P「あずささんの喜怒哀楽が分からない」貴音「ほう」 (22)

P(765プロでプロデューサーを初めて数ヶ月)


P(皆とも大分馴染んできたけれど、よく分からない人が居る)


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あずさ「おはようございます~」

P「ああ、おはようございます、あずささん」

あずさ「プロデューサーさんも、毎朝早いんですねぇ」

P「あずささんこそ、今日は迷わずに来れたんですね」

あずさ「はい~。ちょうど事務所に向かう途中で貴音ちゃんと会ったので」

P「そうでしたか、それは良かった」

あずさ「……」

P「どうかしましたか?」

あずさ「いえ、別に、何でもありませんよ」

P(それにしても……貴音とあずささんの家は全然違う方面だったような)

貴音「おはようございます、プロデューサー」

P「ああ、貴音。おはよう」


P(貴音は、元々があんな感じだからともかく、あずささんはいつも機嫌が良さそうだ)


P(他の子達よりもお姉さんだから、気を使わせないようにしてるんだろうか)


P「あずささんは、今日は律子と一緒に化粧品のCM撮影ですね、いっしょに美希も行きます。貴音は俺と今度のCDのジャケット写真の撮影だな」

貴音「あい、分かりました」

あずさ「は~い」


貴音「プロデューサー、いかがなさいました。何だか気になることでも?」

P「貴音、あずささんって普段からああなのかな?」

貴音「と、言いますと?」

P「あずささん、いっつも機嫌が良さそうだろ?俺、まだまだあずささんの、なんていうんだろう、感情表現が良く分からないんだ」

貴音「……ふむ。確かにあずさは、他の皆よりも落ち着いていますし、自分の感情を殺して、平静を装う術も知っています。しかし、彼女もまた、他の皆と同じように、実に豊かな感情表現をしているのですよ」

P「うーん」

貴音「ふふっ、分からないですか?では……ちょうど良いですね、あれを」

春香「あっ、あずささん。おはようございます!」

あずさ「は~い、おはようございます、春香ちゃんは今日も可愛いわねぇ」

春香「え、えへへっ、そんな照れちゃいますよぉ」

真「おはようございます!あずささん!」

あずさ「真ちゃんは元気ねぇ」


P「……あれが?」

貴音「もう少し見ていましょうか」


伊織「あら?あずさ、今日はもう来てるのね、おはよう」

あずさ「はぁい、今日は伊織ちゃんよりも早く着いたわ~」

美希「おはよーなのー……あふ……あれー?あずさがもう着てるなんて珍しいの」

あずさ「うふふっ、そう言う事も、あるのよねぇ」


貴音「分かりましたか?」

P「全然」

貴音「あずさは、呼び捨てにされると喜ぶときがあります」

P「え?」

貴音「彼女は765プロのアイドルでも一番の年長者。それゆえに、皆と少し壁があるように感じているときがあるのです」

P「なるほど……」

貴音「全てがそう、とは申しませんが『さん』を付けられることで差が出来てしまうのを少し悩んでいるようです。しかし、伊織や美希はそれをしない」

P「ふむ……」


亜美「あっずさお姉ちゃーん!おっはおっはー!」ボフッ

真美「おっはよーあずさお姉ちゃーん!」ダキッ

あずさ「あらあら、そんなに抱き疲れるとくすぐったいわぁ~」


P「これは?」

貴音「勿論、喜んでおりますよ。亜美、真美に抱きつかれて嫌な者などおりますまい」

P「喜、か……」

貴音「ふふっ、それでは次は……ほら、あれを」



あずさ「メイクアーップおーとーしたふーふーふーん……♪あら……あら……」


貴音「分かりましたか?」

P「全然」

貴音「あずさが読んでいるものは、机の上のファッション誌ですね」

P「ああ」

貴音「あずさは、毎号欠かさず、占いのコーナーを読んでいます」

P「それで?」

貴音「今週のあずさの運勢、かに座は確か、恋愛運が星一つ、仕事運が星一つ半……金運、健康運は無星……」

P「……落ち込んでる、と」


あずさ「……」


貴音「あの落ち込みよう、恐らくかなり落ち込んでいますね」

P「占いなぁ。俺はあんまり信じてないからなぁ」

貴音「ふふっ、女性と言うのは、星に願いをこめるものですから。さて、続いてテレビ番組の占いコーナーの時間ですね」

P「よく覚えてるな」

貴音「あずさのことを、よく見ていれば分かりますよ」


『さーて今日の血液型占い~、スタート』

あずさ「……」


P「今度は血液型か」

貴音「さて、あずさの血液型、覚えていますか?」

P「えーと……」

貴音「あずさはO型。さて、結果はどうでるか」


『二位A型!仕事は上々、いろんなことが上手く行きそうな一日!三位はAB型、今日は何だかいまいちな一日、焦らずにいきましょう。さて、注目の一位と最下位は……一位は……O型のあなた!』

