ユミル「超頑張れ」 (88)

進撃のSSです。

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ユミル「お客さんこないな」

アニ「そう」

ユミル「なんでだ?」

アニ「さあ」

ユミル「どうするかなぁ」

アニ「がんばって」

ユミル「お前な」

アニ「なに?」

ユミル「ちょっとは考えろよ」

アニ「何を」

ユミル「この店に客がくる方策を」

アニ「無理じゃない?」

ユミル「無理いうな」

ユミル「料理もお茶も悪くねーと思うんだけどな」

アニ「大体なにこの巨人亭って名前」

ユミル「いいだろ?」

アニ「全然」

ユミル「お前もいいねーって言ってたじゃねーか」

アニ「うん・・・まぁそうだね。後悔してるよ」

ユミル「あれだなその場のテンションで重要なことを決めては駄目だな」

アニ「しかもヤケ気味でね」

ユミル「ああ・・・解散式の前にお前と会わなければな」

アニ「あんたと会わなければね」

ユミル「偶然独り言を聞かれて」

アニ「びっくりしたよ」

アニ「あんたがボソッと就職したくねーって」

アニ「じゃあなんで訓練兵団なんかに入ったの?」

ユミル「クリスタがいたからなんだけどさ。あいつは・・・」

アニ「怪我して開拓村に戻ったね」

ユミル「ジ・エンド」

アニ「追いかければよかったのに」

ユミル「いや引かれちゃうだろそんなことしたら」

アニ「変なところを気にするんだね」

ユミル「気にするって」

ユミル「お前はお前でいきなり衝撃的なこと言ってたな」

ユミル「巨人になりたくないって」

アニ「どうかしてたね」

ユミル「どうかしてるよ」

ユミル「けど忘れられなかったな」

アニ「あの時互いに言ったことがね」

ユミル「なあお前はなんで」

カランカラン

アニ「あっお客さんだよ」

ユミル「珍しい」

アニ「自分で言わない」

カランカラン

ユミル「ありがとうございました。また来てください」

ユミル「ふー・・・」

アニ プッ

ユミル「笑うな」

アニ「悪かったよ」

ユミル「うん。お前も接客しろよ」

アニ「私は裏方だから」

ユミル「せめて顔をだせよ」

アニ「嫌だね」

ユミル「お前な・・・」

ユミル「あっもうこんな時間か。もう店を閉めるか?」

アニ「うん。お疲れ。今日も赤字」

ユミル「うるせ。お前ってそんな性格だったか?」

アニ「さあ」

ユミル「さあって」

アニ「そんなに自分の性格なんてわからないもの」

ユミル「そりゃーそうだな」

アニ「それよりも今日の残りで作ったご飯を」

ユミル「泣きそうになるくらい豪勢だ」

アニ「気にしなかったら美味しいから」

アニ「どう?」

ユミル「うまい」

アニ「明日もがんばろうか」

ユミル「わかってるよ」

アニ「うん」

ユミル「飯食ったら眠くなってきたな」

アニ「疲れてるのかもね」

ユミル「そんなんじゃないよ」

アニ「そうなの?年?」

ユミル「年じゃねーよ」

アニ「そういえばユミルっていくつなの?」

ユミル「いまさら?」

アニ「いまさらだけどさ」

ユミル「うーん」

アニ「恥ずかしがるようなあなただっけ?」

ユミル「いや違くてさ」

アニ「なにが?」

ユミル「まあお前よりお姉さんだよ」

アニ「ふーん」

ユミル「お姉さんって呼んでいいぞ」

アニ「火の元確認してくるから戸締りしてくれる?」

ユミル「・・・わかった」

ユミル「なんだよ少しは乗ってくれてもいいじゃないか」ブツブツ

ユミル「だいたい昔はもっとノリが良かった・・・ことは無いか」

アルミン「あのー今日はもうお終いですか?」

ユミル「うわっ」

アルミン「うわっ」

ユミル「あっすみません今日は・・・ってアルミン!?」

アルミン「ユミル!?」

アルミン「ユミル久しぶりだねってここユミルのお店なの?」

ユミル「まぁな・・・はい」

アルミン「なんで敬語なの?」

ユミル(どう接すればいいんだ?この場合客か?知り合いとしてか?)

