ジャン「お前人殺しなんだってな」(14)

エレン「は……?」

ジャン「違うのか?」

エレン「……どこで聞いたんだ、そんな話」

ジャン「噂になってるぜ。エレン・イェーガーは人を殺した、ってな」

エレン「どこからそんな噂が……」

ジャン「実際どうなんだよ、答えろよ」

エレン「俺は……そうだ。確かに人を殺した」

ザワッ

ジャン「うわ……マジかよ、ありえねえ」

エレン「……」

ジャン「お前ら、聞いたかよ? 俺たち殺人鬼と一緒に暮らしてたんだぜ」

ザワザワ……ヒソヒソ……

エレン「でも、俺は……」

ジャン「何だよ? 言い訳できるもんならやってみろ! この人殺し野郎が」

マルコ「ジャン、やめなよ! 殺されるよ!」

ジャン「ふはっwwwwwwww」

エレン「お前なあっ……!!」ガタッ


ミカサ「やめて!!」

ジャン「ミカサ、こんなアブねー奴の肩持つんじゃねえよ」

ミカサ「ふざけないで」ギロッ

ジャン「うっ……」タジッ

ミカサ「エレンは私を守るために戦った。それだけ」

ミカサ「それに……人殺しなら、私だって一緒」

エレン「ミカサ、やめろ!」

ザワザワッ

マルコ「ミカサが……? 本当かな?」

ジャン「嘘に決まってんだろ、ミカサがそんなことする訳ねえ」

ジャン「エレンをかばうための嘘だ」

ミカサ「嘘じゃない」

エレン「ミカサ……」

ジャン「なんでこんな奴のために……!」

アルミン「……実は、僕もなんだ」

ジャン「は?」

アルミン「僕も人を殺したことがある」

ジャン「おいおい、見え見えの嘘ついてんじゃねえよ」

ジャン「お前みたいなひ弱な奴に人殺しなんかできる訳ねえだろ」

アルミン「確かに、力ではかなわないけど……」

アルミン「頭を使えばいいんだ。毒殺とか、いくらでも方法はあるし」

アルミン「その気になれば、事故に見せかけて君を殺すことくらい簡単にできるんだよ」

ジャン「……冗談だろ?」

ベルトルト「僕は人を食べたことがあるんだ」

ジャン「はぁ!? 巨人じゃあるまいし……」

ユミル「私もだ。今の私があるのは、そのお蔭かもな」

ジャン「ユミルまで……!? クリスタ、何とか言ってやれよ!」

クリスタ「生き延びるためにやったことだし、しょうがないよ」

クリスタ「自分が生きるために他人を殺せるか……」

クリスタ「私やあなたにも、その決断を迫られる時が来るかもしれない」

ジャン「何言ってんだ、こいつ……」

アニ「人間の体は意外と脆い」

ライナー「少しの衝撃で簡単に壊れちまう。あっけないもんだよな」

ジャン「お前らは人間じゃねえってのかよ。くだらね―――」

コニー「前に獲物と間違えて人間を仕留めちまったことがあるんだよな」

コニー「でも今じゃすっかり慣れて、人間を狙い撃ちできるようになったぜ!」

サシャ「私も最初は戸惑いました」

サシャ「でも、これが意外と癖になるんですよ。歯ごたえもあって――」

ジャン「はは……こいつらイカレてやがる!!」

ジャン「おもしれ―冗談だよな。お前らもそう思うだろ……?」クルッ

一同「……」ジーッ

ジャン「やめろ……そんな目で俺を見るんじゃねえ……」ガクブル

ジャン「マルコ、助けてくれ――」

ジャン「……あれ?」

ジャン(体の自由が……きかねえ……)フラフラ

ジャン(なんで……こんな……いつの間に……?)

アルミン「ほらね、簡単だった」

マルコ「だから忠告したのに。君が悪いんだよ」

ジャン「やめろ……」ガタガタ

ベルトルト「今まで気づかなかったけど」

サシャ「ジャンって、よく見たら」ジュルリ

すごく、おいしそう――――――――――――――――


ジャン「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああっっっ!!!!!」ガバッ

ジャン「えっ……?」キョロキョロ

シーン

ジャン(何だよ、夢オチか……びっくりした)

ジャン(あー、怖がって損したぜ……まあ、別に怖くなんかねえけどな)

エレン「何だようるせえな、ジャン」ゴシゴシ

ジャン「エレン!?」ビクッ

エレン「何ビクビクしてんだよ、情けねーな」

ジャン(そうだ、こいつはただの死に急ぎ野郎だ……何もビビる必要なんかねえ)

ジャン「なあ、エレン……お前は人殺しじゃないよな?」

エレン「何言ってんだよ、違うに決まってんだろ」

ジャン「だよな」ホッ

エレン「だって、あれは人じゃないからな」

ジャン「」

エレン「俺は有害な獣を駆除しただけだ」

ジャン「」

エレン「たまたま人とかたちが似てたけどな」

ジャン「」

エレン「だから、俺は人殺しじゃない」

ジャン「……」

ジャン「は、はは……マジかよ……」ズルズル

エレン「俺もミカサも人は殺してねえから安心しろよ」

エレン「もちろんアルミンもな。あんな優しいやつが毒殺なんかできるかよ」

エレン「ベルトルトとユミルがなんか言ってたみたいだけど」

エレン「人が人を食うなんてありえねえよ。そんなもん巨人だけで十分だ」

ジャン「お前……なんで……?」

エレン「だから、もう何も怖がる必要なんかないんだよ」

エレン「よかったな、ジャン」

エレン「夢と違って」



おしまい



短編でシリーズ化するのも面白いかも

乙!

何これ怖い

何でエレンはジャンの夢を知っているんだ!?ガクガク

このSSまとめへのコメント

1 :  大行司   2017年08月09日 (水) 16:32:24   ID: T9Q-vPID

エレン有能な人材だよ

2 :  光岡   2017年08月09日 (水) 17:13:00   ID: T9Q-vPID

此れ続きないんですか?楽しく読めた。

3 :  用瀬   2017年08月09日 (水) 18:03:08   ID: T9Q-vPID

結局夢だったか・・・

4 :  天応   2017年08月09日 (水) 19:45:32   ID: T9Q-vPID

お疲れ様
乙!!

5 :  彦根駅   2017年08月09日 (水) 20:27:26   ID: T9Q-vPID


良かったです

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