男「パーラメンタリーディベート?」 女「that's right! 」(26)

男「っても、そんなに英語しゃべれないっすよ」

女「ノープロブレム!やってる内にしゃべれるようになるからね!」

男「いやいや、俺には無理ですって」

女「そうやって決めつけてるー、ダメだよ」

男「いやいやいや…」
男(どうやって切り抜けたら良いんだろうな…)

女「ねー入ろうよー、esc(イングリッシュ スピーキング クラブ)に」

男「ははは…」
男(新手の宗教の勧誘じゃねーか…)

男「…てなわけでさー」

友「ははは、良いじゃんモテモテじゃねーか」

男「良くねーよ…」

友「まあまあ、お前もクラブ何に入るか決めたら良いじゃん」

男「んー、でもなあ」

友「じゃあテニス部どうだ?」

男「あー、ウェンケバッハ周期の不整脈だから無理」

友「なにそれこわい」

男「心臓あんま強くないの、死にはしないけどな」

友「えーテニス部入ろうぜー、女子いっぱいだぜー」

男「確かにいっぱいだけどさ」

友「いっぱいおっぱいだぜー」

男「お前ぶれないなホント」

男「……でさー……」

友「ははは、でもよー……」

男「ははは」

幼「おっと、失礼」

男「おや、すみませ…え?」

友「ん?」

幼「うぇ? え、男君!?」

男「おま、ちょ、ここの大学だったん!?」

友「ん?友達?」

幼「うわー、久しぶりー!」

男「おー、中学以来かー、久しぶり」

友「どうもっす、男の友達っす」

幼「へー、それにしても懐かしいなー」

男「まあな、確かに」

友「んで、君は?」

幼「あ、私は幼って言うの。男の幼馴染みやってた」

男「やってたって何だよww」

幼「んでねー、学部は理学部でー」

友「マジで? 激レアな理系女子じゃね?」

幼「クラブはescやってまーす」

友「おー、いいねー!」

男「…へえー、すごいな」

幼「んー、確かに大変かもww」

男「やっは英語はムズいしな」

幼「でも、先輩とかも最初は英語ができなかったみたいだし、私よりも」

男「さりげなく自慢すんなよw」

友「へー、俺もesc入ろっかなー」

男「ちょ」

幼「おおー!いいねー!」

友「だって俺も可愛い娘とイチャイチャしたいってばよ」

男「下心丸出しだなお前」

幼「おっしゃー!二人とも仮入部ねー!」 ぐいっ

友「いえーい!」
男「ちょ、おい、引っ張るなよそんなに…」
男(まあ、仮入部やるだけやって逃げるかね…)

幼「ちわーす」

女「ん? 幼ちゃんやっほー」
女「て」

男「…ども」

女「やったあああああ!君、来てくれたんだ!」 がしっ

男「ちょ」

幼「おお、すごい歓迎っぷり」

男「え、え? なんで?」
男(なんでこんなに歓迎されとるん?)

友「ちーす、仮入部っす」

女「おお!君も仮入部か!やったー!」

友「よろしくお願いします!」

女「ままま、奥に座って座って!」

男「あ、どうも」
友「ほれ、いくぞ!」
男「わかったわかった…」

奥にいくとそこには、見慣れない人たちがいた。

例えば包帯を右手に巻いた伊達男。
邪気「ふむ、今宵の晩餐は歯応えがありそうだな…くくく」

例えば紅い髪の女番長。
素直ヒート「うおおおおおおおおおおおおお!!新入生どもよ、よくぞ来たああああああああああああ!!」

例えば眼鏡をかけて高笑いする女子。
マゾサイエンティスト「くふふふふ、 苛めさせがいがあるよ…」

例えばひょろっと背の高いオタク男子。
オタ「あまり拙者を見ないで欲しいでごさるwwwwフォヌカポォwwwwオヒョww失礼ww変な笑いがwwwwブフォwwww」

例えば、綺麗な黒髪の女性。
ザルクール「ふふふ、ようこそわが部へ。歓迎するよ」

思い返せば、この時点からescへの加入を運命付けられたのだった。

見てるお。ちなみに外国だと返事はヤッていわれて終わりだよ

ザルクール「さて、軽く部活動を説明しよう」
彼女はそう切り出す。座っていた椅子からすくりと立ち上がり、部内のホワイトボードにつらつら文字を書き込んだ。

ザルクール「escとは」
流れるように白板に要点がまとめられる。
・英語をツールに、演説、ディベート、ディスカッション、演劇を楽しむ部活
・三大文化部の一つ
・他大学との交流が盛ん
・部員の恋愛が多い
・この大学は、academic debateとdiscussionが強い

