あすな「SSで解る仏教心理学?」 (26)


あすな「みなさんこんにばんわ!」

あすな「ゆ○メンタルクリニックで働くナースのあすなです!」

療「僕は同じくゆうメンタルクリニックで臨床心理士をしている、療といいます」

療「……」

あすな「……?先生、どうしたんですか?」

療「いえ、最後まで自己紹介をまともにできたのって、いつ以来だったかなと」(遠い目)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429259907


療「さて、あすなさん。あすなさんはブッダという人物をご存知ですか?」

あすな「もちろんです、先生!」

あすな「あの立川にジョニーデップに似た人と住んでいる方ですよね!」

療「うん、間違ってはいないのですが間違っています」


療「ブッダとは仏教の開祖。現在に残る仏教の教えは彼が説いたものと伝えられています」

療「彼は修業をすることによって悟りを開き、そこから得た経験を元にして、苦しみから開放される教えを人々に説きました」

あすな「悟り……知ってますよ!」

療「へ?」

あすな「小五とロリ、これらは一見して」

療「はい、今回はそんな彼が説いた仏教の心理学をテーマに話をしていきましょう」


あすな「う~ん、でも仏教ですか」

療「おや、あすなさんどうかしましたか?いや、どうかしているのはいつものことですが」

あすな「酷いっ!?……いや、そうじゃなくてですね。仏教っていうのは宗教じゃないですか」

あすな「心理学っていう学問と、宗教を一緒にしてすすめていくというのは……大丈夫なんでしょうか?」

療「ふむ、あすなさんの疑問も最もです」

療「あるタイのお坊さんは、こう言っていました」

『仏教とは、宗教という崇めるものではなく、生き方なのです』

療「つまり解りやすくいえば、今回の仏教というのは一つのライフスタイルなのです」


療「心理学をツールとして自分の人生の中で活用していくように、仏教もまたツールとして自分の人生の中で活用していく」

療「これが今回、ここで取り上げる仏教というテーマの大前提になります」

あすな「えーと、つまり無理やり何かを信じるっていうことはしなくていいんですか?」

療「今回は『信仰』としての仏教よりも、『心理学』としての仏教ですから」

療「神様やら、仏やら、経典を『信じる』のではなく、ああこの考え方はいいかもぐらいに感じていただければ大丈夫です」

あすな「え、そんなに軽い感じでいいんですか!?」ジュース&漫画&テレビ&ネット

療「うん、流石にそこまで軽いのはブッダも予想していなかったんじゃないかな~」


あすな「ところで、ブッダさんの教えっていうのは基本的にはどんなものなんですか?」

療「そうですね。大きく分けるとしたら、二つしかありません」

あすな「……え?ええぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

あすな「だ、だってほら。何かたくさんいろんなことやっているお坊さんがいるじゃないですか?」

あすな「滝にうたれたり、辛い正座をずっとしていたり、喉が枯れるまでお経を唱えたり、ムチにうたれたりだとかっ!?」

療「あすなさん、彼らは修行をしているのであって、Mではありませんからねっ!?というか最後は絶対に違う!」

こいつ作者だろ


療「仏教というは理解と実践なんです。だからそれを解っていたとしても、実際に行っていかなければ本当に身についたとはいえません」

療「例えば人を助けることは素晴らしいと思っていても、実際に人を助ける場面で手を差し伸べられなければそれは理想で終わってしまいます」

療「同じようにブッダの教えはライフスタイル、ただ良い生き方だと知るのではなく、実際に行っていくことで初めてその効力が発揮されるのです」

療「簡単にいえば彼らはブッダの教えを、様々な形で理解し発揮しようとしているわけですね」

あすな「へ~」

療「例えるなら……あすなさんは数学で公式などを覚えた時に、必ず実際にそれを使って問題を解いたり、応用問題を解いたりしませんでしたか?」

あすな「数学は苦手だったので、捨てて他で点は稼ぎました!」

療「はい、あすなさんは全国の受験生に謝ったほうがいいですね」


