【安価】剣術師「この剣が斬れないのは君だけだった───── 」 (79)


…………「はぁ……っ、はぁ…ッ」


【呼吸をするのが苦痛に感じる】

【全身に纏わりつく『黒』と『白』が、どちらかが明らかに首を絞めている】


「ぐッ……ぁァアア……ッ!!」


【剣を握り締め、腕だけで振るうしかない】

【どちらかが……『敵なのだから』】

【斬らなければならない】

【自身に残されているのは『剣』だけなのだから】



───── どちらを斬りますか ─────



『黒』  『白』



……>>2




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黒?



  ─────『 ッ 』─────


【音は無い】

【概念……或いはそもそも『生物では知覚できない存在』だったからだ】

【俺の首を絞めていたのは、『黒』だった】


「はぁ……ゥッ、がはっ……!! はぁ……! はぁ!」


【『星空の世界』で、俺は膝をついた】

【斬られた筈の『黒』は、不定形に形を蠢かせ、揺さぶり、溶けては固まるを繰り返している】

【……そこで、俺は気づいた】


「…………!」


【自身に纏わりついていた、もうひとつの『白』が、ゆっくりと形を成していた】

【細身の手】

【俺の手を掴んで離さぬその指は、弱々しく震えていた】


「……それが、『君』の姿か」

「離すな、この剣が斬らない限りは絶対に離すな」


【眼前で世界を覆い始めた『黒』は、俺にあらゆる『黒』に属する物を杭に形作って差し向ける】

【剣を握り締めているのとは逆の、右手には白い手が絡みついている】


【守らなければ、この手を切らせる訳にはいかない】




【この剣が意味するは、『断ち斬る刃』】

【そして俺はそれを担いこの日の為に、『剣術師』として戦い……救い続けた】

【だが救えなかった事の方が圧倒的に多い】

【俺は強い訳ではない、剣で斬っただけなのだから】



「……ッ…………おおおおおおおおおおおおお!!!!」



【迫る『黒』の杭に切っ先を向け、俺は剣閃を走らせた】



───── 降り注ぐ『黒』の中で ─────

───── 最も『死』に繋がる杭を斬って下さい ─────



『病』  『恋』  『怒』

『刃』  『愛』  『憎』

『雨』  『石』  『人』



…………>>6

>>7
sage忘れた すまん


    【「「「「「「「「」」」」」」」」】


「ッッぁ……ぁあああっ!!!」


【剣閃を走らせ、一本の杭を斬った瞬間に俺は意識を手放しそうになる】

【凄まじい量の『人の死』が直接流れ込んで来たのだ】

【脳ではない、魂そのものに刻み込んでくる数多の記憶】

【世界に溢れている『死』の全てが、その一瞬に籠められていたのだ】

【そして……同時にその杭にこそ、やはり『黒』は隠れていた】


黒…?「……貴方は、どうして…………」


【『人』である事に意味を覚えながらも、『人』である事を悲劇だと言っていた少女】

【『黒の魔女』……その正体が、俺の剣によって斬り開かれた杭から現れた】

【『黒』は、その漆黒に塗り潰された目で俺を睨んでいる】


黒…?「どうして……なんで……っ」


「…………」


【睨むその目から、出る筈のない涙が一粒零れた】

【俺はそれを見ながら、まるで言い訳をするように…………】




「俺にも分からないよ、それは……」




【……言い訳をするように、目の前で涙を流す一人の女を斬ったのだ】




──────── 「助けて……」 ────────


【微かに木霊する声を聴きながら、俺は目を開いた】


剣術師「…………」


【まだ震えている剣の柄に伸ばした左手を、俺は目だけで見る】

【尋常ではない汗を流している左手】

【その汗に濡れる剣の柄を、俺は震えていない方の右手で撫でた】

【戦いの最後に受けた『死の記憶』が、呪いの様に左手を蝕んでいたのだ】


剣術師(これでは……二度と此れまでと同じ戦いは出来ないな)

剣術師(それより…………)


【自身が立っている場所を、改めて再認識する】

【俺はそれまでの事から『とある辺境の村にある、祠の中』にいると思っていた】

【しかし、最後の戦いから目が覚めた場所は……直前までいた場所とは異質だった】


【白い、埃や汚れとは程遠い……異質な白さに包まれた建造物の内部に佇んでいたのだ】



剣術師(なんだここは……ッ)


【空気が重いだけではない】

【長い回廊の様な建造物内を歩いて行くと、次第に何かが壁に引っ掻いたのだろうか?】

【壁に血痕があるのが見え、人の爪らしき物が肉片と共に落ちていた】

【そして……奥にあったのは、巨大な螺旋階段だった】


剣術師「……」

剣術師「行くしか無いかな」


【俺は階段を登り始めた】

【手摺から上を見上げたが、余りの白さで上が見えない】

【そもそも、何となくの輪郭はあっても全てが霞がかった様な、曖昧な姿でしか見えないのだ】

【影すら生まない空間】

【俺はそんな階段を進んだ】



───── 暫く進むと霧が出てきた…… ─────



…………>>12(特に書き込み内容は問わない)


死呪殺



剣術師「………これは……」



──────── 『彼ノ者、此レヨリ先二封ジテイル』


──────── 『時代ノ勇者ヨ、退ケ』

──────── 『去レ』




──────── 『去レッ!!』 ────────




剣術師(呪術……それも、これは次元追放の……ッ!?)


【俺が腰の剣を右手で逆手に抜くと、同時に霧から複数の旋律が走った】

【そして……慣れない右手で俺は剣閃をそれに走らせた】



───── 二つ、『殺されるモノに繋がる』旋律を斬って下さい ─────

───── コンマ以下数字により9個増加 ─────



『兎』  『鷹』  『水』

『雨』  『白』  『人』

『息』  『心』  『子』

『神』  『木』  『女』



…………>>15


ksk

人神


【旋律が空気を伝い俺に届くより先に、俺は二つの『流れ』を斬った】


  『アアアアアアアアアア!!!』

  『アアアアアアアアアア!!!』


剣術師「ッ!! が、はぁッ……!?」


【耳から伝い流れ込む次元を切断し俺の魂そのものを堕とそうとする呪詛が、全身を引き裂いてくる】

【引き裂かれた肉を切れ目に、次元が割られていく……!】


剣術師「……ッ、ぐぉ…おおおおおおッ!!」


    ザンッッ!!!


