ジン「ウオッカ、花見をするぞ」ウオッカ「へい、兄貴!」 (65)

ジン「今日の午後七時、米花総合公園へ集合だ。キャンティ達にメールしとけ」

ウオッカ「分かりやした!」ポチポチポチ

ピッ

ウオッカ「送信完了ですぜ、兄貴」

ジン「よし。花見に必要なものを買いに行くぞ。お前も荷物持ちでついてこい」

ウオッカ「へい!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1427643014

――某イオン店内・酒コーナー前――

ジン「まずは酒の調達だな」

ウオッカ「とりあえずビールですかい?」ヒョイ

ジン「待て、そんな適当に選ぶな。表示をよく見ろ」

ウオッカ「表示?」

ジン「缶の側面に、成分やら何やらが書いてあるだろ」

ウオッカ「側面……あぁ、これですね」

ジン「ここに並んでるのを見比べて、カロリーや糖質が一番低いやつにするんだ」

ジン「ビールだけのカロリーは大したことがなくても、つまみは高カロリーのものが多い」

ジン「アルコールには食欲を増進させる作用があってな」

ジン「酒を飲んでると、普段より食い過ぎちまうことが多いんだ」

ジン「酒盛り自体は楽しいが、それが元で生活習慣病になっちまったんじゃ目も当てられねーからな」

ウオッカ「ちょっとでもトータルの摂取カロリーを抑えて、健康に気を遣おうってわけですね!」

ジン「そういうことだ」

ウオッカ「糖質が一番少ないのは、キリン一番搾り生ビールか。これにしますぜ」

ジン「コルンが好きな銘柄だな。丁度良い」

ジン「それと、カテゴリーとしちゃ発泡酒になっちまうが、カロリー70%オフのやつもあるだろ」

ウオッカ「サントリーダイエットとか、キリンゼロってやつですかい?」

ジン「キャンティやベルモットの分は、そっちにしてやれ。あいつら、ダイエット中だからな」

ウオッカ「そういやキャンティの奴、脇腹の肉がどうのとか言ってましたね」

ジン「食べた分だけ運動しときゃ良いのに、怠けるからだ」フン

ジン「毎朝六時からジョギングに付き合ってやってる俺の身にもなりやがれ」

ウオッカ「兄貴も一緒に走ってるんですかい?」

ジン「どうせ基礎トレもあるからな。そのついでだ」

ウオッカ「仲間のダイエットにも気を配るなんて、さすがですぜ!」

ジン「……ウオッカ、俺のはサッポロ生ビール黒ラベルだ。カゴに入れとけよ」プイ

ウオッカ「へい!」イソイソ

ウオッカ「ところで、バーボンの分はどうします?」

ジン「奴は甘い酒しか飲まねーからな。カクテルパートナーでも買っとけ」

ウオッカ「分かりやした。でも随分種類がありますね」ヒョイ

ウオッカ「どれを選べば良いんですかい?」

ジン「奴がいつも飲んでるのは、カシスオレンジとマンゴーマイタイ、それにモスコーミュールだ」

ウオッカ「へい!」ガシャガシャ

ウオッカ「……しかし、これだけで大丈夫ですかね?」

ジン「足りなきゃ自分で適当に買ってくるだろ。幸い、公園の近くにはコンビニもあるしな」

ウオッカ「分かりやした」

ジン「おい、ウオッカ。お前、自分の分は確保したんだろうな?」

ウオッカ「あ、いけねぇ! 兄貴に言われなきゃ、忘れるところでしたぜ」ヘヘ…

ジン「ったく、そそっかしい奴だな。ほら、サントリーオールフリーだ」スッ

ウオッカ「え…………兄貴、どうして俺のマイブームがこいつだって知ってるんです?」

ジン「何言ってやがる。お前は花見の後で、酔っぱらい共を家まで乗せていかなきゃならねーだろうが」