療「そしてその大きく分けたブッダの教えとは、『世俗諦(せぞくたい)』と『勝義諦(しょうぎたい)』です」

あすな「『セゾク隊』と『ショウギ隊』……」

セゾク隊『全軍前進ッ!』

ショウギ隊『怯むなーッ!突撃だッ!』

『セゾク隊長とショウギ隊長に続けーッ!』

療「いやいやッ!?そんな軍隊的な要素はありませんからねッ!?変なことを言わないのっ!」

あすな「大丈夫ですよ、仏の顔をサンドって言葉もあるじゃないですか。つまりブッダさんはマゾっけがあるからこれぐらいきっと許してくれます」

療「三度ですッ!何でブッダの顔を挟んでんのっ!?てか三度をとっくに超えてて仏もブチ切れるわッ!」


あすな「それで、その二つはどう違うんですか?」

療「はぁ、はぁ。そうですね、まず『諦』という言葉の意味ですが、これは真理・法則という意味です」

あすな「なるほど、つまり『キスしたい』や『抱きしめたい』の『たい』も真理を表していて」

療「まぁ、あながち間違っていません」

あすな「……へ?はぁぁぁぁぁ!?」

療「世俗諦というのは、状況や環境で変わりうる法則なのです」

療「例えばあすなさん、その「~したい」という対象の男性が一ヶ月間お風呂に入っていなかったら、果たして抱きしめたいとかキスしたいとか思うでしょうか?」

あすな「ずいぶんと極端ですねっ!?」


療「どんなにかっこよくて素晴らしい男性であっても、お風呂に入っていなかったり、服が汚かったら中々そうは思えませんよね?」

療「『人を抱きしめたい、人にキスしたい』と思ってしまうのは事実かもしれませんが、それはあくまで『ある一定の状況下で発揮される事実』に過ぎないのです」

あすな「えーと、つまりどういうことでしょう?」

療「世俗諦とは、いわゆる法則は法則、事実は事実なのですが、状況や時間の流れで変わってしまうもののことをいいます」


療「例えば……、そうですね。よくこういう人はいませんか?」

上司「〇〇くん、そこはこうしなくちゃダメだよ」

部下「え、でも」

上司「いいから、こうやったほうがうまくいくんだから。全部こうすれば大丈夫なの」

部下「は、はぁ。(今時このやり方はちょっとなぁ……)」

あすな「あ~、ありますね。ワンマン上司のやり方についていけないって」

療「この上司さんが言っている事もまた事実であり、これまでの実績から語っている真実なのです」

療「ですが、あらゆる状況で通用するわけではありません。さらに時の移り変わりによっては、まったく効果が無い手段になってしまいます」

療「ましてや、自分にはその方法が向いてないなんてこともありますからね」

あすな「あ~、あるある。そうなると余計に困っちゃうんですよね」

すげえ、SSなのに絵が思い浮かぶ


療「そう、つまり世俗諦とは……」

あすな「……ごくり」

療「いわゆる『俺ルール』なのですッ!」

あすな「あれーっ!?なんか急に俗っぽい感じになっちゃったッ!?」

療「世間はあらゆる俺ルールに満ち溢れているのです。これまで通例とされてきたものが、別の俺ルールによって上書きされ、排他されていきます」

OL「あんたその格好さぁ、すごく遅れてるよね~」

OL2「え、でもこの前は雑誌でこれが流行だって……」

OL「バカ、今はこういうファッションの方がいいのよ」

療「とか、こういう流行も世俗諦。『俺ルール』や『私ルール』なのです」

あすな「うわ……生々しい」


「ワンピースとかないわ~」

「進撃の巨人だろ~」

「おい、SOAだろ~」

「ハァ?今はダンまちだろうが」

療「なんて言うのも、全部世俗諦です。今だけは事実で真実だったり、その人の中では真実だったりしますが、どうせ時間が立てば別の世俗諦にとってかわられてしまいます」

あすな「な、なんか例えが偏ってません?」

療「あすなさんのお父さんも、よく二次元のお嫁さんがかわるんじゃないですか?それも世俗諦で…」

あすな「私に、父はイマセンヨ?」ニコリ

療「(あすなさんの目が笑ってない!?)」


療「ま、まぁ今まで言ったように、変わってしまう真実・ルール・法則が世俗諦なのです」

あすな「なるほど~、でもそういうものも真実だとか、真理あつかいしちゃっていいんですか?」

療「でも、現実問題それが『当たり前』になっちゃいますよね?」

あすな「うっ」

