郵便配達員「須賀さんお手紙が届いてます」京太郎「はーい」 (1000)


・何番煎じかわからない京太郎ss
・非安価でただただ>>1が書いていくだけです
・カプスレに投稿した-手紙シリーズ-を書き直した物になります、アフターまで書く予定
 文字制限やら連投規制の為、泣く泣く削った部分を補間+増強の長編(予定)
・更新は不定期、書きたいときに書く、思いついたら書く、メインスレの邪魔にならない程度に
・荒らしはスルーで
・感想もらえると狂喜乱舞する、雑談は構いません…する雑談ないと思うけど
・書く予定 怜 桃子 姫子 照 咏 余裕、もしくは思いついたら他の子も
・女性視点が多いかも?
・キャラ崩壊注意



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432560464



白い白い部屋の中で1人の少女が窓際のベッドに座っていた。

少女は窓の外へと視線をむけている。


視線の先には赤い赤い燃えるような夕暮れの中を楽しそうに走り回る子供達がいた。

部屋の中にいる少女は外の子供達を見ていた。

暫くすると満足したのか視線を外の子供から部屋の中にいる女性へとむける。


『なんでウチはあの子達と遊ばれへんの?』

『…』


少女はあどけない表情で本当に不思議そうに尋ねた。

その問いに答えれないのか女性は少し困ったような表情した。


『ウチも外で遊びたいな…』

『…っ』


少女の純粋な言葉に女性は表情を崩し辛そうにする。

泣きそうなのを我慢しているようだ。


そんな女性の姿に気づかず、少女はまた外へと視線をむけた。

視線の先にはもう帰るのか-友達-に向かって手を振っている子供達がいる。


少女も同じように手を振るが誰も…誰も少女に返してくれなかった。


『誰も…振ってくれへん』

『ごめんね…ごめんねっ』


女性は遂に我慢できなくなったのか涙しながら少女に謝った。



怜「…」


ちゅんちゅんと鳥の声が聞こえるような朝、少女とも女性とも言えるぐらいに大きくなった

白い部屋の少女-園城寺 怜-が目を覚ました。

目を擦りながら周りを見渡す。


薄い青い色の水玉模様の壁紙にそれに合してあるカーテンや絨毯

小さい小さい本棚に(本をあまり読まなくなった)自習用に昔買ってもらった机

確認すると自室のベッドの上のようだ。


暫くボーとしながら欠伸をひとつする。


怜「ふぁ~、また…あの夢や」


誰にいうでもなくボツリと自分に言い聞かせるように呟く。


何度も何度もあの内容の夢を見るのだ。

そしてあの夢を見たときは…


怜「げほげほっ…体調悪いなー」


決まって体調が悪くなる。

怜は昔-子供の頃-から病弱である。

病院に行った回数、入院した回数はかなり多いだろう。

もはや常連レベルでいつも通うあの病院では知らない人はいないだろうと自負するほどである。

嬉しくもないのだが…


期待



怜「はぁー今年は調子良かったのに」


ぼふりと体を倒しベッドの上にまた戻った。

頭の中で神様に文句を言いつつ欠席日数を数えてみる。

まだ…まだ大丈夫だ、今日は休みやなーとつまらなそうに呟く。


コンコンッ!


怜「は~い」


そんな怜の呟きに反応したかのようにドアがノックされた。

来たなーと思いつつ入って良し!と承諾の声をあげる。


ガチャリと無機質な音が聞こえ外にいた人が入ってきた。


怜母「具合悪い?」

怜「ん、いつものや」


怜の母親だ、朝食の時間になっても来ない怜を心配して来たのだろう。

怜は相変わらず私に似て綺麗だなーとそんな感想を抱く

…逆なのだが


怜母「どれどれ…」

怜「んー冷たくて気持ちええ」


母親はベッドに座ると手を伸ばし怜のおでこを触った。

触れた手は怜の体温より低く、冷たく感じて気持ちが良かった。



怜母「今日はお休みね」

怜「やっぱりかー」

怜母「連絡しておくから寝てなさい」

怜「はーい」


母親は怜の頭を撫でると学校へと電話するため部屋を出て行った。

怜は自分の頭の上に手を置いて撫でてみる。


この年になってまで母親に頭を撫でられるのは恥ずかしいが、やっぱり嬉しかった。

少しの間えへへと笑っていたが体調のせいか少し眠くなる。

断じて学校が休みになったからではない。


怜「ん~忘れとった」


怜は寝ようとする前にベッド横の机へと手を伸ばす。

目的の物を掴むと鍵を開け中身を取り出す。


少し大きめな鍵付きの箱の中にいくつもの-手紙-が入っていた。

どれもどれも゛大切な宝物″だ。


その中でも一番新しい手紙を取り出し少しだけ開き読む。

体調が悪いせいか少し読むとくらくらとする。


怜「むぅ、駄目やったか」


くらくらする頭を片方の手で押さえ、流石に読むのを諦め素直に寝ることにした。

手紙を潰さないように抱きしめながら寝ることにする今度はいい夢が見れそうだった。



-京太郎side-


京太郎「…」


優希「盗撮か?」


京太郎「第一声がそれってどうなんだよ」


清澄高校麻雀部屋上…唯一の男性部員である゛須賀 京太郎″は思わず突っ込んでしまった。

構えていたデジカメを下に降ろすと京太郎は振り返った。


ちんまい背丈のタコス娘、同じ麻雀部員で同級生である゛片岡 優希″がいた。

相変わらず大好きなタコスを食べながら暢気にこちらを見ていた。


京太郎「またタコスかよ」

優希「タコスは私の命の源だじぇ」


血はタコスで出来ている…と呟いている。

毎日のように食べているので本当にタコスで出来てるのかもしれないなと思った。



優希「それで…盗撮は犯罪だじぇ?」

京太郎「お前は俺をどんな目で見てんだよ」

優希「のどちゃんのおっぱいをがん見してる人」

京太郎「………そんなことないさ」

優希「目を逸らして言うセリフじゃないぞ」


優希の言葉がぐさりと京太郎の心に刺さった。

わかっている…わかっているのだ、見てるのがバレていて和に冷たい視線を浴びさせられるのだから

それでも見るのをやめられない。

あの大きさの胸が歩くたびに揺れるのだ、男として見ない選択肢はない。


京太郎「ごほん…別に盗撮をしてたわけじゃないぞ?」

優希「露骨だな~」

京太郎「うるせい、証拠にほら」

優希「どれどれ」


咳払いをして゛ワザとらしく″話を変えた。

優希もそれに察したのかワザとらしく乗ってくれる。


京太郎は優希にカメラを渡し撮っていた画像を見せた。

カメラはデジカメのおかげでスムーズに撮った画像を見せる事が出来た。



優希「コ…コレはっ!……普通の風景だじぇ」

京太郎「お前は俺が何を撮ってたと思ったわけ?」

優希「のどちゃん」

京太郎「お前の中の俺は和のストーカーか何かか?」

優希「違うのか?」

京太郎「違うよ?!」


優希は本気で不思議そうな顔をした。

どうやら俺は和のストーカーと判断されていたようだ。

流石にこれは…と思い優希に説明する事にする。


京太郎「あぁ…確かに和は頭いいし、容姿もいい、麻雀もうまいし、性格も…頑固な所があるがまぁいい
    男性の心をぐっと掴むような少女だ!だが俺にはとって和は女友達なんだよ、勘違いするなよ?
    嫌いなわけじゃないぞ?むしろ和の事は大好き(like)だ!!!!」



優希「…」


京太郎が自身満々に和について語っているが…先ほどから優希は別の所に視線を向けていた。

浸っていた京太郎であったが流石に視線が気になり後ろを向いた。


和「…」

京太郎「…」

優希「…」


話題の中心である本人-原村 和-がドアを少しだけ開けこちらを見ていた。

汗がたら~と顔を伝う。


京太郎「…聞いてた?」

和「…」


和は京太郎の問いに静かにコクリと頷いた。

ギィ~と甲高い金属音が鳴り扉が開いた。

中からはもじもじと顔を赤くした和が出てくる。


ちらちらと京太郎を見ては顔を赤くして視線を逸らす。


京太郎(…もしかして脈アリですか!?)


和は京太郎の前まで来ると視線を合わせた。

そして…




和「ごめんなさい」

京太郎「デスヨネー」

優希「犬が振られたじぇ」


和は90度の綺麗なお辞儀をして断りを入れる。

そもそも勘違いなのだが…心が折れそうだった。


京太郎「くすん…どこから聞いてたの?」

和「…む、むしろ和の事は大好き(love)だ!!!!って所からですかね///」

京太郎「よりよってそこからかよ!」


和は思い出したのか顔を赤くしまた視線を逸らす。

そんな和を見て京太郎はあんまりだと空を仰いだ。



咲「なにこれ」


皆を呼びに来た咲は困惑した。

腐れ縁の彼はうがーと叫びながら天を仰ぎ、親友は顔を赤くしもじもじとしている、優希に至っては爆笑だ。

コミュ力の低い咲には難関で混沌とした状況が広がっていた。



京太郎「…てわけだよ」

和「か、勘違いだったんですね」

優希「見てる分には楽しかったじぇ」

咲「楽しいのは優希ちゃんだけのような気がする」


結局、一番最初に冷静になった京太郎が咲に気づき一緒に事情を話した。

話を聞いているうちに勘違いに気づいた和は別の意味で顔を赤くした。


京太郎「これは文通相手に贈る写真を撮ってたんだよ」

優希&和「「文通?」」

咲「あー」


優希と和は顔を見合わせて不思議そうに呟いた。

京太郎と文通…まったく想像しない組み合わせだったの。

反対に咲は納得のしたのかアレねと声をだした。


優希「咲ちゃんは知ってたんだじぇ?」

咲「何回か便箋選び手伝わされたから」

和「…咲さんに頼むという事は相手は女性ですか?」

京太郎「そそ、大阪に暮らす人だな」


そう言って京太郎は文通相手の怜の姿を思い出す。

少しでも触ると壊れてしまいそうな儚げな雰囲気、病弱な為か肌が雪の様に白く

自分とは違い日本人特有の黒髪が良く似合っている。

改めて思い出すだすとかなりの美少女だ。


手紙の中の彼女はお淑やかとは言えない様な我侭な毒舌家だが…



-自室-


京太郎「はぁ~」


ぼすんと音をたて京太郎は自室ベッドに沈み込んだ。

あ~と声を出してぐったりとする。

あの後、部長達も加わり葉から根っこまで丸々話をさせられた。

最後まで話すとすごい盛り上がりようだった。


京太郎(そんなにロマンチックかね?)


はぁ~とため息をついて手を伸ばす、伸ばした先に合った雑誌を手に取るとお目当てのページを開く。

そこには『期待のエース゛園城寺 怜″』と書かれ怜が一面に載っていた。


京太郎(たぶん、この子だよな)


怜に確認したわけではない…大阪の千里山高校に通っていて名前が園城寺怜

趣味の欄にも文通と書かれている。

間違いが無ければこの子なのだろう…



-怜side-


怜「んぁ…」


怜が眼を覚ますと顔にオレンジ色の明かりが顔に当たる。

どうやら夕暮れ時らしい、眠り過ぎたようだ。

むくりと起き上がるとお腹がぐーと鳴る。


怜「お腹空いたなー」


可愛い音を鳴らすお腹を押さえ立ち上がろうとする、抱きしめていた手紙が零れ落ちた。

零れ落ちた手紙は途中で開かれ中身から便箋と写真が出てくる。


怜「…」


怜は大事そうに便箋と写真を手に取り戻していく。


最後の写真を手に撮った時、目に入った。

写っているのは何処かの喫茶店のようだ、そこのガラスにカメラを構える金髪の少年が写っていた。

たぶんこの人が京太郎なのだろう。


暫く見つめると怜はポツリと呟く。



怜&京太郎『会いたいな』


同時刻運命の悪戯か2人の意思が合わさった。


とりあえずここまで残りは書き終えたら投稿します。

期待

丁寧ですばら

郵便配達員「彼女とか、いらっしゃらないんですか?」

京太郎「え、そんなの関係ないっしょ。」
話が丁寧で面白い、期待してます

警察官「もしかしてお前はあいつのことが好きなのか?」


このスレを待ってた!

乙です
や京怜NO1!
この会うまでの進行も醍醐味だよね

おつー

なんで地の文があるのに台詞の前にキャラ名があるの?

書きやすいからに決まってんだろ

じゃあ回りくどいだけだし地の文いらんくね?

それを判断するのはお前じゃなくね?

SSやったらよくある書き方やで

なんでホモが湧いてるんですかね…

おつおつー
これは期待せざるを得ないな!

いいスレを見つけた

スルーしてたが良スレやな


>>16 >>17 >>19 >>21 >>23 >>30 >>31 >>32
ありがとう、頑張ります。…自分が楽しめる範囲で

>>24 ~ >>28

こちらのほうだと地の分を多少なりと省略できるので楽なのです
あとわかりやすい

>>22
会うまでの進行が好きです。
京ちゃんをどんな方法で会わすか考えるのが好き。

>>29
郵便配達員改め怜「彼女とか居るん?」

京太郎「え、誰…てか関係ないっしょ」

警察官改め桃子「もしかして…京ちゃんさんその人の事が好きなんっすか!?」

京太郎「え?え?」



-怜side-


怜「希望の朝が来た~♪」


翌日体調が良くなり学校へといけるようになった。

手紙の御蔭かなーと思いながら上機嫌に歩いていく。

病気は気からと言うが昔から手紙を抱いて寝ると大抵よくなったりする。


怜(京君が力をくれるんかなーえへへ)


ロマンチックすぎるだろうか?

それでもそうだと嬉しいなと怜はニヘラと笑った。


暫く歩くとバス停が見えた。

そこまで歩くとベンチに座り一息つく。


怜(体力付けた方がええかな?)


少しばかり病弱を盾に運動しなかったつけが来たようだ。

むむむと運動したほうがいいか考える。

京君は少し太めの人のほうが好きやろかなど、お花畑全開で幸せそうだ。




竜華「朝からだらしない顔しとるなー」

怜「あっ竜華や、おはようさん」


怜はのほほんと親友である-清水谷竜華-に挨拶をした。

その挨拶に竜華もおはようと返してくれる。


竜華「昨日休んだけど元気そうやね」

怜「私には手紙があるからなー」


そういって鞄から一通の手紙を取り出した。

相変わらず用意周到である。

何時もやる気がない怜だったが、こと手紙に関してだけは抜かりがなかった。


竜華「それ新しい手紙?」

怜「うん、2日前に届いたわ」


2週間前に見せられた手紙とは違った物になっていた。

我ながら良く覚えてたなーと竜華は苦笑した。


怜「それでな、それでな」

竜華「はいはい、続きはバスの中でなー」

怜「あーん、今聞いてな」


2人が話し合ってるうちにバスが到着した。

じゃれ付いてくる怜を構いつつ竜華はバスへと乗り込む。

その後、高校に着くまで怜の話を聞いてあげるのだった。






怜「リーチ…」

後輩「はやっ!?」

同級生「ははは…ぜ、絶好調だね」

後輩2「もういやや…」


時間は経ち部活の時間、怜は後輩と1軍の同級生と打っていた。

何時もなら病弱やからと言って竜華に膝枕を頼む怜だったがこの日は違った。

上機嫌で部活-麻雀-に打ち込んでいるのだ。


浩子「調子よさそうやね、園城寺先輩」

泉「調子よすぎて阿鼻叫喚な地獄が出来てますが」


泉はアハハ…と顔を引きつらせながら怜-地獄-を見ていた。

最強の一年生を自称する彼女だったが、あそこだけには入りたくないなと思った。




セーラ「ただいまー!」

竜華「戻ったで」


浩子「おつかれさんです」

泉「お疲れ様です」


2人が怜について話し合っていると竜華とセーラが戻ってくる。

監督と今後のスケジュールの設定を話し合っていたのだ。


浩子は2人に挨拶をしながらちょうどいいと怜に関して聞いてみる事にした。

親友の2人なら何か知っているかも知れない。


浩子「園城寺先輩なんですけど、調子よさそうでして」

竜華「あーなぜかってことやな」

浩子「そうです」

セーラ「あー手紙届いたんか」


浩子が聞くとやはり竜華達は何かを知っているらしい

セーラに至っては複雑そうな顔をしている。


浩子「手紙って…「セーラ!」わっ」


浩子の言葉を遮り怜がセーラへと抱きついた。

いつもなら竜華に抱きつくのだが…珍しい光景だった。


怜「今日頼める?」

セーラ「わかった、わかったから抱きつくなや」

怜「部活終わったらお願いなー」


セーラは離せーと騒ぐが怜は楽しそうにしており離そうとしない。

そんな2人を見つつ浩子は竜華のほうに話を聞く事にする。





竜華「あー話しの続きやけど、怜は小学生の頃から文通しとってな」

浩子「それで手紙ですか」

竜華「もう10年ぐらい続いてるとか…」

泉「ながっ!?」


どうやら途切れず続いてるらしい…携帯もありネットも発達した時代で文通自体珍しいのに10年間もである。

浩子と泉は驚きのあまり言葉を失った。


泉「……相手はどんな人なんですか?」

竜華「えーと…名前は京太郎といってな」


浩子「男みたいな名前ですね」

竜華「いや、男の子やし」


竜華の言葉にまた2人は驚いた。

そんな2人を見て竜華は何処に驚く要素があったのかと考える。


泉「清水谷先輩なら「怜に手を出すんは許さへん」とかいって排除しそうなので」

竜華「驚いてたん、そこなんや」


竜華「てか、ウチの事どない思うとんねん」

浩子&泉『園城寺先輩のお母さん』

竜華「……せめてお姉さんで」


2人の言葉に竜華はあながち間違いじゃないなと思ってしまった。

竜華とて最初は京太郎の事が気に食わなかった。

毎回のように怜の話に登場し自分より先に出会っているのだ。

京太郎-手紙-に嫉妬していた。


だが、ある事件により怜を本当に大事にしているとわかった。

竜華は窓の外へと視線を向け空を眺め昔の事を思い出す。


竜華(そういえばあの時もこんな天気やったな))




-1年前-


それは、何時も通りに部活の参加し先輩達相手に頑張っているときだった。


セーラ「なんか怜元気ないな」

竜華「せやね」


休憩中だったセーラが竜華に近寄ると怜の話をする。

親友である怜の様子が何時もよりおかしいのだ。

セーラの指摘に竜華も応えた、確かに今日の怜は元気がない。

2人は部活が終わったら話を聞こうと相談するとお互いに部活に戻っていく。





怜「話しってなんや……」


部活が終わり怜を呼び止めると部室は3人だけになった。

既に外は暗く皆は早めに帰ったのだ。


そんな中、怜は不機嫌そうな顔を隠そうとせず竜華へと視線を向けた。

ジト目で睨んでくる怜に若干怯えるも竜華は理由を聞いてみる。


竜華「……今日元気なさそうやったから」

怜「……そんなことかー」


怜は竜華から視線を外すとハァ~とため息をついた。

人が心配してるのにその反応は……と思ったがぐっと堪える。





怜「昨日、検診やったろ?」

竜華「せやったな」

セーラ「…」


怜はくるっと回り竜華達に背を向けた。

そんな怜を不思議に思いながらも相槌をうっていく。

確かに昨日は病院の検診だった。


竜華「まさか――」

怜「…」


竜華は怜の暗い顔と検診、この二つから嫌な想像を掻き立てられる。

言葉にしようとするも声に出ない、否 出すのを拒否してるのだ。


固まってしまった竜華を怜は振り向き見る。

そして当たり前のようにその言葉を口に出した。


怜「このまま調子が悪くなれば゛手術 ″やって」

竜華「――」

セーラ「…なるほど……な」


怜の言葉に竜華は完全に動きを止めた。

そんな竜華とは違いセーラは腕組をして納得した。





竜華「嘘やろ?」

怜「こないな嘘ついてどないすんねん」


竜華「えっ…でも、え?」

怜「…もうええやろ?はよ帰らんと」


怜はもう一度ため息をつくと帰り支度を始める。

そんな怜を見ながら竜華は事実を受け止めようと必死に頭を働かせる。



怜が手術? なんで? そないに悪かったん?

なぜ気づかなかった? ウチは…ウチは…



考えが纏まらない頭で考え思いついたのはとにかく怜を元気付けないと、という事だった。


竜華「っ……大丈夫や、怜にウチらがついてるし…だから」

怜「…大丈夫?」


竜華の言葉に怜はピタリと手を止め振り向いた。

振り向いた怜の顔はこれまで見たことがないような無表情だった。




怜「何が大丈夫なん、竜華に何が出来るん?」

竜華「それは…」

怜「竜華は……明日に恐怖したことないやろ」

竜華「……」


竜華は何もいえなかった…明日に恐怖した事がない。

当たり前だ…明日が嫌だなーとは思ったことがあっても恐怖を感じた事はない。


怜「私はある、毎日そうや」


そういって怜は目を閉じる。

目を閉じた先には真っ暗な一切の光を灯さない暗闇が広がっていた。


暫く目を閉じた後ゆっくりと開く、目の前には泣きそうな竜華が立っている。


怜「昔な入院している時、隣に仲良くしてくれた人が居ったんよ」

怜「気のいいお婆ちゃんでな、私の事本当の孫のように可愛がってくれた」


今でもよく覚えている、よく頭を撫でてもらったものだ。

そして起きた結末もよく覚えている。


怜「ある日な、夜中に隣が騒がしくなってな」

怜「そん時はうるさいなーとか思ってたわ」


寝ていたら看護婦やお医者さんが大勢やってきて慌しくしていた。

子供だった怜は1度起きたが眠気に負けすぐに寝てしまった。


怜「朝起きると隣は白いシーツだけが残ってた」

竜華「っ」


竜華は絶句し目を見開いた。

怜は相変わらず無表情だった。





あれ以来、怜は眠るのが怖かった。

寝たらもう二度と目が覚めないのではと考えてしまうのだ。


だから希望-明日-をくれる手紙-京太郎-が好きだ。


だから安心して安眠出来る親友-竜華-の膝枕が好きだ。


だからいつも大きな声で騒ぎ立ててくれる親友-セーラ-が好きだ。


だから……今まで耐えてこれたのだ、誰にも悟られず。


だが手術という現実が怜を呆気なく押しつぶした。

抱いていたものは全て手から零れ落ち、現実-手術-に潰された。









『私を知らんくせに…私の欲しい物全部持ってるくせに』



「と、怜?」



『もういやや!!もう生きてるんが辛いっ毎日が怖いっ……』



『もう…私に関わらんといて!!』








叫び、今まで思っていたことの全ての叫び

竜華は怜の欲しかった物を全て持っていた人物だ。

だからこその憧れ。

人に優しく気遣いが出来る性格、料理も美味い、容姿も良く体つきも抜群だ。

何より……竜華は-健康-だ。


手術という重い現実に潰された怜にとってそんな竜華-全てを持っている人-に励まされるのは毒にしかならなかった。


怜「あ…」


怜は全てを吐き出し少し冷静になった。

部室は嫌な静けさを保っている。


怜「っ…!」

竜華「あ…」


怜は自分の鞄を手に取ると走り去ってしまう。

そんな怜に竜華は手を伸ばすが、それだけだった。

結局、呼び止める事も出来ずに手を戻してしまった。




セーラ「追いかけんの?」

竜華「でも…でも…」


止まっている竜華に今まで黙っていたセーラが声をかけた。


追いかける…本当ならそうしたい、でもでも…

竜華は怯えていた、怜の本音ともいえる言葉を聞いてしまった。

このまま追いかけても余計に傷つけるのではないかと考えてしまう。


セーラ「はぁ…」


セーラは怯えている竜華に一言投げかけた。


セーラ「医者が調子悪くなったらって言ってたろ?」

竜華「…」

セーラ「それってつまり容態が悪いってことや、現在進行形でな」

竜華「あっ…」

セーラ「それなのにあんなに感情をむき出しにし興奮して…走ったら」

竜華「怜ーー!!!」


竜華は話を聞き飛び出した。

そんな竜華の後ろに着きながらセーラは思った。


セーラ(あんな事言われたのにまだ怜を心配するんやな)


やはりこの2人は特別な絆があるんだろうなと考えた。






怜「っ……はぁはぁ」


あれから走り気づけば昇降口まで来ていた。

靴箱に手を当て荒れた息を整える。


怜「……何しとるんやろ」


心配をしてくれた竜華を傷つけて、子供みたいに逃げて。


怜「……明日謝らんとな」


そう呟き靴を取ろうと手を伸ばす。


怜「あれっ」


おかしい視線がおかしい…なぜ自分の目に地面が横たわっているのだろう?

不思議に思っていると次第に体が痛み出す。


怜(あぁ…そうか私倒れたんやな)


倒れた意識はなかった、気づいたら倒れていたのだ。

次第に目の前は暗く黒く潰されていく。

まるでテレビのスイッチを切るかのように。


遠くのほうで竜華の呼ぶ声が聞こえたような気がした。

だが怜が最後に思ったのは…


怜(呆気なかったな~私の人生)


それだけだった








竜華「怜!!怜っ」

セーラ「落ち着け!!救急車を呼ぶんや!!」


竜華達が怜を追いかけ走っていると先のほうに倒れている怜が見えた。

必死に怜を抱きしめ声をかけるが返事が無い。

パニックになり怜の名前を呼び揺する竜華にセーラは大きな声で注意する。


竜華「せや…救急車を…」

セーラ「俺は先生呼んで来るから、ここは任せたで!!!」

竜華「わかったっ!」



暫くし救急車が到着すると怜を運んでいく、竜華は怜の付き添いで着いていった。

病院に着くとすぐさま怜は手術室に運ばれ赤いランプがついた。







どのぐらい時間が経ったろうか

あの後近くのソファーで座って待っているとセーラと怜の両親が走ってきた。

セーラが残り怜の両親に連絡をしてくれてたのだ。


セーラ「怜は…」

竜華「…」

セーラ「くそっ!!」


竜華は無言で首を振る。

それを見てセーラは拳に力を入れ近くの壁を殴った。

ドンと音をたてた夜の病院に響くが特有の静けさの前に吸い込まれるように消えていく。









あれから2時間は経過しただろうか?

まだ手術は終わっていない。


竜華(怜の言った通りやな、何も出来へん)


待ってる間祈る以外何も出来なかった。

こんなんやから駄目やったんかなと自分に苦笑した。


そんな時だった。

手術中のランプが消えたのだ。




竜華「ッ」

セーラ「ッ終わったか!」


中から医者が出てきて怜の両親を呼ぶ、暫く両親は医者の話を聞いていく。

部外者である竜華達には聞こえない所で話しをしている為待ってる間がもどかしかった。


竜華「怜はっ!」

セーラ「おばさん!どないなっとんねん」


話し終り母親がこちらへと歩いてくる。

2人は喰い気味に近寄り話を聞く。




竜華「…そんな」

セーラ「…」


聞いた内容によると手術は成功したとの事だ。

それ自体は朗報だった。

だが…あとは怜の気力次第だともいわれた。





竜華「気力次第って…」

セーラ「曖昧すぎんやろ…」


2人は話を聞き終えた後、もう遅いからと帰らされた。

最初は渋った2人だがここに居ても何も出来ないと理解し家へと帰る。


2人は特に喋らず家へと帰宅する。


「すいません」

竜華「へ?」


そんな時、病院から出て数分歩いた所で声をかけられた。

竜華とセーラが振り向くとそこには1人の少年が居る。


髪が金髪だった為、最初は不良かと構えた。

だが彼は人の良さそうな笑みを浮かべ道を尋ねてきた。





「荒川病院ってこの先ですか?」

竜華「せや、この先や」

セーラ「なんや、にーちゃんお見舞いか?」

「そんな所です、ついでにこの近くに神社ってありませんか?」


竜華とセーラは顔を見合わせた。

病院はわかるがなぜ神社に…お守りでも買うのだろうか。


竜華「ここやったら…○×神社やね」

セーラ「この先を右に曲がっていけばあるで」

「ありがとうございます」


そういって少年は歩き出した。

2人は何だったのだろうかと顔を見合わせ帰宅した。

明日朝一で病院に行く約束をして…








-???side-


「うわー結構階段長いな」


少年は教えられた神社へと向かうと階段下から上を見上げる。

今からすることを考えれば短いほうがよかったのだが…


「泣き言、言っててもしょうがないか…」

「よし!やるか」


バチンと頬を叩いて気合を入れると一歩一歩しっかりと階段を踏み登っていった。




-怜side-


「ここは何処なんやろ…」


怜が目を覚ますと真っ暗闇の空間に居た。

どうやら宙に浮いてるらしくふわふわとする。


「あぁ…私死んだんやな」


自分の中にある最期の記憶を辿りそんな事を思った。


「これからどうなるんやろ」


辺りを見渡すも真っ暗闇で何も無い。

ここで終わりなのだろうか?それともここから別の所に移るのか

何もわからなかった。


結局何もする事がなくふわふわとただただ浮いていると声が聞こえてきた。


すばらすぎる




『あーやっぱりまだ寝てるのか』

「誰や?」


若い男性の声が聞こえてくる。

誰に声をかけているかわからないが何故か声を聴いた瞬間心が跳ねた。


『んーどうしよう、顔だけでも拝んでいくかな』

「…」


暫く男性の悩む呻り声が聞こえてくる。


『決めた…手紙だけ置いていく事にするか』

「手紙?」


手紙という単語に胸がまた跳ねた。


『眠ってるし聞こえてないだろうけどさ…言っておきたい事があるんだ』

「まさか…まさかっ」

『元気になったらさ…また手紙のやり取りしようぜ?』

「京…君?」

『楽しみに待ってるから、それじゃ』

「待って!待ってや!京君」


怜は暗闇の中で必死に手を伸ばす。


怜「京君っ!!!」








ガバリと起き上がる。


怜「あれ…?」

竜華「…」

セーラ「…」


怜の視線の先には真っ白いカーテンがあり自分は手を伸ばしていた。

その横には何やら驚いている二人の親友が居た。


竜華「怜ッ!」

怜「わっ」

セーラ「起きた!!!」


竜華は目に涙を溜め怜に抱きついた。

セーラも目に涙を溜めている。

何が何やらわからない怜は必死に考える。


とりあえず竜華のせいで苦しかった。


離してやー苦しいわ! いやや、離さへん! よかった!よかった!


3人が騒ぎ立てる横の机の上に青色の便箋とお守りが載っていた。



-怜side カンッ!-




今日はこれでお終い

次回は京太郎sideです、なぜここに居るかや何をしていたかなどになります。

ちなみにこれでまだ中盤…あと2個ぐらいエピソードだして怜編は終了です(予定)

長くて嬉しいっす!


いいぞ~

乙です
王子様がキタゾー
丁寧で本当に好き

なんか逐一いらん地の分やら回りくどさを使いつつ、結局鉤括弧前に名前つけるあたり、ラノベにハマりだして俺も書きたいと思った中学生の書いたようなSSだな

すばらっすねぇ
面白い

いいねえ

>>61
>>26

>>61
やめーや
初めてはみんなそんなもんやろ
成長するのに芽を潰すな

この作者は初めてじゃないぞ
それ分かってて書いてる自演なら知らんが

>>66
すまん 1みてなかった

手紙シリーズ進化してるな
続き期待

乙!

おつおつー

おつー
ええ話や~

すばら!

>>61
くっさ


>>58
すごい長くなった…これが後4人もあるんだぜ?

>>59 >>60 >>62 >>63 >>68 >>69 >>70 >>71 >>72
ありがとう!喜んでもらえてるようで嬉しいです!
さぁ書くぞー!

>>65
心配してくれてありがとう!でも大丈夫折れないよ

今回は>>61やらが言ってるので鍵括弧の前に名前を入れずにやってみました。

やっぱり有っても無くてもそんなに変わらんな思った。

以下投下



-京太郎side-


「ありがとうな、咲」

「はぁ~今度何か奢ってよ?」


夕暮れの街を2人並んで歩いている。


「さて何書こうかな」

「本当に京ちゃんって手紙の事ばかりだね」


咲はこれまでの京太郎の行動と会話を思い出す。


『んで手紙の内容がさ』

『写真撮る事にしたんだ……え?あぁ手紙につけようかと』

『咲、便箋選ぶの手伝ってくれ!』


見事に手紙絡みだった。

思い出すと思い出すだけ頭が痛くなってきた。


「どうした、咲」

「なんでもないよ」


京太郎はいきなり立ち止まり頭を押さえる咲に心配したが

咲はなんでもないと断りはぁ~とため息1つついた。


その後咲を家まで送り京太郎は帰路についた



「ただいま」


「あれ…誰もいないのか?」


家に着き声をかけるも返事がない。

この時間帯には母親が居る筈なのだが…


出掛けているのかなと思いリビングに顔を出すと居た。

どうやら電話しているらしい、邪魔するのはいけないと思い部屋に戻ろうとした時だった。


「……怜ちゃんが?」

「え……?」


話し声から聞いたことある名前が飛び出た。

京太郎はもう一度よく聞いてみる。


「倒れた―荒川病院――手術」

「……は?」


会話の内容が理解できなかった。


なんで母親が怜の事を…?


倒れた……?


手術………



京太郎の頭は真っ白になった。

その後ふらふら~と自室へ戻るとそのままベッドに倒れこむ。



「…よし」


一言呟き、体全体に力を入れ立ち上がった。


「京太郎!…京太郎?」


母親が2階に上がり京太郎の部屋にをノックする。

先ほどあった話しの件を伝えようと思ってきたのだ。

だが幾らノックしても返事が無い。


「おかしいわね…ただいまって聞こえたのに」


ガチャリとドアを開けると中には誰も居なかった。




「っ……」


走る、走る、夕暮れから徐々に暗い夜に変わろうかという時間帯に京太郎はただただ走り抜けていた。


駅に向かって


「えっと…えっと…この時間じゃ新幹線は無理か…電車、高速バスそれから」


駅に着くも既に時間は遅い、京太郎は携帯や駅員に話を聞き移動を開始する



大阪へ




バスのチケットを取る際などに不振がられたがなんとかなった

マスクをし帽子をかぶり顔を少しでも見せないように工夫した。

元々京太郎は背が高いほうなので中学生とバレなかったようだ。




大阪へ向かうバスに揺られながら手紙を書いていると携帯に着信が来る。

表示を見ると母からだった。


「バレたかー…」


一呼吸置いてから電話にでた。


「もしもしー」

『どこに居るのかしら』


うん、バレてる

流石に正直に話すことする。


「えーと…大阪に向かうバスの中で…」

『…』

「…」


沈黙が痛かった。

京太郎は判決を待つ囚人のような気持ちになる。

悪いのは判ってる…それでも京太郎自身引けなかったのだ。




『はぁ~…会ったら明日帰ってきなさい』

「えっといいの?」

『もう大阪に向かってるんだし、戻って来れないでしょ』


京太郎は今の状況を改めて理解し苦笑した。

それじゃと切られそうになった時、聞きたいことを聞くことにする。


「そういえば誰から怜の話し聞いてたんだ?」

『そりゃ怜ちゃんのお母さんからよ』


何時の間に知り合っていたのだろうか…

不思議そうな京太郎を電話先の母はお見通しらしい


『子供だけに文通させる訳ないじゃない、しっかりとアナタが文通したいって手紙出したとき一緒に私も相手のご両親に出したのよ』

「あー…」


言われて納得した相手がどんな人かわからないのだ。

子供だけにさせるわけがない。


知らなかったのは俺だけかとガックリと肩を落とした。

そんな京太郎に母はクスクスと笑い最後に補導されないように気をつけなさいと言って電話を切った。


京太郎は参ったなと頭を掻き、また手紙を書き始めた。

外は既に暗くなっている、それでも少しずつだが大阪-怜の所-へ近づいていく。






「えっと…どこだ?」


大阪に着いた京太郎は携帯を頼りに荒川病院を探す。

暫く電車を乗り継ぎ近くに来たときには既に子供が歩く時間帯じゃなくなっていた。


「参った…この辺りのはずなんだけど」


近くにあると思うのだが道に迷ってしまった。

咲の事、笑えないなと苦笑しつつ誰かに聞こうと思い道を歩く。

そうしていると丁度よく前から2人の高校生が歩いてくる。


こんな時間にと思ったが大人より話し掛けやすそうだった。

断じて胸に釣られた訳ではない。


「すみません」

「……なんや、ナンパか?」

「いえいえ、違います」


彼女の友達?彼氏?なんだか男っぽい服装の方にナンパかとからかわれた。

髪の毛のせいで軽く見られることがただただある為こういうのには慣れていた。

すぐさま違うと答え病院と神社の位置を聞いてみる。


2人は顔を見合わせ不思議そうにしていたが教えてくれた。

お礼を言って京太郎は神社のほうへと向かった。




(胸大きかったな~えへへ……)


先ほどの黒髪巨乳少女を思い浮かべながら歩く。

病院へは行かない、怜の容態も気になるがもう夜が遅い、行っても会わせて貰えないだろう。

だから京太郎は自分の出来る事をやる事にする。


「結構長いな」


教えられた神社に行くと階段下から上を眺めた。


「お百度参り……やってみるか」


誰に言うでもなく自分にいい聞かせる為に呟いた。

そうして初めの一歩を踏み出した。





1回目

「こんな感じでいいのかな?」


階段下から上へ登り鳥居をくぐる、その後も足を止めず歩き忘れないように1円を賽銭箱に入れる。

100回やった事忘れない為に前もって1円を100枚準備してきた。


店の人に嫌な顔をされたが……


(怜が良くなりますように)

「とりあえずこれで一回目…」


30回目

(怜が良くなりますように…これでいいのだろうか)


あれから30回ほど繰り返した。

最初は良かったが繰り返すと次第に苦痛に感じてくる。

それでも怜の為になにかしたいと思う気持ちが京太郎を歩かせた。


70回目

(怜がよくなりますように)


最初は色々考えが浮かんでは消え浮かんでは消えていたが次第に思考が1つのことだけに纏まった。

ただひたすら怜の事を想う。


90回目

「っ…」


休みも無く続けていたせいか転んでしまう。

階段を登り始めた所だったからまだ良かった。

それでも数段の階段を上から転げ落ちた。


少しの間、痛みで蹲る。

それでも立ち上がるとまた一歩一歩上り始めた。


100回目

(怜が良くなりますように)


最後の願いを終えふらふらと階段下まで降りる。

全て終わった、そう思った瞬間力が抜けその場に座り込む。


(頼んだぜ、神様よ)


そう思いながら意識が遠のきそうになる。





そんな京太郎の顔にライトが当てられた。


「君何してるんだ」


(だれ?)


意識が戻され視線を向けると警官だった。

やばいなーと思うものの言い訳も思いつかない。

このまま戻されるのはやばい…まだ怜に会ってないのだ。


何も言わない京太郎に警官は顔をしかめる。


「君…ちょっと交番まで……『すみません!』…え?」


警官の言葉を遮り女性が近づいてきた。

京太郎も視線を向けるが見覚えがない人だった。


「私の息子なんです、実は……」

「……」


何やらその女性は京太郎を息子と呼び警官に説明をしている。

曰く大好きな人が倒れてその人の為にお百度参りをしていたと…


(当たってる…この人だれだ?)


京太郎の事情を知っているらしい。

警官は少しの注意をした後、京太郎を補導せず去っていった。




「ふぅ~…」

「あのー…」


女性は警官が立ち去るまでずっと頭を下げていた。

そんな女性へと京太郎は声をかける。


「ありがとうございました」


感謝を伝える。

すると女性は驚いた顔で京太郎をまじまじと見るとニカッと笑った。


「気にせんでええ、好きでやったことや」

「はぁ…俺は須賀 京太郎と言います、あなたはなぜ俺の事情を?」


とりあえず自己紹介をする。

それと何故自分の事を知っているのかも聞いておく。


「私の名前は-愛宕雅枝-アンタの恋人の園城寺は私の部活の教え子や」

「なるほど……あと、彼女じゃないですよ?」 

「ほぉ~倒れた友人の為に大阪まで来て、その上こないになるまでお参りすると?」


雅枝の言葉に京太郎は詰まった。

そう言われると何も言い返せないでも彼女ではないのだ。

なんて説明しようかと思っていると雅枝に手を引かれた。


「ちょっ……」

「とりあえず家に来い、泊まる所もないんやろ?」


言われて気づいた…泊まる所を探してなかった。

そもそも中学生を泊めてくれる所がない。






京太郎は戸惑うものの疲れていたこともあり素直についていく。


「ホンマにやり遂げたんやね」

「なんとか…結構辛いですね」


2人は歩きながら言葉を交わす。

話を聞くと家に怜の事で病院に行った帰りに見たらしい。

その後、一度家に帰ったものの気になって見に来てくれたとのことだ。

既に怜の両親に京太郎の母親が連絡していてその事も聞いていたらしい。


もしかして思って声をかけたらビンゴだった。


「ここは私の家や、おとんは出張でいないんやけど娘が2人居る」

(娘居るのに俺なんか泊めていいのだろか)


ふとそんな事を考えた。

咲みたいな子達ならいいなと思って家に入っていった。


家に入るとドタドタと走る音が聞こえてくる。


「「おかえりなさい」」

「おぅ、ただいま」


家の中から2人の少女が姿を現した。

1人は髪をポニーテールにしている子で胸が薄い。

もう1人は髪先がカールしており眼鏡をかけている、こちらは胸が大きかった。


「えっと…その、お、お邪魔します」

『…』


2人の視線が京太郎と注がれた為、とりあえず挨拶してみる。

2人は動きを止めじーーと京太郎を見続けた。


やがて2人は顔を見合わせると叫んだ。


『オカンが浮気相手連れ来よったーーー!!!!』

「……なんでそうなるんよ」


雅枝はため息をついた。


(あぁ…騒がしそうな姉妹だな)


京太郎もため息をついた。






「なるほどな…文通相手が倒れてわざわざ会いに」

「その上お百度参りまでって…」

「やっぱりおかしいですかね……」


あの後、誤解を解きお風呂にご飯まで貰った。

その代わりといってはアレだが姉妹の話し相手をしている。


からあげ美味いなーと思いつつ姉妹を見る、本当に似てない二人だった。


「ご馳走様でした」

「お粗末様やで~」


パンと手を当て感謝した。

食べ終えたお皿を運ぼうとすると絹恵が持って行ってくれた。


(こんな子がお嫁さんだったら)


絹恵のドレス姿を想像してみる、かなり好みだった。

少しだらしない顔をしていると後ろからヘッドロックをかけられた。


「構えや」

「いたたたたたっ」


食い終わるのを待っていたのだろう。

洋榎が後ろから抱き着いてくる。

両方の意味で痛かった。


暫く洋榎とじゃれ合っていると雅枝が何やら持ってきた。




「宿代と思って付き合え」

「麻雀……?」

「あー家族麻雀の日やったな」

「私もやるー!」


持ってきたのは麻雀セットだった。

京太郎の呟きに洋榎が教えてくれた。

なんでも愛宕家では1週間に1度家族麻雀をするらしい。

しかし今回父親が出張で三麻になってしまった所に京太郎が来たと喜んでいる。


「三麻も嫌いではないんやけど」

「やるんやったら4人やね」


どうやら姉妹はやる気のようだ。

既に牌を積み上げていた。


「それにしてもよく俺が麻雀できると知ってましたね」

「そら手を取ったときマメ出来とるのわかったし」


京太郎はなるほどと頷いた。

昔に怜が麻雀をやってると知り自分も始めたのだ。

最初は話題作りの為だったのかいつの間にかハマっていた。





「ツモ!1000・2000」

「あらら」


思考していると洋榎に和了られた。

元プロの母親を持つせいか本人の努力、才能のせいか知らないが強かった。

ここぞという時ツモる運に大胆な戦力見事としかいえない。


「わ、私も!」

「まだまだやね」


絹恵も頑張ったが雅枝に和了られた。

それでも絹恵もそこそこ和了っていた。

京太郎だけが和了れていない。


南局に入っても洋榎は止まらない。


「リーチ……や」

(なんだって)


洋榎の捨て牌を見る。

大きな手が入ってそうだった。


(くそ、早過ぎる……崩すか、安牌で回す)

「京……守っとるだけじゃ勝てへんで」

「え?」


洋榎がニヤリと笑った。

手を伸ばし牌を手元に持ってくる。


京太郎は嫌な予感がした。


「まさか…」

「ツモ!2000・4000や!!」


「出来ないやない゛やるんや ″」

「何よりツイてる時はガッツリいかんかい!」




洋榎の言葉に京太郎は沈黙する。

確かに京太郎は逃げていた。


「それに…楽しそうにしろや」

「え……?」


「ここ着てから一度も笑っとらん」

「あ…」


洋榎は良く見ていた……京太郎は一度も笑っていない。

どうせ怜が苦しんでいるときに自分だけがと思っているのだろう。


「ウチやったら笑ってくれたほうがええな」

「笑ってたほうが……?」


「病に倒れた自分に悲しむ顔を見せるより笑っていて欲しい…ウチやったらそう思うわ」

「……」


その言葉に京太郎は目を瞑った。

考えもしなかった……笑っていたほうがいいか。





お姉ちゃんがまともな事言うとる

大人になったなーと声を聞こえてきた。

洋榎はそれを聞いてプンスコ怒っていた。


「ふふふ……」

「おっ笑ったな」


「えぇ……楽しませてもらいます!」

「その意気や!!」


洋榎と京太郎はお互いに目を合わせるとニヤリと笑った。

麻雀を再開する。


(雰囲気変わりよった)


目の前の京太郎は先ほど違った。

嵐の前の静けさのように気配を感じる。


「オープン……リーチ!!!」

「はっ……?オープンリーチ!?」

「洋榎さん言ったじゃないですか……ガッツリといけと」

「アハハ……(やばいかも知れん)」


洋榎の顔に汗が垂れる。

京太郎はニヤリと笑うと堂々と自分の手札を曝け出した。

他の人がツモる間も堂々としてまったく動じない。

そして……





「ツモ…8000オール!」


京太郎が和了った。

その瞬間嵐が吹き荒れる。

轟々たる爆音が鳴り響き、全てをなぎ払う風が吹き荒れた。


「はは……ええやん、相手のしがいがあるっ!」

「勝つのは俺だ!」


2人の間に火花が散る。


「……私ら除け者や」

「おーおー青春しとんな」


2人の横に居た、絹恵と雅枝が呟いた。

夜が更けていく。









「もう行くんかい」

「えぇ…本当にお世話になりました」


朝、京太郎は目を覚ますと、先に起きていた雅枝に挨拶し家を出る準備をする。

周りには洋榎や絹恵が寝ていた。

あの後、白熱して夜通し打っていた。


「このお礼は必ず」

「硬ったいなー……でもせやな、今度また遊んでやってくれたらええわ」


そういってチラリと娘2人を見る。

そんな雅枝に京太郎は苦笑するとまた来ますと声をかけ出て行った。


「……もう行ったんか」

「なんや起きてたん」


洋榎がむくりと起きる。

暫く麻雀マットをじーと見て京太郎が出て行った玄関先を見ていた。


(園城寺……ええな)


昨晩会ったばかりの少年を思い出し、京太郎の文通相手を思う。

ちょっとばっかし羨ましかった。



青春だな




京太郎が神社を訪れると何やら神主らしき人が京太郎を出迎えた。


「あの…」

「待ってましたよ」


何やら京太郎を待っていたらしい。

京太郎が不思議に思っていると神主はお守りを京太郎に渡す。


「これって…」

「健康祈願のお守りです」

「どうして…」

「最初は不審者かと思いましたよ」


そう言って神主が笑った。

昨日のを見ていたのだろう。

京太郎は顔を真っ赤にさせ俯いた。


「あ…これ幾らで」

「御代なら要りませんよ、久々に良いものを見せてもらいました」


神主が人の良さそうな柔和な笑みを浮かべる。

なぜだかその笑顔を見ていると心が落ち着いた。


「ありがとうございます!!」

「いえいえ、もう行きなさい…会いたい人が居るのでしょう?」

「はい!!」


京太郎は元気な声で挨拶をすると手を振り駆け出す。

そんな京太郎の後姿を最後まで見てポツリと呟く。


「それにしても…彼はこの神社に祭っている神を知っているのでしょうか?」

「まぁ…゛病と闘う ″という意味では当たってるかも知れませんね」


戦神にして嵐の神゛建速須佐之男命 ″スサノオを祭る神社であった。









「あの…あの!園城寺さんのお見舞いに来たんですけど」


病院に迷い無く行くと受付の看護婦さんに声をかけた。

園城寺さん…と呟くとお名前はと聞かれた。

正直に須賀 京太郎ですと名乗ると暫く待たされた。


「お話は伺っております、少々手があいてる者が居ない為少し待ってもらっても……」


朝、早くから来たせいか看護婦も忙しそうだった。

早く怜の元に行きたい京太郎だったがここは我慢だと思いぐっと堪えた。

そんな意思を固めたとき後ろから声が聞こえた。


「案内やったらウチがしときますーぅ」

「あら、憩ちゃんいいの?」


後ろを振り向くとまた看護婦がいた、ただし……ずいぶん若かった。





「問題あらへん、怜ちゃんは友達やし…興味もあるからなー」

「…友達?」


そういって憩は京太郎を見た。


「話しは歩きながらで、はよー会いたいやろー」


後ろを振り向いて受付の看護婦を見る。

彼女は頷いた。

京太郎はもう一度お礼を言うと憩に着いて行く。


暫く並んで歩きながら色々な話をした。

趣味の話や怜の話しに好きな食べ物など

そんな話をしていると憩が1つの扉の前で止まった。

園城寺様 と書かれていた。


「ここやー言うとくけど変な事しちゃいけへんからなー」

「しないですよ」


ほななーと言って憩が去っていく、気を使ったのだろう。

京太郎は痛いほど鳴っている胸を少し押さえた。





ドアをノックする。中から返事はない憩が言っていた通り眠っているのだろう

ガチャリと音を立てドアを開く


『お邪魔します』


返事はない


『あーやっぱりまだ寝てるのか』


中を見渡すと真っ白い真っ白い部屋だった

ベッドの周りにはカーテンが敷かれ寝ている怜が見えない

隣の机の上には花瓶が載っており花が添えられている


京太郎は勇気をだして一歩…また一歩足を踏み入れた。

そしてカーテンに手をかけた


『んーどうしよう、顔だけでも拝んでいくかな』


思い切って顔だけでも見ていこうか…そう考えたのだが


『…』


だが手が動かない





『ふぅ~……決めた…手紙だけ置いていく事にするか』


カーテンから手を離した

見たい…だけどなんとなく顔見るのはお互いが起きてる時がよかった


京太郎は机に手紙と神主から貰ったお守りを置いた

そしてカーテンの方へと振りむくと声をかける


『眠ってるし聞こえてないだろうけどさ…言っておきたい事があるんだ』


『元気になったらさ…また手紙のやり取りしようぜ?』


『楽しみに待ってるから、それじゃ』


それだけ伝えるとドアを開け外へ出る



あの後、看護婦さんに声をかけ少しだけ中庭に出た

辺りをぐるっと見渡すと呟く


「懐かしいなーあの日もここだったな」


そう呟いて目を閉じる

そんな京太郎の横を風が通り抜けていった


こうして京太郎の大阪の旅は終わった




-京太郎side カンッ-


いいなあ


今日はこれでお終い

京ちゃんサイドはこうなってました

愛宕姉妹とか出すつもりなかったんだけどなー気づいたら出してた おかしいな

洋榎か恭子辺りで手紙の話を書くのも面白そうだなと思った

後は…大阪でスサノオ?とかバスってあるっけとかはご都合主義で……

それじゃのー

大阪にだって八坂神社あるで

乙です

最高です!


いい雰囲気


大阪オールスターやな

心があったかくなる話でいいねー

乙ですー

乙です
あったか~い

なぜ京太郎はスサノオと縁があるんだあ…

>>93
青春です

>>99 >>102 >>103 >>104 >>105 >>108
毎度毎度ありがとうございます!

>>101
分社の事忘れとった…ごめんな

>>106
いつの間にかオールスター

>>107 >>109
あったか~い話しが好きです。
泥臭い青春ってのもいいよね!

>>110
二次創作やからね、なんでもありよ
須賀京太郎⇒須賀の地⇒スサノオ やね
天照大神居るし、咲も元ネタが木花咲耶姫じゃないか言われてるしね。
二つに関係する須賀…スサノオか!とか考えるのも楽しいな

ちょい短いですが投下 エピソード1だけキッチリ終わらしときます。



-怜side-

「うわーうわー…」


現在元気になった怜はベッドの上で悶えていた。

あの後、自分の事情を聞き竜華達にお礼と謝罪をした。

そこまでは良かったのだが机上の手紙とお守りに気づく。


「来てくれたんや……」


そう言って大事そうに手紙とお守りを抱きかかえる。

暫くの間、竜華達も微笑ましく見守っていたのだが……怜が気づいたのだ。


「あれ…これがあるってことは……寝ている顔見られた?」


怜の顔は次第に赤くなりベッドの上でコロコロ転がり悶えた。

手術後なのに元気である。

きたー




「竜華ー竜華ー私変な所あらへん?」

「今の行動自体が変やなー」


今更ながら鏡を見て怜は確認している。

既に京太郎は去っているから意味がないのだが……

2人が楽しそうにしている中セーラはお守りをじーと見ていた。



「どっかで見たことあるよーな」

「これかー?」



怜の持っているお守りに見覚えがあった。

どこだっけかなと腕組みをし考える事5分。

ポンと拳をもう片方の掌に当て思い出した。



「○×神社のお守りや!」

「○×神社って近くの?」



怜は近くにある神社を思い出す。

前に大会のお参りに行った事があった。

なんでも戦いの神様を祭ってるとかで…





「セーラ…もしかして昨日の」

「たぶん、あの兄ちゃんやろうな」


「どういうこと?」



竜華とセーラがお互いに視線を合わせ頷いた。

事情がわからない怜は首を傾げる。


そんな怜に竜華が昨日の事を教える。



「つまり……竜華達は京君に会ったと?」

「せやね、そういうことなるわ」


「それってずるいわー」



しょうがないとは言え自分より先に京太郎に会った竜華達に嫉妬した。

頬をプクーと膨らませると視線をプイっと逸らしてしまう。

そんな怜に竜華は慌ててご機嫌をとろうとアレコレ話を持ち出した。

セーラはそんな2人を楽しげに見ていた



「それでどないな人やった?」

「せやなーこないな人やった!!」



そう言って竜華は紙に書いた京太郎を見せる。

>>112
怜きゃわわ




竜華作:ttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira078035.jpg

「………」

「どやっ!」



竜華に差し出された絵を見て怜は絶句した。

…小学生でもこれ以上に上手く書けるだろう。



「セーラのは?」

「あれ…?」



とりあえず竜華のをスルーしてセーラの絵を見てみる。



「これや!」


セーラ作:ttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira078036.jpg


「…なんやろ、倍プッシュ言いそうな人やな」

「かっこええやろ!」

              .  ´        `  .
                 . '   ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:... ヽ
               /  ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
           /  ..:.:.:.:.:,ィ.:.:.:.:.:.:.:.:.ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
            ,′.:.:.:.:.:.,イ |.:.:.:.:.:.:.:.:ノ i.:.|:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.
           ,二=- .:.厶斗 .: .:.;イトミ」.:|.:.: |:|.:.:.:.:.:.:.:.
            |.:.:| : ト、ハl リ.:./ jノ   j人ノ|:|:.:.:.| .:.:.:.
            |!八从T777T     T777T jノ.:.:.:| :.:.:.i
            |.:.:.:i:.:}弋ZZソ      弋ZZソ |.:.:.:.:.| .:.:.:|
          ,'.:.:.:.i:,'              |.:.:.:.:.|).:.:.|
            i .:.:.:八              / .:.:.:.:!.:.|.:.|
            |.:.:.:.:.:. ` : .   r‐ 、    . イ .:.:.:.:/.:i:|.:.|  何やろコレ……
            {人.:.:.:.|.:.:.|:`≧=-r---rュ´ .:.| .:.:.:/.:j从:ノ
              \从人ノ__/リ/ ̄ ̄{从ハイ人/
                    / / ,/  / ̄`ヽ、
                / //  /      ヽ



何か趣旨が違う気がした。

結局の所、髪が金髪で背が高く、顔が整っている事しかわからなかった。


-怜side カンッ!-




-現在-


「――華!竜華!」

「え?」

「え?やないでー何ボーとしとるん?」


気づくと目の前に怜が居た。

先ほどまで麻雀を打っていたはず……

竜華が時計を見ると大分経っていた。


「アハハ……ごめんな、ちょっと考え事しとったわ」

「んーそっか」

「それで今回はどんな便箋にするん?」

「せやなー……」


怜と話しながら皆の所へ戻っていく。

今日も平和な日々だ。



<怜エピソード・1 カンッ!>


短いけどこれにてーエピソード1終わり
前言ったとおり残り1~2個で終わります

それじゃのー
もしかしたらまた夜に上げるかも…メインスレやるから上げないかも

おつですー!
最後の絵のネタにはわらったwwww

絵ワロタ

乙です
すばらだわ

乙です
や京怜NO1!

乙です

竜華の絵は絵心のない人がなんとかイケメンを描こうとしたけど失敗した感じの絵面やな
目とか光ってるし

おつー
絵は微妙に京太郎をかすめてる感じがすばら!
続き楽しみ

2人の馴れ初めというか文通のきっかけがちょー気になるよー

ガッシュに出てきそうなイケメンわろた

怜かわゆす

乙ですー

絵がいい味出しててワロタww

じっくり丁寧に長くやるの歓迎だから嬉しい

>>116 >>131
怜は可愛い!最高です。

>>120 >>121 >>126 >>128 >>130 >>132
喜んでもらえて何よりです(ぇ
ちなみに竜華作は10秒間京太郎を見て20秒でさらっと書いたものです。

>>122 >>125 >>127
乙ありがとう!すばらもありがとう!

>>124
や京怜NO…いや京桃、京姫…えらべん

>>129
そこら辺もしっかり書くよー
ちょー楽しみにしててなー

>>133
予想以上に長くてビックリ

投下始めます

展開的に少し暗めな部分や人によってはこれはないなって部分あるかも

-京太郎side-


「会いたいなー」


京太郎は自室で寝転がりながら怜が写っているページをただただ眺めていた。

あの時、会ってれば、嫌でもなと自問自答を繰り返す。

暫くの間、呻っているとある事を思いついた。


「……あれ、これって」


京太郎の頭の中に会うための方法が浮かんだ。

なぜ自分はこんな簡単なことに気づかなかったのだろう?

