(以降性別は省きます)

勇者「……まぁいいか行ってくる、このままじゃ先に進まないだろうしな」

魔法使い「んじゃ私、剣を預かるね！」

勇者「ん」

僧侶「……気をつけて」

勇者(何に気をつければいいんだよ)

ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ......

勇者「んで？わざわざ剣を捨てさせてまでする事って何んだ？」

戦士「ちょっとねー、こっち見てー｣ﾋﾞｼｨ

勇者「ん～？」

......ｷｨｰﾝ

戦士「あれー、なんで剣持ってるのー｣ｼﾞｰ

勇者「当たり前だろ！どう考えても怪しすぎるわ！」

戦士「怪しいー？」

勇者「おう、毒キノコの標本を見せられながら毒キノコ出される位怪しいわ」

戦士「そっかー、私嘘付くの下手だもんねー」

勇者「まぁそこが戦士のいぃッ－－」

戦士「防がないでよー、殺せないじゃんかー｣ｼｮﾎﾞｰﾝ

勇者「死にたくないからだろ！」

きたい

魔法使い「あれ？失敗した！？｣ｶﾞｻｶﾞｻ

僧侶「……何をしているんですか？」

勇者「こっちが聞きてぇよ！つーか失敗ってやっぱりお前の仕業かよ！」

魔法使い「あちゃー！ばれちゃった！？」

勇者「お前が共謀犯だということもな！」

戦士「ばれてたみたいー、でも褒められて嬉しかったよー｣ｴﾍﾍ

勇者「褒めてる最中に攻撃してきたけどな！」

僧侶「……これはどういう事ですか？魔法使いさん、戦士さん｣ｽﾞｨ

戦士「あのー、どうして魔翌力溜めてるんですかー？」

魔法使い「わ、分かったから！話すから！」

勇者(僧侶が怒るとマジ怖いな)

魔法使い「えーとね！ほらさ！今レベル上げ中じゃん！」

戦士「だねー、ずっと同じ所をぐるぐるするからお腹すいたなー」

僧侶「……あなたは乾パンでもくわえて黙って下さい」

戦士「ﾝー!?」ﾌｶﾞﾌｶﾞ

魔法使い「そ、それでさ！簡単にレベル上げる方法ないかなって考えたの！｣ｱﾀﾌﾀ

勇者「あー、なるほど。そういう事か」

僧侶「……どういうことですか？」

勇者「お前は頭を一回冷やせ、恐らくレベル上げが面倒だから勇者を倒せば簡単にレベル上がると思った、だろ？」

魔法使い「そうそう！私ながらいい考え思いつくでしょ！｣ｴﾍﾍ

僧侶「……勇者さんが本当に死ぬかも知れないとは考えなかったの！？｣ｽｰﾊｰ

勇者(一生懸命深呼吸してるけど頭に血が上ったままだな)

魔法使い「え？死ぬの！？だ、だって勇者は女神システムで死なないんじゃないの！？」

勇者「そうだな、まぁそう思うのが普通だと思う。
だけど今回の場合、普通に死んで生き返らずゲームオーバーだ」

僧侶「……あなた達には幾度も女神システムについて全て把握すべき、と講じたはずですが」

勇者「ちょっと落ち着け、怒ったままだと謝りづらいだろ？」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

僧侶「う、…あ、……止めて下さい、子供扱いしないで下さい」ﾃﾚﾃﾚ

勇者(ちょろいな)

魔法使い(ちょろいわね)

