伊織「時間の共有」 (46)


― 765プロ事務所(夕方) ―


伊織「……」

美希「……」

伊織「……」ペラ

美希「……」

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伊織「……」

美希「……」

伊織「……」ペラ

美希「……」

伊織「……はぁ?」

美希「……」

伊織「なんでこいつは白馬に乗って登校してるのよ?」

美希「……」

伊織「……」

美希「ふにゅう……」

伊織「……」ペラ

美希「いちごババロア……」

伊織(それにしてもホント、気持ちよさそうに寝てるわね)

美希「……」

伊織(最近、忙しかったみたいだし)

美希「うぅ……ん……」

伊織「……」ペラ

美希「……」

伊織(真はこの漫画のどういう所が好きなのかしら?)

美希「……」

ガチャ

伊織「!?」サッ

真「ただいま戻りましたー!」

伊織「ちょ、ちょっと声が大きい!」ボソッ

真「えっ?……あぁごめん」

伊織「まったく」

真「……あれ? 伊織と美希と小鳥さんしかいないんだ?」

伊織「さっきまでやよいたちもいたけれど、先に帰ったわ」

真「そっか。それじゃ向かいのソファー空いてるよね?」

伊織「えぇ」

真「よいしょっと。それにしても……ふふふっ」

伊織「何よ……言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」

真「いやその……」チラッ






真「伊織が美希のために膝枕してるなんて、どういう風の吹き回し?」

伊織「別に好きでこうしているわけじゃないわよ」

真「えっ? 違うの?」

伊織「違うわよ! 私の隣で船を漕いでると思ったら、この有り様よ」

真「あはは」

伊織「こっちは身動き取れなくて迷惑してるんだから」

真「だったらいつもみたいに叩き起こせばいいじゃん」

伊織「それはまぁ、そうなんだけど……」チラッ

美希「えへへ……」

真「……まぁそんな幸せそうな寝顔をしていたら、そっとしてあげたくなるよね」

伊織「べ、別にそういう理由じゃなくて!///」

伊織「起こして騒がれたりしたら面倒だからよ!///」

真「はいはい」

伊織「何よその含み笑い……真の癖に腹立つわね」

真「でもまぁー真面目な話、美希はここ数日、多忙だったみたいだから少しは大目に見てあげなよ」

伊織「そんなの私だって同じよ」

真「それじゃ伊織にはボクが膝枕してあげようか?」

伊織「はぁ!?///」

真「その代わりボクが疲れたときは伊織、膝枕よろしくね」

伊織「何であんたの為に、私がわざわざ膝枕しなきゃいけないのよ!?///」

真「えー。美希はよくてなんでボクはダメなんだよ?」

伊織「だってこれは不可抗力みたいなものじゃない!?」

真「ボクは別に膝枕くらい全然してあげるよ? ほらほらおいで!」ポンポン

伊織「……遠慮しておく。あんたの足固そうだもん」

真「なんだと!? ボクだってそれなりに柔らかい……はずなんだから!」

美希「うぅ……ん?」

伊織・真「!?」

美希「……」モゾモゾ

伊織・真「……」

美希「……」

伊織・真「……」

美希「すぅ……すぅ……」

伊織・真「……」

伊織「……だからあんたはもう少し声のボリューム押さえなさいよ!」ボソッ

真「ご、ごめん」ボソッ

伊織「まったく」

真「えへへ……って、あれ? ボクの漫画こんなところにあった」

伊織「……そういえば私が来た時からテーブルの上にあったわね、そんなの」

真「そっか。時間の合間に読んでいた時、そのまま置き忘れちゃったのかな?」

伊織「……真はその漫画が好きなの?」

真「うん! この漫画ね、凄く面白いんだよ!?」

伊織「ふーん……で、真は具体的にどういう所が好きなのよ?」

真「……あれ? もしかして伊織も少女漫画に興味あったりする?」

伊織「はぁ!?///」

伊織「そそそそんなヘンテコな漫画、このスーパーアイドル伊織ちゃんが興味あるわけないじゃない!」

真「なんだよそれ! 読んでもいないのに批判なんてするなよ!」

伊織「よ、読まなくたって大体わかるわよ!」

真「へぇ、それじゃ伊織はこの漫画の内容がわかるって言うんだ?」

伊織「どうせあれでしょ!? いつものように王子様が白馬に乗って登校するんでしょ!?」

真「えっ!?」

伊織「はぁ~。こんなくだらない妄想でニヤニヤしていて恥ずかしくないのかしら?」

真「……」

伊織(あれ? もしかして……少し言い過ぎた?)