【全身に広がろうとする『切れ目を俺は斬った』、在るべき形を失った次元の裂け目は消失する】

【全身から流れる血を剣で拭い、傷口を切り捨てると……俺は再び霧から流れてきた旋律へ剣閃を走らせた】


───── 全て選択失敗、次に失敗した場合は部位欠損 ─────



『雨』  『白』  『息』  『心』



…………>>17



    ザンッ!!

剣術師「……悪いけどこの先に用があるんだ」

剣術師「帰る理由も、帰る場所も無い身でね……苦労してここまで来たのだし、最後まで見たいんだ」


【旋律の中に隠されていた呪術の『核』を、遂に俺は斬り裂いた】

【直後に霧散する呪詛は、俺に何かを伝えようとする】



    『愚カナ……』

    『ナレバ、塔ヲ登ルガイイ』

    『願ワクハ……貴殿ノ剣ガ…………魔女ヲ……』



剣術師「……」

剣術師「魔女……だって…?」


【最後に響き渡った言葉に、俺は冷たい気配を覚えた】

【この塔の頂上には『魔女』がいるのだ】

【何者なのか、それは数分前まで戦い続けていた二人の魔女を思い出す】

【全ての元凶である『黒の魔女』は倒した……筈だ】

【だが、もう一人の魔女はどうなったのだろうか】


【これまでの旅では一度も聞いたことの無い魔女、名前も……その能力も、全てが謎の女】


剣術師「…………」

剣術師(この上に居るのか……?)


【俺は白の螺旋階段を登り続けていく】

【失い過ぎた血で濡れたコートを脱ぎ捨て、様々な道具の入った袋を放り捨てる】

【静かな塔の中で、崩れ落ちそうな体を動かして行った】



    『帰って……』

    『私を連れ出すのでしょう?』

    『殺されたくなければ従えと言うのでしょう?』


    『出来ない、私は何も知らないから……分からないの』


剣術師「……」


【塔を登り続けて、4日程した時だ】

【その頂上に位置する部屋へ入った瞬間に、弱々しい声が俺の頭の中へ入り込んできたのだ】

【俺は、魔女らしき黒髪の、黒い柔らかな衣に身を包んだ女を前に、剣を構えた】



黒髪…?「…………」

黒髪…?「……だ……れ……?」


剣術師「…………」


【魔力は感じない】

【ただ、俺の目を通して見ればその場所に……白い部屋にあるベッドに腰かける女は……】


剣術師「……魔女では、ないのか…?」

黒髪…?「…………」

剣術師「言葉は分かるのか、俺の事は……」



【見えていないと思った】

【彼女は、恐らく盲目なのだ】



黒髪…?「……わ…か……な…ぃ」


剣術師「……自身が何者なのか、それすら分からないのか」

剣術師「君は魔女だ、この塔が何かは知らないが……少なくとも君を封じる為の物だろう」


黒髪…?「……」

黒髪…?「ここ……は」


    『私が生まれた時から、私を閉じ込めていた箱の中』

    『それがこの塔、私は全てが憎い……あなたも憎い……』


【長い黒髪は、彼女の視界を塞いでいるのと同時にその表情を隠していた】

【消え入りそうな声】

【本当に魔女なのか、僅かに自身が無くなってきていた俺はベッドに腰かける彼女へ近づいていた】


    『来ないで……』

剣術師「……」ピタッ


    『私は死にたくない……』

    『どうして? どうして私だけこんな時間を過ごさないといけないの……』

    『来ないで……来ないで……ッ!!』


剣術師(魔法の『匂い』…!)

黒髪…?「ぁ……あ……っ」

剣術師「ッ!?」


【頭に響いてくる声が激昂する瞬間に、俺は周囲に感じた気配から何らかの魔法だと判断した】

【右手の剣を逆手のまま構え、彼女から視線を外さずにいる】

【しかし、視界の魔女は何処へも行かなかった】

【にも関わらず……魔女は俺の背後にぴったりと密着していたのだ】

【そして俺は…………】




     ザンッッ!!!




黒髪…?「……」

剣術師「はぁ……っ、はぁ……っ」


【振り向くよりも先に走った一閃】

【『断ち斬る力』で斬られた彼女は、一歩だけ後ろへ仰け反った】

【……だが俺は、彼女を見て信じられないと驚愕した】

【あらゆる存在を斬った俺の剣は、彼女を斬ってなどいなかったのだ】


剣術師(斬った感触はあった、なのに何故……っ)

剣術師(この魔女、偽物か…? いやそれすら俺の剣は斬る……どういうことだ)


黒髪…?「……ひ、ぁ……!?」

剣術師「…?」


【驚愕し剣と彼女を見比べていると、突然彼女は黒髪の奥にある目を両手で覆い、その場に座り込んでしまった】

【直後】


    バリィンッ!!


【『何かの破砕音』が塔全体に響き渡った】

【俺は周囲に漂っていた重い空気の様な気配が、徐々に消えていくのが解った】


剣術師(……俺の剣が斬ったのは、塔の内部にあった何かなのか)

剣術師(だが、俺の剣は俺の意思で斬る相手を選ぶ筈だ)

剣術師(いや……しかし今の一撃、咄嗟の一振りで明確な意思を以て放った訳じゃない)


黒髪…?「な……なに…? これ……眩しい…です」


剣術師「…!」

剣術師(雰囲気が変わった……?)



黒髪…?「…………」


剣術師(……眩しい…?)

剣術師(目が見える様になったのか)

剣術師(何故だ、一体俺は何を斬っ…


    ビシィッッ


剣術師「今度はなんだ…………ッ!?」


【部屋中に響いた炸裂音に、俺は周囲に初めて意識を向ける】

【その直後、起きていた異変の正体を知る】


剣術師(登ってきた螺旋階段……じゃない、これは塔そのものが『消滅し始めた』のか!?)

剣術師(ここは元の世界とは別の、異空間だったのか!)

