八幡「……SAO?」材木座「うむ」 (282)

【俺ガイル】×【SAO】
俺ガイルとSAOが同年代って事で

 腕を組み、相変わらずのデカい腹を強調させるかのようにふんぞり返る材木座。てかそれやめようぜ、見てる此方が不快なんだよ。
 「何? 釣りの話?」
 「そっちの竿ではなーい! ソードアートオンラインッ! 仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム____略してVRMMORPGだ!」
 「いや長いし解らん」
 取り合えずゲームって事だけは解ったが____しかし、初耳だな。最近奉仕部のせいで暇無かったしな……ゲームとは疎遠だったわ。
 「有名だったりすんのか?」
 「当然であろう! 世界初の『仮想現実』を実現したのだ、詰まる所デジタルデータの世界で『恰も現実世界のように』剣を振り回せるのだぞ!」
 「……? いや、パソコンかプレ●テかは知らんが、剣を振り回すって……それただのイタい子だろ」
 ____あ、お前イタい子だったな、と呟く。不運にも材木座には聞こえていたようで、「な、何だと八幡ー!」と手を振り回す。やめろ、幾ら雪ノ下と由比ヶ浜がいないからって、DNA引き継いだのか知らんが部室でライジング息子踊んな、騒々しい。
 「むっ、今失礼な事を思っただろう____って、話が逸れたな……そもそも、SAOをプレイするに当たって、ゲーム機は据え置き型の物では無く…………」

 割愛。
 理由を言うとすれば、所々材木座の個人的意見が混じっていて、余りに聞かせれるものでは無かったからだ。……アレだよ?作者が面倒臭がったからとかそう言うのでは無いからな?
 閑話休題。
 彼の話を要約をするならば、SAOってのをプレイする為に、ヘッドギアと呼ばれる、頭を覆うインターフェースを被り、プレイをするらしい。
 内部に埋め込まれた信号素子から発生する多重電界により、プレイヤーと直接接続、五感にアクセスし、ゲームの世界____『仮想現実』に入り込む事ができるようだ。
 更に、現実の方では五感がシャットアウトされるため、プレイ中に遊びに来ていた友達に頭を叩かれても気づかないらしい。俺の場合一生そんなシチュエーションになることは無いだろうが。
 まぁ、ゲームの中と現実とで同じ行動してたら、ダンジョン散策するだけでも、現実では初代ドラ●エみたく壁に向かって足踏みすることになっちまうからな。「ゲーム終わったらデコ真っ赤で目の前が壁!?」みたいな展開になりかねん。
 

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1428063317

改行とかしてくれ
見にくいから

>>2 了解

 と、まずはゲーム機の説明は以上。あ、名前は『ナーヴギア』って言うらしい。いちいち名前の付け方が格好いいったら無いんだが。

 次に、SAOというゲーム自体の説明だ。
 『アインクラッド』という空に浮かぶ鉄の城。全部で100層に別れており、各フロアのボスを倒して上がっていくというものだ。

 これだけを見ると、随分シンプルに感じるが、このSAOというゲーム、醍醐味は別のところにあるようだ。

 それは、『フルダイブ』と呼ばれる程の、現実への忠実さである。

 βテストで、SAOをプレイした奴によると、「本当に現実かと思ってしまう」____らしい。

 服の触感から水の流れ、武器の質感など、何から何まで現実の物とそっくり__いや、『そのまま』。

 現実とSAOとの違いは、五感に送られてくる情報の違いだ__俺達が体感する上で違いが解る訳もなく。

 まさに、体感する__文字通り、『体』で『感』じるゲーム。

 それが、このVRMMORPG__【ソードアートオンライン】だ。

 以上、解説終わり。

 これでも相当訳したつもりなのだが……国語学年三位とライトノベル作家希望者(笑)、ここに雲泥の差が現れたと言うことだろうか。いやまぁ、全部作者が書いてるから雲も泥も有りはしないのだが……それは置いておいて。

 感想。

 すっごく引かれましたさ、はい。

 もうすっごくとヒッグスの違いが解んなくなる位欲しくなったさ、解るけど。ぼっちの俺には夢が叶ったようなものだからな!

 何故って、『現実のような仮想』に逃げ込んでしまえば、ある意味第二の人生を歩めるって事だぞ?

 戸塚みたいな可愛くて優しくて実に素晴らしい子と出逢い、仲良くなれるかもしれないんだぞ?

 元々高ステータスの俺にかかれば(目以外)、可愛い女の子なんてイチコロ☆という訳だ。

 いやほら、ゲームなんだし、目ぐらいはチョイと加工して修正して、ハイライト入れれるだろ?アニメ2期以上を期待できるだろ?

 もうこれ俺の時代だろ、ヒキタニくん伝説が始まるだろこれ。っぺー、やっべーわヒキタニくん。

 サラバ現実……初めまして仮想!

 「……お兄ちゃん、何ニヤニヤしてるの? 早くご飯食べたら?」

 煩悩まみれの意識の中に、突如小町の声が響いた。気がつけば小町はもう食べ終わっていたらしい。時計を見ると、もう8時を過ぎていた。

 「あ、あぁ、すまん」

 「全く……ごみいちゃんの側頭部に小さく3がついてたよ? 正直引いた」

 小さい数字って指数の事かな小町ちゃん。というか3乗したら駄目だろ……マイナスの3乗とかマイナスのままじゃん、一周回ってやっぱ駄目じゃん。

 「って、俺はマイナスじゃねぇ!」

 「あ、やっぱり自分でも思った?」

 「で、何があったのお兄ちゃん。明日お兄ちゃんの頭でビックバンが起こって世界が滅びそうな位珍しく上機嫌なんだけど」

 いや長いよ小町……ってかビックバン発生源俺なのね。

 「あぁ、実はな……」

 カクカクシカジカシカクイムー(ry

 「あぁ~……何か聞いたことあるかも、その題名」

 「マジか……」

 アレか?お兄ちゃんったら時代遅れなの?よく言うと古風なの?良いのかこれ。

 「そりゃあもう。テレビとかで良く特集やってるよ~、友達でも買うって人いっぱいいるし」

 「そうか……小町はやってみたいとか思わないのか? 俺は買うつもりだが」

 「う~ん……わざわざ自分用のを買ってまで、って程じゃないかな~。お兄ちゃんのをたまに貸してもらうって程度でいいよ」

 「解った。そうと決まれば明日買いに行くと……」

 __するか、と言いかけた時、小町が口を挟んだ。

 「それじゃあ遅いんじゃない?」

 「……何、そんな人気なのか? じゃあ明日の早朝にでも」「それでも遅いと思うよ~」

 ……え、何その異常な人気っぷり。

 「……と言うことは」

 ゴクリ、と喉を鳴らすと、それに答えるかのように小町が口を開いた。

 「寝袋とパン持って、行ってらっしゃ~い♪」

 ……行ってきます。

これ目の腐り度までは再現できなくてイケメンになるよな多分
ハーレムの可能性微レ存

>>5 どうだろうな……俺にもわからん

 翌日、夜明けと共に目を覚ました。

 当然、店の前で寝袋で一夜を過ごすなんて事をしたことない訳で、起き上がろうとした瞬間、腰に激痛が走った。

 「いって! くっそ、アスファルト固すぎなんだよ……」

 チラリと横を見ると、俺のあとに続き、終わりが見えないくらいの長蛇の列が出来ていた。

 だからと言って、俺が先頭と言う訳ではなく、俺の前には20人程度並んでいた。先頭とか何時から並び始めたんだろうな……。

 携帯の画面には、09:30と表示されている。確か、店が開くのが10時頃だよな……丁度良い時間に起きれたってことか。

 それにしても、ゲームの発売日とは言え、こんなに長い列ができるとは思ってもいなかったな……ありがとう小町。

 「えっと……パンどこ入れたっけ」

 朝食を求め、リュックサックを漁っていると、携帯ゲーム機によりミンチにされた惨めなあんパンが出てきた。

 「……不幸だ」

 某そげぶ主人公よろしく、思わず呟いてみた。いやまぁ食えりゃいいんだけどさ。

 その後、暫くパタパタパタポンをやったりなどと時間潰しをしていると、店の周りが騒々しくなってきた。

 「よっと……そろそろか」

 重い腰を上げ、店の入り口を一瞥する。列に並ばずに待機していた奴等が、警備員に注意を受けていた。てか改めて思うがどんだけ買う奴等いるんだよ。

 列の最後尾は、もう肉眼では見ることが出来ないほど遠く離れていた。いや、ホント昨日の夜から並んどいて良かった。

 そして、店員の声と共に店の自動ドアが開き、俺は人の波に流されるように入り口へと向かった。

目が腐ってない八幡なんてタダのイケメンじゃねぇか

この組み合わせはエタってるのしか知らないなぁ

頑張って完走してくれ

 「あ”ぁー、疲れたー……」

 あれほどの人の渦に飲み込まれたのも久しぶり……いや、もしかしたら初めてかもしれない。そう思うほどの混雑っぷりだった。

 SAOをプレイするには、SAOのゲームソフトは勿論、ゲームハードの『ナーヴギア』も必要とする。なのに、2つがセットで販売されている事は無く、両方とも手にするには相当の労力を要した。目の前にいるデブが邪魔で仕方がなかったからな……汗臭かった。
 俺は列の前の方にいたため、早めに買うことが出来たが、後ろの奴等はきっと落胆して帰った事だろう。何ともいい気味だ。

 「確か、午後1時にサービス開始だったか__あと2時間ちょいだな」

 早くプレイしたいとウズウズするが、その時刻より前に『ナーヴギア』を被ったところで目の前は真っ暗だ。

 「まぁ、焦ったところで何にもなんねぇか」

 俺は独り、元気撥刺過ぎる太陽から逃れるように家へと向かう。

 「たでーまー」

 「おっかえり~♪どうだった?」

 「あぁ……何とか無事買えたぞ」

 「あんまり無事じゃ無さそうだけど……まぁ良いや。設定とかいっぱいあるっぽいし、早くご飯たべよ?」

 八重歯を見せながら愛らしく笑う小町。そして守りたいこの笑顔。

 「__そうだな」

 ▲   ▼   ▲   ▼

 「ふぃー……ごちそーさん」

 「あ、食器水で濯いどいてね」

 同じく食べ終わった小町が、椅子から立ち上がり、皿を片手に言う。

 「にしても、お前が飯つくるなんて珍しいな」

 普段、スーパーで買ってきたものを食うか、俺がつくるかなのだが、今回は小町自身がつくるといいだしたのだった。

 理由は、「戦場に送り出すから」だそうだ。学徒出陣前の母親みたいな事言うなよ、これから死にますアピールみたいじゃねぇか。

 「じゃ、行ってくるわ」

 多分、6時頃には戻るから__そう言って、俺は部屋に向かった。

 それが、後にデスゲームと語られる『ソードアートオンライン』をプレイする前、最後の小町との会話だと知らずに。

八幡お金持ちだな
ナーブギアと合わせて15マソ位だし

八幡って使い道無い金が一杯ありそうなイメージ無い?

同梱版で129800円(税込)だな

予備校の錬金術があるしお年玉とか貯めてたらなんとかなったりするんじゃね?

>>11 あんなデケェ家に住んでるし、普通に買えたって事で

 その後、様々な設定を終えると、時間はサービス開始時間五分前程になっていた。

 設定の1つに、キャリブレーションという、体の色々な所(意味深)を触るものがあったが、「デブじゃなくて良かった」としみじみ感じた。

 それにしても、一体何の為のものだったのだろうか……アレか?アバターと生身の体の各部位を照合する為……とか?うわ俺天才(ドヤァ

 「……さて、始めるか」

 ベッドに横たわり、『ナーヴギア』を被る。心なしか視界が少し暗くなった気がして、いよいよか__と心臓の鼓動が速まる。

 そして、緊張気味の声で、何もない天井に向かって呟いた。

 「____『リンクスタート』」

 刹那、周りの音は薄れ、代わりに視界は拭えない暗闇に包まれた。

 転瞬、虹色に輝くリングが現れ、潜るように通過する。

 そうして、視界は光に包まれた。

出して欲しい俺ガイルキャラとかいる?

いろはす~

>>17 その答えが真っ先に出るであろうと俺は予期していた

採用

いろh...がはまさん!

やっぱり僕は戸塚ちゃん!

でもなんだかんだ言って材木座出て欲しかったりするよな

ゆきのん
あと平塚先生

魔王だしてほしい

奉仕部のメンバーは外で心配してて欲しいかな

はるのんだろ!

>>24
すごいわかる
あとはるのんは裏でいそいそしてるイメージが何かある

じゃあ、上の奴を考えた上で書いてくのでー

>>24 何それ八幡ガチでボッチじゃん


 目を開けると、辺りは喧騒に包まれていた。どうやら本当にSAOの世界に入ることができたようだ。途中でバグったりしたらどうしようかと思っていたが……流石最新技術の結晶と言ったところか。

 「……しっかし」

 何なんだこの美男美女の集団は。何処に目を向けてもイケメンばっかじゃねぇか。

 あ、俺はしっかり目を加工したぞ?大きくって程ではないが、普通に生きた目にした。それ以外は面倒だったからそのままだけど。

 「さて、と。武器でも買いますか」

 この『はじまりの街』という場所は、ゲーム開始地点の為か店が多くあるように感じる。まぁ、1万人を越えるプレイヤーがここに来るわけだし、そうでもしないと武器やら道具やらを買うだけでも一苦労だからな。

 「何処が良いかな……っと、あそこで良いか」

 別に良し悪しで決めたわけではなく、パッと見渡して空いてる店を見つけただけだ。どうでもいいが。

 「何にするかな……無難に片手直剣か?」

 最初に用意された金では__この世界では『コル』と言うらしいが、買えるとしても、武器や回復アイテムなどと最小限の道具を揃えれる程度だ。後に後悔しないよう、ここで決めておきたいのだが……。

 「あ、ヒッキーじゃん、やっはろー……って誰!?」

 後ろから以上に聞き覚えのある挨拶が聞こえた。振り向くと、やはりと言うかなんと言うか、腰に剣をぶら下げた由比ヶ浜がいた。

 「おう、由比ヶ浜か」

 「え、ヒッキー……だよね?」

 「何その自信無さげな言い様」

 出会った矢先酷くない?何、目が腐ってないだけでその言い様ですか?

 「いやー、びっくりしたー。で、ヒッキー、今何してるの?」

 「武器選びなうだ」

 先程言ったように、由比ヶ浜は片手直剣を選らんだようだ。まぁ、定番っちゃあ定番だよな。

 「うーむ……」

 しかし、幾らゲームの世界とは言え、死ぬのは余りいい気分ではない。だからと言って守りを固くしても、爽快感が湧かないだろう。

 「____よし」

 「え、何々決まった?」

 興味津々の目で、由比ヶ浜が聞いてきた。

 「あぁ。すいませーん、この短剣2本下さーい」

 「……え、短剣?」

 やめろショボいとか思うな!これでも聡明な判断をしたつもりなんだよ!

