P「そうか、春香の頭の中に爆弾が!」(30)

P(ある日の風景!)

春香「おはようございまーす!」

P(事務所に春香と…)

千早「おはよう…ございます…」

P(疲れきった顔をした千早が入ってきた!)

P「春香…千早とのお泊まり会はどうだった?」

春香「はい、とっても楽しかったです!」

千早「………」

春香「さーて、今日も頑張…」ガッ

春香「わっ!」グラッ

P「危ない!」ガシッ!!

P(俺は転びそうになった春香の体を咄嗟に受け止めた!)

春香「あ…プロデューサーさん」

P「春香、無事か?」

春香「は、はい。ありがとうございます」

P「よかった…本当に…」

春香「えへへ…そんな、プロデューサーさんったら…」

P(危なかった…絶対に、春香を転ばせるわけにはいかない)

P(だって、春香が転んだら…)

P(春香が転んで、頭に衝撃を受けたりしたら…)

P(春香が頭に衝撃を受けたら、この町が吹っ飛んで消えてしまうのだ!)

P(一体、どうしてこうなってしまったのか…)

P(あれは先日のことだ。春香は、謎の組織Xと名乗る謎の組織に誘拐された!)

P(だが、春香の身には何もなく、無事帰ってきた。いや、無事帰ってきたと思っていた…)

P(春香が帰ってきた次の日、事務所に届いたこの手紙と…)

P(そして、その後に撮影したレントゲン写真…)

『爆弾埋め込んじゃった☆ 謎の組織X』

P(春香の頭の中には爆弾が仕掛けられていた!)

千早「く、眠い…」フラフラ

春香「もう、千早ちゃん。だからちゃんと寝なきゃって言ったのに」

千早「そう…よね…」

P(そう、千早にはお泊まり会と称して一日中春香のことを見張ってもらっていたのだ!)

P「千早、大丈夫か…?」

千早「大丈夫…とは言い難いですね…」

P「よく頑張ったな…後は、俺達に任せて休んでいろ」

千早「ええ…よろしく…お願いします…」バタン

千早「………」

P(千早は、ソファまで辿り着くと、うつ伏せになってすぐに眠り込んでしまった!)

P(余程疲れていたんだろう…そっとしておこう)

律子「プロデューサー、どうにかならないんですか?」

亜美「亜美、爆発より前にキンチョーで死にそうだよ…」

貴音「なんとか取り出す方法はないのですか?」

P「駄目だ。レントゲン写真を色々なところに見せてみたが、爆弾は優秀な外科医でも取り出せないように設置されている。どうしようもない…」

律子「取り出せないにしても、このまま好き勝手させていては危険です。まずは、春香に直接言っちゃった方がいいのでは…」

P「駄目だ!」

律子「何故です?」

P「自分の頭の中に爆弾が仕掛けられていると知ったら、春香は何をしでかすかわからん!」

律子「それは…そうかも…」

亜美「ショックで逃げ出して…そこらで転んで…ドカンだね」

貴音「しかし、ならばどうするのですか。放っておくわけにはいかないでしょう」

P「ちょっと待て、放っておくわけにはって…春香は今誰が見ているんだ?」

春香「みなさーん、クッキーが焼けましたよ!」

P(春香は天板を持ってこっちに歩いてきた! あれじゃ足下が見えない!)

P「何をやってるんだ!!」

春香「へ!?」ビクッ

ガッ

春香「わ…!」グラッ

P(しまった! 怒鳴ったせいで春香がバランスを崩してしまった!)

律子「チッ!」スチャ

P(律子が眼鏡を外し…)

律子「せりゃ」ビシュッ!

P(春香に向かって投げた!!)

