってる♥」

勇者「エッチだね♥」

傭兵「お前が言うな…」



<翌日>


僧侶「今日は私が見張りです!」

傭兵「…あのちびのねーちゃんは」

僧侶「ユッカ様は魔法の特訓中なので私と交代です」

傭兵「…あっそ」

傭兵「お前たちは、なんでそんなに強いんだ」

僧侶「?」

傭兵「昨日あのちびおんなにコテンパンにされた…くつじょくだ」

僧侶「ユッカ様がそんなことを…もしかして暴れました?」

傭兵「…。お前も強いのか?」

僧侶「そ、そうですね。子供には負けませんよ! おとなしくしててくださいね」

傭兵「わかってる。もう逃げようとしたりしない。どのみち船の上だしな…」

傭兵「おれ元の場所に帰れるのかな」

僧侶「きっと大丈夫ですよ」

傭兵「早く帰って殺さなきゃいけない相手がいるのに。遅れると報酬がうけとれない」

僧侶「……う゛」

僧侶(ソル様…辛い少年時代をお過ごになられましたね)グスン


傭兵「退屈だな。なぜか武器もってないし」

傭兵「一日中やることがない」

僧侶「じゃあ一緒にお勉強でもしましょうか」

僧侶「私の国ではソル様くらいの歳の子ですと、みんな学校でお勉強したりしますよ」

傭兵「学校…おれには関係ない」

僧侶「私がいろいろ教えてさしあげますよ。ソル様」

傭兵「その…様ってつけるのやめろ」

傭兵「どうしてそんな呼び方するんだ」

僧侶「うーん…ならソル…くん? ソル君って呼んでもいいですか?」

傭兵「勝手にしろ」

僧侶「はいソル君。こっちへいらっしゃい」

傭兵「…」

僧侶(すっごい警戒してますね…ユッカ様に一体何をされたのやら)

傭兵「あんたは、昨日のちびよりまともそうだな…」

僧侶「うふふ。ほら遠慮なさらずに、私の隣にいらっしゃい」ポンポン


僧侶(あぁ…小さいソル様……)

僧侶(お肌さらっさら…)

僧侶(目つきは怖いけど、かわいい…)

僧侶(ぎゅってしたいなぁ)

僧侶(怒っちゃうかな?)

僧侶「…そ、それじゃあこの本から読みますね」うずうず

傭兵「あぁ」


それから私はしばらく小さなソル様にお勉強を教えました。
ソル様は戦場での知識は豊富でしたが、一般的な常識に欠けていて
私は彼の荒んだ幼少期の生活を想像してとても心が痛みました。


僧侶(ソル様はいつくらいから笑うようになったのかな)

僧侶(笑顔がみたいなぁ…)ジー

傭兵「な、なんだよ…もう勉強おわりか」

傭兵「やっぱり役に立ちそうにないな」

僧侶「そんなことないですよ。立派な大人になるために必要なことです」

傭兵「オトナ…」ビクッ

僧侶「?」

傭兵「なんでもない…気にするな」

>>860
すっっっごいキモい
ただただキモい


僧侶(それにしても、しっかりしてるなぁ)

僧侶(私は10歳そこらの頃なんて…一体何をしていたでしょう)

僧侶(ユッカ様と遊んだり…ユッカ様と遊んだり…ユッカ様と…遊んだり…)

僧侶(あれ…? ユッカ様の思い出しかない…)

僧侶(お勉強はほどほどに遊んでばっかりでしたね)

傭兵「ふぁ…」

僧侶「眠たくなっちゃいました?」

傭兵「あぁ…すこしな。昨日はよく眠れなかった」

傭兵「…」ゴロン

傭兵「…」


僧侶(か、かわいい寝顔…♥)

僧侶(キッとした目を閉じたらこんな顔なんですね…可愛い)

僧侶(ど、どうしよう…やだ私何考えてるんでしょう)


しかし私は思った以上に理性の保てない人間でした。
立ち上がって部屋の扉を開いて、廊下に顔をだします。
左右をキョロキョロと見渡し誰も来ないのを確認した後、
私は扉をしっかりと閉めて施錠しました。

僧侶「ふふふっ」


僧侶「ソル君。寝るならここどうぞ」ポンポン

傭兵「…え」


私は半ば無理やりソル様にひざまくらをしてあげました。
最初ソル様はすごく煩わしそうにしていましたが、あきらめたのかいまはおとなしくしています。

僧侶「…」なでなで

傭兵「あんたも…変だよ」

僧侶「普通ですよ」

傭兵「なんで見ず知らずのおれにこんなことする」

僧侶「えっと…それは」

僧侶「ソル君だから。かな」なでなで

傭兵「…」

ソル様は顔を赤らめて黙りこくってしまいました。
私はそっと耳かきをとりだし、準備をはじめます。

僧侶「動かないでくださいね。お耳掃除しましょうね」

傭兵「え…」

僧侶「フー。フー」

傭兵「!!」ビクッ

僧侶「うふふ…かわいい。きもちいいですから私に任せてくださいね」



 コリ…コリ…
   コリ  コリ

傭兵「…っ! な、なんだよ…これ」

傭兵「なにしてんだお前」

僧侶「何って。お耳掃除ですよ」

僧侶「こんなことされたことないですか?」

傭兵「あたりまえだろ…誰がするんだよ」

僧侶「えっと…お母様とか、お姉様とか」

傭兵「かぞくはいねぇよ」

僧侶「……。いまだけは私がソル君のお姉さんになってあげますね」

僧侶「安心してください。怖くないですよ」

僧侶「私のこと信じてくださいね」なでなで

傭兵「…」

 コリ…コリ

  カリ…カリ…カリ


傭兵「うっ…ひっ」

僧侶「きもちいいですねぇ。危ないから動いちゃだめですよー」

僧侶「あんまりお耳掃除してらっしゃらないということで、おっきいのが中にありますね」

僧侶「これを綺麗に取りましょうね」



僧侶「あっ…とれそう…」

 カリ…カリカリ


僧侶「えいっ…! とれました」

僧侶「すっきり…」

僧侶「見ますか?」

傭兵「…みたくない」

僧侶「どうですか?」

傭兵「耳がよく聞こえるようになった…気がする」

僧侶「でしょう? よかったですね。さ、反対側も♪」

傭兵「お、おう…」


それから私たちは耳かきを楽しみました。
ソル様はすっかり私を信頼してくれたようで、先ほどまでのような厳しい目つきで睨んでくることはなくなりました。


僧侶(あとはこれでもっと甘えてくれたらなぁ…)


そんな不埒なことを考えていると、私の体に異変が訪れました。

僧侶「あ、あれ…」

傭兵「どうした」

やっぱり例の呪いです。
胸が熱くてじんじんとして、張ったような感覚。
いままで何度か経験しています。
奇しくも私を時戻しの呪いから護ってくれた憎き淫魔の呪いは、いつも唐突にこうして私を貶めてくるのです。

僧侶(どうしよう…おっぱい出ちゃうかも)



僧侶(このまま服きてたら汚しちゃう…)


船の中で洗濯をすることは出来ましたが、一度に出せる量に限りはありました。
さらに干すのは甲板なので、女の子の下着の類はなかなか表で干すことができません。

僧侶(し、しかたないですよね…?)

ソル様の表情をうかがうと、やや不安げに私の瞳を覗いていました。
そんな顔を見ていると私の胸はさらに高鳴り、胸がドキドキと熱く熱くなって行きます。

僧侶(だめ…ほんとに出ちゃうっ)

僧侶「そ、ソル君…いまからすること、驚かないでくださいね」

傭兵「え…?」


そして私は勢い良くソル様の前で服を脱ぎはじめました。
ブラジャーもはずして、畳んで側に置きます。


傭兵「なっ、なにしてんだ…!」

僧侶「ごめんなさい…で、でもしかたないんです」

胸の先っちょからはすでに白い雫がつぅっと垂れていました。

傭兵「…!」

おっぱいをギュッと絞られてミルクをたくさん出すと、とても言葉では言い表せない快感が訪れます。

僧侶「ソル君…あんまり見られたらはずかしいです」

傭兵「わっ、見てないっ。おれはみてない」


僧侶「うう…これ、やっぱり変ですか」

傭兵「しらない」

傭兵「むねが大きい人にとっては普通なんじゃないか……」

僧侶「…」

傭兵「ほんとにしらないんだよっ」

僧侶「そうなんですか」


ふと、母親がいないという言葉を思い返しました。
おそらく身近に年上の女性もほとんどいないのでしょう。
ソル様は慌てた様子で顔を赤らめて俯いていました。


僧侶「じつは私…呪われてるんです」

傭兵「え…」

僧侶「おっぱいは妊娠して赤ちゃんを産まないと出ないんですよ」

傭兵「あんた赤んぼうがいるのか?」

僧侶「いません。いないのに出ちゃう体質になってしまったんです」

僧侶「これをですね…しずめるには」

僧侶「おっぱい…いっぱい絞らなきゃダメなんです」

傭兵「!」

傭兵「わかった部屋を出て行く…っておれは監視されてるんだったな」

傭兵「あんたに許可を貰えるならしばらく部屋を出て行くけど」


たとえ性知識に疎い少年でも、こういうことを目の当たりにするのがいけない事だというのが本能的にわかっているようでした。
私はソル様の小さな手を捕まえて、ぎゅっと胸元に抱き寄せました。



傭兵「うわっ」

僧侶「おっぱい、きらいですか?」

傭兵「な、なにしてっ!?」

僧侶「ほら、おっぱいですよ」

私はわざとソル様をだきしめて、顔に胸をおしつけました。
その度にミルクがわずかに噴いて、ソル様のかわいいお顔を白くよごしていきました。

僧侶「あったかいでしょう」

傭兵「やめろっ、へんだっ」

僧侶「ソル君。わたしをたすけてください」

僧侶「わたしたちはソル君のことをちゃんと元の場所に戻れるように助けてあげますから」

僧侶「私の言うことも1つ聞いてくれませんか?」

傭兵「なっ…!」

 ふにふに

我ながら卑怯な手だと思いました。
しかしどうしても主導権を握りたかったのです。

僧侶(可愛い…あともうひと押しでしょうか)

