「長門有希」 (128)

なんとなく進学した高校のお決まりの入学式を終えた俺達は教室に移動した。
そしてやってきたのは定番の自己紹介。

俺は特別なこともなく当たり障りのない紹介を終え着席した。

俺が自己紹介を終えると後ろの奴が立ち上がった。

「長門有希」

聞いた三秒後には忘れてしまいそうな平坦で耳に残らない声だった。

その生徒は続けて言った。

「この銀河を統括する情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。それが、わたし」

俺を含めた生徒たちが振り返る。ショートカットをした小柄でクールビューティーとでも表現すべき女生徒がそこにいた。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1416948241

「わたしの仕事は自律進化の可能性を秘めている者を観察して、入手した情報を統合思念体に報告すること」

彼女は衆人の注目など気にせずに続ける。

「産み出されてから三年間、わたしはずっとそうやって過ごしてきた。この三年間は特別な不確定要素がなく、いたって平穏。でも、最近になって無視出来ないイレギュラー因子が現れた。わたしとしたことがその対象を見失った。ゆきりんのうっかり屋さん」

教室の空気が固まる。

「この中に自律進化の可能性を秘めている者、自分の都合の良いように周囲の環境情報を操作する力がある者、それとそんな人物に選ばれた者がいたらわたしの所にきて欲しい。以上」

彼女はやはり平坦で抑揚のない声で募集をかけると何事もなかったかのように着席した。


これってギャグなの?

おそらく全員の頭にどういうリアクションをとればいいのか、疑問符が浮かんでいたことだろう。「ここ、笑うとこ?」

このように一瞬にしてクラス全員のハートをいろんな意味でキャッチした長門有希だが、翌日以降もおとなしく見た目や喋り方と同じく静かな女子高生だった。

ある日、そんなネジが飛んでるクールビューティーに話しかけた。

「なあ」

と、俺はさりげなく振り返りながらさりげない笑みを満面に浮かべて言った。

「しょっぱなの自己紹介のアレ、どのへんまで本気だったんだ?」

読書をしていた長門有希は本から顔を上げてまともに俺の目を凝視した。

「あなたの質問の意図が不明」

そう言って、意味が解らないと感じの風情で小首を傾げる。

「いや、だから自律進化の可能性がどうとか」

「あなたは自律進化の可能性を秘めてるの?」

大まじめな顔で訊きやがる。

「…違うけどさ」

「違うけど?」

「…いや、何もない」

「そう」

長門はそれだけ言うと興味を失ったかのように読書を再開した。

もはや話しかけることもままならぬと判断した俺は諦めて前を向いた。

新しいな この発想 期待

ほほう、期待している

長門有希の失敗、って感じか

それから数日したある日のことだ。

長門有希が俺に本を持ってきた。

「これ」

ハードカバーのそれは海外のSFものだった。

「貸すから」

長門は短く言い残すと俺に反駁するヒマを与えることなく机の上に置いて席に戻って行った。

そして翌日。

登校した俺が着席しようとしたら長門が声をかけてきた。

「本読んだ?」

長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。

本。というと、いつぞや俺に貸した異様に厚いハードカバーのことか?

「そう」

「いや、まだだけど……返した方がいいか?」

「返さなくていい」

長門のセリフはいつも端的だ。

「今日読んで」

長門はどうでもよさそうに言った。

「帰ったらすぐ」

どうでもよさそうなのに命令調である。

ここんとこ国語の教科書に載っている以外の小説なんて読んでもいないけど、そこまで言うからには他人に推薦したくなるほどの面白さなのだろう。

「……解ったよ」

俺が応えると長門はまた自分の読書に戻った。

そして、あくる日。

登校した俺が着席しようとしたら長門が声をかけてきた。

「本読んだ?」

長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。

昨日言われた本のことだろう。つい読みそびれてしまっていた。

「そう」

「いや、まだだけど……返した方がいいか?」

「返さなくていい」

長門のセリフはいつも端的だ。

「今日読んで」

長門はどうでもよさそうに言った。

「帰ったらすぐ」

どうでもよさそうなのに命令調である。

ここんとこ国語の教科書に載っている以外の小説なんて読んでもいないけど、そこまで言うからには他人に推薦したくなるほどの面白さなのだろう。

「……解ったよ」

俺が応えると長門はまた自分の読書に戻った。

さらに数日経ったある日。

登校した俺が着席しようとしたら長門が声をかけてきた。

「本読んだ?」

長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。

本。というと、いつぞや俺に貸した異様に厚いハードカバーのことか?

「そう」

「いや、まだだけど……返した方がいいか?」

「返さなくていい」

長門のセリフはいつも端的だ。

「今日読んで」

長門はどうでもよさそうに言った。

「帰ったらすぐ」

どうでもよさそうなのに命令調である。

ここんとこ国語の教科書に載っている以外の小説なんて読んでもいないけど、そこまで言うからには他人に推薦したくなるほどの面白さなのだろう。

「……解ったよ」

俺が応えると長門はまた自分の読書に戻った。

連投かな?

いやループだ

ちゃんと読め

幻術か!?

いや違う……また幻術なのか!?

エンドレス読んで

マジで連投かと思って5回くらい確認したわ

それから一週間ほど経った。

登校した俺が着席しようとしたら長門が声をかけてきた。

「本読んだ?」

長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。

本。というと、いつぞや俺に貸した異様に厚いハードカバーのことか?

「そう」

「いや、まだだけど……返した方がいいか?」

「返さなくていい」

長門のセリフはいつも端的だ。

「これ」

長門は一枚の紙を寄越してきた。

「入部届け?」

俺はその紙に大書きされた文字を読み上げた。

「そう」

ご丁寧に俺の名前まで書きこんであるその紙を見つめていると、

「文芸部」

長門が部の名前を言った。

「入部しろってことか?」

「そう」

俺の質問に対して、長門が言葉短く肯定の返事を寄越してきた。

「文芸部にはわたししかいない。廃部の危機」

闇色の瞳が俺を見つめる。

「なんで俺なんだ?」

「入学してから三週間。言葉を交わしたのはあなただけ」

長門はじーっと俺を見ている。

「本を読まんから幽霊部員になるかもしれんぞ?」

「構わない」

ぼっちの美少女とお近づきになれる機会だったからという訳ではなかったが、こうして俺は文芸部員になった。

そんな感じで過ごしているうちにゴールデンウィークも終わり、初夏の暖かさを感じるようになったある日の放課後のことだった。

終礼のベルとともに帰ろうとした俺の袖が掴まれた。

「どうした?」

俺の袖を掴んでいる長門に質問した。

「今日は部室に来てほしい」

「なにかあるのか?」

「昼休み、妙な女生徒に絡まれた」

今時スケバンということもないだろうが少々気になる。

「それで怖いのか?」

「そう。部室を寄越せと言われた」

まさか本当にスケバンで部室を溜まり場にでもするの気なのだろうか?

