勇者「魔王倒したらやることねぇ」 (110)
勇者「うらああああっ」ザンッ
魔王「ぐぅ……」
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ーーー人間界と魔界のはざまーーー
聖剣士「トドメだっ!」ジャキンッ!
魔王「ぎゃあああ……」
勇者「終わりだぜ」
魔王「余が人間に負けるとは……くっ、だが終わらせない。ゲートは閉じさせんッ」ダダダッ
聖剣士「逃げる気かっ!」
勇者「待てっ聖剣士! 追うなっ戻ってこれなくなっちまうぞ!」
聖剣士「これは俺の役割なんだ! キミは帰って!」
勇者「ふざけんなッ! おめーも帰んだよっ!」
聖剣士「もし“彼女”に会えたら伝えてくれ……『信じて』と」
聖剣士は光の魔法を放った!
キュイィィィン
勇者「ぐあああぁッ……聖剣士ぃぃ!」
勇者(ふざけんな…………どう考えても俺様の役目だろ。ふざけんな……聖剣士)
魔王を倒し、魔界へのゲートは閉じられた。
永きにわたる魔族との戦争は終わりを告げた。
THE END
最終決戦より半年後……。
ーーー王都 王宮ーーー
勇者「ふわぁああ……zzz」
勇者(退屈だ……)
勇者(戦争が終わっちまったら、やることねぇな)
勇者(散歩でもすっか…なんか面白いことねぇかな)
ウロウロ……
貴族嬢「あ! 勇者様ぁ! 何してるんですか?」
勇者「うげっ」(めんどくせえ)
貴族嬢「旅の話聞かせてくださいよー。どうですか? 今晩」
勇者「前にも言ったけどよ、旅の話は聞いて楽しいもんじゃねぇよ」
貴族嬢「過酷だったんですよね。そのおかげで今の平和があるんですよね」ニコッ
………ズキッ
勇者(痛ッ…………最近頭痛がひでぇ、酒飲み過ぎてるからな)
貴族嬢「勇者様? 今晩……どうですか?」
勇者(女も抱き飽きたな)
勇者「わりぃ、予定あるんだ」
貴族嬢「そうですか……」
ーーー王宮・玉座の間ーーー
王「おう、勇者君。元気かい?」
勇者「おかげさまで……暇で死にそうだが」
王「あはは、平和な証拠だ」
……ズキッ
勇者「痛ッ……」
王「勇者君? 大丈夫かい?」
勇者「二日酔いの頭痛だ。問題ねぇよ、俺様になんか仕事とかねぇか?」
王「ええ??! いつも何お願いしてもやってくれないのに…よっぽど暇なんだね。………ふむふむ」
勇者「みんなが困るような強力な魔物とかいねぇ??」
王「いや、魔王がいなくなって魔物は大人しくなったよ」
勇者「兵士に剣の指導とか」
王「いや、魔族との戦争のおかげで、各国との平和協定は結ばれたまま。あまり兵力を必要としてないなー」
勇者「捕まえたい凶悪犯罪者とか?」
王「戦争に出払っていた兵を警備に戻したから、治安はいいんだよねー」
勇者「平和って退屈だな」
王「平和な世界では“剣”より“学問”が武器になる。勉強でもしたらどうよ?」
勇者「うげぇ……俺様が勉強? そりゃ催眠魔法かけられてるのと同じだ」
王「キミには強いままでいて欲しいんだよね……ふむふむ……そだ」
勇者「あ?」
王「魔族の残党狩りをお願いしようかね」
勇者「残党狩り? 魔王いねぇのに、魔族がまだいんのか」
王「うにゃ、我が中央大陸の王都軍が専門のパーティを組んで狩りをしている。そこに入ってもらうかな」
勇者「ハハッー! 俺様にピッタリの仕事あんじゃねーか」
王「まあ、キミほどの強さは必要ないんだけどね……」
ーーー西大陸・山岳地帯ーーー
勇者「うらあぁぁああっ! 」シュッ
魔族A「ぎゃああ」
魔族Aを倒した!
勇者「死ね死ね死ねっ!」シュッシュッシュッ!
魔族B「ぐおおおっ」
魔族C「ああああぁぁっ」
魔族D「びゃああああああああっ」
魔族Bを倒した!
魔族Cを倒した!
魔族Dを倒した!
勇者「ふぅ……たまには何か斬らねぇとな」
衛生兵「あいかわらず半端じゃない強さッスね…」
女兵士M「あぅ……さすが勇者様」
隊長「ふぇぇ……とんでもねぇ」
勇者「おめーら……王都直属の魔族狩り精鋭部隊?」
隊長「そ、そうであります!」
女兵士「は、はい」
衛生兵「足手まといにならないよう頑張るッス」
勇者「すっげー弱ぇな」
衛生兵「僕らが、この作戦で一番弱いパーティッス…だから勇者様が配属されたんでしょうけど」
勇者「他にも魔族狩りの部隊がいるってわけか、負けてらんねぇぜ」
隊長(勝ち負けの問題じゃない気が……)
女兵士M「私達の担当は終わったし帰ろー」
勇者「何言ってんだ、山頂付近も探索すんぞ」
隊長「あ、あの……そっちは他の部隊が……」
勇者「他の奴らに負けてぇのか? 獲物渡してたまるか。ハハッー」
衛生兵「……」
女兵士M「……」
隊長「……」
……3日後
ーーー中央大陸・王都ーーー
王「さっすが勇者くん。魔族討伐数46……全部隊でダントツだ」
勇者「ったりめーだ。へへ」
王「まったく強さが衰えてなくて安心したよ」
勇者「次の作戦ではもっと殺すぜ」
ーーー西大陸・廃都(旧帝都)ーーー
勇者「くらええええっ!!」
勇者は爆炎魔法を放った!
ゴオオォォォッ
魔族達「「「ぎぁああああああっ」」」
魔族戦士を倒した!
魔族魔法使いを、倒した!
魔族僧侶を倒した!
勇者「ふん、なかなか骨がある奴らだったな」
衛生兵「これを無双って言うんスね」
勇者「……懐かしい」
女兵士「勇者様? どうしたんですか?」
勇者「ここは俺様の故郷なんだよ、すっかり廃墟だけどな」
隊長「そうでしたか……少し思い出の地を見て回りますか」
勇者「いーや、未練はねぇ。俺様が俺であった頃には戻れねぇよ」
女兵士「故郷の思い出は?」
勇者「穏やかな日常からの悲劇、そして戦いの始まりだな」
衛生兵「あなたは魔王に勝った。この国を再建して、再び穏やかな日常を取り戻せるんスよ」
勇者「いーや……戻れねぇよ」
第24回魔族討伐作戦~勇者パーティ討伐数72
ーーー魔大陸・魔王城跡ーーー
女兵士M「こ、ここに入ります? 私達……」
勇者「ここが一番魔族いそうじゃねぇかよ」
衛生兵「なんか凄いドラゴンが住みついたって噂があるッスよ」
勇者「ラストバトルで魔界へのゲートが一瞬開いたからな。とんでもないドラゴンかもな……」
隊長「いやいやいや……」ガタブル
勇者「裏ボスってわけだ。ハハッー行くぜっ!」
衛生兵「ひぃぃっ……」
女兵士M「……………死ぬ……私死ぬぅ」
隊長「いやいやいやいやいや……ぃゃ……」
……
第25回魔族討伐作戦~勇者パーティ討伐数21 +ドラゴン討伐
ーーー魔大陸・南部森林ーーー
勇者「な、なんだと?!?!」
隊長「え、あ、はい……前回の作戦では討伐数トップは別の部隊でした……」
女兵士M「まあ、ドラゴンと戦ってましたから、仕方ないですよ」
勇者「く、くそぉぉ! 哀れんじゃねぇ! おめーらがもっとしっかりしてりゃーよっ!」
女兵士M「あぅ~……また怒られた」ポッ
衛生兵「そんな悔しがらなくても……別に給料変わらないッス」
隊長「前回トップの部隊は討伐数50、なんでも凄い新人が入ったとか」
勇者「ふん、面白くなってきたじゃねぇか」
探索すること数時間。
勇者「おい、ウスノロ女。おせーよ、ちゃんと付いて来い」
女兵士M「あ、はいっ……あぅ~」
スタスタ……
隊長「な、なんだあれ?」
衛生兵「これは……魔族の村??」
勇者「まだ魔族の集落があったのか」
衛生兵「魔王亡き今……ヒトに見つからぬよう、ひっそりと暮らしていたんスね」
勇者「ふん……」
勇者「焼き払うぞ、これで討伐数が稼げる。ラッキーだぜ」
衛生兵「え?! 正気ッスか?! ただの村人しかいないッスよ?」
勇者「あ?」
隊長「魔族といえど……女子供を殺すのはちょっと……」
勇者「何綺麗事言ってだよ、俺ら人間が魔族を滅ぼしたんだぞ? 弱肉強食だ、モンスターの巣を焼き払うのと同じだ」
衛生兵「……たしかにそうかもしれないッスけど」
勇者「ま、いいか。俺様がやるよ、おめーらはそこで休んどけよ。こーゆーのは昔から俺様の役割ってな。慣れてるわ」ニィ
隊長「……」
衛生兵「……」
女兵士M「……」
勇者「ふぅ……ひさびさに全力の魔法だ…………はぁぁ……」
勇者は爆炎魔法を放った!