 「何でそんな武器を……? しかも2本も。回復アイテム買えないよ?」

 「そりゃそうだ。だって回復アイテム買うつもりないし」

 「__はぁ!? ヒッキー死ぬ気!?」

 「いや馬鹿かお前は」

八幡「言っとくが俺はソロプレイヤーだ」(震え声

由比ヶ浜がSAOをやってる前置きがないので自然に進む会話が不自然

>>29
由比ヶ浜さんなら流行に乗るためとかそんなんだろ
ハナクソ(σ- ̄)ホジホジ

お互い見て分かる程度には似ているアバターなのか

【訂正】
×以上に聞き覚えの~ ○異常に~
×~を選らんだ~   ○~を選んだ~

間違いが目立つな……

 「理由はあるっての……まず、盾を使うと死ににくい代わりに動きが鈍くなる。だからと言って、中途半端に攻撃力に拘っても相手にズバッとやられる。だったら極端な話____」

 
 「機動力に特化し、相手の攻撃を回避しながら戦闘を行う……そう言いたいのかしら?」

 
 「なっ____」

 「あ、ゆきのんやっはろ~!」

 突如横から飛んできた答え。そちらを向くと、雪ノ下の姿があった。

 「お前……何でここにいんの?」

 「まるで『運動音痴の癖にバトルなんぞ出来るわけがねぇだろ糞アマが!』とでも言いたそうな顔をするわね……それにしても」

 俺の顔を凝視する雪ノ下。いや……まぁ言いたいことは解るけどさ。

 「どうして……目が腐っていないのかしら?」

 「そりゃあ変えるだろ普通」

 毎日罵られてるってのに、ゲームでも同じように言われたい訳ないだろ。お前はアレか?俺をドMだとでも思っているのか?

 「しかし……まぁ、その……いいんじゃないかしら」

 やめろ頬を赤く染めるな。お前俺の事好きなのか嫌いなのかどっちなんだよ。

 「そんな事はどうでも良くてだな……お前、誰か知り合い見掛けてないか?」

 「? いいえ、特に。突然どうしたの?」

 「いや、練習とかしたいだろ? 近くに雑魚モンスターがポップする草原があるらしいし、そこ行こうかと思ってな」

 と言っても、この情報は俺が武器選んでる時に、隣で話してる奴等の会話を盗み聞きしただけで信憑性は薄いんだが、どっちにしろ、散策はすることになるわけだし__

 「いいわ、行きましょう」

 「おー! 楽しみだな~♪」

 「……結局、何処に行ってもいつもの光景だな」

 今更ながら、一人でやりたかったところだが、言い出しっぺは俺な訳で__俺は不本意ながらも石畳を歩く。

 「……ねぇ、比企谷くん」

 人混みを掻き分け、街を抜けようとする最中、雪ノ下が唐突に話しかけてきた。

 「ん? どうした」

 「どうしてこのゲームをやろうと思ったのか、経緯が気になっていたの。由比ヶ浜さんも同様に」

 「あぁ……俺は単純なる興味本意だ」

 そう言うと、雪ノ下は心底つまらなさそうな顔をした。ごめんな面白味無くって。

 「私は、いとこのお兄ちゃんが先にやっていいよって言われたからだよ~」

 何その心の広いいとこ。

 「今日発売だってのに、何でだ? 別に明日でも良かったんじゃあ……」

 「それが……折角買ってきたのに家に帰ってきたとたん、バイトの店長に呼び出されたらしくて……あ、偶然昨日から家に泊まりに来ててさ、だから帰ってくるまで貸してもらってるんだ~」

 「それは……もの凄いタイミングね」

 「えへへ……元々友達とかから話聞いてて興味はあったんだけど、まさか本当にやれるとは思ってなかったよ」

 イトコ……バイト、頑張れよ。何かこの言い方だと、俺がエリオ見たいじゃねぇか。俺は宇宙人じゃねえ。

 「ゆきのんはどうしてやる事にしたの~?」

 「私は……姉さんに無理矢理やらされただけよ」

 あぁ、やっぱり陽乃さんか……イメージ通りではあるな。

 何て会話を暫く続けていると、街を囲う城壁が見えてきた。出口はもうすぐそこだ。

 「__いよいよか!」

 俺は、買ったばかりの短剣を握り、心なしか足早に外を目指した。

バイトもしてない八幡が買えるか…?

ちなみにナーヴギア12万くらいな。

>>34 アレだよ、予備校で稼いでた金とかで買ったんじゃね?知らんけど。

 街を出てもう暫く歩くと、そこには一面に広がる草原があった。青色のイノシシのようなモンスターが所々にいるが、あれが例の『雑魚モンスター』だろうか。

 「すっごいな~現実じゃないみたい!」

 木にとまったカブトムシを見つけたときの少年のような目をする由比ヶ浜。現実じゃないみたいって言うか、実際そうなんだがな。

 「それで……あれを倒せばいいのかしら?」

 雪ノ下の目は、細く研ぎ澄まされ、近くにいる青イノシシに向けられた。

 「あぁ、そうみたいだな」

 「よーし、それじゃあ早速__」

 「「ちょっと(待て/待ちなさい)」」

 腰に携えた剣に手をかけ、今にも走り出さんとばかりに足を踏み出した由比ヶ浜を、俺と雪ノ下が同時に引き留める。

 「スキル習得しないで倒しに行くとか、お前は馬鹿か。死ぬぞ」

 「私は『倒せばいいのか』とは聞いたけど、『今から倒しにいくか』とは聞いていないわ」

 「ぐぬぬ……」

 「……ったく、拗ねんなって。ほら、さっさとやるぞ」

 そう言って、俺達3人は草の絨毯に腰掛け、虚空に右人差し指と中指を向けてそれを下ろす。

 すると、鈴が鳴るような効果音と共に、紫色のホログラムのような長方形が現れた。『メインメニュー・ウィンドウ』と呼ばれるものだ。

 そこに並ぶメニュータブの中から、『スキル』をタップ。間髪入れず、別の画面が表示された。

 SAOに、魔法の2文字は存在しない。代わりに、『ソードスキル』__言わば必殺技というものが無限に近い数存在し、それを駆使して敵を倒す。それがこのゲームの特徴の1つだ。

 また、スキルは単純に『両手剣』や『斧』などの戦闘用のものだけでなく、『料理』『釣り』などと暮らす上で使うものや、需要すら感じないものまで存在する。

 が、これら全てを習得できる訳ではなく、『スキルスロット』と言う習得可能スキル限度数があり、その中で習得し、使う事が出来る。

 ちなみに、スキルを使用する度に少しずつ『熟練度』というものが上昇していき、その度技が増えたりする。

 俺達のような、まだレベル1のプレイヤーは、まだ『スキルスロット』が3つしかないが、レベルが上がると増えていく仕組みのようだ。

 はい、以上。スキルについての解説でした。

 「取り合えず、自分の使っている武器のスキルを習得すればいいのよね?」

 「あぁ、また他のやつは後々決めていけば良いさ__って」

 スキル一覧をスクロールしていると、1つだけ他とは違い、赤色で表示されたスキルがあった。

 「(スキル名、鎌__? そんなのあったっけか?)」

スキル2つじゃなかった?

鎌は弱い。ていうかモブ。
槍とハンマー、斧も同上。

>>37 え、マジ?じゃあそれでいくわ

 「(特殊スキル的な? まあ何にせよ、武器持ってないんだから習得しても無駄か、除外だな)」

 上にスクロールし、短剣スキルを選択し、決定ボタンをタップ。

 これで、習得完了だ。

 それとほぼ同タイミングで、2人も終わったようだ。と言っても、ただボタンを押すだけの作業とも呼べぬものだが。

 「よしおっけー!」

 「私も出来たわ」

 ん、そう言えば……

 「雪ノ下って何の武器にしたんだ? 結局聞きそびれてたが」

 「レイピアよ」

 即答だった。まさにレイピアの様に、鋭く。って、全く上手くねぇか。

 「選んだ理由としては、やはり何と言っても身軽さかしらね。剣のように上下運動ではなく、腕を引き、突くという単純な動作だから、スピードはトップクラスだと自負するわ」

 「そ、そうっすか……」

 何か、急に饒舌になったな……そんな気に入ったのか?良いことだけどさ……。

 「って! そんな事いってる場合じゃないよ! 早くあそこのイノシシをころ__じゃなくて、倒そ!」

 おい今絶対殺そうって言おうとしたよな、全くと言って良い程隠しきれてなかったぞ。

 「__えぇ、そうね」

 スクッと立ち上がり、臭そうな鼻息を撒き散らすイノシシの方を向く。雑魚モンスターとは言え、相手は『モンスター』だ。恐怖感が涌き出るが、何よりも興奮が制していた。

 「__よし!」

 腰の両側にぶら下げた鞘から短剣を抜き、一度素振りをしてみる。ヴォンと心地いい風切りの音が聞こえ、思わず口元が緩んだ。

 イノシシから3メートル程の距離まで近づくと、流石の向こうも警戒心を見せたようで、此方に向かって突進してきた。

 「__ファーストモーションの姿勢に構え」

 短剣を握った右手を、おもむろに肩の高さまで持ち上げる。軽く力を込めると、規定モーションが検出され、刃が青緑色に染まった。

 「ーーっらぁ!」

 地を蹴り、目標との距離を一気に縮める。あと1メートルと言った所で、システムにより、腕が操られるかのように降り下ろされる。

 前に出た右足で思いきり地を踏み、システムに身を委ねながら、右肘を流れに合わせ、横腹辺りまで引く。

 短い刃はブタ鼻を的確に捉え、そのまま右下まで斬り落とす。血の代わりに紅い光の欠片が飛沫し、空中で淡く消えた。

 HPバーは赤へと突入したが、まだ完全にゼロまでは至っていない。

 今度は左腕を、一度真後ろに引き、振り回すように薙ぐ。ソードスキルではないが、もう一度攻撃出来れば倒せるだろうという判断による行為だ。

 水平に走った剣先は、イノシシの頭部から胴体の境目__首とも呼べぬそこに刺さる。

 その瞬間、再び敵のHPバーは減少し、そしてゼロとなった。

 転瞬、ボンヤリと光を帯び、よろけたかと思うと、倒れ混む途中で時間が止まったかのように静止し__ガラスを割るような音とともに、ポリゴンの欠片となって、破裂、爆散した。

日にち跨ぐようならトリップつけたら?

>>40 トリップつけたことねぇからわからんけど……これでいいのか?

あってるけど、左の漢字はいらないかな
どうするかは任せるけど

 「ふぅ……」

 恐らく、実際の時間は10秒あったか無かったかと言ったところだろうが、俺にしてみると永遠にも感じた。

 たかが、あんな雑魚モンスター相手なのに、この緊迫感。

 やはり、ゲーム機でボタンを押してプレイするのとは違うな__そう思って膝で軽く息をしていると。

 「ヒッキー……?」

 数メートル向こうから、声がかかった。呼び方からして由比ヶ浜なのだが、その声色を不審に思う。

 「…ん、どうした?」

 「い、いや……その、上手いなぁって思って」

 「……おう、サンキュ」

 由比ヶ浜の方へ歩み寄る。すると、何故か怯えるかのように一歩後ずさった。え、何それ苛め?

 「何に怖がってんだ、お前」

 「……それは__」

 「貴方が随分とあっさりモンスターを殺したから……じゃないかしら?」

 横から声が投げ掛けられた。デジャウ”、そして疑問。

 「いやあっさりって……結構苦戦したぞ。それに、俺はただ目の前の敵を倒しただけであって__」

 「その事実は問題ではないの。由比ヶ浜さんの言った通り、貴方の『技量』が異常なのよ」

 異常?いや別に普通だろう、と思ったが、まるでそれに答えるかのように、雪ノ下は口を開いた。

 「普通なら__最低でも、今周りを見る限りでは、相手からの攻撃を一度は受け、ある程度悪戦苦闘しているわ。『ソードスキル』を発動できずに空振りする人、モンスターへの本能的恐怖感に震える人。なのに貴方は__」

 俺から目線を外し、先程青色イノシシを仕留めた短剣を一瞥する。

 「平然とスキルを発動し、何でも無いように殺した。勿論、達成感は見て取れたけれど……そんな簡単に『ソードスキル』というのは使えるものなの?」

 「はぁ? いや何いってるんだお前は。俺は一般的男子高校生だぞ? 殺しのプロな訳じゃねぇんだからよ……」

 『ソードスキル』が一発で使えたのも、ただの偶然だ。もしかしたら向き不向きあるのかもしれないが、そんな不審がる程ではねぇだろ。

 「そんな深刻そうな顔すんなって。本当に俺、何も凄くないし」

 HPが削れなかったのは偶然、『ソードスキル』が発動したのは運がよかった、そんだけだ」

 「そう……かしらね」

>>42 漢字は残しとくことにする
    責任転嫁→隻人天下w

お、おう

>>45 ……何かすまん

 「で、雪ノ下はもう倒したのか?」

 と言うか、鞘だけ残ってんのに、レイピア何処やったんだよ。まさかしょっぱなから折れたとかそう言う事はないだろうし……。

 「いいえ、まだよ。けど、もう少しで終わるわ」

 「どういう意味だ? もう少しでって」

 「あぁ……それはね」

 体を横に開き、雪ノ下の体で見えなくなっていた向こう側の全貌が明らかになった……のだが。

 「頭を上から串刺しにして、地面に突き刺してるの。私自身は何もしていないのに、勝手にダメージを受けて殺せる。どう? 天才でしょう?」

 「……お前も人の事言えねぇぞ」

 残酷過ぎるだろ雪ノ下さん……血が出ないからまだ良いが、リアルだったら見た奴等全員顔面蒼白もんだぞそれ。

 「まぁ、お前らしいと言ったらお前らしいが……由比ヶ浜はどうだ?」

 ちらりとそちらの方を向くと、まだ少しビビっているのか、心なしか肩が跳ね上がった気がする。

 「いや、まだだけど……?」

 「そうか……じゃあ一緒にやってやるよ」

 「え、ほ、本当!? ありがとー!」

 そう言って、顔を赤らめる由比ヶ浜。今更だが、お前表情豊かだな。

 さて、手伝う(経験値稼ぎ)とするかー。

 
 今日はここまで。寝る

おつ

そういや奉仕部三人揃ってるSAOのクロスって始めてかな?
期待

おつー

はいはい

おつー
たのしみやな

 その後、由比ヶ浜は思ったよりもあっさり『ソードスキル』を発動し、青色イノシシを一刀両断した。

 「やったー! ヒッキー、私にも出来たよ!」

 解った、解ったから離れましょう由比ヶ浜さん。顔が近いんだよ。

 「あれ、雪ノ下は?」

 「あ、ゆきのん? さっき『レイピアを取ってくるわ』って言ってどっか行ったよ?」

 あぁ……結局死んだのか、例のイノシシくん。敵とは言え、可哀想に……。

 「しっかし由比ヶ浜、一撃だったな」

 「うん。と言うか、大抵の武器なら一発で倒せるんじゃない?」

 「それは俺の武器が弱いと言っているのか」

 「いや……あー、でも事実だし。その代わり、ヒッキーは動きが速いからその分で賄えるでしょ?」

 「まぁ、それがこの武器の特徴で、俺が選んだ最大の理由なんだがな」

 例えば、両手剣使いと短剣使いがいたとする。

 両手剣使いが『ソードスキル』を一回発動したとしたら、短剣使いはその間に二回分発動できる。

 結局のところチャラなのだが、ここで条件を加えよう。『ソードスキル』の発動中に、相手が攻撃してきた場合だ。

 両手剣使いはやむなく『ソードスキル』をキャンセルし、防御に移る他ないが、短剣使いだと、一撃発動した後、回避なり防御なりしてダメージを受けずにすむのだ。

 まぁ、こんなシチュエーションも中々無いだろうが、少しでも死ぬリスクを無くすためだ。

 いや、だってそりゃあ、常勝無敗とかかっけーじゃん?

