巫女「……」ソワソワ(33)

巫女「……」キョロキョロ

巫女「いない……」ショボン

男「お待たせ!」

巫女「!」

巫女「こ、こんに……ちは!」

男「こんにちは」

男「じゃ、散歩でもしよっか」

巫女「は…はい!」

トボトボ

男「今日も綺麗にしてるね」

巫女「えっ……あ……いや……そ、そんな…」

男「落ち葉1つないよ」

巫女「あ………そう…ですね…」

男「でも相変わらず人少ないねぇ……」

巫女「……」コク

男「場所は離れてるけどいいところなのに…」

巫女「そ……そうです……よね」

男「縁結びだっけ?ここ」

巫女「は、はい…」

男「おかげで巫女さんにも会えたし……」

巫女「」ポッ

男「なんで人来ないんだろ……」

巫女「……あ、あの!」

男「ん?」

ほう

巫女「人間……って………」

巫女「いたほうが……嬉しい……ですか?」

男「まぁいたほうが賑やかだよね」

巫女「です…よね」ショボン

男「でもこうして一緒にいられるのも人がいないおかげだけどね」

男「人がいっぱい来たらもう会う時間なくなりそうだし…」

巫女「…///」

男「もう3ヶ月か……」

男「大学でて出会いもなくて、藁にもすがる思いだったなぁ……」

巫女「……必死……でしたよね……?」

男「うん」

男「君を初めて見たらビビッと来たよ」

男「こんな可愛い子がいるなんてね」

巫女「……顔ですか?」

男「あ、いや…そういうことじゃなくて……」

巫女「……」ジー

男「……ごめん、最初は顔だった」

巫女「…ひどい…です」

男「でもさ、あんなオドオドしてるのをみて守ってあげたくなったんだ」

男「なんでかな」

巫女「……」

男「でもよかったよ、振られなくて」

巫女「…//」

巫女「わ……わたしも………一目惚れだったんで……す」

巫女「でも………」

男「ん?」

巫女「でも……わたし………」

男「あ!」

巫女「」ビクッ

男「こら!あっち行け!」タタタタ

巫女「??」タタタタ

子狐「クゥゥン?」

男「シッシ!」

巫女「あっ……」

子狐「」タタタタタタタタ

男「ったく……こんな綺麗なところに狐なんか……」

巫女「あ……あの」

男「…?」

巫女「狐……はお嫌いです…か?」

男「うん……だってあんななんだよ?」

巫女「………そ、そうですか……」



男「あ…日が暮れてきたな」

男「じゃ、また明日」

巫女「……」

男「?」

男「またね?」

巫女「……」コク

巫女「また……ね」

―――真夜中

巫女「……ねぇ…」

巫女「わたし……どうしたらいいかな……」

?「辛くなったら戻っておいで」

巫女「でも……男さんが……」

?「それはあなたが決めること」

?「ただね、どうしても……どうしても無理だったら……ね?」

巫女「うん……ありがとう……お母さん」

?「神様から貰った身体、大切にね」

巫女「うん…」

―――翌日

巫女「……でね」

子狐「クゥゥン」

男「おはよ……あ!また!」

巫女「!」

巫女「あ…あ、あの……この子は……その」

男「シッシ!」

子狐「グルルルル」

男「なんだ?人間様に逆らうのか?」バシッ

子狐「キャンキャン!」タタタタ

巫女「あ…!」

男「ふー……」

男「大丈夫だった?」

巫女「な、な……なに…するんで……すか!」

男「え?」

巫女「あの子……が何を……何をしたんですか!」

男「ちょ、ちょ……」

男「だって……あのままだったら怪我してたかも……」

巫女「するわけ……ありません!」

男「でも……」

巫女「帰って……帰って……ください!」

男「え……」

巫女「ハヤク!」

男「」ゾッ

男「あ……う、うん……」タタタタ

巫女「………グスッ……」

ミテルヨ

巫女「やっぱり……」

巫女「やっぱり無理なんだ……」

巫女「……うぅ……」ポロポロ

―――――

男「なんであんな……」

男「……そう言えば昨日なにか言いかけてたような……」

男「関係あるのかな……あそこまで怒るのも……おかしいし」

ガサガサ

男「ん?」

子狐「クゥゥン」

男「お前は……」

男宅

男「ごめんな……」

フキフキ

子狐「?」

男「なんで…叩いちゃったんだろ…」

ヨシヨシ

子狐「」ノビノビ

男「…あ、お前男だろ」

男「動物なんかに嫉妬してたのかよ……」

子狐「」グイグイ

男「お、おい……」トットット

ガララ

子狐「」グイグイ

男「これは……」

男「あの場所の…特集?」

ペラ

『最後の大祭りです!』

『日本最古の神社、取り壊し』

男「え……?」

子狐「」タタタタ

男「あ、おい!」タタタタ

―――――

子狐「クゥゥン」

男「はぁ…はぁ……」