苦笑しつつ起き上がるとパソコンをつけた。

会う為の準備をする為だ。


「よっし、やってやる」


気合十分、京太郎は一歩一歩前進する。

怜に会う為に





―――――――――――





「~♪」


その日、久は会長としての仕事を終え機嫌よく部活へと向かう。

今年に入ってから順風満帆だ。

和に優希それに咲、まこと自分も含め5人最後の年で団体戦へ出れる。

しかも全員が実力者だ、文句の1つもない。


「ん~そういえば……須賀君の手柄なのよね、何かお礼したほうがいいかしら?」


ふと脳裏に1人の男子生徒を思い浮かべる。

須賀京太郎、麻雀部唯一の男子部員にして咲を連れてきてくれた人物だ。

それ以外にも率先して雑用も引き受けてくれた。

その御蔭で自分達は麻雀へと集中できている。


「何がいいかしら」


京太郎が喜びそうな物は何かあるかなと考えながら部活の扉を開いた。


「お疲れー!今日も元気に「部長!!お願いします!!!」…ゑ?」


京太郎が扉を開け元気に入って来た久の言葉を遮った。

何のことやらと京太郎に視線を向けると久の目の前で土下座をしている。

部活に来た瞬間、後輩に土下座された、意味がわからなかった。

周りを見渡すも京太郎以外居ないみたいだ。





「ちょちょっと何よ、いきなり……」

「お願いします!!!」


何をお願いされているのだろうか。

久は少し混乱した頭で思考する。

アレやコレと考えていくと1つ思いついた。


「しょうーがないわね、何時も助けてもらってるしいいわよ?」

「本当ですか!?」


久の言葉に京太郎は顔を上げ嬉しそうに目を輝かせる。

そんな京太郎に久はため息1つ付き菩薩の様な笑みを浮かべる。


「それじゃ、もう一回頭を下げてもらえるかしら」

「……はぁ」


久の言葉に京太郎は困惑した。

麻雀を教えて貰おうと思ったのだけど何の意味があるのだろうか。

京太郎は不思議そうにするも、もう一度頭を下げ土下座の状態になる。


そんな京太郎を見て久は満足したのか片方の上履きを脱ぎ始めた。

脱ぐとそのまま足を京太郎の頭へと乗せ軽く踏んだ。


「よいしょ、これで満足かしら?」

「………」


京太郎の後頭部に久のスットキング付きの足が下ろされる。

うわーい、踏まれてるえへへ……なんて思考に少しなり掛けた。

京太郎の思考が停止し暫くの間、停止する。


すごいことになってるなぁ



「戻ったじぇ」

「ふぅ~飲み物買って来ました」

「久と京太郎の分もしっかりあるけーの」

「も、戻りました、はぁはぁ」


久の後ろのドアが開かれ4人が戻ってくる。

4人は自動販売機に飲み物を買いに行っていたみたいだ。

ドアを開け4人が入ると異様な光景が広がっていた。


『………』

「……」ふみふみ

「……」


京太郎が土下座の形で久に頭を踏まれている。

何を言ってるかわからねーが……以下略

6人全員が止まる。


最初に動いたのは京太郎だった。


「ちっがーーーーーーう!!!」

「きゃぁ!?」


京太郎は勢い良く叫びながら立ち上がった。

頭を踏んでいる状態で起き上がられた為、久はバランスを崩してしまう。


「っ!」

「あ、ありがとう」

「いえ、すみませんでした」


京太郎は慌てて久の腰に手を回すと倒れないように自分の下へ引き寄せた。


(なんだろうコレ)


そんな様子を見ていた4人の心が一致した。

扉を開けると唯一の男子部員が部長に頭を踏まれていた。

男子部員が起き上がったと思ったら今度は部長と抱き合っている。

意味がわからない、そういうプレイだろうか。




「ご、ごゆっくり……」

「あー邪魔したな」

「えーっと…タコス食べてくるじぇ」

「……園城寺さんの事どうするの?」


次々に京太郎達に言葉が投げかけられた。

京太郎はどうしてこうなったと天井を見上げる。

少しの間、見上げた後とりあえず誤解を解こうと思った。

まずは予想以上に自分の腕の中で固まっているこの人からだろう。


              _,. =-―‐-= 、
            ,. <: : : : : : : : : : : :`ヽ、

            /: : : : : : : : : : : :ー- 、 : :、 \
          /ィ´ / : : : : : : : : : : : : \ \: ヽ
        // イ : : : : : : : : : : : \: : : :ヽ: ヽ:ヘ

        /;ィ" / : : : : : : : : j: :、 : : : : \: : :.';ヘ、ハ
.       /:,.' .l :/:,': : : : : : :/|: : lヽ、 : : ヽヽ: : ';ヽミ '、
      /:/  l/ ,': : : : : :,イι !ト、l `ミー-=ゝ.: : :',: : ヾ\
      ,':/  .l: :l: : : : : /    ヽ ヾ _, -‐'' ヽ.: : :!: :゙l} ヾ:、
     f:,'    {: :! : : : :/ー-      ´-‐,_-ュ、゙,: : l゙!: :{    ゙;
    {f     V{l: : : :,' ,_=ミ_     ,ィ7圭r`} l: :,!': : !    ,!
    ゙{    V!.: : :Kf'r伐ミ`     ゞ=≠ リ:/j: : リ
     `ー--'  ゙',: : N゙ ゞ='-'  ,   ////ィ'/: :.厶ィ スヽ
             ヽ:.{ ト、///       (f´イ': : ;:'  / \゙,
              ,rゝぃゝ、   ー~ー ' ィヽlェォ'   /   ゙;
         _,. -―込_ノ~゙f' `≧,‐ - < /.,イ/i   /リ     ー- 、
      , ';.ィ フ´ : :_:_:_;ノ   {ー=ーt'`ー!:.f: :l、ヽ ム'      、!   \
     fi'  f: :,r ´冫fハ、   弋   l.   V、: :ゞヽ\   _   \  /
     ぃ  V: : :( 弋ミ\.   ',.  l    );\: :X `i}/       ヾ
        ゙ーノ \: :\ ヾ三\.  ', l ,.ィ彡ニ;ィヾ!ノ'   ,r―=ァー- 〉
       /   `ー-ぅヽ辷三\. V/ニニフ_,ム'ノ  /|_  '  /
      弋  ̄`ヽ `ー-= 、{ `ー=にニシ´ ̄  / _,.-ェ彡三|  _,ノ
        \   `,、_  l    ノメメ|     ヒf´  ̄`ヾニヨ ̄





-少年説明中-


「なるほど」

「てか部長は何で行き成り俺の頭を踏むんですか」

「だって…そういう趣味があるのかと思って」


そういって勘違いしていた久は顔を赤くしプイっと視線を逸らした。


「それで京ちゃんは何を頼んでいたの?」

「そういえばそうじゃの」


咲の言葉にまこが同意した。

一体何をお願いしていたのだろうか。

皆が一斉に京太郎に視線を合わせた。


1人だけ睨んでいたが。


「えっと…麻雀を教えて欲しいなと」

「麻雀を……まともなお願いでしたね」

「今更って感じもするけどな」


京太郎の素直なお願いに和と優希は肩すかしを食らった。

雑用を減らして欲しいとかそっち方面だと思っていたのだ。


「部長、お願いです。雑用も今まで通りしっかりとやります」

「だから……だから俺に麻雀を教えてください!!時間が空いた時でいいので!」


そういって京太郎は久に綺麗な90度のお辞儀をした。

少しばかり怒っていた久だったがそれを見て考える。

先ほどまで京太郎へのお礼を考えていたのだ、丁度良かった。

だが1つだけ気になった。



「別に構わないけど行き成りどうしたのよ、理由は何かしら」

「あ~……」


久に受け入れてもらえてほっとした。

だが同時に久の言葉に京太郎は赤面をして頭をかいた。

少しばかり恥ずかしい、だけど教えてもらうのだ。

ここはしっかりと答えておこうと久をしっかりと見つめ真面目な顔を作る。


「全国で会いたい人が居るんです」

「全国で……」


久は理由を聞くとそのまま麻雀卓に歩いていく。

そして1つの席に京太郎を呼んだ。


「わかったわ、教える。でも私須賀君の実力知らないのよね」

「部長としてそれはどうなんじゃ?」


「しょ、しょうがないじゃない、須賀君気づけば雑用してるし
 それに私って何時も何時も自分でやっちゃうから今思えば
 頼るって事をした事無いのよね、だからついつい頼っちゃって」

「お…おぅ、判ったから」


久の言葉にまこはタジタジになりながら少し後ろに引いた。

京太郎は、何だろう……恥らう部長もいいなと思いつつ席に座った。


「相手は咲に和に優希かしら」


「ってお前らが相手かよ」

「よろしくね、京ちゃん」

「宜しくお願いします」

「ぼっこぼこにしてやるじぇ!」


京太郎と同じように座った3人は1年生トリオ(咲・和・優希)だった。

まぁ妥当かと思い親決めから始めていく。




「私が親だじぇ!」

「タコスか」


どうやら最初の親は優希らしい。

起親で東風戦…荒れそうだなと思った。


(出来れば軽い手で連荘して欲しいけど)

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: : : : i: : : i: :! : :.!: ! . . . . {: : : : :i \: : :.| _,」:/..イ.: :/: : : : :ノ: : : : : +

   i   」从 : :{八: : : : :∨、: : :、  >: :{</∠二/: : : :イ.: : : : : :   +
、 ..イ:i : : :{⌒ヽ>x\: : : ∨\: :X ィ笊て厂/∧ミく  } : : : : : :  +
: i : i: i i : : Vテ斥そミメ、: :\ーく`ヽ〃 {////  Ⅵ}} ; : : : : : : ______人___

: | : Ⅵ八Y{{′{i/////ハ ` ー一      r<     > / : : : : : :  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`Y´ ̄ ̄
八 : :\: :ヽヘ  rヘ:::::::。j.!         ゞ≧x  / /:/: : : :/: :
  `ト-一: :ト   ゞ込)シ′            ∨   /|: : : /: : :


「リーチ!!」


そう思っていると早くも優希がリーチした。

捨て牌や今までの傾向を考えると大きな手(満貫)以上だろうなと思った。


(まだ無理だな…ここは降りよう)


「リーチ一発ツモ!……断ヤオ九、ドラ1、裏ドラは…なし!満貫、親だから4000オールだじぇ!」

「相変わらず調子いいですね」


まさかの一発であった。

流石だなと思いつつ点棒を渡す。

しょっぱな4000は痛かったが、これでエンジンがかかった。


(それでこそやりがいがある)

「連荘いくじぇ!」


元気にサイコロを回す優希を見ながら心を燃やす。

闘争心が荒々しく心の中を吹き始める。






「もういっちょリーチ!」

            __  ‐ ''" ̄ ̄ `゙' ..、
.           | . / : : : : : : : : : : : : :.' ,
          ≠ / : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨゙\
          | _イ. /: : : :/ ハ: :、: 、: : 、: : r‐┴| く
         イ:/: /: /:/:Χ./ .}: 八:.|::!:.:.|: : !  :| .ノ
         {:::{: /:|/レ|ィ心≧ |/ .ィナ什ノ: : L...ノイ.、
.        //|',::::(,| .ヒ::リ゙. ′ 匕:::リレ∨: : |\冫

        //::ハ: : : : :', :::::::     `'-'゙ :: ハ:.: レイ
       / : ノ ∨: : : ヘ   __   :::::: ,≠ヽ',: : ::ト、
     ,./: : : :/._,.-∨: ::_丶  _ .  イ    ∨: :.!: \
.    , '>.-‐''二>''.´\ ,.二つ ̄ ̄ ̄二>.  ',: :',: : : :\
   く    く//__.ハ .i\.ヾ{_:_: : :_ : : :__ミ、__  マ: :ヾ、: : ::ゝ

.  ,' .\  .{|::|─、U (/゙ .二⊃|ヽ\  {:::::::|:|.、  マ:..'., ヽ: : : : :>ー - 、
     { .\_.>‐ "  ̄ ゙̄´!.: :: :.∨\\|:::::::|:}. ',.  ',: :..'.,   × : : : : : : : : :ヾ
     ∨: : ├──.!  /      マ::::::┐::://::k.}  マ: :...'.,       ̄ ヾ´
.     ∨: : \.  |.Y.        ヾ.__{_/彡Χ   ',: : : .'.,


「通りません、ロン!軽くで3900ですね」

「私の親が~~~~!」


和が優希を挫いた。

更に闘争心が増す、既に心の中は轟々とした風が舞い起こっている。


「今の所無難じゃの」

「そうね…しっかりキッチリ降りてるし、和と同じデジタルかしら」


(京ちゃん……?)


まこと久は京太郎の後ろから見ていた。

今の所、無難な打ち所で特に異常性もない。

ただ1人だけ…咲だけが京太郎から得体の知れない何かを感じとった。


「私が親ですね」

(相変わらずこの状態はきっついな)


東2局が始まる、和が最初の牌を河に捨てる。

そんな中、京太郎は必死に耐える。

まだだ…まだ駄目だ。







「これかな」

「ポン!」


京太郎が捨てた牌を咲が鳴いた調子が出てきたらしい。


「リーチっ!」

「はえーよ」


咲が鳴いた直後また優希がリーチ宣言をした。

和は安定した打ち筋で問題なく避けた。

京太郎はチラっと自分の手持ち牌を見る。

まだ遠い…ここは着実に降りだなと安牌を差し出す。


「カン!」

「あちゃー…」


それを咲がすぐさま拾った、そしてこの後何が起きるのかを知っている為ため息をついた。

咲が王牌へと手を伸ばし当たり目のようにツモ和了った。


     /   /   /  __  ___/
     /   /   /       /
   _/ _/   /  __  ___/
          /       /
  _____/      ____/
                                       / ../....::::::::i:::::i:」::::{::::!....:::::::::!::::!:::i:::!..:|:::::|::::::i::::i
                                   /.:::::/::i::::::i::::i:::「i::::`ハ::i::::::::::::::!::::!::ハ!:::l::::ノ:::...l::..|

          ,. - ――‐ 、                       ̄/ ̄i::::::i::::i ァ≠ミ八!:::::::::l:::|::::|::厂iメイ::::::::::::::|
        /     ノ ___>'⌒   .                       i::::::i::::〈 r':::::::}ヾ\:::::|八八テメ、/リ::::::::|:::::i
.      /こフ ,.ーr< _)          `ヽ                   i::::从:ハ 弋シ′   ヽ{   r':::::::ハi/:::::::从:::′
       ゝ.. ノ/ヽ._____,,. -‐く     |      __           |イ八:i:{ ,,,        弋,シ /::::/::::ハ′
    , -― < /      //        「ハ ≦´  `ヽ、       ___ 八       '       ,,,  /:/:::::::/
.    {     ,\   ∠∠..       /   Vハ Vハ      ̄ ̄`ヽ彡'⌒ヾヽ::::\    ー        イ:::ノハ,′
    ` ー-〈   ヽイ ⌒ヽ `ヽー<     Vハ Vハ         V´ ̄  \\:::\       . .イ:/
.         ヽ._ノ人               }::::} }::::::}ヽ              }ト、\:::` ー‐= 7く´j/
           \  ̄`丶        /::://:::::/⌒ヽ               リ \\i    /i:::::
            \    \     /::://:::::/             〉     /    iヽ \_____!:::::
               ` ¬´ ̄` ー―ァ':::://:::::/             ,′   ,′   |::::::\\ j::::::


「嶺上開花自摸!責任払いで4500!」

「はいよっ」


京太郎は咲へと点棒を差し出した。

今の所一人凹みだ、だがそれでいい…それでいいのだ。

先ほどまで荒れていた心が静かになっていく、まるで嵐の前の静けさのように―――






(京ちゃんの気配が変わった)

「――」


京太郎が集中し始めた。

先ほどのまでの明るい京太郎が居なくなった。


先ほどまで優希などに話をかけられていたが今はそれにも答えない。

無駄な話しも止め麻雀だけに集中する。


「犬の奴不気味だじぇ…」

「麻雀に集中しているだけでは?」


優希も何かを感じたのか京太郎を警戒し始める。

逆にオカルトを信じない和は不思議そうだ。



「ロン!満貫8000だじぇ!甘いな京太郎!!」

「………はい」


警戒しながら回していると京太郎が優希に振り込む。

振り込んだのに京太郎には動揺の1つもなかった。


段々と京太郎の異常性に気づいたのか後ろの久とまこも顔を見合わせた。

そして真剣に京太郎を見始めた…何かが起こる、そんな予感がしたのだ。

東4局目 親は咲、今回は東風戦のためここで和了れなければ京太郎が4位で終わる。





それでも京太郎は落ち着いていた。

思い出すのは大阪での洋榎との勝負…あの時のように。


(これって…)

(ここで張るか!)


タンタンとこなしていくと京太郎の手が順調に役満手に上がっていく。

四暗刻単騎待ち…これで上がれば京太郎の勝ちだ。

だが簡単に上がれるほど甘くは無い。


「リーチだじぇ!」

「うぅ…」


流石に東風戦では優希に分があるのか早々にリーチをかける。

逆に咲は辛そうだ。


「俺もだ…追っかけリーチ、そしてオープン」

「え?!」

「はっ?」

「ふへ!?」

「「ぶふー!」」


京太郎が優希を追っかける。

それはまだいい…四暗刻でリーチもまぁ…いいだろう。

だがまさかのオープンである。





「ちょ、ちょっと須賀君!?」


プレイ中の京太郎に話し掛けるのはマナー違反だが久は食って掛かる。

まさかこんな事をするとは思わなかったのだ。

だが京太郎は久を取り合わず手をひらひらと振った。


(うぅ…リーチしてるから避けれないじぇ)

(んー優希がリーチしてますし、アリ…いや効率的にないですね)

(…)


オープンリーチに振り込んだら役満…そんなローカルルールもある。

だが別段そんことせずともいいのだ。

だが京太郎はあえてやる、゛やらないといけない ″のだ。


「こんな時にこないじぇ」


優希がツモった牌を河に捨てる。

次に和が要らない牌を河に捨てた。


京太郎の番になり手を伸ばし牌を取る。



/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////


「ツモ!!リーチ、一発、ツモ!四暗刻 32000!」





「ッ!!!」

「?」

「何だじぇこれ!」


京太郎が和了った瞬間待ってましたとばかりに爆音が鳴り響くような嵐が吹き荒れた。

その嵐は全てを飲み込み花1本、人も残さず吹き飛ばした。

東風も同じだ、同じ風でありながら強さが違う。

呆気なく蹂躙され消えていく。


「っしゃーー!勝ったーー!!」

「なんていうか…豪快ね」

「ほんにの」


後ろから見ていた久とまこは苦笑いだ。




―――――――


「結論からいうと全国へは行けると思うのよね」

「本当ですか!?」


久は前回のインターハイの決勝戦を思い出す。

今の男子は長い冬の時期なのか目立った選手がいない。

女子と比べ運もオカルトも極端に少ないのだ。

まだ甘い所がある京太郎でも全国へ簡単に行けるだろう。


久の言葉に京太郎は喜んだ。

これで怜と会えると頬が緩んだ。


「それでも改善点はあるけどね、合宿も予定しているし其処を直していきましょう」

「宜しくお願いします!!」


こうして京太郎は大会までの間、積極的に雑用をしながら教えてもらっていく。

咲達と戦い、まこの雀荘で手伝いをしたり、知り合いのプロと対戦させてもらったり

充実な日々を過ごしていく。


そして……遂に大会の日が来た。




―――――――――――――――――


「京ちゃん頑張って!」

「行って来いだじぇ」

「今の須賀君なら大丈夫だと思います」

「油断せんよーにの」

「いってらっしゃい」


「いってきます!!!!」


5人の仲間に見送られ京太郎は個人戦1回戦へと向かっていく。

皆のおかげで自信もついた。

実力も前に比べて上がっただろう。

全てが終わったら皆に何かお礼をしようと心に決めた。



-予選-


「宜しくお願いします!」

「よろしく」

「よろしく(1年生か楽勝だなw)」

「よろー」


最初から3年生も混じっていたが大丈夫だと心を落ち着かせ席に着く。

そして始まった…蹂躙が


『よ、予選突破は清澄高校麻雀部 須賀 京太郎選手です』


「ありがとうございました」

「…くそっ」

「ナンダコレ」

「はぁ……お疲れ」


次々に予選を突破した。

京太郎は圧倒的差で勝ち上がる。

まさに敵なし、怖いもの無しだ。



―――――――――――



「順調そうね」

「京太郎か?」


久がモニターを見ながら呟いた。

目の前のモニターには結果が載っており京太郎は見事1位で通過している。

その結果に久は当たり前だと言わんばかりに胸を張る。

どことなく嬉しそうだ。


「まぁ咲達と渡り合える時点で躓くわけないの」

「男子では異常よね、須賀君」


周りから聞こえてくる声も京太郎の事一色だった。


なんだあいつ

性別間違えてんだろ

魔王だ…魔王がおる

ま、麻雀って楽しいよね(震え声)

最後の年なのに…なんであんな化け物がいるんだよ

期待の1年生ね、取材よ取材

いやいや待て先にウチからだ


「ふふふ」

「嬉しそうじゃな」

「まーね♪」


そんな会話をしながら久とまこも戻っていく。

そろそろ自分達の一回戦目も始まるのだ。




-怜side-


「ぼへ~」

「それ自分で言うもんじゃないで?」


大会会場の控え室で怜が竜華の膝枕の上でボーとしていた。

これから大会が始まるというのに緊張感のかけらもない。


「船Q……何か暇つぶし出来るもんあらへん?」

「あーそうですね……コレなんてどうです?」


怜が浩子に声をかけると浩子はニヤリと笑いノートパソコンを渡してくる。

なんやろ面白い記事でもあるのかと怜が覗いていく。


『長野男子個人戦予選』


「長野…男子個人戦?」


女子ならまだ判るが何故男子と竜華と2人して疑問符を浮かべた。

暫くボーと結果を見ていた怜だったがあることに気づいた。


「1位…清澄高校1年生 須賀 京太郎……はぁっ!?」

「おー須賀君一位なんやね、これは来るかも知れんね」


まさかのまさかな名前に怜は目を見開き驚く。

反対に竜華は良かったねと怜の頭を撫でる。


「ちょちょ…船Q!動画!!動画!!京君が映ってる所はよ!」

「はいはい」


浩子は怜にせがまれヤレヤレとPCを弄っていく。

しばらく弄ると画面に金髪の少年が現れ軽快に勝ち上がっていく様子が見えた。


「この人が京君なんや……」

「会った事ないんですか?」


怜は初めて見る京太郎の姿に感動し目を輝かせた。

先ほどのぐーたらぶりが嘘のようだ。

浩子の声も聞こえないぐらい集中している。


「直接会った事ないんよ、写真も風景画像のみやし」

「はぁ……10年間も続けているって聞いたのでもう会ってるとばかり」


「……がんばれ、京君」ぼー


既に怜の眼中には京太郎しか映っていなかった。



-怜side out-



-京太郎side-


「よろしくお願いします!」

「おう、宜しくな」

「よろしくね」

「……よろしく」


全員が挨拶をして席に座った。

あれからも進撃を続け遂に決勝戦まで来た。

決勝戦という事もあり、京太郎以外は全員3年生だった。


(ここで3位以上になればいける!)


カラカラと真ん中のサイコロが回り親を決めていく。


「俺が起親だな」


少しばかり制服を着崩し髪が赤と金色と派手な3年生が親になった。

京太郎はラス親になった。

これまた運がいいなと薄く笑う。

オカルトの関係上、起親等よりラス親の方が京太郎は向いていた。


京太郎の前までのオカルトは耐えて耐えて最後に逆転といったものだ。

最初に闘争心を燃やし続け、途中で全てを押さえ込み集中し最後に全てを放出。

この3段階をこなしていくと大きな手が舞い込んでくる。

倍満以上確定といった強いオカルトだが時間がかかる上単発式という弱点もあった。


ソレを久の助言で昇華させた。

大きな手を単発で決めるのではなく満貫などの手に落とし連続式にした。

小回りが効く上に相手を選びやすくなった為、前より使いやすかった。


「…それだロン」

「はい」


少々考え事をしていたら振ってしまったようだ。

和了ったのは対面の男だった。

黒髪を少しばかり長くしており眼が見えずらい大人しそうな男だ。


だが御蔭で闘争心に火がついた。

京太郎は頬を叩き気合を入れなおす。




(これかな…)


既にリーチしている人が居る為、安牌を差し出す。

まだ貯めている途中なのだ無理に和了ことはない。


「おぅ!それだロン!!」

「え…?」


京太郎が安牌を河に出すとリーチしている人とは違う人に獲られた。

赤と金色の人だ。


「点棒くれないか?」

「あ…はい」


少し呆けていた。

点棒を渡す時チラリと河を見る。

一巡前に当たり牌を京太郎以外の人が出していた。

それなのに京太郎から打ち獲ったのだ。


(…間に合わなかった?いや…相手はツモ切りをしていたからそれはないな)


どうしてと考えていると嫌な考えに思いついた。

京太郎の顔が歪む。

そんな事はないと今思いついた考えを振り払った。


(集中しろ俺)


頭を振り考えを振り払うともう一度麻雀に集中する。

闘争心が少しばかり削がれた。






「ロン!ごめんね、それなんだ」

「……はい」


今度は爽かな青年が京太郎から和了。

京太郎は河を見る、やはり少し前に他の人が当たり牌を捨てている。

これで先ほどの考えが間違いで無いことを知った。


(この人達全員が俺を狙ってる?!)


京太郎は背中に薄ら寒いものを感じた。

汗がたらりと顔を伝い落ちた。


(落ち着け…次は俺の親番だ、ここでオカルトを発動して連続で上がればいいだけだ)


準備は整った、後はオカルトを発動して……発動して……


(出来ない…?)


発動しない、風は吹き起こらない。

動揺によって京太郎の闘争心は下がり続けていた。





麻雀勝負で1人を集中的に狙うってことはよくあることだ。

だがそれは相手が一位の場合だ。

最初から1人に絞り責め続けられるそんな経験を京太郎はしていなかった。

一位なら和了らずとも守り抜けばいい。

だがしかし京太郎は今現在最下位だ。

和了らなければいけない、守っては勝てないのだ。


(どうしたら…どうしたらいい…)


悩みに悩み河に牌を捨てた。


「ロン!」

「……」


和了られた…折角の親を流され最下位のまま南局入りをした。

最悪の状況に京太郎は顔を伏せてしまう。



-京太郎side out-




-怜side-


「こんなことって…」

「うわーこれはきっついですね」


怜の見ていた画面の向こうでは南1局目でも狙われ続ける京太郎の姿が映っている。

京太郎は顔を伏せながらも足掻き続けている。


先ほどから放銃を繰り返している京太郎だったが解説などは京太郎に同情的だったのが唯一の救いだ。


「ずるいわ…こんなん」

「圧倒的差がないとひっくり返すんはきついで、これ」

「3人相手は……な」


竜華達も次々と京太郎を援護した。

片方を警戒すればもう片方が…両方警戒すれば3人目が3人警戒すれば和了れない。

どうしようもなかった。


「卑怯やけど……少しばかり相手の気持ちもわかるな」

「…セーラ?」


セーラがポツリと呟いた。

そんなセーラに驚き怜達は見つめる。


「あいつらは3年生や……最後の大会なんや」

「あっ…」


セーラの言葉で思い出す。

京太郎以外の3人は3年生だ、この大会で終わりなのだ。

それが免罪符になるとは思ってもいない。

それでも何が何でも終わらせたくない気持ちがわかってしまう。


「京君……頑張れ」


怜は画面に再び視線を合わせると再び応援を始める。

今出来るのはこれしかなかった。



-怜side out-




-3年生side-



(…悪いな、1年生)


赤と金色交じりの3年生が俯いている京太郎に心で謝る。

自分達がしていることがどんなに酷い事か知っている。

やっちゃいけないような事だ。


(それでも…それでも俺達はこれで終わりなんだよ!!)


他の二人も同じ気持ちだった。

別段京太郎を狙い打ちにしようなんて相談は一言もしていない。

自然と気持ちが繋がりそうなったのだ。


どんな批評を受けようとも全国に行きたい。

最後の夏をあそこで迎えたい……それだけなのだ。

自分達の実力ではプロ入りは無理だろう。

大学生になったら大会にアマプロも混じってくる。

だから今しかないのだ…上にいけるチャンスは。


(っ……すまん、すまん)

「ロン……だ、1年生」


正直今すぐにでも泣きたいほど惨めだ。

出来ればこの真っ直ぐな一年生と真っ当に全力でぶつかりたかった。

だが才能の差が力の差が何より3年生という肩書きがさせてくれない。



-3年生side out-





-京太郎side-



あぁ…また和了られた。

点棒を見てみる、既に千点しか残っていない。

既に京太郎の心は勝つのを諦めている。

顔を俯かせさっさと飛ばしてくれとさえ思ってしまった。


(あぁ……まだ終わらないのか)


一局一局が長く感じる。

無理矢理スロー再生にされている気分だ。


(もう自分から振り込んでしまうか?)


そんな考えにさえなってしまった。

重い手をなんとか動かし牌を持ってくる。

その牌はどこからどう見ても危険牌だった。


京太郎は少し迷いながらもその牌を手に持った。


(これで終わりだ)








゛京君……頑張れ ″







京太郎の手がピタリと止まった。

誰の声だろうか?聞いた事のない声だった。

京太郎は恐る恐る顔を上げて辺りを見渡す、声の主はいなかった。


「……どうした?」

「あっ」


牌を捨てない京太郎に3年生が怪訝そうに見ていた。

京太郎は慌てて牌を戻すと比較的安全な牌を捨てる。


(通った…それに…)


京太郎はチラリと他の3人を見た。

先ほど顔を上げたとき気づいた事があったのだ。


(誰も笑ってない…むしろ苦しそうだ)


3年生の3人は勝っているのに誰も笑わずむしろ苦しそうだった。


(…笑っていたほうがいいか楽しそうにしろか)


なんとなく前に洋榎に言われたことを思い出した。

この卓の誰もが笑顔になっていなかった。

そんな状況を思い浮かべて異常だなと少しだけ笑った。

それだけで気分がよくなった。


(状況的には最悪だな一度でも和了られたら終わりだ)


だが何故だろう?先ほどと比べると楽しかった。

どう和了ろうか?どうやってこの3人を倒そうか?

考えれば考えるほど闘争心が戻ってくる。


(とりあえず…勝つ勝てないじゃなく全力でいってみよう…そして思いっきり笑おう)


怜が見てるかもしれない不安にさせては駄目だ。

京太郎は少しぎこちなく笑うと顔を上げた。


少しだけ風が吹いた。




「テンパイ」

「ノーテン」

「ノーテン」

「俺もだ、ノーテンだ」


気づけばその局を京太郎は逃げ切った。

他の人は牌が思ったとおりに来なかったのが全員ノーテンだ。

首の皮が一枚繋がった。


(…あぁ…楽しい、こんな危機的状況なのに楽しいと思っちまう)


胸がドクンドクンと鳴り響き、京太郎を急かし始める。

残り2局逆転には短い…だがまだ親番も残っているのだ。


「リーチ…だ」

「っ!」


京太郎が2順目で早くもリーチをかける。

他の人達は大いに驚いた。

3人に狙われながらリーチ避けようもない、だがあえて飛び込んだ。

そしてそれが功を奏した。


「ツモ!2000・4000!!」

「…はい」


見事に4順目で和了きった。

点数も大分戻りいけそうだ、まだ追いつける。





最後の局面、京太郎の親だ。

既に先ほどの弱気な京太郎はいない。

調子を取り戻しオカルトの条件も既に整えてある。


「ロン!それだ」


1本積み


「リーチ一発ツモ!」


2本積み


「更にツモ!!4000オール!」


3本積んだ


もう3位との差は殆どない。


(いける!怜と会える!!)


「4本場ぁぁ!!」


京太郎は更に追い上げる。



-京太郎side out-



-怜side-


「いっけぇぇ!!」

「……ま、まだや、まだウチが最強の1年生や」

「えぇ…データになりますねぇ」

「はっはーいいな、京太郎その調子や」


千里山の控え室では皆が京太郎を応援していた。

約一名震えていたが…


「…」

「怜?」


そんな中、怜だけが冷静に騒がず見ていた。

てっきり騒ぐとばかりに思ってたのだが…それほど集中しているのだろうか。


「っ………あかん!京君!!!」

「へ…?」


突如怜は立ち上がると警告をした。

今にも泣きそうな顔をして――――――――


-怜side out-







-京太郎 side-


(うし…調子がいい、これなら直ぐに和了れる)


配られた配牌はよく3順もすればテンパイになるぐらいだった。

なによりこれで3位に浮上できる。


そう思いクスリと笑った。


(て…危ない危ない調子ついてるときが一番油断できないんだ)


京太郎は久に言われた事を思い出し冷静に冷静にと深呼吸を繰り返す。

ここ一番で振ったりしたらかっこ悪過ぎる。


とりあえずと最初の一打を河に捨てた。

他の2人も続いて捨てる。


だが何故か3人目は牌をツモるとそのまま固まった。

目を見開き動かないのだ、心なしか体も震えていた。

不思議に思い京太郎達は顔を見合わせた。


「おい、どうした」

「あぁ…すまん、本当にすまん」


1人が声をかけると呟くように謝った。

何度も何度も………



「そのなんだ……本当にすまない、地和だ」

「……はっ?」


最後の1人が牌を全て倒した。

ソレを見た全員がかたまった。


聴牌していて引いた今ので和了っている。

完璧な地和だ…そして、京太郎は親だ。


「親被り?」


震える声で何とかソレだけを搾り出した。

目の前の3年生が重々しく頷いた。


京太郎はそのまま力なく俯いた。

誰も動かず静寂が降りる。


どのぐらい経ったろうか?

5分か10分か…正確にはわからないが長い時間が過ぎた気がした。


「………あ、ありが…とうございました」


なんとかそれだけを言い切ると京太郎はふらふらと起き上がりその場を後にした。



成績 須賀京太郎 個人戦 県大会 ベスト4


それが全てだった。



今日はここまでー

最初は京ちゃんのお友達だそうかと思ったけどこうしました。
あとは自分はハッピーエンド主義なのでバッドはありません。
これ以上暗い話は姫子の時ぐらいなはずなのでご心配なく?
それじゃのー

乙です

乙です


三年生男子sの気持ちも分からんでもないが、スッキリしないマネしたなあ

割と人生レベルで後悔する勝ち方だよね
でもここで大逆転ってのも面白味はないし、ssだからねえ

乙なのよー

おつよー
天和地和は麻雀の宿命やな

さいならー

京太郎も悔しいだろうがこの卓で一番悔しいのは三番目だろう。
・一年生相手に大人気なく集中放火
・最後決めたのは地和という運
この先、何度も思い出す苦さだろうな。

三対一で勝てるのなんて・・・てるてるでも一矢報いられたんだし。

松井の5打席連続敬遠レベルで叩かれそう

お疲れ様でした

本人達以上にギャラリーの反応がキツいだろうな

京太郎の敗因は麻雀弱者が部員にいなかったことだな。
麻雀経験者で弱者視点で語れる人が一人でもいればこの結果は回避できたかも。

あと雀荘とかで場数を踏んでおけば東場で大崩れしないですんだかも

おつー
麻雀は運なんだよなぁ、ほんとSOAだわ...怜にふみふみしてもらわにゃなるめぇよ()

松井は逆に5打席連続敬遠をされたからこそ伝説になれたってのもあるからな
それを全国でやられた照は桁違い

彼らは一年生に3人がかりで勝ったという結果が残ったのにこのまま麻雀続けていけるのか?

個人的に勝つためにルールで認められていることをなんでもやっているだけで批難されるようなことではないと思う

バッドエンド版の咲阿知賀編って感じだな。やるせない…

乙でした

しかし、麻雀打つようになって10年以上経つけど、ダブリーは数回あれど天和と地和は見た事はまだ無いな……

面白いんだけど「リーチ、一発、ツモ!四暗刻」には誰も突っ込まないのか、俺が野暮なのか

乙です

勝ち抜いた3年は全国でマスコミや他の出場者から洗礼受けそうだな

正直、そこまで責められることじゃない

というかこれが叩かれるなら怜とか煌とかも叩かれてもおかしくないからな

その2人は相手が相手だからじゃないのか

勝負事で弱い奴を狙って何が悪いのか

>>188 普通に演出だと思ってた
他家からしたら「リーチ一発ツモ四暗刻………四暗刻?!」って感じだろうし

>>194 弱いから狙われたわけじゃないだろうが狙い撃ちは悪いこととは言い切れんわな

でも実際にやられたら泣いちゃうよね


乙に関するレス:乙ありがとう!!

3年生の関するレス:
3年生に関して反応多いね やっぱり
彼らがどうなったかは…流石にやらんかな?

リーチ、一発……:判りにくい演出でスマン

責める、責めない:人によるよね、これは

天和、地和:見たことないな…存在するのか?あれ
      自分は役満で上がった事ないです、精々2回連続リンシャンで倍満と跳満出して
      友人を飛ばした程度です。


バッドエンド版:あ~…考えてなかったけど似てるのね
        京太郎が照かな?

怜にふみふみ:ナニソレうらやま…げふんげふん


投下します。



-3年生side-


「…」


1人の男性が廊下の途中で体育座りをし蹲っている、顔は膝に埋め見えない。

髪が金と赤と派手な色合いをしている男性だ。

先ほど京太郎と戦った一人で最後に地和を上がった3年生だ。

先ほどから石の様に固まり動こうとしない。


丁度女子団体戦が始まった時間ってこともあり人も通りかからなかった。

だが男性にとってはそれがありがたい。


暫く様々な考え事をしながら蹲っていると遠くのほうから足音が聞こえてくる。

こっちに来るなと願っていたが足音は順調に迫ってきた。

少し経つと足音が数歩近くまで近寄ってきた。


「こんな所に居たんですか」

「…」


どうやら男性の知り合いらしい。


「先輩、皆探してましたよ?」

「…」


後輩の女性だ。

部活の中でも強く、よく相手をしていた子だった。


その子は何を言っても反応しない男性を前に少し考えた。

そして一言呟くように投げかけた。


「いい思いでは出来ましたか?」

「っ……出来るわけないだろう、自分で潰しちまったよ!」


その言葉には反応した。

男性は顔を上げ後輩を見上げる。

眼が赤くなっていた、泣いていたのだろう。




「゛最後の夏を最高の舞台で!! ″でしたっけ」

「あぁ…そうだよ」

「……最高の舞台に立つことが出来た感想は?」


男性は後輩に言われ視線を天井に向ける。

暫く考え込むと一言言った。


「最悪だ…最悪過ぎる」


最初、京太郎を見たときは楽しそうだと最後の大会ですごい奴が現れた…そう思っていた。


だが時が経つにつれそれは恐怖へと変わった。

圧倒的差で勝ちあがってくる京太郎を見ていると俺も負けた奴等見たいにああなるのかと思った。


今の男性は長い冬の時期と言われている。

目立った選手も居らず、プロも殆どが女性だ。

女性と戦える男性はかなり少ない、女性の10分の1ぐらいだろうか。

男性は自分に女性と戦える才能が無い事を知っていた。

だから大学からは趣味の範囲でやっていこうと考えていた。

最後の表舞台……全国で戦ったんだぞって胸を張れるように……


だから他の奴等同様無様にやられたりしないとあのような行動を取ってしまった。

その結果がこれだ。





「違うよな…あそこで全力で立ち向かってさ…それで同じように潰されても胸を張れたんだ」

「だけど…こんな勝ちかたしても胸張れねーよ、俺は何してんだ」


男性は嘆きまた泣き出した。


そんな男性を尻目に後輩は男性の隣にあった自動販売機で飲み物を買うと一口飲んだ。

飲んで顔を少し顰めると買った飲み物を男性の頭からぶっかける。


「何しやがる!!!」

「…」


泣いていた男性だったが流石にその行動には切れた。

立ち上がり後輩の胸倉を掴む。


「いじいじぐだぐだうっせーな!!いつまでいじけてんだ!」

「うっ」


後輩の剣幕に少し下がった。

男性は掴んでいた手を離し背中を壁に当てた。

そんな男性を見つつ後輩は服を叩き整えた。


「もう終わっちゃった事でしょう…」

「…」

「何より強い人相手に弱い人が束になって勝とうとする、普通でしょ」

「え…?」

「先輩は弱いんですから…それとも自分が強いとか思ってました?」


そういうと後輩は口元を手で隠し笑った。

そんな後輩に少しばかりムカっとする。


「てか先輩がイジイジしながら全国で無様に負けたら潰された子が可哀想過ぎますよ」

「あ……」


自分の事ばかり相手の事を考えてなかった。

あの一年生にも強い意志-夢-があっただろう。

それを潰して自分は立っているのだ。


男性はギュッと目を瞑り天井を見上げる。

暫くそうしていると頬を両手で強く叩いた。


「…マゾですか?」

「なんでそうなるんだよ!!」


後輩の言葉に憤慨した。

こいつはこれだから……と呟くと男性は歩き出した。




「何処へ?」

「麻雀をするんだよ、付き合え」

「えー…」

「そこは喜んでだろ」


そんな会話をしつつ2人は歩いていく。

ぐだぐだ考えるのはやめた。

どんだけ叩かれようが負けようが兎に角前に進もう、そう思った。


「…」

「どうかしました?」

「いや、弱いってのは辛いな」

「だから強くなろうとするんですよ」

「…そうだな」


とりあえず目標は決まった。

大学生になっても全力で麻雀に挑もう。

酷い負け方をするだろう、挫けもするだろう、それでもあの1年生のように全力で挑んでいこう。

そしていつかリベンジをするのだ、全力で胸を張って立ち向かえるように。

新たな意思を持って男性は歩いていく。



-3年生side out-






-怜side-


「…」

「負けてしもうたな」


千里山の控え室で竜華がポツリと呟いた。

目の前の画面では京太郎がふらふらと立ち去る場面が映されていた。

それを全員が見つめる。


「こればかりは…」

「良いデータ取れましたけど…」


泉と浩子はチラリと怜を見た。

怜は静かに泣いている。

声を上げずただただ涙を流していた。


「…怜」

「…」


竜華は怜に近寄ると怜の頭を抱きかかえるように抱きしめた。

怜はなされるがままに抱きしめられ、竜華の服をギュっと掴んだ。


「…こっち来い」

「ちょ…先輩!」


セーラが泉と浩子の手を掴むと外へと出て行く。

空気を読んだのだろう。


「…」

「…っ」


3人が出て行った控え室には2人だけが残された。

怜は静かに泣き続ける。

そんな怜を竜華は優しく頭を撫でていく。


怜は京太郎と会えないのが悲しいのではない。

いや、会えないのは勿論悲しいだがそれ以上に…自分が京太郎の傍に居ないことが悲しい。


京太郎を慰めたい、抱きしめたい、声をかけたい……

だがそれが出来ない今が悲しい。


実際に会おうと思えば会いにいけるのだ。

だが怜の体-病弱-がそれを許さない、立場-高校生-が許さない、何より自分達も大会がある。

全てを何もかもを捨てれば会いにいけるだろう。

だが怜にはそれをする勇気がない。

怜はそんな自分に嫌気がさした。


-怜side out-



-京太郎side-


「…」


ぼふんと音をたて京太郎は自室のベッドに沈み込んだ。

あの後、咲達に先に帰ることを伝えるとそのまま家に帰ってきた。

運が良かったのか途中マスコミに捕まる事もなく帰ってこれた。


「…あ~仕舞わないと」


暫くベッドに埋もれていたが徐に思い出した。

体をむくりと起すとポケットから一通の手紙を取り出した。


所々汚れておりシワも酷いボロボロの状態だ。

京太郎はそれを大事に大事に撫でると中身を取り出し読み出す。


゛はじめまして うちのなまえは……… ″


中身は小さい子が書いた文字が綴られており最後には可愛らしい絵が書かれていた。

これは最初の手紙…文通の切欠になった手紙だ。


お守り代わりに持っていたものだ。

全てを丁寧に読み上げる。

こうしていると昔の事を思い出す。




-昔話-



「えっ…」

「ごめんね、急で」


小学校1年生の時だった。

学校から帰ってきた俺に母さんは済まなそうに伝えた。

転勤で大阪から引越しをしなければいけないらしい。


「わかった」

「1週間後にはお引越しするからね?」


俺は特に残念に思う事無く頷く。

大阪生まれだが両親が標準語のせいか関西弁が使えない。

それに自分の性格のせいだろうか?

他の子と違い少し物分りが良過ぎた。

そのせいで友達は皆無だった。


「…」



引越しの日の前日、最後の宿題をすぐに終わらせるとお決まりの場所へと向かう。

特にやる事がないといつも行く場所があった。

近くの大きな病院、そこの整えられた庭が好きだった。


「あら、また来たの?」

「うん、こんにちわ」

「こんにちわ、判ってると思うけど迷惑をかけちゃ駄目よ?」

「はい!」


看護婦さんが声をかけてくれた。

それにしっかりと挨拶をすると庭へと向かう。

別に庭に行ったところで日向ぼっこしたり本を読むだけなのだが…

時折患者のお年寄りのお爺ちゃんお婆ちゃんの話を聞いたりもする。






既に知り合いの人との別れは済んでいる。

今日ここに来たのはなんとなくだった。


暫く病室の窓の下で本を読んでいた。

夕暮れ時になりさぁ帰ろうと腰を上げた時、ガラリと上の窓が開いた。

京太郎は相手を驚かさないように横にズレると立ち上がる。

窓から出てきたのは自分と同じぐらいの少女だった。


髪は短く整えられて京太郎と違う綺麗な黒色だ。

その少女の目は輝いており未来を見据えていた。


今の京太郎とは逆だった。

日々をただただ怠慢に過ごしている京太郎とは……


暫くその少女を見ていると少女がなにやら風船を取り出した。

その風船は真っ赤な夕日のように赤い色をしていた。


「えい!」


少女が声と共に風船を窓から放した。

風船はゆっくりゆっくりと上に上がっていく。

その風船だが普通とは少し違う所があった。


風船の紐の先に何かが付いている。

目を細めそれを確認するが良く見えない。


「おかーさん、これでだれかにとどくんかな?」

「そうね、手紙が届くといいわね」


少女と母親の声が聞こえてきた。

どうやら先に付いてるのは手紙らしい。

ロマンチックだなと思った。


「あっ…」



ボーとしていると少女と眼が合った。

少女は京太郎に少しばかり驚くもすぐに嬉しそうに頬を緩めた。


「こんにちは~」

「あっ…」


ひまわりのような綺麗な笑顔で挨拶をしてくる。

胸の奥から熱くなってくるものを感じた。




「うちの名前は~……」


少女が自己紹介してくる。

だが京太郎はその前にその場から駆け去ってしまった。


自分は明日にはもうここに来れないのだ。

もしあのまま知り合えば必ず後悔する、そう思ったら駆け出していた。

無我夢中で駆け出し汗だくになって家にたどり着いた。


母親にすごく驚かれたのを覚えている。

もしあのまま挨拶を返してれば今とは違う結果になっていたのだろうか?




-京太郎side out-




-怜side-


「…」


子供の怜が病室で絵本を読んでいた。

体が弱い為、これしかすることがないのだ。

暫く読んでいたが飽きたのか本を閉じてしまった。


窓の外を眺めると綺麗な夕日が見える。

今日もこのまま終わるのだろう。

怜は何をするでもなくただただ外を見つめていた。


「入るわよ」


ドアがコンコンとノックされ母親が入ってきた。

怜はそれに反応せず、外を眺めていた。


「また外見てたの?」

「うん」


母親の言葉に簡潔に答える。

どうやら外の景色に夢中のようだ。


母親も外を眺めると金髪の良く見かける子供が何やらお年寄り達とお話をしていた。

そんな様子をずっと怜は飽きずに眺めている。





暫く一緒に眺めていた母親だったがはっと思い出し怜に持ってきた物を渡した。


「わぁ~~~風船や!」

「外で貰ったのよ」


来る途中で貰った風船を怜に差し出す。

怜は嬉しそうに受け取ると風船で遊びだした。

楽しそうな我子を見ながら頬を緩める。


「…」

「どうしたの?」


怜が何やら風船を掴みじーーと見ている。

不思議に思い聞いてみると怜はこんな事を言った。


「手紙つけて飛ばしたら誰か返してくれるんやろか?」

「!」


怜は風船から母親へと視線を変える。

その視線は輝いており眩しかった。


「…そうね、返してくれるかもしれないわね」

「なら手紙書く!」


少し悩み答えた母親の答えに怜は嬉しそうに答えた。

ごそごそと荷物を漁り前に何かの付録で付いてきたレターセットを取りだした。

そして鉛筆を持つと書き始めた。




「え~と…はじめまして、うちのなまえは…」


次第に気分が上がったのか歌まで歌いだした。

白ヤギさんから~♪

手紙を嬉しそうに書き始めた怜を見ていると突如手が止まった。


「どうしたの?」

「手紙食べられたらどないしよ?」


怜の言葉にきょとんとしたが次第に理解しクスリと笑った。

普通の子より手間がかかる子だがやはりこの子は自分の宝物なのだと改めて理解する。

愛おしさがこみ上げてきて怜を軽く抱きしめた。


「おかーさん?」

「食べられないように素敵な手紙を書きましょう、絵でも描いてみたらどうかしら?」

「絵…そやな、絵描くわ!」


怜は色鉛筆を取り出すと絵を描き始めた。

暫く時間が経つと書き終えたのか便箋をしっかりと仕舞い風船の先につけた。

そして窓を開けるとそれを放つ。


赤い赤い夕日にも負けないぐらいの赤い風船を怜は眼を輝かせてずっと消えるまで眺めた。


ふと風船を眺めていると隣の先ほどまで見ていた少年が居るのを見つけた。

怜は少しばかり驚き同時にチャンスだとも思った。


前からよく見かけていて話したいと思っていたのだ。

友達を作るチャンスだと思い勇気を出し声をかける。




「こんにちは~」

「あっ…」


挨拶をするとあちらも気づいたのか声をあげた。


「うちのなまえは~……」

「っ…!」


自己紹介をしようとすると少年は顔を赤くし逃げてしまう。


「あっ……」


怜は立ち去る少年に悲しそうな顔をする。

暫く呆然としていたが気を取り戻す。


残念だったが手紙もあるし何よりまた話すチャンスがあるだろうと思ったのだ。


「手紙届くかな~」


怜は見えなくなった風船をもう一度眺め始める。


看護婦から彼が引っ越したと聞いたのは数日後だった。




-怜side out-




-京太郎 side-


「…」

「それで…」

「あはははは」


京太郎は揺れる車の中で大人しく外を見ていた。

外は生憎の雨の様だ。


今日、今をもってここから出て行く。

数日前は何とも思わなかった京太郎だったが今は何故か悲しかった。


『はじめまして、うちのなまえは~』


脳裏にはあの子の顔が思い浮かぶ。

何故か忘れなれない。

あの少女の笑顔を思い出すたびに胸が苦しくなる。


京太郎は服を強く掴むと耐えるように眼をつぶった。


暫くそのまま揺られていると車が止まった。

眼を開けて前を見るとどうやら信号で止まったようだ。


京太郎はそれを確認するとまた外を眺めた。


「あっ……!!」

「ん?どうした京太郎、トイレか?」


声を上げた京太郎に父親が話し掛ける。

だが京太郎は父親の声に答えず車のドアを開けると雨の中を走り出した。


「え…ちょ!?京太郎!?信号青になっちゃったんだけど!!!」


後ろから慌てふためく父親の声が聞こえた。

京太郎はそれでも止まらず走る。

先ほど外を見たとき見てはいけない物を見てしまったのだ。


間違いであってくれ…そう思いながら京太郎は走った。





「はぁ…はぁ…」


京太郎は車の隣の公園に入る。

入るとそのまま駆けゴミ箱の前で立ち止まった。


震える手でゴミ箱を少し横に倒し中身を見た。


有った……有ってしまった。


手を差しだし汚れるのも気にせずソレを取り出した。

ごみ箱の中には赤い赤い萎んだ風船とその先に括り付けられた手紙が付いていた。


京太郎は悲しくなった…あれだけ輝いた笑顔をしていた少女の出した手紙の結末がこれだ。

あまり悲惨だった。

雨の中、手紙を抱きしめ京太郎は大きな声で泣いた。




気づいたときには母親に抱きしめられていた。

いつの間にかだった。


京太郎はすぐに母親に泣きながら事情を説明し文通の許可を貰った。

引越し先の長野での生活が安定した頃に手紙を出した。

1週間後、手紙の返事が来たときはすごく嬉しかったのを今でも昨日のように覚えていた。




――――――――――――――――――――――――




パタン と手紙を箱の中に仕舞うと京太郎は外を見る。

外を見ると憎いぐらいに満天の星空だった。


「怜……ごめん、駄目だったよ」

「きゅ~……」


誰に言うでもなく呟くといつの間にか近寄ってきていたペットのカピパラが足元に擦り寄ってくる。

そのカピパラを優しく撫でながら京太郎は眼を瞑った。




-京太郎side out-




「…」

「…」


駅の横の屋台で清澄のメンバーはラーメンを啜っていた。

明日への景気づけという意味も込めてなのだが、空気が重い。


「はぁ~……京ちゃん大丈夫かな」

「…結構落ち込んでましたね」


咲と和は京太郎の事を思いだす。

あの決勝戦の後、会った時の京太郎は無理矢理な笑みを浮かべていた。

誰がどう見ても無理をしている。


「こればっかりは……の」

「どうにもならないんだじぇ?」


咲達の会話にまこと優希も加わる。

話しの内容はやはり京太郎だった。


「流石に敗者復活とかありえませんし」

「無理か~~」


和の言葉に優希は落ち込み皆してため息をついた。


いや…一人を除いて…


「ぷは~やっぱり美味しいわね♪」


部長である久だけが暢気に楽しげにラーメンを食べていた。

そんな久に咲は少しムッとした。


「部長……そんな暢気に……」

「だって…別に全国に行く方法は1つじゃないし」


『えっ?』


久の思いもよらない言葉に全員が久のほうに視線を向けた。

視線を向けられた久はニヤリと笑った。


「私達が明日の決勝で勝てばいいだけじゃない」

「あっ」

「あっちでも雑用引き受けてくれる人は必要だしね~?」


何より頑張ってサポートしてくれたしご褒美を上げないとねと言うとまたラーメンを啜った。

咲達はお互いに視線を合わすと笑った。


そうだ……自分達が勝って京太郎を連れて行けば良い


考えれば簡単なことだった。



今日はここまで
次で怜編は終わります

流石に明日には出すかと
次は…誰にしようかな~

それじゃのーこれから地獄の12時間深夜勤務が始まるよ

なんだろう
この状況で連れて行ってもらうってのに素直に喜びそうにないよなーとしか思えなかった

乙です

おつおつー

プライドが許さないかも知らんけど、それ以上にときに会えるとなれば

おつー
その辺気持ちは汲み取って素直にお礼言いそうだけどね、本音はそりゃ悔しいだろうけど

これで女子が勝って連れてってもらっても読者以上に
京太郎自身がいちばん釈然としないだろうな
とりあえず礼儀としてお礼は言うだろうが

京太郎SSはいつも外野がうるさいな

>>221
それを指摘するあなたも同じ

お前も脊髄反射で意味不明なレスすんなよ

誰でも高校最後の大会って立場なら明らかな格上に対してこういう戦法とるだろうけど観客的には見てて気持ちのいいもんじゃないだろうな

ええやん、気に入ったわここ
なんぼなん?

運動部だとルーキー潰しは横行してるし、ハンドで全国経験ある京ちゃんならリカバリ早いと思いたい

>>215 >>217
乙ありがとう!

>>216 >>218 >>219 >>226
京ちゃんのプライドの話しは後日談で語ります
やっぱり作者と読者だと受け取り方大分違うね
それを伝えるのが作者の仕事なんだけど…

>>224
選手は必死ですよね
参加してない人から見たらアレですが

>>225
気にいったんか

ラストを投下します




『これより―――』


怜の耳にアナウンスの声が聞こえてくる。

全国大会の会場のステージに怜は竜華達と一緒に立っていた。

何やらお偉いさんの無駄に長い話が終わり、宮永照の選手宣誓も今終わった。

その後は1校1校簡単な紹介がされる。

シート校から紹介されてるのか怜達の番は早かった。

紹介と同時に少しお辞儀をして終える。

その時に観客から声援が聞こえてくる。

やはり強豪ということと去年団体2位を取っただけに人気が高かった。


そんな観客に少しばかりため息をついて怜は、改めて客席を見ながらボーとした。

ボーとしながら考える事は相変わらず京太郎の事だ。

あの後、落ち着きを取り戻し試合へと挑んだ。

結果はここに居る事でわかるだろう。

京太郎の代わりと言ってはアレだが、あれから怜はいつも以上に頑張った。

せめて自分だけはと考えてだ。



あれから京太郎のあの顔が脳裏を離れない。

出来れば会いたかったなと思い少し目を瞑った。

立っていた為か少し疲れた。




『次は――』


次々と高校が紹介されていく。

早く終わらないかなともう一度ため息をついた。


『次は長野県代表 清澄―――』

「え?」

『がんばれーーー!!!!清澄ーーー!!!』


清澄……?

それに今の声は……


怜は顔を上げ観客席へと再び眼を向けた。

目的の人物はすぐに見つかった。

ライトの光で輝くように光る金髪に普通の人より高い身長、人の良さそうな笑みを浮かべている。


会いたかった人物 須賀 京太郎 が居た。


後ろに居た竜華達から


「やっぱりか~」

「まぁ着いて来ますよね」

「立ち直り早いなー」


など聞こえてくる。

だが、怜の耳にはそんな話は入ってこない。

ただただひたすら怜は京太郎を見つめていた。

画像でも動画でもない……本物の彼を……



―――――――――――――――――――――――


きたー




「はぁ…はぁ…どこや!」

「怜落ち着き!倒れてまう!!」


開会式が終わると同時に怜は駆け出そうとした。

竜華達に慌てて止められて失敗したが。

胸が痛いぐらいに鼓動が鳴り、早く早くと怜を急かした。


たどり着いたホールには既に人が多く居た。

周りを見渡すが人がいっぱいでわからない。


各高校の選手に記者、応援に駆けつけた人に観客……人の波が怜を阻んだ。

流石に大勢の人をどかしながら進む体力などは怜にはない。

しょうがなく人の合間を縫うように避けていく。


右を見ては確認して左を見ては確認する。

居ない…どこにも居ない……もう帰ってしまったのだろうか。


(……ちょいキツイけどここは)


怜はぎゅっと眼を瞑り一息つくともう一度眼を開く。


眼を開くと怜の脳裏に映像が流れる。


-こっちやない-

-もう帰ってしもうたんやない?-

-こっちや!怜!!こっちやーー!!-


数十秒先が視えた。





「こっちやない」


怜は脳裏に流れた映像通りの言葉を口にした。

さっきの未来視で少し疲れたのかふらっとした。

それでも怜は歩きを止めず、先ほど視えたほうへと向かった。


「もう帰ってしもうたんやない?」


(このセリフ言うたってことわ……)


怜が竜華の言葉に反応し辺りを見渡す。

目的の人物はすぐに見つかった。

セーラがこちらに元気良く手を振っている。


「こっちや!怜!!こっちやーー!!」


セーラが大きな声で怜を呼んだ。

周りの人は何事かと驚いていたがセーラは関係無しと言わんばかりだ。

怜はすぐさまセーラの指差すほうを向いた……居た。



20M先ぐらいに彼の金髪が見えた。

背が高いこともあり怜の場所からも確認出来た。




残り20M――



まだ彼は気づいていない

怜は少し足早に歩く


残り15M――



人が邪魔で思うように進めない


残り10M――



(何を話そう…最初は自己紹介やろか)


残り8M――



(えっとえっと……その後は)


残り5M――



(あかん!!話すこと考えてなかった!!)


残り3M――



(どないしよ!?)


怜の感情とは逆に足は進んでいく





京太郎の前には5人の少女が居た

清澄のメンバーだろう

そのうちの1人が怜に気づいた


「京ちゃん!後ろ!」

「えっ…?」


京太郎が振り向き怜と眼が合った

怜も足が止まり2人は暫くの間、見詰め合った


「っ…」


京太郎はふと我に帰ると何やらポケットを漁り何かを取り出した

それは赤いゴム状の物だ

それを口に持っいくと息を吹き込み始める


次第に次第にそれは大きくなり綺麗に膨らんだ

赤い赤い風船だった

その風船の口を縛り紐を付ける

その先にまたポケットから取り出した物を付けた


後ろに居た清澄の人達は何やらニヤニヤと笑っていた

京太郎はそれを気にせず準備を続けている





準備が整ったのか京太郎は手紙付きの風船を上へと投げた

赤い風船は京太郎の力により一旦上空へと飛んだ

だが空気を入れただけの風船は重力の力によって次第に下に降りてくる


それだけでも十分だった

長野と大阪、本来なら届かないはずの距離だ

だが今…この時……この瞬間だけは怜に届いた


怜は目の前に降りてきた風船を両手で優しく受け取る

少しばかり抱きしめると紐を手繰り寄せ手紙を取った

手紙を見てから京太郎を見る、京太郎は頷く

震える手で怜は手紙を開いてみる

そして……最初の文を読んだ








『はじめまして、俺の名前は……』









目の前の京太郎が喋りだす

手紙と同じ内容だ


全てを話し終え京太郎が怜へと手を差し出した

怜はその手を迷いも無く取ろうと手を伸ばす

だが先ほどの未来視のせいで体力が無くなっていた

足が縺れ京太郎へと抱き付く形になってしまう


『ちょ!?』


京太郎が驚きの声を上げた

怜は少しの間、きょとんとしたがすぐにそのまま上を見上げた

顔を赤くした京太郎と眼が合った


そんな京太郎の顔に怜はくすりと笑うと自分の素直な気持ちをぶつける



『京君、大好きや!!』



怜の輝くような笑顔を見ながら、今年の夏は去年以上に暑くなりそうだと京太郎は思った




<手紙シリーズ 怜編 カンッ>


怜の話しは一旦お終い
後で後日談だします
そこでプライドの話やその後の彼らの話を掲載します

次の話しはやっぱり順当に桃子かな
それじゃのー

乙です
ここで後日談は後とか生殺しww
モモ楽しみしています

おつよー
ときかわ!

乙です
2828が止まらない

乙ー
後日談期待すわ

あたし待つわ

ちょー乙だよー

乙です
後日談期待
次はモモかー

乙です

おつー
や京怜No1
今後新しい話が出る度に掌コークスクリューをする準備はできている!

おつおつー

モモクル━━━━(゚∀゚)━━━━!!

乙です

>>244 >>245 >>247 >>249 >>251
乙ありがとうよ!

>>240
怜可愛いよ!怜!

>>239 >>242 >>246
後日談は皆終えてから一気に放出しようかと思ってます。
たぶん、ただただ甘い砂糖ダバー的な話しになるかと

>>241
王道って大事だよね、どうやら自分は青春物が好きらしい

>>248
それを誰に放つつもりだ!?私か!?

>>250
モモちゃんですよー
モモの話しはショートバージョンが出来良過ぎて改変できんのよね



               ,..:´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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                |::::::::/!笊ミ、:ト:! ヽ:!::!:ハ:::|::::::::|:::::::l:::|
                |::l::::{ |//r}    了心、:!::::::::!:::::::!:::!
                |::|::::| !Vツ    |//rl }::::::::l::::::::!::{
         _r-、从::⊂l⊃     Vツ .!:::::::l::::::ノ:::|

           と /.:.:)::::ヽ!  V フ ⊂⊃l::::::::l::::ハ:::!
          7.:.:.:!ハ!/7`:r == ''7ヽ:::!:::::::|:/ .ヽ|
            ̄ ̄` }/!.:.:.!八ィ/.:!.:.:.\::::/

                 /.:.\!! /.:.:.}.:.:.:.:.:ヽ
                  /ヽ.:.:OY:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:\
                 ,'.:./.:.:.O:|.:.:.:.:.:.x=.:\.:.:./:,
               ,'.:.:.:.:.:.:.x'l、.:.:.:.:.:ヽ.:./ヽ.:.:.ノ-、
               /.:.`='.:!.:.:.:.:.:ヽ.:_.:/:\:.:ゝr‐ ′
                |:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:!.:.:.:.:ヽ/
             `ー==L.:.:.:.:.|.:.:.:.:_ヽ_./

                   ト-} ̄ ̄ヽ  {
                  }.:リ    } ̄!
                            ト-リ
                       ` ´
導入部分だけ投下するっすよー

レス返し忘れあったらスマン






『なんで…』

『なんで ゛私が見えないっすか″ 』

『誰でもいいっすから私を…』


夕暮れ時の公園…誰も居なくなったそこで1人の少女が泣いていた。

少女は黒髪に少し昔のおかっぱのような髪型だ。

その少女は誰も居ない公園の真ん中で蹲り1人泣いている。


『っ…?』


少女が暫く泣いていると何やら影が少女を覆った。

不思議に思い顔を上げる、そこには風船がふわりふわりと少女の前に下りてくる所だった。

少女が手を伸ばすとその風船はすっぽりと少女の腕の中に納まった。


改めて見ると赤い風船で紐の先には何かがついている。


『手紙…?』


風船の先に手紙がついている。

それをゆっくりと広げていく…





『はじめまして、ぼくのなまえは…』













PIpipipipipipip…









「はふ…」


けたたましい電子音が聞こえ桃子は目が覚めた。

残念なようなむしろ良かったような夢を見た気がする。

そんな事を考えながらも手を伸ばし携帯の時計を止める。


「んーどこっすか」


携帯を放り投げると寝ぼけ眼で手を一生懸命伸ばしある物を探す。

暫く手を広げていると目当ての物が見つかった。

それを引き寄せると中を開け中身を取り出す。


「ん~♪」


桃子はそれを潰さないようにぎゅっと抱きしめる。

暫くそうしていると眼が覚める。


「今日はいつの-手紙-っすかね」


抱きしめていた手紙をゆっくりと丁寧に開ける。

中身を取り出すと可愛らしい便箋が出てきた、文字は男の子らしさ溢れる文字だったが…


「あーこの日のっすね」


目を閉じるとすぐにでも届いた日を思い浮かべる事が出来る。

そう…この日は…




「なにしてるのー!!」

「ひぅ」

「あ…朝ごはんの時間っすね」


思い出の中にどっぷり浸かろうとした桃子だったがどうやら無理だったらしい。

母親の大声で桃子の意識が現実に引き戻された。

はーいと声を上げ答える桃子だったが、まだ用意をしてない事に気づき桃子はあわあわと急いで服を着替え始めた。



「ご馳走様でした!!」



朝食を終え桃子は外へと飛び出す。

今日は少しばかり余裕がない。


「今日もいい天気っす!」


桃子が走りながら空を見上げると雲ひとつない快晴だった。








――――――――――――――――――――――――――――



「部長!!掃除終わったんで今日は上がります!!」

「え…あ、はい」


そういうと京太郎は部長の答えも聞かずに走り去っていく。

あっという間の出来事に思わず久も素直に答えてしまった。


「随分急いでおったの」

「何だったのかしら…」

「部長が雑用ばっかりさせるから逃げたんだじぇ」

「あー……」

「和…納得しないで頂戴」


京太郎の不可思議な行動に部員達は面白おかしく話し合っていく。

話題に飢えていたという事もある。

結局の所毎日大会の為に麻雀ばかりで刺激が欲しかったのだ。

あれやこれやなどありえない話が出てくる。


「遅くなりました~」

「あぁいいタイミングに」

「へ…?」


本当に何なのかと話している時にタイミング良く扉を開け咲が入ってきた。

不思議そうな顔をする咲に先ほどの事を聞いてみようと久が声をかける。

彼と付き合いが長い咲なら何か知っているだろうと思ったのだ。





「ってことなのよね」

「咲ちゃん何か知ってるかだじぇ」

「あ~…あの日だったね」

「あの日?」

「それだけじゃわからん」


どうやら咲は何かを知っているらしい。

その証拠に咲は少しばかり嫌な顔をしている。


「それであの日ってなんなの?」

「彼女とのデートです…その後はそのままお泊りに」


「…」

「…」

「…」

「…」


楽しげに聞いた久だったが咲の言葉に皆して黙った。

その様子を見て咲はため息をついた。


「あはは……冗談よね?」

「本当です」

「妄想乙!だじぇ」

「本当に居るから」

「いやでも……須賀君、何時も私の胸見てますし」

「和ちゃん彼女と同じぐらい大きいから…」

「はぁ~…まぁ居ても可笑しくは無いの」

「あれで結構モテますし」


まこ以外はまったく信じていなかった。

咲はもう一度ため息をついた、こうなるから言いたくなかったのだ。





「……まじなのね」

「本当ですって」

「馬鹿な…あの犬に恋人だとっ!?」


和はある程度納得したのかそのまま押し黙った。

逆に久と優希はまだ混乱している。



-少女お話中-



「…そっか、彼女居たんだ須賀君」

「あー……」


なんとか納得してもらえたらしい。

説明するだけでも疲れた、肉体的にも精神的にも……

あの2人の惚け話はしているこっちが疲れるのだ。


「それで……どんな子なの?」

「……話さなきゃ駄目ですか?」


久が楽しげに咲を見た。

助けを求め周りを見るも他の人も聞きたそうにしている。

これは無理だなと咲は諦め、京太郎と桃子に聞いた話をする事にする。


「私が聞いた限りですと……」


そして咲は語りだす、二人の出会いの軌跡を







――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――



とりあえず導入部分まで
残りは明日ぐらいには……

ちなみに5人の話しはそれぞれテーマがあります。

怜:王道⇒病弱の女の子の為に頑張るお話
桃子:三角関係
姫子:依存
照:修羅場
咏:熱血

皆の好きなテーマはあるかな?