 どうでも良いけど。

 「終わったわよ」

 雪ノ下が帰ってきた。うん、イノシシくんオワタね。ホント同情の意しか浮かばんわ、敵だけど。

 「なぁ、雪ノ下、お前って何で『ソードスキル』使わなかったんだ? 別にあんな面倒臭い事しなくても『リニアー』で一突きだろ」

 そう言うと、雪ノ下の肩はビクンと跳ね上がり、うつ向いてプルプル震えた。

 「…………らよ」

 「あ? なんつった?」

 答えは解っているが、ここは普段のお返しだ。少し腰を屈め、耳に手を当てて聞こえないアピールをした。もう片方の手は短剣に触れ、いつ突いてきても防げるようにした。

 「……い……よ」

 「えぇ? なんて言いまし__」

 「__出来ないからと言っているでしょうこのお馬鹿ーーーーーっ!!」

 鞘から全く無駄の無い動きでレイピアを抜いたかと思うと、一気に腕を引き、地を蹴った。

 弾丸のように迫る雪ノ下を見て、咄嗟に短剣を引き抜くが、突き出されたそのレイピアを見て驚愕する。

 淡いオレンジ色に光っていたのだ。

 何故か発動された『ソードスキル』__『リニアー』は、眉間数センチまで到達したが、それを何とか払う事に成功。眼前で火花が散る。

 数回バックステップをし、距離を離す。雪ノ下は俺に対しての苛立ちより、自分が『ソードスキル』を発動したという事実に対する驚愕が勝っているようで、レイピアを見ながらポカンと呆然としている。

 「(あっぶねぇ……攻撃してくるとは思っていたが、まさかそこで『ソードスキル』が発動するとはな……)」

 やっぱり雪ノ下は敵に回してはいけない人物だな、そう感じた瞬間だった。

>お馬鹿ーーーー
みさえかよワロタ

>>53
おまおれ

>>53 俺は木更さんが思い浮かんだ

「まぁ……私が『ソードスキル』を発動するキッカケになったのだから、今回は許してあげるわ」

 さっすが雪ノ下さん、心が広い!

 「それにしても……変な感覚ね、『ソードスキル』を使うというのは」

 「あぁ、そりゃあ自分の意思関係無しに体が動くんだからな」

 正確に言えば、『システムに補助される』なのだが、何にしろ違和感はある。ってかありまくりだ。

 「けれど、いまいちどうすれば発動するのかピンとこないの。さっきのは比企谷くんに対しての殺意があったから出来ただけで、今やれと言われても出来っこないわ」

 お前どんだけ俺の事嫌いなんだよ。あれごときの挑発で殺されるとかたまったもんじゃねぇぞ。

 「えーっとな……これは感覚の世界だから、一回でも掴めれば出来ると思うぞ」

 俺も由比ヶ浜も、多分偶然出来ただけだ。けど、そこで感覚が掴めたから、次からは平然と使えるだろう。

 「何にしろ、今こうやって話してるだけじゃあ何にもなんねぇ。取り合えず見てろ」

 そう言って、俺は短剣を鞘から抜く。さっきは念のためと2本使ったが、今は1本だけで十分だ。

 「俺の使う短剣__ダガーの場合、基本技は『スウィフトレイド』だ。発動するためには、まずこうやって……」

 右足を半歩前に出し、ダガーを持った右腕を、先程のように左肩辺りまで持ち上げる。上半身を左に捻り、腰を落とす。

 すると、規定モーションとして検出され、刃が鈍い青緑色に光始めた。

 すると、右腕が前に引っ張られ、刃は弧を描きながら右下に向かって空を斬った。

 「__と、こんな感じだ」

 「いや、全くわからないよ、それ」

 由比ヶ浜さんまさかの辛口ー!

 「じゃあ、どう言えってんだよ」

 「え、いやー、それは……」

 お前も解んないんかい。

 「まぁ、いいわ。違う武器の『ソードスキル』を見たところで意味はないし」

 「それ最初から言えよ……」

 「で、私はさっきどうやったのかしら?」

 俺に聞くな。ってか、さっきのマジで無意識だったのかよ……恐ろしすぎるだろ。

 「確か……レイピアを持った方の腕を後ろまで引いて、腰を落としながら体を開いてた、ような気がするぞ」

 「そう」

 一言で返事を済まされた……。

 だが、雪ノ下は意外にも俺の言った通りの姿勢をとった。素直なのか素直じゃねえのかどっちなんだよ、お前。

 なんて、思っていると、まさに先程みたオレンジ色の光が、レイピアを包んだ。

 ここまで来れば、後は簡単だ。そのシステムに身を委ねればいい。

 「____せあっ!」

 力強い掛け声と共に、細い剣身が虚空を突いた。心地よい風切り音が辺り一帯に響きわたり、草むらが少し揺れた気がした。

 「……これで、良いのかしら?」

 「あ、あぁ。まさか一発で出来るとは思っていなかったな……正直驚いた」

 「それは私を誉めているのか貶しているのか、どちらかしら?」

 勿論、前者に決まってるじゃないですかぁ。だからそんな怖い目で見んなって悪かったよ。

 「えーっと、今は何時かなー」
 
 逃げるようにウィンドウを開く。メニュー画面に表示された時計は、5時半前を指していた。

 「もうこんな時間か……」

 「え、何時?」

 「ったく、そんくらい自分で見ろよ……5時27分だ」

 「え!? え、マジ? やっばどうしよう……」

 何か急に焦り出したぞコイツ。

 「何か用事でもあるのか?」

 「うん、今日クラスでカラオケ行くから、家を5時半に出るつもりだったからさー……じゃなくて! 早くログアウトしなきゃいけないんだって!」

 「何1人ノリツッコミやってんのお前……さっさとログアウトしろよ」

 ってか、俺は当然ながら誘われてねぇのな。もう慣れに慣れたが。

 「うん、そうする……えっと、ログアウトボタン何処だっけ……」

 ウィンドウを開き、画面をスクロールする由比ヶ浜。しかし、突如静止したかと思うと、不審がるような顔でポツリと呟いた。

 「……あれ、ない」

 「は? 嘘つけ、んな訳ねぇだろ」

 もしそうだとしたら大問題だ。現実に戻れないという事は、つまりはこのゲームの世界の中に閉じ込められるという事だ。

 「ったく、世話のやける……」

 俺も既に開いてあるウィンドウを同じようにスクロールする。が、本来ならメニュー画面の一番下にあるであろうログアウトボタンは、確かに存在しなかった。

 「……マジかよ」

 確か、ログアウトをする方法は、そのログアウトボタンをタップする事以外、無かった気がする。

 と言うことは。

 「__私達は、ここから出る術がないと、そう言うことになるのかしら?」

 「……あぁ」

 俺達__無論、この3人のみならず、今現在SAOをプレイしている人間全員が、同じ状況に陥っていると言うことだ。

 周りを見渡すと、皆困惑の表情でウィンドウを操作していた。彼処の赤毛バンダナの男なんて、「戻れ! ログアウト! 脱出!」とか叫んだ挙げ句、その場でピョンピョン跳び始めた。いい歳して恥ずかし過ぎるだろ……って、そんな呑気にしてる余裕はねぇか。

 「雪ノ下、GMコールはしたか?」

 「えぇ。けれど、反応は無いわ。これはもうどうしようもない、お手上げね」

 「えぇっ!? そ、そんな諦めないでよ!」

 「だって実際問題どうにもなんねぇし。プレイヤー1万人が集まって、まだ出られてねぇんだぞ、俺達みたいな餓鬼がどうにか出来る問題じゃねぇだろ」

 「けど……」

 まぁ、由比ヶ浜の言いたいことはよく解る。もしかしたら一生ここから出られないんじゃないかとか、不安は募る一方だしな。

 「……大丈夫だ、きっとどうにかなる。運営側だって今頃対応に追われてるだろうしな」

 その場にしゃがみこんだ由比ヶ浜の頭に、ポンと手を置く。掌に触れるその明るい茶髪は、まるで、現実のようにサラサラとした手触りだった。

いよいよか...

 そして、手を離したその瞬間、リーンゴーンと、巨大な鐘を耳元で思いっきり叩いたかのような爆音が鳴り響き、思わず耳を塞いだ。

 「__っ!?」

 転瞬、2人の姿を見て驚愕した。

 青色の光が、2人を__いや、俺も含めたプレイヤー達を包み込んだのだ。それも、どんどん濃くなっていき、次第に視界がブルー一色になる。

 まさか、強制ログアウトのエフェクトか? だが、アナウンスもせずにするなんて。

 考察は、体を包む光が目も眩む程強くなったときに途切れ、もうどうにでもなれ__そう思った。

 そして、再び視界が開けると、そこは先程の夕陽に照らされた草原ではなく、石畳の敷かれた広場だった。

 そう、紛れもなく、ゲーム開始地点の『はじまりの街』、中央広場だ。

 周囲を見渡すと、人、人、人。恐らく、プレイヤー全員が一斉にここに集められたのだろう……先程のテレポートで。

 少しの間、静寂がその場を支配したが、やがて少しずつざわめきが聞こえ始めた。

 初めは疑問が飛び交っていたが、それは次第に苛立ちを帯び、喚き声もそこらから聞こえてきた。

 いつまでこの時間が続くのだろうか……そう思った時。

 不意に、誰かが上の方を指差し、他に退けをとらない声量でこう叫んだ。

 「あっ……上を見ろ!」

 反射的に、一斉に、周りの人間はそちらに視線を向けた。しかし、そこにあったものを見て、異様に感じた。

 第二層の底__高さは100メートル程だろうか。そこに、紅い煙状の何かが浮遊していた。

 いや、煙ではなく、文字。2つの英文が、そこに表示されていた。

 1つは、【Warning】、もう片方は【System Announcement】と。

 俺は咄嗟に、運営のアナウンスかと、やっと出られるのかと安堵した。が、それも束の間、それに続き不可解極まりない現象が起きた。

 表示された2つの英文、その中心がまるで赤い色水を垂らすように__いや、もっと端的直入言えば、血のように垂れ下がった。

今日はここまで
原作と合わせるの大変だわ……

乙乙
期待してる

かやばーん(こいつの眼の処理面倒だな…)

 それはねっとりと、粘りのある動きで滴り、独立して落下したかと思うと、突如空中で静止した。

 ぐにゃぐにゃと粘土を練るかのようにそれは変形していき、次第に人の形となった。

 全長20メートルはありそうな、赤のフード付きローブを纏った、巨大な人__のような何か。

 一見すれば、ただの巨人だが__いや、巨人をあたかも普通だと表現するのは、些か変ではあるが……そのフードの中身は闇一色に染まっており、それどころか袖の中も漆黒のみが広がっていた。

 何にしろ、それは浮遊しており、最低でも一般のユーザーが使用しているものとは思えない__いや、ユーザーが使用しているとは思えない、名称し難い不気味さを漂わせていた。

 周りのプレイヤーも、俺と動揺に不審に感じたのだろう、そこらから不安感を乗せた声色の囁き声が聞こえてくる。

 すると突然、それを鎮めるかのように、巨大なローブはおもむろに右手を少しだけ動かした。

 はらりと広がった袖口からは、その中身とは対照的な色__純白の手袋が現れた。が、それも他の部位同様、そこだけ切り離されており、ふと透明人間を連想する。

 ゆっくりと両腕__本来なら腕が中にあるであろう肩から手袋にかけてを広げ、声を発した……ように感じた。何と言ったって、顔も口も見えないのだからそう表現する他無いのだ。

 『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 その言葉に、俺は片眉の端を上げざるを得なかった。

 あの赤ローブは、確かに『私の世界』と言った。それは当然SAOの事を指しているのだろう。となると、GMであることは断言できる。

 が、それを今ここで宣言したところで何にもならない。第一、わざわざそんな事をのうのうと言っている暇があるなら、さっさと現実に戻せって話だ。

 すると、「これから重要話をする」とでも言わんばかりに、赤ローブは両腕を元の定位置に戻し、案の定第二声が耳に届いた。

 『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 茅場晶彦。その名前には少しばかり聞き覚えがあった。

 確か、このSAOの開発ディレクターで、ナーヴギアの設計を行った人物だった気がする。

 今日、店へ行った時に立ち読みした雑誌に、そんな事が書いてあったが、では何故そんな人物がここでGMなんぞをやっているんだ?

 そう疑問の浮かんだ矢先、次の言葉でそれはより濃いものとなった。

 『プレイヤー諸君は、既にメインメニューからログアウトボタンが消失していることに気がついていると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく、『ソートアート・オンライン』本来の仕様である』

 ログアウトボタンが無いのは、本来の仕様だ、目の前の赤ローブ__茅場晶彦は、そう言ったのか?

ダッシュ ――
でなく
アンダーバー __
で表記するのはなぜなんだ?

さきさき登場しないかなあ

 『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない』

 __城の頂城とは一体何を指すのか。この世界の一体何処に城があるというのか、俺は理解できなかった。

 『……また、外部の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除も有り得ない。もしもそれが試みられた場合__』

 意味あり気な、空白。その一秒あるかないかの時間、俺の心臓の鼓動以外の音が世界から消えた気がした。

 『__ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』

 驚愕、呆然、そして数秒の硬直。
 
 嘘だ、嘘に決まってる。ゲーム機に脳を焼かれるだと?レンジみたくチンされるだなんて__、

 殺される。ゲームをクリアする以外の手段で出ようとでもすれば、殺される。

 自分自身でどうにもできず、脳内の水分が高速振動し、摩擦熱で焼け切れると。蒸し焼きにされると。

 膝がガタガタと震え、歯が上手く噛み合わない。ゲームの中だというのに。

 『より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試み__以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、すでに外部世界では当局及びマスコミを通して告知されている。ちなみに、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制除装を試した例が少なからずあり、その結果』

 その先に続く言葉は、既に理解できていた。が、それを脳が受け付けない。知ってはいけないと、解ってはいけないと。

 しかし、そんな思案も虚しく、耳に入ってきた金属質の音声は頭の中に捻込まれることとなる。

 『__残念ながら、すでに二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している』

 近くから、細い悲鳴が上がるのを聞いたが、俺自身、それに気を構う程の気力は一切無かった。

 もう既に、二百十三人が、このゲームによって__あの茅場晶彦によって殺された。

 もう恐怖は一周回って、笑いが込み上がってきた。信じていないのに、信じたくもないのに、目眩が起き、足がふらつき、その場でフラッとよろめいた。

 これが演出であると、これがパフォーマンスであると、誰か言って欲しいくらいだ。嘘だと解っていても、そう思わせて欲しい……そんな願望が頭の中を取り巻いている。

__城の頂城とは

――城の頂上とは

>>66 さんきゅ

 『諸君が、向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要はない。現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多くの死者が出ていることも含め、繰り返し報道している。諸君のナーヴギアが強引に除装される危険は既に低くなっていると言ってよかろう。今後、諸君の現実の体は、ナーヴギアを装着したまま二時間の回路切断猶予時間のうちに病院その他の施設へと搬送され、厳重な介護態勢のもとに置かれるはずだ。諸君には、安心して……ゲーム攻略に励んでほしい』

 ゲーム攻略? こんなログアウトもできない状態で、呑気にゲームをしろとでも言うのか?

