夕張「好きじゃないわよ」 (87)
夕張「あっ…!!」ドンッ!!
鳳翔「きゃ…!!」
二人の女性がぶつかり合い、買い物袋が落ちた
ビニールでできたその袋からはまるで鈍器を落としたような鈍い音がゴトゴトと鳴る
夕張「す…すいません…」
鳳翔「いえいえ…こちらこそ申し訳ありません…」
袋から『それ』が転がる
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あなたか
期待
鳳翔「買い物袋が…本当にごめんなさい。卵とか入ってませんでした?」
夕張「ああ…全然大丈夫なんで。そんな割れるようなもの入ってないので。それじゃあこれで…」
鳳翔「ちょっと待ってください…これも…」ゴトッ
鳳翔は転がり出た『それ』を拾った
夕張「ど…どうも…」
鳳翔「…あの……」クスッ
『それ』を抱え込むように持っている夕張を見て、品の良い含み笑いを浮かべた鳳翔は思わずこう聞いてみた…
鳳翔「好きなんですか?メロン」
夕張「……」
恋愛系SSを期待した皆様申し訳ありません。
これはギャグSSです。
銀魂 二百九十三訓「食事はバランスを考えろ」のパロディになっています。
これはこれでいいという心優しい方は是非見ていってください。
夕張「好きじゃないわよ」モッチャモッチャ
広くもなく、狭くもない、あるのは布団と段ボールで作った即席の椅子のみ
そんな殺風景な部屋に夕張は一人、窓の外を眺めていた
右手にはメロン、左手には練乳を持ち思案にふける…
夕張(メロンに練乳…それが私の任務中のルール…)
夕張(任務が終わるまではこの二つ以外は口にしない…)ゴキュ
夕張(それはドラム缶の神に捧ぐ私の供物)
夕張(だいたいの刑事ドラマなんかじゃこういった仕事の時なんかはあんぱんに牛乳が定番ってやつなんだろうけどあいにく私の神はメロンが大好きなのだ…)
夕張(これは私の名前から生み出されたイメージの最たる例であろう…)
夕張(任務達成を祈願し…、鴨南蛮に猪鍋、ジンギスカン、野性味あふれる肉に対しての欲求を抑えながら…)
夕張(それでも私はメロンをしゃぶる…)モッチャモッチャ
夕張「……」
そんな夕張のもとへ一つの影がゆっくりと近づいてきた
夕張は振り向かなかった。振り向く必要がなかった
ここに来る用事があるのはただの一人…
??「監視対象とは接触を避けるのが常識でしょう」
夕張「……」
加賀「あなた…この任務がどういったものかわかってるの?」
この鬼畜上司だけである
夕張「……見てたんですか…張り込みを張り込むなんていい趣味ですね…」
夕張「そんな暇があるなら最初から加賀さんがここに座って見ていてくださいよ…」
嫌悪感をまったく隠さない夕張に対して、加賀はため息を一つついた
当たり前だ。こんな部屋に五日もいたんじゃ気も滅入る
加賀「相変わらず任務中は荒んでるわね…そんなにイライラするならメロン以外のものも食べればいいじゃない」
夕張「練乳もとってますよ」
違う。そうじゃない
加賀「そういうこと言ってるんじゃないのよ。上げ足とらない」
加賀「こういうのはね、体力勝負になるのが常なのよ。願掛けか何か知らないけどそんなものばかり食べてたら本当に倒れるわよ」
加賀「料理持ってきてあげたから食べなさい…。これは命令です」
『料理』と言う単語に耳と同時に胃が反応する
夕張も一人の艦娘である。メロンばかりでうんざりしていた体は確かに普通の食事を欲していたのだ
一瞬、決意が揺らぐ
その一瞬を奴は見逃さなかった
蒼龍「加賀さーん。赤城さんが持ってきた料理全部食べちゃいました~」
加賀「タァァァァァァァイム!!!!!」
『大飯殺し(グラトニーブレイカー)』現る
―――――――――――――――
加賀「こういうのはね、体力勝負になるのが常なのよ。願掛けか何か知らないけどそんなものばかり食べてたら本当に倒れるわよ」
夕張「何事もなかったかのようにテイク2が始まりましたね」
それでも息が切れ、顔には疲労の跡が見える。よほど急いだようだ
なんだかんだこの鬼畜上司は常識とTPOはわきまえてる
いくら愛する大飯食らいでも張り込みをしている仲間への差し入れを食っては怒らざるを得ない
加賀「料理は…出前とったから食べなさい」
ずらずらと並んでいく料理たちに夕張は唾を飲んだ
ラーメン、チャーハン、酢豚にカニ玉、ボーキサイトまで…
ボーキサイトはどうせ赤城さんあたりが頼んだのだろう。まるで山のようにてんこ盛りに盛られていた
夕張「…お気遣いは嬉しいんですけど正直余計なお世話ですよ」ハァー
夕張「ただの願掛けだと思って甘く見ないでください。この願掛けを始めてから私は任務に失敗したことないんですからぁ」チラッ
夕張「いや本当にいらないんですってば。ラーメンなんか別に食べたくないですから」チラチラッ
まさに目は口ほどに物を言う
顔の前でいらないとばかりに手を左右に振る夕張だが目はせわしなく料理と加賀を行ったり来たりしていた
だから今度は見逃さなかった
夕張「でもせっかく加賀さんが頼んでくれたものだし食べないのは逆に失礼なのかなと…」チラッ
赤城「え?」バクグシャペロッゴックン
『大飯殺し(グラトニーブレイカー)』再び
夕張「」
加賀「……」
赤城「だっていらないって言ったから…」
蒼龍(全部食いやがったよこの人…あの一瞬で…)
夕張「何で赤城さん連れてきたんですか…」
加賀「…何ででしょうね……」
冷たい風が窓から吹き込んだ…
赤城は窓から投げ出された…
ついでに、蒼龍も投げ出した
とりあえず今日はここまでです
なんでや!蒼龍関係ないやろ!