傭兵「たすけるって…おれにはなにもできない」

僧侶「できますよ。このおっぱいを…こうやって、優しくさわってください」

ソル様の手をひいて、胸をさわらせます。
細い指先が胸のお肉に沈んで、またぴゅっとミルクが噴き出ました。


傭兵「…くっ、そんなことでいいのか?」

僧侶「好きにしていいですよ」

僧侶「いっぱいミルクが出たらおさまりますので…」

ソル様は動揺しつつも、緩やかに手をうごかしはじめました。

僧侶「んっ…んっ」

傭兵「だ、大丈夫か…?」

僧侶「どうぞそのまま…続けてください」

僧侶「いっぱい揉んで…ミルク出してください♥」


呪いをうけてからというもの、私の胸の感度は大きく上昇して、
乳首以外を触られるだけでもかなりの快感を得るようになっていました。
乳首にいたっては、アソコと同じくらいに全身にピリピリとした快感が走ります。

僧侶(そんなところをもしもこの可愛いソル様にちゅうちゅうされたら…♥)

想像だけで背筋を快感が駆け上がり、脳がしびれて、
私の理性がぼろぼろに崩壊していきました。


 ふにふに ふにふに
  ぴゅっぴゅ  ぴゅっぴゅ♥

僧侶「うっ…♥ あんっ」

ハァ…ハァ…


僧侶「はい、もみもみはおしまいですよ」

傭兵「もういいのか。よかった」

傭兵「しずまったか」

僧侶「い、いいえ…つぎはですね…えへへ」

僧侶「ちゅうちゅうしましょうね」

傭兵「…は?」

僧侶「だからぁ、こうやって」

ソル様の頭を抱き寄せて、再び胸に押し付けます。
そして、乳頭の先っちょをかわいらしい口元に当てました。

僧侶「なめたり、吸ったりして、いっぱいミルクを出させてください」

僧侶「いいですか?」

傭兵「ひぃっ」

僧侶「ほらぁくわえて」

傭兵「ま、まて。のんで大丈夫なのか?」

僧侶「大丈夫ですよ。あかちゃんだって飲めるんですから」

傭兵「そ、それもそうか…」

僧侶「それにミルク飲んだら強くたくましくなりますよ。うふふ」なでなで


ソル様はしばらく悩んだ後、決心したようにかぷりと私の乳首に吸い付きました。
そして顔を赤らめながらちゅうちゅうとぎこちなく吸い始めます。

僧侶「ふぁっ…♥ ああっ♥ これぇっ♥」


僧侶「ソル君もっとちゅうちゅうしてくださいっ」

僧侶「ぺろぺろもしていいですよっ♥」

傭兵「…! ん…う」

 ちゅぅぅぅううう

僧侶「~~っ♥」


目の前の子が私におっぱいを一生懸命飲んでいます。
ちいさなソル様がおっぱいをちゅうちゅう恥ずかしい音を立てながら飲んでいます。

私は快感と興奮で頭がどうにかなりそうでした。
乳首から激しく母乳が噴き出るたびにまるで絶頂した時のような快楽が脳を叩きつけました。

僧侶「はっ…はぁっ♥ くぅ…~~~っ♥」

傭兵「だ、大丈夫か…すごい声でてるけど」

僧侶「い、いいですから続けてください。まだ反対のおっぱいも残ってるんですからね!」

傭兵「あ、あぁ…」

僧侶「味は…どうでしょうか」

傭兵「甘い…ような…わからない」

僧侶「ずばり、おいしいですか?」


ソル様は返事をしてくれず、また乳首にちゅっと吸いつきました。
その不満気な表情ですら私にとっては愛らしく想え、はしたない母乳は勢いをとどめることなくソル様のお口のなかに流れ続けました。



  ・  ・  ・


片側のおっぱいの勢いが治まってきた頃、ソル様がむずむずをせわしなく身体を揺すっている事に気が付きました。


僧侶「どうしました?」

傭兵「…う」

ソル様はいま身体に合う服がなく、ユッカ様に私服を借りています。
ユッカ様の服は全体的にややボーイッシュでありながらも、やはり女物であることにはかわりありません。
男の子の身体のラインははっきりと出てしまいます。

私はソル様の下半身の股間にあたる部分がわずかにせりあがっているのを見つけました。

僧侶(もしかして…)

まだおっぱいを吸っているソル様の顔をのぞきこむと、気恥ずかしそうに視線を反らされました。


僧侶「うふふ…そうですか」

僧侶「ソル君ったら、そうですかそうですか♪」


無性に嬉しさがこみあげてきました。
幼いソル様は、私のおっぱいを吸いながら性的に興奮して、はっきりとおちんちんを大きくさせていたのです。



僧侶「下、脱ぎましょうね」

傭兵「……」

僧侶「ダメですよ言うこと聞いてくださいね」

僧侶「そのままユッカ様の服を汚したら、怒られちゃいますよ」

傭兵「!」

傭兵「い、いやだ…あいつはいやだ」


そういってソル様はいそいそと下着をずりおろしました。
ちいさなおちんちんがピンと立って天井に向かっています。


僧侶「うふふ…こんなに勃起しちゃったんですね」

傭兵「…」

僧侶「もしかして、昨晩ユッカ様になにかされちゃいました? くすくす」

傭兵「く…うう」

ソル様は羞恥に顔を歪めて、きゅっと目を閉じました。
その反応だけで昨夜起きたであろう事を容易に想像できます。

僧侶(ユッカ様ったら、手がはやいですね…)

僧侶(でもしかたないですよねこ。んな可愛いソル様が目の前にいて理性を保てなんて、聖職者の私にもできません)

僧侶(あぁソル様…かわいい…かわいいですよ♥)

僧侶(よしっ)

僧侶「…いらっしゃい」ポンポン

僧侶「私の膝の上に寝てください」



そしてソル様におっぱいを与えたまま、私はソル様の子供おちんちんを優しく握りました。
いつもにくらべて大きさも硬さも不十分で、激しくこすれば壊れてしまいそうなほどかわいらしいおちんちんでした。

僧侶「あっ…でも子どもでもこんな風になるなんて。すごいですね」

傭兵「見ないでくれ…」

僧侶「ダメですよ。さぁいきますね」

 しゅっ しゅっ
  しゅっ  しゅっ…

傭兵「ひっ…ぐ」

完全には剥けていない皮の上からソル様のおちんちんをこすりました。
やわらかい皮がぐにっぐにっと動いて、時々見えるおちんちんのさきっちょのピンクの部分がエッチでした。


僧侶「ふたりできもちよくなりましょうね~」

傭兵「あっ…く…う」

ソル様は快楽に酔いしれながら、一生懸命おっぱいを飲み続けます。

僧侶(赤ちゃんみたい…♥)

僧侶(あぁこのまま時間が止まればいいのに…♥)

 しゅっ しゅっ しゅっ しゅっ

  ちゅぅぅぅううう

傭兵「~~~っ!!」

僧侶「ソル様っ♥ ソル様ぁ♥ かわいいっかわいいですよっ♥♥」

僧侶「んぅっ…んんぅ~~~♥」



私は心も身体も満たされて、しばしの船旅を楽しみました。



第24話<時の歯車>つづく

更新おわり
次回明日22時

ふぅ・・・

乙!
ん?妊娠したらソルは子供ソルに寝取られた事になるのか?

このままマナとヤったらマナの夢がかなうけどきっとこんな形は望んでいないのだろうな

ついにヒーラちゃんが聖職者にあるまじき行為を……何度目だっけ

性色者だからな、仕方ないな……

まだ聖職者だと思っていたのか…

授乳手コキか、俺もされたい

ヒーラちゃんさすがの性殖者だ

>>890
今ヤろうとするとマナに吸われちゃうから無理だな

第24話<時の歯車>つづき




【船室・一人部屋】


魔女「…」ジー

傭兵「…」

魔女「…」ジー

傭兵(こいつなんなんだ。気味が悪い)

魔女「気にしなくていい。私は今日の見張り当番」

魔女「ユッカとヒーラは勉強中」

傭兵「あっそ…どうでもいい」

傭兵(なにもしてこないからまだマシか…)

傭兵「…。なぁ、そのクラゲお前のか」

魔女「…そう。飼ってる」

傭兵「だいぶ弱ってないか」

魔女「? これ弱っている?」

傭兵「おれずっとこの部屋にいるけど、そいつにエサをやってるところみたことない」

魔女「餌いるの?」

傭兵「あ、あたりまえだろ! 生き物なんだから」

魔女「そう…知らなかった。ジェリーは何をたべるの…」

傭兵「えっと…しらない」


傭兵「藻でももらってきたらいいんじゃないか?」

魔女「こっちに来ない方がいい」

傭兵「なんでおれがちかづくと逃げるんだ」

魔女「……。こういうこと」ズズッ

傭兵「うっ…う…なんだ…コレ」

傭兵「おれの…力が…抜け…」

魔女「だから離れた方がいい」スススッ

傭兵「これ、お前の能力か? …不便だな」

魔女「別に。人と接しなければ問題ない」

傭兵「そうか……おれといっしょだな」

魔女「?」

傭兵「おれも…誰かと一緒にいるのは苦手だ」

魔女「どうして」

傭兵「おれも、人をキズつけてばっかりだから」

魔女「あなたの魔力。おいしい」

傭兵「は?」

魔女「すごくおいしい。ユッカに少し似てる気がする」

魔女「暖かくてまろやかで、すっと身体に溶けてくる」

傭兵「何を言ってるのかよくわからない」


魔女「こんなにおいしい魔力があるのに…どうして未来のあなたは…」

魔女「ううん。なんでもない忘れて」

傭兵「…?」

魔女「それより。暇」

傭兵「…」ギク

魔女「どうしたの」

傭兵「ここ二日間、ひまだなんだって…あいつらにいやな目にあわされたからな…」

魔女「ユッカとヒーラがなにかしたの」

傭兵「…」

魔女「おしえて。私もあなたにいまのうちにいやがらせしたい」

傭兵「悪魔め…」

傭兵「何する気だ…」

魔女「なにもない狭い部屋で若い男女がすることなんて1つしかない」

傭兵「や、やめろ…」

魔女「大丈夫。あなたに直接ふれることはない」

魔女「私の暇つぶしにつきあってもらうだけ」


傭兵「ひまつぶし…」

魔女「ここの椅子にすわって。私は向かい合わせにベッドにすわるから」

傭兵「…ほんとにおれにさわったりしないよな」

魔女「しない。あなたの魔力はおいしいけど、食べたいけど、お腹はすくけど我慢する」

傭兵(こいつほんとに大丈夫か…?)

