桐生つかさ「IMCG・腐敗」 (48)
あらすじ
泥まみれのランウェイでアタシは動けない。
注
IMCG第3話
前回・第2話
喜多日菜子「IMCG・内在性王子様撞着」
喜多日菜子「IMCG・内在性王子様撞着」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428317929/)
設定はドラマ内のものです。
それでは、投下していきます。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429444611
序
そりゃ、簡単なわけないだろ?
成功とかさ、夢みてるだけじゃだめなわけよ。
本気で、死ぬ気でやれよ、ってこと。
口だけとかだせぇじゃん?
だから、清水の舞台から飛び降りたわけ。
そこは、さ。
腐った土と水で出来た泥沼だった。
怪我なんてしないかわりに。
自分で動かす権利なんてない。ずぶずぶと沈んでいって。
こっちも腐ってく。
で、アタシも泥になって終わり。
序 了
OPテーマ
HEATS UP!!
歌
日野茜・北川真尋・斉藤洋子・真鍋いつき・若林智香・姫川友紀
1
IMCG・警備室
伊集院惠「……」カタカタ
伊集院惠
IMCG所属の警察官。階級は巡査。IMCGと警察の仲介役。
西島櫂「惠さん、こんにちは!」
西島櫂
シュリンク6、ドルフィンのパイロット。趣味は水族館巡り。
惠「あら」
櫂「忙しかった?」
惠「大丈夫よ」
櫂「書類仕事してるみたいだけど、大変?」
惠「面倒なだけね。どうしたの?」
櫂「そうそう。新しい人が来てるよ」
惠「新しい人?」
櫂「大和さんって人」
惠「本当?」
櫂「嘘ついてどうするの?」
惠「それもそうね。今はどこに?」
櫂「レナさんの所」
惠「そのうち呼ばれそうね。良かったわ」
櫂「ここに人が増えるんだよね?」
惠「これで少しは楽になるかしら」
櫂「大変なの?」
惠「一人だけと二人以上は違うわよ」
櫂「一人だとフォローも効かないもんね」
惠「そういうこと。なってみればわかるわ」
プルルル……
惠「呼ばれるのが早いわね。行きましょうか」
2
IMCG・課長室
兵藤レナ「今日付けでIMCGに派遣された大和亜季巡査よ」
柳清良「配属は伊集院巡査と同部署にします」
兵藤レナ
IMCGの責任者。警察内では課長相当扱い。
柳清良
IMCG職員。役職は兵藤レナ付き。
大和亜季「大和であります!よろしくお願いいたします!」
大和亜季
IMCGに派遣されてきた警視庁の警察官。前の所属は交通部。
惠「よろしくお願いします」
レナ「私からは以上よ」
清良「私からも特には」
レナ「伊集院巡査と櫂ちゃん、大和巡査の案内をよろしく」
櫂「はいっ」
惠「わかりました。行きましょうか、大和巡査」
亜季「お願いするであります」
惠「それでは、失礼します」
レナ「ご健闘を」
パタン……
清良「……」
レナ「交通課ねぇ」
清良「希望通りね」
レナ「単純に若手が来ただけよね」
清良「交通関係で実務を積ませようとした、ね」
レナ「もう少し、賢いかと思ったけれど」
清良「そうでもないのかしら」
レナ「ま、人を派遣してくれるだけで良しとしましょう」
3
IMCG・警備室
惠「ここがあなたの職場。デスクはそこ」
亜季「はい」
惠「ロッカーはそこ。暮らしてるのは女子寮?」
亜季「ええ。櫂殿と同じであります」
櫂「さっきも連れてきたんだよ」
惠「なら、制服通勤でもいいわね。更衣室はまた後でね」
亜季「了解であります」
惠「仕事内容は聞いてる?」
亜季「はい。IMC出現時の交通整理であります!」
櫂「合ってる?」
惠「間違ってはいないわね、細かいところは追々。それと大切なお仕事がもう一つ」
亜季「なにでありますか?」
惠「ここの警備よ」
亜季「そういえば、そうでありました」
惠「ゼットテクニカが勝手に警備員を雇ってるから、そこまで気にしないくてもいいんだけどね」
亜季「ふむ。そういえば守衛は警察官ではありませんでしたな」
櫂「ん?なんで、そんなことしてるの?」
惠「私はわからないけど。色々と複雑そうね」
亜季「覚えておくであります。ならば、お願いがあるであります」
惠「なにかしら?」
亜季「施設の案内をお願いしたいであります」
4
学生であるうちに起業するよ。
まぁ、バカされても文句は言えないわ。
だって、起業してないんだからさ。
目に見えるものを見せれないなら、誰も納得させられない。
だから、やったよ。
起業することだけが目標じゃない。