あんパンと牛乳だけでも十分体壊すけど、メロンと練乳だけとか二日目で倒れるレベル
蒼龍は赤城を止められなかった罰…八つ当たりだよ
夕張!冬のメロン祭り!!
グループ分け出来ることに気付いてしまった
夕張
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加賀 赤城 蒼龍
更新します
加賀「まあ無駄話もこれくらいにして…」
鋭い目つきがより一層細くなった
どうやら本題に入るようだな
加賀「どうだったの?呉鎮守府の鳳翔と実際に会ってみた感想は?」
夕張「普通も普通。特別目立つわけでもなく普通のいい人と言う印象です」
夕張「少なくとも私が見ていたこの五日間の間は居酒屋をきりもみする人のいい女店主ですね」
夕張「いくら自分の提督のためだからって犯罪の片棒を担ぐような人には見えませんよ」
加賀「まぁ…そうでしょうね…」
夕張「で?そっちの方はどうなんですか?クソ提督見つかったんですか?」
加賀「相変わらずあっちこっち逃げ回っているみたいね。追っても追ってもきりがないわ」
夕張「ちっ……」
夕張「しかしバカなことしましたよね…鎮守府へ支給される軍資金を丸々盗んで逃げるなんて…そのせいで私がこんなところで…」イライラ
加賀「だからイラつかないの…行くあてのないそのクソ提督が元秘書艦である鳳翔を頼ってくる可能性は十分にあるわ。だからあなたをここに置いているのよ」
夕張「分かってます…でもこれって何も知らない鳳翔さんをおとりにして捕まえようって魂胆でしょ?あちらからしてみればいい迷惑ですよ」
加賀「あのクソ提督をのさばらせておく方がよっぽど迷惑よ」
加賀「それにね…」
夕張「何ですか?」
加賀「すでに連絡は来ているはずだけど…現在、呉鎮守府の艦娘たち複数名の所在が分かっていない」
加賀「おそらくあのクソ提督に報復をするために軍司令部の命令を無視して独断で行動しているというのが今のところの見解だそうよ」
夕張「勝手にやって勝手に終わればよかったんですけどねぇ…」
加賀「怒りのままに暴れられてしまえば周辺地域には大きな被害が出る。それを未然に防ぐために私たちが派遣された」
夕張「……」
>>19
きりもみ→きりもりじゃね
加賀「もし…私たちと同じことを彼女たちも考えていて…クソ提督を捕まえるために彼女をエサに使おうと狙ってきたならば…」
夕張「……!!?」ガタッ
加賀は背を向けゆっくりと出口へ歩き出した
加賀「彼女を囮にしての艦娘の拿捕は私たちがやります」
加賀「あなたの任務はただ一つ…」
加賀「彼女を…鳳翔さんを守り抜きなさい」
>>22 本当だ。ありがとうございます
――――――――――――――――――――――
??「夕張よ…夕張よ起きなさぁぁぁいい…」
声が聞こえる…
低く野太い、独特の雰囲気を持つ声が…
夕張「…んっ……あっ…」
夕張「ん~~~???」
夕張の意識が覚醒していくのに合わせて徐々に徐々にその声の存在感が増していくように聞こえる
そうして目覚めた夕張の目の前には…
??「……」
夕張「……」
ドラム缶がいた
幾多の戦場を潜り抜けてきた夕張でもこれほど驚いたことはそうはなかっただろう
何の変哲もないドラム缶が私に向かって話しかけていたのだ
夕張「……」
夕張「いやああああああああああ!!!!!」ドタバタドタバタ
夕張は逃げた
それはもう脱兎のごとく逃げ出した
ドラム缶「え、ちょ、待てぇぇぇ!!逃げるなぁぁぁ!!!」
夕張「あ、あなた!!?いったい何!!?」
ドラム缶「よくぞ聞いたぁ…」
ドラム缶「俺の背中に貼ってあるステッカーに見覚えはないかぁ…」
そこにはデフォルメされた可愛いメロンのステッカー
夕張はこのステッカーを知っていた。毎日、このステッカーを見ていた
夕張「そんな…あなたはまさか…」
ドラム缶「そう!!!わたしはぁぁぁ…貴様の片割れ…貴様の相棒ぅ…」
夜叉丸一号「貴様のドラム缶『夜叉丸一号』に眠る神だぁぁぁ!!!!!」
夕張「夜叉丸一号!?あなた…夜叉丸一号なの!!?」
とうてい信じられない