 実務的に淡々と告げられたその言葉に、憤りは収まることは無かった。もう、こんなのゲームの範囲を越えている、遊びなんかではない。

 すると、まるで俺の思考を読み取ったかのように、抑揚の無い冷たい声が、新たなる真実を告げた。

 『しかし、充分に留意してもらいたい。諸君にとって、『ソードアート・オンライン』は、既にただのゲームではない。もう一つの現実と言うべき存在だ。……今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは消滅し、同時に』

 続く言葉は、俺の予想と寸分狂わずに一致した。

 『諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』

 誰かが、乾いた笑い声をあげるのが聞こえた。無理もない、俺達は本物のデスゲームに閉じ込められてしまったのだから。

 外部からの救出は不可能、ゲーム内で死亡は現実での死亡と同様。

 そして、それが現実となった場合、俺達の脳はマイクロウェーブにより、焼かれて即死。

 最早、絶望しか浮かばなかった。

 左上を見ると、細く青い線が輝きながら表示されており、その上には339/339と表示されていた。

 つまり、これが俺の命の残量、HPということだ。

 ゼロになれば、死ぬ。

 視線を周りに移すと、腰が抜けて尻餅をつく者、頭を抱えてしゃがみ込み、何かぶつぶつと呟く者。皆、目からは光が失われていた。

 しかし、それだけでは済ます程、茅場という男は優しくは無かったようで、次の言葉が俺達に降り注いだ。

酉ミスった

テスト

 『諸君らがこのゲームから解放される条件は、たった一つ。先に述べた通り、アインクラッド最上部、第100層まで辿り着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい。その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう』

 暫くの静寂が流れた。

 それは恐らく、俺も含めたプレイヤー全員が、あることに気づき、改めて身震いしたからだろう。

 それは、茅場が冒頭に言った、【この城を極めるまで】という言葉の真意だ。

 この城、というのが、俺達のいる第1層とあと99層あるアインクラッドであることを、嫌にでも悟ったのだ。

 辺りから、「ふざけんな!」「無理に決まってんだろ!」などと罵声が飛んできた。

 無理もない、何故なら『絶対に無理な話なのだから』。

 2ヶ月の間行われたベータテストですら、プレイヤーが1000人だったとは言え、6層しかクリアされなかったそうだ。それを考えると、今回の正式サービスではどれくらいかかるのだろうか?

 そう思っていると、周りのプレイヤーも同じことを考え始めたのか、しんと静まった。

 ピンと張り詰めた静寂が続くかと思うと、やがて低いどよめきが聞こえ始めた。

 多分、先程までの宣告が、真実なのかただのパフォーマンスなのか、未だ判断しかねているのだろう。あまりにも現実離れした内容であるがため、信じきれないのだ。

 『それでは最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給え』

 その言葉を聞くや、皆が一斉に右手の指2本を揃えて下に振った。若干のズレと共に、大量の電子的な鈴の音が響きわたる。

 メインメニューの中の、アイテム欄タブをタップ。所持品リストが表示され、茅場の言う通り、アイテムが1つ、そこにあった。

 アイテム名は、『手鏡』。

追い付いた
期待してる

 どうしてこんな物を、と思いながらも、名前をタップし、表示された小ウィンドウからオブジェクト化のボタンを選択し、叩く。間髪入れずに、軽く光を纏いながら、こんなファンタジー世界には合わないほど酷く一般的な、四角い手鏡が現れた。

 手に取るが、特別何か起こる訳では無い。そのまま顔を写そうかと鏡の面をこちらに向けようとする、が__

 そこで手を止める。

 何故か、特に意味は無いが、見てはいけない気がした。

 その予感が当たったのかは定かで無いが、突如他のプレイヤー達の体を、真っ白な光が包んだ。俺を除いて。

 数秒経ち、広場から光が消え、先程までの風景が現れた……。

 ことは無く。

 美男美女の光景は何処へやら、周りにいるのは、『普通』の人間達だった。

 俺がもし何も知らずにこれを見れば、きっとクオリティの低いコスプレ集団だと思うであろう、そんな光景だ。男女比も大きく変化しており、正直目を瞑りたい程痛い奴もいる。

 きっと、先程の手鏡は、鏡に写ったプレイヤーを現実と同じ姿にするものだったのだろう。俺は、俺だけそれから免れたのだ。

 ふと自分の手を見る。そこにはさっきと変わらず手鏡が握られていた。勿論、鏡の面は裏向きにして。

 きっと、ここで表に向ければ、俺の目はリアルと同じ、腐った物になるだろう。だが、そんなことをする訳なく、再びウィンドウを開き、アイテム欄をタップ、オブジェクト化を解除して手元から手鏡を消す。

 さっき地獄に突き落とされた気分だったのが一転、俺は優越感に浸っていた。

さらっとチートアイテムゲットか

ん?あの鏡って自分が元の顔に戻ったの確認用じゃなかったのか?

いや、あれがトリガーだったはず

あれってキャリブレーション?で造形はいけても
八幡の腐った目とかは絶対再現できなさそうだとクロス見るたびに思う

これで目が腐って鎌を装備したら死神みたいな二つ名がつきそう

>>75
それは俺も思う
目の奥まで識別されちゃあたまったもんじゃないよな

八幡人外説やめーや

目の腐ったNPCって扱い受けそうだな

>>76 お楽しみにw

 しかし、そんなリビドーの感情も束の間、俺の脳裏にある一つの疑問が浮かんだ。

 いや、俺達のヒットポイントを実際の命としたのも、アバターを現実そっくりにしたのも、両方とも『このゲームが現実である』と強制認識させるためのものであることは解っている。

 が、その先が理解できない。

 何故そんな行為に及んだのか、そんな事をしたところで何になるのか、そこが理解できない。

 すると、またもそれを聞いていたかのようなタイミングで、茅場の厳かとも言える声が赤ローブの中から放たれた。

 『諸君は今、何故、と思っているだろう。何故私はーーSAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか? これは大規模なテロなのか? あるいは身代金目的の誘拐事件なのか? と』

 言葉が続く度に、心無しか声が弾んでいったような気がした。数秒の間の末、「否!」と高らかな声が響いた。此方としてはただただその豹変ぶりに口をあんぐりと開けるばかりだが、それに構わず、機械音声混じりの声はまたも聞こえてきた。

 『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は既に一切の目的も、理由も持たない。何故なら……この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』

 意味ありげなその間に、茅場は一体何を思ったのか。どうせ、被害を受けた此方としては理解できるものでは無いだろうが。

 『……以上で『ソードアート・オンライン』の正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤーの諸君の……健闘を祈る』

 最後の一言は、少しエコーがかかったようにぼやけ、やがて消えた。

 赤いローブは無音で上昇し、空を埋め尽くすシステムメッセージに溶け混むかのように段々と同化していった。

 一定スピードで血の海に逆さ向きで沈んでいき、最後にひとつだけ波紋が広がったかと思うと、取り巻くメッセージも同じように、突如として消え去った。

 その後、プレイヤー達は思い出したかのように雄叫びを上げ、それは暫く収まらなかったのだが、対して俺は妙に落ち着いていた。

 恐怖が一周回って平穏となったか。

 憤慨が一周回って落着となったか。

 俺は別に騒ぎ立てることもなく、喧騒の中で佇む雪ノ下と由比ヶ浜を探しだし、荒れ狂う人垣を縫って、何とか広場を抜ける。

 俺達3人は、全く同じ場所にテレポートされた訳ではないが、比較的近くにいたようで、案外早く合流することができた。

 NPCの演奏するBGMと、プレイヤー達の喚き声が混じり合い、不協和音となって耳元に届く。俺達はできる限りそこから離れ、建物の影に腰掛けた。

 「……なあ、雪ノ下、由比ヶ浜」

 一旦息を吐き、気持ちリラックスする。2人の方を見ると、両方共何処か魂の抜けたような顔をしている。やはりショックは大きかったのか。

 「あんな話を聞いた後にこんな事を言うのもアレだが、俺としては他のプレイヤーよりリードする為にも、早めにレベルを上げておくべきだと思う」

 そう言うと、由比ヶ浜は困惑の表情で此方に顔を向けてきた。

 「……どうして? 外からの連絡を待つのが一番安全でしょ……?」

 「それは只の現実逃避だ。実際にそんなものが来るとは思えない」

 「……もしかしたら、あの話が全部嘘かもしれないじゃん」

 「じゃあ、ドッキリの為にわざわざこんな事細かく、醜悪な内容を考えると思うか?」

 答えは、恐らく否だ。手の込んだドッキリと言うには、少し……いや、相当と言っていい程、度が過ぎる。

 「じゃあ……もしあの話が本当だったとして、あなたはモンスターの前に立てるとでも言うの?」

 雪ノ下が、顔をうつ向けたまま、愚痴るように問う。少し投げやりな感じのある問いかけに、思わず顔をしかめた。

 「そりゃあお前……それしか手段がねぇんだから仕方がねぇだろ。お前だって、無人島に漂流して食糧が何も無いって時に、猪がそこにいたら、命掛けででも殺そうとするだろ?」

 別に猪だろうが虎だろうがアナコンダだろうが、何でもいいんだが……それはともかく。

 生き延びるという事は、常に死と背中合わせだ。いつ後ろに引っ張られるかわからない。だがーー。

 「何もしないで、このゲームの中に閉じ込められたまま死ぬか、生きようとして死ぬか、どっちがいい?」

 ーー当然、後者だ、と続けて言う。

 すると、雪ノ下も、その会話を聞いていた由比ヶ浜も、何か決心がついたようで、スクッとその場で立ち上がった。

 「……可能性は、ゼロではない、と」

 「そういうことでしょ? ヒッキー」

 先程の暗い表情とは一転、笑みを浮かべた2人に、俺は一言、簡潔に返した。

 「ーーあぁ」

やだ、イケメン...

顔が大して変わってないのも冷静さの一つになったのか

 少しその場で休憩し、2人が落ち着いた頃合いに、「行くぞ」と声をかける。

 『はじまりの街』の外壁へと向かう途中、ふと雪ノ下の顔を見て、疑問に思った。

 「そう言えばお前、見た目殆ど変えてなかったんだな。最初武器選んでる時に会った時とあんま違いがない気がするんだが」

 胸ももう少し大きくしとけば良かったのにな……と口から漏れかけたが、それを何とか抑える。流石俺、デリカシーあるわー、イイオトコだわー。

 「……まぁ、どうせ直ぐに辞めるつもりでいたから、見た目は一切変えなかったのよ」

 が、辞めるにも辞められなくなった、と。

 「んで、由比ヶ浜も同じく、と」

 「うん……不幸にもね。って言うかさ」

 急に此方をガン見してきた。え、何?何か虫ついてる?

 「何でヒッキー、目が腐ってないまんまなの!? さっき手鏡見たとき元に戻ったじゃん!」

 「あー……」

 恐らく、コイツは『俺が手鏡を見ても目が戻らなかった』と認識しているんだろう。

 「俺、手鏡まだ見てねえんだわ」

 「……は!?」

 「もう少し正確に言うと、俺は手鏡を手にしたはしたが、鏡面を顔に向けていない。だから、今鏡を見れば元に戻るだろうな」

 御免被るが。

 「で、でもさぁ、今のままじゃ少し違和感あるし……」

 手を胸の前まで持っていき、軽く指先を絡ませる。防具が擦れる金属的な音が無ければ、可愛いと思えるんだが。

 「……元の目に直してよ、何かそっちの方が『いつも通り』って感じがするしさ」

 成る程、いつも通りが良い、か。

 「だが断る」

 「何で!?」

 そりゃあお前、産まれたときから忌み嫌ってるあんな腐った目に戻りたいだなんて思う訳ねえだろうが。折角なんだから、俺はイケメンルートで行かせてもらうぜベイベー!

 「そうね、あんな目を合わせるだけで寿命が削れるようなモノ、二度と目にしたくなんて無いわ」

 ちょ、雪ノ下さん?少しは自重しましょう?

 「……それもそっか」

 「お前ら、えげつなさ過ぎるだろ……」

 泣くよ?比企谷くん泣いちゃいそうだよ?

 「っと、そろそろ街の端か。お前ら、武器準備しとけよ」

 そう言って、俺は腰にあるダガーに触れた。雪ノ下は同じく腰に掛けた細いレイピアに、由比ヶ浜はいつの間にか背中に斜め掛けした片手直剣に手を掛ける。

 これから、自分達は命をかけて武器を取るのかと考えると、思わず身震いした。ゲーム感覚……いや、遊び感覚でやっていた数十分前とは大違いだ。

 これは、現実。

 仮想といえども、ゲームであっても、ここは現実だ。

 弱い自分を殺すように歯を噛み締め、俺達は安全地帯ーー『はじまりの街』の外に出た。

期待

× ーー(音引き、長音符)
○ ――(ダッシュ、ダーシ)

>>87 何故かダッシュを打つと文字化け?っつーか変になるんだわ 許してちょ

 一面に広がるのは、茜色に染まる草原。そこに佇むのがモンスターで無ければ、思わず心を奪われていた事だろう。

 「時間の問題もあるし、ここにいられるのは精々1時間位だな。またそん時にここ集合って事で」

 「えぇ」

 「おっけー」

 2人が同時に、真剣な眼差しで言葉を返す。いつ命を落とすか解らない戦場へ向かうのだから、それ相応の覚悟があって当然なのだが、それにしてもその適応の早さに驚かざるを得ない。

 「んじゃ、頑張れよ」

 おもむろに拳を正面に突き出す。すると、それに合わせるかのように、2人も同じ動きをし、拳を互いに軽く小突き合う。

 数秒そのままでいた後、俺達は各自踵を返してモンスターに向かって駆け、そこから散った。

この組み合わせよく見るけど完結したやつ記憶にないからがんばってくれ

 標的は、今のところ唯一戦ったことのあるモンスター……青色イノシシだ。正式名称は知らん。

 残り50mと言ったところで、向こう側もこちらに気がついたようだ。一瞥したかと思うと、体ごとこちらに向け、前傾姿勢をとる。戦う気満々のようだ。

 「上等だ……ッ!」

 残り10m。右足で思いきり踏み切り、距離を一気に詰め、ダガーを持った右手を後ろに引き、体を軽く捻る。

 敵の眼前まで迫り、角が体に刺さる直前、仮想の遠心力で腕を唸らせ、青緑に鈍く光る剣身でイノシシの右耳から左下にかけて切り裂く。

 その後、ダガーを自分の左横腹辺りまで引き、タックルするような体勢で顔面に刃を突き刺す。スキルアシスト無しの動きの為、どうしても動きは遅くなったが、相手が攻撃を受けて避ける事の出来ない状況に持ち込めばどうと言うことは無い。

 程無くし、青イノシシの体はポリゴン状に四散し、光の粒となって消え去った。

 ……まず、一匹。

>>88 どんな環境で入力してんだ?