ジン「花見や宴会の席で、ハンドルキーパーを確保しとくのは常識だ」フン

ウオッカ「あ、そういうことですかい……」

ジン「次は食い物だ。行くぞ」

ウオッカ「へい!」

この雰囲気嫌いじゃない

――野菜コーナー ――

ジン「やはり定番のつまみは枝豆だな。低カロリーだし、ビールにも良く合う」

ウオッカ「この大きな袋に入ってる方で良いんですね?」ガサ

ジン「そうだ。それと、サラダ用の野菜を調達するぞ」

ウオッカ「何のサラダを作るんで?」

ジン「ゴボウサラダだ」

ウオッカ「ゴボウ……ですかい?」

ウオッカ「大根サラダとかシーザーサラダとか、そっちの方がメジャーなんじゃ……」

ジン「シャキシャキした食感のものを食べて咀嚼回数を増やすと、満腹中枢が刺激される」

ジン「食事の最初にそういうメニューを食べさせると、相手が腹一杯に感じるまでの時間も早くなって」

ジン「食べ過ぎの防止に繋がるって寸法だ」

ジン「それに、ゴボウには食物繊維が豊富に含まれてるから整腸作用もあるんだ」

ウオッカ「なるほど、これも健康への配慮ってわけですね!」

ジン「俺達だって身体が資本だからな。当然だろうが」フン

ジン「材料はゴボウとニンジン、それに彩りとしてレタスとトマトも追加だ」

ウオッカ「へい。ゴボウはどれにします?」

ジン「全体的に同じ太さで、直径は10円玉ぐらいのが良い。付け根が黒ずんでるのはダメだぞ」

ウオッカ「じゃあ、こいつですね」

コテハンつけっぱでさらに上げるとか本当にすまない

ジン「次はニンジンだな。色が濃く、表面が滑らかでツヤがあるのが良いやつだ」

ウオッカ「ツヤがあるって、どんな感じなんですかい?」

ジン「チッ……俺が見る。どけ」

ウオッカ「す、すいやせん……」

ジン「……そうだな、これにするか」ヒョイ

ウオッカ「へい。レタスはどいつを買います?」

ジン「レタスは芯の部分を見るんだ。切り口が白く、ここを押すと軽くへこむぐらいが新鮮なやつさ」

ウオッカ「なるほど! じゃあこいつを……」

ジン「待て、そいつは小玉だ。こっちの中玉にしろ」

ウオッカ「え? この二つ、何が違うんですかい?」

ジン「小玉のレタスには、苦みの強いやつがあるんだ。中玉の方が、程良い甘みとパリッとした食感を楽しめる」

ウオッカ「へ~、初めて知りましたぜ」

ジン「このぐらい、自炊してる奴には常識だぞ」

ジン「お前はいつまでもコンビニに頼ってばかりだから、新鮮な食材の見分け方も分からねーんだろうが」

ウオッカ「へ、へい……すいやせん、兄貴」シュン…

ジン「あとはトマトだな」

ウオッカ「これもたくさん種類がありますね」

ジン「最近は、フルーツトマトや外国の品種も人気だ。色や形も様々なやつが並んでるだろ?」

ウオッカ「ホントだ。俺、レモントマトなんて初めて見ましたぜ」シゲシゲ

ジン「まぁ今回は、特に凝った材料は使わねーからな。普通のやつで十分だ」

ジン「こいつみたいに、全体的に固くしまっていて丸みがあり、ヘタがきれいな緑色なのが良い」

ウオッカ「了解です!」

ジン「次は、魚や肉を探しに行くぞ」

ウオッカ「へい!」

――鮮魚コーナー ――

ウオッカ「今日はハマチが安いですね。こいつにしますか?」

ジン「いや、ハマチはけっこう脂肪分が多いからな。ヒラメにしろ」

ジン「一般的に、赤身より白身の魚の方が低カロリーでな。その中でもヒラメはかなり低い方なんだ」

ジン「カルパッチョにすれば、コルンが喜んで食うさ」