第26回魔族討伐作戦~勇者パーティ討伐数102
ーーー中央大陸・王都ーーー
王「おかえり勇者君、俺っちの期待通りの働きだ」
勇者「当然だ、今回の作戦は俺様トップだろ?」
王「トップといえばトップだけど、偶然にも討伐数同数で同率一位だね」
勇者「な、なんだと?! 俺ら以外にも100越えが?! 例の新人か……」
王「うにゃ、キミの良く知る人物だよ」
勇者「あ?」
王「戦争中キミと旅をし、生き残った数少ない仲間だ」
勇者「誰だ? 俺様について来れなくて、パーティ何人も入れ替わったからな」
王「いつも仲間の少ない“勇者”だったもんね」
勇者「足手まといはいらねーって誰だって思うだろ」
王「ふむふむ……だからこそ、その強さがある訳だ。その普通の“勇者”を反転したような考え好きだよ」
勇者「次の討伐作戦はいつだ?」
王「それがね……あらかた探索したから、しばらく無いよ」
勇者「……」ガーン
王「闇雲に魔族探してもね……見つからないし、また情報入ったら教えるよ」
トボトボ……
勇者(またやることなくなっちまった……)
女兵士M「勇者様ー!」
勇者「あ? なんだウスノロ女か」
女兵士M「あう、また冷たい態度」ポッ
勇者「なんだよ? 用がねぇなら行くぞ」
女兵士M「あ、あの……一緒に買い物行きませんか?」
勇者「なんで俺様がお前と一緒に行かなきゃならん」
女兵士M「あ、う……」
勇者「あ、俺様に装備選んでほしいのか。たしかに前から思ってたんだよ、ウスノロのくせに重装備過ぎるんだよ」
女兵士M「え、じゃあ……」
勇者「防具屋行くぞ」
女兵士M「や、やったー」ニッコリ
…………ズキッ
勇者(痛ッ……頭痛……酒飲んでねぇんだけどな)
……
3日後。
……ズキッズキッ
勇者(くそ……最近は何もしなくても頭痛ぇ)
女兵士M「勇者様ーどっかお出かけしましょーよ」
勇者「うるせーっ!てめーの声は頭に響くんだよ、どっかいけ!」
女兵士M「あう~怒られた……」ポッ
……
5日後。
……ガンッガンッ……
勇者(くそぉ、頭痛くてベットから起き上がれねぇ)
勇者(病院行っても原因不明だしよ……)
衛生兵「大丈夫ッスか? 勇者様。なんか体調悪いらしいじゃないッスか」
勇者「な、なんでもねぇよ。それより、討伐作戦はまだねぇのか?」
衛生兵「はい……」
勇者「んだよ……」
……
さらに10日後。
勇者「おえぇぇ……」
勇者(きちぃ……吐き気に頭痛。おまけに手足が痺れてる)
勇者(なんなんだ?! 呪いにかかった形跡もない……)
隊長「勇者様? 討伐作戦の指令が出たんですが……無理そうですかね?」
勇者「なに?! そうか……いや行くよ……」
勇者(ずっと部屋にいるのがいけねぇのかも……)
とりあえずここまで。
よろしくお願いします。
支援
期待
ーーー南大陸・砂漠ーーー
勇者「うらあああああっ!!」ザンッ
魔族兵「ぎゃああああ!」
魔族兵を倒した!
勇者「ふんっ」シュッ
魔族術師「おわぁ……」
勇者「逃がすかっ」
魔族術師「た、たすけて……」
勇者「死ねっ」ズバッ
魔族術師「ああああぁぁ……」
魔族術師を倒した。
衛生兵「よかった……全然元気ッスね」
勇者「……」
勇者(急に体調よくなった……やはり引きこもってたのが良くなかったか?)
女兵士M「さっすが勇者様ぁー」
隊長「あれ? 他の部隊がこっちに来ます」
ザザッ……ザザッ……
勇者「おおっ! 戦士じゃねぇかっ!」
戦士「…………勇者。久しぶりだ」
勇者「ハハッー。相変わらず無愛想だな。ってことは、討伐数荒稼ぎしてる新人って……」
戦士「貴方とまた戦えるのは嬉しい」
勇者「ハハッー! おめーだったか! 納得だぜ」
戦士「……貴方も相変わらずの強さだ」
勇者「今はライバルだ。今作戦は負けねぇ、おめーも全力だせよ」
戦士「承知した」
勇者「おっしゃ、行くぜっ」
……
第27回魔族討伐作戦~
勇者パーティ討伐数42
戦士パーティ討伐数37
ーーー中央大陸・王都ーーー
…………ズキッズキッ
勇者(作戦から帰ってくると体調悪くなるな……)
女兵士M「わぁー! 勇者様見て見て、サーカスだよ~」
勇者(気晴らしに外に出てみたが、良くならねぇな)
女兵士M「勇者様からデート誘って貰えるなんて幸せ過ぎます!」ニッコリ
…………ズキッ
勇者「くっ」
女兵士M「ゆ、勇者様……また体調が?」
勇者「なんでもねぇよっ!」
うわあああああっ!
女兵士M「?」
勇者「なんだ騒がしいな」
街人「大変だっ!! サーカスから魔物が逃げて暴れてるぞっ!」
街人「に、にげろー!」
ドオオォォッ!
魔物「グオオオオオォォッ」
女兵士M「ふぇぇぇ」
勇者「どけ、ウスノロ女」
ダダダッ……シュッ
勇者は素手で魔物に攻撃!
ドォンッ
魔物「ギャオオオオォォッ」
魔物を倒した!