SAOよく知らんがPT組まないのか

 >>92 忘れてたw

 達成感も束の間、素早く辺りを見渡し、一番近い敵に視線を向け、地を抉るように駆ける。

 距離がどんどん狭くなっていき、敵もこちらの存在に気が付いたようだ。

 だが、攻撃する余地など与えない。

 短剣を左脇腹辺りに置き、敵が射程距離に入った瞬間、思いきり右に振る。

 鮮やかな光が横一直線に引かれたその刹那、今度はその剣を上に素早く持ち上げ、垂直に降り下ろす。

 短剣二連撃ソードスキル、『クロス・エッジ』だ。

 青イノシシ、正式名称『フレイジーボア』は、その場で数秒停止し、爆散。

 この光景を見たのはまだ三回だというのに、既に慣れ始めた自分が少し怖くなった。

 なんて事を思っていると、突如目の前にウィンドウが表示された。レベルアップした時に出現するものなのだろうか。

 一通り見るが、どうやらステータスの上昇数値などが載っているようだ。ドラ○エと似たような感じがする。

 「取り合えず、2人呼んで宿行くか」

来たか

 雪ノ下の方へ歩いていくと、夕暮れの中で橙の光が走るのが見えた。『ソードスキル』の発動エフェクトだろうか。

 雑草を踏みつけながら歩み寄る。そこには、案の定細剣を振るう雪ノ下と、HPが残り僅かとなった『フルイジー・ボア』の姿があった。

 「ーーーやぁっ!」

 再び光を放ったレイピアは、『フレイジー・ボア』の足元を的確に狙い、貫いた。

 ズドッ、と心地よい音が響くと同時に、イノシシの体が爆ぜる。

 細剣基本単発技、『オブリーク』だ。

 「……ふぅ」

 細剣を馴れない手付きで鞘に収め、大きく息を吐いた。すると、俺の時と同様、彼女の目の前にウィンドウが現れた。レベルアップをしたようだ。

 「よう、雪ノ下。レベル上げ、終わったっぽいな」

 後ろから声をかけると、肩を跳ね上げ、効果音で風切り音が聞こえてきそうなくらいの速さでこちらに振り向いた。

 「……いきなり後ろから声をかけないで欲しいのだけれど。虫酸が走るわ」

 「あーはいはい、すいませんでしたぁー」

 眠たくもないのに、欠伸をするフリをして大口に手を当てる。その適当な応答に機嫌を損ねたのか、目を細めながら何を言う訳でもなく、こちらを睨んできた。

 「……まぁいいわ、早く由比ヶ浜さんとも合流しましょう」

よしきた

 由比ヶ浜の方へ歩いていく途中、『はじまりの街』の方から数名のプレイヤーが出てくるのが見えた。恐らく、俺達と同様に今のうちにレベルを上げておこうと言う魂胆なのだろう。遠くからでよく見えないが、決心付いたような表情をしているように思えた。

 「何をボーッとしているの、比企谷くん。早く行きましょう」

 「あ、あぁ」

 いつの間にか立ち止まっていたらしい俺に雪ノ下が声をかけてきた。俺は思わず生返事を返してしまい、少し恥ずかしい思いをしたのだが、雪ノ下はそれに対して何ら反応せず、スタスタと歩きだした。少しは何か言ってくれません?八幡は寂しくなると死んじゃうよ?嘘だけど。

 なんて戯言を心の中で吐いていると、雪ノ下がふと口を開いた。

 「……ねえ、比企谷くん」

 唐突に呼ばれたため、一瞬たじろぐが、雪ノ下の真剣な眼差しを見て、思わず「何だ」と返事をしてしまった。

 「私達は、いつまでこの世界に閉じ込められる事になるのでしょうね」

 「……いつまで、か。この世界から脱出できるかもしれないという事を前提にした言い様だが、何か意味でもあるのか?」

 もしかしたら、残りの一生をこの鉄の城で過ごすこととなるかもしれないのに……それを考えると、雪ノ下の言い方は随分と楽観的だ。

 「えぇ、だって、私達はいつか必ずここから出ることができるもの。前提も何も無いでしょう?」

 冷えた目で、一定のトーンで、淡々とそう答えた。それは、自らの終わりの時を無感情に見ているかの様な、そんな表情だった。

 「……お前、たまに物騒極まりない事をいうよな」

 確かに、ここからはいつか出れる。違いは、帰るか還るかの話だと、雪ノ下はそう言いたいのだろう。

 「まぁ、間違っちゃいねぇが、考えただけ無駄ってもんだろ。例えその疑問が解消されたとしても、残るのは虚無感と劣等感だけだ、良い方向に転がる訳じゃねぇ」

 思想が現実に変わるのなら、俺なんてとっくに人生薔薇色だっつーの。だが、世の中そんな甘くはない。それは、俺が何よりも知っている事だ。

 「取り合えず、自分のやれることをやれ、それが何かは自分で考えろって事だ」

お、来てた

>違いは、帰るか還るかの話

え? どう違ってるんだ?

生きたまま現実世界に戻るか死ぬかってこと

 この世に帰るか、あの世に還るか。そう思うと、このSAOという世界は、茅場は現実だと言っていたが、俺からすると些か曖昧な存在であると感じた。

 どちらにも転がる、そんな場所。

 まぁ、そんなこと、考えたところで何にもならないと、さっき自分で言ったばかりなんだが。

 「終わったようね」

 ふと、雪ノ下がそう言った。

 彼女と同じ方に目を向けると、確かに由比ヶ浜が背中に担いだ剣を重そうにしながらこちらに走ってきている。

 「おう、意外と遅かったな」

 「うん、ちょっとてこずっちゃって」

 少し息が荒いように見えるが、それでも由比ヶ浜は笑顔を浮かべている。何こいつごっつえぇ子。

 「さて、3人揃った事だし、適当に宿探して泊まるとするか」

>>101
いや「還」の字に死ぬなんて意味は無いべさ。

いや「土に還る」みたいに根源に戻る意味で
死ぬって比喩は普通に使うから
還る=死って表現は普通にあるぞ

つーかどうでもいいことにいちいち突っ込むなよ
難しい言葉覚えたての中学生かよ

生還とか帰還とか……普通に使用する語彙で、往に対してゆき先からカエルことだぞ。
往還って言葉だったらむしろ死ぬのは「往」(往生)の方だしな。

>>104
「土に」を附けるのと附けないのとでは全然言葉が別だよ。
「土に帰る」と書いたっていいんだし。
「難しい言葉覚えたての中学生」みたいなのはそちらではないかな。

だめだこいつ……

>>107
こちらは用字の根拠を示したが。
そちらは材木座小説の特殊ルビみたいな中二用法を「普通に使うから 」とか主張するだけ。
受け容れがたい。

気にせず楽しめばいいやん

頭おかしい外野は放っとこうぜ

 取り合えず、俺のスレで議論しないでくれ。間違ってんならそれでいいだろう、中学生は俺でいいだろ。
 今辞書先輩に聞いたけど、「一巡りして戻ってくる」って意味らしいな。
 俺は「還元」とかいう感じで使用してたから、死ぬとか言う意味は無いっぽいな

文学表現としちゃ、ありがちなものだろ

うっせーよ黙って見てろ

よくヒキガエルってヒッキーの事からかってたしカエルが土に還るって言うのも暗喩してんじゃね?

出、出~~~wwwwwwwwwwww細かい間違いぐらいほっとけば良いのにわざわざ指摘奴~~~~wwwwwwwwwwwwww

前後の文脈で察しはつくのに辞書に書いてある意味でしか読めないってアスペ気取りか何かなの?

今日はやたら進んでんなと思ったらこれだ

春なんだろ

>>116
作者も意図してなかったすっとこなギャグ解説をドヤ顔でキメこんだ>>101>>104が問題であって
ID:0TIyK4R50は大人げねーはしつこいわでうざったいけどむしろ被害者だろこれww

一番の被害者はssの内容に全く触れてもらえてない作者だと思うの

くっさい漢字博士(笑)と頭の悪いガキは自分たちでパー速にでもスレ立てして話し合いなさい。
ここや雑談スレで無駄な話すんなキチがいや共

漢字博士(笑)は土に還れage

レベルリングは30体くらい倒してあがるくらいなのかな
実際は

SAOはレベルアップまでかなり的倒してる描写やしな

すまん

>>122
誤変換だと思うけど的で笑った

 『はじまりの街』に戻り、宿を探す途中、すれちがうプレイヤーは殆どいなかった。恐らく、大半のプレイヤーは早々に宿をとり、閉じ籠っているのだろう。これが何日続くのかは知るよしもないが、一刻も早く休みたい俺達にとっては迷惑極まりないことだ。

 何軒かに当たってはみたものの、全て満室だった。そして、歩き回って1時間は経った頃、体力の無さに定評のある雪ノ下が音を上げた。

 「そろそろ限界っぽいな……何か食いもん買って来るから、お前らは噴水広場で待ってろ」

 由比ヶ浜に雪ノ下を任せ、俺は2人に背を向けて店へと向かう。

 ▼   ▲   ▼   ▲

 数分走り、目的の店に到着する。そこは、街の中でも大きい方に部類される食品売り場だ。ログインしてから街の外に出る途中、見かけていたため、迷う事無く来ることができた。

 ドアノブを握り、扉を開く。どうせ誰もいないのだろうと店内を見渡すと。

 レジの横にある椅子に腰掛けるプレイヤーが一人、こちらにニコニコと笑いかけながら顔を向けているのが目に入った。

 しかも、それが非常に見覚えのある顔で。

 「……何で、ここにいるんすか」

 すると、現実と変わらない、嫌に聞き覚えのある声でそのプレイヤーは言葉を返した。

 「何でって、そんなの君に会うために決まってるでしょ? 比企谷くん」

 そこにいたのは、雪ノ下陽乃。雪ノ下をゲームに引き込んだ張本人であり、俺がこの世界で一番会いたくない人物だった。

 実際、いつか会うことになるだろうとは思っていた。どうせこの人の事だし、俺の居場所など直ぐに特定できるはずだ、今回のように。

 「いやぁ、それにしても比企谷くんは期待を裏切らないね、思った通りに来てくれた」

 どんな期待だよ……てか、何をどう考えれば、俺が今ここに来ることが解るんだよ。今に始まった事じゃねぇけど。

 「はぁ……と言うか、何で俺に会おうだなんて思ったんですか? 今日に限って、俺が一人の時に限って」
  、、、、、、、、、、、、
 「早いに越したことは無い事があってね。それを言いに来たの」

 早いに越したことの無い事。それが俺にとって良い事か悪い事かはさておき、嫌な予感は募るばかりだ。

 「君、スキルの中で変なものあったでしょ? それに関してのこと」

 「……何でそんな事を知っているのかは聞いたところで無駄なんだろうな」

 ポツリと呟く。店内は静寂に包まれているため、陽乃さんに聞こえたと思うが、先程から変わらず笑顔を浮かべるだけだ。やっぱこえーわこの人。

 「それ、『ユニークスキル』って言うんだ。10種類ある内の一つ。1種類につき1人しか習得できないから、君はそのスキルを持つ唯一のプレイヤーって事になるね」

 何でそんな事知って以下略。俺は黙って聞くことにした。

 「どれも強力なスキルばかりで、だからこそ、1つ1つ発動条件が定められてるんだけど、比企谷くんの持ってるスキル……『鎌』は、少し特殊でね」

 そこまで言うと、陽乃さんは一旦言葉を止め、立ち上がったと思うと、店の棚に並ぶ安いパンを2つ手に取り、店員NPCに2コルを渡して購入した。

 再び椅子に座り、隣の椅子を指さしたかと思うと、「比企谷くんも座りなよ」と言ってきた。お言葉は嬉しいけど……なんて言えないわけで、俺は素直に椅子に腰掛けた。

 陽乃さんに渡されたパンを、一口大の大きさに契り、頬張る。ぼそぼそと粗いそれは、お世辞にも旨いとは言えなかった。

 × 契り  ○ 千切り
 何を契約するんだよ……。

>>127
いや「土に還る」みたいに根源に戻る意味で
死ぬって比喩は普通に使うから
還る=死って表現は普通にあるぞ

つーかどうでもいいことにいちいち突っ込むなよ
難しい言葉覚えたての中学生かよ

ひどい粘着現れたな
面白いから誤字とか気にせず投下してくれ

楽しみにしてるから投げないでくれよな

僕と契約して

僕と契約して魔法少女になってよ!

>>128
ふひひ

だめだこいつ……

根に持った漢字博士くん大暴れ

 「……それで、『鎌』スキルが特殊ってどういう意味なんです?」

 「………うーん」

 陽之さんは、一瞬悩んだ表情をするが、その後悪戯っぽく笑いながら答えた。

 「やっぱ言うのやーめたっ♪」

 「……はい?」

 「いやー、だってこれ知られちゃうと意味ないんだもん。お楽しみはとっておくモノでしょ? 今教えたら台無し」

 何その上げて落とす戦法。あれなの?更に上げてV字型曲線の惚れさせ作戦か何かなの?

 「……まぁいいですけど。っていうか、俺そのスキルを使おうにも、武器を持っていな」

 「それならあるよん☆」

 いやそれ流石におかしいだろ。

 「……どこで手に入れたんです?」

 そろそろこの人危ないだろ。ブラックリストに名を馳せることになるだろ、今に始まった事じゃねぇけど。

 「チッチッチ……それは聞くもんじゃあないって訳だよ比企谷くん」

 うぜぇ。

 「という訳で、期待の募る比企谷くんには愛しい陽之ちゃんからのプレゼントー!」

 キャピっと可愛らしい(笑)台詞とは裏腹に、陽之さんの右手はもの凄いスピードでウィンドウ操作をしている。……この人、ホントにプレイ初日だよな?

 何て思った次の瞬間、陽之さんの正面に巨大な鎌がオブジェクト化された。柄の長さは1m20cmほど、刃は腕の長さを優に越す大きさだ。

 例えるなら、それは死神の持つ鎌。真っ黒の持ち手とは対照的な、銀に耀く湾曲した刃。俺がこれを今から使うのかと思うと、興奮よりも先に悪寒が走った。

 これは、使ってもよいのだろうか?

 ただの直感でしかないのだが、俺はこれを使うべきではないのではないのかと感じた。こう、不幸を誘き寄せそうとか、そんな気がする。

 「……? どうしたの、早くもってよ。お姉さん腕が疲れちゃうんだけど」

 「……はい」

 恐る恐る手に取ってみる。しかし、俺の予想を裏切るように、それは軽かった。もう少し重量感のある物かと思っていたが、案外そうでもないようだ。

 鎌の柄をタップする。現れたウィンドウには、『サングィス・ファルクス』というこの武器の名前らしき文字と、その他幾つかの英語が並んでいた。

 「……『血濡れの鎌』ってところか?」

 「お、比企谷くんラテン語読めるのかー、感心感心!」

 「ハハハ……」

 ここでまさか、中2の頃知ったなんて言える筈もなく。

ラテン語と中二の相性は良いww

まさかラテン語博士はこねーよなww

つーかどうでもいいことにいちいち突っ込むなよ
難しい言葉覚えたての中学生かよ

このスレは漢字博士くんが監視しています

http://naming-dic.com/word/la/45109888
http://arms.cybrary.jp/db/sword/large/falx.html

結構マジで楽しみにしてるから投げないでくれよ

>>142 サンキュ、その言葉が原動力だわ

 「そんじゃ、私は帰るねー。付き合ってくれてありがとー」

 「はぁ……」

 いつの間にか、店に入ってから15分程が経過していた。

 「あ、そうそう比企谷くん。その鎌、できる限り誰にも見せないようにしてね」

 言われなくてもするつもりだっつーの。

 「勿論、雪乃ちゃんとガハマちゃんにもね」

 「……そんなに、俺を独り占めしたいんですか?」

 独占欲強すぎるだろうこの人。あれか、実は名字は剛田だったりするのか?