「それで部室に顔を出せと言うことか?」

「そう」

本当に不良だったらどうしようか?その様な一抹の不安を抱きながらも長門に同行することとなった。

面白いぞ

文芸部は部室棟、通称旧館にある。

老朽化した校舎を長門と二人歩く。

そして、文芸部と書かれたプレートが斜めに傾いで貼り付けられているドアの前で立ち止まる。

「ここ」

長門はそのドアを開けた。

長門がそのまま入室し、俺も続いて入る。

入部して三週間経とうと言うのに初めて入室する文芸部の部室は新鮮だった。

部屋は意外に広かった。長テーブルとパイプ椅子、それにスチール製の本棚くらいしかないせいだろうか。天井や壁には年代を思わせるヒビ割れが二、三本走っており建物自体の老朽化を如実に物語っている。

長門は本棚から本を一つ取るとそのまま部屋の奥に行き、窓際のパイプ椅子に腰かけた。

「適当に座ってて」

長門は無関心な風にそう言うと本を開いた。

俺は遠慮がちに適当に椅子に座る。お喋りの一つでもしようかと思ったが声をかけるのもはばかれる雰囲気だったため、諦めて携帯のアプリを起動した。

暫くしたら意外なことに長門から声をかけてきた。

「本読んだ?」

長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。

本。というと、いつぞや俺に貸した異様に厚いハードカバーのことか?

「そう」

「いや、まだだけど……返した方がいいか?」

「返さなくていい」

長門のセリフはいつも端的だ。

「今日読んで」

長門はどうでもよさそうに言った。

「帰ったらすぐ」

どうでもよさそうなのに命令調である。

ここんとこ国語の教科書に載っている以外の小説なんて読んでもいないけど、そこまで言うからには他人に推薦したくなるほどの面白さなのだろう。

「……解ったよ」

俺が応えると長門はまた自分の読書に戻った。

俺もゲームを再開しようと思っていると乱暴にドアが開かれた。

「おっ待たせーーー!!!」

驚くほどの美少女が元気よく入室してきた。

と、その少女が俺に気が付き、唖然としてみつめていた俺と目が合う。

少女は睨みつけるような目つきとなり言い放つ。

「あんた誰よ」

不機嫌さと不審さを包み隠さない口調だった。

「俺はこの文芸部の----」

「嘘。文芸部には有希一人しか部員が居ないのはすでにリサーチ済みなんだから」

少女は俺の発言を遮った。どうやらこの少女が長門が言っていた妙な女生徒なのだろう。

こんな妙な女生徒が複数くるようなら、文芸部はお祓いでもして貰った方がいいだろう。

確認の為に長門に視線を送る。

長門は黙って縦に首を振った。

「ほら!目を逸らした!!不審者は出て行きなさい!!!」

妙な女生徒が俺を怒鳴りつける。目を逸らしたら負けとは動物の世界ではあるまいし。

「あのなぁ……」

俺は呆れかえりながら改めて女生徒を見る。

どこから見ても非のうちどころのないポニーテール、この上なく整った目鼻立ち、意志の強そうな大きくて黒い目を異常に長いまつげが縁取り、薄桃色の唇を固く引き結んだ女。

「なによ!」

これで微笑んでいればどんな男も一目で恋に落ちることだろう。それこそホモであってもだ。

「疑うのなら長門に確認を取ってくれ。部室に来てなかっただけで三週間くらい前から文芸部員なんだぞ」

勿体無いと思ったからなのか、呆れたからなのか解らないが自然と溜息を出た。

「有希、本当なの!?嘘だったらタダじゃおかないわよ!」

少女は苛立ちながら長門に詰め寄る。

「彼が言っていることに偽りはない」

「……そう」

少女は不満そうに俺を睨む。

「…じゃあ仕方がないわね。部室の端っこで大人しくしてなさいよ!」

「そのことなんだが----」
「そうそう!有希に紹介するわ!」

一方的に言い放つ少女に部室の事を話そうとしたら、少女が無視して一人の少女を連れ込んだ。

「なんなんですかー?」

どう見ても無理矢理連れてこられたと思しきその人物は気の毒なことに半泣き状態だ。

「ここどこですか、なんでわたし連れてこられたんですか、何で----」
「黙りなさい」

 妙な女生徒の押し殺した声に少女はビクッとして固まった。

「紹介するわ。朝比奈みくるちゃんよ」

それだけ言ったきり、妙な女生徒は黙り込んだ。それよりもお前は誰だよ。

名状しがたき気詰まりな沈黙が部屋を支配した。

「それよりもお前----」
「うるさい」

俺が名前を聞こうとしたら睨みつけられ、質問は遮られた。

「みくるちゃん、あなた他に何かクラブ活動してる?」

「あの……書道部に……」

「じゃあ、そこ辞めて。我が部の活動の邪魔だから」

俺を無視してその女生徒は拉致してきた朝比奈さんと話す。

「書道部は辞めてこっちに入部します……」

可哀想なくらいに悲愴な声が聞こえた。何をして彼女をそこまでさせるのだろうか?