そこより先も考えてた。
だけど、アタシの考えが甘かったことは、しばらくしてからわかった。
降りた先が何かなんて、必死だったアタシには見えてなかった。
5
IMCG・オペレーションルーム
亜季「こちらがオペレーションルームでありますか」
櫂「そう。ここがレナさんの席」
亜季「ふーむ。意外と普通の部屋でありますな」
櫂「モニターだらけで異様な雰囲気だと思うけど」
亜季「そもそも特殊な部屋として作られたようには思わないであります」
櫂「なるほど」
亜季「あちらにいる3人はどなたでありますか?」
櫂「紹介しておいた方がいいよね。オペレーターだし」
亜季「オペレーター?」
櫂「IMCが出た時の連絡役だからさ、おーい!」
浜川愛結奈「……」
古澤頼子「……」ペラッ
井村雪菜「……」ヌリヌリ
浜川愛結奈
IMCGのオペレーター。ヘッドフォンで音楽を聴いている。
古澤頼子
IMCGのオペレーター。物静かなメガネ女子。厚い本に夢中。
井村雪菜
IMCGのオペレーター。メイク研究中。
亜季「反応しないでありますな」
櫂「自由だなぁ。もしもーし!」
愛結奈「あら」
雪菜「こんにちはぁ」
頼子「大和亜季さんですね。お待ちしておりました」
亜季「大和亜季巡査であります、今日からお願いするであります!」
櫂「紹介するね。愛結奈さんと頼子さんと雪菜ちゃん」
愛結奈「浜川よ。よろしく」
頼子「古澤です」
雪菜「井村ですぅ。よろしくお願いしますー」
櫂「職場は惠さんの所だから、よろしくね」
頼子「はい。円滑な業務を心がけましょう」
雪菜「あれ、惠さんはどうしたんですかぁ?」
亜季「警察から電話がかかってきまして」
櫂「それで、あたしが案内してるんだ」
頼子「どうしましょうか」
愛結奈「仕事の話は惠が揃ってからにしましょう」
頼子「そうですね」
雪菜「櫂さん、案内を引き続きお願いしていいですかぁ?」
櫂「もちろん」
6
IMCG・事務室前
松山久美子「はい。お預かりしました。優ちゃーん、手伝ってー」
松山久美子
IMCGの一般職員。カーディガン姿。
櫂「えー」
亜季「なんでそんなに不満そうなのでありますか?」
櫂「あたしはもっと書類を書いたのに、あっさりだったじゃん」
亜季「一応、私は警察官でありますから」
櫂「あー、そういうことか」
亜季「櫂殿、案内して欲しい所があるであります」
櫂「どこ?」
亜季「せっかく、IMCGに配属されたでありますから」
櫂「そうだよね。ドックに行こうか」
亜季「お願いするであります。シュリンクをこの目で見たいであります」
7
IMCG・ドック
亜季「これがシュリンクでありますか」
櫂「うん、あたしのドルフィン」
亜季「ふむ。ドルフィンということはこれが6番目の機体でありますか」
櫂「あれ、知ってるの?」
亜季「移籍するということで、このような冊子を頂いたであります」
櫂「『戦え!僕らのシュリンク!』……?」
亜季「ちょっと対象年齢層が低いようでありますな」
櫂「見せて。おお、結構カッコいい写真を使ってる」
亜季「こちらがドルフィンのページであります」
池袋晶葉「説明しようか!」
池袋晶葉
IMCG技術主任。ロボットを愛する中学生。
亜季「おお、池袋晶葉殿でありますな!」
晶葉「いかにも。君が新入りだな!」
櫂「有名人なの?」
亜季「この冊子の文章を担当してるであります」
櫂「ホントだ……」
晶葉「この子がシュリンク6、愛称はドルフィンだ!」
亜季「ふむ」
晶葉「パイロットはそこにいる西島櫂」
櫂「はーい」
亜季「冊子に写真付きでありました」
櫂「うわっ、いつの間に!しかもパイロットスーツじゃん!」
亜季「この、競泳水着にしか見えないものに意味があるでありますか?」
晶葉「もちろん、彼女の趣味だ」
櫂「晶葉ちゃん!」
晶葉「そう大声を出すな、冗談だよ」
櫂「もー」
晶葉「シュリンク6は操縦法として、神経接続を利用している」
亜季「神経接続でありますか」
櫂「あたしが腕を動かすと、ドルフィンの腕も動く、感じ」
晶葉「モーションキャプチャーみたいなものだな。櫂の動きと神経伝達をシュリンクに伝えるために、あのスーツが必要なんだ」
亜季「ほう。操縦に訓練が必要ないのでありますか」
櫂「確かに簡単かも」
晶葉「レバーとペダルでの操作も考えたが、複雑すぎて断念した」
亜季「懸命であります」
晶葉「図面は残ってるんだがなぁ、さすが『天才』だ」
亜季「高さは10メートルほどでありますな。重量はどれくらいでありますか?」
晶葉「ふふっ、聞きたいか?」
