今回彼にドッキリを仕掛けたのは同じ職場の同僚、式波・アスカ・ラングレーである。
アスカ「バカシンジが前回の収録で急にアドリブに走っちゃったから、一度懲らしめてやろうと思って!」
※なお、これからお見せする映像は現在公開中の「ヱヴァンゲリオン新劇場版:q」を
未見の視聴者にとっては、とてもショッキングな内容が含まれているので、あらかじめご注意頂きたい。
何も知らずに医療用カプセルの中で眠るターゲット。そのままaaaヴンダーに収容されるが、既にここからドッキリは始まっているのだ。
シンジ「あれ……?! ここは……」
と、ここでターゲットがついに起きた。
サクラ「艦長、対象が目覚めました!」
艦長と思しき人物と通信機で連絡を取る女性。もちろん彼女も仕掛け人である。
シンジ「えっ?! えっ…(ここどこ……?!)」
動揺するターゲット。落ち着く暇もなく、適当な質問に答えさせられながら、司令室へと運び込まれていく。
司令室に通されたターゲット。そこで彼を待っていたのは、姿・雰囲気ともに変わった彼の上司。
もちろん彼女も仕掛け人。横にいる彼女の同僚に至っては、この日の為にヘアスタイルを変えてくるほどの気合の入れようである。
シンジ「ミサトさん、ミサトさんなの?! その恰好は……」
ミサト「……アスカは、改2号機は出られる?」
シンジ「アスカ?! アスカもいるの……じゃあ、僕も出撃しなきゃ!!」
ミサト「シンジ君……もうあなたはエヴァに乗らないで」
シンジ「?!」
自分の部下を睨みつける仕掛け人。ものすごい剣幕、ドスの聞いた声である。
これには思わずターゲットも顔を恐怖に引き攣らせる。
――ちなみにリハーサルの時点でこの仕掛け人の上司、あまりに恐すぎて、スタッフから
もう少し手加減するように注意されたのだとか。これが演技だと思う人はそうはいるまい。
シンジ「?!!(ど、どうなっているんだ、こんなの聞いていないよ。大体、ここはどこなんだよ?!
船が浮いているし、使徒じゃない変なのと戦っているし…!)」
――ターゲットが驚くのも無理もない。実は収録の直前、ターゲットは次のような脚本を手渡されていた。
「レイとシンジを取り込んだまま凍結されるエヴァ初号機
廃棄される要塞都市
幽閉されるネルフ関係者
ドグマへと投下されるエヴァ6号機
胎動するエヴァ8号機とそのパイロット
ついに集う、運命を仕組まれた子供達
果たして生きることを望む人々の物語は何処へ続くのか
次回 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:q quickening
さぁ~て、この次もサービス、
サービスゥ!」
しかし、いざ収録が始まると目覚めた場所はいつもの職場でなく空飛ぶ鳥みたいな船、その周りには浮く戦艦と、
「エヴァを観に来たと思っていたらガンダムかヤマトを観ていた」心境である。
もはやこの時点で泣きそうなターゲット、しかしまだまだドッキリは終わらない。
これ上映中のお前の心境だろww
アスカ「……」
シンジ「あ、アスカ! 良かった、無事だったんだね!」
一通りの戦闘の後、ついに今回の依頼人が登場。プラグスーツにジャケット姿、眼帯がサマになっている。
混乱の最中で彼女との再会を喜ぶターゲット。
シンジ「でも、どうしたんだよその恰好、それに一体あれから何が……」
――と、ターゲットが依頼人に歩み寄った次の瞬間!
バキィィッ!!