「でも文芸部って何するところなのかよく知らなくって、」

「我が部は文芸部じゃないわよ」

当たり前のように言うハルヒ。

俺も当初の目的を思い出した。

>>30のハルヒはミスです。少女とでも読み替えておいてください。

「おい、部室----」
「シャラップ!」

再び少女に遮られた。

「我が部はSOS団。世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」

涼宮ハルヒ……これを聞いて思い出した。
頭のネジが数本飛んでいると噂のトンデモ美少女の噂だ。

ありとあらゆる情報が彼女と噂の涼宮ハルヒと合致する。

間違いなく彼女が噂の涼宮ハルヒその人なのだろう。

俺がそう思っていると、涼宮ハルヒと思われる人物は、毎日放課後ここに集合ね、と全員に言い渡して、立ち去って行った。

とりあえず長門に謝ることにした。

「すまん!言いだせずに押し切られてしまった」

長門は無関心な風に、

「そう」

と一言だけ返してきた。

不甲斐ない男とでも思ったことだろう。

「あのー……」

ガックリとうなだれた朝比奈さんが声をかけてきた。

「お二人もSOS団なのですか?」

「いや、俺達は文芸部ですよ」

改めて見て気が付いたが、この朝比奈さんはかなりの美少女だった。

小柄である。ついでに童顔である。微妙にウェーブした栗色の髪が柔らかく襟元を隠し、子犬のようにこちらを見上げる潤んだ瞳が守ってください光線を発しつつ半開きの唇から覗く白磁の歯が小ぶりの顔に絶妙なハーモニーを醸し出す。さらには立派な乳までお持ちときている。

俺の視線に気が付いたのか、朝比奈さんが胸を隠した。

「あ、あのですね………」

俺が言い訳を考えていると後方から声がした。

「胸」

胸と同じく平坦な声を出したのは間違いなく長門だろう。

「大きい方がいい?」

長門が聞いてきた。

「いや!貧乳はステータスだと思うぞ!?」

とっさに意味が解らない釈明をした。って俺は何を言っているんだろうね?

「そう」

長門はそれだけ言うと興味をなくしたかのように読書を再開した。

振り返ると、朝比奈さんがさっきよりも心なし距離を取っており、

「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」

そう言って小さくお辞儀をするとそそくさと出て行った。

うーん……ちょっと失敗したかな?

部室の防衛に失敗してから数日が経った。

朝のHR前。長門が声をかけてきた。

「本読んだ?」

長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。

本。というと、いつぞや俺に貸した異様に厚いハードカバーのことか?

「そう」

「いや、まだだけど……返した方がいいか?」

「返さなくていい」

長門のセリフはいつも端的だ。

「今日読んで」

長門はどうでもよさそうに言った。

「帰ったらすぐ」

どうでもよさそうなのに命令調である。

ここんとこ国語の教科書に載っている以外の小説なんて読んでもいないけど、そこまで言うからには他人に推薦したくなるほどの面白さなのだろう。

「……解ったよ」

俺が応えるとほぼ同時に教室の後方の引き戸が乱暴に開かれた。

いい加減読めよwwwwww

何事かと思いそこを見ると、頭の四ヶ所を適当にまとめてリボンで結ぶというすこぶる奇妙な髪型をした涼宮ハルヒがそこにいた。

教室を見渡す涼宮ハルヒと目が合った。

すると涼宮ハルヒは他には一切目もくれず、一直線に俺に向かってきた。

そしてむんずと俺のネクタイを掴み上げ、顔を引き寄せる。

「あんた、部室に来ないとかアタシをなめてんの!?」

恐ろしい程の形相で俺を睨みつける。イタリア人であっても「可愛い顔が台無しだぜ?」なんて言える雰囲気ではないだろう。

「今日の放課後は絶対に来なさいよ!来なかったらマジで死刑だから!!」

俺はと言うと、あまりの剣幕に無言で首を縦に数回振った。

涼宮ハルヒは満足したのかネクタイを離し、俺を解放すると大股で教室を出て行った。

長門可愛い、よしよししたい

こんだけ頑なに読まないのはなんでだww

そして放課後、仕方が無しに部室に行った。

部室には長門と何故かメイド服姿の朝比奈さんが既にきていた。

手近なパイプ椅子に腰を掛けると朝比奈さんがお茶を淹れてくれた。

「ありがとうございます」

俺が礼を言うと「いいえ」と微笑んでくれた。涼宮ハルヒもこれくらい微笑むことが出来ればさぞモテることだったろう。

そう思いながらお茶を啜る。

「美味しいですね」

お世辞では無い感想を漏らすと嬉しそうに笑ってくれた。

もののついでに何故メイド服なのか聞こうと思ったら、乱暴にドアが開かれた。

「へい、お待ち!」

一人の男子生徒の袖をガッチリとキープした涼宮ハルヒが的はずれな挨拶をよこした。

俺の姿を確認すると満足げに頷き、

「一年九組に本日やってきた即戦力の転校生、その名も、」

言葉を句切り、顔で後は自分で言えとうながす。

虜囚となっていたその少年は、薄く微笑んで俺たち三人のほうを向き

「古泉一樹です。……よろしく」

さわやかなスポーツ少年のような雰囲気を持つ細身の男だった。如才のない笑み、柔和な目。適当なポーズをとらせてスーパーのチラシにモデルとして採用したらコアなファンが付きそうなルックス。これで性格がいいならけっこうな人気者になれるだろう。

「ここ、SOS団。わたしが団長の涼宮ハルヒ。そこの三人は団員その一と二と三。ちなみにあなたは四番目。みんな、仲良くやりましょう!」

いつの間にか俺や長門も彼女の中では団員に加えられていたようだ。

「入るのは別にいいんですが」

転校生の古泉一樹は落ち着いた笑みを絶やさずに言った。

「何をするクラブなんですか?」

「教えるわ。SOS団の活動内容、それは、」

涼宮ハルヒは大きく息を吸い、

「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」

そう高らかに宣言した。

噂以上におかしな少女だった。勝手にしてくれ。

古泉は、

「はあ、なるほど」

と何かを悟ったような口ぶりで呟いて、朝比奈さんと長門有希を交互に眺め、訳知り顔でうなずいた。

「さすがは涼宮さんですね」

意味不明な感想を言って、

「いいでしょう。入ります。今後とも、どうぞよろしく」

白い歯を見せて微笑んだ。

涼宮ハルヒは見た目が良いし、俺が文芸部に入ったのと大差ない感覚なのかもしれない。

もっとも文芸部とは違い、明らかに後悔しそうではある。

俺がそう思っていると涼宮ハルヒが何かを言い始めた。

「ではこれより、第一回SOS団全体ミーティングを開始します!」

俺と長門には構わずに勝手にやってくれ。

「果報は寝て待て、昔の人は言いました。でももうそんな時代じゃないのです。地面を掘り起こしてでも、果報は探し出すものなのです。だから探しに行きましょう!」

俺の内心での突っ込みを無視してハルヒは続ける。

「市内をくまなく探索したら一つくらいは謎のような現象が転がっているに違いないわ!次の土曜日!つまり明日!朝九時に北口駅前に集合ね!遅れないように。来なかった者は死刑だから!」