ちなバッドはないので安心してください。

それじゃのー

まるで俺の好みに合わせたかのようなラインナップだな


存分にやりたまえ

乙です

乙、期待してます

おつおつー
不満どころか大好物なんですがそれは

おつー
バッドがないって書いてあるのにテーマからちょいちょい不穏な空気を感じるがいっちを信じるぜ

おつなのよー

乙です
既に付き合ってるってのが違いでてて面白いですね
三角関係って咲となんだろうか
照の修羅場は咲なのかなとか思うけど
どれも面白そうだ

修羅場でハッピーエンドってことは「彼と私が幸せならば他の女が血の海に沈もうともどうでもよかろうなのだぁーっ!」ってことか

>>260 >>262 >>266
乙ありんっす

>>261
YES 好きにやらせてもらうっす

>>263
期待はありがたい!
だが自分が好きな様に書いてるだけなので合わない場合も…

>>265
え…不穏…?
大丈夫大丈夫…きっと大丈夫

>>267
桃子は皆が予測できない物になってるかとまぁ楽しみに待っていてね!

ちっと投下します。

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  |.:.:.:.:.:|:.:.:.:ハ:.:.:.:| |:::|::::リ     |:::|:リ ノl:ノ <はじめるっす
  l:.:.:.:.:.|.:.:.:! i.:.:.:| `ー'     .゙-l' |
  i.:.:.:.:.:|:.:.:.ゝ:i',: ::|  |゙゙゙゙    ` ゙| ,!
  }:.:.:.:/|.::! /:|.:.:.:..l  |  (_`チ  _,ノ
  ヽ|.イノ }从/:.:从i ヾ|ー-‐、‐ T´| |



「はぁ~…遂に来たっすね」


中学校の自分の机で桃子はため息をつきガックリと肩を落とした。

こうなってしまったのは持っているプリントのせいだ。

そのプリントにはこう書かれている。


『修学旅行のお知らせ』


普通の学生ならものすごく喜ぶイベントだ。

だが普通ではない桃子にとっては苦痛なイベントである。


それにはしっかりとした訳がある。

東横桃子は昔から極端に影が薄い。

どのぐらい薄いかと言うと授業中に歩き回っても気づかれないぐらいだ。

ただし、ワザと大きな音を立てたり、激しい動きをすれば流石に気づかれる。

後は機械には映るという事ぐらいだろうか。

その為、゛友達がいないのだ ″。


「好きな人と組みなさい…とかイジメっすよ」


ツンツンとプリントを指で突っつく、こうしていても何も変わらないのだが。

どうしたらいいかと桃子は、ため息をもう一度つき顔を窓の空へと向ける。


「こんな時…あの人が居れば……」


そう言って思い出すのは桃子の文通相手だ。

会った事ない人だが一緒に回れればきっと楽しいだろうなと断言できる。


「はぁ~……本当にどうしよう……」


桃子は力なく机の上にだらける。

もう桃子の精神は0に近かった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――




「結局、班は1人に……先生まで気づかないのは予想外っす」


帰り道をとぼとぼと気だるげに歩く。

結局何処かの班に混じる形になるだろうと思っていたのだが

まさか1人の班が出来るとは思っても見なかった。


「適当に回ってればいいっすよね」


とりあえず修学旅行先のスケジュールを頭の中で考える。

暫くアレコレ考えていたが次第に面倒になり適当に回ろうと決意した。





「ただいまっす!」

「あら、お帰りなさい」


少し大きめな声を出し桃子はリビングに入る。

こうしないと気づかれないのだ。

母親はまだそれほどひどくはない…とりあえず気配は感じるらしい。


「ん~あれ」


桃子は手を洗うと自分の部屋に戻ろうとした。

その時ふと机の上に目が入った。


「手紙っ!来てたっすか!」

「あら、そういえば言うの忘れたわ」


「えへへ~」


桃子は自分宛に届いた手紙を抱きしめる。

この文通が桃子の2週に一度の楽しみだ。

先ほどの憂鬱な気分は何処かへ吹き飛び桃子は嬉しそうにくるくる回った。

そんな桃子を母親はあらあらと笑顔で見ていた。





シロがいたら最高だった




「今日はっと」


晩御飯を食べお風呂に入り自室に戻ると早速手紙を開く。

何時も通りの近状報告と数枚の写真が入っている。

近くにお茶を持ってくると一文一文時間をかけて丁寧に読んでいく。


暫く読み最後の文へと目を通した。


『○月×▽日に○×に修学旅行に行くことに……』


そう綴られている。

何度も何度もその文を読み直す。

間違いない様だ、奇遇にも桃子の旅行先と一緒で日にちも一緒だ。


「もしかして…もしかして…会えるっすか?」


残念ながら旅行のほうが手紙が届くより先のなので待ち合わせとかは出来ない。

それでも偶然に会えるかもしれない、そう思うと嬉しかった。

先ほどまで憂鬱だった修学旅行が心の底から嬉しくなった。


「楽しみっす♪」


桃子は楽しみにしながら眠りに就く。

考える事はあっちに行った時の事だ。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――






「……着いてみて気づいたっす」


修学旅行先で桃子は1人ぽつんと立っている。

先ほどまで楽しみにしていた桃子だが1つ気づいたのだ。


「会ったこともない人をどうやってここから探すっすか」


桃子の目の前には人、人、人の群れが横切っていく。

一応特徴は知っている、名前も知っている、どこの中学かも知っている。

それでも偶然会える確立は如何なものだろうか。


「ぐすん……取り合えずお城でも見るっす」


桃子は目に涙を溜め、とぼとぼとお城に向かって歩き出した。

その光景は見るだけで悲しみを誘うような光景だが桃子を見える人は皆無だった。





「あの子……胸大きいな……えへへ~」

「……(見ている先にはおじさんしか居ないんだけど)」


1人を除いて





「わぁ~高いっす……虚しい」


取り合えずお城の急な階段を登り外が見える場所へと出向く。

一瞬全ての事を忘れ景色にのめり込むが周りの友達と一緒に来ているであろう学生のせいで

すぐさま現実へと戻された。


「「はぁ~…1人は嫌だ(っす)な」」


「「……ん?」」


何やら呟いたら隣の人とセリフが被った。

お互いに視線を向け見合った。


隣に居たのは少年だった。

身長は高く、髪の毛は少しばかり鈍い色の金髪だった。

顔はそこそこ整っており、声は少し大人になる一歩手前程度だろうか。


「何、そっちも1人なの?」

「……そっちこそっす」


少年は気軽に話しかけてくる。

すわ、ナンパ(不良)かと思い桃子はぐっと構えた。

そんな桃子の反応に少年は苦笑して自分の髪の毛を少し摘んだ。


「これは生まれつきなんだわ」

「あ……ご、ごめんなさいっす」


苦笑しながら教えてくれた少年に桃子は申し訳ない気持ちになり謝罪する。

気にしなくていいよと少年はカラカラ笑った。

どうやら明るい人らしい……ついでにたぶん人のいい性格なのだと感じた。






「俺のほうはさ、班の奴等…と言っても男子勢な。そいつらが全員腹壊しやがって一人になっちまった」

「全員がお腹を壊すって漫画っすか」

「昨日皆でお菓子買いに行った帰りに食事してさ、そこにハバネロ焼きってのがあってな」


何やら事情を説明してくれる少年の話しに桃子もついつい聞き入る。

先ほどまで1人だったので楽しかったのだ。


「ってことだ、それでそっちは?」

「あ~……私は……」


少年の話が終わりこちらに振ってくる。

桃子は正直に言おうかどうか悩んだ。

自分のステルス体質を言って引かれないか等考えてしまう。

少しばかり桃子がむむむ~と呻り考えていると少年が助け舟をだす。


「あ~言い辛いなら別にいいぞ?さっきのバスの所で暗い雰囲気を出してたから気になっただけで」

「それは助かる……っす?」


少年の言葉にホッとした桃子だったが少年の言葉に固まった。

この人は何と言った?バスの所で…?それはもしかして……


「わ、私の事見えているっすか!?」

「……え………何お前幽霊とかそ、そういう類?」


少年は少しばかり後ろへと引き下がる。

そんな少年を見て桃子は逃がさないとばかりに腕にしがみ付いた。


「お、俺にとり付いても何もないぞ!?」

「幽霊じゃないっすから!逃げるな!」



その後、2人は暫くの間ギャーギャー騒ぎ仲良く係員に怒られました。




怒られた後、話を聞く為にお城を降り近くの休み所で一服する事にした。


「なるほど…ステルス体質か」

「そっす、なんで見えるっすか?」

「そんな事は知らん」


桃子は不思議そうに少年を見る。

だが少年は知らないと一言で切る。

残念ながら心当たりなんかなかった。

暫く2人はう~んと呻っていたのだが、不意に少年があっと声をあげた。


「ん~何か心当たりでもあったっすか、あーん」

「ナチュラルに俺の団子取るなよ、いや自己紹介もしてなかったなと」


会って間もないのに図々しくも人の団子を取る少女に少年はため息をついた。

桃子はというとお茶啜りながら少年をチラリと見ていた。

とりあえず、どういった人かを見る為に行なったのだが予想以上にお人よしのようだと思った。


「俺の名前は須賀 京太郎だ」

「団子は私のあげるっす、後私は東横 桃子っす」


お互いに自己紹介しよろしくと握手した。

桃子は自分を見れる人に出会え嬉しい反面、悲しくも思った。


(須賀 京太郎…九ちゃんさんと一文字違いとか意地悪すぎっす)


桃子は内心ため息をついた。

目の前の自分の事を見える少年は須賀 京太郎

自分の想い人であり、文通相手は須賀 九太郎


一文字違いだった。




「あー…どうせなら一緒に回らないか」

「え…」


桃子が考え事をしていると京太郎が頬を指で掻きながら提案をしてくる。

京太郎は少しばかり顔を赤くしこちらを真面目な顔で見てくる。

そんな京太郎に少しばかりキュンと心に来た。


「ま、まぁ…私も1人っすから…や、吝かではないと言うか……」

「本当か!」


桃子も照れながら承諾の意を伝える。

最後のほうはドンドン小さい声になってしまったが。


だが、京太郎はそんな事お構い無しに嬉しそうな笑みを浮かべた。


「っ~~~~~!」


桃子は京太郎の笑みを見て顔を赤くした。

柔和な優しそうな顔であり

それでいて少しばかり幼なさを感じる気さくな笑顔

桃子は自分の胸が跳ねる音を聞いた。


「それじゃ…まずは…」

(お、落ち着けっす!)


京太郎が地図相手に睨めっこしている横で桃子は目を回しあわあわと慌てる。

自分には想い人が!会った事ないけど……けどそんな軽い女じゃ等頭がショート寸前だ。


(あれっす、今まで自分の事を見える人が居なかったから舞い上がってるっす)

「なぁ、何処にいこっか、東横さん」


桃子が自分の何かでそう決め込みぐっと手に力を入れていると

そんな桃子の心情を知らない京太郎は陽気に何処へ行こうかと桃子に尋ねる。





「は、はいっす!」
              _ ...-‐…::::::::::::…‐....
            ......::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\

             /:::/::::::/:::::/:::::::;ィ::::::::}:::::::::::::::::::\
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       /::::::::::_j::::::/{::::/{::::/ l::::::::::::::!:::::!::::::::::|::::::::::::,

       ,:::/:::::::::「:`メ-!:::{ l::::!r‐|::-::‐:::T:::7:::::::::::|::::::::::::::,
        l::l::::::::::::!:::;x=ミ::! ヾl  l::x竓ミヽj}::::::/::::|:::::!:::::::::
       |八:::::::::∨fr'ハ`     fr':::ハ /:::::/::::::|:::::|:::::::::\
       |! v::::::从弋ツ       弋|!ツ/:::::/::::::::|:::|:|:::::::::::::::\
       |  从::{::l:! ""//////// '"|!"::::::/{::::/´}:::';!::::::::::::::::::::\
        '  ヽ::::,             |!,:::::::{ |::::|/ノ::::::、::::::::::\:::::::::`ヽ
          /{:::込、   ^      |!|:::::::|_!::::!从::::::::ヽ::::::::::::`ヽ::::::::}
           /{ !::{::::介:.、     _.|!|::::::ハ:::l':::::ヽ:::::::::\::::::::::::}:::::/
         l:::| |::iィく::|::::::`ト-r‐   |!|:::::{ィ从|´ ̄`ト、::::::::\::::/l:::/
         ヽ{ / }_,==ミ7ーミ--‐ _ハ::/V/       \::::::∨ |/
            /  厂-‐ 7‐-、 ヽ /7/.|' /           ヽ::::}
            /  / -‐ j--、   V/  /     /      }::/
            /   !  -‐十-   ',  /     /{       !'
        /{  /!   ィト、     !       //      |
         } | / ,   ノ/ }    .|lト、      /       !
          | l/ {   // ト  __ _j/ ハr'   /
       / /  ヽ イ:7 / l\: :ノ / /

       , ./ヽ   l: :/ ./  !: :}  / /


桃子は京太郎に呼ばれ、顔を赤くしすぐに答える。

呼ばれただけで胸が高鳴りドキドキと音を鳴らし響いた。


「こことかどうだろう?」

「い、いいと思うっす」(あっ~~~~何トキメイているっすか!私!!)


既にいっぱいいっぱいだった。

自分の感情が既にわからない。

京太郎と九太郎、両方の間で彷徨う自分に桃子は少しばかり嫌気がさした。



>>272
シロかーどうしよう、5人終わったら後日談書いて終わって非安価のモンハン(京ちゃん×桃子×姫子×怜)PTでの狩話
書こうかなと思ってたんだが……その他の人のも書いてみようかな…う~ん……

一旦お終い 後は夜にでもまたあげます!
あと気づいている人居ると思うけどこれは三角関係(笑)です。
可愛い桃子でものほほんと見ていてください。
修羅場…?ないよ

それじゃのー


好きに書いていいのよ

須賀Q太郎とは一体何者なんだ……

おつよー
ももかわ!

乙です

>>282

「なあ答えてくれ」

「子供の頃『刑事コロンボ』が好きだったせいかこまかいことが気になると夜もねむれねえ」

乙です
直線を一定の角度で振り続けて、三角形ぽく見えるんですね

乙です
キャラ的にはシロが文通を続ける体力があるのかと思ったわww

ちょー一途な姉帯さんがいない……
姉帯さんがミーハーなのは文通の話題を作るためだったんだよ!

>>280
カプスレで書いてたの>>1だったの!?

モンハンも書いて欲しいなぁ…

乙です
モモかわいい
Qじゃない九太郎ワロタ

乙です
京ちゃんとモモの出会いすばらっすね
勘違い三角関係面白い
モンハンも見たいし色々なキャラの手紙も見たいですな

おつおつ

乙です

>>280
お前だったのか…
総合でなんか見たことあるメンツだなーと思ったが、納得したわ

>>284 >>292 >>293
乙ありっす

>>281
モチのロンっす
好きに書くっすよ

>>282
謎の男、九太郎……Q太郎じゃないよ?

>>285
やれやれだぜ言いそうな人やね
某動画サイトで見てるけど来週が怖い&楽しみです

>>286
普通に納得したわ

>>287
ギャップでキュンっとくるやろ?
あの面倒臭がりのシロが…とか

>>288
一応考えてはいたんだ
宮守なら豊音だろうなと
考えては…うん

>>290
モモは可愛いです
なんだろうね、現実にこんな子居たらしょっぱな告白です

>>291
いろんな話が書きたいです
でも時間がないのよね
無人島安価もしっかりとやっていきたい非安価で色々書きたい悩みどころですな

>>289 >>294
私だ!なんか書きたくなってちょちょいと書いてしまった
大体あの4人の場合は自分です
変わった語尾&方言、髪の毛が肩ぐらいまで、依存性が高い子が好みです
今のカプスレの最初の怜(電車)とか京ちゃんの恋人とかぷちさき(怜)とかは自分です
前の足フェチ(姫子)も自分だったり結構無人島を投稿してからは結構好き勝手やってます

とりあえず短いけど投下 修学旅行だけ終わらせます

>>283
レス見逃し……モモ可愛いよな!うん、ごめんなさい


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――



「待って…咲」

「どうかしましたか?」


咲の話を聞いていた久が突如話を切る。

そんな久に咲は不思議そう久の顔を見た。


「九太郎って誰…文通相手は須賀君じゃないの?」

「あ~……手紙は子供の頃出したじゃないですか」


咲は少し可笑しそうに笑った。

この話を聞いた時に自分自身疑問に思ったのだ。

それで京太郎に聞いてみると京太郎は顔を赤くしそっぽ向いてしまった。

仕方なく隣に居た桃子に話を聞いた、思わず爆笑してしまったものだ。


「子供の頃書いた物だったので間違えたんですよ…京ちゃんが」

「…きょうたろうをきゅうたろうと書いたって事?」

「えぇ…モモちゃんから手紙の返事が来て気づいたらしいです」


何ともアレな話である。

優希なんかは既に爆笑していた。


「訂正しなかったんですね」

「子供の時って変な意地とかあるから……」


「それでそのまましていたらこうなったと…」


なんとも奇妙な関係が出来上がってしまっている。


「なるほど…わかったわ、それじゃ話しの続きを…」

(あ……まだ続けるんだ)


咲は久に言われ渋々話しの続きを開始する。







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―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――


「へ~テレビとかで見るような町並みだな」

「結構古い家多いっすね」


2人は様々な所を一緒に歩きながら観光していく。


「あれ美味しそうだな」

「食べてみるっす」


途中美味しそうな物を見つければ突入し


「これとかってどうよ」

「そんな物貰って嬉しいっすか?」


お土産屋でわいわいあれやこれとショッピングを楽しんだり


「モモ!後ろだ!!」

「任せるっす!」


観光と関係ないゲームセンターで遊んだり

2人は思う存分遊びつくした。


「あ~楽しかった」

「はふ~満足したっす」


楽しい時間というのは恐ろしく早く感じるものだ。

2人が遊び終える頃には夕陽が空に現れていた。




時間はあっという間に過ぎ帰る時間になった。

京太郎は自分の集合場所に既に人が集まっているのを確認する。

そろそろ行かなければいけない。


「次は…京ちゃんさん、どうしたっすか?」


桃子はまだ遊ぶ気なのか次は何処へ行こうかと地図を見ていた。

だが、京太郎の苦笑している様子を見て桃子は不思議そうな顔をする。


「もう時間なんだわ、楽しかったよ」

「あっ……」


京太郎の指差す先に既に学校の生徒が集まっている。

反対側には桃子の学校の生徒が揃っていた。

もう行かなければならない。


「っ……、こっちも楽しかったっす」

「あぁ…」


桃子の小さな小さな呟きに京太郎は少し笑った。

遠くから京ちゃんと咲が呼んでいる声が聞こえた。

もう行かなければならない。


「またさ……絶対会えるから」

「本当っすか?」


俯いていた桃子だったが京太郎の言葉に顔を上げた。

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           〉、      八从:|:::::|::::lノ,リ::::::l::::::::::::::|:::::::::l:::l:|
           }          |::|:::::|::::lイ:::::::::l::::::::::::::|:::::::::l:::l:|
           |        ノ|::|:::::|::::| |::::::l:::l::::::::::::::|:::::::::l:::l八
           ー‐==≦    |::|:::::l:::リ |::::::l:::l::::::::::::::|:::::::::|:/
            |::::::∧   |::|:::::l/__,|::::::l:::l::::::::::::::|:::::::::|{
            l::l:::l::∧__,|::l::::/ __|::::::l:::|∨ ::: ::|:::::::::|{

             八l彡'´  八::/=ニニl::::八:|ニ∨:::::|:::::::::リ
              {   ∠二ニニ=|:/二廴ニ∨::|:::::::/
             f气_∠二二二二ニニニニニニ∨:::::/

                  |:i:i/二二二二二二二二ニニ∨/
                  |:/二二二二二二二二二二ニ=-

「゛またな ″モモ」

「またっす」


京太郎はそれだけ言うと振り返り手を軽く上げその場を去った。

桃子はそんな京太郎の後姿を京太郎が友達達の輪に入るまで眺めた。


「またっす、京ちゃんさん」


桃子はまた自分の場所へと戻っていくのであった。


とりあえずこれで修学旅行編(初出会い)終わりです
あとはもう1個お話を書いてモモは終わりかなと

それじゃのー

乙です
や京モモNO1!


や京モモNO1!

おつー
いつ京太郎がきゅうたろうだと気づくのだろうか楽しみじゃ

ちょー乙だよー

訂正:
反対側には桃子の学校の生徒が揃っていた。

もう行かなければならない。 ←脳内で消しておいてくれ!やっちまった

乙です

乙だよー
怜の時とはまた違う甘酸っぱさ...次回に備えて壁を作っておかなきゃ

乙です
あまずっぺー

無人島でトリップ晒してしまったので変えます
今度からこれです

あいよー

いいのよ

>>311
昔書いてた小説の主人公の名前なんだが今見ても黒歴史だなww


>>301 >>302
NO1が3人居るという…

>>303
ニヤニヤものですね

>>304
乙ありなのよー

>>307 >>308
甘いだけだと飽きるからね
それにしても壁…?

モモちゃんは明日更新します。



「はぁ~…」


自分の自室で手紙を読んでいたのだがため息が出てしまった。

桃子は手紙を机の上に置くとベッドにボスンと倒れこむ。

暫くの間、動かずそのままベッドに埋もれた。


「あぁ~~~~どうしようっす!」


手足をジタバタと動かし枕を叩いた。

今現在少し困った状況に陥ってしまったのだ。


何に困っているのかというと原因は手紙の一文に合った。


『もし良かったら12月13日に会いませんか?』


この一文である。

月日はあの修学旅行から大分経ち既に12月に入った。

あの後も勿論京太郎とは会えていない。

しょうがないっすねと思いつつもガッカリとしている所にこの手紙である。


京太郎と九太郎…2人の間で彷徨っている桃子にとって今回の提案は非常に悩むものだった。

自分の事を手紙でずっと支えてきてくれた九太郎。

自分の事を見てくれる京太郎。


どちらが好きなのか判らないのだ。

いや……九太郎の事が好きなのだ、たぶん、メイビー、だがもし会って゛自分の事が見えなかったら ″。

京太郎の事が好きになるのだろうか?

何かが違う気がした。


(怖いっす…もし会って見てくれなかったら…)


今までの思い出が全て崩れ落ちそうな気がする。

そうなったら自分は耐えられるだろうか。


桃子は悩みに悩んだが答えは出なかった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――





「どうしたら…どうしたら…」


あの日から悩みに悩み遂に約束当日になってしまった。

授業が終わりクラスメイトは帰り支度をしている。

そんな中、桃子だけが自分の机に座ったままだ。


(怖いっす、怖い)


桃子は腕で自分を抱きしめる。

体が震えているのが自分でもよくわかった。

昔の経験もあり桃子は臆病な性格をしている。


自分の事が見えない九太郎を想像したら怖くなった。

行こうが行かなくても今の関係が確実に変わる。

それが怖かった。



「おーい!誰かいないか」

「っ!」


暫く考えこんでいると担任の声が聞こえた。

周りを見渡すと桃子以外誰も居なかった。

しょうがなく桃子は返事をする。


「はいっす…居ます」

「ん~?あー…東横か?丁度良かった」


そう言いながら担任は桃子に目を凝らしながら近づく。

こうしないと見失うのだ。


「すまないがコレを資料室に運んでおいてくれないか?」

「わかりました…っす」


担任は少しの資料を桃子に渡すと頼んだぞーと言い去っていく。

桃子はため息をつくとトボトボと資料室へ向かった。





「よっと……こんなもんっすかね」


桃子は資料を運び終えると一息ついた。

外を見ると既に暗くなり始めていた。


(もう時間もないっすね)


時計を見ると既に18時を回っている。

約束の時間は19時だ。

今から準備して駅に向かえば30分前には着くだろう。

そんな事を考えながら桃子はボ~と過ごす。


10分ぐらい経ち体が冷え始めた頃、桃子は立ち上がるとドアへ向かう。

考えても考えても決心がつかなかった。


(とりあえず向かうっす)


そう思い腰を上げドアへと向かった。

行ってから考えようそう思いドアノブを捻った。


「あれ…開かない」


ガチャガチャとドアノブを捻るがまったく開かない。

桃子の顔が真っ青になっていく、ドアを叩くも誰もいないらしい。


「誰かー!!」


耳を澄ますが返事は聞こえない。

慌てて窓に近づく部活の人は………窓の外を見るも既に暗くなっており人の気配を感じさせなかった。

既に18時半を周り雪が降っていることもあり、早々に帰ったようだ。


「嘘……嘘っす、こんなのってないっすよ」


桃子の目に涙が溢れた。







「…」


桃子はあれから何度もドアを叩き助けを呼ぶが運が悪かったのか誰も通りかからなかった。

携帯で助けを呼ぼうにも教室のカバンの中だ。次第に疲れ座り込んでしまう。

外は既に真っ暗になり、時計を見ると20時を回っている。


(2人の間で彷徨ってた自分への罰っすかね)


備え付けられていたストーブと電気を付け桃子はボーと座り込んでいた。

外の雪は以前と降り続けている。


彼はまだこの中でも待っているのだろうか?

それとも時間が過ぎたので帰ってしまったのだろうか?





「っ……会いたいっす、会いたい!!」


会いに行きたいのに会いに行けない…こんな状況の中、桃子は自分の気持ちにようやく気づいた。

何時も風景の写真を送ってくれた彼が好きだ……

何時も面白おかしく手紙を書く彼が好きだ……

何時も励まし支えてくれた彼が好きだ……

何時も何時も自分を思ってくれていた彼が好きだ……


「お願いします……彼に彼に会わせて下さいっす!!」


会えないとわかるともっともっと会いたくなった。

桃子の悲痛な声が響く………だが誰も答えない。

桃子が口を閉じれば室内はシーンと静けさを取り戻す。

それが更に悲しかった。






「おーい!誰か居るのか!!」

「…え?」

「誰だ……資料室の明かりを消していかなかったのは!」


あれから更に1時間経った頃、ぶつぶつと文句を言いながら近寄ってくる人がいた。

残業をしていた先生が帰る際に資料室の明かりに気づきやってきたのだ。


桃子は立ち上がるとジーーと穴が空くほどドアを見続ける。

そして…ガチャガチャと音が鳴りドアが開いた、桃子はドアが開いた瞬間走り出す。

先生には悪いが捕まっている時間はないのだ。


「わっと…なんだ?誰も居ない?」


何かにぶつかられるかのように体が動いた。

だが辺りを見渡すも誰もいない。

そして…資料室にも誰も居なかった。


「…消して帰ろう…そ、それがいいな」

先生はそう呟くと顔を青くして早々に立ち去った。






桃子は教室でカバンとコートを取るとまた走る。

もう22時近い待ってはいないだろう。

それでも……それでも……


飛び出すように来客用の昇降口から出ると雪の中を走り出した。

間に合えと……








「げほげほっ……」


途中何度か転びながらもどうにか駅前に辿り着いた。

周りを見渡すと時間が時間なので人が少ない。

もう一歩も歩きたくないほど走った、それでも一歩一歩歩く。

あと少しで待ち合わせ場所だ。



「あ……そうっすよね」


桃子は待ち合わせ場所に着くとそう漏らした。

誰も居ない…判ってはいたのだ。

こんな時間までドラマや漫画のように待ってたりはしないと

それでも…それでも…



待ち合わせ場所の柱に手を触れる。

そこには人の温かみを容易に消すほどの冷たさがあった。

桃子は柱に背中を合わせずりずりと体を力無く降ろす。

どうでもよくなった…帰るのも…寒いのも。


膝を抱え泣き続ける。

そんな彼女に声をかける人はいない。


当たり前だ、誰も見えていないのだから。














1人以外は………











暫くそこで蹲っていると何やら頬に暖かい物が触れた。


「ひゃぁわ!?」

「あーわりぃ、寒そうだったんで」


桃子の頬に触れたものは缶コーヒーだった。

見上げると金髪の少年が目に入る。


「…京ちゃんさん?」

「よ!奇遇だな」


唯一自分を見てくれる人…それでいて゛今一番会いたくない人 ″が居た。

京太郎は缶コーヒーを無理矢理、桃子に渡すと隣に座った。


「そんでこんな時間にどうしたんだよ」

「何でもないっす」


彼の言葉に冷たく答える。

出来れば1人にしてほしかった。


「でも結構座り込んでたし」

「見てたっすか」


「少し前にチラっと見て最初は勘違いかなと…それで気になってまた来たらな」


そういって京太郎は苦笑した。

桃子はそんな京太郎に興味が無いとばかりに缶コーヒーを見つめる。

暫くの間、2人の間に沈黙が降りた。


「……振られでもしたか?」

「っ……あなたに!!」


京太郎の言葉は桃子を怒らすのに最適な言葉だった。

桃子は頭に血が上るを感じた。




「俺は振られた」

「えっ……」


そんな桃子に京太郎は軽く笑って答えた。

どうやら目の前の少年は振られたらしい。


「そ、それは災難だったっすね」

「んーそうでもないさ、元々こっちが勝手に約束したことだったし」


桃子の胸が1回跳ねる。


「会えなくても手紙のやり取りは変わらず続けるしな」

「手紙…手紙っすか?」


自分の声が震えているのが判った。

ありえない…だって彼は京太郎で……あの人じゃ

桃子の胸が高鳴り気持ちが逸っていく。

違う…待っているはずがない、彼も自分と同じく中学生だ。

こんな時間までこんな雪降る場所で待っているはずがないのだ。

それでも…それでも…


「おぅ、文通してるんだ、風船に手紙をつけて飛ばした時から始まった文通を」

「っ!!!!」


京太郎はロマンチックだろと笑った。


「だって…だって!京ちゃんさんは九ちゃんさんじゃ!!」


京太郎は桃子の叫びを聞きながらポケットから何かを取り出した。

そして、桃子に差し出しながら……


『はじめまして、九太郎改め京太郎です』


そういって手紙を渡した。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――


「って出会いらしいです」

「ドラマね」

「むしろ漫画だじぇ」

「…(いいですね、アリです)」

「結局その後終電もなく長時間待っていたせいで京ちゃんが倒れてそのまま、モモちゃんの家にお泊りとなったみたいです」

「そこで関係が進んだのかの」

「流石にそこまでは…」



-桃子side-


「お疲れ様っす!!」


桃子は部活の仲間に声をかけると駆ける様に去っていく。

そんな桃子に部員はポカーンと呆けた。


「モモちゃん急いでましたね」

「うむ、用事ですかね」

「あぁ…彼氏とデートだそうだ」

「ワハハ…彼氏居たのか」


ゆみが前に紹介された彼氏の事を思い出した。

あの時は無性にブラックコーヒーが飲みたくなったと思い出す。


「それで?」

「え?」


ゆみは香織の言葉で現実に戻された。

何やら皆から視線を向けられている。

どうやら話さなければいけないらしい。

興味津々の視線に晒されゆみは苦笑しながら経緯を話すことにする。






桃子は駆け足で進む。

時間的にはまだ余裕がある、それでも気持ちが逸るのだ。

駅に着くと近くのガラスでおかしな所がないか確認する。

うん、完璧だ。


自分の姿を軽く確認すると彼を待ち続ける。

昔は1人で居るのが辛かった…待っているのも嫌だった。

だけど…今はこの時間が好きだ。

彼を待っているこの時間が。



暫くすると人が多くなってきた電車が着いたのだろう。

じーと目を凝らしていると彼の輝くような金髪が見えた。

桃子は走り出すとその勢いのまま京太郎に抱きついた。


「会いたかったっす!!」

「俺もだよ」


京太郎は桃子を優しく抱きとめると暫くの間お互いの温もりを感じ合いながら抱き合った。

それがすむと一緒に歩き出す。



『どこへいこうか?』


『そうっすね…あっ、お父さんが話しがあるって言ってたっす』


『あーまじか』


『まじっす!ファイトっすよ!京ちゃんさん!!』



2人は笑いながら歩いていく

そんな2人の上を赤い風船が通り過ぎていった。

今日も快晴、デート日和だ。


<手紙シリーズ桃子編 カンッ>

モモちゃん編終了!
それじゃのー
次は姫子だ!

乙です

乙ー
モゲロー……や末永く爆発しろ!

なにこの新手のキチガイ

おつですー
いやー、モモはかわいいですねぇ本当に

乙です

乙です
あったか~い

アリですとか言ってる乙女のどっちも中々
ロマンチックですばらでした!

おつだよー
モモちゃんちょーかわいいよー京太郎くんちょーかっこいいよー

ちょーおつだよー

乙ー
やっぱり京モモがNO1!

いやはや最高だったわ超おつ~なのよー


姫子も期待

>ゆみは香織の言葉で現実に戻された。
香織とはいったい……

おつ!
総合に投下された姫子の話が一番好きだったから期待せざるおえない

京ちゃんかっこいいしモモかわいしい最高

京モモでなぜか京太郎はモモが見えるってのは反則くさくね?
なんかもったいないわ

おつおつ

>>324 >>340 >>344 >>351 >>353 >>353
乙ありっす!

>>326~>>338
アリアリアリアリ・アリーデヴェルチ!!!

>>325
漫ちゃんが欲しいですね

>>339
モモは可愛いよね、すっごい好きです。

>>341
よかったね!ゆうちゃー!
あったかい話と感じてくれってありがとう!

>>342
のどっちはこういうのに憧れそう
ロマンチックなのが好きです!

>>343 >>350
モモちゃん可愛い!京ちゃんかっこいい!
姫子では京ちゃんは更にかっこいい模様

>>345
やー!NO1!

>>346
感想ありがとう!最高だったわ…超嬉しいです!

>>347
期待に答えるっすよ!

>>348
やっちゃったぜ☆
佳織ですな
よく名前間違うイッチです

>>349
自分的にも一番好きな話しだったり

>>352
>京モモでなぜか京太郎はモモが見えるってのは反則くさくね?
なんかもったいないわ

ふむ…ふむ…なるほど……




-if 京太郎が桃子を見えなかったら?-
※京太郎がモモを見つけられないので修学旅行イベントがありません。
 名前の勘違いもありません。

時間軸は約束の日の時間帯、桃子が間に合っている状態です。


「18時50分…間に合ったっすね」


桃子が約束の場所に辿り着き、時計を見る約束の時間まで10分もあった。

既に彼も来ているだろうかと周りを見渡す。

会うにあたってどの様な格好をしているかを事前に聞いている。


「真っ赤なマフラーで金髪の……あっ」


見渡しているとその条件に当て嵌まる人を見つける。

事前に聞いてた通りに手に手紙を持っていた。


(私の事見えるっすかね)


胸が高鳴り、期待も高まる。

桃子はそろ~と歩きわざと京太郎の前を歩いてみた。

………何の反応もない。


(も、もう一度っす!)


………何の反応もない。

どうやら京太郎は桃子が見えないようだ。


>>352
確かに。せめて何で京太郎にはモモが見えるのか説明が欲しいところ



「そっすよね……今まで見えた人が居ないっすもんね」

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          ',: : ヽ: : :!::.. : : : : : : : o<: : : : : イ
         !: : : \!、 : : : : : : : イ: ー:_, イ: 〉

そう強気に呟くも既に目には涙が溜まり泣く寸前だ。

心折れそうになる。


そうして桃子が俯いていると19時を知らせる鐘の音が聞こえた。


(……会わないで帰ろう)


桃子は19時になるも会わずに帰ることにした。

このまま会わずに文通を続ける事にしたのだ。

それなら桃子が傷つくだけですむ。


(さよならっす)


桃子は涙を流しながら京太郎の前から帰ろうとした。

そんな時だった。








『はじめまして……俺の名前は須賀 京太郎です』

「はぇ……?」




この場合はおもちでも文通しててお互いの想いがとかでもいいと思うけどね
と思ったら何かきた!




聞こえてきた声に桃子は思わず振り向いた。

周りの人も何事かと京太郎を見ている。


桃子が視線を向けると京太郎は手に持っていた手紙を広げ読み始めたのだ。

今までの桃子との思い出話、いかにして今日ここに来たのか、それに…京太郎がどれだけ桃子の事を好きかを…

桃子は顔を真っ赤にさせた……あまりにも恥ずかしかったのだ。


『俺は……モモの事を見つけられないらしい、だけどモモの事を好きな気持ちは確かにある』

『もし…この場に居たら…モモを見つけられない情けない俺だけど!!』


『俺…須賀京太郎は゛東横桃子 ″の事が大好きです』


『もし良かったら俺の手を取ってくれませんか?』


そういって京太郎はその場で手を前に差し出した。

周りの人は変な目で見ている。

それでも尚も京太郎は手を差し出し続ける。



来たか








暫くすると京太郎の手に暖かな物が触れた。


「馬鹿っすね…大馬鹿っす」

「……モモだよな」

「東横桃子っす」


京太郎の手から徐々に1人の少女が姿を現した。

徐々に姿を現す少女に周りの人は驚いた。


「俺にはモモの事を見つけられないらしい…ごめんな」

「それはもういいっす…京ちゃんさんが私の事どれだけ想っているか判ったっすから」


そういって桃子は掴んでいた京太郎の手を自分の頬に当てる。

その手はとても冷たかった。

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    |/l'/:八{,|八:l_l_^ \::{ \ ^,,_ l:::|i:::八::::::::::!

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.    .:::::::::::::::{〃爪i:i:i:ハ        爪i:i:i:ハ }} !:::::::::::::::::|
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.    |::::l ::::::::::::::::::::;:{, イ  \,__   __/ \l_:::::::::::::i::::::::::::::::..
.   i|::::|:/:::::::::::::_;/....|    /⌒⌒ヘ    }..`ヽ:;::::l::::::::′::}::::.
.  八::仏::r....''.../..........|  ∧ ニニ∧   /'.........V^'トv:/:::::::ハ: }
 __,. ..'ヘ::::::l......./ ...........ト '′ 、ニ/  、//............:,...jノ/}:::::/^'jノ.,
/....|..........\{..../...............|    厂 {    /................′..{//.........../\


「京ちゃんさんが見つけられないなら…私が捕まえるっす」


そういって桃子は京太郎に抱きついた。

京太郎も桃子を抱きしめ返した。


「大好きっす」「俺もだ」


-ifルート カンッ-

こんな話が思い浮かんだ。

京太郎が何故見つけられるのかは…知らん、特に考えてなかったっす。
ごめんね
お詫び代わりのifENDです

それじゃのー



かじゅみたいだな
いやでもこれは感動的だよな...

おつですー

正直あのレスに>>1はスルーすると踏んでいた。だがしかし…!流石やで!


すばらでしたわ

モモは胸がデカイ、京太郎は巨乳が好き
だから、京太郎におっぱいレーダーがついていて発見できるって説を聞いた

乙です
この作品は特に文通でずっと想い深めてるから素で見つけられても違和感ないかな
どちらも最高なお話だった

おつおつ
よかったよー

乙です

いっち、あんた...すばらだぜ…

京ちゃんが原作で割とステルスだから波長が合ってモモが見えるとかそんなSSも昔読んだ気がする(うろおぼえ

乙です

なるほど、ステルス同士で波長が合うのか

ifもまたすばらでした。京ちゃんがモモを見える理由づけとしてはステルス波長説とおっぱいセンサー説、長編だと昔から一緒にいたからとかよく見るかな
どこぞのスレでステルス波長でお互いにテレパシー送ってた小ネタとかもあったなあ……

ここのいっちはできるいっち

すばらっ!
私はおもちセンサー説が大好きです

乙です
おもちセンサー理論だとクロチャーも見えるのかな

姫子だって言ったじゃん!なんで!?(憤死)

>>363
かじゅ……かっこいいよね!
この後かじゅの告白を聞いた桃子は京太郎の事を思い出しかじゅを一発で気に入りました

>>364
あのレスみた瞬間ありやなと思った

>>365
すばらありんす!

>>366 >>375 >>376
ギャグだとそうなるよね
どんだけ想いがすごいんだ…京ちゃん

>>367
経過を書くのが好きです
想いを募らせていくもどかしい所が好き

>>368 >>371
乙ありんす
次も頑張る

>>369
わざわざありがとう!

>>370 >>372
>ステルスの波長が合って
それで京ちゃんが桃子を連れて消えようとするホラーのを思い出した

>>373
いろいろ説あるよね
テレパシーネタもあるのか

>>374
そんな褒めんでも…てれる

>>377
落ち着け
姫子もやるから

投下すんぜ



『…』


何アレ…うっとおしい


笑えば、うっとおしい


『…』


うわ…泣いてるよ、引くわ


泣けば、引かれ


『…』


何マジになってんの?


怒れば笑われる


『…』


人形みたい


無表情でいればお人形


私はどんな表情でいればいいのだろうか?





「部長!先に上がります!」

「え…あっはい」

「だいぶ急いでおったの」

「きっとエロ本でも買いにいったんだじぇ!」

「優希!」

「…」



京太郎は久に一言断りを入れると返事も聞かずに飛び出していった。

和の剣幕に冗談だじぇっ…と優希は一言呟き麻雀卓に付いた。

咲は京太郎が帰った後も少しの間、扉を見つめている。


咲(もう大丈夫そうだね)


咲は少しだけ笑うと雑談している4人の仲間の下へと駆け寄った。







「先に上がります!」

「お疲れー」

「だいぶ急いでましたね」

「今日は特別な日そいけんね」

「特別な日?」

「文通相手から手紙が届く日やね」

「文通ですか?」

「…色々あってな」


哩は話を終えると外の景色を眺めた…

あの時を思い出す、あの時は一時的だが本当に大変だった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――



-姫子side-

「…ふふふ」


姫子は自室で手紙を広げている。

何年も文通を続けている相手からの手紙だ。

毎週交代で出し合っている手紙は今ではなくてはならないものだ。


姫子「…ぬっか」


胸の前で読み終えた手紙をぎゅっと抱きしめる。

読むたびに心がポカポカと暖かくなる。

よく笑顔が素敵と言われるけどそれはこの手紙の御蔭だろうと姫子は思っている。

姫子は暫くの間抱きしめボーと過ごす。この時間がたまらなく好きだった。


姫子「…手紙書かんと」


抱きしめていた手紙を大事に大事に保管すると机に向かう。

さて…何を書こうか?大好き(尊敬)な部長の事を書こうか?

それとも……ほら考えるだけで笑顔になってくる。


姫子「京太郎…好いとー」


自然とでた言葉は素直な感情の表れだった。

姫子は上機嫌に手紙を書いていった。


手紙を書き終わるとベッドへダイブする。

そうしていると次第にうとうととしてきた。

姫子はそれに抗わず、そのまま眠りに就いた。





鶴田 姫子にとって京太郎-手紙-は自分を構成する一部であり、人生そのものだ。

京太郎-手紙-がなければ今の自分も昔の自分も存在しないと考えている。



姫子は昔に虐められていた事がある。

小学校の時にクラスで一番人気のあった子(運動が得意でかっこよく、頭も良かった)に告白された。

それがイジメに繋がった…元々姫子は方言が強くそれも原因になったらしい。


姫子は子供の頃、野依理沙に憧れ麻雀を始める。

麻雀以外に興味がなかった姫子にとってその男子生徒は何の魅力も感じなかった。

その為、断ったのだがそれがいけなかったらしく女子生徒の怒りを買ってしまう。


曰く○○君の告白を断るなんて生意気な……との事だ。

正直今思っても身勝手だと思う。


告白を受けても妬みを受ける、断ってもコレだ。

姫子は最初から詰んでいたらしい。


様々な物を隠され、いたずら書きをされ、悪口を言われる……姫子の精神をガリガリと削っていく。

姫子だってそのままイジメを容認していた訳ではない。

様々な試みをしてはみた。





何をされても笑ってみた―――気持ち悪いと罵られた。




今度は泣いてみた―――引かれ面白がられるだけだ。




次は怒ってみる―――何怒ってるのと笑われた。




次第に姫子は表情を無くしていった。

どんな表情をしていても他人に消されていく。


表情が消えれば次は感情だ。

何をしていても何の感情も浮かばなくなる。

好きだった麻雀でさえ何も感じない…作業その物だった。





「気持ち悪りぃ」

「ほら何かしてみろよ!」


「…」


人気の無い神社の境内で姫子を数人の子供が取り囲んでいる。

直に触るのが嫌だと棒で突っつかれた。

それでも姫子は無表情でなされるがままだ。


姫子が視線を向ける先には告白してきた男子生徒も居る。

彼もイジメをしている1人だ。

助けもしない。


「次は……」


子供の1人が次は何をしようかと考え込んだ時だった。




『何してんの?』




あの時…あの場所で彼に会っていなければ自分は……





後ろから声が聞こえ皆が一斉に振り向く、姫子も人の隙間からその人の事を見れた。

声をかけた人物は何やらヒーローの仮面を被った子供だった。

自分も子供なのだが。


「何って……」


仮面を被った子に答えようとして詰まった。

イジメてるとは言えない。

結局の所、答えず追い払う事にした。


「うっせぇ関係ねぇだろ、あっちいけ」

「イジメ…?ふ~ん、だっさいね」


しっしと追い払おうとする少年を無視し仮面の子は姫子へと近づく。

あまりに自然に近づいて来たせいで子供達はポカーンとし行動が遅れた。


「だ、ださくないし」

「いやいや、だっせーじゃん」


男子生徒の1人の言葉をダサいと言って一刀両断した。

そんな彼の言動に怒りが沸いたのか1人の生徒が掴みかかろうとする。

だが仮面の子はそれを気にせず姫子の顔を覗いている。


姫子と仮面の子の目が合った。

姫子はその目を見て綺麗だなと思ったことを覚えている。

自分とは違う目をしている。


彼の目は未来を見ている。

彼の目は全てが楽しいと思っている目だ。

彼の目は………生きている目だ。




「おい!」

「はぁ~……」


暫く2人で見詰め合っていたのだが肩を掴まれ仮面の子はため息をついた。

邪魔するなよと言わんばかりの雰囲気をだしていた。


仮面の子は掴まれた手を自分の手で叩き落すとくるりと振り向いた。

そして少しばかり掴まえて来た生徒を軽く突き飛ばし距離を開けると彼の顔に持っていた゛水鉄砲 ″を当てる。


「わぷっ…何すん…ぶへ」


彼が喋ろうとするとその度に顔に水をかけられた。

その異様とも言える光景に他の子は怯え助けようとしない。


次第にそんな事を繰り返していると男子生徒が遂に耐え切れなくなって泣き出した。

そして……


「何泣いてるの?だっせ」


仮面の子が一言また言った。

男子生徒はそのまま泣きながら座り込んだ。

そんな男子に興味がなくなったのか仮面の子はまた姫子の目を見詰める。


「俺の名前は須賀 京太郎っていうんだ、君は?」

「鶴田……姫子ばい」


仮面の子-京太郎-に思わず自己紹介(方言つきの)をしてしまった。

京太郎は、ばい…?と呟いた。

方言をあまり聞いた事が無いのだろう。


「ばいだってさ、変な喋り方!」

「おかしいよね!」


京太郎の呟きに周りの子が囃し立てる。

京太郎をこちらに引き込むチャンスだと思ったのだろう…だが。




「なな、もっと喋ろうぜ?」

「……私に関わらなかで、須賀君も虐められったい」


姫子の言葉に周りの子はまた笑った。

京太郎を除いて。


「可愛い…」

「「「え?」」」


京太郎はそんな事を言った。

姫子はここで初めて表情を出した。

京太郎の言葉にきょとんとしてしまう。


「なんだ…可愛いじゃん」

「そ、そぎゃんこと」

「そぎゃん…?」

「そんなことって意味ばい」


京太郎は姫子の言葉に逐一反応し嬉しそうに目を輝かせる。

そんな京太郎に姫子も楽しくなってくる。

次第に笑いが漏れ笑顔になった。


その後、自分達を完全に無視している二人につまらなくなったのか京太郎を恐れたのかいじめっ子達は帰っていった。






「うん、笑って方がもっと可愛いな」

「あぅあぅ……」


あれからも2人はお喋りを続ける。

様々な事を話しお互いに笑い合う…とても楽しかった。


「でん…笑うと気持ち悪いって」

「センスがないんじゃね?可愛いのに」

「可愛い可愛い言わなかで」


京太郎の言葉に姫子は顔を赤くし長い袖で口元を隠す。

可愛いと言われる度に心がポカポカと暖かくなる。


その後も2人は夕方になるまで話し合った。

お互いのアレコレを喋り2人一緒に帰る。

こんなに楽しかったのはいつ以来だろうと思った。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――



でも…次に日になればまた虐めが始まる…そう思っていた。


「何してるんだ!!!」

「え?」


自分達の教室で何時も通りに姫子を虐めていた子達はいきなり怒鳴られ何事かと振り向く。

振り向くと入り口に先生が立っていた。

それも一番怖い先生だ。

今は職員会議で先生は殆どいないはずなのに…なぜ…


結局全員怒られ虐めが発覚してしまった。

先生は最後に保護者に連絡すると伝えると数人の子は震え泣いた。



教室で虐める事が出来なくなり数人の生徒も虐めなくなった。

それでもなくならない。

今度は一目のつかなさそうなところで虐められる……だけど。





「おい!」

「え?」


またしても邪魔が入る。

今度は上級生だった。

上級生に睨まれいじめっ子は恐縮してしまう。


「ほらあっちいけ!」


怒鳴られ蜘蛛の子を散らすかのように散っていく。

そんな様子にポカーんとしてしまった。


「…なして?」

「わぁ…本当だ!京太郎君の言う通りだ」

「わぷ」


呆然とする姫子を1人の上級生(女子)が抱きついてくる。

何が何やらわからない姫子だったが1つ気になる単語があった。


「京太郎?」

「おぅ!京太郎の奴に相談されてな」


姫子の呟きに男子生徒が答えた。

どうやら知り合いらしい。


「本当にコテコテの方言だね、哩ちゃんみたい!ねぇねぇ、麻雀できるって本当?部活に入らない?」

「困惑してるから離してやれよ」


次々に起こる不思議な現象に姫子の頭はパンク寸前だった。

落ち着いて話を聞いてみると京太郎の仕業らしい。


職員会議の途中なのに先生があそこに居たのも京太郎が連れ出してワザと見せた。

今回の上級生の件も京太郎が知り合いに頼んだらしい。

京太郎は顔が広いらしくかなりの人にこの事がバレているとか。


「あいつ顔広いからな…なんだろなあいつは」

「いじめっ子達が謝るのは時間の問題だろうね」


そういって上級生の2人は遠い目をした。

……京太郎とはどんな人物なのだろうか。




結局の所、いじめっ子達はすぐに泣きながら謝罪してきた。

あれから上級生に睨まれ、先生に睨まれ、下級生にも馬鹿にされる始末。

自分達の居場所がなくなり最後には耐え切れなくなったのだ。


次々に変わる景色に姫子は目を回しながら着いていくのが精一杯だった。

気づいたときには麻雀部に入り、自分と同じく方言を使う哩と出会い、京太郎の傍に居た。

虐めが無くなりクラスも変わり楽しい日々だけが残った。



京太郎が可愛いと言ってくれるから笑顔になる。


京太郎と少し喧嘩すれば怒り、泣いた。


喧嘩した後は仲直りをしてまた笑う。



そんな日々が続いていくと思ってた。




「えっ…引越し?」

「長野に転勤だってさ」


姫子が中学に上がる頃、京太郎が申し訳なさそうにそんな事を言った。

頭が真っ白になる。


「いや…いやいや!」


姫子は必死に京太郎に抱きつき泣いた。

京太郎は困ったように頭を掻いた。

暫くどう姫子を納得させるか考え1つ思いついた。


「手紙…」

「え?」

「手紙書くからさ…毎日とは行かないけど1週間に1度絶対に」


そう言って姫子の頭をポンポンと軽く叩き撫でた。


「電話じゃ駄目…?」

「姫子…毎日電話してきそうだし」


京太郎の苦笑に姫子はうっと言葉に詰まった。

確かに毎日電話しそうだ…否、絶対にすると自分でも判る。


「それにロマンチックじゃん」

「浪漫……判ったばい」


結局渋々ながら姫子が折れた。

このまま駄々を捏ねて京太郎を困らし嫌われたくないから。

その後、京太郎は春休みに入ると同時に居なくなった。



最初は不安だったがしっかりと手紙が届き安堵する。

それからずっと文通は途切れる事無く何年も続く。

これで繋がりが途切れる事はない…これからも繋がっていくとそう思っていた。




だがどうやら神様は意地悪らしい……その事件が起きたのは高校1年生の5月だった。

突如姫子が出した手紙を最後に文通が途切れた。


今日はこれでお終い

それじゃのー

乙です
京太郎まじ男前

なぜ、こんなにもおんなのこがかわいくかけるのか

あっ、乙です


昔は虐められてた子が今ではS寄りとか最高だよね

これはすばら

乙です

すばらっ...毎回続きが気になりすぎる
乙です

この焦らし上手・・・・(褒め言葉

乙です

今だから言うけどアリーデヴェルチじゃなくてアリーヴェデルチやで(小声)

焦らされてる(ビクンビクン

京太郎おっとこまえー

清澄高校麻雀部、須賀京太郎の水鉄砲をくらいやがれ!!


>>392 >>403
男前な人に憧れます
自分もこんな人になりたい(切実

>>395
女の子は可愛く!男はかっこよく!が心情です
悶えるような可愛さを書ける様になりたい

>>396
反動だね(決め付け
ちなみにSのSはサービスのS 相手に喜んでもらいたいってのがSです
相手が嫌がることをする人はSでなくただの嫌な人です

Mは真心のMだそうで……読んだ同人に書いてありました
なるほどと納得しましたね

>>397
ありがとう!すばらしいのを書いていきたい

>>398 >>401
乙ありんす!読んでくれてありがとう

>>399 >>400 >>403
うへへ…焦らします
時間がなく丁度いいところで切っているだけですけどね

>>402
マジで?
適当にそこら辺からコピーして張ったんだけど…
転職先が間違ってる模様、俺は悪くねぇ!

>>404
麻雀関係ないね!
実際やられたことあります(顔に連続鉄砲
遊んでいたときにしつこく責められイラっときたの覚えてます
ねぇどんな気持ち!を目の前でやられてる感じです

投下すんぜ 姫子編終わりやね!




「手紙届いたかな」


寮への帰り道、何時も通りの道を歩きながら姫子は上機嫌で歩いている。

何時も通りなら今日手紙が届いているはずだ。

買って来た新しい便箋が入った袋をぎゅっと抱くと自然と笑顔になった。


「あい…?」


寮に着きポストを開くも中には何も入っていない。

姫子は少し考え郵便が遅れてるのかと思うと、その日は少しばかり気落ちしながら自室へ戻る。

前にも郵便が遅れ2~3日程ズレた事があった、今回もそれだろうと思ったのだ。



-次の日-

寮に着くとすぐさまポストを覗いた。

残念ながら手紙は着ていない。



-更に次の日-

またまた覗くが着ていないようだ。

少しばかりもどかしさを覚えるも我慢する。

長年文通をしていればこういう事もあると納得させた。


-1週間後-


「なして…?」


姫子はポストの前で呟いた。

あれから1週間経っている。

もはや郵便の遅れなどではない……手紙が出されてないのだ。

姫子は足元からガラガラと崩れ落ちる音を聞いた。

感覚的にも谷底に投げ出されたようだ。


(何かあったと……そいとも飽きられたと?)


京太郎から嫌われた……?

飽きられたのか……?

それとも……それとも……京太郎身に何か……


姫子はそこまで考えると両腕で自分を抱きしめると震えた。

寒さのせいではない……想像しただけで怖くなった、恐怖して震えているのだ。


このまま届かないのだろうか?

空を見上げるが空は暗く曇り模様であった。



-6月-


6月が始まっても手紙は来ない。

残念ながら電話番号を知らない為、手紙でしか連絡手段がない。

だけど姫子はもう一度手紙を出そうとは思わなかった。


確かにもう一度出せば解決するだろう。

だが…もしも…もう一度出して返ってこなかったら。

そうなったら姫子は立ち直れない。

結果、姫子は何も出来ず(やらずに)日々を過ごしている。


姫子の顔から笑顔が消えた。

哩や友達は心配して姫子に声をかけるも姫子はぎこちなく笑うばかりだ。

そして……手紙が来ない事で姫子は日を置く事に少しずつ体調が悪くなっていく。


それが目に見えて判るようになったのは部活の時だった。



「ロォン!リーチ、タンヤオ、ドラ1赤ドラで……「まって」へ?」


部活の時に姫子は前に座っている煌に振り込んでしまった。

煌が元気良く点数宣告をしていると姫子が不思議そうにしながら待ったをかける。

そんな姫子に煌は勿論両隣の仁美や美子もなんだろうと顔を見合わせた。


「赤ドラってどこにあっと」

「へ?」


姫子は赤ドラがないと煌に言っている。

煌はそんな馬鹿なともう一度自分の牌を見て役を確認し姫子の河を見る。

確かに姫子が河に出した牌は赤ドラであった。

自分で出しときながらないとはどういうことだろうか。


「姫子が自分で出してるじゃないですか」

「ん~?」


煌の言葉に姫子は理解できないと眉をひそめた。

姫子の癖なのか長い袖を口元に持っていき口元を隠す。

その後少し考えると自分が出した牌をじっくりと眺めた。





「赤ドラそいぎなかよ?」


姫子はもう1度見るがやっぱり赤ドラではないと言った。

煌達は姫子がこういう事(勝負事)で誤魔化すような人物でない事を知っている。

もう一度姫子を見ると姫子は自分が出した牌を掴むとまじまじと見ている。

姫子はやっぱり首を傾げた。


「どげんした」


と…煌達が狐に包まれた様な表情をしていると近づいて来る人がいた。

その人を見て姫子は少しばかり嬉しそうにした。


「部長!」

「姫子…私は部長そいぎなかって」

「でん…部長は部長ですし」


どうやら姫子の中では哩はずっと部長らしい。

そんな姫子に哩は苦笑しつつも揉めている理由を聞き出す。

暫く4人の話を聞くと徐にハンカチを取り出した。


「姫子…こいは何色ばい」

「薄い青です」


姫子は答える。

哩のハンカチは確かに薄い青だ。

哩は少し考え何処かへ行くと直ぐに戻ってきた。


「こいは」

「緑」

「こいは」

「黒」


色々な物を見せその色を姫子に言わせた。

今の所なんの問題もないのだが……


「そいぎ…こいは…」

「白です」


姫子の言葉に哩達含め近くに居た人全員が顔を強張らせた。

哩はもう一度だけ姫子に確認すると顔を真っ青にさせる。

そんな哩を見て姫子は自分が間違っているのだと理解した。





「先生!」

「なんだ~?」


哩は鋭い声で他の子の指導をしていた先生に声をかける。

足早に近づくと事情を説明していく。

暫くすると先生は頷き外に出て行った。


「姫子行くぞ」

「……はい」


何処へ行くのかは姫子でさえ判りきっていた。

姫子はその日、病院に連れて行かれ検査をした。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――





「…」


寮の自分のベッドに姫子は倒れこむように入る。

病院での検査から今帰ってきたのだ。

結論から言えば姫子は色を判別できなくなっている。


目や脳に特に異常がないことから医者からはストレスによるものではないかと言われた。

原因は直ぐに判った、手紙が届かないことによるものだ。


取り合えず薬を貰い、様子を見るしかといわれ帰ってきた。


「京太郎…っ」


切なくなり、今一番会いたい人の名前を呼ぶが誰も答えない。

姫子は恐怖と不安で押しつぶされそうな中、自分のベッドの中で前の届いた手紙を手に握ると蹲るように丸まった。





-哩side-


「手紙はどうにか出来んのか」

「こっちが手紙ば出して確認しごとも…住所書いてあっ手紙ば姫子が渡そうとしなかんばい」


先生はそっかと一言呟き親御さんに知らせてくると行ってしまった。

そんな先生を見送りながら哩はため息をついた。

そしてどうするかと考える。


自分が手紙を書いてみてもいいのだが姫子は頑として手紙を哩に見せないのだ。

わざわざ金庫を買ってきて其処に手紙を入れている。

正直金庫を買ってきた時は哩も引いた。


電話をしようにも番号を知らない。

姫子自身知らないのに哩が知っているわけがない。

哩はため息をつき空を眺めた。

空からはポツリポツリと雨が降って来る。




-姫子side-


あれからも姫子の体調は悪くなるばかりだ。

次第に認識できる色は減っていき今では白と黒だけの世界になっている。

大切なものを失うと世界に色がなくなるとか漫画などでは表現されているが実際にあるのだと姫子は思った。

今現在、姫子の世界は色を失い、ただただ日柄をボーと過ごしているだけだった。

殆ど死んでいるような状態である。


「……」


あれから2ヶ月経ち学校は夏休みへと入る。

それに伴い姫子も自宅へと戻ってきたのだが何をするでもなくベッドに横たわる。

何時も通りに横になっていると外から騒がしい音が聞こえてきた。


開いた窓の外からは人々の楽しげな笑い声に太鼓を叩く音、

カランコロンと鳴る下駄の音、近くで祭りがやっている。


前までなら哩や友達と綺麗な浴衣を着て楽しくお祭りに参加していたはずだ。

だが今の姫子にはそれも楽しくない、ただただ苦痛な行事だった。





「…」


何をするでもなくベッドに横になりながら天井を見ていると携帯が鳴った。

姫子は作業のように携帯を取ると内容を確認する。

見ると哩からメールが届いた。


用件は19時に○×前にとの事だ。

お祭りへのお誘いだろう。

行く気がしなかった姫子だったが哩からの誘いなので重たい体を動かし行くことにする。

少し会ってすぐに帰ってこようと思いながら。


目的地まで履いてきた下駄をカランコロンと鳴らしながら姫子は無表情で歩く。

周りには楽しげに歩く人々が居るが姫子とは正反対だ。




ふと姫子は足を止めた。

止めた際に母親に無理矢理着せられた着物がふわりと揺れた。

立ち止まり視線を向ける先にはお面屋が有った。


ふと脳裏に京太郎と初めて会った時を思い出した。

あの時は京太郎は仮面を被っていた。

お面はあるだろうかと見るが残念ながら置いていない。

古い物だから置いているほうが可笑しいのだが、姫子は興味をなくすとまた歩き出す。





心なしか先ほどより足取りは重くなりカランコロンと軽快になる下駄の音が鬱々しく聞こえてきた。







それから暫く歩き目的地に辿り着く、辺りを見渡すが哩はまだ着てないらしい。

しょうがなくその場でボーとしながら待ち続ける。


そうしていると姫子の目に楽しそうにしている人々が映る。

来るまでの間、意図して見ていなかったのだが……此処に来て見てしまった。


子供連れの夫婦、楽しげに一緒に歩く友達、笑って商売をしている店の主人

辺りを真面目な顔で警戒するも口元が緩んでいる警官、そして………最後に


腕を組みながら幸せそうに歩くカップル。





『この前はこういった事があってさ』


姫子「…京太郎」


『それでずっと本を読んでいるから少し無理矢理にだけど…』


姫子「っ…京太郎」


『姫子はまだ麻雀続けているのか?俺は…』


姫子「――京太郎っ!」





楽しむ人々に刺激されたのか次々に手紙の内容が思い返される。

楽しかった事、怒った事、悲しかった事、辛かった事、嬉しかった事

全てを共有してきたのだ。

思い返し京太郎の名前を呼ぶたびに顔が歪み涙が出てくる。


姫子「辛か…辛か!」


最後にはその場で蹲り耳を塞ぐ、全てを拒否するかように…


姫子(来なければ良かった…っ!)