しかしまじまじと見つめるとわかる。あの傷も、この汚れも、どれもこれも彼女の持っている夜叉丸一号に瓜二つなのだ
ここが今までいた四畳半の部屋ではなく、広々としたただの白い空間で周りが覆われていることも現実味のなさに拍車をかけ、夕張を混乱させるには十分すぎる要因となっていた
それを知ってか知らずか、夕張の反応とは対照的に夜叉丸一号は静かに話し始めた
夜叉丸一号「そうだぁ…きさまに助言をぉぉぉ…与えにきたぁ…」
夕張「助言ですって?」
夜叉丸一号「気をつけろぉ…貴様に危機がぁ迫っているぅぅぅ…」
夕張「危機ですって…」
夜叉丸一号「ああ…」
夕張「危機って…もしかして…」
夜叉丸一号「シャラァァァァァップ!!!」
夕張「んふっん!!!」
いきなりテンションが上がったかと思えば突然、ただのドラム缶であった夜叉丸一号から腕が飛び出し夕張の頬をはたき飛ばした
見た目の細さとは裏腹にその力はすさまじく、体が宙を舞い、トリプルアクセルさながらの回転を披露させられるはめとなった
夕張「ぐへっ!!!」
夜叉丸一号「メロンを食べるのだ夕張ぃ…さすれば道は開かれん…」
夕張「いや意味わからないんですけど…」
夜叉丸一号「『一粒の種は100万のメロンを生む』ぅ…一つのメロンが運命を分かつのだぁ…忘れるんじゃないぞぉ…」
夕張「だから意味わかんないんですけどぉぉぉぉぉ!!!!!」
ほんとうに訳が分からなかった
―――――――――――――――――――――――――
夕張「んふぁぁぁぁああ!!!」ガバッ
夕張「……?」ハー…ハー…
夕張「…しまった……少し寝ちゃってたみたいね…」
夕張はけだるさを隠さず、頭に手をやり髪を掻き揚げた
一瞬寝てたのか私は…。彼女は…
正面の窓からは鳳翔が営む居酒屋が見えており、かわらずいつも通りの風景である
どうやら何も起こっていないようだ
夕張は息を大きく吐いた
夕張「しかし…何かこう…さっきまで恐ろしい夢を見ていたような気がするんだけどなぁ…」
夕張「思い出せない…」
夕張「まあ…いいか」
今日は寝ます。次回からじわじわくる夕張の受難を目指して頑張ります
ハルコンネンならぬベリーメロンの精だった……。
乙です
夢の内容で爆笑したわ
むしろ夢の内容がクソすぎて続きが心配だ
少し更新します
夕張型 1番艦 軽巡洋艦 夕張 観察報告書
メロン&練乳生活も一週間を迎えた。塩辛の一つでも食べたいが相変わらず異常なし
呉鎮守府 鳳翔型 1番艦 軽空母 鳳翔
呉鎮守府の元秘書艦であり現在は居酒屋「ほうしょう」を一人で切り盛りする女店主
何でも日々続く深海棲艦との戦いと秘書艦としてクソ提督に無理難題を押し付けられることに嫌気が差し、ちょうど三年前くらいに怒り狂い泣き喚く提督へ辞表を叩き付けお店を出すに至ったとなかなか豪快な一面も併せ持っているらしい
一方、辞表を叩き付けられた側の呉鎮守府の提督は着任したてからバリバリやらかしている根っからのクソ
指揮はまったく的外れでも失敗は全て作戦を実行した艦娘のせいにし、艦娘を大切に扱わず奴隷のようにこき使い、本部から送られてくる軍資金をちょろまかしてキャバクラに貢ぐなどなど…それらの規律違反が本部に露見しそのクソ提督は謹慎、のちにしかるべき処分が下ろうとした折に軍資金を持って逃走したのがちょうど九日前だ
戦いから離れ、穏やかな生活にいそしむ鳳翔に迫るクソ提督の影
そのクソ提督の影を追う呉鎮守府の艦娘
私の仕事は陰から彼女を見守り、いざとなった時に彼女を守り抜くこと
同じ女性として彼女は私が護り切る
私は改めてその決意をかみしめるようにメロンをほおばった
メロン汁が畳の上に数滴こぼれた
【メロン生活十日目】
スーパーでアルバイトをしていた吹雪さんに買い物姿を見つかる
まるで死人のような形相でメロンと練乳を買い込む私の姿を見て本気で心配してくれた
ろくに寝ていなかったためか、クマがひどいことになっていたようで「ちゃんと寝ないとだめです!!」としこたまお説教を貰うも異常はなし
彼女の生活はまるで機械のように規則的な毎日を過ごしていた
朝七時 店の前に水を撒く
夕方六時 店ののれんを上げる