傭兵(もしかしたらいままでの2人よりやばい奴かもしれない)

魔女「下を脱いで」

魔女「私は先に脱ぐから」スルスル

傭兵「!!」

傭兵「な、なんでそうなるっ! うわっ脱ぐな!!」

魔女「だって。暇だからオナニーでもしてたほうが有意義。そう思わない」

傭兵「おな…に…?」

魔女「子供」

魔女「あなたも早く脱いで」

魔女「特別に。お姉さんがおしえてあげる」

傭兵「なにがお姉さんだ。ガキだろ」

魔女「あなたよりずっと長く生きてる」


傭兵「クラゲが腹すかせてるぞ…」

魔女「ジェリーは大丈夫。さっきパンくずと海藻を与えた」

傭兵「食うのか?」

魔女「わからない…あとで船乗りの人にきいてみる。さぁ」

傭兵「さぁじゃねぇよ…こ、こらひっぱるな!」

魔女「脱いで」

魔女「お姉さんと一緒にオナニーしよ」

傭兵「だからおなにってなんだよ…」

魔女「性器を、自分でこすってきもちよくなる」

傭兵「…え?」

魔女「早くペニスみせて」ずるっ

傭兵「ああああっ!! 栗毛のちびでも金髪でもいいから助けてくれ!」

魔女「2人はいま勉強中、もしかしたらレベル上げもしてるかもしれない」

魔女「ペニス出た。ちいさい」

傭兵「うるさいっ、くそっ…ゆるさないからな」

魔女「…2号」

傭兵「…は? なんだって?」

魔女「なんでもない」クス

傭兵(こいつ一番むかつく…)


魔女「まず、勃起するところから」

魔女「勃起したことある?」

傭兵「……」

魔女「勃起っていうのは、いやらしいことを考えてペニスを大きくすること」

魔女「できる?」

傭兵「し、しねーよ」

魔女「じゃあ…私の事よく見てて」

魔女「こうやって、股を広げて…見える?」

傭兵「な、なにみせてんだよそんな汚いとこ!」

魔女「……」くにゅり

傭兵「ひっ…」

魔女「なにが見える。言ってみて」

傭兵「い、いや…見てないっ、見てないぞ」

魔女「見ないとおしおき。いろいろ考えてる」

傭兵(こいつらほんとなんなんだよぉ!!!)

傭兵「ぴ、ピンク色…の…な、なんかきもちわるいのが…ある」

魔女「は?」

傭兵「う…。き、綺麗なのが…見える。なんか…うごいてる」

魔女「ここが女性器。あなたの男性器とはちがうでしょ」


魔女「ここの穴に…ペニスを入れる。ペニスっていうのはあなたのその2号…じゃなくて小さいおちんちん」

魔女「2つを結合させて、なかで射精をしたら赤ちゃんができる」

傭兵(聞きたくない聞きたくない…こいつ頭おかしい)

魔女「知ってた?」

魔女「知らなかったでしょ。人生の先輩として、もっと詳しくおしえてあげる」

傭兵「いい。ことわる」

魔女「どうして。あなたくらいの男子は、性のことに興味津々なはず。その反応はおかしい」

傭兵「おととい…お前の仲間の栗毛に無理やりおしえられた」

魔女「!!」

魔女「また…ユッカに先を越された…の…?」

魔女「そんな……」

魔女「じゃああなたは…すでに経験済み…?」

傭兵「……」

魔女「私の目を見て答えて。あなたは性行為を経験済み?」

傭兵「……あぁ」

魔女「…!」ガーン

魔女「…ユッカみたいな淫乱にはじめてを奪われるなんて可哀想」

魔女「深く同情する」

傭兵(目の前で股ひろげてる女がいうことかよ…)


魔女「はじめてのセックスはどうだった」

魔女「私は痛かった」

傭兵「…」

魔女「とても痛かった気がする。無理やり広げられて、血が出た」

傭兵「…」

魔女「でもあなたは出来る限り優しく抱いてくれた」

魔女「2回目はきもちよかった」

傭兵(頭がいかれてるんだろうか。こんな大人にはなりたくないな…)

魔女「ペニスここに入れるんだよ」くにゅくにゅ

魔女「ん……ん…ぅ」すりすり

魔女「はぁ…んっ、う…はぁ♥」すりすり

魔女「見える?」

魔女「私の膣。どう。好き?」

傭兵「見たくない」

魔女「でも勃起してる。あなたはいまエッチな気分になってる」

魔女「そうでしょ?」

傭兵「いちいちうるさいな…あ、あたりまえだろ…女のそんなとこまじまじと見たこと無いし…」

傭兵「…くそ」

魔女「それを自分の手つかんでこすってみて。一緒にきもちよくなろ」


魔女「手でゴシゴシしたらいい」

傭兵「えっと…」

傭兵「あぁそうか。昨日金髪のねーちゃんにされたみたいにか」

魔女「…!」

傭兵「あ」

魔女「ひ、ヒーラとも…したの…?」ガクガク

傭兵「あ、いや…なんでかしらないけど、いつのまにかそういう流れになって…」

傭兵「されてた」

魔女「……ふたりとも、間の抜けた顔しておそろしい手の早さ」

魔女「ひさしぶりにむかむか来た。今日一日であなたを私色に染め上げる」

傭兵(助けて…)

魔女「ちょっとだけ魔力を吸うことになるけど、我慢して」

魔女「ペニス。触らせて」

傭兵「うわあああっ…」

魔女「逃げちゃだめ。術式:マジックロープ」

▼魔女は魔法の縄で傭兵を椅子に縛り付けた。


傭兵「やめろおお!! いやあああっ」


傭兵「あぐ…吸われてる…吸われてるって」

魔女「…あなたの魔力、ユッカっぽい味だとおもったけど」

魔女「ほんとうにユッカの魔力が混じってる」

傭兵「そ、そういえば…もらった…から少しだけ」

魔女「少しって量じゃない。あなたの中にたくさんユッカの魔力がある」

魔女「放出されずにうまく馴染んでる。不思議」

傭兵「あのときは、水ぶっかけるみたいにおれの魔力の暴走をとめてくれたんだ」

魔女「…つまり。ユッカと濃厚なキスをしたということ」

傭兵「……たしかにそんなことされたような」

魔女「そしてセックスも」ムカムカ

魔女「これで昨日のユッカが疲れ気味に見えた理由がはっきりした」

魔女「あなたに魔力を貸したからだったのね」

魔女「だけどある意味お手柄。これだけ魔力を持っていたら、遠慮しなくていい」

魔女「簡単に吸い尽くすことはできないもの」

魔女「…でしょ」クスリ

傭兵(あの栗毛チビ! やっぱ余計なことしたんだな!)ジタバタ

魔女「おちんちんさわらせて」


魔女「まず。剥く」

くにゅり

傭兵「やめろ…やめて」

魔女「皮…変なの」

傭兵「そんなまじまじみるな! 変態女!」

魔女「あなたに言われたくない」

魔女「あなたにはいままでひどい目にあわされたから、その仕返し」

傭兵「お前らみんなしておれに身に覚えがないことばっかりいいやがって!」

傭兵「しょたいめんだろ!」

魔女「…」くにくに きゅっ

ぬるんっ

傭兵「ひぃあ…」

魔女「剥けた」

魔女「赤い。あんまりエッチな形してない」

魔女「でもおいしそう」

魔女「あ、白いの付いてる。これなに」コリコリ

魔女「剥がれた」

傭兵「さ、さわんなぁあ!!」



魔女「この白いの。もしかして…あれの塊かもしれない」

魔女「はむ…ちゅむ」

傭兵「うあ…おまえっ…」

魔女「ちゅっ。ちゅう…ちろ」

傭兵「ふざけんなふざけんな」バタバタ

魔女「マジックロープはあなたの力では切れない。諦めて」

魔女「それよりこれ、やっぱりあなたのお汁の塊」

魔女「ちゃんとお風呂で中まで洗ってない証拠」

魔女(でもユッカのも混じってるかもしれない…)

魔女(まぁいっか…)

