絵里（日直の仕事があったから部室に来るのが遅れてしまったわけだけど……）

絵里（ドアの上に黒板消しが挟まっているわ……）

絵里（まさか……これは黒板消しトラップ……）

絵里（この私に罠をしかけるなんて大した度胸ね）


絵里「……まったく、誰の仕業かしら」

絵里（海未にことり、あと真姫と花陽はやりそうにないわね）

絵里（となると穂乃果、凛、にこ、希か……候補が多すぎて誰かはわからないわ）


絵里「共犯って線もあるかしら、まあ早めに気づいてよかったわ」

絵里（さっさと外して中にはいりますか）

絵里「にこと凛じゃ上まで手が届きそうにないわねぇ、じゃあ穂乃果か希かしら、よっと」



絵里（……いや、待てよ私）

絵里（ここであえてこんなブービートラップに引っかかってお茶目なエリーを演出するのもいいんじゃないかしら）

絵里（にこと希はいいわ、2年生もまあいいのよ……）

絵里（でも流石に2歳、3歳下の1年生とはたまに心の距離を感じなくもなくなくないのよね……）


絵里「たまによ！？極稀によ！？」

絵里（誰に言い訳してるんだろう私）



絵里（でもまあなんていうかジェネレーションギャップみたいなものを感じる瞬間は確実にあったわね……）

絵里（まさかおジャ魔女ど○みの話が通じないなんて……）

絵里（それにあの娘たちは初めて持った携帯がスマホなのよね……メールの文字数制限で泣かされた経験もないのかしら……）

深読みーチカ

絵里（いやでも心の距離なんて感じてるのは私だけかしら……自分で言うのも何だけど私結構慕われてない？）

絵里（いやいやいや、もしかして打ち解けてると思ってるのも私だけ……？）

絵里（だって高１から見たら高３ってけっこうな大人じゃない？）

絵里（言うなれば私もうおばさんじゃない？）

絵里（１年生の時に３年生の廊下を歩くのとかって怖くない？）


絵里「私は怖かったわ……」


絵里（もしあの娘たちに『おばさん怖いわーうざいわー』とか思われてたらどうしよう……）

絵里（やばい、ちょっと泣きそう）

今大学一年の知り合いがおじゃ魔女を楽しんで見ていたと言っていたが

絵里（だ、駄目よエリー！自分を強く持つのよ！）

絵里「そうよ、まだそう思われていると決まったわけじゃない」


絵里（いやー……でもなぁ……あの娘達には加入前にだいぶアレな態度取ったものね……）

絵里（やっぱ私ちょっと怖がられてるのかなぁ……）

絵里（そういえば一昨年の今くらいかしら……希に『エリチに睨まれるとマジこわい』って言われたわね……）


絵里「私そんなに目つき悪くないわよ！」

絵里（それにあの発言は中学校に入学した日、金髪の不良がいるって全校生徒の間で噂になって厳つい先輩によく校内で絡まれた私の傷跡をえぐったわ……）

絵里（思い出したら腹立ってきた……）


絵里「あとで睨みつけてやるからね、希……！」

絵里（ま、まあもし仮に、仮にね？下級生にちょっと怖がられてるならここでチョークの粉を被って親しみやすい一面を見せるのはありよね？ありでしょ？）

絵里（よ、よーし……かかってきなさい黒板消し）



絵里（……いや待って待って私、こんなわっかりやすい罠に引っかかって自然なリアクションを取れる気がしないわ……）


絵里（……ちょっと練習しとこうかしら）

絵里（まずドア開けるでしょ……そして開けると同時に、上手く頭にヒットするよう真下に踊り出るのよエリー……）

絵里（動きはこれでオッケーね、それでリアクションだけど……）


絵里「……」

絵里「いくわよ……」




絵里「みんなー遅れてメンゴー☆　キャー！もう何するのよー、エリー怒っちゃうぞ☆」

絵里（……ないわ、これはないわ）

絵里（第一にすっごく恥ずかしい、第二にメンゴってのがおばさん臭い、そしてやっぱり恥ずかしい）

絵里（にこって凄いわ）

絵里（ここはμ’s一番のゆるふわ天然系愛され女子、ことりを参考にしてみようかしら）


絵里（多分ことりならこんな感じよね……）

絵里「キャッ！　うわーん髪と制服が汚れちゃったよぉ（小声）」

絵里（いや、どうなんだろう、これ私が言ったら違うわ……）


絵里（じゃあμ’s一番の守りたい系女子、花陽ならどんな感じかしら）


絵里「……」

絵里（……ちょっと前の花陽がこんなの引っかかったとしたら泣いてたもね）

絵里（でも何度もライブをこなして度胸がついてきたわ）

絵里（前は真姫も一度ミスするとその後がガタガタになってたし、凛は一度の失敗を引きずる癖があったけど今はもうそんなことないものね）

絵里（基礎体力やダンスもそうだけどメンタル的にもみんな成長したわよね……）


絵里（これも怖い先輩に鍛えられたおかげならこれはこれでいいのかな）


絵里（……ありのままでもいいのよね）