勇者「ふん」
女兵士M「キャ☆ さっすが勇者様ぁー」
街人「おぉー勇者様だ」
街人「ありがとー」
勇者(?……頭痛が少し引いてる……)
……
数日後。
……ズキッズキッ
勇者(色々試したが戦ってると頭痛が和らぐ)
勇者(戦争が終わって、戦いが無くなったらこのザマかよ)
勇者(平和、戦いの無い世界を望んで戦ったのに、戦いがねぇとダメな人間か……)
勇者(どうすりゃいいんだ……)
……ガンッガンッ
勇者(くそ……頭が割れそうだ……)
勇者(街の外へ……魔物を狩りに行くか……)
……
さらに数日後。
……ガンッガンッガンッ
勇者(くそぉ……魔物と戦うくらいじゃ満たされなくなってきた)
勇者「王よ……魔族討伐はまだか?」
王「おおー勇者くん。ちょうどキミを呼びに行かせてたんだ」
勇者「お、作戦開始か?!」
王「うにゃ……けど、今回はちょっといつもと違う」
勇者「あ?」
王「とある要塞の兵士達が全員殺された。魔族の生き残りの仕業だと考えられる」
王「調査に送った部隊も連絡が途絶えた。おそらく罠を張って待っているようだ」
勇者「なるほど、おもしれーじゃねぇか」
王「その要塞に行って、調査と奪還が今回の作戦だ、専用にパーティメンバーも揃えたよ」
勇者「俺様一人で十分だが」
王「そういわないでよー、みんな入って」
ガチャ
戦士「……」
衛生兵「どもッス……」
女魔法使い「や、勇者。久しぶりだね」
勇者「お、女魔法使い?!」
女魔法使い「最終決戦以来か、相変わらず目つき悪いね」
勇者「へっ、相変わらずの巨乳だな。そういや乳揉ませてもらってねぇぞ」
女魔法使い「しね」
王「今作戦は、戦時中キミがパーティを組んだことのある者を選んだ。昔一緒に旅した仲だ、これ以上強いメンバーはいないっしょ」
ここまで。また昼間に…
乙
これは生き残りの魔族に復讐されても仕方ないパターン
ーーー南大陸・砂漠ーーー
ザッ……ザッ……
勇者「あちぃぃ……」
戦士「……旅を思い出す」
勇者「前にもこの砂漠で魔族狩りしたな」
女魔法使い「二度とゴメンだと思ったのに、またあんたとパーティ組む日がくるとわね」
勇者「うれしいね~」ジィ…
女魔法使い「人の胸見ながら言われても嬉しくないっての」プィッ
勇者「ラストバトル後……何してたんだ?」
女魔法使い「何も……戦争は終わったけど、あまりに犠牲が大き過ぎて」
勇者「……」
女魔法使い「引きこもってた。あんたみたいにすぐ立ち直れないわ」
衛生兵「みんな少しづつ新しい道に進むしかないんスよね」
女魔法使い「平和な世界を……生きる生き方を探さないとね」
勇者「生き方なんて、そうそう変えられねぇよ」
衛生兵「そんなことないッス! 僕はいつか……戦いの記憶を本にして出版するんだ!」
戦士「……お前の夢なんて誰も聞いてない」
勇者「そういや、最終決戦の王都報告書見たか?」
女魔法使い「ああ……“彼女”の存在が抹消されてた。あれじゃラストバトルで何が起こったのかわからない」
勇者「空白のラストバトル……ってか?」
戦士「報告書を改ざんしたのは……王様か」
勇者「あの王のヤローは何考えているのかわからねぇ。この作戦も何か裏があるかもな」
衛生兵「どうしてそう思うんスか?」
勇者「平和な世界で兵力はいらねーと言っておきながら、俺様には強いままでいてほしいだとよ」
衛生兵「……」
ザッ……ザッ……
ーーー南大陸・砂漠要塞ーーー
衛生兵「ついたっ! ここが入り口ッス」
勇者「乗り込むぜっ!」
女魔法使い「ちょ、ちょっと待って。正面から行く気? 」
勇者「ああ……なんか問題?」
女魔法使い「罠があるって言ってたじゃん……」
勇者「だから? 俺様は魔王倒した“勇者”だぞ? 罠にかかってやるくらいのハンデがなきゃ楽しめねぇだろ?」
女魔法使い「うわ、でたよ……だからあんたとパーティ組みたくないんだよ」
勇者「戦士、どっちが多く魔族仕留められるか勝負な!」
戦士「承知した」
衛生兵「うぇぇ……チームで戦う気ゼロじゃないッスか。僕は罠に入りたくないッス……」
勇者「あそ、じゃあここで待ってろよ」
衛生兵「はい、どうせ役に立てないし……」
スタスタ……
衛生兵「ハッ……こんなとこで一人で待つとか……確実に死亡フラグ?!?! ま、待ってくださいッス~やっぱり行くッス~」
……
スタスタ……
勇者「死体だ、首を一突き」
衛生兵「この要塞の兵士は全員殺されたんスね…4、50人?」
カシャ
女魔法使い「ん? ナイフが落ちてる……」
戦士「そ、それは」
勇者「……なんか見覚えあるナイフだな」
戦士「これはあいつの……」
勇者「あー! あのピエロ魔族か!ハハッー面白くなってきた」
女魔法使い「なに?」
勇者「前に殺し損ねた魔族の武器だ、薄汚ねえ高笑いが聞こえてきそうだ」
衛生兵「……」ガクブル
キィィィン!
勇者達の足元に黒い魔法陣が浮かび上がる……
勇者「お出ましか」
衛生兵「うわぁ」
勇者達は攻撃力が下がった。
勇者達は防御力が下がった。
勇者達は素早さが下がった。
勇者達は魔力が下がった。
魔族道化師「うひゃひゃひゃひゃー!」
勇者「おめー……一人? しかも罠ってこれだけ?」
魔族道化師「うひゃー勇者じゃん。オイラついてるなぁ」
勇者「こんなんで俺様に勝てると思ってんのか? 爆弾でも仕掛けとけっての」
魔族道化師「うひゃひゃひゃ。直接殺さないとオイラ満たされないんだよっ!」
ダダダッ……シュッ!
勇者「おっせー」スカ
魔族道化師「うひゃー」シュッ
勇者「ふん、あたらねーよ」キンッ
女魔法使い「遊んでないで仕留めてよっ!」
魔族道化師「うひゃひゃひゃひゃーはぁっ!」ボォォオン
魔族道化師は暗黒魔法を放った!
戦士「くぅ」
女魔法使い「キャ」
衛生兵「うわぁ眼が」
勇者「ありゃ……視界が」
魔族道化師「うひゃひゃひゃ……うひゃひゃひゃひゃ~これで何も見えないだろ~」
女魔法使い「衛生兵っ! リカバリーをっ!」
魔族道化師「させないよーうひゃー」シュッ
衛生兵「ぎゃあああっ」バタ……
女魔法使い「衛生兵?! く、何も見えない……」
戦士「くっ!!!」サッ
魔族道化師「うひー、見えてないのに避けられた」
女魔法使い「そこね!」ゴォォオッ
女魔法使いは火炎魔法を放った。
魔族道化師「うひゃハズレー見えないからって、闇雲に攻撃すると仲間にあたっちゃうぞー」
勇者「へっ……じゃぁ……」
勇者「この部屋ごと吹飛ばすまでだっ!!!」
勇者は爆炎魔法を放った!
ズオオオオオォォン
自らの足元に放った魔法により、要塞の半分が吹き飛んだ。
…………
ガラガラ……
勇者「痛、つつ……」
女魔法使い「ケホケホッ……もう! だからあんたと組みたくないんだよ」
戦士「……視界が戻った」
女魔法使い「よかった……衛生兵はまだ生きてる」
女魔法使いは回復魔法を放った。
勇者「ピエロヤローは何処だ?」
戦士「……ここだ」
魔族道化師「いででで……殺し合い楽しーでもオイラピンチ!」
勇者「じゃ死んでもらうぞ」
魔族道化師「うひゃひゃひゃひゃー待って待って……オイラ見逃してくれよー他の魔族の隠れ里の場所教えるからさー」
勇者「どこだ?」
魔族道化師「うひゃ、言ったら殺す気だろ~」
勇者「おめー言う気ねぇだろ。じゃぁな死ね!」スゥ
女魔法使いは石化魔法を放った。
ガキィイン!