あずさ「……!」


P「喜んでますね」

貴音「流石にこれは分かりますね」

P「あの、声には出さないけど喜んでるのが分かるのが可愛いな」

貴音「良い所に気がつきましたね、プロデューサー」

P「まあな」



P「あずささんって、よくよく考えたらビジュアルレッスンも得意だしなぁ。俺の目が節穴だったってことかぁ……まだまだだなぁ」

貴音「ふふっ、あずさの魅力は、見れば見るほど深まりますよ。さて……


貴音「続いては……喜怒哀楽、の楽、ですね」



律子「おはようございます、あずささん」

あずさ「おはようございます、律子さん」

律子「今日は化粧品の撮影ですね。詩生堂のルージュのCMをプロデューサーが取ってきました!」

あずさ「あら~、凄いです!」

律子「ここであずささんの魅力をガツンと伝えて、今後の仕事にもつなげていきますからね!」

あずさ「はいっ!プロデューサーさーん、ありがとうございますー!」

P「頑張ってくださいね、あずささん」


P「今のは、楽?」

貴音「ふふっ、プロデューサーがそう思われたのであれば、そうでしょう」

P「あずささん、仕事も楽しんでくれるから仕事を取り甲斐があるよ」

貴音「仕事を仕事と思う勿れ、されど職人の如き矜持を持って臨むべし……あずさは、アイドルという仕事を本当に楽しんでいるようで、見ていてとても参考になります」

P「あずささんに、もっともっとアイドルを楽しんでもらえるように、俺や律子も頑張るよ」

貴音「おや、私や他の子達は?」

P「そりゃあ言うまでもないさ」

貴音「ならば結構です。しかし……」

P「ん?」


貴音「プロデューサー、鈍いですね」

P「……うん、自覚はある」

貴音「自覚があるのならば尚のことです。さて、ここまで喜怒哀楽の喜、哀、楽を見てきましたが……」

P「怒が残ってるぞ」

貴音「……さて、怒、については既にあずさは、プロデューサーに見せているのですよ」

P「えっ」

貴音「ふふっ、それに気がつけるかどうか、見ものです」

P「ちょっ、貴音誤魔化すなって」

貴音「では、ヒントを差し上げましょう」

P「ヒント?」

貴音「あずさを、よく見てください。小さな気付きが、女性にとっては嬉しいものですし、気付いてもらえないと憤慨するものですよ?」

P「え?」

貴音「特に……いえ、これは言わないことにしましょう、それでは出発まで時間がありますので、私は少し席を外しますよ」

P「へ?あ、ああ…」


P「……?」




P「……」

あずさ「あ、あの、プロデューサーさん、どうされましたか?」

P「いえ、気にしないでください」

あずさ「気にしないでくださいといわれても、そんなにまじまじと見つめられると、何だか、その」


P(んー分からん。あずささんに怒られるようなことしたっけかな……?小さな気付き……ん?」


P「あの、あずささん」

あずさ「はい?」

P「今日は、何だか格好良い服ですね。いつもと印象が違う」

あずさ「あの、似合っていないでしょうか……?」

P「いっ、いえ!何だか引き締まったイメージになって素敵ですよ」

あずさ「そ、そうですか~。プロデューサーさんに言ってもらえるなら嬉しいです~」

P「それに、そのイヤリング、確か以前の仕事で……」

あずさ「はい~、プロデューサーさんに買っていただいた物です~」

P「あはは、撮影用に急遽買い足したようなものなのに、まだ持っていてくれたんですね」

あずさ「プロデューサーさんに選んで頂いたものですし、大切にしているんですよ~」

P「それは嬉しいなぁ」


貴音「ふふっ、朝一番に出会ってから気付くのも、プロデューサーたるものの勤めです。これで今度からは大丈夫でしょう」

亜美「お姫ちん、何ぶつぶつ言ってるの?」

貴音「何でもありませんよ。人の心とは、顔に良く出るもの、ということです」

亜美「……?」

P(貴音のお陰で、色々と判ったような気がする、が……)


P(貴音自身が一番読めないなぁ)

貴音「私の喜怒哀楽は、そう簡単に読めませんよ。精進してください、プロデューサー」

P「?!」

貴音「ふふふっ」




久々の投下って緊張した

乙乙
あずささんカワイイ!


結局気づいて欲しかったのはイヤリングなのだろうか

おつだぞ

逆にゴミ箱蹴っ飛ばすくらい怒ったあっささんもみたい

乙 面白かった

一言で言うと文句無しの名作

それに、立て逃げやエタるSSが多い昨今で完結まで続けられるメンタルも素晴らしい

次もディ・モールトベネ系「非常に良しッ!!」のSS目指して頑張ってくれ

おつー

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