春香「えっ!?」カチャ

ドンガッシャーン

亜美「あああっ!! 終わった!!」

貴音「いえ…」

春香「い…」

春香「いったぁぁ~っ! 目が! 目が!」ゴロゴロ

亜美「爆発してない!?」

P「そうか! 律子の眼鏡が、地面とぶつかった時の衝撃を吸収したんだな!!」

貴音「面妖な」

律子「う、前が見えない…」

P「律子、よくやった。後は俺達に任せて休んでくれ」

律子「そうさせてもらいます…」

春香「プ、プロデューサーさん! 目にレンズの破片とか入ってませんか!?」

P「大丈夫だよ春香、傷はない」

春香「でも…」

P「それより、ごめんな? いきなり怒鳴ったりして」

春香「あ、そうですよプロデューサーさん。びっくりしちゃいました」

P「本当に、ごめん。春香が転んだりしたらと思うと気が気でなくて…」

春香「もう、過保護すぎますよプロデューサーさんったら」

P「馬鹿、全然過保護なんかじゃない! お前はもっと自分を大切にしろ!」

春香「それって、私がアイドルだからですか?」

P「は?」

春香「そうですよね、プロデューサーさんはアイドルみんなに優しいですからね」

P「いや、春香。俺が心配してるのはお前だけだよ」

春香「えっ…!?」

P(それからも、俺達はひたすら春香のことを警戒し続けた)

P(転びそうになれば支え、不注意な通行人や空から降ってくる物があれば庇い、ステージでも頭に刺激を与えないように細心の注意を払った)

P(春香が寝てる間も、油断は出来ない。アイドル達や小鳥さんには、日替わりで春香のところに泊まったり、春香を泊めたりしてもらった)

P(そして…)

ぐでーっ…

P「だ、大丈夫か…みんな…?」

千早「………」

美希「千早さんが…息してない…の…」

やよい「もう…たいりょくげんかい…かも…」

小鳥「あはははは、お花畑がみえ~る~ぴよぴよ~」

P(もう既に、765プロで無事なのは俺と春香と社長だけになっていた!)

P(そして、無事なアイドルが春香しかいないとなると…必然的に、春香に仕事が回ってくる…)

P(春香と俺は、飛行機に乗って遠征に来ていた)

P「ようやく、ホテルに着いたな…」

春香「はい、思ったよりかかりましたね…」

P「疲れただろう、明日は大丈夫そうか? なんだったらキャンセルしても」

春香「な、何言ってるんですかプロデューサーさん! せっかく、ここまで来たのに!」

春香「私が頑張らないと! みんな、頑張りすぎてダウンしちゃってますから!」

P(お前のせいでな、とは間違っても言えない。春香は何も悪くないのだ…)

春香「それじゃ、プロデューサーさん。私の部屋の鍵、お願いします」

P「ああ、それなんだが春香…」

春香「はい?」

P(やむを得ないことだ。ここで春香に何かあったら、みんなの頑張りも全て無駄になってしまう)

P「お前と俺は一緒の部屋だ」

春香「え…………ええーっ!?」

P「ほう、ちょうどいい大きさだな」

P(これなら、部屋の中にいればどこでも春香を見張っておけるな!)

P(ただ、バスルームは当然個室だ…これだけは、どうにかしないとな)

春香「………」

P「春香?」

春香「は、はひっ!」

P「どうした、さっきから上の空だぞ」

春香「あ、あの、そ、その、私…」

P「疲れてるのか? ほら、座ってゆっくり休むといい」

春香「うぅ~…」トスッ

P(疲れているのなら、じっとさせておくべきだろう…脚がもつれて転んだりしたら、ホテルごと消滅してしまう)

チッ チッ チッ チッ

P(静かだ…春香がじっとしているから、見張りが楽だな)

P(夜は長い。俺も、体力を蓄えておかないとな)

春香「あのっ、プロデューサーさん!」

P「ん、なんだ春香?」

春香「な、なんでさっきから…私の顔、じっと見てるんですか?」

P「なんでって言われても…いつも見てるぞ?」

春香「い、いつも…!? や、やめてくださいよ、そういうの!」

P「いや、そういうわけにも…駄目なのか? ずっと顔会わせてきてるじゃないか」

春香「恥ずかしいんです! こんな、一緒の部屋で二人きりでなんて今までなかったし…」

P「ああ、それもそうか」

春香「私、一人でも大丈夫ですから!」

P「いやいや、大丈夫じゃない! 全然大丈夫じゃないぞ!」

春香「だいたい、こういうのって…まずいんじゃないでしょうかっ!」

P「まずい!? 確かにそうかもしれないが!」

P(今の状況、春香を一人にする方がよっぽどまずい!)

春香「プロデューサーさんは変なことしてきたりはしないと思いますけど…」

P「当たり前だ」

春香「でも、やっぱり、こんなのいけないと思います!」

P(春香の立場で考えれば、そう言うのもわかる。でも、こっちは春香を含め大勢の命がかかっているんだ!)

