小巻「千歳ゆまと仲良くなりたい委員会」 (48)

あらすじ

57 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 投稿日:2015/05/15(金) 14:31:09.04 ID:tIPNg7790
じゃあ久しぶりに書いてみるか、と言いたいところだがネタがない

59 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] 投稿日:2015/05/15(金) 14:53:46.86 ID:685tva/gO
ゆまちゃん目当てに嫌々織莉子に近寄るロリコ巻さんのSSをください!!




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432129712



沙々「さてこんにちは」

小巻「はいこんにちは」

沙々「ごめんなさい、バス混んでて遅れちゃいました。お待たせしちゃいましたぁ?」

小巻「いえ、私も今来たところよ」

沙々「えっと、待ち合わせ時間を過ぎての今だから……」

沙々「てめぇ遅刻かゴルァ!呼び出したのはてめーだろォーがッ!」

小巻「ごめん、晶と美幸がね」

沙々「知らない人の名前を積極的に出していくスタイル」

小巻「まあまあ、それよりよく来てくれたわ。飲み物でも奢るわ」

沙々「やったね」


小巻「二人で」

沙々「…………」

小巻「ふぅー……さ、優木。好きなドリンク頼みなさい」

沙々「…………」

小巻「どうしたの、優木」

沙々「……お嬢様なのに」

小巻「はあ?飲み物だけじゃイヤと言うの?図々しいわね」

沙々「違います。そうじゃない」

沙々「お嬢様だからもっとこう……シャレオツなカフェーかと思ったのに」

小巻「ファミレスだが?」

沙々「いや、だが、じゃなくてですね」

小巻「不服なの?」

沙々「……まあ、いいですけどね。うん」


沙々「でもはるばる風見野から来てやったわけですから、もっと、こう……」

小巻「あれ、あんたって風見野出身だったっけ?」

沙々「え、今更……」

小巻「冗談よ」

沙々「はぁ……まあ、いいですけどね。どうせお高くとまった意識高い系のダージリンとか飲んでも味わかりませんし」

小巻「コーヒーを飲みなさい」

沙々「え」

小巻「アイスコーヒー。いいわね?」

沙々「べ、別に構いませんけど……コーヒーじゃないといけません?」

小巻「紅茶はダメ」

沙々「はい?」

小巻「美国が紅茶派だから。コーヒーを飲みなさい」

沙々「うわっ、くっだらねえ」


沙々「で」

沙々「美国織莉子の同級生でありながら派閥とかいうくだらない対立にいるくせに陰口が嫌いみたいなさっぱりした性格ぶってるそんなお嬢様が、見滝原の縄張りを奪おうと現れたけど美国織莉子と金魚の糞に辛くも敗走してしまった腹黒系美少女……美国織莉子が気に入らないという理由であなたと意気投合してしまったわたしに何の用でしょう」

小巻「わかりやすいが腹立つ」

沙々「でもわたし好きですよ。あなたのそういうとこ」

小巻「……ありがとう、と言っていいのかしら?」

沙々「お礼言われたのでそのお返しにシフォンケーキを注文させてください」

小巻「礼とかそういうのは別として、ケーキくらい奢らせてもらうわ」

沙々「ありゃ、いいんですか?」

小巻「折角来てくれたんだもの」

沙々「くふふ、ゴチになる~、ありがとうございますぅ」

小巻「……ホントあんたってブリッ子が得意よね」

沙々「褒め言葉と受け取っておきます」


小巻「で」

小巻「そんな美少女のあなたに相談したいことがあってね」

沙々「……ちっ、流せばいいのにわざわざ皮肉りやがって」

小巻「美少女でしょ」

沙々「は?」

小巻「美少女よ。あなたは」

沙々「なっ……バ……!や、やめろよバカ……」

小巻「本気で照れるあたりかわいいわ」

沙々「う、うっせ、バカ、バーカ。で、そ、相談ってなんなんですか?」

小巻「かわいい」

沙々「し、しつこい!」

小巻「そう……かわいい、なのよ」

沙々「はぁ?」


小巻「かわいい……あなたに相談したいことを断片的に話すなら、間違いなくそれは一つのキーワード……」

沙々「その中二病テイストな回りくどい語りは長くなりそうですか?」

小巻「ごめんなさい、中三です」

沙々「それで、かわいいが何ですって?」

小巻「そうなのよ。この前、とってもかわいい子と会ったのよ」

沙々「は?」

小巻「かわいい子をね」

小巻「写メあるわ」

沙々「捨てネコか何かですか?」

沙々(里親探せってんなら面倒なことになるなぁ……)