ほれ見た事か。古泉は今頃後悔をしていることだろう。

いや、待てよ?涼宮ハルヒに朝比奈さんという美少女と街を散策できると考えて役得とでも思っているかもしれない。

もっとも、おそらくだが、何らかの理由を付けて奢らされることになるだろうから、やはり最後は後悔することになるだろう。

冷静な分析を終える頃には、涼宮ハルヒは学校を案内すると言って古泉を連れて出て行っていた。

涼宮ハルヒに触発されたという訳ではないのだが、俺も部活動をしたくなった。

「なぁ、長門」

文芸部員仲間の長門に声をかけた。

「なに」

感情が読み取れない返事があった。

「俺達も土曜日に出かけないか?」

長門がじーっと俺を見ている。

「あ、あの涼宮さんの方はどうするんですか!?」

朝比奈さんが慌てた様に言ってきた。

「ああ、俺達は文芸部員でSOS団じゃないんで……」

「え!?いや、でも………」

朝比奈さんが困惑したような口ぶりで慌てている。

「どこに?」

朝比奈さんとは対照的に長門は平素と変わらぬ口振りで聞いてきた。

「駅前の図書館なんてどうだ?一応文芸部の課外活動ってことでさ」

「わかった」

長門はあっさりと了承した。

ペロッ…これは…!
ゆきりん一人勝ちフラグ!!

そして土曜日。涼宮ハルヒ達と会うと面倒なので時間をずらして駅前に集合した。

午前十一時。制服姿の長門と合流した俺は図書館に向かった。

「お前、私服持ってないのか」

「……」

「休みの日はいつも何してんのさ」

「……」

「今、楽しいか」

「……」

道中はそんな一方的なコミュニケーションをとった。

駅前が行政開発によって土地整理されたときに出来た新しい図書館に着いた。本なんか長門からしか借りたことがない俺は入ったことがない。

長門は、壁際のやたらでかくて分厚い本が立ち並んでいる棚の前でダンベルの代わりになりそうな本を立ち読みしていた。厚モノ好きだな、ほんと。

その姿を見ながら失敗したなと思った俺は空いたソファーで暫し眠ることにした。

「いてっ!」

頭に衝撃が走り目が覚める。

何事かと思ったら涼宮ハルヒがもの凄い形相で睨みつけながら仁王立ちしていた。

涼宮ハルヒは俺が起きたのを確認すると「フンッ!」とでも言いそうな態度で図書館から出て行った。

何だっていうんだ?噂以上の破綻者に呆れ果てながら時計を確認する。

四時半を回っている。

百科事典みたいな本を読みふけっている長門に声をかけ帰ろうとした。

それを拒否する長門に貸し出しカードを作ってその本を借りてやった。

そして、なんだか難しい名前の外国人が著者の哲学書を大切そうに抱える長門とともに図書館を後にした。

昼飯を食べていなかったから少々空腹だったもののその日は解散することにした。

帰りしな長門が声をかけてきた。

「本読んだ?」

長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。

本。というと、いつぞや俺に貸した異様に厚いハードカバーのことか?

「そう」

「いや、まだだけど……返した方がいいか?」

「返さなくていい」

長門のセリフはいつも端的だ。

「今日読んで」

長門はどうでもよさそうに言った。

「帰ったらすぐ」

どうでもよさそうなのに命令調である。

ここんとこ国語の教科書に載っている以外の小説なんて読んでもいないけど、そこまで言うからには他人に推薦したくなるほどの面白さなのだろう。

「……解ったよ」

その日はそう言って別れた。

その日の夜。

ベッドの上で長門から借りた本のカバーを眺めながら考えた。

そういえば、今日長門が何かを言っていたな………

大事なことだったような、どうでもよいことだった様な。

思い出したいような、思い出したく無い様な。

俺が至った結論は必要ならまた言ってくるだろうと言うことだった。

よし、寝よう。俺は消灯した。

いい加減読めwwww

エンドレスエイトってレベルじゃねーぞ……

ハルヒに邪魔されてるのか

読んだら死ぬのか?w

エンドレスエイトを超えるエンドレス感を感じる

このキョンはゆきりんが好きなのか嫌いなのかどっちだ

>>55
土日祝日返上で毎日繰り返しても40年以上かかるぞさすがにEEの方が上

エンドレスエイトと違ってループしてるわけじゃないんだな、妨害されてるだけで

長門がかわいそすぎる

これは読んでしまうと駄目なパターンか

週が明け、登校した俺に長門が声をかけてきた。

「本読----」

だがその声は直後に叩きつけられるように開けられた引き戸の音にかき消された。

「バカ二人はどこよ!!!」

音の主は怒声と共に教室に入ってきた。

何事かと思い振り返れば、そこにはストレートヘアをたなびかせた涼宮ハルヒがいた。

涼宮ハルヒは人とぶつかっても気にせず一直線に俺の所に来るとネクタイを掴み上げた。

「あんたたちアタシを舐めすぎよ」

いきなり罵声を浴びせられた。

「い、いったい何のことだ?」

若干のみ込まれながらも応じた。

「みくるちゃんに聞いたわよ!あんたたち知っていながらSOS団の集まりを無視したそうね」

「無視も何もそもそもSOS団員になった憶えはないのだが」

正直な思いを伝えてみた。

「あ、あんたいったい何を言ってるのよ!?」

噂の涼宮ハルヒには似つかわしくなくうろたえている。

この際、一切の思いを伝えてみることにした。

ふむ

「いいか?この際だから言わせてもらうぞ」

「な、なによ!」

涼宮ハルヒが睨みつけてくる。

「さっきも言ったが、俺も長門もお前の意味不明で幼稚な団体の仲間になった憶えはない」

「……入れてあげるって言ってんだから感謝しなさいよ」

不満げに反発してきた。

「お前が楽しくやるのは勝手だが巻き込まれる側が嫌な思いをするとか考えた事はないのか?」

「あ、あるわけないじゃない!」

「それじゃあハッキリ言ってやる。入りたくない。お前みたいな奴の仲間だと思われるのは迷惑だ」

「なっ…」

「部室も勝手に使うな」

「あ、あれはSOS……」

「SOSと言いたいのはこっちだ」

「………」

はっきりと言い過ぎたか?

「あっそ、あんたはいらない」

涼宮ハルヒはそう言うと力なくネクタイを離し、別段怒ってる風でもなく教室を出て行った。

「ちょっと言い過ぎたかな?」

小声で長門に聞いてみる。

「別に」

長門は何時も通りの様子で答えた。

女子が注意するには気が強すぎるし、男が注意するには可愛すぎたのだろう。

成績も良かった為に教師連中だってそこまで厳重に注意してきたとは思えない。

そんな事でおそらくはまともに注意されたことがない涼宮ハルヒはある意味可哀想な生徒だったのだろう。

注意してやった方が本人の為なのかもしれなかったが、やはり言い過ぎたという思いはぬぐえない。

なんて言っても美少女だし、美少女をイジメて喜ぶ歪んだ性癖が無い以上は仕方がないよな?