目からは涙がボロボロこぼれ地面を雨のように濡らした。





全てを拒み蹲っていると目の前にボロボロのシューズが現れた。

色を失っている姫子でさえ容易に汚れていることが判るぐらいだ。



姫子が顔を上げずにいると何やらハンカチを差し出された。

蹲って泣いている姫子を心配してのことだろう。

だが今の姫子にとって余計なお世話だった。



姫子は勢い良く立ち上がると睨んだ。




『邪魔しなかで!!関わらなかで!!!余計なお世話たい!!』




大きな声で怒鳴る。

怒鳴った後、やってしまったと思ったがもうどうでも良くなった。

暫く目をギュっと強く瞑るとそのまま体を震わしながら固まった。



「遅くなっちまったな」

「……え?」



ポンと頭に手が載せられ撫でられた。

いきなりの事で姫子は驚き目を開ける。

涙で視界が悪く先ほどはよく見ていなかったが涙を拭いて改めて相手を見た。



目の前の人物は180近くと背が高かく。

そして何よりも……-一昔のヒーローの仮面-を被っている。

仮面の横からは見覚えのある金色の髪が見えた。





「っ…」



姫子は理解しまた泣いた、今度のは悲しくて泣いているのでない……嬉しいのだ。

彼はお面を頭のほうへとズラすと顔を見せた。

そして姫子に向かって手を差し出した。




『ごめんな、大分遅くなっちまった』


『ずっとずっと………会いたかった』




姫子は手を取らずそのまま抱き付く。

-京太郎-はその行為に少し驚くもすぐに抱き返してくれた。

そして京太郎は口を姫子の耳の傍に持っていくと呟くようにいった。



『俺は姫子の事を――――』


『私も……私も!』




遠くで花火が花開き祝福するように音を鳴り響かせる。

空に浮かぶ大きな花の下で二つの影は一つに重なった。



姫子の視線の先、京太郎の後ろで大きく咲く花火は綺麗な赤色をしている。

姫子の世界に色が戻った。



<手紙シリーズ姫子編 カンッ>





                  ,..ィ''":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:``丶、
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     /:./.:.:.:.:.:.:./   Ⅵ ∥(::::(,八∠ -‐''" //~`ト、j==
     ∥{:.{:.:.:.:.:.:./ヽ_   -气,,,少       _メ   j:./:.:.:.:ト、
    { い:.:{:.:/:.:.:.:.:八               斧f,汽Xノ/:.:.:.:.:l:.ヘ
       乂从ト:.:.:.:.:.:.:.::}            〈(;;ン゙ ///.:.:.:.:.:.:lヽ:゙、
           \∧:./      r-   ` `Y/ノ/ l.:.:.:.:.:.:l }:.}
             / ̄>x \   乂 _)>    /:.:.:.:/  i.:.:.:.:.:.:l ノ:ノ
          /-―-、  ` \ __  /:./:./   i:.:.:.:.:.:l/
        /       ヽ   メ、ノ:.:_:./ノ    }:.:.j:.:.l
       \/         Y O {/メ ̄     、_ /:.ノ }.:j
        ∨           l\ノ\}         ̄  ノノ
          ∨         ヾ::L             /
            ∨            〈::::::}
          ∨      / /  ヾ┤
              ∨ミx/ //    ヾx、

姫子編はこれで終わり!
次は照編です、修羅場ですなー

最近、無人島イベント考える⇒お手紙シリーズ書く⇒途中モンハンを書く⇒エンドレス
な自分集中力ないですなー


おっとっと忘れてたー
それじゃのー

乙~

乙です
京太郎から手紙が来なかった事について何も触れられて無いんですが…

>>419
アフターでやります
入れるとテンポ悪くなるなー思いまして

乙です
作中の京太郎は中3だろうから時期的にハンドで何かあったのかな?

おつー
届かなかった理由はむこうで書いてあったからいいけど、個人的には間の数ヵ月を掘り起こしてほしいかなーなんて(チラッ

姫子の体調が悪く⇒京太郎サイド⇒更に体調悪く⇒京太郎サイド⇒京太郎急げ!
って出来たな……今になって思いつくとか地味にへこむな
書き直したいけど編集機能や自分のレスを除去できんのが辛いね

かわいいのよー

悩むぐらいなら、思いきって書き直そう!
ぐだぐだとごめんなさい
ちょっと上の書き直します。
見なかったことにして下さい。

乙です

おつー
京ちゃんサイドの話すげー気になるわ

これで特に理由なかったら、京太郎を……

犯すか

きゅふふ

ちょっとカンちゃん湧いてんよ~(指摘)

乙です

でんがなまんがなレベルのガバガバ方言に草

まあしゃーない
でももっとわざとらしい方言のSSもあるからセーフ

>>433
出来ればどこをどうすればいいよって教えていただけたらありがたいです

分からん人間には方言は全く分からんしなぁ
ネイティブには気になるのかもしれんが他地方の人間は全く気にならん

でも分かる人は指摘するならちゃんとしてあげた方がいいと思うわ
今後のためにも

えーとね
>『邪魔しなかで!!関わらなかで!!!余計なお世話たい!!』
「か」はほとんど語尾以外で使わない
~ない(=形容詞じゃない「ない」)は~んになるので邪魔せんで、関わらんで、が正解
余計なお世話たい!は完璧

>「こっちが手紙ば出して確認しごとも…住所書いてあっ手紙ば姫子が渡そうとしなかんばい」
これ難しい。こっちが手紙を出そうとしても、かな
それだと、こっちが手紙ば出そうとしても、でいいですね
後半はしなかんばいだけ誤り。「渡そうとせんけん」(渡そうとしないから)ぐらいが正しいかもしれないけど、先生に対して使えるほどフォーマルな方言じゃないからなあ

>「赤ドラそいぎなかよ?」=「赤ドラそれないよ?」
ここでそいぎは不自然かな。赤ドラなんてなかよ?ぐらいでおk

>「可愛い可愛い言わなかで」
言わんで、ですね。以降ない関係省略

>「でん…笑うと気持ち悪いって」
でも=ばってん。

正直な感想としては、ホントに九州住んだことないの?ってぐらい合ってる比率が高い

>>1じゃないけど普通にためになったわ

>>438
おお~ありがたい!
タメになります!

九州には住んだ事もいったこともないです。ずっと東北ですな。
姫子のセリフを全部書き出したりWIKI見たりで独学です。
(御蔭で咲日和の新道寺編だけ何十回と読み直しました、姫子可愛いです)
これから投下するのも間違えてるかも…ごめんな

これからも精進します。

投下します
といっても昨日のに京太郎sideを突っ込んだだけですが


それは偶然が生んだ事故だった。

手紙を届けている配達員が間違った住所へと一緒に放り込んでしまった。

故に……姫子の手紙は京太郎に届かない。


-姫子side-


「手紙届いたかな」


寮への帰り道、何時も通りの道を歩きながら姫子は上機嫌で歩いている。

何時も通りなら今日手紙が届いているはずだ。

買って来た新しい便箋が入った袋をぎゅっと抱くと自然と笑顔になった。


「あい…?」


寮に着きポストを開くも中には何も入っていない。

姫子は少し考え郵便が遅れてるのかと思うと、その日は少しばかり気落ちしながら自室へ戻る。

前にも郵便が遅れ2~3日程ズレた事があった、今回もそれだろうと思ったのだ。



-次の日-

寮に着くとすぐさまポストを覗いた。

残念ながら手紙は着ていない。



-更に次の日-

またまた覗くが着ていないようだ。

少しばかりもどかしさを覚えるも我慢する。

長年文通をしていればこういう事もあると納得させた。


-1週間後-


「なして…?」


姫子はポストの前で呟いた。

あれから1週間経っている。

もはや郵便の遅れなどではない……手紙が出されてないのだ。

姫子は足元からガラガラと崩れ落ちる音を聞いた。

感覚的にも谷底に投げ出されたようだ。


(何かあったと……そいとも飽きられたと?)


京太郎から嫌われた……?

飽きられたのか……?

それとも……それとも……京太郎身に何か……


姫子はそこまで考えると両腕で自分を抱きしめると震えた。

寒さのせいではない……想像しただけで怖くなった、恐怖して震えているのだ。


このまま届かないのだろうか?

空を見上げるが空は暗く曇り模様であった。



-京太郎side-


「…」

「京太郎!危ない!」

「へ……?へぶっす」


京太郎がボーと突っ立っていると突如鋭い声が聞こえる。

それに対して振り向くと目の前にはボールが迫っていた。

考え事をしていた京太郎は避けきれずに顔面でそれを受けた。


「大丈夫か!」

「いてて……大丈夫だ、問題ない」


駆け寄ってきた部活の仲間(嫁田)が心配して声をかけてきた。

そんな嫁田に京太郎は顔を押さえながら起き上がる。


「最近ボーとしすぎじゃね、大会もあるし頼むぜ?゛エース ″」

「おぅ、今度こそ全国行きたいしな」


そういって2人は拳をコツンと合わせた。

嫁田はそれじゃ!と言って練習に戻っていった。

京太郎は空を見上げ先ほど考えていた事を思い出す。


(まだ手紙が届かない……姫子になにかあったのか?それとも……)


京太郎が見上げた空は京太郎の心の様な曇り空だった。




-1週間後-


「京太郎の奴、練習しすぎじゃね?」

「確かにな」


そんな話をしている2人の先には未だに体を動かし練習をしている京太郎の姿があった。

最初は全国へ向けて頑張ってるぐらいしか思っていなかったのだが…明らかにオーバーワークだ。


「俺達は弱小だしなー」

「まぁ…京太郎だけが頼りだしな」


2人は顔を見合わせるとため息をついた。


「もう少しやっていくか?」

「そうだな、京太郎だけに負担をかける訳にはいかないな」


そう言って他の部員を集め練習を残ってやることにした。


-2週間後-


「最近無理しすぎじゃない?」

「……大会近いしな」


咲に帰り道そんな事を言われた。

京太郎は感情の無い声でそれに答える。

そんな京太郎の答えに咲は少しばかりカチンと来た。


「京ちゃんって怖がりだよね」

「何を……」


咲の言葉に京太郎は振り向いた。

行き成り何を言い出すのだと言わんばかりに睨む。


「だって…自分から出せば全て解決する事じゃない」

「それは……」


手紙の事を言われているのだと気づき言葉に詰まった。

咲の言うとおりだ、確かに自分で出せば解決するのだ……だがそれが出来ない。


「話を聞いていると鶴田さんが京ちゃんに依存しているように聞こえるけど……逆だよね?」

「…」


京太郎は咲の真剣な声に……表情に何も言えない。

そうだ……姫子が俺に依存しているのではない。


「京ちゃんが鶴田さんに依存している……そうでしょ?」


咲の言葉に京太郎は数秒固まった後、空を見上げた。

空は既に暗くなり始めている、間も無く夜がやってくる。


「今だって不安で不安で堪らないから部活に集中してるだけ……」

「…」

「手紙を出して確認するのが怖いから……今の関係が変わるのが怖いから」

「……」

「嫌われるのが怖い、自分の事ばかり」

「そんな事ないだろ……」

「手紙が届かない原因が鶴田さんに無いとしたら?」

「え?」


咲の言葉に京太郎は変な声をだす。

そんな事考えた事もなかった。

ずっと姫子に何かあったのだと……自分自身に何か問題があったのだと思っていた。


「鶴田さんは手紙を出したのに何かの手違いで届かなくなった」
「それだと……今の鶴田さんは京ちゃんと同じ気持ちだろうね」


咲はそれだけ言うとおやすみと言って自分の家に入っていく。

京太郎は何も言えずそのまま見送った。



-6月-


6月が始まっても手紙は来ない。

残念ながら電話番号を知らない為、手紙でしか連絡手段がない。

だけど姫子はもう一度手紙を出そうとは思わなかった。


確かにもう一度出せば解決するだろう。

だが…もしも…もう一度出して返ってこなかったら。

そうなったら姫子は立ち直れない。

結果、姫子は何も出来ず(やらずに)日々を過ごしている。


姫子の顔から笑顔が消えた。

哩や友達は心配して姫子に声をかけるも姫子はぎこちなく笑うばかりだ。

そして……手紙が来ない事で姫子は日を置く事に少しずつ体調が悪くなっていく。


それが目に見えるようになったのは部活の時だった。



「ロォン!リーチ、タンヤオ、ドラ1赤ドラで……「まって」へ?」


部活の時に姫子は前に座っている煌に振り込んでしまった。

煌が元気良く点数宣告をしていると姫子が不思議そうにしながら待ったをかける。

そんな姫子に煌は勿論両隣の仁美や美子もなんだろうと顔を見合わせた。


「赤ドラってどこにあっと」

「へ?」


姫子は赤ドラがないと煌に言っている。

煌はそんな馬鹿なともう一度自分の牌を見て役を確認し姫子の河を見る。

確かに姫子が河に出した牌は赤ドラであった。

自分で出しときながらないとはどういうことだろうか。




「姫子さんが自分で出してるじゃないですか」

「ん~?」


煌の言葉に姫子は理解できないと眉を下げた。

姫子の癖なのか長い袖を口元に持っていき口元を隠す。

その後少し考えると自分が出した牌をじっくりと眺めた。


「赤ドラそれないよ?」


姫子はもう1度見るがやっぱり赤ドラではないと言った。

煌達は姫子がこういう事(勝負事)で誤魔化すような人物でない事を知っている。

もう一度姫子を見ると姫子は自分が出した牌を掴むとまじまじと見ている。

姫子はやっぱり首を傾げた。


「どげんした」


と…煌達が狐に包まれた様な表情をしていると近づいて来る人がいた。

その人を見て姫子は少しばかり嬉しそうにした。


「部長!」

「姫子…私は部長そいぎなかって」

「ばってん…部長は部長ですし」


どうやら姫子の中では哩はずっと部長らしい。

そんな姫子に哩は苦笑しつつも揉めている理由を聞き出す。

暫く4人の話を聞くと徐にハンカチを取り出した。


「姫子…こいは何色ばい」

「薄い青です」


姫子は答える。

哩のハンカチは確かに薄い青だ。

哩は少し考え少しだけ何処かへ行くと直ぐに戻ってきた。





「こいは」

「緑」

「こいは」

「黒」


色々な物を見せその色を姫子に言わせた。

今の所なんの問題もないのだが……


「そいぎ…こいは…」

「白です」


姫子の言葉に哩達含め近くに居た人全員が顔を強張らせた。

哩はもう一度だけ姫子に確認すると顔を真っ青にさせる。

そんな哩を見て姫子は自分が間違っているのだと理解した。


「先生!」

「なんだ~?」


哩は鋭い声で他の子の指導をしていた先生に声をかける。

足早に近づくと事情を説明していく。

暫くすると先生は頷き外に出て行った。


「姫子行くぞ」

「……はい」


何処へ行くのかは姫子でさえ判りきっていた。

姫子はその日、病院に連れて行かれ検査をした。




「…」


寮の自分のベッドに姫子は倒れこむように入る。

病院での検査から今帰ってきたのだ。

結論から言えば姫子は色を判別できなくなっている。


目や脳に特に異常がないことから医者からはストレスによるものではないかと言われた。

原因は直ぐに判った、手紙が届かないことによるものだ。


取り合えず薬を貰い、様子を見るしかといわれ帰ってきた。


「京太郎…っ」


切なくなり、今一番会いたい人の名前を呼ぶが誰も答えない。

姫子は恐怖と不安で押しつぶされそうな中自分のベッドの中で蹲るように丸まった。




-哩side-


「手紙はどうにか出来んのか」

「こっちが手紙ば出そうとしても…住所書いてあっ手紙ば姫子が渡そうとせんけん」


先生はそっかと一言呟き親御さんに知らせてくると行ってしまった。

そんな先生を見送りながら哩はため息をついた。

そしてどうするかと考える。


自分が手紙を書いてみてもいいのだが姫子は頑として手紙を哩に見せないのだ。

わざわざ金庫を買ってきて其処に手紙を入れている。

正直金庫を買ってきた時は哩も引いた。


電話をしようにも番号を知らない。

姫子自身知らないのに哩が知っているわけがない。

哩はため息をつき空を眺めた。

空からはポツリポツリと雨が降って来る。



-京太郎side-


あれからも京太郎は勇気が出ない。

ただただ部活に集中してがむしゃらに練習を繰り返す。

そして……そんな京太郎に不幸が訪れた。


ハンドボール大会、県大会決勝戦。

既に戦いは後半戦に突入している。

点数的にはこちらが押しておりこのまま行けば勝てるだろう。


「京太郎!」

「おぅ!」


仲間からボールを受け取り京太郎は突っ込んでいく。

様々な妨害を全て避け、キーパーと一体一になる。

京太郎は最後だと言わんばかりに飛びボールを構えると思いっきり投げた。


「っがぁ!?」


投げた瞬間に肩に今まで感じた事がない痛みが走り地面に倒れる。

あまりの痛みに肩を押さえ京太郎は地面に蹲る。


京太郎の意識が暗い底に落ちていく…最後に聞こえたのはホイッスルの音と心配する仲間の声だった。





目が覚めたときに見たのは白い白い天井だった。



「起きたんだ」

「咲か?」


隣から声が聞こえてくる。

京太郎はボーとしながら隣を見た。

隣には咲が座っておりこちらを見ていた。


「俺は……確か……っ!」


手を動かし頭に置こうとすると痛みが走った。

それ以上に手も動かなかった。


「駄目だよ、肩壊れてるんだから」

「肩が……?」


京太郎は咲の言葉に唖然とした。

そうだ…俺は大会で…


「大会は!大会はどうなった!」

「……」


咲は京太郎の言葉に目を伏せる。

京太郎にはそれだけで判った……負けたのだ。


京太郎達のチームは特別強いわけじゃない、むしろ弱い分類だ。

人気なサッカーや野球などに人が取られ人が少ない。

それでも勝って来れたのは京太郎が居たからだ。


京太郎は運動が得意という事もありすぐさま頭角を表し皆を引っ張って来た。

だから何とか勝てていた。

だがその中心である京太郎が退場したら……?

結果は判り切っていた。




「それじゃ……私は帰るね?」

「……おぅ」


暫くするとそう言って咲は名残惜しそうに帰っていく。

もう少し居たかったのだが残念ながら外は既に真っ暗だ。

中学生の咲はこれ以上ここには居れなかった。


京太郎は1人になりボーと天井を見続ける。


俺が勇気を出して確認していれば―――


俺がしっかりとしていれば―――


俺が俺が―――――――――――――――


次第に目が涙で見えなくなっていく。


あぁ……姫子に会いたい、いつも勇気をくれたあの子に……


京太郎は涙を流しながらいつの間にか眠りに就いていた。

ただひたすら後悔だけが残る最後だった。





-姫子side-


「姫子……?」

「…部長」


朝哩が起きると何やらベッドの上で姫子がボーとしている。

心配になり声をかけると姫子と目が合う。

姫子の目は驚きと絶望を宿していた。


「どげんした」

「色……無くないました」


哩は姫子の言葉に暫く唖然とした。

次第に理解し慌て始める。


「っ……」

「うっ……」


哩が慌てる中、姫子は手で口元を押さえた。

一度に色を失い姫子の世界は白と黒だけになった為、頭が追いつかず気持ち悪くなったのだ。


その後、姫子は慣れるまでの目を閉じ暫くの間生活をする。

距離感も掴めずまともに歩けもしない。

日々体調が悪くなっていく自分に恐怖を感じる。


あぁ……京太郎に会いたい、いつも寂しさを埋めてくれたあの人に……


姫子は動く事もできずにベッドに横になり眠りに就いた。

恐怖と不安にまみれた生活の始まりだった。







-京太郎side-


「はぁ~……」


あれから時間が経ち夏休み入った。

病室に仲間が次々に押し寄せ京太郎に謝罪をする。

悪いのは俺なのにと思う反面、少しだけ楽になった。


今京太郎は自室のベッドで横になっている。

あれからリハビリも少しずつ初め今は病院から自宅へと戻ってきている。

手紙はまだ届かない。


(…姫子)


京太郎にとって姫子は勇気の象徴だった。

いつも隣で笑っていてくれたから…あの笑顔があったから頑張れた。

姫子を助けたときもそうだ。


京太郎は前から姫子を知っていた。

一年生の時、転び痛みで泣いているときに姫子に助けてもらったことがある。

その時の姫子の笑顔が忘れられない。


人脈を築き上げたのもそれが原因だったりする。

もう1度姫子と会話がしたい…でも臆病な京太郎は勇気がなく姫子に話しかけれなかった。

だから練習と言わんばかりに姫子以外の人とがむしゃらに仲良くなっていった。


虐められている所を助ける時だって本当は震えていたのだ。

強張った情けない顔を隠す為に仮面を被り必死に頑張った。


京太郎には勇気が足りない、あと一押しが必要だった。




-咲side-


「う~ん……」


咲は台所に立ち腐れ縁の彼の事を考える。

どうにかして勇気を出してほしいのだが困った事に出させる方法が思いつかない。


「う~ん……」

「鍋焦がすなよ」


考え事をしながら鍋をぐるぐる回す娘を見て界は冷や汗を流す。

彼は料理が出来ない為、咲が料理に失敗するとお昼ご飯がなくなってしまうのだ。

咲は父親の言葉に答えるも未だに上の空だ。


「何に悩んでいるんだ?」

「京ちゃんの事…」


界は京ちゃんと呟き少し考え思い出す。

そういえば……


「そうだった…忘れてた!」

「なにが?」


何やら界が思い出したのか机の中を漁る。

暫くすると目的の物を見つけたのかそれを咲に見せた。

咲に渡されたのは手紙だった。


名前の所には鶴田姫子と書かれ送り先は須賀京太郎となっている。


「……これどうしたの?」

「結構前に間違って届いてな、知らない間柄でもないから後で渡そうと思ってて」

「ふ~ん……忘れてたんだ」

「あっはっは!スマンスマン!渡しといてくれ」


界は自分の娘の声が冷たくなったのに気づかず笑った。

咲はそんな界を見て一言言った。


「お父さん…手紙が届いた日から今日までの期間と同じ間ご飯抜き」

「……え?」


界は何を言ってるのか理解できず呆然とした。

咲はそんな父親を置いて手紙を持ち駆け出す。

向かう先は勿論、手間がかかる腐れ縁の彼のところだ。




-京太郎side-


「……誰だよ、さっきからチャイム連打している奴」


京太郎はベッドからのそりと起き上がると京太郎はだるそうに玄関に向かった。

ドアをガチャリと開け外に居る人を確認する。


「どちらs……「京ちゃん!!!」…おおぅ」


ポンコツな友達が何やら必死な形相でこちらを見ていた。

あまりな迫力に京太郎は少し後ろに下がる。


「…ど、どうした」

「これ!兎に角コレ!受け取ってこれ!」


何やら咲が必死に京太郎に渡してくる。

それを京太郎は訝しげに見て受け取った。

受け取った瞬間、京太郎は思考が停止した。


「え?え?」

「やっぱり出してたんだよ!鶴田さんは!!」


京太郎はすぐに手紙を開けると中身を確認した。

確かに姫子の字だ……。


「京ちゃん!どうするの」

「……」


咲が京太郎を見つめる。

京太郎にどうするかを聞いてくる。


京太郎の脳裏に泣いている姫子の顔が思い浮かんだ。

どうするか…?そんなの決まっていた。




京太郎はすぐに部屋に戻ると準備を始める。

3分ほど経つと京太郎が玄関から荷物を持って飛び出した。


「きょ、京ちゃん?」

「姫子に会いに行って来る!」


そう言って京太郎は駆けだそうとする。

そんな京太郎を咲は腰にしがみ付き抑えた。


「会いに行くって!どうやって!京ちゃん中学生でしょ」

「関係あるか!今すぐ行くんだ!!!」


咲は別の意味で頭が痛くなる。

コレまでの数ヶ月はなんだったのだと言わんばかりの暴走だ。


「離せ~~~!!!」

「落ち着いて!!」

「なんだこれ」


アイスを食いながら京太郎の家に向かっていた嫁田は目の前の光景にそんな感想を抱いた。


「なるほどな」

「離せ!」

「ヤダ!嫁田君も手伝って!」


咲から理由を聞いた嫁田は少しばかり呆れた。

前までうじうじと悩んでいた癖に姫子の事になるとこれなのだ。

心配して損したとさえ思えてくる。


「まぁ…いいや丁度いいし、ほいこれ」

「なんだこれ」


京太郎は嫁田から何やら封筒を受け取る。

中身が気になりすぐさま開ける。


界さん・・・



「躊躇ねーな……」

「……チケット?」

「そそ、佐賀行きのな」


京太郎と咲は目を丸くし驚く。

嫁田はそんな2人に苦笑した。


「どうして……」

「皆からカンパを募ってなお前へのお礼だ」

「だって俺は…決勝で」

「俺達、弱小があそこまでいけたのはお前の御蔭だぜ?」
「皆感謝すれど恨みなんかないさ、゛最高の思い出をありがとう! ″だとよ」

「っ……」

「おいおい、ここで泣くなよ、泣いている暇なんてないだろ」


嫁田の言葉に京太郎は袖で顔を拭いた。

涙を拭いた京太郎の眼は力強く真っ直ぐ見据えている。


「咲ちゃんも離してやれ」

「でもでも!」


咲は涙目になりながら京太郎と嫁田の間に視線を彷徨わせた。

心配なのだ中学生の京太郎が1人で行くのが。


「大丈夫だって…な!」

「………うん」

「惚気話、期待してるぜ?」

「おぅ!!」


咲から解放され京太郎は嫁田の問いかけに答え駆け出した。

そんな京太郎を2人は眩しそうに見送る。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――




-哩side-


「ふぅ~……」


哩はようやく安堵した。

友達を駆け巡り京太郎の家の電話番号を知っている人を見つけることが出来たのだ。

これで連絡が取れる。


哩は祭りで賑わっている様子を見ながら少しだけ笑った。

聞いた結果どうなるかわからないがきっといい方向へ進む。

そう願いつつ、哩は電話をかける。


暫くすると電話が繋がった。

すぐさま挨拶をすると京太郎の事を聞く。

だが……帰ってきたのは予想外の言葉だった。


「へ……居ない?」

「いたぁぁぁぁぁぁ!!!!」


電話で聞いたら京太郎は居ないと言われた。

そんな哩の後ろから声が聞こえた。誰かが騒いでるらしい。

少しばかり迷惑に思いながらそちらへと視線を向けた。

哩は別の意味でまた思考が停止した。


「………何しとると」

「姫子は何処ですか!!」


会話にならなかった。



-姫子side-


あれからも姫子の体調は悪くなるばかりだ。

次第に認識できる色は減っていき今では白と黒だけの世界になっている。

大切なものを失うと世界に色がなくなるとか漫画などでは表現されているが実際にあるのだと姫子は思った。

今現在姫子の世界は色を失い、ただただ日柄をボーと過ごしているだけだった。

殆ど死んでいるような状態である。


「……」


あれから2ヶ月経ち学校は夏休みへと入る。

それに伴い姫子も自宅へと戻ってきたのだが何をするでもなくベッドに横たわる。

何時も通りに横になっていると外から騒がしい音が聞こえてきた。


開いた窓の外からは人々の楽しげな笑い声に太鼓を叩く音、

カランコロンと鳴る下駄の音、近くで祭りがやっている。


前までなら哩や友達と綺麗な浴衣を着て楽しくお祭りに参加していたはずだ。

だが今の姫子にはそれも楽しくない、ただただ苦痛なだけだった。


「…」


何をするでもなくベッドに横になりながら天井を見ていると携帯が鳴った。

姫子は作業のように携帯を取ると内容を確認する。

見ると哩からメールが届いた。


用件は19時に○×前にとの事だ。

お祭りへのお誘いだろう。

行く気がしなかった姫子だったが哩からの誘いなので重たい体を動かし行くことにする。

少し会ってすぐに帰ってこようと思いながら。


目的地まで履いてきた下駄をカランコロンと鳴らしながら姫子は無表情で歩く。

周りには楽しげに歩く人々が居るが姫子とは正反対だ。


ふと姫子は足を止めた。

止めた際に母親に無理矢理着せられた着物がふわりと揺れた。

立ち止まり視線を向ける先にはお面屋が有った。


ふと脳裏に京太郎と初めて会った時を思い出した。

あの時は京太郎は仮面を被っていた。

お面はあるだろうかと見るが残念ながら置いていない。

古い物だから置いているほうが可笑しいのだが、姫子は興味をなくすとまた歩き出す。


心なしか先ほどより足取りは重くなりカランコロンと軽快になる下駄の音が鬱々しく聞こえてきた。




それから暫く歩き目的地に辿り着く、辺りを見渡すが哩はまだ着てないらしい。

しょうがなくその場でボーとしながら待ち続ける。


そうしていると姫子の目に楽しそうにしている人々が映る。

来るまでの間、意図して見ていなかったのだが……此処に来て見てしまった。


子供連れの夫婦、楽しげに一緒に歩く友達、笑って商売をしている店の主人

辺りを真面目な顔で警戒するも口元が緩んでいる警官、そして………最後に


腕を組みながら幸せそうに歩くカップル。


『この前はこういった事があってさ』


姫子「…京太郎」


『それでずっと本を読んでいるから少し無理矢理にだけど…』


姫子「っ…京太郎」


『姫子は趣味とかあるのか?俺は…』


姫子「――京太郎っ!」


楽しむ人々に刺激されたのか次々に手紙の内容が思い返される。

楽しかった事、怒った事、悲しかった事、辛かった事、嬉しかった事

全てを共有してきたのだ。

思い返し京太郎の名前を呼ぶたびに顔が歪み涙が出てくる。


姫子「辛か…辛か!」


最後にはその場で蹲り耳を塞ぐ、全てを拒否するかように…


姫子(来なければ良かった…っ!)


目からは涙がボロボロこぼれ地面を雨のように濡らした。

全てを拒み蹲っていると目の前にボロボロのシューズが現れた。

色を失っている姫子でさえ容易に汚れていることが判るぐらいだ。


姫子が顔を上げずにいると何やらハンカチを差し出された。

蹲って泣いている姫子を心配してのことだろう。

だが今の姫子にとって余計なお世話だった。




姫子は勢い良く立ち上がると睨んだ。


『邪魔せんで!関わらんで!!余計なお世話たい!!!』


大きな声で怒鳴る。

怒鳴った後、やってしまったと思ったがもうどうでも良くなった。

暫く目をギュっと強く瞑るとそのまま体を震わしながら固まった。


「遅くなっちまったな」

「……え?」


ポンと頭に手が載せられ撫でられた。

いきなりの事で姫子は驚き目を開ける。

そして改めて相手を見た。


目の前の人物は180近くと背が高かく。

そして何よりも……-一昔のヒーローの仮面-を被っている。

仮面の横からは見覚えのある金色の髪が見えた。


「っ…」


姫子は理解しまた泣いた、今度のは悲しくて泣いているのでない……嬉しいのだ。

彼はお面を頭のほうへとズラすと顔を見せた。

そして姫子に向かって手を差し出した。


『ごめんな、大分遅くなっちまった』

『ずっとずっと………会いたかった』


姫子は手を取らずそのまま抱き付く。

-京太郎-はその行為に少し驚くもすぐに抱き返してくれた。

そして京太郎は口を姫子の耳の傍に持っていくと呟くようにいった。


『俺は姫子の事を――――』

『私も……私も!』


遠くで花火が花開き祝福するように音を鳴り響かせる。

空に浮かぶ大きな花の下で二つの影は一つに重なった。


姫子の視線の先、京太郎の後ろで大きく咲く花火は綺麗な赤色をしている。

姫子の世界に色が戻った。


<手紙シリーズ姫子編 カンッ>


ふぅ~満足
界さんぇ~

次は本当にてるてるだ~
…モンハン書いてるときに総合スレで探偵ネタやってたので少し書いてみて投稿してみる
これもいいなと思った、でもモンハンもな~……そしてやっぱり姫子可愛い!でも相棒は怜!
それじゃのー

乙です

乙なのよー

乙 界さんぇ…
怜が相棒の時点で>>1だと思ったが、やはりそうだったか

乙です
怜は相棒ポジが似合うと思ってしまう俺は多分あのスレに影響を受けたんだろうなぁ…

ああ、ごめん
赤ドラそれないよ?は赤ドラそいぎないよ?をそのまま訳すとそうなるって話のつもりだった
そういう意味だと正解は「そいは赤ドラやないよ」(それは赤ドラじゃないよ)かな

お話はドラマティック感がより上がっててよかった

乙です

これは京太郎ではなく界さんをですねぇ…

犯すか

界「許してください!なんでもしますから!」


的なね

界さんは何ヶ月手紙を所持していたのだろうか?

なんだこの咲さんの正妻力は・・・

おつおつー!
ストーリーが格段によくなったと思うよ!

ここの>>1は面白そうなストーリーばかり思いついて困る
どれも見たくてたまらんよ!

おつだよー

予定だと残りはテルーと咏たんか…オラ今からワクワクしてきたぞ!

>>464 >>465 >>469
乙ありん

>>466
私だ!
今日か明日に1個だけ総合スレに投下するかも
今回の相棒は怜じゃないけどね

>>467
自分もそうなんだ
アレが原因で怜と照が好きに

>>468
あぁ…此方こそすまん
ドラマティック感出せてよかったです!

>>470>>472
すきやねーそれ!

>>473
3ヶ月ぐらいやね 5月~7月終盤で
界「3ヶ月コンビニ弁当……」

>>474
なお次では………

>>475
サンキュー!
最初からコレなら良かったんだけどね

>>476
ネタはいっぱいあるんだよね
結構思いつく、今日か明日に総合にもう1個投下予定

>>477
どっちも大好きなんだ
ワクワクを維持せよ!

投下すんぜ



『我慢なさい、お姉ちゃんでしょ?』


「…」


『咲……今度頑張ればいいよ』


「…」


『ねぇ、お姉ちゃんそれ頂戴?いつもお姉ちゃんばっかりなんだから』


「…」


『私はいつまで奪われればいいの?』



「…」


ある日、咲達が部活の為部室に行くと京太郎が何やら難しい顔で手紙を読んでいる。

京太郎に手紙とあまり似つかわしくない組み合わせに少しばかり驚いた。


「犬!なんだじぇそれ、ラブレターか?」

「京ちゃんに限ってそれは…」

「…」

「須賀君…?」


優希と咲が何やらひどい冗談を言い放つが京太郎はやっぱり反応しない。

そんな京太郎に3人は暫く戸惑う。

暫くして京太郎は顔をあげ3人を見るその顔はすごく真面目だ。


「なぁ…T・Mのイニシャルってどんな名前がある?」

「タコス・マックス?」

「どんな名前だよ…」


優希の見当はずれな答えに京太郎は呆れた。

他にはないかと咲達にも聞いてみる。


「ん~それだけじゃ何とも…手がかりは他にないんですか?」

「本当にラブレター?」

「あぁ…麻雀をやってるらしい、ラブレターではないな 文通相手のイニシャルでな」

「イニシャルで文通ですか?」

「俺は自分の名前だけど相手は恥ずかしいらしい」


咲達が全国に行くから彼女も来るのかなと思ってな、と言い手紙を大事そうに仕舞った。

その後、文通の経緯を聞きながら先輩達を待つことにする。


(…麻雀をしている T・M………-宮永照-、お姉ちゃん?)

「さー全国に向けて練習を開始するわよ!」

「元気じゃのー」


咲の思考は部長達の登場により中断された。

まさかね…と呟いた言葉は誰にも聞かれずに空中へと消えていく。




-照side-


「…菫」

「あぁ…-何時もの-か、お疲れ」


照は菫の名前を呼んだ、それだけでも菫には判ったのだろう。

何時ものと言葉にし帰ることを承諾した。

コクリと小さく頷き照は帰り支度を始める。


「えー…もう帰るの?まだやろうよ」

「……んっ」


期待の星-エース-こと大星淡はまだ遊び足りない-勝負-のだろう。

帰ろうとする照を引き止める。

可愛く頬を膨らませ抗議する淡に照は少しばかり困ったような表情をした。


「用事あるから無理、また明日ね」

「む~」


そう言うと照は帰る間際に淡の頭を優しく撫でた。

淡は少しばかり呻るが今度は何も言わなかった。


「お疲れ様」

「お疲れ様です」

「お疲れ様です」


挨拶を終えると照はパタリと扉を閉め帰って行く。

そんな照を見て淡は つまんないと一言呟いた。




「…」


何時もの帰り道、何時もの景色、ただ何時もの違うのは-歩く早さ-

のんびり帰る道も今日ばかりは急ぎ足になる。

途中でコンビニに寄りお菓子と飲み物を購入し、他の店で手紙の便箋を買いに行く。

今回はどの便箋にしようか?これがいいのかなと考える。

自然と笑顔になってくる、鼻歌を挟むほどの上機嫌だ。


便箋を選び終わり家へと帰宅する。

勿論忘れずにポストを覗いてからだ。


「あった」


照は-手紙-を手にすると胸の前で大事そうにぎゅっと抱きしめる。

5分か10分か暫くの間、その時間を楽しんだ。

家に帰ると普段着に着替え手紙を読み始める。


(ん、京ちゃん東京に来るんだ)


手紙を読み終えた照は複雑な思いになる。

会えるかもしれない…それは嬉しい、でも…

彼が麻雀をしてるのが嫌だ、彼には-あのような-思いをして欲しくないと照は考えた。


(…それに咲の事もある、京ちゃんに無様な姿を見せる事になるかも知れない)


妹の咲が全国にやってくる…たぶん、ぶつかる事になるだろう。

その時の自分はひどい事になる。


(飽きられないといいな)


手紙を抱きしめながらベットに横たわる。

もうすぐ夏がやってくる…そこでどんな事が待ち受けているのか

楽しみでありながら同時に怖いと思った。

きたー



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――



-京太郎side-


「ふぅ~暑いな」

「じりじりと暑さが…」


2人は買出しに出ていた。

長野とは違う東京の暑さに2人は参ってしまう。


「てかお前まで来なくてもよかったんだぜ?」

「流石に任せきりには出来ないよ」


生意気なー!やめてーとじゃれ合いながら頭をぐしゃぐしゃと撫でる。

やめてと言っているが咲は笑いながらその行為を受け入れる。

京太郎に構ってもらえるのが好きなのだ。


「それで…見つかったの?」

「ん~?」

「文通相手」


「あ~…ここには居るらしいけど人多くてな。それにいきなり文通してますかって聞けねーし」

「あぁ~…不審者だね、それ」


だろうなと咲に微笑み2人は歩いていく。
大会が終わるまでに彼女は見つかるのだろうか?

期待と不安を他所に京太郎の時間は進んでいく。




-照side-


「…なんで?」


それを見たのは本当に偶然だった。

出掛けた先に咲が居た、思わず顔をしかめたがやはり気になってしまった。

バレないように後ろから尾行する事にする。


隣には金髪の男性を連れて居た。制服を着ていることから部活仲間だろう。

そう思っていた、咲が彼の名前を呼ぶまでは。


「…京ちゃん?」

「どうかしたの?テルー」


照は固まり男性のほうを凝視している。

そんな照を付いて来ていた淡が不思議そうに見上げる。


(…また…また…全部奪っていくんだね、咲)


それ以上見ていられなかったのか照は踵を返し走って行ってしまった。

淡は照の様子が尋常でない事を悟り照が見えていた方へと目を向ける。

仲良さげな男女の2人組みがいる。


「…ん~、菫に聞いてみよう」


淡はもう一度だけ京太郎達を見ると自分達のホテルへと戻っていった。




-???-


黄昏時の公園で1人の少女が泣いている。

周りには誰も居らず1人ぼっちだ。

泣いている少女を照は少し離れている所で見ている。


「…あぁ、これは夢なんだね」


照はこれが夢である事を悟った、なぜなら泣いている少女は自分なのだから…


「この後は…」


昔の記憶を頼りに次に起こる事を予測する。

照は自分から目を離すと空を見上げた。赤く赤く燃えるような空だった。

そんな空から少しずつこちらに近づいて来るものがあった。


「あ…」


子供の照もそれに気づいたのだろう。

泣き止むと空から落ちてくるソレを両手で抱きしめた。


「赤い赤い風船に手紙が付いていて…」


全ての始まりの記憶、大事な…大事な…

親の関係…咲との関係…全てが嫌になった時に訪れた小さな小さな奇跡。


この手紙にどれだけ助けられただろうか、家族が分かれた時、チャンピオンになって

プレッシャーを感じていた時、初めての場所での生活で戸惑っていた時

全て全てこの手紙があったから乗り越えてこれた…だけど…


「お姉ちゃん、それ頂戴?」

「全て奪っていくんだね」


赤い赤い風船も空も子供の照さえも全てが罅割れ粉々に割れていく。

あぁ………夢が終わる………



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――



「…」

眼が覚めるとホテルの天井が見える。

昨日帰って来て、そのまま寝てしまったようだ。

体を起こし顔を触ると手が濡れた。

どうやら泣いていたらしい。




~数日後~


「ロンです!メンタンピン………」


「………」


準決勝先鋒戦が終わり照は売店へと足を伸ばした。

あの夢を見てから調子が悪い。

今日も振り込まなくていい場面でやってしまった。


照は少しばかりため息をつくとお菓子を選び始める。


「これでいいかな」


お菓子を選び終わり財布を取り出す。

中身を覗くと少しばかり足りなかった。


(………家に忘れてきた)


余分にお金を持ってくるのを忘れた。

どれを諦めようか悩んでいると後ろから手が伸びてくる。


「これで足りますかね」

「え?」


後ろから聞こえてきたのは若い男性の声だ。

照は後ろに振り向く。


「こんにちは」

「……こんにちは」


にこやかに挨拶される。

後ろには須賀 京太郎が立っていた。




(なんで…ここに?)


と思考しているとある事に気づく。

まだお礼を言ってなかった。


「ありがとう、お金は後で返すね?」


営業スマイル全開で返す。

すると京太郎は少しばかり苦笑した。

どこか間違っただろうかと首を傾げる照に京太郎は口を開いた。



「消費税分ぐらい構いませんよ………その代わりその作った笑顔はやめてくれませんか」

「!………ごめんなさい」


どうやら作っていたのが判っていたらしい。

照は少しばかり気落ちしながら謝る。


「や!そこまで気にする事では」

「くすっ」


慌て始める京太郎を見て少しばかり笑った。

手紙の中身と同じく優しい子だ。


「そうだ……私の名前は―」

「知ってますよ、個人戦2連覇中の最強の高校生チャンピオン-宮永照-」

「うん」


それもそうかと照は思った。

高校生で麻雀をやっていれば自分の名前ぐらい嫌なほど入るだろう。


「そして……咲のお姉さん」


「………」


京太郎の口から聞きたくない奴の名前が出た。

先ほどまで文通相手本人に会えて嬉しかったのに一気に気持ちが冷える。


「……1つ聞いていい?」

「なんですか?」

「咲とはどのぐらいの付き合いなの」

「咲と………ですか?」


京太郎は暫くう~んと呻り思考する。

多分咲とあった時のことを思い出しているのだろう。


「中学2年の時からですかね」

「そう」


その後、暫く雑談をして京太郎とは別れた。

手紙通りの人で会っても自分の気持ちは変わらなかった。

だけど心は何故か悲しかった。

きっと咲のお姉ちゃんとして見られているからだろう。


『お姉ちゃん』


照の体が少し震えた。

控え室に帰り、その後は淡の相手をしながら準決勝を見る。



「行って来るね」

「うん、いってらっしゃい」


淡が席を立ち会場へと向かう。

照が淡にいってらっしゃいと言うと淡は何やら含みある顔で照を少しばかり見つめた。

なんだろうかと首を傾げると淡はなんでもないと言ってドアを開けた。






「亦野先輩、お疲れ様です」

「あ~……うん、お疲れ様」


誠子は戻る最中に淡とすれ違う。

大きく点を取られたせいで落ち込み中だ。


「後は任せてください」

「うん?」


誠子の隣をそれだけ言うと淡は通り過ぎる。

生意気な淡のことだから嫌味の1つか2つぐらい言うかと思ったのだが。


「本当に淡か?」

「…」


遂々そんな事を言ってしまった。

淡はその言葉にぴたりと止まった。

そして振り向かずに喋りだす。




「私ってテルと付き合い短いんですよね」

「何を……」

「それでもテルのいい所いっぱい知っています」


「私の我侭に付き合ってくれて」

『ん、やろうか』


「一緒にお菓子を買いに言ってくれて」

『一緒に買いに行こう』


「良く出来た時は優しく褒めてくれて」

『よくできたね、淡』


「生意気な私に……」

『それも淡でしょ?私は気にしない』


「私にとってテルはお姉ちゃんみたいな人なんです」


言っている事は素晴らしいものだ。

だが誠子の背中に薄ら寒い物を感じる。

淡の雰囲気が怖い。


「ねぇ…お姉ちゃんが泣いている時……妹はどうすればいいんだろうね?」

「淡……?」


「助けるのが妹だよね……菫先輩に言っておいて最初から本気でいくと」


そう言って淡は歩いていく。

誠子は暫くの間その場で固まったままだった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――



照の見ている画面で今準決勝が終わった。

白糸台は後一歩で届かず2位で通過した。


通過できたので特に問題ない。

そう思い皆で淡を迎えに行くことにする。



「お疲れ様」

「テルー…」


淡は項垂れ涙が地面に落ちた。

ここまで落ち込んでる姿を見るのは初めてだ。


「淡のせいじゃ…」

「負けちゃった……一位で通過しないといけないのに」

「え?」

「菫に聞いたの…テルと咲の事、それに文通の事も」


照は菫に視線を向ける、菫はバツ悪そうに視線を逸らす。


「テルはさ…私にとってお姉ちゃんみたいな存在なの」

「…」

「寂しいときは傍に居てくれて、悲しいときはお菓子をくれて…我侭にも付き合ってくれて」

「そんなテルの力になりたくて!!」

「照は先鋒で咲と戦えないから私が代わりにと思って…」

「それでも負けちゃった…咲以外の人に」


冷め切っていた心に火が灯った。

あぁ…この生意気な後輩-妹分-は自分の為に頑張っていてくれたのだ。




それなのにの自分-姉貴分-は何をしているのだろう?

咲に怯え何もせずに負けを認めてしまっていた。

子供のように泣いている淡をぎゅっと抱きしめる。


「ごめんね、私が頑張らないといけなかったのに」

「テルーッ!!」


違う…この言葉じゃない…この言葉ではない。

言わなければいけない言葉はこれじゃない。


(言葉にならない…言わなくちゃいけないのに)


自分の弱さに照は嘆いた。

暫く淡を抱きしめていると前のほうから一団が現れた…清澄と阿知賀だ。


勿論その中には咲も京太郎も居る。

そうだ…そうだった。心の火が大きくなった。


「淡…ありがとうね、今度はお姉ちゃんが頑張る番だね」

「テルー?」


言えた…この言葉-ありがとう-が言いたかった。

たぶん、これからする事は菫達にも迷惑をかけるだろう。

それでも止まれない、止まってはいけない。


照は淡を離すと咲達に近寄っていく。

一歩一歩近づくとあちらも気づいたようだ。

咲と眼が合った、体は震えない、怖くない。


「…お姉ちゃん?」

「久しぶりだね、咲」


咲と久しぶりに会話する、でも今は咲に用事はない。

照は京太郎の前に立った。

京太郎は自分に用事があるとは思わず驚いている。




「京太郎君」

「さ、先ほどぶりです」

「文通してるって本当?」

「え……?」

「イニシャルが T・Mの人で小学生の頃からずっと続けている人だよね?」

「なんで、それを…」


京太郎は驚愕する、まさか照がそれを知っているとは思わなかったのだ。

照はそんな京太郎を見て満足する。


「これ…わかる?」

「あっ…!」


照はポケットから手紙を取り出す。

お守り代わりとして持って来ていた、京太郎の手紙だ。


「それじゃ…宮永さんが…」

「私が文通相手」

「…お姉ちゃんが?」


咲は不満そうな顔をする。

そんな咲に少しだけクスリっと笑った。

そして視線を京太郎に合わせると背伸びをし京太郎の首に手を回す。

照に引っ張られ自然に顔が照に近づいた。

そして…


「え?」

「むぐっ!?」

「んっ」


照は京太郎と口を合わせた。

皆が驚く中、暫く続けると口を離す。

咲を横目で見ると最初は唖然としていたが次第に顔を赤くし怒りだす。


それを見てふふふと軽く笑う、もう奪われるだけじゃない…今日からは奪うのだ。

なにより妹分を泣かせた分と今まで奪われた分…両方のお返しをしなければならない。


私の前で-咲き誇れるなら咲き誇ってみろ- -山の穏やかさを保っていられるなら保ってみろ-


全て私-竜巻-が吹き飛ばしてやる


これが-口付け-が私なりの<宣戦布告>だ


『照って呼んで?私は京ちゃんって呼ぶから』


ヒーロー:照 サブヒーロー:淡 ヒロイン:京ちゃん ラスボス:咲
明日辺りから照大暴れ
犠牲者:優希とクロチャーとついでに智葉さん

淡と照見てるとこの2人姉妹だよなと良く思う

それじゃのー

これは可愛い幼馴染み文学少女咲ちゃんではなく大魔王咲さんですわ
乙でした

乙です

これは続きが期待過ぎるww
や京照NO1!

咲さんこんな子じゃないのに可哀想

おつー

照と咲が姉妹で淡と京太郎が従姉だと関係がこじれて面白そう(修羅場的な意味で)
あわあわ文通はないんですかね・・・

一人にヘイトが集まるような話はなぁ
今までがいい話だっただけに残念

まだ途中なのに気が早いのう
まぁ合わないと感じたら閉じる選択も自由ですがね

イニシャルで文通?
私書箱でも使ってるのか?

テルーが先走ってる予感
大胆なテルー可愛いよ

べつに仲違いしてる姉妹の主観だとこうなってるってだけでしょ

ダッシュの使い方に違和感半端ない

テルテルの猛攻いいね

>>502
ぶ、文書鳩

文書鳩ってなんだ伝書鳩だ

>>502
豆腐屋が配達したのかも?

ついでで被害にあうガイトさんぇ…

住所だけ書けば帰ってくるし、手紙って本名書く必要あったっけ?

>>509
それ山道限定だから、東京には配達できないから!!

表札無い家もあるし名前欄イニシャルでも住所書いてあれば届くんじゃない?

>>495
大魔王降臨…するのかな

>>496 
乙あり

>>497
期待に答えられるかどうか…

>>498 >>500 >>504
まぁ……照視点なんで
あとはいい話とは限らない

>>499
一応こうかなと考えてはある

>>501
自由やね

>>502 >>>>508 >>509 >>511 >>512 >>513
総合に投下する時に自分も疑問に思って調べてます
とりあえず偽名でも名前間違っていても、イニシャルでも
住所が合っていれば届きます
その際、配達員がこの手紙はあなた宛で合ってますかと確認取るときもあるそうです
自分のイニシャルを焼印で付ける手紙もあるみたい、少々お高いそうですが

>>503 >>506
大胆な照…可愛いね!

>>505
すまんな、あまり使わないほうがいいかね

>>510
ガイドさんは白くなりました


投下すんぜ






「て、照何してるんだ!?」

「ふぅ~……それじゃね、京ちゃん」

「え…あ、はい」


菫は慌て始めた。

照はそんな菫に少しだけ眉をひそめ戻っていく。

その際に何やら咲に一言呟く。


「嵐のような人だったじぇ」


優希の何気ない一言に全員が頷いた。

まさに嵐のような人であった。

暫くの間、皆でボーとしていると一番先に我に返った久がまとめ始める。


「とりあえず部屋に戻りましょうか」


特に反対意見もなく皆が戻っていく。

その際に京太郎は咲に近づき先ほどの話を聞いてみる。


「最後に何を話してたんだ?」

「………奪い返すからだってさ」

「奪い返すって……お前なんか取ったのか?」

「むしろお姉ちゃんのほうだもん!取ったのは!」


京太郎が聞くと咲は頬膨らませぷりぷりと怒り出す。

相変わらず迫力ないなーと思いつつ頬を突っついた。




「ちょ、やめっ」

「何を取られて何を取ったんだ?」

「教えない……それより京ちゃん」

「ん?」


「お姉ちゃんにあんな事されたのに何で普段通りなの」

「あ~……」


咲は疑問に思っている事聞く。

アレだけの事をされたのに京太郎は何時も通りだ。

絶対デレデレすると思っていたのだが。


「行き成り過ぎて喜びより驚きのほうが上回った」

「あ~……」


納得した。

気持ちが一周してしまったらしい。


「………」

「ねぇ…和?」

「どうかしましたか?」


何やら穏乃達が怯えながら和に聞いてきた。

和は何にそんなに怯えてるのか疑問に思いながら話を聞く。


「彼って何者?」

「え~と…須賀君ですか?」


穏乃達の視線の先には京太郎と咲が居る。

先ほどあんな事があったのに京太郎は普段通りに咲と話をしていた。


「あ、あんな怖い人と普通に会話を……」

「さ、寒い」


何やら松実姉妹が怯えている。

そんなに怖いだろうかと疑問符を和は浮かべもう一度見る。


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                     「京ちゃ~~ん」

「うりうり」


和の視線の先では咲が京太郎に頭を撫でくり回されている。

うん、何時も通りの小動物だ。

怖くもなんともない。







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           {.     |:./   ∨{. Y/ |:.:.:.:./i:.:¨7 T¨¨¨¨¨¨´    ^ー 、     ` ̄

「京ちゃん、やめてくれない?」
※オカルト持ちの人+照の視点

「やっぱり怖い……」


何処が怖いのかと和は阿知賀で唯一自分と同じく首を傾げている憧と顔を見合わせた。

結局の所よくわからない状況にただただ身を任せるばかりだった。










「京ちゃん、此処行こう」

「…」


照が京太郎の腕に抱きつき何やら雑誌を見せてくる。

見るとお菓子特集と書かれ有名店が並んで掲載されていた。


「そっちよりこっちがいいよね」

「…」


左から咲が腕を取ると此方も雑誌を見せてくる。

見ると此方は本屋のようだ。


2人に抱きつかれ身動きが取れない京太郎はただただ冷や汗を流し無言であった。

どうしてこうなってと頭を抱えたいぐらいだ。

そして何より問題なのが………


「え~……こっちのが楽しくない?」

「…」


先ほどから膝の上に乗っかる淡だ。

1回目会った時は特にリアクションがなかったのだが

2回目会った時にはコレだ、なんか馴れ馴れしい。


「てかお前が邪魔で雑誌見れねーよ」

「あ、そっか」


淡は京太郎の言葉に納得するもどく気配がない。


「京ちゃん?こっちだよね」

「違うよ、こっちだよ」

「あわ~♪何処の遊園地がいいかな」


「タスケテ」


3人の美女に囲まれるもなんだか全然嬉しくない。

何より照と咲がバッチバチに火花を散らしているのが怖い。




「……まぁ宮永さんと咲はいいとして大星さんのアレは一体」

「あ~…」


久は一緒にお茶をしていた菫に聞いた。

あれから決勝を行い団体戦は白糸台が持っていった。

照が先鋒で30万近く稼ぎあとはずるずるとそのまま優勝に持っていかれたのだ。

その後、照と咲がまた喧嘩を始めるという事があり、それを一緒に収めた事もあり今では普通に交流をしている。

何度も照が京太郎に会いに来るので最早日課に近い。


「゛自分は照の妹分だから照とくっ付く京太郎はお兄ちゃん!でも京太郎は自分より年下+麻雀が弱い ″から弟だそうだ」

「なにその曲解過ぎる思考は」


菫から理由を聞いた久はげんなりとした。

もう一度久は照達の方を見る。


「こっち!」「こっちだよ!」「ねね!ここ、此処行きたい!」

「……」


まだ何処へ行くかで揉めている。

暫く眺めていると照と咲がにらみ合い始める。


「あ…やばい」

「うむ、避難だな」


そういうと久と菫はそそくさと部屋を出る。

その時、涙目の京太郎と目が合ったが2人は無視した。



「白黒つけようよ、麻雀で」

「個人戦で勝ったのは私咲は負けたもう決着はついてる」


京太郎は照と咲の個人戦を思い出す。

まさかのまさか1回戦目から2人がぶつかったのだ。



「団体戦ではやられたけど個人戦では負けない」

「姉より優れた妹がいないことを教えてあげる」

「ふふ~ん、淡ちゃんが勝つもんね!」

「何でうち此処に居るんやろ」



1人だけ場違いな末原さんが可哀想になる個人戦だった、淡もだが。

結局場が大荒れになりいつの間に照が一位になり末原さんが2位で勝ち抜けていった。

あの時の末原さんの嬉しそうな表情は忘れられない。

次も照と同じ卓なのに気づいたときの絶望的な表情も鮮明に思い出せる。


「とりあえず後1人誰か探そうか」

「うん、そうだね」

「俺が入るぞ?」


気づくと照と咲が辺りを部屋を出ると辺りを見渡す誰かいないか探していた。

そんな2人に京太郎は提案をする。


「「京ちゃんはすぐに飛ぶから無理」」

「ふぐっ……」


2人の容赦ない言葉に京太郎は俯いた。

心にクリティカルだ。


「どうせどうせ俺なんて弱いよ……どうせゲームにも出れないんだ」

「ねぇねぇ、此処!ここなんてどう?ねぇ聞いてる?」


京太郎は淡に揺らされながら落ち込んだ。

暫くそうしていると2人が戻ってくる。

それに気づき京太郎は2人に声をかけた。


「あ、お帰り……なさい?」



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「た、ただいま」




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「た、ただいま」



涙目で震えながら入ってくる2人を見て京太郎はやっぱり姉妹なんだなと思った。

それより何故2人はこんなに震えているのだろうか。




「人見つかったのか?」

「「…」」

「なんで無言なんだよ」


2人は無言で顔を逸らす。

京太郎はなんとなく嫌な予感がした。

顔に一滴の汗が流れた。

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         |........::::::::::::::::....:::::::::::::::: |.      ̄          弋__乂  | :::::|
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         |.... |..:::::::::::::|::....::::::::::::::::|               ヽヽヽ  | :::::|
         |.... |..:::::::::::::|::... i .::::::::::::::| し                     ノ :::::|
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        。c≦弋 { \|\|\ト .::::::|     /  ≧ュ。_    |/ |/|/ |/
    。≦.  ヽ  ∧ゞ       \|    ヽ      ヾ ≧ュ。_
  〆       ∨ .∧\                      ハ  ヽ `ヽ.
  ∧         ∨ .∧  ≧ュ。              /  ∨  ∧  ハ
∧           ∨ .∧     ≧ュ 。 __ 。c≦    ∨  ∧  .i

「えーと……よろしくね?」




後ろから何やら何処かで見たことある人が入ってきた。

彼女は確か……


「あわー♪小鍛治プロだ!!」


淡が喜び興奮する。

うん…喜ぶのはいいが人の膝の上で暴れるな。

毛がうねうねして絡まる。


「よりよって何でプロ!?」

「………咲が悪い」「………お姉ちゃんが悪い」


2人はそう言ってお互いを指差す。

変なところで気が合う二人だ。

とりあえず……逃げよう。


「淡、小鍛治プロが麻雀してくれるってさ」

「マジ!?」


京太郎の言葉に淡は目を輝かせながら卓に着いた。

よし、一人目はOK。

次は……


「勝った人にはご褒美を上げます」

「判った、待ってて京ちゃん」「すぐに終わらすね、京ちゃん」


京太郎の言葉に2人も席に着いた。

これでよし


「それじゃ、俺は飲み物買ってくるから」


そういって京太郎は逃げた。

自販機に避難している時に後ろから何やら叫び声が聞こえた気がしたが気のせいだ。


「「ぎょうち゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」」

「あわーーーーん」

「なんかごめんね?」







「ふぅ~……あーどうしよう」


京太郎は自販機で飲み物を買うと直ぐに飲む。

そしてため息をついた。

考える事は照の事だ。


照が自分の事を好きなのだと判る。

ソレに対して自分の気持ちがいまいち判らない。


咲の事もあるしどうするか。

京太郎には時間がない。

大会も終わり後、二日後には長野に戻る。

それまでに照に何かしら伝えなければいけない。


「それに咲の事もあるし、なんとか仲直りさせないと」


どうするか暫くの間そこに留まり京太郎は考え込んだ。

缶ジュースがなくなり京太郎は考えが纏まらない頭で部屋へと戻る。








「戻りました……ってこれはひどい」


京太郎が缶ジュースを持って戻ると其処には卓の上で仲良く沈黙している3人が居た。

まぁ結果は判りきっていたのだが。

1人だけ無事な健夜にジュースを渡す。




「どうぞ」

「ありがとうね」


健夜は少々ぎこちない顔で笑って受け取る。

暫く2人は沈黙する。

喋る事が思いつかないのだ。


取り合えず3人が復活するまで待っていると健夜がチラチラと京太郎を見てくる。

何か話してでもあるのかと思い声をかける。


「どうかしましたか?」

「え~とね……」


何やら言いずらそうにモジモジとし始めた。

年が結構離れているが可愛い人だなと思った。

はやりん派だったが小鍛治さんもいいなとー思考していると…


「さっきさ……勝ったらご褒美をあげるって…」

「あ~…うん、いいましたね」


そういえばそんな事を言った。


「勝ったらって事は私もありだよね」

「うん?」


確かに勝った人にと言ったがアレは二人に言ったのだが。

健夜は暫く黙り込む京太郎を見た後、立ち上がり京太郎の手を取った。


「ご褒美って事で少し付き合って?」

「え…あれ?ちょっと!?」


京太郎はあれよあれよと健夜に連れて行かれた。


「ただいまー」

「終わったか?」


数分後、ドアを開けて久と菫が戻ってくる。

2人の視界には燃え尽きている3人が居るだけだった。


「「何があったんだ」」


とりあえずここまで
まだまだ続くよ
そして自分には修羅場は書けないみたいだ
どう書けばいいんだ

それじゃのー

乙!
実にポンコツ姉妹(+1)の修羅場らしくてこのままで良いと思います

…照メインじゃなくね?手紙関係なくなってるし
いきなり時間が飛んだり末原さんが出てきたり、正直状況が全くわからなかった
まぁ俺の読解力が無いだけか、スレ汚しスマン

>>529
ここからメインになってきますね、手紙も
時間飛んだのやらは説明不足かな、もっと丁寧に描写すればよかったな、ごめんな
末原さんは適当にルーレットで選んだらなっただけです

乙です
>>522の照咲めっちゃかわいいなぁww

>>530
え、適当だったの?