ザルクール「そもそも、英語とは言語だからね。言語の学習とはつまり、それをつかってこそだ」
ザルクール「だから、英語をまさしくツールとして使う」
ザルクール「そして、それを通じて自己表現の楽しさを学んでもらいたい」
ザルクール「それが我々escの設立理念だ」

ザルクール「さて、軽く部活動を説明しよう」
彼女はそう切り出す。座っていた椅子からすくりと立ち上がり、部内のホワイトボードにつらつら文字を書き込んだ。

ザルクール「escとは」
流れるように白板に要点がまとめられる。
・英語をツールに、演説、ディベート、ディスカッション、演劇を楽しむ部活
・三大文化部の一つ
・他大学との交流が盛ん
・部員の恋愛が多い
・この大学は、academic debateとdiscussionが強い

ザルクール「そもそも、英語とは言語だからね。言語の学習とはつまり、それをつかってこそだ」
ザルクール「だから、英語をまさしくツールとして使う」
ザルクール「そして、それを通じて自己表現の楽しさを学んでもらいたい」
ザルクール「それが我々escの設立理念だ」

ザルクール「我々のクラブには五つの活動がある。それぞれのsection(セクション)のchief(チーフ)に説明を委ねてもいいかな?」

ヒート「了解したああああああ!!」
突如女番長は立ち上がる。

ヒート「私は素直ヒート!sectionは演説ことspeech!!よろしく願おうっっっっ!!」
ヒート「speechとは!!いかにお前の熱い思いを!!audienceに伝えるのかという競技だっっ!!」

バンッ、と壁が揺れる。彼女が壁を叩いたのだった。

ヒート「デリバー(表現技法)も勿論、要求される!!」
ヒート「説得力がなくてはっっっ speechではないからな!!」
ヒート「だから、この競技は遥かに!! 熱いっっっ!!」

オタ「オフォwwwwでは拙者も説明つかまつるでござるwwww」

今度はオタクが不敵に笑んだ。

オタ「拙者こそがdiscussionのchiefのwwwwオタでござるwwww」
オタ「まあ全国大会に出るぐらいの実力ではござるなwwww」
オタ「まあ、discussionとは、議論でござるよ」

口調が変わった。そう思ったときには既に、目の前の痩身のオタの雰囲気が一風変わっていた。
白板を裏返すと、速いスピードで文字を書きなぐるオタ。

オタ「議論において、debateとdiscussionの最大の違いは。スタイルの違いにござる」
オタ「死刑の問題について、debateは「死刑がいい」「死刑が悪い」の2チームが互いを潰しあう、互いを否定しあう競技にござる」
オタ「discussionは違うのてござる」
オタ「まず、テーブルに5、6人ぐらい座るでござるが、それぞれのスタンスは自由でござる」
オタ「次に、一度成立したロジックは、何がなんでもコンセンサス(テーブル共通の認識)になるのでござる」
オタ「だから、我らの仕事は、相手の論理の矛盾を突くことにござる」

オタはそういうと、原子力発電所の絵を描いた。

オタ「例えば、日本の原子力発電所を廃止しよう、という議論のケース」
オタ「誰かaが言った。『原子力発電所のリスクは大きい』と」
オタ「誰かbが提案する。『じゃあ、半分だけ廃止しよう』」
オタ「aが否定する。『数は関係ない。リスクは確かに残る』」
オタ「じゃあ、とbが別の反論をする。『原子力発電所の近くの人はお金をもらっているよ、だからリスクを受け入れる人は原子力発電所の近くに住む、受け入れない人は遠くに引っ越す』」
オタ「aが言う。『距離は関係ない。リスクはどこにすんでいても受けてしまう』」
オタ「この瞬間、ロジックは破綻したのでござる」
オタ「bが言う。『韓国にも原子力発電所があるよ、だから日本のを止めたってリスクは残るよ』」