アニ「ユミル姉さんなにかあったの?」

ユミル「姉さん!?」

アルミン「姉さん?」

アニ「アルミン?」

アルミン「アニ?」

ユミル「落ち着けお前ら」

アニ「いやあんたが落ち着きなよ」

アルミン「なんかごめんね」

ユミル「あっ悪い。なんだっけ?そうだここは私とアニの店だ」

アルミン「へーすごいね」

ユミル「そうだろ。今日はもう閉めちゃったけど寄ってくか?」

アルミン「ありがとう。でも悪いからいいよ」

アニ「気にしなくていいのに」

アルミン「また今度来るね」

ユミル「きてくれよ。それで金を落としてくれ」

アルミン「ははっわかったよ」

アニ「仕事?随分遅いね」

アルミン「うん。まだまだ覚えること沢山あるから仕方ないね」

ユミル「なにやってんだ?」

アルミン「僕?兵団技術部の開発課だよ」

アニ「へーすごいね。アルミンらしいよ」

アルミン「折角訓練を受けたのだから外勤が良かったけどエレンとミカサが・・・」

ユミル「あいつらなんかしたのか?」

アルミン「二人供総務課になっちゃった」

アニ「なんで?」

ユミル「思いっきり事務仕事だな」

アルミン「エレンに聞いても人事が決めたことだからとしか」

アルミン「研修は調査兵団だったんだけど」

ユミル「多分あれだなそのとき上司に嫌われたな」

アニ「口答えでもしたのかな?」

アルミン「うーん。話たがらないんだよね」

ユミル「そんでミカサもエレンも追って同じところへ」

アルミン「うん。これもかなり揉めたみたいだけど」

アニ「よく首席のミカサが総務に行けたね」

アルミン「僕もそう思った。だって兵士として優秀だからね」

ユミル「普通に兵士だよな。それでミカサは何か言ってたのか?」

アルミン「ミカサに聞いたらなんとかしたとしか」

アニ「なんか怖い」

ユミル「強引な手を使ったんだろうなー」

アルミン「深くは訊かなかったよ」

ユミル「まぁどちらにしても元気そうでなによりだ」

アルミン「うんそうだ。今度二人を連れてくるよ」

ユミル「おっいいなそれ。売り上げアップだ」

アルミン「売り上げ厳しいの?」

ユミル「そんなんじゃねーから。まだ始めたばっかだから」

アニ「見え張らなくてもいいのにね」

アルミン「ははっ」

ユミル「うるせーな・・・なんかいい手ないかアルミン?」

アルミン「うーん。そうだね」

アニ「ユミル。アルミンは仕事終わりなんだから」

ユミル「あっ悪い。また来てくれよな」

アルミン「うん。またくるから」

アニ「あっちょっと待ってて」

アルミン「えっ?行っちゃった」

ユミル「まーちょっと待ってろよ」

アルミン「変わったね二人供」

ユミル「そーかぁ?」

アルミン「楽しそう」

ユミル「そんなことないって毎日大変だぞ」

アルミン「そうだね」

ユミル「それはお前もかもしれないけど」

アルミン「みんなもそうだと思うよ」

ユミル「まあやるしかねーな」

アルミン「ははっなにをさ・・・いややるしかないね」

ユミル「そうだろ?」

アニ「なに?楽しそうだね」

ユミル「アニなにやってた?」

アニ「アルミンこれ残り物で悪いけど」

アルミン「わぁお弁当だね。ありがとう。えっと」

アニ「お金はいいよ」

ユミル「昔のよしみだ。けど今回だけだぞ」

アルミン「うん。じゃあまた必ずくるから」

アニ「またね」

ユミル「アルミンは変わらないな」

アニ「普通に話せたね」

ユミル「なんだ普通って?」

アニ「私は昔の同期とあったらどうやって話そうって思っていていたからさ」

ユミル「考えすぎだよ」

アニ「だって私達変だから」

ユミル「訓練兵団を出たクセにこんなことやってるからか?」

アニ「そう」

ユミル「大丈夫だって」

ユミル「昔から変だろ?お前と私なんて」

アニ「ユミルはともかく私はそんなつもりじゃなかったんだけど」

ユミル「いいんだよもう寝ようぜ。誰もかも変だってどうでもいいからさ」

アニ「なんか強引だね」

ユミル「やるしかないさ」

アニ「よくわかんないね。あっ明日買出しにつきあってよ」

ユミル「わかったよ。ユミル姉さんに任せてくれ」

アニ「もう呼ばないから」

ユミル「なんでだよ」

次の日

ユミル「そんなに食材少なかったか?」

アニ「少なかったよ。ちゃんと把握しててよ」

ユミル「いい天気だー」

アニ「もう」

ユミル「ここは人通りが多いな」

アニ「市だから」

ユミル「あーあ。もっと大通りに店を出せばよかったな」

アニ「そんないいところ借りれないもの」

ユミル「そうしたらもっと儲かっていたと思わないか?」

アニ「毎日黒字かもね」

ユミル「いい響きだ。素晴らしい」

ユミル「儲かりまくって店ももっと広く、その後は2号店、3号店」

アニ「それで私達はどうなるの?」

ユミル「あー店は人に任してぶらぶらして話でもしようぜ」

アニ「だいたい今と同じじゃない?私はあの店が好きだけど」

ユミル「私もそうだけどさ」

アニ「それよりその棚の上のやつ取って」

ユミル「はいはい。これか?」

アニ「もう一個右の」

ユミル「はいよ」

アニ「どうも」

ユミル「なんか違うのか?」

アニ「気持ちの問題」

ユミル「気持ちかー。大事だな」

アニ「安くていいものが良いよね」

ユミル「あっそれうちのキャッチコピーにいいな」

アニ「宣伝でもするの?」

ユミル「そうだ。なんかいいのあるか?」

アニ「うーん」

ユミル「あっこの食器店にどうだ?」

アニ「普通」

ユミル「普通かよ」

アニ「あっキャッチコピーは」

ユミル「なんか思いついたか?」

アニ「早くもなく安くもなくて普通」

ユミル「それはそれは普通だな」

アニ「いいじゃない普通」

ユミル「客こねーよ」

ふむ、これは。
期待します。

ユミル「ああ儲かったらクリスタでも呼んではべらかしたい」

アニ「聞かなかったことにするよ」

ユミル「冗談だよ。けど呼びたいな」

アニ「呼んでなにするの?」

ユミル「何だろ?ご飯を食べさしたり」

ユミル「散歩したり。服を買ってきてあげたり身の回りの世話をしてやる」

アニ「兵団が歩いてる」

ユミル「聞けよ・・・たくさんいるな」

アニ「私達も普通にいったらあっちにいたんだ」

ユミル「まっそりゃーな」

アニ「向こうからはこちらがどんな風に見えるのだろうね」

ユミル「それはどちらにいてもそう思うことだよ」

ユミル「そんなことより」

アニ「そんなことって」