乙です

>>530

適当であの三人と組まされる末原さんェ

>>522
宮永ホーンのせいで同じに見えるけどスカーフとかが違うのなwwww

いいねこのぽんこつ修羅場

そりゃあくまで照と咲の直対がメインだし
他二人は適当でしょ
今回はたまたま末原さんだっただけで菫さんでもキャプテンでも小走先輩でも誰でも良い
それに対していきなり末原先輩が出た意味が分からないとか言われても

安心安定の末原先輩だな!

ここからテルテルのターンか!

すこやんというぽんこつまできてるww
みんな可愛すぎるぞ

テルー編と言う名のポンコツ女子による京ちゃん争奪戦...
余所から見たら卒倒するんじゃなかろうか>>照咲淡の卓にinすこやん

オカモチ目線だとどんな対局風景なんだろうな

おつなのよー

末原さんは犠牲になったのだ……

でも割といい目は見れて……るよね?
照咲淡トリオとガチらされてしれっと2位抜けしてんだしww

まぁなんか原作でも照から危険視されてるし末原さん・・・

ぽんこつ可愛い

>>528 >>536
自分の中じゃ修羅場=血生臭い物と認識してました。
これも一応そうなのか

>>531 >>535
このAA可愛いよね

>>532 >>534 >>538 >>542
適当に個人戦出てそうな人集めて数字を決めてサイコロころころ
末原さん出たときは噴きました

>>533
おつありん

>>537
まぁ…適当ですな、誰もよかったので

>>539 >>545
可愛くかけてるようでよかったです

>>540 >>541
魔境じゃね?
神々の戦い

>>543 >>544
外部からの評価は上がっていますね
あいつすげーな的な意味で

投下すんぜ

照可愛い
きたー




「デパート…?」

「うん」


健夜に連れられやって来たのはデパートであった。

困惑しながらも暫く健夜に着いて行くとある所で止まる。


「……服?」


少し高級そうな服屋に連れて行かれた。

健夜は少しオドオドしながら京太郎と一緒に進む。

暫くキョロキョロと見渡し目的地を見つけた。


「えっとね……家のお父さんの誕生日近いからプレゼントを買いに着たんだ」

「あー……」


どうやら男目線で選んで欲しいみたいだ。

京太郎は納得し健夜と一緒にネクタイを選び始める。

暫くの間アレじゃないコレじゃないと選び二つまで絞り最後に健夜に選んでもらった。

その後、ハンカチも購入して店を出る。


「次は~…」

「まだプレゼント買うんですか?」


どうやら健夜はまだプレゼントを買うらしい。

随分と買うものだと京太郎は思った。


「ちょっと違うかな、お父さんに渡すものなんだけどね」







健夜についていくと京太郎にも馴染みあるお店に着く。


「文房具屋?」

「あっ…あった」


少しばかり驚き京太郎が止まっていると健夜の声が奥から聞こえてきた。

ハっと意識が覚醒し京太郎は少し早足気味に健夜の後を追う。

すると健夜は便箋の前に立っている。


「…手紙出すんですか?」

「うん、本当は言葉に出して感謝を伝えればいいんだけど……」


そう言いながらも様々な便箋を見て回る。

京太郎はその場で大人しく健夜の後姿を見ていた。

健夜の言葉の続きを待っているのだ。


「いざってなると中々思いつかないんだよね…だから手紙に書いたらいけるかなって」

「…」


「自分の素直な気持ちを表せる気がするんだ」


そう言って健夜は1つの便箋を手に取った。

暫くそれを眺めると京太郎へと振り返った。


「京太郎君は手紙とか書いた事ある?私、実は初めてで」


そう言いながら健夜は嬉しそうな不安そうな微妙な顔をした。

今の健夜の気持ちは京太郎にも理解できた。




最初、手紙を出すときに相手に受け取ってもらえるか不安になった。

何度も何度も見返したり、絵をつけたりしたり。

そして受取ってもらった時を思い浮かべて嬉しそうにするのだ。


あの時…照から最初の手紙が帰って来た時を思い出す。

大はしゃぎで母親に怒られたなと苦笑した。


「何度もありますよ、男性用の便箋ならソレの隣とかいいと思います」

「本当!?コレかー……うん、いいね」


健夜は京太郎が選んだ便箋を手に取ると暫く眺めた。

健夜自身も気に入ったのかそれを大事そうに抱える。

そんな健夜を京太郎は暖かい気持ちで眺めた。















「今日はありがとうね」

「いえいえ」


あれから健夜と様々な場所へ行きアレコレと会話をした。

最後に健夜にお礼という事で食事を奢って貰い、外に出ると既に日が落ちていた。


「それじゃ俺はこれで……」

「うん、また…ね」


健夜にお辞儀をして京太郎は自分のホテルへと戻っていく。

健夜は京太郎が見えなくなるまで手を振り続けた。


「頑張れ……男の子」





「さてと……」


京太郎はホテルに戻るとすぐ自分の荷物から手紙を取り出し机に向かった。

そこで改めて照からの手紙を読み始める。

暫く読み続け読み終えると少しばかり体を伸ばした。


「やっぱりかー」


誰に言うでもなく声に出た。

あぁ…やっぱりそうかと思った。

自分の中で照の存在がズレていた。


手紙の中の照と現実で会った照、2人の照を同じ人物と見ていなかったのだ。

手紙中の照は大人しく文学少女を思わせる女の子。

現実の照は咲や淡、自分の事になるとムキになり変な所で抜けている女の子。


(どちらが本当の照ちゃんなんだろう……いや、両方本当なんだろうな)


京太郎の頭の中で売店で会った時の作り笑いをする照を思い出す。

手紙とポンコツな照はあの作り笑いとは違う感じがする。

どちらも素の照なんだと確信した。


そう頭の中で結論を出せば自分の気持ちに気づくのは簡単だった。

さて…この気持ちをどう伝えようかと思うも考えるのは一瞬だ。

目の前には丁度気持ちを伝えるのに適した物が置いてある。


「ははは……手紙を書くのは慣れてるけど、コレを書くのは初めてだな」


京太郎は少しばかり照れ頬を染めた。





「書けた」


書き終えた手紙をもう一度読み直す。

うん、変な所は無いはずだ。

後はコレを渡すだけ……と京太郎はまだ解決してない事を1つ思い出した。

時計を見てから京太郎は外へ出る準備をした。









「京ちゃん?」

「ナイスタイミング」


咲達が泊まっているホテルに着くとホールに咲が居た。

タイミングいいなと思いながらも咲に声をかける。


「なぁ…咲ってさ…俺の事、男性としては意識してないだろ?」

「え……?」


京太郎の言葉に咲は戸惑う。

自分の中でそんな事はと思うも気持ちが揺らぐ。

そんな困惑気味な咲に京太郎はレターセットを渡す。


「京ちゃん?」

「もう一度よく考えてさ、自分の気持ちをそこに書き出してみろよ…渡す相手もな」

「…」


京太郎はそれだけ言うと自分のホテルに戻っていく。

咲はそんな京太郎の後姿を一度だけ見てレターセットへと視線をむけた。

その後、和が咲を探しに来るまでずっと考え込んでいた。





-照side-


「……」

「何してるんだ」


菫はホテルの自室で枕に顔を埋まらせている照の姿を見る。

服装を見るに帰ってきてからずっとそうしているのだろう。

照は菫の言葉にも反応しない。

仕方がなく照に近寄りひっくり返した。


「うわっ」

「……その反応は酷いと思う」


照の顔を見て菫は一歩二歩後ろへ引いた。

そんな菫を見て照は更に傷ついた。


「あ~すまん、てか顔を拭け酷い事になってる」

「んっ…」


照はよろよろと洗面所に向かっていった。

暫くするとさっぱりした照が戻ってきたので事情を聞いてみる。


「それでどうしたんだ?」

「……京ちゃんにアタックしてるのに変化がない」


菫はあぁ…と呟き思い出す。

確かにアレだけの事をしているのに一向になびく気配がない。

むしろ姉妹に挟まれ大変そうだ。


「あれだけやって無理なら駄目なんじゃないか?」

「………ぐすん」


菫の言葉に照は改め涙目になる。

さてどうするかと菫が考え込むと1つ気になることがあった。


「そういえば…お前告白したのか?」





     /: : : /.: :/: : ::j: :| ト :|.     |: : : :|: :|   _i: :∧: :|i: :
   /: : : : /.: : :|: : : :i: :| |.:/ `ヽ  |: : : |i: :|  '´ |:/  V .|::
  /: : : : : : !: : : :i: : : :|ヾ| , ィ, ニ、ヾ、 .|: : :八/ ,=ヾ,ニ、ヾ、 |::
/: : : : : : : : |.: : :八: : :| 〃 /少iハ ヾ|/ ミ、 /少L心 ヾ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|: : : : |:\{ !  {斗ニ刀:::::::::::::::::::::::::::{斗ニj匀
.       i: : : : |:::::::ハ  气l∪iリ:::::::::::::::::::::::::::气l∪ikリ

.       l: : : : |:::::::i l{',、 乂Zソ          乂ZZソ
       |: : : : |:::::::j         ,
        |: : : : |:::::::{
        |: : : : |::::::::ヽ      ,ィ⌒ー'⌒ヽ.
        |: : : /|: |:::::::::::> .   `-⌒ ⌒'‐′      . <
       |: : / 乂|:∧:::| 、::::≧=   ___   <---


「え…何その顔」


嫌な予感がする。

もしかしてこいつは……


「おい……」

「……」

「してないのか……?」


「だって恥ずかしいし」


そう言って頬を赤らめ視線を逸らす。

キスまでしといて告白が恥ずかしいなんて。

菫はため息をついた。


「なら手紙でも出せばいいんじゃないか?」

「手紙?」

「恋文って手もあるだろ」

「…恋文」


暫く照は下を向いて考え込む。

決心がついたのか顔を上げると机と向かった。


「ついでに咲ちゃんにも出したらどうだ、このまま喧嘩したままとか辛いだろ」

「……考えとく」


菫の視線からでは照の表情は見えなかった。

ついでに仲直りしてくれればいいのだが。







「菫…枕冷たい」

「裏返せ」


寝る際にそんな事を言う照に菫はため息をついた。















「それじゃ、元気でな」

「そっちもね」


久と菫がお互いに挨拶を交わす。

2人がいる場所は駅の改札口前だ、あれから数日が経ち京太郎達は帰らなければいけない。

皆がそれぞれ別れを告げていると咲が照に近づいていく。

そんな2人を皆が注目した。


「これ…」

「…」


咲が照に手紙を渡す。

それを目を丸くして照はまじましと眺めた。

照はその手紙を受取ると自分も咲に手紙を渡す。


咲は先ほどの照と同じような表情をした。

咲も手紙を受取ると二人は微かにだが笑った。


「…」

「咲さん」


咲と照は何も言葉を交わさず別れる。

階段を登り新幹線へと向かう咲に和が声をかけた。


「いいの……私コレでいいの」

「あの…」


咲はそれだけ言うと寂しそうに笑った。

そんな咲を和は眉をひそめた。






「そっちは道が違います」

「………」

「………」


                 _........----......._
              ,. : ´: : : : : : : : : : : : :`: : 、

             /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、
              :': : :,: : : : : : : : : : : : :、: : : : : : : : ヽ
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             .': : : ' : : : / : /: :,: : イ: : :|: }: : |: : :|: : :∧
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          〉,: :, {: : | ,ィ斧汽 /´ ィ斧汽、} : /:|\: : |

          {八:{ \:{とヒこソ       ヒこソっ: イ: :|  \}
          |   乂ム     :.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:  ムイl: /
             从{∧     _   _     人:∧{
              |/ >:../^} /⌒l、` .イ }:./ リ

                ___/-'-'-- 、/〉「-、/ '
          ,.. <:::::::::::::::{======ミ`ヽ|〉::`::::...._
         /⌒\\:::::::/`ヽ:::::::::::∨, {::::::::::::::::::>-、

          {==、 {:\/   〈7 ー、{ ̄|:::::::::::://,ィ^.
            ,   \Ⅵ       /   | ,::::::::/イ:.:./  ∧
         {      `|  、      |_/= ´イ:.:.:,イ  /  }
                  「どっ…どっち?」



和は咲の手を引きながら新幹線へと向かった。






「京ちゃん」

「…」


咲が去った後、照は京太郎へ顔を向ける。

些か緊張で体が震える。

前のときは勢いでいった御蔭であんな大胆な事が出来たが今は違う。

勢いもなく自分で勇気を出さなければならない。

何とか緊張しながら手紙……恋文を京太郎へ差し出した。


京太郎はそんな照に少しばかり驚いた。

手紙を受取るともう一度照の顔を見た。


「読んでいいですか?」

「うん、読んでもらいたい」


「なぁ……」「菫先輩は黙ってて」「いい所なんですから」「いい雰囲気なんですから」

「でもなぁ…」


照の後ろで声をかけようとした菫が淡達に押さえられる。

京太郎は気にせず手紙を開け中身を読んだ。

中には10年間もの間の想いが詰まっていた。









「私は…」『私は…』



照の声と手紙の内容が重なる



「京ちゃんの事が」『京ちゃん事が』



京太郎は照の言葉と合わせて手紙を読み続ける



「好きです」『好きです』








既に照の顔は真っ赤だ。

そんな照を見て京太郎は自分も手紙を取り出し照に渡す。


「これって……」

「まぁ…似た者同士だったって事で」


そう言って京太郎はニカッと笑った。


「京ちゃん」

「照ちゃん」


2人は見詰め合う。

そんな2人に菫が話し掛けた。


「なぁ……」

「もう菫先輩空気読んでよ」


淡が頬を膨らませ菫を睨んだ。



あわあわに突っ込まれるSSSww
京照すばらだなあ



「むしろ空気読んで話し掛けたんだが……須賀…」

「はい?」


「新幹線いっちゃったぞ」

「「「「「え?」」」」」


全員が菫に注目する。

菫は重々しく頷いた。


「………つ、次の新幹線は」

「2時間後だったかな」


全員が沈黙する。

そんな中、照だけが我関せずと手紙を読み始める。

皆がどうしようかと悩んでいる中、照は手紙を読み終え笑った。


「京ちゃん!」

「あーうん、どうしたの」


些か京太郎は放心気味だ。


「デート行こうか」

「デート…?」


そう言って照は京太郎に手を差し出す。

じーと差し出された手を見た後、京太郎も手を取る。


「行きましょうか」「うん」


2人は笑顔になると外へと駆け出した。



<手紙シリーズ照編 カンッ!>


お姉さんな健夜ん(事情は知りません)もいいと思う。
京ちゃんも意外とポンコツ
咲ちゃんの京ちゃんへの想いはお兄ちゃんですねー
アフターあたりでその辺の話しも絡めたいです
取った取られたの話しはしょうーもないものです。(ポンコツ姉妹見ながら)

それじゃのー

乙です
2828が止まらない


将来お義兄さんになるんだな

結婚しても咲ちゃんがべったりで照が嫉妬しそうな予感ww


大好きなお兄ちゃんが取られそうで嫉妬する咲ちゃんかわいい


つソロレート婚

お姉さんすこやんたまらんですたい!

照との後日談期待

乙!
2828した

>>561
>「2時間後だったかな」
いくら長野新幹線でもそんなことないよ……

大体30分に一本くらいだけどまあそこらへんは気を利かせたということでいいじゃない

乙です

乙なのですよー


>>563 >>570
ニヤニヤものですか
そうできてよかったです!

>>564 >>565 >>566
そういえばそうやね…どっちにしろお義兄さんになるのか…
争奪戦がまた始まるな

>>567
それはアカン!
血みどろの争いを生むぞ!

>>568
しっかりとしたすこやんも可愛いと思う

>>569
期待してくだせい!

>>571 >>572
すまん、知ってはいたんだけど話しの都合上ね……
菫が気を利かしたとでも思っていてください

>>573 >>574
おつありん


丁度いい時間に時間が取れない…明日も用事ggg無人島は明後日からやります

>>1 怒りの投下!



「参ったわね」


眩しい光が窓から部室を照らす。

6人が使うには広過ぎる部室でこの部屋の主とも言える少女が悩んでいた。

清澄高校麻雀部部長の竹井久は一枚の紙を前に項垂れていた。


「終わった…何もかも」

「何項垂れておるんじゃ」


まこが部室へ来ると部長である久が卓に伏せている。

そんな久にまこは声をかけた。そろそろ他の部員も来る頃だ。

その前に久を退かさなければいけない。邪魔すぎる。


「あ~…まこはこれ読めるかしら」

「うん…?」


そう言って久はまこに全ての原因である紙を渡した。

まこは訝しげにその紙を受取り読み始める。


「……達筆過ぎて読めんな」

「そうよねー……」


手紙の内容を読もうとしたまこであったが字が達筆過ぎて読めなかった。

同時に原因がこの手紙である事も判った。




「何処からの手紙じゃ」

「……資金援助してくれた人から」

「それは…」


清澄高校は名門である風越と龍門淵、それに鶴賀を破り全国へと駒を進めた。

それに伴い応援してくれる人も増え、援助を申し出る人も居る始末だ。

その人から手紙が届くも読めない。

読めないから返事の書きようも無かった。


「誰か読める人いないかしら」

「そうだのー……和とかなら読めそうではあるが」


久との会話でまこは部員である和を思い浮かべた。

頭も良くもしかしたらと思ったのだ。


「それか咲とかはどうじゃ?」

「あー…あの子、本とか読んでるしね」


まこの言葉に久は咲を思い浮かべた。

まぁ…達筆で書かれる様な本を咲が読むわけ無いのだが、可能性はある。

取り合えず2人はほんの少しの希望を胸に2人を待つ。





それから10分位経つと1年生トリオがやってきた。

久とまこは咲と和に早速話を聞いてみる。


「無理ですね」「同じく」

「駄目かー」

「まぁ…無理があったか」


和と咲の答えはNOだ。

読もうとするも二人共に首を傾げた。


「ミミズにしか見えないじぇ」

「同感ね」


暢気にタコスを食らう優希に久も頷いた。

キッチリとした知識や感性があれば…見る人が見れば綺麗な字なのだろう。

だが久達にはミミズにしか見えない。

同じ日本語なのに何故こうも違うのか久達は嘆いた。


「んー…もしかしたら」


そんな中、1人だけ先ほどから手紙を見ていた咲が声を出した。

他の人達も咲へと視線を向ける。

急に皆から視線を浴び咲は少しばかり怯えた。


「あぁ…ごめんなさい、それで何がもしかしてなの?」

「え~と…その、京ちゃんなら読めるかもって」


咲の言葉に久は疑問符を浮かべた。

京ちゃん…須賀 京太郎、麻雀部唯一の男子部員にして個人戦を1位で通過した男の子だ。

入学してから大会が始まるまで彼は雑用を引き受けてくれていた。

久は彼も大会に出ると知らされ申し訳なく思ったのだが彼は笑顔で大丈夫だと言ってくれた。

その言葉に偽りなく京太郎は個人戦を1位で通過した。

あの時は物凄く驚いたものだ。


咲はそんな彼なら読めるかもしれないと言った。

色々と不思議な少年であったが、普段は和の胸を見てだらしなく顔を崩し、優希とじゃれ合い、咲と仲良く会話していたりと普通の男子高校生だ。

久はまだ秘密があるんだなと思いつつ期待した。

他の部員は(特に優希)はそれはないと笑った。




「遅くなりました」

「待ってたわ!」


京太郎が掃除当番を終え部室に来ると部長である久が真ん中で仁王立ちをしていた。

そんな久を見て京太郎はため息をついた。

また、何か企んでいるらしい、早々に帰りたくなる。


「今度は何を企んでいるんですか」

「何でそうなるのよ!」


京太郎は疑いの眼差しで久を見るとイヤイヤながらも近づく。

久はしょっぱな疑われた事に少々ご立腹のようだ。

後ろの部員からは当たり前だ的な視線を向けられているのに気づいていない。

久の前まで行くと何やら紙を突き出してきた。


京太郎はそれを受取ると中身を読み始めた。

内容的には応援しているので頑張ってくれと書いてある。

他にも色々書いてあるがファンレターか何かだろうか。




「ファンレターですか?」

「本当に読めるのね」


久は京太郎がスラスラと読む姿を見て驚愕した。

遊び半分、期待半分で渡したのだが目の前の彼は読めている。

暫く呆けていたが直ぐに思考を戻し京太郎に内容を聞いていく。

取り合えずこれで返事が返せる。


「って書いてありますね」

「なるほど」

「本当に読めてるじぇ…」


全てを聞き終わり久はメモを取っておいた紙を眺める。

京太郎から内容を聞いてみてメモと見合わせてみるとそう書かれているようにも見えた。

雑用といい麻雀といい今回の手紙といい何でもできるわねと思いつつ京太郎を眺める。


「どうかしましたか?部長」

「いえ、もしかして書けたりもするのかなって」


自分の事を眺めていた久を京太郎が不思議そうにしながら問いかけた。

久は特に動じる事無く答える。

そんな久に京太郎はあぁ…書けますよと言って懐から筆ペンを取り出した。

準備がいい事でと久は思うも丁度いいので返事を書いてもらう。


「書き始めは?」

「えーとね……」





「ん~………合宿ね」


京太郎は自室のベッドに横になりながら今日言われた事を思い出す。

全国へ向けての4校合宿をすると言われた。

まぁそれに関しては特に反対意見もない、全国で優勝する為にも必要な事だろう。

問題なのは京太郎も合宿に参加する事だ。


女性だらけの中になんで唯一の男性である自分がと思いもしたのだが、久曰く冗談で言ったら通ってしまったらしい。

個人戦優勝と言う肩書きのせいだろうなと思った。


「まぁ…いいか」


京太郎は思考を放棄しベッドから出るとパソコンを起動させる。

合宿には天江衣や福路美穂子と言う強敵と戦えるのだ。

特に不満も無い、京太郎は気晴らしにネット麻雀を始めた。


その後、問題なく成績をキープするとそのまま眠りに就く。

来週には合宿が待っている。

自分の力を試せるチャンスに京太郎は胸を躍らせながらその時を待った。


咏たん!




「ようやく着いたじぇ」

「優希、走っては駄目ですよ」


着いた途端に走り出す優希を和が追いかける。

どちらも走ってるなと皆して笑った。


京太郎は自分に与えられた部屋に荷物を置くと久を探し始める。

これからの予定を聞くためだ。

先ほどホールで顔合わせした時に今日の予定を聞いたが明日のは聞いていない。

暫く探しているとホールに久は居た。

京太郎は近寄り声をかける。


「部長!」

「あら、須賀君どうかしたの?」

「明日の予定を……」


予定を聞こうとして気づく。

久は1人じゃなく他の人と一緒だったらしい。

柱が影になっていて見えなかった。




「こんにちは」

         /                           ヽ
         /             ′              :.
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        八 i ii i ii i { i !{  ii i  ii i  从  /`ヽ   i ′i
.           ヽ从小「八八八从__i从__ハノ__//ハ//   ノ ノ/ i |
.           ′|{   ___      x''丐ミメ、ヽィイl/   |
            ′   i ゞ=≠''      し':::::::::ハV/^   i  |
           ′   i :::.:.:.           r辷'゚シ′/     i  |
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          ′    人            :::.:.:  ///    i   |
       ,′  / / へ、    ‐ -         イ//    i  |
       ,′   / /  // ト .         .イ //      ii  |
       ,′    /  // /  }  ー   ´{ |//      jj   |
       ,′  / /  // /..斗ノ      ト .」.'/ / /        |
.     {{{ { i{  {>'" r{       ノ〉 `ヽ/ /        |
     r‐くく { i{  |     |ー-、     ,′  { {     //从ノ
    /`ヽ \ヽハ i |     |________,′   ヽヽ从///ヘ、

「こ、こんにちは」


京太郎がすぐさま挨拶すると返してくれた。

最初に返してくれた人は少し慌てながらも頭を丁寧に下げてくれた。

自分とは違う金髪で綺麗な髪が頭を下げた同時にサラリと流れた。

顔を上げたその人物を見て京太郎は眼を細めた。

何時も通りに方目を閉じている少女…長野県女子個人戦1位の福路美穂子だ。

優しそうな外見に似合わず麻雀では相手を操り場を支配する大胆で繊細な打ち方をする。





              , - ── - 、
            ,  ´ , .ヘ       ヘ、
          /  /.   ∧    /   . \
.          ./  /  .....:::::::..∧   /,...:、::::::::.. .\
       /   .}   .:::::::::{ ミ ∧ /∥ . }::::::::.  ヾ、
.      / ,::::::::::ノ   .:::::::::i_ミ_ __z--.ヘ::::::::::.  ∧
      { {::::::::/   .:::::::::/        .∨::::::::.. ∧
      i i:::::ノ    :::::/          ∨::::...... ∧
      } レ´  ....:::::::.::/         ___∨、::::::::.. ミ、
      {彡' .......::::::::イ:/─一     ´_ _  ヽヽ_::::   \
    ニ´彡 ......:::/::∥ --       ____\=-ニ、___`_=-

  -=ニ´____/{. ,=-テ三欠      ケ_ノ::} ゝ{::::::::::}

     } ::}.}、::::::::.}丶 {::ヘ__ノ}       ヒヘ_ソ  .ノ,:::::ノ:}
     i .::,:{}::ヽ:::.N  ゞ─‐'.       ` ̄´  ク:::,ノj{{
     ,' ::::} :::::::}ー`、         '       }:::::::: ||
     }  { ::::}:}:::::`ー、               .ノl:::::::: ll
    ,', ::,' .:::|::|:::::::::|:{\      <  ア   ./}::}::::::: .}}
    ∥:/{ .:::i::.i:::::::::i::il::::>, _        ,<:::::i::i::::::::: {{
    {{ { } ::::}::{:::::::::}::}}:::::ノ| ` ー - ィヘ::{::::::::l::l:::::::::::} }
    ii .i i :::{::::}::::::::::::::<} >- _ _ノ .∧_:::l:l::::::::: :i/
    {{', { {:::::}:::|___r´:::::;}    {_.∨ヘ   }:::::ヘ_::::::}/
..,_ .─ー代{ヘ/::::::{::::::{::::::::::{    ノ:::::::::::}、  .}::::::∧  ̄ ー  __ _
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}::::::::::i::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::∨   }::::::{  ∨::::::::::::∧::::::::::::::::::::::/::::i

::::::::::::',::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::}    i::::::::i   }:::::::::::::::ゝ::::::::::::::::::{:::::::i
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「君が須賀君かよろしく、鶴賀学園3年の加治木ゆみだ」


そう言ってもう1人の人物である加治木ゆみが握手を求めてくる。

握手や雰囲気に笑顔を見て、男装させたら良く似合いそうな人だなと思った。

麻雀では咲と衣2人を相手にして潰れず真っ向から立ち向かう剛毅な気質を持ち合わせている。

この人も油断できない相手だ。





京太郎はよろしくと手を差し出し握手をしようとし途中で手を引っ込め身を引いた。

すると横から行き成り手が差し込まれた。

その勢いが良過ぎたのか横から現れた少女はバランスを崩し慌て始める。

京太郎は思いっきり手を叩き落とそうとしたなと冷静に思考し苦笑した。


結局バランスは戻らず前へと倒れこむ。

流石にこのまま倒すのはと思いしょうがなく相手の腰へと腕を回し受け止めた。

横から現れた少女と自然と目を合わす形になる。


その少女は艶のある黒髪を肩ぐらいで切り揃えており2本だけ前髪が伸びている。

後はスタイルが良く胸は大きく、腰も細かった。

バッチリとした目と暫くの間、見詰め合う。

相手は何が起きたのかわからず目をパチパチとしばたかせる。



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暫くし自分の置かれている状況に気づき顔を赤くさせた。


(あー……やばいな)


今までの経験が警報を鳴らした。

すぐさま抱き起こすと少しばかり名残惜しい気もするがすぐに放し離れた。

腕を後ろに回し何もしない事をアピールしつつ相手の顔を見た。

勿論胸を見るような愚作はしない。



やばい、モモかわいいww



「う~…」


相手は顔を赤くし睨むも紳士的な態度に何も言えずゆみの後ろに隠れてしまった。

そんな行動に京太郎は苦笑しつつゆみへと視線を合わす。

彼女も苦笑していた。

視線で理由を問うてみるとゆみは察してくれた。


「すまない、この子は後輩で東横桃子って言うんだ、少々私に懐いていてな」

「そうなんですか」


ゆみの言葉に咲と和の2人を思い浮かべた。

暫く思考が逸れているとゆみが後ろに居た桃子を前へと押し出した。

ゆみが桃子に謝るように促す。

それに対して桃子は唸りながら京太郎を見つめていたが暫くし諦めたのか視線を横に逸らし小さな声で謝った。


「………ごめんなさいっす」

「いえいえ、俺は須賀 京太郎っていいます、よろしく」


出来る限り気にしてませんよとアピールし事を荒げないようにする。

ここで印象を悪くしてもいい事など1つもないのだ。


そんな京太郎に桃子をチラチラと視線を向けてくる。

そちらの視線も気になるが先に用件を済まして此処から立ち去ろうと考えた。





「部長、これからの予定は?」

「あ~…今日は前に言った通り自由行動で明日は…明日話すわ!」


ニヤニヤと笑いながら此方を見ていた久に声をかけた。

あぁ…この人絶対楽しんでいたなと思った。

ここに居ると更に弄られそうだと京太郎は理解しさっさと逃げ帰った。






「まったく、モモ駄目じゃないか」

「う~……でも」


彼が居なくなった後、ゆみは桃子に注意をする。

ゆみに注意されも桃子はシュンとした。

そんな2人を遠目から見ていた美穂子がある事に気づき声にだした。


「……須賀君って東横さんの事見えてたのかしら?」

「へ…?」

「うん?」


美穂子の言葉にゆみと桃子は少しばかり考え込む。

確かに京太郎は桃子が姿を現す前に避けていた。

桃子が見えていたと考えればおかしな点はない。

……超人的な勘で避けたとも考えられたが。



        /: . : . : .>イ:.イ: . ヽ: . : .\

        /: . : . : /   {/从ノヘ: .ヽ: . : . ,
       /ィ'": . : /,   ー - ,,__V: . : . : . ,
      〃,: . : . //     ,,,     V: }. i: . :.
      〃 . : .:.:/       ,ィf乏ォ、, V:!:リ. : . .
     /  ,: . :/ ,イ禾ヾ     ら::.リ } .}: /: . : . ,
    ,'  ,: . :.A,{!乂:::リ     `ー'   ハ: . : . : .:
    {  .i: . ,':..,` '"  '       ,イ: . : . : . :.
       ,: .{: .ハ            {: . : . 7: . ,
       V: . : ハ _    -‐-    V: . : {: . :
       ヽ: . : .ヾヽ        , <}: . : i: ./
         ヽ: . :∧ヽ 、_n_, ィ |: .:ノ: . : {:/
         ノ: . : .∧ヘ}/^ヾ   i: ./: . : . {
       _/: . : .ノ:;:;{ イ/~ヽ,  {゙7: . : ノ: ヘ
     ,’‐-{: ../:;:;:;:ム  '".r、}    {ヘ: へ: . :.}<_
    7;/ =、 ヽ{`>、:;:;}   } ’ ̄ ゙̄i ヾ:;:;ヘノ 〃/、
   7;7´   \   _,,i__   i:;:;\   !:;:;:;:;:;:;:;:〃/  Y
   ,;;,'  ',   .\ {== ̄``ォ、:;:;ヘ !:;:;:;:;://  / .,
   ,;,'{   ヽ    V:;:;:;:;:;:;:=7 \:ヘ|:;:> '" ヘ.ノ  i!
    ,;,∧   \ r'"ー、_:;:;:;:;:;:;7   `}へ     ,  ヽ
   ,;;,' .V    }    ー‐' ヽ    {__}       ノ


「本当不思議な子ね」


久は誰に言うでもなく呟いた。





「……東横さんは普通に視えるな」


あれからやる事もなく近くの池の周りを散歩しながら先ほどの事を考えた。

副将戦で発揮したステルスモモが見れたことに感激したがあの様子では麻雀をしてる最中でも京太郎には丸見えだろう。

その事に少々を落ち込みながらも京太郎は明日有るであろう戦いに胸を躍らせる。

京太郎の頭は中は麻雀一色だった。


「お前が須賀京太郎か」

「うん?」


ふらふらと歩いていると後ろから声をかけられた。

声質的に幼い少女のようだ。

京太郎は持っていた-お気に入りの扇子-をバチンと音を立て仕舞うと後ろへ振り向いた。


京太郎が振り向くと目の前に赤いリボンの端が揺れている。

自然と下に視線を向けると女の子が視界に入る。


赤いウサギの耳みたいな大きなリボン付きカチューシャにこれまた綺麗な金髪。

身長は低く京太郎の腰辺りまでしかない。

目元などもパッチリとしてて美少女と言っても差し支えない。

両手を腰に当て偉そうに踏ん反り返っているが可愛らしいと言う印象にしかなっていなかった。


「確かに俺が須賀 京太郎だ、君は……」


    /:::::::::::/             > 、:::::::::::::∧- .._/:::::::::::::::::::::::> ´

   ./:::/::/             ´    \::::::::::∧  /:::::::::::::::> ´
   /:::/ ´               /        >.、:::ハ_/::::::> ^ヽ
  ./:::/               , '  ./     x≦>――‐<≧x.  \
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´              .′  /  .//  /  // |    |         i
                  i   i   | i!  |  //! ハ .|  |  !  |     !
                  |  .!   |Tト ._ハ  | | | /.//  ,イ ,イ !  !     !
                  |/  |   ハ{\ {`≧ト{/'_/イ ,イ_i斗リ丁 /  |  | |
                 /  .|   | ./ア圷.ヾ  ///'衍圷ミx,イ  / ,イ/
             /   |   | {' ら:::::リ   ´   ら:::リ }'./ ,ィ //'
               /    .|   |  弋zン      弋ン  7´'イ |
           /     |   |   `¨´       `¨´  ハ   ! |
             /       |    ト、          '     / ∨| ∧
          /         |    | r\     r:::ッ    .イ  Ⅵ.  ∧
            /       i!   .レ ( > .    . <  i!   ∧.  ∧
        /     __|   i!  `ー-ァ__7≦ヽr―‐ 、!   ∧.  ∧
          /    /   .|   .i「 ̄ ̄\_У ̄ ̄ ̄ ̄}ヽ   ∧.  ∧
       /    /       |    i!: : : : : : :}: : }: : : : : : : : /  \  ∧.  ∧
        /     /  /   .!    |: : : :こ≧!: ノ≦ニ: : : : :{     ∨ ∧.  ∧
     /    /::/      |    |: : : : : /「ト、: : : : : : : /  \ ∨  \ ∧
    ./    /^´      |    |: : : /: :.| |: :\: : : : //    \}.    \∧
    /  /             |    |=イ: : : :|!: : : |`ー' /        \    \\

「天江 衣だ」


名前を聞くと相手も返してくれる。

京太郎は衣の名前を聞くともう一度扇子を開き口元を隠した。

目を細め相手を見据える。





「期待していたのだが、こんなもんか」

「それは悪かったな」


衣は悪びれる様子もなくそんな事を言った。

京太郎はそんな衣に腹を立てず苦笑しながら答える。

暫くの間、京太郎がにこやかに笑っていると衣はため息をついて去っていく。


「やはり衣の莫逆の友は咲達だけなのだな」

「……」


京太郎は何も言わずに衣が去るのを見送った。

暫くすると笑みを崩し真面目な顔を作る。

そのまま上を見上げると薄っすらと空に浮かぶ月が見えた。

月を見て京太郎が思うことは1つだけ天江衣の事だ。


決勝戦で見せた戦いを未だに覚えている。

圧倒的な才能と能力二つが重なり非常に手強い相手だ。

舐めた真似をしなければあのまま優勝は龍門淵が勝ち取っただろう。

月の満ち欠けによって強さが変わり安定性はないがそれでも尚最強レベルだ。

そんな相手と明日戦えるのかと思うとついつい口元がにやけて来る。


´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////





と同時にお腹が鳴った。


「……まずは飯だな」


京太郎はお腹を擦りつつ合宿所へと足を動かした。

既にあちらからはいい匂いが漂ってきていてお腹が余計に鳴った。



「あっ…帰ってきた、もう何処に行ってたの京ちゃん!」

「飯…飯…」


京太郎が合宿所に着くと外でバーベキューをしていた。

咲がふらふらと寄って来た京太郎に声をかけるも京太郎には聞こえてないようだ。

咲は苦笑しつつ京太郎へと肉を乗せた皿を渡す。

京太郎はそれを受取るとがっつく様に食べ始める。


「京ちゃんはこの後、どうするの」

「ん~と……21時ぐらいからちょいとネトマやるかな」


咲の言葉に京太郎は少し考えた。

今の時間は明るさ的に18時ぐらいだろうと京太郎は検討をつける。

片付けをしてお風呂に入りのんびりしてネトマをして゛明日に備える ″と京太郎は咲に伝える。

それから食べる事に集中し始めた京太郎に咲はため息をつくと和達の場所へと戻っていった。


京太郎は気にする事なく食べる事に集中する。

周りは女性だらけで喋る相手が居ない。

せめて龍門淵の執事であるハギヨシさんが居ればいいのだが辺りを見渡すも居ないらしい。

その事に少々残念に思いながらも居心地悪く食べていると京太郎に声をかけてきた人物が居た。


「隣いいか?」

「いいですけど……」



今食べている物を食い終わると相手を見る。

やはり見間違いようがない。

゛マクリの女王 ″で有名なプロ、藤田靖子その人だ。


「何か用ですか?」


京太郎は扇子を取り出すとぱっと開き口元を隠す。

油断ならない相手を前にした時に見せる京太郎の癖だ。

目を細め靖子を見据えた。


その京太郎の行為を見て靖子は目を開かせ驚いている。

そんなに驚く事があったかと京太郎は少しばかり眉をひそめた。


「くっくっくっく………やっぱり、お前は゛あの人の後継者 ″か」

「………あぁ、そういう事ですか」


京太郎は靖子の言葉に納得した。

扇子を閉じるとつまらなそうな顔をして靖子を見る。

靖子はそんな京太郎の視線を気にせず笑い続けた。


「あぁ……すまない、お前の牌譜を見て気になっていたものでな」

「………俺を合宿に呼んだのはあなたですか」

「ばれたか」


京太郎は自分が此処に居る元凶を前にため息1つついた。

靖子は悪気など一切感じていないらしい。

そんな靖子に京太郎は少しばかり睨んだ。




「なんだ迷惑だったか?」

「や…全然迷惑じゃなかったですが」


靖子の言葉に京太郎は睨むのを止め、あっさりと答える。

そんな飄々した京太郎に靖子はあぁ…あの人そっくりだと思った。

靖子の脳裏では例のあの人の高笑いが聞こえてきた。

                          (⌒Y⌒)
        (⌒Y⌒)             (_  ○  _)
       (_  ○  _)             (__人__ノ
        (__人__ノ  .   ´ ̄ ̄ `   、
           . ´ ..::::::::::::::::::::::::::.. ヽ

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           | :::::::l::| |:::|`:L___!´__ ハ :| |
           | :::::::l::f芋丐   乍丐ア::| |
           | ::::: lレ' ト+゚'    ゞ-' |ノ::ト、    
           |:::::::从 :|::| lー一l  / .:::| ミ=‐ 
           人::::::{:ハ|::| ゝ ノ/ .:::::::::j::::::..\
          / .:: \::\|::!≧‐:/ .::::::::::,:イ:::::::::::::::)
   /\=彡イ::::/|:::`ーァャ==彡-‐ 7¨´.::::ト、厂/ ̄\
  厶 ...... \ ノ:/  イ::::::/:::|..∨........./ .::::::/....Y............../∧
  |\ヽ ........ Y  ノ|::::人:::| / .. ..../ .::::::/...../ ............// /
  |  | |............|/....乂{  )/ .. ..../イ .:::::/...../ ............// /
  |  | |............|......../ ........./ .. ..../ ..| .:::/...../ ............// /


            ゛あっはっはっは、知らんし ″

「なんか考え込んでますけど一言言っておきます」

「うん、なんだ?」


頭の中で好き勝手やっているあの人を追い出すと京太郎へと向き直る。

其処には先ほどの飄々とした京太郎の姿はなかった。

よく表情が変わる奴だと思いつつ真剣に見つめた。


「俺はあの人の後継者じゃないです…あの人は俺の倒すべき人-超えるべき人-です」

「なるほどな」





京太郎の言葉に偽りなどは一切ない。

確かに京太郎の麻雀の原点はあの人だ。

だが同時にあの人を倒すのは自分だと思っている。


京太郎の熱意が伝わったのかその一言で靖子は納得した。

目の前の少年は本当にあの人を倒そうとしている。

眼を見れば一発で判るほどに………


「と…それじゃ俺はこれで」

「なんだ、もう行くのか」


京太郎は話し終えたとばかりに席を立つ。

そんな京太郎に靖子は不満も漏らすも京太郎は苦笑するだけだった。

京太郎の後姿を少しの間見続けた後に視線を自分のお気に入りの衣へと向ける。


「今回の合宿は荒れるね~」


そう言って靖子はニヤリと笑った。











「はぁ~……さっぱりした」


お風呂から上がった後、京太郎は自室へ戻ってくると予め敷いて置いた布団の上に横になった。

長野個人戦1位の福路美穂子にステルスモモの東横桃子、゛天照大神 ″の天江衣

最後にマクリの女王である藤田靖子……戦いたい相手のオンパレードに京太郎の戦意は上がっていく。

その熱を冷ますかのように京太郎は扇子で自分を扇ぐ。



お風呂上がりという事もあり扇子で扇ぐ風は気持ちよかった。

暫くの間扇子で扇いだ後その扇子を眺める。

゛大事なあの人 ″から貰った物だ。

こうしているだけでも直ぐに思い浮かべる事が出来る。


「あぁ……会いたいな、会いたい」


暫くの間、会っていない。

京太郎は知らず知らずのうちに呟いてしまった。

茶色かかった髪の毛にトレードマークと言っても良いほどに着込んでいる赤い着物。

飄々としていてよく相手を楽しげに振り回す彼女……。


「咏に会いたいなー」


目を瞑り彼女の名前を呼んだ。

師匠で有り、文通相手で有り、自分に目標-夢-を与えくれた。

自分の一番愛する人の名前を―――




/: : : :/.:.::::::::l::::::/ |:::::::::::ハ::::::::::::::::::::ヽ::::\:::::::::::ハ:::::::.:.:l.:.:.:.:: : l: : |
: : : :/.:.:::::l::::l:::: 厂|`:ー::/、 l:::::::::::::::::::::| \:{ \,:斗-―:::.:l.:.:.: : : l: : |
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: :|: :::i::::::::l::::l:::孑卞::::芋ミx′ ̄ ̄ ̄  ィ斧芋苡`V: / |::l.:.:.:: :l: : |
: :|: :::l:::::::::l::::|::込 |::::::::|じリ           ら{::::::リj 犲 |::l:.:./:::l: : |
:/|: ::::l:::::::::l:::ト:::::{ 乂::::|少          乂辷少 /   从::/: : l: : |
{ .!: ::::l::::::::::l:::::ヾ| |::::::::|                     /:::::/:: : :l: : |
| : :::::l/\l::「` |::::::::|      ,       〃〃   /::/::::::: :l: : |
| 从::::::\  \ヽ |::::::::|                  / ':::::::::::: : :l: : |
|  ヾ::人\  \|::::::/   、_____,       /::::::::::::::::::::/: : :|
|   .〉::::ヽ::\  \{     `     ´     <::::::::::::::::::>ヘ: : : |
  /:::::\::\::\  \::>       <::::::::::::::_彡 ':::::.:.:.:.}: : :|

「なら丁度いいな!会いに来てやったぜー!」

「うん、なんだろ気持ちが募り過ぎたかな幻覚が見える」


京太郎が目を開けると目の前に愛する人、゛三尋木 咏 ″の顔があった。

咏は楽しげな笑みを浮かべている。

京太郎は眼を擦るも目の前の幻覚は消えない。


「…本物?」

「なひふんらー」


目の前の咏の頬を引っ張ってみる。

相変わらずオモチの様によく伸びた。

ある程度弄った後に満足して放す。


「何で居るのさ」

「お前が個人戦勝ったからその祝いに来たんだよ!」


咏は京太郎の問いに少しばかり怒りながら答えた。

折角会いに着たのに幻覚と間違われたのだ。

少々ご立腹だった。

京太郎はそんな咏を見て苦笑しながら体を起した。

改めて真正面から咏を見る。


「何時ものな!」

「はいはい」


少しばかり怒気を含めた声で両手を京太郎へと差し出してくる。

そんな咏を京太郎は当たり前のように…何時も通りに迎え入れ抱きしめた。

自分より大分小さい咏を抱きしめながら京太郎は体温を感じ取った。


暫く2人はそのまま抱き合うと咏がもぞもぞと動く。

手を懐に差し込むと何かを取り出し京太郎の頭にペシリと当てる。


「手紙持って来てやったぜぃ」


そう言うと咏は片目を瞑り京太郎にウインクをした。








>>582
咏たんです!

>>587
やっぱりモモは反則的に可愛いです

今日はこの辺で
最近文章荒くね?ってことで少し丁寧に描写をしました
咏たん編の京太郎は一番麻雀強いです
それに勝つことに貪欲です

少し大人っぽく違和感あるやも?

それじゃのー

今までと違って最初からハッピーエンドなんですが(歓喜)
おっつー



咏たんの影響だね

乙です

既にうたたんと結ばれてるのか
ほっぺたいじられるうたたん可愛い

俺の咏たんキターーーーーーーーーっっ!!!!

おつー、モモかわ

乙です

>>603
京太郎のです

乙!

どう展開していくか今までで一番気になる
超期待

乙ですー

最初からハッピーエンドだと?
俺得じゃないか(おら、馴れ初めあくしろ

おつー
やっばい、モモもだけどうたたんまじうたたん

京太郎が強いとオリキャラ感増すな
ちょっと残念

公式で潜在能力高いの分かってるしうたたん師匠でがんばってるなら特に違和感はないな
モモもかわいいけどうたたんも流石

環境しだいで化けるタイプだろうし、真っ当な師匠や超えたい目標がある設定だから自分は気にならなかったよー

そもそも京太郎SSの京太郎ってオリ要素ないと何もないぞ
だって本編でも空気で序盤除くと出番皆無なんだから

これがホントのダイレクトメールか(違
モモ可愛い

んまあそうだね
ごめん>>611はスルーしてね

>>614
それはまた違うだろ

京咏なら相対弱運のやつすき

>>601 >>605 >>606 >>608
おつありん!

>>600
そこら辺は教育されています

>>607
ありがとう!頑張るぜ!

>>609 >>602 >>599
最初からイチャイチャです!
馴れ初めは大分後かな

>>604 >>610 >>612 >>615
モモ可愛いよね、咏もいいよなー
………うん

>>611 >>612 >>613 >>614
そこら辺は色んな京太郎が居ると…え?無理かな
出来る限り京太郎らしさ出したいけどね
まぁ…こんな京太郎もいるってことで!

>>618
ハーメルンの奴やね
あれは自分も大好きです
姫子居れば尚良かった……


投下すんぜ!※注意!咏編ですモモ編ではありません




「前から思うんだけどさ…」

「なんだー?」


京太郎は受取った手紙を早速読み始める。

何時も通り会えない間に何をしていたか等が書かれており手紙というより報告書のようだ。

たまに話が脱線しているがそれまた咏らしかった。

そんな手紙を見て京太郎は苦笑し咏に話し掛ける。


「手紙を直接届けるってどうなのよ」

「なんだ、京は私に会いたくないのか?」


京太郎の膝枕を堪能していた咏は京太郎の言葉に少し悲しそうにする。

そんな咏を見て京太郎は頭を優しく撫でた。

京太郎としては文通らしくないなと思った為言った事なのだが、咏には違う意味で捉えられたようだ。


「いや、文通らしくないなと交換日記みたいだしさ」

「別によくねー、他人は他人、私達はこれでいいだろ」


咏は頭を撫でられ満足したのか先ほどの悲しそうな顔をしていない、むしろ幸せそうだ。

京太郎は少しばかり思考した。

咏に言われた事を冷静に考え直す。

そして自分の中で結論が出た、確かに他人は他人だ、自分達の絆のあり方は゛これで合っている ″。




「それもそうだな、これでいいな」

「んっ、相変わらずその癖直ってないな」


咏はそう言ってケラケラと笑った。

京太郎は苦笑しつつ否定をしない、やはり自分のコレは一生直らないものだろうと思った。

京太郎はありとあらゆる事に対して一拍置いてから行動するようにしている。

自分の中で思考し本当にそれでいいのか考える、そして結論が出てから答えるのだ。

一時の感情で全てを壊さぬように……勇気と無謀を取り違えないように……。

なにより―――自分の選択に言葉に行動に全てにおいて後悔をしないように。


「ていっ」

「あたっ!」


少しばかり昔を思い出していると突如叩かれた。

叩かれたと言っても扇子で軽く小突かれた程度であまり痛みはない。

京太郎は軽く頭を擦り笑った。


「それじゃ゛行くぞ ″」

「そうだと思ったよ」


咏が立ち上がりふわりと着物を揺らめかせて入り口へ向かう。

その光景を見て京太郎は陽炎のようだと思った。

京太郎の味解は正しい、咏の戦意が心の中で燃え上がっているのだ。

久々に京太郎と出会ってテンションが上がっているのもあるが……ここには自分と同じ゛プロ ″が居る。

これで戦わず帰るなんて愚作だ。


「あぁ……楽しみだ」

「そうだな……楽しみだ」


2人は顔を見合わせると本当に楽しげに…獰猛に笑った。



「……寒気がする」

「……同じく」


自室で酒を飲んでいた靖子と貴子の2人は寒気にぶるりと体を震わした。

その勘とも言える物は正しい……5分後には此処に化け物共が2人を喰らいにやってくる。

それを理解したのか二人は顔を見合わせると自棄酒のように酒を仰いだ。

テンションを上げていかないとやってられない。






「!?」

「え……?」


「どうしたんですか?」


同時刻、咲と衣の2人は同じく寒気を感じる。

体が震え止まらない。

そんな2人を和は心配し声をかける。

だが、2人にはそれが聞こえてない様だ、2人は必死に体を抑え込む。


(1人……否!2人か!!)