放課後に部室に顔を出して涼宮ハルヒが居るようだったら言い過ぎたとでも言ってみよう。

そんな風に涼宮ハルヒのことを考えながら放課後まで過ごした。

俺の下駄箱に入っていたノートの切れ端。

そこには、

『放課後誰もいなくなったら、一年五組の教室まで来て』

と、明らかな女の字で書いてあった。

当然、俺はゆきりんに相談した。

「なぁ、こんなのが入ってたんだが………」

「わたしも一緒に行く」

ゆきりんがどう思ったのかその表情からはうかがい知ることは出来なかった。

そして放課後。俺はゆきりんと手を繋いで一年五組の教室の前にまでやってきた。

引き戸を開けて中を窺う。

教壇には艶やかな長い髪をした女生徒が立っていた。

女生徒は俺を見つけると柔和な笑顔を浮かべながら、

「遅いよ。そんな所に立ってないで入ったら?」

客引きでもさせたらトップにでもなれそうな程に自然に誘ってきた。

俺はゆきりんの手を引いて、一緒に入室した。

「な、長門さん!?」

教壇にいた生徒はゆきりんを見ると驚いた様な声をあげた。

「なんだ?知り合いか?」

俺はゆきりんに聞いてみた。

ゆきりんは黙って頷く。

「長門さんも来たなら丁度いいわ。あなたからも注意して頂戴」

教壇の女生徒は俺にではなく、ゆきりんに対して用があるようだった。

「ゆきりんが何か迷惑をかけたのか?」

「長門さんは生み出されてから三年間、一度も働いてないのよ!」

「そりゃ三年前だと中学生だし働かないのが普通だろう?」

教壇の女生徒からの無茶振りに正論を吐いた。

「違うの!!私たちの仕事は自律進化の可能性を秘めている者を観察して、入手した情報を統合思念体に報告することなの!!」

「そ、そうか………」

自然と苦笑いしてしまった。

「わたしなりに仕事はしているつもり」

ゆきりんが平坦な声で応じる

「三年間、一度も報告してないのに平気な顔をしないでよ!」

「そうなのか?」

なんのことか解らないがゆきりんに聞いてみた。

「そう。忘れてた」

「あはは。ゆきりんはうっかり屋さんだなぁ」

「そう。うっかり屋さん」

そういうゆきりんの頭を撫でた。

「あーーーー、もう!!」

教壇にいる女生徒は頭が痒いのか頭を掻き毟りながら地団太を踏み始めた。

折角綺麗に整ってたのに台無しだな。

「もういいわ!デリートして再構成してあげる」

さっきまで頭を掻いていた女生徒は初めの笑顔に戻っていた。

「あなたはわたしのバックアップのはず」

「じゃあ仕事をしなさいよ!!」

再び笑顔が消えた。忙しい子だ。

「わたしは恋に生きる女。バックアップらしく応援するべき」

「時間の無駄ね」

女生徒がそう言うと空中に槍の様な物が発生した。

と、次の瞬間それが俺達に向かって飛んできた。

ゆきりんはそれをかわしたが、俺はかわしきれずに数本の槍が貫かれた。

「あら?少しは庇うのかと思ったんだけど………」

女生徒の心底意外そうな声が聞こえる。

「いつから俺がキョンなどと言う、なんの特徴もない只の高校生と錯覚していた?」

「なっ………」

女生徒が絶句した。

「彼、瀕死なんだから腹話術で遊ばない方がいいんじゃない?」

そしてすぐに突込みを入れた。

「彼は愛の戦士。私の為になら死ねるはず」

俺の後ろにいるゆきりんが答える。

「俺はゆきりんの為にならしねるぞーーー!!」

口が勝手に動き、俺の後ろにいるゆきりんが声色を真似て発声する。

「あなた………手遅れね」

目の前の女生徒が心底呆れた果てたように応じる。

そして俺はと言うと、自分の意思とは無関係に体が勝手に動きその女生徒に特攻を仕掛けるのであった。

「なんだこれは?」

涼宮ハルヒが来ないかと待っていた俺は長門が差し出した原稿用紙を読まされていた。

「ノンフィクション」

長門が平坦に応じる。

「ノンフィクションって言うのは事実を書くものじゃないのか?」

本は詳しくないがたしかそうだったはずだ。

「三百時間以上取材した。信じて」

「そ、そうか」

俺はそう答えて朝比奈さんが淹れてくれたお茶を啜った。

「泣いた?」

茶をすする俺を動物園でキリンを見るような目で観察する長門。

「あ、ああ……」

飲み干した湯飲みを置くと朝比奈さんが二杯目を注いでくれた。

「あ、どうもありがとうございます」

礼を言う俺に対して朝比奈さんは、

「いいえ」

と天使の微笑みを返してくれた。

「今日は涼宮さん遅いですね~ 古泉くんはアルバイトらしいんですけど」

朝比奈さんは微笑みを崩さずに続けた。

やっぱり言い過ぎたかなと少々反省している俺に長門が声をかけてきた。

「本読んだ?」

長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。

本。というと、いつぞや俺に貸した異様に厚いハードカバーのことか?

「そう」

「いや、まだだけど……返した方がいいか?」

「返さなくていい」

長門のセリフはいつも端的だ。

「今日読んで」

長門はどうでもよさそうに言った。

「帰ったらすぐ」

どうでもよさそうなのに命令調である。

さっきのはノンフィクションらしいから、ここんとこ国語の教科書に載っている以外の小説なんて読んでもいないけど、そこまで言うからには他人に推薦したくなるほどの面白さなのだろう。

「……解ったよ」

俺がそう言うと長門はノートの切れ端を差し出した。

また、ノンフィクションかと思いながらもそれを受け取った。

そういやこの「俺」は原作のキョンではない可能性があるんだよな
とか思いつつ読んでたら作中でさっそくネタになってた。
あと朝倉さんの下りは実際にあった出来事で、その結果「俺」が死んだから情報操作で蘇生もしくは複製を作って入れ替えたってことかな

おら久しぶりにわくわくしてきたぞ

>>80
誰がお前の考えを知りたいだなんて言った?

