蘭子「いざ行かん!純白のラグナロクへ!」あやめ「……?」 (10)


あやめ「蘭子殿。らぐなろ区とは何処でしょう」

蘭子「あ、え? いや……その…ラグナロクは、北欧神話の、神々の最終戦争で……」(あ、え? いや……その…ラグナロクは、北欧神話の、神々の最終戦争で……)

あやめ「蘭子殿……わたくし、熊本弁には少々疎く……」

蘭子「下賤の言葉を紡いだというのに……加えて謂えば、我が血を分けし民が皆神言を扱うと思うな……」(普通に喋ったんだけど……あとこれ、熊本弁じゃないよ……)

あやめ「らぐなろ区……熊本の地名ですか? 漢字はどう書くのでしょう」

蘭子「だ、だからぁ……」

あやめ「ら、蘭子殿? なぜ涙目に? わたくし、何か失礼をしたでしょうか!?」

蘭子「ふ、ふん! 人の子に気遣われるほど落ちぶれてはいないわ!」(な、泣いてないもん!大丈夫だもん!)

あやめ「ならば良いのですが……。それで、蘭子殿。純白のらぐなろ区とは?」

蘭子「堕天の純白は醜き大地を覆ったわ……今こそ境界を越え、白き悪意で闘争を!」(せっかく雪が積もったんだし……雪合戦したいなぁ、って)

あやめ「………すみません、良く意味が…」

蘭子「………ぁぅぅ…」



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あやめ「ぐぐっ……不覚……精進が足りません……。友の言葉の意も汲めぬとは、忍ドルに有るまじき醜態……!」

蘭子「影なる偶像は、最早理解さえ遠き存在……?」(それ、忍ドルに求められる要素なの……?)

あやめ「格成る上は、これです!」

蘭子「……思考する迅雷咆哮?」(……スマートフォン?)

あやめ「あやめ流忍術、奥義!グーグル検索!」

蘭子「繰繰る……だと……? しかし、これならば……」(ググるの……? でも、これならちゃんと……)

あやめ「………ラグナロクオンライン? はて、ブラウザゲームでしょうか」

蘭子「らぐなろ区でググるとそれが出るの!? 元ネタを差し置いて!?」(忌み名の呼びかけに、真祖は応えないの!? 提示されしは虚像!?)

あやめ「元ネタ……? ああ、なるほど。ラグナロクですか。てっきり地名だと思っていたものですから……えへへ…」

蘭子「げ、言語の海に乱れが……今の無し!」(こ、言葉が裏返っちゃった……今の無し!)

あやめ「ラグナロク……聞いたことはあるのですが……どのようなものだったでしょうか……」

蘭子「その命題は、電子世界に問いかけないのね……」(そっちは検索しないんだ……)


あやめ「………蘭子殿。そろそろ教えてはくださいませんか?」

蘭子「……ぁぅ…」

あやめ「わたくしが自力で蘭子殿の意を汲めぬのは、確かに悔しい。……しかし、蘭子殿が伝えたいことをすぐに理解できないのは、もっと悔しいのです」

蘭子「……私は……今紡ぐ旋律こそ魔界を覇す声で……」(……私は……この喋り方しか、恥ずかしくて出来ないし……)

あやめ「言葉は伝わりませんが……意味は分かりました。恥ずかしがらずとも良いのですよ? わたくし達は仲間ではありませんか」

蘭子「…………あ、あやめちゃん…」

あやめ「ときに競い合い、ときに助け合う……鎬を削り、火花を散らし、手を取り合って前へと進む。このような間柄に、恥も外聞もありますまい」

蘭子「…………あやめちゃん、カッコいい……」

あやめ「ははっ、臭い話をしてしまいました。知ったような口を聞き、申し訳ない。ただ、言いたくなったらいつでも喋ってくださいね」

蘭子「わ、悪くないわね……」(ありがとう……)

あやめ「なにやら、辛気臭くなってしまいましたね。どうです? 気晴らしに寒空の下雪合戦と洒落込む、というのは」

蘭子「……! あやめちゃん、大好き!」(……! やはり影は影、魔王の下が良く似合う!)

―――――
―――
――


みく「………で、霜焼けしたと」

あやめ「くっ……不覚……」

蘭子「……ふぇぇ…かゆいよぉ…」

みく「こんな寒空の下、素手で雪合戦なんかしたらそりゃそうなるよ」

蘭子「魔力の暴走が……」(テンション上がっちゃって……)

みく「九州だと、なかなか雪は積もらないもんね……仕方ないと言えばそうなんだけど、アイドルなんだからもうちょっと体には気を使うべきだにゃあ」

蘭子「堕天の白……我が魔力を以てしても、防ぎきれぬとは……」(完全に舞い上がっちゃってたな……全然考えてなかったぁ…)

みく「考えてないって……素手で雪なんて触ったら嫌でも悴んで考え至ると思うけどにゃあ」

蘭子「純白の誘惑!黒は白へと染まりたがるものなの!」(そんなことも考えられないくらい、夢中だったの!)

みく「はいはい、わかったにゃわかったにゃ。とりあえず、ぬるま湯で暖めるといいってグーグル先生が言ってたよ」

蘭子「貴様もまた、電子の海を彷徨ったのか……」(みくちゃんもググったんだ……)


あやめ「……敵いませんね、前川殿には」

みく「ん? あやめチャン、何か言ったかにゃ?」

あやめ「ふふっ、いえ……前川殿は何でも知っているな、と感心していたのです」

みく「何でもは知らないにゃ、知ってることだk…………あっ…」






おしまい

(無言のサムズアップ)

この雰囲気好きだわ

羽川みくさん!?

羽川みくキタ!
良い体してるし猫だから繋げ易いよね。

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