黒髪…?「な……に、この音は……」

剣術師「『魔女』! この塔から出るにはどうすればいい!」


黒髪…魔女「だ、誰…? 貴方、人間なの……?」


剣術師「あぁ人間だ! それより、ここからどうやって出るんだ! このままだと俺達は異次元の彼方まで堕ちるぞ!?」


【それまでとはまるで違う、怨磋の声音ではなかった】

【消え入りそうな声量でもなかった】

【彼女は、普通の女性の様に不安を滲ませた戸惑う声を出して目を両手で覆っていたのだ】

【最初に見た時とは違う】

【その変化に動揺するのを抑え、俺は彼女の肩を揺すって問い詰める】

【塔の消滅がどれ程の速度か分からない以上、猶予はないと考えるべきだったからだ】

【現実に、この時既にそれまで俺が数日かけて登ってきた螺旋階段や下は白い空間に塗り潰されていた】




    コンコンッ



剣術師「!?」

魔女「…?」


【下の階が次々に消滅し、亀裂が走る音が鳴る中】

【その場違いなノックは肩を揺さぶられていた彼女の、背後から鳴った】

【そして俺は目を見開く】

【木製の扉が、突如として壁に浮き出ていたのだ】


剣術師「……あれなのか」

魔女「なに…? 何が起きてるんですか…?」

魔女「貴方は誰なのですか」

剣術師「あの扉は、君が作った訳じゃないんだな」

魔女「扉…? そんなもの、この塔にあるわけ……」


【目を両手で覆いながら、彼女は俯く】

【しかし、俺はもう余裕が無かった】


    ビシィッッ

    ザァァアアアアア!!


【扉に気づいたその瞬間、背後から一気に白い空間が部屋の家具をも巻き込んで迫ってきたのだ】


剣術師「っ!? 来い!!」

魔女「ひぁっ!?」


【俺と彼女の足下を斬った瞬間、『距離』を斬った事で扉の前に移動した】

【即座に彼女を連れて、俺は扉を半ば蹴破る形で開いた】





    ドンッ!!


老婆…?「な、なぁんだい アンタ達は! 様子がおかしいから来てみりゃ何してたんだい!」


剣術師「………」

魔女「……人間?」


【俺は扉を開けて、目を閉じたままの魔女を抱き寄せるとそのまま飛び出した】

【だが、俺と彼女は直ぐに地面に倒れる形になり、その眼前には年老いた女性が何事かと喚いていた】

【背後を見るも、それまでが嘘のように白い部屋や塔の消滅は無くなっている】

【代わりにそこに在ったのは、僅かに生活の匂いがする民家の中だった】


老婆…?「アンタ達、いつからここに住み着いてたんだね? ええ?」

剣術師「いや……俺は……」

魔女「……」



─── 何と答えますか、今後の方針に関わる重要安価です ───



『まだ来たばかりで……』

『旅の剣士』

『事情があって、彼女の住む場所を探していた』

『※その他』……自由に剣術師の言い訳を書いて下さい。



…………>>26

剣の修行していたら偶然通りかかって見てしまったのさ

事情があって

それは野に咲く花が幸せか問うことと同じ

どうやら記憶喪失みたいだ
ここはどこか教えてくれ


剣術師「……あー」

魔女「……」


【足元で未だに立てず、地面にペタンと座り込んでいる彼女を見た】

【あの塔が何処へ繋がっていたのかは分からないが、どうやら人里ではあるらしい】

【最初から今に至るまで、少なくとも敵意を見せていない彼女をもう一度斬るのは躊躇われた】

【ならいっそ暫くの間、様子を見るのはどうだろうか】


剣術師「事情があって、彼女の住む場所を探していた」


老婆…?「事情がぁ? なんだよ事情って」

老婆…?「お嬢さんもいい加減立ちな! みっともないよ」


魔女「……私…?」


老婆…?「アンタ以外に何処にお嬢さんがいるんだってのさ、アタシか? アタシはもうしわくちゃだよぉ!」

魔女「え……っと……あの」


【目を閉じたまま、目蓋の向こうで一人騒いでいる老婆に狼狽える】

【その姿に、俺は漸く体の力を抜いた】


剣術師「……この家は婆さんの家なのか?」

老婆…?「いんや、空き家だけど今朝からずっとうるさかったんだ」

老婆…?「アンタらじゃないのかぇ? 家の中で鐘みたいなのを鳴らしていたのは」

剣術師「鐘? いや、知らないな」


剣術師「もし良ければ村長、或いは町長でも領主でもいいが会いたい」

剣術師「『彼女』を何処かで住まわせて欲しいんだ」


【俺は、目を閉じて黒髪の下にその目蓋さえも隠してしまった一人の『魔女』を見る】

【……優しそうな女性だと、初めて思った】




───── 『ノルド村:村長家』 ─────



ノルド村長「ようこそノルド村へ……恥ずかしながら私が村長を努めております、ノルドと申します」

剣術師「突然の訪問、申し訳ない」

ノルド村長「はっはっは、まぁこんな田舎です故によくある事ですな」

ノルド村長「しかし、『べネット』さんに聞きましたが……私の村に住みたいとか?」

剣術師「……いえ」

ノルド村長「はて、違いますかな」


剣術師「つい先日まで……追われていた女性がいます、彼女が安心して暮らせる地が欲しい」

剣術師「ここが何処か、それはこれまで少しトラブルに巻き込まれたせいでよく分かりません」

剣術師「しかしここが静かで良い村なのは分かる、だから俺は彼女が住むならここだろうと思いました」


ノルド村長「ふむ……」


剣術師「ここへ来る前、恐らく村の端にある家……彼処を譲って頂き、この村に住ませて頂きたい」

剣術師「金なら出せるだけ出します」


ノルド村長「なるほど、よく分かりました」


ノルド村長「お連れの女性が何者で、どういった方かは詮索はしません」

ノルド村長「こんな田舎です、都市ほどギスギスしてもいないような所です」

ノルド村長「私の一族は代々こうしてこの地に住んできましたが、皆気楽に生きてきましたよ」


剣術師「……」


ノルド村長「ですが、貴方の腰の『それ』を見ては一言聞かなければなりません」

剣術師(やはり……か)

剣術師「何ですか」

ノルド村長「お名前は無く、『剣術師』と名乗っているそうですが」

ノルド村長「如何ですか? 私の村で傭兵として雇われるというのは」

剣術師「……え?」



ノルド村長「実は先日から、比較的安全な筈のこの近辺で魔物が出る様になりましてな」

ノルド村長「その容姿と、圧倒的な力に村に滞在していた剣士達がいなくなってしまったのです」

剣術師「魔…物……?」

ノルド村長「ええ、ここ数十年で都市にも出ている怪物です」

ノルド村長「ご存知ありませんでしたか?」

剣術師「あ、あぁ」

ノルド村長「しかし腕に覚えは有りそうですな、如何です?」


剣術師(傭兵として、この村に……か)

剣術師(娼館でもあればそこの下手として、住み込みでもさせて貰えればとも思ったが)

剣術師(俺まで彼女と共に住む事になる、のか?)