魔女「はむ…あむ…れろ」

傭兵「そんなの汚いぞ…やめろって」

魔女「私もいつもそういってるんだけど、あなたはやめてくれないから」

魔女「けど少しだけ気持ちがわかった。これをなめとるのは、とっても快感」

魔女「勝った気分になる」レロレロ

傭兵「うぉぉあああ…いやだあああ」


魔女「もう射精しそう? かなりひくひくしてる」

魔女「こんな小さいペニスから、射精できるのか実験」

魔女「擦ってあげるし、舐めてあげる」

魔女「射精してみて」

 しゅこしゅこしゅこしゅこ

  ちゅぱちゅぱ…ちゅる…ちゅるちゅぷ


傭兵「ううっ…くっ、あっ…」

傭兵「なんで…こんなこと…3日も連続で…っ」

魔女「出ろ出ろ」

  しゅこしゅこしゅこしゅこ

魔女「この小さい睾丸で作った精液をいっぱい出して。私に見せて」

  しゅこしゅこしゅこしゅこしゅこしゅこしゅこしゅこ


傭兵「ああっ、ああっ…くる…なんかくるっ!!」

傭兵「あああっ!!!」

  ぴゅくっ…ぴゅー

魔女「…♥ 出た♥」


魔女「すごい…ぴゅって噴いた。くんくん…いい匂い」

魔女「あなたのお子様精液…出たよ」

傭兵「…」

魔女「…魔力を感じる」

魔女「…! これを中に貰えば、あなたと赤ちゃんつくれる!?!」

魔女「…けど」

傭兵「…」ビクッ

魔女「私はユッカとは違う理性ある大人だから、そんな非常識なことはしない」

魔女「それにいま身体を重ねたら、さすがに魔力を吸い尽くしてしまうかもしれない」

魔女「だから、手でしこしこするだけで許してあげる」

傭兵「許すってなんだよ! おれがなにしたんだ!」

魔女「日頃のうらみ…私のはずかしいところを舐めたり、おしっこを飲んだり、おまんこの汚れを食べたり。いろいろ」

傭兵「そいつに仕返ししろよ!! なんでおれ!?」

魔女「ふ…ふふ」

傭兵「なにがおかしい…」

魔女「あなたがそんな姿になって無様を晒しているところを見るのは」

魔女「すごく…優越感♥」

傭兵(もうやだこいつ…)

魔女「じゃあもう一度。2号ペニス勃てるところから」

 しゅこしゅこしゅこしゅこ


傭兵「うああああったすけろーー!!」



<晩>

【船内・食堂】


傭兵「ひどいめにあった」もぐもぐ

勇者「…ほんとに大変だよねぇ」

傭兵「元はといえばお前のせいだぞ」

勇者「え!? ぼ、ボク…?」

傭兵「チビ」

勇者「うう…なんかしたっけ」

僧侶「はぁ、それにしても困りましたね」

傭兵「はやく街についてほしい。もうお前たち悪魔と一緒の船旅なんてうんざりだ」

勇者「明日明後日にはつくよ~。それまで我慢して」

魔女「ちょっと残念…まだしたいことはたくさんあったのに時間切れ」

傭兵「…!」ビクッ

勇者「どうしたの」

傭兵「おれお前の隣にすわっていい?」

勇者「え? いいよーえへへ」なでなで

僧侶「あーユッカ様ぁいいなぁ」



傭兵「本当におれ元の場所にもどれるんだろうな」

勇者「方法は探してみるよ」

勇者(といっても時魔術の呪いを戻せる人なんているのかなぁ)

勇者(そういえば、ソルがマナのおじいさんにもらった住所が次の街だったような…)

勇者(その人にボクの呪いと一緒に解いてもらえるといいんだけど…)

僧侶「確か、ピニオンって街ですよね」

勇者「そう言ってたね」

勇者「はぁー不安だなぁ。いっつもソルが先導してくれてたからボク手続きできるかなぁ」

僧侶「がんばりましょう。私もお手伝いします」

傭兵「なぁお前ら。ほんとうにおれと初対面なのか?」

勇者「そ、そうに決まってるじゃん! あはは…」

傭兵「…やっぱりおれ、街についたら一人で行動する」

勇者「えっ! だめだよぉ」

傭兵「お前らに迷惑かけられないし、たよりにもしてない」

傭兵「どこであろうと、おれはひとりでいきていく」

傭兵「おれにはできる」

勇者「強いなぁ…しっかりものさんだね…」



勇者「でもダメだよ」ぎゅっ

勇者「ボクたちを信じて。キミのこと悪いようにはしないから」

傭兵「悪魔なのに、か?」

勇者「信じられない? ボクの魔力、嘘ついてる?」

傭兵「……」

傭兵「いや」

傭兵「…じゃあ、あと数日だけ一緒にいる」

傭兵「それでなにも元の場所に戻るための手がかりが見つからなかったら、あとは勝手にする」

勇者「わかった。がんばってソルを戻してあげるよ」なでなで

傭兵「お前…不思議なやつだな」

傭兵「なんだか…暖かい」

勇者「ボクは太陽の勇者だからね。えへへ」

傭兵「悪魔なのか勇者なのかどっちだよ」

勇者「ふくざつな事情があるの!」

傭兵(おれは…なんなんだろう)

傭兵(こいつといると…どうして心と体が休まるんだ)

傭兵(母さんが生きていたら…こんな感じだったのかな)




<2日後>


【歯車の街ピニオン・港】



船員「足元気をつけろよ」

勇者「ありがとうございました」

船員「おう、積み荷は先におろしてるからな下で受け取ってくれよな」

勇者「はぁい」


勇者「スレイプニルー」ぎゅっ

馬「ヒヒン…」

勇者「えへへあんまり会いに行けなくてごめんね。船旅酔わなかった?」

勇者「いい子にしててえらいね」なでなで

僧侶「はぁ…ひさしぶりの陸地はほっとしますね」

傭兵「ここが街か…広そうだな」

魔女「いつもどおり、先に情報収集する」

勇者「よし、いこう!」


魔女「ばいばいジェリー」

勇者「クラーゲン逃すの?」

魔女「…」コク

魔女「…リリース」じゃぽん

勇者「あーボクがやりたかったなぁ」

傭兵「だいぶ弱ってたからな。こいつも元の場所にもどったほうがいいだろ」

魔女「…ばいばいジェリー」

勇者「ばいばーい」

魔女「見て、ふよふよしてる。消えちゃった……」

勇者「ねぇねぇどうしてクラゲを飼おうと思ったの?」

魔女「別に。魚をつっていたら魚を飼っていた。それだけ」

勇者「マナってどこかクラゲに似てるよね!」

魔女「…は」

勇者「つかみどころがないっていうかさ、ふよふよしてるでしょ」

魔女「そ、そう…あなたはそう思ってるのね」

勇者「クラーゲンどんな味だったんだろうね…はぁ、ちょっともったいないや」

魔女「私はあなたのほうが理解不能」

傭兵「こいつらよくパーティ組めるな」

僧侶(ソル様…はやくもどってください…)



【酒場】


店主「ようこそ旅のご一行。何を頼む」

勇者「じゃあランチセット4人分で!」

店主「あいよ」

傭兵「おれ金もちあわせてない」

勇者「いいよぉそんなの。ソルだけ食べないってわけにはいかないでしょ」

勇者「あ、それでおじさん! この街で知りたいことがあるんですけど」

店主「ほう、なんだい」

勇者「街の特産物ってなんですか? おいしいものある?」

僧侶「違いますよユッカ様。住所住所」

勇者「あっ、うん。そっちも聞こうとしてたよ!」ゴソゴソ

勇者「この紙にかいてある住所なんですけど、わかりますか?」

店主「まず最初の質問に答えるとするか。ここは歯車の街ピニオン」

店主「おいしいものはともかく、歯車式の機械工芸品が特産物だな」

店主「ほらこの腕時計とかよ」キラン

勇者「わぁすごい!」

僧侶「精巧ですね…」

傭兵「…いいな」


店主「街には職人がわんさかいるぜ」

店主「いろんな国から商人が買い付けにやってくるんだ」

店主「お嬢ちゃん達は違うのか?」

勇者「ボクたちは旅の武芸者だよ」

店主「そうか。欲しいものや作ってもらいたいものがあったら是非この街で金を落としていってくれ」

店主「で、この住所なんだけどよ」

店主「窓の外を見てみな」

店主「ここから見えるくらいでっかい時計塔があるだろ?」

勇者「わぁ…なんだかお城みたいだね」

店主「ありゃ街のシンボルタワーなんだが、この住所はずばりあそこさ」

店主「で、なんの目的だ? 城みたいな見た目だが王様なんて住んでいないぞ」

勇者「えっと…呪いを解ける人をさがしてるんだけど」

店主「呪いか。うーん、神官はいないが、あそこにはこの街では有名なお方が住んでいらっしゃる」

勇者「へぇ。どんな人?」

店主「時魔術士のクロノ様っていえばこの大陸で五本の指に入るエリート魔術師さ。まぁちとわけありな方だがね」

僧侶「く、クロノ!?」

勇者「…え」

勇者(どうして…あいつの名前が…?)

魔女「……」




第24話<時の歯車>つづく

更新終わり
次回本日夜22時~(予定)

お疲れ様です!

乙!
ソルが怯えるって…マナはいったい何をしたんだww

やはり奴を倒すしかないのか・・・?

クロノ君!…って誰だっけ

闇呪術師さんですわ

第24話<時の歯車>つづき



勇者「クロノ…」

勇者「ボクたち、その船の上で悪い魔術師に呪いをかけられちゃったんだ」

店主「おう? なにいってるんだ。クロノ様がそんなことするはずがねぇ」

店主「それにあのお方は今度の祭事に備えてずっと時計塔で瞑想中だと聞く」

店主「船になんて乗っちゃいねぇぞ」

僧侶「どういうことでしょう…」

勇者「祭事? お祭りがあるの?」

店主「あぁ。霊魂祭というこの国で1年に一度の大イベントさ」

僧侶「霊魂? あっ、もしかして魂流しの儀!」

勇者「知ってるの?」

僧侶「はい有名ですよ。昇天できずにこの世に留まる魂を連れてきて、大魔術師様に一斉に流してもらう大きなお祭りです」

僧侶「世界中からたくさんの方が身内の魂を連れて集まると聞いています」

魔女「……」

店主「そうだ。その祭事を取り仕切るのが我らが大魔術師クロノ様だ」

店主「まぁ、先代から引き継いでまだ数年しか経たないお若い方だがな」

勇者「へぇ。すごいや」


店主「祭りは今週末まで迫っているぜ。あんたら宿はとったかい、もうどこも予約でいっぱいだぜ」

勇者「…え゛」

僧侶(もしかしてまた宿無しのパターンですか…)