療「戦争も勝てば官軍。ですが負けてしまえばこれまで教えられてきた正しい正義が、間違った正義に変わってしまいます」

療「流行を一生懸命に追ってお金を費やしたりしても、変わる法則である世俗諦ですから、人の都合のいいように常に変化していきます」


療「私達はこうした俺ルールに常に振り回されています。世俗諦は決して間違っているわけではありませんが、私達を常に忙しくふりまわしています」

療「これが結果的に私達を精神的に苦しめる、大きな原因になってしまっているのです」

あすな「なるほど……でもそれって、知りたく無いと思っても、外からどんどんきちゃいますよね。」

療「はい。それを知らなければもっと穏やかに生きられるのではないかなんて思ってしまいますが、現実問題はそう簡単なものではありませんからね」

療「生きる以上は関わっていかなければなりませんから」

あすな「じゃぁ、私達はどうすれば……」

療「中村元さん訳の『ブッダのことば』、この中でブッダはこうおっしゃっています」

『世間には種々なる苦しみがあるが、それらは生存の素因にもとづいて生起する』

『実に愚者は知らないで生存の素因をつくり、くり返し苦しみを受ける』

療「生きる以上は必ずこれらの問題は付き纏います。逃げようとしても、それは死ぬまで逃げられるものではないのです」

療「そして私達は『当たり前』だというルールに振り回されて、心の余裕が失われていくのです」


療「そしてブッダはさらにこうおっしゃっています」

『執着に縁って生存が起こる』

あすな「執着、ですか?」

療「結局、私達はその俺ルールに固執してしまう事が苦しみの原因になっているのです」

療「世俗諦に心を動かされ、それによってどんどん世俗諦に心を入れ込んでいく」

療「ですが世俗諦は変化していまいます。そうなると私達は変わったことに怒り、焦り、失望し、心の余裕が失われて苦しくなっていくのです」

療「苦しみとはこの『入れ込み』による『心の動き』で生まれること。『世俗諦』とは結局、時間の移り変わりで変わっていくこと」

療「これが変わることのない事実、ブッダの言った正しい変わることのない真理である『勝義諦』なのです」

あすな「なるほど、確かに変わらないものはありませんからね」

療「価値観や人の心、時代でさえも諸行無常。これを知っていれば、必要以上に入れ込んで苦しむことはありません」

療「だから我々はある話や事実に直面した時、それが世俗諦かどうかを見極めなければならないのです」


療「この考えを持っていれば、例え上司や恋人が自分と違う考えや価値観を持っていたとしても」

「ああ、彼の言っていることは間違いじゃない。でも、それも世俗諦なんだ」

「自分の持っている考えも世俗諦。いずれは変わっていくものかもしれない」

療「と、相手と自分に入れ込む心に待ったをかけられます。相手を否定する必要もありません」

療「そして無理にそのままの自分でなければいけないと思うこともなく、余裕を持って柔軟で心が落ち着いた状態でいられませんか?」

あすな「おぉ……」

療「そうすれば、より多くの人の価値観や経験を学ぶことができます」

療「これが何よりも今を生きていくための、より一層自分という存在を育てていく大きな栄養になるのです」


療「さて、あすなさんは、『あ、これって世俗諦かも』って思う事はありますか?」

あすな「……そうですね」













あすな「療先生が解説しているその立場っていうのも、『世俗諦』なんでしょうね……」

療「……そう、なんでしょうね」

自分の立場に危うさを感じたら、メンタルへ!


おしまい。
最初の伏せ字、療先生が伏せ字になって無かった……。

解釈やら何やらの違いはあると思いますが、
もっと詳しく知りたいなぁって方は検索すればたくさんヒットすると思います。

突発的に思いついて、ひと通り書き上げたんで、いろいろとあるでしょうが、
お付き合いくださりありがとうございましたっ!

過去作は、
ブッダ「シンデレラガールズ?」イエス「うん」
です。

オチもよかった

乙 原作の再現性スゴイ…
でも俺の頭じゃ最後の方になって理解が追いつかなかった

再現度高いな

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