暁「やさしさに包まれたなら」【艦これ】 (23)

暁「(深海棲艦との戦いが終わって、十年)」

暁「(私たちの生活もすっかり落ち着いてきた)」

暁「(皆、成長して、それぞれの道を生きている)」

暁「(私もあの頃、思い描いていた一人前のレディに近づけたかな?)」

暁「(それは分からないけど、でも今、幸せだってことは確かなこと)」

暁「(そんな私の日常も、最近、ほんの少し変化した)」

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提督「暁」

暁『どうしたの? 司令』

暁「何、あなた」

提督「いや、呼んだだけ」

暁『もう』プクー

暁「(それは、あの頃の私が見えるようになったこと)」

暁「結婚式、楽しみね」

提督「ああ、皆、元気かな?」

暁「(響はロシアに留学した。雷と電は保育士をして、一緒に暮らしてるみたい)」

暁「(皆、日常に溶け込むのに苦労している)」

暁「(深海棲艦を倒した後、私たちは特別な力をなくした)」

暁「(そのことが私たちを不幸にしたし、幸せにした)」

暁「(もし、あのまま力を持ち続けていたらと思うと、ぞっとする)」

暁「(だけど、皆で一緒にいられなくなる理由にもなってしまった)」

暁「(あんな大所帯の組織を継続させるには、莫大なお金が必要だった)」

暁「(運送業でもやろうかって司令は言っていたんだけど……)」

暁「(不可能になってしまった)」

暁「(それでも救いだったのは退役する時、いくらかお金をもらえたことだった)」

暁「(仲の良いメンバーで集まって、会社を作った人たちもいた)」

暁「(この時期に結婚式を挙げるのも、理由があって)」

暁「(皆で集まりたいというのもそうだけど)」

暁「(落ち着いてきたからこそ、嬉しい話題を届けたかった)」

暁「(提督は馴染めない娘たちの面倒を見たりしていて)」

暁「(ゆっくりする時間もなかった)」

暁「(そういう諸々に、こうして区切りを付けるって、提督はそう言ってくれた)」

提督「皆、来てくれるかな?」

暁『勿論よ』

暁「まだ連絡の取れない人もいるものね。……心配?」

提督「そりゃあ、心配だよ。悪い奴らに騙されてないかな、とか」

暁『もう、司令は心配性なんだから』

暁「平気よ。青葉さんが調べるって言ってくれたんだから」

提督「そうかなあ?」

暁「心配ばかりしていても仕方ないわ」

暁「夕飯の買い物にでも行きましょう」

提督「今日の晩御飯は何の予定だ?」

暁「カレーライスにしようと思って」

暁『暁は辛口でも大丈夫なんだから』

次の日の朝

暁「(目を覚ますと、布団の中でうずくまっている私がいた)」

暁「(心地良さそうな表情で、時々寝言を言う)」

暁『暁は……一人前……レディ』

暁「(微笑ましくなって、つい時間も忘れて、眺めてしまう)」

暁「(目覚まし時計が鳴って、はっとする)」

暁「(カーテンを開けて、木の葉から漏れた朝日を浴びて、そうしてやっと私は目を覚ます)」

暁『』ボンヤリ

暁『一人前のレディは……』フワー

暁『寝坊なんか……しないのよ』コックリコックリ

ガチャ

提督「おーい、暁。起きてるか?」

暁「うん、今、朝ごはん用意するわね」

暁「(それを言われたのは、着替えてる途中だった)」

提督「あれ、何か太った? お腹回り、ぷよってない?」

暁『何よ、司令はデリカリーがないのね』

暁「デリカシーがないわ」

提督「あ、ごめん。いや、おれはどんな暁でも好きだよ」

暁『//////』

暁『し、仕方ないから許してあげるわ』

暁「そんなお世辞じゃ、許さないわ」

提督「ごめんって」

暁「フフフ、いいわよ。許してあげる」

暁「」クンクン

暁「変な匂いしない?」

提督「」クンクン

提督「するか?」

暁「何か火にかけてたりする?」

提督「あっ! 昨日のカレー、暖めてたんだ」

提督「ふー、焦げる所だった」

提督「よく気付いたな」

暁「うん、何だかね」

提督「暁もカレー食べるだろう?」

暁「じゃあ、お願い」

――――――――――――

暁「(最近は、昔のことをよく夢に見る)」

暁「(あの頃はどうしてか、何でも願いが叶うような気がしてた)」

暁『司令、レディな昼食になら付き合ってもいいわ』

暁『今度は旗が立ってないやつよ』

暁「(とてもあの頃が輝いて感じる時、何だか泣きそうになってしまう)」

暁「(今に不満があるわけではないけれど、それでも――)」

暁『司令に聞いたわ。天龍って本当はすごく強いんでしょ?』

暁「(あの頃は何にでも憧れて、何にでも強がってばかりいた)」

暁「(その感覚を懐かしく思ってしまう)」

暁「(そんな風に物を考えられなくなった自分を、つい責めてしまう)」

暁「(大人になった私に、もう奇跡が訪れてくれないんじゃないかって)」

暁「(不安になって、あの頃とは違うということを一層、深く実感する)」

暁『暁は一人前のレディなんだから』

暁「(きっと、私はやさしさに包まれていたんだと思う)」

暁「(だから、あんなにキラキラしてるんだ)」

――――――――――――――――――――――――――

提督「ただいま。今日は弁当買って来たよ」

暁「あ、ありがとう」

暁「」ウッ

バタバタ ガチャ 

提督「暁、どうしたんだ?」

提督「」ハッ

提督「おい、平気か? どこか体調悪いのか? 悪いもの食べたとか」

暁「そのから揚げ弁当、どこかへやって」

提督「お、おう」

暁「(ひどい臭い)」

暁「」ウッ

提督「病院に行ったほうが良いんじゃないか?」

暁『暁は大丈夫なんだから』

―――――――――――――――――――――――

暁「(病院へ行った結果、結婚式でのサプライズが一つ増えた)」

暁「(提督は驚いて、それからすごく喜んでくれていた)」

暁「(これは私の予想だけど、小さな私との付き合いはあと八ヶ月ほど続きそうだ)」

終わり

乙なのです!

結婚式を書いてもいいのよ?(希望)


暁は一人前のレディーになれたんだね

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