ウオッカ「分かりやした、ヒラメですね」ヒョイ

ジン「あとは……そうだな、アサリの酒蒸しでも作ってやるか」

ウオッカ「アサリですかい?」

ジン「今はちょうど旬の時期だ。それに、ここの値段は他の店よりも2割ほど安い」

ジン「そっちのでかいザルに入った方を取っとけ」

ウオッカ「了解です」ヨイショ



歩美「ねぇ、お母さん。あのおじさん達、何で真っ黒な格好してるの?」

歩美母「シッ、目を合わせちゃいけません! あっち行きましょ」

――精肉コーナー ――

ウオッカ「肉はどうします?」

ジン「まず、どの肉をメインにする決める方が先だ」

ジン「牛肉や豚肉は高カロリー、鶏肉は低カロリーって認識が一般的に広まってるが」

ジン「肉は部位によって、カロリーが結構変わってくるんだ」

ジン「鶏肉でも、牛や豚よりカロリーの高い部位もあったりするからな。選ぶ時は気をつけろ」

ウオッカ「そうなんですか。兄貴は本当に物知りですねぇ……」ヘー

ウオッカ「まぁカロリーを気にするなら、やっぱり鶏ササミ……ですかい?」

ジン「ダイエット中の女共のことを考えれば、それが良いだろうな」

ジン「ただし、一つ注意点がある。それは調理の仕方だ」

ジン「鶏のササミは高タンパク低カロリーの代表格として、ダイエット特集でも頻繁に取り上げられてるが」

ジン「そのまま火を通すと、中の水分や油分が飛んじまってパサついた食感になっちまうんだ」

ウオッカ「……そういやぁ、こないだの弁当で食ったササミのフライ、随分とパサパサしてましたね」

ジン「だが、それを防ぐのは簡単だ」

ジン「酒をまぶすとか他の具材と一緒に加熱するとか、一手間加えてやりゃあ良い」

ウオッカ「なるほど、勉強になりますぜ!」フムフム

ジン「……しかし、今のところ考えてるのはあっさり系のメニューばかりだな。揚げ物が無ぇ」

ジン「スーパーでも売ってる定番メニューだが、ササミの梅しそフライでも作ってやるか」

ウオッカ「揚げ物が無いのは寂しいんで、俺は嬉しいですけど……」

ウオッカ「ベルモットの姉御たちに脂っこいものを出しても大丈夫なんですかい?」

ジン「あぁ。カロリーオフしながら作れる秘密兵器があるからな」

ウオッカ「その秘密兵器って?」ワクワク

ジン「まぁ慌てるな……後でゆっくり教えてやる」

ジン「ウオッカ。野菜売り場から、しそとネギを取って来てくれ。それと梅干しもだ」

ジン「あぁ、ついでにバジルも頼む」

ウオッカ「へい!」タタタ…

ジン(……確か、パプリカにキュウリ、薄力粉や卵はまだあったな)

ジン(念のため、オリーブオイルは買い足しておくか)ポイ

ジン(ササミフライ用にパン粉も追加だ)ガサ

ジン(ご飯ものは、やはりおにぎりが食いやすいか。混ぜ込みご飯の素をいくつか買って……と)ヒョイ

ジン(おっと。デザートを忘れるところだったぜ)

ジン(ビタミンも補給できるように、フルーツ入りの杏仁豆腐にするか)

ジン(……しかし、野外でいちいち取り分けるのも面倒だな。荷物も増えちまう)

ジン(仕方ねぇ。個別のカップ入りのやつを人数分仕入れて、と……)ポイポイ

ジン(よし、これで良い)

…タタタ

ウオッカ「兄貴~、持ってきましたぜ~!」

ジン「さっさとカゴに入れろ。会計に行くぞ」

ウオッカ「へい!」

――レジ――

店員「エコバッグはお持ちですか?」

ジン「あぁ」スッ

ピッピッピッピッ…ピピッ

店員「合計で15248円でーす」

ジン「支払いはコレで頼む」スッ

店員「はい♪」

ワオンッ!