勇者「な?!」
魔族道化師は石化した。
女魔法使い「……。情報を持ってるかも、生け捕りだ」
勇者「チッ……また殺し損ねた」
ここまでです。また夕方これたらきます。
乙
ーーー中央大陸・王都ーーー
勇者「俺様に魔族道化師の拷問させろよ」
王「いや、拷問で口を割るような奴ではないよ」
勇者「狂ってるからな……」
王「典型的な殺人鬼だよ、まともな会話は出来そうにない」
勇者「…………」
王「魔族道化師を北大陸の“修道院”に護送してくれ」
勇者「北大陸の修道院?」
王「極秘だか、そこで色々な研究をしていてね。そこなら情報を引き出すことができるかもしれない。ふふん」
勇者(やっぱ、何考えてるかわかんねぇな。何企んでやがる……)
勇者「護送なんてつまんねーな」
王「うにゃ、そうだろうけど王都騎士団は魔王との最終決戦の時に壊滅しちゃったから、今再編成中なんだ。上位魔族に対応できそうな者が他にいない」
勇者「えー」
王「たのむよ~」
勇者「わあったよ」
王「飛空船を出す。行って帰ってくるだけだ、頼んだよ」
ーーー北大陸・上空 飛空船内---
パラパラ……勇者達を乗せた飛空船は修道院を目指して空を進む。
勇者(わりと体調いいな……)
魔族道化師「うひゃひゃひゃひゃ、お前もいい眼になってきたな」
勇者「……?」
魔族道化師「うひゃ、受け入れろ。楽になれるぞ……ひゃひゃひゃ」
勇者「うるせー……女魔法使い、また石化させろよ」
女魔法使い「相手にするなよ。長旅なんだから」
衛生兵「いざってときの為に魔力は残しておいた方がいいッスよ」
勇者「なんも起きねーよ。たかが魔族一匹護送に大袈裟なんだよ……なぁ戦士」
戦士「……ん? なんだ? すまん、聞いてなかった」
勇者「てめー無愛想にもほどがあるぞ」
女魔法使い「砂漠のあとは北大陸か。寒いんだよね」
勇者「昔、二人で旅したな」
女魔法使い「思い出したくもない」
女兵士M「……」ジィーーーーーー……
勇者「おわっ! ウスノロ女?! なんでいんだ?!」
女兵士M「見ての通り、飛空船を操縦してるんです! それより、なんなんですか?!その女!」
勇者「あ?」
女兵士M「私がいないところで……」ウルウル
女魔法使い「……」(めんどくさ……)
勇者「別に関係ねぇだろ。前見て操縦しろ!」
女兵士M「あぅ……ひ、ひどぃぃ」エーン
グラグラ……
衛生兵「うわぁ」
勇者「て、てめぇ、ちゃんと操縦しろ!」
---北大陸・聖都修道院---
司祭「勇者殿。ようこそ、修道院へ」
勇者「おぅ、随分仰々しい建物だな、まるで監獄じゃねぇか」
司祭「この地域は平気で何週間も雪が止まない。しっかりした建物でないと積雪で潰れてしまうのじゃ」
女魔法使い「ここへ近づいたら、急に天候が悪くなったわ」
女兵士M「雪っていうよりはブリザード……とても飛空船を出せないです」
司祭「お越しいただくタイミングが悪かったですな、待てば天候は回復します。部屋を用意しています、ゆっくりしていってくだされ」
衛生兵「魔族道化師は……どうすれば?」
司祭「中央大陸の王様より、連絡は受けておりまする。私達で地下の牢へ運びます。お前達頼んだぞ」
修道士1「……」
修道士2「……」
修道士3「……」
修道士達は魔族道化師を連れて行った。
勇者(気味が悪りぃ連中だ)
司祭「護送ご苦労様であった。あとは我々が引き継ぎまする」
---修道院・客間---
女魔法使い「不気味な施設ね」
勇者「まー関係ねぇよ、俺らの仕事は終わりだ」
衛生兵「でも、天候がどんどん悪くなってるッス……凄い吹雪……」
女兵士M「帰りたくても帰れない……あぅ~」
戦士「……」
……
次の日。
勇者「ぜっぜん雪止まねぇな」
女魔法使い「退屈……。衛生兵、何してるんだい?」
衛生兵「今までの戦いを文章にしてるッス。これからの平和世界では、戦いなんて書物の中だけになるッスよ」
女魔法使い「へぇ、出版できるといいね」
勇者「くだらね……」
……
3日後。
……ズキッ
勇者(く、頭痛始まっちまったか。ここんとこ、調子良かったんだが……)
今日はここまで。見てくれた方ありがとうございます。
乙乙
乙!
衛生兵「吹雪やまない……」
女兵士M「ゆうしゃさまー! 修道院の中、探検しましょーよ」
勇者「あーうるせーウスノロ女、甲高い声出すな!」
女兵士M「あぅ」ポッ
勇者「気晴らしにブラついてみるか」チラ
女魔法使い「ん? なんだよ?」
勇者「なんでもねぇよ、行くぞウスノロ女」
女兵士M「はーい」ルンルン
……スタスタ
女兵士M「あっちが礼拝堂ですね」
勇者「こっちは回廊か」
女兵士M「この部屋は食堂ぉ」
勇者「この中は図書室」
女兵士M「こっちは修道士達の居住室ですね」
勇者「……娯楽室はないよなぁ」
女兵士M「ここは聖堂……綺麗……。こんなところで結婚式挙げれたら……キャ」ポッ
勇者「全然面白くねぇな……あとは地下だな」
カツカツ……
女兵士M「な、なんか怖い……」
ムギュ
勇者「おい、ウスノロ女。くっつくな」
女兵士M「だ、だって~」
勇者「てめぇ仮にも王都の兵士だろっ。びびってんじゃねーよ……」
……スタスタ
勇者「ここはなんだ?」
ガチャガチャ
勇者「開かねぇな」
司祭「ならん!」
女兵士M「わぁっ……びっくりした……」
司祭「その先は禁域。“神”に身を捧げた者しか入ることは許されん」
勇者「あ?……何聖職者ぶってんだよ。聞いたよ、色んな研究してんだろ?」
司祭「たしかに研究はしている。しかし、全ては神への信仰の為じゃ」
勇者「神への信仰ねぇ……」
司祭「神は全てを反転させてくる。悪、不幸、闇、苦、破壊、死。この世のすべてじゃ」
女兵士M「……」
勇者「信仰とか興味ねぇわ。そういや魔族道化師はどうなった?」
司祭「地下牢にて拘束しておる。魔族とは人間を生物的に反転させた存在、あやつは我々の研究の被験体となる」
勇者「反転の研究ねぇ、意味わからん」
……
さらに3日後。
女魔法使い「雪が止まない!!! ああ~! こんなトコにこなきゃよかった~」
衛生兵「退屈で発狂しそうっスね……」
女兵士M「勇者様と一緒に居られるなら何日でも大丈夫です☆ ね、勇者様?」
勇者「あ?」
女兵士M「あぅ……冷たい」ポッ
……ズキッズキッ
勇者(くっそ……頭痛をどうにかしねぇと)
勇者「おい! そこのジジイ」
修道士「は、はい?」
勇者「近くに魔物がいるところはねぇか?」
修道士「い、いえ……この修道院は湖の真ん中にありますので……安全です」
勇者(くそっ魔物狩りもできねぇ、痛ぇ……)
女魔法使い「外へ出る気? この吹雪じゃすぐ凍死するわ」
……ズキッズキッ
勇者「く、戦士」
戦士「……なんだ?」
勇者「ちょっと俺様と剣技の試合しねぇか? 身体を動かしてぇ」
戦士「……構わないが、俺では貴方の相手にならない」
勇者「何言ってんだ戦士、おめーは俺様が認めた相棒だろうが。 十分強ぇよ」
戦士「……ふ、いつか貴方に勝ちたい」フッ
勇者「ハハハッ、それで笑ってんのか? 無愛想過ぎるわ」ハハッー
戦士「……手加減はしない」ニィ
勇者「おしゃ、いくぜぇ」
ガキィインッ
女魔法使い「ちょ、ここでやんの??」
キンッ!
キンッ!
女兵士M「勇者様がんばれ~」
勇者「はあああっ!」
ドォォォンッ!