小巻「とにかく見なさいって」

沙々「はいは……」

沙々「…………」


沙々「…………」

小巻「…………」

沙々「……何で」

小巻「ん?」

沙々「何で、撮った……?」

小巻「何でって……ケータイのカメラよ。自然な姿を撮りたかったから気配を消して遠くから……」

沙々「……いや、そうでなくて」

小巻「野良猫とか……そういうかわいい子いたら撮るでしょ?」

沙々「……まあ、そうですね。撮りますね」

小巻「でしょ」

沙々「いや、かわいい子はかわいい子でも……」

小巻「お宝フォルダ」

沙々「幼女は撮りませんよ流石に。アウトでしょ」


沙々「え、あ、何?あなた千歳ゆまと親戚なんですか?そうか、それなら納得。姪っ子とかなら撮っても――」

小巻「あんたこの子を知っているの!?」

沙々「うわ、びっくりした」

小巻「浅古小巻が、あんたはこの子の知り合いかと聞いてんの!」

沙々「え、あ、え、あ、え、あ……」

沙々(知り合いって言うか……)

沙々(おりキリに追いつめられた時に通りすがりのこのガキを人質にして逃げたという体なわけだが……)

小巻「ゆまタンって言うのね。覚えた」

沙々「えー……っと、あの、小巻さん?」

小巻「ゆまたそ~」

沙々「おい聞け」

小巻「おう」


沙々「その……こいつが、何ですか?」

小巻「ゆまたそ」

沙々「まさか……とは思うんですけど」

沙々「魔法少女の相談事と言ったら五割以上が同性愛関連だという偏見を持っているんですが」

小巻「いや、八割は堅いわね」

沙々「その……『まさか』ですか?」

小巻「何がまさかですって?」

沙々「だから、そのぉ……」

沙々「……この幼女に、一目惚れでもしたんですか?」

小巻「一目惚れ」

小巻「……ああ、そうね。その通り!」

沙々「…………」

小巻「一目見て、ああ、愛おしい!って思った」

沙々「…………」


沙々「……わたしというものがありながら」

小巻「ん?何?」

沙々「何でもないです」

小巻「それで、優木。相談したいことと言うのは……」

沙々「……えっと、ごめんなさい、わたし、ロリコンはちょっと」

小巻「は?」

沙々「ロリコンな上にレズとか、そんなの県に一人いればおっぱいフィナーレ……じゃなかった。お腹いっぱいでしょう」

小巻「ハァ~?優木、あんた何言っているのよ」

沙々「ほぇ?」

小巻「誰がロリコンよ。変な想像すんじゃないわ」

沙々「……いやするなと言う方が無理ですよ」

小巻「違う。違うわ。誤解よ」

沙々「誤解も齟齬にもできませんよ。幼女を隠し撮りする人に……」

小巻「浅古小巻がロリコンじゃないって言ってんの!」

沙々「ファミレスでロリコンと大声言うなみっともない!」

小巻「恥ずい」


小巻「その、ね。聞きなさいよ」

沙々「供述を?」

小巻「……私、この前、ゆまたそに助けてもらったのよ」

沙々「助けてもらった?」

小巻「ええ、あれは少し前……コンビニに行った時のこと……」

沙々「お嬢様なのにコンビニて」

小巻「コンビニくらい行ってもいいでしょ。晶が食べてた新商品に興味津々でね」

沙々「そんなモブキャラの名前出されてもわかりませんよ」

小巻「何か心が痛いからモブとか言わないで」

小巻「で、買ったわけよ」

沙々「うん」

小巻「セレブだから万札で払うわけよ」

沙々「腹立つ」


小巻「おつりをたくさん貰うわけよ」

沙々「迷惑な話だ」

小巻「ったく……レシートの重しに小銭を乗せるなよ入れにくい……ブツブツ」

沙々「何今の」

小巻「当時の独り言」

沙々「面と向かって言えない恥じらいがキュンと来ます」

小巻「恥とか云々なくとも言わないと思うけど」

小巻「まあ、ね。落としちゃうわけよ」

沙々「…………」