ユミル「あいつらってどこで飯食ってんだ?」

アニ「食堂でしょ。自前の」

ユミル「全員か?そんな広いイメージなかったぞ」

アニ「確かにね」

ユミル「あれだ。アルミンに聞いてみよう」

アニ「また来る?」

ユミル「来るさ」

アニ「なにその自信?」

ユミル「こなかったら集金に行ってやる」

アニ「ただって言ったのに」

ユミル「弁当箱はただじゃない」

アニ「けちだねぇ」

ユミル「利子も付けてな。10日で5割として弁当箱の値段が・・・」

アニ「はいはい。もう帰ろうね」

ユミル「えっああ。この食器買っていいか?」

アニ「いいよ」

その日の夜

アルミン「うわぁいいにおいだね」

ユミル「よく来たな」

アニ「よく来たね」

アルミン「うん。お弁当ありがとう。おいしかったよ」

ユミル「おっいい反応だ。よかったなアニ」

アニ「あっうん」

ユミル「ははっ」

アニ「何?」

アルミン「そうだ。お弁当箱返すよ」

アニ「どうも」

ユミル「あーあ」

アニ「残念だったね」

アルミン「お弁当箱が?」

ユミル「こっちの話だ。まあゆっくりしてけよ」

アルミン「うん」

ユミル「今日は早かったな」

アルミン「早くあがらせたもらったんだ」

アルミン「ここに早く来たくて」

ユミル「なっ」

アニ「えっ」

アルミン「どうしたの?」

ユミル「もう一回言ってくれ」

アニ「頼むよ」

アルミン「えっと僕はここに来たくて」

ユミル「くっ」

アニ「ユミル泣かないで」

アルミン「なにこれ」

ユミル「よしっ!今日はただにしてやる!好きなだけ食っていけ」

アルミン「いや悪いからいいからっ」

アニ「大丈夫だって」

ユミル「そうだアニの給料から引いとくから」

アニ「なんでよ」

アルミン「でも」

ユミル「じゃー出世払いだ。いいだろそれで」

アルミン「出世なんてしないけど。でもいいよいつか必ず」

ユミル「ああ。知り合いにもどんどん紹介してくれよ」

アルミン「あっそうだ!忘れてた。あとで来るって言ってたのを」

ユミル「早速紹介してくれたのか?」

アルミン「うん。聞いたら是非来たいって」

アニ「うれしいね」

ユミル「そうだな。そいつも今日はただにしてやるか」

アルミン「ほんと?そろそろ来る頃だと思うけど」

アニ「誰なの?」

アルミン「それは・・・

サシャ「お久しぶりです!」ガチャ

ユミル「帰ってもらえ」

アニ「オーケ」バタン

サシャ「なんでですかー!」

おつ

また巡回スレが増えてしまった

サシャ「まったくひどいです。久しぶりなのに」

アニ「ごめん?ね」

サシャ「なぜ疑問系なのですか?」

ユミル「悪かった?よ」

サシャ「ほんとにそう思ってますか?」

アニ「水でも飲んでいってよ」

サシャ「水屋さんですか?」

サシャ「私はここの料理が食べたいんです」

アルミン「だって」

アニ「冗談だよ」

アルミン「良かったね」

サシャ「はい。やりました」

ユミル「やっちまったよ」

アルミン「今日はね。なんとただらしいよ」

ユミル「あっ」

アニ「アルミンっ」

サシャ「えーそんなの悪いですよ」

アニ「サシャ」

ユミル「大人になったな」

サシャ「じゃあみんなで食べましょう」

サシャ「では、あれとこれとそれとあれもこれも下さい」

ユミル「大人になれよー」

アルミン「大人が分からなくなるね」

アニ「まあ分かっていたけど。サシャ手伝ってよ」

サシャ「はい!」

ユミル「はぁ。昔から返事と食欲だけはいいよな」

アルミン「ははっいいことだよ。僕も手伝うからね」

ユミル「悪いな。それこそ訓練兵のときみたいだな」

アルミン「うん。悪くないよ」

サシャ「おいしいです!おかわりです!」

ユミル「くっ」

アルミン「すごいなぁ」

ユミル「確かにすごい食欲だよな」

アルミン「そうじゃないよ。いやそうだけどね」

アルミン「アニとユミルのこと」

ユミル「私達のことが?」

アルミン「うん。自分達で決めて考えて暮らしているのはすごいなって」

ユミル「すごくねーって」

アルミン「僕なんてそんなに自分の意志がないまま今のようになって」

アルミン「このままどうなるのだろうって思うときもあるから」

ユミル「お前さ」

ユミル「うまいか?ここの飯?」

アルミン「うん」

ユミル「じゃあそれで十分だって」

ユミル「私もアニも」

ユミル「そうだろアニ?」

アニ「なに!?」

ユミル「うまいってさ!」

アニ「いまちょっと手が離せないから!」

ユミル「サシャのおかげで忙しいそうだな」

サシャ「おかわりです」

アニ「えー」

ユミル「あー大変だ」

アルミン「ユミルは料理しないの?」

ユミル「私はそれ以外をする」

アルミン「しないんだね?」

ユミル「アニのほうが上手いからさ」

アルミン「どこで上手くなったんだろう?」

アルミン「それにこの前も思ったけど」

アルミン「アニってあんな風に話をするんだね」

アニ「あー疲れた」

サシャ「お疲れさまです。少し落ち着きました」

アニ「少し?」

サシャ「あのー聞きたいことがあるんですが?」

アニ「何?」

サシャ「あの二人って仲良かったですか?」

アニ「ユミルとアルミンのこと?」

サシャ「はい。ずっと談笑してます」

アニ「ユミル。さぼってる」

サシャ「いやいや。そうでなくてですね」

サシャ「あんまり話しているイメージがなかったものですから」

サシャ「ユミルってあんなに社交的でしたっけ?」

アニ「そうだね。でも私達もそうじゃない?」

サシャ「そういえばそうですね」

サシャ「変わったと思っていることの大半は知らなかったことなんですかね?」

アニ「もしくは知ろうとしなかったことかもね」

サシャ「ユミルはどうなんでしょう?」

ユミル「そんなの」

アニ「どっちだっていいよ」

ユミル「昔からそうだったのかも知れないが」

アニ「変わったのかもしれないけどね」

アルミン「確かに」

サシャ「そうですね」

ユミル「おいお前らこっちこいよ」

アニ「なに?さぼってたくせに」

サシャ「はーい。行きますよー」

アルミン「どうだった?おいしかった?」

ユミル「それ私のセリフだ」

アニ「私のだよ」

サシャ「とても美味しかったです。普段の何倍も」

アルミン「どう?」

ユミル「例えサシャが言った言葉だとしてもいいな」

アニ「そうだね」

アルミン「良かった」