咲とは違い゛夜の為 ″若干余裕がある衣は考える。

気配を感じる事に集中しここに入り込んだ゛奇奇怪怪″な輩を捕らえる。

2人のうち1人は自分達を超える正真正銘の化け物クラスであった。

そのより強い方のせいでもう片方の実力が今一判らないがコレだけの気配を出しているのだ、弱いわけがない。

衣はニヤリと口元を三日月の様に歪める。


「明日は楽しめそうだ……」








「ん~朝か……」


アレから咏と共に靖子達の所へ乗り込み大暴れをした後、咏と共に自室へ戻った。

咏は始終楽しそうに笑っていた、最近戦えてなくて暇だったのだろう。

京太郎は慣れているので問題ないが他の2人は終わる頃には気絶するかのように倒れていた。


そんな光景を思い出しつつ京太郎は隣に手を伸ばす、勿論愛しの人を抱きしめる為だ。


「ありゃ…」


だが伸ばした手は空を切る。

布団を捲ると其処には誰もいない、昨日終わってからも熱が冷めなかったので色々致し2人一緒に寝ていたのだが。

どうやら朝一で帰ったらしい。

少しばかり残念な気持ちになるも咏の事だ1ヶ月しないうちにまた来るだろうと思った。


「ふぁ~……」


京太郎は欠伸しつつ腕をぐぐ~と上に上げ背伸びをした。

閉じた障子の間からは朝日が流れ込んでいる。

京太郎は立ち上がり障子を開け体いっぱいに朝日を浴びた。


「今日もいい天気だ」


雲ひとつない快晴に少しばかり目を細める。

自分のトレードマークで扇子を取り出しぱっと開く、其処には猫と叢雲が描かれていた。

その扇子で自分を扇ぎながら今日の戦いへと想いを馳せる。






「……靖子どうしたのよ」


久が朝風呂から上がり自室へ向かっているとロビーの椅子でぐったりしている靖子を見つける。

合宿前にプロの威厳がどうたらこうだら言っていたが今の様子を見ると威厳なんかなかった。

久の言葉に少しばかり反応しゾンビの様に動くと其方に視線を向けた。


「長野県はどうなっているんだ……化け物揃いじゃないか」

「はぁ……」


要領の得ない言葉に久は何とも答えに困った。

よく判らず黙ったまま眉をひそめ靖子を見る。

靖子は頭を押さえ自分の前にあった水を煽った。


「なに…二日酔い?これから本番(麻雀)なのに」

「むしろ昨日の夜が本番だったな……」


更に判らなくなった。

昨日の夜、靖子とゆみにまこそれと自分…その4人で打っていたが其れの事だろうかと考えた。

だが、何か違う気がした、と言う事は昨日の終わった後に何かあったのだろう。

そう久は結論付ける。


「それじゃ、少し戻って休むよ」

「あっ……」


久はもう少し深く聞こうとしたが靖子は立ち上がるとふらふらと自室へ足を進めてしまった。

靖子は戻る際に片手を上げひらひらと久に振る。

そんな光景を見て久は諦め自室へ戻った。





「それじゃ始めましょうか!」


久の言葉に全員が盛り上がり、わいわいと騒ぎ始める。

まるでお祭りのようだ…いや雀士に取っては祭りのようなものだ。

誰に挑んでもいいのだ、強い人、気になる人、誰でも構わず誘い対戦をそれぞれしていく。


そんな中、京太郎はただ1人壁際でボーと見ている。

誰にも誘われなったのだ。

ちょっとばっかし傷つくもしょがないかとため息をついた。

ただ1人の男性にしてたかだが男子個人戦1位を取った程度だ。

男子と女子では明確的な線引きが今現在されている。


男子は女子に劣っている…それが今の世間一般的な考えだ。

そんな思考に少しばかり悲しくなるが気持ちを切り替え周りの気になる人を見る事にする。


「それだじぇ!!ロンッ!!」「ははっ……軽いな」

「裏ドラサービスだし!」「乗っても変わらんじゃろ」

「……」


辺りを見渡すと本当にお祭りのような熱気を感じる。

昨日の夜にある程度、熱を発散した京太郎でさえまた燃え上がるのを感じる。

さてこのままふらふらしていても始まらない、何処かに入れてもらおうかと思考していると。


乙だよー
モモはやっぱちょーかわいいよー
京太郎も師匠と同じ火力特化なんだろうし魔境の住人たちとの闘いも期待



「須賀、こっち入れ」

「……丁度良かった」


貴子に呼ばれ其方へと向かう。

今日は少々運がいいらしい、探そうと思った矢先に指名が入った。

京太郎は扇子を取り出しふらふらと其方へ向かう。


「ここで頼む」

「あれ……」

「昨日ぶりだな、よろしく」

「須賀君ですか…宜しくお願いしますね」

「……よろしくっす」


加治木ゆみ、原村和、東横桃子の3人が着いている。

3人から挨拶をされ京太郎もよろしくと返す。

随分東横さんにきつい卓になったものだと思いつつ貴子を見る。

貴子は京太郎の視線に気づき桃子を1回見るとニヤリと笑った。


(この人確信犯だ)


性格悪いなーと思いつつ席に着く。

まぁ…世界大会もあるのだ、そこでの戦いに備えての事なのだろうが、大人の手の上で転がされる桃子を少々不憫に思うも何も言わなかった。

此処で自分が何を言っても無駄だ、其れにこれを乗り越えれば実力もつく。


「さて始めようか」


仮親を決める為のサイコロがカラコロと回り始めた。


やっぱりモモじゃないか!(歓喜




「ロン」

「っ!」


始めてから数局、京太郎は桃子から和了った。

和は元から桃子を卓上限定だが見えている。

ゆみは単純に桃子と打ち慣れている為の警戒。

2人の方へと桃子の警戒が向いており狙うのが簡単だった。


「やはり君はモモの事が見てるんだな」

「………」


京太郎はどう答えようかと考え沈黙した。

そんな京太郎とゆみを見て和がオカルトの話を出され少しばかり眉をひそめた。

だがあまり親しくない相手だからかそれだけで終わらす。

そんな和に相変わらずだなと思った、認めてしまえば楽なのにとさえ思う。


「…見えるっすか?」


京太郎が和へ視線を向け考え込んでいると桃子に話し掛けられた。

桃子を見るとその表情から、期待と不安を感じる。

そんな桃子を見て京太郎は少しばかり考えた。


(さて……どうしようか)


ここではいと言えば桃子と距離が縮まるだろう。

咏と会う前の自分なら喜んで答えのだが、生憎今の京太郎には咏以外の女性が目に入らない。

そもそも咏に会っていなければ自分は桃子の事を見えなかっただろう。

思考の道をソレながら考えていると桃子が少しばかり涙目になった。

沈黙を否と捕らえたのだろう。


そんな桃子を見て京太郎は頭を掻き一言小さな声で呟いた。




「……一応、見えてるよ」

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「!!」


京太郎の言葉に桃子は花開くような笑顔を見せる。

そんな桃子を見て京太郎は視線を逸らす。

さっきまでメリット・デメリットで考えていたのだ、京太郎には眩し過ぎて直視出来なかった。


(泣くのは卑怯だろ……)


京太郎はため息1つつき此れから面倒な事になりそうだなと思った。

自分の選択に後悔はない。

桃子の嬉しそうな顔を見ればまぁいいかとさえ思うのだ。

なるべく仲良くなり過ぎず、それでいて離れすぎなければいいんだと自分に言い聞かせて麻雀に戻る。

あくまで依存されない関係、一生友達っすぐらいが好ましい。





「お疲れ様でした」

「……お疲れ様です」


そんな事を考えながら進め最後に和をまくり京太郎が一位になり終わった。

桃子は4位になったと言うのに嬉しそうにゆみに話し掛けている。





                       _ -───- _
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              / /| ||l|{  、 ´ `   イ_    |  : :l l: : 八
                / / l| |l|||  __」 ̄    {、:::::ヽ、  |  : :| !: : : ∧
            / // l| ||厶斗‐::´:r‐!     /::::::::::::`::|  : :ト、: : : : ハ
              l /   /| |::::::::::::::::::/-、   ァ´:::::::::::::::::::::八 . : }>、\: : :ヘ
              | 〃 ∧!  ト、::::::::::::::::l ̄ ̄ 7::::::::::::::::::::::::/  . :j   ヽ }: : :ヘ
             l//  }/'| 八::\::::::::::|    /:::::::::,.-‐::´:::// . ::/ /´∨: : : :ヘ
             // ∨ / ハ:.:.\::\::::l  /-‐::´:_,..:.: ̄// . ∨〃   }ヾ: : : :ヘ
          {イ  / / / l ヽ:.:.:}>-::!./-‐<:.:.:.:.:.:.:.:.:イ/   ∨イ     Vヽ 、: : }{
          |ハ  }ァ'./ {   `ー-ゝ、レ_∠≠=- ´ /   . :/ l|     ト:l | l: :ハ|
          | ∨} j |l|      {_j} /    / イ  Y ヾjl;     |::|Ⅳ}/ }|
              / / イ 八l      /:/:::Y    // l |/    Y      |::l / リ|
               l〃/l|   \   {::八::::}    /    |ハ|    }   ;/ |::|  /|

「………」


その一方、和は何処か不満そうな顔をして此方を見ている。

そういえば麻雀部に入ってから一度も和達と麻雀をした事がなかったなと思い出す。

実力を隠していたのが不満なのだろう。


面倒な事になりそうだと思い、京太郎は扇子で顔を隠しそそくさと退散する。

もう少しスマートに生きたいなと思いつつ京太郎はまた壁際でまったりと見学を始めた。





それから適当に卓に入りつつ時間を過ごす。

結構な数の人を相手に出来て満足していると一角が賑わい始める。

何だろうかと近寄っていくと1つの卓を皆が囲み見ていた。


「天江さんに咲に藤田プロ……それに龍門渕の?」


扇子でパタパタと扇ぎながら状況を確認していく。

点数を覗き見るとどうやら龍門渕のお嬢様が優勢みたいだ。

珍しい事もあるなと思いつつ見続ける。


「なぁ……東横さん、今何局目?」

         )    :       x < ̄ 7  、
          (    ゝ.    ノ´   | ./ \ 〉、
           `ヽ     ̄      {/ \/Y i
         :     )      __ _jト. Xヘ. | i i|_   x ≦ 「 ̄` i
    \  ノ   __ /    .  ´   >⌒ .:::: しし.ノ::::::x<二.  「 ̄ `i
.      Y         /    / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::弋 .__ノ ⌒ヽ!
      |  \ _. _  /     . ' .:::::::/ .:::::::::/:::::::::::::::::::::::::::└ ─:十
      i   ./ / / }     / .::::::::/.::::::::::// .::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :: .::
      .  / / / /∧     .' .::::::::∧.::::/ / .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
       V / / // ∧   i:l::::::::/ /∨\ / .:/:::::::::::/ .:::::::::::::::::::::: リ
       ∨ / // / ∧  .从:: / /j 心  |::::/|:::: /! .:::::::::::::::::::::::::/
.        ∨ / ./ / ∧  / Y /r' ::::il  レ' l!::/`ー|--::::::::/:::::::::: /
         ∨ / / /  ∨:: // ゝ=='    Nト、 |::::ノ::::/::::::::::::/
.         ∨ / ./   i|:::::{ i """ .    /j:::心Y .:::/::::::::::::/ /
          ∨ /   /l|:::::| |           ir' :::iリハ:::/:::::::::::://      . '
             V   / l|:::::| ト、  、_     ゝ==' | V:::::::/::::i       /
                .  .'  l|:::::| | \  `´   __ . |/::::::/::: 从     /
            Ⅵ/ /从::::|人/「≧=ニ二.::::::::|:i::::: i/     /
             ∨/_  )リ∨  |  __ノ 〉´ ̄ ̄!:l:::: |    /
             /´ // ⌒「「Ⅹ「 ̄  /     |:i::::::|   /
           . '   //   j:::::7へ /      从ハ! /
             /     i i  /::/ /    、 / / /
.            i     | |/::::/ /        Y / /
         人     | |:::::://          レ /
           i> .  l l:::/          /´
             从.   }o!         /
           i    | |      ー <
           |    | |      . ' {
           |    | |      /   !
           ト、  .|o!     /   |
           /∧   ! |    '    ト、
.          // ∧  | |         \

「2局目っす!ちなみに1局目は龍門渕のお嬢様が1位っす」


京太郎の問いに桃子が当然のように京太郎の横に姿を現す、ポーズを決めドロンと効果音がつきそうな登場の仕方であった。

周りに居た人は桃子に驚くも京太郎は普段通りに対応する。

京太郎から見れば隣にいた桃子が行き成りポーズを取り出した程度なのだ。


それに先ほどから期待した目で此方を見ていたのを京太郎は気づいていた。

スルーしようと思ったが無理だった、けして胸に釣られた訳ではない、断じて違う。




モモかわ

ハーメルンは長期連載ならではの演出とか出来るからな
咏の教えを思い出して敗北はssで泣いた久しぶりのもんだった

それはそれとしてモモ可愛い



「…そっか、最初からお嬢様はあんな感じだったの?」

「そっすね、静かな入りだったっす」


取り合えず無難な話題を振りつつ麻雀を観戦していく。

暫く見ているとある事に気づいた。

咲が鳴いていない…衣もお得意の海底を出していない。

派手な和了もなく淡々と進んでいく。


「ふ~ん……」

「何か判ったんっすか」


京太郎は扇子を閉じると卓の上の河を扇子で指し示す。

桃子はそれに釣られて河をみた。


「さっきから誰も鳴いてない」

「…そうっすね」


まぁ…確かに京太郎の言う通りだ。

先ほどから誰も鳴いていない、しかし鳴かない事もままあるものだ。

それが何だというのだろうか。


「咲も天江さんも鳴きや河を使った和了をするスタイルだ」

「あー……」

「それなのに誰も鳴いてない上にロン和了もない」
「どちらも゛河 ″が関係する、河の支配…もしかして゛流れ ″も支配してるのかもな」

「……チートレベルっすね」


咲はまずポンやカンをして鳴くスタイル、まず封じられるだろう。

衣の能力は衣自身が海底牌を引かなければ出来ない。

その為には鳴く事で順番をずらさなければいけないのだが河の支配でそれが無理だ。


咲や衣は能力だけでなく、ここぞって言う所で欲しい牌を引き寄せる幸運を持っている。

能力に頼らずとも普通に和了事ができるだろう。

だが現在和了続けているは透華のみだ。

そもそもプロである靖子でさえ中々和了れていないのだ。

京太郎はそんな情報から3人とも゛流れ ″が来ていないのだと考えた。


冷やし透華か……うたたんが来てた事と京太郎の炎に中てられて、キンキンに冷えたみたいですね



「色んなオカルトがあるもんだ」

「私の含めて多様っすね」


そんな事を呟くと隣の桃子が相槌を打ってくれた。

扇子で自分を扇ぎ見ていると桃子が此方に視線を向けている。

まだ何か話したいことがあるのだろうか。


「何んだ?」

「麻雀……得意なんっすね」


「あぁ……うん、何度も何度も叩き潰されればね」

「?」


京太郎は桃子に顔を引きつらせながら答える。

脳裏には何度も何度も覚えるまで叩き潰された思い出が蘇る。

暇さえあればネット麻雀で咏と対戦し潰されていた。


プロとの対戦動画を持ってくるとその相手のオカルトや対策を考えさせられる。

間違っていれば罰ゲームだ。

その後、思い出を忘れるかの様に桃子と世間話を行なった。





「お嬢様が1位だな」

「そうっすね」


麻雀を観戦しながら話していると2局目が終わった。

咲達はまだ続けるのか座ったままだ。

桃子との会話も楽しいし、観戦を続けるのも勉強になる。

京太郎と桃子がそのまま観戦モードに入っていると靖子が席を立った。




「須賀、お前が座れ」

「………」

「え?」


靖子は此方を見て京太郎に自分の代わりに座れと指示をする。

京太郎は眼を細め扇子で口元を隠した。考えているのだ。

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    !、,___.  /::/::::::ハ:::|_|::::::|:::::::|::::|::::!::::::/!::::::::{   }:::l.!::::|:::::::ハ:::::ト、    ___,ノ
.           /|:::|::::::::|_,メ! |::::::|:::::::|::A斗:::::ト、:::::::|-‐ ´|/ l::/!::::/:::':::::, \
         | |:::|::::::::「 x=ミ、::|:::::::|/x≠ミ::| \::|  ,x芹刈/::/::::::::::::|  \
           ヾ\::::ト {:! 刈:::::::!〈 ,f:::心`   ヾ〃 {::::心 !:/}::::::::::::::!    ヽ
                ヽ:|  |j ノ |::::小、弋;;;ツ     弋;;:ン .|j/:ヽ::::::::::\
             ノ      |::'::ゝ; ヽ , , ,  ,   , , ,  |:::::::::\::::ト::::ヽ
             ヽ  ' ' ' uヽ:::;::::、 \  ___,、   ,.イ::::::::::::::Ⅵ:.、\!
             ゝ_ -- 、   V:::::込、u {      ヽ,イ:::|::::::::|::::::|::|ヾ!
               \ __ノ u ';:::{:::::|::`::ト __,..<-.|::::|::::|:::!::::::!::|
               `ーr:::::´:川:::::ト、:::|   /ヽ.:.:.:.:ト、:!::::!::|::::::|:::!
                  |ヽ!ヽ| `ヽヽル' /.:.:.:.:.:_/.:.:.:\|从:/川
                 ∨.:./.:.://Y7/.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\



桃子の視線は京太郎と靖子の間を行った着たりしている。

皆の視線を集める中、京太郎は考え終えたのか結論をだした。


「判りました」


そういうと京太郎は席に座り挨拶をした。

よろしくと挨拶すると透華は無言で頷ずき、咲は此方を心配そうに見ている、衣は誰でも同じだと言わんばかりだ。

京太郎は然して気にせず扇子で自分を扇ぐその様子は誰がどう見ても楽しそうだった。




               _ ...-‐…::::::::::::…‐....
            ......::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\

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       ,:::/:::::::::「:`メ-!:::{ l::::!r‐|::-::‐:::T:::7:::::::::::|::::::::::::::,
        l::l::::::::::::!:::;x=ミ::! ヾl  l::x竓ミヽj}::::::/::::|:::::!:::::::::
       |八:::::::::∨fr'ハ`     fr':::ハ /:::::/::::::|:::::|:::::::::\
       |! v::::::从弋ツ       弋|!ツ/:::::/::::::::|:::|:|:::::::::::::::\
       |  从::{::l:! ""//////// '"|!"::::::/{::::/´}:::';!::::::::::::::::::::\
        '  ヽ::::,             |!,:::::::{ |::::|/ノ::::::、::::::::::\:::::::::`ヽ
          /{:::込、   ^      |!|:::::::|_!::::!从::::::::ヽ::::::::::::`ヽ::::::::}
           /{ !::{::::介:.、     _.|!|::::::ハ:::l':::::ヽ:::::::::\::::::::::::}:::::/
         l:::| |::iィく::|::::::`ト-r‐   |!|:::::{ィ从|´ ̄`ト、::::::::\::::/l:::/
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            /  厂-‐ 7‐-、 ヽ /7/.|' /           ヽ::::}
            /  / -‐ j--、   V/  /     /      }::/
            /   !  -‐十-   ',  /     /{       !'
        /{  /!   ィト、     !       //      |
         } | / ,   ノ/ }    .|lト、      /       !
          | l/ {   // ト  __ _j/ ハr'   /
       / /  ヽ イ:7 / l\: :ノ / /

       , ./ヽ   l: :/ ./  !: :}  / /


「きょ、京ちゃんさんファイトっす!」

「!」


親を決め牌を自分の所に持ってくると桃子から応援が飛んだ。

いきなりの事と大きな声に皆が桃子に注目する。

桃子は勢いで言ってしまったのか恥ずかしくなり顔を真っ赤にさせてドロンと消える。

京太郎からは丸見えだったが桃子は顔を両手で隠し、しゃがみ込むと恥ずかしがっていた。

京太郎はどうやら友達認定されたらしいなと苦笑すると桃子にひらひらと手を振った。


(応援もされちまったし、負けるのも嫌だからな)


京太郎は苦笑しつつ牌を河に捨てた。

それにしてもいつの間に呼び名が変わったのだろうか、何となく深く考えると危ない気がした。





(応援もされちまったし、負けるのも嫌だからな)


京太郎は苦笑しつつ牌を河に捨てた。


(さて…まずは体験してみないと判らないな)


京太郎は河の支配が当たっているかを身を持って体験する。

自分の考えが当たっているのか確認すべく透華以外に対しての危険牌を捨てた。

目の前の衣が悔しそうにするも宣言をしなかった。


(んー…誰も鳴かなければ和了宣言もなしと)


流れを断ち切りツモ和了を河の支配でロン和了を封じる。

考えれば考えるほどずるい力だ。


(悔しそうにしたという事は欲しかった牌だったのか)


それでも和了宣言をしてない所を見るとテンパイもしてないらしい。

京太郎は思考しあらゆる点で考え込む。


「ツモ……」


思考していると透華が軽く和了、東1局が終わった。

運も鳴きも封じられ頼れるのは自分の技量のみ…そう考え、京太郎はニヤリと笑った。




まずは透華がツモった牌を何処へ運び、捨て牌を何処から出したかを見る。

これである程度がどういう形かが少しだけ判った。

本当は理牌読みをしてもよかったのだが中には毎回順番を変える人も居る。

透華がそうだと言い切れないが出来るだけ事故を減らす為、今回はしなかった。


(捨て牌に牌の持ち運び……他の人の捨て牌を含め、自分の和了は…相手の完成形は)


頭の中で次第に情報が集まり構築していく。

そして……


「ロン!まぁ…軽く2000で」

「っ!!!」


透華から安いが和了切る。

これには咲と衣に観客も驚いた、まさか破るとは思わなかったのだ。

透華の顔が少しばかり歪む。

支配を潜り抜けての一撃がだいぶ聞いたらしい、透華の支配に罅が入る。


東3局目、透華の支配に罅が入った御蔭か少しばかり支配が緩む。

次に和了ったのは衣だ。


「ツモ!海底撈月!」

「くっ!!」


透華の顔が歪み大きな罅を残す。

次第に静かな水面が揺らぎ始め少しずつ波を立て始める。

あと少しだ。


それから次第に鳴けるようになり支配が弱まっていく。

完全に支配が解けたのは南4局、最後の局数の時だ。

衣が和了、局が終わる。

結局京太郎のいい所は最初だけで3位に収まる。

1位は調子を取り戻しつつあった衣だ。




「はっ!?」


透華が突如立ち上がり辺りを見渡す。

キョロキョロと見渡し不思議そうに首を傾げる。

先ほどの事を覚えていないようだ。


「な、なんで私はここに」

「あっ!戻ったんだね、透華!」


透華のメイドである一が駆け寄り透華に事情を説明していく。

そんな2人を見つつ京太郎は一息をつく。

結局あのままズルズルと負けてしまった。

自分の奥の手を出せば勝てたかもしれないが最初の勝負ぐらいはオカルトなしで破って見たかったのだ。

本気で挑んでいないので舐めていると思われるだろうが京太郎は気にしない。

今は何より実力をつけたい、あの人……咏に勝つ為に負ける事もよしとする。

勿論悔しいのだが。


「よぉーごめんな、応援してくれたのに負けちまった」

「…あの支配を抜ける切欠を作ったのは京ちゃんさんっすから」


京太郎は座ったまま後ろを振り返らず喋る。

後ろからは桃子の声が聞こえた。

多分いるだろうと思ったが本当に居て内心冷や汗をかいていた。

少々歩みよりすぎたと思ったからだ。


(浮気は許さないぜぃ)


頭の中の咏がそんな事を言っている。

そんな脳内の咏に苦笑しつつ弁明をした。

自分にはそんな気持ちは一切ないのだ。

京太郎は扇子で扇ぎどうしようかと悩んでいると突如声が上がった。




「納得できませんわ!!!」

「ん?」


声が聞こえた方を見ると透華が地団駄を踏んでいる。

踏んでいるところを初めて見るなと暢気な事を考えていると透華が此方へやってくる。

そしてそのまま両手を卓に叩きつけ言った。

   |        ∨三二少」′   ∨         /        ` == 、_ `ヽ \
   |        ∨彡>1 7     ∨   丶 _  /               \ 丶 \ \
   !           ∨´  | !       ∨ヾ 、   7─ _ ,ィ               ヽ  ヽ ∨ \
.  /          Y  | |      ∨ヘ  ̄ 7  __,∠ `ヽ        `ヾ  ヽ  ∨∨
 〈             i  | i         ∨ヘ.  /   /  ヾ j         ∨  ∨ ∨|
.  ∨          |  ∨i、       \ゝ./   /     Yヽ         ∨  ∨ ||!
   ∨           |   ∨ヘ           ∧ヘ. /      }} ∨         i i  .|  リ
   ∨           |、  ∨ヘ       / `7ヾ       //  ∨        | |  ト
    ∨          iヘ   ゝ_ゝ_ (  、/  /  `ヾ、  /    i            | !  | \
      ∨       |∧     ¬ ニヾユ _/       /     !          |j   l   丶
      ∨       ト ∧       ハ ヾi ´ヘ、    /∧ ∧ /            !′/
      }       | ∨ヘ===≡ー' ′ }}   ` ̄ ̄´ / レ′/ !         ' /
      |       ==|´ ∨ヘ    _-べ  !|        /      |            /\
      |       |   ∨∨-'¨´    ! リ                  i             ′ 丶
      |       ト、 イ´ヾ、     j                    | |           { \ヽ \
      |         i| ∧ヽ  `    /                   | |           |    \
      |         ||   \\ _ ,ノ′           -‐ュ  | |i        |
      |         ||    、` ̄´∧ ∧/      /´./    | ||        |
      |         || i    ヽ / ∨       / /     /| ||        |
      |         || |   ヽ∧           / /     / ! |ヾ         ゝ
      |         || |    ∨ 、        レ′    /  ∨、 、        \
      |         || ゞ    ∨ ゝ、              ィ、  ∧ヘ ヽ         `
      |         ||   \   ∨   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |∨ト / ∨i  ゝ
.      !       j|    \   ∨       ヽ     ∨ | ∨/   ∨i    7 ──-、
        |       ||      \  ∨       ∨   ∨|  んへ   ヾ   /      i

「リベンジですわ!!」


そんな事を此方を睨みつつ言った。

リベンジするも結果的に見れば3局中に2局も1位を取った透華が勝ち越しているのだ。

リベンジはむしろ此方のセリフだった。

衣と咲は2人して見詰め合い頷いた。

どうやらリベンジを受けるらしい。


京太郎は少しばかり考え席を立った。

彼女のリベンジは自分でなく靖子の事だろうと考えたのだ。


「何、席を立ってますの?」

「…藤田プロにリベンジをするのでは?」


てっきり1局目、2局目と打った靖子と戦うものだと思っていたが京太郎をご指名のようだ。

京太郎がしょうがなく座ると後ろからファイトっす!と応援が聞こえる。

今度は先ほどと違い小さめの声だ。

そんな桃子に京太郎は苦笑した、大分打ち解けてしまったようだ。




4局目 東1局

河の支配がなくなり衣が好調な切り出しを見せる。

京太郎は山からツモる牌が全て悪い、まったくと言っていいほど手が進まなかった。

他の二人にはそれほどではないのかすいすいと手を進めていく。

昼間という事もあり衣の力が弱いせいだろう。


京太郎はこれが運の違いがと少しばかり嘆いた。


「ツモ!海底撈月!」


衣が最後にサクっと和了。

それを見て京太郎は扇子で口元を隠し目を細める。

さすがに今度は出し惜しみしている場合ではないと考えたからだ。

それに…2回も負けるのは悔しかった。


京太郎は眼を瞑り集中しだす。

京太郎の脳裏には広い緑色が何処までも続く草原が視える。

その真ん中で京太郎が少々古めかした着物を着ており腰には大刀をぶら下げていた。

京太郎は大刀を抜くと目の前の草むらを軽く切るかのように振るう。


『!?』


その瞬間咲と衣は異変を感じ取る。

先ほどの透華の支配以上の力を感じた。


大きな叢雲が月を覆い隠し、花を散らす風が吹く





/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////



         『月に叢雲花に風……こっからは俺の時間だ』




今日はこれでお終い
あと最初に弁明しときやす~
咏編は総集編と思ってください
この後全国へ行き 怜や姫子、照とも邂逅します
勿論、その後はずっと咏ちゃんメインですが

後明日からはメインの無人島に戻るのでこちらは無人島の合間を縫って投稿する形になるため少々遅れます

それじゃのー

咏たん編だけどにじみ出るモモの可愛さ

追記:>>1は麻雀のレベルがアニメ京ちゃんと代わらないぐらいです、なので麻雀の所で可笑しな点があるやも
そん時は笑ってください


別の世界線のヒロインみんな登場か、咏編テーマは熱血だっけ
次回投下も期待

えっと、モモ編終わった、ね?
ヒロインヒロインしすぎて胸きゅん(死語

乙です

乙です
すぐ帰っちゃたけど所々で咏たんの影が見え隠れしてるなあ

乙!
京ちゃんが『乱れ雪月花』を打ってるところを思い浮かべた

おつー
モモを当て馬にするのはヤメロください

乙です
モモが可愛すぎて困るよ

おつですー!
このうたたんとのなんとも言えない雰囲気良いわぁ...
あとやっぱモモのAAはかわいいの多いねwwww

桜花乱舞うううううう!

モモ推しの多さに草
この後怜やら姫子やら照やら出てきた日には戦争が起きるぞっ!!

いっちが出してくる子たちみんな可愛いのが悪い(責任転嫁

乙です
うたたんもモモも可愛い

藤田っていっても仮にもまくりの女王なんて呼ばれるくらいなんだから流石に咏相手とはいえそう一方的にはボコられはしないだろ

すこやんほど別格相手ならとにかく

合宿で高校生の相手するだけと思ってたカツ丼さんと

わざわざ京太郎に会うだけの為に来たうたたんのモチベーションの差だろ

乙です
もう最後の話なのかー
続きが見たいけど終わってほしくないそんな感じだな

カツ丼さん衣に舐められてたからしゃーない
衣より強いんだろうけど

オーラス迎える前にカツ丼さんか久保コーチのどっちかが高火力でトバされてマクリ不発で終局したんじゃないの?

>>646 >>649 >>654 >>655 >>659 >>626 >>628 >>633
桃子にんきやね~
AA豊富で書いてると楽しいんだよね

>>634
同士よ…あれは涙ぐんだ
京ちゃんかっこよすぎる

>>636
透華冷えてますー!

>>648
次回も……ごめん、次回は小ネタなんだ

>>650
おつありん

>>651 >>655
出番少ないけど到る所で咏を感じさせるようにしています
扇子の絵柄とか仕草とかね

>>652
なにそれかっこいい!
大剣でやるんかな?

>>653
むしろ当て馬にするならこんなに可愛く書きませんよ
咏ちゃん喰ってしまう勢いなんですが

>>656
桜花乱舞うううううう!!

>>658
可愛く書けているようで安心です

>>657
戦争だー!ヒャッハー!ハーレムものじゃないからねー

>>660 >>661 >>663 >>664
実際どうなんだろね、強さ
とりあえずカツどんさんはお酒+京太郎の能力知らなんで

>>662
次回どうしようか悩んでいる
モンハンかこれを続けるか…別の物か…うーむ…

レス見逃しあったらスマン

投下すんぜ!今回麻雀描写少しあるけど…合ってるのかな?



「月に叢雲花に風…よいことには邪魔がはいりやすく、長続きしないものだ…て意味よね」


久が呟くように口にする。

周りは観戦に忙しいのか久の呟きに反応をした者はいなかった。

そんな中、久は1人だけ先ほどの事を考える。

あれほど自信満々に宣言したのに京太郎は動かず衣がまた和了。

東2局1本場 衣の親で連荘だ。

最初の親被りの事も有り京太郎の点数は17000、それに対して衣は45000と差が大きくなった。

衣も先ほどの宣言はなんだったのかと京太郎を訝しげに見ている。

そんな視線に晒されながらも京太郎は落ち着いた態度で点棒を渡した。


「天江さんと咲が反応してたから何か有ると思うんだけど……きゃっ?!」


久が指を口元に当てう~んと考えていると肩を叩かれた。

思わず声を出してしまい周りの人が何事かと久を見る。

そんな周りの人に顔を赤くしながら久はなんでもないと伝えた。


「驚くじゃない、靖子」

「はっはっは、結構可愛い所あるじゃないか」


靖子の言葉に先ほどの醜態を思い出し、また顔を赤くした。

久は深呼吸をし熱を追い出すと靖子をキッと睨んだ。


「もう、一体何の用よ」

「ふふふ…怒るな、須賀少年の事が気になるのだろ?」

「!」


怒る久をなだめながら靖子が口にする。

その言葉に久は怒りを忘れ目を丸くし靖子を見た。

その目はやっぱり知っていたのかと訴えているようにも見えた。


「何を知ってるのよ」

「知りたいか?」


2人は小声で話し合う。

2人は話し合いながらも試合から目を離さない。

目線の先では衣が咲から直撃を貰い東2局が終わった所だった。


東3局 親 咲
京太郎 17000 
衣   36400 -8600
咲   27600 +8600
透華  19000


衣がまだリードしている。




「さっさと教えなさいよ」

「そうだな……最初に言うと須賀は゛オカルト″持ちだ」


靖子の言葉に久はやっぱりと呟きながら納得した。

これで先ほどの衣と咲の警戒も正しい事が判ったのだ。


「今の所…変わった感じはないけど?」

「まぁ…焦るな、あいつのオカルトは時間がかかるからな」


どうやら靖子は京太郎のオカルトが発揮するまで教えてくれないようだ。

そんな靖子に久は少しばかりイラっとくるも自分で考える。

久が考え込む様子を見て靖子も嬉しそうに微笑んだ。

最初から答えを望むようならこの先(全国)でやっていけない。


「ロン!!5200…ですわ!」

「あらら…」


東4局 親 透華
京太郎 11800 -5200
衣   36400
咲   27600
透華  24200 +5200


京太郎が透華に振り込む…これで和了ってないのは京太郎だけになった。

大きく振り込むも京太郎は参ったなと軽い笑みを浮かべるだけであった。



(……先ほどのは気のせいか、平平凡凡ではないか)

「リーチッ!」


衣は京太郎をチラっと見るも直ぐに目を離しリーチをかける。

流局まで残り僅か…ここらで止めの一撃を放っておくのもいいだろう。

他の人も河に牌を置いていき、衣の番が回ってくる。

自分の力を把握している衣はツモった牌を見て直ぐに河に放つ。

そのまま何事もなく進み衣が海底牌をツモり和了。

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  !/|__フム.i_!.L_   //i !>`'ソ   / /,ニノ!ニ/フ   ノ.|( _>i .|
 |_./-ァ.ク;ク !ー' ノ/ ノ'ヒ'ノ\∧. ´_!.| フ///    | /'´iヽ! !
ヽ:::::::::、 ̄ヽノ` ゛´ `!=ニ⊃`ー' `'" ̄ヾ/     ´  `ヽノ
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   、:::::::\          ,..-V-、         /:::/
   . \:::::::\      / '´ `. ゙、       /:::/
     `ー-、::`ー-、   !、|wli!wii ゙、.    /:::/
        `ー-、::\/人ゝーィ| ! ゙、_,..-‐´-‐'

             >,イ´ )´艾`)、゙、´>、
       _,.. -‐,.´ィー-イフノ,、ヾ ト、`、<_ー-、__
      彡,..-‐/////_,.-/´ `V、_゙、゙、゙、` ー-、ミ

         // /// 人ノ    ヽイ i ゙、゙、゙、



「ツモ!!!!2000・4000だ」


衣の後ろに丸い満月が映りだす。

その月に見えざる手が手を伸ばし掴んだ。

先ほどまで゛本調子 ″でなかった衣が調子を取り戻す。



南1局 親 京太郎
京太郎 9800  -2000
衣   44400 +8000
咲   25600 -2000
透華  20200 -4000



  ./   /´         ` <ヽ. ∨::::::::::::::::::::::::::/
  /  /    i     !      `ヾ ∨:::::::::::::::::::::/!
 .'  .' ./ i  |       |          ∨:::::::::::::::::/ i!
 |   !  l  !  i!     ハ  !  ! |   Ⅳ:::::::::::::/  !
 | | |  | .|  ハ     ||ヘ |  | ハ !  l ∨:::::::/  .!
 | ト、 Ⅵi! 大 T´ヽ   i」__|_|! ,! / |i!  .! ∨:/   !
 Ⅵ \ヘ从x仔ぅミヘ   |i{ _|_|_!7i7ーリ|  ./ /∨    l
  ヾ ! | ハ 込_q  \{ " {r':うrミx/ / /      !
    | ,.| ハ    ,     ゞ。_7/イ  i'         !
   // | 人            /   |       |
   〃 !   !> . `      _ ,.ァ'   !       ∧
  /  |   |>'´ ` ー、‐≦´//    iト 、        ∧
 /   |   |     /≧v≦ミ|    i! /`i 、    ∧
./    /|   ト、  //      !     l//  \   ∧
   ./ .!   ト、三彡'  「 ̄ ̄ヽ|    |∠_   /Y    ∧

「…つまらない」

「…」


京太郎達が海の底へと引きずりこまれる。

咲は1度受けた事があるので冷静に透華は悔しそうにしていた。

そして…京太郎は顔を俯かせ抵抗せずに海の底へ沈んでいく。


「始まったな」

「え?」


南1局が始まり衣以外の3人が苦しそうに牌をツモっていく。

いや…京太郎は顔を俯かせ気味にしていてよく見えない。


そんな京太郎を見て靖子は呟いた。

知らず知らずの内に手をギュっと握り締める。

久は靖子の反応に目を少し向けると直ぐに京太郎に向き直る。


「何が始まるの?」

「…花火かな」


久の言葉に靖子は小さく呟いた。


「ツモっ…2000・4000」


衣が順調に和了った、京太郎は親被りで4000の出費、痛い程度ではない。



南2局 親 衣
京太郎 4800  -4000
衣   52400 +8000
咲   23600 -2000
透華  18200 -2000




「゛何とか間に合った ″」

「何…?」


南2局衣の親番、京太郎が此処へ来てそんな事を言い出した。

京太郎は俯かせていた顔を上げると扇子を大きく開き口元を隠す。


(…目が死んでない)


衣の視線の先で京太郎は目を細め強い眼差しで全体の場を見ていた。

そんな京太郎を見て衣は僅かに震えた…ここで潰さなければいけない。

ここで……


「リーチッ」


衣が気配を感じ取ったときには遅く京太郎はリーチ宣言をした。

京太郎の手つきは非常に滑らかで牌を握り慣れているのがよく判るほどだった。

少しばかりその光景に見入り衣は反応が遅れてしまう。


「どうかしましたか?」

「はっ!?」


京太郎に声をかけられて衣の意識は浮上する。

先ほどの光景を振り払うかのようにぶんぶんと頭を振った。

衣はツモり自分の牌を注意深く見た後に京太郎の河にも注目した。

いつもは感覚で打っているのだが今回は当たるとやばい気がしたのだ。



「これだ」


トンっと軽い音を立て一枚の牌を河に放出した。

それに合わせてチラリと京太郎を見るも口元を扇子で隠しニコニコと微笑むだけだった。

なんだか子供を見るかのような目に少しばかりムっとしてしまう。

そんな衣と京太郎のせめぎ会いをしていると京太郎の番が回ってくる。

京太郎は衣から眼を離すと牌をツモる。

その牌をこれまた流れるような動作で4つ合わせて倒した。


「カンっ!」

「え?」


カンをした瞬間、対面の咲から声がもれた。

まさか京太郎が自分の領域に踏み込んで来るとは思わなかったのだ。

新たな牌を京太郎がツモると京太郎は扇子を勢いよく閉じた。

パチンと大きな音を鳴らし全ての牌を倒す。

―――――和了だ。


「リーチ、一発、ツモ、嶺上開花、三暗刻、ドラ2……」


衣は海の底からか上がってくる熱く眩い火の玉を見た気がした。

その火の玉は海から勢いよく上がるとひゅ~~~と甲高い音を立て空へと上がる。


京太郎の手が裏ドラへと伸び裏返した。

それと同時に上に上がった火の玉が大きな音を立て花開く。


「裏ドラ゛6 ″…数え役満だ」



南3局 親 咲
京太郎 36800 +32000
衣   36400 -16000
咲   15600 -8000
透華  10200 -8000




「…何が後継者じゃないだ、しっかりと受け継いでるじゃないか」

「……あれが須賀君のオカルト?」


靖子の呟きが聞こえてないのか久は呆然としている。

そんな久を見て靖子は苦笑した。

思い出すのは昨日の夜の事だ。

いきなり酒を飲んでるときにやってくると二人して大暴れだ。

お酒を飲んでいたという事もあったが飲んでいなくても結果は変わらなかったとも思った。

2人してバカスカと大きな手で和了続け、まくる所ではなかったのだ。


「靖子アレって何なの?」

「…ん?」


昨日の事を思い出していると久が京太郎達から目を離さず聞いてくる。

それに対し靖子はどういえばいいのか思い悩む。

靖子自身全てを知っているわけではないのだ。


「……Cat Chamber」

「え?」

「言えるのはそれだけだな」


師匠である咏の称号を伝えるだけに収めた。

咏と似たようなオカルトだが京太郎のはどこか違う気がする。

それがよく判らないので少しばかり濁したのだ。


「これで終わりだな」

「…もう一回だ!もう一回!」


靖子が考えに沈んでいると大きな声が聞こえた。

どうやら終わったらしい。

京太郎が最後の牌をバタリと倒し全てが終わった。

何度も何度も花火を打ち上げるかのように連続で京太郎が和了切り勝った。


キャ~キョウチャンサン スゴイッス!

モウイチドダ!モウイチド!

ワタクシモ!ワタシイジョウニメダツナンテ

キョウチャン、ナンデリンシャンカイホーデキルノ!?


靖子の視線の先では衣と透華が京太郎に再戦を申し込んでいる。

咲と桃子には攻め寄られ混沌な場が出来上がっていた。

靖子はため息をつくと場を収める為に混沌とした場所へと向かった。


「うう~~~」

「唸るなよ」


京太郎は唸る桃子に目を細めなだめる。

合宿も終わり皆が帰る時間になると桃子が車の中で唸り始めたのだ。

桃子自身自分の事を完璧に捉えられる゛友達 ″が出来たのを嬉しがっていた。

だが住む場所が違えば当然別れる事になる、それを思い出したのが帰る直前の事だった。

桃子が当然の様に京太郎を車に乗せようとして京太郎に言われ気づいたのだ。

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.       | У    、 V/ヽL - '′      {       ノ


「迂闊だったっす」

「むしろ当然の様に車に乗せられそうになって驚いたんだけど」


車の中でしゅんとする桃子を見て京太郎は本当に自分に気が無いのか疑い始める。

この数日で桃子が自分を初めての男友達としてしか見てないことを知った。

少し残念に思いながらもほっとしたのは内緒だ。


「まぁ…応援に来るかも知れないんだろ?」

「一応そんな話は上がってるっす」

「そん時に遊ぼうぜ?個人戦をサクっと優勝して時間作るからさ」

「本当っすか?」

「おぅ……彼女に疑われないぐらいには!」


桃子は京太郎の言葉にくすりと笑った。

そんな桃子を見て京太郎も笑う。


「それじゃな」

「またっす」


もう車が出る時間だ。

2人は窓越しに手を振り挨拶を済ませた。

数分後には車が音を立て走り去る。

最後の最後まで桃子は車の窓にしがみ付く様に此方を見ていた。

そんな桃子に京太郎は見えなくなるまで手を振り続けた。





















「って感じだったな」

「……それって友達なのか?」

「どちらかと言うと別れを惜しむ恋人みたいな感じに思えたんだけど…」


冷房がよく効いたホールで京太郎と赤と金色の髪の色をした男性と爽やかそうな男性が話をしている。

この2人は京太郎と個人戦の決勝で渡りあった3年生だ。

2人とは知らぬ仲ではないのでこうして話をして盛り上がっている。


「俺達2人からすれば十分友達なんだがな~」

「どっかズレてるぜ」

「同感だね」


3人はそんな他愛無い話をしながらホールから会場へと向かう。

今現在会場では男子団体戦が行なわれている。

インターハイの日程としては男性団体⇒個人戦⇒女子団体⇒個人戦となっており個人戦しか出ない3人は暇を持て余していた。

それなら団体戦を見て個人戦に備えようとなった。


「それでさ、後輩の奴が…」「君の所も相変わらずだね」「そっちも後輩先輩じゃない気がする」


「ごめんな~通してくれへん?」


「あっとすまない」


廊下を3人並んで歩いてたので通行者の邪魔になってしまったらしい。

3人は顔を少しばかり赤くし一列に並んで謝罪した。

少しばかり話しに夢中になってしまった。




「おおきにな~」

「此方が悪いので」


京太郎の横を5人の少女達が通り過ぎる。

それを何気なく見ているとその中の1人と目が合った。

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    l/ l|::::::::i|::::::::|    ''     , `¨ /::::|::::::::::::i|
     '  八::::/i|::::::::ト、    _   '' /:::::i|:::::i|::::リ
       ∨从:::::::| \      , イ.!:::/i|::::/!::/
         _.ノマ'\:|     ーr: ≦/:::/|:/ |::/ |/
   _,.‐=ニニニニニ\    ∧\::// _ノ'′ノ'
 ∠ニニニニニニニニニ\   { ∨ニ=‐- .,_
./   `\ニニニニニニニニ丶 ‐=- Ⅴニニニニ7 、
i       \ニニニニニニニニ\  〕ニニニニニニ∧

「…」

「…」


少しだけの間、眼が合っただけなのだが京太郎には長い時間に感じられた。

暫く見ていると先に進んでいた二人から声をかけられる。

会場に行かなければ行けないことを思い出し京太郎は前を向くと歩き出す。

そんな京太郎の後姿を眼が合った少女は親友の女の子に話かけられるまで見ていた。



今日はここでお終い
麻雀描写で間違ってる所あるんだろうなー…描写している人すごいなと思う

ちな京太郎のオカルトは咏に与えられた物と自分の物の二つあります
それじゃのー

乙です


来世を見通す

乙です


運命の出会いかな

乙です
うたたんのオカルトは燃えるね
モモもかわいい

乙!

乱れ雪月花はサガシリーズ伝統の大剣技ッス(一部例外あり)

タイトル毎の凝ったエフェクトがすばらです!

赤と金の男……はっ!

乙 続き楽しみ
>>684 ククク…

男子の黄金世代とか言われてそう

おつー

うたたん編終わっても続けて欲しいなぁ……

乙です
火力はロマン

槓したら一発は付かないかな
それでも13翻あるから影響はなさそうだけど

槓したら一発は付かないかな
それでも13翻あるから影響はなさそうだけど

乙だよー
初代ヒロイン!初代ヒロインじゃないか!

>>644
これって4半荘目の東1局ってこと?

読んだ感想としては、単純に好みなのもあるけど話はとても良い
これからも応援していきたいと思う
ただ所々の変な表現は何か勿体無い
水を差すような事は言いたくないけど、やっぱり気になる

まず -文字- みたいな書き方だけど、使い方に一貫性が無い上に多用しすぎていて口説い
あとはこれを使っている部分は大抵音読した時に不自然な事が凄く多いから読み難い

もう一つは ゛文字″ という書き方というか、囲いに使っている文字の字体が合ってなくて不格好
些細な事ではあるけど、普通に "文字" じゃ駄目なの?

>>693
うん、ダメ

別に気にならん

誤字脱字もスルーされるのが多いSSに何を求めてるのか

SSと小説を同視してるアホでしょ、スルー安定

ダメとは言わないと思うし、正しい指摘なのかもしれんけど、言い方がなんかいやらしいのよねー
上からだし

特に気にならないし、なによりおもしろい!だからそんなんどうでもいい。>>1の好きにすりゃいいのさ

水に落ちた犬を叩く論理を発揮してもいい感じの流れ?

そうおもう人もいるのかってとこで止めときゃ良いじゃないの

気持ち悪い流れだな

>>677 >>679 >>681
オツありん

>>678 >>680
何かを感じ取ったみたいです

>>682
モモ可愛い!なおまだ出番がある模様

>>683
サガシリーズのか今度見てみるかな

>>684 >>685
何にきづいたんやろか
その笑い声は友達さんしか思い浮かばんな

>>686
この2人もいい所までいくだろうね
少し前までは女子レベルだった模様

>>687
本当にどうしようね?
続き

>>688
ドラがいっぱいだと嬉しいです
カンは遂やってしまう

>>689
そやったね
カンも鳴きやね

>>691
怜が既に初代になっとるのか

>>692
言われて見直して顔真っ赤になりました
4半荘目やね

>>693>>702
貴重な意見ありがとなー
自分が直せばいいだけなんでそこまでや!
気持ち悪い流れを断ち切るよー

レス見逃しあったらすまんな
次は小ネタと言ったな 普通に本編です
小ネタが手紙関係なくなったんや


「驚いたね、まさか千里山の選手が居るとは」

「千里山?」


爽かな3年生が呟くように言ったのを京太郎は聞き逃さなかった。

京太郎が不思議そうに首を傾げているのを見て赤と金色の髪色をした3年生が驚く。


「もしかして…千里山を知らないのか?」

「あぁ……有名なのか?」


3年生は2人して顔を見合わせため息をついた。

そんな2人を見て京太郎はそんなに有名なのかと呟いた。


「もうちょっと周りを見たほうがいいよ、君は」

「しょうがない…時間もあるし教えてやるか」

「……お願いします」


会場につくまでの間、京太郎は2人の説明を受けた。

先ほど会った千里山から白糸台まで女子の注目高校を挙げていく。

それを興味深そうに聞き入る。


「それにしても…何故彼女らはここに居るのだろう?」

「ん…?男子の試合を見に着たんじゃないのか?」


爽かな3年が疑問の声をあげた。

女子と言えども男子の試合に興味を持つ者も居るだろう。

特に可笑しな点があるわけでないと赤金髪の3年が答える。

それもそうかと答え客席で試合が始まるのを3人で楽しみに待つことにした。














「怜…どないしたん?」

「ん~…なんでもないわ」


竜華に話し掛けられ、怜は何でもないと竜華に告げ前を向いた。

先ほどすれ違った金髪の少年が気になった。

何となく…何となく何処かで会った様な懐かしい気持ちになったのだ。

見ているだけで安心出来て…心がポカポカしてくる……。

怜はこの気持ちはなんだろうと考えるも今までに無い感覚に少しばかり戸惑った。


「……しもうた!」

「どないしたん?」

「客席あっちやった!」


先導していたセーラが苦笑いをしながら顔を引きつらせた。

どうやら客席の場所を間違ったらしい。

しょうがなく来た道を戻り始める。

暫く歩くと客席の会場へと辿り着く。


「あ~……人多いな」

「座れますかね」


浩子と泉の言葉に全員が客席へと視線を向ける。

人が多く座れるかも怪しいぐらいだった。

空いてる所を探し辺りを見渡していると放送が始まった。


『第一客席の解説は大沼秋一郎プロ……』

「おお、大沼プロか!」

「あー……あのお爺ちゃんか」


どうやらこの客席での解説は大沼プロのようだ。

セーラは嬉しそうに騒ぎ出すが怜は逆に不安だ……前聞いた時の解説がよく判らなかったからだ。

そんな事を思い出していると更に放送が入った。


『第二客席の解説は瑞原はやりプロ……』


『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!!!!!』

「ひぃ!?」


はやりの名前が出た瞬間空間が震えた。

男子勢が行き成り立ち上がると大きな声で叫んだのだ。

その声は大きく怜達の肌をピリピリと振動が伝わるぐらいだ。


「アカン、こっちや!」

「あわわわ……」


竜華は怜に引っ張られ隅っこへ移動する。

他のメンバーも同じく着いて来た。

怜達が横へ移動すると男子勢が勢いよく扉から外へ出て行った。

そんな様子をただただポカーンと見送る。


「…とりあえず席空いたな、座り放題や」

「そやね」


セーラの言葉に皆が頷いた。

竜華が先ほどの事を忘れ楽しそうに席を選んでいると怜がふら~と動きある席に座った。

そこは中段の真ん中の席でモニターを丁度いい位置で見れる所だった。

竜華達は顔を見合わせ頷き合うと怜の隣へと移動する。


「そんでな~…」

「そうなんですか」


近づくと怜は何やら男性と話しこんでいた。

あの短時間に怜が仲良く…と不思議に思いながら男性へと目を向ける。

明るい金髪に学生服を着ており手には扇子を持っていた。

先ほどすれ違った男子学生だった、辺りを見渡すと彼1人らしい後の2人は移動したようだ。

京ちゃんが扇子を持ってる図はなんかシュールだね






「そんでな~…」

「そうなんですか」


京太郎は相手が不愉快に思わせないよう爽かな笑顔を見せる。

咏と付き合っているとこういう取り繕いも上手くなっていく。

それが良い事なのか悲しい事なのか正直京太郎には判断できない。

今も正直困惑をしている。

先ほどのすれ違った千里山の子が隣に座ったかと思えば気軽に話しかけてきたのだ。

軽い自己紹介をして今も試合が始まるまで雑談に興じている。


(……なんだろ、この人に好かれるようことしたっけ)

「竜華がこの前…「怜!」…あっ竜華や、遅かったな」


そんな事を考えていると怜の名前を呼ぶ人が此方へやってくる。

京太郎はその人を見て胸に視線に行きそうになるも持ち前のポーカーフェイスでやり過ごす。

走ってくる人の胸は大きく走るごとにブルンブルンと上下に揺れ綺麗な形を崩しながら向かって来る。

それを京太郎は冷静な態度でバレないように見続けた。


「もう行き成り歩き出して、その人は怜の知り合いなん?」

「京君や」

(……知り合って1分も経ってないんだけど)

「長野県代表 清澄高校 麻雀部 一部員の須賀京太郎です」


京太郎は特に嫌な顔をせずニッコリと笑い自己紹介をした。

それに合わせて相手も同じく笑顔になり自己紹介をしてくれる。


「北大阪代表千里山女子の清水谷 竜華や、よろしくな!京君」

(あ…この人もあだ名呼びなんだ)

「あーん、京君呼びは私だけやのに!」「別にええやん」


竜華の京太郎の呼び方に対して怜は頬を膨らませて抗議した。

どうやらあの呼び方は怜専用のようだ。

そんなじゃれ合っている2人を微笑ましく見つつ京太郎は考える。


最近知り合いが女性ばかりなのだ、男性の友達も出来たがあの2人は、はやりに釣られあっちに行ってしまった。

京太郎も行きたかったのだが、咏に知られたらただでは済まないと思い踏みとどまる。

咏は自分より年下の女性と仲良くしてても怒ったりしない。

後で自分の所に戻ってくるからと京太郎を野放しにしている。

だが、自分と同じプロや年上の女性となると怒り出すのだ(特にはやり)。




そんな事をボーと考えていると何か人が増えていた。

先ほどすれ違った千里山のメンバーだろう。

京太郎は少しばかり苦笑し全員に挨拶をしていく。


そうこうしていると試合が始まり皆が席に着く。

京太郎は怜と竜華に挟まれる形になった。


泉 竜 京 怜 セ 浩 


である、見事に千里山の真ん中を陣取ってしまっていて辺りから視線を感じる。

千里山の関係者と思われているんだろうなと人知れずため息をつく。


「お~…上手いな~」


モニターでは地味な戦いが続いている。

女子と違い大きな手も中々出ず派手さは無いものの全員が全員上手く回していく。

それを見て京太郎は改めて自分の異常さに気づきながらも油断無く見ていく。

京太郎はどちらかと言えばオカルトもあり運もある、女子よりの人物だ。

勿論、それにかまけて練習を休む事などしない。

むしろオカルトに頼らず打つことが多いぐらいなのだ。

オカルトとデジタルの融合、それが京太郎のスタイルだ。

男子の中では珍しいタイプである。





「終わりましたね」

「そやね、それでな…これk「あーすみません」」


京太郎は胸ポケットから携帯を取り出し確認する。

やはり咏からメールが届いていた。


件名:終わったら

見終わったらここに来るように

htt………


呼び出したのようだ。

何かしたっけかと思うも思い当たる事はない。

単に会いたくなったのだろう。

京太郎は立ち上がり怜に一言断りを入れた。


「彼女から呼び出し受けちゃいまして……すみませんが俺はこれで」

「……そっか、残念やね…残念や」


京太郎の言葉に怜は悲しそうな顔をして俯いた。

そんな怜に京太郎は少しばかり胸に来る物があったがそれを押さえる。

ここで期待させても何にも出来ないのだ。

竜華に視線を向けると竜華が頷いた。

彼女に任せたほうがいいだろう。




「それでは俺はこれで」

「おぅ!またな!」


セーラの発言に苦笑しながら京太郎は歩き出す。

いや、歩き出そうとした。

誰かに服を引っ張られ動きを止められたのだ。


「……園城寺さん?」

「…怜?」


服を引っ張ったのは怜だ。

京太郎と竜華が不思議そうに怜に問いかけた。

怜はまだ俯いたままである。


「……っ、次はいつ会える?」

「………」


そう言って怜は顔を上げた。

上げられた顔はどこか辛そうに悲しそうに泣きたいのを我慢している顔だ。

それを京太郎は眼を細め扇子で口元を隠しじっと見る。


「……」

「……はぁ~」


暫くの間2人は見つめあうと京太郎がため息をついた。

そのため息に怜は体をビクっと振るわせた。


「……京君?」

「女子の応援もあるのでこの大会中は此処に居ます、また会う機会もあるでしょう」


それだけ言うと怜の顔がパーと花開くように笑顔になった。

京太郎は怜の笑顔を見ながら咏にどう説明しようかと憂鬱な気分になる。

その後もう一度挨拶をして京太郎は怜達と別れ咏の元へと急いだ。











「……怜、京君の事好きなん?」

「よー判らんわ、こないな気持ち初めてやし」


そんな怜に竜華は複雑そうな顔をしている。

先ほどの発言で京太郎には彼女が居る事が判った。

それでも怜は構わないと言い切る。

竜華は悲しいんでいいのか嬉しがるべきか複雑な心境を抱く。


「ほな、戻ろか」

「…そやね」


セーラ達が入り口で手を振っているのが見えた。

それに気づき怜は話を切るとふら~とセーラ達の方へ向かう。




-料亭-




「……よく思うんだけど」

「ん~?」


ある料亭の部屋で京太郎と咏が共に食事をしていた。

普通なら食えないような豪華な食事を楽しみながら話をしていく。


「こうやって奢ってもらうのってどうなんだろ」

「なんだ、そんな事気にしてんのか」


京太郎の言葉に咏はカラカラと笑う。

京太郎自身は結構真面目な話のつもりなのだが咏は気にしてないらしい。

笑う咏を京太郎はじーと見つめていた。

暫くして咏は笑い終えニヤリとして京太郎を見つめた。


「……年取ったら私が養ってもらうんだし、よくね?」

「……」


咏はそんな事を言って食事に戻る。

咏は食事に夢中になってるように見せてるが顔が赤いのを隠せていない。

つまりそういうことなのだろう。

そんな年上なのに可愛らしい彼女に京太郎はくすりと笑った。






「それで~何かお姉さんに言う事あるんじゃない?」

「判りますか」


食事を終え暫く2人でのんびりとお茶を飲んでいると咏が近づいてきて問うた。

咏の鋭い勘に苦笑しながらも先ほどの話をする。

それを咏は大人しく聞いていた。


「ん~ていっ」

「あだ」


最後まで聞き終えると咏は扇子で京太郎の頭を叩く。

京太郎は反射的に声を出してしまった。

痛くは無いが頭を擦りながらいつの間にか自分の膝に寝ている咏を見る。

どことなく咏は不機嫌そうだ、いや実際に不機嫌なのだろう。


「京……優し過ぎるのは毒だ」

「…仰るとおりで」

「いや……今回のは優しさですらないな、知らんけど」


そう言って咏は扇子で京太郎の頭を突っつく。

京太郎は何も言わずに咏の言葉を吟味し目を瞑る。

こうなる事は判っていた。

自分が咏以外の人に興味を持つ事は無いだろう。

だが…それでもあの人は離してはいけないと思ったのだ。

離したらそこから消える……いやもしかしたら…この世から……。


「はぁ~私は京じゃないから心境なんてわかんねーけど…最後まで面倒みろよ」

「……ありがと」

「頭撫でろー!!」


咏は頭を撫でられるとごろごろと猫のように振舞う。

そんな可愛らしい咏を最後まで京太郎は堪能した。






「それじゃ気をつけてなー!」

「…あれ?今日は朝まで一緒じゃないのか」


2人は料亭を出るとそこで別れる。

てっきり咏か自分の泊まってるところで朝までと何時も通りの事を考えていたのだが宛が外れた。

京太郎の言葉に咏は不機嫌そうに呟いた。


「明日も解説の仕事だし……マスコミ今多いかんな」

「あー…大会中だからね」


東京の街中を様々な関係者が目を光らせているだろう。

京太郎が未成年でなければ堂々と咏と一緒に居られるのだがそうも言ってられない。

実際今回の食事も結構危ない橋を渡っている。


「それで…そっちはどうなんだ?」

「ん~?俺の事?」

「いや、京の事は心配してない、どうせ優勝すんだろうし」


わかんねーけどと呟き扇子で扇いだ。

どうやら咏の中では京太郎が優勝するのが確定しているらしい。

それを嬉しく思いながらも咲達の事を考える。

実力自体は疑っていない、ただ……。


「いい所までは行くと思う」

「…優勝とは言わないんだな」


咏の言葉に京太郎は苦笑するだけだった。













(清澄は優勝できるかね)


京太郎は帰り道を1人で歩く。

歩きながら考えるのは先ほどの咏の言葉だ。

清澄には是非とも優勝して欲しいが実際どうなるかは判らない。

実力的には申し分ないが清澄は和以外大会出場経験が少ないのだ。

精神的にもきつい戦いになるだろう。


(…咲も和も何処となく危ういんだよな……部長もか)


純粋に麻雀をあの3人は楽しめてないと京太郎は思った。

色々としがらみはあるだろう…それでも卓の前では楽しんで欲しいなと考える。


「まぁ…まずは自分の事からかな」


今日の対局を見て京太郎は楽しみだと心が滾る。

やはり男性の方が上手い人が多い、女性とは違った勝負が出来るだろう。

知らず知らずのうちに京太郎は口元が上がり笑っていた。




「「あっ」」


京太郎が自分のホテルに戻ってホールを抜けようとした時二人は同じ言葉を口にした。

お互いにポカーンと口を開け呆ける。

まさかのまさかであった。


「園城寺さん、先ほどぶりで」

「京君もここやったんやね」


京太郎の目の前にはふんわりとした浴衣を着た怜が立っている。

黒い綺麗な髪は少し濡れており手には牛瓶を持っている事もありお風呂上りだろうと推測した。

怜は嬉しそうな顔をしながら此方へトコトコと近寄ってきた。


そんな怜に京太郎は先ほど咏に言われた事を思い出す。

『最後まで面倒みろよ』

嬉しそうに会話を続ける怜を見て京太郎は長い付き合いになりそうだと思った。


「そんでな~?」

「はい、そこまでで」

「なんでや!?」


とりあえずこのまま何時間でも話しそうな怜の頭をぐぐ~と押す。

先ほどから距離が近いのだ。

不満そうな顔をする怜を京太郎は苦笑しながらも離す。


「園城寺さん、お風呂上りでしょ?戻らないと湯冷めしますよ」

「そやった、竜華に怒られてまう」


軽く青ざめる怜に京太郎は背中を押して部屋のほうへと向かわせる。


「もうちょい優しくはできへんの?」

「残念ながら友達同士ならこれが精一杯」


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「……なら、しょがないかー」


怜は後ろを向いており京太郎のほうからは顔が見えなかった。

怜はほなな~と軽く手を振り戻っていく。

京太郎は怜を最後まで見送ると部屋へと戻った。

>>707
咏編の京太郎は性格もあれやしね

とりあえずここまでー
※怜編じゃないよ!咏編だよ!

あと姫子と照と……咏ちゃんと半分も進んでない件について
長いなーこのスレできっかり終えられなさそう

それじゃのー

おつおつー
いやー怜はかわいいなぁ...うたたん?わっかんねー!

乙です

おっつー
今までのヒロインを負けヒロインに繰り下げる>>1は外道

エロゲではよくあること

乙!

ほなな~
でケロちゃんを思い出す……

こんな可愛い怜を怜編で見せて欲しかった

乙です

いつもは朝まで咏ちゃんと一緒か……

乙です
どうでもよいかもしれんが念の為
安価の範囲指定はレス番号の開始と終了の間に「-」やで
>>693>>702」なら「>>693-702」

>>719
怜も咏もかわいいよー

>>720 >>723
おつありん

>>721
そんなに酷いかな?

>>722
あー最近やってないなー

>>724
ほななちわ~だっけか
小学生の頃見てたなー

>>725
この可愛さはこういった場面でしか出せないと思う
叶わぬ恋もいいだろ?

>>726
むふふですな

>>727
そーなんか 今度から使わせてもらうわ
ありがとなー

投下すんぜ


「………」


京太郎はお風呂を上がると自室のベッドの上に寝転ぶ。

少し熱い為、扇子で自分を扇ぎながらボーと考え込む。

考えるのは怜のことだ。

自分は何故こんなにも怜が気になるのだろう。


「なんだろうな~…何か思い出せそうなんだけど」


口に出してみるが胸の突っかかりは消えなかった。

わかんねーわかんねーと呟きながら扇子を弄っているうちに京太郎は自然と眠りに就いた。











「………」


朝起きて朝風呂を浴びた後、今日の予定を考える。

団体戦は昨日見たし今日は東京でも探索しようかと思い、着替えるとロビーに向かう。


「あれ」

「あっ」


ロビーに行くと見知った人に会う。

怜がソファーに座っている。

怜は京太郎を見つけると手を振った。

無視するわけにもいかずに京太郎も手を挙げ挨拶をする。


「おはようございます」

「おはよー京君」


怜はにこやかに挨拶を返してくる。

そんな怜に些か京太郎は驚く。

驚く京太郎に怜はしてやったりと笑った。


「今日予定あるー?」

「特にないですけど」

「なら一緒に遊ばへん?」

「え……」


怜は友達としてならええんやろーと暢気に言ってくる。

昨日の今日なのにと思いつつ京太郎はそんな怜に対して……


「いいですよ」

「ほんまに!?」


ノータイムで答えていた。

京太郎の言葉に怜は目を輝かせて嬉しそうな声をだす。

怜は嬉しそうにするとちょっと待っててなーといい部屋に戻った。

そんな怜を京太郎はただただ見送った。


(なんで俺は考えもせずに答えたんだ?それに……)

「それに、俺と一緒にいても辛いだけなのにって顔しとるなー」

「!」


後ろからした声が京太郎の心の内を見透かされていた。

驚きバっと後ろを見ると竜華が立っていた。



「よく判りましたね」

「ウチも同じ事考えとったからね」


竜華はそういうとアハハ…と苦笑した。

そんな竜華を京太郎はじーと真面目な顔で見続ける。

竜華はそれに気づき話し始めた。


「京君と一緒に居られる時間は大会中だけやから…時間が許す限り傍に居たいんやて」

「仲良くなればなるほど最後が辛いのに……」

「それでも初めての恋や、損得関係無しに一緒に居たいんやろ」

「………」


竜華の言葉に京太郎は黙り込む。

怜の思いに京太郎は何も言えなくなる。

そんな京太郎に竜華は手を伸ばし頬を引っ張った。


「しみすふぁにさん?」

「そろそろ怜も来るやろ、そんな顔で会うきなん?」

「………」


「怜の事よろしくな、あの子病弱やから」

「はい」


竜華が手を離し京太郎は自由になる。

そして竜華の言葉にまた考える暇もなく答えた。

今までの京太郎では考えられない事だ。

いつもなら此処で少し黙り考え込む癖があるのだが、それがなかった。


ふとその事を不思議がっているとあることに気づく。


(あれ…俺っていつから考えてから行動するようになったんだっけ?)


いつからメリット・デメリットを考えるようになった?

いつから一拍置いてから行動するようになった?

いつから………いつから………




「京君?」

「あっと、すみません」


ぼーとしていると竜華から声をかけられる。

それと同時に意識が覚醒した。

竜華は少し心配そうに顔を覗いていた。


「気分悪いん?」

「少しだけ考え事を」

「そうなん?……ならほら笑顔で」


京太郎は竜華に言われにこやかに笑った。

その笑顔を見て竜華はよしっと呟いた。


「竜華ー?ここに居たんやね」

「怜ー準備は出来たん」


そうこうしていると怜が準備を終え近づいてきていた。

竜華は怜に反応し京太郎から離れ怜に近づく。

そんな2人を京太郎はじーと見ていた。



「京君?」

「あっと、すみません」


ぼーとしていると竜華から声をかけられる。

それと同時に意識が覚醒した。

竜華は少し心配そうに顔を覗いていた。


「気分悪いん?」

「少しだけ考え事を」

「そうなん?……ならほら笑顔で」


京太郎は竜華に言われにこやかに笑った。

その笑顔を見て竜華はよしっと呟いた。


「竜華ー?ここに居たんやね」

「怜ー準備は出来たん」


そうこうしていると怜が準備を終え近づいてきていた。

竜華は怜に反応し京太郎から離れ怜に近づく。

そんな2人を京太郎はじーと見ていた。



「ほな、いこかー」

「ええ、ところでどこに行くとかは決まってるんですか?」

「…」


2人は一緒に外に出ると歩き出す。

歩きながら今日の予定を怜に聞くと怜は顔を逸らした。

どうやら何も決めてないらしい。

京太郎はしょうがないなと思いながらも携帯を出し場所を調べる。


「ここなら大丈夫かな」

「どこにするん?」

「……涼しい所かな」


携帯を覗き込んでくる怜をもう片方の手で押さえるとそう呟いた。

色々と逞しい人だなとため息をしつつ2人は移動を開始した。

何処いくん?と聞いてくる怜を抑えるのに些か苦労した。


「ここですね」

「……水族館?」


結局選んだ場所は水族館だ。

怜の体調の事も考えれば炎天下の中を歩き回るわけにも行かない。

それで思いついたのが水族館だ。


「ここなら日陰も多いし冷房も効いてますしね」

「……京君、私の事考えて……」

「ほら、行きますよ」

「うん!」


2人は入ると様々な所を見て回る。




「おー美味しそうやな」

「入って最初の感想がそれか」



「見てみ!ヒトデや!」

「むしろ他の見ようよ!?何故にヒトデ!?」



「ペンギンとかお決まりやね♪」

「そう言いつつも嬉しそうですね」



「はぐはぐ!」

「よく食べますね」

「普段は医者に止められてる物とかあるしなー」

「…」

「はぐはぐ」

「おい、まてや!」頭押さえ込み

「ふきゅっ!?」

「ちょっと医者から止められてる物、言ってくれないですか?」

「……はぐはぐはぐ!」

「スピード上げやがった」



「京君…お腹痛い」

「あんなに急いで食うからだよ」

「おんぶで……」

「NOと言える日本人なんで……取り合えず休憩するか」




「はふ~……ええなー膝枕は」

「…友達ってなんだろ」


休憩スペースで怜は寝転ぶと京太郎の膝の上に乗っかる。

承諾もなしに勝手に膝枕をしてくる怜に京太郎はため息をつく。

流石に無理に除ける訳にも行かず、そのままにさせる。



(あれ…?)