小巻「周りの奴らは見て見ぬフリ……でも、一緒に拾ってくれた子がいた」

小巻「それがゆまたそ……『はい』って眩い笑顔で手渡してくれて……」

小巻「その矢先、すぐに『恐慌~』とか言って駆けて行ってしまった……」

沙々「幼女が恐慌と言いながら駆けることはないと思うんですけど」


小巻「その時からずっと……ゆまたそのことが……」

沙々「……一目惚れ、ねぇ」

小巻「拾ってくれたその心優しさに、荒んだ心は癒されたわ」

小巻「でもね、何も邪なことはないのよ」

小巻「お礼を言いたくて、気になっているだけよ」

沙々「…………」

小巻「あんたが想像しているレズロリコン――略してレリコンなことはないわ」

沙々「何言ってんだおまえ」

小巻「誤解してほしくない。惚れるってのは『そういう』意味じゃないから。今時いないわよ。あんな人の痛みを知っていそうな心の奇麗な子」

沙々「…………」

沙々「コンビニで小銭を拾ってくれて、惚れた……」

沙々「……前例を知っている分、ますますシャレになんねぇな」

小巻「前例?」


沙々「レリコンじゃねーってんなら、隠し撮りなんかしてねーでちゃっちゃと言えなかった礼をパパーッて言えばええじゃないですか」

小巻「レリコンって言葉流行らそうとしているの?」

沙々「おま……!じ、自分で言っておいて……!」

小巻「冗談よ。ゆまたそにお礼を言いたいのは山々だけど、それがどうにもいかないわけってのがあるのよ」

沙々「はあ」

小巻「問題が二つある」

小巻「私、この通り子ども好きであるにも関わらず……」

沙々「悪い意味にしか聞こえない」

小巻「私、子どもと仲良くなれないのよ」

沙々「はあ」

小巻「妹はまあギリでいいとするじゃない」

沙々「ギリギリって意味?義理って意味?」


小巻「どーにもねぇー……」

小巻「私ってば、子どもに避けられるのよ」

沙々「……まあ、確かに顔芸とか得意そうですもんね」

小巻「あんたには言われたくないわ」

沙々「やっぱわかっているんですよ。子どもは。自分に危機が及ぶかどうか……主に貞操が」

小巻「……ロリコンじゃないもん」

沙々「普段結構乱暴は口調なのに不意に『もん』とか言われるとキュンキュンくるんでやめてもらえますかね」

小巻「いや別に乱暴ではないだろ……多分」

小巻「とにかく、どうにも子どもに怖がられるのよ」

沙々「たまにいますよね。そういうタイプ」

小巻「まあね。ボランティア的なアレで子どもとの触れ合いだって時もアレだったから……」

小巻「ゆまたそと仲良くなりたいしお礼も言いたい。でも、怖がられたらどうしよう」

沙々「うーん……でもまあわたし子ども嫌いなんで、丁度いいんじゃないですか」

小巻「何が丁度いいのよ」

沙々「まあー……性格キツそうな顔ですよね」

小巻「じわじわと傷つけるのやめてくれないかしら」


なぎさ「なのです」


沙々「あ、ロリだ」

小巻「あの子は……」

沙々「……例えば、あのロリに声をかけたとしても、逃げられるんですか?」

小巻「……相変わらずかわいいな」

沙々「は?」

小巻「え、あ、何だって?ごめん、聞いてなかった」

沙々「……声をかけてみてください」

小巻「え、そんないきなり……」

沙々「…………」

小巻「……じゃあ、行ってくる」


なぎさ「ドリンクバーなのです」

小巻「お嬢ちゃん」

なぎさ「です?」

小巻「お嬢ちゃん一人?大人の人は?」

なぎさ「えっと……」

小巻「一人でドリンクバーに来たの。偉いねぇー」

小巻「そうだ、お姉さん達といいことしない?」

なぎさ「え?」

小巻「楽しいことしましょう。お菓子ご馳走してあげるから!」

なぎさ「…………」

小巻「そうだ、玩具もあるよ?一緒に遊びに行かない?」