そこには、

『放課後誰もいなくなったら、一年五組の教室まで来て』

と書いてあった。

「なんだこれは?」

「今朝下駄箱に入っていた」

長門は何でもない様に言う。

代わりに朝比奈さんがクスリと笑い俺に耳打ちをした。

「あれってそう言うことなんですかね?」

耳打ちを受けた俺の質問に対して朝比奈さんは微笑むだけだった。

咳払いを一つし、

「それで俺にどうしろと言うんだ?」

長門に聞いてみた。

「………」

長門は無言で俺を見つめ続ける。

助けを求める様に朝比奈さんの方を見ると、こちら耳打ちしたことを言えと言わんばかりに微笑んだまま無言だ。

「うん、あー……まぁ、なんだ」

朝比奈さんに言われたことを言おうと思うがやはり照れるものだ。

「俺が死ぬらしいから、行かないで欲しい」

少々アレンジして、おそらく長門が望んでいるであろう答えを言ってみた。

「あなたの為?」

「ああ。俺の為に行かないで欲しい」

朝比奈さんに言われたままの台詞になってしまった。

「了解した」

長門はそれだけ言うと指定席に戻った。

もう一度朝比奈さんが耳打ちしてきた。

それを聞いた俺は朝比奈さんを見た。

朝比奈さんはファイトと言わんばかりにファイティングポーズをとり、俺を促すかの様に小さく頷いている。

仕方が無し長門に声をかけた。

「………一緒に帰るか?」

「わかった」

長門はそう言うと読んでた本をたたみ鞄にしまった。

「涼宮さんにはわたしから言っておきますね」と、笑顔で小さく手を振る朝比奈さんを残して部室を後にした。

その日は長門とファーストフード店で買い食いをし、図書館に寄ってから帰った。

その日ベッドの上で考えた。

長門から借りた本の内容は何なんだろう?

帆船に後ろはロケットだろうか?それに女神像の様なのに騎士の様な男。そんな本の表紙を眺める。

考えていても中身が解るはずもない。

よし寝よう。本を机の上に戻し消灯した。

なんで戻すんだよwwwwwwwwwwwwwwwwww読めよwwwwwwwwwwww

本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで本を読んで

目が覚めた。なんだかとんでもない夢を見ていたようだ。

未だに呼吸が乱れているし、冷や汗もかいていた。

目覚し時計を持ち上げて現時刻を確認、午前二時十三分。

汗で濡れた寝間着を着替える。着替え終わった俺は机の上の本に目がいった。

五百ページはあるであろう厚さだ。しかもこれが第一部なんだから嫌になる。

そんな読んだことがないはずの本の構成に対する感想を抱いたまま再び眠りについた。

翌日、登校中の坂で朝比奈さんに会った。

朝から眼福と軽く挨拶。

「おはようございます」

朝比奈さんはポカーンとした顔で、

「え!?あ、はい。おはようございます?」

なんとも微妙な返事を寄越してきた。

横の女生徒と一緒に登校している様だったのでそれだけで済まし、先に坂を登ることにした。

後ろから話し声が聞こえる。

「誰にょろか?若い燕かいっ?」

「え?誰だろう?」

「またファン獲得かいっ?罪作りだねっ」

いつの間にか知らない人になっていたようだ。

涼宮ハルヒから昨日のことを聞いたのだろうか?

朝のHR前。長門が話しかけてきた。

「本読んだ?」

長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。

本。というと、いつぞや俺に貸した異様に厚いハードカバーのことか?

「そう」

「いや、まだだけど……返した方がいいか?」

「返さなくていい」

長門のセリフはいつも端的だ。

「今日読んで」

長門はどうでもよさそうに言った。

「帰ったらすぐ」

どうでもよさそうなのに命令調である。

ここんとこ国語の教科書に載っている以外の小説なんて読んでもいないけど、そこまで言うからには他人に推薦したくなるほどの面白さなのだろう。

「……解ったよ」

実は長門に話しかけられながら、俺は一つの懸案事項を抱えていた。その懸案は朝、俺の下駄箱に入っていたノートの切れ端。

そこには、

『放課後誰もいなくなったら、一年五組の教室まで来て』

と、書いてあった。

昨日長門にみせられたのと同じものだ。流行っているのか?

そろそろ楽しくなってきたな……

ノンフィクションによれば長門に相談すると愛の戦士となって死んでしまうらしい。

当然、俺は長門に相談しなかった。

そして放課後。登校中の朝比奈さんの態度が気になったし、部室に行くことにした。

だが、その前に行く場所がある。

奇しくもノートの指定場所と同じ教室、一年五組だ。

一年五組は涼宮ハルヒが在籍している組だ。

謝るという訳ではないが、少々きつく言い過ぎたから釈明くらいはしないとやはり気持ちが悪い。

一年五組に行った俺は美人なのに話しかけやすそうな女生徒に声をかけた。

「ちょっといいか?」

「なにかしら?」

女生徒は嫌な顔どころか勘違いを起こさせそうな笑顔で応対してきた。

「涼宮ハルヒはまだ残っているか?」

「涼宮…ハルヒ?」

女生徒は人差し指を唇にあてて何かを思い出すかのように考え込む。

「クラスを間違えてるんじゃないかしら?」

「いや?そんなはずはないのだが………」

「一応クラスの人の顔と名前は解るつもりなんだけどなぁ」

女生徒は不思議そうに言った。

「ほら、座席表。どこにもそんな名前はないでしょ?」

女生徒が指し示す紙を確認する。確かに涼宮ハルヒの名前がない。

「そ、そうか手間をかけたな」

「別にいいわよ。じゃあまた後でね」

女生徒は珍妙な挨拶とともにチューリップの様な笑顔を振りまいて立ち去った。

無い以上はクラスが違ったのだろう。俺も納得のいかないままその場を立ち去った。

続きが気になる

おつんつん

嵐かと思ってID確認したわww

部室のドアを開ける。

なんだか違和感を感じた。

昨日と何かが違う。

窓辺で本を読んでいた長門に声をかけた。

「部室……なにか変ったか?」

「別に」

長門はいつもと変わらない。

パイプ椅子に腰をかけ長門に再び声をかけた。

「涼宮ハルヒのクラスを知っているか?」

「一年五組」

やっぱりそのはずだと思っていたら、長門が本から顔を上げずに続けた。

「光陽園学院」

「私立のか?」

「そう」

涼宮ハルヒが甲陽園学院の生徒のはずがない。長門流のジョークだろう。

と、ようやく部室内の異変に気が付いた。

「雑然としていた物はどこに片付けたんだ?」

二日前まで部室には湯呑の様な実用性の高いものから、演劇部の衣装の様なものまで様々な物で溢れていた。それらが一切なくなっており、今は長机とパイプ椅子しかない。

「………」

長門は無言だ。

数日しか見なかったのに、なんだか心にポッカリと穴が空いた様な寂しさが襲った。

「俺が涼宮ハルヒに部室を使うなと言ったから片付けたのか?」

「………」

長門はやはり無言だ。

室内には長門がページをめくる音だけが響く。

僅か二日ほど朝比奈さんのお茶を御馳走になっただけでこうも何か物足りない感じなるものなのだろうか?