 「当然。『私にしか知らない比企谷くん』でいてくれれば、私は本望だよ」

 傲慢過ぎる。
 
 「生憎、俺はそんな御人好しじゃないんで」

 「ハハハ、まっ、そんな君もまた私は好きだけどねー。……あ、そう言えば比企谷くん」

 「はぁ、何でしょう」

 「2人、待たせてるんじゃなかったっけ?」

 「……あ”」

 その後、2人にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。

いや「土に還る」みたいに根源に戻る意味で
死ぬって比喩は普通に使うから
還る=死って表現は普通にあるぞ

まーだ漢字博士君はスレ監視してんのか

まじで投げないでくれ
頼むぜ

あやつ……せめて違う言葉も指摘したらどうなんだ
まあ>>1の専属編集者が居るみたいに思っとけばだーじょーぶ

いやこれもうテンプレっつーか別人だろ
面白がってやってるんじゃねぇの?
俺も楽しみにしてるんで続きオナシャス

鎌ってどんな性能なんだろ

>>148
ほんこれ

>>148
これ貼られるたびに毎回反応してマジギレしてるコピペ元の人だけだと思うよ
指摘した人がコピペしてると思い込んでる人って

どうでもいいことで論議する奴らなんなの
スルーしろよ

ところでデスゲームなんだからもちろん誰か死ぬよな?
死んでもいいモブじゃなくてメインキャラの誰かが

>>152
おまえもやで

 「全く、10分以上待たされて、渡されたのはこんなボソボソのパンで、さらに帰ってきたのはやっぱり貴方で……不満は募るばかりよ、どうしてくれるのかしら、気味が悪くん」

 いや、せめて原型残してくれよ……しかも存在自体否定されたし。

 「アレだ、知り合いと会ってな、少し話してたんだよ。だから遅れたんだ」

 そう言うと、雪ノ下と由比ヶ浜は目を見開き、いかにも驚きを隠せないです感をかもし出した。お前らいい加減失礼すぎない?

 「え、ヒッキー嘘は良くないよ? 仮に知り合いがいたとしてもまさか話をする訳……」

 「仮にじゃなくても知り合いはいるし、話ができないほど俺はコミュ症じゃねぇ」

 「……そうよね、比企谷くんと同じような人も世界にはいるものね、当然と言えば当然だわ」

 「類は友を呼ぶ方式を使わねぇと信じれねぇのかお前は……」

 不服を申し立てながらも、手を止めることなくパンを千切っては食べる2人。気が付けばもう半分も無かった。

 「……腹減ってたのか?」

 「……ち、違うわよ」

 「そ、そんなこと無いし!」

 可愛いなお前ら。

 宿を探して数十分、ついに空部屋を見つけた。素直に喜びたいところだったが、疲労困憊により、歓喜に満ちる気力もなく、俺達は鍵を受け取った。

 受付の左側にある階段を登り、目的の部屋に向かう。これから同じ部屋で女子2人と寝るのかと思うと嬉しくはあるが、それよりも取り合えず寝たい。

 「っと、ここか」

 ドアノブを引き、部屋に入る。装備を解除し、真っ先にベッドに飛び込んだ。

 ベッドは2つあったので、1つ占領しても大丈夫だろうと思い、堂々と大の字になる。視界の隅で雪ノ下に哀れむような目で見られたような気がするが、きっと気のせいだ。

 そして、今日1日を思い返す暇もなく、俺は眠りについた。

バカ大杉
名人きもい

くっさい漢字博士(笑)と頭の悪いガキは自分たちでパー速にでもスレ立てして話し合いなさい。
ここやSAOスレで無駄な話すんなキチがいや共

漢字博士(笑)は土に還れage

パンに塗るジャム辺りが欲しいな

もうやめろよお前ら

普通に楽しめよ…

俺が言いたいのはいちいち細かいこと突っ込むなアホってことだよ名人様

たぶん何時までも引っ張ってるのは指摘された人だと思うんですけど

>>162
やめろよ

http://wktk.vip2ch.com/vipper3793.jpg

まあ晒されるのは分かる内容ではあるんだがいくらなんでもしつこいわ

待ってるぜ

 「ふぁあ……」

 欠伸が溢れた。新しい朝が来たな、体操はするつもりはないが。

 敷布団の異常な固さによってか、背中が痛む。というか、体中が痛い。どんだけ低品質なベッドだよ、現実だったらクレームつけてたぞこれ。

 隣のベッドを見ると、そこには静かに寝息をたてる雪ノ下と由比ヶ浜の姿があった。まさか俺が雪ノ下より早く起きる事になるとは……。

 2人を起こさないようにベッドから出て、近くに置いてあった椅子に腰かける。ウィンドウを開き、ダガーと防具を装備。肩にズシリと重量感がかかった。

 「……何すっかなー」

 アインクラッドに閉じ込められてから一夜明け、モンスターを狩りに出る勇敢な奴等が増える事だろう。まぁ、大半が死ぬだろうが。

 だから、できるだけ早く圏外に出て、モンスターのポップ待ちにならないようにはしたいのだが……。

 「コイツらを叩き起こすってのもな……」

 それか、俺1人でレベル上げに行くか。丁度、鎌を使ってみたいところではあったし、これから1人でレベル上げをする機会も中々無いだろう。

 「『午前中には帰ってくるから、ここで待ってろ』、と……これでオーケーだな」

 2人にメッセージを送り、静かに部屋を出る。店員NPCに『ちょっと出かける』とだけ伝え、宿屋を出た。


 【アインクラッド第一層 草原】

 昨日、『フレイジー・ボア』を狩りまくった所からもう少し離れた場所。森がすぐ近くにあるその場所には、レベル1の中でも上級の虫型モンスターがいる……らしい。

 この事は、昨日陽乃さんと別れる直前、教えてもらった事のため、当然ながら他の奴等は知らない……はずだ。

 人のいない静寂に包まれた草原の中、アイテム欄から『鎌』を選択、オブジェクト化する。

 次の瞬間、目の前に現れた真っ黒な大鎌を手にし、その場で2、3度素振りをしてみる。その度、風切り音が辺りに響き、微かに空気が震えた。

 すると、それに反応したかのように、10数メートル向こうでモンスターがポップした。ミミズのような気持ちの悪い見た目(雪ノ下がいなくて良かった)のそいつは、まるで俺を殺すためだけに生まれたかのように、此方に向かってヌルヌルと這い寄ってきた。

待ってた

想像したらなかなかなもんだな…

つーかどうでもいいことにいちいち突っ込むなよ
難しい言葉覚えたての中学生かよ

本当に投げないでね!?

>>172
いや「土に還る」みたいに根源に戻る意味で
死ぬって比喩は普通に使うから
還る=死って表現は普通にあるぞ

ほんと嫉妬深いクズのような人間だな!

>>173
お前は何を言ってるんだ

お久すぃぶりです


 「……気持ち悪っ」

 ノロノロ、ヌルヌル這い寄る大ミミズは、大きさ以外は普段見かけるやつとほとんど変わらないような見た目をしている。ピンク色の体に、横向きに等間隔で刻まれた溝。何かもう、詳しく説明していく度にSAN値が削れていくレベル。

 いや、見慣れた姿ではあるんだが、こんなにデカいと話は別だ。もう逸そのこと、DQ JOKER2の某巨大ワーム位の大きさだったら不快もクソもない気がするが。

 まぁ、そんなこと、どうでもいいんだが。

 「あれだよな、プラナリアよろしく、斬っても斬っても増えてくみたいなのじゃねえだろうな……」

 それじゃあもう、ただの悪夢だ。

 夢だったらいいんだが。

 「んじゃあ、いくか」

 腰を落とし、体を横に開く。大鎌の刃を地面スレスレまで下げ、スキル発動の条件を揃える。いや、



お、待ってた

『いや』はスルーしてくれ


 刃から赤い光が発せられ、まさに地を蹴ろうとしたその瞬間。

 視界の隅から、剣を片手に飛び出すプレイヤーが現れるのが見えた。

 「……うおっ!?」

 咄嗟に鎌を動かす手を止める。対して、片手剣を装備したそのプレイヤーは、俺の方など目もくれずに物凄いスピードでミミズとの距離を詰め、黄緑色に輝く剣を降り下ろした。

 一刀両断されたミミズは、期待外れにも、再生することも増殖することもなく、2つのパーツとなって宙を舞い、やがてポリゴン状になって消えた。

 キラキラと淡い光を放ちながら消えていくポリゴンの欠片を一瞥した後、その片手剣使いは慣れた手つきでウィドウを操作した。恐らく、アイテム整理やら、獲得した経験値の確認か何かだろう。

 「ふぅ……まさか初日から『ヒューデ・ワーム』とエンカできるなんてな」

 そう呟いてウィンドウを閉じ、重い溜め息と共に剣を鞘に収めたそのプレイヤーは、やっと俺の存在に気づいたのか、ギョットした表情で目を剥き、こちらを向いた。

 その顔には、俺がここにいた事に対する驚きと、手にしている鎌に対する不信感が浮かんでいる。

 俺よりも若いようだが、大人びた雰囲気を漂わせるそのプレイヤーもとい少年は、数秒の間呆けた表情をした後、おもむろに口を開いた。

 「……ここじゃ何だ、場所を変えないか?」

よっしゃ待ってたぞ
頑張ってくれ

前後の文脈で察しはつくのに辞書に書いてある意味でしか読めないってアスペ気取りか何かなの?

これは何ト君なんだ...?

 『はじまりの街』への帰路の途中、ポップした『フレイジー・ボア』共を2人で一掃し、お互いの実力を見合った。

 キリトと名乗ったそのプレイヤーは、正直言ってプレイ日数が2日とは思えなかった。

 ソードスキルを慣れた手付き(剣付き?)で使うし、身のこなし様も初心者とは到底思えなかったし。

 けどまぁ、そんな事をわざわざ聞く必要性も感じなかったし、何も言わなかったが。

 「なぁ、キリト」

 「ん、なんだ?」

 圏内に入り、一安心した俺は、安堵の溜め息の後、話を切り出した。

 「鎌の事だが、絶対他人に広めないでくれよ」

 「安心しろ、俺にそんな知り合いなどいない」

 「なら良かった」

 良くないんだろうけど。

お、きたか
この二人の相性気になるわ


これはいいスレを見つけた

 「じゃあ俺、パンか何か買ってるから、そこのベンチ辺りにでも座っておいてくれ」

 「わーった」

 我ながらなんと言うか、やる気のない返事をして、踵を返すキリトを一瞥した後、倒れ混むようにベンチに腰掛けた。

 「……キョウモイーテンキダナー」

 八幡天気予報。

 今日の天気は晴れ。

 ちなみに俺の心は、年中無休の曇り空だぜ!

 「……疲れた」

 疲労感満載の天気予報キャスターは、無気力な目で辺りを見渡した。

 昨日は、あれほど閑静だった『はじまりの街』は、1日が過ぎて、少しだけだが、活気付いてきたような気がする。

 勿論の事、笑顔を見せるプレイヤーは殆ど見かけなかったが、それでも大きな前進と言えるだろう。

 前進、禅心。

 そうして、呆けて上を見上げ、ボーっとしていると、突如木の軋む音がした。

 それが、誰かが俺の隣に腰掛けた事を意味するのは分かるのだが、ゲーム世界とはいえ、『仮想世界』と言うだけあるようで、上を見ながら背もたれに体を預けている俺には当然な事故が生じた。

 詰まるところ、軽くバウンドした頭が、着地時に背もたれの延長線上、ベンチの角に直撃したと言うことだ。

 「ぐおっ!?」

 圏内だからHPが減少することは無いが、頭に物凄い衝撃が加わり、目から火花が散る感覚に陥った。

 改心の一撃。

今日はここまでなのかな...?
おつかれさまですよー

 「いって……」

 痛覚は遮断されているため、痛みはないが、思わず手で後頭部を擦った。

 はたから見れば随分と情けない姿なのだろうと思い、即座に姿勢を直す。

 すると、隣から「……あんた、大丈夫?」と女の声が聞こえてきた。少しハスキーで、気だるそうな声。

 …………って、え?

 ヴォンッ!と効果音が流れそうな勢いで、首を声の元へと向ける。現実だったら100%鞭打ちしてたわ、ありがとう仮想世界。

 そこにいたのは。

 「川崎ッ!?」

 スラッと長い足、風になびく結われた髪、そして特徴的な泣き黒子。

 間違いない、見間違いようのない、同じクラスの川崎だった。

 しかし、予想外にも川崎の反応は冷たく、「あんた、誰?」とでも言いたげな、不審者を見る目をこちらに向けてきている。

 あ、そっか。俺の目、まだ美化されたまんまだったわ。

 「え、あー、そのー……」

 今の内に他人の振りをしておくべきだろうか。俺の為にも、川崎の為にも。

 「や、やっぱり人違いだったっー」

 「八幡、パン買ってきたぞ。水も持ってきたけど、いるか?」

 ふざけるなよキリトくん。

 「え、八幡って……はあっ!?」

 まぁ、そうなりますよね、うん。

 「はぁ……、もういいか。キリト、隣座っていいぞ」

 「お、おう……」

 川崎の反応に、何も知らないキリトは戸惑ったらしく、目をパチクリさせている。不覚にも可愛いじゃねぇかおい。

まさかの嫁登場ww

くっさい漢字博士(笑)と頭の悪いガキは自分たちでパー速にでもスレ立てして話し合いなさい。
ここやSAOスレで無駄な話すんなキチがいや共

障害者きてんね

SAOと俺ガイルのクロスとか
このスレもきっと未完になるんだろうな
一度でいいから完結したものを見てみたいもんだ

おつよー

完結頼んます

 「さて」

 一体どこから話せば良い事か。

 「キリト、一応紹介しとくが、こいつは」

 「自己紹介くらい自分でやるっつの」

 川崎さんマジ恐ぇっす。

 「あたしは沙希。『ここ』じゃフルネーム出すのはタブーなんでしょ?」

 そう言いながら、俺にむっちゃガン飛ばしてきた。……すまんかったって。

 「いい配慮だと思うぞ。よろしくな、サキ」

 キリトはといえば、良い笑顔でそんな事を言う。が、川崎は特に反応を示さず、相変わらずの無愛想な顔を向けただけだ。可愛くねぇなホント。

 「んで、川さ」

 「さっきあたしが言ったこと、聞いてた?」

 「……沙希は、なんでSAOをプレイしようと思ったんだ?」

 あくまでイメージだが、ゲームとは疎遠って感じがするからな、こいつ。

 ってか、名前で呼んだ途端に顔を赤らめないでくれます?何でか知らんけど比企谷くん勘違いしちゃうよ?

 「……抽選の応募ハガキの1等が『ナーヴギア』とSAOのセットで、それが偶然当たったってだけ。あたしは2等の米を狙ってたんだけど」

 某メイド会長かお前は。

 「ゲームなんて全くやんないし、そんな興味なかったんだけど、売るのも勿体なかったし、ちょっとだけやってみようかな、って」

よろしくな、サキサキ

 「なるほどな……んで、いざプレイしてみたらこの様よ、と」

 そう言うと、川崎は表情を変えずに小さく首肯した。

 「……というか比企……あんたは何で、目が腐ってない訳?」

 あ、やっぱ気になります?別に無視したっていいのよ?てかスルーしてくださいお願いします。

 「まぁ……色々あったんだよ」

 濁らせた俺の言葉に対して、何か聞き返して来るかと思ったが、特に興味を示すこともなく、「ふーん」とだけ呟き、口を閉じてしまった。

 静寂。

 ………………。

 「あ、そ、そうだ。川さ……沙希はどんな武器使ってんだ?」

 「両手剣。見てわかるでしょ」

 一刀両断。うっかり死んじゃいそうなレベルで。

 ………………。

 き、気不味い……ッ!