……
さらに5日後。天候は良くならない。
…………ガンッガンッガンッ……
勇者(く……そ……頭に電撃魔法くらってるみてぇだ。手も震えが止まらね)
女兵士M「ゆ、勇者様大丈夫ですか?」
勇者「く……か……」
女兵士M「あ、あ、起きないで。そのままベットで寝ててください。今お医者さん呼びましたから」
女学士「医者ではおまへんけど」
勇者「だ、だれだ?」
女学士「この施設で研究員してる女学士っちゅーもんや」
勇者「……」
女学士「どないした?」
勇者「頭痛……吐き気、悪寒、痺れ……なんの症状だ?」
女学士「……。ちょい、失礼」ス…
女学士は脈や瞳孔を確認する。
女学士「なるほど。お嬢はん、ちょいと部屋の外へ出てほしいんやけど?」
女兵士M「あ、はい……変なことしないで下さいね」
スタスタ……ガチャ
女学士「ほな、勇者はん」
勇者「あ?」
女学士「禁断症状や、そないなるまで我慢するなんて、ごっつう根性あるな」
勇者「禁断症状?」
女学士「依存症や。何我慢しとるんや? ドラッグか? 酒か? 快楽魔法か?」
勇者「ちげぇよ、どれもやってねぇし……頭痛薬とかねぇのか?」
女学士「症状を抑える薬は作れるかもしれへん。調合するから、2、3日待っとくれや」
……
勇者(原因不明って……どうすりゃ)
…………ガンッガンッガンッ……
勇者(くそ……痛ぇ……)
……キィィィ……
勇者(……耳鳴り、く、意識が……)ガク……
…………
次の日
衛生兵「勇者様っ! 大変ッス! 起きてくださいッ」
勇者「ZZzz……うあ?」
衛生兵「起きてくださいっ! 魔族道化師が逃げたッス!」
勇者「なんだと?!……痛っ……」
ここまで。次は明日になると思います。ちょうど半分くらいまで来ました。
おつおつ
ーーー修道院・地下牢ーーー
もぬけの牢屋に見張りと思われる修道士の死体が転がっている。
司祭「申し訳ない、腕の立つ修道士に見張らせていたのじゃが……」
勇者(ゆっくり斬り刻まれて殺されてる……)
司祭「どうやって拘束を解いて、牢屋から逃げたのか……」
勇者「逃げたっつっても、外は猛吹雪じゃねぇか。まだこの修道院の何処かにいるってことか」
女魔法使い「魔族は人間より寒さに強いとはいえ、さすがにこの吹雪じゃ外には出れないでしょ」
衛生兵「僕らで探しましょ、あいつは危険過ぎるッス」
勇者「だな。狩ってやる……」ニヤリ
司祭「かたじけない……禁域すべての出入りを許可しよう」
…………
勇者、女魔法使い、衛生兵でパーティを組み、しらみつぶしに捜索をする。
ーーー修道院・地下ーーー
衛生兵「何処にもいないッスね……あとは地下だけッスか」
ガチャガチャ……
女魔法使い「鍵がかかってる? いや、扉に何か書いてある。仕掛けを解かないと開かない仕組みか」
勇者「なになに……『天と地の間の龍が彷徨う空。その劔に光を……』……あーうぜー。余計に頭痛くなる」
衛生兵「僕に任せてくださいっス! 天とは天上のこと……地とは床のこと……龍とは……えーと……」
女魔法使い「……司祭さんに開けてもらえば?」
勇者「……あー頭痛ぇ」イライラ
衛生兵「あ、そうか!……あ、いや、ちがうか。つまりアレは……」
勇者「オラァァァッ!!」
勇者は扉に攻撃!
ドォンッ!
衛生兵「えええええー?!?!」
扉を倒した!
勇者「ほれ、開いたぞ」
女魔法使い「あんた怒られるよー」
勇者「うっせ。旅してるときもあったんだけどよ、鍵のかかった宝箱とか仕掛け付きの扉とかは、いつもぶっ壊すことにしてんだ俺様」
衛生兵「……」
女魔法使い「ま、司祭さんに何処でも入っていいって言われたしね」
勇者「いこーぜ」
スタスタ……
ーーー修道院・地下研究室ーーー
衛生兵「ここは……研究室っぽいッスね」キョロキョロ
勇者「何研究してんだ?」
パラパラ……
女魔法使い「いろんな資料があるね、アンデット、聖剣、魔族……」
ガサ……
勇者(誰だ?!)
女学士「ここにもおらへんよ、ウチはずっとここにおったんやから」
女魔法使い「女学士さん……」
勇者「なんなんだ? この修道院は?」
女学士「いろいろ極秘なんやけど」ニタァ
衛生兵「……」
勇者「ん? これは……騎士団長のエンブレム? 沢山あんぞ」
女学士「それは試作品や。死を生に反転させるアイテム」
女魔法使い「蘇生ってこと? そんなのあったら何も怖くないね」
女学士「まだ未完成やけどな、なんせ死ぬと発動するアイテム。シクると死んでしまうんで試せん」ハハ
勇者「反転の研究って、そーゆーことか」
女学士「ふふふ。逆も然り、生を死に反転させる魔法とかな」
衛生兵「即死魔法……恐ろしいッス……」
ーーー修道院・最下層ーーー
勇者(頭痛ってぇが、若干和らいでいる気がする。なんでだ?)
衛生兵「あれ? 行き止まりッス」
女魔法使い「地下水路だ。でも……カッチカチ凍ってる」
勇者「意味ねぇ水路だな」
ーーー修道院・聖堂ーーー
勇者「司祭さんよー全部調べたが何処にもいねぇよ」
司祭「……どういうことじゃろう?」
衛生兵「普通に考えれば、外へ逃げたと思うしかないッス」
女魔法使い「この猛吹雪の中? 自殺行為だわ」
戦士「……転移魔法使えたんじゃ?」
司祭「我々の調べでは使えそうになかったのじゃがな。仮に転移アイテムを隠し持っていたとしても、この建物には結界があり効果はないはずじゃ」
衛生兵「となると………魔族道化師は何らかの方法で、拘束を解き牢屋から出て、隠し持っていた転移魔法アイテムを外で使い逃げたってことッスね」
女魔法使い「……」
戦士「……」
司祭「……」
勇者「そんなことありえるか?」
衛生兵「でも他に考えられないッス……」
勇者「なんにしても、この修道院にヤツがいないのは確かだ」
……
ーーー修道院・客間自室ーーー
女兵士M「あ、勇者様。お帰りなさい」
勇者「てめーなんで俺様のベットに寝てんだ、どけ……痛っつ……」
女兵士M「やっぱり体調良くなってないんですね……」
勇者「今日は割といいほうだ……つうか、いつになったら帰れるんだ」
女兵士M「天候は悪化するばかりです……」
勇者「ウスノロ女……悪りぃけど女魔法使い呼んできてくれるか?」
女兵士M「えええ?! な、何でですか?」ウルウル
勇者「いいから」
女兵士M「うえーん……なんかあったら私……」
勇者「ウスノロ、早くしろ」
……
女魔法使い「なんだい?」
勇者「状態回復魔法かけてくれ」
女魔法使い「え?! そんなに体調悪いの?? ま、いいけど」
女魔法使いは状態回復魔法を放った!
ズキッズキッ……
勇者「チッ……お前の魔力ならっと思ったんだがな」
女魔法使い「毒や呪いなら治す自信あるんだけど……病気とか精神的なものはね……」
女兵士M「帰れたらすぐ原因調べましょっ!」
勇者「……訛り女が薬作ってくれてるからよ……」
女魔法使い「?……ああ、女学士さんのことか。あんた、いっつも女をバカにしたような呼び方するよね。そーゆーとこ昔から嫌い」
勇者「うっせ」
女兵士M「昔からなんですか……私は嬉しいですけどね!」
勇者「ドM女に改名した方がいいか……」
女兵士M「あれ? でも、女魔法使いさんの呼び名は……“女魔法使い”なんですね……」
勇者「……」
女魔法使い「……」
女兵士M「な、なんか嫌あああああ」ウエーン
勇者「うるせーーっ! 頭に響くっ二人とも出てけっ!」
……
勇者(くっそ、痛え)
キィィィン
勇者(また耳鳴り……)ガク……
ZZZzz……
次の日。
ーーー修道院・食堂ーーー
…………ズキズキ
勇者「つぅ……おはよっさん。まだ雪止んでねぇか」
女兵士M「勇者様っ……女学士さんが……」
勇者「あ?」
衛生兵「殺されたらしいッス……」
今日はここまでです。
乙
勇者「なんだと?!?!」
司祭「研究室で……刃物で斬り刻まれておった。見張りの修道士と同じ殺され方じゃ」
勇者「なんでた?! あのピエロヤローは何処にもいなかったぞ?!」
衛生兵「また転移魔法で戻ってきた?」
勇者「そんな訳あるか! 奴を捕まえた俺様がいるところに戻る訳ねぇ。まだどっかいんだ」
女魔法使い「何処か……見落としてたのかも」
戦士「……やはり外ではないのか? 魔族は寒さに強い」
司祭「この吹雪じゃ10分で凍えてしまうじゃろう」
衛生兵「逆に言えばっスよ? 10分は外にいられるってことッスよね?」
衛生兵「……10分で行ける隣の建物とか無いッスか?」
司祭「……む」
勇者「あんのか?」
司祭「この修道院は湖に浮かぶ島に建っておる。隣の島に宝物庫がある」
女兵士M「湖? あぅ……さすがに泳いでいけない気が……」
司祭「この季節、湖は凍っていて歩いて隣の島までいける。10分では行けそうにないのじゃが……」
衛生兵「うーん。じゃ違うッスね」
勇者「この吹雪じゃいくら厚着しても無駄だわな」
女魔法使い「そうか……火炎魔法を身に纏えばいいんだ。そうすれば外のブリザードを相殺できる」
勇者「それだ! よし、もう一度修道院内を捜索していなかったら宝物庫に乗り込むぜ!」
……
ーーー修道院・入り口ーーー
女兵士M「本当に一人で行くんですか?」
勇者「ああ、やはり修道院内にはいなかった。宝物庫にいるはずだ」
戦士「……火炎魔法を身に纏えるのは勇者と女魔法使いだけか」
勇者「一人の方が戦いやすい。安心しろ、必ず殺してくる」ニヤリ
司祭「吹雪でほぼ視界はないじゃろう……外へ出たら北西に真っ直ぐ200mほどで宝物庫に着けるはずじゃ」
ーーー修道院・外入り口前ーーー
ビュゥゥゥゥ
勇者(ぐあ……寒みぃなんてもんじゃねぇ……氷冷魔法くらってるみてぇだ)
勇者は火炎魔法を身に纏った!