サシャ「なんか一言多かった気がしませんでもありませんが」

サシャ「普段はこんなに賑やかではありませんから余計ですね」

ユミル「そういやサシャって普段どこで飯食ってんだ?」

アニ「そもそもどこの所属だっけ?」

サシャ「私ですか?私は補給兵ですので皆さんに物資を届けてます」

アルミン「武器弾薬とか食料とか」

サシャ「ええ適材適所ですね」

アニ「パンを盗んだりするのに?」

ユミル「いや肉だってあるかもな?」

サシャ「どんなイメージなんですか私は」

サシャ「流石にそんなことできませんよ。上のほうはわかりませんが」

サシャ「遠征が多くて普段はまともなものが食べれませんよ」

アニ「じゃあまたどっかいっちゃうの?」

サシャ「はい。けどすぐ帰ってきますから」

ユミル「大変そうだな。意外だ」

サシャ「ユミルは昔から私に厳しいですね」

サシャ「でも懐かしいです。その言葉も」

サシャ「最近はなぜか思い出してしまいます」

サシャ「また会えることが嬉しいと思えることはいいですね」

サシャ「今日は本当に楽しかったです」

サシャ「生きていたらまた会いましょう。ではっ」ガタッ

ユミル「なに言ってんだ?」

アニ「金払って」

サシャ「かっこよく去ろうと思ったんですが」

アルミン「別にいいよそういうのは」

サシャ「そうですか。でも嬉しいです。今日は私達のために貸切にしてくれて」

ピタッ

アニ「そう・・・だよ」

ユミル「なんか文句あるのか?」

アルミン「サシャ。気を使って」ボソボソ

サシャ「えっ?すみません。今日は定休日でしたか」

アニ「・・・」

ユミル「表出ろ。アニが落ち込んでいるじゃねーか」

サシャ「ええっ!?だってお客さんいないじゃないですか」

ユミル「・・・」

アルミン「ユミルも落ち込んじゃった」

アルミン「二人供元気だして。きっとうまくいくから」

サシャ「そうですよ料理だってこんなにおいしいんですから?」

アニ「ほんとに?」

ユミル「ほんとか?」

アルミン「ほんとだよ!ねっ?」

サシャ「えっええ」

ユミル「なんでちょっと詰まったんだよ」

アニ「やっぱり美味しくないんだ・・・」

サシャ「違いますよ。違います。ちょっとお二人にびっくりして」

アニ「じゃあ何が美味しかった?」

サシャ「パンです!」

アニ「・・・」

アルミン「パンはきっと外から買って来ていると思うよ」ボソボソ

サシャ「じゃあ」

ユミル「じゃあ?」

サシャ「芋です!芋が美味しかったです。素材の味そのままで」

ユミル「・・・」

サシャ「あれっ?」

アルミン「サシャもういいや」

ユミル「もう駄目なのか?」

アニ「やっぱり故郷に帰るしか・・・」

アルミン「だいぶやさぐれてしまった」

サシャ「仕方ないですねー」

アルミン「サシャはちょっとご飯でも食べててね」

サシャ「はい」

アルミン「そんなに気にしないで。まだ始まったばっかりでしょ?」

アルミン「これからどんどんお客さん増えるから」

ユミル「・・・はっ。聞いたか。これだから素人は」

アニ「まったくね。この業界甘く見るんじゃないよ」

アルミン「駄目かー」

アルミン「でも僕達みたいにまずは同期から広めていったらどうかな?」

アルミン「きっとみんな知らないだけだから。きっと需要はあるよ」

アニ「あるかな?」

ユミル「あるのかよ?」

アルミン「いやいやもっと自信をもって」

サシャ「わかりました!」

アルミン「サシャはまだ食べてて!」

サシャ「はい!」

アルミン「もう少しだけがんばろう?」

アニ「うーん」

ユミル「えー?」

アルミン「えっ?駄目だよそんなんじゃあ」

サシャ「よくわかりませんが。がんばりましょう」

サシャ「それとおかわり下さい」

アニ「ちょっと待って」

アルミン「行かないでいいから」

ユミル「・・・嫌だけどがんばるか?」

アニ「ほんとに?」

サシャ「やりましょう」

アルミン「やろう」

ユミル「やるか?」

アニ「やられるか?」

サシャ「やられませんって」

アルミン「そうだよ」

サシャ「ではみんなで力を合わせてがんばりましょう!」

サシャ「おー!」

アルミン「おー。二人も」

アニ「・・・おー」

ユミル「おー・・・」

ユミル「っで?」

アルミン「でって?」

ユミル「同期の奴らはどこにいんだよ?」

アルミン「エレンとか?」

アニ「そう。あとどうなの?」

サシャ「来てくれるかってことですか?」

アニ「まぁそう」

サシャ「それなら大丈夫ですよ。兵団の食事に比べたらここは天国です」

アルミン「僕だっていいと思うよ。仕事で遅くなったら食べるところなんてないもの」

ユミル「独り身はそうかもな。他の奴もそうか?」

アルミン「お昼は兵団で。夜もあるんだけど遅くまでやってないからそうだと思う」

アルミン「でもエレンはたまにお弁当かな」

ユミル「意外だな。あいつが自分で?」

アルミン「いやミカサが作ってくるんだ」

ユミル「おっやっぱり仲いいんだな」

アルミン「どうなんだろ?」

サシャ「どうなんでしょうね?」

ユミル「なんか微妙な反応だな」

サシャ「母親が息子にお弁当渡している感じです」

アルミン「反抗期の息子にね」

アニ「あー」

ユミル「想像しやすいな」

アルミン「エレンに言わせると別に頼んでないのに迷惑なんだよって」

サシャ「ミカサはでも渡すと残さず全部食べるって」

アルミン「洗って返さないとうるさいしめんどうだって」

サシャ「言えば洗うのだけどって」

アルミン「だいたい野菜ばっかりでさって」

サシャ「栄養のバランスを考えているからって」

ユミル「もういいや」

アルミン「うん。僕ももういいや」

サシャ「もうなんともいえないですね」

アニ「それでもアルミン。エレンに言っといてよこの店のことを」

アルミン「うん。でも実験とか遠征ですぐにいえないかもしれない」

サシャ「私も難しいですね」

ユミル「まー気長に待つか」

アルミン「直接行ってもいいと思うよ。昼休みでも、業務後とか」

ユミル「いいのか?」

アニ「仮にも兵団だからね」

アルミン「そういえば二人はもう兵団に所属してなかったね」

ユミル「それにこっちも店があるからその時間のほうが厳しいな」

アニ「うーん」

ユミル「じゃあこっちも仕事で行けばいいんじゃないか?」

サシャ「えっ兵団に戻るのですか?歓迎します」

ユミル「戻らねーから。洗い物でもしててくれ」