勇者「まぁ、そういうことだ。女神システムはあんまり万能じゃないって事を肝に銘じてくれると助かる」

魔法使い「ごめんなさい」ｼｮﾎﾞｰﾝ

勇者「分かればいいよ、誰にだって失敗や思い込みはある事だ」

僧侶「……勇者さんは少し甘い気がします」

戦士「そういえばー、どうしてさっきのは例外になるのー？｣ﾓｿﾞﾓｿﾞ

勇者「ん？ああ、さっきのは『魔物との戦いのみ生き返ることを許可する』っていう項目に当てはまらないからだな」

魔法使い「それ生まれて初めて聞いたんだけど！」

僧侶「……一応極秘事項ですからね、……この旅に出る前に聖書を渡されたと思いますが」

魔法使い「無くしちゃった！｣ﾃﾍ

戦士「鞄に入らなくてー、置いてきちゃったｰ｣ﾃﾍ

僧侶「……」

勇者「無言で詠唱するな。……だけど、ちょっと勝手すぎるぞお前達」

戦士「そうだよねー、ごめんねｰ｣ｼｮﾎﾞｰﾝ

勇者「大体あれは国宝級の代物なんだぞ」

魔法使い「え！？あんな本が！？」

勇者「そうだな、非正規のとこで売り捌けば城が幾つか建てれるな」

魔法使い「ということは欲しい学術書が！｣ｸﾜ

戦士「お城は何個もいらないよー」

勇者「毎日、おやつ焼肉食い放題出来るぞ」

戦士「一旦私の家に帰ろー」ﾜｸﾜｸ

勇者「帰らねーし売らねーよ」

僧侶「……はぁ」

のんびりした感じの戦士って珍しいな

勇者「まぁ粗方レベル上げは終わったし一旦宿屋に戻ろうか」

魔法使い「そういえば！聞きたいことがある！｣ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ

僧侶「……それは道中で話しましょう」

戦士「だねー、お腹すいちゃったしー｣ｸﾞｰ

勇者「聖水でもかけておくか｣ﾌﾘﾌﾘ

ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ......