勇者(行くぜ……)
ザッ……ザッ……
勇者(マジで1m先も見えねぇ)
勇者(このまま宝物庫にたどり着けなかったら、俺様は死ぬのか)
勇者(はは、死が間近にあると頭痛が和らぐ……我ながらイかれてる……)
ザッ……ザッ……
ゴォォオ!
勇者(くそったれ、なんて吹雪だ。)
ザッ……ザッ……
ゴォォオォォォォぉ……
勇者(くっ)
勇者(くそ、進めねぇ……もう少し強めに火炎魔法身に纏うか)
勇者はさらに火炎魔法を身に纏った!
ピキピキピキ……
勇者(な?!? 足元が! 湖の氷にヒビ…… )
勇者(強く魔法使うと割れて、湖におっこちまう……)
勇者(くそ、この案ダメじゃねぇか。でも今更戻れねぇ)
ピキッ……ピキッ……
勇者(はぁ……はぁ……)
勇者(まぶたや、口の中が氷ついてる。凍えちまう……)
ピキッ……ピキッ……
勇者(まだか? もう200mくらい歩いた気がするぞ)
勇者(前も後ろも何も見えねぇ、方向感覚を失ったら死ぬ……)
勇者(真っ直ぐ歩くんだ……)
ピキッピキッピキッ……
ゴォォオォォォォぉ……
聖剣士『キミは戦争が終わったのにまだ戦ってるんだね……』
勇者「?」
聖剣士『戦争で失った心をキミは取り戻さなきゃいけない』
勇者(幻覚?)
ピキッピキッ……
勇者(聖剣士……てめーは魔界へ行ってゲートを閉じた。帰れねーお前は今でも戦ってんだろ)
勇者(どう考えても俺様の役目じゃねぇか……心を取り戻すだと? ふざけんな……)
聖剣士『キミは……キミ自身の闇に負けてしまうのか?』
ピキッピキッ……
勇者(負ける? 俺様が? そんなことありえねぇ)
キィィィン……
勇者(くそ、耳鳴りが……ここで倒れるわけにはいかねぇ)
勇者「うらああああああっ!!」
勇者は火炎魔法を解き走り出した。
…………
乙
面白い
ーーー宝物庫ーーー
バタンッ!
勇者「はぁ……はぁ……」ガタガタ
勇者(さみぃ……身体の感覚がねぇ……)
勇者は火炎魔法を放った。
ゴォォ
勇者「ふぅ……」
勇者(ここに魔族道化師がいるわけねぇな。こんなの行き来できねぇ)
勇者(じゃぁ、何処にいんだ? )
……ガンッガンッ……
勇者(くそ……頭痛が戻ってきやがった)
勇者「はぁはぁ……くそっ!」
勇者は自分の太ももに剣を突き刺す。
ブシュゥ……
勇者「ぐああああぁ……」
勇者「く……」
勇者は回復魔法を放った!
キュイイン!
勇者「はぁ……はぁ……」
勇者(少し頭痛が収まった……気がおかしくなりそうだ)
勇者(いや、俺様はずっと前から狂ってるか……)
勇者「ハハッー……はは……」
勇者「……」
勇者(ここは宝物庫か……財宝や金なんて興味ねぇな……)
勇者「ん? 肖像画?」
肖像画……タイトル『神』
勇者(なんだよこれ……)
勇者(神って“アイツ”にそっくりじゃねぇか……)
勇者「どうなってんだ……?」
……
次の日。
ーーー修道院・聖堂ーーー
勇者「う……ううん」
女兵士M「あ、勇者様! みんな勇者様起きたよ」
戦士「ふぅ」
衛生兵「心配したんスよ!」
女魔法使い「ほっ……」
勇者「あ、あれ? 修道院か? ここ。誰か運んでくれたのか?」
衛生兵「何言ってるんスか。自分で戻ってきたじゃないッスか」
勇者「は?」
女魔法使い「すごい衰弱した状態で戻ってきたんだよ、覚えてない?」
勇者(途中から記憶がねぇ……)
女兵士M「無事で良かった……」
勇者「だが魔族道化師はいなかった」
戦士「……こっちに現れたよ、修道士達が何人もやられた」
勇者「なに?!! 捕まえられたか??」
衛生兵「いや、今朝司祭さんが修道士達の死体を見つけただけッス」
勇者「なんでた?! 何処にいやがる?」
戦士「姿を消す……透明になるような魔法はないのか?」
女魔法使い「そんなの聞いたことない、仮にあったとして、気配や魔力に私達が気が付かないなんてことある?」
勇者「それすら消せる魔法があったら……とっくに全員殺されてる」
勇者(それとも、狼狽えてる俺達を見て楽しんでやがるのか?)
女兵士M「私達では敵わないよ……逃げよう」
女魔法使い「そうね、少なくともみんな一か所に固まった方がいい」
勇者「敵わないだと? 俺様が負けることなんてありえねぇっ! 必ず仕留めるっ!」
衛生兵「でも何処にいるかわからないと……戦うことも出来ないッス」
勇者「くそっ……」
女兵士M「今朝から天候が少しずつ良くなってきてる、無理矢理だけど飛空船を飛ばせるかも……」
勇者「!……おいっ!」
女魔法使い「あ……」
戦士「……」
衛生兵「?」
勇者「俺らの飛空船を調べてねぇぞ!」
衛生兵「ああああ!!」
女魔法使い「完全に見落としてた。修道院の外で、すぐ横に停泊してる…」
勇者「バカだ、見落としてたなんてよ。あそこなら火炎魔法を身に纏う必要すらいらねぇ」
衛生兵「みんなで行くッス! 仕留めて帰りましょ」
…………
ーーー修道院・飛空船前ーーー
ビュゥゥウウウ……
衛生兵「つ、ついた……さ、さむいッス」
戦士「……そうか? わりと俺は大丈夫だな」
女兵士M「あぅ、どんな鍛え方してるんですか……は、はやく中へ~」
勇者「……」
ガンッガンッ……
勇者(頭痛には波があるな……いてぇ)
女魔法使い「いくよ」
ガチャ
……勇者達は飛空船に乗り込む
勇者「お、おぃ!」
女兵士M「血、血です……血の跡が奥まで続いてます」
衛生兵「こ、ここが正解っすね」チャキ
女魔法使い「おし、カタをつけるよ!」
戦士「……斬り刻む」
勇者「魔族め、ぶっ……殺す!!」
飛空船の内部を進む勇者達。その先に待ち受けていたのは……
勇者達「……」
魔族道化師の死体だった。
勇者「なんで死んでんだよ……」
衛生兵「また同じ様に切り刻まれてるッス」
女魔法使い「こいつの仕業じゃなかったのかい?」
戦士「この飛空船で一戦交えたようだな。周りが荒れてる」
勇者「誰の仕業だ?! 訳わからねぇ……」
ズキンッ
勇者「く……痛……」
衛生兵「だ、大丈夫ッスか?」
勇者(こいつの仕業じゃねぇってことは他の誰か? くそ……頭痛くて考えられねぇ)
女兵士M「あああああっ!」
勇者「どした??」
女兵士M「飛空船のメイン回路に傷が……これじゃ飛ばせません」
勇者「んだと?! 雪がやんでも帰れねぇじゃねーか!」
戦士「……直せるか?」
女兵士M「……あぅ……たぶん、直せると思います。時間がかかりそう……」
勇者「ウスノロ女……兵士よりパイロットの方が向いてるな」
女兵士M「わー勇者様ほめてくれたー!!!」キャッキャッ
女魔法使い(褒めてないような……)
勇者「じゃウスノロ女は修理してくれ」
女魔法使い「誰かが……魔族道化師を殺したんだよね?」
戦士「…………そもそも、魔族道化師を逃がしてここまで連れてきた奴がいる」
衛生兵「そいつが犯人ッス」
女魔法使い「ひとつ、気になることがあるわ」
勇者「なんだ?」
女魔法使い「私、人を見ればだいたいその人が何属性かわかるんだけど」
勇者「あん?」
女魔法使い「この修道院の司祭や修道士達は皆、氷属性なんだよね。これだけ人がいて全員“氷”属性なんて異常」
衛生兵「つまり、僕らよりずっと寒さに強いってことッスよね?」
勇者「司祭のヤローなんか隠してそうだしな……ちょっと締め上げてみるか」
衛生兵「僕もいくッス」
女兵士M「えー……一人にしないでください」ウルウル
戦士「俺が護衛でここに残ろう」
勇者「それなら安心だな。衛生兵、女魔法使い、行くぞ」
ーーー修道院・入り口前ーーー
ビュゥゥ……
勇者「少し吹雪弱まったが、長くは外にいられねぇな」
衛生兵「こ、ここれでよ弱まってるんスか?? 凍死するッスス」ブルブル
女魔法使い「あれ? 入り口開かないよ」
勇者「あ?」
女魔法使い「鍵かかってる……」
ガチャガチャ……
衛生兵「え、なんで? 寒い……」
ドンドン!