絵里（やっぱりキャラに合わないこと言ったって駄目）

絵里（そう、私はμ’sのグラビア担当、絢瀬エリーよ）

絵里（私が、私の言葉でみんなと話さなきゃ！）



絵里（だからとりあえずハラショー言っとけばいっか）

とりあえず、ハラショーwwwww

絵里「ってそんなわけないでしょ！」

絵里（私が簡単にハラショーを言うと思ったら大間違いよ！）

絵里（簡単な女とは思われたくないわ）


絵里（……誰に言ってるんだろう私）



絵里（まあリアクションなんて出たとこ勝負よ）

絵里（不自然なものになったらそれはそれで弄ってもらえるから美味しいわ……きっと）

絵里（ピエロ……ピエロを演じるのよエリー）


絵里（私のお茶目なところを見せてあげるから待ってなさい下級生！）


絵里（よーし、今度こそ行くわよ……！）

絵里（開けるわ……3、2、1！）

ドア「ガラッ」

絵里「遅れてメンゴー！」ﾎﾟﾌｯ

絵里「キャッ！何これハラショー！」

絵里（あかん、とっさに出てきたのがわたし的NGワードのメンゴとハラショーって私……）



絵里「って、あれ？」




書き置き「先に屋上に行っています」






絵里「居ないのかよ！」


糸冬

これ面白いSSだろ？どや？が透けて見えて寒かった
乙

一応のおまけ

――屋上――

凛「絵里ちゃん遅いにゃー」

にこ「まさか本当に引っかかったんじゃないでしょうね」

希「エリチだってそんなアホやないやろ」

穂乃果「みんな気づいたもんねー」

屋上ドア「ガラッ」

絵里「……」

凛「あ！絵里ちゃんやっときたにゃー、ってあれ？」

にこ「マジか」

穂乃果「嘘でしょ……？」

希「やっぱけっこうアホやな」

絵里「あれをやったのは誰……？」


ことり「引っかかったんだ……」

真姫「以外ね」

花陽「絵里ちゃん……」


凛「……」

にこ「……」

穂乃果「……」

希「海未ちゃん、ウチやめよう言うたのに～」

海未「ちょっ！何言ってるんですか希！」

絵里「海未なの……？」ｷﾞﾛｯ

海未（やばいやばいマジコワイ）

海未「違います！私は止めました！」

穂乃果「絵里ちゃんキレてる……？」

絵里「キレてないわよ……」

絵里「私がキレたらこんなもんじゃないわよ！」

希（長州力ぎみにキレとるやないか）


穂乃果「セ、セッティングしたのはほのかだけど、いやその黒板消しを持ってきたのは凛ちゃんとにこちゃんというか！」

凛「にこちゃんと一緒に空き教室から持ってきたけど、ちゃ、ちゃんと汚れてない綺麗なやつ持ってきたにゃ！」

にこ「っていうか言い出しっぺは希よ！」

希「ま、まさかホンマ引っかかるとは思わんくてな～」

絵里「……」ｷﾞﾛｯ

希「いや～堪忍堪忍」

絵里「……」ｷﾞﾛｯ

希「あの、エリチ？無言怖いんやけど、何か言って？せめて何か言って？」

絵里「……」ｷﾞﾛｯ

希「絢瀬さん？お願いだから何か言って、ほしいなぁー、なんて、あははは……」


希「すいませんでしたぁ！」



絵里「……パフェ」

希「へ？」

絵里「おごって」

希「……なんでも奢ります」

絵里「じゃあ許す」

希（ちびるかと思った……）

穂乃果「よ、よかったぁ～！」

絵里「穂乃果はクレープ」

穂乃果「え？　あ、はい！」

絵里「あとアイスとケーキ」

凛「わかったにゃぁ……」

にこ「お小遣いが……」

絵里「よし、じゃあ全員許す！」

真姫「機嫌直ったみたいね」

絵里「だからキレてないって言ったでしょ？」

絵里「さあ、善は急げ！早速食べに行くわよ！」

希「今月のムー買えへんなぁ」

海未「因果応報です」

絵里「ことりたちも来るでしょ？希たちが全部出してくれるって！」

穂乃果「え゛！？」

にこ「にこっ！？」

凛「にゃ！？」

希「これは来月のムーも買えへんなぁ」

海未「って絵里！練習終わってないですよ！」

絵里「たまにはいいのよ、私が許すわ！」

ことり「ほら、海未ちゃんも行こうよ」

花陽「真姫ちゃんも行くって」

真姫「５人も抜けちゃうなら私達だけやったってしょうがないでしょ」

海未「ぐぬぬぬぬぬ」

海未「貴重な練習時間が……」

海未「でも一日くらいは……いや！いけません！そういう油断が命取りになるのです！」

海未「……ってちょっと！なんでもう居ないんですか！みんな待ってください私も行きます！」


屋上ドア「ガラッ」

海未「へ？」ﾎﾟﾌｯ


糸冬

乙
流石エリチカさんや

ということで終わりです
読んでくれた人がいたらありがとうございます
もっと精進しないといけませんね
後でHTML化依頼出しておきます

また絵里をアホキャラにして楽しんでるSSか

ムー…オウム真理教…

最後はかしこかった

いやこのエリチカはある意味賢い
乙

乙 面白かった