せめて古泉が居ればボードゲームでもして暇を潰せるのにと一目しか見たことがない転校生に思いを馳せた。

仕方がないので携帯のアプリを起動し、パズルゲームをして時間を潰す。

しかしすぐに飽きた。

何故か異常に退屈だ。

仕方が無しに暫し長門を観察した。

たまに動くのはページを繰る指先だけで残りの部分は微動だにしない。

その機械的な動きを暫し見つめた。

この感じだと涼宮ハルヒはもとより朝比奈さんも部室に来ないだろう。

ここにいても仕方がないので適当に校内をぶらついて時間を潰すことにした。

「じゃあ、長門。また明日な」

俺はそう言って部室を後にした。

そして時刻は五時半もう十分だろう。

他所のクラスと言うのはどうも緊張する。
そう思いながら一年五組の教室の引き戸を開けた。

見覚えのある少女が黒板の前に立っていた。

「さっきぶり」

先ほど俺が涼宮ハルヒの事を聞いた少女が微笑む。

「入ったら?」

少女が入室を促す。

「ああ」

俺は促されるままに教室に入った。

「わたしは朝倉涼子」

少女が名乗った。

「ああ、俺は----」

「うふふ。あなたのことはよ~~~く知っているから自己紹介は不要よ」

朝倉涼子は悪戯っぽく笑った。

「それで何の用だ?」

わざとぶっきらぼうに訊く。くつくつと笑い声を立てながら朝倉は、

「用があることは確かなんだけどね。ちょっと言っておきたいことがあるの」

俺の真正面に朝倉の白い顔があった。

「長門さんのこと」

朝倉は明るい笑顔のままで続けた。

「それと、わたしのこと」

「長門とお前が何だって?」

「長門有希とわたしは普通の人間じゃないの」

朝倉は笑顔のままで妙な事を言い始めた。

「この銀河を統括する情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。それが、わたし達」

長門の自己紹介を思い出した。

「わたしの仕事は長門さんのバックアップ。そして長門さんの仕事は涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を統合思念体に報告すること」

長門が見失った対象は涼宮ハルヒだったらしい。見つかったぞ良かったな。

「でも、無視出来ないイレギュラーが生じたの」

しかし長門の自己紹介は学年中に知れ渡っていたらしい。

「長門さんには願望を実現する能力があるの」

朝倉は急に真面目な顔になった。

「いつの頃からは解らないけど長門有希は涼宮ハルヒから力を移していたみたいなの」

朝倉は唖然としている俺に構わず続ける。

「例えば昨日から今日にかけて。具体的には午後十一時四十三分からの二時間三十分の間に小規模な情報爆発が観測されたの。その時に涼宮ハルヒに関する環境改変が行われた」

部室の変化や涼宮ハルヒが居ないことと合致する。

「その表情だと思い当たることがあるみたいね」

朝倉はいつの間にか笑顔に戻っていた。

「長門有希の行動は情報統合思念体に対する重大な反逆行為なの」

「お前が言っていることは理解できないのだが」

「うん。でも事実。普通ならもう処分されてるんだけど、長門有希があの力を保持してるから一応様子見状態なの」

物騒なことを言う朝倉は笑顔だ。

「それが俺とどう関係があるんだ?」

「わたしとしてはどっちでもいいんだけどね」

朝倉はそう前置きをした上で、

「長門さんは消去される覚悟で力を移したの」

朝倉はここで一息ついた。そして笑顔に似合わない、万感の思いを込めたかのように言葉を紡ぐ。

「あなたにそれを受け止める覚悟が無いなら例の本は捨てて頂戴」

朝倉は俺の感情を窺うかのように瞳を見つめてくる。

本。というと、いつぞや長門が俺に貸した異様に厚いハードカバーのことか?

「そう。読まないといけないけれども、読んでしまってはいけない気がして読めなかったあの本」

朝倉は俺が抱えていたモヤモヤとした気持ちを言語化した。

「お前としてはどっちでもいいと言うのはどういうことだ?」

「うーん………」

朝倉は両手の指を合わせ丸を作ると暫し考えたかのような間をあけた。

「穏健派はあなたが元に戻すのを選択してくれた方が喜ぶんだけど、わたしたちはそうじゃないから。それにわたしは長門さんのことが嫌いじゃないから消去されちゃうのも可哀想だしね」

朝倉の笑顔が状況を茶化すかの様な笑顔に見えた。

「まぁ、読む読まないはあなたに任せるけど色々覚悟して読んでね。それまで長門さんとお幸せに。じゃあね!」

そう言うと朝倉は軽やかに身を翻して出て行った。

その日、家に帰った俺は机の上の本を手に取った。

例の長門から渡された本だ。

朝倉に言われたからと言う訳ではないがいい加減、読んで長門に返さないとな。

一人そう思い、軽い気持ちでなんとなく読んでいく。

何だか読んだことがあるような気がする。

デジャブを感じながらページを進めていった。

そして俺は今、夕闇の中を必死で自転車をこいでいた。

飽きてパラパラとめくった本には一枚の紙と二枚の栞が挟まっていた。

紙は入部届け。

一枚目の栞には、

『プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』

二枚目の栞には、

『午後七時。光陽園駅前公園で待つ』

俺がこの本を受け取ったのは一か月以上も前の話である。最終期限というのはその日から二日後のことだろうか。それとも今日から二日後ということだろうか。午後七時というのは、その日の午後七時のことなのだろうか。それとも今日の午後七時でいいんだろうか。まさか俺がこのメッセージをいつ目にしてもいいように、毎日公園で待っていたりしてたんじゃないだろうな。今日必ず読めといった長門の真意は、今日こそこの栞を見つけろってことだったのか?しかしそれなら部室で直接俺に言えばいいだけだし、そもそも夜の公園に呼び出す必要性が解らない。