取り合えず扇ぐかと扇子に手を伸ばして気づいた。

扇子を部屋に忘れてきたようだ。


「どうかしたん?」

「扇子を部屋に忘れてきたみたいだ」


何時も絶対に持っている扇子を忘れた事に京太郎は首を傾げた。

こんな事は初めてなのだ。

京太郎が不思議そうに首を傾げていると怜が軽く微笑んだ。


「園城寺さん?」

「京君は今のままのほうがええな」

「え?」

「扇子で口元隠して考えながら会話するやろ?」

「ええ…」


怜の言葉に京太郎は頷く。

いつから始まったか判らない癖だが確かにそんな事をしている。

それがどうしたのだろうかと京太郎は思った。


「あれな、人の顔窺うようにしてる感じがしてなー」

「…」

「なんやろ…人と話すのを怖がってる気がするんよ」

「…怖がっている?」


怜の言葉に京太郎は知らず知らずのうちに体を震わせた。

そんな京太郎の頬に怜は優しく手を合わせる。

怜の体温が低いのか頬からはほんのりと冷たさを感じた。


「けど…今日はそう言った事なくてなー本当の京君と話せた気がしたわ」

「…」

「知り合って1日しか経ってない私が言うのも変やけどなー」


そう言って怜は目を瞑ると直ぐに静かに寝息を立てる。

普通の人より体力のない怜にとって午前中だけでも疲れたのだろう。

京太郎は手を怜の頭に置こうとして一瞬止める。

暫く自分の手をじーと眺めるとそのまま怜の頭を優しく撫でた。











「ふぁ……」

「あ、起きた」


怜は目を覚ますとぼーとしながら辺りを見渡す。

周りには水槽が並んでおり魚達が自由気ままに泳いでいる。


「おはよう」

「…おはよーさん」


上を見上げると京太郎と目が合った。

暫く目を合わせていると怜の脳が覚醒する。

ばっと体を起こし顔を青くして呟いた。


「あかん…デートの途中やったのに!」

「いや、デート違うし」


何やら記憶の食い違いをしている怜に思わず突っ込んだ。

いつの間にデートになったのだろうと京太郎は苦笑する。

怜は京太郎の声が聞こえてなかったのか意図して無視しているのかあわあわと慌てていた。


「とりあえず夕方だし帰るか、怜」

「残念やけど…そやね」


京太郎は立ち上がるとぐぐーと腕を伸ばし一息をつく。

そんな京太郎を見つつ怜も立ち上がると気づく。


「今、怜って…」

「ほら、帰ろうぜ?」


京太郎は特に反応せずスタスタと歩いていく。

そんな京太郎を怜は慌てて追いかけた。

そのままの勢いで京太郎の腰へと抱き付く。


「一歩!一歩前進や!」

「ええい!抱きつくな!」


怜ちゃんの好感度鰻上りやな! 信頼度がぐぐーと上がりました なんでや?!


そんな会話をしつつ京太郎と怜は帰っていった。




「む?」

「はや?」

「あれ?」

「どうしたん?」


2人がホテルへと戻ってくると入り口で意外な人物に会う。

4人が4人驚きの顔をした。


「何だ浮気か?」

「違う」


何時も通りの着物ではなく洋服を着ている咏がケラケラと笑いながら声をかける。

それに京太郎は解ったうえでからかっているなと理解した。

怜は咏をじーと見た後軽く睨む、今ので彼女が誰か解ったのだろう。

だが咏はそれを見てふふんと軽く笑う。

京太郎とはやりには2人の間に火花が散っているのが見えた。


「久しぶりだね、京太郎君☆」

「ええ、お久しぶりです。はやりさん」


取り合えず2人を無視し京太郎とはやりはお互いに挨拶を交わす。

はやりとは2年前に一度会っておりその時に何度か話をしている。

だが久々とは思えないほど軽く話せる。

アイドルをしている事もあり話しやすさが違う。




「じー」「じー」


2人で話し込んでいると何やら視線を向けられる。

何となく判ってはいたが京太郎はそちらへと視線を向ける。

咏と怜が此方をじーと見つめていた。

ただ、怜は咎めるような視線で咏は驚いたような視線を向けていた。


「京…お前、扇子はどうした?」

「あ~…部屋に忘れまして」


咏の問いに京太郎は頭を掻きながら恥ずかしそうに頭を下げた。

そんな京太郎を見て咏は扇子で口元を隠すと何やら考え出した。

はやりも怜も空気をよんだのか話しかけず、じーと2人を見ている。


「そっか…そか、ちょいとこっち来な」

「私か?」


咏は少しばかり微笑むと怜を呼び寄せる。

その行為に京太郎とはやりは顔を見合わせた。

ここで京太郎を呼ぶのではなく怜を呼び寄せた事に疑問を覚えたのだ。


「――で――な時は―――む」

「――できん、…けど―――るわ」


会話は小さく京太郎には少ししか聞こえてこない。

しょうがなくはやりとまた会話をしていると2人が戻ってくる。

咏は至極真面目な顔で怜は納得できないと顔に出ていた。


「ほな、私達はこれで」

「おぅ、京も時間空いたらまた会いに来るかんなー」

「えーと……またね☆」

「えーあーえー?うん、また」


怜に腕を引っ張られ京太郎は訳もわからないうちにホテルへと連行されていった。

それを咏とはやりは手を振り見送った。










「…ねぇ咏ちゃん?」

「…言いたい事は判ってる」

「京太郎君…色々混ざってるね」

「…」


はやりの言葉に咏はただただ寂しそうに京太郎の後姿を見送るだけだった。




「じー」「じー」


2人で話し込んでいると何やら視線を向けられる。

何となく判ってはいたが京太郎はそちらへと視線を向ける。

咏と怜が此方をじーと見つめていた。

ただ、怜は咎めるような視線で咏は驚いたような視線を向けていた。


「京…お前、扇子はどうした?」

「あ~…部屋に忘れまして」


咏の問いに京太郎は頭を掻きながら恥ずかしそうに頭を下げた。

そんな京太郎を見て咏は扇子で口元を隠すと何やら考え出した。

はやりも怜も空気をよんだのか話しかけず、じーと2人を見ている。


「そっか…そか、ちょいとこっち来な」

「私か?」


咏は少しばかり微笑むと怜を呼び寄せる。

その行為に京太郎とはやりは顔を見合わせた。

ここで京太郎を呼ぶのではなく怜を呼び寄せた事に疑問を覚えたのだ。


「――で――な時は―――む」

「――できん、…けど―――るわ」


会話は小さく京太郎には少ししか聞こえてこない。

しょうがなくはやりとまた会話をしていると2人が戻ってくる。

咏は至極真面目な顔で怜は納得できないと顔に出ていた。


「ほな、私達はこれで」

「おぅ、京も時間空いたらまた会いに来るかんなー」

「えーと……またね☆」

「えーあーえー?うん、また」


怜に腕を引っ張られ京太郎は訳もわからないうちにホテルへと連行されていった。

それを咏とはやりは手を振り見送った。










「…ねぇ咏ちゃん?」

「…言いたい事は判ってる」

「京太郎君…色々混ざってるね」

「…」


はやりの言葉に咏はただただ寂しそうに京太郎の後姿を見送るだけだった。


なんか間違って3回連投しちゃった…あれ?
……見なかったことにしてください;
あとヒロインはとk…咏ちゃんです

怜の出番はほぼ終了
次姫子だねー

それじゃのー

桃は!?桃はもう無いのか!?

乙です

ヒロインは京太郎?(幻視)

乙です

乙!
姫子も楽しみ!プンスコ

はやりんも可愛くて困るww

なんと
世界線が収束していたのか

おつおつー!
様々な世界線の因果が京ちゃんに収束してとてつもない力が...!

世界線の収束というと某ナド思い出す

………咏編やって後日談書くと絶対このスレじゃ終わらんね
次のスレ立てても大分余るだろうし何人か追加しようかなと思ってます。

今考えているのは 恭子or洋榎or淡

恭子は手紙の中の優秀な自分と現実の自分を比べての苦悩とか(京太郎は姫松通いで恭子が文通相手と知らない、恭子は知ってる)
洋榎は手紙の中ではお淑やかな自分、現実では騒がしい自分…全国大会で京太郎と会うことになって…的な話
淡は京太郎と会って麻雀するも京太郎が弱すぎて気持ちが冷める、それを京ちゃんが必死に頑張る的な話

この3人で見たい話ってあるかな?他にもこの子見たいなとかあれば教えてー
こんなシチュもいいんじゃなかなってのもあればお願いします。(いいなと思ったらたぶん書く)

恭子面白そうやなぁ

ではエイスリンなんてどうでしょう?この場合、砂浜に流れ着いたビン入りの手紙から始まる話で…
文通やってる内に、話すのはダメでもそれぞれ読み書きなら完璧になったお互いの、言語の壁を越えたラブストーリーなんてどうです?

ネキのは見てみたいな
手紙の中でお嬢様っぽくふるまって実際に会うことになってどうしようっておろおろするネキとか可愛いんじゃあ

ネキは見てみたい

あと豊音で外の世界に連れ出す京太郎とか
海岸に流れ着いた瓶詰めの手紙を拾って~とか長野に海ないけど

>>755
家族で旅行した時に拾った事にすれば、無問題!

はやりんとかどうですか?
アイドルっていうのを隠して文通して、それからマネorファンにばれて…的な

手紙流れ着くの海外からなら中国から日本がワンチャンじゃないか?
と思ったが海外旅行先で拾ったことにすれ問題ないな

あとネキ見たいです

最後消し忘れた

……大事なことなので2度ってことにしとこう

シロなんか見てみたい
手紙だけはダルダル言わず行動が早い

淡と普通にげろ甘なやり取り(未交際)を

顔を合わせれば口喧嘩、けれど文通ではすごく仲良し(互いの正体に気付いてない)
そんなある日、文通相手が京太郎だと気付いて…

って感じで池田とかどうだろう

あんなに懐いてたのに麻雀が弱いの判った瞬間に興味無い視線を向けられる京太郎か・・・

>>763
胸熱じゃないか
>>1
僕もシロが見たいです

洋榎ちゃんが見た過ぎて泣きそう
俺的に洋榎ちゃんの良さはまず以外と真面目な所なのだ
制服をキチッと着てる所とかスゴクいい
絶対男子とかから隠れた人気があるタイプ
http://i.imgur.com/EL0FK0K.jpg

洋榎ちゃんは服装とか姿勢きちっとしてるしな所々に育ちの良さが見え隠れしてる

あと姉帯さんも見たいね
姉帯さんとずっと文通してる男(京太郎)がいて、ついに全国で会うことになった
文通相手が男だと知った宮守の面々は豊音が変な虫に取りつかれないように影ながら見守り、もし男が変なことをしようとしたら取っ捕まえようと考えていた

みたいなね、連投ごめんな

お前ら洋榎ちゃんのかわいさがよく分かってるじゃないか……すばら

透華とかいいと思う

>>765
(単に漫ちゃんきつくて前閉じれないだけなんじゃ……)

洋榎見てみたいわー

ネキのすごく面白そう

なおおっぱい党員のぼくはユキちゃんがいいです
有珠山の面子と出会っていい方に変わっていくけど、なんか悔しいみたいな

末原ちゃん読みたいわー

あわあわはやりnシロあたりがいい

あわあわが実は小動物系で内心がっくがくなのを京ちゃんに手紙で吐露するとか見てみたいけどこの中ならネキが一番見たいな

あわあわを

和が読みたい
またははやりん

ネキ見たいな〜
なぜか、全キャラで一番好きだわ

わたすこやんとかどうかな?

洋榎は行儀が良いから手紙の文面も丁寧そう

挙げられた三つの中からなら洋榎

他のキャラなら穏乃で、小さな頃?に山で迷子?遭難?した時、京太郎の飛ばした手紙付きの風船が目には入り、それを追っていったら助かったって所から始まるのはどうでしょう?

あげられた中じゃネキ
他なら文通相手の京ちゃんに心惹かれながらも許婚がいるから半ば恋慕の情を諦めてたけどその許婚が実は京ちゃんだった透華とか

アンケート?終了で
とりあえず洋榎は書く絶対書く…
自分も洋榎好きだからね!(怜編で出しとるしな)
他はいろいろ見ていいなーって思うものもあったので何人か書くよー
取り合えず洋榎含めて5人予定誰かは楽しみにしとってなー

最後にありがとうございました!

正直ヒロインは誰でもいいでー
イッチが書く娘達は皆可愛いから誰でも期待できる

透華もええなー
ハギヨシが京太郎と透華の文通を察して
出会えるように画策するお話とかね

おつおつー

文面だと知的な大人の女性っぽいけど実際に会ってみたらアルェー?な衣とか面白そう

会った時のギャップを楽しむというやつね

淡をやるなら話変えてほしいかなー
麻雀が弱いから気持ちが冷めるって文通相手がイケメンじゃないからいらんみたいな感じでイメージ良くないし
そーゆーのはあまり見たいと思わんです

留学生組なら文通相手にあえればなってので日本来るの決めたとかもいいと思います

洋榎の流れが来ているっ…!!

ネキ興味ねえや

興味ないなら書き込む必要ないのよ
黙って去りなされ

後に引けなくなって手紙の中でどんどんお淑やかなお嬢様になってくネキの姿が見える

「あんなー、うちホントはこんなやねん。京太郎もこんな女嫌やろ…」
って弱気で来たら思わず抱きしめちゃうな

直接会うのを妹に代わってくれと頼み込んで代わりに妹がデートするものの途中で気づく京太郎とか想像できるわ

>>796
そこはネキが皆の力を借りてお淑やかなお嬢様を演じるところじゃないか

>>797
×皆の力
○いくのんの力

>>796-797
間をとって姫松の制服を着た雅枝さんで

カプスレに透華された無理して標準語喋ろうとするネキssが思い出される

と言うわけでネキに一票

文通してたけど卒業式当日まで互いに気付かなかった京太郎と久とか見たい

>>801
これ見たい

それののどっちverもみたいな
気づくのは卒業式じゃなくていいけど

風越で麻雀に関わってて部員の面倒をみてる、みたいな手紙のやりとりをしてて
穏やかな文面と書かれた内容から、美穂子を文通相手と勘違いする京太郎と久保コーチのアレコレとかみたい

手紙相手を予測して勘違いってのはありそうで面白いな

似たような特徴持ちだと姫様と霞さんとか?

>>804
それおもしろそうやな!

>>804
ちょっと見てみたいな~

>>804
スレ建ててもええんやで

久保コーチだと流石にきついな

なんでや日和だと普通にかわいいやろ!

レス多過ぎて返せんです
とりあえず面白そうなネタ増えたなーと思いつつやっていきます
投下すんぜ

こいやぁ!

>>740
続き

(意外と暇だなー…)


怜とのお出かけから二日経った。

男子団体戦も終わった。

そろそろ個人戦が始まるのだがまだ時間が有り暇になってしまったのだ。


(街に出たけど…どうしようかな)


当ても無くブラブラと街を歩く。

出て来る時に怜も一緒に着いて来ようとして竜華に捕まっていた。

団体戦と違い個人戦はすぐに終わる、男子個人戦が終われば直ぐに女子団体だ。

時間も限られてるのでミーティングでもするのだろう。

怜は渋ったが結局竜華に引き摺られて行った。


(あの時の怜は幼稚化してたな……大丈夫だろうか)


いやいや言いながら引き摺られていく怜はシュールで少し笑ってしまったのは内緒だ。

そんな事を思い出しつつ京太郎は歩いていく。

長野とは違う人の多さに参りながらも華麗な足捌きで避けた。


(…ハンドボール思い出すな)


こうやって人を避けて歩くと中学時代にしていたハンドボールを思い出す。

じりじりと人を焼くような暑い日ざし…相手を避けながら仲間と連携し……


「………」


京太郎はそんな事を思い出し、足がピタリと止まってしまう。

胸が嫌な鼓動を叩き出し、暑いせいではない嫌な汗がぶわっと出てきた。

無意識に腰に着けていた扇子を手に取りパっと開くと顔を隠すように口元に持っていく。

怜と出かけて以来やっていなかった癖だ。









「……はぁ」


道行く人に怪訝そうに京太郎を見るが脚を止めずに避けていく。

暫くし心をが落ち着いた。

京太郎は扇子で顔を扇ぐと足を動かした。


(…うん?)


ふと声が聞こえ其方を向いた。

様々な音を拾う中で声が聞こえるのは不思議ではない。

京太郎が気になったのは-声-だ。

どこかで聞いた様な…心落ち着く声だった。



京太郎は知らず知らずの内に足を其方へと向ける。

少し歩くと道外れの所で2人の男女が居た。

女性の方は壁を背中にし男性は女性を抱きこむように壁に手をつけている。


(…なんだカップルか)


それを見て仲良いカップルかと判断し足を反対方向へと向けた。

すると背後から2人の声が聞こえる。


「やっ!邪魔せんで!!関わらんで!!!余計なお世話たい!!」

「ははは…方言?可愛いじゃん」


その声を聴いた瞬間京太郎の足が止まり、方向を変えると早足で2人に近づいた。

近づくと男性が女性を逃がさないように壁についていた手を握りぐいっと引っ張る。


「なんだよ…」


相手は行き成りの事に驚きながら京太郎を睨み威嚇するが京太郎は無言で相手を見据える。

それにチッと舌打ちをして男は手を外そうと引っ張った。


「あれ?」

「…」


手が動かない。

ピクリとも動かなかった。

必死に動かすが手は動かず男はしょうがなく京太郎をもう一度睨み返そうと顔を見た。

そこで初めて気づく、京太郎の顔は怒りでも怯えでもない…無表情だった。

表情無く無言で此方の手を掴んでいる、心なしか握っている手が強くなった気もする。

男は汗がかき恐怖を味わった。


「ひっ」


体面を気にせず反対方向へ逃げようと足を動かすと今度は手が離れた。

男性はそのまま一目散に駆けて行く。

京太郎はそれを見て顔を崩し少しため息をついた。








「大丈夫ですか?」

「…あぅ」


京太郎が女性へと声をかけると女性がふらりと京太郎のほうへと倒れこむ。

慌てて受け止めると女性のを顔が見えた。

茶色い髪を肩まで伸ばし髪留めで止めている。

目元は特徴的な形をしており何となく小悪魔を連想させた。

顔は全体的に整っており可愛いなと思った。


「と…危ない」

「んっ…」


思考が道を逸れそうになり慌てて戻す。

京太郎が声をかけると相手は苦しそうに呻くだけだ。

この日差しの中でどの位言い寄られていたか分からないが熱中症一歩手前だろうと判断する。


「ちょっとまってろ、救急車呼ぶから」

「駄目…お医者は…駄目」


携帯を取り出し救急車を呼ぼうとすると弱りきった声で遮られる。

そんな事言ってる場合じゃないと言い返そうとすると女性が更に言葉を続ける。


「大会…」

「え?」

「ここで倒れたら…大会…」

「…」


女性の言葉でインターハイ出場者と判った。

京太郎は少し迷ったがすぐにお姫様抱っこで木陰のベンチへと運んだ。

ベンチに寝かせるとテキパキと処置をしていく。


「はぁ~…医者じゃないから本当に熱中症か知らんし…どうすっか」

「うん…」


京太郎は濡らしたハンカチを女性のおでこに乗せ脇下に冷えた缶ジュースを挟む。

そして頭が楽になるよう自分の膝に女性の頭を乗せた。

扇子で女性を扇ぎながら空を見上げる。


「…最近女性に膝枕する事多いな」


そんな事をぼやいた。





-千里山の部屋-


「はっ!?」

「どないしたん、怜」


ベッドでだらーんとしながらミーティングをしていたら急に怜が体を起す。

怜は目を見開きぐわっとしながら声を出した。

                   _人_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
                 Y/ :::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::\:::::::::::::::::::::.   キリッ
                 /:::/::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ:::\ :::|:::::::::::::::::::::.

                 :::/::::::| ::::| :|::::::::::/|   \__ヽ|::::::::::::::::::::::
                 |::i| ::|:::|`ト|/| ::::/|斗テ气宀〉>|::::::::::::::::::::::|
                 |::i| ::|斗テ气{/   辷_ソ / |::::::::::::::::::::::|
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「京君の膝を取られた!」

「……怜も元気そうやし、続けよか」

「次はこれですね」

「無視せんといてな~」







「……変な電波が飛んできた気がする」

「あい…?」


そんなこんなしていると女性が意識を取り戻した。

京太郎はその事にほっとし声をかける。


「覚えてます?」

                    ____
                 . : ´: : : : : : : : : : :`: .

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            __/:/ : \::/ : : : : /|.:.: : : :.l\: : :\/:、:\
         _____/: : : : :/:./: :/ |:|: : : : l  \: : l: : : \:.:\
      //    /: : : : :./:.//___,ノ|:|:: : :./\_|:.:∧: : : : \:.:\
.     〈八  /: : : : : :.∧:.{ァ斧==ミ|:|:.:/ァ==斧ミ/ ∧:: : : : ::\:/〉

      \ヽ/: : : : : : /、 ∨ 乂)炒'^ノ'   乂炒 |_/: :‘, : : : : :∨
          ∨:/: : : /:l : 个ヘ ´:/:/:/:/:/、/:/:/:` 从: :/:∧: : : : : :;
.        /:/: :/./\八:.:.| : : :.    /⌒=- 、_ .:: : :.:/:/ }:.|:.|: : /
.         l八:/l/  / ̄ \/〕iト ノ==--    \/}/ ,ノイノ}: /
            /      \ ∨==--       \\   .ノ '
             |         |└┬‐ 、‐、―‐    ∨!
             |      | |\/\__l\\     ||
               \    | |  \ |:i:| {\     ||
               __\_|_|     |:i:|,/|  \ 、 ト|
              ∨:::::::::\:::|     |:i:| |    \\ |
.                ∨ ̄ ̄ \   |:i:| |  \ \〉

「んっ…ありがと」


女性は先ほどの事を思い出したのか顔を赤くし長い袖で顔を隠した。

そんな女性に京太郎はよかったと二十の意味で思った。

これで痴漢だと騒がれたどうしようかと考えていたのだ。


「あー…部活の仲間に連絡とか出来ますか?」

「うん、問題なか」


京太郎の言葉に頷くとポケットから携帯を取り出し少し手間取りながらも電話をする。

まだ気分がよくないのだろう。


「部長ー……?、うん…少し倒れまして」

『!?……―――!―――』

「あっと…えーと、ここどこ?」


場所を聞かれたのだろう。

女性は困ったように京太郎を見上げた。

それに対して京太郎は事細かなに場所を教える。


「―――で―――前のベンチです」

『直ぐ行く!!!』


それだけ言うと電話が切れた。

最後の言葉が大きかったのか女性は少し電話を耳から離した。

少しばかりきょとんとした後携帯をしまって京太郎をボーと見上げる。

何か言いたそう顔をしているのに気づき京太郎はあぁ…と声を出した。




「俺は気にしてないんで休んでていいですよ」

「ありがと」

「男の固い膝枕で悪いですが」

「んーん、何だか安心すっばい」


そう言うと女性はうとうととしながら目を瞑ると寝息を立てる。

京太郎は前もこんなことあったなと思い出した。

















「姫子~~~~!!!」

「…あれだろうか」

「ふみゃ…」


遠くから此方に走ってきながら叫ぶ女性が居た。

正直少し怖かった。

どうやらこの女性は姫子と言うらしい。

姫子は女性の声で目を覚まし、しょぼしょぼする目を軽く擦り欠伸をする。

どうやら熟睡してたらしい。

ボヤーと京太郎の顔を眺めている。


(なんで俺の周りの女性はこうも男心をくすぐる人ばかりか…)


桃子に怜に姫子さん?それに…咏にはやり…

魅力的な女性が多過ぎるなと京太郎はため息をついた。


「姫子!無事か!」

「んー大分良くなったばい」


長い髪の毛を後ろで2本の束に結んだ女性が駆け寄ると姫子の手を握る。

姫子と違って彼女は可愛いというよりキリっとしていて綺麗と言った方が合ってるだろう。

心配そうに姫子の顔を覗いている。

姫子が部長と言ったからこの人が麻雀部の部長なのだろう。







「…ごめんね、部長姫子ん事になっとあいやから」


哩が京太郎の膝上の姫子とやりとりしており、どうしようかと思っていると声をかけられた。

視線の先には髪の毛を立たせていて眼鏡がとても似合っている女性が居た。

彼女も方言的に同じ部活仲間だろう。


「ん?あぁ…悪かった」

「いえいえ…取り合えずこの人を移動させません?」

「立とう、姫子?」

「問題なか」


姫子は眼鏡の女性に手を引かれ少しふら付きながらも立ち上がった。

後ろに髪を束ねている女性が姫子の腰へと腕を伸ばし支えるようする。

男性である京太郎が流石に触れる訳にも行かず心配ながらも此処で別れることになった。


「こいを…」

「これは?」

「後でお礼したいから連絡先ばい」

「いいの?」

「よか」


哩に携帯を差し出されたので京太郎も携帯を取り出し連絡先を交換する。

…男に容易に教えるのはとも思ったが自分が悪用しなければいいだけなので黙っていた。

京太郎は帰る3人を軽く手を振り見送る。

途中振り向いた姫子と視線が合わさった気がした。







「ってことがあった」

『ふ~ん、京ってインターハイに女漁りにきたのか?』

「違うと思いたい」


あの後外を探索する気分でもなくなりホテルへと戻ってくる。

お風呂に入りご飯を食べ自室でのんびりしていると咏から電話がかかってきた。


『まぁいいけどさ』

「いいのかよ」


咏は電話越しにケラケラと笑っている。

彼氏が女性と知り合ってその反応ってはと少しばかり膨れた。

そんな京太郎を咏も判っているのだろう。


『だって最後は私の元に帰ってくるって信じてるからねぃ』

「……てか何処にも行かないよ」

『色々経験しないと駄目だぜ?』

「女性の経験は咏だけでいいと思う」

『硬いな~』

「軟すぎても嫌だろ」


それもそっかと笑いながら何時も通り雑談をして眠りに就いた。

間も無く個人戦が始まる…京太郎の夏が本格的に始まった。








『本日の個人戦は………』

「ふぅ~……」


大会会場のホールで京太郎は一息ついた。

あれから日にちが経ち個人戦が始まった。

個人戦初日を京太郎は問題なく通過する。


問題なくと言っても所々危なっかしいときがあった。

咲達とは違った意味で手強いと改めて思う。

京太郎は飲んでいたジュースをゴミ箱に入れ歩き出す。

麻雀に熱中していたので気晴らし程度に何処か行こうかと思いながら。


「あれ?」

「あっ…」


京太郎が出入り口へ歩いていると見知った人に出会った。

こんな事が数日前にも有ったなと京太郎はデジャブを感じる。


「お久しぶり」

「えぇ…お久しぶりです」


京太郎に彼女は花咲く笑顔で挨拶をしてくれた。

彼女は此方にトテトテと近づいて来る。

その時に京太郎は思い出した。


「…自己紹介まだでしたね」

「そうだった…私は新道寺女子ん鶴田姫子ばい」

「清澄高校の須賀 京太郎です」

「よろしくね♪」

「はい」


2人は自己紹介をすると姫子はにっこりと笑った。

その笑顔を見て京太郎は笑顔がよく似合う人だと思った。




「…午後から時間あっと?」

「気晴らしに何処かへ出かけようと思ってました」

「…丁度よか♪一緒に出かけよう?」


そんな提案をしてくる姫子に京太郎は少し考える。

一体自分の何が彼女をここまで夢中にさせるのだろうかと…

一度巫女さんにでも見てもらおうかと考えながらも京太郎は返事をする。


「俺には彼女いるんで…女性と2人っきりで出かけるのは…」

「そか…そっか、なら彼女に電話って出来っと?」

「…たぶん?」


咏も解説の仕事があると言っていた…今は大丈夫かなと思っていると京太郎の携帯が鳴る。

姫子に断りをいれ見てみるとタイミングがいいのか咏からだった。


「もしもし…」

『初戦突破おめでと~』


電話越しに咏の暢気な声が聞こえてくる。

それに安堵しながらも京太郎は少しばかり話しをしていく。






「…鶴田さん、電話」

「ん♪」


京太郎は渋々と咏に事情を話すと咏が代われと言い出した。

携帯を姫子に渡すと姫子は嬉しそうに受取る。

人の彼女と話して何がいいのか解らなかった。

むしろ嫌だと思うんだけどなと思いつつ会話をしている姫子を見ていた。




「はい、これ」

「ども…」

『おぅ、京か?』

「えぇ…」

『出掛ける件承諾したんかんな~』

「…」


こうなるのではと思っていたが本当になるとは…

咏は一体何を考えてるんだろうかと京太郎は頭を押さえたくなった。


『そのうち解るさ~』

「ちょくちょく思うんだけど…人の心読んでない?」

『どうだろうねぃ』


ふぇふぇふぇっと言う怪しい笑い声を最後に咏の電話が切れた。



「それじゃ行こ!京太郎」

「…何時の間に呼び捨てに」


電話を仕舞うと待ってましたと言わんばかりに姫子が腕を取ってくる。

姫子に腕を引っ張られ京太郎はよろよろと引き摺られるかのように連れて行かれる。

取り合えず次会った時どういう意図があるのか聞かないとと決心をして。








「これでよしっと」

「誰に電話をしてたんですか?」


解説を終え用意されている部屋で扇子を扇いでいると一緒に解説をしていた針生えりに声をかけられる。

咏はソレに対して何でもないように答える。


「彼氏が女性と遊ぶって言うから許可を出してたんだよねぃ~」

「……それってどうなんですかね」


しれっととんでもないことを言う咏に呆れながらもえりは興味津々と言った風だ。


「…私じゃ駄目なんだよね」

「何が…」

「私じゃ-また繰り返し-になるから…」


咏はそれだけ言うとのんびりとお茶を飲みだした。

えりは言葉の続きを待ったが咏が話そうとしないと解るとため息ついてテレビに視線を向けた。





手紙が出てこないのー!
後半出ます…でます!

短いけどここまで それじゃのー

あと淡なんだけど話変えます…>>775 のネタの方が自分のより面白そうなので

乙です


やっぱり一途なのはいい。他の子に迫られてもきっちり壁作ってるね

>>775
よくやった

少しだけ投下すんぜ 姫子を切りよく終えたい 




「それで何処に?」

「んとね」


2人は道を歩きながら会話を続ける。

どうやらしっかりと行きたい所があるらしくほっとした。


「ここ!」

「………うん、ずいぶんな趣味で」


歩くとその場所へとついた。

デパートらしき中にそれはあり見るからにホラー要素満載な所だった。


「行こ♪行こ♪」

「あ…はい」


「わっ何か垂いてきた」

「ぬるっとして気持ち悪いな」


「ギロチンもあっね」

「俺にしろと?」


「えいえい」

「いきなりエイリアンチックに!そこだ!」



「今度はここ!」

「…服屋なんですけど…嫌な予感しかしないんですけど」


「こいはどう?」

「彼氏でもない男性に下着選ばせんといて下さい」

「黒かすけすけか…」

「黒!黒がいいな!」

「スケベ」

「どっちにしろそうなるじゃん!?」



「次は個々で!」

「お腹すきましたしね」



「うん、美味しいか」

「中々ですね」



2人は様々な所を練り歩く。

既に外は暗くなり2人は帰り道を歩く。

いい気分転換にはなったのだが男である京太郎でも些か疲れてしまった。

京太郎は楽しかったと思う一方終わってしまったという遣る瀬無さを味わう。


「楽しかったね」

「えぇ…本当に」


京太郎の先を歩く姫子がふわりと軽く回り京太郎へと視線を向けた。

その光景に少しばかり見取れながらも京太郎は足を止める。

何か喋りたい事でもあるのだろうと思ってのことだ。


「本当に楽しかった?」

「うん?」


姫子の意図が解らない、自分は先ほどしっかりと答えた筈なのに…

そう言い返そうとしたが姫子の顔を見てやめた。

姫子の顔は笑顔が一切なく真剣な眼差しをしていたからだ。


「京太郎ってさ…笑顔下手だよね」

「…そうですかね」


そう言いながら姫子は此方へと近づいて来る。

今…自分はどんな顔で姫子を見ているのか京太郎には判らなかった。


姫子は近づくと自分の両手で京太郎の頬を触る。


「んっ…会った時から思ってた、作り物みたか」

「…」

「あん時、京太郎ん笑顔見てずっと本当ん笑顔ば見たい思った」


姫子の言葉に京太郎は何も言い返せない。

確かに咏と共にいて顔を作る事を覚えた。

相手に悟られないようにポーカーフェイスも覚えた。



「私は…私は京太郎ん本当ん笑顔見たか」

「…相手を不愉快にさせないように」

「相手にもよっと思うな、それ」

「……」


今度こそ本当に言葉が出てこない。

相手に怯え不愉快にさせないように繕って来た物が目の前の少女には通用しない。



相手を不愉快にさせないように…相手に気遣い…いや、怖がり笑顔を繕う。

ポーカーフェイスもそうだ、麻雀の時だけやればいい、日常で使う方が異常だ。

それでも相手に弱みを見られると京太郎は怖がり使う。


『私は京太郎ん本当ん笑顔見たか』

「…」


目の前の少女はもう一度だけそう言った。

京太郎は知らず知らずのうちに流していた涙を拭かずぎこちなく笑った。

それを見て姫子も自慢の笑顔で返した。




人と話すのが怖いから不愉快にさせないように考えて喋る。


『怯えんでもええんよ、京君』


怜の言葉で普通に喋れるようになった。


京太郎は言葉を思い出す。




相手に嫌われたくないから自分の表情を隠す。


『私は京太郎ん笑顔好いとー』


姫子の笑顔で普通に笑える。


京太郎は笑顔を思い出す。





残るは――――





















バチバチと音が鳴り家が燃える。

長い年月をかけ積み上げてきたものが燃える。

それを咏はただただ唖然と見つめる。


こうなるとは思わなかった。

自分はただ…与えようと、助けようとしただけなのだ。

それがこんな―――





「んっ」


チリーンと心に響くような音が聞こえた。

咏は寝床からむくりと起きると欠伸1つし外を見る。

いつの間にか寝てしまったらしい、既に外は暗く月が光り輝いている。


「………」


扇子を取り出すとそのまま自分を扇ぐ。

嫌な汗をかいて気持ち悪かった。


「あと…二つかねぃ」


それだけをポツリと呟いた。




それじゃのー

乙でした

乙です

ええぃ!続きはまだなのか!!(早漏)

おつ
あわあわはヤンデレ……というかメンヘラも似合うと思う

おつー

>>853 >>836 >>838 >>839
オツありん

>>839
続きっすよ

>>838
色んなキャラが似合うよね

投下するんです



「京君、おめでと~」

「京太郎、おめでとー」

「京ちゃんさん、おめでとうっす」


「…ありがと、そして離れろ!」


清澄高校の控え室で須賀 京太郎が3人を離そうと必死に体を動かす。

表情も若干疲れが見え相手を気にせずに嫌な顔をする。

それでも女子とはいえ3人に抱きつかれ思うように身動き取れずにいた。

若干胸が柔らかいなと頬を緩めたりもしてたが。


「ん~…」

「どうかしたんですか?」


そんな4人の様子をソファーに座りながらのんびり見ていた久が悩みだす。

咲が久に声をかけると久は丁度いいとばかりに聞いてみた。


「須賀君ってあんな性格だっけ?表情もあんなに出してたかなと」

「あー…」


久の言葉に咲はチラリと京太郎を見た。

確かに東京に行く前の京太郎とだいぶ違う。


「昔の京ちゃんに戻ったみたいな感じですね」

「昔ね~…」


咲は思わずくすりと笑った。

昔……麻雀を始める前の京太郎を思い出したの。

明るく、少しスケベでそれでいて解りやすい表情をする…そんな普通の彼を…



「元気やね~」

「元気だな」

「元気やけん…止めんと?」


「なんで此処に集まってるのかしら」


咲がそんな事を考えてると横から三者三様の声が聞こえる。

ソレに対して久がげんなりとした声で答える。

声を出したのは竜華、ゆみ、哩の3人…いや千里山、鶴賀、新道寺が揃っている。

人数が多くてあちら此方で交流を交わしていた。


京太郎の個人戦優勝を祝っていると扉が叩かれ今の状況になったのだ。


「京太郎はこの数日何してたんじゃろな」

「……交友広げ過ぎでしょ」


「あ~…怜に一目惚れされ」

「モモに親友認定され」

「姫子ば助けたたい」


「京って言う字には人が集まるという意味があるけど…集まりすぎね」


それだけ言うと久は京太郎のほうに視線を向けた。

そこでは何やら修羅場っていた。


「ところで…あんたら誰や」

「そっちこそ、誰っすか」

「2人供誰たい」


3者がそれぞれに睨み威嚇しだす、正直迷惑以外の何者でもない。

京太郎はため息をついて3人を無理矢理、振りほどき正座させる。




「それぞれ自分で自己紹介お願いします」

                   _人_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
                 Y/ :::::::::::::::::::::::::::::::∧ :::::::::\:::::::::::::::::::::.   キリッ
                 /:::/::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ:::\ :::|:::::::::::::::::::::.

                 :::/::::::| ::::| :|::::::::::/|   \__ヽ|::::::::::::::::::::::
                 |::i| ::|:::|`ト|/| ::::/|斗テ气宀〉>|::::::::::::::::::::::|
                 |::i| ::|斗テ气{/   辷_ソ / |::::::::::::::::::::::|
                 |:: V从 辷ソ          |::::::::::::::::::::::|
                 |:::::iハ           i::i::i:: |:::::i::::::::::::::::|
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                    \ :::\ >'´   |¨¨¨7      |/\

「はい!私は千里山女子の園城寺怜や、京君の未来のお嫁さんやね」

「ダウト、次!」


                   ,..ィ''":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:``丶、
               /:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、
              /:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
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    x==ニ二 ̄:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.Y

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     ∥{:.{:.:.:.:.:.:./ヽ_   -气,,,少       _メ   j:./:.:.:.:ト、
    { い:.:{:.:/:.:.:.:.:八               斧f,汽Xノ/:.:.:.:.:l:.ヘ
       乂从ト:.:.:.:.:.:.:.::}            〈(;;ン゙ ///.:.:.:.:.:.:lヽ:゙、
           \∧:./      r-   ` `Y/ノ/ l.:.:.:.:.:.:l }:.}
             / ̄>x \   乂 _)>    /:.:.:.:/  i.:.:.:.:.:.:l ノ:ノ
          /-―-、  ` \ __  /:./:./   i:.:.:.:.:.:l/
        /       ヽ   メ、ノ:.:_:./ノ    }:.:.j:.:.l
       \/         Y O {/メ ̄     、_ /:.ノ }.:j
        ∨           l\ノ\}         ̄  ノノ
          ∨         ヾ::L             /
            ∨            〈::::::}
          ∨      / /  ヾ┤
              ∨ミx/ //    ヾx、
                ∨/ /         V゙、
               V/          V゙、
               ∨         }::ハ

「新道寺女子ん鶴田姫子ばい、夢は京太郎寝取るこ……」

「言わせーよ!?何言ってんだこの人!次!」


              _ ...-‐…::::::::::::…‐....
            ......::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\

             /:::/::::::/:::::/:::::::;ィ::::::::}:::::::::::::::::::\
            /::::::/::::::/:::::/::::::/ /:::::::::|:::::|:::::::::::::::::ヽ
          /::::::::::/::::::/:::::/::::::/ /:::::::::::|:::::|::::::::::|:::::::::::
       /::::::::::_j::::::/{::::/{::::/ l::::::::::::::!:::::!::::::::::|::::::::::::,

       ,:::/:::::::::「:`メ-!:::{ l::::!r‐|::-::‐:::T:::7:::::::::::|::::::::::::::,
        l::l::::::::::::!:::;x=ミ::! ヾl  l::x竓ミヽj}::::::/::::|:::::!:::::::::
       |八:::::::::∨fr'ハ`     fr':::ハ /:::::/::::::|:::::|:::::::::\
       |! v::::::从弋ツ       弋|!ツ/:::::/::::::::|:::|:|:::::::::::::::\
       |  从::{::l:! ""//////// '"|!"::::::/{::::/´}:::';!::::::::::::::::::::\
        '  ヽ::::,             |!,:::::::{ |::::|/ノ::::::、::::::::::\:::::::::`ヽ
          /{:::込、   ^      |!|:::::::|_!::::!从::::::::ヽ::::::::::::`ヽ::::::::}
           /{ !::{::::介:.、     _.|!|::::::ハ:::l':::::ヽ:::::::::\::::::::::::}:::::/
         l:::| |::iィく::|::::::`ト-r‐   |!|:::::{ィ从|´ ̄`ト、::::::::\::::/l:::/
         ヽ{ / }_,==ミ7ーミ--‐ _ハ::/V/       \::::::∨ |/
            /  厂-‐ 7‐-、 ヽ /7/.|' /           ヽ::::}
            /  / -‐ j--、   V/  /     /      }::/
            /   !  -‐十-   ',  /     /{       !'
        /{  /!   ィト、     !       //      |
         } | / ,   ノ/ }    .|lト、      /       !
          | l/ {   // ト  __ _j/ ハr'   /
       / /  ヽ イ:7 / l\: :ノ / /

       , ./ヽ   l: :/ ./  !: :}  / /


「きょ、きょきょきょ京ちゃんさんは…こ、親友っす!」

「いや…説得力ないんだけど!?それと親友の前は何言おうとしやがった!」



「楽しそうねー」

「そうですね」


のんびりと久達はお茶を啜るのであった。


「あ…京ちゃんさん時間貰ってもいいっすか?」

「駄目や」「駄目やね」

「別にいいぜ」


桃子の言葉に勝手に怜と姫子が断りを入れる。

そんな2人を京太郎は無視した。

なんとなくこの2人の扱いはこんなもんでいいなーと思ってきたりもする。


「あら…おめでとうパーティーはいいの?」」


膨れる怜と何故か悶える姫子を置いて桃子と外に出ると久に伝えるとそんな事を聞いてきた。


「清澄が優勝したときにでも一緒にやりましょう」


「タラシね」

「タラシだじぇ」

「タラシばい」

「たらし…ですか?」

「タラシやね」

「全員してひどくね?!」


反応がひどかった。












「~~~♪~~♪」

「…」

                      _  -──‐- ミ
                      ,.<:::::::::::::::::::::::::::::::::::::> .
                 /:::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
                  /::::::::::/:::::;::://::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::∧
                /:::::::::::::/:::::://__/:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::∨∧
                  /::/::::::::〃:::://  {::::/::|:::::::::::::|:::::::::::::::::::i::::∧
             {从::::::::从Ⅵ { ___Ⅵ|::|:::::::::::::|:::i::::::::::::::::i:::: ∧

                入::::::rミ ヾ ´云ミメ、:|::::::::::: !:::|::::::::::::::: Ⅵ:::::゚,
                  /  /::;仞   f込仞/i::::::::::::i::: |:::::::::::::::::::ili:::::::゚,
              /  /:::, レ    乂::ン |:::::::::::|:::::l、::::::::::::::::Ⅵi:: 、\
                /  イ::::′´      / :|:::::::::::|:::::| Y:::::::::::::::::Ⅵi:∧ :.、     , -、
            / /::/从  r‐ 、     {  :|::::::::从::: V::::::::::::::::∧Ⅵiハ .\ -r ´ ,.ィ_⌒ヽ
             {. // {::: ∧ ゝ'    {  :|::::::::::::::V∧:::::::::::::::::∧Ⅵ::::/  ‘, 匸...` Y´
             { {/ {::{i:::∧        { 八:::::::::::::::V∧:::::::::iム:::::i Vイ     ‘,ゝー、 ノ
              八{   Ⅵ::::::{ゝ---- 、 {  _\:::::::::: V:ハ::::::::}:ム:::}'         ', `_ノ
                  \从人::\:::::} <   _,\=ミ:}::::}:::::::}:::::jV         ',´
                     r ノ   /     ヽj/}/}リⅥ j           ノ
                    リハ{  /       ∧    i       /
                    /:::::i/           ∧   i   ヽ::::ノ:∧
           ,.    ̄`⌒>'::::ノ´              ∧  i       .:::ノ
        , -‐ ′  _ -=≦/                 \,'        〈
        j  ̄ヽ  _{:::::::::<                    ,'        〉
       /     /'⌒ヾ:::::\                _,/        /
.      /    /{ム    \二ニニ、=- ミ        {::/         ,'
     /.    / /´V::\         ` <::::\\     ,′          '
.    /     ∨   \:::\        . : ` マ :\   {         /
..   /       :{: :    ⌒ヽ      . : : : : : : : : /: :}\          , '
.   ′       i.: : : .. ..      . : : : : : : : : : : :/: : |   \        イ
   {      圦 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,.  ´: : : |    ` 、  /
   {       \: : : : : : : : : : : : : :.,..  '´   : : : :{       ̄
   {        > ’>-: : ___,.: :. :.´        : :.∧
   乂  > ´       {  ー- -       --\- 、

      ̄           \                廴_


京太郎の目の前で何処からか聞こえてくる音楽に合わせ桃子が踊る。

楽しげに左へ右へ軽いステップを踏んで、時たまくるっと回ったりもした。

京太郎はよくここまで踊れるなと思った。

暫く眺めていると音楽が止み桃子も止まった。

ソレに対して京太郎は素直に賛辞の拍手を返す。




「ダンス上手いんだな」

「派手に動かないと気づかれなかったっすから」


桃子はそれだけ言うと振り返り京太郎を見た。


「それで話があるんだろ」

「判るっすか」


桃子は手で拳を作るとコツンと自分の頭を軽く叩いた。

それを京太郎は白々しいなと視線を向けた。


「あー真面目にいくっす」

「真面目な話だったのか」


いきなり踊りだしたり、ふざけたり、真面目になったりと忙しい奴だ。

そんな事を思いつつ京太郎は桃子と視線を合わせる。


「ん~と、京ちゃんさんって人と触れ合うの苦手っすよね」

「ふれあい?」


そういうと桃子はふわり動き京太郎の首に自分の両腕を回した。

自然と近くなり桃子の顔が目と鼻の先だ。

京太郎は体を強張らせた。


「私達を突き放すのもそうっす」

「俺には彼女がいるから……」

「彼女を盾にしてるだけっすね」

「………」


京太郎はある程度まで親密に慣れるがそこから先は彼女を盾にして逃げようとするのだ。

一途と言えば聞こえはいいが実際は逃げてるだけだと思った。


「過去になにがあったっすか?」

「…言えない」


桃子の言葉に京太郎は拒否をする。

京太郎にとってあれは………あれは………


「…駄目っすか」

「っ…違うんだ」


桃子のしゅんとした悲しそうな顔に京太郎は顔を歪ませた。




「言えないんじゃなくてさ…思い出せないんだ」

「思い出せない?」


桃子の問いに京太郎はコクリと頷く。

途中までは思い出せるのだ、だがそれ以上は頭が思い出すのを拒否する。

咏と咲は何かを知っているみたいだが教えてくれない。


「こうやってさ」

「はいっす」

「近寄るのは男性でも女性でもどっちも駄目なんだ、むしろ男性の方がひどいぐらいだ」

「…」

「大丈夫なのは彼女と咲ぐらいで」


大体中学生頃からだろうか、ある程度仲良くなるとどうしても突き放してしまう。

そのせいか友達がなかなか出来なかった。

特に男性にいたっては嫁田と3年生の2人以外いない。


「これでもさ…桃子や怜それに姫子はまだましなんだぜ?」

「そうっすか」


京太郎が顔を見て桃子は満足したような表情を見せた。

京太郎の顔は本当に辛そうにしている。

それなのにここまで話してくれたのが嬉しかった。

そして……


「何してんの?」

「マーキングっす」


ぐりぐりと京太郎の胸板に頭を擦り付ける。

先ほどのシリアスな雰囲気はどこいったのかと京太郎は嘆く。


「ええい!離せ!離せ!」

「いやっす、リンシャンさんや彼女さんと同じぐらいになるまで諦めないっすよ」


京太郎と桃子は遅いと迎えに来たゆみ達に止められるまで騒いでいた。


あと1つ~

……書いてて思った!
自分には長編合わんな…チグハグになる
それじゃのー

乙です

おつよー
やっぱモモかわ

乙です
モモがやばいかわいい

乙です

乙です
やっぱモモ編なんじゃないか!!

乙でした

桃が天使だという風潮・・・あれ?天使だった


(テルー参戦が待ち遠しいぜ)モモかわいい

>>849
おつありん

>>850-854
もも可愛いよね!

>>855
てるーの番だぜ

投下します




(さて…どうするか)


会場の通路を歩きながら京太郎は考える。

考えている事は記憶に関してだ。

昨日の夜に桃子に言われ記憶を戻すことにしたが方法が問題だった。

医者のような専門知識も無いので方法は限られてくる。


(知っている人に聞く…それしかないな)


そう思うもため息をついた。

夜に嫁田に連絡するもはぐらかされ、咲に聞こうにも咲には大会がある。

余計な事で心を乱したくない。

そうすると残るは1人になるのだが………


「咏に聞くのは無理だよなー」


ぼやくように呟く。

最後の1人が一番難易度が高い。

あの飄々としている咏から聞き出すのは不可能だろう。


「まいったな」

「………」

「うぉ!?」「きゃぁ!」


考え事をしながら歩いていると曲がり角で人をぶつかった。

咄嗟に相手の腰を掴み倒れないように支える。

相手を支えれた事にほっとしながらも京太郎は気づいた。

嫌悪感がないのだ。

他の人に触っていて嫌にならない…体も固まらない。

そんなことを考えていると支えている人と目があった。





                        _. . : : : : ̄ ̄ ̄: : : : : . 、
                    ,. : : ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
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               ̄´  |: ∧: :| _)雫ミ从: : :|  _}∧:_:/ }ヽ : : : /: : : : : :
                |: : : Ⅵ V::ノ   \|´_)笊雫ミ/: : : :/:/: : : : : : ,
                |: : : ,: |    ,      V:::::ノノ' : : イ:.イ: : : : : : ,′
                |: : :j:从            /:/ /' ノ: : /: : :/
                |: : ,|: {: : .    _      ´ ィ: ー ´: : :/: : :/
                |: :/|: 从: : : . ‘ ’      イ |: :/ : : :/: : :/
                |:/ 从{_r--'´` ー 、-=≦   ∨: : : /: : :/
                }'   / ||:|       ∧    /,': : : /: : .イ
                  / ||:|    /   _,./ / : イ:/\
                   / ∧:{   /⌒\´/   ´  ´     、
                  ,   {:.:\、 ,′  /     ,. ---――‐`ヽ、
               /  ∧:.:.:. ∨  /_,.:.―:.:.´:.:.:.//    Ⅵ |
                 {__  ,  \:.:.:{_/--  ´:.:.:.:.:.:.:./ ,      マ |
              //≧=-  〉介、______/_ /       } |
            //> ´ ` <≧=--r-- 、     ̄,:'        | |
            ,く ̄´          ` / /^T \   {          マ〉
         r つ ` <        / ∧__|>´|  ∧          }

「………」

「………すみません」


ずっと腰に手を当てていたことに気づき京太郎はその人を立たせるとすぐに飛び退いた。

何処かで見たことある女性は大丈夫といいスカートをパンパンと叩いた。


(……あれこの人チャンピオンの宮永照?)

「てる~~~~!!!」

「!」


京太郎が照の顔を見てそんな事を思っていると遠くから彼女を呼ぶ声が聞こえる。

何処と無くその声は怒気が含まれている気がした。

照はその声にビクっと反応しトコトコと遅い動きで京太郎の後ろへと隠れた。

その行為になんとなく咲を思い出した。

いくら身長差があろうと隠れる事が出来るはずもない。

このままだと見つかるだろう。





京太郎はしょうがなく近くの扉を開けてみる。

扉は簡単に開いた、鍵は掛かってないらしい。

京太郎は中を確認すると照をそこに押し込む。

押し込んだと同時に後ろから誰かが走ってきた。


「なぁ…そこの少年」

「なんでしょうか」


声をかけられ振り返るとそこには腰まで伸びた長い髪の毛を携えた女性が立っている。

顔立ちは綺麗で目元がキリっとしていて凛々しい人だなと思った。


「この辺りで照…チャンピオンの宮永照を見かけなかったか?」

「………あの、質問に質問で返すのもあれですが、あなたは宮永さんとどういう関係で?」

「あー…不審者じゃないぞ?チームメイトだ」

「なるほど……先ほどあちらへと行きましたよ」


そう言って京太郎は反対方向を指差した。

彼女はそうか、ありがとうと言うとそのまま走っていく。

随分急いでるようだ。





暫く待ってみるも戻ってくる様子がない。

その事を確認し扉の中の照に声をかけた。


「もう大丈夫ですよ」

「ありがと」


扉から照がこそっと顔だけを出して辺りを見渡す。

本当に誰もいない事を確認し照は廊下へと出てきた。


「それじゃこれで」

「………」


何故追われてるのかとか色々気になるがそろそろ試合開始時間だ。

このまま話し込むと席に座れなくなってしまう。

名残惜しみながらも京太郎は挨拶をすると歩き出す。




「………」

「………」


2人は歩き観客席へと向かう。

途中売店があったので何か摘むものでもと京太郎は考え寄っていく。


「飲み物は…炭酸でいいかな」

「私はオレンジジュースがいい」


取り合えずコーラとオレンジジュースを頼み、お菓子を見る。

売店には様々なお菓子が並んでおり、ポップコーンなども置いてあった。


「映画館じゃないんだからさ」

「食べるとこぼれるからやめたほうがいい」

「なるほど」


照の言葉に京太郎は頷きお菓子を選んでいく。

そうしていると照がドーナッツをじーと眺めていた。


「買うんですか?」

「お財布部屋に忘れた、小銭もジュースでなくなちゃった」

「…2個だけなら」

「えーと…」


悲しそうにする照に思わず京太郎は買い与えてしまう。

こういう時美人って得だよなと思いながらも一生懸命ドーナッツを選ぶ照を微笑ましく見ていた。

暫くすると照は選び終えほくほく顔でドーナッツを受取った。


「あー急がないと」

「客席こっち」

「何処へ行く」


違う方向へと歩きだそうとする照に突っ込むと照は暫し考え別の方向を指差した。

……其方も違った所だった。










「席はっと空いてるな」

「………」


京太郎達が急いで客席へと向かうと丁度よく後ろに席が2つ空いていた。

運がいいなと思い座ると隣に照が座った。

そして始まるまでの間に買ってきた食べ物とジュースを楽しむ。




「ん…美味しい」

「これもなかなか」

「少し欲しい」

「どうぞ」

「ありがと」


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   ,. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
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:|: : : : :l : : : 从|   、             /   ぱ
从 : : ∧: : :| }'    \       ,ィ-く       く
{ \:.{ \:j     ∧、`: .     イ¨´ゝ \ ,rー---- 、
  | \  \   / ノ }: : /:7´: :/    `\乂_   \
  | ̄ ̄\  --/  ` <:∧:{     ( ̄ ̄`ヽゝ、  `ー--
  |     \ /       `<      `T¨¨¨¨ヽ `
  |      /             >- 、   乂二二フ
  |   , -/       ,. <>´/⌒,ム    乂__フ   __
  |   /      ,. <> ´ イ     マム          ` ̄´
  |_/     ,. <>´> ´:.:.:/     マム
 ィ介ヽー― ´> ´イ:.:.:.:.:.:./        ∨}


それだけ言うと京太郎が差し出したお菓子を口で受取った。

それを見て行儀悪いですよと少し叱り二人は雑談しながら始まるのを待つ。


「………ところで」

「なに?京ちゃん」

「なんで着いて来てるの?」


先ほどからずっと疑問だったのだが、何故この人は着いて来るのだろうか。

自分はこの人の関係者と言わんばかりに着いてきて普通に会話をしていた。

京太郎が思い返しても親しくなる要素がほぼない。

あったのはチームメイトから助けたぐらいだ。


「京ちゃんと試合を観戦しに」

「…何時の間に親しく」


既にあだ名呼びらしい。

京太郎は怜達の事を思い出しまたかーと呟き照を連れて外へと出る。

先ほどから注目を受けていたのだ。





「見ないの?」

「あなたが居たらそれどころじゃなくなりますよ」


2連覇している女子チャンピオン…ただでさえ注目を浴びている人だ、客席に居たら目立ってしょうがない。

その事を照に教えると彼女も頷き納得した。


「どうっすかな」

「……いいとこあるよ」


京太郎が何処で試合を見ようかと思っていると照が提案をし京太郎の手を取ると歩き出した。

少しばかり考えたがいい案があるわけでもなく照になされるがままに着いていった。

何度か道を間違えながらも歩くと目的地に着く。

そこには白糸台控え室と書かれていた。


「ただいま」

「おかえりーテルー!」


照が扉を開け入ると金髪の女性が元気よく照に抱きついた。

照はそれを気にせず歩きそのままソファーに座った。

そんな光景を見て京太郎はどうしようかと悩んでいると照が声をかける。


「座って?」

「だれ?」

「……はぁお邪魔します」


照が自分の隣をポンポンと叩いて此方を見てくる。

それに対しどうしようかと思ったが結局は座ることにした。

もうどうにでもなれと少し自棄になっていた。


「ねーねーだれ?」

「清澄高校1年の須賀 京太郎です」

「へー…テルーの知り合い?」

「京ちゃん」

「そうなのかー」


淡の言葉に照はそれだけ言うとお菓子を食べ始めた。

たった一言だったが淡には理解できたのかなるほどと頷いている。





「今ので判ったのか?」

「わかんない!」


元気にあっけらかんと言い放つ淡を見てあぁ…こいつもポンコツだと京太郎は理解した。


「それでそっちの名前は」

「えーと大星淡!同じく1年生だよ!よろしく京太郎!」

「よろしく、淡」


生意気そうな奴だと思いつつも嫌な感じはしなかった。

案外仲良く出来そうだと思いつつテレビへと視線を向けた。

既に画面内では1回戦が始まっている。


「淡、菫達は?」

「あわ?テルーの事追っかけていったじゃん」

「………」

           :_,.  -─……─-  :
       :
      .:´........................................................\:
   :/.......................|........ト、..............................ヽ:

 : /....................| |...i|........| \...........|....|............
:/.........../ .....|.._|_八......|   \__....|............i:
: ̄ ̄ ̄|...|....| [   \|    \|....|............|:

      :|...|....|┬─┬    ┬─┬ |............|:
      : |...ト..| 乂:::ノ     乂:::ノっ|............|:
    :i|...|....|                 |............|:
     :||...|..人     , _       人.......l..|:
      八Λ.....>      _   .   <......../|/
      \|\_,ノ⌒ 〈___/ ⌒>‐-ミ:

      ;/ ̄ |:\ ∧ /  /:::::/  \;
       :/   |:::::::\ ∨_/:::::::::/   ハ:
      :/     \:::::::Χフ:::::::::/
     /        ̄/:Τ:< ̄        ',;
     ;\   |    〈::::∧:::〉       |  /:

それだけ聞くと照は涙目で震えだした。

忘れたんだなと京太郎は理解する。


「ど、どうしよう…京ちゃん」

「知りませんよ…謝ればいいかと」


少し投槍になりながら京太郎はソファーに深く深く座り込む。


「テルーーーーー!!!」

「ぴぃ…わ、私は悪くない」


扉が大きく開かれ先ほどの女性が入ってくる。

その顔は凛々しい事もあり迫力があった。

次々に起こる出来事に京太郎は身を任せながら試合を見続けた。


「ねぇー京太郎は麻雀強いの?」

「これでも男子個人戦優勝したよ」


人の膝の上であわあわとしている淡を相手にしながら遠い目をした。


今日はここまでー
次で照終えて 咏と手紙にはいって終わりです

ようやく手紙と咏メインになるよー

それじゃのー

乙したー

あわいい!
他人の膝の上であわあわしてる淡あわいい!

あわあわあわいい!

乙でした
何故ポンコツはこうも人を引き付けるのか・・・

乙です

淡も触れても平気なのね

おつー
てるてるしくあわいい...
これが白糸台の力なのかっ!!(違

>>868
京ちゃんがポンコツを引き付けるんだ!

てるかわ

このあわあわの人懐っこさよ

超面白い 期待

>>865-875
感想ありがとう!励みになるよー
遅れたけど照はこれでお終い
時間ないんで感想返しは省かせて貰います
すまん 次回は返すよー

投下すんぜ


「テルー!私のお菓子を食べた挙句他の学校の生徒を控え室に……」

「しくしく」


京太郎の横では照がさきほどの女性、弘瀬菫に怒られている。

内容が内容なだけに京太郎は口を挟めず人の膝の上に寝転ぶ淡の頬を引っ張る。


「あわーん、あわーん」

(…こいつも触れて大丈夫だな)


変な鳴き声を出してされるがままにされている淡を見つつ考える。

照もそうだが淡にも触れても平気だ。


(なんだろうな)

「…お茶です」

「あっありがとうございます」

「たかみ先輩!私のは?」


お茶請けとお茶を出され京太郎は尭深にお礼を言って頭を下げる。

淡は淡で膝から体を起すとキラキラした目でお菓子を狙っていた。


「あ…私も」「駄目だ」


照も此方へやってこようとして菫に首根っこを捕まえれ戻される。

あー……と声を上げながら去っていく照はシュールだった。

それから暫く雑談しつつ試合を見ているとふらふらと照と菫が戻ってきた。

照はふらつきバタリとソファーに寝転ぶ、それほど疲れたのだろう。




「試合終わったね」

「そうだな」


淡の言葉に同意し京太郎は立ち上がる。

そんな京太郎に照は不思議そうに眺めた。


「終わりましたし帰ります」

「え…」「えー…」


京太郎がそういうと照と淡の2人が声を出し嫌がった。

そんな視線に晒されながらも京太郎はドアへと向かう。

先ほどから菫の視線が気になってしょうがないのだ。


「用事もあるので」

「用事?」


照は用事が気になるのかじーと京太郎を見つめてきた。

それに対して記憶の事を先ほど会った人達に伝えて言いか少し悩む。

京太郎自身はそうでもないのだが人によっては重く感じるだろう。


「あーんー…少々立て込んでまして」

「なにを…?」


照が近づき縋るように服を掴み上目遣いで見てくる。

視線を逸らそうにもじーと見つめられ逃げ出せない。


「あーはぁ…引かないで下さいよ?」

「うん」


結局根負けしたのは京太郎だった。

京太郎はソファーに座るとこれまでの事情を話す。

今まで人を避ける言動を知らず知らずの内に取っていたこと

友達達の御蔭で改善してきてる事

そして…どうしてそうなったかの記憶が思い出せないことを…




「…いろいろあるな」

「うーん…中二病?」

「違うだろ」


淡の言葉に否定しながらも菫は京太郎に同情のような視線を向ける。

京太郎は少し悩む程度でそれほど深刻でもないのだが、そうしていると黙っていた照が麻雀卓へと足を進める。


「照さん?」

「京ちゃん…麻雀しようか」


意図が解らない、何故いきなりそんな事をと考えていると照が話しかけてきた。


「私の力なら見れるかも」

「力……オカルトですか?」


京太郎の問いに照はコクンと頷いた。

咏から前に照のオカルトの話を聞いたことがあったことを思い出す。

宮永照は相手の本質的なものを見抜くと言っていた。

今回のはその応用なもので京太郎の記憶を覗くのだろう。

暫しの間考え込んだが結局は卓へ着く。

なんだかんだでやっぱり気になるのだ。


「なになに麻雀!?私もやるー♪」

「まったく…また勝手に」

「そういつつ席は取るんですね」


淡と菫も席に着いた。

菫は尭深に言われ少し顔を赤くし視線を逸らした。

この人も麻雀が好きなのだと解るとなんだが近づいた気がして京太郎は優しく微笑んだ。


サイコロを回し仮親、親を決め始まった。




(さて…今回はどうするか)


元々記憶を取り戻すために行なった麻雀だ。

別に本気で勝ちに行かなくても問題ない。

だがしかし……


(どうせやるならキッチリ勝たないとな)


雀士の本能が疼く…京太郎は勝ちに本気でやることにした。

牌をツモっては河に流す作業をしていると違和感に気づく。

ツモる牌が全て悪いのだ。

先ほどから一向に手が進まない、時にこんなこともあるから運が悪いなと最初は思っていたが

違和感が拭えない…


(…誰かのオカルトか)


京太郎はそう判断し注意深く河を見ていく。

照、菫、淡………1人だけ調子のいい人を見つけた、淡だ。


(淡のオカルトかね……厄介な)


そう当たりをつけ京太郎は牌をひたすら切っていく。


(しまった……!)