ノルド村長「一定の依頼料は毎日支払いましょう、毎日を不自由なく暮らせるでしょう」

ノルド村長「そこに多少の追加も考えるなら、少しだけ私達に力を見せて頂きたい……良いですかな?」


剣術師「…………」


───── 魔女と共に住むなら、傭兵として村に滞在する事になります ─────


───── デメリットはありません、ストーリーが変化するだけです ─────



a『村の傭兵となり、暫くの間……』

b『傭兵にはならず、魔女だけでも何処かに……』

c『※その他』……剣術師の考えをここまでの内容を踏まえて書いて下さい


…………>>33

Bで


剣術師(……傭兵になる、のもいいが……)

剣術師(それだと少し身動きがとれなくなる、それならいっそ……)


剣術師「傭兵は、申し訳ないがお断りさせて頂こうかな」

ノルド村長「っ……何故です」

剣術師「先に言った事からも、『彼女』は追われていた」

剣術師「俺はそちらに意識を向ける為に、村の自警団兼傭兵になってる訳にはいかないんだ」

ノルド村長「……」


剣術師(……駄目だろうな)

剣術師(俺が剣士に見えたから、村にとって最大の脅威である魔物を討伐して欲しかったろうに)

剣術師(その俺が傭兵になる事を拒否しちゃぁな……)


ノルド村長「余程、あの女性が大切なのですな」

剣術師「ん?」

ノルド村長「はい?」

剣術師「……あー」

剣術師「はい」


ノルド村長「分かりました、こちらとしてもそう言われては無理にと頼める立場ではありません」

ノルド村長「この村には古くから孤児院があり、そこの院長と『べネット』は多少は腕が立ちます」

剣術師「はぁ……?」

ノルド村長「傭兵として、剣術師殿を雇うのは諦めますが……」


ノルド村長「どうかお願いします、村の近辺の魔物を討伐して下さい」

ノルド村長「報酬……は、あの女性の安全は私や村の皆で保証しましょう!」

ノルド村長「どうか……!」



───── ノルド村近辺・森林 ─────



剣術師(……結局、必死だったのは村長の方だったのか)

剣術師(最初に出会った老婆が『べネット』らしいが、魔女かもしれない女を任せて大丈夫だろうか)


【ノルド村長と話をして、俺は魔物が出るという村近辺の森林に来ていた】

【村を出る前に、『彼女』を孤児院の院長とべネットという老婆に預けて来たのだ】

【未だ魔女としての魔力すら解放せず、出会ってから今に至るまで、『彼女』はずっと何かに驚き続けていた】

【それが何なのかは、聞く前に出てきてしまったが……】


剣術師(あの塔に居たのは何故だ)

剣術師(そして……『あの戦い』の直後に、あの塔へ飛ばされたのは何だったんだ)


剣術師(『彼女』は、魔女なのか……?)


    ガサッ


剣術師(出たか)


【『彼女』の姿が頭から離れずにいると、森林の奥から僅かに気配を感じ取る】

【大きさは人間の二倍程度】

【恐らくこの気配の正体が、村人が被害に遭っている魔物だろう】

【俺は……震える左手を剣の柄に乗せる】


    カチカチカチカチ……ッ


剣術師(震えが止まらない……か)

剣術師(まるで呪いだ、これでは本当に一生左手で剣は握れなくなる)




  『…………人間、か』



剣術師「…………」


【森林の奥へ進んで行くのに従い、色濃く漂っていた気配は遂に正体へと辿り着く】

【丁度、森の内部を幾つか流れている川……その中心部で『それ』は片手に何かをぶら下げて立っていた】

【普通の人間なら吐き気を催す様な死臭と共に】


剣術師「魔物と聞いていた、だがお前は違う」


  『……私の事を知る人間』

  『いや、私には貴様が人間にしか見えんが、エルフの類いか?』


剣術師「人間だよ」


  『そうか……』

  『いま、食事中なんだ……貴様も食べるか』


【俺は静かに左手ではなく右手で逆手に剣の柄を握る】

【目の前にいる、『人間を食す』その存在を知っているからだ】

【特定の『子を生む魔女』からのみ、生まれ落ちる存在……】

【『魔獣』だ】


魔獣『……人間、私に敵うと思ってるなら止めておけ』

魔獣『私の母はこと腕力において無類の強さを誇る魔女だ』

魔獣『その子である私は、未だ人間に負けた事がない』


剣術師「…………」

剣術師「魔女の名は」


魔獣『それを知る意味があるのか』

魔獣『貴様はここで私に喰われる』


剣術師「……」


【俺は無言で、剣の柄から手を離した】

【そして踏み込む】




    ドッ!!



【それは戦闘でも、勝負でもない】

【小枝を片手で何となく折る感覚……に近い】

【俺は踏み込むのと同時に振った右手で、腸を喰い荒らされた人間を掴んでいる魔獣の左腕を吹き飛ばした】


魔獣『ッッ……!!?』

剣術師「お前の母は何処にいる」

魔獣『貴様、何者だ……ァ……ッ』


剣術師「『魔女』は何処にいる」


【固く柔軟な剛毛に覆われた太い腕が次の瞬間に千切れ飛ぶ】

【既に両の腕を失った魔獣は、川に膝をつき大量の出血で足元の水面を血に染めていた】

【獣に近い体毛に包まれたその顔は、未だかつてない屈辱と激痛に歪んでいた】


魔獣『ぐぉ……おッ……!!』

魔獣『わ、私の母は此処よりずっと離れた山に居る……ッ、 アァッ!! ガァァアッ!!』


剣術師「……そうか」

剣術師「喰った人間の数は何人だ、『生まれてから』の人数を答えろ」


魔獣『ッッ……この数十年、僅か七人程度…だッ、私は……この近辺にしか……ッ』


剣術師「……」

剣術師「お前の母親に伝えろ、『魔女狩り』がこの川に明日の月が昇る頃に来ると」


    チャキンッ

    ザンッ!!