巫女「!」

巫女「おとこ……さん?」

子狐「」タタタタ

男「あ……まて…」

巫女「おとこさん…?」

巫女「おとこさん!?」

……………

?「この方が?」

巫女「うん」

男「う、うー…ん……」パチ

?「あ」

巫女「お、おとこさん!」

男「…巫女…さん?」

男「…ん?……う、うぁぁぁぁ!?」

?「あらやだ、顔みて叫ぶなんて」

男「しゃべったぁぁぁ!?」

男「」ガクッ

巫女「あ……」

?「でもこの子…走っただけで倒れるなんて…」

巫女「肺が1つないんだって」

?「え?それで生きれるの?」

巫女「無理……だと思う…」

?「じゃあ……あら?」

?「これ……」

巫女「……ここだね……20年前の……」

?「………あ!」

巫女「」ビクッ

?「この子……多分あなたと同じよ」

巫女「え?」

?「ここみて」

『取り壊しの様子を写真に―――』

?「この写真の奥、建物よ」

巫女「…あ!」

?「ね?多分ここにこの子がいたんだわ」

?「それであなたみたいに……」

男「う、うーん……」

巫女「あ、また気絶しちゃうから向こうに」

?「はいはい」

?「この事……言うの?」

巫女「……うん」

?「殺されないようにね」

巫女「うん」

男「はっ」

巫女「おき……ました?」

男「あ……巫女さん……」

巫女「あの……まずは謝らせて……ください」

巫女「失礼なことをいって……申し訳ないです……」

男「う、ううん……俺も悪かったし……」

男「そ、それよりさっき喋る狐が……」

巫女「おとこさん…」

巫女「その事で……お話が……あります」

巫女「さっきのは……わたしの母です」

男「え……?え?」

男「でも……君は…人間の……」

巫女「あなたは……覚えてま……すか?」

巫女「20年…前のこと……」

男「20年前のこと……?」

男「………?」

巫女「記憶が……ないのですね」

巫女「20年前……恐らくあなたは死にました……」

男「!?」

巫女「そして神様によって甦った……んだと」

男「…は、話が…」

男「神様に?じゃあなんで君は知ってるの?」

巫女「わたしも……神様によって新たに生まれ……変わったからです」

男「??」

巫女「わたしは……狐でした…」

巫女「あの時……わたしは人間……に憧れていました」

巫女「楽しそうだな……面白そうだな……」

巫女「そこで……わたしは神様にお願いした……のです」

男「な……なんで……ていうか……狐!?」

巫女「…はい……これがあの時言いたかった……言葉です……」

男「じゃあ…あの時に言わなかったのh」

男「…!」

巫女「…狐がお嫌い……と仰った…からです」

巫女「わたし……初めて好きに……なった人に……」

巫女「嫌われ…たくなかったん…です」

男「……そうか……だから君はあの時もあんなに……」

巫女「……神様はわたしの願いを…聞き入れてくれました」

巫女「巫女になること……境内から出ないこと……これを条件にわたしは……人間になりました」

男「……」

巫女「あなたも……条件…があるはずです」

巫女「恐らく…肺が1つしかない……のと、記憶の…消去」

男「そう……なんだ…」

巫女「……さて、なんで……わたしがこんな話を…したのか」

巫女「わかりますか?」

男「いや……」

巫女「わたしは…今日でここを…去ります」

男「なっ!」

巫女「だから…あなたにだけは…全てを知っといてもらい…たかったんです」

男「いや……いやだ…」

巫女「では……」スタスタ

男「いやだ!待ってくれ!」

男「離れたくない!いやだ!」

男「お願いだ…!一緒に……一緒にいてくれ……」

男「狐をあまり好きじゃないのは……確かだ」

男「でも…でも……人間としての君が好きなんだ!」

男「頼む……いかないでくれ…」ポロポロ

巫女「」ニコッ

巫女「ありがとう……」

巫女「そして……ごめんなさい…」

パチン

男「あっ…」ガクッ

―――――翌日

「大丈夫かぁ!」

「いつからここに…」

「瓦礫を退かせー!」

男「……」

―――――
母狐「もうあの子はここに来れないわね」

巫女「うん……」

母狐「良かったの?」

巫女「うん……」

巫女「おとこさん……」

巫女「短い間でしたが……ありがとうございました」

巫女「また…来世ぐらいに会いましょう…」

巫女「さようなら…」

子狐「ねーちゃんはやく!」

巫女「あ、うん」タタタタ


その後、男の3ヶ月の記憶は消えた
今では新しい彼女も出来、幸せな毎日を送っている


終わり

おつ


巫女と男が結ばれるのも見てみたい

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