サシャ「はい」

アニ「どういうこと?」

ユミル「エレンって総務課だったよな?」

アルミン「残念ながらそうだよ」

ユミル「兵団の食事とかの管理もそこが管轄か?」

アルミン「そうだね。実務以外の雑多なことをやるところだから」

ユミル「いいこと思いついたぜ」

アニ「まさかユミル」

ユミル「ああっそうだ。兵団にここの食事を売りつけてやる」

アルミン「じゃあ。また今度」

サシャ「今度はお金払いますから」

ユミル「ほんと頼むぞ」

アニ「じゃーね」

ユミル「・・・」

アニ「ユミルみんな帰ったよ?」

ユミル「ああうん。部屋に戻るか」

サシャ「今日は美味しかったです」

アルミン「それは言うなら楽しかったじゃない」

サシャ「同じことですよ」

サシャ「ああっこれから兵団であの食事を食べれるなんて」

アルミン「・・・うん」

サシャ「浮かない顔して。良くないですよ」

アルミン「ごめんね。でもユミルの言っていたことがすんなりいくのは難しいのかなって」

サシャ「私はうまくいくって思ってますよ」

アルミン「サシャ」

サシャ「アルミンも言いましたよね。きっとうまくいきますよ」

サシャ「まだ起こっていないことに対してそう思ってなにがおかしいのですか」

アルミン「そうだねきっとうまくいくよね」

サシャ「はい。みんないっしょにかんばりましょう。おー」

アルミン「・・・おー」

サシャ「声が小さくないですか?」

アルミン「早く帰ろう。恥ずかしいもの」

サシャ「えーそうですかー」

アニ「もう寝ない?」

ユミル「ふー」

アニ「疲れたの?」

ユミル「いや違う。うまくいくのかって思ってた」

ユミル「あー駄目だ。弱気だ。駄目だなこれじゃあ。もう寝るか」

アニ「ユミル・・・っと」

ユミル「おい。よっかかるな」

アニ「疲れたからいいじゃない」

アニ「ユミルの背中はでかいね」

ユミル「でかいって言うなよ。お前は小さいな」

アニ「小さいって言わないでよ」

ユミル「どうしたんだよ」

アニ「私達は今背中合わせに立っているから」

ユミル「いるから?」

アニ「今だけ面と向かって話せないこともいえるかもね」

ユミル「お前らしくもない」

アニ「ユミルらしくもないね」

ユミル「はっ・・・どうしたらいいんだろうな?」

アニ「どのこと?」

ユミル「全部だよ。全部」

ユミル「バカみたいなことだけどな。訓練兵のときよりも」

ユミル「訓練のときよりも少し。ほんの少しだけ」

ユミル「緊張するな。怖いって思うこともある」

ユミル「なぜだかわからないけど」

アニ「確かに自分で考えることは増えたね」

アニ「私達はそうではなかったから」

アニ「がんばるしかないよ」

ユミル「嫌な言葉だな。それ」

アニ「がんばれ」

ユミル「えー」

アニ「でもそうじゃない。そうでしょ?」

アニ「姐さん」

ユミル「そうだなレオンさん」

アニ「変な呼び方しないで」

ユミル「お前ももう呼ばないんじゃなかったか」

アニ「そうだったね。そうだ」

ユミル「どうした?」

アニ「今のやり取りでちょっと昔を思い出したよ」

ユミル「偶然。お前もか」

アニ「あの解散式の前のときのこと」

ユミル「そうお前は互いのことを聞いたとき。こう言ったよな」

アニ「何も言わなくていいよって」

アニ「ユミルは」

ユミル「何も言うつもりはねーよってな」

アニ「ありがと。あなたのことを忘れないであげるよ」

ユミル「当たり前だ。お前のことを覚えておいてやるよ」

ユミル「こんな感じだったか」

アニ「お互い口が減らないね」

ユミル「まったくだ」

アニ「その後のことは覚えてる?」

ユミル「まーな。でもまだだ」

アニ「私達はあれから駄目になってる?」

ユミル「別にいいだろ」

アニ「これしかできなくて結局は逃げ出したけど」

ユミル「悪くはない」

ユミル「全部ポンコツでもさ」

アニ「そうかな?」

ユミル「そうだって」

ユミル「なあアニ」

ユミル「明日がうまくいくとしたら何が必要だ?」

アニ「必要?」

ユミル「私は解ったよ」

ユミル「そうきっとあの時や今日みたいな日が必要なんだ」

アニ「そうだねきっと」

今更ながら共同生活の人?
あんたの作品好きだから頑張ってくれ

ありがとうございます。

次の日

アニ「準備できた?」

ユミル「できた」

アニ「ほんとに?忘れ物は?」

ユミル「ないよ。大丈夫だって」

アニ「嘘。机の上のあるのは?朝から準備してたみたいだけど」

ユミル「机?あっやべ」

アニ「なにそれ?お弁当?そんなに時間かかるの?」

アニ「というかユミルが作ったの?」

ユミル「サッサンプルだ。自分が食うわけじゃねーよ」

アニ「サンプル?」

ユミル「だって相手に求められるだろ?どんなの作ってますかーって」

アニ「ああ。そういうこと。だったら私が作ったのに」

ユミル「ちょっとな。がんばってみた」

アニ「がんばったんだ」

アニ「すごいじゃない」

アニ「一人でやったんでしょ」

ユミル「えっと」

ユミル「じゃっじゃあ行くか?」

アニ「そんな持てないから。私も持つよ」

ユミル「いけるってこんなの一人でも」

ユミル「わっ」グラッ

アニ「危ないから」

ユミル「へーきだ。へーき。問題ねーよ」

ユミル「じゃあ行くぞ。行くからな?」

アニ「行くって。そんなに聞かなくても」

ユミル「行くんだな?」

アニ「不安なの?」

ユミル「ちっちげーよ。行くぞ」クルッ

アニ「前見て!」

ユミル「あっ(机に引っかかった)」ガッ

アニ「あっ」

アニ(空飛ぶお弁当とユミルが)

ユミル(お弁当が!)

アニ(落ちたっ)

ユミル「いたいっ」バターンッ・・・ボタボタァ

アニ「・・・大丈夫?」

ユミル「・・・ああ」

ユミル「・・・」チラッ

アニ(なぜこっちを見るの?)

ユミル スクッ

ユミル「明日にしよう」

アニ「・・・うん」

アニ「とりあえず着替えてきなよ」

ユミル「掃除が」

アニ「やっとくから」

ユミル「悪い。わかった」

アニ「散らかってしまったね」

アニ(お弁当)チラッ

アニ「まだ残っているじゃない」

アニ(そういえばユミルが作っているのってあまり食べたことない)

アニ(食べてみよう)パクッ

アニ「あぁ・・・」

ユミル「まったく折角作ったお弁当が」ブツブツ

ユミル「あっアニ!勝手に食うなよ」

アニ「はい。すみません」

ユミル(なんで敬語?)