そして夜の十二時 のれんを下げ眠りにつく
数日に一回ほど昼前に買い物へと出かけることを除けばその繰り返し
店の客も近所の馴染みばかりでそれ以外に人の出入りは無いに等しい
変化こそないが穏やかな毎日であった
近所のおっちゃん「じゃあね鳳翔ちゃ~ん!!また来るよ~」
鳳翔「どうも~毎度あり~。帰り道気を付けてくださいね~」
今のが今日の最後の客だ。彼女はのれんを下げる
今日も何事もなく一日が終わる。彼女の笑顔が曇ることもなく
願わくばこの日々が続けばいいのだけれども…
そんな願いを込めつつメロンをほおばった
畳にメロン汁がぽたぽたとこぼれた
【メロン生活十二日目】
思い返せばしばらく誰とも話していない
最後に放った言葉は三日前の「深夜の三時で録画しておいて」だ
だが今の所、今日も特に異常はない。彼女は日課の水まきを始めている
今日もいつもの毎日が始まる
喜ばしい事態にも関わらず憂鬱を感じたその瞬間、ふと彼女がこちらを見たような気がした
そんなわけないのだが…大方気のせいだろう
どうにも疲れているようだが気を引き締めなければ
今、この瞬間にも怒り狂う暴走艦娘たちが店を襲撃しに来ても何らおかしくはないのだ。そんなことをさせないために私がいるのに疲れて動けませんでしたでは今も働いている仲間たちに申し訳ない。てか加賀さんに殺される
修羅も逃げ出す加賀の怒髪天を想像し、身を震わせながら今日最初のメロンをほおばった
畳はすでにしみだらけになっていた
【メロン生活十五日目】
球磨からメロン熊のぬいぐるみが送られてきた
実際のメロンと大差ない大きさのぬいぐるみはその名称に似合わないいかついクマの顔をのぞかせ、研ぎ澄まされた牙がこちらに向けられていた
「これで暇な時間を持て余さずにすむクマ~」とわざわざメッセージカードまでつける用意の周到ぶりに私は久方ぶりの殺意を覚えるが今日も異常なし
彼女は今日も人々に笑顔を振りまいている
また目があったように感じたが気のせいだろう。多分隣の人が干しているスクール水着でも見たのだ。あれは人目を集める
ふと思った
この平和な日々がこの先もずっと続いたらどうなるのだろう。クソ提督なんかとっくにのたれ死んでいて、艦娘たちもちょっと長めのティータイムからショッピングか何かにしゃれ込んでいたら私は一体どうなるんだろう
まるで何かが起こってほしいとも取れる考えに至ってしまった自分を戒め、邪念を振り払うかのように今日も私はメロン熊を食べた
今日はメロン汁は垂れなかった
……
やはり少し疲れているようだ…
今日は終わりで、寝ます
乙
吹雪かわいいよね
昔野菜ジュースだけで生きるおばさんをTVで見たことあるが、メロンでもいけるんだろうか
更新します
メロン生活 二十日目
最近は仰向けになりながら天井のシミを数えるのが日課になってきた。そんな自分に嫌気が差しながらも行動を伴わないことにさらなる憤りを感じる
突然、窓を全開にして奇声を叫びながら、外に身を投げ出したくなる衝動が湧き上がるも鳳翔さんに異常なし
飛び降りるつもりはないがここ最近換気をしてないことを思い出す
少しだけ窓を開けてみると、新鮮な空気が入ってきた
これほど空気をおいしいと思ったことは数えるほどだ。ああそうか。私はここの空気が糖分によって汚染されていることとすでに自分の嗅覚が壊れてしまっていることを理解した
そういえばずっと部屋の掃除をしていない。ふと周りを見渡すと、畳が見えなくなるほどメロンの皮と練乳の容器が散乱していた。これでは匂うのも当たり前である
だが掃除なんてしようものならどれだけの時間がかかるのだろうか。もし掃除で目を離した隙に…
いや、来ないだろうな。
彼女は部屋の掃除を始めた
途中でメロンを食べた
が全部吐いてしまった
メロン生活 二十二日目
あまりにも人としゃべってないせいで声が出るか不安になったのでとりあえず歌ってみることにした
夕張「ゆ~め~じゃない。あれもこれも~」
夕張「その手ぇ~でドアを、開けましょ~おぅ~」
夕張「しゅ~くふくが~、欲しいの ??『うるせーでち!!!こちとら寝てねーんでち!!!』ドンドンドン!!