【逆手に剣を握ると、それを魔獣に一閃させる】

【『傷口』を斬ったのだ】


魔獣『な……っ…………』


【その一瞬で、魔獣は驚き言葉を失った】

【自身の吹き飛ばされ、千切られた筈の腕が再生するのではなく、刹那の間だけを空けて元に戻っていたからだ】



魔獣『貴様は……何者だ、魔女なのか?』


剣術師「?」

剣術師「言ったろう、俺が『魔女狩り』だ」


魔獣『それが貴様の名なのか?』


剣術師「いや俺は……」

剣術師「…………」


剣術師「黙れ、早く行け」


【睨みながらそう言うと、魔獣は即座に森の南に走って行った】

【確かに木々の隙間から南には山らしき姿が見える】

【恐らくは彼処に居るのだ】


剣術師「……念の為に八里四方を探索して、他に魔獣がいればそっちを殺すか…」

剣術師(あの魔獣、俺の事を知らない風だった)

剣術師(つまり奴等の親である魔女は、俺と敵対していない魔女かもしれない)

剣術師(ならば聞きたい事が山ほどある)


【俺は逆手に剣を鞘に納める】

【そして考え事に耽りながら、のんびりと森林の中を走って行った】




───── ノルド村:中央広場 ─────



ノルド村長「僅か半日もしない内に、この数を…!?」

ノルド村長「これは凄い……り、領主の私兵や王宮の兵士よりなんと心強い……!」


【村へ戻る頃には、四頭の魔獣を狩り殺してきた】

【村の子供達に魔獣の首を見せる訳には行かない為、俺は村外れの林で四つの首を並べた】

【予想外といった表情で驚く村長は、魔獣の首を眺めてから俺に言った】


ノルド村長「……剣術師殿、やはり貴方には何かお礼を…」

剣術師「いらない、金には困ってないんだ」

剣術師「これで信用して貰えたならそれでいい、『彼女』の事は頼んでいいかな?」

ノルド村長「はぁ……」

剣術師(…………)


【人の良い村長で良かった、と俺は思う】

【他の村や都市なら、魔獣を複数討伐してくる男が意味も分からず女を預けて来たら警戒はするはずだ】

【警戒はしていても心から安堵して俺に感謝する彼は、珍しい程の『長らしくない』人間だろう】


剣術師(……そうだ)

剣術師「とりあえず今夜はこの村にいようと思うが、少しいいかな」

ノルド村長「ええ、問題ありませんとも!」


剣術師「なら……」


───── ノルド村に帰還しました ─────

───── 当座の行動を選択して下さい ─────



a『孤児院にいる魔女に会いに行く』

b『村長家に行く』

c『塔から出た際に来た民家に行く』

d『その他』……この夜の剣術師の行動を1つ書いて下さい


…………>>40

…………>>41


(被った場合はその下になります)

a

d修行をする



───── ノルド村:西側孤児院 ─────



剣術師「……」


【古くからある孤児院と言われていたが、昼間に最初来た時から俺はそうは思えなかった】

【真新しく見える白い石造りの建物と、そこに繋がる教会】

【どちらも細かな細工がされており、同じく繊細な部位まで綺麗に手入れがされていた】

【その中には、招かれざる者への凶悪な迎えも混ざっている】


剣術師(……孤児院か)

剣術師(この村がもし、『あの戦い』になる直前に来ていた辺境の村だとしたら)

剣術師(まさか……ここは)


    「おや、もしや剣術師様ですか?」


剣術師「……夜分遅くに申し訳ないけど『彼女』に会わせて欲しい、院長」

院長「足音でバレちゃいましたか、ええ構いませんよ」

剣術師「それ以前に忍び寄られてたら余計にね……それはそうと彼女の様子はどうかな」

院長「ええ、ええ……」

院長「しかし問題といいますか、気になる事がありました」

院長「どうぞ中へ、子供達は寝ていますのでお静かに」

剣術師「……」


    コツッ……コツッ……


【静寂に包まれている回廊を歩きながら、院長は俺に話した】


剣術師「……」

院長「……」


【『彼女』は長い間、下手をすれば産まれた時から目に光を浴びていなかった可能性がある】

【目を開こうとすればその強い光に、人の持つ眼に入っている水晶が焼け焦げてしまうかもしれないという事だった】

【回復魔法を浴びせながら慣らそうにも、このノルド村には魔法を扱える者はいない】

【その為、陽が落ちるまでは目に布を巻いて置くしかなかったのだ】


院長「……しかしそれでも、夜になっても子供達が起きている内は燭台の灯りがある」

院長「殆ど彼女に用意した部屋に篭るしかありませんでした……お可哀想に」


剣術師「……」


院長「剣術師様、あなたはあの娘さんがそういう体だったのを知っていましたか?」


剣術師「……いや」


院長「深くは聞けませんが、まともに言葉も交わして貰えない私ではあなたに聞くしかありませぬ」

院長「この婆では昔のように厄介話に入れませんからね」


    「入りますよ」


    ガチャッ……


院長「……おやすみになられていませんでしたか」

剣術師「……」


魔女「……!」

魔女「帰って来た…んですね……」


剣術師「あぁ、様子を見に来た」

院長(剣術師様の気配に気づいた途端に、雰囲気が変わりましたね)

院長(しかしこの二人……随分と慣れていない空気をしていますね)

