友「忘却の世界へ」(9)

爆音が鳴り響く。止むことのない火花が巨人の腕から放たれ続けている。

いつか、草木が歌い踊る場所だったこの場所は所々にクレーターがあり、金の細長い丸い物が彼方此方に散らばり巨大な足跡がくっきりとついている荒地となった。

人々は忘れてしまった。忘れられた場所は何を思うか。それを知るのは荒地のみである。

そんな荒地に一人の若い男は立っていた。巨人による爆音に怯えながらも、周りの光なきドールの為に進もうとする。
一歩。

いっぽ。

踏むことに自然は蘇った。

踏むごとに自然は踊り、かつての繁栄の如く栄えた。

「...何故だ?」

巨人は疑った。正確には、巨人手を動かし脳となる巨人の持ち主が思わず口に出してしまった。

確かに放っている。尽きることなく打ち続けている。自然は剥がれてはかつての繁栄を取り戻す。そんな事は良い。

...何故、弾が当たらない?

突如、小さな光が少年の後ろより巨人に向かって飛んで行った。周りの空気を吸い込みパチパチと声を上げながら、それは巨人に砕けて行った。

巨人の鋼鉄の腹は脆く溶け、地面へと倒れて行った。小さな地響きの後、動くことは無く存在が忘れられていた。

「危ないじゃない。」

少年の後ろより声が聞こえた。少年がふと振り向くと燃えるような髪をした胸が出ている人が立っていた。

「そんな事はないよ、女。」

少年が自分の安全を告げると彼女、女は歯にかんだ。

「そぅ。」

女が亡き巨人に背を向けて歩き始めると、少年はひに向かい手を捧げた。

数秒。

空から声が流れてきた。

声は激しく辺りをなびき、声と共に金は自然へとかえっていった。

気が付くと、自然には少年以外何も立っても倒れてもいなかった。

自然の繁栄が戻った時には、少年は居場所へと帰って行った。

声が重い想いに飛び交う食堂。

戦に疲れた心はここで休まり、又戦を起こしに自然へと帰る。

「まったく、お前の能力はすげぇよな。」

巨人には及ばぬ大男が腹から声を出し、萌える赤髪の女を寛大に評価した。己と比べるようであった。

女「辞めてよ隊長。私はそんな神格性では無いわ。」

女は内心嬉しかったのか。はたまたしんからの遠慮心か。顔がにやついていた。

隊長「便利だよなぁ、お前の神性は。俺はただの増強効果だぜ。」

神性。この国の人々は口々に言う。
神性は生まれてより己の身にやどる神からの贈り物。というのがこの国の御考えである。

隊長「そういや、次の神格の儀はいつだ?」

神格とは神の器である。ある程度歳を重ね、神性を身に感じるものはまだ能力を発動することができない。器が必要なのである。
月に一度、一定以上の歳重ねを行った生き物に行われるのが神格の儀である。

この国の人々は神格を授かり、始めて己の真を見、扱うことができる。

女「あと12日先ではないかしら。」

隊長「そうかぁ。悪巧みをする奴が現れなければいいが。」

まるで昔を見るように語った。

寂しい部屋。
かつては誰かが居た部屋であったが、最早それを覚えているのはいなかった。たった一人を除いては。

「...ふぅ。」

決して自慰行為を行っていた訳ではない。この男には己を慰める暇も理由もない。ただ一つの指揮官として己の所業を終わらせたばかりである。

「......今度は三枝か。」

決して何もしていない。シていないのだ。だが意思に沿って男の夜刀は増長して行くばかりである。

神格の元にある国。その国の総大将はただの助兵衛であった。

けたたましい足が廊下を叩き、音は障子を驚かせる。

「報告しm「うるさいぞ!若造がぁ!!儂は今、は◯かちゃんとリトルなモンスターをバスターしに行くんじゃぁ!」

このじじぃは何を言っているのだ。

「そんな事より伝達者から御報告!2部隊所属小部隊[クラナド]が敵巨人兵に囲まれています。至急指示を!」

この国はどうかしているのか。他国から見れば偏見の目で見られても致し方ない。むしろご褒美か。

「雷撃は?」

先程とは違う、冷たい空気が辺りを包む。それは、大将の成せる技か。

「打ちました。ですが巨人兵は対策を行っているらしく「クラナド隊に伝えろ。貴様らが死んだら便座の妹には会えないんだぞ。貴様ら、会いたければ死ね!死してなお、会え!それが便座の妹に対する真の愛だろうと。」ハハッ!」

命を賭す理由。果敢にも思える勇者の真意はまさに人生であった。

先程とは違う、頭に直接響く声。総大将の堪忍袋は既に切断直前だ。

「御報告!クラナド隊、一人の死傷者も出さずに戦線離脱!」

つい、口の端がまがる。まがる理由となったのは報告か画面か、真相は多分画面だろう。

後に敵国はこう綴る。

「クラナドが人生って...あの国はどうなっておる?」

「本家はどうなっておるん!泥水が神の聖水などと誰が決める!神の聖水はただ一つ!幼女のおし◯こだけじゃぁぁぁぁっぁぁぁぁ!」


天守閣から待ちに響く総大将の御声に人々は口々に「たわけ」とおもいは広がる。

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