なぎさ「……あ、怪しい人なのです」

小巻「え」

なぎさ「逃げるのです!すたこら!」

小巻「あ」


沙々「…………」

小巻「…………」

沙々「…………」

小巻「……ね? 私ってどうにも子どもに避けられるのよ」

沙々「あー……うん」

沙々「ヘタクソか!」

小巻「え」

沙々「っていうかさっきの、相変わらずかわいいな、の独り言で背筋凍りましたよ!」

小巻「あれ、声に出てた」

沙々「下手とかそういう次元じゃないですよそれ!変質者丸出しじゃないですか!露骨すぎてヘタクソですわ!」

小巻「ええー……大体いつも通り……子ども相手だから優しく」

沙々「やさしくの間違いだろ。洗脳して少年院にブチ込ますぞおまえ……」


タツヤ「てゃー」


沙々「あ、幼児だ」

小巻「…………」

沙々「今のあなたの声のかけかたはアウトだってわかったでしょう」

沙々「もう一度話しかけてきてください」

沙々「遊ぼうとかそういうの禁止。ご両親はどうしたの?って一言聞くだけで帰ってこい」

小巻「…………」

沙々「……どうしたました?」

小巻「ショタに興味ない」

沙々「…………」

小巻「…………」

沙々「…………」


沙々「……あの、本当に、ロリコンじゃないんですよね」

小巻「至ってノーマルな子ども好き」

沙々「……ふーん」

小巻「あんたも好きよ」

沙々「ブッ」

小巻「汚っ」

沙々「ば、バカなこと言わないでくださいよ!」

小巻「結構子どもっぽいところとか好きよ」

沙々「子ども言うなし」

小巻「……あ、ショタがどっか行く」

沙々「ショタ言うなし」

小巻「正太郎コンプレックス」

沙々「語源に興味ねぇー」


まどか「もぉ、タツヤったら、どこ行っちゃったのー?」


小巻「あ、ロリだ」

沙々「ロリですね」

小巻「小五かな?」

沙々「じゃあ、あのガキに話しかけてください」

小巻「よかろう」

沙々「今度はちゃんと、普通にやってくださいよ」

小巻「普通って?」

沙々「普通は普通ですよ」

小巻「うーん」


まどか「もうー」

小巻「こんにちは、お嬢ちゃん」

まどか「ほぇ?」

小巻「お嬢ちゃん、パパとママは?迷子かな?」

まどか「え、あの……」

小巻「お姉ちゃんと一緒にケーキ食べようか?」

まどか「ちょっと」

小巻「これから一緒に遊びに行かない?」

まどか「ひっ……」

小巻「これからヤらない?」

まどか「ひぃぃー!すたこら!」

小巻「あっ……」


沙々「…………」

小巻「やっぱりダメだった」

沙々「言い訳と供述を自己弁護は許します」

小巻「ん?」

沙々「変質者スタイルはデフォなの?ヤるって何?」

小巻「え、これ。百円の占いのヤツ。星座のアレね」

沙々「うわ、懐かしい。っていうかあったのか。気付かなかった……まだ存在してたんだ」

小巻「やっぱロリの扱いは難しいわね」

沙々「…………」

沙々「っていうかさっきのわたしとちょっとキャラが被ってそうななのです幼女にも言ってましたが、一緒に遊びに行こうってなんですか。正気の沙汰ですか」

小巻「いや、さっきの子とあの子、ゆまたそと一緒にいるのを見たことあったからさ……一緒にゆまたそのとこに行こうって」

沙々「いつから千歳ゆまをストーキングしているんですかねぇ……」

小巻「ゆまたそに会うために友達のあの子らを連れて行けば心強いかと」

沙々「あなたのキャラというキャラをもう一度見直してくだ……」

沙々「……連れて行くって、どこにですか」

小巻「そりゃもちろん、美国の家よ」


沙々「…………」

小巻「…………」

沙々「……マジ?」

小巻「マジ」

沙々「……何で?」

沙々(いや、何でっていうか……美国織莉子と千歳ゆまが親しいのは知っているが……)