お隣さんから苦情が入ったが久しぶりの他人とのやりとりに感動した。もちろん今日も鳳翔さんに異常なし
彼女は毎日毎日飽きもせず同じ生活をおくっている
いったいこの生活の何が面白いんだろうか…穏やかな生活を求めていたことは知っていたがこれは少々度が過ぎているんじゃないだろうか…
だから戦場へと言うのも極端だがこの世はもっと刺激的なことであふれかえっているのだ。彼女もその恩恵をもらってもいいんじゃないか
刺激的なこと…そう、金を持って逃げたどこぞのクソ提督が逃げ込んでくるとか
そんなことを考えながら私はメロンを…
夕張「くたばれオラァァァァァァァ!!!!!」
全力で壁に叩き付けた
鈍い悲鳴を上げた壁にメロンは深々とめり込んだ
メロン生活 二十五日目
眼は充血し、体は震え、胃は今だかつて無い危機に対し脳へSOSを送り続けている。命の危険を感じるが今日も異常なし
胃の要求を紛らわすために壁を叩き続けているが一向に収まる気配がない
かなり強い力で叩いているのでそれほど時間が経過していないにも関わらず拳の皮がめくれていた
??「だからうるせーんでち!!!寝かせろでち!!!」
うっせー。こっちも限界なんだよ。寝てーなら夜戦かまして寝かすぞチクショー
そろそろいい加減にしてほしい…
クソ提督はいつになったら来るの?
私はいつになったらメロンを辞められるの?
夕張「あああああああああああああああああああ!!!!!」
クソ提督ゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!
さっさと来なさいよォォォォォォォ!!!!!
このメロン地獄から私を救い出してよォォォォォォォ!!!!!
そんな願いを込めて今日もメロンを…
夕張「天空へ向けてスパァァァァァァァキングゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
渾身の力を込めて窓の外へと投げ飛ばした
メロン生活 二十六日目
ただただ、勢いのままに、投げる
夕張「鎮守府でゴロゴロしてる球磨にスパァァァァァァァキングゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」ドゴンッ!!!
球磨「くまァァァァァァァァァァ!!!??」
退かず、媚びず、省みず
メロン生活 二十七日目
暴れ狂う、獣のように、投げる
夕張「スーパーで働く吹雪さんにスパァァァァァァァキングゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」ドゴンッ!!!
吹雪「ひぎっ!!!」
触れるもの皆傷つける
メロン生活 二十八日目
今までのうっぷんを、そのメロンに込めて、投げる
夕張「様子を見に来た加賀さんにスパァァァァァァァキングゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」ドゴンッ!!
加賀「」
気持ちの良い炸裂音が部屋を包み込んだ
やっちまったな
――――――――――――――――――――――
夕張「……」
夜叉丸一号「……我らは己(うぬ)らに問う、汝らは何ぞや?」
ドラム缶たち「我らドラム缶隊!!水雷戦隊のユダなり!」
夜叉丸一号「なぁらばドラム缶隊よ、汝らに問う、右手に持つものは……何ぞやぁ!!」
ドラム缶たち「食料と弾薬なり!」
夜叉丸一号「なぁらばドラム缶隊よ! 汝らに問う、左手に持つものは何ぞやぁ!!」
ドラム缶たち「資材幾百と荒縄なり!!」
夜叉丸一号「ぬぁあああらぁああばぁぁぁあ!!!」
夜叉丸一号「ドラム缶隊よ、汝らは何ぞやぁ!!」
夜叉丸一号「我ら装備にして装備にあらず」
夜叉丸一号「鼠にして鼠にあらず」
夜叉丸一号「土竜にして土竜にあぁらず」
夜叉丸一号「缶にして缶にあぁぁらずぅ!!」
夜叉丸一号「我らは、ただひたすらに主に従う者、ただ伏して御主の跡を追い、ただ伏して御主の荷を…運びきるぅぅ!!」
夜叉丸一号「闇夜で空気を飲み込み、夕餉を半分喰らう死の一兵卒!」
夜叉丸一号「我ら死徒なり、死徒の群れぇなり」
夜叉丸一号「我ら刺客なり、日本海軍のユぅダなり」
夜叉丸一号「時至らば、我ら資材三十神所に投げ込みぃ、あぁぁら縄を以って己の素っ首引き下げるぅなり!」
ドラム艦隊「されば我ら徒党を組んでガダルカナルへと下り、隊伍を組みて数珠つなぎとなり、七百四十万五千九百二十六の、地獄の深海棲艦と合戦所望するなり!」
夜叉丸一号「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
夕張「……」
彼らはいったい何と闘っているのか…
彼らはいったい何がしたいのか…