院長「……さて、では私は自室に戻ります」

剣術師「いいのか」

院長「今夜は戸締まりしなくとも『べネット』が私の代わりに見回りをしてくれていますので」

剣術師「そうか……いや、いいのかあんな婆さんに…?」


【院長はなにも言わず、部屋を静かに去った】

【僅かに流れる沈黙の中で俺は暗闇に包まれている部屋を見た】

【彼女は……ベッド脇にある、火が灯されていない燭台が置かれた机に向かって座っている】

【ベッドには黒の帯が無造作に置かれていた】

【恐らく、夜になるまではあれを目元に巻いていたのだろう】


剣術師「目が、『見えていなかった』のか」

魔女「……」


【呟くように言った言葉に、彼女はゆっくりと頷いた】


剣術師「『あの塔』で出会った時は確かに盲目だった、それは分かる……けど君は途中からまるで『見えるようになった』みたいだった」

剣術師「まずは教えてくれ、俺があの時に君ではなく斬ったモノの正体を」


魔女「……」

魔女「分かりません、ごめんなさい……」



剣術師「分からない?」


魔女「……あなたの言っている事の、一部一部は分かります」

魔女「けど、私は『魔女』とか……『何を斬ったか』とか……分からないんです」


剣術師「何故だ、ならどうして君はあの塔にいたんだ」


【困惑した様子で首を振って見せた】

【柔らかく、前を揺れる黒髪の奥で彼女は一体どんな瞳をしているのだろうか】

【そんなことを何故か気にしながら、俺は彼女に問いかける】

【しかし、その一言で彼女の動きが止まった】


魔女「………」

剣術師「…?」


【僅かな動きすら止まっている】

【呼吸が止まっているのだろうか、そう俺が思っていると静かに彼女は立った】


魔女「あの塔で、私は生まれたからです」


剣術師「!」

魔女「でも、私には…………」


    グラッ……


剣術師「おい…!」

魔女「ぁ…っ」

剣術師「………無理はするな、一度寝て休んだ方がいい」


【何かを言いかけた彼女が、そのまま俺の方へ倒れ込んできたのを受け止める】

【顔色は分からない】

【彼女が疲れているのかも、はっきりとは俺には分からなかった】

【だが、身体を支えた時に感じたモノに俺は目を細めた】


剣術師(……異様に軽い)

剣術師(軽すぎる、これは……魔法でわざわざ自重を軽くしているのか)

魔女「…?」

剣術師「ベッドに入るんだ、今日は一度寝て……明日また話を聞きに来る」

魔女「………」

魔女「また……来てくれるのですか」

剣術師「?」

魔女「眠りから目覚めた後、貴方はもう一度……会いに来てくれますか?」


【軽すぎるその身体を抱き上げ、ベッドに降ろすと彼女はポツリと言った】

【それまで以上にか細くて、消え入りそうな声音だった為に聞き取れなかったが】

【最後に問い掛けてきた言葉は、何故か頭の中に入ってきた】


剣術師「……ああ」



a『話を聞きに来る』

b『当分は何度も来るだろう』

c『多分来るよ』

d『その他』………魔女は何かを心配している様です、安心させましょう



………>>49



また、来たいと思う。
それが俺のためにも、君のためにもなると思っている。

d来ないかもしれないが来るかもしれん
未来の事など誰にもわからん


魔女「………」


【俺の言葉に、彼女は何の反応もせずにベッドへ横になる】

【その姿を見た俺は……静かに部屋を出た】




    ガチャッ

    パタン


魔女「………」

< ギュゥゥッ…!

魔女「……また、目が覚めたら…あの白い世界に……」

魔女「あの人がまた……来てくれなかったら……っ……」


魔女「こわい……こわいよ……」


魔女「………っ」







────────── 「助けて……」







───── 魔女の好感度が微量減少しました ─────


───── 移動します ─────




───── ノルド村・中央広場 ─────



剣術師(……静か、だな)

剣術師(ここが何処か、詳しい事は分からないが……もう『魔女を狩る理由』も無くなった)

剣術師(………)


【ノルド村の中央にあった広場に、俺はゆっくりと歩きながら向かう】

【もう起きている者はいないのだろう、村の殆どは夜闇に包まれていた】

【そしてその中央広場は、一本の大木を中心にして周囲に露店らしきモノの片付けた跡があった】

【それら日常の名残を感じながら、夜風に吹かれた木の葉が数枚落ちてくるのを俺は眺める】


剣術師(……そう言えば、この近辺にいる魔女を呼んだのだったな)

剣術師(『加減』をしておくか)


【………意識を、俺は研ぎ澄ませる】

【魔女を前にした時のように】

【魔女を殺すその一瞬に至る、あのドロドロした熱湯の中に入ったような……恐ろしい感覚に】



剣術師(………)



───── 『散り行く結末』を斬って下さい ─────



『葉』  『木の葉』  『紅葉』

『雪』  『紅い雨』  『人間』



…………>>52


人間



     トンッ!


【俺の左側後方にあった、何かの露店跡に残された木彫りの人形が首を刎ねられた】

【『斬る過程』は無い】

【『斬れる』と俺が認識し、そして『斬る』とイメージさえすれば今なら造作もなかった】

【魔女とは違う】

【あの女達の使う魔法を斬るより、ずっと簡単なのだ】


剣術師(……この程度なら、下位の魔女が相手でも死なせる事は無いな)

剣術師(………)


    チャキッ……


剣術師「……っ…」


【左手で剣を握るだけで、全身に冷たい死の記憶が流れ込んでくる】

【今、流れ込んでくるのは何処かの村の人間の記憶だ】


    【「やめろぉお!! わぁぁ……ッ」】

    【「魔物が、魔物が私の息子をぉ……」】

    【…ぁ…あいつだ………あの男が…一昨日前に魔女を…呼んだから……】



    【『獣の魔女』……っ!!】



剣術師「ッ……が、ゲホッゲホッ……ッ」


【一瞬で、数百人の人々が死に絶えるのを体感した……少なくとも俺の左手を通して、間違いなく人が死んだ】

【しかし今見たのは、『黒の魔女』と対峙し斬った時に見た数多の記憶とは違う】

【とても身近な……同じ時を生きる人間が散って行く感覚】

【何より】




剣術師(獣の……魔女? 聞いたことがない、そんな魔女は存在しない筈だ)

剣術師(……魔物、そして魔女……今俺が見たのは、なんだ…!)



【激しい頭痛と、抑えようの無い吐き気に苛まれながら、俺は震える左手を見る】

【魔力を流されたのでも、何か異変がある訳でもない】

【呪いの様なこの現象は『呪いではない』、と間違いなく俺自身が解っていた】


剣術師「………っ、……っ…」

剣術師(明日の月が昇る頃、例の魔獣が親を連れてくる筈だ……その時に分かる)

剣術師(まるで呪い、いや……真の意味で呪われたのか)

剣術師(左手で剣を振るとしたら間違いなく、一撃必殺の覚悟で斬るしかない)


剣術師(もうそんな魔女が現れる事は無い、筈だが)


【ゆっくりと呼吸を整えるフリをしてから、俺は震える左手を軽く払ってから立ち上がる】


剣術師(修行か、これ以上の成長はないものの右利きに慣れるしかないのは確かだ)

剣術師(久しぶりにやるか……)