京太郎は牌を河に放した瞬間に嫌な感じを味わう。

勘が言っている……これは当たり牌だと……

だが既に河に捨ててる為、取り返すのは不可能だ。

京太郎はため息をつき諦め牌から手を離した。


タン……




「あれ?」


淡の当たり牌だとよんでいたのだがスルーされた。

それを以外に思いながらも京太郎はが牌を切っていくと…


「ツモ!」


淡が元気な声で和了。

倒した牌とツモった牌を見てみる。


(あれ…やっぱり俺ので和了ってるのに)


故意に見逃したのか…それとも気づかなかったのか…

気になるが特に影響が有る訳でもなく京太郎はスルーする事にした。















(ん…準備できた)


照は静かに目を瞑るとゆっくりと開ける。

それだけでスイッチが切り替わった。

照が目を開いた瞬間周りが一変する。

暗い暗い闇の中に3枚の照魔境が展開される。

それぞれが京太郎達の後ろにつきその人の本性を暴く。




(あれ…これって)


本命の京太郎の背後の鏡を見るも何故かぼやける。

鏡に映る京太郎はゆらりゆらりと幽霊の様に……陽炎のように揺らめく。

そのせいでうまく鏡が機能していない。


(…少し無理してみようかな)


京太郎に頼まれた事もある。

これで見れませんでしたじゃかっこ悪すぎた。

照は一呼吸置くと更に力を込める。

すると…次第に京太郎の揺らめきがなくなりはっきりと正体が見れるようになった。


(これで…また邪魔が)


やっと出来たと思ったら今度は人影が遮る。

1人は一年前に見た顔だ、鶴姫こと鶴田姫子…その隣には千里山の園城寺怜、その隣には見えにくいが一人いる。

そして最後の人が有名なプロでもある三尋木咏…

何故この4人の影が映るか不明だが邪魔である。


(どいてくれないかな)


照は力を篭め強気に出ると姫子は悩み、怜ともう1人が首を横に振った、最後の1人三尋木咏の影だけが横にずれた。


(京ちゃんを守ろうとするのは判る…けれど時には厳しさも必要)

(何より…京ちゃんはそこまで弱くないよ)


今度は強く言わず相手を諭すように言った。

3人を退かす為とはいえ、これは照の本音だ。

会ったばかりの京太郎だが何故か支えてあげたいと思ったのだ。

一目惚れに近い感じだと思っている、だがそれが嫌ではない。


暫くすると3人が悩むも1人1人動き出す。

姫子が一歩引いた、桃子が一歩引く、最後に怜が悩むも此方をじっと見てから退いてくれた。




(ありがとう)


全員が退いた事で京太郎の後ろの照魔境が輝き京太郎の心を映し出す。

暫く見て照は悲しそうな顔をする。


目を瞑り京太郎の事を思い意識を覚醒させた。


意識が覚醒すると対面の京太郎が静かに涙を流していた。


「あわわわわ…どっか痛いの!?私のお菓子あげようか!?」

「あーえーと…どうすればいいんだ!?」


そんな京太郎を見て菫は驚き、淡は自分のお菓子を差し出したりして泣き止まそうとしていた。

照は静かに席を立ち京太郎に近づくと京太郎の頭を抱きかかえるように抱きしめる。


「ん…もう大丈夫だから」

「…はい」

「ん…いい子」


照は暫しの間京太郎を抱きしめ頭を優しく撫でる。

そんな照に京太郎は眼を瞑り身を任せた。

照のオカルトの影響のせいか判らないが京太郎は思い出したのだ…記憶を。



今日はここまで
照のオカルト設定はオリジナルです

それじゃのー

乙です

乙!

乙です

これは続きが気になりすぎる

やっぱインハイチャンプは格が違った

おつよー

乙です
インハイチャンプ流石だなー

インハイチャンプ!インハイチャンプ!

チャンプすごい。チャンプすごい。

俺はチャンプのこと信じてたよ(テノヒラクルー

気長に待つ

熱くなれる作品だからね
団体+個人戦優勝の奇跡を見たいぜ

誤爆してしまった

待ってるんるん

>>885-887
乙ありん

>>888 >>895 >>898
もうチョット待って!

>>889-893
インハイチャンプすごいよ!
照は、なんだかんだ頼りになりそうだと思う

>>897
よくあるよね

咏編 投下しようかと思ったけど 桃子の誕生日が来たんで
前倒しで桃子after投下します。



「なぁーモモ」

「何すか、京ちゃんさん」


京太郎の家でのんびりと二人はソファーに座りまったりとしている。

今日の日付は7月26日…桃子の誕生日だ。

それなのに何処に出かけるでもなく部屋を暗くして借りてきた映画を見ている。

付き合い始めてからの初めての誕生日がこんなものでいいのかと思ったが桃子は嬉しそうにDVDを選んでいた。


「これっす!これにするっす!」

「え~と……史上最強のゾンビアクション」


桃子が選んだDVDのパッケージを見ると何やら物々しいソンビがゾンビ相手に無双していた。

主役がゾンビで敵もゾンビかよと思いつつ手を離す。

なんとも甘い雰囲気とかけ離れた作品だ。

それでも桃子は楽しみなのか目を輝かせてDVDをセットしていた。


「こういったの好きとか前に書いてたな」

「結構楽しいっすよ?」


ホラーとかアクションが好きだと手紙に書いてあったのを思い出す。

女子にしては珍しいと思っていたが筋金入りに好きらしい。


「まぁ…いいか」

「何がっすか?」


京太郎の呟きに桃子は不思議そうに反応する。

首を傾げる姿もやはり可愛らしく京太郎は、なんでもないよと言って桃子を抱き寄せた。

抱き寄せた桃子は柔らかくいい匂いがした。




「……桃の匂いがする」

「ふぁ!?汗臭いっすか!!?」


後ろから京太郎に抱きしめられていた桃子はあわあわと動き出し慌てて京太郎から離れようとする。

勿論、京太郎が離す訳も無くがっしりと後ろから抱きつき首元の匂いを嗅いだ。

やはりだ、桃子から桃の匂いがする。


「そうじゃなくて…果物の桃の香りするなって」

「あー…そういう事っすか、先輩から貰った香水使ってみたっす」

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                   {://::::::,:|:{ _):::::::}  \ ィ雫ミ、:イ/:イ::::'::::::::::,
                  /:::::::/从乂zタ      _)::::::} ∨:::::::::/:::::::::::|
                  ,::::::::/::::::,     '   弋こソ /::::::::::/:::::::::::::|
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         ,             } / イ          \{      }
          /             〉'´             \〉     /
        ,             〃              '       /
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        八              /{                ,    /
  ,  ´ ̄ `ヽ、`             {圦               /    /
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桃子の言葉に鶴賀の元部長の顔を思い浮かべた。

桃子に桃の匂いがする香水を渡す人なんてあの人ぐらいだろう。

そうこうしていると映画が始まり、桃子は力を抜いて京太郎に背中を預けた。


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_____________



「面白かったっすね」

「そうだなー最後に主人公と敵が結局人類にやられるとかナニソレだな」


ゾンビ映画を見終わり二人は感想を述べていく。

これまた感想を話す桃子は嬉しそうだった、これまで映画を見ても感想を言い合える相手が居なかった為だろう。

笑顔の桃子を見て京太郎は、こんな誕生日もありかと思った。


「今度はこれっす」

「史上最強のラブストーリー……史上最強って流行ってるのか?」

「知らないっす」

「てか今度は正反対の映画だな」


ホラーアクションの次にラブストーリー……どんな選択なのだろうか?

まぁ…恋人と過ごす誕生日に雰囲気的に合ってるしありかと思った。


「はわわわ……映画なのにすごいっすね!!」

「チョット待て!これ18禁物じゃないだろうな!?」


映画を見ていると少しどころじゃない過激なヌレ場に遭遇した。

桃子は興奮し楽しそうに見ているが京太郎はそれどころじゃない。

大好きな彼女である桃子を後ろから抱きしめてるだけでもやばいのにこんな場面を見ると

どうしても意識がソッチのほうにいってしまう。


「どうしたっすか?」

「ナ、ナンデモナイヨ」


もぞもぞと体勢を変える京太郎に桃子は不思議そうにし京太郎を下から眺めた。

勿論そんな桃子に悟られないように京太郎は必死に体制を変えようとしていた。


「もー動くと位置が悪くなるッす!!」

「ちょ…待って!?」


慌てる京太郎の願いも虚しく桃子は体を更に奥へと押し込みぴったりと京太郎と体をあわせる。


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「あっ……」

「………」


そこでようやく京太郎の事情に気づいたのだろう。

桃子はお尻に当たる硬い物を感じて顔を真っ赤にさせる。

京太郎に到っては、情けなさで泣きそうだ。


「………」

「………」


二人は無言で顔を赤くしTVを見つめる。

TVの中ではまだヌレ場が続いており、なまめかしい声が聞こえてくる。

                       _,,.. -ー―――- _
                    ,..-彡--‐::::::::::::::::::::::::::::::>ー 、
                    ,,ィiリ'":::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                   /:/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
                      /::〃::::::::::〃::::〃::::::::|::r㍉:ヽ::::::::::::::::::::ヽ
                 /:;/:::::〃:://:::/:::::::::::::〃 ';:::';:::::';:::l:::::::::::::::|

                 l:::li:::〃::/ l::::/::::::::::::/l::l  |i::l:::::}::::|:::::::::::::::',
                    Y八:::i:l丁リi下::::::/ |:l _i::l:::::|::::l:l:::::::::::::::l
                  /:::リリ| f笊ハ/   ソ|丁リil:::/:::::';}:::::::::::::',
                    /::::::/::::| 弋ソ     ィ笊ハ|:/:::::::::',::::::::::::::',
                 /|:::::::l:/l::| :::::::|:::       弋ソ|:::::::::::::l:㍉::::::::::l
                  /::l:::::::リ::::|:_ゝ | ´   :::::::: |::|:::::::::::::|::::ヽ:::::::::l
               l::/|/ ̄   ,.\ `  '  _.イ|:l:|:::::::i::::ハ:::::',::::::::}
                |:l l|V ヘ  / / > --‐   | |:| l:::::::|:::l ',::::l::::::::|
               |::::|:ハ  ./  | /  |     ! リ リ:::::l::ノ l:',:::}:::::::l
                    \{  /    /         .l  ノ|::::l/\ノ |::ハ:::/
                  ,ノ゙| /    l   \      |   l/ノ  ヽリ |/
                 { ヽ." ̄ ̄ゝ  、   .゛  ̄ ̄/  /  _r‐ |
                  \ .\ト / |   Y´    /   |  /   }


「……まだ先輩達が集まるまで時間あるっすね」

「……そうだな」


それだけ言葉を交わすと桃子は振り返り真正面から京太郎を見上げた。

潤んだ眼をしている桃子と眼が合い、京太郎は顎に手をかけるとそのまま口を近づけた。

二人の影は重なり後ろの流れる映画のように激しく交わっていった。




__________________

________________

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「せんぱ~い♪」

「わっと、モモ行き成りはやめろ」

「わはは…須賀君と付き合ってからも変わらないな」

「こ、こんにちは」

「こんにちは…お邪魔します」


夕方近くになると鶴賀のメンバーが集まりわいわいと騒ぎだした。

元より桃子の誕生日を祝う為に計画していた事だ。

京太郎も笑顔で全員を迎えていれる。


丁度今日の事を両親に伝えると両親はニヤニヤと笑いながら今日一日は帰ってこないとからと言って朝から出ている。

あのニヤニヤ顔には少しばかりイラっと来たが今では感謝している。


「わはは……あれ?」

「先輩近いっす!」


リビングで皆が作業をしていると智美が京太郎の匂いを嗅ぎ始める。

犬見たいな行動する人だなと思っていると少しばかりお冠な桃子が智美を引き離す。


「いや~……須賀君からモモにあげた香水の匂いがするから」

: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >

「!!」
               _ ...-‐…::::::::::::…‐....
            ......::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\

             /:::/::::::/:::::/:::::::;ィ::::::::}:::::::::::::::::::\
            /::::::/::::::/:::::/::::::/ /:::::::::|:::::|:::::::::::::::::ヽ
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       /::::::::::_j::::::/{::::/{::::/ l::::::::::::::!:::::!::::::::::|::::::::::::,

       ,:::/:::::::::「:`メ-!:::{ l::::!r‐|::-::‐:::T:::7:::::::::::|::::::::::::::,
        l::l::::::::::::!:::;x=ミ::! ヾl  l::x竓ミヽj}::::::/::::|:::::!:::::::::
       |八:::::::::∨fr'ハ`     fr':::ハ /:::::/::::::|:::::|:::::::::\
       |! v::::::从弋ツ       弋|!ツ/:::::/::::::::|:::|:|:::::::::::::::\
       |  从::{::l:! ""//////// '"|!"::::::/{::::/´}:::';!::::::::::::::::::::\
        '  ヽ::::,             |!,:::::::{ |::::|/ノ::::::、::::::::::\:::::::::`ヽ
          /{:::込、   ^      |!|:::::::|_!::::!从::::::::ヽ::::::::::::`ヽ::::::::}
           /{ !::{::::介:.、     _.|!|::::::ハ:::l':::::ヽ:::::::::\::::::::::::}:::::/
         l:::| |::iィく::|::::::`ト-r‐   |!|:::::{ィ从|´ ̄`ト、::::::::\::::/l:::/
         ヽ{ / }_,==ミ7ーミ--‐ _ハ::/V/       \::::::∨ |/
            /  厂-‐ 7‐-、 ヽ /7/.|' /           ヽ::::}
            /  / -‐ j--、   V/  /     /      }::/
            /   !  -‐十-   ',  /     /{       !'
        /{  /!   ィト、     !       //      |
         } | / ,   ノ/ }    .|lト、      /       !
          | l/ {   // ト  __ _j/ ハr'   /
       / /  ヽ イ:7 / l\: :ノ / /

       , ./ヽ   l: :/ ./  !: :}  / /
「!!」

「お前は、またそんな事をして……あぁ、うん…蒲原あまり詮索してやるな」

「わはは」




京太郎と桃子はその場で固まりお互いに顔を赤くしそっぽを向いた。

その動きだけでゆみには、大方理解できたのであろう、ゆみ自身も少し頬を染め智美に注意する。

智美もその声で理解したのか笑って誤魔化し2人から離れた。


「えっと…なにかあったの?」

「気にしない方がいいかと」


判ってないのは1人だけのようだ。






「わはは…ロン!」

「うげー…点棒が」

「もう少し相手の牌に注意した方がいいな」

「京ちゃんさん麻雀弱いっすから」


ご飯とケーキを食べ終え何をしようかとなと考え始めたのは麻雀だ。

4人でやってると京太郎が飛んだ。

どうも春からやっているに一向に上手くならない。


「須賀君、DVD見てもいい?」

「いいですよー」


佳織がやってきてDVDのパッケージを見せて来る。

4人しか麻雀が出来無いため暇なのだろう。

特に反対する理由もなく頷いた。


「あれ…DVD入っている」

「なんのDVDだろう」

「「うん?」」


佳織と睦月が入っていたDVDを不思議に思った。

その声に京太郎と桃子は反応する…頬に一粒の汗が流れ落ちる。

そういえば、あの時DVDの声が邪魔だと途中で消した覚えが………。


「「ちょっとまって(っす)!?」」

「ふぇ?」


京太郎と桃子の必死の声に佳織は驚き再生ボタンを押してしまった。

押した途端、TVには先ほどのヌレ場が映り声が流れた。


「「うわ~~~!!!」」

「う~ん……」

「わはは…カオリンが倒れたぞ」

「何てもの見てるんだ」

「うむ……うむ」

混沌の場が出来上がった。


__________________

________________

_____________




「あ…ちょっと電話してくるっす」

「了解」


桃子は一言断り庭に出る。

庭ではカピー専用のプールでカピーが寝ていた。

空を見上げると天気も良く星空と月が良く見えた。


『はーい』

「あっ…お母さん、桃子っす」


電話をかけた先は母親だ。

どうしても言いたい事があった為電話をした。


『どうしたのよ、泊まる事は知ってるわよ?』

「ちょっと言いたい事があったすから」

『?』




「私を産んでくれてありがとうっす」


前までの桃子なら恥ずかしがり言えなかった言葉だ。

だが、今は素直に言えた。

誰も自分を見れないことに絶望した事もあった。

自分の人生に悩んだ事もあった。

だけど今は違う、好きな先輩達がいる、好きな人が傍に居てくれる。

皆が自分を見てくれてるのだ。

それに夢も出来た、ずっと京太郎と一緒に居るという夢が…。


『そっか……桃子、今幸せ?』

「そうっすね」


母親の言葉に桃子は後ろを振り向く。

後ろでは京太郎とゆみ達が騒ぎながらトランプで遊んでいた。

暫しその光景に見とれていると京太郎が桃子に気づき笑いかける。

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{  { l.:.:.:/i.:.:.:/:.:.:.l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:} > .    <.:.:.:/:.:/:.:/i
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ヽ   l:.:.l l:.:.:.lヽ:.:.:.ヽ:.:.:.l_ ,,::::´l\ `ー-ァ_rヾ\ ̄:::::ヽ/

    ヾ::l ヾ丶,>::''´:. :. :. :. :.l.:.:.\  /:::::\i:. \:. :. :. ヽ
      \ヾ/:. :. :. :\:. :. :. :.l. :. :. \\::::/ i、:. /:. :. :. l.:ヽ
        /:. :. :. :. :. :ヽ:. :. :.L:. :. :./ヽ i:::ヽi:. :.\:. :. l:. :.ヽ
       /:. :. :. :. :. :. :. ',:. :. :.  ̄::/:. :.ヽl:::::::',i:. :. /:. :.丶:.:.:.丶
       {/:. :. :. :. :. :. :. }:. :. :. :. :. ヽ、:. :.\:::::i:. :/:. :. :. :.\:.:.:丶


「物凄く幸せっす!」


<桃子after カンッ>


桃子誕生日おめでとう!
明日からは咏編に戻るっす
それじゃのー

桃可愛い!

あ、忘れてた乙です~

乙でした

おつおつ!
ももかわいい

乙です

なんという可愛さ

乙です

>>909 >>912 >>914
もも可愛いよね!
なのになぜ…ss書いたのは俺だけなのだろうか

>>910 >>911 >>913 >>915
おつありん

短いけど投下

「……思い出したか」


夜空を見上げながら電話を切り咏は静かに息をついた。

電話の相手は京太郎だ、ただ一言だけの電話……


『全てを思い出した』


それだけの電話だったが咏にとっては衝撃的な電話であった。

自分では京太郎を戻すのは無理だと判っていたが、こうして本当に他の人が戻すのに成功すると其れに対して嫉妬してしまった。


「京太郎と会ってから色々あったな~」


咏は落ち着きを取り戻すために机の上にばら撒かれた手紙を整理し始める。

全てが京太郎からの手紙だ、それを1つ1つ丁寧に揃え、愛おしそうに撫でる。

この手紙全てが咏と京太郎の絆の証である。


「あぁ……これって」


ある程度整理していると1通の手紙を見つけた。

この中でも最も古い手紙だ、全ての始まりであり、原点と言ってもいい。


「懐かしいねぃ」


手紙を開け中身を見ていく、中身にはたどたどしく可愛らしい文字で書かれていた。


-はじめまして、ぼくのなまえはきょうたろうです-




「なんだこれ」


拾った手紙を開け読むと咏は眉を潜めた。

中にはクレヨンで書かれた文字で紹介文が書かれている。

どうやら小学生の書いたお遊びのようだ。


「あー風船に手紙をつけて飛ばす奴か、今でもやる奴いるんだねぃ」


懐かしみつつ咏は手紙をゴミ箱へと持っていく、所々汚れており字も煤けている。

こんな手紙を置いて置いても誰も読まないだろう、無論咏も返すつもりはない。

高校生の咏と小学生?ぐらいの文通なんて話が合わず終わるだろう。


「あ~~居たいた!咏ちゃん遅れるよ!」

「ちょっ…はこぶな!運ぶな!」


移動していると突如体が浮き上がり何処かへと運ばれる。

咏の身長は伸びるのを忘れてしまったのか低かった。

そんな小柄な咏を同じ修学旅行の班の友人が抱きかかえて運んでいく。

気づけばバスに乗せられホテルへと向かう最中であった。

手には先ほどの手紙を持っており、どうしようかと悩む。


(適当な所で捨てておくか…そうしよう)


そう考え咏は手紙をポケットに入れた。

それより先ほどからお腹が空いてしょうがない、ホテルに向かうバスの中で今日の夕食の事を考えるのであった。




「は~食った食った」

「すごい食べたね、咏ちゃん」


満腹になりご満悦な咏は次はどうしようかと悩み娯楽を友達と探し歩く。

ホテルというより旅館に近いためかある娯楽は古めかしいゲームに卓球や麻雀と言ったものばかりだ。

どれで遊ぼうかと品定めし1つのゲームに絞り込んだ。

選んだのは勿論、咏の一番得意で今ままでの人生を全て注ぎ込んできた麻雀だ。


「よっしゃ!!これで和了!」

「うへ~…点棒もうないよ」

「強いな~」

「私飛んだんだけど」


一緒に麻雀をしていた部員と仲良くやっていると咏達の周りに観客が集まってくる。

普通では見られないほどの豪快な和了り方に引かれたのだろう。

老若男女構わず集まり色々と会話が弾んでいる。

大体の人が咏の事を褒め尊敬する内容だ。

その話を聞き咏は自慢げに嬉しげにない胸を張った。

だが、その上機嫌も他の客の一言で一気に下降する。


『あぁ…流石だな、小鍛治プロの後継者とだけあるな』

「………」

「あ~……やっちゃった」


その言葉を聞いた瞬間、咏の顔は冷たく無表情へと変わる。

不機嫌さを隠さず持っていた扇子をバシリと音を立て仕舞うと一言言った。


「帰る」

「ちょ、咏ちゃん!」


友達の言葉にも反応せず咏は椅子から降りると無理矢理人垣を分け入り自室へと戻った。

自室の扉を力任せに閉めるとドスドスと音を立て歩き自分の布団へと飛び込む。

暫しの間、枕を何度も叩き怒りを外へと晴らす。


「だ・れ・が!!!小鍛治プロの後継者だ!!!!私は三尋木咏だ!!!後釜じゃない!!」


一言一言力を入れ発言し発散する。

小鍛治プロの後継者……それが今現在の咏の世間的評価だ。

子供の頃から麻雀を続けており才能もあった御蔭で華々しい実績を持っていた。

高校に上がってもそれは続いていく。

だが、咏にも予想できなかった言葉がそこで待っていた。



『小鍛治プロの後継者』


3年前に颯爽と現れた-小鍛治健夜-その圧倒的才能に誰もが心惹かれた。

高校を出るとすぐにプロ入りし今現在でも無敗を誇る最強の一角だ。

咏だって雀士だ、あいつより強い…あいつより弱い…そのぐらいだった別に構わない。

その人は比べる事で自分を三尋木咏を見ていてくれてるのだから…。

しかし、後継者はそうではない、小鍛治健夜を通してしか咏を見ていないのだ。

咏には、それが我慢できなかった。


「あーもう、腹立つな!」


枕を叩いてもまだ、腹の虫が収まらない。

この怒りをどうしてくれようかと思っていると、とある物が眼に入った。

昼間に拾った手紙だ。


「………ふむ」


暫しの間、それを眺めた後、咏は立ち上がり売店へと向かった。

数分の時間を経って戻ってきたときにはレターセットを持っていた。

レターセットを開き自前の筆ペンを手に取ると手紙を書き始める。


「こんなもんかね?」


初めて書いた手紙に首を傾げながらも丁寧に手紙を仕舞う。


「少しばかり悪いが憂さ晴らしさせてもらうよ…いひひ」


仕舞った手紙を見つつ咏は口を曲げ悪い顔で笑った。

咏が書いた手紙は前半は小学生でも解る様にしてある、だが後半は達筆な字で書き解らないようにしてあった。


このことを思い出す度に咏は頭を抱え顔を真っ赤にさせ悶える。

腹が立っていたとはいえ、小学生相手に何をしてるんだと……どちらが子供かと思った。

だが、この事がなければ京太郎との手紙は続かなかったのも事実であった。


『最初は驚いたけど……暗号みたいで楽しかったです』


咏が何故あの手紙を貰っても続けたのか聞いたところそんな答えが返ってきた。

高校生の書いた手紙だ、小学生の京太郎に理解できない話もあっただろう。

だが、字を読み解きながらじっくりと見ているうちに少しずつ理解し手紙の返事を書くことが出来た。

京太郎は笑いながら咏にそういった。


これが2人の手紙の始まり……咏の意地悪から始まった文通だ。



          __........-―-.........__

.         ..:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
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     i::::::::i:::::::i`ト:;::」:::::::::::i i:::::i i:::::::::::::::::i

     |::::::::l:::::::「.「i::::i:::::::::::| |_;;」」::::::::::::::::::!
     i:::::::::!::::平テ'  ` '气テ芹 !:::::::::::::::::i
     l:::::::::i::::::じ’    弋::::ソ |:::::::::::::::::i
     ハ:::::::|i::::|xx____ xxx, |::::::::::::::::;'

.     / i::::::|.!:::!  V   |  ,,;ィ=リ:::::;::::::::::i
    /   i:::::::i::::ト . ` -‐' /;;''イ:::彡イ:::::::i
.   {   i:/i:::i:::i::::;;;;≧≦{:::i彡イ|:::|::::|:::::::ハ
    !  ,リ .!::::i:i,イ::::ヽY´_!::i: . イリ!:::!::::!:::::乂
   _nm /__ハ::::i{ {::::::::iイ: .i::i/ : ..i:リ. : ` < `ヽ
.(( .l |.| !!i´: . :ル': . :.>=ミ≧≠: . : . : . : . : . : . \

.   |   .リ: . : . :..:/: . : /: . : . : . : . : . : . : . : . .',

短いけどここまで
続きはたぶん明日投下
それじゃのー

遅れたけどモモ可愛すぎた
そしてうたたん!

乙です

うたたん乙

俺のうたたんかわいい!

お前のじゃねぇ俺のだ


うたたんかわいいおつー

うたたんかわいいうたたん

乙ー
うたたんうたたん!

>>925-926
残念だがすでに京太郎のなんだ……

京太郎と俺のうたたんってことで許しとくわ
うたたんかわいい

お前は俺のものだろなに言ってるんだ

ちげーよ俺がお前のものなんやで

明日っていつさ!

ああ!

>>922-929
なんだ、このコールは……可愛いけど

>>926 >>929-931
お幸せに

>>933-934
残りレス少ないし次の投稿で咏編終わらしたいから数日まってな
このスレで咏編おわらしときたい

次が楽しみだ


「ん~……おっと咏さんから手紙着てるな」


部活帰りにポストを覗くと複数のチラシと手紙が入っている。

1ヶ月ぶりの手紙に少しテンションが上がり鼻歌を歌いながら家へと入った。

文通を咏と小学生の頃から続けている。

京太郎は手紙が届いてから必ず数日で返事を書くが咏は京太郎と違い日にちを決めていない。

数日で届く事もあるし、こうして1ヶ月の間届かないときもある。

高校生のときと比べてプロになり忙しいという事もあるのだろう。


「ふ~ん……また大会で優勝したのか」


手紙を読むと大会で優勝した事が綴られており嬉しそうな気持ちが伝わってくる。

純粋にプロの大会で優勝した事は、すごいと思ったがどう凄いのかが京太郎には判らなかった。

咏が麻雀をしているという事で京太郎自身少しばかりやってみた事がある。

友達に誘われて丁度よかったと言うのもあったが…。

少しばかりやってみた結果、京太郎は麻雀に興味を持てなかった。

友達ばかりが和了続け何が楽しいのか判らない内に終わってしまったせいだ。


「返事どうするかな~……あー…そうだ夢が出来た事でも書くか」


机の中から新しいレターセットを出し返事を書き始める。

大会を優勝した事へと賛辞、それと中学に入って自分にも咏のように人生をかけることが出来るものと会えたこと…。


「これでよしっと」


何度も何度も見直し変なところが無いかを確認ししっかりと仕舞いった。

後は朝学校に行く際に出して終わりだ。


「ふ~ん……ハンドボール始めたのか」


大会の控え室で届いたばかりの手紙を読みながら微笑んだ。

麻雀ではなく別の物を選んだ悲しさはあるがそれでいいとも思った。

何より京太郎が自分と同じく人生をかけれるものに出会えたのだ、自分はそれを応援するそれだけである。


「ん~…ハンドボールって何を使うんだろ」


携帯をポチポチと弄りハンドボールで使う備品を探す、何か贈り物をしようと思った。

出来れば高級なものがいいのだが、そういうの送ると京太郎が嫌がるので適当な物を選ぶ。

お金の付き合いが嫌らしい…中学生の癖に生意気だと思うも少しばかり嬉しかった。


「暫く会えてないなー………どのぐらい成長したかな」


贈り物を選び終え携帯の画面を眺める。

そこには咏と同じ背ぐらいの京太郎と咏が写っており、京太郎が大人しく渋々咏に頭を撫でられていた。

文通を続け長野に仕事で行く時が合った為、ついでに会いにいった事があった、写真もその時に撮ったものだ。

男性の成長は早いと聞く、今では咏の身長を軽がる越えているだろう。


「ん~機会があればいいんだけど」


そう言ってスケジュールを確認するも長期休暇は取れそうになかった。


『三尋木さん!そろそろ準備お願いします!』

「はいよー」

携帯を仕舞い扇子を手に取ると咏は歩き出す。

今日も自分の人生をかけた真剣勝負が始まる。

この後、咏は後悔する。

頻繁に会いに行ってれば……いや、咏が居ても何も変わらなかっただろう。

後悔したのは、京太郎が中学2年生の時、京太郎の夢が破れた時だ。



原因は、色々あるが一番の理由は考えの違いだろう。

元々弱小チームだったチームだが、京太郎が入り中心になると劇的に変わる。

的確なパスと判断力に恵まれた身体能力……京太郎が指令塔とエースの二つを役を受け持った。

それ以来順調に勝ち続け大会も県大会まで行けた。

ここまでの快進撃に皆が喜び勇む、今まで負けていたのだ悔しい思いもしたし、つまらないとも感じた。

そんな自分たちがここまで来れたことに感謝と感激した。


だが、それが続くのも決勝までだ。

決勝では相手のエースと残りの部員の2人で京太郎を囲み押さえつけられたのだ。

それでも相手のチームの人数を減らしたことに代わりはない。

普通だったら数の差で有利になる筈だった……筈だったのだ。


結果的に言えば負けた。

部員の身体能力さに経験の差、その二つが壁となり圧倒的な点数差で終盤まで行かれたのだ。

最後のタイムを使い京太郎と監督は相談する。

2人の結論は最後は勝負に拘らず楽しもうと言う結論だった。

どうやっても変わらないほどなのだ、幸い皆が2年生で次の年で挽回できる。

京太郎がそう伝えると皆は黙り込んだ。

暫くしてフラフラと立ち上がると皆がグラウンドに向かった。

そして最後までやり切った……京太郎だけが……。


勝つのが当たり前になっていたチームだ、勝てないと判れば士気が下がり楽しむ気にもならなかった。

純粋に勝っても負けても楽しんでいた京太郎と勝つことを楽しんでいた部員、二つの溝は深く

試合が終われば全員が京太郎を攻めた。

何故もっと力を出さなかったのか、俺達が負けるはずがないなど自分達を棚に挙げ一番頑張っていた京太郎を攻める。

咏と共に居て精神的に大人になっていた京太郎でもこれにはカチンと来た。

誰が最初に手を出したか判らないが大喧嘩となり、騒ぎとまでなる。


「それでこれか……」


京太郎の前には退部届けと書かれた紙があった。

協議の結果、京太郎が退部することになった。

どの道もうここのハンドボール部で上に上がることも出来ない。

顧問の先生からは、他の中学に移ってハンドボールをやるのはどうだともいわれたが京太郎には、その気すら起きない。

既に問題になった後だ、何処に行こうか京太郎がその事件に関わっていると知れるだろう。

問題の生徒として扱われる、既に京太郎の夢に未来はない。


「………つまんねーな」


紙に早々に名前を書き込むと提出する。

廊下を歩いていると京太郎を見た生徒は脇へと避けた。

ハンドボール部の噂は出回っている、その噂のせいだろう。

ご丁寧に部員達が自分のプライドを守る為に自分達は悪くないと噂をばら撒いていた。

京太郎は、それに対して何もしない。

意味がないと判ってるから、京太郎が1人騒ごうが相手は10人以上で噂をばら撒いている。

焼け石に水だ、人とはどれだけ信用していても大勢の人間に言われたら其方へと傾く。

わざわざ川の流れに沿って止まるより、流れに乗ったほうが楽だ。


「京ちゃん……大丈夫?」

「何がー?」


紙を提出した後、歩いていると咲が近寄ってきた。

心配そうにする咲に京太郎は頭をくしゃくしゃと撫で回した。

別に強がってる訳でなはい。

もうすぐ夏休みだ、夏休み前にあった噂など薄れる。


「あ~………咏さんに会いたい」


外を見るとミンミンと気の早いセミが鳴き始める。

もうすぐ暑い夏がやってくる、夏はすぐそこだ。




「………誰だよ」


暑い日ざしが外を照らす中、自分の自室でエアコンを利かせお腹を出して快眠を貪っているとチャイムを連打で鳴らす人が居た。

どうやら誰も家に居ないらしくずーーと鳴らされ続ける。

最初は無視しようかと思ったが、こんな事をする人を京太郎は知っている。

まさかなと思いながらも服を着替え、足早に玄関へと向かった。


「はいはい、どなたですかって……」


ドアを開け見てみると誰もいない、先ほどまで鳴らしていた筈なのにである。

夏場という事もありイタズラより怪奇現象かと京太郎は震えた。


「そんな冗談いらねー!!!」

「あいたっ」


まぁ……怪奇現象でもないのだが、そんな冗談を言ってみると足に痛みが走る。

思わず足を押さえしゃがむと頭に足を乗せられた。


「いってー!小粋な冗談なのに!」

「どこかだ」


少しばかり顔を上げるとその人物が目に入る。

いつもの髪を後ろで結びポニーテールにしていて、服装は軽めのTシャツに淡い青色のスカート

そして………。


「咏さん…今日は、白ですか」

「死ね」


丁度見えた白い三角地帯を思い浮かべながら京太郎は宙を舞った。

京太郎の前にもっとも会いたかった人……三尋木咏が居た。

残り半分…明日か明後日には投下しやす

乙です
着物以外の咏ちゃんも新鮮だなー

乙です
辞めた理由怪我とかじゃなかったのか

乙ー

乙です

やっときたか

乙です
これはやめるわ


>>943
着物意外も合うと思うんだ

>>944 >>948
怪我ばかりがやめる理由にならんよね

>>943 >>944 >>945 >>946 >>948
おつありん

>>947
待たせてごめんな


「いくぞー!」

「何処へ?」


痛む顎を押さえながら咏を見た。

咏は遊ぶ気満々で京太郎の手を取り引きずって行く。

一応何処でも行ける様に服装は整えていたがこうも行き成りとは思わなかった。

半分しか履いていない靴を整えながら京太郎は咏を追っかけた。





「……遊園地?」

「さー遊ぶぞー!」


チケットを買うと咏は両手を挙げわーーと駆け込んで行った。

なんとも子供らしい動きとテンションに少しばかり笑ってしまった。

まぁ…後でバレて扇子で叩かれたが、てか持っていたのか、それ。


「まずはこれかね」

「あーコーヒーカップ」


意気揚々と乗っていく咏を見て京太郎は、嫌な予感しかしない。

そしてその予感は当たる。


「あははははははははははは」

「おえっ……」


咏はご機嫌に思いっきり回し始める。

それは、もう周りの人が引くぐらいに回した。


「おろろろろろ」

「なっさけねーな、次はアレな!」


吐きそうになる京太郎に一括してジェットコースターを指差す、気持ち悪がっている京太郎にあれを乗れと言うのか

鬼めと思いつつも引きずられていく、ドナドナと頭の中を子牛でなく京太郎が引きずられていった。




「おらおらー!」

「ゴーカートでぶつかるのは危ないですよ!?」

「ひゃぁー結構よく出来てんねぃ」

「お化けが触られて困惑してます」

「バンジーゴー!」

「まじでかっーーー!!!!」

「わぁーー!!もっと回ったりとかねーの?」

「うぉ!?結構怖いなこれ!」

「わははー!こっちだ!こっち!」

「…全面に咏さんが居る…ナニコレ怖い」

「最後は観覧車だねぃ」

「誰が決めたんですかね?」



「はぁ~楽しかった!」

「振り回された思い出しかない!」

「でも楽しかったろ?」


咏の言葉に京太郎はうっ…と言葉に詰まる。

確かに最初のほうは京太郎も参っていたが、最後は一緒に大はしゃぎをしていた。

あれほど笑ったのはいつぶりだろうか?


「そんじゃなー!」

「あっ………ありがとうございます、咏さん」


手を振り帰って行く咏に京太郎は頭を下げた。

咏の事だ、夢破れた京太郎の事を思って気を使って来たのだろう。

京太郎は、ありがたい気持ちでいっぱいになり最後まで頭を下げ続けた。











「よー!今日は水族館だ!」

「………」


訂正……ただ遊びたいだけかもしれない。

次の日も朝早く来てリビングで寛いでいる咏を見て京太郎はそんな事を思った。

それから一週間の間、咏に連れられるままいろいろな所へと遊び行った。


今日もそうだったのが、他の日と違い今日だけは夕方に出かけることになった。

お祭りか花火大会でもあるのだろうか?

連れられてきた所にはたくさんの人が居て何かを待ちわびていた。


皆が皆、ドームに入っていく、それを横目で見ながら咏は京太郎を連れ関係者の入り口へと向かった。

流石に京太郎も止めたのだが、咏は関係無しとばかりに進み入り口で関係者と思われるスタッフに何か見せた。

それを見ると怪訝そうに見ていたスタッフも敬礼して見送ってくれた。


「あーと……その子は」

「問題なし!私の知り合いだから」

「判りました、こちらの証明書を首からお掛け下さい」

「ありがとうございます」


渡された物を言われたとおりに首からかける。

一体ここで何が行なわれるのだろうか?

不思議に思いながらも咏に着いて行く、暫くすると1つの部屋へと通された。

入り口には 三尋木咏様 控え室と書かれていた。


「一体此処は……?」

「ちょっと準備するから待っててな~」


それだけ言うと咏は奥へと行って何やら作業をし始める。

京太郎は、特にすることもなく辺りを見渡すと暇つぶしの為の物だろうか?

雑誌が置いてあった、暇な事もあり一冊取ると表紙を見る。


「月間……麻雀士」


どうやら麻雀の雑誌のようだ、すると……ここで行なわれるのは……。


「説明してくださいよ!咏…さ…ん?」

「こんなもんかねぃ」


奥から出てきた咏を見て言葉を失う。

赤い赤い着物に身を任せ、いつも付けていた帽子も眼鏡も取っている。

手には扇子を持ち、顔は何時も見ていた楽しげな顔ではない、真面目な顔だった。

雰囲気が違い過ぎる…そんな-大人-らしい咏に京太郎は暫くボーと眺めていた。

その後咏に手を引かれ何やら豪華な客席に座らされた。VIP席という所だろうか?

意味もわからず京太郎は戸惑うばかりだった。数分間ここで座っていると周りが暗くなった。

アナウンスが流れだし、ようやく京太郎は理解した。



「麻雀…の大会?決勝戦?」


『選手の入場です…一人目はこの人、牌のおねえさんで御馴染み-ハートビーツ大宮-に所属し
 Whirlwindの称号を持つ<瑞原はやり>選手~~~~!!!!』


「はややん☆」たゆん


『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』

先ほどまで戸惑いを全て吹き飛ばすほどの威力だった。

まさに胸の暴力…圧倒的だった…好みド真ん中!!


(やべぇーやべぇーよ!麻雀いいな!)


京太郎がだらしない顔で見てる間に2人ほど紹介された。

暫くはやりを凝視していると最後の1人が紹介される。


『最後はこの人、小柄な体系に似合わぬ圧倒的火力が敵を焦がす!-迫り来る怒涛の火力-
 横浜ロードスターズ所属、Cat Chamber!<三尋木 咏>選手!!!』


「え…」

炎と煙の演出から咏が出てくる、咏はニヤリと笑うと扇子で口元を隠す。

その動作がよく似合っていてはやりとは違った魅力を奏でていた。


「咏ちゃん…男の子連れてたって聞いたけど誰なの?」紹介シテ

「ん~内緒☆」

「…ほほぅ、いい度胸だね」

「はっはっはー!負けらんねぇーわ」


知らんけどと言い二人は席に着く…試合が始まった。


「すげぇ…」


京太郎は最初机の上でやる競技という事であまり期待していなかった…

だがそれは違った…小さな卓の上でのぶつかり合い、お互いがお互い油断無く読みあい

相手の隙をつく、点が次から次へと変わっていく、大きな手で和了ば会場が沸く

相手を押さえても同じだ…この小さいながら熱い競技に京太郎は目を奪われた。

その中でも目を向けるのは-咏-だ。

まさに圧倒的だった。


「リーチ!一発!ツモ!…三暗刻、役牌、ドラと裏ドラ乗って!!数え役満だ!!」

「うぐっ」


咏の背中に炎が上がったように見えた、はやりも称号のように-旋風-を起すも

咏を余計に燃え上がらせた、乗りに乗った咏は誰にも止められない。

京太郎は、はやり-好みの女性-を見ず咏-好みから外れた女性-の後姿を眺め続けた。

心が燃え上がる…新たな目標を見つけた瞬間だった。


(俺は…俺は―――)


「よー!しっかり見てたか!」


あの後、控え室で待っていると咏が機嫌良く入ってきた。

勿論大会を優勝してだ。

そんな咏に京太郎はぐわっと近寄り肩を掴んだ。


「な、なんだ?」

「咏さん!!俺に麻雀を教えてください!」


驚く咏を他所に京太郎は、そう言って深く深く頭を下げた。

暫しの間、ポカーンとしていた咏だが、京太郎を見てくすりと笑った。

どうやら成功したらしい、京太郎に新たな夢をあげる事が出来たようだ。


「ふふ~ん♪私は厳しいぜぃ」

「構いません!」


目をキラキラと輝かせて見てくる京太郎を見て、咏はこうでないと薄く笑う。

その後、咏が仕事で戻るまでの間、全てを京太郎へと伝える。

最後に多く経験を積む様にと教え咏は帰って行った。

だが咏は、爪が甘かった……もう少し頻繁に連絡を取り京太郎の現状を知るべきだったのだ。











運が良かったのか……この場合は悪かったと言うべきだろう。

咏が帰ってから様々な人と京太郎は麻雀をした。

その上で一度も負けなかったのだ。

負けることもなく、ただただ勝ち続ける。

次に咏と会う時までそれが続いた。

まるであの時の部員達のように……。


「それじゃどれぐらい強くなったか見てやろうか♪」

「ふふん、自信ありますよ!」


不敵に笑う京太郎に咏も笑いかける。

自分の初めての弟子がどのぐらいやるか楽しみだった。


「ほいっと私の勝ちだねぃ」

「………あっ」


京太郎が意外にもやった、咏から直撃を取るなど舌を呻らせるほどの物をみせてくれたのだが、流石に咏には勝てない。

1度直撃を受けた矢先に咏が本気をだしたのだ。

前に見たときのように真っ赤に真っ赤に燃え盛る火に京太郎は呆気なく飲み込まれた。


「やー私に本気を出させるなんてやるねぃ!」

「あっ………あぁ……」

「京太郎?」


まさか数週間の内に自分に当てられるまでになるとは思わず誇らしげに京太郎を見ていたのが、

京太郎の様子がおかしい……言葉を発せず目を見開きわなわなと震える。


ここで少しだけ精神の話をしよう、咏は精神を-家-だと思っている。

土地が母親、土台が父親、生まれてから様々な影響を受けて少しずつ自分だけの家-精神-を作っていく。

そして、京太郎の精神は崩壊まえのボロボロの状態だった。

仲間達に裏切られ、夢破れ、ボロボロになったところに咏が新しい大黒柱-夢-を与えた。

そこまでは、良かった、問題はこの後だ。

負け知らずの京太郎に咏が圧倒的力で勝ってしまったのがいけなかった。

普通の一般人に負ければ、悔しがりながらもまた前に進んでいくだろう。

だが、咏は苛烈すぎた、圧倒的強さが燃え盛るような熱さが京太郎の家-精神-を燃やし尽くしてしまう。

どうやっても咏に勝てないと判ってしまったのだ、咏が新しい夢を与えその新しい夢を破ったのだ。


「京太郎っ!京太郎!!」

「………」


家が燃えた後残るのは燃えカスのみ精神が死んだ事を意味するのだが、

幸い京太郎は微かにだが廃人一歩手前で収まった。

咏の必死の呼びかけに応え様としたのだろう、生きる為に精神は急速に作り直される。

今度は壊れぬように燃やされないように………今までで一番強い人を真似た。


「……大丈夫ですよ、-咏-」

「……京太郎?」


ゆっくりと起き上がった京太郎はにっこりと笑って咏に笑いかける。

そんな京太郎に咏は一歩後ろへ引いた。


「どうかしましたか?」

「………お前は」


1つ1つの仕草が誰かと被る。

咏は、直ぐに気づいた、なんてことはない、何時も見ているではないか……

今目の前に居るのは……居るのは……


「私………か」

「………咏?」


京太郎は咏を呼び捨てにする。

当たり前だ、自分に敬称をつける人はいない。

ゆえにニコニコと笑い京太郎であって京太郎でない者は呼び捨てにする。

結局の所、咏にはどうすることもできず、ただただこの自分モドキを愛し、傍に寄り添うことしか出来なかった。

これが…咏の罪であり、2人の文通の結末だ。









「―――君、―――」

「ん~?」


誰かに呼ばれ京太郎の意識が覚醒する。

ぼーとしながら目を開けると緑色の葉っぱの隙間から眩しくも暖かい日差しが京太郎を擽るようにさわさわと揺れた。


「起きんとチューすんで、んーーっ」

「やめい」

「へぶ」


暫しの間ポケーとしていると怜の顔がにゅっと出てきて迫ってきた。

流石にされる訳にいかず、手で顔面を掴んだ。


「あーっ……そっか、エキシビジョンマッチまで時間があったから寝てたんだ」

「そやったか……なら急がんとな~」

「うん?まだ時間ありますよね?」


そう言ってタイマーをセットした携帯を覗き込んだ。

其処には真っ黒な画面を移す携帯があり、触ってもうんともすんとも言わない。

京太郎の顔を暑さのせいではない汗が垂れた。


『まもなくエキシビジョンマッチが始まります』

「ってことや、散歩してた怜ちゃんに感謝し」

「おおぅ!?忙がねーと!?」


腰に手を当てむんと得意げになっている怜を横に京太郎は慌てて立ち上がる。


「ありがとう!怜さん!」

「はいはい、あとこれ渡しとくわ」

「……手紙?」

「後で読んでな」


薄い水色の手紙を怜から受取った。

それを暫し見つつ京太郎は慌てて怜にお礼を言って走り出す。

そんな京太郎を怜は優しく手を振って見送った。


「急げ!急げ!」

「あれ…京ちゃんさん?」

「モモ?」


急いで会場へ向かっていると桃子に呼び止められる。

相変わらず影が薄くゆらゆらと体半分が消えていた。

急いでる京太郎を見て桃子は不思議そうにしている。


「こんな所で何してるんっすか?」

「会場に急いでる」

「えーと…会場ってこっちじゃないっすよ?」

「なんだって?」


とてとてと京太郎に会え嬉しそうに桃子は近寄ってくる。

そして近寄ってきた、桃子は京太郎にそんなことを言った。

桃子は反対側のAブロックの会場のほうを指差す。


「うわー!!迷子とかありえーよ!?」

「急いだ方がいいっすね」

「ありがとう!モモ!」

「いえいえ、後これどうぞっす」


お礼を言った京太郎に桃子は胸元から何かを取り出す。

その時に桃子の豊満な胸がぷるんと揺れ京太郎の視線が釘付けとなった。


「エッチっすね」

「ゴメンナサイ」


ばっと胸元を隠す桃子に京太郎は潔く謝る。

それを見て桃子はため息をつきつつ手紙を渡した。

その手紙は薄いピンク色をしている。


「後で読んでほしいっす」

「…判った、絶対読むよ、それじゃいくわ!」

「ファイトっすよ!」


桃子に見送られ京太郎は走る。

そんな京太郎を桃子は消えながら見送った。


「うぉっと!」

「きゃっ」


走っていると角から出てきた誰かとぶつかってしまった。

お互いに尻餅をつきお尻を擦りながら謝る。


「ごめん…な………」

「あたた……こっちこそ」


ぶつかった相手は姫子だった、姫子は大きくM字開脚の形を取っており、京太郎の視線の先には黄色のオシャレな下着が見えた。


「……ヒメコサンデシタカ」

「どげんしたと?」


顔を真っ赤にさせ視線を逸らす京太郎を不思議そうに見ていた。

暫く見て自分の体勢に気づいたのだろう、姫子は頬を染めバっと足を閉じた。

そして2人して視線を逸らしながら立ち上がった。


「………すみませんでした」

「別によか、そいにしてもなして急いでたの?」

「あぁ!!会場に急がないと!」

「あぁ……エキシビジョンマッチ」


京太郎の言葉に姫子は頷いた。

男子個人戦1位と女子個人戦1位の人が現役プロと大会の締めに戦うのだ。それで急いでいたのかと納得した。


「ちょっとまってね」

「姫子さん?」


姫子は京太郎の首元に手を伸ばすとシワシワになっている制服をしっかりと直していく。

暫くして終わったのかひょこひょこと京太郎の周りをぐるりと見回り嬉しそうに頷いた。


「晴れ舞台、頑張って」

「ありがとうございます」


にこっといい笑顔で笑った姫子に京太郎も渾身の笑顔で返す。


「あと…こい読んで?」

「手紙ですか」


ここまで来れば急がなくても間に合うと京太郎は、ほっと一息をつく。

そんな京太郎に姫子はポケットから出した手紙を京太郎へと渡す。

その手紙は黄色い手紙であった、京太郎はそれをしっかりと受取ると今までの手紙と同じようにポケットにしまった。


「いってきます!」

「いってらっしゃい」


京太郎は姫子に見送られ笑顔で歩いていく。

そんな京太郎を姫子は、笑顔で見送った。


「照さん」

「京ちゃん?」


少し歩くと会場の入り口前で照と出会った。

照は個人戦を優勝している、ここに居るのは普通の事だった。

そんな照だが、京太郎が呼びかけるとビクっと震えた。


「緊張してます?」

「うん」


顔を真っ青にさせ照は頷いた。

どうやらのんびり屋な照でもこういうのは緊張するらしい。

照は、とことこと京太郎に近寄るとぎゅっと抱きしめた。

そんな照に京太郎は少し慌てるも周りに人がいない事を確かめてから照の緊張がなくなるように頭を優しく撫でた。


「ありがとう、京ちゃん」

「いえいえ、前に自分も助けられましたから」


そう言って二人は離れた。

照の顔はさきほどと違い血が良くなりだいぶましに見えた。

そんな2人の元にタイミング良くスタッフが駆けてくる。


「準備お願いします!」

「「はい」」


スタッフが扉の前に立つと時間を確認し扉に手をかける。


「京ちゃん、これ」

「これって………」


扉が開くのを待っていると照が手紙を渡してくる。

それは淡いオレンジ色の手紙だった。


「後で読んで?」

「判りました」


「それでは行きます!!」


手紙を受取ると同時にスタッフから声がかかり扉が開いていく。

扉が開くと同時に演出用のドライアイスが朦々と立ち込め京太郎と照の体を冷やした。

どちらか先は判らないが2人は足を進め涼しい煙とは、逆の熱い熱視線を送るライトの光を浴びる。


「………」

「きたねぃ」

「はやっ☆お久しぶり!」


中央へと進んでいくと少しばかり段差で上がっている舞台の上に2人の影が見えた。

1人はトップアイドルにして雀士である 瑞原はやり

もう1人は……京太郎の師匠であり想い人である 日本代表の先鋒を勤める 三尋木咏



中央の卓は少し高い位置にあり、普段なら慎重差で見下ろす側の京太郎が見下ろされた。

これでいい…俺は-挑戦者-なのだから見下ろされるぐらいが丁度いい!!

気持ちが逸る…鼓動が鳴り響く…今日のこの日の為に備えてきたのだ

京太郎が1歩1歩卓-咏-に近づく

視線を合わさった


『咏さん…俺が勝ったら受け取ってもらいたい言葉と物があります』

『!』

『くすくす…5年ほど早くない?』

『いえ…遅いぐらいですよ』

『あっはっはー、そっかそか、でも負けてやんねぃ』

『実力で勝ち取ります』

『生意気な』


京太郎の一生に一度の大勝負が始まる…

絶望の底にいた自分を救ってくれた騒がしい彼女へ

新たな目標を作ってくれた優しい貴女へ

全てを燃やし京太郎は挑む

怖くはない、負けてもまた次挑戦すれば良い

純粋に麻雀を楽しむ事を覚えた京太郎なら容易い事だ

京太郎は胸元のポケットから4枚の手紙を大事に大事に取り出し隣の机へと置いた

そしてその上に真っ白な手紙を置く、咏に渡すために書いた手紙だ



会場の上を手紙がついた赤い風船がふわりふわりと横切る

今日も快晴、明日も快晴…次は誰に届くのだろうか…


『決まったーー!!!勝者は―――』



<手紙シリーズ咏編 カンッ>

咏ちゃん終わり!!
結論!無意味に長くするもんじゃないね!
モモ編辺りの長さがグッドですな
次はたぶん次レスからで豊音辺りになるかと全部書き終えてから投下するようにしますので
次は待つこともないと思います
感想やらご自由にドウゾー 次の話作り終えるまでに埋まってなかったら誘導はします
一応5~6人ほど話は作ってありますがまだ手紙シリーズ見たい人いますかね?
それじゃのー 


続けてほしいけど無理しない程度にね

乙ー
咏ちゃんの出番少なかったような気もするがよかたよー

乙です

乙です

乙です

乙ー
後日談もちょとみたいかな~

乙でした
見たいに決まってるっす

うたたんイェーイ

おつだよー!

ちょーみたいよー!!

乙です、かわいかった
シリーズは見たいです
豊音楽しみ

乙!
うたたんイェーイ!!
他のシリーズはモチベが続くなら読みたい!

とりあえず豊音楽しみ!

<咏アフター>


「それで……お母さんとお父さんどっちが勝ったの?」

「そうだねぃ」


娘の言葉に咏は、少しばかり考える。

言葉に詰まった訳でなく単純にあの時の事を思い出したのだ。

あの時、あの場所で咏は自分が勝ったら京太郎と別れるつもりで居た。

最後の最後で京太郎を追い詰めたのは自分なのだ。

どの面を下げて京太郎の傍に居ればいいか判らなかったのだ。


「お母さんがここにいるのが答えかねぃ」

「えぇーなにそれ」


頬を膨らませる娘を咏は、優しく撫でる。

そして視線を壁の方へと向ける。

其処には、一枚の写真と白い手紙が置かれていた。

写真には、白いタキシードを着た京太郎がウェディングドレス姿の咏をお姫様だっこしている。

2人は笑顔で幸せそうだ。


「ねぇねぇ……いつ生まれてくるかな?」

「ん~だいぶ大きくなったからねぃ、1ヶ月位かな」


娘の言葉に咏は大きくなった自分のお腹を優しく撫でた。

2回目とは言えきつかった、それがまた幸せなのだが。


「楽しみ~!あのね!あのね!妹が生まれてきたら一緒にいっぱいいっぱい遊んであげるんだ!」

「そうかそうか」


元気に父親譲りの金髪を揺らしながら咏譲りの笑顔で答えた。

飛び回るほどの大きく両手を広げアピールをしている。

2人が楽しげにしていると玄関から扉を開ける音が聞こえ、ただいまと声が聞こえる。


「おかえりさない!」

「お勤めご苦労さん」

「ただいま」


赤い赤いトレードマークの着物を揺らし京太郎が帰って来た。

娘は飛びつくように抱きつき大きな手で抱きかかえられた。

それを咏は椅子に座り微笑ましそうに見えていた。

大事な家族と話、笑い、触れ合う、人並みの幸せがそこにあった。


カンッ


>>962-968 >>970 >>971 >>972
乙ありん

>>962 >>967 >>968 >>970-972
無理ない程度には続けるよー!
咏ちゃんは長過ぎたのがいけないんだ!
総集編がダメやったね
やはり1人をメインにしてやったほうがよさげやね

>>969 >>972
短いけど纏まり良さげだったんでアフター!
うたたんイエーイ!

乙~
楽しく読ませてもらいました~次の手紙のメンバーが楽しみにしています。

乙!
うたたんイェーイ!!!

うたたんイェーイ!
前も言ったけど安価きたらシロを取るんだ・・・俺


うたたんイェーイ!

俺は団体決勝戦終わったらネリーの安価取るんだ……

おつー
後日談もやっぱりすばらだった

怜afterはまだ?

>>975
ありがとー!楽しみにしててな
>>976-978
イェーイ!
>>977 >>978
やっぱりお気に入りのキャラ出て欲しいよね!
団体決勝さん…来年か再来年か…いつだろうか
>>979
ありがとな!
短くてごめんな?
>>980
書くよー書くよ!

やふーい!

<怜after>


「よー連れてこれたな」

「え?あぁ……須賀君のことね」


あれから場所を移し清澄と千里山の2校は交流を深めた。

ぶつかれば敵同士であるが京太郎と怜を見守っていた2校だ。

話的にも合った。


「決勝で負けてたやろ、プライドとかそういうもんは……」

「和と同じ質問ね」


セーラの言葉に久はくすくすと笑った。

そして前に和に言われた時と同じ言葉を口にした。


「須賀君って何の為に大会に出たと思う?」

「そら……怜に会うためやろ」


久の言葉にセーラは怜と京太郎のほうへと視線をむける。

視線の先では怜を京太郎が後ろから抱きしめていた。

あの状態で既に何時間も話しこんでいる。

よくも飽きないものだ。


「そう園城寺さんに会うためよね、ならプライドなんて捨てるでしょ」

「ん~……そうは言うけどな、かっこよく会いに行きたい!とかあるやろ?」

「違うのよねー」

「何が?」

「須賀君はかっこよく会いに行く為に大会に出たわけでなく、園城寺さんに強制的に会えるからなのよね」

「うん?」

「彼…基本ヘタレなのよ」


久の言葉にセーラは驚く、だって彼は怜が倒れたときに大阪まで会いに着ているのだ。

ヘタレとは思えない。


「大阪の件はパニック状態だったから行けたのよ」

「そして…一晩たって冷静になって結局最後の最後にヘタレてカーテンを捲らなかった」

「まじかー」

「まじよ、彼は口実が……背中を押してくれる物が欲しかった」

「だから女子の応援と言う形で私が強制的に押し付ければ着いてくる」

「なんやろ……裏の話を聞くと萎えるなー」


久の話にセーラは少しばかり肩を落とした。


「そんな事ないわよ、結局の所彼は園城寺さんの為に一生懸命だっただけなんだから」

「それもそうか」


2人の視線の先の怜は本当に幸せそうだ。


過程がどうであれ、彼が1人の女の子を笑顔にしたのには代わりはない。


「なぁなぁ京君」

「なんだー怜」


京太郎の膝の上に座っている怜は楽しそうに足をブラブラと揺らす。


「私の手紙拾ってくれてありがとな」

「………こっちこそ、返事書いてくれてありがとう」


京太郎は優しく怜の頭を撫でる。

それを擽ったそうにしながらも怜は受け入れる。


「子供の頃話せなかった分、これから話そうな」

「あれ……会った事覚えてるの?」

「うん、しっかりと覚えとる」


あの後、看護婦さんに名前を聞いていた。

あの時、話せなかったが名前を聞いて、送られてきた名前を見て怜はあの時の行動が無駄でなかったと知った。

だからこそ余計に嬉しいのだ。


「大好きや、京君」

「俺も大好きだ」


2人は向かい合い、口を重ねた。


カンッ

-オマケ-

「私限界」

「私も……」

「タコスが甘いじぇ」

「わしも無理」

「俺も外出るわ」

「流石に私も出るわ」

「うぷっ……データ所じゃないわ」

「うへー……甘過ぎるわ」

「怜ええなー」

被害が出てたりする

ええなぁ...

すばら

すばらー!

次のスレは出来上がり次第作るのでスレ誘導はしません
感想やらで埋めて結構ですんで
じゃあのー

乙!
砂糖ぶっぱした!

せめて次スレの名前だけでも教えて下さい

>>990
特に決めてないんだよねー……
【咲-Saki-】豊音「京太郎君!お手紙だよー!」京太郎「2通目だな」

にしようかね

了解
待ってます

乙です
充電スタイルは微笑ましくっていいね

とりあえず次スレは他の>>1のスレで誘導貼ってもらえれば助かる

乙です

乙&埋めー
>>1000なら京太郎は怜のもの

ほい 次スレ 埋めていいよー

【咲-Saki-】豊音「京太郎君!お手紙だよー!」京太郎「2通目だな」
【咲-Saki-】豊音「京太郎君!お手紙だよー!」京太郎「2通目だな」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439767471/)

うめ

埋め
>>1000なら京太郎はうたたんのもの

>>1000ならうたたんは京太郎の嫁さん

>>1000ならみんなか良く京太郎を……

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