このいつの間にか来てる感がなんともいえないね

きてたかー!
おつです

 「「「………………」」」

 静か、静かすぎるよお二方!?

 川崎は相変わらずな澄まし顔で、何も話さないし、キリトもどう話を切り出せば良いのか分からずに黙っちゃってるし。

 気不味い、何度も言うが気不味い!

 なんて心の中で喚いていると、突如川崎がベンチから立ち上がり、俺達の方を軽く一瞥して言った。

 「帰る」

 「はやっ!?」

 そんなに俺達といるのがつまらなかったの?退屈だったの?そうだろうけど。

 「ここにいる必要性感じないし。こんなところで黙ってるんだったら、経験値稼いでる方がよっぽどいいでしょ」

 「まぁ、そうなんだけどよ……」

 正論に対してぐうの音もでない俺を数秒見つめた後、川崎は長い髪を翻してその場を離れた。

 「……八幡、お前はあいつの何なのさ?」

 「ネタが古すぎるのはさておき、俺とあいつはただの知り合いだ」

 怖すぎるけど。

さきさきはクールやな...

 そう答えると、キリトは「どうだかな……」と言って目線を逸らした。何その意味深な動作。

 「あ、そうだ。パン買ってきたんだったな……」

 あ、そうだったな。川崎がいたっていう事実がインパクト強すぎて忘れてたわ。

 「ちなみに言っておくと、喉渇いたら、噴水とかで汲んでこればタダだからな」

 「……それ、衛生的に大丈夫なのか?」

 「ゲームの世界に汚いも何も無いだろ」

 微笑を浮かべるキリト。それにつられて俺も笑う。

 しかし、我ながら、よくもこの短時間で見知らぬプレイヤーなんかと友好関係を築けたな……比企谷八幡もついにぼっち卒業か?無いだろうけど。

 「なぁ、八幡。聞き忘れてたんだが、どうしてプレイ2日目だっていうのに、あんな危険なとこで経験値稼ぎしてたんだ? 幾ら使ってる武器が特殊だとは言え……」

 その言葉、まんまお前に返してやりてーんだが。

 「そんなの簡単な話だ。『新しい武器が手に入って浮かれていた』。以上」

 そう言うと、キリトは額に手を当てて、深い溜め息をついた。……まぁ、言いたい事はわかるけどよ。

乙乙
いいペースだねぇ
あなたが神か

いいね
最近の楽しみになりつつあるよ

くっさい漢字博士(笑)と頭の悪いガキは自分たちでパー速にでもスレ立てして話し合いなさい。
ここやSAOスレで無駄な話すんなキチがいや共

 「……あそこにポップするモンスターは、草原とは違って基本Lv3なんだよ。そんなとこに、初心者が1人で行くなんて、ただの自殺行為だ」

 「はぁ……さいですか」

 なんか、相手は(恐らく)同年代か年下だというのに、説教された気分だな。まぁ、実際叱られてんだけど。

 「……しっかし、何でも知ってんなお前。陽乃さんかっての」

 独り言のつもりで言ったその言葉は、不覚にもキリトの耳に届いてしまったようで、「陽乃……?」とキョトンとした顔でこちらを向いた。

 「あぁ、いや、何でもない。何でもないぞ」

 俺の直感だが、陽乃さんがここ……SAOの世界にいることは、周りのプレイヤーに悟られるのは不味い気がした。

 気がしただけだけど。

 「陽乃……いや、気のせいか」

 「……? どうした?」

 「なんでもない。忘れてくれ」

 「あ、あぁ……」

 何そのすっげえ意味有り気な発言。やめろよ、伏線張るの本当にやめろよ。命に関わるから。

 「あ、キリト。そういえばなんだが、あの時のでっかい蚯蚓?みたいなのって何だったんだ?」

 「モンスターだ」

 知ってるわボケ。

 「嘘だって、ムキになるなよ……あれは、他のモンスターよりもポップ確率の低い、言わばレアモンスターの『ヒューデ・ワーム』だ」

 「ほー……」

 レアモンスターか……真っ先に対峙したのがそれとか、俺も中々運がいいんだな。結局コイツが倒しちまったけど。

 「しかも、殆ど攻撃してこない割に、経験値量がバカみたいに高くてさ。なんとビックリ、『フレイジー・ボア』の6倍だぜ」

 「6倍……っ!?」

 右の掌を拡げ、中央部に左手の人差し指を一本押し当てて自慢気に笑うキリトの顔は、子供らしいというよりか、少女のように可愛らしい雰囲気がある。

 ……俺はホモじゃないからな?

 「んで、キリトはそれを俺から横取りしたと」

 そう言った瞬間、キリトの笑顔は引きつり、軽く目を逸らした。

 「な、なんの話だ?」

 「とぼけても無駄だぞキリトくーン? 幾らなンでもそれはないンじゃないですかーァ?」

 「いや、まぁアレだ! 過去は振り返る物じゃないんだ、塩の柱になるのは怖いからな、うん!」

 それを言うなら後ろだ。

これアスナが無事なパターンなら原作とは違うパターンになるよな

建て直し?

 お披指し鰤


 「あ、今更だが八幡」

 「ん?」

 「凄く今更だけど……さっき使ってた武器って何なんだ? もうストレージに格納したみたいだが」

 そう、俺はキリトが言ったように、陽乃さんから貰った鎌……もとい『サングィス・ファルクス』は、陽乃さんに言われた通りに、他人に見られぬよう、ストレージにしまっておいたのだ。

 だって、仮に他人に見られたりでもしたら(キリトにはバレているため、今更隠すつもりはない)、陽乃さんに何されるか分からんし。

 ちなみに、『サングィ(ry』は陽乃さんから貰ったと言うことは、キリトに伝えていない。これも同じく、陽乃さんが怖いから。

 「見た通り、鎌だよ。入手方法は教えん」

 「頑なだな……まぁ、聞くつもりもないけど」

 「よく分かってるじゃねぇか。是非ともそうしてくれ」

キリトさんが二刀流手に入れるのって割りと後半だっけ?

少なくとも二刀流は片手剣もある程度熟練度上がらんと習得できないでしょ。
多分熟練度からして中盤過ぎたあたりに習得したんじゃないかと予想。

リズと知り合う少し前くらいじゃなかった?

マダー

まだかな

 「それじゃあ、俺はそろそろ圏外に行ってくるよ」

 「何だ、また経験値稼ぎすんのか」

 「レベルはさっさと上げておきたいからな。他のプレイヤーとある程度の差をつけておきたいし、さ」

 キリトはそう言って、軽く微笑んだ。

 「その向上心は評価するが、うっかり死なないようにしろよ。シャレにならねぇ」

 「ははっ、その通りだ」

 互いに立ち上がり、数秒見つめあった後、踵を返して目的地へと向かう。

宿に着いたのだよ(`・ω・ ´)キリッ


 「比企谷くん」

 冷たい、凍えるほど冷えきった声。

 「改めるなら死期谷くん」

 「死亡宣告かよ」

 「志望?」

 「そっちじゃねえ!」

 今俺が誰と会話しているかと言えば、言わずもがな知れた雪ノ下だ。

 では、俺が今どんな状況下にあるかと言えば。

 簡単な話、『女二人を宿に置いて出ていくだなんて最低な男ね』ということで床に正座させられ、絶賛説教中である。

 ……ご褒美じゃんとか思ったやつ、代わってやっても良いんだぞ?

 「へぇ、説教をされている途中に考え事をするだなんて、いい度胸をしているのね、餓鬼谷くん」

 「なんでそんなに罵るんだお前」

 嫌いなの?実は俺のこと嫌いなの?

 「なんでって……なんででしょうね?」

 「俺に聞くな!」

 「なんだか耳障りな音が聴こえる、蝿でも飛んでいるのかしら」

 「素直に五月蝿いって言えよ……」

 つーか今11月だし。季節外れなんてもんじゃねえぞ。

 「あら、クz……比企谷くん、何か言ったかしら」

 「今クズって言おうとしたよな、絶対言いかけたよな!?」

 「ピーピー喚かないでくれるかしら、五感が障るのだけれど」

 「流石に味覚には影響出ねえだろ……」

 「細かい男ね」

 「細かいんならむしろ良い事でもあるだろ。細部にまで気を配」

 「小さい男ね」

 「話してる途中に口を挟むなそして言い直さんでいいわ!」

 「黙りなさい」

 「普通に罵倒された!」

 はぁ……なんでこんなところで体力を使わなきゃいけないんだ、ってか由比ヶ浜もなんか喋ろよ。せめて宥める事くらいはしろよ。

 「って、あれ? 由比ヶ浜は?」

 「由比ヶ浜さんなら、今眠たいからと言ってまだ寝てるわ」

 マジかよ。

 「呑気な奴だな、いつ死ぬかもわからんような、こんな世界に閉じ込められたってのに」

 そう言った瞬間、雪ノ下の表情が険しくなった。……俺、なんか地雷踏んだか?

 「……呑気なのは貴方の方よ」

 「俺が? 俺が呑気だって? おいおい笑わせるなよ、こちとら必死こいてレベル上げしてるってのに」

 「ええ、そうよ。貴方は呑気過ぎる。だって、貴方はこの中で誰よりも『この世界』に対して恐怖心を抱いていないじゃない」

 「それはないな。俺は臆病だ、地震雷火事親父、そして何よりも死が一番恐ろしいね。だから、臆病だからこそ、リスクを払ってまでモンスター共を殺しにかかってんだよ」

 「冗談も程々にしてくれないかしら」

 ピシャリと雪ノ下の鋭い一声が、部屋の空気を変貌させた。その顔には憤りの意が露となっており、だが何処までも冷えきった目をしている。

 「臆病だからレベルを上げる? 何を貴方は抜かしているのかしら。逆でしょう? 何も恐くない、だから平気で圏外に向かえる。違うかしら?」

ゆきのん...

 「全くもって違うね。だって、この世界での『死』は、現実での『死』と同義なんだぞ? 恐いのも、震え上がるのも当然だろ」

 「……よくも」

 蔑するような、だが哀れむかのような、絶対零度の眼差し。憤怒の意を押さえつけるように歯を食い縛るが、それでも反論の言葉が雪ノ下の口から漏れる。

 「よくもそんな軽々しく言えるわね。由比ヶ浜さんが、どれだけ貴方の前で我慢していたかもしらない癖に」

 「……我慢?」

 「ええ、そうよ、我慢。由比ヶ浜さんは、貴方の前ではせめて強がっていたかったようだけれど……やはり気づいていなかったのね」

 何だ?一体何の事だ?

 「由比ヶ浜さんが今もこんなに眠っている理由、貴方に分かる?」

 「……さぁ、疲れたんじゃねえのか?」

 そう言うと、まるで諦めたかのように、雪ノ下は突如として殺気を消した。

 「昨日の夜、貴方が寝静まったあと、由比ヶ浜さんが恐怖で震えていたことか、貴方には分かるはずもないでしょうけど」

 恐怖で、震えていた?

 「ええ、そうよ。挙げ句の果てにはヒステリックな眼差しで、私に殴りかかろうとまでしたけれど……恐らく、本人は覚えてないでしょうね」

 「殴る……って」

 あの人当たりの良い由比ヶ浜が?想像なんてできやしない。

 「と言っても、その後にはだいぶ落ち着いたけれど。それでも、まだその時の疲れは取れていないようね。貴方が出ていった後も、起きたと思ったらまたすぐに二度寝してしまったわ」

 「……そんな事が」

 「それに対して貴方は、まだ2か目だというのに、朝早くから圏外に出て……よくもまあ、そんな軽々と自殺行為のような事を行えるわね」

 「それは少し言い過ぎだろ……」

 自殺行為て。けどまぁ、実際死んじまうんだから、そう言われても仕方がない気もするけど。

 「貴方はまだ、この『世界』に取り残された人達が、どれだけ死に対して怯えて暮らしているか知っているのかしら?」

 窓の方に目線を逸らす。

 ここは大通りに面した宿で、本来なら、デスゲームでない至って普通の『SAO』をプレイしているとしたら、俺の目には沢山のプレイヤーが映った事だろう。

 だが、それはあくまでも『そうだったら』の話。

 俺の目の前には、人通りの殆どない、閑散とした光景がある。

 まばらに通るプレイヤーもいるが、その誰もが虚ろな目をしており、表情も絶望色に染まっている。

 「この世界に閉じ込められたプレイヤー全員が、貴方のようではないと言うこと、重々承知しなさい」

 「は、はぁ……」

 何だか、説教されている気分だ。

 いや、実際説教されているんだろうけど。

 「それと」

 「それと?」

 「……貴方が宿から消えたのを知ったとき、私達がどれだけ不安になったか……よく考えなさい」

 「……つまり、淋しかったのか?」

 雪ノ下の顔が、カーっと赤くなる。最初から素直にそう言えばいいものを。

 「ち、違うわよ! だ、誰が淋しくなんか」

 「あーはいはい、別に強がんなくてもいいっつーの」

 「~~~~~~~!!」

 何この生き物可愛い。雪ノ下が恥ずかしがってるところとか、凄い新鮮だな。

これはかわいいゆきのん

モダエジネル
モットヤレ

 「さて、と。何すっかなー」

 午前中に経験値稼ぎ済ませたし、午後にすること何もねぇんだよな。これがデスゲームなんかじゃなきゃ、さっさとログアウトして、炬燵に潜って苺大福を頬張ってただろうに。

 ……そう言えば。

 「……小町って、今どうしてるんだろうな」

 「……? 何か言ったかしら?」

 「いーや、何でもねぇよ」

 元気にしてるかな、あいつ。

超期待してる
頑張ってくれ

 その後、何もすることが無く、どうしようもなく暇だったから、買い物へ行くことになった。

 そう。服(防具品)や食材(回復アイテム等)を買いに行く訳だ。

 わぁい、女子力皆無、むしろ野武士力全開!やったねタエちゃん、男気野郎共が増えるよ!

 「何をにやにやしているのかしら、ヒキタニくん」

 「文字置き換えでいくかと思ったら、変化球極まりないなお前!」

 何このデジャヴ感。戸部懐かしいな……。あいつ、元気にして(ry

 「いや、何もねぇよ」

 「あらそう、ところで由比ヶ浜さん」

 ナチュラルに流すなぁぁ!?

 「……ってあれ?由比ヶ浜、いつからいた?」

 「うわマジヒッキーないわー」

この手のスレ期待するのに完結しないから、今回こそ完結まで頑張ってくれ

どうせ完結しないからもう終わりでいいよ

>>230 ……!?

 「流石に由比ヶ浜さん一人を置いて行く訳がないでしょう、少しは頭を使いなさい」

 「いや、そうだけどよ……恰も初めからそこにいたような感じになっててビクったんだよ」

 そりゃあね?『由比ヶ浜三佐、只今帰還致しました!』って言って登場しろとは言わないけど、にしてもナチュラル介入すぎるだろ。

 「まぁまぁ、そこはご都合主義で通すって事で……」

 「お前はお前で何言っちゃってくれてんだ」

 メタ発言乙。久々の投稿なんだから少しは自重してくれ。

 「ヒッキーも人の事言えない気もするけどね」

 「サラッと地の文を読むな」

 買い物シーン、割愛。

 ぶっちゃけ>>1が書くのが面倒臭いってだけだよ!酷い話だね!