───── ストーリー進行に影響する解答が選択されました ─────

───── 翌日のストーリー進行安価はせず、オートで進行するのと同時に代わりに行動回数が一回追加されます ─────



───── 『初日:ノルド村』を終了します ─────



   【初日:ノルド村……リザルト】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ■ストーリーの流れ■

     ≪主人公『剣術師』は魔女達と戦った≫
       ↓
     ≪『黒の魔女』撃破後、謎の白い塔へ移動≫
       ↓
     ≪魔女らしき女と出会い、ノルド村に塔から出る≫
       ↓
     ≪傭兵にはならず、個人的なクエストにより魔獣を四人殺戮≫
       ↓
     ≪魔女の好感度微量減少……現在の好感度『27%』≫
       ↓
     ≪翌日の魔女との対話にて安価発生が決定≫
       ↓
     ≪リザルト確認……初日終了ボーナス、次回の戦闘時に斬る存在を1つ省略※≫

※……安価にてボーナス使用の確認を取ります
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



───── 『二日目:獣の魔女』を開始します ─────




────────── チュン……チュン……



    「おい広場で何かあったみたいだぞ」

    「なんだ?」

    「ベネット婆さんの娘さんだ、店の道具が壊されたらしい」

    「かわいそうだなぁ、何処の奴がやったんだろう」



剣術師(朝から騒がしいな、何かあったのか)

剣術師(……睡眠を久しぶりにとったが、今一…意味があるとは思えないな)

剣術師(ん……さて、どうするか)



───── 当座の行動を選択して下さい ─────

a『広場に向かう』

b『孤児院にいる魔女に会いに行く』

c『村長家に行く』

d『その他』……現在は朝ですが、村には酒場もあるようです


…………>>58

…………>>59

B

d村の外へ出てみよう

d道具が壊されたという店に行ってみる


───── 内容から、自動的に>>59のdから>>58のdへ行動します ─────


───── ノルド村・中央広場 ─────



娘…?「もぉおっ……誰なのよウチのマネキンこんなにしたのは…!」

男「『ヨエル』、この首のとこからして多分……誰かが切ったんだ、こりゃ村長に話した方がいいかもな」

娘…ヨエル「うーん……そうだね、それまでは今日は服を売るのはやめとこっか」

ヨエル「看板娘も首を切り落とされたんじゃね……」







剣術師「…………」

剣術師(あ、あれは……昨夜の、…………)

剣術師(しまった……いやそもそも確かに、村の人間が使ってる人形に決まっていたろうに…)

剣術師(長いこと人里で暮らしてなかったとはいえ、これは悪いことをしたな……っ)


【俺が広場へ来ると、確かに大木の周囲にある様々な露店が準備を進める中で、一ヵ所だけ何か騒いでいた】

【近づき、話を聞いているとそれは昨夜俺が斬った木彫りの人形の事だったのだ】

【癖のあるウェーブがかった金髪の娘が、俺が斬り落とした首を持ちながらしきりに怒ったり落ち込んだりしている】

【これは……申し訳無さ過ぎる】


剣術師「む、むぅ……」



ヨエル「……んぅ?」


剣術師「……」


ヨエル「ちょっとー、そこの人! 見ない顔ね……何処の誰なわけ!」


【どうやら明らかに顔を青くしていた俺に気づいたのか、ヨエルと呼ばれていた娘が近づいてくる】

【俺は咄嗟に表情を作るが、向こうは指を差しながら俺を追求している】


剣術師「俺は……『剣術師』をしている者だ、その……」

ヨエル「その、なに!?」

ヨエル「私の母が言っていた他所から来た人でしょ! 剣士様!」

剣術師「いや……まぁ……」


【腰の剣を見ている】

【言い逃れは殆ど出来なさそうだが、どうしたものか……】


───── ヨエルのマネキンを斬ってしまったのが発覚した様です ─────

───── なんと答えますか? ─────


a『俺の剣を見て欲しい』

b『し、知りませんすいません……』

c『魔獣の仕業かもしれないな』

d『その他』……事が拗れてしまえばヨエルだけでなく村での評判も悪くなります


…………>>62


a


剣術師「俺の剣を見て欲しいんだが……」

ヨエル「はぁ? ……っ…」


【結局、俺は素直に謝る選択肢を選ばなかった】

【腰の剣を鞘から抜き、その刀身を見せる】

【ヨエルは俺の剣を見て一瞬眉を潜めた、しかし直ぐに口元に手を当てて俺の顔へ視線を上げた】


剣術師「俺のこれは『儀礼剣』なんだ、人もそうだが木製の人形にも刃は立たないよ」


【鞘から抜かれたその刀身に描かれた不定形の紋様】

【光の当て具合によって様々な色へ移り変わるその紋様は、半ばから剣先にかけて途切れている】

【その様は不完全な装飾に見えるかもしれない、だが俺は剣術師としてこの儀礼剣こそ相応しいと考えていた】

【……今では、もう分からないが】


ヨエル「本当だ……ごめんなさい、貴方が剣士にしか見えなかったからてっきり……」

剣術師「いや、確かに君の母親のベネットに会った剣士だよ俺は」

ヨエル「そ、そうなの……?」

剣術師「ああ、女性を一人孤児院で預かって貰ってるんだ」

ヨエル「そっかぁ……うーん、なら一体誰が……」


【心苦しいが、まだこの村に来たばかりで問題は起こしたくない】

【ヨエルには何か別の形で詫びるしかないな】


剣術師「所で、その人形はまた用意できないのか?」

ヨエル「材木さえあれば、私と彼が作るんだけどさぁ」

男「この辺りだと採れない木だ、採りに行くにも隣村の近くまで行かなきゃな」

ヨエル「そういうこと」


剣術師「……」


ヨエル「とりあえず村の誰かが受けてくれるの期待して、『掲示板』に貼っておこっかなぁ……あーあ」

男「ついでに犯人探しの手伝いも募集をかけておこう」

ヨエル「だね」


剣術師(掲示板…?)