魔女「野宿嫌」



  ・   ・   ・



【街中】


勇者「ううーん。まずはそのクロノっていう人のところを訪ねてみる?」

僧侶「でも、あの闇の呪術師が待ち構えていたら…」

勇者「そうだね…今度こそやられちゃうよね」

僧侶「魔覚では探れませんか?」

勇者「ここも広い街だし…それに前みたいに魔隠しのローブを着ていたらわからないよ」

勇者「だけど、あの時計塔のほうからは大きな魔力を感じる」

勇者「危険な感じはしないよ」

魔女「行くしか無い。私のおじいちゃんが危険な人を紹介するとも思えない」

魔女「きっとなにかの間違い」

傭兵「いこうぜ。おれが帰るにはどうせそのクロノって奴にあわなきゃいけないんだろ」

勇者「そうだね…」


勇者「ここも商売が盛んだね」

僧侶「お祭りの飾り付けでしょうか。賑やかですね」

勇者「魂流しっていうくらいだから、ボクもっと暗いお祭りかとおもったけど、みんな楽しそうな顔してるね」

僧侶「昔は粛々と執り行われていたそうですが、他所の国から参加する方が増えてから今のような形となったそうですよ」

僧侶「ってパンフレットに書いてます!」

勇者「なんだかうきうきしてきちゃうなぁ」

傭兵「…なにがうきうきだ」

勇者「ソルはぐれないようにね」きゅっ

傭兵「さわるな」

勇者「ツンツンしちゃってさ。お姉さんの手つながなきゃだめ」

傭兵「子供あつかいしやがって」

勇者「そうだねーもうオトナだもんねー」

傭兵「…帰る時がきたらお前だけでも消しておくか」

魔女「お腹すいた」

勇者「なにか買い食いしよっか」

勇者「ソルは何がたべたい? なんでも買ってあげよう」



傭兵「だいたいさっき昼食っただろ」

勇者「デザートは別腹なの!」

魔女「…」コクコク

傭兵「…じゃあこの、パンでいい」

勇者「マフィンケーキだね! うん、コレにしよ!」


勇者「はいあーん。甘いよ」

傭兵「い、いいって…自分で食べる」

勇者「あーん♪

僧侶「ユッカ様、すっごく甘やかしてますね」

魔女「弟が出来た気分って言ってた」

勇者「そうそう♪ ソルが小さいのなんていまのうちだからねー」なでなで

傭兵「…むかつく。さっさとお前らの元から去りたい」




【大時計塔】


勇者「ここかぁ…すっごい高いね」

魔女「……ぞわぞわする」

門兵「申し訳ありませんが、現在クロノ様との面会はご遠慮ください」

門兵「大事な瞑想の期間ですので」

勇者「えっ、入れないの!?」


門兵「この時期はクロノ様の身を狙う不届きな輩も出ますので」

門兵「我々で厳重に警備を行っております」

門兵「クロノ様ご本人との約束を取り付けた方しか入塔はできません」

勇者「そんなぁ…ボクたち急ぎの用があるのに」

僧侶「予約とかって出来ないんですか?」

門兵「祭事の後もしばらく面会のご予定が詰まっていますので、そうですね来月には」

勇者「…えー」

傭兵「そんなに待てるか。とおしてもらう」

門兵「む」

ガチャ キィ…

???「何かあったのですか」

門兵「! く、クロノ様!」

勇者「!」

???「…お待ちしていましたよ。はるばるようこそお越しくださいました」

僧侶「え…?」

勇者「あなたが…クロノ…?」

???「はい。私がこの街で代々魔術師として祭事を執り行うクロノ家の者です」

勇者「全然…違う……」

???「話は中で。どうぞお入りください」



勇者「急に訪ねてきてごめんなさい」

勇者「瞑想の最中だったんでしょ?」

時の魔術師「…」

僧侶「あのっどうして私達のことを迎え入れてくれたんですか」

時の魔術師「あなたたちがここへ来た訳はわかります」

時の魔術師「勇者の末裔。あなたには是非一度会いたいと思っていました」

勇者「えっ! ボクのことしってるの!?」

時の魔術師「はい。その太陽をかたどった兜、中心で真っ赤に燃える魔宝石」

時の魔術師「そして強い意思を秘めた魔力。あなたがたが勇者の末裔であることは私にはわかります」

勇者「あなたは何者…」

勇者「ぼ、ボクたちに呪いをかけたのはあなたなの?! そいつもクロノって名乗ってたんだ!」

時の魔術師「…私は、古の勇者の仲間である賢者の末裔」

時の魔術師「時を操る魔術師です」



魔女「時魔術…この世に適正者はほとんどいない」

魔女「私ですら、扱うことは難しい…」

魔女「でも賢者の一族なら納得」

勇者「どうしてソルに呪いをかけたの! 悪い人じゃないなら早く解いてよ!」

時の魔術師「それは私ではありません」

時の魔術師「私には血を分けた双子の弟がいます」

時の魔術師「彼は十数年前に邪道に堕ち、危険な術の研究をはじめ、街を追放されました」

時の魔術師「いまは、魔物に肩入れしていると風のうわさで聞きます」

勇者「その人だ! ここにくる途中の船の上で、ボクたち襲撃されたんです」

時の魔術師「そうですか…弟があなたたちに呪いを…」

傭兵「…?」

勇者「ちょ、ちょっと来てください。ソルはここにいて!」

時の魔術師「はい」


勇者「…――」ヒソヒソ

勇者「というわけなんです。子供にもどっちゃって、ボクらのことすっかり忘れてるの」

時の魔術師「どうやら弟のかけた術によって、彼の中の時の歯車が狂ってしまったようですね」


僧侶「高位な魔術師のクロノ様に解呪していただきたくて訪ねてきました」

僧侶「それと、ほかの私達の呪いも…」

時の魔術師「困りましたね」

時の魔術師「ひとつひとつじっくり見ていけば、できないことはないでしょう」

時の魔術師「彼の時の呪いを解いて正位置に戻すことができるのは、この世で唯一私だけとも言えます」

勇者「ほんと!? やったぁ!」

傭兵「おれは帰れるのか? はやくしてくれ」

時の魔術師「しかし。魔力が足りません」

勇者「え!」

時の魔術師「私は祭事に向けて瞑想中の身、膨大な魔力を扱う時魔術を発動するのは難しい」

時の魔術師「魔力の高まる満月の夜も先日去りました」

時の魔術師「愚弟のしでかした事ゆえ、いますぐ解呪してあげたいのはやまやまなのですが…」

時の魔術師「申し訳ありません」


勇者「そんなぁ…結局お祭りが終わるまでまたなきゃだめなの!?」

時の魔術師「…あなたがたが旅を急ぐ身であることはわかります」

時の魔術師「弟があなたがたに接触して、このような攻撃をくわえたということは」

時の魔術師「もう、運命の時は近づいているのでしょう」

勇者「運命…?」

時の魔術師「魔王の復活は近い。私はそう予感しています」

勇者「!」

魔女「魔王…」




【とある山の中】


闇剣士「まもなくだな」

幼竜「ぎゅるる…」

闇呪術師「この街に帰ってくることになるとは思いませんでしたよ」

闇剣士「計画にぬかりはないか」

闇呪術師「えぇ。魂流し…世界中から行き場のない魂の集まるこの祭りは大いに利用できます」

闇呪術師「魔王様への贄を集める絶好の機会です」

闇呪術師「出来損ないの竜にちまちま命を食わせるよりよっぽど効率が良い」

幼竜「ぎゅる…」

闇剣士「そうなれば、あとは…」

闇呪術師「呪われた器を手に入れて勇者たちを始末する…だけです」




第24話<時の歯車>つづく

更新終わり
次回明日22時

乙です

乙!
クロノは名字みたいなもんか?