 「何を虚空を見つめてニヤニヤしているのかしら、幹鞘くん」

 「原型を留めているか否かと問われれば唸るところだが、実際問題あまり格好良くないぞ、と言うかそもそも俺の名前は比企谷だ」
 
 「失礼、噛んだわ」

 「違う、わざとだ……」

 「噛みました」

 「そこは噛めよ!?」

 この流れで最後まで行きたかったのに、そこで普通に言うなよ。分かってやっただろ、絶対分かった上でやっただろ。

 「ちょ、ヒッキーうるさい、てかキモい」

 「あはははは辛辣だなあ由比ヶ浜さんったらー」

 「黙りなさい、折り畳むわよ」

 「いやどうやって!?」

 何でそんな捻ったんだよ。捻りすぎてあらぬ方向へ行っちゃったよ。

 「もしくは削り取るわよ」

 「いきなり残虐な方法に移ったなおい!?」

 「あ、見てゆきのん、あのローブ可愛くない?」

 「そうかしら、私にはいまいち分からないのだけれど……」

 あ、ちょ、無視ですか?

 「何でテメェらそんな俺に厳しいんだよ……シビア過ぎるだろ、ゲームの中でくらい、イージーな日々を過ごさせろよ」

 「所詮ここも現実のようなものよ、普段通り過酷な毎日を送りなさい」

 「その過酷な毎日の第一原因が何を言う……」

 「……?」

 「可愛らしく首をかしげるな!」

 何かうっかり許しちゃうだろ馬鹿が!

 「ねぇねぇ、ヒッキー」

 「どうした空気こと由比ヶ浜」

 「空気じゃないし! じゃなくて、しっかり周り見てよ!」

 「は? お前何言ってんだ」

 とは言っても、その意図が理解できなかったので、とりあえず言われた通りに辺りを見回してみた。

 いや、辺りとも呼べないかもしれないが。

 俺達が今立っている場所は、人気のない裏路地だった。

 雪ノ下との会話に熱くなって、周囲を気にしなかったためか、どうやら大通りから外れた道へ進んでしまったらしい。

これはなにかが起きる...!?

 「あれ、ここ……」

 何処だ?

 なんて呆けていると、雪ノ下が呆れたかのように溜め息をつき、

 「私、方向音痴なのだけれど」

 うむ、そうか。それは非常によろしくないな。生憎俺もそこまで方向感覚を持ち合わせていないし。

 「周りに人は……」

 「いないっぽい」

 どーすんだよ。こんな馬鹿みたいに広い街で迷うとか勘弁なんだが。

 「とりあえず、下手に歩き回るよりは、プレイヤーとかに道教えてもらったほうが早そうだな」

 「それはどうかしら。こんな裏路地にわざわざ来るプレイヤーなんて、そうそういないわよ」

 「だろうな……」

 店もないこんな狭い場所に、来る必要性なんぞ無いだろうな。てか無い(断言)。

 「まぁ、固まって行動してりゃ大丈夫だろ。圏内ならハラスメント警報も出るし」

 「うわ、何ヒッキー考えてんの……キモッ」

 「何処まで腐っているのかしら、あなたの頭は。来るとこまで来たようね」

 「言いたい放題だなテメェら!」

 ちょっとでも失言するとすぐこれだよ全く……。てか俺、何も悪くなくね?なくなくね?

 「はぁ……せめて励ましてくれる心の広い人格者がいれば……」

 ションボリなムードを漂わせて頭を垂れていると、突如何かに頭をぶつけた。と言うか、下を向いていたので登頂部に直打した。ツボ押しですね分かります。

 ゴツンと気持ちのよい音と共に、目から火花が散った。割とガチめで。

 「っつー……現実だったらたんこぶじゃすまなかったぞ……」

 前を向くが、そこには誰もいなかった。

 いや、言い直すならば。

 俺の正面下方、つまりは地べたに、小柄のプレイヤーが倒れていた。

 漫画みたく頭から煙を上げているところを見ると、どうやら俺と頭をゴッツンコ☆したようだ。

 俺の方は、フラッとよろける程度で済んだが(SAO内で『痛み』は存在しないが、衝撃は伝わってきた。不思議なものだ)、相手側は不幸にも体制を崩してしまったらしく、うつ伏せになって倒れている。

 「おっ、おい、大丈夫か?」

 駆け寄ってみると、「う、うぅ~」と呻き声をあげて、プルプルと震える手で親指を立て、OKだと伝えてきた。いや絶対大丈夫じゃないだろ。

誰だろう...

 その後、生まれたての小鹿のように、四肢をプルプル震わせながらも立ち上がろうとするが、途中で力尽きてしまったらしく、再び地面に突っ伏した。

 「何をやっているんだこいつは……」

 見知らぬプレイヤーを助ける義理はないが、ここで見捨てていくのも癪に障ると言うものだ。

 せめてでもとうつ伏せから仰向けにかえるため、ぐるりと回転させるようにして、顔を上に向けてやる。

 つまり、俺は自動的にその顔を見た、ということだ。

 そして、青ざめる。

 何故なら、俺の目の前で気絶しているのは、一色いろはだったから。

 「……よし、捨ててくか」

 「ストーーップ!! 何でそうなるの、ヒッキーはバカなの!?」

 「いやだって嫌じゃん、俺はこれ以上、このゲーム内で戸塚以外の知り合いと遭遇したくねぇんだよ、戸塚以外」

 「なんで二回言ったし!?」

 ともかく、一色は駄目だろ。どうせ後に面倒臭くなるだろうし。

 「……まぁ、面倒臭そうではあるけれど」

 「よく分かってるじゃないか」

 よし、じゃあ見なかったって事で、とその場を離れようと、踵を返したその瞬間。

 一色が目を覚ました。

いろはす…まるで厄介事を持ってくるトラブルメーカーのような扱いだな

実際そうだけど

 「比企谷くん」

 「ん、どうした雪ノ下」

 「一色さんが目を覚ましたとき、真っ先に目に写るのが知らない男の顔だったら、どうなるかしら?」

 目を覚ます
 ↓
 驚かれる
 ↓
 取り乱す
 
 ……うん。

 「面倒臭いことになるな」

 「ご名答ね。ならさっさと行動に移しなさい」

 GAN●Uなら、写してくだちい……いや、何でも無いです雪ノ下先輩。

 一歩後ろに下がり、少し遠いところから見守る。遠見の見物だ。言い直した意味ないけど。

↑は途中に入れ忘れた的な存在のやつかな?

逃げてま宣言

ストーリーは出来上がってるから、書き進めるよう頑張ります

完結できるといいんだけどな……

まってるわねー

ROMってるだけだから見てるから…待ってるぞ

 「ん……あれ、ここは……?」

 目を覚ました一色は、彼女を膝枕している由比ヶ浜や、近くで見守る雪ノ下、そして俺の方を見て、一瞬状況が理解できないかのようにキョトンとした。

 が、頭が回転し始めたのか、一色の表情は段々と驚愕のものに変わっていく。

 「え? な、何で結衣先輩達がここに……?」

 「えっと、話をすると長くなるんだけどねー……」

 由比ヶ浜が困った顔をして、雪ノ下に助け船を求めるような視線を送る。

 すると、雪ノ下は小さな溜め息を一つ吐いて、さっきまで紡いでいた口を開いた。

 割愛。

 「つまり、先輩達は偶然にもこのゲームの中で再会し、一緒に暮らしているってことですか?」

 「簡単に言ってしまえば、そうなるわね。最後の一文には少し不満を覚えざるを得ないけれど」

 「おい待て何故こっちを見てそれを言う」

 「あー、ごめんなさい。と言うか、このイケメンがあの先輩なんですよね……きっしょ」

 「うっせ、イケメンであるに越したことはねーだろ」

 「いえ、こう……ギャップが」

 「ナチュラルに現実の俺を罵倒するな」

ゆっくりでも進めてくれるだけで嬉しいぞ

 「つーか、目以外は変えてねえし。やっぱり目だけでもそんな印象変わるのか?」

 「「「変わ(りますね/るわね/るね)」」」

 「何故こんな無駄なところでシンクロすんだよテメェら……」

 それほどまでに忌み嫌われてたのね、俺の目。さっすが比企谷くん、世紀末ぅ!

 「……この目のままだと、お前ら不満か?」

 「うーん……まぁ違和感はありますけど、不快にはなりませんよー。むしろ……」

 「……むしろ?」

 「い、いやいや、何でもないですっ///」

 「?」

 どうした、まさか『むしろ格好いいって思っちゃうくらいです』 とか言おうとしたのかな?いろはちゃんったら、実はそうなんじゃないのかな?

 「糞谷くん、鼻の下が延びているわよ。一体全体何を考えているのかしら」

 「ちょっとばかし調子に乗ってただけですごめんなさい」

 「野生に帰りなさい、ヒキガエルが」

 「何その過去のトラウマを駆使された、訓練された悪口」

 「どうでもいいけれど、悪口ではなくて悪愚痴の方がより黒そうな感じがするわね」

 「確かに心底どうでもいいな!」

 話の逸らし方下手過ぎだろお前。何それ追撃?追い撃ち?同じか。

 そうして、雪ノ下の洗礼された悪口に嫌気が差してきた時、遠くの方から誰かがこちらに向かって歩いてくるのを感じた。

 「……誰か来たな」

 「えっ、嘘! 全く気付かなかった……」

 「へっ、俺の対人センサーの性能を舐めて貰っちゃ困るぜ」

 「どうしてでしょう、本人は誇らしげなのに、聞いてるこっちは無償に空しいです」

 「ちょ、しー!言わないであげて!」

 「いや由比ヶ浜それフォローになってないから」

 最早追加攻撃だよ。俺傷つけられる一方じゃん。

八幡...不憫

 「誰だろ……圏内だから襲われたりすることは無いだろうけど」

 次第に近づいてくる足音に耳を傾けつつ、由比ヶ浜の方を向く。

 「安心しろ、足音は小さめで歩幅は狭いところから見ると、恐らく女もしくは低身長プレイヤーだ。怖がることじゃねえよ」

 「どれだけ耳が良いのよ、比企谷くん……私なんてやっと足音が聞こえてきたくらいよ」

 「おお、雪ノ下が俺を普通に呼ぶの、久々に聞いた」

 「先輩、少し同情します」

 「うっせえ……っと、そろそろ来るぞ」

 足音の大きさがピークに突入したその瞬間、俺達の前にある曲がり角からプレイヤーが一人、出てきた。

 俺の予想通り、低身長なそのプレイヤーは、俺達の方を向くと、ニヤリと笑みを浮かべた。

 「……ここにいたカ」

 その頬には、ネズミの様なペイントが施されていた。

アルゴキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 雪ノ下よりも更に一回り小柄なプレイヤーからは、頬にペイントされた髭模様もあってか、ネズミのような印象を受けた。

 「……ここにいたか、って誰の」

 「師匠!?」

 驚愕の表情でそう叫んだかと思うと、一色は途端にそのプレイヤーの方へと駆け寄って行った。

 「まさカ迷子になるなんテ、情けない話ダナ」

 キキキと笑って一色にそう言う姿は、ずる賢い子供のようだ。

 「えっと……ヒッキー、あの人誰?」

 「俺に聞くなよ……知ってる訳ねぇだろ」

 「そうよ、どうせ無知谷に聞いたところで無駄なことよ」

 「お前どんだけ俺のアダ名増やしてきゃ気が済むんだよ……。そんなこと言うお前は、あのプレイヤーの事知ってんのか?」

 「えぇ」

 少し自慢気な表情で俺の方を見て、勝ち誇ったように緩めた口元を開く。

 「彼女はアルゴ。鼠とも呼ばれる、数少ない情報屋よ」

やる気が失せたのでやめます
頑張って書き進めようとしたけど駄目でした

今後推敲して新しいスレで書き直すつもりではいます

今までありがとうございました



p.s. 漢字博士死すべし

おつ

ちゃんとゆっくり休んでから戻ってきな

悲しいなぁ…
再開待っとる

おっつ

期待してたけどやっぱりかって思ってしまう。
鎮静化したあとに漢字博士をディするとか…もうね。

お疲れさまっす
この題材のss楽しみにしてたから残念だ

八幡「SAOか……」材木座「うむ」
八幡「SAOか……」材木座「うむ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438669260/)

やっぱりこうなったか……。
ガイル×SAOのSSはアンチやら荒らしやらが湧いて
最終的にエタるか打ち切るかのどっちかなんだよなぁ。
再開するからいいけどさ

お久しブリリアントパーク

新しくスレ立てしてみたものの、「あれ、これ立て直した意味なくね?」という結論に至りました



よってここで続きを書いていこうではないか

なにがしたいんだ一体

>>261

新しく書き直そうと思った

無理だった

スレ立てた意味がなくなった

「やっぱ続きから書くか」と思い付く

帰ってきた←今ここ

まぁ内容はすごい面白いから是非書いてほしい

>>268

すまん、ss書いたのはこれが初めてだったから、あんまり慣れてないんだ

…っていうと言い訳のようだけど

>>269
初めてとか関係なくガキなんだよな
実年齢はしらんけど精神的に未熟というかなんというか
自己中とかkyとか言われたことない?
あー、ぼっちはそんなこと教えてくれる奴もいないか?
ごめんな?

確かに、ここからはいつか出れる。違いは、帰るか還るかの話だと、雪ノ下はそう言いたいのだろう。

あー、やっぱ学生には早かった?
精神年齢っつーか実際年齢低いからなー

てか夏期講習があって全然書く暇がないんだけど許して

てかもう面倒臭いから辞めるわ

もっと長く続けるつもりだったけど疲れたわ

ありがとうございましたー

pixivとかハーメルンで書けばよかったと思うよ、もしくはarcadia
書く気が無くなったならお疲れ様

>>273
いや「土に還る」みたいに根源に戻る意味で
死ぬって比喩は普通に使うから
還る=死って表現は普通にあるぞ

つーかどうでもいいことにいちいち突っ込むなよ
難しい言葉覚えたての中学生かよ

勉強頑張れよ!
頭あんま良くなさそうだしな。
あと、社会出るためにちゃんと人との付き合い方とか空気の読み方も勉強しろよ?
今のままじゃ社会出るの厳しいぞ?
付けて底辺のとび職くらいじゃないか?
あ、イジメられそうだから無理かな?
工場での単純作業なら出来そうだけどすぐバックレそうだし…
親には悪いが引きこもってくれた方が世の中的にはいいのかもしれんね。
まぁ、まだ若いみたいだしこれから頑張れよ!

>>276
まったく応援する気がないな・・・
気に入らなければ書き込まなければいいのに

前から思ってたけどここの作者は自演とかトリ外しての罵倒とか酷すぎて萎える

この頭で講習行ってるのかwwww
まさにザルで水汲むような状態なんだなwwww

叩かれるのが嫌ならpixivとかなろうとかで書けばよかったんじゃないかと。
ここに書く以上荒らしが出る事と叩かれることは承知しないと。
まぁ叩かれたら萎えるのはわからんでもないが

そもそもの発端が「帰るか還るか」とかいう意味不明な厨二セリフ突っ込まれて自演で弁解しまくってたら鎮火できなくなったのが原因だったっけ
馬鹿すぎるな

ほっしゅ

このSSまとめへのコメント

1 :  Seta   2015年05月10日 (日) 22:08:22   ID: yguqhHh7

頑張ってください!w

2 :  SS好きの774さん   2015年06月29日 (月) 12:43:14   ID: phnN9I8x

SAOクロスで、完結した作品見たことないんだよな・・・

3 :  SS好きの774さん   2015年07月31日 (金) 02:40:02   ID: 6G5stTZb

頑張ってくれー(´;Д;`)

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