そもそも彼らとはいったい何なのか…
思うところは多くあったがついで口から出たのは
夕張「いやそこは『ベリーメロン』歌えよ…」
の一言だけであった…
夕張「で…また夢の中か…」
夜叉丸一号「その通りだぁ…それ以外になぁぁぁにぃがあるというのだぁ」
夕張「ですよねー」
夕張「で?今回は何なの?またお告げ?」
夜叉丸一号「ああ…以前言ったことを覚えているな…」
夕張「危機が迫っているってやつね」
夜叉丸一号「もう…その時はすぐに迫っているぅ…用心しろぅ…」
夕張「…わかったわ」
夜叉丸一号「…あとなぁ……」
夕張「何?」
夜叉丸一号「色々大変だろうが…正気は保てよぅ…」
夕張「え?」
――――――――――――――――――――――
メロン生活 二十九日目
おかしい…実際の日数と私の日時感覚が一日ずれている…
どうやら一日分、記憶が丸々飛んでいるようだ…
正直何が起きたのかさっぱりわからない
分かることと言えば二つ。一つは記憶が途絶える前には無かったはずの赤いシミや焦げた跡が部屋中についていること
もう一つは私に高速修復材が使われた形跡があるということだけだ
この奇妙な状況に恐ろしさを感じるが目立った被害はないのでひとまず仕事に集中することにした
そんな私の変化に対して本日も鳳翔さんに異常はない
朝七時 店の前にメロンを撒く
夕方六時 店のメロンを上げる
夜の十二時 メロンをメロンしメロンメロンにつくメロン
メロンがメロンでメロンとメロン
メロンのメロンによるメロンのためのメロン
メロンとともに生まれメロンとともに生きメロンとともに死ぬ
おはようからお休みまで。ゆりかごから墓場まで。やがてメロンからメロンへ
NO MERON NO LIFE
……
ああ見える…私には見える!!!
さながらそれは広大な宇宙に連なる壮大なメロンの河…
その軌跡はまさに生命の神秘である二重らせんを描き上へ上へと昇っていく!!!
まさにそれこそがメロンの神秘。メロンの秘密!!!
後ろに見える星々すら霞むエメラルドグリーンの輝きが、上へ上へ…
美しい網目が、上へ上へ…
上へ上へ…
メロンメロン…
……
メロン生活 三十日目
メロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロン
メロン生活 三十一日目
ふと気が付くと体中メロンまみれで見知らぬところに立ち尽くしていた
…どうやら夢遊病のように街を徘徊していたらしい
もう無理だ!!限界だ!!!
任務も糞も知ったことじゃない!!!
あんな水まき女のことなんて知ったことじゃないんだ!!!
もう私はメロンなんか一っ口も食べたくないんだぁぁぁぁぁ!!!!!
私は気でも触れたかのように叫んで、叫んで、走り続けた
そうしてすべてが嫌になって
そうしてすべてがどうでもよくなった
私は身支度を整えるために忌まわしきメロン部屋へと戻ることにした
しかし、二階への外付け階段を上ったあたりで玄関の扉の前に何かがおいてあることに気付く
どんぶりと…手紙…?
「お向かいさんだったとは知りませんでした。メロンばかりでは体壊しちゃいますよ。今日の夕飯作りすぎちゃったんでよければどうぞ食べてください。いつも見守っててくれてありがとう 鳳翔より」
……
涙が出た。止まらなかった
いつから気づいてたのか、どれだけ知っているのか
そんなことはもうどうでもよかった
ただわかっていることは、私は鳳翔さんにありがとうなんて言われる資格がないこと…
私が身勝手な理由で鳳翔さんを見捨てようとしたこと…
そして…
夕張「私…ボーキサイト食べられないよ…」ポロポロ
鳳翔さんの作ったどんぶりいっぱいの『ボーキサイトの煮つけ』を私は食べることができないということだ
そこで私の意識はぷっつりと途絶えた
――――――――――――――――――――――
夜叉丸一号「……」
夕張「…珍しく静かね」
夜叉丸一号「……そうだな」
夕張「……」
夜叉丸一号「……」
夕張「…もしかしてさ…私やっちゃった?」
夜叉丸一号「……そうだぁ」
夕張「…ごめんなさい」
夜叉丸一号「まあ…こちらの予測していたものとは大きく違っていたがなぁ」
夕張「せっかく…忠告してくれたのに…情けないな私」
夜叉丸一号「お前は…自身に課したルールは守り切った…」
夕張「でも…」
夜叉丸一号「それにぃ…結果的にはおまえは無事だ。そぉれぇで十分だぁ…」
夕張「……」
夜叉丸一号「今はゆっくりと眠れぇ」
――――――――――――――――――――――
ボーキ生活 二日目
目を覚ますと、そこは自分のいた部屋とは似ても似つかぬ天井が見えた
天井にシミはなく、清潔感のある白で統一されている
まるで病院にでもいるかのように、いくつもの薬品の匂いが鼻についた
…病院!?