P「いいや、春香がなんて言おうが、俺は一緒にいるぞ!」

春香「な、なんでですかっ!」

P「春香のそばにいたいんだ! いなきゃ駄目なんだよ!!」

春香「はっ…え、ええ…?」

P(そして、春香は一緒の部屋に泊まることに何も言わなくなった)

春香「!」

P(目が逢う。春香の方からも、ちらちらと俺の顔を見てくる)

春香「えへへ…」ニコッ

P(笑いかけてきた。この笑顔を守るためにも、俺が頑張らないと…)

春香「あ、そうだ…プロデューサーさん、私、そろそろシャワー浴びますから」

P「わかった。じゃあ一緒に入るぞ!」

春香「ええええええっ!?」

P「風呂なんて滑るだろうが! 頭を怪我したらどうする!」

春香「し、しませんよっ! そ、そんな…一緒にだなんて、絶対無理ですっ…!」

P「無理でも何でも、俺は入…もがっ!?」バフッ

P(顔に枕を投げつけられた!)

春香「プロデューサーさんのばかっ! ヘンタイっ!」バタンッ!

P「ああ、しまった…どうしよう…」

P(そして俺は、春香が何事もなく風呂から上がってくるまで、ドアに耳をつけたり、神に祈ったり、自宅のパソコン宛に遺書を送ったりしながら過ごした…)

春香「それじゃ、プロデューサーさん。おやすみなさい」

P「ああ、おやすみ春香」

P(就寝時間だ。しかし…俺は寝るわけにはいかない。寝ぼけて頭を打ったりしたら…ううっ、寒気が…)

春香「私が寝てる間に、変なこと、しないでくださいね…?」

P「変なこと?」

春香「そ、その…え、えっちなこととか…」

P「するわけないだろう、馬鹿か!」

P(そんなことをして、何かの拍子にどこかに頭をぶつけたらどうする!)

春香「うぅ、ちょっぴり安心しましたけど。そこまで否定されると、なんか…」

P「馬鹿なこと言ってないで、さっさと寝ろ」

春香「はーい…」

P(起きているよりは、寝てもらった方がまだ安心できるからな…)

春香「すぅ、すぅ…」

P(春香はしばらくの間『眠れません!』と俺に話しかけていたが、そのうち普通に眠ってしまった)

春香「ん…」ゴソッ

P「!」ビクッ

春香「むにゃむにゃ…」

P「な、なんだ寝返りを打っただけか…」

春香「うーん」グラ…

P「!!」

P(危ない、ベッドから落ちる!)

春香「」ゴロン

P(も、戻った…気が気じゃない!)

春香「ん…」

春香「ふぁ…朝かぁ…」

グッ

春香(あれ…体が動かない…?)

春香(体が、縛られて…じゃない、この…腕は…)

P「………」

春香「ひゃああああっ!?」

P「うおっ!?」ビクッ

春香「プ、プ、プ、プロデューサーさん!? な、何やってるんですか!?」

P「えーと…春香が寝てる間、動かないようにだな…」

春香「ね、寝てる間…?」

春香(そ、それじゃ私、一晩中プロデューサーさんと…わーっ、わーっ!)

P(その後、春香はなんとなくぎこちなかったが、遠征先での仕事は無事成功した)

P(それからも、春香は765プロの看板として、次々とアイドルの仕事をこなしていく)

P(俺も他のアイドルも限界まで追いつめられながら、春香はトップアイドルへの階段を順調に登っていった…)

P(そんな、ある日のこと…)