亜季「お願いするであります」
晶葉「秘密だ。本当のことを言ったらびっくりするぞ」
櫂「秘密なの?」
晶葉「世界中から研究者が飛んでくるぞ?」
亜季「そんな素材なのでありますか?」
晶葉「ふふっ、それも秘密だ」
櫂「気にしてなかったけど、そんなに凄いんだ」
亜季「言っておくでありますが」
櫂「なに?」
亜季「これは、オーバーテクノロジー過ぎるでありますよ」
晶葉「作業が終わった?よし、二人とも来るがいい!シュリンクの神髄を見せてやろう!」
8
IMCG・ドック
晶葉「限りなく人に近づけた。女性的とも思われるフォルムだろう?」
櫂「そう言われると、そう見えるような」
亜季「関節数が多いように見えるであります」
晶葉「そうだ。生身の人間よりも自由度が高い」
櫂「そうなんだ」
晶葉「櫂も思いっきり動いても大丈夫だぞ?」
櫂「そうする」
亜季「写真を撮っていいでありますか?」
晶葉「それはNGだ。だが、会社が撮影したものはいくらでもある。送ろうか?」
亜季「それでいいであります」
櫂「晶葉ちゃん、しつもーん」
晶葉「なんだ?」
櫂「どうして、人型なの?」
晶葉「どうして?」
櫂「うん、どして?」
晶葉「それがロマンだから、だ!」
亜季「はぁ」
晶葉「と、『天才』は言っていたな」
亜季「私からも質問であります」
晶葉「なんでも聞きたまえ」
亜季「その、『天才』とは誰なのでありますか?」
櫂「えっと、誰だっけ?」
晶葉「……」
櫂「晶葉ちゃん?」
晶葉「簡単にいうとだな、もういないんだ」
櫂「……」
晶葉「『天才』としか言えなかったよ。残念だ」
亜季「そうなると」
櫂「そうなると、どうなの?」
晶葉「新しいシュリンクは出来ないのさ」
櫂「それ、本当なの?」
晶葉「ああ。特にコクピット周りは再現不可だ」
亜季「ふむ……なるほど」
晶葉「だから、大切にしてくれよ。『天才』が残してくれたものなんだ」
櫂「わかってる」
晶葉「せっかくだから、他のシュリンクを見に行こう」
亜季「お願いするであります」
9
降りた先が泥沼だとは気付かなかった。
なんでか?決まってんだろ。
うまく泳いでると、思い込んだからさ。
いや、思い込まされたから。
ここは、小説とかドラマみたいな世界じゃない。
なんだ、簡単じゃんと思わせてくれた。
自分の考えが通用すると思わせてくれた。
死ぬ気の本気でやれば何でも成功できると思わせてくれた。
そう。騙されてたんだよ、アタシは。
降りた先は、小説とかドラマみたいな世界じゃない。
甘い香りのする腐った泥沼だったよ。
10
IMCG・体育館
高峯のあ「……」
高峯のあ
IMCGの技術者。立ち振る舞いから経歴まで色々と謎。
櫂「体育館だったんだ、ここ」
晶葉「職務上、敷地から離れない職員も多いからな」
亜季「贅沢でありますな」
のあ「……」
櫂「のあさんはどうしてあそこに立ってるんだろう……?」
のあ「……」
亜季「歩いて行ってしまったであります」
晶葉「地下か」
櫂「地下に何かあんの?」
晶葉「むしろ、私達の目的も地下だ」
亜季「ということは、シュリンクがあるでありますか?」
晶葉「ああ」
11
IMCG・体育館地下
亜季「おおっ、これはこれは」
櫂「秘密基地って感じが凄いする」
晶葉「だろう。そして、そこにいるのが」
のあ「シュリンク1よ。愛称は」
木場真奈美「タイガーだ」
木場真奈美
IMCG職員。シュリンク4、ウルフのパイロット。
のあ「……真奈美」
晶葉「実際にIMC対策として初めて投入された1号機だ。真奈美が乗った」
真奈美「随分と昔のように感じるな」
のあ「……2年も経ってないわ」
真奈美「わかってるさ」
亜季「……」
櫂「これ、まだ動くの?」
真奈美「ああ。訓練にはいいぞ」
亜季「そうなのでありますか?」
のあ「……ええ。私が定期的に検査をしているわ」
晶葉「存分に使ってくれ」
櫂「そうなんだ。真奈美さん、今度手伝ってよ」
真奈美「了解だ」
亜季「あれは、シュリンク用の武装でありますか?」
のあ「……ええ」
真奈美「シュリンク3までは手持ち兵装がデフォルトだった」
晶葉「ウルフは真奈美との経験から武器は内蔵式で行けると判断した」
のあ「5は……秘密よ」
櫂「あたしのドルフィンは素手で戦うの限定」
亜季「ん?」
真奈美「どうした?」
亜季「2と3はどうしたでありますか?」
晶葉「残念だが、廃棄された」
のあ「……大破したのよ」
櫂「そうなんだ……」
亜季「IMCに負けたでありますか」
晶葉「片方はな」
櫂「……負けるんだ」