シンジ「ひぃっ?!!」
依頼人のストレートが炸裂!! しかしターゲットは無傷。
二人の間に強化ガラスがなければ彼の前歯は全てへし折られていたところであろう。
おびえるターゲット。
アスカ「本当に何も知らないのね……バカ……いや、ガキシンジか」
構わず続ける依頼人。ターゲットの上司といい、この娘といい、とても演技とは思えない。
確かにドッキリとしか思えない内容だからなwwww
シンジ「あれから14年も経っていた?! そんな馬鹿な、だってアスカ…」
アスカ「エヴァの呪縛よ」
依頼人の口から語られた衝撃の事実。今回のドッキリは実はこの時間の経過がメインテーマなのだ。もちろんこれは嘘。
そんな姿の変わってない同僚の嘘に戸惑うターゲット。大体「エヴァの呪縛」の一言で全部片付けようとする事自体、無理がある。
だが、真偽を確かめようにも、彼の上司とその同僚らは元々老けこんでいる見た目の上、
上司に至っては原型を留めていないくらい、顔も服装も、
――おそらくキャラデザ担当の人さえも変わっているのだ。変わっていないのは三石さんボイスくらいである。
とはいえ、目覚めて間もない事もあり、にわかにはまだまだこの話を信じる事が出来ないターゲットだが……
サクラ「あなたのお世話を担当することになった、鈴原サクラですぅ」
シンジ「鈴原――って、トウジのっ!?」
サクラ「はぁい」
ターゲットの親友の妹の成長した姿を見て驚愕。もちろん彼女も仕掛け人。
ちなみにこの娘…当然彼の親友の実の妹ではなく、たまたまそこらで見かけた顔の良いねーちゃんに仕掛け人役を頼んだだけである。
シンジ「そうだっ、綾波は? 確か使徒から助け出したはずじゃ……」
???「碇くん、どこ?」
シンジ「!」
――と、ここで勢いよくヴンダーの壁を破ってエヴァンゲリオンmark.9が登場。もちろんこれも仕掛け人。
それにしても、齢14の少年をドッキリさせるためにここまで用意する依頼人、なかなか気合が入っているではないか。
ミサト「シンジ君、行ったらこのスイッチを押すわよ」
ヴィレから逃れようとエヴァに乗ろうとするターゲット、そんな彼を止めようとする演技をする彼の上司。
※ちなみにターゲットの首にさっきから付けられている殺人チョーカー、リハーサルでは撮影用の小道具だったが、
本番ではドッキリの緊迫感を仕掛け人側にも味わってもらおうという目的で、専門家の指導の下、本物を使用している。
くれぐれも視聴者の皆さまは真似をしないで頂きたい。
逃げようとするターゲットとエヴァンゲリオンmark.9。
ミサト「マリ、頼むわ!」
マリ「オッケー♪」
ターゲットの上司はここですぐさまエヴァンゲリオン8号機を呼んだ。
呼応するようにハッチからせり出す8号機。その手には銃が握られているではないか。
ダァン!!
シンジ「!」
すかさず火を噴く銃口、爆発するmark.9の頭。飛び散る肉片に眼球。
この時の一発でエヴァmark.9は顎から上を吹き飛ばされたのだ。
――では、分からなかった方の為にもう一発。
ダァン!!
シンジ「!!!!」
その時の様子を後に仕掛け人の同僚はこう語る。
リツコ「私が見た時、既にmark.9は首から上を完全に失っており、黄色いカラーといい、
完全に、少し前に流行ったアレを彷彿とさせる状態で、私達は最悪の事態も覚悟していました」
だが、上司の制止を振り切ってそのまま飛びさるmark.9、はたしてターゲットの運命やいかに――
――1分後――
そこには、悲しみのない自由な空に翼はためかせ飛んで行くエヴァmark.9の姿が!