真「……」

伊織「だ、黙ってないで少しは反論してみなさいよ!」

真「あははははっ!」

伊織「!?」

伊織「な、何よ!? 私、何かおかしいことでも言ったかしら!?」

真「あーごめん。さすが伊織だなと思ってね」

伊織「あ、当たり前でしょう!?」

真「あははっ。そういう意味じゃなくて」

伊織「少女漫画のセオリーなんて読まなくても大体わかるわよ!」

真「またそういうこと言う。王道っていうのは素晴らしいんだぞ?」

伊織「そ、それはわかってるわよ……まぁ真がどうしてもっていうなら――」

~~♪

真「――あっ、雪歩からメールかな?」

伊織「……確認もせずに、相手が雪歩だってよくわかるじゃない?」

真「実はこの後、雪歩と合流してお茶しようって約束してるんだ」

伊織「へぇー」

真「伊織たちも一緒にどう?」

伊織「そうね……」チラッ

美希「すぅ……すぅ……」

伊織「……今日は遠慮しておくわ」

伊織「実はプロデューサーが私に用があるみたいで、帰りを待っていなきゃいけないのよねー」

真「えっ!? そうなの!?」

伊織「そ、そんなに驚くことでもないでしょ?」

真「いやまぁ……そういうことならわざわざ美希を起こすのも悪いし、プロデューサーが来るまで傍にいてあげなよ」

伊織「はぁ~やれやれ。とんだ外れくじ引かされたわねー」

真「へへっ、伊織らしいや!」

真「それじゃボクはそろそろ行くね」

伊織「えぇ。わざわざ誘ってくれてたのに悪いわね」

真「ううん。それじゃまたね」

ガチャ

伊織「――あら」チラッ

伊織「ちょっと真! また漫画忘れて――」

真「あーそういえば伊織」

伊織「えっ?」

真「よかったら今度、伊織のオススメな作品を教えてくれないかな? 何でもいいからさ」

伊織「はぁ? 急にどうしたのよ?」

真「伊織はどういう作品が好きなのか、実は前から気になっていたんだよね」

伊織「な、何でわざわざあんたに私の嗜好を曝さなきゃいけないのよ?」

真「だって……伊織だけズルいだろ?」

伊織「?」

真「普通の少女漫画では、王子様は白馬に乗って〝登校″なんてしないよ?」

伊織「へぇ!?///」

真「へへっ」ニコッ

伊織「……」

真「いやまぁ、無理にとは言わないけど……」

伊織「……あんたがこのスーパーアイドル伊織ちゃんの感性について来られるかしら?」

真「――どんと来い! あっ、でもその……難しい漢字がいっぱい出てくる小説とかはちょっと///」

伊織「それは難しい注文ね」

真「えー」

伊織「にひひっ」

真「……」

伊織「……」

真「それじゃ、また明日」

伊織「えぇ、また明日」

バタン

伊織「……」






伊織「久しぶりに……あの映画見直そうかしら」ボソッ

小鳥「……」

小鳥(いつものように仕事をしているふりをして、状況を観察していたけれど……)

小鳥(案の定、にやにやしっぱなしでお姉さん今日も仕事が進まなかったわ!)

小鳥「……」

小鳥(何故かしら……なんだかよくわからないけれど急に切なくなってきた)

小鳥(……この後、あずささんを誘って飲みに行こう)

伊織「さてと……」

美希「すぅ……すぅ……」

伊織(一体いつになったら起きるのかしら?)

美希「すぅ……すぅ……」

伊織「……」

美希「すぅ……すぅ……」

伊織「……ふぁ~」

美希「すぅ……すぅ……」

伊織(なんだか……私まで眠くなってきちゃったじゃない)

美希「すぅ……すぅ……」

伊織(でも……折角真が、好きな作品を、貸してくれたんだから、続きよみたいし……)コクン

美希「すぅ……すぅ……」

伊織「……」コクン コクン



美希「……」チラッ


――――――
――――
――

伊織「……」

美希「……」

伊織「……」

美希「……」

伊織「……」

美希「ふふっ」

伊織「……」

美希「でこちゃんの寝顔かわいいの」

伊織「……」

美希「……」ナデナデ

伊織「うぅ……ん?」

美希「あっ」

伊織「……あれ? 私、いつの間にか寝ちゃって――」

美希「おはようでこちゃん」

伊織「っ!?///」ガバッ

美希「きゃっ! もう、いきなり飛び起きたらびっくりするでしょ!?」

伊織「な、な、なっ!!///」

美希「あはっ☆ ミキの膝枕気持ちよかった?」

伊織(えっ!? 今何時!?)