乙、時の魔術師と聞くと遊戯王を思い出す


新しく出てきたこの人男なのか女なのかそこが問題だ

>>935
弟が高名な兄を騙ってる可能性もあるな

クロノ家って言ってるし苗字だろう

黒野か玄野か

でも、被害を受けた話をしたときに店主が弟の話をしなかったのはなんでだろう?
やっぱりクロノは嘘をついているのか

不肖の弟のことなんてそう知られたくないもんよ

第24話<時の歯車>つづき




時の魔術師「では、霊魂祭の段取りについてお話しましょうか」

時の魔術師「みなさまはこの街へいらっしゃったのははじめてでしょう?」

僧侶「はいそうです」

時の魔術師「霊魂祭は3日間開催され、初日2日目は普通のお祭りとそう変わらないのですが」

時の魔術師「最終日の夜に魂流しの儀というものを執り行います」

時の魔術師「人々はこれを目当てに遠方より遥々いらっしゃいます」

勇者「クロノ様がやるんだよね。あ…ですよね?」

時の魔術師「ふふ。自然な言葉遣いでかまいませんよ」

時の魔術師「あなたは勇者の家系。賢者の血を引く私にとって尊敬すべき方です」

勇者「でもボク勇者としての実績はないよ…」

時の魔術師「太陽の国を出て、危険を乗り越えここまで無事来られたじゃないですか」

勇者「それはボクだけの力じゃないんだよ」

時の魔術師「えぇ。ですが、あなたがこうして素晴らしい仲間に恵まれたのは、あなたの人徳の成せる技」

時の魔術師「誇りなさい」


時の魔術師「さて、その魂流しなのですが」

時の魔術師「私が蓄えた魔力にて、天への道を開きます」

時の魔術師「さまよえる魂たちはその光の道に導かれ、無事天へと昇るのです」

勇者「すごいなぁ…」

僧侶「未練の強い人の魂も綺麗に逝けると評判だそうですよ」

時の魔術師「ええ。人は皆、1人で逝くのは怖いものです」

時の魔術師「さまよえる孤独な魂たちにとっても、これはお祭りなのです」

 
  ・  ・  ・


闇呪術師「儀式では世界中より集った無数の魂が一斉に解き放たれます」

闇剣士「それを手に入れるのか」

闇呪術師「えぇ。中には恨みの強い魂も数多く存在します」

闇呪術師「膨大な負の力は必ずや魔王様復活への糧となるでしょう」




  ・   ・   ・


時の魔術師「先代はより天に近い小高い丘に集まって、儀式を行っていたのですが」

時の魔術師「近頃は魔物も出没するということですので、この大時計塔の展望台で行います」

時の魔術師「そしてその時につかうのがこれです」スッ

勇者「気球…? ちいさくて可愛いね」

時の魔術師「手乗り気球です。バスケットに小さな珠が入っているでしょう?」

時の魔術師「これが魂たちが天へ向かうための乗り物なのです」

時の魔術師「真下から吹く強い風に吹かれ、小さな気球たちは一斉に空に上がります」



  ・   ・   ・


闇呪術師「その時すべての気球をやきつくし、行き場を失った魂を手に入れましょう」

闇剣士「貴様は、故郷の祭りを自らの手で破壊しようというのか」

闇呪術師「故郷など…ご冗談を。私を追いやった街や人間どもに未練はありません」

闇呪術師「いまの私は三魔人が1人、クロノ。闇の眷属です…フフフ」

闇呪術師「あなたは見かけによらず、その仮面の下はずいぶんと感傷的な方のようだ」

闇呪術師「あの剣士との決着もいまだ望んでおいでですか?」

闇剣士「…いや、計画を歪めてまで果たしたい本願ではない」

闇剣士「私達の野望は魔王様の復活のみ」

闇呪術師「なら次奴らが邪魔立てしてきたら、安心して殺せるというものです」


時の魔術師「ですが、あなたたちが訪ねてきたということは、予断を許さない状況ですね」

時の魔術師「まだ気配は感じませんが、私の弟がこの街に来ているかもしれません」

勇者「それとその仲間の剣士とぎゅるちゃんもだよ!」

僧侶「ぎゅるちゃん…?」

魔女「あのマントルドラゴンの幼竜?」

勇者「うん! いっつもぎゅるるるぅって鳴いてるでしょ?」

僧侶(また変な名前を…)

勇者「ボク、戦いたくないな…ソルがいなきゃ不安だよ」

傭兵「いるだろ」

勇者「ううう…キミじゃなくて」

傭兵「戦いがあるならおれをやとえ。どんなやつでも倒してやる」

勇者「無理だよぉ…」

時の魔術師「とにかく、その人を元に戻さないと戦力の低下は著しいようですね」

時の魔術師「しかしいま時魔術を発動しては天の道を開く魔力が足りなくなってしまいます」

勇者「そうだ! ボクがクロノさんに魔力を貸せばいいんじゃないかな!」

時の魔術師「…というのは?」

勇者「あ、でもチューすることになっちゃう…うう」

魔女「どのみち、あなたの魔力貸与はこの人相手に使えない」

勇者「えっどうして!?」


時の魔術師「魔力貸与…人に魔力を貸し付ける術ですね」

魔女「そう。魔力には性質がある以上、当然相性がある」

魔女「通常、違う魔力と魔力が交じり合うと、強く反発しあう」

勇者「???」

魔女「魔法攻撃をぶつけあうようなもの」

魔女「コーヒーにミルクを溶かすようにはうまく混じらない」

魔女「だから、この人の体にユッカの魔力を注ぎ込んでも意味が無い」

時の魔術師「ええそうです。魂と同じで魔力もその正しい在処が決まっています」

時の魔術師「よって私があなたの魔力を扱うことはできません」

時の魔術師「入る器が、違うのです」

勇者「でもあの時はソルに貸せたよ…?」

魔女「それは……」

魔女「あの人空っぽだから」

勇者「あー」

僧侶(本当にそれだけなのでしょうか?)


勇者「じゃあ…結局お祭りが終わるのを待つしか無いんだね」

時の魔術師「そうなります。これだけは延期できませんので申し訳ありません」

傭兵「なんだよ…おれはまだ帰れないのかよ」

勇者「ごめんねー」なでなで

傭兵「さ、さわんなっ」

時の魔術師「せめて、祭りまでの間あなたたちの生活の保障をさせてください」

時の魔術師「この大時計塔には宿泊できる空き部屋がたくさんあります」

時の魔術師「どうかご自由にお使いください」

勇者「いいの!?」

時の魔術師「縁が切れたとはいえ、我が弟のしでかしたこと」

時の魔術師「この塔の中にいればすくなくとも外よりは安全です」

時の魔術師「私の結界も張ってありますので、外敵が侵入することもありませんよ」

勇者「ありがとうクロノ様!」

僧侶「ありがとうございます」

勇者「やったぁ宿ゲット!」


勇者「魂流しかぁ…ちょっと楽しみだなぁ」

僧侶「そういえば、マナちゃんはたくさん魂を持っていますよね」

魔女「…」コク

時の魔術師「その体に宿していられるのですか」

魔女「そう。いっぱいいる」

僧侶「ではお祭りのときに一緒に天へと還しましょうか」

魔女「そうする」

勇者「この気球どこで売ってるの? ほんとかわいいねクロノさんいい趣味してる」

時の魔術師「ふふ。これは手作りなのですよ」

時の魔術師「みな、空に浮かべる故人ことを思いながら手作りするのです」

時の魔術師「メッセージを書いたり、好きにアレンジをしたり、お供えを入れたり」

時の魔術師「もちろん風で空に浮かぶように軽くしなくちゃいけないので、重たい物をバスケットに積むことはできませんけどね」

勇者「楽しそう! ボクたちもミニ気球つくろ!」

魔女「…」コク

時の魔術師「既成品も当然ありますが、素材は街中でいろいろ売っていますので是非自作してはいかかですか」

勇者「うん! 買い物いってきまーす」

時の魔術師「いってらっしゃい」


時の魔術師(おそらく…彼らがやってくるとしたら祭りの最終日…気球を浮かべる瞬間)

時の魔術師(さて、どうしましょうか…)