真奈美「負けるよ」
晶葉「強い時は強いぞ、IMCは」
亜季「ふむ……少し甘くみておりました」
櫂「あたしも」
のあ「だから、最善を尽くすのよ」
真奈美「準備は怠るな」
櫂「うん」
晶葉「それに、『天才』が残してくれたシュリンクもある」
亜季「私もお手伝いするであります」
晶葉「もし負けたとしても」
のあ「……」
晶葉「なんでもない」
プルルルル……
亜季「伊集院巡査から連絡であります。私はこれで」
櫂「またね。別の所も紹介するから」
亜季「はい。それでは、失礼するであります」
12
アタシは女子高生で社長だし。
それなりにがんばってきた。
から。
自分の力で進めると信じてた。
から。
アタシを利用してる存在とか認めたくなかった。
社員がアタシじゃなくて、その後ろを見てたのも信じたくなかった。
アタシはちゃんと成功した。
成功した。そこにアタシの力は、ない。
泥沼に、こうして縋らないと、何も出来ない。
13
IMCG・トレーニングルーム
櫂「そっか、相手の攻撃も受けないといけないんだ」
真奈美「ああ。IMC討伐はフェイズ1がある以上、それは必須だ」
櫂「むー。難しいなぁ、格闘技の経験とかないし」
真奈美「こればっかりは鍛錬だな」
梅木音葉「……あら」
梅木音葉
IMCG職員。シュリンク5、ディアーのパイロット。
櫂「あ、音葉ちゃん」
音葉「お二人してどうしましたか……?」
真奈美「パイロットとしてのトレーニングをと思ってな」
櫂「そう。それで、真奈美さんに色々と教えてもらいながらここまで来たんだ」
音葉「そうですか……」
櫂「音葉ちゃんも、格闘戦の基本とか学んだの?」
音葉「ええ……」
真奈美「確かに、学んでたな……」
櫂「どうして、苦笑いなのさ?」
音葉「……無駄になってしまいましたね」
真奈美「早く気付くべきだったな」
櫂「?」
真奈美「さて、櫂君。さっき言った通りだ。守りからだ」
音葉「シュリンクは……コクピット部分はもう再生不可能です」
真奈美「ということだ。後で巡査達に聞くのもいいかもしれんな」
櫂「はいっ。お願いします!」
真奈美「良い返事だ。さて、やるとしようか」
14
夕方
IMCG・トレーニングルーム
キンコンカンコーン……
櫂「チャイムだ」
音葉「定時ですね。私は部屋に戻ります」
真奈美「ああ。お疲れ様」
櫂「ふー」
真奈美「疲れたか?」
櫂「一日がかりだったし、それなりかな。体力には自信あるよ」
真奈美「頼もしいことだ。私と櫂君のように、自身の動きと連動させる以上は体にたたきこむしかない」
櫂「うん」
真奈美「だが、もっと大切なこともある」
櫂「なんなの?」
真奈美「イメージだ」
櫂「イメージ……?」
真奈美「究極のところ、イメージだけでシュリンクを動かせるのが一番強いわけさ」
櫂「ふーん」
真奈美「出来たら苦労はしないんだがな」
櫂「イメージ、ね」
真奈美「イメトレは欠かさないことだ。体が動かなくても、シュリンクは動かせるのがベターだ」
櫂「ねぇ、真奈美さん」
真奈美「なんだ?」
櫂「この仕事、楽しい?」
真奈美「正義の味方は悪くはないだろう?」
櫂「もちろん」
真奈美「さ、私達も戻るとするか」
15
IMCG・警備室
惠「時間ね。勤務時間は終わりよ」
亜季「では、大和亜季、準待機に入るであります」
惠「そんなにかしこまらなくてもいいわ」
亜季「ですが、常時準待機という契約であります」
惠「本当に、IMCが出た時にいてくれればいいのよ」
亜季「つかぬ事をお聞きするでありますが」
惠「なにかしら?」
亜季「ここ最近、敷地から出たでありますか?」
惠「もちろん。刑務所じゃあるまいし」
亜季「出動以外でありますよ?」
惠「……」
亜季「来てよかったであります。趣味はありませんか?」
惠「趣味、趣味ね……」
亜季「たまにはお出かけするのも良いと思うであります」
惠「ありがとう。出かけられるように、あなたに仕事を引き継がないとね」
亜季「ビシバシお願いするであります!」
惠「ええ。よろしくね」
16
アタシは成功してる。
このまま、この泥沼を泳いで行ける。
若いだけで、成功させてくれる、環境がある。
どうしようもないな、ホント。
死ぬ気でやろう、と思ってた。
今は保身するかどうかを考えてる、このザマだよ。
もう、辞めちまおうか。
抵抗する気もなくなったら、泥沼はアタシを飲み込んでいくだけだ。
甘い香りのする泥沼はアタシを殺したりはしないだろうから。
「へ……?」
アタシの足元から、泥が、なんで、泥が広がってんだ?