ユミル「えっ美味しくないか?」

アニ「すみません」

ユミル「えっまじで」

ユミル「駄目か?」

アニ「駄目です。すみません」

ユミル「敬語やめ」

アニ「はっ。なんか昔を思い出してしまって」

ユミル「そんなか?昔を思い出すほどか」

アニ「訓練兵時代を少し、殺伐とした感じがそれを」

ユミル「あぅ」

アニ「ごめんね。言い過ぎた」

アニ「こっち向いて。そんなに悪くないから」

ユミル「・・・」

アニ「美味しいよ。やっぱり美味しいね。一緒にたべよう?」

ユミル「・・・」

アニ「あげるからっ。ねっ?あげるからこっち向いてって」

ユミル「・・・」

アニ「ほら美味しいよ?」

ユミル「猫みてーな扱いすんなよな」

アニ「そこまで可愛くないから」

ユミル「あぅ」

なんか好き

あらかわいい

アニ「どうして一人でつくったの?」

ユミル「いいだろ」

アニ「相談してくれてもいいじゃない」

ユミル「だってさ」

アニ「不安で自信がないならそういえば良かったのに」

ユミル「でもさぁそんなこと言う自信が私にあるかよ」

アニ「そんな自信はあるんだね」

ユミル「それはかなり」

アニ「あーじゃあ私が作るから」

ユミル「いやだ」

アニ「えっなんで?」

ユミル「私が作るんだ」

アニ「意固地になって」

ユミル「なってねーよ」

アニ「わかった。でもこれだと殺伐とする味のままだけど?」

ユミル「・・・ちょっと教えてくれ」

アニ「どうしようか?」

ユミル「なんでだよ」

アニ「にゃーって言ったらいいよ」

ユミル「・・・言うかよ」

アニ「よかった」

アニ「言ったらひいてたね」

ユミル「あぶねーな」

アニ「言うつもりあったの!?」

ユミル「ないない」

アニ「あっそ」

ユミル「いいからはやく」

アニ「はいはい」

ユミル「どうだ?」

アニ「うーん。もうちょっとだね」

ユミル「むずかしいなぁ」

アニ「すぐに良くなるから」

ユミル「実戦で試したいなぁ」チラッ

アニ「私はもういいよ」

ユミル「まずくないだろ?」

アニ「そうじゃなくて」

ユミル「じゃなんだよ」

アニ「・・・太るから」

ユミル「あー」

アニ「あーって?」

ユミル「気にするなよ」

アニ「気にするなってどういうこと?」

ユミル「背が大きくなるかも」

アニ「いやどうなの?」

ユミル「そういえば面接とかってあるのかな?」

アニ「なんの?いや話を変えないでよ」

ユミル「いや、これを兵団で売るときの」

アニ「知らないよ」

ユミル「練習とかいらないか?」

アニ「知らないって」

ユミル「するか?」

アニ「いいって」

ユミル「きっと私達って印象よくないぞ」

アニ「なんでよ」

ユミル「見た目が凶悪じゃん」

アニ「えっ?そうだったの?」

ユミル「えっ?まあいや。そんな反応されると困るけど」

アニ「本当にそうなの?ねえ答えて」

ユミル「いや大丈夫だって」

アニ「でもいつも怒ったような顔だって思われてない?」

ユミル「大丈夫だって」

アニ「それってそうだってこと?」

ユミル「ちがうから」

アニ「ユミルよりも大丈夫?」

ユミル「えっどうだろ」

アニ「ユミルは大丈夫?」

ユミル「あー」

アニ「大丈夫ユミル?」

ユミル「どうだろ・・・」

ユミル「どーせ人に好かれるタイプじゃねーし」

アニ「そうだね」

ユミル「そこはいいのかよ」

アニ「いや私達二人がね」

ユミル「なんか店やるの致命的だったな」

アニ「んー」

アニ「でも私は嫌いじゃないからさ」ボソッ

ユミル「んっ?なんか言ったか」

アニ「さあ」

ユミル「もう一回」

アニ「聞こえてる?」

ユミル「どうだかな・・・なぁ」

ユミル「これ食えよ」

アニ「いやだよ」

ユミル「太ってないのに」ボソッ

アニ「なんか言った?」

ユミル「さあ」

この雰囲気好きだわ

ユミル「じゃあ行って来るぞ」

アニ「いってらっしゃい」

ユミル「お前もいくんだよ」

アニ「はあ」

ユミル「なんだよ行きたくないよかよ」

アニ「なんかほんとに行くとなったら緊張するから」

ユミル「知らない人と話すからか?」

アニ「知っている人もいるし」

アニ「エレンとかミカサとか」

ユミル「今日いるかなぁ」

アニ「どっちがいいんだろうね」

ユミル「なんでだ?ミカサはともかくエレンとは訓練一緒にやってたし」

ユミル「そこそこ仲良かったよな?」

ユミル「なんかアニの格闘術に憧れてたみたいで」

アニ「だから。でも、いやいこうよ」

ユミル「そうだな。これ持ってくれ」

アニ「うん」

ユミル「鍵閉めるぞ」

アニ「うん」

ユミル「元気だせよ」

アニ「元気だよ私は」

ユミル「そうか」

ユミル「もう着いちゃうな」

アニ「着くよ」

ユミル「この前の」

ユミル「この前の夜に話したときからよく思い出して思うんだが」

ユミル「あの兵団を辞めたようなときの気持ちでいたらなんでもできると思う」

ユミル「大丈夫エレン達はバカだからさ」

アニ「そうだね。それは知ってるよ」

アニ「私達と同じくらいには」

ユミル「それは結構なもんだ」

ユミル「誰にも負けないくらいの」

ユミル「誇れるくらいの」

ユミル「誰かを救えるくらいの・・・」

アニ「くらいのってその続きは?」

ユミル「うまく言えないけどなんかわかるだろ?」

ユミル「兵団に入ったことは無駄になったのか?」

ユミル「後悔しているか?」

ユミル「それは私もお前もわかってることだ」

アニ「早く行こうよ」

ユミル「すぐそこだろ」

ユミル「すみませーん」

エレン「はーい。今行きます」

アニ「あっ」

ユミル「おおっエレンだ」ヒソヒソッ

エレン「あっアニだ!ユミルも!どうしたんだよお前達」

ユミル「うっせーよ。空気読め」

アニ「ユミル」

ユミル「あっ」

ユミル「空気呼んで下さいエレンさん」

エレン「なんだよ。あっえーとすいませんユミルさん」

エレン「今日はどういった用でしょうか?」

ユミル「・・・(なんだこいつ。でも笑っちゃ駄目だ)」

アニ「(ユミル笑いをこらえてる)えっとちょっと兵団の食事を管理している部署って」

エレン「ここだけど。です」

ユミル(なんだそれ)プッ

アニ「(駄目だこれ)あー打ち合わせできる部屋って空いてますか?」

エレン「ああ。あります。ちょっと待ってくれ。ください」

アニ「ユミル笑わないで」ヒソヒソッ

ユミル「悪い。だってさ」

エレン「あれっ?部屋の予約表どこだっけ?」ゴソゴソ

ユミル「なんか手間取ってるな」

アニ「まだ慣れてないだけだよ」

ミカサ「エレンなにやっているの?」

ユミル「ミカサだ」

ミカサ「あっ・・・どうも」ペコ

エレン「なんでもねーよ」

ミカサ「なに探しているの?」

エレン「会議室の予約表」

ミカサ「予約表?だったらドアのところにかかってる」

エレン「あっそっか」

ミカサ「でもいまの時間第一会議室は使っているから第三会議室がいいと思う」

エレン「なんで?第二のほうがでかくていいだろ」

ミカサ「声が通るから」

ユミル「第三ってここか?」

ミカサ「そう」

エレン「まだ予約してねー」

ユミル「入っていいか?」

ミカサ「どうぞ」

エレン「まだ予約が」

アニ「失礼します」

ミカサ「エレンも入って」

エレン「・・・ああ」

エレン「もー勝手に入るないで下さい」

アニ「悪いね。急にきて部屋まで通してもらって」

エレン「いいよ別に」

ミカサ「久しぶり。解散式以来かも?」

アニ「そうだね」

エレン「俺が話しを受けたんだからお前は戻って別のことやれよ」

エレン「で今日は何の御用ですか?」

ミカサ「エレン?」

ユミル「あははっ。いいよエレンもう」

ユミル「だから個室にはいったんだろ。昔みたいでいいよな」

エレン「ですが」

ユミル「無理すんなって」

ミカサ「段々とがんばっていこう」

エレン「あーまだ慣れねーよこの仕事」

アニ「大変そうだね」

エレン「危険は無いけどな」

ミカサ「エレンはこの仕事合ってる」

エレン「あってねーよ」

ユミル「はっ。お前も大変だな」

エレン「いいよ。俺は」

ユミル「じゃあ続きいいか?」

エレン「ああ。というか実はもうアルミンから軽く聞いてる」

ミカサ「私はサシャから聞いた」

ミカサ「ただでご飯が食べれる所があるって」

ユミル「かなり情報が歪曲されてんな」

アニ「そこしか印象に残らなかったのかな?」

ミカサ「だからエレン今度一緒に行こう」

エレン「そんなことより俺がアルミンから聞いたのは」

ミカサ「えっ?」

エレン「ここの兵団の食事に使わせてくれないかってことだろ」

ミカサ「そんなこと」

ユミル「そうだ。それでどうなんだ見込みはあるのか?」

ミカサ(流されてしまった)