【街中】


傭兵「ひっぱんな!」

勇者「えへへ、こっちこっち」

傭兵「なんだよ…気球なんて飛べば何だっていいだろ」

勇者「そんなことないよ。ね?」

魔女「…」コク

傭兵「そうか?」

魔女「大事な魂たち。生前のことはしらないけど、ちゃんと供養したい」

僧侶「いい子ですねマナちゃん」

魔女「みんないままで私のことを助けてくれた」

魔女「とくにこの子」ボッ

火の玉「…」ふよふよ

勇者「っていわれても違いがわからないよ」

魔女「この子は昔から一緒」

火の玉「…」ふよふよ

勇者「やっぱり火の玉ってだけで怖いなぁ…」

僧侶「私もお化けはちょっと…」

傭兵「…ち、ちかづけんな」

魔女「これは実体がわかりやすいように火をまとっているだけ。本来魂に色や形はない」



道具屋「おや、お嬢ちゃんたちも霊魂祭で魂流しをするのかい」

魔女「そう」

道具屋「なら気球つくなくっちゃな」

道具屋「ちゃんと浮かぶのをつくるまで結構苦労するんだぜ」

道具屋「素材はぜひウチで揃えていってくれ」

勇者「魂っていくつもってるの?」

魔女「24人」

勇者「うげ…そんなに…」

勇者「うーなんだかあのおばあさんのこと思い出してムカムカしてきたよ」

僧侶「いっぱい買わなきゃですね…」

勇者「つくってるうちに一週間なんてすぐ経ちそうだね」

道具屋「それと、気球以外にも魂の器も買わなきゃな」

僧侶「そうでした」

勇者「なんだっけ?」

僧侶「ほら、バスケットの中にあった小さな珠ですよ。魂は丸出しでは気球には乗れませんから」

傭兵「まるだしって…お前もうちょっと言葉えらべよ自称僧侶」

僧侶「…うう」


道具屋「魂珠は魔法具点じゃなきゃ取り扱ってないぜ」

勇者「たまたま?」

傭兵「…」

道具屋「あぁ。正しい魂魄の珠玉って言うんだが、愛称はたまたまだ」

勇者「へー」



【魔法具店】


勇者「たまたまくださーい」

店員「はいたまたまね。あんたの先祖は何色だい」

勇者「?」

店員「あぁ、はじめてかい」

店員「言ってしまえば属性のことさ。属性のあう魂珠じゃないと魂がうまく入り込めないからな」

店員「生前水属性の魔力をもってたひとは蒼い魂珠ってことだ」

勇者「そうなんだー」

店員「ま、たいていは土だろうけどな」

店員「どうしてもわからねぇっていうなら、ちと値は張るが無色透明の魂珠もあるぜ」


勇者「どうする?」

傭兵「なぁ…おれがもたされてるこの透明の珠はなんなんだ?」

傭兵「じゃまなんだが」

魔女「それは純度の高い魔宝石」

店員「おお、坊主のはでっけぇ魂珠だなぁ。そんなのみたことねぇ」

勇者「ちっちゃいよ…」

店員「いやいや坊主の魂珠はめちゃくちゃでかいぞそれ!」

勇者「ち、ちっちゃいよ…大人ソルのほうがおっきいもん」

僧侶「なに馬鹿なこと言ってるんですか」

魔女「あなた、その珠を触るのはいいけど絶対に魔力をこめちゃだめ」

魔女「色が定着してしまったら価値激減。この汚い闇の珠みたいになる……」

傭兵「お、おう…他人の持ち物に勝手なことしない」

魔女「…そう」

僧侶「とりあえず、色がわかる魂さんたちはどれくらいいますか?」

魔女「ほとんどわからない」

魔女「一度ひとりひとり聞いてみないとだめ」

魔女「といっても、言葉を話すわけじゃないけど…」

店員「なら買うのが決まったらまたおいで、この時期いくらでも用意してるからよ!」

勇者「はーい。まずは気球つくらなきゃね」



【大時計塔】


時の魔術師「魂24人ですか…それは大変ですね」

時の魔術師「あなたひとりが体のなかに宿しているというわけですか」

魔女「そう」

時の魔術師「少し考えられませんね。いえ、失礼」

時の魔術師「心身に負担はありませんか?」

時の魔術師「儀式をまたずとも、ひとつひとつ昇天させることはできますよ」

時の魔術師「それには大きな力はつかいませんし、あなただけでも先に」

魔女「へいき。気球の材料もう買ってきたから」

時の魔術師「そうですか」

勇者「クロノ様は瞑想つづけて! もし敵がきてもボクらでやっつけるよ!」

時の魔術師「そのことなのですが、仮に敵が儀式の途中に現れた時の対処法を考えなければなりません」

時の魔術師「私は天の道をひらいてしまったら戦闘などできませんし、解除すれば解き放った膨大な数の魂達が迷ってしまいます」

僧侶「私が時計塔の入り口に結界を張ります。それならどうでしょうか」

時の魔術師「いえ、おそらく敵は」

勇者「空から来るよ」

僧侶「なるほど…竜がいますものね」


傭兵「叩き落とせばいいだろ」

勇者「ぎゅるちゃんはそんなやわじゃないよ…大人ソルでも倒せなかったんだから…」

傭兵「おれはどんな奴にも負けない」

勇者「じゃあボクが魔覚で見張って、もし儀式より前に敵が攻めてきたら中止にするのは?」

時の魔術師「中止はできません。儀式の日のためにみなここに集い、たくさんのお金が動きます」

時の魔術師「この街にとっても魂流しの儀は重要なビジネスなのです」

勇者「こまったなぁ。敵がきて邪魔されたらそれどころじゃないのに」

傭兵「事情はよくしらないけど、お前らがねらわれてるなら街をさればいい」

傭兵「そしたら敵は街にこないだろ?」

勇者「うう…」

僧侶「ソル君の言うとおりなのかもしれませんね…」

勇者「勇者のボクたちがいると…みんなを危険にさらす…のかな」

時の魔術師「いえ。彼らがやってくるとしたら、目的はあなたたちだけではありません」

時の魔術師「おそらく…人の魂魄を集めているのでしょう」

魔女「そう。魔王の復活にはたくさんエネルギーが必要。その力の源となるのは、人の魂と負の念」

魔女「バザの騒ぎがまた起こると考えていい」

魔女「だから私達は、もう戦うしか道がない」

魔女「気球を飛ばすのは…戦いが終わってから」

魔女「絶対に倒す…」

僧侶「マナちゃん…」

魔女「あの人がいないぶん私達がやるしかない」

勇者「マナ…なんだかリーダーみたい…」

魔女「あなたがしっかりして」


傭兵「おれも戦う。報酬がもらえるならな」

勇者「う、うんでも子供のキミを危険な目にはあわせられないよ…」

傭兵「おれはこれでも傭兵だ。戦いのなかでいきてきた」

傭兵「死ぬことは怖くない」

傭兵「どんな敵も恐れることはない」

傭兵「どんなやつが相手でも…」

傭兵(なんだ…この嫌な感じ…この身の毛のよだつ感じは…)




【とある山の中】


ザッザッ


闇剣士「…来たか。遅かったな」

闇の呪術師「なにをしていた」

狼魔人「狩場の下見をしてきたんですよ」

闇剣士「まだ行動には移すな。姿を隠されては厄介だ」

狼魔人「えぇ。なにもしてませんよ」

狼魔人「懐かしい臭いがしたもんでね。胸糞わりぃ…オレが一番ぶっ殺してぇ奴の臭いがな!」

闇の呪術師「お前の働きに期待している」

狼魔人「お任せください…あなたにもらったこの新しい力で…」

狼魔人「必ずあの憎き赤毛をぶっ殺す!」




第24話<時の歯車>つづく

更新終わり
次回明日

おつ
再登場

ギリギリこのスレは次回で最終回かな

乙!
作者がたまたま言わせたいだけの設定かww
ユッカが思い出したおばあさんって誰だっけ?

おつ
決戦間近…ワクワクするねぇ

おつ 

>>961
2スレ目のアリスの館

>>964ありがとうありがとう
少女がおばあさんになったんだったな
これで明日までモヤモヤしないで済むわww

>>965
お礼くらい草生やさないで言おうな!

第24話<時の歯車>つづき



勇者「ここ赤い紙をはりつけたほうがいいよ」ペタペタ

魔女「! ち、ちがう…このバルーンは青色が似合う」ペタペタ

僧侶「あーあ、もうぐちゃぐちゃにしないでください。作り直しになっちゃうじゃないですか」

勇者「だってぇ。マナセンス悪すぎ」

魔女「ユッカのほうが悪い」ポカポカ

傭兵「もう適当にやれよ…」

勇者「もうっ! こういうのはね、気持ちがこもってないとダメなんだよ!」

傭兵「あと20個以上つくるんだからどうでもいいだろ…」

魔女「ダメ。あなたも手伝って」

傭兵「おれ関係ない…」

勇者「ええと、気球は全部で24個だから…ひとりあたりは6つだよ! はい材料あげるから作って作って」ずいっ

傭兵(いらねぇ…)

僧侶「…」ペタペタ

傭兵(こういう工作はしたことない…)

傭兵「ど、どうやるんだ?」

僧侶「うふふ。私の側で見てていいですよ」


傭兵「それにしてもさ、こんなのんきでいいのか」

勇者「ん?」

傭兵「お前らの敵がくるんじゃないのか」

勇者「くるかもねー」

傭兵「じゃあこんなことしてる場合じゃないだろ」ガタッ

僧侶「まぁまぁ、座ってください。お茶飲みましょ」

傭兵「ころされるかもしれないんだろ」

勇者「ボクたち勇者だから」

傭兵「…」

勇者「負けないよ。どんな敵でも立ち向かう」

勇者「それにいつでも気配はさぐってるよ。来るなら来いってね」

傭兵「お前…怖くないのか」

勇者「怖いよ。でも戦わないといけない時もあるんだ」

勇者「みんなを守りたい…今度はボクがソルを守りたい」

勇者(あれ…? まぁいっか)

傭兵「おれはまもってもらわなくても自分でなんとかする」

勇者「はぁ…敵が魂流しだけでも待ってくれたらいいのになぁ」

僧侶「それは難しいでしょうね…」

魔女「この魂たちを奪われるわけにはいかない。がんばる」ペタペタ


傭兵「見ず知らずの魂なんだろ? よく命をすてられるな」

魔女「捨てるわけじゃない。勝つから」

傭兵「…」

魔女「あなたは負ける気で戦うの」

傭兵「なっ! そんなことはない…」

魔女「そう。期待してるからがんばって」

傭兵「お、おう…」

勇者「じゃあこっちもがんばろ」ペタペタ

傭兵「おれ作るのへたくそだけどいいか?」

勇者「気持ち気持ち♪」

僧侶「あ、でもユッカ様みたいにあれこれ貼り付けすぎて飛ばない気球はだめですよ」

勇者「え~~! これ重たいかなぁ」

魔女「へたくそ」

勇者「むぅ…」

傭兵(なんか…おちつくな…)

傭兵(おれ…なにしてんだろ…任務もほったらかしでこんなどこともわからない場所で…)

勇者「どうしたの? 不安?」

傭兵「…」

勇者「ちょっと休憩。ソル、ちょっとお散歩しよ」グイッ

僧侶「あっ」

魔女「逃げた」



【街中】


勇者「デートだね」

傭兵「でーとってなんだ」

勇者「デートっていうのはね、こうやって」ぎゅっ

傭兵「うわっ」

勇者「腕を組んで一緒にお出かけすることだよ」

傭兵「はなせ」

勇者「やだよーだ。人多いからソル迷子になっちゃうでしょ」

傭兵「そんなことない…どこにも逃げない」

勇者「けどふたりっきりのデートだから離さないもんっ」

勇者「えへへ」

傭兵「う…顔近いんだよ」

勇者「恥ずかしいんだ~。もういろんなことした仲なんだから赤くならないでいいのに」

勇者「ソルってば昔っから女の子に弱かったの? えへへへ」

傭兵「お前さ…おれのなにをしっているんだ」

勇者「うーん…なんでもしってるよ!」

傭兵「…じゃあおれのうまれた国は。親の名前は」

勇者「え゛っ…えっと…なんだったカナ」


勇者「ごめんわかんない」

傭兵「正解」

勇者「うえ!?」

傭兵「おれもしらない。だからお前の答えは正解」

勇者「そ、ソルぅ…いじわるだよ」

勇者「ほんとうにパパとママの顔しらないんだね」

傭兵「…」コク

傭兵「おれの一番古いきおくは、たしか…犬と喧嘩してた」

勇者「犬って…どういうこと」

傭兵「食べ物のうばいあい…おれはどこにもいくとこがなくて、残飯をもらったり街でゴミ箱をあさったりしていきていた」

傭兵「次に古いきおくは…おれは気づけば燃えるまちのなかにいた。おれはナイフを持ってたっていた」

傭兵「そして先生に拾われた」

勇者「先生って?」

傭兵「殺しの先生。おれに生き方と殺し方をおしえてくれた」

傭兵「先生が死んでからはずっとあちこち移動をくりかえしてる」

傭兵「あしたたべる飯すらおれはないんだ」

勇者「……」ぎゅっ


勇者「ずっとここにいなよ。ボクたちと一緒にいよう」

傭兵「一度うけた任務はすいこうする」

勇者「もし…戻れなくてもソルのこと不自由させないよ」

勇者「もうナイフは持たなくていい。普通の子どもとして、お勉強おしえたりいっぱい遊んだりしてあげる」

勇者「いろんな楽しいことしよ? 楽しい思い出をつくって楽しく生きようよ」

勇者「って…いつ死ぬかわからないボクらと一緒なんて嫌だよね…」

傭兵「……」

勇者「…うぅ」

傭兵「それも…いいのかもなお前たちといっしょに…」

勇者「…うん! だからねっ、いまからボクといっぱいデートしよ!」

傭兵「お、おいひっぱるな」

傭兵「のびるのはお前の服だぞ」

勇者「男の子用の服もかってあげる! いろいろお店あるからいこうよ!」

勇者「えへへへっ、こっちこっち!」

傭兵「…」

傭兵(おれは…どうしてこいつの笑顔をしっているようなきがするんだろう…)