少しだけ足が沈むのを感じてた。
抗う気力なんてねぇから、アタシは自分から出てきた泥沼に沈んでった。
17
IMCG・女子寮リビング
槙原志保「交通課だったんですか?」
槙原志保
IMCG女子寮の寮母さん。職員の生活をサポートしている。
亜季「はい。ミニパトに乗っておりました」
櫂「へー」
亜季「最近は自転車が問題となっておりましてなぁ」
櫂「あたしの大学でも良い自転車乗ってる人多いよ」
志保「そうなんですかぁ。どうして、こちらに?」
亜季「警備部に行きたいと希望は出しておりましたから」
櫂「それで、こんな所に?」
亜季「ですが、こんなことを経験できる警察官は少ないであります。役得でありますよ」
惠「ただいま」
志保「おかえりなさーい。ご飯にします?」
惠「ええ」
櫂「おかえりー」
亜季「おかえりなさいであります。なにかしていたでありますか?」
惠「ちょっとね。大丈夫よ、仕事をしてたわけじゃないの」
櫂「なら、なにを……」
ピンポンパンポーン……
亜季「ん?何かの放送でありますか?」
惠「落ち着けないようね。行くわよ」
櫂「よしっ!」
愛結奈『集合なさい』
惠「初仕事、早く来たわね」
18
IMCG・ミーティングルーム
レナ「……」
清良「……」
櫂「IMCは!?」
雪菜「画面に出してますぅ」
川島瑞樹『静まり返ったオフィス街に、突如としてIMCが登場しました』
川島瑞樹
地元テレビ局のアナウンサー。熱狂的な支持組織が存在する。
櫂「テレビ?」
真奈美「テレビだな」
音葉「……生放送です」
櫂「カメラすら飛ばす必要もないんだ……」
愛結奈「野次馬が多いわねぇ」
頼子「警察に何とかしてもらいましょう」
レナ「伊集院巡査は」
頼子「大和巡査が同行して、IMC出現場所に向かっています」
レナ「どこか、このIMCを誘導できる場所は?」
雪菜「大きな十字路がありますねぇ」
愛結奈「角には公園と駐車場もあるわね」
櫂「止めないとかな」
頼子「警戒レベルは最低」
愛結奈「多少移動してるけど、動いてないわね」
櫂「足ないもんね」
雪菜「あれですねぇ、ゲームのキャラクターみたいですぅ」
愛結奈「赤い色の島にいそうね」
レナ「腕が2本、溶けた泥のような外観、足はない、丸い頭部」
櫂「ベトベ……」
頼子「シュリンク6のみ出撃許可」
レナ「櫂ちゃん、出撃を」
櫂「はいっ!」
19
オフィス街
惠「現場に到着しました。大和巡査、無線を」
亜季「ありがとうであります」
頼子『避難誘導は完了していますか?』
惠「ほぼ完了」
雪菜『シュリンクのルートを確保できましたかぁ?』
亜季「はい!交通課に掛け合うであります!」
惠「ルートは送られてるこれでいいのね?」
愛結奈『ええ。何分で準備できる?』
亜季「全速力でやるであります!」
愛結奈『良い返事よ。シュリンク6、準備完了次第出撃』
惠「了解」
頼子『よろしくお願いします』
惠「大和巡査、任せても大丈夫かしら」
亜季「ええ。そのために交通課から来たであります」
惠「私はIMCの近くまでいくわ。シュリンクのルート確保を」
亜季「それにしても、あれがIMCでありますか」
惠「ええ。どう思うかしら」
亜季「疑問は多々あるでありますが、一つだけ」
惠「簡潔に」
亜季「IMCって何の略でありますか?」
惠「イマジナリー、ミザリー、クリーチャー、心より生まれうる怪物よ」
亜季「……そうでありますか」
惠「任務開始。行くわよ」
20
IMCG・ドック
一ノ瀬志希「にゃははー!遅いぞー、きびきび動けー!」
一ノ瀬志希
IMCGの技術職員。海外帰りらしい。
晶葉「ふむ。出撃準備のトレーニングもしておくべきだな」
のあ「そうね……信頼はしているけれど、遅いわ」
櫂「乗れる!?」
志希「はい、準備完了~。どうぞ~」
櫂「行ってきますっ!」
のあ「頼むわよ……」
晶葉「コクピット全閉後、注入開始!急げっ!」
21
ドルフィン・コクピット
頼子『注水完了』
雪菜『櫂ちゃん、聞こえますかぁ?』
櫂「オッケー。聞こえるよ」
頼子『接続開始』
櫂「いち、に、さん、し!」
雪菜『接続完了!はやいですねっ!』
愛結奈『慣れてきたかしら』
頼子『数値安定』
雪菜『ドルフィン、移動完了』
愛結奈『カメラ、外観センサー稼働、櫂ちゃん、異常は?』
櫂「ばっちし」
頼子『ドルフィン、全て異常なし』
雪菜『エレベーター稼働しますぅ』
愛結奈『ハッチオープン』
櫂「移動終わったよ!」
頼子『司令』
レナ『オーケー。シュリンク6、出撃!』
22
IMCG・オペレーションルーム
亜季『交通規制完了であります!』
頼子「櫂さん、ルート変更です」
愛結奈「大通りを出てからは走っていいわ」
櫂『了解!』
雪菜「足元には気を付けてくださいねぇ」
惠『課長』
レナ「何かしら、伊集院巡査」
惠『IMCのコアとなった人物が特定できました』
レナ「あら、特定できたの?」
清良「不特定多数から良く特定できたのね」
惠『有名人でしたから。名前は桐生つかさ』
レナ「知ってる?」
雪菜「知ってますぅ。女子高生社長ですねぇ」
櫂『社長?』
雪菜「ホームページを転送しますねぇ。女子高生向けのブランドを立ち上げてるんですよぉ」
愛結奈「へー。自社モデルとかしてるようね」
櫂『IMCに取り込まれそうには思えないなぁ、この性格』
レナ「人の心なんてわからないわよ」
櫂『そうだね。それがあたしの仕事かな』
頼子「こちらでカルテの作成も続けます」
櫂『お願いっ!走るよっ!』
愛結奈「障害物なし、突っ走りなさい!」
23
オフィス街
亜季「伊集院巡査」
惠「お疲れ様」
亜季「IMCに動きはありますか?」
惠「相変わらず、微動してるわね」
亜季「おかげで、誘いこめたであります」
惠「ええ。ところで、聞いていいかしら」
亜季「なんでありますか?」
惠「この子、知ってるかしら」
亜季「芸能人でありますか?すみません、こういうことには疎く……」
惠「別にいいのよ」
ターン!
