つばさ「IS?」ヒカル「うん、IS!」 (27)

○ゆっくり進行
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【IS学園 1年2組】

ヒカル「つばさちゃんの妹の椎名ヒカルです! よろしくお願いしまーす!」

つばさ「……し、椎名、つばさです。……よ、よろしく、おねがいします」

D・D「二人は遅くなりながらもこのクラスの仲間となる」

クラスメイト「……」ポカーン

D・D「なにか分からないことなどがあったら遠慮なく聞いてくれよ」

鈴「はい堂本先生質問!」

D・D「なんだい」

鈴「この学校って飛び級制度なんてあったっけ……?」

ヒカル「IS学園はあらゆる国家の影響を受けないから、あたしたちは特例なんだって!」

つばさ「うぅ……」

鈴「えぇぇー……」

クラスメイト(ど、どう見ても小学生の双子……っ!)

~~~~~

クラスメイト「ねぇねぇ! ほんとは小学何年生なの?」

つばさ「え、えと……」

ヒカル「四年生だよ!」

クラスメイト「なんでIS学園に? すっごい天才だったりするの!?」

つばさ「そ、そんな! 私なんて……」

ヒカル「つばさちゃんってすごいんだ! IS適性がSランクなんだって!」

クラスメイト「Sランクって国家代表レベル!?」ザワザワ

つばさ「ひ、ヒカルちゃん……!」

薫子「もしかしてもしかして! 専用機を持ってたりなんかして――」

D・D「みんな、そこまでにしておけ。初日から目を回させてどうする」

薫子「うぐ! せ、せめて新聞部のインタビューだけは……!」

鈴「もぉ、そこまでにしておきなさいって。二人共まだ小さいんだよ?」

つばさ「ごめんなさい……」

ヒカル「つばさちゃんが気にすることないのにー」

D・D「ちょうどよかった。鈴音さん、二人にここを案内してほしい。次の授業はグラウンドの実践授業で着替えが必要だしな」

鈴「うぇ!? あたしがですか!?」

ヒカル「よろしくおねがいしまーす!」

つばさ「お、おねがいします……。お姉さん」

鈴「お、おねえさんって……分かりました分かりました! まっ、あたしも転校してきたばかりだし、仲良くしましょ」

D・D「すまない、頼んだ」

D・D〈緊急事態があれば、ヒカルのコアネットワークを通じてプライベート・チャネルも利用できる。よろしく頼んだ〉

ヒカル〈任せて!〉

つばさ〈分かりました……〉