P「おつかれ様、春香」

春香「プロデューサーさん、ありがとうございます!」

P「今日のドームライブ、すごかったな」

春香「はい、ドームの上の方まで、人でいっぱいで…」

春香「私、そんな中で歌うのに、ずっと憧れてました」

P「そっか。夢を一つ、叶えたな」

春香「はい。えへへ…」

春香「…私がここまで来れたのは、プロデューサーさんのお陰です」

P「おいおい、俺だけじゃないだろ? ファンのみんな、アイドルや芸能関連の人達…」

P「お前を支えてくれた事務所のみんな…そして何より、春香の頑張りあってこそだ」

春香「はい、そうですね! みんなに支えてもらったから、私はここまで、頑張ってこれたんです」

P「春香…」

春香「あの、プロデューサーさん」

P「ん、なんだ?」

春香「私、アイドルになって、大きなドームでライブして…たくさんの夢が叶いました」

春香「でも…まだ、叶ってない夢もあるんです。女の子なら、誰でも持つような夢」

春香「それを、プロデューサーさんに叶えてもらいたいんです」

春香「こんなに幸せなのに…私、わがままですかね?」

P「いいんじゃないか、わがままでも。俺が叶えられるものなら、何でも言ってくれよ」

春香「じゃあ…プロデューサーさん! これからも、ずっと私のことを支えてくれますか!」

P「ああ、いつだって支えるよ」

春香「あ…いえ、そうじゃなくて、私…」

春香「ふーっ…」

春香「私…!」

春香「私、プロデューサーさんが好きです!」

P「は?」

P「それってヤバい意味じゃないだろうな?」

春香「何もヤバくなんてないです! 私は…!」

P「ちょっと待て春香、確かに何でも言ってくれと言ったが…それはまずいだろう」

春香「私、これからの道を…あなたと歩いていきたいんです! 他の人なんて考えられない!」

P「落ち着け、春香。お前は自分を見失ってる」

春香「ちゃんとよく考えました! 見失ってなんて…」

P「例えばさ、あずささんなんかは目的が目的だからそういうのは構わないが…」

P「春香はずっとアイドルになりたかったんだろう? 夢なんだろ? だから今までずっと頑張ってきたんだろう?」

P「やっと掴んだ夢じゃないか。そんな色恋沙汰がそれよりも大事なことなのか?」

春香「そんなの…」

P「それにな、俺が相手っていうのもどうなんだ?」

P「確かに俺と春香はプロデューサーとアイドル、仕事上でも大切なパートナー。仕事中はいつも一緒だ」

P「だからそういうことを考えるようになるのも…それはまぁ、仕方ないのかもしれない」

P「でもな春香。お前は毎日片道2時間、電車で事務所通い。プライベートの時間なんてほとんどないだろ?」

P「学校で男友達とかいるのか? いても、遊びに行く暇なんてあるのか? ないだろ?」

P「アイドル活動でも、回りは既婚のおじさんだらけ。ファンの人なんて一期一会だ」

P「めぼしい相手が俺しかいないから、消去法で俺に決めてしまったんじゃないのか?」

P「それを否定はしないが…最終的にどうするにしても、もっと色々経験して、広い視野を持った方が長い目で見れば春香のためになると思うぞ」

P「どこか焦ってるんじゃないのか? まだ若いのに何を焦ってるんだ? ちゃんと考えたって、本当によく考えたのか?」

P「一時の気の迷いで全てを捨てる気か? ヤバいに決まってるだろ。どうかしてるぞ」

春香「プロデューサーさんのばかー!!」ダッ

P「は、春香!」

P(まずい、ちょっと言い過ぎたか!?)

P「待て! 春香! 待ってくれ、おーい!」

春香「嫌です…! 待ちません…!」

ガッ

春香「あっ…」グラッ

P「春香!」

P(なんてことだ…ここまで来て、春香が誰もいないところで躓いてしまった!)

春香「ああっ…」

P(こ…転ぶ…)

P(春香が、転…)

P(ば…せて、なるものか!!)

P「うおおおおおおお春香あああああああ!!」ダッ!!

春香「えっ!?」

ズザザザザザ

P「あああああああああ!!」




               カッ

そして…

律子「あれから1年、か…」

亜美「まさか、はるるん達があんなことになっちゃうなんて…」

貴音「仕方ありません。ああなる他なかったのですから」

亜美「そだね…」

小鳥「うぅ…ぐすっ…」

千早「まさか、春香とプロデューサーが…くっ」

『私達、結婚しました♡』

真「二人が結婚しちゃうなんてね」

伊織「この写真、明るすぎじゃない? フラッシュ炊きすぎじゃないの」

あずさ「ふふっ。春香ちゃんには、先を越されちゃったわね」

小鳥「うぅぅ…私は未だ独身なのに…」

千早「アイドル業も引退して…発つ鳥跡を濁さず、と言ったところかしら」

雪歩「ちょっと、寂しくなるけど…よかったんだよね、これで」

真美「爆弾はまだ残ってるけどね…」

シーン…

響「でも、プロデューサーが一緒なら大丈夫だよね!」

美希「そうだよね、いつ爆発するかわからないけど、プロデューサーが見てれば安心なの!」

やよい「めでたしめでたしです!」

終わり!

春香さん!お許しください


お菓子好きかい?

爆弾仕掛けた犯人は961か…許せない


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