亜季「シュリンクが到着したでありますな」
惠「シュリンク到着確認」
頼子『こちらでも確認』
亜季「足音が軽いでありますなぁ」
惠「軽いわよ。いざとなったらビルの屋上を経路に出来るもの」
亜季「知らない方がいいでありますね、それは」
惠「ええ」
亜季「腕2本の泥人形前に到着したであります」
雪菜『フェイズ1移行ですっ!』
亜季「あの、伊集院巡査」
惠「フェイズ1の説明はしたわよね?」
亜季「はい。それに加えて、質問なのですが」
惠「何かしら?」
亜季「シュリンクはそもそもフェイズ1のために設計されたのでありますか」
惠「そうらしいわね。そうじゃなければ、シュリンクなんて名前にならないでしょう」
亜季「むぅ」
惠「……まぁ、気持ちはわかるわ」
亜季「……わかるでありますか」
惠「でも、仕事はするしかないわ。私達は警察官だもの」
櫂にイメージはヴァンガード感しかないな
24
泥まみれのランウェイ
櫂「うわ……泥まみれだなぁ」
櫂「ファッションショーの舞台かな、あーあ、ドレスもアクセサリーも泥まみれ」
櫂「つかさ社長は……あそこか」
桐生つかさ「はぁ……」
桐生つかさ
女子高生社長。メディアにも取り上げられた、女子高生向けブランドをプロデュースしている。
櫂「こんにちは」
つかさ「なんだよ」
櫂「あたしは西島櫂。よろしく!」
つかさ「はぁ……頭使ってねぇ奴は嫌いだし」
櫂「挨拶しただけなのに、いきなりバカ呼ばわりは酷いよ」
つかさ「使ったつもりで、何にも出来てないより、マシ、か」
櫂「どうしたの?」
つかさ「何にもない。何もしてない。何も出来てない」
櫂「あたしでいいなら、相談に乗るよ」
つかさ「なら、この状況を見てくれ。それが全部だよ」
櫂「ここの服とかアクセサリーとか、どうしたの?」
つかさ「自分で企画した」
櫂「凄いじゃん」
つかさ「でも、どう見える?」
櫂「えっと……」
つかさ「アタシには泥まみれにしか見えない」
櫂「……」
つかさ「アタシも、泥まみれさ」
櫂「足、わかってる……?」
つかさ「わかってる。もう、足を取られて、動けねぇんだよ」
櫂「どうして、そんなことに?」
つかさ「聞くか、もう、話すことくらいしか、できないからさ」
櫂「うん。聞くよ、何でも」
25
IMCG・オペレーションルーム
真奈美「音葉君、どう思う?」
音葉「明らかに泥人形のようです……」
真奈美「抵抗する様子は見られないが」
音葉「自分を泥だと思う心境は……如何様でしょうね」
真奈美「暴れる気力もないわけか」
音葉「わかりません……」
真奈美「それにしても、長いな」
音葉「きっと……カウンセリングが進んでるんですよ」
真奈美「そう信じることにするよ」
26
泥まみれのランウェイ
つかさ「しかるべき力を持ってた奴が金とメディアを動かしたんだよ」
櫂「……」
つかさ「自社モデルとかしてさ、アホみたいだろ」
櫂「ううん」
つかさ「甘い言葉は誰にだって言えんだろ。忠告の方が難しい」
櫂「それは、そうだけどさ」
つかさ「成功したからメディアに取り上げられたんじゃないんだ。成功と言えるように金が流れて、成功と見せられるからメディアに乗っただけ」
櫂「……」
つかさ「……アタシ、こんなことしたいわけじゃない」
櫂「どうしたいの?」
つかさ「でもよ、アタシにはこれ以外の道はない」
櫂「本当にそう思ってんの?」
つかさ「現実から目を逸らした奴に、何が出来んの?アンタはそう思ったことはないか?」
櫂「あるよ。あたしは受け入れられなくて、間違えた」
つかさ「アタシは、成功のためには現実を見るよ。それが……」
櫂「それが……?」
つかさ「それが、ビジネスってもんだろ」
櫂「……」
つかさ「だから、アタシはこの泥に飲み込まれる。泥になって動く。泥に引きずり込む」
櫂「泥、ね」
つかさ「話、聞いてくれてありがとよ。こんなところまで来てくれてさ」
櫂「よし。わかった」
つかさ「……じゃあな」
櫂「死ぬ気でやらないの?」
つかさ「は?」
櫂「そうやって、逃げんの?」
つかさ「オマエ……」
櫂「自分で言ったことすら守れないんだ」
つかさ「そういう状況じゃないんだ、って」
櫂「来なよ。その腕、何のためにあるの?」
つかさ「……腕、泥まみれの腕?」
櫂「そこまで冷静ならわかるよね」
つかさ「ああ……この泥人形が、アタシだ」