幾つもの疑問を抱きながら光陽園駅前公園に着いたのは七時十分頃。大通りから外れているため、この時間になるとあまり人通りもない。

木製ベンチの一つに、長門有希の細っこいシルエットがぼんやり浮かんでいた。

長門は俺に気付いて糸に引かれた操り人形のようにすっと立ち上がった。

制服姿である。

「今日でよかったのか?」

うなずく。

「ひょっとして毎日待っていたとか」

うなずく。

「こっち」

長門に導かれるままについて行き、辿りついた先は長門の住むマンションの一室であった。

通されたリビングにはコタツ机が一つ置いてあるだけで他には何もない。なんと、カーテンすらかかっていない。十畳くらいのフローリングにはカーペットも敷かれず茶色の木目をさらしていた。

「座ってて」

台所へ引っ込む間際にそう言い残し、俺はへっぴり腰でテーブルの際にあぐらをかいた。

年頃の少女が年頃の少年を家人のいない家に連れ込む理由を頭の中に巡らせていると、長門が盆に急須と湯飲みを載せてカラクリ人形のような動きでテーブルに置き、制服のまま俺の向かいにちょこんと座った。

沈黙。

思い出したように長門は急須の中身を湯飲みに注いで俺の前に置いた。

「飲んで」

飲むけどさ。

「おいしい?」

「ああ……」

飲み干した湯飲みを置くと同時に長門は再び茶褐色の液体で湯飲みを満たした。しょうがなしにそれを飲んで、飲み終えるとすかさず三杯目が。ついに急須が空になり、長門がおかわりを用意しようと腰を上げかけるのを、やっとのことで俺は止めた。

「お茶はいいから、なにか話があるんじゃないのか?」

「わたしのこと」

口をつぐんで一拍置き、

「あなたに教えておく」

と言ってまた黙った。

「願望が実現できるって話しか?」

「そう」

長門はそれだけ答えて沈黙した。

「あー………それが事実だとしてハルヒが居なくなったのはお前の仕業か」

「光陽園学院にいる」

「なんでまた……」

「あなたが彼女に部室からいなくなって欲しいと望んだから」

俺としては長門の気持ちを忖度したつもりだったのだが長門にとっては俺の希望だったらしい。

「栞のプログラムって言うのはなんだ?」

「緊急脱出プログラム」

「要するに元に戻るってことか?」

何が元なのか知らないが朝倉が言った言葉そのまま言ってみた。

「そう」

長門が短く答えた。

「それを起動するとお前が処分されるというのは?」

「………」

長門は答えない。それが答えなのだろう。

「ハルヒは今幸せなのか?」

俺は矢継ぎ早に質問する。

「わたしはそう望んでいる」

長門はそう答えた。

荒唐無稽で信じられない話を聞いた俺は何故かそれを否定できずに長門のマンションを後にした。

ただ長門の話が全部事実だとすれば、例のプログラムを起動する意味はないな。

現状でもハルヒは幸せらしいし、起動しなければ長門が処分されることはないんだし。

俺はそう思いながらも一抹の寂しさを感じつつ自転車のペダルをこいだ。

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翌朝の気分は最悪だった。見たことがあるようなないような少女が俺に対して一生懸命に何かを訴えている夢を見たからだ。

最悪な気分のまま授業を受け早退した。

何故ならある場所に用事があったからだ。

光陽園学院。長門や朝倉の弁が事実なら彼女はここに通っているはずだ。

そして下校時間。ハルヒは学ラン姿の古泉と一緒に校門を出てきた。

北高の時と変わらずにどこか不満そうで退屈しているように見える彼女は幸せには見えなかった。

もっともそれは以前でも同じことなだし、長門が幸せを望んでいる以上は表面上はどうあれ幸せであるに違いないのだ。

俺の気持ちは決まった。

俺の気持ちは決まったはずだった。

だがその時俺は重要なことに気が付いてしまったのだ。

夢の中で俺に本を読めと言っていた少女は今朝の夢の少女であったことに。

そして明らかに涼宮ハルヒではなかったその少女は間違いなく涼宮ハルヒであったことに。

涼宮ハルヒは元に戻りたがっているのではないだろうか?

だがそうなると長門は処分される。

十五歳には重すぎる選択だった。

俺が悩んでいると懐かしい声で話しかけられた。

「くっくっくっ……珍しい場所で会うものだね。まさか僕に会いに来たってわけじゃないだろうし」

中学時代の友人だった。

「………どうしたんだい?随分と深刻な顔をしているね」

「いや、ちょっとな………」

俺は言葉を濁した。

「僕たちはまだ子供なんだ。一人で物事を抱え込むことはできないんだ。良かったら何に悩んでいるのか聞かせてくれないか?」

「………」

俺が押し黙っているとそいつは畳みかけてきた。

「君が僕のことは相談に値しない奴だと思っているのなら仕方がないが、そう思われていないことを望むよ」

佐々木キタw!

相談に乗って貰った俺の決断はプログラムの起動だった。

友人やその友人たちの協力もあって無事に起動することが出来た。

誘拐も厭わない連中には少々驚いた。友達はもう少し選んだ方がいいぞ?

もっともそのおかげすんなりと鍵が集まった訳なのだが。

こうしてハルヒ達との日常が戻った。

そして今、俺の横には自称宇宙人で感情表現に欠ける少女が歩いている。

まさか長門の親分たちに交渉などというものが通用するなんて思ってもいなかった。

「これからもよろしくな」

俺は横の少女に挨拶した。今日は慰労ついでに休日を潰して一緒に買い物することとなったのだ。

少女は無言だ。だが無表情ながらかすかに喜色を感じ取ることができた。

宇宙人にも感情というものがあるのだろう。

少女の頭を撫でる。

少女は無言で俺を見上げる。無表情にかすかな照れが混じる。

「───」

彼女が交渉して親分を牽制しなければ今頃長門はいなくなっていたことだろう。








チラ裏SS オチマイ

付き合って頂いた皆様においては、お疲れ様でした。

古泉とキョンのイチャイチャを期待してた人、ごめんなさい。
こちらもそれを書きたかったです。次は頑張ります。


>>116の名前はミスです。

チラ裏云々やろうめ
毎度毎度面白いSSを書きおる

うぉぉお疲れ様

ま乙

おつんつん

面白かった乙

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