小巻「ムカツクが、美国の家にゆまたそが遊びに行っているということは事前に調査済み」

沙々「…………」

小巻「そう、何とゆまたそは、あの美国とお友達だったのよ」

小巻「許すまじ、美国……ゆまたそに会うためには、憎き美国のところへ行かなければならないわ」

沙々「あ、じゃあさっきの盗撮画像って……」

小巻「美国邸ね」

沙々「うわぁ……嫌いな人の家にわざわざ行くぅー?」

小巻「まあ落ち着きなさい」

沙々「別にキョドってねーけど」


小巻「何にせよ、そんな試練を克服せねば私はゆまたそにお礼を言うことができない」

沙々「はぁ……」

小巻「お礼を言えなかった……ただの幼女にそう思うのもあんたにはイマイチわからんことでしょう」

小巻「しかし、私には……」

小巻「……優木?」

沙々「…………」

沙々「……あ、ごめんなさい。ちょっとトラウマが」

小巻「大丈夫?あんたもこれから行くのに」

沙々「は?」

小巻「当然でしょう。そのために呼んだのよ」

沙々「へ?」


沙々「いやいやいやいやいや」

沙々「知ってますよね。わたしあいつらに半殺しにされかけたって知ってますよね」

小巻「でも流石にクラスメートを目の前にして手を出さないでしょ」

沙々「都合の良い時だけクラスメート面しやがって……」

小巻「ねぇー、お願いよぉ。一緒に行こうよぉ」

沙々「姉御キャラに不意にそんな風に甘えられると弱いなぁ」

小巻「ゆまたそにお礼を言うだけでいいから。あわよくば連れ出して公園でボール遊びするだけだから。あわよくば家に連れ込んで――」

沙々「ロリコンめ」

小巻「うるさい」

沙々「ロリ小ン巻め」

小巻「やかましい」

沙々「ロリコ巻め」

小巻「腹立つ」


沙々「来てしまったよ……美国邸」

小巻「今更何を言っているのよ」

沙々「っていうかあんた、気に入らないヤツの家によくもまあわざわざ行く気になれますよね」

小巻「私は真っ直ぐなキャラで通っているから、そういうのは気にしないの」

小巻「陰口を言う人間と、私は人種が違う。私は面と向かって文句も言うし、積極的に避けない」

沙々「…………」

沙々「……ダブスタ」

小巻「ん?」

沙々「いえ、別に」

小巻「そんじゃ、ピンポーン、っと」

沙々「あーあ、チャイム押しちゃったよ」

小巻「友人の優木が美国と喧嘩をしたということを噂に聞いて、仲直りさせにきた。という体でね」

沙々「ハァ?ただの付き添いだっつっただろ!?」

小巻「さあ?」

沙々「くっ……こんな土壇場で裏切りやがった……!」


織莉子「はい、お待たせし……え?」

織莉子「あ……浅古さん……?」

小巻「ふん、何よ。来ちゃ悪い?」

織莉子「あ、え、い、いえ……」

沙々「下手なツンデレみたいなセリフだな……」

織莉子「……!」

織莉子「ゆ、優木沙々……!」

沙々「え?あぁ、はいはいくふふくふふ」

織莉子「……?」

織莉子「何か……疲れてる?」

沙々「……うん」


小巻「美国、今日はあんたに用があって来たわ」

小巻「学校では晶や美幸の手前、話できないからね」

織莉子「は、はぁ……」

沙々「……なんかごめんなさい」

織莉子「なんであなたが謝るのよ……」

沙々「なんか……その、すんません、急に伺って……」

織莉子「……キャラ変わった?」

小巻「聞きなさいよ!」

織莉子「あ、ごめんなさい」

沙々「あなたキャラブレてない?一丁前緊張してません?」

小巻「してないザマス!」

沙々「うわぁ……」


小巻「そ、それで……美国。その……聞きたいことっていうのは……」

織莉子「な、何かしら……」

小巻「今日……ゆまた……ゆまちゃん、は……?」

織莉子「え?浅古さん、ゆまちゃんの知り合い?」

小巻「え、あ、その、まあ……優木からあんたの家に出入りしていると聞いて」

沙々「え?わたし?」

小巻「……ね?」

沙々「……はい」

沙々(……便利な道具にされてるなぁ、わたし)