櫂「相手になるよ」
つかさ「どうなっても、知らねぇからな」
櫂「勝てないよ。だって、あたしのドルフィンは凄いもん」
つかさ「勝ち負けってのはやる前から、誰かが決めることじゃねぇよ!」
27
IMCG・オペレーションルーム
愛結奈「フェイズ1解除!ドルフィン、格闘体勢!」
レナ「櫂ちゃん、失敗した?」
櫂『してないっ!格闘に入るから!』
真奈美「おやおや、どうした?」
頼子「IMC、腕を振り上げました」
レナ「あら、櫂ちゃん、周りに被害は出さないように」
櫂『目的はあたしだから問題なし!』
清良「何したのかしら……」
真奈美「ケンカでも買ったんだろう」
レナ「ケンカもいいんじゃないかしら。分かり合うにはそれも必要よ」
清良「あまり暴力は」
レナ「ここにいるとは思えない発言ね、清良ちゃん?」
清良「……」
櫂『いくぞー!かかってこいっ!』
愛結奈「交戦開始!」
雪菜「ドルフィンのパンチが頭、頭かなぁ、に当たりましたぁ!」
頼子「IMC、反撃。腕部を振り回しています」
真奈美「本当に櫂君を狙ってるな」
櫂『どうした!?そんなもんなの!?』
愛結奈「攻撃を煽ってない?」
頼子「そのようです。ドルフィン、攻撃を防ぎました」
雪菜「コクピット部分は守ってくださいねぇ」
櫂『わかってる!』
レナ「殴り合いというより」
清良「殴らせてるわね」
真奈美「実用が早いな」
愛結奈「解析完了!コアは首部!」
櫂『了解!どうしたぁ!そんなんじゃ、あたしには勝てないぞ!』
頼子「あら?」
レナ「珍しいわね、腑抜けた声を出して」
雪菜「フェイズ1、進んでません?IMCとコアの分離が進んでるような」
頼子「え、ええ。接続してないはずですが」
櫂『こっちから、行くぞっ!』
愛結奈「IMC右腕部破壊!」
レナ「左腕も取ったわ」
愛結奈「あら、柔道の経験あるの?」
櫂『授業だけ!こいつは腕しか動かないんだから、そこを固定すれば終わり!』
頼子「カルテが出来ましたが、いりますか?」
櫂『いらない、行ってきます!』
雪菜「行く?」
櫂『フェイズ1移行します!』
頼子「……自分勝手ですね」
真奈美「現場判断と言う方がいいんじゃないか?」
頼子「すみません、忘れてました。警戒レベル上昇、シュリンク4出撃許可」
真奈美「出る必要はないだろう」
愛結奈「接続完了、フェイズ1再開!」
28
泥だらけのランウェイ
櫂「腕は取ったよ」
つかさ「そうだな」
櫂「どうする?続ける?」
つかさ「本当に無理やりだな。いや、続けない」
櫂「負けでいいね?」
つかさ「ああ。ありがとよ。腕振り回してたら、スッキリしてきた」
櫂「どういたしまして」
つかさ「アタシ、やるわ。こんな所で止まってんのも、泣いてんのも、アタシじゃねぇな」
櫂「まともな説得できないくて、ごめん」
つかさ「謝るなよ。アンタは、大切なことわかってた」
櫂「大切なこと?」
つかさ「アタシが信じてねぇのに、アンタはアタシを信じてた」
櫂「そう?あたしはごちゃごちゃ悩んでたから、ぶん殴ろうと思っただけだよ?」
つかさ「暴力的だな。そんなアンタにお願いがあるんだ」
櫂「なに?」
つかさ「自分でこの泥から抜けられるほど、強くないんだわ。手かしてくれ。頼む」
櫂「わかった。手出して」
つかさ「見てろよ。これからは負けねぇし、ダサい逃げ方なんてしないから」
櫂「うん」
つかさ「それと」
櫂「なに?」
つかさ「コイツ、今のアタシみたいに軟弱者だから楽勝だろ?」
櫂「……わかった。いくよっ!」
29
オフィス街
亜季「動き始めたであります」
愛結奈『フェイズ1完了!』
亜季「おみごと。腕部を破壊したであります」
櫂『おりゃあぁぁぁ!』
惠「首部に腕を突っ込んだわね」
櫂『掴んだ!』
頼子『桐生つかさを摘出しました』
レナ『フェイズ2移行!』
櫂『よしっ!惠さん!』
惠「南西へ。桐生さんを受け取るわ」
亜季「行くであります!」
30
IMCG・オペレーションルーム
頼子「IMC、停止を確認」
レナ「フェイズ2、完了。お疲れ様」
櫂『お疲れ様でした!』
真奈美「フェイズ1中に何があったんだ?」
櫂『ちょっとウジウジしてたから、殴りたくなっただけ』
清良「……本当なの?」
櫂『清良さん、言い方が怖いよ』
清良「そうかしら」
櫂『そんなんじゃないから!比喩だから比喩!』