店員「ありがとうございましたー♪」



ジン「さて……帰ったらすぐに料理の準備だ。お前も手伝え」

ウオッカ「へい!」

ガコ……ウィィィン

――黒の組織のアジト・キッチン――

ジン「手はきちんと洗っただろうな?」

ウオッカ「もちろん! でも兄貴……」

ウオッカ「約束の時間まで、もう二時間切ってますよ。料理は間に合うんですかい?」

ジン「大丈夫だ。秘密兵器があると言っただろ」

ウオッカ「へ、へい……確かにそう言ってましたけど。一体どんな……?」

ジン「こいつだ」コンコン

ウオッカ「えっ……これって、電子レンジじゃないですか!」

ジン「正しくは電子オーブンレンジだ」

ウオッカ「あ、すいません。しかし、こいつでどうやって料理を……?」

ジン「ウオッカ。お前、電子レンジは冷たくなったおかずを温め直すだけのもんだと思ってんのか?」

ウオッカ「違うんですかい?」

ジン「電子レンジは上手く使えば、焼く・蒸す・煮るといった調理の手間を省くことができる」

ジン「つまり、こいつは時短レシピの強い味方なんだ」

ジン「それに余分な油を使わなくて済むから、カロリーオフもできて一石二鳥だ」

ウオッカ「そういう使い方もあるのか……俺、全然知らなかったですぜ」

ジン「時間が惜しい。とっとと始めるぞ」

ウオッカ「へ、へい、兄貴!」

ジン「まず最初に、おにぎり用の米を炊く」

ジン「この1合180mlの計量カップで、3合分の米を計るんだ」

ジン「カップ山盛りに米を詰めて、箸などですり切るとキッチリ計ることができる」ザラザラ

ジン「よし、これで良い。ウオッカ、こいつを研いでくれ」

ウオッカ「分かりやした!」ジャー…ザッザッザッ

ジン「あまり力を入れすぎるなよ。水を替えるのも3回ぐらいで良いからな」

ウオッカ「へい!」ザッザッザッ…ジャー…ザッザッザッ

ジン「フン、そんなもんだな。炊飯器にセットしてスイッチオンだ」ピッ

ジン「次にやっておかなきゃならないのは、アサリの砂抜きだな」

ジン「そこのボウルをザルごと取ってくれ」

ウオッカ「どうぞ!」サッ

ジン「ボウルとザルを重ね、その中にアサリを入れる」ザラザラ

ジン「この時、貝同士ができるだけ重ならないようにすると良い」

ジン「アサリがひたひたに浸かるぐらいまで水を入れ、塩分濃度が3%になるように塩を加える」パッパッ

ウオッカ「随分多いように思いますけど……」

ジン「大丈夫だ。濃いめの塩水に漬けてやると……ほら見ろ」

ジン「アサリがウニョウニョ動き始めただろ?」

ウオッカ「本当だ! 早速砂を吐いてますぜ!」

ジン「周りに水が飛び散らないように、ふんわりラップを掛けて」

ジン「このまま一時間ほど放置すれば、砂抜きは完了だ」

ジン「それを待つ間に、他のメニューを作っちまうぞ」

ウオッカ「へい!」

ジン「次は枝豆だ」

【枝豆の塩ゆで】
枝豆:250g
塩:40g


ウオッカ「兄貴、さっそく湯を沸かしましょうか」

ジン「待て、その前に枝豆の下処理だ。両端のヘタをキッチン用のハサミで切り落とす」

ウオッカ「両端のヘタを?」

ウオッカ「そうすることで、味の染みこみが早くなるんだ。お前も手伝え」パチンパチン

ウオッカ「へい!」パチンパチン

ジン「ウオッカ。全部終わったら、そっちの鍋で湯を沸かせ。それと、塩を計るんだ」

ウオッカ「分かりやした」

ジャーッ…カチ、チチチ…ボッ

ウオッカ(えーっと……塩を40g、と)サッサッ

ジン「できたか?」

ウオッカ「へい!」

ジン「おい、まだ計量器の上から動かすな」

ウオッカ「え?」

ジン「そこから10gほど取って、枝豆にまぶすんだ。……よし、残り30gになったな」パッパッ

ジン「そしてよくもみ込む。こうすると、豆に塩が染みこみやすくなるんだ」ギュ、ギュ、ギュ

ジン「フン、こんなもんだな」

ジン「ウオッカ、湯が沸いたら残りの塩と枝豆を入れて、3分半~5分ほど茹でるんだ」

ジン「茹で時間は様子を見ながら調節してくれ」

ジン「あんまり茹ですぎると、せっかくの栄養分が台無しになっちまうからな」

ウオッカ「……何気に責任重大ですね、俺」

ジン「しかし、湯が沸くまでにはまだ掛かるな」

ジン「ゴボウサラダの材料を切るのを手伝ってくれるか?」

ウオッカ「へい!」

【ゴボウサラダ(4人分)】
ゴボウ:1本
ニンジン:1/2本
酢:小さじ1杯
めんつゆ:小さじ1杯
マヨネーズ:大さじ2.5杯
砂糖:小さじ0.5杯
白すりごま:大さじ1.5杯