魔法使い「それでさ！その聖書って奴はどんな素材で出来てるの！？」

勇者「んー、それは俺にもよく分からん」

僧侶「……そうですね、聖書は天から授かった特殊な本ですからね」

戦士「そんなにすごいのー？私にはふつーの本に見えたけどー」

勇者「凄いなんてもんじゃないぞ、耐火防水風化耐性切断体制……、まぁもっと特殊効果あるけど、要するに絶対に壊れない本だ」

魔法使い「だったらそれを盾にしちゃえばいいんじゃない！？」

僧侶「……『女神に敬愛を示さないものには加護を与えず』という項目に当たります」

戦士「それってさー、全部覚えてるのー？」

僧侶「……私達は女神の信託を承って旅をさせて頂いているのですから当たり前です」

勇者「…いや、流石にあの量全ては俺でも覚えられないぞ……」

魔法使い「ちなみにどのくらい項目があるの！？」

勇者「ざっと億は超えるんじゃないかな？」

戦士「ふえー、それは流石に無理だよー」

僧侶「……勇者さん、もしかしてそれは宗教法も加えていませんか？」

勇者「あー、そうだっけかなー。
何せあんな分厚い本読まされたのは久し振りだからな。
とりあえず女神システムのとこだけ読んでたよ」

魔法使い「宗教法も極秘事項なの！？」

僧侶「……いえ、極秘事項は女神システムに関することだけです。
……それ以外は写本されて教会の図書室に置いてあります」

戦士「なんで女神システムは極秘事項なのー？」

勇者「弱点みたいな項目がたくさんあるからな」

魔法使い「さっきの『魔物との戦いのみ生き返ることを許可する』っていう項目とかね！」

僧侶「……そうですね、人間との戦闘だと生き返らせてくれないので勇者さんは死んでしまいます」

魔法使い「あれ？でも海賊とか盗賊とかtl戦ったときは私生き返れたよ？」

僧侶「……あくまで人間と戦って死ぬのは勇者さんだけです。
……私達は女神の恩恵を受けることができます」

戦士「勇者って可哀想ー｣ｼﾞｰ

勇者「そんな哀れんだ目で見るな、これには理由がちゃんとあるんだよ」

魔法使い「理由？」

勇者「人間との戦争に使われない為だよ。
勇者ってだけで他の人よりも何倍も強いからね、不死身の化物とか怖いでしょ」

戦士「それは怖いねー｣

魔法使い「でも！だったら私達は使えるんじゃないの！？爆弾とか持ったりして！」

僧侶「……『パーティーに於ける範囲』を超えると女神の恩恵を受けられないので生き返ることは出来ません」

戦士「頭がこんがらがってきたよー｣ｳｰ

僧侶「……簡単に噛み砕くと勇者さんは人間には殺されるし、私達も勇者から離れると殺されると覚えてください｣ﾊｧ

勇者(色々正論っぽく聖書には書いてあったけど、これってただのルールガイドなんだよなぁ)ﾄｵｲﾒ

ヴァカめ！！

期待してるわよ

面白そうやなぁ

－－シュバァルツ街－－

勇者「とりあえず教会に向かうぞ」

戦士「んー」

僧侶「……分かりました」

魔法使い「あーい！」

－－教会－－

勇者「……｣ｶｷｶｷ

魔法使い「この作業が面倒だけど癒される↑｣ﾋｿﾋｿ

戦士「セーブかー、どうして女神さんは普通に生き返らせてくれないんだろー｣ﾋｿﾋｿ

僧侶「……死んだ場所で生き返ると生死を繰り返す事になります。
そして女神様にとって恩恵を与えやすい施設だからです｣ﾋｿﾋｿ

勇者「(と僧侶は言ってますが)」

女神《そういう風に教えてるからね。模範的信者で私は嬉しいよ。》

勇者「(平和で暇だったから勇者と魔王を作ったって言ったら、きっと僧侶怒るだろうな)」

女神《言っても信じてくれないと思うよ？。それにそんなこと言ったら罰として加護消すから》

勇者「(ですよねー、従順に従って魔王を倒すのが一番か……)」

女神《そうよ。真実なんて知っても誰も得しないわ。》

勇者「(書き込み終わったんで帰りますね)」

女神《えー。もう帰るの？。まだ1分も話してないよ？。》

勇者「(女神って暇なんですか？)」

女神《私が優秀過ぎるだけ。この分じゃ次期女神候補戦も私の圧勝ね。》

勇者「(次期女神候補戦って……、要するに勇者を指揮する人が変わるだけでしょ)」

女神《でも嬉しいでしょ？。こんな凄腕女神で。襲撃イベントも難なく看破出来るし。》

勇者「(あーはいはい、凄いですよ女神様にはとても感謝してますよ掛け金が大量に掛かっててもね)」

女神《あ。私の予想だと明日の明朝にその街襲撃されるわよ。》

勇者「(マジですか)」

女神《邪神も手をこまねいてるからね。ずっと読み負けて不利な状況だし。》

勇者「(その情報だけは感謝しますよ。それで襲撃ポイントの予想はできますか？)」

女神《えーと。恐らく地下水路から来るわ。放置されてた地下水路を使ってくるはず。》

勇者「(了解、んじゃ今度こそ帰りますねー)」

女神《ああ。もう。今回の勇者は冷たいなー。》

魔法使い「まだ↑？｣ﾋｿﾋｿ

勇者「すまん、今終わったところだ｣ﾋｿﾋｿ

戦士「早く帰ろー、お腹すいたー」

僧侶「……静かに、また説教されますよ｣ﾋｿﾋｿ

戦士「ごめんねｰ｣ﾋｿﾋｿ

勇者(女神様にとっては、この光景もただのイベントなんだろうな。はぁ)

期待

マッチポンプどころの騒ぎじゃねえぞおい。

－－宿屋－－
魔法使い「勇者の特権っていいね！こんなに美味しいものと寝床が半額以下で出来るんだから！｣ｷﾗｷﾗ

戦士「そうだねー、美味しいよー｣ﾊﾑﾊﾑ

僧侶「父よ、あなたの慈しみに感謝してこの食事をいただきます。この用意された－－｣ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

勇者(その他は税金で賄ってるから活躍しないと酷い目に遭うのわかってんのかね)

勇者「あ、その肉俺のだろ！返せ！」

戦士「胃の中にあるものは返せないよｰ｣ﾌｯﾌｯﾌ

勇者「この野郎……、んじゃその果実もーらい｣ﾋｮｲ

戦士「あー」

勇者「これでおあい－－

戦士「食い物の恨みは恐ろしいんだよ？」

僧侶(あなたが言うことではないと思いますが)

勇者「ほー、どんな恨みだ？」

戦士「え、えーとねー、それはねー……？」

魔法使い「そんなにいらないなら貰うよ！動く乙女には栄養も大切だからね！｣ﾋｮｲﾋｮｲ

勇者「」

戦士「」

勇者「明日の朝飯抜きにしてやろうぜ｣ｺｿｺｿ

戦士「りょーかいｰ｣ｺｿｺｿ

僧侶「……。父よ、感謝のうちにこの食事を終わります。あなたの慈しみを－－｣ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

楽しそう

乙

期待