~~~~~

【IS学園 廊下】

ザワザワ

鈴「しっかしあなたたちも大変そうねぇ。ここの生徒はみーんな噂好きだから」

ヒカル「おねえさんもあんな感じになった?」

鈴「あたし? あたしはー……よく考えたらそこまでじゃなかった――って、おねえさん呼びはなんかむず痒くなるから、鈴って呼んで。鳳鈴音だから鈴」

ヒカル「はーい!」

つばさ「……」

鈴「――で、さっきからお姉さんの方が後ろで黙ったまんまだけど、具合でも悪いの?」

つばさ「あ、いえ! なんでも……」

ヒカル「つばさちゃん、朝からずっと緊張しちゃってて」

鈴「まぁこんな環境なら、ねぇ。ヒカルちゃんみたいなのの方が少ないでしょ」

ヒカル「つばさちゃん、だいじょうぶだって! だってあたしがいるもの!」

つばさ「う、うん……」

鈴「こりゃ慣れるのに時間かかりそうねぇ……二人共、昼休みは空いてる」

つばさ「え?」

鈴「あたしの友達、紹介してあげる」

~~~~~

【昼休み/IS学園 屋上】

一夏「――で、ここに連れてきたわけか。まさか本当に小学生なんてなぁ……!」

セシリア「こちらのクラスでも盛り上がっていましたわ。わざわざ隣のクラスまで見に行く人も多かったですし」

一夏「そうだったな。俺の時と同じぐらい大盛り上がり」

つばさ「隣のクラスでも話題なんだ……」

箒「案の定、織斑先生から一喝されていたがな」

一夏「そ、そうだったな……」

ヒカル「あたしたち有名人だよ!」

つばさ「うぅ……」

一夏「まぁ、慣れないよなぁ。俺もいまだに慣れないもん」

セシリア「隣のクラスではありますが、是非このセシリア・オルコットを頼りにしてくださいまし」

一夏「まっ、俺も手伝えることがあれば手伝うからさ。そう緊張するなって」

箒「うむ、境遇や年齢はともかく、同じ学を共にする者同士、仲良くしよう」

つばさ「ありがとうございます。……いっぱい迷惑かけちゃうかもしれないけど」

ヒカル「つばさちゃんのこと、よろしくね!」

一夏「ははは、なんかヒカルちゃんの方がお姉さんっぽいな。昔の千冬姉を思い出すよ」

つばさ「ですよね……」

箒(……姉、か)

鈴「言っちゃあなんだけど否定もできないかなー……でも相変わらずあんた、デリカシーないわねぇ」

一夏「えっ?」

セシリア「人それぞれの個性豊かですもの、ねぇ?」

ヒカル「そうそう! あたしはつばさちゃんの妹で、パートナーなんだから!」

鈴「パートナーねぇ」

一夏「……あっ! いけね、次の授業、2組との合同じゃん! 着替えないと!」

つばさ「合同……?」

鈴「覚悟しておきなさい。次の授業の先生、かーなーりスパルタよ」

~~~~~

【IS学園 グラウンド】

千冬「これより、1組と2組の合同演習を行う!」

つばさ〈……ちょっと怖そうかも〉

ヒカル〈そうかなぁ? 束さんは優しいって言ってたけど〉

つばさ〈どういう意味なんだろう、『ちーちゃんはつんでれ』って……?〉

千冬「ふむ……椎名つばさ」

つばさ「っ! は、はい……!」

千冬(……この二人があいつの。束め、相変わらず頭を悩ませてくれる)

千冬「椎名つばさは操縦者志望だったな。よし、凰、オルコット、織斑。椎名つばさと模擬戦をしろ」

セシリア「4人で、でしょうか?」

千冬「今回はタッグマッチ形式とする。椎名つばさは訓練機であるラファール・リヴァイブを使用すること」

つばさ「わかりました……」

つばさ(2対2……どうしよう、絶対足を引っ張っちゃう……!)

ヒカル〈心配しないでつばさちゃん! あたしもサポートするから!〉

つばさ〈だいじょうぶかなぁ……〉

鈴(案の定顔が緊張してるなぁ……ほんとは一夏とタッグがよかったけど)

千冬「タッグのチーム分けは――」

鈴「はいはい! あたしがつばさちゃんと一緒になるわ!」

千冬「ほう、どういう風の吹き回しだ」

鈴「一夏とセシリアは射撃特化と近接特化で相性がいいですし」

セシリア「鈴さんの甲龍はラファールと同じバランス持久戦型。確かに理にはかなっていますわ!」

セシリア(何より一夏さんとより親密になるチャンス!)