ジン「ゴボウは流水の下で、アルミホイルを使って丁寧に泥を落とす」ゴシゴシ

ジン「ゴボウもニンジンも、皮むきやあく抜きはしなくて良い」

ジン「ゴボウの皮には中心部の1.6杯もの旨み成分が含まれているし」

ジン「ニンジンで一番栄養があるのは、皮のすぐ下の部分だ」

ジン「これをわざわざ捨てるのは勿体ないだろう?」

ウオッカ「そうなんですか。俺、危うくピーラーでニンジンの皮をむいちまうところでしたぜ」

ホワイト職場すぎる

ジン「泥を落とせたら、ゴボウを3㎝ほどの幅に切って……」トントントン

ジン「こいつを細切りにする」トトトトトト

ウオッカ「おぉ! 兄貴の包丁さばき、すげぇですね!」

ジン「ウオッカ。お前もさっさとニンジンを切ってしまえ」

ウオッカ「あ……そうでした」トントントントン

ジン「切ったゴボウとニンジンを耐熱性の皿に広げ、軽く混ぜる」

ジン「次に、酢をまんべんなくまぶし、ラップをかけ、600Wのレンジで5分温める」ピッピッ


~5分経過~

ウィィィィン……ピロリロリン♪

ウオッカ「お、できやしたね」

ジン「まだ皿を取り出すなよ。そのまま2分ほど放置だ」

ジン「他に作業をしている時は、キッチンタイマーを使うと良いぞ」ピッピッ…ピコ♪

~2分経過~

ピピピピッピピピピッ…

ウオッカ「じゃあ取り出しますぜ、兄貴」

ジン「皿が熱くなってるからな、気をつけろよ」

ウオッカ「分かってます!」ヨイショ

ウオッカ「しかし便利ですねぇ。これで野菜を茹でる手間が省けるなんて」

ジン「感動してるところを悪いが、ウオッカ。皿をよく見てみろ」

ジン「野菜の中から出てきた水分が溜まってるだろ?」

ウオッカ「あ、本当だ」ピチョン

ジン「それは不要だ。火傷しないように注意しながら捨てろ」

ジン「余計な水分があると、せっかくの味付けが薄くなっちまうからな」

ウオッカ「へい!」ジャー

ジン「よし。次にめんつゆを加えて、ゴボウとニンジンを少し冷ます」

ジン「粗熱が取れたら、マヨネーズ、砂糖、白すりごまを加えて混ぜてやれば……」カシャカシャ

ジン「電子レンジで作る、簡単ゴボウサラダの完成だ」

ジン「あとはレタスを敷き、八等分に切ったトマトを添えてやりゃあ良い」

ウオッカ「すげぇ美味そうですぜ! 俺、腹が減ってきちまいやした……」グゥゥ

ジン「俺だってそうだ。我慢しろ」チッ

ウオッカ「へ、へい……」

ジン「……まぁ良い、湯が沸いたな。ウオッカ、枝豆を茹でてくれ」

ウオッカ「分かりやした!」

ウオッカ「塩と豆を鍋に入れて……」ザラザラ

ウオッカ「兄貴、キッチンタイマーをお借りします!」

ジン「おぅ」

ウオッカ「えーと……とりあえず4分にタイマーを合わせて」ピッピッ

ウオッカ「茹ですぎにならねぇように注意……と」グツグツ

ジン「さて。その間に、俺はヒラメのカルパッチョを作るか」

【ヒラメのカルパッチョ(4人分)】
ヒラメ:300g
玉ネギ、キュウリ、パプリカ:各20g
バジル:適量
オリーブオイル:大さじ2杯
塩:3~4つまみ
コショウ:少々