小巻「ゆまたんはいるのかしら?」

織莉子「たん?」

小巻「ちゃん!」


織莉子「ああ……彼女なら、今日は友達の家に遊びに行っているわ」

小巻「とも……だち……?」

織莉子「ええ……」

小巻「……じゃあ、ここには」

織莉子「来てないし、今日は来る予定もないわ」

小巻「…………」

織莉子「…………」

沙々「…………」

小巻「…………」

小巻「帰る」

沙々「待て待て待て待て待て待て」


小巻「ゆまたんがおらずにして何故に美国の所へ留まれと言うのよ」

沙々「おまえが行くって言い出したんだろうが」

小巻「いないなら仕方ないでしょう」

沙々「野良猫目的に公園に来た訳じゃないんですから……」

沙々「……あの、もし、もしもですよ」

小巻「何よ」

沙々「もし、ゆまが実際にいたとしたらどう挨拶するつもりでしたか?」

小巻「は?そんなのもちろん……」



ゆま『ゆまだよ!』

小巻『あ、ゆまタン』

ゆま『ゆまだよ!』

小巻『ひ、一目見た時から、あなたのことを見てました!』

ゆま『ゆまだよ!』

小巻『友達から始めましょう!』

ゆま『ゆまだよ!』


小巻「完璧」

沙々「いや、おかしいだろ」

小巻「?」

沙々「いや、そんなキョトンとすんなよ。おかしいから。もうおかしいから」

小巻「自然じゃない」

沙々「それを自然と思うおまえはどういう友達の作り方をしたのか知りたい」

沙々「幼女二例こなしてまだ反省してないのか」

小巻「引かぬ、媚びぬ、省みぬ」

沙々「うるせぇよ!」


織莉子「あ、あのぉー……」

小巻「んぁ?」

沙々「くふ?」


織莉子「あ、あの……よかったら、お茶でも飲んでく?」

沙々「!」

小巻「!?」

織莉子「その……タルトも、あるし……」

小巻「……優木、これはもしや、罠か?」

沙々「いや、わたし達が来たのはアポなし……罠を仕組む暇はあるまい」

小巻「一応ソウルジェムの準備を……」

沙々「グリーフシードはいくつ持ってる?」

織莉子「あなた達は私を何だと思っているのよ」

沙々「バケツ!」

小巻「気に入らないヤツ!」

織莉子「……酔ってる?お酒飲んでないでしょうね?」

小巻「ふん!」

沙々「くふん!」


織莉子「信じてもらえないでしょうけど……私」

織莉子「その……あなた達が来てくれて、今、本心から嬉しいと思っている」

小巻「はぁ?」

織莉子「優木さんに至っては……もう二度と姿を見せないものだと思っていたから、また会えて嬉しいわ」

沙々「はぁ?」

織莉子「…………」

織莉子「浅古さんにも、優木さんにも、プライドがあるでしょうけど……」

織莉子「二人とも……共闘関係は、結べないかしら」

小巻「……はァー!?」

沙々「くっふぅん!?」

小巻「共闘ぅ?」

沙々「関係ぃ?」

織莉子「…………」

織莉子「私……最近、友達ができたの」


織莉子「その人と私は……まさにあなた達のように、相容れることはないと思っていた」

織莉子「……例え話をするのなら」

織莉子「ある人が、コンピューターウイルスを持ったUSBを持っていたとする」

織莉子「その人が世界中にそのウイルスを広めないよう……私はUSBを奪おうとした」

織莉子「つまり、危害を加えようとした……だけど、結局返り討ちにされたわ」

織莉子「だけど、その人は……そのUSBを絶対に使わないと約束してくれた上に……私を許してくれた」

織莉子「それで、和解をした」

織莉子「そんな口約束、信用に値しない……普通はそう思うし、私もそう思った」

織莉子「……だけど結局、私はその人と友達になってしまった」

織莉子「それで私、わかったの……」

織莉子「どんな人とでも、友達になれるんだって」

織莉子「私は『彼女達』と共闘関係を結んだわ。その約束を代償に」

小巻「…………」

沙々「…………」


小巻「む、むぐ……」

沙々「ぬぬぅ……」

小巻(美国織莉子が気に入らない……)

沙々(仲良くなった理由が、そんな共通点なわたし達の、肩身が狭い……!)

織莉子「……どう、かしら」

織莉子「勿論浅古さんは、クラスメートの方を優先してくれていいわ……夜、ためにメールしてくれるくらいでいい。優木さんも……」

小巻(私の知っている美国織莉子は……陰口や私の侮辱に反論しない、一見すると弱いヤツ……でも、心のどこかに誰にも負けないような使命感を持っている……そんなヤツだった)

小巻(今……その使命感が……私に、向けられている……?私に、散々イジメた私と、友達に……!?ありえない!)