勇者「おい! 司祭さんよ! 開けろっ俺達だ!」
ビュゥゥウウウ……
衛生兵「凍えるッス」
女魔法使い「何なんだい……?」
勇者「ん?」
女魔法使い「?」
衛生兵「ど、どうしたんですか?」
勇者「気配が……」
女魔法使い「囲まれてる」
勇者「魔物はいなかったんじゃ?」
衛生兵「え?! 敵?! 吹雪で視界がほとんどないッスよ」
勇者「くるぞ!」
乙
乙乙
乙乙乙
乙乙乙乙
乙は合体してキング乙になった
乙
乙
ザザッ……シュンッ!!
勇者「ふんっ!」キン!
修道士A「……」
勇者「てめぇ……」
修道士Bは氷冷魔法を放った!
シュイィィィッ!
衛生兵「う、うわあああああっ」
修道士C「……」
修道士D「……」
修道士E「……」
勇者「どーゆうつもりだ? てめぇら」
女魔法使い「こ、殺す気? まさか全員グルだったのかい?!」
勇者「そーゆーことなら、まとめてぶっ殺す!」
修道士A「……」ス……
修道士Aは氷冷魔法を放った!
修道士Bは氷冷魔法を放った!
修道士Cは氷冷魔法を放った!
修道士Dは氷冷魔法を放った!
修道士Eは氷冷魔法を放った!
ゴゴゴゴオオオォォォォッ!!!!!
勇者「ぐああああっ」
衛生兵「わあああ!」
女魔法使い「うわああぁっ」
ピシピシッ……
衛生兵「こ、凍りつく……くっ」
勇者「へ、その程度で俺様に勝てるかぁぁ!」
勇者「くらえぇぇ!」
勇者は火炎魔法を放った!
ゴオオオォオォオッッ!!
修道士達「…………ぅぅ」
勇者「ハハッー! ブッ殺シテヤル!!」ニヤ
女魔法使い「ゆ、勇者……」ゾク……
修道士「……」サッ……
修道士達は吹雪の中、姿を消した。
勇者「逃がさねぇぞっ!!」
衛生兵「うぅ」
女魔法使い「待って勇者、衛生兵が動けないわ」
勇者「ちっ……二人は飛空船に戻ってろ。俺様は司祭を殺る」
衛生兵「だ、大丈夫ッス……もう昔と違う」
勇者は爆炎魔法を放った!
ドォォォン!!!
修道院の扉を破壊した。
勇者「コロスッ!」
女魔法使い「勇者……ま、待って」
タタタタ……
ーーー修道院・聖堂ーーー
勇者(殺す、殺す、殺す……何もかも司祭の仕業だ)
勇者(何の実験かは知らねーが、俺様をおちょくってた訳か)
勇者(そーゆーつもりなら容赦しねぇぜ)
勇者「どこだっ! 司祭! ぶっ殺してやんよ。ハハッー」
勇者(殺す、殺す、コロス……)
勇者(なんだ? 気分がいい……頭痛が綺麗に消えてる)ニヤリ
女魔法使い「勇者……」ゾクッ
勇者「ハハッー! おらっ! 出て来いよっ!」
ザザッ……
司祭「神よ……この者は危険過ぎる……」
衛生兵「司祭……お前が犯人」
勇者「ふっ……観念したか。おちょくりやがって」
司祭「“勇者”であっても、心の闇には勝てぬか」
勇者「あ? 俺様は何にだって負けねぇ」
司祭「殺戮衝動に負けている。自分を保ててない」
衛生兵「殺人鬼はお前達ッス。 散々仲間を殺して」
勇者「コロス……」
司祭「なぜ、我々が仲間を殺す?」
女魔法使い「……」
司祭「自覚が無いなら教えてやるかの……勇者殿よ」
司祭「お主が殺人鬼じゃ」
いいとこで切りおって...
勇者「……」
司祭「殺された女学士が書いたお主の診断書を見つけた」
~診断書~
○年△月×日
勇者氏を診察。頭痛、痺れ、吐き気を訴える。
瞳の魔力に濁り。戦争におけるPTSD『心的外傷後ストレス障害』の一種と思われる。
過去にわずかに事例があり、『狂気』と称される。
戦争で兵士が帰還後、日常生活で唐突に殺人衝動に駆られ自分を見失い殺人鬼になってしまう。非常に稀なケースだが殺人鬼になってしまった兵士はいずれも大きな戦果をあげた者ばかり。
症状。
ステージⅠ:頭痛
ステージⅡ:痺れ、痙攣
ステージⅢ:吐き気、耳鳴り
ステージⅣ:幻覚、記憶障害
ステージⅤ:笑い
勇者は現時点でステージⅢ。早急な処分が求められる。
勇者「俺様が……殺人鬼だと?」
女魔法使い「う、うそでしょ」
衛生兵「そ、そんな」
司祭「自覚がなかったのじゃ、責めるつもりはない」
勇者「俺様が気が付かないうちに、人殺ししていると? そんなわけあるか?!!!」
司祭「“勇者”とはいえ病気には勝てん」
勇者「お、俺様は何にも負けねぇっ!!!」
司祭「内なる声に耳を傾けてみろ」
親父『思うように生きろ、殺せばいい』
勇者(…………親父、幻覚か)
女騎士『こんな奴の話を聞く必要ないわ、殺せ』
勇者(俺様が……)
魔王『なんだって力でねじ伏せる。殺せ』
勇者(人間を……)
女僧侶『血がほしいのですね。殺して』
勇者(この手で……)
兵士S『殺せねぇのか、なさけねぇ』
勇者(殺したのか?)
女魔剣士『あは☆運命身をまかせて殺せ~』
勇者(俺は……)
ぬいぐるみ「こ、こここ殺せー」
勇者(殺人鬼だ)
司祭「敵は勇者だ」
勇者(殺ス……殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺殺殺殺殺殺……)
勇者「ぐああああああああっ!」
女魔法使い「ゆ、勇者っ!!」
勇者「はぁ……はぁ……コロス……ミンナコロス……」
衛生兵「勇者様……? 嘘ッスよね? 勇者様!」
勇者「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスっ! 皆殺シダ!!」ハハッー
聖剣士『キミは……キミ自身の闇に負けてしまうのか?』
勇者「うらああああっ!!」
ズブュゥッ
勇者は剣を自らの胸に突き刺した。
勇者「まけ……ねぇぇええっ……」
勇者「ぐぅ……」
女魔法使い「ゆ、勇者っ!!!」
衛生兵「勇者様ぁぁっ!」
ドサッ……
勇者「狂気だと?……俺様はまけねぇ……」
衛生兵「か、回復をっ!」
司祭「ならん! 勇者殿の覚悟を無駄にするのか」
女魔法使い「勇者!」
勇者「俺様を……殺せる、のは、俺様……だけだ……」
女魔法使い「な、なに言ってんだい。あんたが死ぬわけないだろ!」
勇者「平和な世界に……俺様……みたいなのは……必要ねぇ……」
女魔法使い「だめだ! 死ぬなよ! これからだろ!? 私達の世界は!」
衛生兵「そうっすよ! 平和な世界を作ったのは貴方じゃないッスか!」
勇者「俺様だけの力じゃねぇ……よ……衛生兵」
衛生兵「はい」
勇者「おめーは……じぶんの……新しい夢、か、叶えろ……よ」
衛生兵「はい……」
勇者「ハハッー…………。」
勇者は死亡した。
…………
…………
衛生兵「……」グスン
女魔法使い「……うぅ」
司祭「神よ……」
衛生兵「戦いはもう沢山ッス」
衛生兵(勇者様、僕は新しい道に行く)
THE END
えっ
このしょうもないので終わり?