エレン「別にいいんじゃないか?」

アニ「えっいいの?」

ユミル「本当か?」

ミカサ「エレンそんな勝手に」

エレン「飯のレパートリーが増えていいだろ」

ミカサ「バカ。エレンはバカ」

エレン「なんでだよ」

ミカサ「そんなことは私達の一存で決められない」

ミカサ「まずは上司に相談するの」

ミカサ「そのためにはそれなりの資料を提出する」

ミカサ「兵団にどんな利益があるかその価値があるか判断してもらう」

ミカサ「それで了承をもらえたら次に進めるの」

ユミル「それはそうだな」

エレン「でも一応団長に言っといたけどな」

ミカサ「えっなんて?」

エレン「概ね問題無いってたけど。確認したいことがあるって」

ユミル「・・・」

アニ「なにを?」

エレン「いや俺もわかんねえ」

コンコン

エレン「はい。どうぞ」

エルヴィン「急にすまない。予定表に名前が入っていたからな」

エレン「団長」

エルヴィン「あの件だね?」

エレン「はい」

アニ「この人は・・・」

エルヴィン「エルヴィンスミスだ。調査兵団の団長をしている」

ユミル「はぁ」

エルヴィン「不思議そうな顔されても仕方ないが我が兵団はこういったことも行っている」

エレン「なんか雑用が多いのですが」

ミカサ「多分兵団の中で一番身分が低いから」

エルヴィン「・・・私は食事というものをとても重要視している」

エルヴィン「兵の士気に関わるからだ」

エルヴィン「だから今回のエレンと君達の提案はとても良いものだと思える」

エルヴィン「兵にとっても食事くらい選択の余地があるのはいいことだ」

ユミル「じゃあ」

エルヴィン「その前にひとつ確認したいことがある」

エルヴィン「君達が信用できるかどうかだ」

エレン「どういうことですか?」

エルヴィン「もし君らの作ったものに毒があったとしよう」

エルヴィン「私達は簡単に全滅だ」

アニ「そんなことする訳が」

エルヴィン「だが可能だろう」

エルヴィン「だから確認されてくれ。信用に足る人物であると」

ユミル「どうやってです?」

エルヴィン「ひとつだけ質問をする。それに答えてもらえばいい」

アニ「はい」

エレン「団長待って下さい」

ミカサ「エレン」

ユミル「はい。お願いします」

エルヴィン「うん」

エルヴィン「なぜ君らは兵団を抜けた?」

エルヴィン「君達の経歴は知っている。優秀な訓練兵であったことも」

エルヴィン「だから疑問だ。全てを捨てて別の道にいくことが」

エレン「そういやなんで辞めたんだ?」

ミカサ「エレン!?」

エルヴィン「かつての仲間たちも知らないのか」

ユミル「あっそのですね・・・」

エルヴィン「特にアニ・レオンハート。君は上位成績者だ。憲兵団に入れるほどの」

アニ「・・・すみません。言えません」

エルヴィン「そうか。いやいい」

エルヴィン「ただ、君達がどんな人間なのかわからないのでは」

エルヴィン「こちらとしても判断が難しい」

アニ「はい・・・」

エルヴィン「この件に対する回答は後日だ。またきてくれ」

アニ「ユミル・・・ごめん」

ユミル(やっぱりこんな風になるよな)

ユミル(素性もよくわからない奴らから物を仕入れたくないだろう)

ユミル(アニ。なんでもできると言ったのは嘘だ)

ユミル(なんだってできたことはない)

ユミル(けど言ってみるさ。少しでも頑張ってみるからな)

ユミル(そんな顔見たくないからさ)

