雑兵の成り上がり(16)
---戦乱の時、一人の男が立ち上がる。胸には希望を瞳には絶望を、決して強くはないその男は、かつてこう呼ばれた。『雑兵達の懐刀』と。
雑兵「あぁ、農作業もつかれるなぁ」
雑兵「あ、そうだ!これを終わらせてとっとと狩りにでも出掛けるか」
ここはしがない集落。雑兵が生まれて15年間ここで暮らしていた。農作業が中心で狩猟に出るものなどほとんどおらず、たまに雑兵が趣味の狩猟を楽しむ程度である。
雑兵「ふぅ、かーちゃん!今日の作業おわったから狩りにいってくる!」
かーちゃん「気を付けるんだよー、最近魔物が出るって噂じゃないの。出会ったら逃げるんだよ、あんた、逃げ足だけは速いんだからさ」
雑兵「わかったってかーちゃん!魔物なんて俺が倒しちゃうよ!そりゃあCクラス以上は無理だけどね!」
かーちゃん「あらあら、あんたには最低ランクのFクラスでも無理だよ」
二人は笑いあい、雑兵は山へ出かけていった。この会話が最後の会話になることとは知らずに。
雑兵が山へ狩りに向かう際の装備は実に簡素だ。弓、剣、解体用の短刀の三点だ。この装備は歩いて2時間程度の街で買ってきたもので、雑兵が12歳の頃の誕生祝いの贈り物でもある。
雑兵が山へ到着後辺りを散策し始めた。辺りは木々に囲まれており所々獣道があるくらいだ。
雑兵は獣道を進む。と、猪を発見した。獣道を進んだその先は泉があり、猪は水を飲んでいるようだった。距離にして100m程だろうか、風下のお陰もあり、猪に気づかれることはなかった。
雑兵(・・・今夜はしし鍋だ!)
雑兵は弓を引き絞り猪の胸、もとい心臓に狙いを定めた。
雑兵(・・・まだだ、猪が水をのみ終え、油断した瞬間、その一瞬を狙う。・・・今だ!)
ここで矢を放した。角度を計算し、十分に引き絞られた弓から放った矢は、山なりに猪へと向かっていった。
雑兵(当たれ!)
ここで猪が自分へ向かってくる矢に気付いた。しかし、気付いたときにはもう遅く、自分の生命の源である心臓へ突き刺さっていた。
猪は一目散に逃げた。しかし、負傷のためその足は遅く、雑兵が剣を構え走って追い付くには十分なほどであった。
やーめただれもみてねーし死にたくなった
あ、なろうに投稿予定だから乗っ取りはダメだよ
見てるから
ただの宣伝じゃん
躁鬱なもんで
雑兵が猪へ追い付き、剣を振るう。狙うは猪の頸動脈、首あたりだ。雑兵も油断はしない。手負いの獣ほど恐ろしいものはない。しっかりと狙っていく。
剣はそのまま猪の首へと吸い込まれていく。鮮血が飛び散ると、猪はこちらへと向かってきた。
雑兵(あ、やべっ)
そう思ったのもつかの間雑兵は後ろへと飛んでいた。猪が致命傷をおっているにも関わらずこちらへ突進してくる。まさに猪突猛進だ。
しかし猪の奮闘もむなしく、血を流しすぎ、力なく横たわった。
雑兵(ここらへんが詰めが甘いんだよなぁ,,,,,,)
猪の解体作業に入っていく。丈夫な棒を見つけ、木々のあいだに掛ける。そして猪の後ろ足に蔓を巻き付け60キロはあるであろう巨体を吊るす。
そして、短刀で脈を切り、血抜きを済ませる。
その後、解体をもくもくと続けていき、気付いた頃には日が暮れていた。
雑兵「よし、そろそろかえるかぁ!今日はしし鍋をかーちゃんにつくってもらうぞー!あ、隣の幼にももっていこーっと」
そう呟いて解体ずみの猪を村へと運んでいくのであった。
山からの帰り道を歩いていると、何やら村から煙が上がっているようだ。
雑兵(今日は祭り?大篝火でもあげているのか?)
雑兵は呑気にそのようなことを思いながら村へと戻っていった。
雑兵「っっっ!!!」
村へ到着した雑兵はあたりの悲惨な状況をみて憔悴した。
家は燃え、村の憩いの場であった広場は無惨にも壊され、人は血を流し、息をしているものはいなかった。
雑兵「かーちゃんっ!!」
雑兵は母を見つけた。まさに魔物に襲われる1歩手前だった。魔物はそのまま母親に向かっていった。
雑兵「ワイバーン,,,,,,」
ワイバーンはBクラスの魔物であった。それこそ、騎士団の小隊があたらなければ倒せない魔物。特Aクラスの魔物、ドラゴンの眷属だ。殺される。そう思った。
しかし気付いたときには雑兵は弓を引き絞っていた。ワイバーンの翼膜に狙いを定め、矢を放つ。
雑兵(当たれっっ!!)