は?
普通足とか刺すんじゃないの?
戦士お留守番のまま?
聖剣士助けに行かねーの?
死から生に反転するアイテムあったし
まだ分からない謎もあるからまだ続くんじゃね
ーーー修道院・飛空船ーーー
衛生兵(吹雪弱まってるッスけど飛空船飛ばせるかな)
衛生兵「戦士さん、女兵し……さん?」
女魔法使い「え?」
衛生兵達は女兵士Mの死体を見つけた。
衛生兵「うわああああああっ」
女魔法使い「な、なんで??!」
衛生兵「な、何がどうなってる?!」
女魔法使い「戦士は……どこ?」
衛生兵「こ、殺される」ダダッ……
女魔法使い「ちょ、ちょっと衛生兵!」
ーーー修道院・聖堂ーーー
衛生兵「うわああああああ……ああ」
衛生兵は司祭の死体を見つけた。
衛生兵「ヒイィ……」
女魔法使い「修道士達もみんな死んでる……」
衛生兵「殺される……殺される……」ガタブル
女魔法使い「ど、どういうことだい……生き残ったのは……私達と……」
戦士「ウヘヘヘへ……」
…
戦士「勇者は“狂気”、病気だったのか、ウヘヘヘへ俺もそうか」
衛生兵「戦士さん……」
戦士「勇者は死んだ。ウヘヘヘへヘッ……これでコソコソしなくて済む」
女魔法使い「まさか……今までの殺人はすべてお前が?!」
戦士「ウヘ、そうだ。俺が魔族道化師を逃した……奴の仕業に見せかけるためにな」
衛生兵「あんたも同じ病気ッスか……」
戦士「ウヘヘヘへ……みてぇだな。俺は自分の衝動をすぐに受け入れた。そしたら、すぐに頭痛はなくなった」
女魔法使い「勇者は誰も殺してない……」
戦士「我慢するからしんどいだろがーウヘヘヘへ」
女魔法使い「……」
衛生兵「……」
戦士「なんだよ、ウヘヘヘへ……俺が笑ってると変か?」
戦士「いつも無愛想っていってたじゃねーかよ!!」
衛生兵(ど、どうしよ……とても勝てる相手じゃない。こ、殺される)
戦士「ウヘヘヘへ……さぁ殺してやる。ゆっくり斬り刻む」
戦士「しねぇぇぇええっ!!」
シュッ……ズバァ!
戦士に会心の一撃!
戦士「え? ぐあああ……だ、だれだ?」
??「相棒……でめーに……あ゛ー、笑顔は、にあ゛わねぇよ」
女魔法使い「ゆ、勇者!?」
アンデット勇者「あ゛ー……俺様は゛、おめ゛ーを責めねぇ……」
戦士「ウヘヘ……勇者、我が友よ、ウヘヘ」
アンデット勇者「相棒……一緒に、だびでぎて……面白か゛ったぜ」
アンデット勇者「じね……」
ザッシュッ!
戦士を倒した!
アンデット勇者「ぁ゛ー」
衛生兵「ゆ、勇者様。確かに死んでいたはず……」
アンデット勇者「そうだ……俺ざまは、死んだ。何故生きてる? あ゛ー? 胸に穴が空いたまま」
女魔法使い「ゾンビ……」
アンデット勇者「身体の感覚がねぇ……ぁあ゛ー……」
アンデット勇者は身体から黒い煙が出ると消えさった…
衛生兵「なにが……どうなって……」
女魔法使い「勇者……死して私達を守ってくれた……」
10日後。
ーーー王都・王宮ーーー
アンデット勇者「あ゛ー……」
王「ゾンビ勇者くん、あはは」
アンデット勇者「俺様を゛……蘇らせだのは、おめーの゛仕業か」
王「狂気にかかった者はバーサーカーとして、潜在能力を超えた力を出す」
アンデット勇者「あ゛ー?」
王「しかし、理性がなく見境なく殺してしまう」
王「制御する為、キミを一度殺しゾンビとして蘇らせる。俺っちの下僕として」
王「勇者くん、わかるだろ? 俺っちが蘇らせた。俺っちが主だ…キミは下僕」
アンデット勇者「……そうらじいな。ごれからお前の゛命令にはざがらえねぇ」
王「そうだ。修道院へ送ったのは最強のキミを手に入れる為」
アンデット勇者「王……いや、これがらは」
アンデット勇者「“神”と呼ぶべぎか?……あ゛?」
王「うにゃ。だいたい予定通りのシナリオだ、まさか自ら命を絶つとは思わなかったけどね。観てて面白い展開だったよ」
アンデット勇者「……ずっと、見でだのか」
王「あの二人はよくぞ生き延びた、素晴らしい」
アンデット勇者「俺様は……死んでも生ぎ方をがえられながっあ゛。あ゛いづらには、あ゛たらしい道を生きてほじい……」
王「キミは戦うことが一番似合っている。才能に恵まれ、求められるってのは幸せなことだ」
アンデット勇者「……ごれから……何ずるつもりあ゛?」
王「前の戦争でのすべての犠牲はゾンビとして蘇り、我がアンデット軍となる」
アンデット勇者「……」
王「再びゲートを開き、魔界に進軍するってわけよ」
アンデット勇者「あ゛ー魔界を支配じて……本当の勝利ってことか」ニヤ
アンデット勇者(聖剣士……てめぇは戦いを望まねぇだろう。 次会うときは敵同士かもな)
王「俺っちは、すべてを反転させる……」
王「さぁ……戦争を始めよう」
to be continued……
[ 勇者「魔王倒したらやることねぇ」] END
ありがとうございました!!
乙
なんていうか、飽きたのか?
いや、全く関係ないと思うんだが最後の王の一言で 王様が魔王との戦争の準備をしているって作品思い出した
読んで頂いた方、レスくれた方ありがとうございました。
最後まで書き溜めてから投下する派なんですが、それでも変なとこや、誤字が結構ありましたね。すみません。反省して次回に生かします
これにてこの話は終わりです。でもこの世界の物語は続きます。
過去の話はすでにあります。
①
兵士「勇者の為に死にたくねぇ」
兵士「勇者の為に死にたくねぇ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1395/13958/1395806984.html)
魔王との最終決戦の話です。
今作と同じくらいの長さです。
②
女騎士「こんな勇者についてけねぇ」
女騎士「こんな勇者についていけねぇ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/kako/1416212168/-20)
勇者達の旅の話です。時間軸的には一番最初になります。
結構長いです。
未熟な文ですが、こちらも読んで頂けたら嬉しいです。
どれも主役もテーマも違くて、単体だけで読んでも大丈夫なように書いてるつもりです。(つもり……です)
繋がりはあるので、読めば今作でスッキリしなかった部分が少し解消するかも?
最後までお付き合い頂きありがとうございました!
乙!
多少荒い気もしたけど良かったよ
乙
おもろかったで乙
乙
>>101 見てスッキリしました!
3つとも面白かったです、乙!!
ご感想ありがとうございました。
また続き書きますので、よろしくお願いします。
html依頼します!
ありがとうございました。
>>101
乙
そうかあの作品の作者だったか
面白かったよ次も期待してます
おつ
次楽しみにしてる
後半ありえねぇくらい失速したな・・・意味不明すぎワロタ
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