エルヴィン「ではそろそろ終わりにしよう。私も次の会議があるのでね」

ユミル「待ってくれ。いや待って下さい」

ユミル「いやすみません。少しだけ言わせてくれませんか?」

エルヴィン「ああ」

ユミル「ありがとうございます。私も兵団を辞めた理由をうまく言う事ができません」

ユミル「ただ辞めたことに対して」

ユミル「私達、少なくとも私は後悔なんかしていない。なにも無駄だったって思ってない」

ユミル「兵団にいたときも。辞めたときも。今も」

ユミル「つらかったから逃げたんじゃない」

ユミル「それはアニも同じだったら嬉しいけど」

ユミル「私が弱かろーが臆病でも関係ない。何者であっても」

ユミル「頑張るしかなかったんだ。私とそれ以外のために」

ユミル「なにもかもどうでもいいと思えるくらいの大事なことのために」

エルヴィン「君は何がいいたい?」

ユミル「今は全部私達のものってことです」

ユミル「もしかなたの空にもうひとりの私を見たのなら」

ユミル「私はそれに微笑みを映すことができる」

ユミル「わからなくていいですが」

ユミル「とにかく私には私達を証明する手立てはないんですよ」

ユミル「あるとしたら」

アルミン「エレン。ユミル達今日来ているの?」ガチャ

エレン「アルミン」

エルヴィン「君は」

アルミン「団長。すみません。私は」

エルヴィン「知っている。ハンジから良く聞いているからね」

エルヴィン「優秀な人材が入ったと喜んでいたよ。所で君に聞きたいことが

サシャ「お弁当下さい」ガチャ

アニ「えっ?」

サシャ「えっ?」

エルヴィン「君も彼らの知り合いか?」

サシャ「だっ団長!?失礼しました。はい。知り合いであります」

サシャ「ではお弁当もらったら戻ります」

エルヴィン「いや。まだ戻らなくていい」

サシャ「はい!お弁当はよろしいでしょうか?」

エルヴィン「・・・彼らについて少し教えてくれないか?」

サシャ「はっ?」

エルヴィン「なんでもいい」

サシャ「えっとですね。先日二人のお店に行きました」

サシャ「とても美味しかったです。楽しかったです」

サシャ「しかもただなんです」

エルヴィン「そうなのか?」

ユミル「ちっ違います!サシャあほっ」

サシャ「えっ?私が今の二人に対して知ることはそのくらいです」

サシャ「そうです。あとは二人とも一生懸命さんでした。懐かしくなりました」

サシャ「二人とも訓練兵のときはそんな印象なかったのですが」

サシャ「なぜかそう思いました」

エルヴィン「アルミン。君は?」

アルミン「昔の印象は思いつめているように見えました」

エルヴィン「いまは違うと?」

アルミン「どうでしょう?ふふっ」

アルミン「あっすみません。サシャにご飯の味のことを言われて落ち込んでいることとか」

アルミン「お客さんがいなくて悩んでいるとか。そういう姿を思い出してしまって」

アルミン「なんかやっぱり違いますね」

エルヴィン「難しいな・・・」

エレン「団長。単純なことだと思うんですが」

エレン「二人が辞めた理由があるとしたらそれ以上の理由があっただけの話じゃないですか?」

エレン「でも二人は変わってねーと思うし、変わったとしても」

エレン「サシャとアルミンが言った通りです。それが全部じゃないですか?」

エルヴィン「・・・」

エレン「団長!」

エルヴィン「すまないが私は外させてもらう」

ユミル「すいません勝手に訳わかんないこといって」

ユミル「これ作ってきたので良かったらもらってくれませんか?」

エルヴィン「わかった。では後で昼食のときに食べさせてもらおう」

エルヴィン「・・・そういい忘れたが」

エルヴィン「次は契約の話をするので諸々の書類を持ってくるように」

エレン「細かい話はエレン。君がしてくれ」

エルヴィン「そうエレンもこれを食べて確認するように」

エレン「はい!わかりました!」

ユミル「あーだる」

アルミン「おめでとう。やったね」

アニ「これから大変だね」

サシャ「たくさん作らないとですね」

ユミル「まあそうだな。とにかくありがとな」

ミカサ「細かい話は後にする?」

エレン「飯食ってからにしようぜ。ここに昼飯あるし」

ミカサ「私今日お弁当を」

ユミル「こころして食えよ」

サシャ「賛成です」

エレン「サシャもう帰れよ」

サシャ「なんでですかー!」

アニ「エレンいいじゃない」

アルミン「僕もいい?」

エレン「ああ。もちろん」

ミカサ「エレンお弁当」

エレン「わかったよ」

アニ「そんな期待しないで」

エレン「そうなのか?」

サシャ「そんなことありません」

アニ「なんでサシャが言うの」

サシャ「だってですね。きっとおいしいです」

ミカサ「作ってきたのに」

ミカサ「おいしいのに」

エレン「じゃ食おうぜ」

ミカサ「・・・飲み物をとってくる」

エレン「ミカサ」

ミカサ「なに?」

エレン「ついでに持ってこいよ」

ミカサ「何を?」

エレン「なんだよ。その・・・作ってきたんだろ?弁当」

ミカサ「うん」

エレン「それも一緒に食うよ」

ミカサ「うん!」

ユミル「あーあ。もっと早く帰ってくるつもりだったのに」

アニ「そうなの?随分話してたのに」

ユミル「はぁー午後の準備しなきゃな」

アニ「ねえ。これから忙しくなるね?」

ユミル「やだなあ。もう3年くらい寝てすごしたい」

アニ「バカだねえ」

ユミル「いいだろ。今日がんばったし」

アニ「そういうの言わないもんじゃない?」

ユミル「お前にだけな」

アニ「ばっそういうのも言わないでよ」

ユミル「今日から私も作ってみるからな」

アニ「いいけど」

ユミル「エプロンどこだっけ」

アニ「朝使ってたよね」

ユミル「あーここだ」

エレン「アルミンここか?」

アルミン「そうここだよ」

ミカサ「みんなで来た・・・」

サシャ「またお会いしましたね」

アニ「寝てすごすの無理みたいだね」

ユミル「ははっ。来るの早すぎだろ。仕事しろよ」

エレン「エプロン似合わねーなユミル」

ユミル「うるせーお前は料金10割増しだ」

エレン「ぼったくりだ」

ミカサ「ユミル似合うかわいい」

ユミル「うっ」

ミカサ「アルミン」

アルミン「かっかわいいよ」

サシャ「素敵です」

ユミル「うう」ダッ

アニ「裏に逃げない」

アルミン「あとでみんな来るっていってたよ」

アニ「みんなって?」

ミカサ「同期のほとんど」

ユミル「まじかよ」

サシャ「今日はパーティーですね」

エレン「明日休みだし朝までやるぞ」

ユミル「うちはそんな店じゃねーよ」

アニ「うちは休みじゃないから」

ライナー「ここか?」

ベルトルト「そうみたい」

マルコ「もうみんないるのかな」

ジャン「それにしてもあいつらがなぁ」

ミーナ「懐かしいね」

コニー「何の店なんだ?」

ユミル「うっわゾロゾロと」

アニ「初の満員になるかも」

ユミル「あー忙しくなっちまう」

エレン「めしー」

サシャ「ごはーん」

ユミル「うるせーなエレン。もっと端の席いけ」

アニ「ほらっ作るから手伝って」

ユミル「はいはい」

ユミル「みんな帰ったか?」

アニ「そうだね。でも片付けしなくちゃ」

ユミル「いいよ明日にしようぜ」

アニ「でもさ」

ユミル「なあアニ」

アニ「ちょっと待ってて」

ユミル「私を嫌わないでくれよ」

アニ「急にどうしたの」

ユミル「・・・ちょっと言いたくなっただけだ」

アニ「今日は緊張したね」

ユミル「ああ」

ユミル「全然。うまくいかないと思った」

ユミル「門前払いをくらうかと思った」

ユミル「エレンとかに知らない顔されるんじゃないかって」

ユミル「でもそんなことなかったなぁ」

アニ「うん。みんな来てくれるなんて思いもしなかったね」

ユミル「嫌われているって思ってたよ」

アニ「うん」

ユミル「はぁ・・・」

ユミル「心が崩れてしまう前に会えて良かったよ」

アニ「心が固まってしまう前に話せたから」

アニ「本当にあれが最後だったね」

アニ「そう」

アニ「覚えてる?」

ユミル「大体は」

ユミル「でもあのときなんで泣いてたんだっけ」

アニ「嘘だよ。笑ってた」

ユミル「そうかぁ?」

ユミル「私は泣くなよって言った記憶があるけど」

アニ「そうだっけ?」

アニ「じゃああの日の続き言ってみる?」

ユミル「やってみるか」

ユミル「泣くなよバーカ」

アニ「うるさい。見るな。ほうっておいてよ」

アニ「あんたなんかに・・・」

アニ「そんな目的もない奴に」

ユミル「じゃあどうすればいいんだよ目的がない奴は」

ユミル「どうすればいい」

アニ「知らないよ」

ユミル「お前が何になりたくねーなんて知らないけどな」

ユミル「だったらやめたらどうだ」

アニ「はぁ?」

ユミル「そしたら私と一緒の目的のない奴だ」

アニ「なんであんたと一緒にならなきゃいけない?」

ユミル「笑ったな」

アニ「最後だとしても笑っていたら可笑しい?」

ユミル「最後じゃねーよ」

ユミル「なんか負けた気分になるだろ。そんなこと言ってたら」

ユミル「そうだ。笑っていられたらいいな」

ユミル「何で私達はできないんだ?」

アニ「あんたさぁそんな奴だっけ」

ユミル「しらねーよ」

アニ「バカじゃない」

ユミル「バカじゃない」

ユミル「駄目だな。駄目だ。もうやってられねーよ」

ユミル「でも負けたくない。運命にだって勝ってやるんだ」

ユミル「もしもう一人の私がいたらそいつに言ってやりたい」

ユミル「こっちだって間違いじゃないって」

アニ「・・・じゃあもし私が一緒に兵団辞めるっていったら何やろうか?」

ユミル「はっ?」

アニ「何も考えてないの?」

ユミル「考えてるに決まってんだろ。そうだな・・・お前得意なことなんだ」

アニ「はぁ?」

ユミル「いいから」

アニ「格闘術とか」

ユミル「あほ。それで暮らせないから」

アニ「あんたは?」

ユミル「潜入とか盗みとか」

アニ「まったく駄目だね」

ユミル「知ってるよ。お前は料理とかは?」

アニ「まあ人並みには」

ユミル「じゃあそれだな」

アニ「店でもやるの?」

ユミル「ああ。兵団辞めるときってどんな手続きいるんだ?」

アニ「辞めるって言えばいいんじゃない」

ユミル「じゃあいこうぜ」

アニ「ちょっと待って」

ユミル「なんだよ」

アニ「・・・名前は?」

ユミル「何の?」

アニ「だからお店の」

ユミル「あー巨人亭だな」

アニ「はっ。もういいよそれで」

ユミル「いい名前だろ」

ユミル「バカみたいな会話だったな」

アニ「今もそうでしょ?」

アニ「そう今も」

アニ「その強さと弱さがあなたにあるように」

ユミル「そうだなお前の」

ユミル「その弱さと強さがあるように」

アニ「あの時終ったみたいに泣いたとしても」

ユミル「始まったときみたいに笑って」

アニ「頑張れ、間違っていたとしても」

ユミル「正しいことができなくても」

アニ「取り返しのつかない過去があっても」

ユミル「知るかよ。だけど知っててほしいよな」

ユミル「自分ともう一人くらいはさ」

ユミル「知ったことか、つらいことも悲しいことも」

アニ「世界がどうだってどうでもいいから」

アニ「強くありたいよ」

ユミル「そうだ」

ユミル「それで」

ユミル「優しくいれたら」

アニ「そうだね」

アニ「そう。その全てになれたらいいね」

ユミル「だったら」

アニ「だったら?」

ユミル「やることはただひとつ」

アニ「なに?」

ユミル「超頑張れ」

アニ「嫌だよ」

ユミル「ははっ確かに」

これで終わりです。ありがとうございました。


今回も良かった

おつおつ

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