ジン「ヒラメは一口大にそぎ切りにする」スッスッ

ジン「玉ネギ、キュウリ、パプリカは食感を楽しめるように角切りだ」トントントントン

ジン「バジルは手で適当な大きさに千切って……と」バリバリ

ジン「切った具材に塩とコショウをふり、味を馴染ませる」パッパッ

ジン「用意した器に、さっきのサラダで余ったレタスを敷いて……」

ジン「その上に具材を彩りよく並べ、オリーブオイルをかければ……よし、これで良い」

ウオッカ「おぉ~。兄貴、それも美味そうですね!」

ピピピピッピピピピッ…

ウオッカ「お、4分経った!」

ジン「よし、ザルにあけろ」

ウオッカ「へい!」ザバー

ジン「よく水気を切って、そこに置いてあるウチワで冷ますんだ」

ジン「流水や氷水は使うなよ。せっかくの塩気が抜けちまうからな」

ウオッカ「了解です!」パタパタパタパタ

ジン「それじゃ、次のメニューにいくぞ」


【ササミの梅しそフライ(4人分)】
ササミ:16本
梅肉:5~6粒分
しそ:16枚
塩、コショウ:適量
薄力粉:50~60g
卵:1個
パン粉:適量


ジン「ウオッカ。枝豆はその辺で置いといて、梅干しから種を取ってくれ」

ウオッカ「へい!」

ジン「しそを水にさらし、キッチンペーパーで水滴をよーく拭き取っておく」ポンポン

ウオッカ「兄貴、梅肉の準備ができましたぜ!」

ジン「よし。しそを一枚一枚並べていくから、その上に梅肉を乗せてけ」

ウオッカ「……こんなもんですかい?」チョイチョイ

ジン「あぁ。丁度良い分量だ」

ジン「ササミの筋を取り、開いて軽く叩く。こうすると火の通りが早くなるんだ」トントントン

ジン「ササミに塩とコショウで下味を付け、しそを乗せたら、元の形に折りたたむ」

ジン「この時、しそが多少はみ出していても大丈夫だ。衣付けの時に押し込めばいい」

ジン「小麦粉、卵、パン粉の順に衣を付けたら……後は、こいつの出番だ」コンコン

ウオッカ「ええぇっ!? これも電子レンジでできるんですかい?」

ジン「あぁ。こいつはシャープ製のヘルシオって機種でな」

ジン「水蒸気の力で、油を使わずに揚げ物を作れる優れものだ」

ウオッカ「さ、最近の機種は、そんな便利になってるんですかい……」

ジン「角皿の上に網を載せて、衣を付けたササミを並べ、レンジの中に入れる」ガチャ

ジン「『お料理選択』でメニューを選び、余熱なしで16~18分ほど焼き上げればOKだ」ピッピッピッ

ピピッ…ウィィィィン

ウオッカ「待ってる間は、どうします?」

ピロピロリロリーン♪