美希「キョロキョロしてどうしたの?」

伊織(……よかった。真が帰ってから一時間経ってない)

美希「でこちゃん! ミキの話聞いてるの!?」

伊織「……私が美希に膝枕されていたなんて誰かに知られたら末代までの恥よ」

小鳥「……」ニヤリ

美希「むぅ! それはどういうことなの!?」

伊織「それに……あんた疲れているんでしょ? 私なんか放って置いて先に帰ればよかったのに」

美希「……」

伊織「な、何よ。急に真面目な顔して」

美希「でこちゃん、ミキの為にずっと膝枕してくれてたでしょ? 真クンのお誘いも断って」

伊織「えっ」

美希「だから、そのお返しはちゃんとしなきゃいけないって思うの」

伊織「美希……」

美希「えへへ。そんなアツい眼差しを向けられても困るの」

伊織「……いつから起きていたのかしら?」

美希「!?」

美希「そそそそんなことよりミキの膝枕どうだった? 気持ちよかった?」

伊織「えぇそうね。このムチムチした足が柔らかくって……とっても気持ちよかったわよ!!」

美希「ちょ、あははっ! でこちゃん待って! そんなに強く揉んじゃ、やっ!///」

小鳥「!?」ガタッ

美希「あははははっ!」

伊織「私と歳は変わらないのに、なんてだらしない足してるのかしらね!?」

ガチャ

雪歩「――あっ、よかった! 真ちゃん、二人ともまだ事務所にいたよ」

真「急いで戻ってきてよかった……って二人とも何してるの?」

美希「――ま、真クン!? 助けて! でこちゃんが凄い形相でミキの足を揉んでくるの!」

真「何それ? ただの変態じゃん」

伊織「ちょっと!! 私は変態なんかじゃないわよ!?」

真「美希の足を揉みながら言われてもね……」

伊織「勘違いしないでよね!? これは狸寝入りして私たちを騙していた罰よ!」

真「狸寝入り?」

美希「ち、違うの! 起きるタイミングを、逃しちゃって、その……あははっ!」

美希「はぁ……はぁ……」

伊織「はぁ……はぁ……」

美希「で、でこちゃんのせいで、体力、また使い果たしちゃったの……」

伊織「ざ、ざまぁみなさい……」

真「二人とも、多忙で疲れてるなんて嘘でしょ?」

雪歩「ふふふっ。私、みんなのお茶入れてくるね」

真「あ、うん。ありがとう雪歩」

伊織「……ところで、真はなんでここに戻ってきたのよ?」

真「実はね。雪歩に事情を話したら」

美希「――あれ? 真クンが手に持っているそれってまさか!?」

真「へへっ、さすが美希」

伊織「?」

真「みんなの分のいちごババロアを二人で買ってきたからさ、一緒に食べよう?」

美希「わーい! ありがとうなの!」

真「こうすれば伊織も美希も一緒に楽しめるでしょ?」

伊織「そ、そんなの悪いわよ。せめてお金だけでも出させ――」

真「別にいいよ。その代り、次の機会に何かおごってよ……ね?」

伊織「……」

伊織「にひひっ。そーいうことね。あんたの策略は全てお見通しよ!」

真「何の事かな~?」

伊織「ふん! せいぜい楽しみにしてることね!」

小鳥「……」チラッ

小鳥(わ、私の分もあるのかしら?)

真「小鳥さーん」

小鳥「えっ」

真「小鳥さんも分もありますから、よかったらボクたちと一緒にどうですか?」

小鳥「ま、真ちゃんっ!」

美希「はいこれ! でこちゃんの分!」

伊織「……あ、あのね美希」

美希「なーに?」

伊織「その……い、一応感謝してるから」ボソッ

美希「……ううん。こちらこそありがとうございますなの!」

美希「ミキね、でこちゃんだぁい好き!」

伊織「あーもう、鬱陶しいから抱き付かないでよ!///」

雪歩「あっ、間違ってプロデューサーの分まで買ってきちゃった」

伊織「えっ? 何? あいつは今そういう扱いされてるの?」

雪歩「ち、違うよ! 今日からプロデューサーは出張でいないの」

伊織「ふーん。そういうことね……あっ!?///」

真「あれれー伊織。急に慌ててどうしたの?」

伊織「べ、別になんでもないわよ!///」

真「伊織は竜宮小町の方が忙しくて、プロデューサーの予定を知らなかっただけだよねー?」

伊織「……ホントその含み笑い、腹立つわね」

真「へへっ、2アウト」ニコッ



そんなこんなで今日も765プロ事務所は平和な一日でした。

お し ま し

ROMしてくれた方。
そして、これからROMってくれる方&もしも感想レスしてくれる方ありがとう

乙です

ほっこり

乙乙
すばらしい

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