オタ「まあ、実際のdiscussionでは、半分だけ廃止しよう、とかいう提案を出すには色々と手続きが必要でござるがね」
オタ「でも、今のがdiscussionの真髄でござる」
オタ「正にミスを許されない真剣勝負でござる」

ザルクール「次はドラマ、だね」

マゾサイエンティスト「くふふふふ、さて私の出番かな」
マゾサイエンティスト「演劇ことdramaのsectionのchief、ぼくがマゾサイエンティストだ」

眼鏡の女性は怪しげな表情で、こちらを見る。

マゾサイエンティスト「勿論、私のsectionでは演技力がすべて」
マゾサイエンティスト「言語が英語なら尚更だ」
マゾサイエンティスト「なんせ、演技力がないと観客にちんぷんかんぷんだからね」
マゾサイエンティスト「だから」

彼女が一息いれたのはその時。目付きが変わり、雰囲気も一変する。
まさに豹変、というにふさわしい。

マゾサイエン幼女「ふぇぇ…演技がうまくできないよぉ…」
マゾサイエンティスト「だなんて時には」
マゾサイエンdqn「あ? オメエ何いってんの? つまんねーよ」
マゾサイエンティスト「と観客を退屈させてしまう」
マゾサイエンティスト「だから練習は厳しく、徹底的に行う」

マゾサイエンティスト「でも、やりきったときの感動はほかに変えがたい」
マゾサイエンティスト「皆で、他のsectionには見られない程の大人数で、一つの大仕事を成し遂げるんだ」
マゾサイエンティスト「あれは正直、濡れるよ」 ゾクゾク

ザルクール「次はドラマ、だね」

マゾサイエンティスト「くふふふふ、さて私の出番かな」
マゾサイエンティスト「演劇ことdramaのsectionのchief、私がマゾサイエンティストだ」

眼鏡の女性は怪しげな表情で、こちらを見る。

マゾサイエンティスト「勿論、私のsectionでは演技力がすべて」
マゾサイエンティスト「言語が英語なら尚更だ」
マゾサイエンティスト「なんせ、演技力がないと観客にちんぷんかんぷんだからね」
マゾサイエンティスト「だから」

彼女が一息いれたのはその時。目付きが変わり、雰囲気も一変する。
まさに豹変、というにふさわしい。

マゾサイエン幼女「ふぇぇ…演技がうまくできないよぉ…」
マゾサイエンティスト「だなんて時には」
マゾサイエンdqn「あ? オメエ何いってんの? つまんねーよ」
マゾサイエンティスト「と観客を退屈させてしまう」
マゾサイエンティスト「だから練習は厳しく、徹底的に行う」

マゾサイエンティスト「でも、やりきったときの感動はほかに変えがたい」
マゾサイエンティスト「皆で、他のsectionには見られない程の大人数で、一つの大仕事を成し遂げるんだ」
マゾサイエンティスト「あれは正直、濡れるよ」 ゾクゾク

男「ちょ」
友「ブフォッ」
マゾサイエンティスト「おや…君には刺激が…強すぎたかな…///」

ザルクール「ははは、その辺にしとけ」
女「そうですよマゾ先輩!」
ザルクール「でもあれは濡れるな」
女「先輩!?」
オタ「コポォwwwwおまいも自重汁wwww」

ザルクール「さーて、パーラを説明して、ラストはやっぱりアカデミックディベートに…」
邪気「いや、いい。今手短に話す」
ザルクール「ん、そうか? なら邪気に頼もうか」

ザルクールを遮ると、伊達男がこちらを見据えるのだった。

邪気「さて、ラストは部長が飾るべきだからな。俺は前座でいい」
ザルクール「ちょっと」
邪気「くくく、我が眷族ならそれぐらい乗り越えて見せろ…」

ひどい会話だ、と男は苦笑いした。
今の会話から察するに、彼はひどい厨二病なのだろう。
見た目通りすぎる。
だが、目の前の伊達男は全く堪えた様子はない。

邪気「俺は…名前など当の昔に捨てた…」
ザルクール「邪気眼くんだ」
邪気「貴様っ! 我が真名を軽々しく話すなと…」
ザルクール「ちなみに、全国大会で決勝戦まで勝ち進むほどの、この国有数のディベーターでもある」
邪気「う、む、まあ仕方ない…」 ニヤニヤ

女「ああ見えて邪気さん、内心では喜んでるんだよ…」 ひそひそ
友「あー、自慢したくて仕方なかったってやつですかね」 ひそひそ
男「なるほど」 ひそひそ

邪気「俺のsectionは、academic debate。まさしくアカデミックな知識を要する」

邪気「我らacademic debate sectionは、シーズン中ずっと同じ議題を扱う」
オタ「実は我々もシーズン中ずっと同じ議題をdiscussionするのでありますぞwwww」
邪気「つまり、予めお題が与えられているから、対策を練りに練って、ぶつけ合うことが可能なのだ」
オタ「その通りでござるwww」

邪気「discussionと共通点が多々あるが、それは当然のことだ。academic debateからdiscussionが生まれたのだからな」
オタ「より深く議論をしたいと言う人のために、discussionが生まれたのでござるよ」

邪気「そして、我々はディベーターだ」
邪気「debaterの仕事は、魅せることにある」
邪気「speechに求められる説得力、discussionに存在するロジック、dramaに必要な演技力」
邪気「全てが、debaterのすべき仕事だ」

ヒート「その説明はずるいぞおおおおおおおおおおおお!! 説得のためにはロジックが必要だ!!」
オタ「そうでござる!! discussionではコンセンサスを取るための雰囲気力も必要でござる!!」
マゾサイエンティスト「dramaの演技と、debaterのはったりを同じにしないでほしいのだが」

邪気「そうだ」
邪気「どれもこれも、自己表現の際には何より大事な技術だ」
邪気「しかし特にdebaterは、否定肯定の代弁者であり、スターでもある」
邪気「一シーズンかけた抜け目のないロジックを、そして相手のロジックの抜け目をつくストラテジーを、debaterは最高の形で表現するのだ」
邪気「これが、debateの真髄だ」

邪気「さらに、academic debateは、パーラメンタリーディベートとは違う」
邪気「向こうは即興、こちらは長時間の準備」
邪気「向こうもロジックなどは使うが、やはり質が違う」
邪気「ロジックよりも、説得に特化したのがspeechであり、パーラメンタリーディベートだ」

邪気「それに、アカデやディスでは、現実の証拠を使って競技ができる」
邪気「だから、対策を練る段階で『原子力発電所よりも火力発電所の方が放射能物質を出す』という証拠が見つかったら、それを競技に持ち込んでもよいわけだ」

邪気「academicな知識、そしてdebateの技量、これこそがacademic debateの愉しさである」

ザルクール「相変わらず美味しい所をもっていくね」
邪気「ふっ」
ザルクール「では、パーラの説明を始めるかな」

ザルクール「諸君、私がparliamentary debateのsectionのchief、そしてesc部長のザルクールだ」

邪気「ちなみに、全国クラスのdebaterでもある」
ザルクール「おいおい」

邪気「謙遜するなよ」
オタ「そうでござる。秋tブレイカーでござろう?」
マゾサイエンティスト「まあ、天才的なdebaterだね」

ザルクール「はは、照れるな」
ザルクール「さて、話を戻すかな」

オタ「照れてる部長も可愛いでござるよwwww」
ザルクール「よせよ」
オタ「と邪気氏がwwww」
邪気「なっ!?」
ヒート「なにいいいいいいいいいっっっ!?」
ザルクール「っ!? う、む、そ、そうか…///」

女「もしもーし、部長?」
ザルクール「す、すまん。続けるとしよう…」

そういって彼女は一呼吸入れた。
少しほてった頬が印象的で、今までの美しい女部長というイメージからは想像できない、また違った一面が現れたようであった。
しかし、ザルクールさんはすぐに素面に戻った。
そしてそのまま、言葉をゆっくりと選んでいった。間違えないように、丁寧に、彼女の中の信念のうまく言葉にできないような部分を、噛み砕くように。

ザルクール「parliamentary debateとは、一言で言うと詭弁だ」
ザルクール「そこには、academic debateとは違って、証拠の綿密な調査はない」
ザルクール「与えられる時間は二十分」
ザルクール「試合直前にお題を出されて、二十分で自分の意見をぶつける」
ザルクール「そのぶつかった意見をいかに自分の方向に引き込むか」
ザルクール「parliamentary debateとは、そこから始まる」

ザルクール「実践してみるのが早いな」
ザルクール「邪気眼、一緒にやってくれないか?」
邪気「…俺は構わんが」

邪気眼先輩は僅かに逡巡したが、すぐに承諾した。
その際に少し、こちらをちらりと見たのが印象的だった。
俺がどうしたんだろう?

邪気「で、モーション(お題)は何だ?」
ザルクール「そうだな、… じゃあ」

ザルクール先輩もまた、こっちをちらりと見た。そして何故かニヤリと笑って呟いた。

ザルクール「thw(this house would) ban tobacco(和訳…この政府はタバコを禁止します)、でどうだ?」

男「…タバコ禁止っすか。ところでthwって?」
オタ「ああ、この政府は、って意味でござる。houseは議会という意味でござるから、ざっくり和訳するとこんな感じでござるね」
男「へえ」

邪気「…いいだろう、そのモーションでやろう。ちょうど初心者用だしな」
ザルクール「私がgovernmentでいいか?」
邪気「構わん。俺がoppositionをやろう」

男「government、oppositionとは?」
オタ「政府側、つまり与党側と、反対側、つまり野党側とでござる」
男「…へえ」
オタ「この二つが競い合うのでござる。今回はタバコ禁止で説得できたらgovernmentの、禁止反対で説得できたらoppositionの勝ちでござるね」
男「…なるほど」

マゾサイエンティスト「じゃあプレパは二十分でいいかい?」
ザルクール「いや」
邪気「?」
ザルクール「ノープレパでいこう」

男「プレパ?」
女「んーとね、プレパレーション。準備時間のことかな。
プレパの二十分で思い付いたことで即興ディベートをするの」
男「じゃあノープレパって」
女「んー、そんなに難しい話じゃないけどね。まあ先輩だから、ノープレパでも凄いディベートになるんだろうなあ」

ヒート「ok,now the preparation time has expired.
then, i call upon the prime minister.
please deliver your speech within 7 minutes.」
オタ「ヒューヒューwwww」

邪気「ふむ、…本当にノープレパなのだな」
ザルクール「ふふ」
邪気「相当の自信がおありに見える」

オタ「楽しみでござるなwww」
マゾサイエンティスト「…ぞくぞくするね」

男(先輩たちの雰囲気が変わった?)

空気が一変し、まさに歴史に残る勝負を見届けるかのように張り詰めた。
別に何のことはない。
張り詰めた、というよりは、今まさに期待に満ちている、というべきだ。
今から何かが始まる。それを何一つ邪魔してはならないと、純粋に今から始まる試合を見たいと、試合に何一つ不純物を介入させたくないと、そんな無言の期待が今ここにある。

男(…すごい試合になるのかな)

自分の期待は、しかし一瞬肩透かしになった。

ザルクール「(ありがとうmadam speaker、そしてladies and gentlemen)」
ザルクール「(私たちは健康は大事だと考えます)」

男「madam speakerって?」
友「何だろうな」
オタ「今のヒートでござる。男ならmr. speakerでござる。
speakerは『今から大統領のspeechです』とかをアナウンスする人でござる」
男「へえ…。解説ありがとうございます」

ザルクール「(政府は市民の健康に責任があります)」
ザルクール「(何故なら市民は社会の一員だからです)」

男(しかし、健康に責任があるからって言ってもねえ…。タバコ吸うのは市民の自由だろ…)

正直な話、最初からこのお題(モーション)には懐疑的だった。どうも、タバコを規制するには理由が無さすぎるように思えたからだ。
だからこそ、このザルクールという人に期待したのだが…。

男(なんだろうなあ、やっはこのお題はgovernmentにとって難しすぎるだろ…)
そう痛感する。

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