上条「上条さん@がんばらない」(15)

―学生寮・某一室


高校には入学したものの、勉学の成績は思わしくなく

生まれながらの不幸体質で、外を歩けば日常的に死線を彷徨い

最近は粗暴なビリビリ中学生に付き纏われる始末――


そして、わたくし上条当麻は決意した


今後一切、外に出ないと!

とある魔術の禁書目録、完!

>>2

     ッパァァアアン
   _, ._    ・。;、'

⊂( ゚д゚)  , ∴・'∵(#)д゚)' >>1
 ( と ノ  ´   ⊂ ⊂ ノ ゜
と_`\ ヽ    ⊂二/ ノ
   ̄ (_,,)     (,,/



―夜


上条「ふ・・・ぁぁぁぁ・・・朝か」


上条「暇だな・・・ネットでもするか」


カタカタ。カタカタ。


上条(…『レベルアッパーをゲットしたお』)

上条(最近多いな、この手の書き込み)


ピンポーン。


上条「ん」

「起きてるか、カミやん?」


上条「ああ、今起きたとこだ」



土御門「それじゃ、ドアの前にいつもの置いとくからな」

「今日は舞夏特製の肉じゃがだにゃ」


上条「…いつもサンキューな」

「じゃ、またな」

「先生も心配しているから気が向いたら学校にも出てこいよ」


「それはいやだ」


「……、そうか」




初めのころは担任の先生が毎日心配して見舞いに来ていたが 

最近はお隣の同級生がプリントとかを持ってきてくれる

こんなふうに妹さんの作った夕食のおすそわけを含めて

カタカタ。カタカタ。


上条「…『コンビニのatmでカードを飲み込まれる事案が発生』」


上条「…『コンビニで爆弾が爆発、風紀委員1名が負傷』」


上条「まったく今日も外は危険がいっぱいだな」

などと他人事のように(他人事だが)ネット上のニュースを眺めながら

肉じゃがを頬張る俺


そういや季節は夏なのに肉じゃがって、とふと思ったが

このままずっと籠っていたら季節感覚とかなくなるんだろうな、ということの方が

ありありと実感させられる

不幸な話だがある意味幸運なのかも知れない…


上条「つか…そういやもうすぐ夏休みか…」

ふとカレンダーを目にすると、日付は7月17日

あと3日で世間は待ちに待った長期休暇に突入だ


が、俺にとってはあまり喜べない事情がいくつか思い浮かぶ


上条(まだ引き籠ってること親に言ってないんだよな…)

上条(出席日数とかの問題もあるし、三者面談とかあったらヤバいな…)

上条「クソッ」


上条「外に出たら出たで厄介事に巻き込まれて大変だってのに」



上条「引き籠ったら引き籠ったでストレスがたまるぜ…!」


ドンッ。ドンッ。


―隣室

舞夏「また始まったようだぞー、兄貴ー」

土御門(…やれやれ、ストレス発散に壁ドンは近所迷惑だから辞めてほしいぜい)

>>10
土御門って土佐弁だよね
「~ぜい」
…?

は?

ひ?

 
翌日、目を覚ますとまた夕暮れ時だった


上条「マジで時間感覚がおかしくなるな…」

ほんのひと月籠ってるだけだが、いざ世間様から隔絶してみると

もう永久に元の生活には戻れないような錯覚に陥る


上条(そういや最近はケータイのメールめっきり減ったな…)

上条(ほとんど体動かしてないのに、妙にダルく感じるのは何故だ…)

人づきあいをがんばらない――

学生生活をがんばらない――


何もかもがんばらない――


・・・結局それは、生きること自体をがんばらないことに他ならないのでは?

・・・このままじゃ、上条さんは。



テレビを点けると、レポーターがセブンスミストで起きたという惨事の

続報を時々刻々と伝えている

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