清良「話は後で聞くわ」
櫂『清良さーん!』
レナ「そんなにイジメないの。怒らないから帰還なさい」
櫂『それ、怒られる奴だよね』
レナ「ちょっとはこっちにも意図を教えて欲しい、って思ってるだけよ?」
櫂『怒ってるじゃんか!』
レナ「ふふ……」
清良「ふふ……」
櫂『ドルフィン、今から帰還します……』
31
オフィス街
つかさ「……」
亜季「飲み物をどうぞ。コーヒーであります」
つかさ「もらうわ」
亜季「気分はいかがでありますか」
つかさ「これからは不安だけどよ、気分はいいな」
亜季「それは良かったであります」
つかさ「アンタさ、パイロットを知ってる?」
亜季「ええ」
つかさ「礼を伝えといてくれ」
亜季「お会いさせることもできるであります」
つかさ「会うのはいいわ。いつか嫌でも見えるようになるから」
亜季「そうでありますか。あの、お聞きしたいであります」
つかさ「なんだよ?」
亜季「IMCとなる前に何が起きたでありますか?」
つかさ「前……気分が落ち込んだと思ったら、泥に飲み込まれた?よく覚えてねぇけど」
亜季「泥とは何でありますか?」
つかさ「さぁな。アタシの弱さじゃねぇの?」
亜季「それは、何か生物だったでありますか?」
つかさ「は?」
惠「大和巡査」
亜季「今行くであります。お騒がせしたであります」
32
IMCG・オペレーションルーム
頼子「なるほど。自力でIMCから逃れつつあったのですね」
櫂「うん。どう思う?」
真奈美「確かに、手段としては有効だな。私も考慮しよう」
頼子「今回は大丈夫でしたが、以降はお気をつけください」
愛結奈「特に、こっちには意図を知らせるのよ」
櫂「わかってます」
雪菜「頼子さーん、愛結奈さーん!」
櫂「どうしたの?」
雪菜「あっ、真奈美さん、櫂ちゃん、こんにちはぁ」
真奈美「その雑誌に何かあるのか?」
雪菜「見てくださいぃ!女子高生社長の真実って!」
櫂「貸して。ふむふむ」
雪菜「IMCに取り込まれたこと含めて、会社のことまで、悪いことばっかり……」
櫂「本人から聞いた通りだよ。本人が話したんじゃないの?」
雪菜「え?」
愛結奈「そんなことして、大丈夫なの?」
櫂「大丈夫じゃないけど、大丈夫。ねぇ、雪菜ちゃん」
雪菜「なんですかぁ?」
櫂「このブランド、悪かった?」
雪菜「いいえ、良く考えられてると思いますぅ」
櫂「なら、大丈夫。少なくとも、負けるより前に逃げたりしないよ」
真奈美「信頼してるんだな」
櫂「約束したから」
雪菜「約束?」
櫂「見とくよ。その勝負を、ね」
EDテーマ
アイの証明
歌
西島櫂・木場真奈美・梅木音葉
終
製作 テレビ〇日
オマケ
CoP「僕も女子高生だから桐生さんのお手伝いをしてるんですかね」
PaP「どうした、言い方が深刻過ぎるぞ?」
CoP「いや、そのですねぇ」
PaP「つうかさ、スカウトしてきた時に社長だって知らなかったんだろ?」
CuP「え、そうだったんですか?」
CoP「あー、はい、そうです」
PaP「なら、信じておきなよ。お前のアイドルだろ?」
CoP「そうですね。糠床の世話、がんばります。全力で」
PaP「そっちかよ。プロデュースの意義に悩んでたんじゃないのか?」
CoP「?」
PaP「なんでそんなこと気にしてるの?みたいな顔しやがって」
CuP「女子高生のお願いを聞くか否かを問題にしてたんですか……」
おしまい
あとがき
あんまり親しくない惠と亜季を書いてると不思議な気分になる。
ゲストキャラ候補は引き続き募集してるので、よろしくです。
それでは。
おっつん
実際社長ってなにしてんの?
おつー
仁奈ちゃんとか、小さい子のゲストも見てみたいな
乙です
やっぱりつかさは良い女だね。
ゲストは涼とかどうかな?
>>45
じゃあ、次は仁奈ちゃんにします。
次回
市原仁奈「IMCG・いかないで」(仮)
前にリクエストしてくれたアイドルも書くかもしれないので、期待せずにお待ちください。
卯月は確実に書きます。
昔の一話完結のロボアニメみたいなノリですね。
その内、櫂君だけじゃ太刀打ちできなくなって~、とか。
パワーアップ回とかがあるんですね、わかります。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません