勇者「この戦いは何かがおかしい」(11)
勇者「今まで気付いた奴がいない方がおかしい話だ」
勇者「...試してみるか、色々と」
===3年後===
魔王「...よくここまで辿り着いた、とまずは褒めてやろう」
勇者「...」
魔王「...?貴様1人か。仲間はどこへ行った?」
勇者「...」
何も言わない。
言葉は発せず、勇者と呼ばれた青年は剣を抜き放つ。
魔王「...問答は無用、か」
相対した、魔王と呼ばれたモノ。
人間型の、だが人間のそれを遥かに越える魔力を秘めた魔界の王は。
ゆっくりと、立ち上がる。
魔王「...ならば、もはや何も語るまい。いざ、参る...!!」
先手を打ったのは魔王。
魔王「【極大焦熱殲滅呪文】」
指先から放たれた魔力の塊が、勇者の眼前で轟炎となって舞い踊る。
加減さえしなければ、街1つを軽く焼き払う魔力の奔流。
まずは、小手調べ。自らの天敵がどれほどのものなのか。
魔王「...今ので死ぬとは思わんが...」
それを見極める、魔王の一手だった。
轟々と燃え盛る炎のカーテンの向こう側で、しかし勇者は立っている。
顔色1つ、変えず。
勇者「...」
一閃。
勇者が放った居合い切りが、剣風のみで魔力の炎をかき消した。
魔王「...
良作の予感
つ4円
はよ
俺「このssは何かがおかしい」
その一閃が魔王に届く…そう思った瞬間、魔王は魔力を込めたであろう手を前に出す。
勇者(まさか、あれを手で…っ!?)
そう思った瞬間、勇者は気付く―
勇者(―違う!さっきの一閃はあそこまで届くほどのものじゃない!つまり―)
勇者「後ろっ!」
しかし、勇者の振り向く先には誰もいない。慌てて元の魔王のいた位置を見返すが、いない。
魔王「―惜しいな。ここだ」
勇者は気づき、上を向く。そこには魔力を込めたものを手に持つ魔王がいた。
魔王「【混沌の黒炎龍】」
勇者「…!」
勇者はその攻撃に対して、それを打ち消そうとある者を懐から取り出した。
魔王「…!それは…!」
勇者が手に持つそれは、丸い橙色に輝く―冬の名物。
勇者「―そう、蜜柑だっ!」
勇者は素早く蜜柑の皮を向くと、その実を食べながら皮を人差し指と親指で抑えて汁を出すっ!その汁が魔王の龍の形をした炎をかき消す!
魔王「…ふっ。なかなかやるな」
勇者「甘いな魔王!蜜柑の皮は一辺だけじゃないんだぜ!行くぜっ!」
勇者「…【蜜柑ブレイヴ】!」
勇者は、先ほどと同じように蜜柑の皮汁を魔王に向けて発射する!
勇者「今度は両手バージョンだぜ…!」
魔王「ぐっ、ぐわあああ目があああ!」
勇者「―黙れ」
そう言うと、勇者は一気に魔王に接近し、一閃して魔王の首を跳ねた。
勇者「ふん。魔王も蜜柑の前では無力…か。あっけないものだな。」
―――
――
―
勇者「…?……。…ここはどこだ?」
そこに一人の男が近づいて来る。
男「…おや。もう起きたのかい」
勇者「!誰だ、お前は。…そして、ここはどこだ。答えなければ…斬る」
男「はは。何を言っているんだ。ここは」
男「 蜜 柑 の 国 だ ろ う ? 」
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