ジン「良いタイミングで米が炊けたな。おにぎりを作るか。ボウルを3つ用意しろ」

ウオッカ「へい!」

ジン「米を1合分ずつボウルに分けて……」ヨソリヨソリ

ジン「混ぜ込みご飯の素の、ワカメ、鮭、おかかで味を付ける」パッパッ

ジン「ウオッカ、お前はおかかの奴を作れ。俺はワカメと鮭をやる」

ウオッカ「了解です!」ニギリニギリ

ジン「よし、こんなもんか」

ピロリロリロリーン♪

ジン「こっちも焼き上がったな」ガチャ

ウオッカ「おぉ~、良い匂いですね! ますます腹が減ってきやしたぜ!」

ジン「もう少しの我慢だ。メニューはあと一つ残ってるだろう?」

ウオッカ「あぁ……アサリの酒蒸しですかい」

ジン「ウオッカ。作り方を教えてやるから、お前がやってみろ」

ウオッカ「お、俺がですかい? 大丈夫かな……」

なんという飯テロ

ウオッカ「あ。もしかして、アサリの酒蒸しも……?」

ジン「そうだ。この電子レンジを使えば、あっという間に作れる」

ウオッカ「な、何てこった……電子レンジで蒸し料理まで作れちまうなんて!」

ジン「フッ……まぁ百聞は一見にしかずと言うしな。手順を言うぞ」

ウオッカ「へい!」

【アサリの酒蒸し(4人分)】
アサリ:500g
水:1カップ
しょう油:小さじ2杯
酒:大さじ2杯


ジン「まず、砂抜きしたアサリの貝殻を擦り合わせて、表面を洗え」

ウオッカ「こ、こうですかい?」カチャカチャ

ジン「あぁ。……よし、それで良い」

ジン「次に、皿にアサリを並べて、水、しょう油、酒を加えて混ぜるんだ」

ジン「この時も、貝同士があまり重ならないように注意しろよ」

ウオッカ「へい!」ザラザラ…ジャー…

ジン「上からネギを散らしてラップを掛け、500Wのレンジで5分ほど温めろ」

ウオッカ「ネギを散らして……ラップ……と」パッパッ…ピッ

ウオッカ「500Wで5分……よし」ピッピッ

ウィィィィン…

ジン「あとは待つだけだ。お手軽だろ?」

ウオッカ「へい! 俺でもこんな簡単に作れるなんて、感激です!」

ジン「そいつは良かった」

ジン「お前は貝殻がちゃんと開くか見てろ。その間に、俺は洗い物を済ませておく」

ウオッカ「了解です!」


~5分経過~

ピロリロリロリーン♪

ウオッカ「兄貴、良い具合になってますぜ!」

ジン「正月に使った、5段重ねの重箱があるだろ。そいつに作ったものを詰めるぞ」

ウオッカ「へい!」

――午後七時・米花総合公園――

ブロロロォ…キキィッ!

ウオッカ「着きやしたぜ、兄貴」

ガチャ……バタン!!