矢はは狙い通り当たった。しかし、ワイバーンな強靭な皮膚の前に矢は無惨にも弾かれた。
ワイバーンは攻撃してきた雑兵には目もくれず、目の前の雑兵の母親を食い殺した。
雑兵「うわぁぁぁ!!!なんでだよ!!なんで,,,,,,」
雑兵は剣を構え、突撃していった
ワイバーン《ギャァァァ!!!》
ワイバーンの咆哮が響く。まるで、雑兵のことを飛んで火に入る夏の虫、だと嘲笑うかのように。そして、また肉が食える、と喜ぶかのように。
雑兵は怯え、後悔、等の念を振り払い、ワイバーンに対峙する。
ワイバーンからの火球、それは、ドラゴンには劣るが、人一人を焼くには十分なほどの熱量をもっている。
雑兵(くっ,,,,,,)
雑兵はころがり、なんとか回避に成功する。
そしてワイバーンに斬りかかる。剣がワイバーンの横腹辺りに当たるが、弾かれる。
雑兵(弱点は,,,,,,目、腹、首、か!)
ワイバーンの柔らかそうな部位といえばそこくらいだ。象と人ほどの大きさの違いはあるものの、雑兵はワイバーンの攻撃を巧みに回避していく。
雑兵(今だっっ!!!)
ワイバーンの噛みつき攻撃を回避し首に一閃。しかし多少の傷をつけるだけであった。
雑兵(マジかよ,,,,,,)
ワイバーン《ギャァァァァァァ!!!!》
ワイバーンは小物に傷つけられたことに腹をたてたのか、激しい咆哮を放つ。
雑兵(クソッタレッ!!)
ワイバーンの突進。それはこれまでと一線を画していた。
雑兵(やっぱりいままでは遊んでいたって訳かよ!!!)
Bクラスの相手にここまで戦えていたこと自体奇跡的な事であった。雑兵の実力は冒険者で言うDクラス。見習い騎士レベルである。
雑兵はなんとか突進を回避する。しかし、目の前にはワイバーンの尻尾が迫っていた。
雑兵は咄嗟に剣を前にだし防御する。しかし威力は殺しきれずに、吹き飛ばされる。
雑兵「カハッ,,,,,,うっ,,,,,,こりゃきついぜ」
雑兵へのダメージは相当なものであった。目の前が朦朧とする。ふと、剣に目をやると折れていた。
雑兵(まさに絶体絶命ってやつか,,,,,,)
自分に残っている装備は折れた剣と弓矢くらいか。
目を横にやると、樽が置いてあった。
雑兵(樽なんてたてにもなりゃしねぇ,,,,,,っ!!!)
雑兵はなにかに気付いたのか、その樽を持ち、突進してくるワイバーンに投げた。
ワイバーンに樽の中身がかかる。松明用の油だ。そして、火魔法もとい生活魔法の着火で矢に火をつける。そして向かってくるワイバーンに放った。
ワイバーンが燃える。まるで、地獄の炎に焼かれているかのようであった。
雑兵(これでやられてくれよっっ)
雑兵はただ願うばかりであった。
ワイバーン《ギャァァァ!!!》
前の咆哮とは違う、明らかな苦痛の叫び。怒り、屈辱、それを体現しているかのよう咆哮だった。
そして、ワイバーンを包んでいた炎は消えた。
雑兵「やったか!?」
雑兵期待もむなしく、ワイバーンは負傷しながらも生気を、目に宿していた。
雑兵(あぁ、俺もここで終わりか。せめて、しし鍋位は食いたかったなぁ)
と、そこに足音が聞こえてくる。
雑兵(生存者!?いや、複数の足音、誰だ?)
その答えは国の騎士団であった。珍しく、団長が統率をしていた。
騎士団長「大丈夫か!?君一人でワイバーンをここまで追い詰めたのか?」
雑兵「あぁ、でも、もう無理だ,,,,,,」(来るのがおせぇよ、くそっ)
騎士団長「あとは任せておけ、我々が討ち取ろう」
騎士団は散開しワイバーンを囲んだ。そして、槍で包囲し一斉に突き刺す。ものの5分でワイバーンの生命を刈り取った。
騎士団長「村の生存者は君だけみたいだな」
騎士団は村をまわり生存者を確認していた。
今日はここまで。
仕事いってきます。
騎士団長「さて、このあと君はどうするつもりなんだ?」
雑兵「冒険者,,,,,,それしかないとおもう」
騎士団長「君さえよければ騎士団にはいらないかい?」
雑兵「いいのか?こんなどこの馬の骨ともわからない奴を」
騎士団長「もちろんテストはする。試用期間も設ける。もし使えないのであれば諦めてもらうしかない」
くそねむいからねるおやすみ
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