夕張「どういうこと!!?」ガバッ
私は久しく使用していないベッドから跳ね起きた
その横では苦々しい顔をした加賀さんが座ってこちらを見ていた
夕張「加賀さん…私はいったい…ここは…」
加賀「病院よ」
やはりそうか…でも何故?
私は任務で…
鳳翔さんは?
夕張「そうだ鳳翔さんは!?鳳翔さんはどうなったんですか!!?」
加賀「……」
加賀「逃げたわ。クソ提督と一緒に金持って」
夕張「!!?」
加賀「私たちはあの鳳翔にはめられたのよ」
加賀さんは私の眠っている二日間に起きたことを最新の調査結果とまとめて話してくれた
軍資金の持ち出しはクソ提督と鳳翔さんの共謀だったこと
鳳翔がクソ提督と仲たがいして鎮守府を出たというのも嘘、さらにはクソ提督がちょろまかしてキャバクラに貢いでいた軍資金というのもキャバクラではなく実は鳳翔さんの店に回していたこと
早い段階で私の張り込みに気づき、私をだますために一か月も芝居を打っていたこと
そして私が憔悴したところを見計らって毒を盛ったこと
加賀「普通の毒程度なら艦娘である私たちには聞かないけど、そこは元海軍勤務。玄関に置いてあったボーキ丼からは艦娘にも効果抜群の強力な劇毒が入っていたらしいわ」
夕張「じゃあ私はそれを食べて…」
加賀「あなたの倒れた原因は栄養失調よ」
夕張「そ…そうですか…」
加賀「だから食べろと言ったのに…」
苦々しい顔がさらに渋くなっていく
加賀「でもまあ…あなたはよくやったわ。あなたが監視をしてくれたおかげで私たちは自由に動けたし、その甲斐あって店の周りでうろちょろしてた呉鎮守府の艦娘は全て捕獲できた」
夕張「……」
加賀「アホ二人を取り逃がしたところでお釣りがくる…だからあまり気にすることじゃないわ」
夕張「……」
加賀「あなたはよくやったわ」
少し間があった後、部屋の戸が開いた
蒼龍「加賀さん、赤城さんの面会許可出ました。今から行けます」
加賀「分かったわ。すぐに行く」
夕張「赤城さんも病院に…?何があったんですか…?まさか捕縛の時に!?」
加賀「いえ…あなたが食べなかったボーキ丼を知らないうちに完食していたらしくて…」
夕張「あー」
ぶれないなあの人は…
加賀「さっきまで集中治療室に入ってたから面会できなかったのよ」
夕張「はははっ!!お大事にと伝えといてください」
私が勢いよく笑ったのが意外だったようで、加賀さんはきょとんとした顔を見せたがすぐにいつもの顔に戻った
加賀「…伝えておくわ」
訂正。少し笑った
加賀「そうそう。忘れるところだったわ」
夕張「?」
加賀「とりあえず即席のものしか用意できなかったけど…」
そういって加賀さんが出したのは…
夕張「鴨南蛮ですか…」
加賀「鴨南蛮」
正直、ここ一か月ろくに食事をとってないのでその鴨南蛮は文字通り喉から手が出るほど欲しい。食べたい
でも…本当に食べていいのだろうか?
