※63話バレあり
ヒストリア「今更、何? あなたはもう必要ないの」
クリスタ「うん。だから最後に、話をしたくて」
ヒストリア「……」
クリスタ「ここなら誰もいないし、いいでしょ?」
ヒストリア「…勝手にすれば」
クリスタ「ありがとう」
クリスタ「色々、あったね」
ヒストリア「……」
クリスタ「私ね、たくさん『いいこと』をしようとしてきたの。あなたなら知ってるよね」
クリスタ「でも…結局、彼には何一つしてあげることができなかった」
クリスタ「私、訓練兵の中じゃ背が低かったから、ちょっと憧れてたんだ」
クリスタ「成績だっていつも上位にいて、すごいなって」
クリスタ「あまり話す方ではなかったけど、真面目だし、お願いしたら手伝ってくれる優しさもあって」
クリスタ「それでいて、誰にも頼ろうとしない。一人を除いてだけど。とにかく自分で何でもやっちゃうの」
クリスタ「だからね、ちょっとだけ…彼に、親近感っていうのかな、感じちゃって」
クリスタ「色々、話そうとしたの。彼のこと知りたくて、でも…」
クリスタ「彼は決して、心を開いてくれなかった。話はしてくれるんだけど」
クリスタ「…私には、出来なかった」
クリスタ「他の人と一緒に誘ったりしたんだけど、それも迷惑だったみたい」
クリスタ「ライナーは喜んでくれてたんだけどな…」
クリスタ「でもそうだよね、親友が自分のこと放って他人と話してたら、あまりいい気分じゃないよね」
クリスタ「だから彼だけ誘ったこともあったの。でも…なんていうのかな、言葉にはしなかったけど、困ってたというか、やっぱり迷惑だったみたい」
クリスタ「彼のこと何か助けてあげたいなって思うようになって」
クリスタ「観察してたら、わかったの。彼、アニのこと気になるんだって」
クリスタ「口下手で奥手なんだって、勝手に解釈して。アニに話しかけた時に彼を呼んだりして」
クリスタ「頑張ったんだけど、いっこうに進展ないから2人きりになった時に聞いたの」
クリスタ「『アニのこと好きなの?』って」
クリスタ「そしたら彼、違うって言うのよ。だから無理に場を作ろうとしないでくれって」
クリスタ「うん、バレてたみたい。でも気にはしてると思ったんだけど」
クリスタ「そりゃ話せないよね。実は一緒に壁を壊した仲間なんです、だなんて」
クリスタ「やることなすこと、どれも迷惑がられちゃって。結局何もしてあげられなかった」
クリスタ「うん…」
クリスタ「だから」
クリスタ「ユミルは、私のかわりに、いいことしてくれてるの」
クリスタ「私にできなかったことを、してくれてるの。お節介だから、ユミルって」
クリスタ「だから…だから、私を、棄てたわけじゃないんだよ。ユミルは、私のかわりに」
ヒストリア「やめてよ!」
ヒストリア「あんたの言い訳なんか聞きたくない! ユミルは! 私を置いてった! 私のかわりになんかじゃない!」
ヒストリア「ベルトルトは壁を壊した悪い人じゃない。そんな人を助ける? 馬鹿みたい」
クリスタ「でも、巨人にもいいところはあるって、ユミルが、だからユミルは、」
ヒストリア「馬鹿よ、あなたは。人はすぐ裏切るものよ。あなたも私なら知ってるでしょう?」
クリスタ「……」
ヒストリア「私を救おうとしてるの? 最後まで、いいことしようとしてる? …馬鹿みたい。あなたはおとぎ話のクリスタ、作られた幻想よ」
クリスタ「……」
ヒストリア「消えて」
クリスタ「…ごめんね」
ヒストリア「もう来ないで」
クリスタ「…ごめん」
ヒストリア「……」
ヒストリア「ユミル、どうして?」
ヒストリア「どうしてあんなやつ助けようとしたの? 私なんかより、大切だって言うの?」
ヒストリア「馬鹿ユミル。一緒に生きようって言ったのに」
ヒストリア「返してよ…私、あなたのこと救えなかったけど、だからってユミルを奪わなくてもいいじゃない」
ヒストリア「一人にしないで。返してよ、ユミルを。返してよ…」
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───
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アルミン「…ヒストリアは?」
ミカサ「屋根裏で見張り。今は…そっとしといてあげよう」
コニー「けどよ、なんでユミルは向こうに行ったんだ?」
アルミン「僕らは知らないことを、ユミルは知ってたんだろうね」
コニー「知らないこと?」
アルミン「ユミルとライナーたちは、仲間ではなかった。でも巨人同士として何か思うことはあったんだと思う」
コニー「うーん…でもよ、あいつがクリスタを置いてくってよっぽどだぞ」
アルミン「ヒストリアだよ、コニー。でも…そうだね、僕らはまだ何も知らなすぎる」
アルミン(そう…知らなすぎるんだ。彼らのことも、この世界のことも)
アルミン(ユミル、君はどうしてあちら側についたの)
アルミン(今の僕らがやろうとしていることが、間違いだというのだろうか)
アルミン(いや、本当に間違いだったならユミルは彼らを見捨てたはずだ)
アルミン(間違いではない、けれども正解だとも言えない、か)
アルミン(もしユミルが、僕らのことを信じて託してくれているのだとすれば)
アルミン(きっと近いうちに再会するとこになる。その時僕らは…)
アルミン(何を知り、何を選択しているだろう)
―――――
―――
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ヒストリア「何で…今まで忘れてたんだろう…」
ヒストリア「私は一人じゃなかった…私には…あのお姉さんがいた」
クリスタ「こんばんは、ヒストリア」
ヒストリア「来ないでって言ったじゃない」
クリスタ「……」
ヒストリア「私にはあのお姉さんがいた。でも、死んでしまった」
ヒストリア「殺されて、しまった」
クリスタ「…ねぇ、ヒストリア」
ヒストリア「なによ」
クリスタ「ユミルのことは、忘れてしまうの?」
ヒストリア「知らない。もう、知らないの」
―――
ロッド「フリーダの記憶はまだ生きている。姉さんに会いたいか?」
ヒストリア「…うん。会いたい」
クリスタ「…ヒストリア。可哀想なヒストリア」
クリスタ「あなたは何も知らなさすぎる」
クリスタ「お願い、誰か…彼女を、助けて」
→64話へ続く( ゚Д゚)オワル
特に意味のない小話。クリスタがまだ生きてるといいなぁ。
乙
面白かった
しかし、ヒストリアってエレンを食べちゃいそう(食べさせられそう)だよね
別に巨人を用意してるかと思ってたから、ちょっと驚いた
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