傭兵(おれは…なんなんだ…)

傭兵(かすかに…頭がいたい…なんだこれは)




   ・   ・   ・



【とある山の中】



闇呪術師「作戦の決行は祭りの最終日です」

闇呪術師「魂流しが始まる前に、勇者一行を先に始末します」

闇剣士「分担はどうする」

闇呪術師「私は魂の回収があるゆえ、時計塔へ趣きます」

闇呪術師「おそらく我が姉と勇者たちはすでに接触しているでしょう」

狼魔人「おいおい、呪術師様の姉さんが敵になるなら、ちと厳しくないですか」

狼魔人「あなたと同じく古の賢者の血をひいているんでしょう?」

闇呪術師「えぇ。姉は正当な後継者です」

闇呪術師「しかし姉は一夜限りの光の道を開くために蓄えた全魔力を解放してしまいます」

闇呪術師「その消耗は私が時魔術師を発動する以上です」

闇呪術師「よって、無防備となった姉の命を奪うのもその瞬間がベスト」

闇剣士「実姉を手に掛けるか」

闇呪術師「フフフ…もうお互いに家族とは思っていませんよ」

狼魔人「過去になにがあったかしりませんが、あなたはオレたちの仲間です」

狼魔人「その凶悪な思想と邪悪な魔力にオレは惹かれました!」


闇剣士「では私は勇者の相手でもしておくか」

闇呪術師「お願いします」

闇剣士「さて、どれほど腕を上げたか」

狼魔人「ならオレは赤毛だぁ! あいつをぶっ殺します!」

闇剣士「かまわんが、期待はずれと喚くなよ」

狼魔人「へへへ、あいつに焼きつくされた腕がうずくぜ…」

狼魔人「ミンチにしてやる」

闇呪術師「器はどうしますか」

闇剣士「……放っておけば我々にとって大きな障害になる」

闇剣士「ともに旅をすることで徐々に力を増しているようだ」

闇剣士「できれば無傷で手に入れたいが」

闇呪術師「そうですね。次なる魔王様のお体に傷をつけるわけにはまいりませんものね…フフフ」

闇剣士(何を考えているこの男)

闇剣士(やはり人間など信用に値せんか)

闇剣士(この男の動向も注視しておかなければな)


闇呪術師「あと1人女がいましたね」

狼魔人「女! ひゃっはぁオレが食っていいですか」

闇呪術師「かまわない。やわらかそうな女だ」

狼魔人「…」ジュルリ

闇剣士「やめておけ。食えば体の中からはじけ飛ぶぞ」

闇剣士「我々にとってはそういう類の女だ」

闇呪術師「聖女…ですか」

闇呪術師「なるほど、なるほど! 大海に放った私の邪気を祓った何者かがいると感じていましたが」

闇呪術師「どうやらその女のようですね」

闇剣士「ここまで頭角は現していないが、注意すべき人間だ」

闇呪術師「ずいぶんと勇者の仲間を高くかっていますね」

闇剣士「油断はできない」

闇剣士「いつの時代も勇者の仲間になるというのは、本人の意思でもなく、周りの命令でもなく、運命によって定められているからだ」

闇呪術師「運命…そういうものですか。さすが、何代にもわたって魂を受け継いでいるだけありますね」

闇剣士「知っていたのか」

闇呪術師「あなたの魔王様への忠義は相当なものです」



闇呪術師「親から代々受け継いだ昔話を元に、人類の虐殺を企てる者などいない」

闇呪術師「あなたの尋常ならざる強い意思こそが、魂が世代を渡り今につづいている証明」

闇呪術師「ですよねぇ魔王直属の魔剣士殿」

闇剣士「……ふ、食えない男だ」

闇呪術師「私はこの通りただの人間。魔王など遥か古の御伽噺、顔すらみたことないのですがね…」

闇剣士「魔王様の最期に残されたお言葉に従うだけだ」

闇剣士「たとえこの身が朽ちても、私の魂は途切れることはない」

闇呪術師「私もですよ…たとえ体が滅んでも、転生し人間どもへの恨みを果たします」

闇呪術師「では、計画の夜にまた」

闇剣士「あぁ」

狼魔人「ういっす」



   ・   ・   ・



<一週間後>

<魂流しの夜>


【大時計塔】


時の魔術師「みなさん。そろそろ時間が近づいてまいりました」

時の魔術師「まもなく一般の方々の入場を開始しますよ」

僧侶「ユッカ様。魔覚は」

勇者「まだなにも感じ取れない…ていうか、街のなかにたくさん魂かな、いろんなものがいりまじっててうまく探れない」

勇者「けど、あいつらは来てないと思う…」

時の魔術師「私はこれより展望台に移り、宣誓ととともに光の道をかけます」

時の魔術師「発動すればもう戦力にはなれません。申し訳ない」

勇者「大丈夫。ボクたちが守ります」

時の魔術師「一応、弟子たちに街の周辺に結界を貼らせていますが、魔人相手ではそれもあまり役にたたないでしょう」

傭兵「さいごに戦闘配置をかくにんしよう」

魔女「地図をみて」

魔女「街の中心のここが私達のいる時計塔。街の入り口は2つ」

魔女「1つは正面メインゲート。敵はおそらくここからくる」


勇者「うん。そうだね」

傭兵「もうひとつの東門かもしれないだろ」

勇者「そっちからは漠然とした嫌な気配はしないんだ」

勇者「来るとしたらやっぱりマナのいうとおり正面口だとおもう」

魔女「そう。ここを見張る」

勇者「ボクとマナは、ここから見えるあの大きい家の屋根の上で待機。いいね」

勇者「門にも塔にもどっちにもすぐ動けるし、ある程度見渡せる」

魔女「わかった」

僧侶「私はクロノ様とこの塔をお守りします」

勇者「よろしくね」

僧侶「はい!」

傭兵「おれが東門のほうか…」

勇者「うん。そこはソルにお願いするよ」

傭兵「金もらえるならいい…」

勇者「あげるあげる。だから戦闘がはじまってもこの門から離れないでね」


僧侶「ちょっとちょっとユッカ様」ヒソヒソ



僧侶「ソル様を1人にしてよろしいんですか?」

勇者「うん。敵が狙うとしたら子供になったソルじゃなくて、ボクたちのほうだよ」

勇者「だからソルはなるべく遠ざけよう。ソルは戦わなくていいんだ」

勇者「もうソルはナイフを持つ必要なんてないんだ…」

勇者「それに、もし敵が襲来したら、ソルは東門からそのまま外に逃げられる」

勇者「戦うのはボクたちだけでいい」

僧侶「ユッカ様…」

僧侶「そうですね。私たちががんばらなくっちゃ!」

魔女「絶対に死ぬわけにはいかない」

勇者「うん」


傭兵「……」

魔女「…はい、もう聞いていい」きゅぽ

傭兵「なんなんだよ…耳かゆいだろ」

傭兵「まぁ、どうせおれのことを逃がそうとしてるんだろうけど」

傭兵「おれは依頼以上のことはやらない。おまえらが街のなかでピンチになっても東門をまもりつづけるだけだ」

勇者「うん! それでいいよ!」




  ・   ・   ・



時の魔術師「幸い、天気に恵まれました」

時の魔術師「見上げてごらんなさい。今日は星降る夜」

時の魔術師「ご家族、ご先祖、ご友人の御魂は安らかに天へ昇ることができるでしょう」

時の魔術師「さぁ皆様、最期の別れをつげましょう」

時の魔術師「天に光の道が開きます…」

僧侶(ユッカ様たち大丈夫でしょうか…)

僧侶(お願い…いまは誰も邪魔しないで)



勇者「……きた」

魔女「やっぱり。私も感じ取った」

勇者「思った通りぎゅるちゃんに乗ってきたね」

勇者「あの剣士と呪術師だ…! よし、ふたりとも一緒に行動してる!」

魔女「迎撃準備。アイスキャノンでうまくいけば先手をとって叩き落とせる」

勇者「お願い…行くよ!!」


 
  ・   ・   ・


傭兵「はぁ…ここからじゃ街のなかのようすがわからないな」

傭兵「…時計塔から伸びるあの光の筋が…クロノの言ってた光の道ってやつか」


ザッ…


傭兵「!」

狼魔人「この臭い…見つけたぜ赤毛」

狼魔人「会いたかった…ふははは。さぁ、決着をつけようぜ」

傭兵(なんだ…こいつは…)




第24話<時の歯車>つづく

更新終わり
次回明日夜21時くらい
次スレたてます

次スレ
少女勇者「エッチな事をしないとレベルがあがらない呪い…?」
少女勇者「エッチな事をしないとレベルがあがらない呪い…?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436625642/)

スレ立て乙です

乙 正しいクロノは女性かぁ…大人ソルがいないけど誰が相手するんだww

立て乙
時のクロノは女であったこともおお、となることだったが
やはりマナは魔王復活の器であったというのが最も重要な情報ですな
ラスボスは魔王マナとなってしまうのだろうか・・・

なんか時の魔術師っていうと遊戯王を思い出す

>>985
そうなったらソルのおちんぽで世界が救われるだろ

乙!
狼が出てくるとまた一人くらい死にそうで不安になるわぁ
魔剣士のひとはネタキャラっぽくてあんまり怖くないんだがなぁ

ヒーラは死亡フラグ立ってる気がする

胸あたりの脂肪フラグなら回収済みだぜ

新スレ始まったから
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ソルの騎士編が見たい
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祝ソル復活!
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やっぱりソルの魔翌力は無くなるんだ…
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やったぜユイさん
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ホーリースマッシュ!ただ殴るだけww
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ヒーラさん滅茶苦茶強くなってないですか…?

昔野営するとき結界張ってレベル上げたって言ってたし巨大イカ戦も頑張ったからね

浄化の炎は勇者の一族の?ん?
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ユッカ以外はちゃんと経験値入ってるから…

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