小巻(ただ……眼の色が……学校にいる時と違う。変わって……いや、変わっているも何も、そもそも私は、美国織莉子のこと何も知らない……)

小巻(そんなバカなことを……本気でほざけるヤツだったのか……?)

沙々「……何を企んでいるんですか?」


織莉子「何も、友達になってくれとは言わないわ」

織莉子「ただ、一緒に戦って欲しい。共闘を約束してほしい」

小巻「……どういうことか、聞こうじゃない」

織莉子「……もうすぐ、見滝原に、ワルプルギスの夜が来る」

小巻「……夜来るキスの悪?」

沙々「そういう小ボケいいから……何ですか、そのワルプルなんとかって」

織莉子「魔女よ。それも、見滝原を破壊し尽くすくらいの」

小巻「な……!?」

沙々「ま、魔女って、結界の中だけでしかアレしないんじゃ……街を壊すって」

織莉子「それどころか世界を滅ぼし得る魔女の存在だけは知っているわ」

織莉子「ワルプルギスの夜……」

織莉子「私の友達の言うことが正しいなら……私の友達が約束を守ってくれるなら……必ず現れる」


織莉子「私は、この街を守りたい。友達の願いを叶えたい」

織莉子「私はもう、殺されたに等しい身……命を賭す覚悟がある」

織莉子「私は、そのためにプライドを捨てるわ」

織莉子「あなた達に……協力を求める」

織莉子「いつか来る、ワルプルギスの夜と一緒に戦って欲しい」

織莉子「強制はしない。あなた達の命と家族と、友達を大切にしてほしいから」

沙々「…………」

小巻「…………」

織莉子「…………」

沙々「……チッ」

織莉子「……!」


沙々「イライラする……友達なんて臭い言葉を使っていいヤツぶってるのが、わたしは一番ムカつく」

沙々「共闘だなんて、増して、わたし達の身を案じるなんて何様のつもりかっつーの」

沙々「そんな……ワルだか何だか、よくわからない魔女が来るだなんて断言しちゃってさぁー……」

織莉子「…………」

織莉子「信じなくてもいいわ。私は、来ると信じているし、迎え撃つ」

沙々「……ふん!」

小巻「……全く、美国、正直なとこ、私はあんたのそういう臭いところは評価しているわ」

小巻「でも子どもじゃないんだから……イジメた相手と襲った相手とお友達?共闘?いきなりそんな無茶な」

小巻「大人になりなさい。現実を見るのよ」

織莉子「…………」

織莉子「……ごめんなさい」


小巻「……ったく、ゆまたそに用があってここに来たのに、興が削がれた」

織莉子「たそ?」

小巻「うるっさい!」

織莉子「あ、はい」

沙々「……また来ます」

織莉子「え」

沙々「また来てやっから、今度はもっとマシな勧誘文句を考えてください」

小巻「ワルプルギスの夜の詳細情報……あるいはもっと設定を練っておきなさい」

小巻「内容によっては、あんたの願いも聞いてやらんこともない」

沙々「ですです!」

織莉子「…………」

小巻「……あとそれまでにゆまちゃんと会わせなさいよ!」

沙々「首を洗って待ってやがれ!」

織莉子「……はい」

織莉子「待ってます……!」

沙々「ふん、何が待ってるだ。じゃあな、いい子ちゃん」

織莉子「……ええ」


小巻「…………」

沙々「…………」

小巻「…………」

沙々「…………」

小巻「……優木、あんた」

沙々「…………」

小巻「……優木?」

沙々「…………」

小巻「死んでる……」

沙々「生きてます」

小巻「そうか」

沙々「…………」

沙々「死ぬほど恥ずかしい」

小巻「……私も」



~終~

乙。振り回される沙々にゃんと小ボケをかます小巻さん可愛かった


これの人? ノリとかは全然違うけど

沙々「美国織莉子をギャフンと言わせたい委員会」
沙々「美国織莉子をギャフンと言わせたい委員会」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388756012/)


中学生二年なのに幼女扱いのまどか

小巻のキャラってこんなんだったっけ


織莉子は小巻さんを小巻さんと呼ぶ気がしたが、小巻さんがゆまたん言う世界でそんなことは実に些細な事だと思いました
何かこう、女子中学生の日常というかそんな空気を感じた
小巻さんもささにゃんもポイントポイントキャラが壊れてるけど、その壊し方がうまくてすごいしっくりするような
はいもう大好きです。最高なSSでした

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