一夏「丁度1組と2組でちょうどいいしな」

千冬「ではそのようにしよう。各自準備を始めるように」

つばさ「あ、ありがとうございます……!」

鈴「同じクラスのほうがやりやすいもんでしょ? こっちでサポートするからさ」

つばさ「ご迷惑おかけします、おねえさん……」

鈴「いやいやまだ始まってないし。それにおねえさんじゃなくて、鈴って呼んでって言ったじゃん。お互い頑張りましょ」

ヒカル「頑張ってつばさちゃん! こっちで『応援』してるから!」

つばさ「……うん」

~~~~~

クラスメイト「適正Sランクって言ってたけどどんな感じなんだろ」ザワザワ

クラスメイト「専用機はないみたいだけど。でも飛び級だよ……?」ザワザワ

千冬「静粛に、私語は慎め! ――よし、全員準備は出来たな」

一夏「こっちはいつでも!」

セシリア〈一夏さんと一緒になれて大変光栄ですわ! それでは一夏さん、後は手筈通りに〉

一夏〈なんか悪い気はするけど、さすがに『負けた方はグラウンド50周』なんて言われたら負けるわけにはいかねぇよなぁ……〉

鈴「一夏は近接特化だから私が龍砲で相手をするわ。そっちは回避専念でとにかくセシリアを惹きつけて」

つばさ「はいっ!」

ヒカル〈――よーし、ラファール・リヴァイブのコアネットワークへのリンク完了。擬似初期化、疑似最適化も出来たよ!〉

つばさ〈ほんとに出来ちゃうんだ……ISセンサーの拡張化とか操縦補助もできちゃうし、なんだかズルしてるみたいだなぁ……〉

ヒカル〈つばさちゃんとあたし、二人で一人……っていうことじゃダメかな? だってだって! ほんとの専用機は『あたし』なのにみんなの前だと使えないんだもん!〉

つばさ〈仕方ないよぉ……みんな驚いちゃうし〉

ヒカル〈ちぇー。とにかく、訓練機のロックを限定解除して疑似最適化も完了。あたしとラファール・リヴァイブのハイパーセンサーの拡張リンク、操縦補助は出来たけど、それ以外はスペック通りのままだから注意してね〉

つばさ〈分かった〉

ヒカル〈ISの操縦者はつばさちゃんの夢でしょ! あたしと一緒にがんばろ!〉

つばさ〈……うん……!〉

真耶「試合の審判は私が担当するします。ルールは公式のものに則ります」

千冬「それでは試合開始!」ピーッ



セシリア「先手必勝でしてよ! ブルーティアーズ!」カシュンッ カシュンッ

ヒカル〈BT兵器! オールレンジ攻撃、来るよ!〉

つばさ〈うんっ!〉

鈴「一夏はあたしとタイマンよ! たぁ!」

一夏「双天牙月か! でもすまんっ!」

セシリア「踊りなさい!」バシュンッ

鈴「ビットじゃなくてミサイル!?」

ボォンッ

つばさ「きゃっ!?」

一夏「はぁぁ!!」

鈴(ミサイルで一時的に撹乱させて……つばさちゃんの一人狙い!?)

つばさ「は、速……っ!」

ヒカル〈全速回避!〉ッドォン!

つばさ「ひゃあ!?」

一夏「回避された!?」

セシリア「あれって……イグニッションブースト!?」

つばさ〈な,なに今の衝撃……!?〉

ヒカル〈イグニッションブースト! 一時的にエネルギーを爆発するさせて高速で短距離を移動できるの! でも使用するたびにエネルギーを使うしとっさの時は直線移動しか出来ないから乱用はできないよ!〉

つばさ〈ヒカルちゃんがやってくれたんだ……ごめん、ありがとう〉

鈴「へぇ……! 伊達に飛び級じゃないのね! 今度はこっちと遊んでもらうわよ!」ドォンドォンッ!

一夏「龍砲が来る!」

セシリア「回避! 鈴さんをつばささんから離しますわ!」

ヒカル〈つばさちゃん、援護! ミサイル!〉

つばさ〈う、うん!〉シュインッ

ヒカル〈OS書き換え完了! マルチロック!〉

つばさ「お願いっ!」ドドドドドドッ

セシリア「ミサイル!」 

一夏「――ッ!? 振り切れない! もしかして自動追尾か!?」

セシリア「訓練機にそんな高度技術が!? 独立型自動追尾なんて……!」

ヒカル〈自動追尾じゃなくてあたしがリアルタイムで操作してるだけだけどね!〉