mark.9「もう二度とヴンダーには突っ込まないよ」
こうしてヴィレの追撃を逃れ、懐かしのネルフ本部へとやってきたターゲット。
14年を経て変わり果てた職場の姿に愕然とするターゲットだが、もちろんこれも撮影用に用意した偽物。
そんなことは露知らず、続いて父親の下へと通される……当然この父親も仕掛け人なのだが。
ゲンドウ「そこの少年と共にエヴァンゲリオン第13号機に乗るのだ」
カオル「よろしくね」
シンジ「…」
「久々に会って早々、何を言っているんだお前は」、という表情が見て取れるターゲット。
――それにしてもこの親父、まったく懲りない男である。
※×:カオル→○:カヲルで
その後、渚カヲルのピアノの演奏に無理やり付き合わされ、最初は戸惑いつつも、
彼との交流の中で徐々に元気を取り戻していくターゲット。
一見すると何やら同性愛や薄い本のネタになりそうなど危なげな雰囲気だが、そもそもターゲットは14の少年。
多感な時期に訳もわからぬまま目覚めさせられ、おまけに女性の恐い一面を立て続けに見せられたのだ。
この心境のまま次に出会った人物が同世代の男で、しかも優しくてイケメンだったら、ホモになっても良いと思うに違いないだろう。
――しかし残酷な事に、この少年もゼーレの送りこんだ仕掛け人。
そして彼の口から語られ、見せつけられる14年前の真実。もちろんこれも嘘。
そんな嘘に気付かずターゲット、目の前の凄惨な状況についに絶叫。このように彼が一度引きこもりはじめたら、もう出て来ることはない。
と、ここで仕掛け人、おもむろにターゲットのチョーカーを外し、それを自分の首に付け替える。何と健気であろうか。
これにはターゲットもたまらず感激。散々ひどい目に遭わされているにも関わらず、ピュアな少年である。
そのまま仕掛け人の言葉に従い、これも嘘である事を疑いもせず、エヴァ13号機に乗り込みドグマの最深部へ行く事を決意する。
そしていよいよドッキリもクライマックスに――!
ドグマ最深部に降り立つターゲットと仕掛け人。
ここで仕掛け人、置いてある2本の槍が予想していたものと違うことに気付く。
実はこれ、ターゲットの父親が彼に仕掛けた逆ドッキリなのだ。
意外にもこの親父、お茶目である。
予想外の出来事に、ドッキリを中止しようとターゲットを必死に止める仕掛け人。
だが、あろうことか嘘をすっかり信じ込んでいるために、ターゲットは彼の話に耳を傾けない。
さらに依頼人とその同僚も参戦し、もはや現場は収拾のつかない状態となってしまったではないか。
その最中、ついに引き抜かれてしまう槍。
フォースインパクトが始まりドッキリもいよいよ大詰めである。
だが次の瞬間!
カヲル「ひでb」パァン!!
シンジ「」
ターゲットの目の前で綺麗にはじける仕掛け人。例のチョーカーが作動したのだ。
そしてエヴァ8号機の手により、プラグごと排出されるターゲット。
と、ここでフォースインパクトはあえなく終了。
だがターゲットの親父は意外にも無表情、どこまでも底の見えない男である。
プラグの中で意気消沈しているターゲットの少年。
シンジ「……」
アスカ「ガキシンジ、相変わらずま~たウジウジしてんのね」
そこに依頼人が現われ彼の手を引っ張るが、ターゲットは最早心ここにあらずといったところである。
アスカ「…」
アスカ「ああ、も~っ! このバカ! バカシンジったら。――ドッキリに決まっているでしょ!!」
シンジ「?!」
レイ「ごめんなさい、騙しちゃって……」
ケンスケ「碇、こっち見ろこっち~」
――と、これ以上はターゲットが可哀相である上、
視聴者の皆さまに映画のラストをネタばれする訳にもいかないので、ここでネタばらし。
続けて、もう1人の仕掛け人(レイ)がドッキリのプラカードを取り出す。
シンジ「えっ…ドッ……キリ…?
もぉおお、酷いよ、アスカも綾波もぉおおお!!!」
一連の流れが全てドッキリだと知ったターゲット。親友の回すカメラに気付くと、ようやく胸を撫で下ろすのであった。
――だがこの映画、実はあともう1作控えているのだ。
ターゲットの苦労はまだまだ続くようである。
<終劇>
乙!
まる見えの特徴ってわかりやすいよなwwww
とにかく乙
説明うまいわwwww乙wwww
乙
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