夕張「もしかして私のこと慰めてます?」
加賀「……」
夕張「任務失敗なんて腐るほど経験してきてるんですよ。今更そんなに落ち込むなんてことはないです」
夕張「ただ…自分の筋を通したせいで皆に迷惑をかけたことだけは心残りですが…」
加賀「後悔してるの?」
自分には嘘はつけない。答えはもうわかり切っている
ただ言えない。これを今、口に出せるほど図々しくは…
”自分に嘘をつくなよぉ…。お前は自分の信じる道を行けぇ”
声が聞こえた。
夕張「…いいえ。その筋を曲げることは私を否定することと同義です」
言った。言ってしまった
これで私は加賀さんから嵐のようなお説教を…
加賀「…なら最後まで気張りなさい」
夕張「…へ?」
貰わなかった。これは予想外だ
加賀「あなたの心にはまだ『残っている』のでしょう?だったら筋を通し切りなさい」
夕張「でもまた迷惑かけることに…」
加賀「幾らでもかけなさい」
『鬼の目にも涙』など不謹慎なことを考えるのは失礼だな
でもせっかくだ。お言葉に甘えさせていただこう
夕張「ならとりあえず退院して鎮守府に戻ります。とってくるものがあるので」
もう迷いはない
加賀「分かったわ。これはどうする?」
喉から手が出るほど欲しかった鴨南蛮
夕張「赤城さんにでも差し入れてください」
いらない。私にはまだ必要がないものだ
加賀「そう。赤城さん喜ぶわね」
私に今、必要なのは…
加賀「まあでも…あなたが欲しいのは鴨南蛮ではないみたいね」
夕張「おねだり…してもいいですか?」
――――――――――――――――――――――
ところ変わってとある町
クソ提督「いや~それにしても上手くいったな。さすがは俺の元秘書艦。お前にかかれば軍の犬を相手にするなんぞ赤子の手をひねるのと同じだなぁ」
鳳翔「まるであなたが私を育てたみたいな言い方ですね。少し口を慎んだらどうですか?」
クソ提督「つれないなぁ~今、俺たちは金持ちなんだぜ~。これだけあれしばらくは遊んで暮らせる!!酒も女も好きなだけ買える!!!」
クソ提督「まあ?一番はお前なんだけど」
鳳翔「黙ってろ。頭が足りてないのですか?そんなに豪遊なんかしたらすぐに足が付くに決まっているでしょう…」
鳳翔「それに金と言うのは遊ぶためではなく金を稼ぐためにあるのですよ」
クソ提督「はいはい。そうでしたね~」
クソ提督「それにしても鳳翔は金が好きだよな。いったい俺に内緒でいくらため込んでるのか…」
鳳翔「そんなの教えるわけ…」
鳳翔は何かを感じたかのように目線を後ろにむける
クソ提督「どうした?」
鳳翔「いえ…誰かに見られている気がしただけ」
鳳翔「どうもこの町に入ってから誰かの視線を感じるんですよ」
それを聞いたクソ提督は下品な高笑いを見せる
クソ提督「ふひゃひゃひゃひゃひゃ!!!一か月もヘボ張り込みに付き合ったせいでおかしくなったんじゃないのかぁ~~~」
メロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロンメロン
ゴウン!!!
クソ提督「うおっ!!?」
よそ見をしながら歩いていたクソ提督は正面にあった『それ』に気付かず、足を引っ掛けて盛大に転んだ
クソ提督「痛ってぇ~な~!!!この糞が!!!」
ただ置いてあった『それ』に蹴りを一つ入れる
クソ提督「何でこんなところに『ドラム缶』があるんだ畜生!!!」
鳳翔「本当に…何で…」
一目でわかった。これはただのドラム缶じゃない
そのドラム缶は全体のいたるところに大小さまざまな傷やへこみがついており、どれほどの死線をくぐってきたかが伺えた
そのためけっして綺麗と呼べるものではない。しかし、大切に扱われているようで埃や汚れは拭き取られしっかりとメンテナンスが施されている
あと、持ち主は割と少女趣味かもしれない。そんな無骨なドラム缶にはデフォルメされた可愛いメロンのステッカーが…
メロン…?
鳳翔「八つ当たりしている場合じゃありません!!早く行きますよ!!!」
クソ提督「は?…あ、ああ…」
嫌な予感がした
自然と歩幅が大きくなっていく
鳳翔「今すぐこの町を…」
??「いやーん。これから祭りの時間なのにどこへ行くのかしらぁぁぁ?」
ドラム缶から声がする。いや、正確にはドラム缶から出てきた女の声だ
クソ提督「ああ?そんなもんいったいどこでやってるんだ?頭おかしいのか?」
何も知らないクソ提督は突如現れた女に怒りを表し、近づいて行っている
鳳翔「逃げ…」
夕張「やってるわよ。冬の夕張メロン祭り」
夕張が素早く構えたメロンは一瞬で投げられ、すさまじい速度で鳳翔たちの顔面をとらえた
夕張メロン祭り 六十八日目
倒れた鳳翔がうめくように話しかけてくる
鳳翔「あなた…本当にメロンが好きね…」
夕張はメロンを一口ほうばって、笑顔で答えた
夕張「好きじゃないわよ」
これで終わりとなります。
前回とは違って地の文が多かったのでいまいち勝手がわからなかったですが完走できてよかったです
前回はこれ 瑞鶴「さっさと…さっさと私を殺しなさいよぉぉぉぉぉ!!!!!」
瑞鶴「さっさと…さっさと私を殺しなさいよぉぉぉぉぉ!!!!!」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411743012/#header)
乙乙
ベェルィーーメェェェロンンン!!!
乙!!
メロン爆雷を撒き散らせ!!
乙
クッソつまらんかった
前回の読んできたけどクッソつまらんかった
瑞鶴は元からぺたん娘やろ
似たようなdis感想が似たような末尾で単発連続するとつい自演を疑ってしまうけど……きっと彼らには普通につまらなかったのだろう
乙です、盛大に笑わせていただいた
瑞鶴はメディアによっては増量されてる
艦これ改だとどうなるやら
来てたのか
乙
銀魂なら地の文ないほうがノリがいいかも
次も期待
このSSまとめへのコメント
こういうのが時々あるからss読みはやめられん