【服屋の二人のやり取りを聞いていると、どうやら店の道具や看板の入った木箱から紙とペンを持ってきた様だった】

【そうして、何かを書くと二人は広場の中心にある大木にいつの間にか架けられた、一枚の板に紙を貼っている】

【俺はそこへ近づいていった】

【そこには他にも複数の紙が同じように貼られていた】





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

───────・・・『依頼人:ノルド』

・・・「困った事に村には今現在、脅威から守ってくれる剣士がいないんだ……誰かやらないかい?」

・・・【契約型依頼、報酬『日給40G』】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       ●
       ●
       ●
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

───────・・・『依頼人:ゼファー』

・・・「最近、私の孤児院に新しく入居してきた幼い女の子がいてね。」
・・・「どうも遠い村で売られてこの近くで奴隷馬車を魔獣に襲撃され、一人だけ生き残ったらしいのだけど……どうも心を閉ざしてしまってねぇ、誰か話し相手になってやってくれないかい」

・・・【契約型依頼、報酬『時給3G』】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       ●
       ●
       ●
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

───────・・・『依頼人:ヨエル』

・・・「酷いのよ、誰かが私の店のマネキンを壊してくれちゃったから怖いし看板商品のドレスも飾れないわ!」
・・・「というわけで、マネキンの材木である『源流木』と今回の犯人を探してきて!」

・・・【単発依頼型、期限は二日以内で報酬『100G』】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       ●
       ●
       ●
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

───────・・・『依頼人:リック』

・・・「俺が村を守るんだ! 誰か剣の稽古に付き合ってくれ!」

・・・【単発依頼型、報酬『20Z』】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




剣術師「これは…?」


【そこに貼られている紙を見ながら、俺は掲示板に貼り終えた二人へ声をかける】


ヨエル「あ、この掲示板は村長が昔に都市へ行った時、酒場で見たのを真似して作ったんだって」

ヨエル「ここは割りと狭いけど人は多い村だし、皆で手伝えたり何か仕事があればここへ貼ってお願いするわけよ」

男「まぁ、都市なんかとは違うから小さなお手伝いってのがこの村の主な依頼だけどな」


剣術師「……何か受けてみるか…?」



───── 『広場』へ来ると、毎回依頼リストを見る事が出来ます ─────

───── 単発依頼型を受けた場合、受けた時間帯(昼間or夜間)を消費してサブシナリオに移行します ─────

───── 契約型の場合、3日は依頼を行ってから契約破棄の選択肢が出ます、それまでは単発型と同じく毎日各時間帯を消費します ─────


───── 依頼を受けますか? ─────



a『孤児院、院長ゼファーの依頼を受ける』

b『服屋、店主ヨエルの依頼を受ける』

c『村の子供、少年リックの依頼を受ける』

d『受けずに安価の実行へ移行』



…………>>67

a

複数選択は出来ないんだよね?


剣術師(孤児院の……)


【貼り紙の中に、一枚だけ最近知り合った名前がそこにあるのを見つける】

【紙を掲示板から外した俺は、その内容を読みながら広場から歩いていく】


剣術師(魔獣の被害にあった少女、か)

剣術師(……ん?)

剣術師(この紙、何かおかしい)

剣術師(だが知っている人間は知っている事だ、そう気にする事はないか)


【ヨエル達が道具と変わり果てた姿のマネキンを片付けるのを見ながら、俺は少し申し訳なく思う……】

【そうしながら、俺は紙をベルトに付いているパックの中へ押し込んだ】

【そこに書かれていた中の、『魔獣』という文字に一瞬首を傾げそうになったが、大した事ではないと納得させた】



───── 移動します ─────



※……>>67
はい、現時点では1つだけとなります。
複数選択できる様になった場合、選択肢の時点で共に追記しますのでご安心下さい。


───── ノルド村近辺 ─────


剣術師(少し村の外に出るか)

剣術師(ずっと前から一人で、殆ど町にも立ち寄らなかったから疲れる……)

剣術師(向こうの木陰で休むか)


    ザッ…… ザッ……


【村を囲む森林へ足を進めると、一本の丁度良い具合に太い樹があった】

【俺はその木陰で一人になろうと近づいた】

【だが、近づくに連れて小さくその樹の奥から息遣いが聴こえてきたのだ】


剣術師(……ん?)


    ヒュッ

    ヒュッ

    ヒュッ


少年…?「せぁっ……せぁっ……!」

少年…?「てぁあ!」


【樹の向こうにあったのは、少年が一人錆びた直剣を振っている姿だった】

【しかしその剣筋はまともに刃も立てられておらず、恐らくは直剣が錆びていなくとも何一つ斬れないだろう】

【少年は息を切らしながら振っている】

【その成果はきっと、このままでは間違った剣術しか身に付かないだろう】


剣術師(……)

剣術師(貼り紙にあった、『リック』という村の子供か…?)


少年…リック「たぁ! せぁあっ! いらぁ! しゃぃ! ませぇえ!」


───── 少年リックが剣を振っている様です ─────


a『近づいて話しかける』

b『村へ戻って、その日は放っておく』

c『錆びた直剣を……』



…………>>72

a

c



    スラァ……


【鞘から剣を右手で逆手気味に抜くと、俺は少年の持つ錆びた直剣へ視線を向けた】

【例えその素振りが間違ってはいても、それに気づくためには口で言うのでは意味がない事もある】


剣術師(なら、そこに至るに必要な『実践出来る剣』がないといけないな)

剣術師「……」


    ヒュンッ


【そして、俺は錆びた直剣を『斬った』】


    チャキッ


剣術師(また今度、まだ貼り紙があったら見てあげよう)

剣術師(それまではその剣で暫く頑張ってみるといい)

剣術師(……向こうの木陰でいいか、そっちで休もう)




───── 午前から昼にかけての行動を終了します ─────







リック「せぁっ……せ、ぁ……?」


リック「あれ…? 俺の剣、こんなに綺麗だったっけ……」


リック「…………やったぁ! よくわかんないけど、俺の剣が綺麗になった!!」


リック「よーっし、これでもっと俺は強くなるんだ!」


リック「強くなって、きっとあいつを倒してやる!」
















    【「……それは楽しみね」】







【……陽が真上を過ぎた頃、俺は風が止んだのを感じて村へ戻って来た】

【落ち着いた俺はベルトポーチから紙を取り出した】


剣術師(院長ゼファーの依頼、ね)

剣術師(『彼女』を預かって貰っている事もある、折角だから契約しよう)

剣術師(どうせ依頼も、少女の話し相手だ……問題ない筈)


【孤児院のある西へ向かいながら紙へ目を通す】

【魔獣に襲われ、自分以外は全て喰い殺されたという少女】

【そんな少女と対話しても、心の傷は癒せるとは思えない】

【重度ならば、その心の傷を『斬り落とす』つもりだった】


剣術師(そういえば……)

剣術師(『彼女』はどうしているのか、昨夜はどこか……何か…………)



───── 孤児院へ向かいます ─────

───── その際、行動回数としてカウントせずに魔女に会いに行けます ─────



a『会いに行く』

b『今日は会わない』

c『その他』……剣術師は魔女の様子が気になるようです



…………>>76

マダー?

待ち

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