街のはずれの小さな家に男は居た。
3年前に妻を亡くし水を失った魚のように彼の心は乾ききっていた。
ある日、彼の日課である散歩をしていると、後ろから悲鳴が聞こえた。
振り返るとそこにナイフを振り回しながらこちらに走ってくる男がいるではないか。
「お前を殺してやる」。
何が何だか分からないがとにかく無我夢中で逃げた。
気づけば男は居ない。
「何だったのだろう」
なんとか家に着き安心しきったのか、急に睡魔に襲われ男は寝ることにした。
ここまで書いて帰った、因みに友人は小説なんか書いたことないぜって人
俺もだけど
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自分が襲われたばかりなのに呑気な、とは思うが、その気持ちよりも睡魔が勝った。
何より、不眠症気味の男にとってはこれほどの睡魔は珍しいものだったので、多少の危機感は感じつつも、そのままベッドに倒れこんだ。
久しぶりに、夢を見た。自分の目の前で妻が殺される夢。
妻の血を口に含んだところで、目が覚めた。寝ている間に噛んだのか、頬の内側が切れていた。
軽く口をゆすいで牛乳を沸かす。
ふと昨日の出来事を思い出したが、何故か断片的な、まるで夢だったかのような記憶。
外に雨が降り始めた頃には、すっかり忘れてしまっていた。
それより妻を殺した夢。離婚後、深い眠りに落ちると必ず見る夢だ。毎回、温めた牛乳を飲み、散歩をすることで平穏を取り戻していたが、雨をしのぐ術のない今日は別の手段をとる以外なかった
男は窓際に身体を預け、窓の外の雨音に耳を傾けた。
目を閉じた男が感じるものは、窓越しに冷やされた空気と、絶えず一定の音量で窓を叩く雨粒の音。
温めた牛乳と対極的な感触は、されど同じように男のざわつく心を鎮めていった。
…リン…
…今のは、何の音だ?
窓の外に目をやると小さな金色の玉が転がっていく
ー 鈴? ー
頭をよぎったその時、目の前は金色に覆われ、轟くような鈴の音が男の耳に飛び込んだ。
金色は窓下を覆い尽くしていく。
呆気にとられていたが下からの異臭に慌ててズボンを脱ぐと男は舌打ちした。
どうやら下着まで染み込んでいる。
『すいませーん』
誰かが玄関先で呼んでいる声だ
男は玄関に向い、扉越しに返事した。
訪問者は声の感じから二十歳前後の女。下心もあったのだろうが、それゆえに自分の置かれている状況は扉を開く訳にはいかなかったのだ。
追われてるんです。中に入れて
困惑したが、それどころではない。扉を開き招きいれようとすると、女は悲鳴を上げてその場にうずくまった。
やっぱりな。心の中でそう思ったが、下着は身に着けているわけだし、なにもそこまで驚くこともあるまい。とりあえず女を立たせようと腕を握ろうと手を差し伸べると、女は這いつくばったまま背を向けて走り去っていった
玄関先に転がっていた鈴をひとつ拾い上げた。金メッキを施したばかりの真新しい鈴。
雨に濡れてキラキラと輝いて見えた。
拭きあげると自身の顔が逆さまに映り少し滑稽に思えたが、カサカサになった皮膚を確認せずに済んだので胸ポケットにストンと落とした。
部屋に戻り、まずは替えのズボンに履き替える、下着に白い染みが見えたので、なるほどな。と思ったと同時に何故か安心した。
ただこの雨の中傘もささずに走っていった女のことが多少気掛かりではあったが。
と
も
に過ごした短い日々のそのまたほんの一瞬を写した妻の写真は玄関の収納棚や部屋の壁、テレビ台、枕元と本棚にも飾ってある。
彼女の表情はいつでも笑顔で、それは3年変わることなく、当初は男を安心させていた。が、最近は違う。その表情はむしろ苛立たしく、今日は男を蔑んでいるように感じられた。
けれど男はずっと、写真を捨てたり、片付けようとは考えなかった。それは未練と懺悔、意地もあるだろう。とにかく男は写真に「監視」される生活を課していた。
雨は尚更強く降っていた。
ベッドに横たわり鈴を眺めながら、男は訪ねてきた女の事を考えていた
も
も
み
も
こ
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