つばさ「おねえ――り、鈴さんっ! ミサイルを動かしてる間に……!」

鈴「超ナイス! 地引き網よ!」ドォンドォンッ!

セシリア「きゃっ!」

一夏「しまった! ミサイルの合間に龍砲が!」



真耶「2組タッグが押してます! でもあんな高精度に動くのでミサイルなんてインストールしていましたっけ……?」

千冬「ハイパーセンサーとリンクさせてリアルタイムコントロールを行っているんだ。手動でミサイルを動かすのに近い」

真耶「それってオルコットさんのBT兵器と似た理論では……!? あれは稀な適性と訓練が必要なはず!」

千冬「それこそ、IS二機分のハイパーセンサーと4本の腕でもあれば可能だろう。あくまで例えだが」

ヒカル「つばさちゃん、がんばってー!」

千冬(それが例えではないから困るのだがな……)ジー

クラスメイト「模擬戦だけど本番と同じぐらい白熱してるよね!」

クラスメイト「あんなに小さいのにすごい!?」

本音「お~、どっちもがんばるのだ~」



セシリア「高精度にコントロールされたミサイル群の間を縫うように不可視の衝撃砲……! 私の得意とするオールレンジ攻撃を発展させた布陣! なんて厄介な!」

一夏「動きが制限するされる上にどこから来るか分からない龍砲かよ! どうするセシリア!」

セシリア「網に捕らわれたなら網を壊すまで! 一夏さんの攻撃でつばささんの一撃必殺を!」

一夏「零落白夜……! 分かった!」バシュッ!

つばさ「く、来る……!!」

鈴「させるかって――」

セシリア「スターライト!!」バシュゥンッ!

鈴「やばっ! それは洒落にならない!」シュゥンッ

一夏「ワンオフアビリティ!」キュイイイン

つばさ(映像で見たけど、あの威力だと備え付けのシールドじゃまっぷたつになっちゃう……なら!)

つばさ〈ヒカルちゃん! この機体で『あれ』ってできるかな……?〉

ヒカル〈っ! エネルギー消費量が大きいけど出来るよ!〉

つばさ〈お願いっ!〉

ヒカル(ヒカルちゃん、ISのことになると普段とはやっぱり違う……! つばさちゃんのためにがんばって手伝わないと!)

ヒカル〈分かった! それじゃあ息を合わせて!〉

つばさ〈うんっ!〉

一夏「うぉぉぉっ!!!」

鈴「つばさちゃん! 全速で離れて!」

つばさ「――ッ!!」バシュゥンッ

セシリア「なっ!?」

一夏「!?」

一夏(俺の懐に飛び込んで――パンチ!?)

つばさ ヒカル〈いっせーのーぉー……〉

スカッ

つばさ「――あっ」

つばさ(空振り――)


一夏「えっ?」

ゴツーンッ!

一夏「わぁぁぁ!?」

つばさ「ひゃああ!!」

ヒューン ドォーン

鈴「もつれ込んで落ちた!?」

セシリア「い、一夏さん!?」

一夏「っててててて……」

つばさ「ったぁー……!」

一夏「大丈夫? 怪我は?」

つばさ「だ、大丈夫です……ごめんなさい」

一夏「いや、俺は気にしてないし。それに落ちる直前に庇ってくれたし――」

一夏(……あれ? この姿勢、まるで俺が押し倒してるみたいに――)

ザワザワ

クラスメイト「そんな……! まさか一夏君ってロリコン……!?」

クラスメイト「だからみんなのアプローチをものともせずに……!」

鈴「いーちーかぁー? 一体いつまでそうしてるのかなぁ?」ゴゴゴゴゴ

箒「そんな……! まさかお前の趣味がここまで歪んでるなど……!?」

セシリア「見損ないましたわ! まさか児童ポルノに走るなんて……!」

一夏「あ、あれ? あれぇ……? 待ってくれ! これは誤解だ! これは偶然が重なった事故で――」

ヒカル「落ちる直前にエネルギーバリアを出力調整したから事なのに、なんでみんな怒ってるんだろう……?」

つばさ「わ、私、いつまでこうしてればいいんだろ……?」

千冬「バカもの共が……」

今日はここまで

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