ジン「酒は俺が運ぶから、お前は料理を持て」ガサガサ

ウオッカ「へい! 酒も料理も準備万端……楽しみですぜ、兄貴」ウキウキ

ジン「フン。あんまりはしゃぎすぎて、カタギの連中に迷惑かけんなよ」

ウオッカ「分かってます!」


キャハハハハ…

ウオッカ「ん?」

ジン「……何だ?」

キャンティ「あ~、やっと大将が来たよ!」ウィー

ウオッカ「キャンティ!?」

ベルモット「私達、早く来ちゃったから先に始めたわよぉ~?」ヒック

ウオッカ「ベルモットの姉御まで……。兄貴、二人とももう出来上がってますぜ」

ジン「おい、キャンティ。ここら辺に散乱してるビールの空き缶、お前らの仕業か?」

キャンティ「そーだよ。ここんとこロクな任務ないじゃん?」

ベルモット「飲むぐらいしか楽しみが無いのよねぇ~」ウフフフ

キャンティ「そーそー!」キャハハハ

ジン「……コルン、何で止めなかった?」

コルン「言ったけど、聞かなかった……」シュン…

ジン「チッ……仕方ねー奴らだ」

ウオッカ「バーボンは?」

コルン「……バイトで少し遅れる」

ジン「そうか。あそこの酔っぱらい二人以外は、特に問題ねーな」

ウオッカ「兄貴、料理はシートの真ん中に並べますぜ」

ジン「おう」

ウオッカ「コルン、兄貴がお前の好きなヒラメのカルパッチョも作ってくれたからな」

コルン「……嬉しい」パァッ

キャンティ「ん~? 何だ、わざわざ作ってきたのかい?」ヒック

ベルモット「貴方、最近忙しかったからぁ、何にも用意できてないと思ってぇ~」

ベルモット「ケンタッキーのパーティーバレル、三つ買って来ちゃったわよぉ?」ウィー

キャンティ「アタイはポテチの期間限定品を全部と、スルメと、ナッツ類の詰め合わせ~」エヘヘヘ

ベルモット「お酒もいっぱいあるのよぉ~」ウフフフフ

ベルモット「どれにするか迷ってたら、時間が勿体ないと思ってねぇ~」

ベルモット「お店の棚に並んでたの、全部買って来ちゃったわぁ♪」

ベルモット「ほら、そっちに置いてあるでしょぉ~?」

ベルモット「ビールに焼酎、日本酒、ワイン、ウィスキー。何でもござれよ~」ウフ♪

ジン・ウオッカ「「………………」」

…カツカツカツ

安室「すみません、遅くなりました」

コルン「……よう」

ウオッカ「俺達も今来たところだ」

ベルモット「あら~、バーボン♪ 来た来たぁ♪」ギュウゥゥ…

安室「うわぁっ! 酒臭っ……ベルモット、酔ってるんですか!?」

ベルモット「ね~え~、バーボン。貴方、明日はバイト休みなんでしょ~?」ウィー

安室「え? ええ、まぁ……」ゾワ…

キャンティ「へぇ~、良いこと聞いた。そんじゃ、アタイらと飲み比べといこうじゃないかぁ」ヒック

安室「キャンティまで……ちょ、ちょっと! ジンもウオッカも、見てないで何とかして下さい!!」

ジン「悪いが、俺らにはどうしようもねーな」

ベルモット「何よ~、バーボン。私達のお酒が飲めないって言うの~?」ヒック

安室「いや、あの……酒は嫌いじゃないですけど、僕はそんなに量が飲めるわけでは……」タジタジ

キャンティ「生意気だよ、あんた。ちょっとこっちにおいで」グイッ

安室「ヒッ!」

ベルモット「いい年した男が、情けない声出してんじゃないわよぉ~」ウィー

安室「わっ……ベルモット、引っ張らないで下さい!」

ベルモット「ね~、キャンティ。あっちの桜がキレイだから、向こうで飲まなぁい?」

キャンティ「良いねぇ。ベルモット、あんた酒持ってきてよぉ」

ベルモット「はいは~い。ビールは散々飲んだから、今度はワインにしましょ~♪」ウフ

ベルモット「あぁ、キャンティ。せっかくだから、ジンが作ってくれたやつも適当に持ってって~」

キャンティ「りょ~か~い。ウオッカ、このタッパーにいくつか分けとくれよぉ」

ウオッカ「あ……あぁ」ヨソリヨソリ

キャンティ「サンキュ。ほら行くよ、バーボン!」ヒック

安室「だっ、誰か助けてくれ――――――っ!!」

ズルズルズル……



ジン「やっと静かになったな……」フゥ

ウオッカ「バーボン……お前の尊い犠牲は忘れねーぜ」

コルン「…………合掌」チーン

ウオッカ「コルン。俺らと飲み直すか」ポン

コルン「おう……」


【おわり】

組織ssは初挑戦です
ご本家の作者様、分家の作者様、気分を悪くされたらごめんなさいm(_ _)m
ここまでお読み頂きありがとうございました

乙でした

黒服五人が夜中に行う盛大な飯テロ

おつ。アットホームな組織だ。

ジンがワオン使ったところで耐えられなくなった

火傷しないように注意する優しさよ

いつもの人じゃないのか

酒蒸しは食べたくなった

手にとれない“幸せ”は
誰かと一緒にいると分かる

これはイオンのステマ
SHIROBAKOといいイオン推し多いな

乙です

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